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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】包装物品
(51)【国際特許分類】
   B65D 73/00 20060101AFI20241113BHJP
   B65D 77/30 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
B65D73/00 L
B65D77/30 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021046994
(22)【出願日】2021-03-22
(65)【公開番号】P2022146169
(43)【公開日】2022-10-05
【審査請求日】2024-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 隼也
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-039720(JP,U)
【文献】特開2011-068375(JP,A)
【文献】特開2019-077478(JP,A)
【文献】国際公開第94/026617(WO,A1)
【文献】米国特許第03116825(US,A)
【文献】西独国特許出願公開第02639029(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 73/00
B65D 77/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品と、
一枚の台紙から構成されており、前記物品を包装する包装体と、
前記包装体に固定されており、前記物品を保持するシュリンクフィルムと、を備え、
前記包装体は、
前記物品を露出させる開口部を有する前壁と、
前記開口部の上端部から後方に延びる形状を有し、前記物品の上方に位置する天壁と、
前記前壁の下端部から後方に延びる形状を有し、前記物品の下方に位置する底壁と、
前記天壁における後端部と前記底壁における後端部とを連結しており、前記物品の後方に位置する後壁と、を有し、
前記シュリンクフィルムは、前記後壁に固定されており、
前記前壁、前記天壁、前記底壁及び前記後壁は、前記物品の少なくとも一部を収容しており、
前記後壁は、
前記天壁における後端部から下方に延びる形状を有するとともに、前記物品の後方に位置する上側背面部と、
前記底壁における後端部から上方に向かって延びる形状を有するとともに、前記上側背面部と接続されており、前記上側背面部とともに前記後壁を構成する下側背面部と、を有する、包装物品。
【請求項2】
前記シュリンクフィルムは、前記物品の上端部を露出させる露出口を有し、
前記天壁は、前記露出口の上方を覆う形状を有している、請求項に記載の包装物品。
【請求項3】
前記包装体は、前記物品の側方に設けられた側壁をさらに有する、請求項1又は2に記載の包装物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、包装物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一枚の台紙から構成された包装体を含み、物品をその少なくとも一部が視認可能な状態で包装する包装物品が知られている。例えば、特開2013-252872号公報には、台紙と、台紙に取り付けられたシュリンクフィルムと、シュリンクフィルムに保持された被包装物と、を備える台紙付きシュリンクフィルム包装体が開示されている。
【0003】
台紙は、基部と、下片部と、第一折り返し片部と、第2折り返し片部と、を有している。基部は、平板状に形成されており、その前面にシュリンクフィルムが取り付けられている。下片部は、基部の下端部から前方に突出している。第一折り返し片部は、下片部の前端部から基部に向かって延びる形状を有している。第一折り返し片部は、基部に近づくにしたがって次第に下片部から上方に離間するように傾斜している。第一折り返し片部には、被包装物との干渉を避けるための貫通孔が形成されている。第二折り返し片部は、第一折り返し片部の上端部から上方に向かって延びる形状を有しており、基部の前面に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-252872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2013-252872号公報に記載されるように、一枚の台紙からなる包装体と物品とを備える包装物品では、搬送時等において物品に外力が作用した場合、包装体から物品が脱落する懸念がある。
【0006】
本発明の目的は、一枚の台紙からなる包装体からの物品の脱落を抑制可能な包装物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一局面に従った包装物品は、物品と、一枚の台紙から構成されており、前記物品を包装する包装体と、前記包装体に固定されており、前記物品を保持するシュリンクフィルムと、を備え、前記包装体は、前記物品を露出させる開口部を有する前壁と、前記開口部の上端部から後方に延びる形状を有し、前記物品の上方に位置する天壁と、前記前壁の下端部から後方に延びる形状を有し、前記物品の下方に位置する底壁と、前記天壁における後端部と前記底壁における後端部とを連結しており、前記物品の後方に位置する後壁と、を有し、前記シュリンクフィルムは、前記後壁に固定されており、前記前壁、前記天壁、前記底壁及び前記後壁は、前記物品の少なくとも一部を収容している。
【0008】
この包装物品では、前壁、天壁、後壁、底壁によって物品の少なくとも一部が収容されているため、搬送時等において物品に外力が作用すること及びそれに起因する包装体からの物品の離脱が抑制される。
【0009】
また、前記後壁は、前記天壁における後端部から下方に延びる形状を有するとともに、前記物品の後方に位置する上側背面部と、前記底壁における後端部から上方に向かって延びる形状を有するとともに、前記上側背面部と接続されており、前記上側背面部とともに前記後壁を構成する下側背面部と、を有することが好ましい。
【0010】
この態様では、後壁が上側背面部と下側背面部とに分かれているため、後壁の全体的な大型化を回避しながら天壁を長くする等、設計の自由度が高まる。
【0011】
また、前記シュリンクフィルムは、前記物品の上端部を露出させる露出口を有し、前記天壁は、前記露出口の上方を覆う形状を有していることが好ましい。
【0012】
この態様では、シュリンクフィルムの露出口内に埃等が堆積することが抑制される。
【0013】
また、前記包装体は、前記物品の側方に設けられた側壁をさらに有することが好ましい。
【0014】
この態様では、側壁によって物品が保護されるため、包装体からの物品の離脱がより確実に抑制される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、一枚の台紙からなる包装体からの物品の脱落を抑制可能な包装物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態の包装物品の斜視図である。
図2】包装物品の側面図である。
図3】包装物品の平面図である。
図4】包装体の展開図である。
図5】包装体の変形例を示す展開図である。
図6】包装体の変形例を示す展開図である。
図7】包装体の変形例を示す正面図である。
図8図7に示される包装体の斜視図である。
図9】本発明の第2実施形態の包装体の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の包装物品の斜視図である。図2は、包装物品の側面図である。図3は、包装物品の平面図である。図1図3に示されるように、包装物品1は、物品100と、包装体200と、シュリンクフィルム300と、を備えている。
【0019】
物品100として、化粧品や日用品等が挙げられる。物品100は、容器で構成されていてもよい。
【0020】
包装体200は、一枚の台紙から構成されており、物品100を包装する。包装体200は、物品100をその少なくとも一部が視認可能な状態で包装している。包装体200は、厚紙等で形成されている。包装体200は、前壁210と、天壁220と、底壁230と、後壁240と、側壁250と、を有している。
【0021】
前壁210は、物品100を露出させる開口部212を有している。前壁210は、平坦に形成されている。本実施形態では、前壁210は、上下方向に長い矩形状に形成されている。前壁210の前面には、適宜加飾が施される。前壁210のうち開口部212の上方の部位には、包装物品1の吊り下げ展示時に用いられる吊り下げ具(図示略)を挿通させるための挿通孔210hが設けられている。
【0022】
天壁220は、物品100の上方に位置している。天壁220は、開口部212の上端部212aから後方に延びる形状を有している。
【0023】
底壁230は、物品100の下方に位置している。底壁230は、前壁210の下端部211から後方に延びる形状を有している。より詳細には、底壁230は、開口部212の下端部212bから後方に延びる形状を有している。すなわち、前壁210のうち幅方向(図2において紙面と直交する方向)における開口部212の両側の部位は、前壁210の上端から下端に至るように連続的につながる形状を有している。
【0024】
後壁240は、物品100の後方に位置している。後壁240は、天壁220の後端部と底壁230の後端部とを連結している。後壁240は、前壁210、天壁220及び底壁230とともに、物品100の少なくとも一部を収容する空間を規定している。本実施形態では、後壁240は、上側背面部242と、下側背面部244と、を有している。
【0025】
上側背面部242は、物品の後方に位置している。上側背面部242は、天壁220における後端部から下方に延びる形状を有している。上側背面部242の下端部には、差し込み片242a(図4を参照)が形成されている。
【0026】
下側背面部244は、底壁230における後端部から上方に向かって延びる形状を有するとともに、上側背面部242と接続されている。具体的に、下側背面部244に設けられた差し込み孔244aに差し込み片242aが差し込まれることよって下側背面部244が上側背面部242と接続されている。ただし、下側背面部244は、接着部材によって上側背面部242に接続されてもよい。下側背面部244は、上側背面部242とともに後壁を構成している。
【0027】
図2に示されるように、後壁240は、突出位置P1と退避位置P2との間に物品100が位置するように物品100を保持している。突出位置P1(図2において二点鎖線で示される位置)は、物品100の厚みの半分の寸法だけ物品100が前壁210から突出した位置である。退避位置P2(図2において実線で示される位置)は、物品100の前端部が前壁210と面一であるかそれよりも後方に退避した位置である。
【0028】
側壁250は、物品100の側方に設けられている。側壁250は、下側背面部244と底壁230とを連結している。本実施形態では、側壁250は、幅方向における下側背面部244の両端部につながっている。図2及び図4に示されるように、側壁250は、差し込み片250aを有している。差し込み片250aは、底壁230に設けられた差し込み孔230a(図4を参照)に差し込まれる。なお、側壁250は、幅方向における底壁230の両端部につながっていてもよい。
【0029】
シュリンクフィルム300は、物品100を保持している。シュリンクフィルム300は、後壁240に固定されている。本実施形態では、シュリンクフィルム300は、上側背面部242に接着部材10により固定されている。ただし、シュリンクフィルム300は、下側背面部244に固定されてもよい。シュリンクフィルム300は、上下方向に開口する筒状に形成されている。なお、図4では、シュリンクフィルム300は、二点鎖線で示されている。
【0030】
図1及び図3に示されるように、シュリンクフィルム300は、物品100の上端部を露出させる露出口300hを有している。図3に示されるように、天壁220は、露出口300hの上方を覆う形状を有している。
【0031】
図4は、包装体200の展開図、すなわち、台紙200Aを示している。この図4に示されるように、包装体200は、一枚の台紙200Aから構成されている。この台紙200Aは、いわゆるシュリンクフィルム付台紙を構成している。台紙200Aの所定箇所にスリットと、折り曲げ誘導部(押し罫線等)と、が形成されている。なお、図4では、スリットが実線で示されており、折り曲げ誘導部が破線で示されている。
【0032】
続いて、包装物品1の製造方法について説明する。この製造方法は、保持工程と、組付け工程と、を備えている。
【0033】
保持工程では、後壁240に接続された筒状のシュリンクフィルム300内に物品100を挿入した後、シュリンクフィルム300を加熱して収縮させることによって後壁240に物品100を保持させる。これにより、シュリンクフィルム300の上部に露出口300hが形成される。
【0034】
組付け工程では、台紙200Aにおける折り曲げ誘導部を折り曲げ、差し込み片242aを差し込み孔244aに差し込むことによって後壁240を形成するとともに、差し込み片250aを差し込み孔230aに差し込むことによって側壁250を形成する。
【0035】
そうすると、開口部212から物品100を視認可能な状態で物品100が包装体200に包装された包装物品1が得られる。なお、本実施形態では、後壁240に接続された状態の筒状のシュリンクフィルム300に物品100を挿入したが、予めシュリンクフィルム300で被覆した物品100を接着剤等で後壁240に接続し保持させてもよい。
【0036】
以上に説明したように、本実施形態の包装物品1では、前壁210、天壁220、後壁240、底壁230によって物品100の少なくとも一部が収容されているため、搬送時等において物品100に外力が作用すること及びそれに起因する包装体200からの物品100の離脱が抑制される。
【0037】
また、包装物品1は、吊り下げ具を挿通孔210hに挿通することによって吊り下げられることも可能であるし、自立することも可能である。
【0038】
また、後壁240は、突出位置P1と退避位置P2との間に物品100が位置するように物品100を保持しているため、物品100を含めて前壁210の加飾が可能となる。よって、加飾性が高まる。
【0039】
また、天壁220は、物品100の上方に位置しているため、シュリンクフィルム300に保持された物品100の上部への埃等の堆積が抑制される。本実施形態では、シュリンクフィルム300が上下方向に開口する筒状に形成されており、物品100の上部が露出口300hから露出しているため、例えばシュリンクフィルム300が左右方向に開口する場合に比べ、露出口300h内に埃等が堆積しやすい構造であるものの、天壁220がシュリンクフィルム300の露出口300hの上方を覆う形状を有しているため、露出口300h内に埃等が堆積することが有効に抑制される。
【0040】
また、包装体200は、側壁250を有するため、包装体200からの物品100の離脱がより確実に抑制される。
【0041】
実施形態1において、図5に示されるように、前壁210は、開口部212の下端部212bと前壁210の下端部211の間に介在する介在部213を有していてもよい。
【0042】
また、図6に示されるように、底壁230は、前壁210の下端部211につながった第1底部231と、第1底部231上に重ね合わされる第2底部232と、を有し、後壁240は、天壁220につながった単一の部位で構成されていてもよい。第2底部232は、切り起こし片233を有し、切り起こし片233には、切込み233aが形成されている。後壁240の下端部が切込み233aに差し込まれることにより、包装体200が形成される。なお、後壁240と底壁230との接続形態は、これに限られない。
【0043】
あるいは、図7及び図8に示されるように、底壁230は、前壁210の下端部211につながった第1底部231と、第1底部231の下に重ね合わされる第2底部232と、を有し、後壁240は、天壁220につながった単一の部位で構成されていてもよい。第2底部232には、切込み232aが形成されており、後壁240の下端部が切込み232aに差し込まれることにより、包装体200が形成される。なお、後壁240と底壁230との接続形態は、これに限られない。
【0044】
(第2実施形態)
次に、図9を参照しながら、本発明の第2実施形態の包装体200について説明する。図9は、本発明の第2実施形態の包装体の展開図である。なお、第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明を行い、第1実施形態と同じ構造、作用及び効果の説明は繰り返さない。
【0045】
本実施形態では、底壁230は、前壁210の開口部212につながる底開口230bを有している。また、側壁250は、幅方向における底壁230の両端部につながっており、下側背面部244に差し込み孔244aが設けられている。本実施形態では、差し込み片242a及び差し込み孔244aが省略され、上側背面部242の下部と下側背面部244の上部とが互いに接着等によって接続される。
【0046】
図示は省略するが、上記各実施形態において、側壁250は、上側背面部242の下部や、前壁210のうち幅方向における開口部212の両側の部位の下部につながるように形成されてもよい。
【0047】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0048】
1 包装物品、100 物品、200 包装体、200A 台紙、210 前壁、212 開口部、212a 上端部、212b 下端部、220 天壁、230 底壁、240 後壁、242 上側背面部、244 下側背面部、250 側壁、300 シュリンクフィルム、300h 露出口、P1 突出位置、P2 退避位置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9