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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】地下構造物用蓋装置を用いた道路構造
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/14 20060101AFI20241113BHJP
【FI】
E02D29/14 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021000544
(22)【出願日】2021-01-05
(65)【公開番号】P2022105912
(43)【公開日】2022-07-15
【審査請求日】2023-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000125842
【氏名又は名称】虹技株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】寺田 章広
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-027842(JP,A)
【文献】特開2010-200559(JP,A)
【文献】特開2002-233019(JP,A)
【文献】特開平04-254621(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0087884(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車道域と歩道域とを有すると共に、前記車道域における前記歩道域側の幅方向端部に街渠を有する道路の前記歩道域に埋設され、底壁と該底壁の幅方向端部から立設してなる側壁と上部開口部とを有した電線共同溝下桝の前記上部開口部の上側に取付けられる地下構造物用蓋装置であって、枠形状の受枠と、該受枠に設置される蓋体と、を備え、
前記電線共同溝下桝の前記側壁の上端に載せられる台部と、該台部の枠内側方向から立上がる縦壁とを備え、
前記台部より上方の領域と前記縦壁より枠外側の領域が重なる特定領域が、前記街渠の前記歩道域側の一端側部領域の少なくとも一部を収容可能に構成された、地下構造物用蓋装置であって、
該地下構造物用蓋装置の前記特定領域に、前記街渠の前記一端側部領域が収容されたことを特徴とする地下構造物用蓋装置を用いた道路構造
【請求項2】
前記縦壁の立上げ高さが、前記街渠の前記一端側部領域の高さ以上に設定されており、
前記特定領域は、前記街渠の前記一端側部領域の上端部と前記縦壁の上端部が同じ高さとなり、且つ前記一端側部領域の前記歩道域の側面が、前記縦壁の枠外側となる外側面に当接した状態で、前記街渠を収納可能に構成されている請求項1に記載の地下構造物用蓋装置を用いた道路構造
【請求項3】
前記受枠は、前記縦壁の枠外側となる外側面と、前記台部の上面とに連結されるリブを備え、
前記特定領域は、前記リブの上方に形成される請求項1または請求項2に記載の地下構造物用蓋装置を用いた道路構造
【請求項4】
前記リブの上端部は、前記街渠の底面を載置可能な平坦状に形成される請求項3に記載の地下構造物用蓋装置を用いた道路構造
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線共同溝に用いられる地下構造物用蓋装置、および地下構造物用蓋装置を用いた道路構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の電線共同溝装置は、歩道域内に埋設される電線共同溝本体と、電線共同溝本体の上部に配置されて地上機器を支持する蓋体とから成る。地上機器は、その内部に変圧器、開閉器等を有し、これらは、電線共同溝本体に挿通される各種ケーブルに接続される。また、電線共同溝装置は、車道側の縁石に地上機器をできるだけ近づけるようにして、電線共同溝本体が歩道域内に埋設される。
【0003】
電線共同溝本体は、側壁に、各種ケーブルを挿通させるケーブル挿通部が形成されている。ケーブル挿通部は、側壁を肉薄に形成するか、側壁を開口部に至るに伴ない次第に肉薄にして傾斜面状とするか、側壁の一部を切除して電線共同溝本体外側に妻壁材を配装するか、延長ボックスを連結するかして成る。(特許文献1の図1(a)(b)(c)参照)
【0004】
蓋体は、電線共同溝本体の上部開口を閉塞する位置決め調整部、および地上機器を支持する機器支持縁を備え、機器支持蓋は、位置決め調整部に位置決め調整自在にして固定される。要するに、蓋体として、機器支持蓋を縁石に近づけて配置し、歩道域の幅員の相違によって、位置決め調整部を歩道域の幅方向で位置決めするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-200559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の電線共同溝装置を施工する場合、歩道域には、地下埋設物(既設配管)が存在することがある。そして、電線共同溝本体のケーブル挿通部は、上記の通り、側壁を加工したものである。
【0007】
図1(c)のように、電線共同溝本体の側壁の一部を除去して延長ボックスを取り付ける場合、全体としては幅方向に大きくなるため、街渠から歩道側に向けての道路の掘削幅が広がってしまう。そのような幅広の掘削領域に、配管などの地下埋設物があると、地下埋設物を撤去し、新たな場所へ埋設する必要がある。
また、図1(c)のように延長ボックスを取付ける場合に限らず、歩道域の幅が狭く歩道域の沿道に建物があると、幅寸法が充分にとれず電線共同溝本体が埋設できない。
【0008】
そこで本発明は、地下埋設物の移設や撤去をすることなく、或いは幅の狭い歩道域であっても、電線共同溝を埋設することが可能な地下構造物用蓋装置、および地下構造物用蓋装置を用いた道路構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、車道域と歩道域とを有すると共に、前記車道域における前記歩道域側の幅方向端部に街渠を有する道路の前記歩道域に埋設され、底壁と該底壁の幅方向端部から立設してなる側壁と上部開口部とを有した電線共同溝下桝の前記上部開口部の上側に取付けられる地下構造物用蓋装置であって、枠形状の受枠と、該受枠に設置される蓋体と、を備え、前記電線共同溝下桝の前記側壁の上端に載せられる台部と、該台部の枠内側方向から立上がる縦壁とを備え、前記台部より上方の領域と前記縦壁より枠外側の領域が重なる特定領域が、前記街渠の前記歩道域側の一端側部領域の少なくとも一部を収容可能に構成されていることを特徴とする。
【0010】
上記構成において、位置を固定された街渠の側壁の少なくとも一部が、地下構造物用蓋装置の台部の上方の領域と縦壁の枠外側の領域とが重なる特定領域に収容されて、電線共同溝下桝の一側の側壁が、通常はその下に地下埋設物が存在しない街渠の下に入り込むから、その分だけ電線共同溝の、歩道域における埋設の幅が実質的に減るため、歩道域の、電線共同溝下桝の横に配置された地下埋設物の移設や撤去をすることなく、或いは幅の狭い歩道域であっても、電線共同溝下桝(電線共同溝)を埋設することが可能となる。
【0011】
本発明では、前記縦壁の立上げ高さが、前記街渠の前記一端側部領域の高さ以上に設定されており、前記特定領域は、前記街渠の前記一端側部領域の上端部と前記縦壁の上端部が同じ高さとなり、且つ前記一端側部領域の前記歩道域の側面が、前記縦壁の枠外側となる外側面に当接した状態で、前記街渠を収納可能に構成された構成を採用できる。
【0012】
上記構成において、特定領域は、街渠の一端側部領域の上端部と縦壁の上端部が同じ高さとなっているから、これらを段差なく設置でき、また、一端側部領域の歩道域の側面が、縦壁の枠外側となる外側面に当接した状態で、街渠を収納可能に構成されているから、街渠に対する地下構造物用蓋装置の幅が実質的に減る。
【0013】
本発明では、前記受枠は、前記縦壁の枠外側となる外側面と、前記台部の上面とに連結されるリブを備え、前記特定領域は、前記リブの上方に形成される構成を採用できる。
【0014】
上記構成によれば、リブで補強しつつその上に街渠を収容できる。
【0015】
本発明では、前記リブの上端部は、前記街渠の底面を載置可能な平坦状に形成される構成を採用できる。
【0016】
上記構成において、リブの上端部は、街渠の底面を載置可能な平坦状に形成されているから、受枠に対する街渠の上下方向の位置合わせをし易くなる。
【0017】
本発明の道路構造は、上記何れかに記載の前記地下構造物用蓋装置の前記特定領域に、前記街渠の前記一端側部領域が収容されたことを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、歩道域の、電線共同溝下桝の横に配置された地下埋設物の移設や撤去をすることなく、或いは幅の狭い歩道域であっても、電線共同溝下桝(電線共同溝)を埋設することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態を表す道路構造の断面図である。
図2】同地下構造物用蓋装置の平面図である。
図3】同短手縦壁の断面図である。
図4】同第一縦壁の断面図である。
図5】同第二縦壁の断面図である。
図6】同第二縦壁の側面図である。
図7】同道路構造の工程図であり、(a)は、歩道域の車道域側に、位置が決められた街渠が設置された状態、(b)は、街渠を撤去し、必要な掘削を施した状態、(c)は、必要な掘削を施してから、電線共同溝特殊部下桝を埋め込んだ状態である。
図8】同道路構造の工程図であり、(d)は、電線共同溝特殊部下桝の上部開口部の上方に、受枠の台部を載せた状態、(e)は、第二縦壁における外リブに、街渠を載置した状態、(f)は、(b)で行った掘削を埋め戻し、車道域と歩道域の舗装を完了した状態である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態の地下構造物用蓋装置、および地下構造物用蓋装置を用いた道路構造を、図1ないし図8を参照して説明する。図1に示すように、地下構造物用蓋装置1は、道路2に施工された電線共同溝(電線共同溝特殊部本体)3に用いられる。この場合、電線共同溝3とは、道路2の長さ方向Lに埋設される管路、および管路間に配置された電線共同溝特殊部下桝10の上側に配置された点検口(後述する、蓋開口部27を有する地下構造物用蓋装置1であり、特殊部とも称す)を表すものである。
【0021】
本実施形態の道路2として、車道域4と歩道域5とを備え、車道域4の歩道域5側に、街渠(L型側溝)6が設置されている。以下、L型側溝を街渠6と称する。該街渠6は一般的な構造であり、その断面はブロック状である。
【0022】
具体的に、街渠6は、歩道域5側の一端側部領域46と、車道域4側の他端側部領域46Aとを一体的に備えている。一端側部領域46は縦長の矩形状に形成され、他端側部領域46Aは横長の矩形状に形成されている。そして、一端側部領域46の立上げ高さは、他端側部領域46Aの立上げ高さよりも高く設定されている。
【0023】
車道域4側の他端側部領域46Aは、底面7を有し、歩道域5側の一端側部領域46は、道路2における幅方向Wにおいて、底面7に対して立上る側面8(一端側部領域46の側面)を有する。また、一端側部領域46、他端側部領域46Aは上面9(上端部)を有し、一端側部領域46の上面9は平坦状であり、他端側部領域46Aの上面9は、雨水を流すために歩道域5側に傾斜して形成されている。
【0024】
前述のように、電線共同溝3は、電線共同溝特殊部下桝(以下、電線共同溝下桝と称す)10と、点検口として用いられる地下構造物用蓋装置1とを備える。ここで、電線共同溝下桝10の説明をする。電線共同溝下桝10は一般的な構成であり、電線共同溝下桝10は、地中に埋設される。
【0025】
電線共同溝下桝10は、道路2の幅方向Wおよび長さ方向L(図2参照)に沿って所定の寸法を有した底壁11を備える。電線共同溝下桝10は、底壁11の幅方向Wの両側端部から立設されて、長さ方向Lに沿う両側の一方側壁12,13を備える。また、電線共同溝下桝10は、底壁11の長さ方向Lの両側端部から立設されて、幅方向Wに沿う両側の他方側壁14を備える。
【0026】
一方側壁12,13および他方側壁14の上端面は略同一平面(同じ高さ)とされ、一方側壁12,13および他方側壁14の上端部で囲繞される領域が、上部開口部15とされる。また、底壁11の幅方向W、長さ方向L、側壁(一方側壁12,13および他方側壁14)の高さ寸法は、施工する状況(環境)に応じて任意に選択される。
【0027】
次に、地下構造物用蓋装置1の構成を説明する。地下構造物用蓋装置1は、電線共同溝下桝10の上部開口部15の上方に配置される。
【0028】
地下構造物用蓋装置1は、平面視して矩形の枠状に形成され(図2参照)、一方側壁12,13および他方側壁14の上端面に載せられる受枠16と、受枠16に取付けられる蓋体17とを備える。
【0029】
前述のように、地下構造物用蓋装置1は、埋設される電線共同溝下桝10の上部開口部15の上方に配置され、また、地下構造物用蓋装置1も埋設されるが、受枠16(後述する縦壁)の上端面Bと、蓋体17の上端面Cは、地上に露出する。
【0030】
受枠16は、台部18と縦壁19とを備える。台部18は、平面視して矩形の枠状体で構成されて水平方向に沿う板状であり、一方側壁12,13および他方側壁14の上端面に沿った形状である。台部18の幅寸法は、街渠6における一端側部領域46の幅寸法よりも小さく形成されている。
【0031】
台部18は、図2に示すように、道路2の長さ方向Lに沿う長手側部20,21と、道路2の幅方向Wに沿う短手側部22とを備える。長手側部20,21の板面には、枠の外側から内側へ向かう切欠23が、長さ方向Lに所定間隔で離間して形成される。また、短手側部22の板面には、外側から内側へ向かう切欠23が一つ形成されている。
【0032】
これら切欠23は、電線共同溝下桝10の一方側壁12,13および他方側壁14の上端面に、アンカーボルト24(図1参照)を挿通して、台部18を一方側壁12,13および他方側壁14の上端面に固定するためのものである。
【0033】
縦壁19は、台部18の枠内側の内方端部から立設されており、長手側部20,21に対応する長手縦壁25と、図3に示すように、短手側部22に対応する短手縦壁26とを備える。長手縦壁25および短手縦壁26の上端面Bは、略同一平面に形成されている。また、台部18からの縦壁19の高さ寸法は、台部18の横寸法よりも長く形成されている。
【0034】
図2に示すように、長手縦壁25および短手縦壁26の内部は蓋開口部27とされ、蓋開口部27には、後述する蓋体17の外周部を載置する蓋掛り28が形成されている。つまり、長手縦壁25および短手縦壁26の内側に、平面して矩形の蓋掛り28が形成されている。
【0035】
短手縦壁26は、それぞれ対称形状である。図3に示すように、短手縦壁26の外側には、切欠23を避けて、縦方向の外リブ29が複数配置されている。外リブ29は、短手縦壁26の外側から台部18に亘って形成された、三角形状である。
【0036】
図2に示すように、長手縦壁25は、車道域4側の第一縦壁30と、第一縦壁30に幅方向Wで対向する第二縦壁31とから構成される。図4に示すように、第一縦壁30には、縦方向のリブが複数配置されている。リブは、切欠23を避けて、複数配置されている。このリブは、外リブ32と内リブ33とを備えている。外リブ33は、第一縦壁30の外側から台部18に亘って形成され、外リブ33の上部は、第一縦壁30の上端面Aの下方に配置され、下端は台部18に配置されて、略四角形状に形成されている。内リブ33は、第一縦壁30の内側にあって、蓋掛り28の下端から第一縦壁30の下端部まで至る三角形状である。
【0037】
第一縦壁30と台部18は土圧による負荷を受けるため、内リブ33および外リブ32は、土圧による負荷を、台部18と第一縦壁30に対して軽減する機能を有して、内リブ33および外リブ32は、第一縦壁30と台部18とを補強する。
【0038】
図5図6に示すように、第二縦壁31には、縦方向のリブが複数配置されている。リブは、切欠23を避けて、複数配置されている。このリブは、外リブ34と内リブ35とを備えている。外リブ35は、第二縦壁31の外側から台部18に亘って形成され、外リブ34の上端面34aは、第二縦壁31の上端面Aから大きく下方に配置され、下端は台部18に配置されて、略四角形状に形成されている。第一縦壁30の外リブ32の上部と、第二縦壁31の外リブ34の上端面34aとは、第二縦壁31の外リブ34の上端面34aの方が低く設定されている。第二縦壁31の外リブ34には、後述するように、街渠6が載置される。内リブ35は、第二縦壁31の内側にあって、蓋掛り28の下端から第二縦壁31の下端部まで至る三角形状である。
【0039】
第二縦壁31と台部18は土圧や、街渠6による負荷を受けるため、内リブ35および外リブ34は、土圧等による負荷を、台部18と第二縦壁31に対して軽減する機能を有して、内リブ35および外リブ34は、第二縦壁31と台部18とを補強する。
【0040】
ここで、第二縦壁31の高さは、街渠6の高さ以上とされ、第二縦壁31において、外リブ34の上端面34aから第二縦壁31の上端面Aまでの高さは、街渠6の一端側部領域46の高さに略一致している。
【0041】
図2に示すように、蓋体17は、長手縦壁25および短手縦壁26の内部の蓋開口部27に着脱自在に装着される。蓋体17は、一般的な構成であり、図1に示すように、矩形状の蓋枠40と、露出する表面側に配置された蓋表面部41と、蓋表面部41の下側に配置され、幅方向Wおよび長さ方向Lに配置された補強リブ42とを備える。そして蓋枠40の下端部が、蓋掛り28の上方から当接される。
【0042】
電線共同溝下桝10の上側に、上記の地下構造物用蓋装置1が使用されて、本実施形態の道路構造45とされる。
【0043】
道路構造45の概ねの構成は、位置を固定された街渠6に対し、歩道域5に電線共同溝下桝10を埋設する。この際、街渠6の下側に、一方側壁12,13のうち、一方側壁12が配置されるように、電線共同溝下桝10を埋設する。また、電線共同溝下桝10の上部開口部15の上側に地下構造物用蓋装置1を載置する。この際、地下構造物用蓋装置1(受枠16)の台部18が、街渠6の一端側部領域46の下側に挿入される。この一端側部領域46は、街渠6における、歩道域5部分の領域とされる。
【0044】
具体手に図7図8により、道路構造45の施工工程を説明する。
【0045】
(1)図7(a)は、歩道域5の車道域4側に、位置が決められた街渠6が設置された状態である。このとき、歩道域5はG.L.(グラウンド・レベル)とされる。
(2)図7(b)は、街渠6を撤去し、必要な掘削Tを施した状態で、次工程(c)で示すように、街渠6を設置する設置予定領域T1の下方に、一方側壁12が位置するよう撤去する。
(3)図7(c)は、必要な掘削Tを施してから、電線共同溝下桝10を埋め込んだ状態である。このとき、街渠6を設置する設置予定領域T1の下方に、一方側壁12が位置するように配置する。この場合の下方は、以下(d)に示す次工程において、地下構造物用蓋装置1の第二縦壁31の外リブ34が設置予定領域T1の下方に位置するような下方である。
(4)図8(d)は、電線共同溝下桝10の上部開口部15の上方に、受枠16の台部18を載せた状態である。すなわち、電線共同溝下桝10の一方側壁12,13および他方側壁14に、受枠16の台部18を載せた状態である。このとき、第二縦壁31の外側にある外リブ34を、車道域4の設置予定領域T1の下に配置して、台部18を設置予定領域T1の下方に位置させる。そして、切欠23にアンカーボルト24を挿通して、高さをG.L.に合わせてから、台部18を、一方側壁12,13および他方側壁14の上端面に固定する。
(5)図8(e)は、第二縦壁31における外リブ34に、街渠6を載置した状態である。このとき、一方側壁12は、街渠6の一端側部領域46の下側に配置される。また、外リブ34の上端面34aから第二縦壁31の上端面Aまでの高さ寸法は、街渠6の一端側部領域46の高さ寸法を考慮して設計しているため、第二縦壁31の上端面Aと、街渠6の一端側部領域46の上端面とが、略同一高さに施工できる。そして、台部18(外リブ34)より上方の領域と第二縦壁31より枠外側の領域が重なる特定領域に、街渠6の一端側部領域46を収容する。なお、この場合、街渠6の底面7と外リブ34との間にモルタルMが設置される。また、街渠6の側面8に、第二縦壁31の外側面31aが当接される。
(6)図8(f)は、図7(b)で行った掘削Tを埋め戻し、車道域4と歩道域5の舗装を完了した状態である。また、蓋体17を蓋開口部27に装着した状態である。一方側壁12,13および他方側壁14の上端面、および蓋体17の上端面Cは、略同一平面(同じ高さ)とする。
【0046】
以上、電線共同溝下桝10と地下構造物用蓋装置1とを備えた電線共同溝3、および道路構造45を説明した。この道路構造45によれば、位置固定された街渠6の下側に、一方側壁12、一方側壁12に固定された台部18が収容されている。要するに、道路構造45は、電線共同溝下桝10の一方側壁12が、街渠6の下側に潜り込んだ構成であり、図2に示すように、平面視すると、街渠6と地下構造物用蓋装置1とが、一方側壁12の幅方向W分だけ重なっている。すなわち、電線共同溝下桝10の一方側壁12が、車道域4に寄った構成となって、電線共同溝3の、歩道域5における埋設の幅が実質的に減る。
【0047】
このように、電線共同溝下桝10の一方側壁12が車道域4に寄っているため、電線共同溝下桝10を含めた電線共同溝3を埋設するにあたって、歩道域5に地下埋設物が存在しても、地下埋設物50を移設せずに施工することが可能である。また、歩道域5が狭くてもても、電線共同溝3を埋設することが可能である。
【0048】
街渠6の下には地下埋設物がないので、地下埋設物を移設する必要がなく、仮に車道域4に、地下埋設物が存在しても、台部18の幅寸法は、街渠6の幅寸法よりも小さく形成されているので、地下埋設物には影響しない。
【0049】
本実施形態によれば、特定領域は、街渠6の一端側部領域46の上面9と第二縦壁31の上端面Aが同じ高さとなっているから、これらを段差なく設置でき、また、一端側部領域46の歩道域5の側面8が、第二縦壁31の枠外側となる外側面31aに当接した状態で、街渠6を収納可能に構成されているから、街渠6に対する地下構造物用蓋装置1(電線共同溝3)の幅が実質的に減る。
【0050】
また、一方側壁12,13および他方側壁14の上端面、および蓋体17の上端面Cは、同じ高さ略同一平面(同じ高さ)とされているから、歩行の邪魔にならない。
【0051】
受枠16は、第二縦壁31の枠外側となる外側面31aと、台部18の上面とに連結される外リブ34を備え、特定領域は、外リブ34の上方に形成されているから、外リブ34で補強しつつ、その上に街渠6を収容できる。また、外リブ34の上端面34aは、街渠6の底面7を載置可能な平坦状に形成されるから、受枠16に対する街渠6の上下方向の位置合わせをし易くなる。
【0052】
前述したように、電線共同溝下桝10の一方側壁12が車道域4に寄っているため、電線共同溝3を埋設するにあたって、歩道域5に地下埋設物が存在しても、地下埋設物50を移設せずに施工することが可能である。しかしながら、道路構造45は、第二縦壁31における外リブ34の上端面34aから第二縦壁31の上端面Aまでの高さ寸法は、街渠6の高さ寸法に略一致しており、街渠6の側面8に、第二縦壁31の外側面31aが当接される構成である。したがって、本実施形態の道路構造45では、従来の受枠16よりも高さが高くなる。よって、電線共同溝3の容量が同一なら、受枠16よりも高さが高くなる分だけ、電線共同溝下桝10を含めた電線共同溝3の高さを高くしなければならない可能性がある。つまり、道路構造45を施工するのに、電線共同溝下桝10の高さを高くしなければならない分だけ、掘削量が増加する。
【0053】
しかしながら、本実施形態の道路構造45では、地下埋設物50を移設せずに施工することが可能であり、地下埋設物50を移設するコストに比べると、掘削量が増加するコストの方が小さくなる。しかも、幅の狭い歩道域にも電線共同溝3を設置可能となる。
【0054】
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではない。上記実施形態では、第二縦壁31側に外リブ34を形成したが、この外リブ34は必ずしも設ける必要はない。この場合、街渠6の底面7が台部18に当接する。
【0055】
上記実施形態では、特定領域に収容される部分として、街渠6の一端側部領域46を収容した。しかしながら、街渠6の一端側部領域46および他端側部領域46Aの双方を収容することもできる。
【0056】
上記実施形態では、街渠6の一端側部領域46の上面9と第二縦壁31の上端面Aとが同じ高さとなっている例を挙げたが、街渠6の一端側部領域46の上面9と第二縦壁31の上端面Aとは、同じ高さでなくてもよい。
【0057】
上記実施形態では、街渠6の側面8に、第二縦壁31の外側面31aが当接される例を挙げたが、第二縦壁31の外側面31aに対し、街渠6の側面8が外側に離れるように構成することもできる。
【0058】
上記実施形態では、特定領域として、第二縦壁31における外リブ34に対し街渠6の底面7が当接される例を挙げたが、街渠6は外リブ34に対して上方に離れるように収容することもできる。
【0059】
なお、街渠6はL型側溝に限らずU型であってもよく、また、受枠として矩形枠状の部材の例を挙げたが、平面視して円形の受枠とすることもできる。
【符号の説明】
【0060】
1…地下構造物用蓋装置、2…道路、3…電線共同溝、4…車道域、5…歩道域、6…街渠、7…底面、8…側面、9…上面、10…電線共同溝下桝、11…底壁、12,13…一方側壁、14…他方側壁、15…上部開口部、16…受枠、17…蓋体、18…台部、19…縦壁、25…長手縦壁、26…短手縦壁、27…蓋開口部、28…蓋掛り、29…外リブ、30…第一縦壁、31…第二縦壁、31a…外側面、32…外リブ、33…内リブ、33…外リブ、34…外リブ、34a…上端面、35…内リブ、35…外リブ、40…蓋枠、41…蓋表面部、45…道路構造、46…一端側部領域、46A…他端側部領域、50…地下埋設物、A…上端面、B…上端面、C…上端面、L…長さ方向、T…掘削、T1…設置予定領域、W…幅方向
図1
図2
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図5
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図7
図8