(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20241113BHJP
F21V 3/00 20150101ALI20241113BHJP
F21V 3/02 20060101ALI20241113BHJP
F21V 7/05 20060101ALI20241113BHJP
F21V 13/02 20060101ALI20241113BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20241113BHJP
F21Y 103/10 20160101ALN20241113BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241113BHJP
【FI】
F21S2/00 230
F21V3/00 320
F21V3/02 500
F21V7/05
F21V13/02 100
F21V17/00 155
F21V17/00 250
F21Y103:10
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2021011977
(22)【出願日】2021-01-28
【審査請求日】2023-11-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.刊行物発表 発行者 DNライティング株式会社 刊行物 DNL 総合カタログ LED CATALOG 2021 発行日 令和3年1月22日 2.ウエブサイト発表 掲載年月日 令和3年1月26日 掲載アドレス https://www.dnlighting.co.jp/index.html (1)WEBカタログのアドレス https://dnlighting.icata.net/iportal/CatalogViewInterfaceStartUpAction.do?method=startUp&mode=PAGE&volumeID=DNL00001&catalogId=730960000&pageGroupId=1&designID=DNL001&catalogCategoryId=&designConfirmFlg=&keyword= (2)PDFのアドレス https://www.dnlighting.co.jp/dcms_media/other/sougou_202101.pdf
(73)【特許権者】
【識別番号】000111166
【氏名又は名称】DNライティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】露木 裕
(72)【発明者】
【氏名】伊勢田 幸祐
(72)【発明者】
【氏名】宇藤山 肇
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-109996(JP,A)
【文献】特開2019-192534(JP,A)
【文献】特開2017-107681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 3/00
F21V 7/00
F21V 13/00
F21V 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口している、長手方向に延びる長尺の筐体と、
該筐体内に保持される、前記長手方向に所定間隔を空けて列設された複数の光源を有する、前記長手方向に延びる長尺の照明体と、
前記筐体の開口位置に保持されて前記開口を覆う、前記長手方向に延びるカバーとを備え、
前記カバーが、
前記筐体の開口を覆う、前記光源から出射された光を拡散透過させる光拡散透過体と、
前記筐体の内部であって前記光源よりも上方に位置する空間内で、前記光拡散透過体の短手方向の端部か
ら下方に向けて延びる、前記照明体からの光を前記光拡散透過体に向けて反射する反射面を有する光反射体とを有している
ことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記反射面が、長手方向視において、前記光拡散透過体の発光面に対して65°~75°の角度で短手方向内側かつ下方に向けて傾斜した傾斜反射面である
ことを特徴とする請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記反射面が、長手方向視において、前記光拡散透過体の発光面に対して85°~95°の角度で下方に向けて延びる縦反射面と、該縦反射面の下方に位置する前記傾斜反射面とを有している
ことを特徴とする請求項2記載の照明器具。
【請求項4】
前記カバーが、
前記光拡散透過体の短手方向の端部から前記筐体の内部に向けて延びる、前記筐体に取り付けられる取付部を備え、
前記光反射体が前記取付部の下端から前記筐体内で下方に向けて延びている
ことを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の照明器具。
【請求項5】
前記カバーが、
前記光拡散透過体の短手方向の端部から前記筐体の内部に向けて延びる、前記光反射体の一部を構成する、前記筐体に取り付けられる取付部を備え、
前記光反射体の他部が前記取付部の下端から前記筐体内で下方に向けて延びており、
前記取付部の短手方向内側を向く内面が前記縦反射面である
ことを特徴とする請求項
3記載の照明器具。
【請求項6】
前記取付部の下端から下方に延びる前記光反射体の
他部の短手方向内側を向く内面が前記傾斜反射面である
ことを特徴とする請求項5記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井等の被取付部に取り付けて使用される長尺の照明器具であって、特に光源から出射された光を透過させるカバーの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天井等の被取付部に取り付けて使用される長尺の照明器具、例えば直線的に延びた長尺の照明器具が知られている。そのような照明器具は、例えば、長尺の筐体内に長尺の照明体を収容し、この照明体を透光性のカバー、例えば光拡散性を有する透光性の乳白色の合成樹脂製カバーで覆って構成されている。また、照明体としては、例えば長尺の印刷配線基板上に所定間隔をおいて列状に複数のLED発光素子等の光源を配設したものが用いられる。そのような照明器具として、例えば特許文献1に記載されているような照明器具が知られている。
【0003】
また、特許文献2に示されているように、照明器具の長さが長く複数個の照明体を筐体内に直列配置する場合、あるいは、照明器具の長さが照明体の整数倍に合致しない場合等において、主照明体と副照明体とを一部を重複させて上下に配置することで全長にわたって暗部が存在しない明るい照明器具を得るようにした構造が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3217460号公報
【文献】特開2020-13614053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の上記のような照明器具においては、照明体の光源から出射された光をカバーの表面である発光面に向けて必ずしも有効に導くことができず、光源から出射された光の取り出し効率をさらに向上させたいという要望があった。
【0006】
また、カバーの表面である発光面の明るさにムラが生じ、例えば短手方向中央部分が短手方向端部分に比して長手方向に線状に明るくなり、明るさの均一性に欠ける傾向があるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、上記事情に鑑み、照明体の光源から出射された光を効率よくカバーの発光面に導くことができ、光の取り出し効率を向上させてより明るい照明を可能とした照明器具を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、上記事情に鑑み、カバーの発光面の明るさムラを低減し、ムラなく明るい長尺照明を実現することができる照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る照明器具は、
上面が開口している、長手方向に延びる長尺の筐体と、
該筐体内に保持される、前記長手方向に所定間隔を空けて列設された複数の光源を有する、前記長手方向に延びる長尺の照明体と、
前記筐体の開口位置に保持されて前記開口を覆う、前記長手方向に延びるカバーとを備え、
前記カバーが、
前記筐体の開口を覆う、前記光源から出射された光を拡散透過させる光拡散透過体と、
該光拡散透過体の短手方向の端部から前記筐体の内部において下方に向けて延びる、前記照明体からの光を前記光拡散透過体に向けて反射する反射面を有する光反射体とを有している
ことを特徴とする。
【0010】
前記照明器具においては、
前記反射面を、長手方向視において、前記光拡散透過体の発光面に対して65°~75°の角度で短手方向内側かつ下方に向けて傾斜した傾斜反射面とすることができる。
【0011】
前記照明器具においては、
前記反射面を、長手方向視において、前記光拡散透過体の発光面に対して85°~95°の角度で下方に向けて延びる縦反射面と、該縦反射面の下方に位置する前記傾斜反射面とで構成することができる。
【0012】
前記照明器具においては、
前記カバーが、
前記光拡散透過体の短手方向の端部から前記筐体の内部に向けて延びる、前記筐体に取り付けられる取付部を備え、
前記光反射体が前記取付部の下端から前記筐体内で下方に向けて延びている構成とすることができる。
【0013】
前記照明器具においては、
前記取付部が前記光反射体の一部であって前記取付部の短手方向内側を向く内面を前記縦反射面とすることができる。
【0014】
前記照明器具においては、
前記取付部の下端から下方に延びる前記光反射体の前記短手方向内側を向く内面を前記傾斜反射面とすることができる。
【0015】
上記において、「下方に向けて」とは、下方に向く成分を有する方向を意味し、「下方」とは、カバーから照明体に向かう方向を意味する。また、「端部から延びる」は、端部から直接延びる場合と何らかの部材あるいは部分を介して延びる場合の両方を含む。さらに、「発光面に対する角度」とは、長手方向視において、発光面が直線である場合はその直線に対する角度を、発光面が直線でない場合は発光面の短手方向両端を結ぶ線に対する角度を意味する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る照明器具は、カバーの一部として、光拡散透過体と一体的に該光拡散透過体から筐体内に延びる光反射体を設け、この光反射体により光源からの光を光拡散透過体に向けて反射させるように構成されているので、光源からの光を効率よく光拡散透過体に導くことができ、光の取り出し効率を向上させてより明るい照明器具を得ることができるとともに、光反射体をカバーの一部として光拡散透過体と一体的に形成したので、構造の簡素化および組付けの容易化を図ることができる。
【0017】
また、本発明に係る照明器具は、前記反射面を、長手方向視において、前記光拡散透過体の発光面に対して65°~75°の角度で短手方向内側かつ下方に向けて傾斜した傾斜反射面とすることにより、この傾斜反射面により発光面の短手方向端部近傍に向けて光を反射させることができ、短手方向中央部が短手方向端部近傍に比して明るいという明るさムラを低減することができ、より均一な明るさの照明器具を得ることができる。
【0018】
また、本発明に係る照明器具は、前記反射面を、長手方向視において、前記光拡散透過体の発光面に対して85°~95°の角度で下方に向けて延びる縦反射面と、該縦反射面の下方に位置する前記傾斜反射面とで構成することにより、光拡散透過体の発光面における明るさの均一化をより高度に実現することができる。
【0019】
また、本発明に係る照明器具は、前記カバーが、前記光拡散透過体の短手方向の端部から前記筐体の内部に向けて延びる、前記筐体に取り付けられる取付部を備え、前記光反射体が前記取付部の下端から前記筐体の短手方向中央かつ下方に向けて延びる構成とすることにより、光反射体を備えたカバーとして、より簡単かつ単純な構造のものとすることができるとともに組立ての容易化を図ることができる。
【0020】
また、本発明に係る照明体は、前記取付部が前記光反射体の一部であり、かつ、前記取付部の内面が前記縦反射面である構成とすることにより、光反射体を備えたカバーとして、さらに簡単かつ単純な構造のものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る照明器具の一実施形態の分解斜視図
【
図2】
図1に示す照明器具の組立状態かつサイドキャップを除いた状態の長手方向から見た図
【
図3】
図1に示す照明器具の組立状態の側方から見た概略図
【
図4】
図1に示すカバーの長手方向から見た拡大端面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0023】
本明細書においては、照明器具1および照明器具1を構成する各構成要素について、
図1中の矢印Xで示す方向を長手方向、長手方向に直交する
図1中の矢印Yで示す方向を短手方向、長手方向および短手方向に直交する
図1中の矢印Zで示す方向を上下方向と称し、かつ、上下方向のうち、
図1中の矢印Zの先に「上」と記している側を上、「下」と記している側を下と、短手方向のうち、
図1中の矢印Yの先に「左」と記している側を左、「右」と記している側を右と称する。
【0024】
図1は本発明に係る照明器具の一実施形態の分解斜視図、
図2は
図1に示す照明器具の組立状態かつサイドキャップを除いた状態の長手方向から見た図である。なお、
図2においては主照明体および副照明体から延びる電線およびコネクタの図示を省略し、主照明体は長手方向に直交する面で切断した断面を示している。
【0025】
図1および
図2に示す本実施形態の照明器具1は、天井や壁あるいは商品陳列棚等の被取付部に取り付けて使用される長尺の照明器具1であって、図示のように、長尺の筐体10と、長尺の主照明体20と、長尺の副照明体30と、長尺の主照明体クリップ40と、長尺のカバー50と、サイドキャップ60とを備えている。
【0026】
[筐体]
筐体10は、長手方向に延びる長尺の筐体であって、遮光性の材料で形成されている。本実施形態ではアルミニウムの押出成形により形成されている。筐体10は、長手方向に延びる底板11と、底板11の短手方向両端部即ち左右の端部から各々上方に向けて立ち上がって底板11と平行に長手方向に延びる左右の側板12とを備えた、上面が開口している、即ち上端開口の概略コ字状の断面形状を有している。
【0027】
筐体10は、長手方向の両端部において底板11に電線を挿通するための電線挿通切欠11aが形成されている点を除き、長手方向全長に亘って同一の断面形状(
図2に示す形状)を有している。電線挿通切欠11aは、筐体10の長手方向両端部に、それぞれ底板11の端から長手方向内側に向かって所定長延びる切欠であり、後述するサイドキャップ60を筐体10に取り付けたときにサイドキャップの電線挿通孔61aと重なる位置に形成された電線挿通孔61aに対応した大きさを有する切欠である。なお、電線挿通切欠11aは必要に応じて設ければよいものであり、例えば底板11の長手方向一端にのみ設けることもできる。
【0028】
図2に示されているように、左右の側板12の内面には、底板11側から上方に向かって順次、連結用突板条12a、主照明体20を保持する主照明体クリップ40を挟持するクリップ用下突板条12bとクリップ用上突条12c、副照明体30の上方即ち筐体の底板11からカバー50に向かう方向への抜け出しを阻止する副照明体用突条12d、および、カバー50を係止するためのカバー係止用突条12eが、それぞれ筐体10の内部に突出し長手方向に延びて形成されている。
【0029】
[主照明体]
主照明体20は、
図1および
図2に示すように、長手方向に延びる長尺の透明チューブ21の内部に、複数の光源としてのLED発光素子22が1列に配設されてなるものである。複数のLED発光素子22は、支持体としての長尺の印刷配線基板23の一表面上に、抵抗等その他の素子と共に、基板23の長手方向に所定間隔をおいて並べて設けられている。チューブ21は、例えばシリコン等の可撓性を有する半透明の軟質合成樹脂を用いて角筒状に形成され、その中空部分内にLED発光素子22を備えた基板23が挿入されている。主照明体20は全体として可撓性を有し、上下方向に湾曲可能である。
【0030】
主照明体20は、
図1に示す通り、一端側に基板23に接続された電線24を介して入力側コネクタ25が接続され、他端側に同じく基板23に接続された電線26を介して送り側コネクタ27が接続されている。入力側コネクタ25と送り側コネクタ27とは互いに嵌合して電気的に接続可能に構成されている。
【0031】
[副照明体]
図1および
図2に示すように、副照明体30は、長手方向に延びる長尺のケース31の内部に、複数の光源としてのLED発光素子32が1列に配設されてなるものである。複数のLED発光素子32は、支持体としての長尺の印刷配線基板33の一表面上に、抵抗等その他の素子と共に、基板33の長手方向に所定間隔をおいて並べて設けられている。ケース31は、透光性かつ光拡散性を有する乳白半透明の硬質合成樹脂により長手方向両端が閉じられた断面略半円筒状に形成されて、その中空部分にLED発光素子32を備えた基板33が挿入されている。
【0032】
ケース31には、短手方向左右側面から、下方に向けて斜めに延びる下方延出片34と、上方に向けて斜めに延びる上方延出片35とが設けられている。また、ケース31の下面からはそれぞれ印刷配線基板33に接続された2組の電線が延びており、一方の電線には入力側コネクタ36が、他方の電線には送り側コネクタ37が接続されている。副照明体30の入力側コネクタ36および送り側コネクタ37は、主照明体20の入力側コネクタ25および送り側コネクタ27と同一構造である。
【0033】
[主照明体クリップ]
主照明体クリップ40は、硬質合成樹脂製であり、底板41と、底板41の短手方向両端から上方かつ短手方向外側に向けて斜めに延びる側板42とを有し、両側板42の間に底板41から上方に向けて延びる2枚の保持板43が形成されており、底板41と左右の保持板43とで主照明体20が嵌入保持される主照明体保持空間44が形成されている。
【0034】
[カバー]
カバー50は、主照明体20および副照明体30を覆い、主照明体20および副照明体30から出射された照明光を透過させるとともに透過する際に拡散させて外部に出射させるものである。カバー50は、長手方向に延びる硬質合成樹脂製の光拡散性と光透過性を有する乳白色の光拡散透過体51と、光拡散透過体51の短手方向左右両端部からそれぞれ立ち下がって光拡散透過体51と平行に延びる硬質合成樹脂製の光反射体52とを有する。光拡散透過体51は乳白半透明で、光反射体52は白色で光不透過性(遮光性)の材料で形成されている。光拡散透過体51と光反射体52とは接合された状態で2色形成により一体成形されている。左右の光反射体52は、それぞれ短手方向中央かつ下方に向けて傾斜して延びており、外側面に長手方向に延びる取付用突条53を備えている。
【0035】
[サイドキャップ]
筐体10の長手方向両端にはサイドキャップ60が取り付けられる。各サイドキャップ60は、基部61と、基部61の外端部から立ち上がった蓋板62とを有する。サイドキャップ60は例えば硬質合成樹脂から形成される。基部61は筐体内に嵌入されて筐体の底板11上に位置する部分であり、電線挿通孔61aが形成されると共に止めネジ61bが螺合されている。
【0036】
[照明器具の組立て]
照明器具1の組立てについて説明する。まず、筐体10の長手方向両端にサイドキャップ60を取り付ける。サイドキャップ60の取り付けは、サイドキャップの基部61を筐体10内の底板11と連結用突板条12aとの間に挿入し、蓋板62が筐体10の長手方向端部に当接するまで押し込み、止めネジ61bを六角レンチで回して底板11に向けて突出させることにより、基部61の上面を連結用突板条12aの下面に圧接して筐体10に連結固定することにより行う。
【0037】
次に、主照明体20を筐体10内に組み込む。まず、主照明体20を主照明体クリップ40の主照明体保持空間44に、
図2に示す状態となるよう嵌入して組み込む。この嵌入は、主照明体のチューブ21が上述のように軟性合成樹脂により形成されており弾性変形可能であることから、チューブ21を圧縮変形させながら押し込むことにより容易に行うことができる。主照明体クリップ40に主照明体20を組み込んだ状態で主照明体クリップ40ごと主照明体20を、筐体10の上端開口を通して下降させ、主照明体クリップの底板41が筐体側板のクリップ用下突板条12bの上面に当接する位置まで押し込んで組み込む。このとき、主照明体クリップの側板42は、硬質合成樹脂製であって短手方向内側に向けて弾性変形可能であるので、下降時に短手方向中央側に向けて変形しながらクリップ用上突条12cを乗り越え、乗り超えた後に短手方向外側に開き側板42の上端がクリップ用上突条12cの下側に入り込みクリップ用上突条12cの下面に当接した状態で筐体10内に保持される。
【0038】
次いで、副照明体30を組み込む。組み込む前に、主照明体の送り側コネクタ27を副照明体の入力側コネクタ36に嵌合させて電気的接続を行う。その後、副照明体30を筐体10の上方から筐体10の上端開口を通して下降させて筐体10内部に挿入する。このとき、副照明体の下方延出片34の下端が、
図2に示すように、主照明体クリップの底板41の上面に当接する位置まで押し込む。このとき、副照明体の上方延出片35は硬質合成樹脂製であって弾性変形可能であるので、短手方向内側に向けて弾性変形しながら副照明体用突条12dを乗り越え、副照明体用突条12dを乗り越えた後に短手方向外側に向けて開き副照明体用突条12dの下側に入り込んだ状態で筐体10内に保持される。
【0039】
本実施形態では、筐体10の長手方向長が主照明体20の長手方向長よりも長いことから、副照明体30を用いてかつ主照明体20と副照明体30とを一部重複させることにより、筐体10の長手方向全長にわたって連続照明可能としたものであり、主照明体20と副照明体30との重複長は任意に変更できる構造であることから、種々の長さの筐体10において全長域にわたって連続照明が可能である。
【0040】
次いで、カバー50を取り付ける。カバー50は、光反射体52の側から筐体10の上端開口に押し込む。それにより、左右の光反射体52が短手方向内側に向けて弾性変形しながら取付用突条53が筐体の左右側板のカバー係止用突条12eを乗り越え、乗り越えた後光反射体52が短手方向外側に向けて開き取付用突条53がカバー係止用突条12eの下側に嵌まり込み、
図2に示すように筐体10に係止される。カバー50は、長手方向両端が筐体10の長手方向両端に位置し、筐体10の長手方向全域を覆っている。また、
図2に示すように、光反射体52はそれぞれ筐体10内部において短手方向内側かつ下方に向けて斜めに傾斜して延びている。
【0041】
上述の様にして組み立てられた本実施形態の照明器具1を側方、つまり
図1中の短手方向右から左に向けて見た概念図を
図3に示す。
図3に示すように、筐体10内に主照明体20と副照明体30が上下に一部重複させた状態で筐体の長手方向全域にわたって配置されており、主照明体の送り側コネクタ27が副照明体の入力側コネクタ36に嵌合されて両照明体20,30は電気的接続され、主照明体の入力側コネクタ25は筐体10外部に引き出され、図示しない外部の直流電源側のコネクタに接続することにより、主照明体20および副照明体30が点灯可能である。
【0042】
[光反射体]
次に、カバーの光反射体51について詳細に説明する。上述のように、カバー50は光拡散透過体51と光拡散透過体51の短手方向左右両端部から下方に向けて筐体10の内部に延びる光反射体52とを備えている。光反射体52は、白色かつ光不透過性の硬質合成樹脂により形成されており、光反射体52の内面(短手方向内側の面)は光を反射する反射面54として機能する。本実施形態では、反射面54は、光拡散透過体51から延びる、つまり上方に位置する縦反射面54aと、縦反射面54aの下端から延びる傾斜反射面54bとで構成されている。
【0043】
縦反射面54aは、光拡散透過体51の発光面51aすなわち光拡散透過体51の外表面(
図2、
図4において上面)に対して、長手方向視において、αa=90°の角度をなしている。また、傾斜反射面54bは、光拡散透過体の発光面51aに対して、長手方向視において、αb=70°の角度をなしている。また、光反射体52の上方部分は取付部55を兼用しており、取付部55の内面が縦反射面54aを構成するとともに、取付部55の外面側には上述の取付用突条53が形成されており、この取付用突条53が筐体側板のカバー係止用突条12eの下側に位置してカバー50全体の筐体10からの抜け出しを阻止している。
【0044】
光反射体52は、
図5の(A)および(B)に示す態様とすることもできる。
図5(A)の上図は、反射面54が光拡散透過体の発光面51aに対して直角に90°の角度で下方に向けて延びた光反射体52を示すものであり、下図は上図に示す光反射体52を設けた場合の発光面51aにおける輝度分布を示すグラフである。
図5(B)の上図は、反射面54が光拡散透過体の発光面51aに対して70°の角度で下方に向けて延びた光反射体52を示すものであり、下図は上図に示す光反射体52を設けた場合の発光面51aにおける輝度分布を示すグラフである。
【0045】
図5(A)に示す反射面54が発光面51aに対し90°の角度をなす縦反射面54aのみの場合は、光を反射させて発光面51aをより明るくでき光の取り出し効率の向上を図ることはできるものの、下図のグラフに示すように、発光面51aの短手方向中央部分が短手方向両端部分よりも明るいという明るさムラの解消は十分にはなされていない。これに対し、
図5(B)に示す反射面54が発光面51aに対し70°の角度をなす傾斜反射面54bのみの場合は、光をより短手方向両端部に向けて反射させることができ、下図のグラフに示すように、短手方向両端部分の明るさを向上させて、発光面51aの短手方向の明るさをより均一化し、輝度ムラをより低減することができる。
【0046】
上述のように、
図5(B)に示すように反射面を傾斜反射面とすることにより、輝度ムラをより低減することができるが、
図5(B)の下図に示されているように、発光面51aの短手方向両端部分に少し光が集まりすぎ、両端部分と中央部分との間に少し輝度が低い部分が生じる。この点について本発明者は反射面の形状を種々異ならせてシミレーションおよび試作を行って検討した結果、
図1~
図4に示した縦反射面54aと傾斜反射面54bとを併せ持つ光反射体52とすることにより、
図5(B)に示す傾斜反射面のみの場合の発光面51aにおける短手方向両端部分と中央部分との間の輝度低下を減少させ、さらに良好な輝度の均一化を図ることができることを見出した。
【0047】
図1~
図4に示す実施形態における反射面54の角度は、縦反射面54aが90°、傾斜反射面54bが70°であるが、必ずしも90°および70°に限られるものではなく、縦反射面54aは85°~95°、傾斜反射面54bは65°~75°の範囲であれば良好な輝度の均一化を図ることが可能である。傾斜反射面の角度が65°より小さくなると光反射体が短手方向中央側に張り出しすぎ、光源から出射された光の光反射体による蹴られ量が大きくなり、発光面51aの全体的な輝度が低下するとともに、75°よりも大きくなると、発光面51aの短手方向両端部への光反射量が減少し、輝度の均一化効果が低下する。
【0048】
図1~
図4に示す実施形態は、光反射体52を光拡散透過体51と一体に形成し、反射面54を縦反射面54aと傾斜反射面54bとで構成したが、反射面54の態様はこの縦反射面と傾斜反射面との組み合わせに限るものではなく、種々の態様をとり得る。また、縦反射面と傾斜反射面との組み合わせに際しても、必ずしも縦反射面を上に、傾斜反射面を下に配置するものである必要はなく、種々の態様での組み合わせが可能である。
【0049】
また、
図1~
図4に示す実施形態では、光反射体52において、その上部すなわち光拡散透過体側の部分を取付部55とし、取付部55の内面を縦反射面54aとし、取付部55の下端から斜めに傾斜させて延長しその内面を傾斜反射面54bとしているが、必ずしも取付部55の内面を縦反射面54aとする必要はなく、また、必ずしも光反射体52の上部を取付部55とする必要もなく、取付部55は別途他の態様でカバー50に形成することも可能である。
【0050】
本発明のカバーは、種々の長尺照明体に用いることができ、
図1~
図4に示す実施形態のように、主照明体と副照明体を組み合わせた照明器具に限らず、当然ながら主照明体のみを有する長尺照明器具、あるいはその他の態様の長尺照明器具においても使用可能である。
【0051】
本発明においては、上述のような光反射体を設けることにより、主照明体および副照明体から出射された光を効率的に光散乱体に向けて反射させることができ、散逸させることなく光の取り出し効率を向上させてより明るい照明器具を実現することができる。
【0052】
また、光反射体52をカバー50の一部として光拡散透過体51と一体的化することにより、別途光反射体52を設ける場合に比して部品点数の増加を抑え、筐体10への取付けもカバーのつまり光拡散透過体51の取付けによって行われ光反射体52自体を別途取り付ける手間も不要であり、全体として構造および取り扱いが簡単容易であり、コストを抑えた照明器具を実現できる。
【符号の説明】
【0053】
1 照明器具
10 筐体
11 底板
12 側板
20 主照明体
30 副照明体
40 主照明体クリップ
50 カバー
51 光拡散透過体
52 光反射体
54 反射面
54a 縦反射面
54b 傾斜反射面
55 取付部