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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/38 20060101AFI20241113BHJP
   H01G 2/10 20060101ALI20241113BHJP
   H01G 2/02 20060101ALI20241113BHJP
   H01G 4/228 20060101ALI20241113BHJP
   H01C 13/02 20060101ALI20241113BHJP
   H01G 2/08 20060101ALI20241113BHJP
   H01C 1/08 20060101ALI20241113BHJP
   H01F 27/08 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
H01G4/38 A
H01G2/10 600
H01G2/02 101E
H01G4/228 J
H01C13/02
H01G2/08 A
H01C1/08 Z
H01F27/08 101
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020216568
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2022079393
(43)【公開日】2022-05-26
【審査請求日】2023-07-25
(31)【優先権主張番号】P 2020190458
(32)【優先日】2020-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】増田 朗丈
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 信弥
(72)【発明者】
【氏名】安藤 ▲徳▼久
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 智之
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 伸也
【審査官】相澤 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-040083(JP,A)
【文献】特開2019-179867(JP,A)
【文献】特開2005-057175(JP,A)
【文献】特開2019-106487(JP,A)
【文献】国際公開第2020/137041(WO,A1)
【文献】特開昭62-211988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/38
H01G 2/10
H01G 2/02
H01G 4/228
H01C 13/02
H01G 2/08
H01C 1/08
H01F 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に沿って配列される複数のチップ部品と、
前記複数のチップ部品の第1側面に向き合う板状部と、前記板状部における第1の方向に平行な板状部第1辺に沿って形成されており前記板状部から前記第1の方向とは垂直な第3の方向に沿って前記チップ部品側に突出する第1の突出部と、前記第1の突出部に対して前記第1の方向および前記第3の方向とは垂直な第2の方向に形成され前記板状部から前記第3の方向に沿って前記チップ部品側に突出する第2の突出部と、を有する絶縁ケースと、を有し、
前記第1の突出部および前記第2の突出部の前記板状部からの前記第3の方向における突出長さは、前記複数のチップ部品に含まれるチップ部品の前記板状部からの前記第3の方向における突出長さより短く、
前記板状部は前記第3の方向における前記チップ部品側から見て略矩形であり、前記第2の突出部は、前記板状部における前記板状部第1辺に垂直な板状部第2辺に沿って配置されており、前記板状部における前記板状部第1辺に平行な板状部第3辺および前記板状部第2辺に平行な板状部第4辺には、突出部が形成されていないことを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記複数のチップ部品に含まれる少なくとも2つのチップ部品は、互いの端子電極が接触している請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記第1の突出部または前記第2の突出部の前記板状部から前記第3の方向における突出長さは、前記複数のチップ部品の前記板状部からの前記第3の方向における突出長さの1/2以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
【請求項4】
前記複数のチップ部品において前記第1側面とは反対方向を向く第2側面は、前記板状部に略平行な仮想平面に沿って配置されており、前記第2側面には、前記複数のチップ部品が有する端子電極の少なくとも一部が形成されている請求項1に記載の電子部品。
【請求項5】
前記複数のチップ部品が有する端子電極に向き合うように配置され前記複数のチップ部品から熱が伝わる伝熱部を有し、前記絶縁ケースより熱伝導率の高い放熱板をさらに有する請求項1に記載の電子部品。
【請求項6】
前記放熱板は、前記板状部の一方の面に設けられる板状放熱部を有し、前記板状部の前記一方の面は、前記板状部において前記チップ部品に向き合う板状部の他方の面とは反対方向を向く請求項5に記載の電子部品。
【請求項7】
前記放熱板は、前記板状部の前記一方の面に接着されており、
前記複数のチップ部品の前記第1側面は、前記板状部の前記他方の面に接着されている請求項6に記載の電子部品。
【請求項8】
前記板状部は前記第3の方向における前記チップ部品側から見て略矩形であり、
前記複数のチップ部品に含まれる前記チップ部品は一対の端子電極を有しており、
前記放熱板の前記伝熱部は、前記一対の端子電極のうち、前記板状部第1辺よりも前記板状部第1辺に平行な板状部第3辺に近い端子電極に近接して、当該板状部第3辺に近い前記端子電極に向き合っている請求項5に記載の電子部品。
【請求項9】
前記放熱板は、前記第1の方向に沿って形成される筒状の筒状放熱部を有する請求項5に記載の電子部品。
【請求項10】
前記板状部は前記第3の方向における前記チップ部品側から見て略矩形であり、
前記複数のチップ部品は、前記板状部における前記板状部第1辺に平行な板状部第3辺から、一部が前記板状部の外にはみ出している請求項1に記載の電子部品。
【請求項11】
前記絶縁ケースは、樹脂製である請求項1に記載の電子部品。
【請求項12】
前記複数のチップ部品に含まれる少なくとも1つのチップ部品は、隣接する他の少なくとも1のチップ部品に対して、互いの端子電極が離間している請求項1に記載の電子部品。
【請求項13】
前記チップ部品に向き合う前記板状部の面には、窪みまたは溝が形成されている請求項1に記載の電子部品。
【請求項14】
前記複数のチップ部品に含まれるチップ部品の全てが前記第1の突出部に接しており、
前記複数のチップ部品に含まれるチップ部品のうち前記第1の方向の一方の端部に位置する1のチップ部品のみが前記第2の突出部に接する請求項1に記載の電子部品。
【請求項15】
前記第2の突出部は、前記板状部における前記板状部第1辺に垂直な板状部第2辺に沿って形成されており、
前記第1の突出部と前記第2の突出部とが略垂直に接続し、L字状の突起をなす請求項1に記載の電子部品。
【請求項16】
前記チップ部品の端子電極は、前記チップ部品の素体の内部電極層に接続する第1層と、前記第1層の一部を被覆し前記第1層に接触する部分から前記チップ部品の実装面側に配置する部分まで連続する第2層と、前記第1層の他の一部に接触しており前記第1層および前記第2層を被覆する第3層と、を有し、
前記第1層および前記第3層は、焼結金属層および金属めっき層のいずれかで形成されており、前記第2層は、導電性樹脂層で形成されている請求項1に記載の電子部品。
【請求項17】
第1の方向に沿って配列される複数のチップ部品と、
前記複数のチップ部品の第1側面に向き合う板状部と、前記板状部における第1の方向に平行な板状部第1辺に沿って前記第1の方向における一方側の端部から所定の中間部まで、および、前記板状部第1辺に平行な板状部第3辺に沿って前記第1の方向における前記中間部から他方側の端部まで、にそれぞれ形成されており、前記板状部から前記第1の方向とは垂直な第3の方向に沿って前記チップ部品側に突出する第1の突出部と、前記第1の突出部に対して前記第1の方向および前記第3の方向とは垂直な第2の方向に形成され前記板状部から前記第3の方向に沿って前記チップ部品側に突出する少なくとも1つの第2の突出部と、を有する絶縁ケースと、を有し、
前記第1の突出部および前記第2の突出部の前記板状部からの前記第3の方向における突出長さは、前記複数のチップ部品に含まれるチップ部品の前記板状部からの前記第3の方向における突出長さより短く、
前記板状部は前記第3の方向における前記チップ部品側から見て略矩形であり、
前記第2の突出部の1つは、前記板状部における前記板状部第1辺に垂直な板状部第2辺に平行に、前記板状部第1辺に形成された前記第1の突出部の前記中間部側の端部と前記板状部第3辺に形成された前記第1の突出部の前記中間部側の端部とを接続するように形成されており、
前記板状部第3辺に形成された前記第1の突出部に対して前記第2の方向において対向する前記板状第1辺の部分、前記板状部第1辺に形成された前記第1の突出部に対して前記第2の方向において対向する前記板状第3辺の部分、および、前記板状部第2辺および前記板状部第2辺に平行な板状部第4辺のうち少なくとも1方には、突出部が形成されていないことを特徴とする電子部品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のチップ部品を含む電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
チップコンデンサ等の複数のチップ部品を、基板などを用いて一体化した電子部品が提案されている(特許文献1等参照)。このような電子部品は、基板実装時などにおいて、複数のチップ部品をまとめて実装可能であるため、実装工程の簡素化、迅速化の観点で、チップ部品を個別に実装するものに比べて有利な効果を奏する。
【0003】
しかしながら、複数のチップ部品を、ケースなどを用いて一体化する従来の電子部品では、組み立ての際において、複数のチップ部品を1つずつ、ケースに対して位置合わせして組み立てる必要があり、チップ部品とケースの位置合わせ及びチップ部品のケースに対する収納に手間がかかるという問題を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-8158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、複数のチップ部品をケースに対して効率的に位置合わせして組み立てることができる電子部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る電子部品は、
第1の方向に沿って配列される複数のチップ部品と、
前記複数のチップ部品の第1側面に向き合う板状部と、前記板状部における第1の方向に平行な板状部第1辺に沿って形成されており前記板状部から前記第1の方向とは垂直な下方に突出する第1の突出部と、前記第1の突出部に対して前記第1の方向および前記下方とは垂直な第2の方向に形成され前記板状部から前記下方に突出する第2の突出部と、を有する絶縁ケースと、を有し、
前記第1の突出部および前記第2の突出部の前記板状部からの前記下方への突出長さは、前記複数のチップ部品に含まれるチップ部品の前記板状部から前記下方への突出長さより短い。
【0007】
本発明に係る電子部品は、複数のチップ部品を、板状部と第1の突出部に接触させながら配置することにより、上下方向や第2の方向に関して、複数のチップ部品を絶縁ケースに対して容易に位置合わせすることができる。また、第1の方向の位置合わせについては、第2の突出部に接触して位置合わせするか、または、隣接するチップ部品に接触するなどして、位置合わせすることができる。このため、このような電子部品は、複数のチップ部品をケースに対して容易かつ効率的に位置合わせして組み立てることが可能である。また、第1の突出部および第2の突出部の突出長さを、チップ部品の突出長さより短くすることにより、絶縁ケースに対して組み合わせられた複数のチップ部品と実装基板との接合をケースが邪魔する問題を防止できる。また、絶縁ケースが空気よりも高い熱伝導率を有するため、このような電子部品は、単に密集して実装されるチップ部品に比べて、優れた放熱特性を有する。
【0008】
また、たとえば、前記複数のチップ部品に含まれる少なくとも2つのチップ部品は、互いの端子電極が接触していてもよい。
【0009】
このような電子部品によれば、端子電極を介して2つ以上のチップ部品が電気的に接続されることにより、チップ部品が直列または並列接続された回路を有する電子部品を容易に形成できる。
【0010】
また、たとえば、前記第1の突出部または前記第2の突出部の前記板状部から前記下方への突出長さは、前記複数のチップ部品の前記板状部から前記下方への突出長さの1/2以下であってもよい。
【0011】
このような電子部品では、複数のチップ部品が、実装面に垂直な端面に端子電極の一部を形成してある場合であっても、実装面と端子電極との間でのはんだフィレット等の形成を、第1および第2の突出部が阻害する問題を防止できる。
【0012】
また、たとえば、前記複数のチップ部品において前記第1側面とは反対方向を向く第2側面は、前記板状部に略平行な仮想平面に沿って配置されており、前記第2側面には、前記複数のチップ部品が有する端子電極の少なくとも一部が形成されていてもよい。
【0013】
このような電子部品は、仮想平面を実装面として、実装基板などに対して容易に実装することが可能である。また、このような電子部品は、実装機などによって実装基板に搬送される際、実装機のノズルが絶縁ケースを保持することにより、安定した搬送を実現できる。
【0014】
また、たとえば、本発明に係る電子部品は、前記複数のチップ部品が有する端子電極に向き合うように配置され前記複数のチップ部品から熱が伝わる伝熱部を有し、前記絶縁ケースより熱伝導率の高い放熱板をさらに有してもよい。
【0015】
このような放熱板を有する電子部品は、チップ部品で発生した熱を効率的に放熱し、電子部品の温度上昇を抑制できる。
【0016】
また、たとえば、前記放熱板は、前記板状部において前記チップ部品に向き合う板状部下面とは反対方向を向く板状部上面に設けられる上面放熱部を有してもよい。
【0017】
このような放熱板を有する電子部品は、上面放熱部から効率的にチップ部品の熱を放熱することができ、電子部品の温度上昇を効率的に抑制できる。
【0018】
また、たとえば、前記放熱板は、前記板状部上面に接着されていてもよく、
前記複数のチップ部品の前記第1側面は、前記板状部下面に接着されていてもよい。
【0019】
このような電子部品は、絶縁ケースの板状部を介して、放熱板とチップ部品と絶縁ケースを一体化させているため、組み立て性が良好である。
【0020】
また、たとえば、前記板状部は前記下方から見て略矩形であり、
前記複数のチップ部品に含まれる前記チップ部品は一対の端子電極を有しており、
前記放熱板の前記伝熱部は、前記一対の端子電極のうち、前記板状部第1辺よりも前記板状部第1辺に平行な板状部第3辺に近い端子電極に向き合っていてもよい。
【0021】
一対の端子電極のうち、板状部第3辺に近い端子電極に向き合うように伝熱部を設けることにより、第1の突出部との干渉を避けて、伝熱部の広い面積が端子電極に向き合う配
置を実現できるため、このような電子部品は、良好な放熱特性を有する。
【0022】
また、たとえば、前記放熱板は、前記第1の方向に沿って形成される筒状の筒状放熱部を有してもよい。
【0023】
筒状放熱部を有する放熱板は、外気との接触面積を広く確保できるため、このような電子部品は、良好な放熱特性を有する。
【0024】
また、たとえば、前記板状部は前記下方から見て略矩形であり、前記第2の突出部は、前記板状部における前記板状部第1辺に垂直な板状部第2辺に沿って配置されており、前記板状部における前記板状部第1辺に平行な板状部第3辺および前記板状部第2辺に平行な板状部第4辺には、突起の形成されていない非突起縁部が形成されていてもよい。
【0025】
板状部第1辺と板状部第2辺に第1の突出部と第2の突出部とが形成され、板状部第3辺と板状部第4辺とには非突起縁部が形成されていることにより、このような絶縁ケースには、複数のチップ部品を容易かつ効率的に位置合わせすることができる。また、複数のチップ部品に寸法のばらつきが生じている場合であっても、容易に絶縁ケースに複数のチップ部品を位置合わせし、組み立てることができる。したがって、このような電子部品は、絶縁ケースに対するチップ部品の組み立てが容易であり、生産性に優れている。
【0026】
また、たとえば、前記板状部は前記下方から見て略矩形であってもよく、
前記複数のチップ部品は、前記板状部における前記板状部第1辺に平行な板状部第3辺から、一部が前記板状部の外にはみ出していてもよい。
【0027】
このような電子部品では、板状部を小さくして小型化が可能であるとともに、実装面積を狭くすることができる。
【0028】
また、たとえば、前記絶縁ケースは、樹脂製であってもよい。
【0029】
絶縁ケースの材質は、絶縁性の材料であれば特に限定されないが、たとえば樹脂を用いることができる。絶縁ケースが樹脂製であることにより、実装後において電子部品に生じる応力を効果的に緩和し、電子部品の損傷を防止できる。また、樹脂製の絶縁ケースが、空気よりも高い熱伝導率を有するため、このような電子部品は、優れた放熱特性を有する。
【0030】
また、たとえば、前記複数のチップ部品に含まれる少なくとも1つのチップ部品は、隣接する他のチップ部品に対して、互いの端子電極が離間していてもよい。
【0031】
複数の電子部品を離間して配置させることにより、チップ部品で生じる熱を放熱しやすくなる。また、端子電極を離間させておくことにより、実装基板側で各チップ部品を電気的に接続し、色々な電気回路を形成することができる。
【0032】
前記板状部において前記チップ部品に向き合う板状部下面には、窪みまたは溝が形成されていてもよい。
【0033】
このような窪みや溝が形成されていることにより、チップ部品と板状部を接合する接着剤硬化部の形状のばらつきを抑制し、チップ部品と板状部との接合強度を適切に制御できる。
【0034】
また、たとえば、本発明に係る電子部品では、前記複数のチップ部品に含まれるチップ
部品の全てが前記第1の突出部に接していてもよく、
前記複数のチップ部品に含まれるチップ部品のうち前記第1の方向の一方の端部に位置する1のチップ部品のみが前記第2の突出部に接していてもよい。
【0035】
このような電子部品では、複数のチップ部品を第1の突出部に沿ってまとめて、または一方の端部から順次、絶縁ケースに対して位置合わせすることができるため、効率的な組み立てが可能である。
【0036】
また、たとえば、前記第2の突出部は、前記板状部における前記板状部第1辺に垂直な板状部第2辺に沿って形成されていてもよく、
前記第1の突出部と前記第2の突出部とが略垂直に接続し、L字状の突起をなしてもよい。
【0037】
第1の突出部と第2の突出部とがL字状の突起をなすことにより、複数のチップ部品を容易かつ効率的に位置合わせすることができるとともに、第1の突出部および第2の突出部の強度を向上させることができる。したがって、このような電子部品は、組み立て性が良好であるとともに、絶縁ケースおよび電子部品全体の小型化に資する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る電子部品の斜め上方からの概略斜視図である。
図2図2は、図1に示す電子部品の分解斜視図である。
図3図3は、図1に示す電子部品に含まれる絶縁ケースを斜め下方から見た概略斜視図である。
図4図4は、図1に示す電子部品の組み立て工程を表す概念図である。
図5図5は、図1に示す電子部品を第1の方向から見た側面図である。
図6図6は、図1に示す電子部品を第2の方向から見た側面図である。
図7図7は、図1に示す電子部品を実装基板に実装した状態を表す概略斜視図である。
図8図8は、図7に示す電子部品および実装基板を側方から見た側面図である。
図9図9は、第1変形例に係る絶縁ケースを斜め下方から見た概略斜視図である。
図10図10は、第2変形例に係る絶縁ケースを斜め下方から見た概略斜視図である。
図11図11は、本発明の第2実施形態に係る電子部品の斜め上方からの概略斜視図である。
図12図12は、本発明の第3実施形態に係る電子部品の斜め上方からの概略斜視図である。
図13図13は、本発明の第4実施形態に係る電子部品の斜め上方からの概略斜視図である。
図14図14は、図13に示す電子部品を第1の方向から見た側面図である。
図15図15は、本発明の第5実施形態に係る電子部品の斜め上方からの概略斜視図である。
図16図16は、本発明の第6実施形態に係る電子部品の斜め下方からの概略斜視図である。
図17図17は、図16に示す電子部品の絶縁ケースの斜め下方からの概略斜視図である。
図18図18は、本発明の第7実施形態に係る電子部品の斜め上方からの概略斜視図である。
図19図19は、本発明の第8実施形態に係る電子部品の斜め上方からの概略斜視図である。
図20図20は、図19に示す電子部品の図19とは異なる斜め上方からの概略斜視図である。
図21図21は、図19に示す電子部品の絶縁ケース等の斜め下方からの概略斜視図である。
図22図22は、本発明の第9実施形態に係る電子部品の斜め上方からの概略斜視図である。
図23図23は、図22に示す電子部品に含まれるチップ部品の側面図である。
図24図24は、図22に示す電子部品に含まれるチップ部品の概略断面図である。
図25図25は、図22に示す電子部品の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0040】
第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子部品10の斜め上方からの概略斜視図である。電子部品10は、複数のチップ部品30と、複数のチップ部品30が固定される絶縁ケース20とを有する。
【0041】
なお、電子部品10の説明においては、図1に示すように、複数のチップ部品30の配列方向である第1の方向をX軸方向、電子部品10の上部に配置される絶縁ケース20から実装面である下方に向かう方向をZ軸方向、X軸方向およびZ軸方向に垂直な第2の方向をY軸方向として説明を行う。なお、第1の方向および第2の方向は電子部品10の実装面に対して略平行な方向であり、電子部品10の説明においては、これらの第1方向および第2方向を水平方向という場合がある。
【0042】
図1に示すように、電子部品10における複数のチップ部品30は、5つのチップ部品31、41、51、61、71により構成される。5つのチップ部品31、41、51、61、71からなる複数のチップ部品30は、第1の方向であるX軸方向に沿って配列される。
【0043】
ここで、複数のチップ部品30に含まれるチップ部品31、41、51、61、71の数は、図1に示す5つのみには限定されず、電子部品10は、2つ以上の任意の数のチップ部品31、41、51、61、71を含み得る。チップ部品31、41、51、61、71は、互いに略同一の形状、サイズおよび構造を有してるため、チップ部品31、41、51、61、71については、主にチップ部品31についての説明を行い、他のチップ部品41、51、61、71については、説明を省略する。ただし、複数のチップ部品30に含まれる各チップ部品31、41、51、61、71は、図1に示すように同一のもののみには限られず、互いに異なる形状およびサイズを有するものが、複数のチップ部品30に含まれていてもよい。
【0044】
図2は、図1に示す電子部品10の分解斜視図である。図2に示すように、チップ部品31は、略直方体の外形状を有しており、上方(Z軸負方向)を向く第1側面31aが、絶縁ケース20の板状部下面24に向き合うように配置される。電子部品10に含まれるチップ部品31は、チップコンデンサであるが、チップ部品31、41、51、61、71としてはチップコンデンサのみには限定されず、チップインダクタやチップバリスタなど、チップコンデンサ以外のチップ部品であっても構わない。
【0045】
図4は、電子部品10の製造工程における一段階を示す概念図であり、絶縁ケース20に1つのチップ部品31のみを配置した状態を示している。図5に示すように、チップ部品31は、一対の端子電極33、35を有する。端子電極33、35は、チップ部品31の面のうち、第2の方向であるY軸方向に垂直な第1端面31cと第2端面31dの全体に形成されている。また、端子電極33、35は、第1端面31cおよび第2端面31dに隣接する他の面にも広がっており、端子電極33、35の少なくとも一部は、第1側面31aとは反対方向である下方を向く第2側面31bにも形成されている。
【0046】
チップ部品31の内部には、誘電体層と内部電極層とが交互に積層されている。誘電体層の材質は、特に限定されず、たとえばチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムまたはこれらの混合物などの誘電体材料で構成される。各誘電体層の厚みは、特に限定されないが、1μm~数百μmのものが一般的である。本実施形態では、各誘電体層の厚みは、好ましくは1.0~5.0μmである。
【0047】
内部電極層は、導電体材料を含有する。内部電極層が含有する導電体材料としては、特に限定されないが、誘電体層の構成材料が耐還元性を有する場合には、比較的安価な卑金属を用いることができる。内部電極層に用いられる卑金属としては、NiまたはNi合金が好ましい。Ni合金としては、Mn、Cr、CoおよびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。また、内部電極層は、市販の電極用ペーストを使用して形成してもよい。内部電極層の厚みは用途等に応じて適宜決定すればよい。また、内部電極層は、金属以外の導電性材料で構成されていてもよい。
【0048】
チップ部品31の内部に積層される内部電極層は、一方の端子電極33に接続しているものと、他方の端子電極35に接続しているものがある。一方の端子電極33と他方の端子電極35に加えられる電位差は、内部電極層を介して、チップ部品31の誘電体層に加えられる。
【0049】
端子電極33、35の材質も特に限定されず、通常、銅や銅合金、ニッケルやニッケル合金などが用いられるが、銀や銀とパラジウムの合金なども使用することができる。端子電極33、35の厚みも特に限定されないが、通常10~50μm程度である。なお、端子電極33、35の表面には、Ni、Cu、Sn等から選ばれる少なくとも1種の金属被膜が形成されていてもよい。
【0050】
図3は、電子部品10の絶縁ケース20のみを斜め下方から見た概略斜視図である。図3に示すように、絶縁ケース20は、板状部22と、第1の突出部27と、第2の突出部28とを有する。図2に示すように、板状部22は、略矩形平板状の外形状を有しており、複数のチップ部品30の第1側面31aに向き合うように配置される。
【0051】
図3に示すように、板状部22は、下方であるZ軸正方向から見て略矩形の外形状を有する。板状部22において下方を向く面である板状部下面24に対して、図2に示すように、複数のチップ部品30の第1側面31aが、接着剤が硬化した接着剤硬化部12を介して固定される。
【0052】
図3に示すように、第1の突出部27は、板状部22における第1の方向に平行な板状部第1辺24aに沿って形成されている。第1の突出部27は、板状部22から第1の方向とは垂直な下方に突出する。第1の突出部27は、第1の方向であるX軸方向に延びる四角柱状の外形状を有するが、第1の突出部27の形状はこれに限定されない。たとえば、第1の突出部27は、三角柱状等の他の外形状を有していてもよく、また、図3に示すような第1の方向に連続する第1の突出部27とは異なり、第1の方向に沿って断続的に形成される突起で構成されていてもよい。
【0053】
図3に示すように、第2の突出部28は、第1の突出部27に対して、第1の方向および下方とは垂直な第2の方向(Y軸方向)に形成されており、板状部22から下方に突出する。第2の突出部28は、板状部22における板状部第1辺24aとは垂直な板状部第2辺24bに沿って形成されている。
【0054】
第2の突出部28は、第2の方向であるY軸方向に延びる四角柱状の外形状を有するが、第2の突出部28の形状はこれに限定されない。たとえば、第2の突出部28は、三角柱状等の他の外形状を有していてもよく、また、図3に示すような第2の方向に連続する第2の突出部28とは異なり、第1の突出部27からY軸正方向に離れて形成される孤立した突起であってもよい。
【0055】
絶縁ケース20を斜め下方から見た図3に示すように、第1の突出部27と第2の突出部28とは、板状部22における板状部第1辺24aと板状部第2辺24bとが接続する隅で略垂直に接続し、L字状の突起をなす。
【0056】
図3に示すように、板状部下面24の板状部第1辺24aには第1の突出部27が形成されており、板状部下面24の板状部第2辺24bには第2の突出部28が形成されているのに対して、板状部下面24の他の2つの辺には、突出部や突起が形成されていない。
【0057】
すなわち、図3に示すように、板状部22における板状部第1辺24aに平行な板状部第3辺24cおよび板状部第2辺に平行な板状部第4辺24dには、突起の形成されていない非突起縁部24ca、24daが形成されている。したがって、板状部第3辺24cおよび板状部第4辺24dは、絶縁ケース20の外縁となっている。
【0058】
図4に示すように、チップ部品31は、チップ部品31においてY軸負方向側を向く第1端面31cが第1の突出部27に接触し、チップ部品31においてX軸負方向側を向く第3側面31eが第2の突出部28に接触する。また、図1および図2に示すチップ部品41、51、61、71は、チップ部品31と同様に、Y軸負方向側を向く第1端面が第1の突出部27に接触する。さらに、チップ部品41、51、61、71は、チップ部品31とは異なり、X軸負方向側を向く第3側面が第2の突出部28には接触せず、X軸負方向に隣接する他のチップ部品31、41、51、61に接触する。
【0059】
すなわち、図1に示す複数のチップ部品30に含まれるチップ部品31、41、51、61、71の全てが第1の突出部27に接しているのに対して、複数のチップ部品30に含まれるチップ部品31、41、51、61、71のうち第1方向の一方の端部(X軸方向負方向端部)に位置する1のチップ部品31のみが第2の突出部28に接触する。電子部品10の製造方法において後述するように、チップ部品31、41、51、61、71は、第1の突出部27、板状部下面24、第2の突出部28および隣接する他のチップ部品31、41、51、61により、絶縁ケース20に対して位置合わせされる。
【0060】
図5は、図1に示す電子部品10をX軸正方向側から見た側面図であり、図6は、電子部品10をY軸負方向側から見た背面図である。図5および図6に示すように、第1の突出部27の板状部22からの下方への突出長さh1と、第2の突出部28の板状部22からのの下方への突出長さh2とは、いずれも複数のチップ部品30に含まれるチップ部品31、41、51、61、71の板状部22から下方への突出長さh3より短い。
【0061】
これにより、複数のチップ部品30に含まれるチップ部品31、41、51、61、71は、第1の突出部27や第2の突出部28に邪魔されることなく、図7および図8に示すように、チップ部品31、41、51、61、71の第2側面31bを実装面として、実装基板95等に表面実装される。
【0062】
図3に示す絶縁ケース20は、たとえば樹脂成型や、板材の機械加工によって作製することができる。絶縁ケース20の材質としては、絶縁性の材質であれば特に限定されないが、応力緩和の観点から、絶縁ケース20は樹脂製であることが好ましい。
【0063】
図6に示すように、複数のチップ部品30において上方を向く第1側面31aとは反対方向である下方を向く第2側面31bは、板状部22に平行な仮想平面90に沿って配置されている。したがって、第2側面31bが配置される仮想平面90が、電子部品10の実装面となり、電子部品10は、図7に示すようなランドパターン98が形成される実装基板95に実装される。
【0064】
図8は、実装基板95に実装された電子部品10をX軸正方向側から見た側面図である。図6に示すように、絶縁ケース20における第2の突出部28の板状部22から下方への突出長さh2は、複数のチップ部品30の板状部22から下方への突出長さh3より短ければ特に限定されないが、複数のチップ部品30の突出長さh3の1/2以下であることが好ましい。第2の突出部28の突出長さh2を、複数のチップ部品30の突出長さh3の1/2以下とすることにより、第2の突出部28から実装基板95までの間に十分な間隔が形成され、端子電極へのはんだフィレット97の形成を、絶縁ケース20が阻害する問題を、好適に防止できる。
【0065】
図8は、実装基板95に実装された電子部品10をX軸正方向側から見た側面図である。図8に示すように、第1の突出部27の突出長さh1についても、第2の突出部28と同様に、複数のチップ部品30の突出長さh3の1/2以下とすることが好ましい。
【0066】
図1および図6に示すように、複数のチップ部品30に含まれる少なくとも2つのチップ部品31、41、51、61、71(実施形態では任意の隣接する2つのチップ部品)は、互いの端子電極33、35が接触している。これにより、電子部品10に含まれる複数のチップ部品30は、互いに並列に接続される。このような電子部品10は、仮にチップ部品31、41、51、61、71の一部のみしか直接実装基板95に接続されていない場合でも、電子部品10に含まれる全てのチップ部品31、41、51、61、71は実装基板95に電気的に接続され、コンデンサとして適切に機能する。また、このような電子部品10は、すべてのチップ部品31、41、51、61、71が、はんだ等により直接基板に接続されなくてもよいため、実装不良等の問題を防止できる。
【0067】
図4および図5に示すように、複数のチップ部品30は、板状部22における板状部第3辺24cを介して、一部が板状部22からはみ出している。すなわち、板状部第1辺24aから板状部第3辺24cまでの長さは、チップ部品31の第1端面31cから第2端面31dまでの長さより短い。このように、板状部22の第2の方向(Y軸方向)の長さを、チップ部品31、41、51、61、71の第2の方向(Y軸方向)の長さより短くすることにより、板状部22を小さくして小型化が可能であるとともに、実装面積を狭くすることができる。
【0068】
図1に示す電子部品10の製造方法としては、特に限定されないが、たとえば、以下のような工程により製造することが可能である。電子部品10の製造方法では、まず、図2に示す絶縁ケース20を準備し、板状部下面24に接着剤を塗布する。
【0069】
次に、図4に示すように、チップ部品31を板状部下面24に配置し、第3側面31eを第2の突出部28に接触させ、第1端面31cを第1の突出部27に接触させることにより、チップ部品31を絶縁ケース20に対して位置合わせする。さらに、チップ部品41、51、61、71についても、チップ部品31と同様に板状部下面24に配置し、第1の突出部27にY軸負方向側を向く第1端面を接触させ、かつ、X軸負方向側に詰めて配置することにより、絶縁ケース20に対して位置合わせする。
【0070】
最後に、板状部下面24と複数のチップ部品30の第1側面31aを接合する接着剤が硬化することにより、図1に示す電子部品10を得る。なお、チップ部品31、41、51、61、71の板状部下面24への載置および位置合わせは、1つずつ行ってもよく、複数のチップ部品30について同時に行ってもよい。
【0071】
電子部品10は、複数のチップ部品30を、板状部22と第1の突出部27に接触させながら配置することにより、上下方向や第2の方向(Y軸方向)に関して、複数のチップ部品30を絶縁ケース20に対して容易に位置合わせすることができる。また、第1の方向(X軸方向)の位置合わせについては、第2の突出部28に接触して位置合わせするか、または、隣接するチップ部品41、51、61、71に接触するなどして、位置合わせすることができる。このため、このような電子部品10は、複数のチップ部品30を絶縁ケース20に対して容易かつ効率的に位置合わせして組み立てることが可能である。
【0072】
また、図4に示すように、第1の突出部27および第2の突出部28が形成されているのとは反対側の板状部第3辺24cおよび板状部第4辺24dには、突起の形成されていない非突起縁部24ca、24daが形成されている。これにより、チップ部品31、41、51、61、71の板状部下面24への載置が容易となるだけでなく、チップ部品31、41、51、61、71に寸法ばらつきがある場合であっても、複数のチップ部品30を、絶縁ケース20に対して容易かつ正確に位置合わせすることができる。したがって、電子部品10は、製造効率が良好であるとともに、チップ部品31、41、51、61、71の絶縁ケース20に対する配置ばらつきを抑制することができる。
【0073】
電子部品10に用いられる絶縁ケース20は、図2に示すもののみには限定されず、板状部22、第1の突出部27および第2の突出部28については、図2に示す形状以外の様々な変形例が存在する。たとえば、図9は第1変形例に係る絶縁ケース120の概略斜視図であり、図10は第2変形例に係る絶縁ケース220の概略斜視図である。電子部品10には、図2に示す絶縁ケース20に代えて、図9または図10に示す絶縁ケース120、220を用いることができる。
【0074】
図9に示す絶縁ケース120の板状部122において、チップ部品31、41、51、61、71(図1参照)に向き合う板状部下面124には、窪み123が形成されている。窪み123は、絶縁ケース120に固定されるチップ部品31、41、51、61、71に対応するように、板状部下面124に5つ形成されている。窪み123の形状は、略円形であるが、窪みの数や形状は、特に限定されない。
【0075】
板状部下面124に窪み123が形成されていることにより、電子部品の組み立ての際に、チップ部品31、41、51、61、71を絶縁ケース120に固定する接着剤が、板状部下面124以外の部分に流れ出ることを防止できる。したがって、絶縁ケース120を有する電子部品は、チップ部品31、41、51、61、71と板状部下面124を接合する接着剤硬化部(図2参照)の形状のばらつきを抑制し、チップ部品31、41、51、61、71と板状部122との接合強度を適切に制御できる。
【0076】
図10に示す絶縁ケース220の板状部222において、チップ部品31、41、51、61、71(図1参照)に向き合う板状部下面224には、溝223が形成されている。溝223は、板状部下面224のY軸方向中央部付近に、第1の方向であるX軸方向に沿って形成されている。図10に示す絶縁ケース220も、図9に示す絶縁ケース120と同様の効果を奏する。
【0077】
第2実施形態
図11は、第2実施形態に係る電子部品310の斜め上方からの概略斜視図である。電子部品310は、絶縁ケース320が第3の突出部329a、329bを有しており、チ
ップ部品51の端子電極が隣接するチップ部品41、61の端子電極に対して離間していることを除き、第1実施形態に係る電子部品10と同様である。電子部品310については、電子部品10との相違点を中心に説明をおこない、電子部品10との共通点については、説明を省略する。
【0078】
図11に示すように、電子部品310の絶縁ケース320は、2つの第3の突出部329a、329bを有する。第3の突出部329a、329bは、第2の突出部28と同様に、第1の突出部27に対して、第1の方向および下方とは垂直な第2の方向(Y軸方向)に形成されており、板状部22から下方に突出する。
【0079】
第2の突出部28は、板状部下面24の板状部第2辺24bに形成されているのに対して、第3の突出部329a、329bは、板状部第2辺24bと板状部第4辺24dの間に形成されている。すなわち、板状部第2辺24bに沿う第2の突出部28と第3の突出部329aとの間には、チップ部品31、41が配置され、第3の突出部329aと第3の突出部329bとの間にはチップ部品51が配置される。さらに、第3の突出部329bよりX軸正方向側(板状部第4辺24d側)には、チップ部品61、71が配置される。
【0080】
電子部品310では、第3の突出部329a、329bが形成されていることにより、複数のチップ部品30に含まれる少なくとも1つのチップ部品51は、隣接する他の少なくとも1のチップ部品41、61に対して、互いの端子電極が離間している。このように、任意の位置に第3の突出部329a、329bを形成することにより、電子部品310は、隣接する複数のチップ部品30の端子電極の電気的な接続・絶縁を変更することができる。したがって、電子部品310は、たとえば、容量の異なる複数のコンデンサとして機能することができる。その他、電子部品310は、電子部品10との共通点については、電子部品10と同様の効果を奏する。
【0081】
第3実施形態
図12は、本発明の第3実施形態に係る電子部品410の斜め上方からの概略斜視図である。電子部品410は、絶縁ケース420が第3の突出部429a、429b、429c、429dを有しており、チップ部品31、41、51、61、71の端子電極が、隣接する他のチップ部品31、41、51、61、71の端子電極に対して離間していることを除き、第1実施形態に係る電子部品10と同様である。電子部品410については、電子部品10との相違点を中心に説明をおこない、電子部品10との共通点については、説明を省略する。
【0082】
図12に示すように、電子部品410の絶縁ケース420は、4つの第3の突出部429a、429b、429c、429dを有する。第3の突出部429a、429b、429c、429dは、第2の突出部28と同様に、第1の突出部27に対して、第1の方向および下方とは垂直な第2の方向(Y軸方向)に形成されており、板状部22から下方に突出する。
【0083】
第3の突出部429a、429b、429c、429dは、板状部第2辺24bと板状部第4辺24dの間に形成されている。すなわち、第2の突出部28と第3の突出部429aとの間にはチップ部品31が配置され、第3の突出部429aと第3の突出部429bとの間にはチップ部品41が配置される。また、第3の突出部429bと第3の突出部429cとの間にはチップ部品51が配置され、第3の突出部429cと第3の突出部429dの間にはチップ部品61が配置される。さらに、第3の突出部429bよりX軸正方向側(板状部第4辺24d側)には、チップ部品71が配置される。
【0084】
電子部品410では、第3の突出部429a、429b、429c、429dが形成されていることにより、複数のチップ部品30に含まれる各チップ部品31、41、51、61、71は、隣接する他のチップ部品31、41、51、61、71に対して、互いの端子電極が離間している。このように、各チップ部品31、41、51、61、71の間に第3の突出部429a、429b、429c、429dを配置することにより、電子部品410では、複数のチップ部品30が、互いに絶縁された状態で保持される。したがって、このような電子部品410は、実装基板側で各チップ部品31、41、51、61、71を自由に接続し、様々な回路を形成することができる。その他、電子部品410は、電子部品10との共通点については、電子部品10と同様の効果を奏する。
【0085】
第4実施形態
図13は、本発明の第4実施形態に係る電子部品510の斜め上方からの概略斜視図である。電子部品510は、放熱板580を有しており、絶縁ケース520が上方突出部523a、523bを有している点を除き、第3実施形態に係る電子部品410と同様である。電子部品510については、電子部品410との相違点を中心に説明をおこない、電子部品410との共通点については、説明を省略する。
【0086】
図13に示すように、電子部品510は、複数のチップ部品30からの熱を放熱する放熱板580を有する。放熱板580は、水平方向に延在する上面放熱部584と、上面放熱部584に対して垂直方向に延びる伝熱部582とを有する。伝熱部582は、複数のチップ部品30が有する端子電極35、75に向き合うように配置されており、複数のチップ部品30からの熱が伝わる。上面放熱部584は、絶縁ケース520における板状部22の板状部上面26に設けられる。板状部上面26は、板状部22においてチップ部品31、41、51、61、71に向き合う板状部下面24とは反対方向を向く面である。
【0087】
放熱板580は、絶縁ケース520より熱伝導率の高い材質(たとえばAl、ステンレスなどの金属(合金)材料)等でできている。放熱板580は、たとえば、金属板などを機械加工することにより形成される。
【0088】
図14は、図13に示す電子部品510をX軸正方向側から見た側面図である。図14に示すように、放熱板580の上面放熱部584は、板状部上面26に接着されており、放熱板580は、上面放熱部584を介して絶縁ケース520に接合されている。第1実施形態において説明したように、複数のチップ部品30の第1側面31a(図2参照)は、板状部下面24に接着されており、放熱板580と複数のチップ部品30は、いずれも板状部22を介して絶縁ケース520に固定されている。
【0089】
図13に示すように、絶縁ケース520は、板状部上面26から上方に突出する上方突出部523a、523bを有する。上方突出部523aは、第1の突出部27と同様に板状部第1辺24aに沿って形成されており、上方突出部523bは、第2の突出部28と同様に板状部第2辺24bに沿って形成されている。電子部品510を組み立てる際、上面放熱部584を上方突出部523a、523bに接触させることにより、放熱板580を絶縁ケース520に対して容易に位置合わせすることができる。
【0090】
図14に示すように、放熱板580の伝熱部582は、チップ部品71との間に所定の隙間を空けて向き合っている。このように、伝熱部582とチップ部品71との間に隙間が形成されていたとしても、電子部品510が基板に実装されると(図8参照)、実装時のはんだ等によって伝熱部582とチップ部品71の端子電極75とが接続される。したがって、伝熱部582には、チップ部品71で生じた熱が、実装時のはんだ等の接合材を介して効率的に伝えられ、チップ部品71の温度上昇を抑制することができる。
【0091】
図14に示すように、放熱板580の伝熱部582は、チップ部品71の一対の端子電極73、75のうち、板状部第1辺24aよりも板状部第3辺24cに近い端子電極75に向き合っている。板状部第3辺24cには突起が形成されていない非突起縁部が形成されているため、伝熱部582と端子電極75とを近づけて配置することができ、電子部品510の放熱効率を上げることができる。なお、伝熱部582と端子電極75とは、図14に示す配置とは異なり、互いに接触していてもよい。
【0092】
このような放熱板580を有する電子部品510は、複数のチップ部品30で発生した熱を効率的に放熱し、電子部品510の温度上昇を抑制できる。また、放熱板580が上面放熱部584を有することにより、複数のチップ部品30で発生した熱を、より効率的に外部に放熱することができる。なお、図13に示すように、上面放熱部584には、板状部上面26の一部を露出させる切り欠き584aが形成されていてもよい。樹脂等の絶縁ケース520の板状部上面26に、マークや刻印(二次元バーコード等の情報を含む)を形成してもよい。
【0093】
その他、第4実施形態に係る電子部品510は、第3実施形態に係る電子部品410との共通点については、電子部品10と同様の効果を奏する。
【0094】
第5実施形態
図15は、本発明の第5実施形態に係る電子部品610の斜め上方からの概略斜視図である。電子部品610は、放熱板680の形状が異なることを除き、図13に示す電子部品510と同様である。電子部品610については、電子部品510との相違点を中心に説明をおこない、電子部品510との共通点については、説明を省略する。
【0095】
図15に示すように、電子部品610は、複数のチップ部品30からの熱を放熱する放熱板680を有する。放熱板680は、上面放熱部684の形状が異なる点と、筒状放熱部686を有する点で、図13に示す電子部品510の放熱板580とは異なる。ただし、伝熱部682は、放熱板580の伝熱部582と同様である。
【0096】
筒状放熱部686は、第1の方向(X軸方向)に沿って延びる筒状である。筒状放熱部686は、上面放熱部684と同様に、複数のチップ部品30で生じた熱を、外部に放熱する。筒状放熱部686を有する放熱板680は、放熱するための表面積を大きくすることができるため、効率的に電子部品610の温度上昇を抑制することができる。
【0097】
放熱板680は、たとえば金属等の板材を曲げ加工することにより、作製することができる。その他、第5実施形態に係る電子部品610は、第5実施形態に係る電子部品510との共通点については、電子部品510と同様の効果を奏する。
【0098】
第6実施形態
図16は、本発明の第6実施形態に係る電子部品710の斜め下方からの概略斜視図である。電子部品710は、チップ部品31、41、51、61がマトリックス状に配置されており、絶縁ケース720のX方向長さおよびY軸方向長さが異なること等を除き、第1実施形態に係る電子部品10と同様である。電子部品710の説明では、電子部品10との相違点を中心に説明をおこない、電子部品10との共通点については、説明を省略する。
【0099】
図16に示すように、電子部品710は、チップ部品31とチップ部品41、チップ部品51とチップ部品61の2組の複数のチップ部品730a、730bが、第1の方向(X軸方向)に沿って配列される。また、チップ部品31とチップ部品51、チップ部品41とチップ部品61とは、第2の方向(Y軸方向)に沿って配列される。
【0100】
図17は、電子部品710が有する絶縁ケース720を斜め下方から見た概略斜視図である。絶縁ケース720は、板状部722と、第1の突出部727と、第2の突出部728と、第4の突出部729とを有する。第1の突出部727は、板状部第1辺724aに沿って形成されており、第2の突出部728は、板状部第2辺724bに沿って形成されている。第4の突出部72は、第1の突出部727から所定の間隔を空けて、第1の突出部727と平行に形成されている。図16に示すチップ部品31、41、51、61の上側面である第1側面31aは、図17に示す絶縁ケース720における板状部722の板状部下面724に、接着により固定される。
【0101】
図16に示すように、電子部品710では、第1の方向に沿って延びる第1の突出部727に沿って複数(実施形態では2つ)のチップ部品31、41が配列されている。さらに、チップ部品31が有する一対の端子電極は、第1方向に隣接する他のチップ部品41が有する一対の端子電極に対して、それぞれ接続している。
【0102】
また、電子部品710では、第1の方向に沿って延びる第4の突出部729に沿って複数(実施形態では2つ)のチップ部品51、61が配列されている。さらに、チップ部品51が有する一対の端子電極は、第1方向に隣接する他のチップ部品61が有する一対の端子電極に対して、それぞれ接続している。
【0103】
電子部品710では、第1の突出部727に沿って配列され、互いに接触するチップ部品31とチップ部品41とが並列接続される。また、同様に、第4の突出部729に沿って配列され、互いに接触するチップ部品51とチップ部品61とが並列接続される。
【0104】
このように、電子部品710では、チップ部品31、41、51、61を、いずれも2行2列のマトリックス状に配置し、隣接するチップ部品を並列接続してもよい。なお、電子部品710では、第4の突出部729により、第2の方向(Y軸方向)に隣接するチップ部品31とチップ部品51、およびチップ部品41とチップ部品61は、互いに絶縁されているが、これとは異なり、第4の突出部729を設けず、第2方向に隣接するチップ部品を直列接続してもよい。
【0105】
図16に示すように、絶縁ケース720に固定されるチップ部品31、51、61、71の配列と、第4の突出部729の形成数を変更することにより、電子部品710は、チップ部品31、51、61、71の電気的な接続が異なる様々な電子部品を構成しえる。また、いずれの場合でも、チップ部品31、51、61、71は、第1の突出部727、第2の突出部728、第4の突出部729によって絶縁ケース720に対して容易に位置決めされるため、電子部品710は、優れた生産性を有する。
【0106】
その他、第6実施形態に係る電子部品710は、第1実施形態に係る電子部品10との共通点については、電子部品10と同様の効果を奏する。
【0107】
第7実施形態
図18は、本発明の第7実施形態に係る電子部品810の斜め上方からの概略斜視図である。電子部品810は、チップ部品831、841、851、861、871のZ軸方向の寸法が異なることを除き、第1実施形態に係る電子部品10と同様である。電子部品810の説明では、電子部品10との相違点を中心に説明をおこない、電子部品10との共通点については、説明を省略する。
【0108】
図18に示すように、電子部品810が有する複数のチップ部品830に含まれるチップ部品831、841、851、861、871は、Z軸方向の長さが、X軸方向の長さ
よりも長い。絶縁ケース20に固定されるチップ部品は、図1に示すように、端面が略正方形のものであってもよく、図18に示すように端面が略長方形のものであってもよい。
【0109】
第7実施形態に係る電子部品810は、第1実施形態に係る電子部品10との共通点については、電子部品10と同様の効果を奏する。
【0110】
第8実施形態
図19は、本発明の第8実施形態に係る電子部品910の斜め上方からの概略斜視図である。電子部品910は、第1の突出部927a、927bが板状部22の対向する2辺に分離して配置されており、放熱板980a、980bが2部材に分かれている点で図13および図14に示す電子部品510とは異なるが、その他の点では第4実施形態に係る電子部品510と同様である。電子部品910の説明では、電子部品510との相違点を中心に説明をおこない、電子部品510との共通点については、説明を省略する。
【0111】
図19に示すように、電子部品910は、第1の突出部927aと第1の突出部927bを有する。絶縁ケース920およびチップ部品61を斜め下方から見た斜視図である図21に示すように、第1の突出部927aは第1の方向に平行な板状部第3辺24cに沿って形成されており、第1の突出部927bは、第1の方向に平行な板状部第1辺24aに沿って形成されている。第1の突出部927aと第1の突出部927aは、いずれも板状部22から第1の方向とは垂直な下方に突出する。
【0112】
図21に示すように、絶縁ケース920は、第3の突出部929a、929b、929c、929dを有しており、チップ部品31、41、51、61、71の端子電極が、隣接する他のチップ部品31、41、51、61、71の端子電極に対して離間している。第3の突出部929a、929b、929c、929dの形状および配置については、図12に示す第3実施形態に係る電子部品410の第3の突出部429a、429b、429c、429dと同様である。
【0113】
図21に示すように、第1の突出部927aの一方の端部は、第2の突出部28に接続しており、第1の突出部927aの他方の端部は、第3の突出部929bの一方の端部に接続している。また、第1突出部927bの一方の端部は第3の突出部929bの他方の端部に接続しており、第1突出部927bの他方の端部は、板状部22のX軸正方向側の端部(板状部第4辺24dの位置)まで続いている。
【0114】
図19および図20に示すように、電子部品910は、放熱板980aと放熱板980bとを有する。図20に示すように、放熱板980aは、水平方向に延在する上面放熱部984aと、上面放熱部984aに対して垂直方向に延びる伝熱部982aとを有する。伝熱部982aは、複数のチップ部品30が有するY軸負方向側を向く端子電極33、73に向き合うように配置されており、Y軸負方向側を向く端子電極33、73からの熱が伝わる。上面放熱部984aは、絶縁ケース920における板状部22の板状部上面26の一部に設けられる。図14に示す第4実施形態に係る放熱板580と同様に、実装時のはんだ等によって、伝熱部982aとY軸負方向側を向く端子電極33、73とが接続される。
【0115】
図19に示すように、放熱板980bも、放熱板980aと同様に、水平方向に延在する上面放熱部984bと、上面放熱部984bに対して垂直方向に延びる伝熱部982bとを有する。伝熱部982bは、複数のチップ部品30が有するY軸正方向側を向く端子電極35、75に向き合うように配置されており、Y軸正方向側を向く端子電極35、75からの熱が伝わる。上面放熱部984bは、絶縁ケース520における板状部22の板状部上面26の一部に設けられる。図14に示す第4実施形態に係る放熱板580と同様
に、実装時のはんだ等によって伝熱部982bとY軸負方向側を向く端子電極35、75とが接続される。
【0116】
図19および図20に示すように、絶縁ケース920は、板状部上面26から上方に突出する上方突出部923aa、923ab、923bを有する。上方突出部923aaは、第1の突出部927aと同様に板状部第3辺24cに沿って形成されており、上方突出部923abは、第1の突出部927bと同様に板状部第1辺24aに沿って形成されている。上方突出部923bは、X軸方向に関して第3の突出部929bと重複する位置に配置されており、Y軸方向に延びるように形成されている。
【0117】
Y軸方向に延びる上方突出部923bの一方側には上面放熱部984aが配置されており、上方突出部923bの他方側には上面放熱部984bが配置されている。すなわち、上面放熱部984aと上面放熱部984bとは、上方突出部923bにより隔てられ、絶縁距離が確保される。
【0118】
また、電子部品910を組み立てる際、上面放熱部984a、984bを上方突出部923aa、923ab、923bに接触させることにより、放熱板980a、980bを絶縁ケース920に対して容易に位置合わせすることができる。
【0119】
このような放熱板980a、980bを有する電子部品910は、複数のチップ部品30で発生した熱を、チップ部品30の両方の端子電極から効率的に放熱し、電子部品910の温度上昇をより効果的に抑制できる。また、第8実施形態に係る電子部品910は、第4実施形態に係る電子部品510との共通点については、電子部品510と同様の効果を奏する。
【0120】
以上のように、実施形態を挙げて本発明に係る電子部品について説明を行ったが、本発明の技術的範囲は、これらの実施形態や実施例のみには限定されず、本発明が他の多くの実施形態や変形例、実施例を含むことは言うまでもない。たとえば、絶縁ケース20は、第1の突出部27や第2の突出部28以外の他の突出部を有していてもよい。また、絶縁ケース20の板状部22の形状は、図3に示すような矩形平板状のみには限定されず、他の多角形状であってもよく、曲線状の辺を有する形状であってもよい。
【0121】
第9実施形態
図22は、本発明の第9実施形態に係る電子部品1110の斜め上方からの概略斜視図である。電子部品1110は、電子部品1110が有する複数のチップ部品1130の構造および形状が、第1~第9実施形態に係る電子部品10等に含まれる複数のチップ部品30とは異なる。また、電子部品1110は、電子部品1110に含まれる複数のチップ部品1130の数や、絶縁ケース1120の大きさについても、第1実施形態に係る電子部品10とは異なる。しかし、電子部品1110は、絶縁ケース1120が第1の突出部1127および第2の突出部1128を有している点や、絶縁ケース1120に対する複数のチップ部品1130の配置状態などに関しては、第1実施形態に係る電子部品10と同様である。第9実施形態に係る電子部品1110の説明では、第1実施形態に係る電子部品10との相違点を中心に説明を行い、電子部品10との共通点については説明を省略する。
【0122】
図22に示すように、電子部品1110は、複数のチップ部品1130と、複数のチップ部品1130が固定される絶縁ケース1120とを有する。電子部品1110における複数のチップ部品1130は、3つのチップ部品1131、1141、1151により構成される。
【0123】
複数のチップ部品1130に含まれるチップ部品1131、1141、1151の数は、図22に示す3つのみには限定されず、2つまたは4つ以上であってもよい。なお、電子部品1110では、チップ部品1131、1141、1151は、互いに略同一の形状、サイズおよび構造を有しているため、チップ部品1131、1141、1151については、主にチップ部品1131についての説明を行い、他のチップ部品1141、1151については、説明を省略する。
【0124】
図23は、図22に示す電子部品1110に含まれるチップ部品1131の側面図である。チップ部品1131は、図2に示すチップ部品31と同様に略直方体の外形状を有しており、上側(Z軸負方向)を向く第1側面1131aが、絶縁ケース1120の板状部1122の板状部下面1124(図25参照)に向き合うように配置される。チップ部品1131は、チップコンデンサであるが、チップインダクタやチップバリスタなど、チップコンデンサ以外のチップ部品であっても構わない。
【0125】
図23に示すように、チップ部品1131は、素体1132と、一対の端子電極1133、1135を有する。端子電極1133、1135は、チップ部品1131のうち、第2の方向であるY軸方向に垂直な第1端面1131cと第2端面1131dの全体に形成されている。端子電極1133、1135は、第1端面1131c、第2端面1131dに隣接する他の面にも広がっている。すなわち、Z軸負方向側の第1側面1131a、Z軸正方向側の第2側面1131b、X軸負方向側の第3側面1131e、X軸正方向側の第4側面1131f(図25参照)にも、端子電極1133、1135の一部が配置されている。ただし、一対の端子電極1133、1135のうち一方の端子電極1133は、他方の端子電極1135に対して、所定の間隔を空けて配置されており、一方の端子電極1133と他方の端子電極1135とは、互いに絶縁されている。
【0126】
図24は、図22に示す電子部品1110に含まれるチップ部品1131の概略断面図である。チップ部品1131の素体1132は、誘電体層1132aと内部電極層1132bとを有する。電子部品1110の断面図である図25に示すように、誘電体層1132aと内部電極層1132bとは、X軸方向に沿って交互に積層されている。チップ部品1131おける誘電体層1132aと内部電極層1132bの材質については、チップ部品31の誘電体層および内部電極層と同様である。
【0127】
チップ部品1131の内部に積層される内部電極層1132bは、一方の端子電極1133に接続しているものと、他方の端子電極1135に接続しているものがある。一方の端子電極1133と他方の端子電極1135に加えられる電位差は、内部電極層を介して、チップ部品1131の誘電体層1132aに加えられる。図24および図25に示すように、内部電極層1132bは、実装面である第2側面1131bに対して垂直方向(Z軸方向)に延在することが、ESR低減の観点などから好ましい。
【0128】
図24に示すように、一方の端子電極1133は、第1層1133aと、第2層1133bと、第3層1133cの3つの部分を有する。第1層1133aは、最も内側(素体1132側)の層である。第1層1133aの内側は、素体1132のみに接し、第1層1133aの外側は、第2層1133bと第3層1133cに接する。
【0129】
第1層1133aは、図24および図25に示すように、内部電極層1132bに直接接続する。第1層1133aは、素体1132のY軸負方向側端面に露出する内部電極層1132bの全体を被覆していることが好ましい。第1層1133aの外側の全体は、直接または間接的に第3層1133cに被覆されており、第1層1133aは、チップ部品1131表面には露出しない。
【0130】
第1層1133aは、たとえばCuやNiなどによる焼結金属層で構成される。第1層1133aは、たとえば、素体1132の端面に、CuやNiなどの卑金属を含む導電ペーストを付与し、これを焼き付けることにより形成される。導電ペーストは、CuまたはNiからなる金属粉末、ガラス成分、有機バインダ、有機溶剤などを含む。
【0131】
第2層1133bは、少なくとも一部が第1層1133aと第3層1133cとの間に配置される。第2層1133bの内側は、素体1132または第1層1133aに接し、第2層1133bの外側は、第3層1133cに接する。
【0132】
図24および図25に示すように、第2層1133bは、チップ部品1131の第1端面1131cと、第1端面1131cに隣接する第2側面1131b、第3側面1131e、第4側面1131fの4つの各面の一部に連続して位置するように形成されている。また、第2層1133bは、第1層1133aのうち、下側(Z軸正方向側)の一部のみを覆っており、第1層1133aの上側(Z軸負方向側)の半分以上は、第2層1133bに覆われていない。
【0133】
図24に示すように、第2層1133bは、チップ部品1131の実装面である第2側面1131b側に最も多く配置されており、次に、第1端面1131c側に多く配置されている。
【0134】
第2層1133bは、たとえば樹脂(たとえば熱硬化性樹脂)と導電性材料(たとえば金属粉末)とを含む導電性樹脂層で構成される。第2層1133bは、第1層1133aおよび第3層1133cより電気伝導率が低く、好ましくは第1層1133aおよび第3層1133cより変形しやすい。第2層1133bに含まれる導電性材料としては、たとえばAg粉末やCu粉末などが挙げられる。また、第2層1133bに含まれる樹脂としては、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。第2層1133bは、たとえば、樹脂、導電性材料、溶剤等を含み流動性のある第2層組成物を、第1層1133aおよび素体1132の表面で硬化させることにより形成される。
【0135】
第3層1133cは、第1層1133aおよび第2層1133bを被覆している。一方の端子電極1133のうち、第3層1133cのみが、チップ部品1131の表面に露出している。第3層1133cの内側は第1層1133aおよび第2層1133bに接触し、第3層1133cの外側はチップ部品1131の表面に露出している。
【0136】
図24および図25に示すように、第3層1133cは、チップ部品1131の第1端面1131cの全体と、第1端面1131cに隣接する第1側面1131a、第2側面1131b、第3側面1131e、第4側面1131fの一部に、連続して位置するように形成されている。
【0137】
第3層1133cは、たとえば金属めっき層により構成される。図24および図25に示すように、第3層1133cは、互いに材質の異なる第3内側層1133dと第3外側層1133eの2層構造を有する。第3内側層1133dは、たとえば第1層1133aおよび第2層1133bの上(外側)に、Niめっき層を形成することにより製造される。第3内側層1133dは、Niめっき層に限られず、Snめっき層、Cuめっき層、Auめっき層などであってもよい。
【0138】
第3外側層1133eは、たとえば、第3内側層1133dの上(外側)に、Snめっき層を形成することにより製造される。第3外側層1133eは、Snめっき層に限られず、Cuめっき層、Auめっき層などであってもよい。
【0139】
図22および図24に示すように、他方の端子電極1135は、一方の端子電極1133と略対称な形状を有する。他方の端子電極1135は、チップ部品1131の第2端面1131dの全体と、第1端面1131cに隣接する第1側面1131a、第2側面1131b、第3側面1131e、第4側面1131fの一部に、連続して位置するように形成されている。他方の端子電極1135は、チップ部品1131における配置が異なることを除き、一方の端子電極1133と同様の構造および材質を有するため、他方の端子電極1135の詳細については説明を省略する。
【0140】
図22および図24に示すように、チップ部品1131、1141、1151は、絶縁ケース1120の第1の突出部1127に沿って整列され、絶縁ケース1120の板状部下面1124に固定される。チップ部品1131、1141、1151は、互いに接触するようにX軸方向に沿って配列されているが、これとは異なり、チップ部品1131、1141、1151は、互いに隙間を空けて配置されていてもよい。
【0141】
図22および図24に示すように、電子部品1110は、導電性樹脂層である第2層1133bを含む複数のチップ部品1130を有する。このような複数のチップ部品1130を有する電子部品1110は、導電性樹脂層である第2層1133bが、実装基板等を介して素体1132に伝わる応力を緩和し、素体1132にクラックなどの損傷が生じる問題を好適に防止できる。したがって、このような複数のチップ部品1130を有する電子部品1110は、特に耐湿信頼性などに関して、より高い能力を有する。
【0142】
また、電子部品1110の端子電極1133、1135では、図24に示すように、導電性樹脂層である第2層1133bは、第1層1133aの全体を覆っておらず、第1層1133aと第3層1133cとが直接接触する。このような端子電極1133、1135は、従来の導電性樹脂のみの端子電極や、導電性樹脂層が下層の電極層を覆う端子電極に比べて、ESRなどの抵抗成分の値を下げることができる。
【0143】
電子部品1110は、図24に示すように、導電性樹脂層である第2層1133bは、複数のチップ部品1130の第1側面1131a側には配置されていない。このため、電子部品1110では、複数のチップ部品1130から絶縁ケース1120への熱伝導を第2層1133bが妨げる問題は発生しないため、導電性樹脂層を用いることによる放熱性の低下を抑制できる。
【0144】
その他、電子部品1110は、電子部品10との共通点については、電子部品10と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0145】
10、310、410、510、610、710、810、910、1110…電子部品
12…接着剤硬化部
20、120、220、320、420、520、720、920、1120…絶縁ケース
22、122、222、722、1122…板状部
24、124、224、724、1124…板状部下面
24a、724a…板状部第1辺
24b、724b…板状部第2辺
24c…板状部第3辺
24ca、24da…非突起縁部
24d…板状部第4辺
26…板状部上面
27、727、1127…第1の突出部
28、728、1128…第2の突出部
729…第4の突出部
30、730a、730b、830、1130…複数のチップ部品
31、41、51、61、71、831、841、851、861、871、131、1141、1151…チップ部品
31a、1131a…第1側面
31b、1131b…第2側面
31e、1131e…第3側面
1131f…第4側面
31c、1131c…第1端面
31d、1131d…第2端面
33、35、73、75、1133、1135…端子電極
1133a…第1層
1133b…第2層
1133c…第3層
1133d…第3内側層
1133e…第3外側層
1135…他方の端子電極
1131a…第1側面
1131b…第2側面
1131e…第3側面
1131c…第1端面
90…仮想平面
95…実装基板
96…ランドパターン
97…はんだフィレット
h1、h2、h3…突出長さ
123…窪み
223…溝
329a、329b、429a、429b、429c、429d、929a、929b、929c、929d…第3の突出部
523a、523b、923aa、923ab、923b…上方突出部
580、680、980a、980b…放熱板
582、682、982a、982b…伝熱部
584、684、984aa、984ab、984b…上面放熱部
584a…切り欠き部
686…筒状放熱部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25