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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】タンク支持治具およびタンク洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   B08B 9/08 20060101AFI20241113BHJP
   B08B 3/04 20060101ALI20241113BHJP
   B65D 90/18 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
B08B9/08
B08B3/04 Z
B65D90/18
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021024432
(22)【出願日】2021-02-18
(65)【公開番号】P2022126393
(43)【公開日】2022-08-30
【審査請求日】2023-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000229564
【氏名又は名称】株式会社バルカー
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 俊誠
(72)【発明者】
【氏名】傅 勣惺
(72)【発明者】
【氏名】海老澤 勝之
(72)【発明者】
【氏名】林 勃宇
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】実公昭53-048545(JP,Y2)
【文献】特開2000-336705(JP,A)
【文献】特開2006-314934(JP,A)
【文献】実開昭56-134238(JP,U)
【文献】特開2006-199315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 9/00- 9/46
B08B 3/00- 3/14
B65D90/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のタンクを支持するためのタンク支持治具であって、
間に間隔をあけて対向する第1端および第2端を有する湾曲状本体と、
前記間隔上に配置され、前記間隔を調整できるように前記湾曲状本体の第1端と第2端とを接続する接続部材と、
前記湾曲状本体を載置するベースと、
を備え、
前記湾曲状本体は、
前記タンクの周方向に沿って前記タンクの外周面の少なくとも一部に密接するとともに、一つの軌道領域と、前記軌道領域の両側に位置する固定領域と、を有し、
前記接続部材は、
前記湾曲状本体と接続された状態において、前記タンクの周方向に沿って設けられた前記軌道領域と前記固定領域とを、前記タンクの周方向に遮断するように、前記湾曲状本体よりも前記タンクの外周面から突出するように設けられ、
前記湾曲状本体と、前記接続部材とが、環状構造を形成しており、
前記ベースは、
ベース本体と、前記ベース本体上に設けられた複数のローラと、を備え、
前記複数のローラが前記湾曲状本体の軌道領域に周方向に摺動自在に接触し、前記湾曲状本体を前記複数のローラにより揺動可能に構成されており、
前記タンクが、横置きとなるように前記環状構造中に配置された際、
前記ベースの複数のローラを回転させることにより、前記タンクの外周面の少なくとも一部に密接された湾曲状本体の前記軌道領域上のみを、前記複数のローラが摺動し、これにより前記タンクが揺動されるよう構成されている、タンク支持治具。
【請求項2】
前記湾曲状本体は、互いに接続されている複数の支持部を含む、請求項1に記載のタンク支持治具。
【請求項3】
前記複数の支持部は、着脱自在に互いに接続されている、請求項2に記載のタンク支持治具。
【請求項4】
前記接続部材は、馬蹄状を呈している、請求項1~3のいずれか一項に記載のタンク支持治具。
【請求項5】
前記接続部材は、ネジ部材により前記湾曲状本体の第1端と第2端に接続されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のタンク支持治具。
【請求項6】
請求項1~のいずれか一項に記載のタンク支持治具を複数有し、前記複数のタンク支持治具は、前記タンクの軸方向で異なる位置に取り付けられる、タンク支持治具群。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載のタンク支持治具を用意するステップと、
前記タンク支持治具を筒状のタンクに取り付け、前記タンク支持治具の前記環状構造をタンクの周方向に沿って前記タンクの外周面の少なくとも一部に密接させることによって、前記タンクを横置きとなるように前記環状構造中に配置するステップと、
前記タンクに洗浄液を注入するステップと、
前記タンク支持治具が取り付けられ、かつ前記洗浄液が注入されている前記タンクを、前記環状構造の軸線周りに揺動させることにより、前記洗浄液により前記タンクの内部を洗浄するステップと、
を含む、タンク洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は治具に関し、特にタンクを洗浄するためのタンク支持治具およびタンク洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般の半導体製造プロセスにおいて、化学薬液を大量に使用することがよくあるため、不純物が半導体装置に残ることを回避するには、化学薬液の純度が極めて重要である。
【0003】
従来では、化学薬液は化学工場において製造され、タンクに注入されて半導体工場に搬送されるか、半導体工場に設けられているタンクに注入され、半導体工場において半導体製造プロセスに関する作業が行われる。よって、該タンクの内部に不純物が残らないようにするには、タンクに化学薬液が注入される前に、該タンクを予め洗浄する必要がある。こうすることにより、化学薬液に不純物が混入されることなく、化学薬液の純度が保持される。
【0004】
ただし、従来のタンク洗浄方法は、図1Aに示すように、まずタンク9’を直立状になるように立たせて、次に噴霧(図1Aに示す霧状噴液8’)で該タンク9’の内部の洗浄を行う。しかしながら、このようなタンク洗浄方法は、該タンク9’の内部を均一に洗浄することができないのみならず、噴霧の力が極めて弱く該タンク9’の内壁面上の汚れを洗浄することが困難である。従って、該タンク9’に化学薬液が注入された後、該タンク9’の内部に残留する不純物が化学薬液に混入する場合があり、このような場合には化学薬液の純度は悪くなる。
【0005】
一方、業界では該タンク9’を洗浄液に浸漬して洗浄する方法もある。例えば、図1Bに示すように、立たせたタンク9’内に洗浄液8’’をほぼ最大容量(9割以上)注入し、該タンク9’の不純物を長時間の浸漬で溶解除去した後、該洗浄液8’’を除去する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の洗浄液浸漬の方法では、洗浄液8’’をほぼ最大容量の状態に充填しなければならないため、洗浄液8’’の大量使用および長時間の浸漬が必要あり、洗浄作業の費用コストや洗浄時間が大幅に増加し、洗浄作業の経済的利益は下がる。
【0007】
さらに、従来の洗浄液浸漬の方法では、安全性の考慮のため、該タンク9’の内部の上端空間までに洗浄液8’’を注入することはないので、該タンク9’の内部の上端空間を洗浄することができない。よって、該タンク9’に化学薬液が注入された後、該タンク9’の内部の上端空間に残留した不純物が化学薬液に混入し、化学薬液の純度は悪くなり、該半導体の製造の歩留まりに影響することになる。
【0008】
従って、上記従来技術の種々の問題を解消することは、現在解決しようとする極めて重要な課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の従来技術の種々の欠点に鑑み、本発明は、筒状のタンクを支持するためのタンク支持治具であって、間に間隔をあけて対向する第1端および第2端を有する湾曲状本体と、前記間隔上に配置され、前記間隔を調整できるように前記湾曲状本体の第1端と第2端とを接続する接続部材と、を備え、前記湾曲状本体は、前記タンクの周方向に沿って前記タンクの外周面の少なくとも一部に密接し、前記湾曲状本体と、前記接続部材とが、環状構造を形成することによって、前記タンクは、横置きとなるように前記環状構造中に配置されるタンク支持治具を提供する。
【0010】
上記のタンク支持治具において、前記湾曲状本体は、互いに接続されている複数の支持部を含んでもよい。例えば、前記複数の支持部は、着脱自在に互いに接続されていってもよい。
【0011】
上記のタンク支持治具において、前記支持部は、ロッドまたはシートであってもよい。また、前記支持部は、円弧状を呈してもよい。
【0012】
上記のタンク支持治具において、前記接続部材は、馬蹄状を呈してもよい。
【0013】
上記のタンク支持治具において、前記接続部材は、ネジ部材により前記湾曲状本体の第1端と第2端に接続されてもよい。
【0014】
上記のタンク支持治具において、前記湾曲状本体を載置するベースをさらに有してもよい。例えば、前記タンクが横置きとなるように前記環状構造中に配置された際に前記タンクの回転を許容できるように、前記ベースは、前記湾曲状本体の外周面に周方向にスライド可能に接触してもよい。
【0015】
本発明は、タンク支持治具を複数有し、前記複数のタンク支持治具は、前記タンクの軸方向で異なる位置に取り付けられるタンク支持治具群をさらに提供する。
【0016】
また、本発明は、間に間隔をあけて対向する第1端および第2端を有する湾曲状本体と、前記間隔上に配置され、前記間隔を調整できるように前記湾曲状本体の第1端と第2端とを接続する接続部材と、を備え、前記湾曲状本体は、筒状のタンクの周方向に沿って前記タンクの外周面の少なくとも一部に密接し、前記湾曲状本体と、前記接続部材とが、環状構造を形成することによって、前記タンクは、横置きとなるように前記環状構造中に配置されるよう構成されたタンク支持治具を用意するステップと、前記タンク支持治具を筒状のタンクに取り付け、前記タンク支持治具の前記環状構造をタンクの周方向に沿って前記タンクの外周面の少なくとも一部に密接させることによって、前記タンクを横置きとなるように前記環状構造中に配置するステップと、前記タンクに洗浄液を注入するステップと、前記タンク支持治具が取り付けられ、かつ前記洗浄液が注入されている前記タンクを、前記環状構造の軸線周りに回転させることにより、前記洗浄液により前記タンクの内部を洗浄するステップと、を含む、タンク洗浄方法を提供する。
【0017】
上記のタンク洗浄方法において、前記洗浄するステップにおいて、前記タンクを往復回転させてもよい。たとえば、前記接続部材を回転ストッパとし、前記回転ストッパを基準に前記タンクを往復回転させてもよい。
【0018】
上記のタンク洗浄方法において、前記タンク部材に取り付けられた前記タンク支持治具の前記湾曲状本体を、前記タンクの回転を許容できるように前記湾曲状本体の外周面に周方向にスライド可能に接触するベースに載置するステップをさらに含んでもよい。
【0019】
上記のタンク洗浄方法において、前記洗浄するステップにおいて、人力により前記タンクを動作させ、前記タンクを前記ベースに対して回転させてもよい。また、前記ベースが前記タンクを回転させる動作力を提供してもよい。
【発明の効果】
【0020】
上記のように、本発明に係るタンク洗浄方法において、主に該タンクの横置きと該タンクの回転との組み合わせにより、該洗浄液は該タンク内部の不純物を攪拌して溶解除去することができる。従って、従来の噴霧タンク洗浄方法と比較すると、本発明に係るタンク洗浄方法は、該タンク内部のすべての領域を均一に洗浄することができる。また、該タンクの回転力が極めて強いため、タンク内部にある該洗浄液が激しく攪拌され、該タンク内壁面上の汚れを容易に洗浄除去することができる。このように、該タンクに半導体製造プロセスに必要な化学薬液が注入された後、該タンク内の化学薬液に不純物が混入されることがないため、純度は極めて高く、該半導体製造プロセスの歩留まりを確保することができる。
【0021】
さらに、本発明に係るタンク洗浄方法は、該タンクの横置きと該タンクの回転との組み合わせにより、該タンクに最大容量の半分の洗浄液を注入すれば、洗浄作業を行うことができるため、該洗浄液の使用量を大幅に削減することができ、また長時間浸漬の工程も必要なくなるので、従来のタンク洗浄方法と比較すると、本発明に係るタンク洗浄方法は、洗浄作業の費用コストを大幅に低減させるとともに洗浄時間を短縮させることができ、洗浄作業の経済的利益を高める。
【0022】
また、本発明に係るタンク洗浄方法は、該タンクの横置きと該タンクの回転との組み合わせにより、該タンクに最大容量の半分の洗浄液を注入すれば、洗浄作業を行うことができるため、洗浄作業の安全性の達成だけでなく、該タンク内部のすべての領域を洗浄することができる。従って、従来の浸漬タンク洗浄方法と比較すると、本発明に係るタンク洗浄方法は、洗浄作業が行われた後、該タンク内部のすべての領域に不純物が残留することはなく、該タンクに半導体製造プロセスに必要な化学薬液が注入された後、該タンク内の化学薬液に不純物が混入されることがないため、純度は極めて高く、該半導体製造プロセスの歩留まりを確保することができる。
【0023】
また、本発明に係るタンク支持治具は、環状構造に構成され、洗浄液が注入されているタンクの外周面が受ける応力を効果的に分散させることができるため、洗浄液が注入された該タンクを変形させることなく強固に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1A図1Aは従来のタンク洗浄の方法を示した模式図である。
図1B図1Bは従来のタンク洗浄の他の方法を示した模式図である。
図2図2は本発明に係るタンク支持治具の模式的分解斜視図である。
図3図3は本発明に係るタンク支持治具の模式的上面図である。
図4図4図3の模式的局所拡大図である。
図5図5は本発明に係るタンク支持治具の接続部材の模式的上面図である。
図6図6は本発明に係るタンク支持治具群がタンクを支持することを示した模式的斜視図である。
図7図7は本発明に係るタンク支持治具群がタンクを支持することを示した模式的左側面図である。
図8図8図7の模式的局所拡大図である。
図9図9は本発明に係るタンク支持治具群がタンクを支持することを示した模式的正面図である。
図10図10は本発明に係るタンクの内部を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を具体的な実施例に基づいて説明する。
【0026】
また、本明細書に添付された図面に示す構造、比例、寸法等は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が理解できるように明細書に記載の内容に合わせて説明されるものであり、本発明の実施可能な限定条件を制限するものではない。そのため、技術上の実質的な意味を有せず、いかなる構造の修飾、比例関係の変更又は寸法の調整は、本発明の効果及び目的に影響を与えるものでなければ、本発明に開示された技術内容の範囲に含まれる。さらに、本明細書に記載された例えば「上」、「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、説明を容易にするための記述であり、本発明の実施可能な範囲を限定するものではなく、その相対関係の変更または調整は、技術内容に実質的な変更がない場合においても本発明の実施可能な範囲と見なすものである。
【0027】
図2ないし図5は本発明に係るタンク支持治具を示す図面である。図2に示すように、タンク支持治具1は、湾曲状本体10と、接続部材11とを備える。
【0028】
この実施例において、該タンク支持治具1は、筒状のタンク9(図6参照)を支持するためのものである。例えば、該タンク9は化学薬品用貯蔵タンクであり、図10に示すように、外観が略円筒状となるタンク本体90と該タンク本体90を支持するための脚座91とを有する。該タンク9はタンク本体90の直径Rが3400mmかつ総高さHが5346mmの金属容器構造を規格として採用しており、その総重量が約5トンである。ここで注意すべき点は、タンク9の種類が多様であり、上記の規格に限定されるものではないことである。
【0029】
湾曲状本体10は、間に間隔Gをあけて対向する第1端10aおよび第2端10bを有する。
【0030】
この実施例において、該湾曲状本体10は、第1の支持部101、第2の支持部102、及び第3の支持部103を備え、これらは互いに接続されている。例えば、該第1の支持部101、第2の支持部102及び第3の支持部103は着脱自在に互いに接続されている。
【0031】
一つの着脱方法として、該第1の支持部101、第2の支持部102及び第3の支持部103の端側には、図2に示すように、複数の貫通孔100aを有する少なくとも一つの板ベース100が配置されており、互いに隣接する2つの支持部の板ベース100が互いに位置を合わせて重ねられ、互いに重ね合わされた板ベース100の該貫通孔100aにネジ(図示せず)を貫通させ、該ネジの端側をナット(図示せず)で固定することで、該ネジと該ナットとにより重ね合わされた板ベース100同士が接続かつ固定され、隣接する2つの支持部が固定される。該貫通孔100aはネジ孔であることが好ましい。具体的には、該第1の支持部101の相対する両端は、それぞれ該第2の支持部102と該第3の支持部103とにネジ留めにより接続される。
【0032】
さらに、該湾曲状本体10は、該タンク9の周方向W(図6参照)に沿って該タンク9の外周面S(図6参照)の少なくとも一部に密接している。例えば、該湾曲状本体10は、図2に示すように、その外周面C1においてその周方向に沿って中間段に位置する一つの軌道領域Aと、該軌道領域Aの両側にある2つの固定領域Bとが画定されているため、該軌道領域Aによって該湾曲状本体10が外力で回転され、該固定領域Bによって該タンク9の固定が強化される。
【0033】
また、該湾曲状本体10の内周面C2は、該タンク9の外周面Sへの密接に寄与するために、例えば黒色ゴムなどの軟質ゴムパッド面である。
【0034】
上記の接続部材11は、間隔G上に配置され、該間隔Gの幅t(図3参照)を調整できるように該湾曲状本体10の第1端10aと第2端10bとを接続する。また、該湾曲状本体10と該接続部材11とが環状構造1a(図3参照)を形成し、該タンク9は、横置きとなるように該環状構造1a中に配置される。
【0035】
この実施例において、該接続部材11は、図5に示すように正面視において馬蹄状を呈しており、枠体111と該枠体111の対向する両側に形成された脚座112、113とから構成されている。例えば、該枠体111は、ヒレ状または肋骨状となり、該ヒレまたは肋骨には少なくとも1つの開口110aが形成され、該2つの脚座112、113には、必要に応じて少なくとも1つの開口110a’が形成され、該2つの脚座112、113の側面上には例えばネジ孔である複数の貫通孔110bが形成されている。
【0036】
さらに、該接続部材11は、複数のネジ部材21(図6参照)により、図2に示すように該湾曲状本体10の第1端10aと第2端10bに接続されている。例えば、該湾曲状本体10の第1端10aと第2端10bに例えばネジ孔である複数の貫通孔100bを有する板ベース100’がそれぞれ配置されることで、2つの脚座112、113の側面はそれぞれ該第1端10aの板ベース100’と第2端10bの板ベース100’とに位置を合わせて重ねられ、さらに該ネジ部材21によりそれらの貫通孔100b、110bを対応させて接合することで、該ネジ部材21によりそれらの脚座112、113とそれらの板ベース100’とが接続かつ固定され、該接続部材11と該湾曲状本体10とが固定される。具体的には、該接続部材11の2つの脚座112、113は、それぞれ該第2の支持部102と該第3の支持部103とにネジ留めにより接続されている。
【0037】
例えば、図3に示したように、該環状構造1aは略円形環体に形成され、該第1の支持部101が170度角(図3に示す該環状構造1aの円心Oに基づいた中心角度α)の弧形セグメントとなるように形成される。また、該第2の支持部102及び第3の支持部103は、該接続部材11の構造や強度に基づいて角度の要求に応じた弧形セグメントを呈しているため、該接続部材11はその材質特性またはネジ部材21の回転締め付けの程度に応じて該間隔Gの幅tを調整することができる。このように、該接続部材11、該第2の支持部102及び第3の支持部103は190度角の弧形セグメントとなる。例えば、該第2の支持部102及び第3の支持部103はそれぞれ弧度が同一の弧形セグメント(図3に示す該環状構造1aの円心Oに基づいた80度の対称角度β)である。
【0038】
好ましくは、該接続部材11の脚座112、113と、該第2の支持部102及び/または該第3の支持部103との間にブラケット(図示せず)を配置し、それらの脚座112、113が該第2の支持部102及び/または該第3の支持部103とが間隔(図4に示すピッチd)を開けるようにすることで、該間隔Gの幅tを調整し、即ち該幅tを増大させてもよい(例えば該ピッチdに該接続部材11の2つの脚座112、113の側面の間の距離が加えられる)。ここで注意すべき点は、該ネジ部材21により、それらの脚座112、113と、ブラケットと、それらの板ベース100’とが接続かつ固定されることである。
【0039】
また、該開口110a、110a’の構成により、該接続部材11の応力分散も有利になり、応力集中による該接続部材11の亀裂の問題を回避することができる。従って、該間隔Gの幅tを調整する過程において、該接続部材11の構造を損壊から保護することができる。
【0040】
他の実施例において、図6ないし図9を併せて参照すると、該タンク支持治具1は、該湾曲状本体10を載置するための少なくとも1つのベース20をさらに備える。例えば、該ベース20は、該タンク9を該湾曲状本体10に横置きする際に該タンク9の回転を許容するように、該湾曲状本体10の外周面C1と周方向へ摺動自在に接触している。具体的には、該ベース20は、図7に示すように、該湾曲状本体10が外力により回転可能となるように、該湾曲状本体10の軌道領域Aに摺動自在に接触している。
【0041】
上記のベース20は、図6に示すように、ベース本体20aと、該ベース本体20a上に設けられた複数の作用部材20bとを含む。例えば、単一の作用部材20bは、図9に示すように、支持ホルダー201により、該ベース本体20aに2つのローラ200を並列配置する。また、該支持ホルダー201は該ベース本体20a上に固定され、該2つのローラ200は、該湾曲状本体10の軌道領域Aに接触できるように、その回転軸が該支持ホルダー201に接続されている(図7参照)。
【0042】
さらに、それらの作用部材20bは、図9に示すように、それらのローラ200が該湾曲状本体10を安定して回転させるように、該第1の支持部101の外周面C1の軌道領域A上に対称的に配置されている。好ましくは、図7に示すように、該ベース本体20aは、それらの支持ホルダー201を複数の調整部材20cにより固定してもよく、そのうち、該調整部材20cは、図8に示すように、階段構造202を有しており、いずれか一つの階段202a、202b、202cに該支持ホルダー201が係止されることにより、必要に応じて該支持ホルダー201の高低位置を変更し、それらのローラ200の該第1の支持部101の外周面C1の軌道領域Aにおける位置を調整することができる。このように、それらの作用部材20bは該湾曲状本体10の弧度の大きさに応じて適切な位置に調整することができる。
【0043】
他の実施例において、図6ないし図9に示すように、複数(例えば3つ)のタンク支持治具1をタンク支持治具群2として組み立てることができる。また、それらのタンク支持治具1は、該タンク9の軸線Lの方向について異なる位置にそれぞれ取り付けられている。例えば、それらのタンク支持治具1は、該タンク9の軸線Lの方向に沿って間隔をあけて配列されている。ここで注意すべき点は、それらのタンク支持治具1は、長筒状のタンク支持治具群を呈するように密接して配列されてもよく、必要に応じて、該長筒状のタンク支持治具群の代わりに単一の長筒状のタンク支持治具を製造してもよい。
【0044】
上記のタンク支持治具群2は、隣接するタンク支持治具1を接続する複数のホルダー22を備える。例えば、該ホルダー22の対向する両端側には複数の固定孔(符号付記なし)を有し、該タンク支持治具1は、湾曲状本体10の外周面C1の固定領域Bに固定孔(図示せず)を有する複数の固定部材12(図2参照)が配置されており、該ホルダー22の対向する両端側がそれぞれ隣接するタンク支持治具1の固定部材12に位置合わせて重ねられ、さらに、ネジ部材21’によりそれらの固定孔を対応させて接合することで、それらの固定部材12とそれらのホルダー22とがネジ部材21’により接続かつ固定され、隣接するタンク支持治具1が固定される。具体的には、それらのホルダー22はそれぞれ隣接する第1の支持部101、隣接する第2の支持部102及び/または隣接する第3の支持部103をネジ留めにより接続する。
【0045】
さらに、該固定部材12の配置位置は、該タンク支持治具群2の構造強度を調整するために、必要に応じて調整することができる。例えば、図3に示す該環状構造1aに基づいて、該固定部材12は、該湾曲状本体10の外周面C1の固定領域Bに対称的または均一的に配置可能である。例えば図3に示す該円心Oに対する90度角の4つの箇所に配置可能である。そのうち、該第1の支持部101は、2つの箇所にそれらの固定部材12が配置され、該第2の支持部102及び該第3の支持部103はそれぞれ一つの箇所にのみそれらの固定部材12が配置されている。好ましくは、図9に示すように、該タンク9の4つの脚座91はそれぞれそれらの固定部材12の位置に対応する。
【0046】
ここで注意すべき点は、該タンク支持治具1の種類は必要に応じて選択可能であり、例えば湾曲状本体10が1つ、2つまたは4つ以上の弧形セグメントに変更されてもよく、該接続部材11の形態が変更されてもよく、上記形態に限定されるものではないことである。
【0047】
該タンク支持治具1を使用する場合は、図6に示すように、タンク9を横置きで該環状構造1aに配置し、該湾曲状本体10の内周面C2に密接させ、外力で該湾曲状本体10を回動させることで、該タンク支持治具1をそれらのローラ200に接しながら回転させる。これにより、該タンク支持治具1は、該タンク9の洗浄作業に適用することができる。
【0048】
このため、図2ないし図10を併せて参照すると、本発明は、タンク9の洗浄作業のためのタンク洗浄方法をさらに提供する。該洗浄作業で使用されるタンク洗浄方法についての具体的な工程は下記の通りである。
【0049】
この実施例において、該タンク支持治具1の使用方法としては、該ベース20の載置表面を基準面(例えば、地面などの環境表面)として、該タンク9の横置き方向を前後方向(すなわち、タンク9の軸線Lの方向。例えば、図6に示す矢印方向X)として定義し、該基準面の他方の座標軸を左右方向(例えば、図6に示す矢印方向Y)として定義し、さらに該タンク9の横置き前の直立方向を上下方向(該基準面に垂直する方向。例えば、図6に示す矢印方向Z)として定義する。
【0050】
まず、該第1の支持部101を該ベース20に配置し、該タンク9を傾倒させて該第1の支持部101に横置きで配置する。次に、該第2の支持部102及び該第3の支持部103を該第1の支持部101に接続かつ固定させ、さらに該接続部材11で該第2の支持部102及び該第3の支持部103を接続かつ固定させることにより、環状構造1aを形成する。これにより、該環状構造1aは、図6に示すように、該タンク9の周方向Wに沿って該タンク9の外周面Sの少なくとも一部に密接して、該タンク支持治具1を構成する。そして、該タンク9は横置きで該タンク支持治具群2に固定される。
【0051】
次に、図10に示すように、洗浄液8を、該タンク9の輸送ポート92を介して該タンク9の該タンク本体90に注入する。また、洗浄液8は、該タンク9のタンク本体90の最大容量ではなく、最大容量の約半分までに注入される。例えば、該輸送ポート92には、該タンク本体90内に入り込む輸送管920が接続されており、これにより該洗浄液8が該タンク本体90内に注入される。
【0052】
この実施例において、該洗浄液8は31%の過酸化水素(Hydrogen peroxide)を含有し、その密度が1.11g/cm3である。該洗浄液8が多くともタンク本体90の最大容量の半分の状態(重量が約20トン)となっているため、該タンク支持治具1がそれらのローラ200に接しながら回転される際に、該タンク本体90内の洗浄液8は揺れ動かされる。
【0053】
なお別の手順として、タンク9を傾倒させる前に、まず該洗浄液8を該タンク本体90に注入し、それから該タンク9を傾倒させて該第1の支持部101に横置きで配置してもよい。
【0054】
その後、例えば人力または電動等の外力で該湾曲状本体10を回動させる。これにより、該タンク支持治具1(または該タンク支持治具群2)が設けられているとともに該洗浄液8が注入されている該タンク9は、該タンク9の軸線Lを回転軸として回転し、該タンク本体90内の洗浄液8は揺れ動かされる。このように揺れ動かされた該洗浄液8により、該タンク本体90の内部が洗浄される。
【0055】
この実施例において、該接続部材11は該ベース20のローラ200を通り越して摺動することができないため、該タンク9の回転は、該接続部材11を始点として左方向(逆時計方向)または右方向(時計方向)、例えば図9に示す回転方向Fで揺動可能であるが、一回り回転することができない。例えば、該タンク9の回転角度は、該回転軸を中心として左方向へ約130度の角度で揺動したり右方向へ約130度の角度で揺動したり、または左下から右下へまたは右下から左下へ260度の角度で大幅に揺動することができる。従って、該洗浄過程において、該タンク9は往復回動、即ち逆時計方向と時計方向とで往復揺動可能である。ここで注意すべき点は、該タンク9の回転角度は該接続部材11と該ベース20の寸法により決めされており、該接続部材11と該ベース20の寸法を調整すれば、該タンク9の回転角度を変更することができる。
【0056】
洗浄作業が終了すると、洗浄液8を該輸送管920により該タンク9の輸送ポート92を介して該タンク本体90から抽出し、該タンク9外の所定箇所、例えば廃液収集所(図示せず)に輸送する。
【0057】
従って、本発明に係るタンク洗浄方法において、主に該タンク9の横置きと該タンク9の回転との組み合わせにより、該洗浄液8は該タンク9内部の不純物を攪拌して溶解除去することができる。従って、従来の噴霧洗浄方法と比較すると、本発明に係るタンク洗浄方法は、そのタンク9の回転角度が該タンク9のタンク本体90の内部のすべての領域を効果的かつ均一に洗浄することができる。また、該タンク9の回転力が強く、タンク内部にある該洗浄液8が激しく攪拌されることで、該タンク9のタンク本体90の内壁面上の汚れを容易に洗浄除去することができる。このように、該タンク9のタンク本体90に半導体製造プロセスに必要な化学薬液が注入された後、該タンク9のタンク本体90内の化学薬液に各種の不純物が混入されることがないため、純度は高くなり、該半導体製造プロセスの歩留まりを確保することができる。
【0058】
さらに、従来の浸漬洗浄方法と比較すると、本発明に係るタンク洗浄方法は、該タンク9の横置きと該タンク9の回転との組み合わせにより、該タンク9のタンク本体90にタンク本体90の最大容量の半分の洗浄液8を注入すれば、洗浄作業を行うことができるため、該洗浄液8の使用量を大幅に削減することができ、長時間浸漬工程を行う必要もなくなる。従って、本発明に係るタンク洗浄方法は、洗浄作業の費用コストを大幅に低減するとともに洗浄時間を短縮することができ、洗浄作業の経済的利益を高める。
【0059】
また、従来の浸漬洗浄方法と比較すると、本発明に係るタンク洗浄方法は、該タンク9の横置きと該タンク9の回転との組み合わせにより、該タンク9のタンク本体90にタンク本体90の最大容量の半分の洗浄液を注入すれば、洗浄作業を行うことができるため、洗浄作業の安全性を満たすだけでなく、該タンク9のタンク本体90内部のすべての領域を洗浄することができる。従って、本発明に係るタンク洗浄方法は、洗浄作業が行われた後、該タンク9のタンク本体90内部のすべての領域に不純物が残留することはなく、該タンク9のタンク本体90に半導体製造プロセスに必要な化学薬液が注入された後、該タンク9のタンク本体90内の化学薬液に各種の不純物が混入されることがないため、純度が高く、該半導体製造において高い歩留まりを確保することができる。
【0060】
また、本発明に係るタンク洗浄方法の要求に応じて、本発明に係るタンク支持治具1(または該タンク支持治具群2)は、主に環状構造1aの構成により、該タンク9の横置きや回転時の変形耐性(即ち、該タンク支持治具1または該タンク支持治具群2による強度補助機能)を強化し、洗浄液8が注入されているタンク9の外周面Sが受ける応力(例えば回転遠心力)を効果的に分散させることができるため、応力集中の問題が生じない。従って、該タンク支持治具1(または該タンク支持治具群2)は、洗浄液8が注入されている該タンク9(総重量約25トン)を強固に支持することができ、該タンク9(洗浄液8が注入されてもよく、されなくてもよい)が変形することはない。
【0061】
さらに、本発明に係るタンク支持治具1(タンク支持治具群2)は、ベース20の構成により、該タンク9の回転時に外周面Sが受ける応力を分散させる。特に、該タンク9の重量を4つのローラ200で支持する構成を採用しているため、洗浄液8が注入されているタンク9のローラ200側に位置する外周面Sが受ける応力をより一層分散させることができる。従って、該タンク支持治具1(または該タンク支持治具群2)は、洗浄液8が注入されている該タンク9を強固に支持することができ、該タンク9が変形することはない。
【0062】
上記のように、本発明に係るタンク支持治具およびタンク洗浄方法は、横置きのタンクを環状構造のタンク支持治具で支持するとともに該タンクを回転させる等の構成により、高い洗浄効果を発揮する洗浄作業を実現し、洗浄時間の短縮によって、例えば半導体ウェハ製造プロセスの起動時間(生産ラインの立ち上げ期間)を短縮することができるため、半導体製造プロセスの技術発展に寄与することになる。
【0063】
さらに、本発明の横置き回転洗浄過程において、洗浄液が多くとも該タンクの最大容量の半分まで注入されれば良いため、洗浄液の費用を削減するのみならず、該洗浄作業で排出された洗浄液(即ち廃液)も少なくなり、廃液処理の費用を大幅に削減することができる。
【0064】
上述した実施例は、本発明の原理及びその効果を例示的に説明したものに過ぎない。本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が、本発明の主旨を逸脱しない範囲でそれらの実施例に対して種々に修正や変更を施すことは、当然になしうることである。従って、本発明は、記載された実施例に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0065】
1 タンク支持治具
1a 環状構造
10 湾曲状本体
10a 第1端
10b 第2端
100、100’ 板ベース
100a、100b、110b 貫通孔
101 第1の支持部
102 第2の支持部
103 第3の支持部
11 接続部材
110a、110a’ 開口
111 枠体
112、113 脚座
12 固定部材
2 タンク支持治具群
20 ベース
20a ベース本体
20b 作用部材
20c 調整部材
200 ローラ
201 支持ホルダー
202 階段構造
202a、202b、202c 階段
21、21’ ネジ部材
22 ホルダー
8、8’’ 洗浄液
8’ 霧状噴液
9 タンク
9’ タンク
90 タンク本体
91 脚座
92 輸送ポート
920 輸送管
α 中心角度
β 対称角度
A 軌道領域
B 固定領域
C1 外周面
C2 内周面
d ピッチ
F 回転方向
G 間隔
H 高さ
L 軸線
O 円心
R 直径
S 外周面
t 幅
W 周方向
X、Y、Z 矢印方向
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10