(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラムおよび情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241113BHJP
G16Y 40/60 20200101ALI20241113BHJP
【FI】
G06Q50/10
G16Y40/60
(21)【出願番号】P 2021003716
(22)【出願日】2021-01-13
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松井 涼
(72)【発明者】
【氏名】田中 真一
(72)【発明者】
【氏名】西山 奈津美
(72)【発明者】
【氏名】盛林 敏之
【審査官】日比野 可奈子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-317025(JP,A)
【文献】特開2006-226977(JP,A)
【文献】特開2015-108913(JP,A)
【文献】特開2005-235194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G16Y 40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備えた情報処理装置であって、
前記制御部は、
複数のイベント施設でそれぞれ開催されるイベントに関する複数のイベント情報を取得
し、
取得
した複数の前記イベント情報に基づいて、複数の前記イベント施設と所定地点との間の移動経路における人の流れに関する人流情報を推定
し、
前記移動経路が複数ある場合、前記イベント情報に基づいて、複数の前記移動経路のうち前記イベント施設を利用したユーザに対して推奨する前記移動経路を示す推奨移動経路情報を前記人流情報として推定する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記
制御部は、
取得される前記イベント情報に変更が生じた場合、変更後の前記イベント情報に基づいて前記人流情報を再度推定する
、
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記人流情報に基づいて、前記イベント施設を利用したユーザに対して前記イベント施設に一時的に留まることを促す待機情報を提供する
、
請求項1
または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記イベント施設を利用したユーザの行動情報に応じて、当該ユーザに対して特典を付与する
、
請求項1~
3のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記行動情報は、
前記イベント施設から前記所定地点とは異なる第2所定地点へ移動した前記ユーザの移動距離、移動時間、および、前記ユーザが前記イベント施設に一時的に留まった待機時間の少なくともいずれかを含む
、
請求項
4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記人流情報に基づいて、前記イベント施設に対応する交通機関の運行調整に関する運行調整情報を提供する
、
請求項1~
5のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
複数のイベント施設でそれぞれ開催されるイベントに関する複数のイベント情報を取得
し、
取得
した複数の前記イベント情報に基づいて、複数の前記イベント施設と所定地点との間の移動経路における人の流れに関する人流情報を推定
し、
前記移動経路が複数ある場合、前記イベント情報に基づいて、複数の前記移動経路のうち前記イベント施設を利用したユーザに対して推奨する前記移動経路を示す推奨移動経路情報を前記人流情報として推定する、
情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータが実行する情報処理プログラムであって、
複数のイベント施設でそれぞれ開催されるイベントに関する複数のイベント情報を取得する工程と、
取得した複数の前記イベント情報に基づいて、複数の前記イベント施設と所定地点との間の移動経路における人の流れに関する人流情報を推定する工程と、
前記移動経路が複数ある場合、前記イベント情報に基づいて、複数の前記移動経路のうち前記イベント施設を利用したユーザに対して推奨する前記移動経路を示す推奨移動経路情報を前記人流情報として推定する工程とを含む、
情報処理プログラム。
【請求項9】
第1イベント施設で開催されるイベントに関する第1イベント情報を取得し、取得された前記第1イベント情報に基づいて前記第1イベント施設と所定地点との間の移動経路における人の流れに関する第1人流情報を推定する第1情報処理装置と、
第2イベント施設で開催されるイベントに関する第2イベント情報を取得し、取得された前記第2イベント情報に基づいて前記第2イベント施設と前記所定地点との間の移動経路における人の流れに関する第2人流情報を推定する第2情報処理装置と、
前記第1情報処理装置から前記第1人流情報を取得するとともに、前記第2情報処理装置から前記第2人流情報を取得し、取得された前記第1人流情報および前記第2人流情報を合成する統合情報処理装置と
を備え
る情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラムおよび情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばコンサートなどのイベント時に、イベント施設周辺の混雑を緩和させる技術が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。従来技術にあっては、イベント時のバス運行事業者の運行管理システムにおいて、イベント施設にあるバス乗り場のモードが切り替えられ、臨時のバスが当該バス乗り場から出発できるようにし、バス待ちの人を減らすようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来技術にあっては、1つのイベント施設を対象にしているため、混雑を効率良く緩和させることができないおそれがあった。すなわち、例えば対象のイベント施設から比較的近い場所に別のイベント施設があり、かかる別のイベント施設でもイベントが開催される場合がある。このような場合、別のイベント施設のイベントによる混雑の影響を受けて、対象のイベント施設からの移動経路の混雑を効率良く緩和できないおそれがあった。
【0005】
このように、従来技術には、複数のイベント施設でそれぞれイベントが開催される場合に、複数のイベント施設からの移動経路の混雑を効率良く緩和させるという点で改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数のイベント施設でそれぞれイベントが開催される場合であっても、複数のイベント施設からの移動経路の混雑を効率良く緩和させることができる情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラムおよび情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、情報処理装置において、取得部と、推定部とを備える。取得部は、複数のイベント施設でそれぞれ開催されるイベントに関する複数のイベント情報を取得する。推定部は、前記取得部によって取得された複数の前記イベント情報に基づいて、複数の前記イベント施設と所定地点との間の移動経路における人の流れに関する人流情報を推定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数のイベント施設でそれぞれイベントが開催される場合であっても、複数のイベント施設からの移動経路の混雑を効率良く緩和させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理方法の概要を示す図である。
【
図2】
図2は、情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、イベント情報の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、交通機関情報の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、制御部で実行される各種の処理を説明する図である。
【
図10】
図10は、ユーザに提供される人流情報を説明する図である。
【
図11】
図11は、ユーザに提供される特典リストを説明する図である。
【
図12】
図12は、情報処理装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【
図13A】
図13Aは、第1変形例に係る情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
【
図13B】
図13Bは、第2変形例に係る情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
【
図13C】
図13Cは、第3変形例に係る情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
(実施形態)
<情報処理方法の概要>
以下では先ず、実施形態に係る情報処理方法の概要について
図1を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理方法の概要を示す図である。
【0012】
図1に示すように、実施形態に係る情報処理方法は、例えば情報処理システム1に含まれる情報処理装置10によって実行される。情報処理装置10は、複数のイベント施設100に関する情報の処理や複数のイベント施設100周辺に関する情報の処理など各種の処理を実行可能なサーバである。ここで、イベント施設100は、例えばスポーツの試合などのイベントが行われるスポーツ施設、コンサートや演劇などのイベントが開催される施設(会場)である。
【0013】
なお、
図1では、イベント施設100が第1イベント施設100aおよび第2イベント施設100bの2つである例を示しているが、これに限られず、3つ以上であってもよい。また、以下では、2つのイベント施設100のうち一方の第1イベント施設100aを「第1施設100a」、他方の第2イベント施設100bを「第2施設100b」と記載する場合があり、これらを特に区別せずに説明する場合には「施設100」と記載する。
【0014】
また、第1施設100aと第2施設100bとは、例えば比較的近い場所にあるものとする。一例としては、第1施設100aと第2施設100bとは、最寄りの駅が同じ(ここでは駅A)となるような場所にあるものとする。言い換えると、第1施設100aと第2施設100bとは、対応する交通機関が同じ(ここでは電車の駅A)となるような場所にある。なお、上記では、駅Aが施設100の最寄りの駅としたが、これに限定されるものではなく、施設100の周辺の駅であればよい。
【0015】
また、第1施設100aと駅Aとの間、および、第2施設100bと駅Aとの間は、例えば歩道など人が移動可能な移動経路Bで結ばれる。なお、駅Aは、所定地点の一例である。また、
図1では、移動経路Bが複数(例えば4つ)である例を示すが、これに限定されず、3つ以下または5つ以上であってもよい。
【0016】
図1の例では、第1施設100aと駅Aとは、第1移動経路B1および第2移動経路B2で結ばれ、第2施設100bと駅Aとは、第3移動経路B3および第4移動経路B4で結ばれる。なお、例えば経路の長さは、第1移動経路B1が第2移動経路B2より短く、第3移動経路B3が第4移動経路B4より短いものとする。また、第1移動経路B1と第3移動経路B3とは、例えば駅A付近で合流するものとする。なお、上記では、移動経路Bの形状等を、理解の便宜のため具体的に説明したが、これはあくまでも例示であって限定されるものではない。
【0017】
ところで、上記した第1施設100aおよび第2施設100bにおいては、それぞれイベントが開催され、かかるイベントが同じ時間帯に終了する場合がある。このような場合、イベントの終了に伴って、第1施設100aおよび第2施設100bを利用した利用者、すなわち観客が一斉に出てくる。そのため、施設100の周辺および施設100からの移動経路Bは混雑すると推定される。
【0018】
そこで、本実施形態に係る情報処理装置10にあっては、複数の施設100でそれぞれイベントが開催される場合であっても、複数の施設100からの移動経路Bの混雑を効率良く緩和させることができるような構成とした。
【0019】
以下、情報処理装置10の処理について具体的に説明すると、情報処理装置10は先ず、複数の施設100でそれぞれ開催されるイベントに関する複数のイベント情報を取得する(ステップS1)。
【0020】
例えば、情報処理装置10は、第1施設100aを管理するサーバ(後述するイベント施設用情報処理装置50a(
図2参照))から、第1施設100aで開催されるイベントに関するイベント情報を取得する。また、情報処理装置10は、第2施設100bを管理するサーバ(後述するイベント施設用情報処理装置50b(
図2参照))から、第2施設100bで開催されるイベントに関するイベント情報を取得する。なお、イベント情報には、例えばイベントの来場者数、イベントの開始予定時刻および終了予定時刻などの情報が含まれるが、これらは例示であって限定されるものではない。
【0021】
次いで、情報処理装置10は、取得された複数のイベント情報に基づいて人流情報を推定する(ステップS2)。詳しくは、情報処理装置10は、複数のイベント情報に基づいて、複数の施設100と駅Aとの間の移動経路Bにおける人の流れに関する人流情報を推定する。言い換えると、情報処理装置10は、複数のイベント情報に基づいて移動経路Bにおける人流のシミュレーションを行って、例えばイベント終了後の移動経路Bにおける人の流れを予測する。なお、人流情報の推定においては、任意のアルゴリズムを用いて予め生成された推定モデルを利用することができるが、これに限定されるものではない。
【0022】
上記した人流情報には、例えば各移動経路Bにおいて推定される混雑状況を示す混雑情報が含まれる。混雑情報としては、例えば各移動経路Bの混雑度の情報を用いることができる。混雑度は、移動経路Bでの混雑状況の度合いを示す指標値であり、例えば移動経路Bを移動すると推定される人の数等(人の密度)に応じた数段階のレベルで示される情報である。なお、人流情報には、推奨移動経路情報などその他の情報も含まれるが、これについては後述する。
【0023】
図1の例では、人流情報に含まれる移動経路Bの混雑度を、白抜きの人型マークで示した。
図1では、人流情報として、イベント終了後の第1移動経路B1および第3移動経路B3が混雑し、第2移動経路B2および第4移動経路B4が比較的混雑せずに空いていることを示す混雑度(混雑状況)が推定されたことを示している。
【0024】
このように、本実施形態に係る情報処理装置10は、複数の施設100でそれぞれイベントが開催される場合であっても、複数のイベント情報を用いることで、人流情報を精度よく推定することができる。言い換えると、情報処理装置10は、複数の施設100でそれぞれ開催されるイベントの状況を反映させた人流情報を推定することができ、よって移動経路Bの混雑を効率良く緩和させることができる。
【0025】
具体的には、情報処理装置10は次いで、推定された人流情報を提供する(ステップS3)。例えば、情報処理装置10は、人流情報を施設100を利用したユーザUに提供する、正確には人流情報をユーザUが所持する端末装置40に提供する。
【0026】
これにより、例えば第1施設100aを利用したユーザU1は、駅Aへ向かう際、人流情報に基づいて比較的混雑せずに空いている第2移動経路B2を選んで移動することが可能になる。同様に、例えば第2施設100bを利用したユーザU2は、駅Aへ向かう際、人流情報に基づいて比較的混雑せずに空いている第4移動経路B4を選んで移動することが可能になる。これにより、施設100から駅Aへ向かうユーザUが複数の移動経路Bに分散されるため、混雑すると推定された第1移動経路B1や第3移動経路B3が混雑しにくくなり、結果として移動経路Bの混雑を効率良く緩和させることができる。
【0027】
なお、上記において、情報処理装置10は、人流情報をユーザUに提供するようにしたが、これに加えてあるいは代えて、例えば施設100の関係者などに提供してもよい。詳しくは、情報処理装置10は、人流情報を、施設100周辺でユーザUの交通整理を行う施設100の関係者(イベントスタッフ)に提供してもよい。これにより、かかる関係者は、ユーザUを第2移動経路B2や第4移動経路B4側へ多く誘導することができ、施設100から駅Aへ向かうユーザUが複数の移動経路Bに適切に分散される。そのため、混雑すると推定された第1移動経路B1や第3移動経路B3が混雑しにくくなり、結果として移動経路Bの混雑を効率良く緩和させることができる。
【0028】
なお、上記では、移動経路Bが、施設100から駅Aまでの移動経路であるとしたが、これに限られず、例えばバス乗り場、タクシー乗り場などその他の交通機関の乗り場までの移動経路や、施設100とは異なる別の施設(例えば商業施設など)までの移動経路などであってもよい。
【0029】
<情報処理システムの構成>
次に、本実施形態に係る情報処理装置10を含む情報処理システム1の構成について、
図2を用いて説明する。
図2は、情報処理システム1の構成例を示すブロック図である。
【0030】
図2に示すように、情報処理システム1は、上記した情報処理装置10と、端末装置40と、イベント施設用情報処理装置50a,50bと、定点カメラ60と、交通機関用情報処理装置70とを含み、これらはインターネット網などの通信ネットワークNを介して通信可能に接続される。なお、
図2では、図示の簡略化のため、端末装置40および定点カメラ60をそれぞれ1つ示したが、複数であってもよい。
【0031】
端末装置40は、ユーザUに所持されて使用される装置である。なお、端末装置40としては、例えばスマートフォンやタブレット端末などを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0032】
端末装置40には、例えばGPS(Global Positioning System)衛星からの信号に基づいてユーザUの位置(正確には端末装置40の位置)を示す位置情報を検出するGPS受信機などが含まれる。端末装置40は、検出した位置情報を情報処理装置10へ送信することができる。また、端末装置40は、上記した情報処理装置10によって推定された人流情報などを受信することができる。
【0033】
イベント施設用情報処理装置50aは、第1施設100aを管理するサーバであり、例えば第1施設100aで開催されるイベントを管理するサーバである。例えば、イベント施設用情報処理装置50aは、第1施設100aで開催されるイベントに関するイベント情報の処理など各種の処理を実行可能なサーバである。イベント施設用情報処理装置50aは、上記した第1施設100aのイベントの来場者数やイベントの終了予定時刻などの情報を含むイベント情報を情報処理装置10へ送信することができる。なお、イベント施設用情報処理装置50aは、第1施設100aのイベント情報の内容に変更が生じた場合、変更後のイベント情報を情報処理装置10へ再度送信することができる。
【0034】
イベント施設用情報処理装置50bは、第2施設100bを管理するサーバであり、例えば第2施設100bで開催されるイベントを管理するサーバである。例えば、イベント施設用情報処理装置50bは、第2施設100bで開催されるイベントに関するイベント情報の処理など各種の処理を実行可能なサーバである。イベント施設用情報処理装置50bは、上記した第2施設100bのイベントの来場者数やイベントの終了予定時刻などの情報を含むイベント情報を情報処理装置10へ送信することができる。なお、イベント施設用情報処理装置50bは、第2施設100bのイベント情報の内容に変更が生じた場合、変更後のイベント情報を情報処理装置10へ再度送信することができる。
【0035】
定点カメラ60は、移動経路Bや施設100周辺、交通機関の施設(例えば駅の構内)などに複数台設置される。定点カメラ60は、移動経路Bや施設100周辺、交通機関の施設を撮像し、撮像されたカメラ画像を情報処理装置10へ送信することができる。なお、定点カメラ60のカメラ画像は、動画データであるが、これに限られず、静止画データなどであってもよい。かかるカメラ画像は、情報処理装置10において現在の混雑情報として取得されるが、これについては後述する。
【0036】
なお、定点カメラ60は、移動経路B等の人を検知する人体検知センサであってもよい。人体検知センサとしては、例えば赤外線信号を用いた焦電センサなどを採用することができる。
【0037】
なお、上記において、情報処理装置10は、定点カメラ60のカメラ画像に基づいて現在の混雑情報を取得するようにしたが、これに限られず、例えばユーザUの端末装置40の位置情報に基づいて現在の混雑情報を取得してもよい。かかる場合、言い換えると、定点カメラ60のカメラ画像が現在の混雑情報として利用されない場合、定点カメラ60は除去されてもよい。
【0038】
交通機関用情報処理装置70は、電車やバスなどの交通機関を管理するサーバである。例えば、交通機関用情報処理装置70は、交通機関に関する交通機関情報の処理など各種の処理を実行可能なサーバである。例えば、交通機関用情報処理装置70は、遅延などを含む電車等の時刻表情報などを情報処理装置10へ送信することができる。また、交通機関用情報処理装置70は、情報処理装置10によって提供される運行調整情報(後述)などを受信することができる。
【0039】
<情報処理装置の構成>
次いで、情報処理装置10の構成について
図3等を参照して具体的に説明する。
図3は、情報処理装置10の構成例を示すブロック図である。なお、
図3のブロック図では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0040】
換言すれば、
図3のブロック図に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0041】
図3に示すように、情報処理装置10は、通信部11と、制御部20と、記憶部30とを備える。
【0042】
通信部11は、通信ネットワークNに双方向通信可能に接続する通信インターフェイスであり、端末装置40、イベント施設用情報処理装置50a,50b、定点カメラ60および交通機関用情報処理装置70等との間で情報の送受信を行う。
【0043】
制御部20は、取得部21と、推定部22と、提供部23と、付与部24とを備え、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0044】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部20の取得部21、推定部22、提供部23および付与部24として機能する。
【0045】
また、制御部20の取得部21、推定部22、提供部23および付与部24の少なくともいずれか一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0046】
また、記憶部30は、例えば、不揮発性メモリやデータフラッシュ、ハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。かかる記憶部30には、イベント情報31、人流情報32、交通機関情報33、ユーザ情報34、特典情報35および各種プログラムなどが記憶される。
【0047】
イベント情報31は、複数の施設100でそれぞれ開催されるイベントに関する情報である。ここで、
図4を用いて、イベント情報31について説明する。
図4は、イベント情報31の一例を示す図である。
【0048】
図4に示すように、イベント情報31には、「イベントID」、「施設名」、「イベント名」、「来場者数」、「開始予定時刻」および「終了予定時刻」等の項目が含まれ、各項目は互いに関連付けられている。
【0049】
「イベントID」は、イベント情報を識別する識別情報である。「施設名」は、イベントが開催される施設100の名称を示す情報である。例えば、「施設名」には、上記した第1施設100aや第2施設100bなどの施設名を示す情報が含まれる。
【0050】
「イベント名」は、イベントの名称を示す情報である。なお、
図4に示す例では、便宜上、「イベント名」を「イベントE1」といったように抽象的な記載とするが、「イベントE1」には具体的な情報が記憶されるものとする。以下、他の情報についても抽象的に記載する場合がある。
【0051】
「来場者数」は、施設100に来場した人数、あるいは施設100に来場する予定の人数を示す情報である。例えば「来場者数」は、イベントのチケット販売数情報や実際に施設100に来場してカウントされた人数の情報などに基づいて登録される。
【0052】
「開始予定時刻」は、イベントの開始予定時刻を示す情報である。「終了予定時刻」は、イベントの終了予定時刻を示す情報である。なお、上記した来場者数や開始予定時刻、終了予定時刻の情報は、随時変更されることがある。例えば、終了予定時刻の情報は、イベントであるスポーツの試合内容やコンサートの進行状況などに応じて随時変更される。
【0053】
図4に示す例において、イベントID「D01」で識別されるイベント情報は、施設名が「第1施設」、イベント名が「イベントE1」、来場者数が「来場者数F1」、開始予定時刻が「時刻G1」、終了予定時刻が「時刻H1」であることを示している。
【0054】
図3の説明に戻ると、人流情報32は、移動経路等における人の流れに関する情報である。なお、人流情報32は、上記した人流のシミュレーションの結果を示す情報であるともいえる。
【0055】
ここで、
図5を用いて、人流情報32について説明する。
図5は、人流情報32の一例を示す図である。
図5に示すように、人流情報32には、「場所」、「推定移動時間」、「推定混雑度」および「推奨移動経路」等の項目が含まれ、各項目は互いに関連付けられている。
【0056】
「場所」は、人流が推定された場所を示す情報である。「場所」には、例えば移動経路Bや施設100、駅Aなどを示す情報が含まれる。「推定移動時間」は、例えば移動経路Bの移動に要すると推定される時間を示す情報である。なお、「推定移動時間」は、可変の情報であり、例えば混雑時には、混雑していない通常時に比べて移動時間が長くなるように推定される。また、「推定移動時間」は、「推定混雑度」の一例であるともいえる。
【0057】
「推定混雑度」は、推定された混雑度を示す情報である。なお、推定混雑度は、移動経路B等において推定される混雑状況を示す混雑情報の一例である。人流情報32には、「推定混雑度」に加えてあるいは代えて、推定される移動経路Bの人の移動速度や、移動経路B等にいると推定される人の数の情報などが含まれてもよい。
【0058】
「推奨移動経路」は、施設100を利用したユーザUに対して推奨する移動経路Bを示す推奨移動経路情報である。詳しくは、「推奨移動経路」は、施設100を利用したユーザU(来場者)が混雑を回避してスムーズに移動可能な移動経路Bを示す情報である。なお、
図5における「推奨移動経路」には、移動経路Bを推奨する対象となるユーザUを示す情報が含まれる。一例として、
図5では、第1施設100aを利用したユーザUに対して推奨する移動経路Bが「第1移動経路」であり、第2施設100bを利用したユーザUに対して推奨する移動経路Bが「第4移動経路」であることを示している。
【0059】
図5に示す例では、「第1移動経路」において、推定移動時間が「時間J1」、推定混雑度が「混雑度K1」、推奨移動経路の対象となるユーザUが「第1施設のユーザ」であることを示している。
【0060】
図3の説明に戻ると、交通機関情報33は、施設100周辺の交通機関に関する情報である。ここでは、施設100周辺の交通機関が電車であり、交通機関情報33が電車の駅(例えば駅A)に関する情報である場合を例にとって説明する。
【0061】
図6は、交通機関情報33の一例を示す図である。
図6に示すように、交通機関情報33には、「交通機関ID」、「交通機関の施設名」、「時刻表」、「現在の混雑度」および「運行調整」等の項目が含まれ、各項目は互いに関連付けられている。
【0062】
「交通機関ID」は、交通機関情報を識別する識別情報である。「交通機関の施設名」は、施設100周辺の交通機関の施設の名称を示す情報である。例えば、「交通機関の施設名」には、上記した駅Aなどの交通機関の施設名・識別コードを示す情報が含まれる。
【0063】
「時刻表」は、交通機関の施設を発着する電車の運転時刻を示す情報である。「現在の混雑度」は、交通機関の施設における現在の混雑度を示す情報である。なお、現在の混雑度は、交通機関の施設における現在の混雑状況を示す混雑情報の一例である。交通機関情報33には、「現在の混雑度」に加えてあるいは代えて、交通機関の施設(例えば駅の構内)の人の移動速度や、交通機関の施設にいると推定される人の数の情報などの混雑の状況に関する情報が含まれてもよい。
【0064】
「運行調整」は、施設100に対応する交通機関の運行調整に関する運行調整情報である。例えば「運行調整」は、移動経路Bや駅Aにおいて混雑が予測されたり、混雑が発生したりする場合に、混雑の発生の回避や混雑の緩和を目的とした運行の調整を示す情報である。一例として、「運行調整」には、「増便」や「行先変更」などを示す情報が含まれる。「増便」は、電車の運行本数を増加させる運行調整を示し、「行先変更」は、電車の行先を変更させる運行調整を示す情報である。
【0065】
図6に示す例において、交通機関ID「L01」で識別される交通機関情報は、交通機関の施設名が「駅A」、時刻表が「時刻表M1」、現在の混雑度が「混雑度N1」、運行調整が「増便」であることを示している。
【0066】
図3の説明に戻ると、ユーザ情報34は、ユーザUに関する情報である。ここで、
図7を用いて、ユーザ情報34について説明する。
図7は、ユーザ情報34の一例を示す図である。
【0067】
図7に示すように、ユーザ情報34には、「ユーザID」、「ユーザ位置」、「行動情報」および「属性」等の項目が含まれ、各項目は互いに関連付けられている。
【0068】
「ユーザID」は、ユーザUを識別する識別情報である。「ユーザ位置」は、ユーザUの位置を示すユーザ位置情報である。
【0069】
「行動情報」は、施設100を利用したユーザUの行動情報である。例えば、「行動情報」には、ユーザUが移動経路B等の混雑緩和や混雑発生の回避に貢献する行動をとった場合に、かかる行動を示す情報が含まれる。
【0070】
具体的に説明すると、例えば仮に、施設100を利用したユーザUの全員が一斉に施設100から駅Aへ向けて移動すると、移動経路Bに混雑が発生してしまう。そのため、例えば、一部のユーザUが、イベント終了後、施設100に一時的に留まる行動をとると、移動経路Bを移動する人の数が減少し、結果として移動経路Bや駅Aの混雑を緩和させたり、移動経路B等の混雑の発生を回避させたりすることができる。従って、「行動情報」には、施設100に一時的に留まる行動を示す情報、詳しくはユーザUが施設100に一時的に留まった待機時間を示す情報が含まれる。
【0071】
また、他の具体例を説明すると、例えば一部のユーザUが、施設100の最寄りの駅である駅Aとは異なる駅(例えば駅X。後述する
図9参照)へ向けて移動した場合も、施設100から駅Aまでの移動経路Bを移動する人の数が減少する。このようなユーザUの行動でも、移動経路B等の混雑の緩和や移動経路B等の混雑発生の回避を図ることができる。従って、「行動情報」には、施設100から駅Aとは異なる駅(例えば駅X)へ移動したユーザUの移動距離を示す移動距離情報や、移動時間を示す移動時間情報が含まれる。なお、駅Xは、第2所定地点の一例である。
【0072】
なお、本実施形態では、ユーザUの行動情報に応じてユーザUに対して特典を付与する、言い換えると、上記した移動経路B等の混雑緩和や混雑発生の回避に貢献する行動をとったユーザUに対して、クーポンなどの特典を付与するように構成されるが、これについては後述する。
【0073】
「属性」は、ユーザUの属性を示す属性情報である。「属性」には、ユーザUの年齢、性別、住所、趣味、嗜好などの情報が含まれるが、これらはあくまでも例示であって限定されるものではない。
【0074】
図7に示す例において、ユーザID「P01」で識別されるユーザUのデータは、ユーザ位置が「位置Q1」、行動情報が「行動R1」、属性が「属性T1」であることを示している。
【0075】
図3の説明に戻ると、特典情報35は、クーポンなどの特典に関する情報である。ここで、
図8を用いて、特典情報35について説明する。
図8は、特典情報35の一例を示す図である。
【0076】
図8に示すように、特典情報35には、「特典ID」、「付与対象」および「特典」等の項目が含まれ、各項目は互いに関連付けられている。
【0077】
「特典ID」は、特典を識別する識別情報である。「付与対象」は、特典を付与する対象を示す情報である。例えば、「付与対象」には、上記したユーザUの行動情報に基づいて選択される対象ユーザに関する情報や、人流情報とユーザ位置情報とに基づいて選択される対象ユーザに関する情報などが含まれる。具体的に「付与対象」には、「施設100に一時的に留まった対象ユーザ」、「施設100から駅Xへ移動した対象ユーザ」、「移動経路Bを移動中の対象ユーザ」などの付与対象の条件を示す情報が含まれる。
【0078】
「特典」は、対象ユーザに対して付与する特典の内容を示す情報である。上記した「付与対象」や「特典」は、例えばユーザUの行動情報の内容に基づいて設定されたり、人流情報とユーザ位置情報とに基づいて設定されたりするが、これについては後述する。
【0079】
図8に示す例において、特典ID「U01」で識別される特典のデータは、付与対象が「対象V1」、特典が「特典W1」であることを示している。
【0080】
図3の説明に戻ると、制御部20の取得部21は、通信部11を介して各種の情報を取得する。例えば、取得部21は、複数の施設100でそれぞれ開催されるイベントに関する複数のイベント情報を取得する(収集する)。
【0081】
例えば、取得部21は、第1施設100aで開催されるイベントに関するイベント情報をイベント施設用情報処理装置50aから取得する。情報処理装置10は、第2施設100bで開催されるイベントに関するイベント情報をイベント施設用情報処理装置50bから取得する。そして、取得部21は、取得された各施設100のイベント情報を記憶部30にイベント情報31(
図4参照)として登録する。
【0082】
また、取得部21は、例えば第1施設100aのイベント情報の内容や、第2施設100bのイベント情報の内容に変更が生じた場合、変更後のイベント情報を対応するイベント施設用情報処理装置50a,50bから取得する。そして、取得部21は、変更後のイベント情報を記憶部30に登録するとともに、イベント情報に変更があった旨の通知を推定部22へ出力する。
【0083】
また、取得部21は、ユーザ位置情報を取得する。例えば、取得部21は、端末装置40から位置情報を取得(収集)し、記憶部30のユーザ情報34のユーザ位置情報として登録する。また、取得部21は、端末装置40から属性情報を取得し、記憶部30のユーザ情報34の属性情報として登録してもよい。
【0084】
また、取得部21は、現在の混雑情報を取得する。例えば、取得部21は、定点カメラ60(
図2参照)のカメラ画像などに基づいて現在の混雑情報を取得(収集)してもよい。例えば、取得部21は、移動経路Bに設置された定点カメラ60から送信されたカメラ画像を解析して移動経路Bにいる人の数を計測し、計測された人数に応じた混雑度を含む混雑情報を、現在の移動経路Bの混雑情報として推定部22へ出力する。また、取得部21は、駅Aに設置された定点カメラ60のカメラ画像を解析して駅Aにいる人の数を計測し、計測された人数に応じた混雑度を含む混雑情報を、記憶部30の交通機関情報33の現在の混雑度(
図6参照)として登録する。なお、取得部21は、定点カメラ60に加えて、あるいは代えて、例えば端末装置40の位置情報に基づいて混雑情報を取得してもよい。
【0085】
また、取得部21は、交通機関用情報処理装置70から、例えば駅Aの時刻表情報を取得(収集)し、記憶部30の交通機関情報33の時刻表(
図6参照)として登録する。
【0086】
推定部22は、複数のイベント情報などに基づいて、複数の施設100と駅Aとの間の移動経路Bにおける人流情報を推定する。例えば、イベント後の人流情報を推定する場合、推定部22は、記憶部30のイベント情報31および交通機関情報33を読み出し、各イベントの来場者数、各イベントの終了予定時刻、現在の移動経路Bおよび駅Aの混雑度、時刻表情報など各種の情報に基づいて、人流情報を推定する。言い換えると、推定部22は、複数のイベント情報等に基づいて移動経路Bにおける人流のシミュレーションを行って、イベント終了後の移動経路Bにおける人の流れを予測する。なお、イベント前の人流情報を推定する場合は、上記したイベントの終了予定時刻に代えて、イベントの開始予定時刻の情報が用いられる。
【0087】
一例として、推定部22は、推定モデルを利用して人流情報を推定する。推定モデルは、複数のイベント情報等における静的および動的な各種の情報を入力することによって、移動経路Bにおける人流情報を推定して出力する予測モデルである。なお、推定モデルは、過去のイベントで計測結果として得られた人流データ、イベント情報、交通機関の情報や天候等の環境情報に基づき予め生成されて記憶部30に格納される。なお、上記した人流情報の推定手法は、あくまでも例示であって限定されるものではない。
【0088】
人流情報には、各移動経路Bの移動に要すると推定される推定移動時間情報や、各移動経路B等において推定される推定混雑度情報などが含まれる。推定部22は、推定された人流情報を、記憶部30の人流情報32(
図5参照)として登録する。
【0089】
このように、本実施形態に係る推定部22にあっては、複数のイベント情報等を用いることで、複数の施設100でそれぞれ開催されるイベントの状況を反映させた人流情報を推定することができ、よって移動経路Bの混雑を効率良く緩和させることができる。
【0090】
また、推定部22は、イベント情報に変更が生じた場合、変更後のイベント情報に基づいて人流情報を再度推定してもよい。これにより、例えばイベントであるスポーツの試合内容などに応じて終了予定時刻が変更される場合であっても、推定部22は、変更後の終了予定時刻の情報(イベント情報の一例)を用いることで、現在のイベントの状況に即した人流情報を推定することができる。
【0091】
また、推定部22は、推奨移動経路情報を人流情報として推定することができる。例えば、推定部22は、移動経路Bが複数ある場合、イベント情報に基づいて、複数の移動経路BのうちユーザUに対して推奨する移動経路を示す推奨移動経路情報を人流情報として推定する。なお、推奨移動経路情報は、上記したように、ユーザUが混雑を回避してスムーズに移動可能な移動経路Bを示す情報である。かかる推奨移動経路情報は、後述するように、提供部23によってユーザUへ提供される。
【0092】
ここで、推奨移動経路の推定処理(決定処理)の一例について説明する。例えば、推定部22は、各移動経路Bの推定移動時間と推定混雑度とに基づいて、複数の移動経路Bの中から推奨移動経路を決定する。詳しくは、推定部22は、複数の移動経路Bのうち、推定移動時間が短い経路、また推定混雑度が低い経路を推奨移動経路として決定する。例えば、推定部22は、下記の式(1)で得られる算出値Cを移動経路Bごとに算出し、算出された算出値Cが小さい移動経路Bを、推奨移動経路として決定することができる。
算出値C=推定移動時間×係数a+推定混雑度×係数b ・・・式(1)
【0093】
なお、推奨移動経路は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。また、推定部22は、各移動経路Bの算出値Cが全て、基準値(例えば、イベントが開催されていない通常時の推定移動時間と推定混雑度とから得られる基準値)に係数cを乗算した値を超えた場合、複数の移動経路Bのいずれも推定移動時間が長く、また推定混雑度が高く、推奨移動経路として適切ではないと判定し、推奨移動経路を決定しない処理を行ってもよい。また、かかる場合、施設100に一時的に留まることを促す待機情報(後述)がユーザUに提供されてもよい。なお、上記した式(1)の係数aおよび係数b、係数cは、任意の値に設定可能である。
【0094】
なお、上記した移動経路Bの推定移動時間は、移動経路Bを形成する各区間の移動に要すると推定される移動時間の累積であってもよい。かかる区間は、例えば推定処理に用いられる単位区間(推定単位区間)であり、例えばナビゲーションの経路探索用リンク(一例としては交差点間)に相当する区間である。従って、推定部22は、例えば各推定単位区間ごとに、カメラ画像や区間長等に基づいて移動時間を算出し、算出された移動時間を移動経路Bを形成する区間で累積することで、推定移動時間を算出(推定)してもよい。また、推定混雑度について、推定部22は、例えば各推定単位区間ごとに混雑度を算出し、算出された混雑度を、移動経路Bを形成する区間の区間長で重み付き平均する処理等を行うことで、算出(推定)してもよい。
【0095】
また、推奨移動経路の推定処理の別の一例について、
図9を参照しつつ説明する。
図9は、制御部20で実行される各種の処理を説明する図である。
【0096】
図9に示すように、例えばイベント情報において、第1施設100aのイベントの終了予定時刻が18時30分、第2施設100bのイベントの終了予定時刻が19時であるものする。このように、各イベントの終了予定時刻の間に時間差(ここでは30分)がある場合、推定部22は、かかる時間差に応じて推奨移動経路を推定(決定)することができる。
【0097】
具体的に説明すると、施設100の最寄り駅である駅Aにおいて、混雑の発生を回避するには、第1施設100aのユーザU1の到着時間と第2施設100bのユーザU2の到着時間とが可能な限り重ならないことが望ましい、言い換えると、ユーザU1とユーザU2とが時間的に分散して駅Aに到着することが望ましい。
【0098】
そこで、推定部22は、先にイベントが終了する第1施設100aのユーザU1に対し、経路の長さが第2移動経路B2と比べて短い(すなわち移動時間が短い)第1移動経路B1を推奨移動経路として決定する。
【0099】
ここで、例えば仮に、第2施設100bのユーザU2が、イベント終了後、経路の長さが短い(すなわち移動時間が短い)第3移動経路B3で移動すると、ユーザU1が駅Aあるいは駅A付近にまだ残っていて、ユーザU1と駅Aや駅A付近で合流してしまい、混雑が生じるおそれがある。そこで、推定部22は、第2施設100bのユーザU2に対し、経路の長さが長い(すなわち移動時間が長い)第4移動経路B4を推奨移動経路として決定する。
【0100】
すなわち、推定部22は、終了予定時刻が早い施設100(第1施設100a)のユーザU1に対して、複数の移動経路Bのうち経路が短い移動経路(第1移動経路B1)を推奨移動経路とし、終了予定時刻が遅い方の施設100(第2施設100b)のユーザU2に対して、複数の移動経路Bのうち経路が長い移動経路(第4移動経路B4)を推奨移動経路とする。
【0101】
上記のような推奨移動経路情報がユーザU1,U2に提供されることで、ユーザU1,U2の目的地である駅Aにおいて、ユーザU1,U2は時間的に分散されて到着することとなり、駅Aにおける混雑の発生を回避することができ、またユーザU1,U2は混雑を回避してスムーズに移動することができる。
【0102】
このように、推定部22は、複数のイベントの終了予定時刻の間に時間差(差分)が所定時間以上ある場合、かかる時間差に応じて推奨移動経路を推定することができる。言い換えると、推定部22は、複数の施設100のそれぞれのユーザU1,U2であって、目的地が同じユーザU1,U2に対し、ユーザU1,U2の目的地への到着が時間的に分散するように、推奨移動経路を推定することができる。なお、上記した所定時間は、任意の値に設定可能である。
【0103】
図3の説明を続けると、提供部23は、推定された人流情報を提供する。例えば、提供部23は、人流情報を施設100を利用したユーザUに提供する、正確には人流情報をユーザUが所持する端末装置40(
図2参照)に提供する(送信する)。そして、端末装置40は、提供された人流情報を受信する。
【0104】
ここで、ユーザU(端末装置40)に提供される人流情報の一例について、
図10を参照して説明する。
図10は、ユーザUに提供される人流情報を説明する図である。なお、
図10では、第1施設100aのユーザU1に提供される人流情報が、端末装置40の表示部40aに表示された例を示している。
【0105】
図10に示すように、提供部23は、人流情報に含まれる混雑情報を提供する。詳しくは、提供部23は、移動経路B等において推定された推定混雑度情報をヒートマップ化して提供する。
【0106】
例えば、提供部23は、推定混雑度情報(混雑状況)に応じて移動経路Bの表示態様を変化させて端末装置40に表示させる。上記において変更させる表示態様としては、例えば移動経路Bの経路表示部分における色彩や、色の濃淡、模様や形状などであるが、これらは例示であって限定されるものではない。
【0107】
なお、
図10では、第1、第3移動経路B1,B3の推定混雑度情報が、混雑の発生が推定されることを示す情報であった場合、第1、第3移動経路B1,B3の経路表示部分を着色するなど、推定混雑度(混雑状況)を示す混雑表示が付加される例を示している。一方、第2、第4移動経路B2,B4の推定混雑度情報が、混雑が発生しないと推定されることを示す情報であった場合、第2、第4移動経路B2,B4の経路表示部分には、混雑表示が付加されない例を示している。なお、
図10に示す混雑表示の例では、混雑度が高くなるにつれてドットの密度が高くなるように表示される。
【0108】
このように、提供部23は、人流情報に含まれる混雑情報をヒートマップ化して提供することで、ユーザU1は、移動経路Bにおいて推定される混雑状況を容易に把握することができる。
【0109】
また、提供部23は、人流情報に含まれる推定移動時間情報、すなわち移動経路Bの移動に要すると推定される時間を示す情報を提供してもよい。なお、
図10では、第1移動経路B1の推定移動時間が「15分」であることを示す情報が表示欄41に表示され、第2移動経路B2の推定移動時間が「10分」であることを示す情報が表示欄42に表示される例を示している。
【0110】
これにより、ユーザU1は、例えば駅Aへ向かう際、推定移動時間情報や、上記したヒートマップ化した混雑情報などに基づいて、比較的混雑せずに空いている第2移動経路B2を選んで移動することが可能になる。そのため、第1施設100aから駅Aへ向かうユーザU1が複数の移動経路Bに分散され、混雑すると推定された第1移動経路B1が混雑しにくくなり、結果として第1移動経路B1の混雑を効率良く緩和させることができる。
【0111】
なお、上記では、提供部23は、人流情報をユーザUの端末装置40に提供する例を示したが、これに加えてあるいは代えて、例えば施設100の関係者が所持する端末装置などに提供してもよい。これにより、かかる関係者は、人流情報に基づいてユーザUが複数の移動経路Bに分散されるように適切に誘導することが可能になり、結果として移動経路Bの混雑を効率良く緩和させることができる。
【0112】
図3の説明を続けると、提供部23は、人流情報に基づいて、施設100を利用したユーザUに対して施設100に一時的に留まることを促す待機情報(言い換えると、待機を推奨する情報)を提供してもよい。
【0113】
一例として、提供部23は、人流情報に、移動経路Bや駅Aが混雑することを示す情報が含まれる場合、ユーザUの端末装置40に、例えば「駅Aまでの経路および駅Aの混雑が予測されます。施設100にしばらく留まることをお勧めします」など、待機を推奨するメッセージ情報を表示させてもよい。
【0114】
このような情報が端末装置40に表示されたユーザUのうち、一部あるいは全部が施設100に一時的に留まることで、混雑すると推定された移動経路B等が混雑しにくくなり、結果として移動経路B等の混雑を効率良く緩和させることができる。
【0115】
なお、提供部23は、人流情報に基づいて、移動経路Bの混雑が解消すると推定される時間を算出し、算出された時間を推奨待機時間情報としてユーザUに提供してもよい。これにより、ユーザUは、混雑回避のために施設100に留まっておくべき時間(待機すべき時間)を容易に把握することができる。
【0116】
また、提供部23は、人流情報に基づいて、施設100に対応する交通機関の運行調整に関する運行調整情報を生成することができ、生成された情報を記憶部30の交通機関情報33の運行調整情報(
図6参照)として登録する。
【0117】
一例として、提供部23は、人流情報に、移動経路Bや駅Aの混雑が推定されることを示す情報が含まれる場合、駅Aの輸送力を増加させるため、駅Aを発着する電車の運行本数を増加させること(増便)を示す運行調整情報を生成して登録する。
【0118】
続いて、提供部23は、適宜なタイミングで記憶部30の交通機関情報33を読み出し、運行調整情報を交通機関用情報処理装置70(
図2参照)へ提供する。交通機関用情報処理装置70は、提供された運行調整情報を受信し、受信された運行調整情報に応じて駅Aを発着する電車の運行本数を調整する処理(ここでは増便処理)を行う。
【0119】
これにより、駅Aの輸送力が増加することから、混雑すると推定された移動経路Bや駅Aが混雑しにくくなり、結果として移動経路Bや駅Aにおける混雑の発生を回避したり、混雑を効率良く緩和させたりすることができる。
【0120】
なお、上記では、運行調整情報が増便である例を示したが、これに限られず、例えば駅Aを発着する電車の行先変更など、混雑の発生の回避や混雑の緩和を目的としたものであれば、どのような調整内容であってもよい。
【0121】
付与部24は、施設100を利用したユーザUの行動情報に応じて、当該ユーザUに対して特典を付与する。例えば、付与部24は、記憶部30の人流情報32、ユーザ情報34および特典情報35などに基づいて、複数のユーザUの中から特典付与の対象となる対象ユーザを選択し、選択された対象ユーザに対して特典(例えばクーポンなど)を付与する。これにより、移動経路B等の混雑をより一層効率良く緩和させることができる。
【0122】
特典の付与処理について具体的に説明すると、付与部24は、人流情報に、移動経路Bや駅Aの混雑が推定されることを示す情報が含まれる場合、ユーザ位置情報などに基づいて、複数のユーザUの中から対象ユーザを選択する。詳しくは、付与部24は、複数のユーザUの中から、移動経路B等の混雑緩和や混雑発生の回避に貢献する行動(以下「混雑緩和行動」と記載する)を行ったユーザUを、対象ユーザとして選択する。
【0123】
ここで、付与部24による対象ユーザの選択処理を含む、特典の付与処理について
図9を参照しつつ説明する。
図9に示すように、例えば付与部24は、ユーザ位置情報に基づいて、ユーザU1やユーザU2が、イベント終了後、第1施設100aや第2施設100bに一時的に留まる行動をとった場合、混雑緩和行動を行ったと判定し、対象ユーザとして選択する。また、付与部24は、施設100に留まった待機時間を示す待機時間情報を、記憶部30においてユーザU1やユーザU2と対応するユーザ情報34の行動情報(
図7参照)として登録する。
【0124】
そして、付与部24は、ユーザ情報34および特典情報35(
図8参照)に基づいて、対象ユーザに対して特典を付与する。なお、特典の一例としては、移動経路B上の店舗110~140で利用可能なクーポンであるが、これに限られず、店舗110~140で利用可能なポイントなどその他の種類の特典であってもよい。また、上記したクーポンやポイントなどの特典は、例えば店舗110~140での決済に利用することができるが、これに限定されるものではなく、サービスなどに利用してもよい。
【0125】
具体例としては、付与部24は、ユーザU1が対象ユーザとして選択された場合、ユーザU1に対して、第1移動経路B1上の店舗110や第2移動経路B2上の店舗120の特典を付与する。
【0126】
本実施形態にあっては、特典の付与を行うことで、例えばイベント終了後に混雑緩和行動を行うユーザU1を増加させることができる。そして、混雑緩和行動を行うユーザU1の増加により、第1施設100aから第1移動経路B1等へ移動する人の数が減少し、結果として第1移動経路B1等や駅Aの混雑をより一層効率良く緩和させることができる。
【0127】
また、付与部24は、対象ユーザの待機時間情報に応じて特典の内容を変更してもよい。例えば、付与部24は、待機時間が長くなるにつれて店舗110,120での割引率が増加するなど特典の内容が良くなるようにして、特典の付与を行ってもよい。これにより、イベント終了後のユーザU1に対して、第1施設100aにより長い時間留まることを促すことが可能になる。
【0128】
また、上記では、第1、第2移動経路B1,B2上の店舗110,120の特典を付与したが、このとき、付与部24は、店舗110の特典と店舗120の特典とで内容を異ならせるようにしてもよい。すなわち、例えば付与部24は、第1移動経路B1に比べて混雑しないと推定される第2移動経路B2上の店舗120の特典の内容が、第1移動経路B1上の店舗110の特典の内容より良くなるようにして、特典の付与を行ってもよい。
【0129】
これにより、ユーザU1に対し、第1移動経路B1に比べて空いていると推定される第2移動経路B2への移動を促すことができる。従って、第1、第2移動経路B1,B2の混雑の均等化を図ることができ、よって移動経路B等の混雑をより一層効率良く緩和させることができる。
【0130】
また、混雑緩和行動には、上記したように、施設100の最寄りの駅である駅Aとは異なる駅Xへ向けて移動する行動が含まれてもよい。例えば、付与部24は、ユーザ位置情報に基づいて、第1施設100aを利用したユーザU3が、第1施設100aの最寄りの駅である駅Aとは異なる駅Xへ向けて第5移動経路B5を通って移動した場合、混雑緩和行動を行ったと判定し、対象ユーザとして選択する。また、付与部24は、ユーザU3の第5移動経路B5における移動距離を示す移動距離情報や、移動時間を示す移動時間情報を、記憶部30においてユーザU3と対応するユーザ情報34の行動情報(
図7参照)として登録する。
【0131】
そして、付与部24は、対象ユーザであるユーザU3に対して、第5移動経路B5上の店舗150や駅Xにある店舗160の特典を付与する。
【0132】
これにより、例えばイベント終了後に、駅Xへ移動する混雑緩和行動を行うユーザU3を増加させることができる。そして、混雑緩和行動を行うユーザU3の増加により、第1施設100aから第1移動経路B1等へ移動する人の数が減少し、結果として第1移動経路B1等や駅Aの混雑をより一層効率良く緩和させることができる。
【0133】
また、付与部24は、対象ユーザの移動距離情報あるいは移動時間情報に応じて特典の内容を変更してもよい。例えば、付与部24は、対象ユーザの移動距離が長くなるにつれて店舗150,160での特典の内容が良くなるようにして、特典の付与を行ってもよい。同様に、付与部24は、対象ユーザの移動時間が長くなるにつれて店舗150,160での特典の内容が良くなるようにして、特典の付与を行ってもよい。
【0134】
これにより、イベント終了後のユーザU3に対して、駅Xへ移動することを促すことが可能になる。また、ユーザU3が駅Xへ移動するときの移動距離や移動時間は、駅Aへ移動するときの移動距離や移動時間に比べて長くなることから、ユーザU3の健康促進を図ることも可能になる。
【0135】
また、付与部24は、上記した混雑緩和行動をとったユーザ以外のユーザU、すなわち混雑緩和行動をとっていないユーザUを、対象ユーザとして選択して特典を付与してもよい。
【0136】
例えば、付与部24は、ユーザ位置情報や現在の混雑情報に基づいて、混雑が発生している第1移動経路B1を移動するユーザU4を対象ユーザとして選択する。そして、付与部24は、対象ユーザであるユーザU4のユーザ位置情報に応じて、第1移動経路B1上の店舗110の特典をユーザU4に対して付与する。
【0137】
このように、ユーザU4を、第1移動経路B1上の店舗110に誘導し、店舗110に入店して留まることを促す。これにより、第1移動経路B1を移動する人数を減少させることができ、第1移動経路B1の混雑を効率良く緩和させることができる。また、ユーザU4が店舗110に一時的に留まることとなるため、第1移動経路B1から駅Aに流れる人数を時間的に分散させることができ、駅Aを含めた移動経路Bの混雑をより効率良く緩和させることができる。
【0138】
また、付与部24は、記憶部30のユーザ情報34の属性情報を読み出し、属性情報に応じた特典を対象ユーザに付与してもよい。例えば、付与部24は、ユーザUの属性(例えば年齢、性別、趣味など)に応じた特典を対象ユーザに付与してもよい。これにより、対象ユーザであるユーザUに適した特典を付与することができ、よってユーザUを店舗等へ効果的に誘導することが可能になる。
【0139】
なお、上記では、特典の内容を、店舗110~160で利用可能なクーポンとしたが、これに限られず、例えば施設100、駅Aや駅Xなどの交通機関の施設、交通機関の運賃で利用可能なクーポン等の特典であってもよく、任意に設定可能である。
【0140】
また、付与部24は、混雑緩和行動の内容と、混雑緩和行動に対応する特典とを示す特典リスト(特典の一覧)を事前にユーザUへ提供してもよい、正確にはユーザUが所持する端末装置40(
図2参照)に提供してもよい。なお、特典リストは、上記した人流情報とともに提供されるが、これに限定されるものではない。
【0141】
ここで、ユーザU(端末装置40)に提供される特典リストの一例について、
図11を参照して説明する。
図11は、ユーザUに提供される特典リストを説明する図である。なお、
図11では、第1施設100aのユーザU1に提供される特典リスト43が、端末装置40の表示部40aに表示された例を示している。
【0142】
図11に示すように、特典リスト43には、第1施設100aのユーザU1が混雑の緩和を目的としてとる行動の内容を示す情報と、かかる行動をとった場合に貰える特典の内容を示す情報とが含まれる。
図11の例では、ユーザU1が第1施設100aに10分留まる行動をとった場合、店舗110の買い物で10%割引となるクーポン(特典)が貰えることを示している。
【0143】
このように、付与部24が行動内容および特典内容を事前に提供することで、例えばユーザU1がより混雑緩和行動をとるようになることを期待でき、またユーザU1も満足できる特典を得ることができる。
【0144】
なお、上記した特典リストにおける行動内容および特典内容は、推定混雑度情報(混雑状況)などに応じて適宜に変更されてもよい。例えば、特典リストは、混雑緩和に対する影響が大きい行動や、行動自体の難易度が高くなるにつれて、割引率が増加するなど特典の内容が良くなるように変更されてもよい。また、特典リストも、例えば推定モデルを利用して生成することができるが、これに限定されるものではない。
【0145】
<情報処理装置の制御処理>
次に、情報処理装置10における具体的な処理手順の一例について
図12を用いて説明する。
図12は、情報処理装置10が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0146】
図12に示すように、情報処理装置10の制御部20は、複数の施設100でそれぞれ開催されるイベントに関する複数のイベント情報を取得する(ステップS10)。次いで、制御部20は、複数のイベント情報に基づいて人流情報を推定する(ステップS11)。
【0147】
次いで、制御部20は、推定された人流情報をユーザUなどへ提供する(ステップS12)。かかる人流情報には、上記したように、推定移動時間や推定混雑度、推奨移動経路などの情報の一部あるいは全部が含まれるが、これらの情報に限定されるものではない。
【0148】
次いで、制御部20は、特典付与の対象となる対象ユーザが選択されたか否かを判定する(ステップS13)。制御部20は、対象ユーザが選択されたと判定された場合(ステップS13,Yes)、対象ユーザに対して特典を付与する(ステップS14)。
【0149】
一方、制御部20は、対象ユーザが選択されていないと判定された場合(ステップS13,No)、ステップS14をスキップして処理を終了する。
【0150】
上述してきたように、実施形態に係る情報処理装置10は、取得部21と、推定部22とを備える。取得部21は、複数のイベント施設(施設100)でそれぞれ開催されるイベントに関する複数のイベント情報を取得する。推定部22は、取得部21によって取得された複数のイベント情報に基づいて、複数の施設100と駅A(所定地点の一例)との間の移動経路Bにおける人の流れに関する人流情報を推定する。これにより、複数の施設100でそれぞれイベントが開催される場合であっても、複数の施設100からの移動経路Bの混雑を効率良く緩和させることができる。
【0151】
なお、上記では、情報処理装置10が人流情報の推定や特典の付与など各種の処理を行うようにしたが、各種の処理が行われる装置は、情報処理装置10に限定されるものではない。すなわち、情報処理装置10で行われる処理の一部あるいは全部が、端末装置40、イベント施設用情報処理装置50a,50b、交通機関用情報処理装置70で行われるようにしてもよい。
【0152】
(第1変形例)
次いで、第1変形例に係る情報処理装置10を含む情報処理システム1について説明する。上記した実施形態に係る情報処理システム1においては、1つの情報処理装置10が、複数のイベント情報を取得し、取得された複数のイベント情報に基づいて人流情報を推定したが、複数のイベント情報に基づいて人流情報を推定する構成はこれに限られない。
【0153】
図13Aは、第1変形例に係る情報処理システム1の構成例を示すブロック図である。なお、以下においては、実施形態と共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0154】
図13Aに示すように、第1変形例に係る情報処理システム1は、第1情報処理装置10aと、第2情報処理装置10bと、統合情報処理装置10cとを備える。なお、第1情報処理装置10a、第2情報処理装置10bおよび統合情報処理装置10cはいずれも、情報処理装置10の一例である。詳しくは、第1、第2情報処理装置10a,10bおよび統合情報処理装置10cは、実施形態に係る情報処理装置10と同様なサーバであり、情報処理装置10の機能の一部または全部を有している。
【0155】
第1情報処理装置10aは、第1施設100aに対応する装置である。言い換えると、第1情報処理装置10aは、第1施設100aのイベントによって混雑などの影響を受ける第1範囲Y1に対応する装置である。第1情報処理装置10aは、例えば第1範囲Y1内に存在する端末装置40や定点カメラ60、第1施設100aのイベント施設用情報処理装置50a、および、統合情報処理装置10cと通信可能に接続される。
【0156】
第2情報処理装置10bは、第2施設100bに対応する装置である。言い換えると、第2情報処理装置10bは、第2施設100bのイベントによって混雑などの影響を受ける第2範囲Y2に対応する装置である。第2情報処理装置10bは、例えば第2範囲Y2内に存在する端末装置40や定点カメラ60、第2施設100bのイベント施設用情報処理装置50b、および、統合情報処理装置10cと通信可能に接続される。なお、第1範囲Y1と第2範囲Y2とは、一部あるいは全部の範囲で重複するが、これに限定されるものではない。
【0157】
統合情報処理装置10cは、第1情報処理装置10aや第2情報処理装置10bなどを統合する装置である。また、統合情報処理装置10cは、第1範囲Y1内に存在する端末装置40や定点カメラ60、第2範囲Y2内に存在する端末装置40や定点カメラ60と通信可能に接続され、各種情報を取得することができる。
【0158】
統合情報処理装置10cは、統合する情報処理装置の範囲である統合範囲Yaを設定することができる。
図13Aでは、統合範囲Yaは、第1範囲Y1および第2範囲Y2が設定される例を示している。なお、上記では、統合範囲Yaが第1、第2範囲Y1,Y2の2つの範囲に設定される例を示したが、これに限られず、3つ以上の範囲に設定されてもよい。
【0159】
上記のように構成された統合情報処理装置10cは、第1範囲Y1に対応する第1施設100aのイベントに関するイベント情報(以下「第1イベント情報」と記載する場合がある)を第1情報処理装置10aから取得する。また、第2範囲Y2に対応する第2施設100bのイベントに関するイベント情報(以下「第2イベント情報」と記載する場合がある)を第2情報処理装置10bから取得する。そして、統合情報処理装置10cは、取得された第1、第2イベント情報を合成して人流情報を推定する。
【0160】
また、統合情報処理装置10cは、第1、第2範囲Y1,Y2内に存在する定点カメラ60からカメラ画像を取得して、カメラ画像に基づいて現在の混雑情報を取得してもよい。統合情報処理装置10cは、第1、第2範囲Y1,Y2内に存在する端末装置40からユーザ位置情報や属性情報を取得してもよい。
【0161】
このように、第1変形例においては、統合情報処理装置10cが、第1、第2イベント情報やカメラ画像、ユーザ位置情報など各種の情報を取得(収集)して合成し、人流情報を推定することで、上記した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0162】
(第2変形例)
次いで、第2変形例に係る情報処理装置10を含む情報処理システム1について
図13Bを参照して説明する。
図13Bは、第2変形例に係る情報処理システム1の構成例を示すブロック図である。なお、以下においては、第1変形例と共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0163】
図13Bに示すように、第1情報処理装置10aは、第1施設100aで開催されるイベントに関する第1イベント情報を収集する。また、第1情報処理装置10aは、第1範囲Y1内に存在する定点カメラ60からカメラ画像を収集する。また、第1情報処理装置10aは、第1範囲Y1内に存在する端末装置40からユーザ位置情報や属性情報を収集する。そして、第1情報処理装置10aは、収集された第1イベント情報やカメラ画像、ユーザ位置情報、属性情報など各種の情報を統合情報処理装置10cへ提供する(送信する)。
【0164】
第2情報処理装置10bは、第2施設100bで開催されるイベントに関する第2イベント情報を収集する。また、第2情報処理装置10bは、第2範囲Y2内に存在する定点カメラ60からカメラ画像を収集する。また、第2情報処理装置10bは、第2範囲Y2内に存在する端末装置40からユーザ位置情報や属性情報を収集する。そして、第2情報処理装置10bは、収集された第2イベント情報やカメラ画像、ユーザ位置情報、属性情報など各種の情報を統合情報処理装置10cへ提供する(送信する)。
【0165】
統合情報処理装置10cは、第1情報処理装置10aから第1イベント情報を取得するとともに、第2情報処理装置10bから第2イベント情報を取得する。そして、統合情報処理装置10cは、取得された第1イベント情報および第2イベント情報に基づいて人流情報を推定する。言い換えると、統合情報処理装置10cは、取得された第1、第2イベント情報を合成して人流情報を推定する。
【0166】
また、統合情報処理装置10cは、第1、第2情報処理装置10a,10bから第1、第2範囲Y1,Y2内に存在する定点カメラ60のカメラ画像を取得して、カメラ画像に基づいて現在の混雑情報を取得してもよい。統合情報処理装置10cは、第1、第2情報処理装置10a,10bから第1、第2範囲Y1,Y2内に存在するユーザU(端末装置40)のユーザ位置情報や属性情報を取得してもよい。
【0167】
このように、第2変形例においては、統合情報処理装置10cが、第1、第2情報処理装置10a,10bから第1、第2イベント情報やカメラ画像、ユーザ位置情報など各種の情報を取得して合成し、人流情報を推定することで、上記した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0168】
(第3変形例)
次いで、第3変形例に係る情報処理装置10を含む情報処理システム1について
図13Cを参照して説明する。
図13Cは、第3変形例に係る情報処理システム1の構成例を示すブロック図である。
【0169】
図13Cに示すように、第1情報処理装置10aは、第1施設100aで開催されるイベントに関する第1イベント情報を取得する。第1情報処理装置10aは、取得された第1イベント情報に基づいて第1施設100aと駅A(所定地点の一例)との間の移動経路Bにおける人の流れに関する人流情報(以下「第1人流情報」と記載する場合がある)を推定する。
【0170】
また、第1情報処理装置10aは、第1範囲Y1内に存在する定点カメラ60からカメラ画像を取得し、カメラ画像に基づいて第1範囲Y1の現在の混雑情報を取得してもよい。また、第1情報処理装置10aは、第1範囲Y1内に存在する端末装置40からユーザ位置情報や属性情報を取得してもよい。そして、第1情報処理装置10aは、推定された第1人流情報、取得された第1範囲Y1の混雑情報やユーザ位置情報、属性情報など各種の情報を統合情報処理装置10cへ提供する(送信する)。なお、第1情報処理装置10aは、第1人流情報とともに、第1イベント情報を統合情報処理装置10cへ提供してもよい。
【0171】
第2情報処理装置10bは、第2施設100bで開催されるイベントに関する第2イベント情報を取得する。第2情報処理装置10bは、取得された第2イベント情報に基づいて第2施設100bと駅A(所定地点の一例)との間の移動経路Bにおける人の流れに関する人流情報(以下「第2人流情報」と記載する場合がある)を推定する。
【0172】
また、第2情報処理装置10bは、第2範囲Y2内に存在する定点カメラ60からカメラ画像を取得し、カメラ画像に基づいて第2範囲Y2の現在の混雑情報を取得してもよい。また、第2情報処理装置10bは、第2範囲Y2内に存在する端末装置40からユーザ位置情報や属性情報を取得してもよい。そして、第2情報処理装置10bは、推定された第2人流情報、取得された第2範囲Y2の混雑情報やユーザ位置情報、属性情報など各種の情報を統合情報処理装置10cへ提供する(送信する)。なお、第2情報処理装置10bは、第2人流情報とともに、第2イベント情報を統合情報処理装置10cへ提供してもよい。
【0173】
統合情報処理装置10cは、第1情報処理装置10aから第1人流情報を取得するとともに、第2情報処理装置10bから第2人流情報を取得する。そして、統合情報処理装置10cは、取得された第1人流情報および第2人流情報を合成する。
【0174】
例えば、統合情報処理装置10cは、第1人流情報および第2人流情報において同一時間での人流情報(人流データ)を和処理して(重畳させて)、第1、第2人流情報を合成するが、合成の手法はこれに限定されるものではない。例えば、人流情報を合成においては、任意のアルゴリズムを用いて予め生成された合成モデルを利用してもよい。なお、合成モデルは、過去のイベントで計測結果として得られた人流データ、イベント情報等に基づき予め生成されてもよいし、第1、第2施設100a,100bとは異なる他の隣接した施設における過去のイベントでの人流データ、イベント情報等に基づき予め生成されてもよい。
【0175】
また、統合情報処理装置10cは、第1、第2情報処理装置10a,10bから第1、第2範囲Y1,Y2の現在の混雑情報を取得してもよい。統合情報処理装置10cは、第1、第2情報処理装置10a,10bから第1、第2範囲Y1,Y2内に存在するユーザU(端末装置40)のユーザ位置情報や属性情報を取得してもよい。
【0176】
このように、第3変形例においては、第1情報処理装置10aが第1イベント情報を取得して第1人流情報を推定し、第2情報処理装置10bが第2イベント情報を取得して第1人流情報を推定し、統合情報処理装置10cが、第1、第2情報処理装置10a,10bから第1、第2人流情報など各種の情報を取得して合成することで、上記した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0177】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0178】
10 情報処理装置
20 制御部
21 取得部
22 推定部
23 提供部
24 付与部