(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】三次元形状測定装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/25 20060101AFI20241113BHJP
G01B 21/00 20060101ALI20241113BHJP
G06T 7/55 20170101ALI20241113BHJP
【FI】
G01B11/25 H
G01B21/00 L
G06T7/55
(21)【出願番号】P 2021063483
(22)【出願日】2021-04-02
【審査請求日】2024-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 晋也
(72)【発明者】
【氏名】末永 剛
(72)【発明者】
【氏名】名取 和毅
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-145303(JP,A)
【文献】特開2019-191306(JP,A)
【文献】特開2003-322516(JP,A)
【文献】特開2021-25919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00 - 11/30
G01B 21/00 - 21/32
G06T 7/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物の三次元形状を示す三次元形状データを生成する三次元形状測定装置であって、
前記測定対象物を保持する保持部と前記保持部をX軸方向に延びる回転軸の周りに、第一の回転角度と第二の回転角度に回転させる回転駆動部とを含む回転ユニットと、
前記X軸と直交するZ軸方向に延びる光軸を有し、前記保持部により保持された前記測定対象物を撮像して前記測定対象物の画像を示す三次元形状データ生成用の画像データを生成するための撮像部と、
前記X軸および前記Z軸と直交するY軸方向において、前記撮像部の撮像視野が順次移動するように前記回転ユニットを前記撮像部に対して相対的に移動させる並進駆動部と、
前記第一の回転角度に前記測定対象物を回転させた状態で前記撮像部から見た前記Y軸方向に延びる前記測定対象物の幅に基づいて、当該Y軸方向に並ぶ複数の第一測定領域を設定し、前記第二の回転角度に前記測定対象物を回転させた状態で前記撮像部から見た前記Y軸方向に延びる前記測定対象物の幅に基づいて、当該Y軸方向に並ぶ複数の第二測定領域を設定する設定部と、
前記第一の回転角度に前記測定対象物を回転させて、前記撮像部の撮像視野を前記複数の第一測定領域に順次移動させて前記測定対象物の撮像を行い、続いて、前記第二の回転角度に前記測定対象物を回転させて、前記撮像部の撮像視野を前記複数の第二測定領域に順次移動させて前記測定対象物の撮像を行うように、前記並進駆動部、前記回転駆動部、および前記撮像部を制御する制御部とを備える、三次元形状測定装置。
【請求項2】
前記設定部が設定した、前記第一の回転角度と前記複数の第一測定領域とを関連付けた設定、および前記第二の回転角度と前記複数の第二測定領域を関連付けた設定を記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された設定に基づいて、前記並進駆動部、前記回転駆動部、および前記撮像部を制御する、請求項1記載の三次元形状測定装置。
【請求項3】
前記第一の回転角度および前記第二の回転角度のそれぞれにおいて前記Y軸方向における前記測定対象物の存在領域を検出する検出部をさらに備え、
前記設定部は、前記検出部が検出した前記存在領域の幅に基づいて、当該存在領域の全体を撮像するために必要な前記Y軸方向に並ぶ前記第一測定領域の数と前記第二測定領域の数とを自動的に設定する、請求項1または2記載の三次元形状測定装置。
【請求項4】
前記検出部により検出された前記測定対象物の存在領域に基づいて設定された前記複数の第一測定領域と前記複数の第二測定領域とを調整するための設定画面を表示する表示部をさらに備え、
前記設定部は、使用者からの指示を受け付けて、前記設定画面上で前記Y軸方向に延びる前記第一測定領域と前記第二測定領域の数を拡張または縮小可能に構成された、請求項3記載の三次元形状測定装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第一の回転角度および前記第二の回転角度のそれぞれにおいて、前記測定対象物を前記撮像部に対して前記X軸方向および前記Y軸方向に相対的に移動して複数回撮像して前記測定対象物の全体が撮像されたマップ画像を生成するように、前記撮像部、前記並進駆動部および前記回転駆動部を制御し、
前記表示部は、前記設定画面上に前記マップ画像を表示するとともに、前記設定部により設定された前記複数の第一測定領域と前記複数の第二測定領域とを、前記マップ画像上に重畳して表示し、
前記三次元形状測定装置は、前記複数の第一測定領域および前記複数の第二測定領域にそれぞれ対応する複数の三次元形状データを生成するとともに、生成された複数の三次元形状データを合成し、前記測定対象物全体の三次元形状データを生成するデータ生成部とをさらに備える、請求項4記載の三次元形状測定装置。
【請求項6】
前記撮像部は、
第一の倍率で光を結像させる第一光学系と、
前記第一光学系で結像した光を受光する第一カメラと、
前記第一の倍率よりも低い第二の倍率で光を結像させる第二光学系と、
前記第二光学系で結像した光を受光する第二カメラとを含み、
前記マップ画像は、前記第二の倍率で前記測定対象物の全体を撮像することにより生成され、
前記データ生成部は、前記複数の第一測定領域および前記複数の第二測定領域を前記第一の倍率で撮像して生成した複数の前記画像データに基づいて前記三次元形状データを生成する、請求項5記載の三次元形状測定装置。
【請求項7】
前記回転駆動部は、前記保持部を前記第一の回転角度および前記第二の回転角度を含む複数の異なる回転角度に順次回転させることが可能に構成され、
前記設定部は、前記測定対象物が前記複数の異なる回転角度の各々にある状態で前記撮像部から見た前記Y軸方向に延びる前記測定対象物の幅に基づいて前記Y軸方向に並ぶ複数の測定領域を設定可能に構成され、
前記制御部は、前記複数の異なる回転角度の各々に前記測定対象物を回転させて、前記撮像部の撮像視野を当該回転角度に対応する前記複数の測定領域に順次移動させて前記測定対象物の撮像を行うように前記並進駆動部、前記回転駆動部、および前記撮像部を制御し、
前記三次元形状測定装置は、
前記複数の異なる回転角度のそれぞれにおいて前記Y軸方向における前記測定対象物の存在領域を前記測定対象物の幅として検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記測定対象物の存在領域に基づいて回転角度ごとに設定された測定領域を調整するための設定画面を表示する表示部と、
前記測定対象物が箱形状であるか軸形状であるかを選択するための操作部とをさらに備え、
前記表示部は、前記操作部によって箱形状が選択された際に、箱形状の測定対象物の測定に関する設定を行うための第一設定画面を前記設定画面として表示し、前記操作部によって軸形状が選択された際に、軸形状の測定対象物の測定に関する設定を行うための第二設定画面を前記設定画面として表示する、請求項1または2記載の三次元形状測定装置。
【請求項8】
前記操作部は、当該操作部により箱形状が選択されることにより前記表示部に前記第一設定画面が表示された状態で、離散的な前記複数の異なる回転角度を選択可能に構成され、
前記表示部は、前記第一設定画面において、前記操作部により選択された前記複数の異なる回転角度のそれぞれにおいて撮像された前記測定対象物の画像上に、前記検出部により検出されて設定された前記複数の測定領域を重畳して表示する、請求項7記載の三次元形状測定装置。
【請求項9】
前記表示部は、前記操作部により軸形状が選択されることにより前記第二設定画面を表示する際に、当該第二設定画面において、前記複数の異なる回転角度のうち特定の一の回転角度で前記撮像部により撮像された前記測定対象物の画像を表示し、
前記設定部は、前記特定の一の回転角度の指定を使用者から受け付ける、請求項7または8記載の三次元形状測定装置。
【請求項10】
前記設定部は、前記操作部によって箱形状が選択された際に、予め定められた角度の整数倍の角度ピッチで、前記複数の異なる回転角度を設定する、請求項7~9のいずれか一項に記載の三次元形状測定装置。
【請求項11】
前記設定部は、前記操作部によって軸形状が選択された際に、軸形状の前記測定対象物を回転させた時に当該測定対象物の全周を測定するために必要な前記複数の異なる回転角度のピッチを、当該測定対象物の径に基づいて自動的に設定し、
前記制御部は、前記設定部により設定された前記回転角度のピッチで前記測定対象物を回転させるように、前記回転駆動部を制御する、請求項7~10のいずれか一項に記載の三次元形状測定装置。
【請求項12】
前記設定部は、前記操作部によって軸形状が選択された際に、前記使用者から前記軸形状の測定対象物を回転させる回転角度のピッチの入力を受け付け、当該回転角度のピッチは、前記測定対象物を回転させた時に当該測定対象物の全周を測定するために必要な数値に制限される、請求項7~11のいずれか一項に記載の三次元形状測定装置。
【請求項13】
前記複数の第一測定領域に対応する三次元形状データを取得するデータ取得部をさらに備え、
前記設定部は、前記データ取得部により取得された前記複数の第一測定領域に対応する複数の三次元形状データに基づいて、Y軸方向に並ぶ複数の第二測定領域を設定することが可能に構成された、請求項1または2記載の三次元形状測定装置。
【請求項14】
前記回転ユニットと前記撮像部との前記Z軸方向の相対距離を変化させるための垂直駆動部をさらに備え、
前記制御部は、前記第一の回転角度と前記第二の回転角度のそれぞれにおいて前記複数の第一測定領域と前記複数の第二測定領域とを前記相対距離を変化させながら複数回撮像して複数の前記画像データを生成するように前記並進駆動部、前記垂直駆動部、前記回転駆動部及び前記撮像部を制御し、
前記データ生成部は、前記相対距離を変化させながら前記複数の第一測定領域および前記複数の第二測定領域を複数回撮像して生成された複数の画像データに基づいて前記複数の第一測定領域および前記複数の第二測定領域にそれぞれ対応する複数の三次元形状データを生成するとともに、当該生成された複数の三次元形状データを合成し、前記測定対象物の三次元形状データを生成する、請求項5または6記載の三次元形状測定装置。
【請求項15】
前記回転ユニットが取り付けられるステージと、
前記ステージの上面に斜め上方の位置から周期的なパターンを有するパターン光を位相シフトさせつつ複数回照射するプロジェクタとをさらに備え、
前記撮像部は、光軸が前記Z軸に一致するように前記ステージの上方に設けられ、前記プロジェクタから前記回転ユニットにより保持された前記測定対象物にパターン光が照射され、前記測定対象物から反射されるパターン光を受光することにより当該測定対象物を複数回撮像し、当該測定対象物の画像を示す複数の画像データを生成し、
前記プロジェクタは、前記X軸方向に並ぶとともに前記X軸方向に直交する仮想面を挟んで対称に配置された第1および第2の投光装置を含み、
前記第1および第2の投光装置の各々は、前記Y軸に直交しかつ前記X軸および前記Z軸に対してそれぞれ所定の角度で傾斜する光軸を有し、当該投光装置の光軸に沿って前記撮像部の光軸に向かうようにパターン光を出射し、
前記回転ユニットは、前記ステージが前記撮像部に対して予め定められた基準位置にあるときに、前記第1の投光装置によるパターン光の照射領域と、前記第2の投光装置によるパターン光の照射領域と、前記撮像部の撮像領域とが重複する空間から外れた位置に配置されるように設けられる、請求項1~14のいずれか一項に記載の三次元形状測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物の三次元形状を光学的に測定する三次元形状測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
測定対象物の三次元形状を測定するために三次元形状測定装置が用いられる。三次元形状測定装置の一例として、特許文献1の形状測定装置においては、ステージに載置された測定対象物に対して斜め上方の位置から複数のパターンを有する複数の測定光が投光部から測定対象物に順次照射される。各測定光の照射時には、ステージの上方に配置された受光部により測定対象物が撮像される。それにより、測定光のパターンが投影された複数の画像が取得される。取得された複数の画像に基づいて、三角測距方式により測定対象物の三次元形状を示すデータが生成される。
【0003】
ここで、上記のステージは、測定対象物が載置される載置面が、当該載置面に平行なX方向およびY方向に移動可能でかつ載置面に直交する軸の周りで回転可能となるように構成されている。それにより、使用者は、測定対象物がステージに載置された状態で、載置面を移動または回転させることにより測定対象物の所望の部分の形状を測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
三角測距方式による形状測定方法では、測定対象物の表面の死角部分、すなわち測定対象物の表面のうち測定光を照射できない部分、および測定対象物の表面のうち撮像することができない部分については、形状を測定することができない。
【0006】
上記の形状測定装置においては、ステージ上の測定対象物は、投光部および受光部の下方に位置する。そのため、測定対象物のうち下方を向く部分は死角となる。したがって、ステージ上の測定対象物を移動または回転させても、測定対象物の表面のうち特定の部分については、死角から外すことができない。この場合、測定対象物の形状を測定可能な部分が制限される。
【0007】
そこで、上記の形状測定装置に、ステージ上の測定対象物の位置または姿勢を調整するための調整装置を設けることが考えられる。しかしながら、測定対象物の位置または姿勢を調整することにより平面視における測定対象物のサイズに変動が生じると、使用者は、測定対象物の位置または姿勢を調整するごとに受光部により撮像すべき領域を設定する必要がある。このような設定作業は煩雑である。
【0008】
本発明の目的は、煩雑な設定作業を要することなく測定対象物の表面における広い範囲に渡って形状を測定することが可能な三次元形状測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係る三次元形状測定装置は、測定対象物の三次元形状を示す三次元形状データを生成する三次元形状測定装置であって、測定対象物を保持する保持部と保持部をX軸方向に延びる回転軸の周りに、第一の回転角度と第二の回転角度に回転させる回転駆動部とを含む回転ユニットと、X軸と直交するZ軸方向に延びる光軸を有し、保持部により保持された測定対象物を撮像して測定対象物の画像を示す三次元形状データ生成用の画像データを生成するための撮像部と、X軸およびZ軸と直交するY軸方向において、撮像部の撮像視野が順次移動するように回転ユニットを撮像部に対して相対的に移動させる並進駆動部と、第一の回転角度に測定対象物を回転させた状態で撮像部から見たY軸方向に延びる測定対象物の幅に基づいて、当該Y軸方向に並ぶ複数の第一測定領域を設定し、第二の回転角度に測定対象物を回転させた状態で撮像部から見たY軸方向に延びる測定対象物の幅に基づいて、当該Y軸方向に並ぶ複数の第二測定領域を設定する設定部と、第一の回転角度に測定対象物を回転させて、撮像部の撮像視野を複数の第一測定領域に順次移動させて測定対象物の撮像を行い、続いて、第二の回転角度に測定対象物を回転させて、撮像部の撮像視野を複数の第二測定領域に順次移動させて測定対象物の撮像を行うように、並進駆動部、回転駆動部、および撮像部を制御する制御部とを備える。
【0010】
その三次元形状測定装置においては、第一の回転角度に測定対象物を回転させた状態で撮像部から見たY軸方向に延びる測定対象物の幅に基づいて、Y軸方向に並ぶ複数の第一測定領域が設定される。また、第二の回転角度に測定対象物を回転させた状態で撮像部から見たY軸方向に延びる測定対象物の幅に基づいて、Y軸方向に並ぶ複数の第二測定領域が設定される。この場合、使用者は、第一の回転角度および第二の回転角度の各々について測定対象物の形状に応じた煩雑な設定作業を行う必要がない。その後、測定対象物が第一の回転角度にある状態で、撮像部の撮像視野が複数の第一測定領域に順次移動され、測定対象物の撮像が行われる。また、測定対象物が第二の回転角度にある状態で、撮像部の撮像視野が複数の第二測定領域に順次移動され、測定対象物の撮像が行われる。このようにして生成される複数の画像データに基づいて、第一の回転角度に対応する三次元形状データ、および第二の回転角度に対応する三次元形状データを生成することができる。これらの結果、煩雑な設定作業を要することなく測定対象物の表面における広い範囲に渡って形状を測定することが可能になる。
【0011】
(2)三次元形状測定装置は、設定部が設定した、第一の回転角度と複数の第一測定領域とを関連付けた設定、および第二の回転角度と複数の第二測定領域を関連付けた設定を記憶する記憶部をさらに備え、制御部は、記憶部に記憶された設定に基づいて、並進駆動部、回転駆動部、および撮像部を制御してもよい。
【0012】
この場合、記憶部に記憶された設定に基づいて、第一の回転角度にある測定対象物の一部が適切に撮像され、第二の回転角度にある測定対象物の一部が適切に撮像される。
【0013】
(3)三次元形状測定装置は、第一の回転角度および第二の回転角度のそれぞれにおいてY軸方向における測定対象物の存在領域を検出する検出部をさらに備え、設定部は、検出部が検出した存在領域の幅に基づいて、当該存在領域の全体を撮像するために必要なY軸方向に並ぶ第一測定領域の数と第二測定領域の数とを自動的に設定してもよい。
【0014】
この場合、使用者による設定作業を要することなく、検出部による検出結果に基づいて、第一の回転角度に対応する複数の第一測定領域、および第二の回転角度に対応する複数の第二測定領域が適切に設定される。
【0015】
(4)三次元形状測定装置は、検出部により検出された測定対象物の存在領域に基づいて設定された複数の第一測定領域と複数の第二測定領域とを調整するための設定画面を表示する表示部をさらに備え、設定部は、使用者からの指示を受け付けて、設定画面上でY軸方向に延びる第一測定領域と第二測定領域の数を拡張または縮小可能に構成されてもよい。この場合、使用者は、測定対象物の所望の部分について形状測定を行うことができる。
【0016】
(5)制御部は、第一の回転角度および第二の回転角度のそれぞれにおいて、測定対象物を撮像部に対してX軸方向およびY軸方向に相対的に移動して複数回撮像して測定対象物の全体が撮像されたマップ画像を生成するように、撮像部、並進駆動部および回転駆動部を制御し、表示部は、設定画面上にマップ画像を表示するとともに、設定部により設定された複数の第一測定領域と複数の第二測定領域とを、マップ画像上に重畳して表示し、三次元形状測定装置は、複数の第一測定領域および複数の第二測定領域にそれぞれ対応する複数の三次元形状データを生成するとともに、生成された複数の三次元形状データを合成し、測定対象物全体の三次元形状データを生成するデータ生成部とをさらに備えてもよい。
【0017】
この場合、使用者は、第一の回転角度に対応するマップ画像を視認することにより、第一の回転角度にある測定対象物と複数の第一測定領域との位置関係を容易に把握することができる。また、使用者は、第二の回転角度に対応するマップ画像を視認することにより、第二の回転角度にある測定対象物と複数の第二測定領域との位置関係を容易に把握することができる。
【0018】
さらに、上記の構成によれば、複数の第一測定領域および複数の第二測定領域にそれぞれ対応する複数の三次元形状データが生成されて合成されるので、測定対象物の表面における広い範囲に渡って形状を測定することが可能となる。
【0019】
(6)撮像部は、第一の倍率で光を結像させる第一光学系と、第一光学系で結像した光を受光する第一カメラと、第一の倍率よりも低い第二の倍率で光を結像させる第二光学系と、第二光学系で結像した光を受光する第二カメラとを含み、マップ画像は、第二の倍率で測定対象物の全体を撮像することにより生成され、データ生成部は、複数の第一測定領域および複数の第二測定領域を第一の倍率で撮像して生成した複数の画像データに基づいて三次元形状データを生成してもよい。
【0020】
第二の倍率に対応する撮像部の撮像領域は、第一の倍率に対応する撮像部の撮像領域に比べて大きい。そのため、測定対象物の全体をカバーするように第二の倍率で撮像する場合には、測定対象物の全体をカバーするように第一の倍率で撮像する場合に比べて、撮像回数を低減することができる。上記の構成によれば、マップ画像が測定対象物を第二の倍率で撮像することにより生成されるので、マップ画像の生成に要する時間を短くすることができる。
【0021】
また、三次元形状データを生成するために、複数の第一測定領域および複数の第二測定領域が第一の倍率で撮像される。この場合、複数の第一測定領域および複数の第二測定領域を第二の倍率で撮像する場合に比べて、測定対象物における所望の部分をより高い分解能で測定することができる。
【0022】
(7)回転駆動部は、保持部を第一の回転角度および第二の回転角度を含む複数の異なる回転角度に順次回転させることが可能に構成され、設定部は、測定対象物が複数の異なる回転角度の各々にある状態で撮像部から見たY軸方向に延びる測定対象物の幅に基づいてY軸方向に並ぶ複数の測定領域を設定可能に構成され、制御部は、複数の異なる回転角度の各々に測定対象物を回転させて、撮像部の撮像視野を当該回転角度に対応する複数の測定領域に順次移動させて測定対象物の撮像を行うように並進駆動部、回転駆動部、および撮像部を制御し、三次元形状測定装置は、複数の異なる回転角度のそれぞれにおいてY軸方向における測定対象物の存在領域を測定対象物の幅として検出する検出部と、検出部により検出された測定対象物の存在領域に基づいて回転角度ごとに設定された測定領域を調整するための設定画面を表示する表示部と、測定対象物が箱形状であるか軸形状であるかを選択するための操作部とをさらに備え、表示部は、操作部によって箱形状が選択された際に、箱形状の測定対象物の測定に関する設定を行うための第一設定画面を設定画面として表示し、操作部によって軸形状が選択された際に、軸形状の測定対象物の測定に関する設定を行うための第二設定画面を設定画面として表示してもよい。
【0023】
この場合、測定対象物が複数の異なる回転角度の各々にある状態で、検出部の検出結果に基づいて、Y軸方向に並ぶ複数の測定領域が設定される。設定された測定領域を調整するための設定画面が表示部に表示される。使用者が箱形状および軸形状のうちいずれかを選択することにより、各形状に応じた設定画面が表示装置に表示される。これにより、使用者は、箱形状の測定対象物の測定に関する設定を行う場合に、箱形状に適した第一設定画面により測定領域を調整することができる。また、使用者は、軸形状の測定対象物の測定に関する設定を行う場合に、軸形状に適した第二設定画面により測定領域を調整することができる。
【0024】
(8)操作部は、当該操作部により箱形状が選択されることにより表示部に第一設定画面が表示された状態で、離散的な複数の異なる回転角度を選択可能に構成され、表示部は、第一設定画面において、操作部により選択された複数の異なる回転角度のそれぞれにおいて撮像された測定対象物の画像上に、検出部により検出されて設定された複数の測定領域を重畳して表示してもよい。
【0025】
この場合、操作部により選択された複数の異なる回転角度で測定対象物を撮像することができる。また、使用者は、第一設定画面を視認することにより、複数の異なる回転角度の各々に対応する測定領域を容易に把握することができる。
【0026】
(9)表示部は、操作部により軸形状が選択されることにより第二設定画面を表示する際に、当該第二設定画面において、複数の異なる回転角度のうち特定の一の回転角度で撮像部により撮像された測定対象物の画像を表示し、設定部は、特定の一の回転角度の指定を使用者から受け付けてもよい。
【0027】
この場合、軸形状が選択された場合に、使用者により指定された一の回転角度で撮像された測定対象物の画像が第二設定画面に表示される。
【0028】
(10)設定部は、操作部によって箱形状が選択された際に、予め定められた角度の整数倍の角度ピッチで、複数の異なる回転角度を設定してもよい。この場合、測定対象物が回転ユニットにより予め定められた角度ピッチで回転し、各回転が行われるごとに測定対象物が撮像される。
【0029】
(11)設定部は、操作部によって軸形状が選択された際に、軸形状の測定対象物を回転させた時に当該測定対象物の全周を測定するために必要な複数の異なる回転角度のピッチを、当該測定対象物の径に基づいて自動的に設定し、制御部は、設定部により設定された回転角度のピッチで測定対象物を回転させるように、回転駆動部を制御してもよい。この場合、煩雑な設定作業を要することなく、軸形状を有する測定対象物の全周を測定するために必要な回転角度のピッチが設定される。
【0030】
(12)設定部は、操作部によって軸形状が選択された際に、使用者から軸形状の測定対象物を回転させる回転角度のピッチの入力を受け付け、当該回転角度のピッチは、測定対象物を回転させた時に当該測定対象物の全周を測定するために必要な数値に制限されてもよい。この場合、使用者は、所望のピッチで複数の異なる回転角度を設定することができる。また、上記の構成によれば、回転角度のピッチが測定対象物の全周を測定するために必要な数値に制限されるので、誤った設定が行われることが防止される。
【0031】
(13)三次元形状測定装置は、複数の第一測定領域に対応する三次元形状データを取得するデータ取得部をさらに備え、設定部は、データ取得部により取得された複数の第一測定領域に対応する複数の三次元形状データに基づいて、Y軸方向に並ぶ複数の第二測定領域を設定することが可能に構成されてもよい。
【0032】
この場合、第一の回転角度にあるときの測定対象物の三次元形状データに基づいて、第二の回転角度に対応する複数の第二測定領域が設定される。したがって、第二の回転角度に対応する複数の第二測定領域を設定するために、予め第二の回転角度に測定対象物を回転させた状態で測定対象物を撮像する等の作業が不要となる。
【0033】
(14)三次元形状測定装置は、回転ユニットと撮像部とのZ軸方向の相対距離を変化させるための垂直駆動部をさらに備え、制御部は、第一の回転角度と第二の回転角度のそれぞれにおいて複数の第一測定領域と複数の第二測定領域とを相対距離を変化させながら複数回撮像して複数の画像データを生成するように並進駆動部、垂直駆動部、回転駆動部及び撮像部を制御し、データ生成部は、相対距離を変化させながら複数の第一測定領域および複数の第二測定領域を複数回撮像して生成された複数の画像データに基づいて複数の第一測定領域および複数の第二測定領域にそれぞれ対応する複数の三次元形状データを生成するとともに、当該生成された複数の三次元形状データを合成し、測定対象物の三次元形状データを生成してもよい。この場合、Z軸方向における広い範囲に渡って測定対象物の形状を高い精度で測定することができる。
【0034】
(15)三次元形状測定装置は、回転ユニットが取り付けられるステージと、ステージの上面に斜め上方の位置から周期的なパターンを有するパターン光を位相シフトさせつつ複数回照射するプロジェクタとをさらに備え、撮像部は、光軸がZ軸に一致するようにステージの上方に設けられ、プロジェクタから回転ユニットにより保持された測定対象物にパターン光が照射され、測定対象物から反射されるパターン光を受光することにより当該測定対象物を複数回撮像し、当該測定対象物の画像を示す複数の画像データを生成し、プロジェクタは、X軸方向に並ぶとともにX軸方向に直交する仮想面を挟んで対称に配置された第1および第2の投光装置を含み、第1および第2の投光装置の各々は、Y軸に直交しかつX軸およびZ軸に対してそれぞれ所定の角度で傾斜する光軸を有し、当該投光装置の光軸に沿って撮像部の光軸に向かうようにパターン光を出射し、回転ユニットは、ステージが撮像部に対して予め定められた基準位置にあるときに、第1の投光装置によるパターン光の照射領域と、第2の投光装置によるパターン光の照射領域と、撮像部の撮像領域とが重複する空間から外れた位置に配置されるように設けられてもよい。
【0035】
第1の投光装置によるパターン光の照射領域と、第2の投光装置によるパターン光の照射領域と、撮像部の撮像領域とが重複する空間を測定空間と呼ぶ。上記の構成によれば、測定対象物を測定空間に配置することにより、測定対象物には、互いに異なる2つの方向に沿ってパターン光が照射される。それにより、測定対象物の表面においてパターン光が照射される範囲を拡大することができる。
【0036】
また、上記の構成によれば、ステージが基準位置にあるときに回転ユニットが測定空間に位置しない。したがって、ステージと撮像部とを予め定められた位置関係を有するように配置することで、測定対象物の測定可能な範囲が回転ユニットにより制限されることが防止される。したがって、測定空間に配置された測定対象物の表面の広い範囲に渡って高い精度を有する三次元形状データを生成することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、煩雑な設定作業を要することなく測定対象物の表面におけるより広い範囲に渡って形状を測定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る形状測定装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1の形状測定装置の測定部の構成を示す模式図である。
【
図3】
図1の形状測定装置の測定部の外観斜視図である。
【
図4】回転ユニットの構成とステージに対する回転ユニットの取り付けおよび取り外しを説明するための図である。
【
図5】保持部の構成の詳細を説明するための外観斜視図である。
【
図6】保持部の構成の詳細を説明するための外観斜視図である。
【
図7】保持部の構成の詳細を説明するための外観斜視図である。
【
図8】
図1のステージのZ方向における好ましい可動ストローク範囲について説明するための図である。
【
図9】
図1のステージのZ方向における好ましい可動ストローク範囲について説明するための図である。
【
図10】
図1のステージのZ方向における好ましい可動ストローク範囲について説明するための図である。
【
図11】三角測距方式の原理を説明するための図である。
【
図12】ステージの上面をXY方向に移動させることにより複数の三次元形状データを生成する例を説明するための図である。
【
図13】ステージの上面をZ方向に移動させることにより複数の三次元形状データを生成する例を説明するための図である。
【
図14】回転ユニットを用いて測定対象物を回転軸周りで回転させることにより複数の三次元形状データを生成する例を説明するための図である。
【
図15】第1の校正機能を説明するための図である。
【
図16】第2の校正機能を説明するための図である。
【
図17】第2のマーカの位置での回転軸のずれのみを用いて三次元形状データの補正を行う場合の一例を説明するための図である。
【
図18】第3の校正機能を説明するための図である。
【
図19】
図1の形状測定装置を用いた測定対象物の形状測定手順を示すフローチャートである。
【
図20】
図1の形状測定装置を用いた測定対象物の形状測定手順を示すフローチャートである。
【
図21】回転を伴う測定対象物の形状測定を行うための測定領域の設定手順を示すフローチャートである。
【
図22】ステージに回転ユニットが取り付けられない状態で形状測定装置の電源がオンされたときに表示部に表示される測定基本画面の一例を示す図である。
【
図23】
図22の領域設定ボタンが操作されることにより表示部に表示される領域設定画面の一例を示す図である。
【
図24】ステージに回転ユニットが取り付けられた状態で表示部に表示される測定基本画面の一例を示す図である。
【
図25】
図24の箱部分ボタンが操作されることに応答して実行される形状測定装置の動作を説明するための図である。
【
図26】
図24の箱部分ボタンが操作されることにより表示部に表示される領域設定画面の一例を示す図である。
【
図27】
図24の箱全周ボタンが操作されることにより表示部に表示される領域設定画面の一例を示す図である。
【
図28】
図24の軸ボタンが操作されることにより表示部に表示される領域設定画面の一例を示す図である。
【
図29】
図24の回転詳細ボタンが操作されることにより表示部に表示される副表示領域の一例を示す図である。
【
図30】
図26~
図28の編集ボタンが操作されることにより表示部に表示される副表示領域の一例を示す図である。
【
図31】
図30の第1の校正チェックボックスにチェックが入れられることにより表示部に表示される領域設定画面の一例を示す図である。
【
図32】
図30の第2の校正チェックボックスにチェックが入れられることにより表示部に表示される領域設定画面の一例を示す図である。
【
図33】
図32のマーカ反転チェックボックスにチェックが入れられることにより表示部に表示される領域設定画面の一例を示す図である。
【
図34】第1のマーカおよび第2のマーカについての新たな測定領域が設定された状態で表示部に表示される領域設定画面の一例を示す図である。
【
図35】回転ユニットを用いた測定対象物の形状測定の一例を示す外観斜視図である。
【
図36】
図35の形状測定により得られる全ての三次元形状データに基づく三次元形状画像の一例を示す図である。
【
図37】
図36の三次元形状画像からステージの上面に対応する三次元形状画像を除去した図である。
【
図38】
図1のCPUの機能的な構成を示すブロック図である。
【
図39】CPUにより実行される形状測定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図40】CPUにより実行される形状測定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図41】CPUにより実行される測定領域設定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図42】CPUにより実行される測定領域設定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図43】Z方向の測定対象物の測定範囲を設定することの要否を受け付け可能な領域設定画面の一例を示す図である。
【
図44】測定対象物のZ方向における測定範囲を設定するための領域設定画面の一例を示す図である。
【
図45】測定対象物とステージとの干渉判定機能を説明するための図である。
【
図46】他の実施の形態に係る回転ユニットの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の一実施の形態に係る三次元形状測定装置について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明では、三次元形状測定装置を形状測定装置と略記する。
【0040】
[1]形状測定装置の構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る形状測定装置の構成を示すブロック図である。
図2は、
図1の形状測定装置500の測定部の構成を示す模式図である。
図3は、
図1の形状測定装置500の測定部の外観斜視図である。
【0041】
図1に示すように、形状測定装置500は、測定部100、PC(パーソナルコンピュータ)200、制御部300および表示部400を備える。測定部100は、例えば顕微鏡であり、複数の投光部110A,110B、受光部120、照明光出力部130、ステージ140、制御基板150および回転ユニット190を含む。
図2に示すように、各投光部110A,110Bは、測定光源111、パターン生成部112、複数のレンズ113,114,115、絞り116および複数の折り曲げミラー117,118を含む。受光部120は、複数のカメラ121A,121B、複数のレンズ122,123A,123B、ハーフミラー124および絞り125A,125Bを含む。
【0042】
測定部100においては、測定対象物Sの形状を測定可能な測定空間101が、投光部110A,110Bおよび受光部120の位置関係に基づいて定まる。
図2および
図3では、測定空間101が一点鎖線で示される。ステージ140の上面141sの一部は、測定空間101に位置する。ステージ140の上面141sに測定対象物Sが載置されること、または後述する回転ユニット190により測定対象物Sが保持されることにより、測定空間101に測定対象物Sが配置される。
【0043】
ここで、
図2および
図3の測定部100において、ステージ140の上面141s内で互いに直交する2方向をX方向およびY方向と定義し、それぞれ矢印X,Yで示す。なお、X方向は測定部100の前後方向に平行な方向であり、Y方向は測定部100の左右方向に平行な方向である。また、ステージ140の上面141sに対して直交する方向をZ方向と定義し、矢印Zで示す。
【0044】
図3に示すように、ステージ140は台座990に設けられる。台座990から上方に延びるように支柱991が設けられている。支柱991の上端部に光学系支持体992が取り付けられている。光学系支持体992は、ステージ140の上方に位置するように受光部120を支持する。また、光学系支持体992は、それぞれステージ140の斜め上方に位置するように2つの投光部110A,110Bを支持する。2つの投光部110A,110Bは、X方向に並ぶように配置される。より具体的には、2つの投光部110A,110Bは、受光部120の光軸ROAを含みかつX方向に直交する面を挟んで対称に配置される。2つの投光部110A,110Bおよび受光部120は光学系支持体992に支持された状態で後述するヘッドケーシング160(
図8~
図10)に収容される。
【0045】
各投光部110A,110Bの測定光源111は、例えば白色光を出射するハロゲンランプである。測定光源111は、白色光を出射する白色LED(発光ダイオード)等の他の光源であってもよい。
【0046】
図2および
図3に示すように、測定光源111から出射された光は、レンズ113により適切に集光された後、折り曲げミラー117により反射され、パターン生成部112に入射する。パターン生成部112は、例えばDMD(デジタルマイクロミラーデバイス)である。パターン生成部112は、透過型LCD(液晶ディスプレイ)、反射型LCD、LCOS(Liquid Crystal on Silicon:反射型液晶素子)またはマスクであってもよい。パターン生成部112は、入射した光から予め設定された形状測定用のパターンおよび予め設定された強度(明るさ)を有する光束(以下、パターン光と呼ぶ。)を生成し、生成されたパターン光をパターン出射面112S(
図3)から出射する。
【0047】
パターン生成部112により出射されたパターン光は、複数のレンズ114,115および絞り116により拡大された後、折り曲げミラー118により反射され、ステージ140上の測定対象物Sに照射される。本実施の形態においては、複数のレンズ114,115および絞り116により両側テレセントリック光学系TT(
図3)が構成される。
【0048】
受光部120においては、測定対象物Sによりステージ140の上方に反射されたパターン光が、受光部120のレンズ122に入射する。レンズ122に入射されたパターン光の一部は、ハーフミラー124を透過し、レンズ123Aおよび絞り125Aにより集光および結像され、カメラ121Aで受光される。また、レンズ122に入射されたパターン光の残りは、ハーフミラー124で反射され、受光部120の複数のレンズ123Bおよび絞り125Bにより集光および結像され、カメラ121Bで受光される。
【0049】
本実施の形態に係る受光部120においては、レンズ122,123Aおよび絞り125Aによりカメラ121Aに対応する一の両側テレセントリック光学系が構成される。また、レンズ122,123Bおよび絞り125Bによりカメラ121Bに対応する他の両側テレセントリック光学系が構成される。
【0050】
各カメラ121A,121Bは、例えば撮像素子121aおよびレンズを含むCCD(電荷結合素子)カメラである。撮像素子121aは、例えばモノクロCCD(電荷結合素子)である。撮像素子121aは、CMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサ等の他の撮像素子であってもよい。撮像素子121aの各画素からは、受光量に対応するアナログの電気信号(以下、受光信号と呼ぶ。)が制御基板150(
図1)に出力される。
【0051】
本例においては、照明光出力部130は、測定対象物Sに赤色波長の光、緑色波長の光および青色波長の光を時分割で出射する。この構成によれば、モノクロCCDを用いた受光部120により測定対象物Sのカラー画像を撮像することができる。
【0052】
なお、レンズ123Aの倍率はレンズ123Bの倍率に比べて低い。あるいは、カメラ121Aのレンズの倍率は、カメラ121Bのレンズの倍率に比べて低い。そのため、カメラ121Aは低倍率カメラとして用いられ、カメラ121Bは、高倍率カメラとして用いられる。使用者は、例えば後述する操作部250を操作することにより、測定対象物Sの観察および形状測定に用いるカメラとして、低倍率カメラおよび高倍率カメラのうちいずれか一方を選択することができる。
【0053】
制御基板150には、図示しないA/D変換器(アナログ/デジタル変換器)およびFIFO(First In First Out)メモリが実装される。カメラ121A,121Bから出力される受光信号は、制御部300による制御に基づいて、制御基板150のA/D変換器により一定のサンプリング周期でサンプリングされるとともにデジタル信号に変換される。A/D変換器から出力されるデジタル信号は、FIFOメモリに順次蓄積される。FIFOメモリに蓄積されたデジタル信号は画素データとして順次PC200に転送される。
【0054】
図1に示すように、PC200は、CPU(中央演算処理装置)210、ROM(リードオンリメモリ)220、作業用メモリ230、記憶装置240および操作部250を含む。また、操作部250は、キーボードおよびポインティングデバイスを含む。ポインティングデバイスとしては、マウスまたはジョイスティック等が用いられる。
【0055】
ROM220には、システムプログラムが記憶される。作業用メモリ230は、RAM(ランダムアクセスメモリ)からなり、種々のデータの処理のために用いられる。記憶装置240は、ハードディスク等からなる。記憶装置240には、測定対象物Sの形状測定を行うための形状測定プログラムが記憶される。また、記憶装置240は、測定対象物Sの形状測定に関する種々のデータを保存するために用いられる。
【0056】
CPU210は、記憶装置240に記憶された形状測定プログラムを実行する。それにより、CPU210は、制御基板150から与えられる画素データに基づいて画像データを生成する。また、CPU210は、生成した画像データに作業用メモリ230を用いて各種処理を行うとともに、画像データに基づく画像を表示部400に表示させる。さらに、CPU210は、後述するステージ駆動部146および後述する回転駆動部192に駆動パルスを与える。CPU210が形状測定プログラムを実行することにより発揮される具体的な機能については後述する。表示部400は、例えばLCDパネルまたは有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルにより構成される。
【0057】
ステージ140は、XYステージ141およびZステージ142を含む。XYステージ141は、上面141sを有するとともに、X方向移動機構およびY方向移動機構を有する。X方向移動機構は、上面141sをX方向に移動させるための機構である。Y方向移動機構は、上面141sをY方向に移動させるための機構である。Zステージ142は、上面141sをZ方向に移動させるためのZ方向移動機構を有する。なお、ステージ140は、θステージを含んでもよいし、チルトステージを含んでもよい。θステージは、例えば上面141sに直交する軸を中心に回転可能な機構を有するステージである。チルトステージは、上面141sに平行な軸を基準として傾斜可能な機構を有するステージである。
【0058】
ここで、受光部120の焦点に位置しかつ受光部120の光軸ROAに垂直な平面を受光部120の焦点面と呼ぶ。
図2および
図3に示すように、投光部110A,110B、受光部120およびステージ140の相対的な位置関係は、投光部110Aからステージ140の上面141sに向かう投光部110Aの光軸TOA1、投光部110Bからステージ140の上面141sに向かう投光部110Bの光軸TOA2、およびステージ140の上面141sから受光部120に向かう受光部120の光軸ROAが受光部120の焦点面で互いに交差するように設定される。
【0059】
また、投光部110Aの焦点を含みXY方向に平行な平面を投光部110Aの焦点面と呼び、投光部110Bの焦点を含みXY方向に平行な平面を投光部110Bの焦点面と呼ぶ。この場合、各投光部110A,110Bは、投光部110Aの焦点面および投光部110Bの焦点面が受光部120の焦点を含む位置で交差するように構成される。
【0060】
上記のような構成により、測定部100においては、投光部110Aによる測定光の照射領域と、投光部110Bによる測定光の照射領域と、受光部120の撮像領域(撮像視野)とが重複する空間が形成される。この3つの領域の重複空間が、測定空間101である。なお、測定空間101のサイズは、使用者により選択されるカメラの倍率(高倍率または低倍率)に応じて異なる。低倍率が選択されたときの測定空間101のサイズは、高倍率が選択されたときの測定空間101のサイズよりも大きい。
【0061】
ステージ140のX方向移動機構、Y方向移動機構およびZ方向移動機構には、それぞれステッピングモータが用いられる。
図1に示すように、測定部100は、ステージ140に付随する構成要素としてステージ操作部145およびステージ駆動部146を含む。ステージ140のX方向移動機構、Y方向移動機構およびZ方向移動機構は、
図1のステージ操作部145またはステージ駆動部146により駆動される。
【0062】
使用者は、ステージ操作部145を手動で操作することにより、ステージ140の上面141sを受光部120に対して相対的にX方向、Y方向またはZ方向に移動させることができる。ステージ駆動部146は、PC200より与えられる駆動パルスに基づいて、ステージ140の各ステッピングモータに電流を供給することにより、ステージ140の上面141sを受光部120に相対的にX方向、Y方向またはZ方向に移動させる。
【0063】
ステージ140のX方向移動機構、Y方向移動機構およびZ方向移動機構の各々に用いられるステッピングモータにはエンコーダが取り付けられている。各エンコーダの出力信号は、例えばCPU210に与えられる。CPU210は、ステージ140の各エンコーダから与えられる信号に基づいて、ステージ140の上面141sのX方向の位置(X位置)、Y方向の位置(Y位置)またはZ方向の位置(Z位置)の変化量を算出することができる。
【0064】
ステージ140においては、XYステージ141について、予めXY方向における基準位置が定められている。基準位置は、例えば上面141sの中心が受光部120の光軸ROA上に位置するときのXYステージ141の位置である。なお、基準位置は、平面視で測定空間101の全体がステージ140の上面141s上に重なるように定められればよい。そのため、基準位置は、測定空間101がステージ140の上面141s上に位置するのであれば、上面141sの中心を除く部分が受光部120の光軸ROA上に位置するときのXYステージ141の位置であってもよい。
【0065】
図2および
図3に示すように、本実施の形態に係るXYステージ141は、X方向に延びる長方形の板形状を有する。X方向におけるXYステージ141の端部には、回転ユニット190が設けられている。回転ユニット190は、ステージ140に対して取り付けることが可能かつ取り外すことが可能に構成されている。
【0066】
図4は、回転ユニット190の構成とステージ140に対する回転ユニット190の取り付けおよび取り外しを説明するための図である。
図4(a)に、回転ユニット190の平面図が示される。
図4(b)に、XYステージ141の平面図が示される。
図4(c)に、回転ユニット190が取り付けられたXYステージ141の平面図が示される。
【0067】
図4(a)に示すように、回転ユニット190は、保持部191および回転駆動部192を含む。回転駆動部192は、ステッピングモータsmおよび電源部ppが略直方体形状を有するケーシング内に収容された構成を有する。ステッピングモータsmは保持部191を回転させるために用いられる。電源部ppはステッピングモータsmに電力を供給する。回転駆動部192のケーシングは、長手方向において互いに対向する2つの端面es1,es2を有するとともに、短手方向において互いに対向する2つの側面ss1,ss2を有する。
【0068】
保持部191は、後述する一対の保持片92,93(
図5~
図7)で測定対象物Sを挟み込むことにより測定対象物Sを保持可能に構成されたチャックであり、側面ss1から所定距離突出するように設けられている。また、保持部191は、側面ss1に直交する回転軸の周りで回転可能に回転駆動部192のステッピングモータsmにより支持されている。保持部191の詳細は後述する。回転駆動部192の他方の側面ss2には、後述する一対の保持片92,93(
図5~
図7)間の距離を調整するための保持ダイヤル195が設けられている。
【0069】
回転駆動部192の両端面es1,es2の下端には、回転ユニット190をXYステージ141上に取り付けるための取付部199が設けられている。取付部199には、ねじを挿入可能な貫通孔が形成されている。また、回転駆動部192には、ケーシング内の電源部ppから一方の端面es2を通して外方に延びるようにケーブル193が設けられている。ケーブル193の先端には、コネクタ194が設けられている。ケーブル193およびコネクタ194は、XYステージ141内部に設けられる後述する回転ユニット用基板から電源部ppに電力を供給するためおよび回転ユニット用基板と電源部ppとの間で信号のやり取りを行うために用いられる。
【0070】
図4(b)に示すように、XYステージ141の上面141sは、X方向に延びる矩形状を有する。X方向における上面141sの一端部には、回転ユニット190の2つの取付部199にそれぞれ対応する2つのねじ孔141hが形成されている。本例では、XYステージ141は、基準位置にあるものとする。この場合、平面視で、測定空間101の外縁はXYステージ141の上面141sの中心を取り囲む。
【0071】
XYステージ141内部には、回転ユニット190の電源部ppに電力を供給するためおよび回転駆動部192の動作を制御するための制御基板(以下、回転ユニット用基板と呼ぶ。)が設けられている。XYステージ141のうち測定部100の前方を向く一側部には、回転ユニット用基板と回転ユニット190とを電気的に接続するためのコネクタ141cが設けられている。
【0072】
図4(c)に示すように、XYステージ141上に回転ユニット190が取り付けられる。この取付時には、XYステージ141の2つのねじ孔141h上に回転ユニット190の2つの取付部199が位置決めされる。また、各取付部199の貫通孔を通してねじ孔141hにねじが取り付けられる。それにより、XYステージ141の上面141sにおける予め定められた位置に回転ユニット190が固定される。XYステージ141が基準位置にある状態で、回転ユニット190は測定空間101から外れた空間に位置する。この場合、回転ユニット190が測定空間101に位置しないので、測定対象物Sの測定可能な範囲が回転ユニット190により制限されることが防止される。
【0073】
さらに、XYステージ141への回転ユニット190の取付時には、ケーブル193に設けられたコネクタ194が、XYステージ141のコネクタ141cに接続される。これにより、XYステージ141から回転ユニット190への電力供給が可能になる。また、回転ユニット190の回転駆動部192が、XYステージ141の回転ユニット用基板を介してCPU210により制御される。
【0074】
回転駆動部192のステッピングモータsmにはエンコーダが取り付けられている。当該エンコーダの出力信号は、回転ユニット190とXYステージ141とが電気的に接続されることによりCPU210に与えられる。CPU210は、回転ユニット190のエンコーダから与えられる信号に基づいて、保持部191の回転方向における角度位置(回転角度)を算出することができる。
【0075】
ここで、保持部191の詳細について説明する。
図5~
図7は、保持部191の構成の詳細を説明するための外観斜視図である。
図5に示すように、保持部191は、回転支持軸91、一対の保持片92,93および図示しない開閉機構を含む。
【0076】
回転支持軸91は、回転駆動部192のステッピングモータsmに接続され、当該回転支持軸91の中心軸周りで回転可能に支持されている。一対の保持片92,93は、それぞれ半円柱形状を有し、回転支持軸91の先端部分を挟み込むようにかつ一対の保持片92,93により一本の円柱を形成するように設けられている。図示しない開閉機構は、
図5に白抜きの矢印で示すように、使用者による保持ダイヤル195(
図4(a))の操作に応じて一対の保持片92,93間の距離を変化させる。それにより、
図6に示すように、保持部191は、一対の保持片92,93が測定対象物Sの一部を挟み込むことにより測定対象物Sを保持(把持)することが可能に構成されている。
【0077】
各保持片92,93の先端に位置する端面92e,93eには、複数の孔92h,93hが形成されている。これらの複数の孔92h,93hには、棒状部材94を挿入することができる。保持片92,93の複数の孔92h,93hに選択的に所定数の棒状部材94が挿入されることにより、
図7に示すように、複数の棒状部材94を用いて測定対象物Sを保持することも可能である。
【0078】
保持部191により保持された測定対象物Sを測定空間101に配置することにより、測定空間101内に位置する測定対象物Sの上方を向く部分について三次元形状を測定することができる。
【0079】
上記の保持部191の構成によれば、測定対象物Sが片持ち保持されるので、保持部191により保持される測定対象物Sの部分が低減される。したがって、測定空間101内で測定対象物Sを回転させることにより、測定対象物Sの表面のより広い範囲について三次元形状を測定することができる。
【0080】
ところで、Z方向移動機構により上下動可能なステージ140の範囲(以下、可動ストローク範囲と呼ぶ。)は、例えばステージ140と受光部120との位置関係に基づいて定められることが好ましい。
図8~
図10は、
図1のステージ140のZ方向における好ましい可動ストローク範囲について説明するための図である。
【0081】
図8~
図10では、測定部100の模式的正面図が示される。また、
図8~
図10では、投光部110A,110Bおよび受光部120を収容するヘッドケーシング160が二点鎖線で示され、受光部120の焦点面120Fが太い点線で示される。さらに、回転ユニット190における回転支持軸91(
図5~
図7)の中心を通る回転軸RAが一点鎖線で示される。本例では、ヘッドケーシング160の下端部に受光部120のレンズ122(
図2)が位置する。また、本例では、回転軸RAは、回転ユニット190がステージ140に取り付けられた状態で、X方向に平行に延びる。
【0082】
図8に示すように、ステージ140は、少なくとも上面141sが受光部120の焦点面120Fに位置する高さ位置p1に配置可能に構成されることが好ましい。この場合、回転ユニット190は、Z方向の寸法(高さ)dhが受光部120のレンズ122から焦点面120Fまでの作動距離WDよりも小さくなるように設計されることが好ましい。
【0083】
次に、
図9に示すように、ステージ140は、回転ユニット190が取り付けられた状態で、少なくとも回転ユニット190の回転軸RAが受光部120の焦点面120Fに位置する高さ位置p2に配置可能に構成されることが好ましい。
図8および
図9の例に示される配置を実現するためには、
図1のステージ140のZ方向における可動ストローク範囲RMは、受光部120の焦点面120FをZ方向における上面141sと回転軸RAとの間で位置調整できるように定められる必要がある。
【0084】
ここで、Z方向における上面141sから回転軸RAまでの距離を基準距離RDと定義する。この場合、
図10に示すように、ステージ140は、回転ユニット190が取り付けられた状態で、焦点面120Fが上面141sから上方に基準距離RDの2倍の距離離間した高さ位置に配置されるときの高さ位置p3に配置可能に構成されることがより好ましい。
【0085】
このような構成によれば、回転軸RAを基準とする回転時に上面141sに干渉しない測定対象物Sについて、広い範囲に渡って形状測定を行うことができる。したがって、
図1のステージ140のZ方向における可動ストローク範囲RMは、受光部120の焦点面120Fを上面141sと上面141sの上方に基準距離RDの2倍の距離離間した高さ位置との間で位置調整できるように定められることが好ましい。
【0086】
図1に示すように、制御部300は、制御基板310および照明光源320を含む。制御基板310には、図示しないCPUが実装される。制御基板310のCPUは、PC200のCPU210からの指令に基づいて、投光部110A,110B、受光部120および制御基板150を制御する。
【0087】
照明光源320は、例えば赤色光、緑色光および青色光を出射する3つのLEDを含む。各LEDから出射される光の輝度を制御することにより、照明光源320から任意の色の光を発生することができる。照明光源320から発生される光(以下、照明光と呼ぶ。)は、導光部材(ライトガイド)を通して測定部100の照明光出力部130から出力される。なお、制御部300に照明光源320を設けずに、測定部100に照明光源320を設けてもよい。この場合、測定部100には照明光出力部130が設けられない。
【0088】
図2の照明光出力部130は、円環形状を有し、受光部120を取り囲むようにステージ140の上方に配置される。これにより、影が発生しないように照明光出力部130から測定対象物Sに照明光が照射される。
【0089】
[2]測定対象物の立体形状を示す三次元形状データ
(1)三角測距方式による測定対象物の形状測定
測定部100においては、三角測距方式により測定対象物Sの形状が測定される。
図11は、三角測距方式の原理を説明するための図である。
図11に示すように、例えば投光部110Aから出射される光線の光軸と受光部120に入射する反射光の光軸(受光部120の光軸)との間の角度γが予め設定される。角度γは、0度よりも大きく90度よりも小さい。
【0090】
ステージ140上に測定対象物Sが配置されない場合、投光部110Aから出射される光線は、ステージ140の上面141sの点Oにより反射され、受光部120に入射する。一方、ステージ140上に測定対象物Sが配置される場合、投光部110Aから出射される光線は、測定対象物Sの表面の点Aにより反射され、受光部120に入射する。
【0091】
点Oと点Aとの間のX方向における距離をdとすると、ステージ140の上面141sに対する測定対象物Sの点Aの高さhは、h=d÷tan(γ)により与えられる。
図1のPC200のCPU210は、制御基板150により与えられる測定対象物Sの画素データに基づいて、X方向における点Oと点Aとの間の距離dを測定する。また、CPU210は、測定された距離dに基づいて、測定対象物Sの表面の点Aの高さhを算出する。測定対象物Sの表面の全ての点の高さを算出することにより、測定対象物Sの三次元的な形状が測定される。
【0092】
三角測距方式の形状測定時には、測定対象物Sの表面の全ての点に光を照射するために、
図1の投光部110A,110Bからステージ140に向かって種々のパターンを有するパターン光が順次出射される。例えば、Y方向に平行でかつX方向に並ぶような直線状の断面を有する縞状のパターン光が、その空間位相が変化されつつ各投光部110A,110Bから複数回出射される。また、Y方向に平行な直線状の断面を有しかつ明部分と暗部分とがX方向に並ぶコード状のパターン光が、その明部分および暗部分がグレイコード状に変化されつつ各投光部110A,110Bから複数回出射される。
【0093】
CPU210(
図1)においては、所定のパターン光が投影された測定対象物Sの画像データに基づいて測定対象物Sの立体形状を表す三次元形状データが生成される。三次元形状データは、測定対象物Sの表面上の位置データを含む。測定部100においては、受光部120に対して固有の位置関係を有する三次元座標系(以下、装置座標系と呼ぶ。)が定義される。本例の装置座標系は、X方向、Y方向およびZ方向に平行なX軸、Y軸およびZ軸を含む。位置データは、例えば装置座標系における座標を表す。以下の説明では、三次元形状データに基づいて表示される測定対象物Sの画像を三次元形状画像と呼ぶ。
【0094】
(2)XY方向における複数の三次元形状データの合成
測定対象物Sがステージ140の上面141s上に載置された状態で、XY方向において測定対象物Sが測定空間101内に収まらない場合には、測定対象物Sの上面の一部にしかパターン光が照射されない。そのため、測定対象物Sの表面の広範囲に渡る三次元形状データを求めることができない。
【0095】
そこで、XY方向において測定対象物Sの上面が測定空間101内に収まらない場合には、ステージ140の上面141sを受光部120に対して相対的にXY方向に移動させることにより、測定対象物Sの複数の部分を撮像してもよい。この場合、測定対象物Sの複数の部分にそれぞれ対応する複数の三次元形状データを取得し、取得された複数の三次元形状データを合成することができる。
【0096】
図12は、ステージ140の上面141sをXY方向に移動させることにより複数の三次元形状データを生成する例を説明するための図である。例えば、
図12(a)に示すように、使用者により測定対象物Sがステージ140上に載置される。また、測定対象物Sの位置および姿勢がステージ140上で調整された後、パターン光を用いた撮像が行われることにより1番目の三次元形状データが生成される。これにより取得される三次元形状画像の一例が
図12(e)に示される。なお、
図12(e)~(h)および後述する
図13(c),(d)および
図14(d)~(f)に示される三次元形状画像において、点線は測定対象物Sの全体の外形を仮想的に表したものである。
【0097】
図12(a)に示すように、本例では、1番目の三次元形状データの生成時に、XY方向における測定対象物Sの一部分のみが測定空間101内に配置される。したがって、
図12(e)に示される三次元形状画像は、測定対象物Sの上面のうちXY方向における複数の部分が欠落している。
【0098】
そこで、
図12(b)~(d)に示すように、1番目の三次元形状データで表されていない測定対象物Sの複数の部分が順次測定空間101に配置されるように、ステージ140の上面141sがXY方向に移動される。また、測定空間101の各部分が測定空間101に配置されるごとに、パターン光を用いた撮像が行われ、2番目~4番目の三次元形状データが生成される。2番目~4番目の三次元形状データにそれぞれ対応する三次元形状画像が
図12(f)~(h)に示される。このようにして、ステージ140のXY方向への移動および測定対象物Sの撮像が繰り返されることにより、測定対象物Sの上面の複数の部分にそれぞれ対応する複数の三次元形状データが生成される。生成された複数の三次元形状データが合成されることにより、測定対象物Sの表面の広い範囲に渡る三次元形状データが生成される。以下の説明では、XY方向において測定対象物Sの形状測定の対象範囲を拡大するための合成を平面方向合成と呼ぶ。
【0099】
(3)Z方向における複数の三次元形状データの合成
測定対象物Sがステージ140の上面141s上に載置された状態で、Z方向において測定対象物Sの上面が測定空間101内(受光部120の被写界深度の範囲内)に収まらない場合には、測定対象物Sの上面の一部にしか受光部120の焦点が合わない。そのため、測定対象物Sの表面の広範囲に渡る三次元形状データを求めることができない。
【0100】
そこで、Z方向において測定対象物Sの上面が測定空間101内に収まらない場合には、ステージ140の上面141sを受光部120に対して相対的にZ方向に移動させることにより、測定対象物Sの複数の部分を撮像してもよい。この場合、測定対象物Sの複数の部分にそれぞれ対応する複数の三次元形状データを取得し、取得された複数の三次元形状データを合成することができる。
【0101】
図13は、ステージ140の上面141sをZ方向に移動させることにより複数の三次元形状データを生成する例を説明するための図である。例えば、
図13(a)に示すように、使用者により測定対象物Sがステージ140上に載置され、パターン光を用いた撮像が行われることにより1番目の三次元形状データが生成される。これにより取得される三次元形状画像の一例が
図13(c)に示される。
【0102】
図13(a)に示すように、本例では、1番目の三次元形状データの生成時に、Z方向における測定対象物Sの上面の一部分のみが測定空間101内に配置される。そのため、
図13(c)に示される三次元形状画像は、測定対象物SのうちZ方向における最上端部分が欠落している。
【0103】
そこで、
図13(b)に示すように、1番目の三次元形状データで表されていない測定対象物Sの部分が測定空間101に配置されるように、ステージ140の上面141sがZ方向に移動される。また、パターン光を用いた撮像が行われ、2番目の三次元形状データが生成される。2番目の三次元形状データに対応する三次元形状画像が
図13(d)に示される。
【0104】
このようにして、ステージ140のZ方向への移動および測定対象物Sの撮像が繰り返されることにより、測定対象物Sの複数の部分にそれぞれ対応する複数の三次元形状データが生成される。生成された複数の三次元形状データが合成されることにより、測定対象物Sの表面の広い範囲に渡る三次元形状データが生成される。以下の説明では、Z方向において測定対象物Sの形状測定の対象範囲を拡大するための合成を高さ方向合成と呼ぶ。
【0105】
(4)回転方向における複数の三次元形状データの合成
回転ユニット190により保持された測定対象物Sが測定空間101内に配置される場合であっても、受光部120の方向に向かない測定対象物Sの部分で反射されるパターン光は受光部120に入射しない。そこで、回転ユニット190により保持された測定対象物Sの形状測定時には、測定対象物Sを回転軸RAの周りで回転させることにより測定対象物Sの複数の部分を撮像してもよい。この場合、測定対象物Sの複数の部分にそれぞれ対応する複数の三次元形状データを取得し、取得された複数の三次元形状データを合成することができる。
【0106】
図14は、回転ユニット190を用いて測定対象物Sを回転軸RA周りで回転させることにより複数の三次元形状データを生成する例を説明するための図である。例えば、
図14(a)に示すように、使用者により測定対象物Sが回転ユニット190の保持部191に取り付けられる。
図14(a)~(c)においては、測定対象物Sを保持する保持部191が二点鎖線で模式的に示される。
【0107】
測定対象物Sが回転ユニット190により保持された状態で、測定対象物Sが測定空間101内に位置するように位置合わせが行われる。さらに、パターン光を用いた撮像が行われることにより1番目の三次元形状データが生成される。これにより取得される三次元形状画像の一例が
図14(d)に示される。
【0108】
なお、本例で用いられる測定対象物Sは、一方向に延びる略円柱形状を有し、当該測定対象物Sの軸心が回転軸RAに一致するように、測定対象物Sの一端が保持部191に保持されている。また、本例の測定対象物Sの端部には、当該測定対象物Sの回転状態が理解しやすいように、黒点が付されている。
【0109】
図14(a)に示すように、1番目の三次元形状データの生成時には、測定対象物Sの外周面のうち受光部120に向く一部分のみが受光部120により撮像される。したがって、
図14(d)に示される三次元形状画像は、測定対象物Sの外周面における比較的広範囲の部分が欠落している。
【0110】
そこで、
図14(b),(c)に示すように、1番目の三次元形状データで表されていない測定対象物Sの外周面の複数の部分が順次受光部120に向くように、予め定められた角度の整数倍の角度間隔(所定の角度ピッチ)で回転ユニット190が測定対象物Sを回転させる。また、測定対象物Sが所定角度回転するごとに、パターン光を用いた撮像が行われ、2番目および3番目の三次元形状データが生成される。2番目および3番目の三次元形状データにそれぞれ対応する三次元形状画像が
図14(e),(f)に示される。
【0111】
このようにして、測定対象物Sの所定角度分の回転および測定対象物Sの撮像が繰り返されることにより、測定対象物Sの外周面の複数の部分にそれぞれ対応する複数の三次元形状データが生成される。生成された複数の三次元形状データが合成されることにより、測定対象物Sの表面の広い範囲(本例では、外周面全体)に渡る三次元形状データが生成される。以下の説明では、回転軸RAを基準とする回転方向において測定対象物Sの形状測定の対象範囲を拡大するための合成を回転方向合成と呼ぶ。
【0112】
[3]回転方向合成を行う際の校正機能
(1)校正機能の概要
上記のように、回転方向合成を行う場合には、測定対象物Sが回転軸RAを基準として、予め定められた角度位置(以下、基準角度位置と呼ぶ。)から所定の角度ピッチで回転する。また、基準角度位置にある状態で測定対象物Sの三次元形状データが生成されるとともに、所定の角度ピッチで回転されるごとに測定対象物Sの三次元形状データが生成される。
【0113】
ここで、温度環境の変化または測定部100の経時的な使用により、回転ユニット190の回転軸RAが装置座標系で規定される設計上の位置からずれていると、正確な三次元形状データを得ることができない。そこで、本実施の形態に係る形状測定装置500は、回転方向合成を用いた測定対象物Sの形状測定時に、生成された三次元形状データの装置座標系に対するずれ(ずれ量およびずれている方向)を相殺するための第1、第2および第3の校正機能を有する。第1、第2および第3の校正機能について順に説明する。
【0114】
(2)第1の校正機能
図15は、第1の校正機能を説明するための図である。
図15(a)に、Y方向に見た回転ユニット190の保持部191の側面図が示される。
図15(a)に示すように、保持部191においては、回転駆動部192と保持片92,93との間に位置する回転支持軸91の一部が、第1のマーカM1として第1の校正機能に用いられる。この第1のマーカM1は、円筒状の外周面を有し、その中心が回転ユニット190の回転軸RA上に位置するように設けられる。第1のマーカM1の外周面の寸法は、既知であり、例えば
図1の記憶装置240に記憶される。
【0115】
図15(a)において、回転ユニット190の回転軸RAが、装置座標系において設計上存在すべき理想的な回転軸(以下、設計回転軸と呼ぶ。)DRAから平行にずれている場合を想定する。この場合、測定対象物Sについて正確な三次元形状データを得るためには、設計回転軸DRAと回転軸RAとの間のずれsvを算出する必要がある。
【0116】
そこで、第1の校正機能では、回転される測定対象物Sの形状測定時に、測定対象物Sとともに第1のマーカM1の外周面の形状が測定される。例えば、測定対象物Sが基準角度位置から回転軸RA周りに120°ピッチで回転する場合、0°、120°および240°の各々の角度位置において測定対象物Sとともに第1のマーカM1の外周面を示す三次元形状データが生成される。
【0117】
上記の3つの角度の各々に対応する第1のマーカM1の三次元形状データは、例えば
図15(a)で第1のマーカM1を通るQ-Q線断面(X方向に直交するYZ平面)において円弧形状を有する。上記のように、第1のマーカM1の外周面の寸法は、既知である。したがって、
図15(b)に太い実線で示すように、第1のマーカM1の外周面の一部を示す円弧形状の三次元形状データによれば、YZ平面内における第1のマーカM1の中心CM1を算出することができる。なお、
図15(b)に一点鎖線で示される円は、設計回転軸DRAを基準として本来生成されるべき第1のマーカM1の三次元形状データを表す。
【0118】
第1のマーカM1の中心は、回転軸RA上に位置する。したがって、第1の校正機能においては、特定のYZ平面における第1のマーカM1の中心の算出は、特定のYZ平面における回転軸RAの位置を算出していることに等しい。
【0119】
三次元形状データ上の第1のマーカM1の中心CM1は、YZ平面において本来的に設計回転軸DRAに重なる必要がある。しかしながら、上記のように実際の回転軸RAが、設計回転軸DRAからずれていると、三次元形状データ上の第1のマーカM1の中心CM1は設計回転軸DRAに重ならない。そこで、三次元形状データ上の第1のマーカM1の中心CM1と設計回転軸DRAとの間のずれsvを算出する。
【0120】
この場合、
図15(c)に示すように、複数の角度位置の各々に対応する第1のマーカM1の三次元形状データは、当該角度位置で算出されたずれsvが相殺されるように補正することで、正確な三次元形状データとすることができる。換言すれば、各角度位置で生成された第1のマーカM1の三次元形状データは、三次元形状データ上の第1のマーカM1の中心CM1が設計回転軸DRAに一致するように補正することで、正確な三次元形状データとすることができる。
【0121】
そこで、第1のマーカM1の三次元形状データとともに生成される測定対象物Sの三次元形状データについて、各角度位置で算出されたずれsvが相殺されるように補正を行う。これにより、測定対象物Sについて正確な三次元形状データを得ることができる。その結果、複数の角度位置で生成された三次元形状データを合成する場合に、広い範囲に渡って測定対象物Sの正確な形状測定を行うことが可能になる。
【0122】
(3)第2の校正機能
図16は、第2の校正機能を説明するための図である。
図16(a)に、Y方向に見た回転ユニット190の保持部191の側面図が示される。
図16(a)の例では、回転ユニット190の回転軸RAが、設計回転軸DRAから傾斜してずれている。この場合、設計回転軸DRAと回転軸RAとの間のずれsvが、X方向の位置に応じて異なる。そのため、第1の校正機能により第1のマーカM1および測定対象物Sの三次元形状データについて補正を行っても、測定対象物Sの部分によっては正確な三次元形状データが得られない。
【0123】
そこで、第2の校正機能では、設計回転軸DRAに対して実際の回転軸RAが傾斜する場合であっても正確な三次元形状データが得られるように、第2のマーカM2が用いられる。
図16(b)の吹き出し内に示すように、第2のマーカM2は、径大部M2aおよび径小部M2bから構成される。径大部M2aおよび径小部M2bは、それぞれ円柱形状を有し、軸心に沿って並ぶように一体成形されている。
【0124】
径大部M2aには、磁石が内蔵されている。また、径大部M2aの端面には、粘着剤または粘着シートが設けられることにより粘着性が付与されている。このような構成により、第2のマーカM2は、磁力により強磁性体からなる測定対象物Sの所望の位置に取り付けおよび取り外しが可能であるとともに、粘着力により非磁性体からなる測定対象物Sの所望の位置に取り付けおよび取り外しが可能である。
【0125】
第2の校正機能では、例えば測定対象物Sのうち第1のマーカM1から最も離間した部分に第2のマーカM2が取り付けられる。第2のマーカM2の径大部M2aおよび径小部M2bの外周面の寸法は、既知であり、例えば
図1の記憶装置240に記憶される。
【0126】
この状態で、回転される測定対象物Sの形状測定時に、測定対象物Sが予め定められた複数の角度位置に回転される。また、複数の角度位置の各々で、測定対象物Sとともに第1のマーカM1および第2のマーカM2の外周面の形状が測定される。このとき、第1の校正機能で説明した方法により、例えば
図16(b)で第1のマーカM1を通るQ1-Q1線断面において設計回転軸DRAと回転軸RAとの間のずれsvが求められる。
【0127】
第2のマーカM2は、例えば
図16(b)で第2のマーカM2を通るQ2-Q2線断面において設計回転軸DRAと回転軸RAとの間のずれsvを求めるために用いられる。具体的には、第2のマーカM2について、Q2-Q2線断面で径大部M2a(または径小部M2b)の全周がカバーされるように、予め定められた複数の角度位置に対応する複数の円弧形状の三次元形状データを生成する。その後、複数の角度位置の各々で、既知である径大部M2a(または径小部M2b)の寸法に合うように、複数の円弧形状の三次元形状データを合成する。
【0128】
この場合、
図16(c)に示すように、Q2-Q2線断面において、第2のマーカM2が複数の角度位置にそれぞれ位置するときの第2のマーカM2の中心CM2を算出することができる。それにより、Q2-Q2線断面における、第2のマーカM2の回転中心、すなわち回転軸RAの位置を算出することができる。そこで、算出された回転軸RAと設計回転軸DRAとの間のずれsvを算出する。
【0129】
このようにして、X方向において互いに離間したQ1-Q1線断面の位置におけるずれsvとQ2-Q2線断面の位置におけるずれsvが算出される。それにより、算出された2つのずれsvに基づいて、第1のマーカM1と第2のマーカM2との間に位置する測定対象物Sの補正量を適切に算出することが可能になる。したがって、測定対象物Sについてより正確な三次元形状データを得ることができる。その結果、複数の角度位置で生成された三次元形状データを合成する場合に、広い範囲に渡って測定対象物Sのより正確な形状測定を行うことが可能になる。
【0130】
上記のように、第2の校正機能によれば、X方向における第2のマーカM2の位置での回転軸のずれsvが算出される。したがって、測定対象物Sの形状によっては、第2のマーカM2の位置での回転軸のずれsvのみを用いて三次元形状データの補正を行ってもよい。なお、本実施の形態においては、第2のマーカM2の位置での回転軸のずれsvのみを用いて三次元形状データの補正を行う構成機能は、第2の校正機能に含まれるものとする。
【0131】
第2のマーカM2の位置での回転軸のずれsvのみを用いて三次元形状データの補正を行う場合、第2のマーカM2は、X方向において測定対象物Sと保持部191との間に位置するように配置されてもよい。
【0132】
図17は、第2のマーカM2の位置での回転軸のずれsvのみを用いて三次元形状データの補正を行う場合の一例を説明するための図である。
図17に示すように、本例では、第2のマーカM2の径小部M2bが保持部191により保持される。また、第2のマーカM2の径大部M2aの端面に例えば円板状の測定対象物Sが取り付けられる。
図17の測定対象物Sは、一方向に延びるような長手形状を有しない。そのため、X方向において測定対象物Sに隣接する第2のマーカM2の位置で算出されるずれsvのみに基づいて三次元形状データを補正する場合でも、比較的高い精度の三次元形状データを得ることができる。
【0133】
(4)第3の校正機能
第3の校正機能では、上記の第1のマーカM1および第2のマーカM2に相当する校正具が用いられない。第3の校正機能では、回転される測定対象物Sの形状測定時に、予め定められた複数の角度位置で当該測定対象物Sについて生成される複数の三次元形状データに基づいて回転軸RAと設計回転軸DRAとの間のずれsvが算出される。
【0134】
図18は、第3の校正機能を説明するための図である。
図18(a)に、回転ユニット190により保持された測定対象物SのX方向に直交する断面が示される。第3の校正機能では、測定対象物Sの回転方向で互いに重複する部分の三次元形状データが生成されるように、複数の角度位置が設定される。その上で、
図18(a)に白抜きの矢印で示すように、複数の角度位置で測定対象物Sの表面が撮像され、複数の角度位置にそれぞれ対応する複数の三次元形状データが生成される。
図18(a)では、複数の角度位置にそれぞれ対応する複数の三次元形状データのうちの一部(3つ)が、データDAa,DAb,DAcとして、吹き出し内に示される。データDAa,DAb,DAcは、それぞれ点線、実線および一点鎖線で示される。データDAa,DAb間では、点線の枠内にある部分が測定対象物Sにおける共通の部分を示す重複部分である。データDAb,DAc間では、一点鎖線の枠内にある部分が重複部分である。これらの重複部分は、生成される三次元形状データから、特定の形状(面または凹凸)等を検出することにより識別することができる。
【0135】
次に、測定対象物Sの回転中心が例えば設計回転軸DRAにあるものとして、複数の角度位置にそれぞれ対応する複数の三次元形状データを、X方向に直交する仮想面上に配置する。この場合、回転軸RAと設計回転軸DRAとの間のずれsvが大きいと、
図18(b)に示すように、隣り合う各2つのデータの一方のデータの重複部分と他方のデータの重複部分との間に大きいずれが生じる。
【0136】
そこで、隣り合う各2つのデータの重複部分間のずれが最小となるように、複数の角度位置にそれぞれ対応する複数の三次元形状データに基づいて測定対象物Sの真の回転軸RAを求めるための収束計算を行う。算出された回転軸RAと設計回転軸DRAとのずれに基づいて複数の三次元形状データを補正する。それにより、
図18(c)に示すように、測定対象物Sについて正確な三次元形状データを得ることができる。その結果、複数の角度位置で生成された三次元形状データを合成する場合に、測定精度の低下を低減しつつ広い範囲に渡って測定対象物Sの形状測定を行うことが可能になる。なお、
図18(b),(c)では、
図18(a)の複数の角度位置に対応する複数の三次元形状データのうちデータDAa,DAb,DAcのみが示される。
【0137】
[4]形状測定装置500を用いた測定対象物Sの形状測定手順
図19および
図20は、
図1の形状測定装置500を用いた測定対象物Sの形状測定手順を示すフローチャートである。初期状態においては、形状測定装置500の電源はオン状態にある。また、形状測定装置500においては、パターン光を用いた形状測定のための撮像が行われる場合を除いて、照明光出力部130からステージ140の上面141sに向けて照明光が照射される。このとき、
図1の表示部400には、受光部120によりリアルタイムで取得される画像データに基づく画像(以下、ライブ画像と呼ぶ。)が表示される。
【0138】
まず、使用者は、測定対象物Sのうち所望の部分の形状測定を行うために回転ユニット190が必要であるか否かを判定する(ステップS1)。そこで、回転ユニット190が必要である場合、使用者は、回転ユニット190がステージ140に取り付けられているか否かを判定する(ステップS2)。回転ユニット190がステージ140に取り付けられていない場合、使用者は、回転ユニット190をステージ140に取り付ける(ステップS3)。
【0139】
ステップS2またはステップS3において回転ユニット190がステージ140に取り付けられた状態で、使用者は、少なくとも一部が測定空間101に位置するように測定対象物Sを回転ユニット190の保持部191に取り付ける(ステップS4)。これにより、測定対象物Sは、回転軸RAの周りで回転可能に保持される。次に、使用者は、測定対象物Sに対する受光部120の焦点面120Fの位置調整を行う(ステップS5)。具体的には、使用者は、ライブ画像を視認しつつ
図1のステージ操作部145または操作部250を操作することにより、測定対象物Sに受光部120の焦点面120Fが合うようにステージ140の上面141sの高さを調整する。
【0140】
次に、使用者は、Z方向に直交するステージ140上の面(例えば水平面)内で受光部120により撮像されるべき領域(以下、測定領域と呼ぶ。)の設定を行う(ステップS6)。これにより、測定対象物Sの上面全体が測定空間101内に収まらない場合でも、複数の測定領域が設定され、それらの測定領域の三次元形状データが生成されることにより、平面方向合成を行うことが可能になる。
【0141】
上記の測定領域の設定は、使用者が表示部400に表示される後述の領域設定画面を操作することにより行われる。なお、測定領域の設定時には、Z方向において上記の高さ方向合成を行うためのZ方向の撮像範囲が定められてもよい。測定領域の設定の詳細については後述する。
【0142】
ここで、上記のステップS1において、回転ユニット190が不要である場合、使用者は、少なくとも一部が測定空間101に位置するように測定対象物Sをステージ140上に載置する(ステップS11)。次に、使用者は、上記のステップS5,S6と同様に、測定対象物Sに対する受光部120の焦点面120Fの位置調整を行い(ステップS12)、測定領域の設定を行う(ステップS13)。
【0143】
その後、使用者は、操作部250を操作することにより、設定された測定領域についてパターン光を用いた撮像の開始を指令する(ステップS7)。それにより、設定された測定領域にパターン光が照射され、撮像が行われる。また、当該測定領域についての三次元形状データが生成される。
【0144】
次に、使用者は、ステップS7の作業で生成された三次元形状データを測定対象物Sの形状測定結果として確認し(ステップS21)、その三次元形状データに欠落部分がないか否かを判定する(ステップS22)。三次元形状データに欠落部分がない場合、使用者は、三次元形状データを
図1の作業用メモリ230または記憶装置240に保存し、その三次元形状データに基づいて測定対象物Sの形状の解析を行う(ステップS23)。これにより、一連の作業が終了する。
【0145】
上記のステップS22において、三次元形状データに欠落部分がある場合、使用者は、三次元形状データの欠落部分に対応する測定対象物Sの部分が撮像されるように、測定領域の追加設定を行う(ステップS24)。次に、使用者は、操作部250を操作することにより、追加設定された測定領域についてパターン光を用いた撮像の開始を指令する(ステップS25)。それにより、追加設定された測定領域の形状を示す三次元形状データが生成される。また、使用者は、操作部250を操作することにより、ステップS7の作業により生成された三次元形状データにステップS25の作業により生成された三次元形状データを合成する(ステップS26)。このステップS26の作業は、CPU210により自動的に行われる場合、省略されてもよい。その後、使用者は、上記のステップS23の作業を進める。
【0146】
本実施の形態に係る形状測定装置500においては、
図1のCPU210は、回転ユニット190による回転を伴う測定対象物Sの形状測定時に、3種類のモードのいずれかで測定領域を設定することが可能に構成されている。これらの3種類のモードを第1の箱形状領域設定モード、第2の箱形状領域設定モードおよび軸形状領域設定モードと呼ぶ。
【0147】
第1の箱形状領域設定モードは、箱形状を有する測定対象物Sを回転軸RA周りで360°回転させつつ形状測定を行う場合の測定領域設定に適したモードである。第2の箱形状領域設定モードは、回転軸RA周りの予め定められた角度範囲(例えば180°)内で箱形状を有する測定対象物Sを回転させつつ形状測定を行う場合の測定領域設定に適したモードである。軸形状領域設定モードは、軸形状を有する測定対象物Sを回転軸RAに沿って延びるように配置し、回転軸RA周りで360°回転させつつ形状測定を行う場合の測定領域設定に適したモードである。
【0148】
ここで、上記のステップS6における測定領域設定の手順について詳細を説明する。
図21は、回転を伴う測定対象物Sの形状測定を行うための測定領域の設定手順を示すフローチャートである。使用者は、操作部250を用いて後述する領域設定画面を操作することにより下記の設定作業を行う。
【0149】
使用者は、測定領域を設定するCPU210のモードとして、第1の箱形状領域設定モード、第2の箱形状領域設定モードおよび軸形状領域設定モードのいずれか1つを選択する(ステップS31)。
【0150】
この選択は、具体的には次のように行われる。まず、使用者は、測定対象物Sの形状を箱形状および軸形状のいずれに属するかを主観的に判定する。その上で、使用者は、測定対象物Sの形状が軸形状に属すると判定した場合には、軸形状領域設定モードを選択する。
【0151】
一方、使用者は、測定対象物Sの形状が箱形状に属すると判定した場合には、さらに測定対象物Sの測定対象となる部分を決定する。その上で、使用者は、測定対象物Sの形状を回転軸RA周りの全周(360°分)に渡って測定したい場合に、第1の箱形状領域設定モードを選択する。一方、使用者は、測定対象物Sの形状を回転軸RA周りの一部の範囲(例えば180°分)に渡って測定したい場合に、第2の箱形状領域設定モードを選択する。
【0152】
次に、使用者は、測定領域の仮設定を開始すべき旨の指令を行う(ステップS32)。この場合、CPU210は、測定領域の仮設定指令に応答して、現在の測定対象物Sに対する暫定的な仮の測定領域を設定する。それにより、測定対象物Sと測定領域との位置関係を平面図で示す画像(以下、領域設定マップ画像と呼ぶ。)が表示部400に表示される。
【0153】
そこで、使用者は、表示部400に表示される領域設定マップ画像を視認しつつ暫定的に設定された仮の測定領域を確認する(ステップS33)。また、使用者は、領域設定マップ画像に示される測定領域が適切であるか否かを判定する(ステップS34)。測定領域が適切でない場合、使用者は、測定領域を修正する(ステップS35)。
【0154】
ステップS34において測定領域が適切である場合またはステップS35で測定領域が修正された場合、使用者は、マーカによる校正機能(上記の第1または第2の校正機能)を使用するか否かを判定する(ステップS36)。マーカによる校正機能を使用しない場合、ステップS36の時点で設定されている測定領域が正規な設定領域として設定される。それにより、測定領域の設定が完了する。
【0155】
一方、ステップS36において、マーカによる校正機能を使用する場合には、使用者は、校正機能用のマーカとして、第1のマーカM1および第2のマーカM2のうち少なくとも一方を選択する(ステップS37)。ここで、第2のマーカM2を選択した場合、使用者は、第2のマーカM2を測定対象物Sに取り付ける。その後、使用者は、ステップS37で選択したマーカが受光部120により撮像されるように、測定領域を修正する(ステップS38)。それにより、測定領域の設定が完了する。
【0156】
なお、上記のステップS13における測定領域設定の手順、すなわち回転を伴わない測定対象物Sの形状測定時の測定領域設定の手順は、ステップS31,S36~S38の手順が省略される点を除いて、
図21のステップS32~S35の設定手順と同じである。
【0157】
[5]表示部400に表示される各種画面
(1)初期状態で表示される測定基本画面
図22は、ステージ140に回転ユニット190が取り付けられない状態で形状測定装置500の電源がオンされたときに表示部400に表示される測定基本画面の一例を示す図である。
図22に示すように、測定基本画面401は、左右に並ぶ主表示領域410および副表示領域420を含む。測定基本画面401において、主表示領域410には、ライブ画像が表示される。それにより、例えば測定空間101に位置するようにステージ140上に測定対象物Sが載置される場合には、主表示領域410内に測定対象物Sの表面状態を示す対象物画像SIが表示される。
【0158】
また、
図22の主表示領域410には、ステージ140の上面141sをXY方向に移動させるための水平移動操作ウィンドウ411がライブ画像上に重畳表示される。水平移動操作ウィンドウ411内には、ステージ140の上面141sを互いに異なる複数の方向に移動させるための複数(本例では8つ)の移動ボタン412が表示される。これにより、使用者は、
図1の操作部250を用いて測定基本画面401上のポインタを操作し、例えば複数の移動ボタン412のいずれかをクリックする。それにより、ステージ140の上面141sを測定空間101に対してXY方向に相対的に移動させ、受光部120の撮像領域を移動させることができる。
【0159】
図22の測定基本画面401においては、副表示領域420に、測定対象物Sの形状測定に関する複数のボタンおよび画像が表示される。具体的には、測定基本画面401の副表示領域420には、領域設定ボタン421、編集ボタン422、領域クリアボタン423、視野確認画像424、測定開始ボタン425および上面除去ボタン429が表示される。
【0160】
領域設定ボタン421は、使用者が測定領域の設定を指令するためのボタンである。使用者は、例えば上記のステップS13の測定領域設定時に領域設定ボタン421を操作する。それにより、表示部400には、
図22の測定基本画面401に代えて後述する
図23の領域設定画面402が表示される。
【0161】
編集ボタン422は、使用者が測定領域の設定を修正するためのボタンである。使用者は、例えば上記のステップS13の測定領域の設定中に編集ボタン422を操作することにより、測定領域の設定内容について修正および追加を行うことができる。使用者により編集ボタン422が操作された場合にも、表示部400には
図22の測定基本画面401に代えて後述する
図23の領域設定画面402が表示される。領域クリアボタン423は、使用者が、測定領域の設定をリセットするためのボタンである。
【0162】
視野確認画像424は、受光部120の撮像領域(撮像視野)が例えばステージ140の上面141s上のどこにあるのかを示す画像である。視野確認画像424においては、ステージ140の上面141sの平面図上に、受光部120の現在の撮像領域を示す矩形状の指標が重畳表示される。また、測定領域の設定後、視野確認画像424には、受光部120の撮像領域を示す指標とともに、設定された測定領域を示す指標が撮像領域の指標に対して識別可能に表示される。
図22の視野確認画像424では、受光部120の現在の撮像領域を示す指標が実線で示される。また、現時点で設定されている測定領域を示す指標が点線で示される。
【0163】
測定開始ボタン425は、測定対象物Sの三次元形状データを得るために、例えば上記のステップS7で使用者がパターン光を用いた測定対象物Sの撮像開始を指令するためのボタンである。測定領域の設定後に使用者が測定開始ボタン425を操作すると、設定された測定領域が撮像され、測定対象物Sの三次元形状データが生成される。上面除去ボタン429は、ステージ140の上面141sの三次元形状データを測定結果から除去すべき旨を使用者が指令するためのボタンである。なお、
図22の測定基本画面401には、図示しない倍率切替ボタンも表示される。それにより、使用者は、倍率切替ボタンを操作することにより、所望の倍率で表示されるライブ画像に基づいて測定対象物Sの表面状態を観察することができる。
【0164】
(2)回転を伴わない測定対象物Sの形状測定を行うための領域設定画面
図23は、
図22の領域設定ボタン421が操作されることにより表示部400に表示される領域設定画面の一例を示す図である。
図23に示すように、領域設定画面402は、測定基本画面401と同様に、主表示領域410および副表示領域420を含む。
【0165】
図22の領域設定ボタン421が操作されると、例えばステージ140上に載置された測定対象物Sの全体が受光部120により自動的に撮像される。このとき、測定対象物Sの全体が受光部120の撮像領域内に収まらない場合には、ステージ140の上面141sが受光部120に対してXY方向に相対的に移動され、撮像が複数回繰り返される。撮像により得られた測定対象物Sの画像に基づいて、Z方向に直交するステージ140上の面(例えば水平面)内で測定対象物Sが存在する領域(以下、存在領域と呼ぶ。)が検出される。その上で、検出された存在領域が仮の測定領域として暫定的に設定される。
【0166】
図23の領域設定画面402においては、主表示領域410に、領域設定マップ画像が表示される。ここで、測定領域は、受光部120が一度に撮像可能な測定空間101の少なくとも一部の領域を単位領域として、1または複数の単位領域がステージ140上に並ぶように設定される。したがって、領域設定マップ画像においては、
図23に点線で示すように、測定領域を構成する単位領域を示す指標が、対象物画像SIとともに単位領域枠MMとして表示される。
図23の例では、対象物画像SIの全体をカバーするように、4つの単位領域枠MMが示される。
【0167】
また、
図23の領域設定画面402においては、副表示領域420に、領域設定マップ画像上で測定領域の位置およびサイズを調整すべきメッセージが表示される。さらに、除外ボタン426、OKボタン427およびキャンセルボタン428が表示される。使用者は、領域設定画面402上のポインタを操作することにより、領域設定マップ画像上で各単位領域枠MMの位置およびサイズを調整することができる。また、使用者は、単位領域枠MMを追加することもできる。このようにして、使用者は、領域設定マップ画像上で、X方向およびY方向における測定領域を容易に拡張または縮小することができる。
【0168】
除外ボタン426は、領域設定マップ画像において、形状測定が不要と判定した領域を使用者が除外領域として指定するためのボタンである。使用者は、除外ボタン426を操作した後、領域設定マップ画像上で複数の単位領域枠MMのうちいずれかの単位領域枠MMを指定することにより、当該単位領域枠MMの部分を測定領域から除外することができる。
【0169】
OKボタン427は、使用者が、領域設定マップ画像を用いた測定領域の設定が完了したことを指令するためのボタンである。使用者がOKボタン427を操作すると、OKボタン427の操作時点で設定された測定領域の情報が正規の設定情報として、
図1の作業用メモリ230または記憶装置240に記憶される。表示部400には、
図23の領域設定画面402に代えて直前に表示されていた
図22の測定基本画面401が再表示される。
【0170】
キャンセルボタン428は、使用者が、現在表示されている領域設定画面402上で設定された測定領域の情報をリセットしつつ、表示部400に
図22の測定基本画面401を表示させるためのボタンである。
【0171】
(3)回転ユニット190の接続時に表示される測定基本画面
表示部400に
図22の測定基本画面401が表示された状態で、使用者が上記のステップS3の作業により回転ユニット190をステージ140に取り付ける。この場合、測定基本画面401が
図22の表示態様から変化する。
図24は、ステージ140に回転ユニット190が取り付けられた状態で表示部400に表示される測定基本画面401の一例を示す図である。
【0172】
図24に示すように、ステージ140に回転ユニット190が接続されると、主表示領域410には、ライブ画像上に
図22の水平移動操作ウィンドウ411に加えて回転操作ウィンドウ413がさらに重畳表示される。
【0173】
回転操作ウィンドウ413内には、原点ボタン414、正回転ボタン415および逆回転ボタン416が表示される。原点ボタン414は、回転軸RA周りの回転方向において、回転ユニット190の保持部191の角度位置を基準角度位置へ戻すためのボタンである。
【0174】
正回転ボタン415は回転ユニット190の保持部191を回転軸RA周りの一方向に回転させるためのボタンであり、逆回転ボタン416は回転ユニット190の保持部191を回転軸RA周りの逆方向に回転させるためのボタンである。これにより、使用者は、保持部191の先端に測定対象物Sが保持された状態で、
図1の操作部250を用いて測定基本画面401上のポインタを操作し、例えば正回転ボタン415および逆回転ボタン416のいずれかをクリックする。それにより、ステージ140上で測定対象物Sを回転軸RA周りで所望の方向に回転させることができる。
【0175】
なお、回転操作ウィンドウ413には、さらに、保持部マーク417、基準姿勢マーク418および複数の測定角度位置マーク419が表示される。保持部マーク417は、X方向に見た保持部191の外形を模式的に表すものであり、円形状を有する。基準姿勢マーク418は、保持部191に保持される測定対象物Sのうちの特定の面に対向する角度位置(以下、基準姿勢位置と呼ぶ。)を示すものであり、基準姿勢位置は予め定められた方法に従ってCPU210または使用者により設定される。例えば、基準姿勢位置は、測定対象物Sが回転軸RA周りに回転する際に、受光部120により最も広い面積で撮像されるときの測定対象物Sの角度位置であってもよい。
【0176】
回転を伴う測定対象物Sの形状測定では、測定対象物Sのうち回転軸RA周りの複数の部分の形状測定を行うために、受光部120により撮像されるべき複数の角度位置が測定角度位置として設定される。測定角度位置マーク419は、現時点で設定されている測定角度位置を示すものであり、保持部マーク417の円上に配置される。
図24の例では、複数の測定角度位置マーク419が、保持部マーク417の中心を基準として45°の角度間隔で保持部マーク417の円上に並んでいる。
【0177】
また、ステージ140に回転ユニット190が接続されると、副表示領域420には、
図22に示される各種ボタン(421~425,429)および視野確認画像424に加えて、さらに他の複数のボタンが表示される。具体的には、副表示領域420には、回転オンボタン431、回転オフボタン432、箱全周ボタン434、箱部分ボタン435、軸ボタン436および回転詳細ボタン437がさらに表示される。
【0178】
回転オンボタン431は、回転を伴う測定対象物Sの形状測定、すなわち回転ユニット190の回転機能を用いた形状測定を行うために使用者により操作される。使用者が、回転オンボタン431を操作することにより、後述する箱全周ボタン434、箱部分ボタン435、軸ボタン436および回転詳細ボタン437の操作が有効となり、平面方向合成および回転方向合成を行うための各種設定が可能になる。なお、このとき領域設定ボタン421の操作は無効となる。
【0179】
回転オフボタン432は、回転を伴なわない測定対象物Sの形状測定、すなわち回転ユニット190の回転機能を用いない形状測定を行うために使用者により操作される。使用者が、回転オフボタン432を操作することにより、後述する箱全周ボタン434、箱部分ボタン435、軸ボタン436および回転詳細ボタン437の操作が無効となり、回転方向合成を行うための各種設定が不可能になる。なお、このとき領域設定ボタン421の操作は有効となる。それにより、平面方向合成を行うための各種設定は可能である。
【0180】
箱全周ボタン434は、使用者が、上記のステップS31の作業において、測定領域を設定するCPU210のモードとして、第1の箱形状領域設定モードを選択する場合に操作されるボタンである。箱部分ボタン435は、使用者が、測定領域を設定するCPU210のモードとして、第2の箱形状領域設定モードを選択する場合に操作されるボタンである。軸ボタン436は、使用者が、測定領域を設定するCPU210のモードとして、軸形状領域設定モードを選択する場合に操作されるボタンである。回転詳細ボタン437は、使用者が、CPU210において予め定められたモードによらず、詳細に測定領域を設定したい場合に操作されるボタンである。
【0181】
なお、
図24の視野確認画像424では、ステージ140の上面141sの平面図上に、現在の測定対象物Sの角度位置に設定された測定領域を示す指標が、受光部120の現在の撮像領域を示す矩形状の指標とともに重畳表示される。
【0182】
回転オンボタン431が操作された状態で、箱全周ボタン434、箱部分ボタン435、軸ボタン436および回転詳細ボタン437のいずれかが操作される。それにより、操作されたボタンに対応する領域設定画面が表示部400に表示される。以下、測定領域を設定するための各ボタン(434,435,436,437)が操作された場合に表示部400に表示される領域設定画面について説明する。
【0183】
(4)回転を伴う測定対象物Sの形状測定を行うための領域設定画面
本実施の形態においては、複数の測定角度位置は、測定領域の設定モードごとにデフォルトの情報として記憶装置240に記憶されているものとする。
図24の箱部分ボタン435が操作された場合、すなわち使用者が測定領域の設定モードとして第2の箱形状領域設定モードを選択した場合には、当該モードに対応する複数の測定角度位置が記憶装置240から読み出され、設定される。なお、複数の測定角度位置は、使用者が指定することにより設定されてもよい。
【0184】
本例では、複数の測定角度位置として、0°(基準角度位置)、45°、90°、135°および180°が設定される。この場合、各測定角度位置にあるときの測定対象物Sの存在領域が検出され、検出された存在領域を覆うように1または複数の単位領域で構成される領域が当該測定角度位置における仮の測定領域として暫定的に設定される。この設定内容、すなわち、各測定角度位置に関連付けられた測定領域は、例えば作業用メモリ230および記憶装置240のいずれかに記憶される。
【0185】
図25は、
図24の箱部分ボタン435が操作されることに応答して実行される形状測定装置500の動作を説明するための図である。
図25(a)~(e)には、0°、45°、90°、135°および180°の角度位置にあるときの測定対象物SをX方向に見た外観図(端面図)がそれぞれ示される。
図25(a)~(e)においては、測定対象物Sの表面のうち形状測定の対象となる部分が太い実線で示される。
【0186】
例えば、
図25(a)に示すように、最初に、測定対象物Sが0°の測定角度位置に位置決めされる。その上で、
図23の例と同様に、測定対象物Sの全体が受光部120により自動的に撮像される。
図25(f)に、
図25(a)の状態で撮像された測定対象物Sの画像の一例が示される。撮像された測定対象物Sの画像に基づいて存在領域が検出される。その上で、検出された存在領域を含みかつ1または複数の単位領域で構成される領域が0°の測定角度位置に対応する仮の測定領域として暫定的に設定される。
【0187】
次に、
図25(b)に示すように、測定対象物Sが回転軸RA周りで回転され、45°の測定角度位置に位置決めされる。その上で、測定対象物Sの全体が受光部120により自動的に撮像される。
図25(g)に、
図25(b)の状態で撮像された測定対象物Sの画像の一例が示される。撮像された測定対象物Sの画像に基づいて存在領域が検出される。その上で、検出された存在領域を含みかつ1または複数の単位領域で構成される領域が45°の測定角度位置に対応する仮の測定領域として暫定的に設定される。
【0188】
その後、測定対象物Sの回転、位置決めおよび撮像が繰り返され、存在領域が検出される。
図25(h),(i),(j)に、90°、135°および180°の測定角度位置で撮像された測定対象物Sの画像がそれぞれ示される。各測定角度位置で検出された存在領域を含みかつ1または複数の単位領域で構成される領域が、当該測定角度位置に対応する仮の測定領域として暫定的に設定される。このようにして設定された複数の測定角度位置にそれぞれ対応する複数の仮の測定領域が表示部400に表示される。
【0189】
図26は、
図24の箱部分ボタン435が操作されることにより表示部400に表示される領域設定画面の一例を示す図である。
図26の領域設定画面403においては、主表示領域410に、複数の測定角度位置(0°、45°、90°、135°および180°)の各々に対応する領域設定マップ画像が表示される。
【0190】
また、
図26の領域設定画面403においては、副表示領域420に、編集ボタン422、OKボタン427およびキャンセルボタン428とともに角度位置一覧441が表示される。角度位置一覧441は、現時点で設定されている複数の測定角度位置を示す。使用者は、角度位置一覧441に表示される複数の測定角度位置のうち所望の測定角度位置を選択し、編集ボタン422を操作する。それにより、使用者は、
図23の例と同様に、選択した測定角度位置に対応する領域設定マップ画像上で、X方向およびY方向における測定領域を容易に拡張または縮小することができる。
【0191】
箱形状を有する測定対象物Sを回転させる場合、Y方向における存在領域の範囲は複数の測定角度位置で大きく変化する可能性が高い。したがって、上記のような測定領域の編集機能は、箱形状を有する測定対象物Sについての測定領域の設定に非常に有効である。
【0192】
図26の領域設定画面403においてOKボタン427が操作されると、測定領域の設定が完了したものとして、表示部400には、
図24の測定基本画面401が再表示される。一方、キャンセルボタン428が操作されると、領域設定画面403上で設定された測定領域についての情報がリセットされ、表示部400に
図24の測定基本画面401が再表示される。
【0193】
図24の箱全周ボタン434が操作された場合、すなわち使用者が測定領域の設定モードとして第1の箱形状領域設定モードを選択した場合には、当該モードに対応する複数の測定角度位置が記憶装置240から読み出され、設定される。なお、複数の測定角度位置は、使用者が指定することにより設定されてもよい。
【0194】
本例では、複数の測定角度位置として、0°(基準角度位置)、45°、90°、135°、180°、225°、270°および315°が設定される。この場合、
図24の箱部分ボタン435が操作された場合と同様に、各測定角度位置にあるときの測定対象物Sの存在領域が検出され、検出された存在領域を含みかつ1または複数の単位領域で構成される領域が当該測定角度位置における仮の測定領域として暫定的に設定される。設定された複数の測定角度位置にそれぞれ対応する複数の仮の測定領域が表示部400に表示される。
【0195】
図27は、
図24の箱全周ボタン434が操作されることにより表示部400に表示される領域設定画面の一例を示す図である。
図27の領域設定画面404においては、主表示領域410に、複数の測定角度位置(0°、45°、90°、135°、180°、225°、270°および315°)の各々に対応する領域設定マップ画像が表示される。
【0196】
また、
図27の領域設定画面404においては、
図26の領域設定画面403と同様に、副表示領域420に、編集ボタン422、OKボタン427、キャンセルボタン428および角度位置一覧441が表示される。これにより、使用者は、各種ボタン(422,427,428)および角度位置一覧441を操作することにより、測定領域の設定の修正、設定の完了指令、設定のリセット指令を行うことができる。OKボタン427またはキャンセルボタン428が操作されることにより、表示部400に
図24の測定基本画面401が再表示される。
【0197】
図24の軸ボタン436が操作された場合、すなわち使用者が測定領域の設定モードとして軸形状領域設定モードを選択した場合には、当該モードに対応する複数の測定角度位置が記憶装置240から読み出され、設定される。なお、複数の測定角度位置は、使用者が指定することにより設定されてもよい。
【0198】
本例では、複数の測定角度位置として、0°(基準角度位置)、45°、90°、135°、180°、225°、270°および315°が設定される。ここで、一方向に延びる軸形状を有する測定対象物Sを、回転軸RAに沿って延びるように配置し、その回転軸RA周りで回転させる場合には、測定対象物Sの外周面と回転軸RAとの間の距離がほぼ一定に保たれる。そのため、複数の測定角度位置に対応する存在領域は、ほぼ共通すると考えられる。
【0199】
そこで、
図24の軸ボタン436が操作された場合には、複数の測定角度位置のうち一の測定角度位置にあるときの測定対象物Sの存在領域のみが検出される。その上で、検出された存在領域を含みかつ1または複数の単位領域で構成される領域が全ての測定角度位置における仮の測定領域として暫定的に設定される。複数の測定角度位置に共通する仮の測定領域が表示部400に表示される。
【0200】
図28は、
図24の軸ボタン436が操作されることにより表示部400に表示される領域設定画面の一例を示す図である。
図28の領域設定画面405においては、主表示領域410に、一の測定角度位置(例えば0°)に対応する領域設定マップ画像が表示される。また、
図28の領域設定画面405においては、副表示領域420に、編集ボタン422、OKボタン427およびキャンセルボタン428が表示される。これにより、使用者は、各種ボタン(422,427,428)および角度位置一覧441を操作することにより、測定領域の設定の修正、設定の完了指令、設定のリセット指令を行うことができる。OKボタン427またはキャンセルボタン428が操作されることにより、表示部400に
図24の測定基本画面401が再表示される。
【0201】
上記のように、使用者が軸形状領域設定モードを選択した場合、複数の測定角度位置の全てについて存在領域が検出されない。それにより、存在領域の検出に要する時間が短縮される。また、この場合、表示部400には、一の測定角度位置に対応する一の領域設定マップ画像のみが表示されるので、使用者は、複数の領域設定マップ画像を確認する必要がない。さらに、複数の測定角度位置の各々について測定領域を調整する必要もない。その結果、測定領域の設定に要する作業および時間を低減することができる。
【0202】
なお、使用者が軸形状領域設定モードを選択した場合、表示対象となる一の測定角度位置は、使用者が操作部250を操作することによりCPU210に指定可能であってもよい。この場合、CPU210は、使用者による一の測定角度位置の指定を受け付ける。
【0203】
図24の回転詳細ボタン437が操作された場合には、副表示領域420の表示態様が変化する。
図29は、
図24の回転詳細ボタン437が操作されることにより表示部400に表示される副表示領域420の一例を示す図である。
図29に示すように、
図24の測定基本画面401において回転詳細ボタン437が操作されると、副表示領域420には、基準姿勢入力枠451、基準姿勢登録ボタン452、角度条件設定部453、角度ピッチ設定部454、測定回数設定部455、除外角度入力枠456および合成要否チェックボックス457等が表示される。
【0204】
基準姿勢入力枠451は、使用者が、所望の角度位置を入力することが可能に構成されている。基準姿勢登録ボタン452は、使用者により基準姿勢入力枠451に入力された角度位置を基準姿勢位置として登録するために操作される。基準姿勢登録ボタン452が操作されることにより、基準姿勢入力枠451に入力された角度位置が基準姿勢位置として作業用メモリ230または記憶装置240に記憶される。
【0205】
角度条件設定部453は、複数の測定角度位置をどのように定めるのかを設定するために使用者により操作可能に構成される。具体的には、角度条件設定部453は、複数種類の設定方法から所望の方法を選択可能なプルダウンボタンで構成される。
【0206】
角度ピッチ設定部454は、複数の測定角度位置をどのような角度間隔で設定するのかを設定するために使用者により操作可能に構成される。具体的には、角度ピッチ設定部454は、複数種類の角度から所望の角度を選択可能なプルダウンボタンで構成される。測定回数設定部455は、角度ピッチ設定部454で設定された角度間隔でどれだけの回数三次元形状データを生成すべきかを設定するために使用者により操作可能に構成される。除外角度入力枠456は、使用者が、三次元形状データを生成する必要がない測定角度位置を入力することが可能に構成されている。
【0207】
合成要否チェックボックス457は、測定対象物Sを複数回に渡って設定された角度間隔で回転させつつ複数の三次元形状データを生成した後、生成された複数の三次元形状データを合成するか否かを選択可能に構成される。
【0208】
使用者は、複数の三次元形状データを合成させたい場合に、合成要否チェックボックス457にチェックを入れる。それにより、測定対象物Sの形状測定時に複数の測定角度位置で生成された複数の三次元形状データが合成される。一方、使用者は、複数の三次元形状データを合成させたくない場合に、合成要否チェックボックス457にチェックを入れない。それにより、測定対象物Sの形状測定時に複数の測定角度位置で生成された複数の三次元形状データが合成されない。上記のように、使用者は、
図24の回転詳細ボタン437を操作した場合、
図29に示される各種入力枠、ボタンおよび設定部をさらに操作することにより測定対象物Sの形状測定に関して細かな設定を行うことができる。
【0209】
(5)設定の修正および追加等
図26~
図28の編集ボタン422が操作された場合には、副表示領域420の表示態様が変化する。
図30は、
図26~
図28の編集ボタン422が操作されることにより表示部400に表示される副表示領域420の一例を示す図である。
図30に示すように、
図26~
図28の領域設定画面402~405において編集ボタン422が操作されると、
図23の例と同様に、副表示領域420に領域設定マップ画像上で測定領域の位置およびサイズを調整すべきメッセージが表示される。また、除外ボタン426、OKボタン427およびキャンセルボタン428が表示される。さらに、第1の校正チェックボックス463および第2の校正チェックボックス464が表示される。
【0210】
第1の校正チェックボックス463は、
図15(a)の第1のマーカM1を用いた第1の構成機能を使用するか否かを設定するためのチェックボックスである。一方、第2の校正チェックボックス464は、
図16(b)の第2のマーカM2を用いた第2の構成機能を使用するか否かを設定するためのチェックボックスである。
【0211】
使用者は、上記のステップS36の作業において、第1のマーカM1を用いた第1の構成機能を使用したい場合、
図30の第1の校正チェックボックス463にチェックを入れる。この場合、第1のマーカM1についても形状測定が行われるように、測定領域を設定する必要がある。ここで、第1のマーカM1は、回転支持軸91の一部であるため、ステージ140上の第1のマーカM1の存在領域は既知である。そのため、第1の校正チェックボックス463にチェックが入れられた場合には、現時点で設定されている測定領域に加えて、第1のマーカM1の存在領域をカバーするための新たな測定領域が設定される。
【0212】
図31は、
図30の第1の校正チェックボックス463にチェックが入れられることにより表示部400に表示される領域設定画面の一例を示す図である。
図31の領域設定画面406においては、主表示領域410に特定の一の測定角度位置(例えば0°)に対応する領域設定マップ画像が表示される。
【0213】
その領域設定マップ画像においては、測定対象物Sの三次元形状データを生成するための測定領域が複数の単位領域枠MMで示される。さらに、その領域設定マップ画像においては、第1のマーカM1の三次元形状データを生成するための測定領域が複数の単位領域枠MMaで示される。
【0214】
図31では、保持部191および第1のマーカM1の画像が二点鎖線で示される。また、第1のマーカM1の位置が理解しやすいように、第1のマーカM1の画像部分にハッチングが付されている。
【0215】
ここで、第1のマーカM1に対応して追加される単位領域枠MMaは、測定対象物Sに対応する単位領域枠MMに対して識別可能となるように、単位領域枠MMとは異なる態様(本例では太い一点鎖線)で表示される。これにより、使用者は、第1のマーカM1を用いた第1の校正機能を使用するために、新たな測定領域が設定されたことを容易に把握することができる。
【0216】
使用者は、第2のマーカM2を用いた第2の構成機能を使用したい場合、
図30の第2の校正チェックボックス464にチェックを入れる。この場合、第2のマーカM2についても形状測定が行われるように、測定領域を設定する必要がある。ここで、第2のマーカM2は、使用者が上記のステップS37の作業においいて測定対象物Sに取り付けるものである。そのため、使用者は、測定対象物Sに取り付けられる第2のマーカM2の位置に応じて第2のマーカM2の存在領域をカバーするための新たな測定領域を設定する必要がある。
【0217】
図32は、
図30の第2の校正チェックボックス464にチェックが入れられることにより表示部400に表示される領域設定画面の一例を示す図である。
図32の領域設定画面407においては、
図31の領域設定画面406の例と同様に、主表示領域410に特定の一の測定角度位置(例えば0°)に対応する領域設定マップ画像が表示される。
【0218】
さらに、その領域設定マップ画像においては、測定対象物Sの三次元形状データを生成するための測定領域が複数の単位領域枠MMで示されるとともに、第2のマーカM2の位置を指定するためのマーカ画像M2iが表示される。この状態で、使用者は、例えばマーカ画像M2iをドラッグすることにより領域設定マップ画像上で実際の第2のマーカM2の位置に対応する位置にマーカ画像M2iを配置する。
【0219】
副表示領域420には、マーカ反転チェックボックス465、OKボタン427およびキャンセルボタン428が表示される。ここで、本実施の形態に係る形状測定装置500においては、第2の校正機能の使用時に測定対象物Sに取り付けられるべき第2のマーカM2の基本姿勢が予め定められている。例えば、測定対象物Sに取り付けられるべき第2のマーカM2の基本姿勢は、第2のマーカM2の軸心が回転軸RAに対して平行かまたはほぼ平行でかつ径大部M2aおよび径小部M2bがこの順で回転ユニット190から離れるように配置される姿勢である。一方、
図17の例に示されるように、第2のマーカM2は、基本姿勢をX方向で反転した反転姿勢で回転ユニット190に取り付けることもできる。
【0220】
マーカ反転チェックボックス465は、第2のマーカM2の向きをX方向において反転して配置するか否かを設定するためのチェックボックスである。
図33は、
図32のマーカ反転チェックボックス465にチェックが入れられることにより表示部400に表示される領域設定画面の一例を示す図である。
図33に示すように、領域設定画面407においては、マーカ反転チェックボックス465にチェックが入れられることにより、マーカ画像M2iの向きが
図32の表示例に対して左右方向で反転している。
【0221】
上記のようにして、領域設定マップ画像上で、マーカ画像M2iの位置および向きが調整された後、OKボタン427が操作される。それにより、当該マーカ画像M2iに対応する領域がカバーされるように新たな測定領域が設定される。
【0222】
図34は、第1のマーカM1および第2のマーカM2についての新たな測定領域が設定された状態で表示部400に表示される領域設定画面の一例を示す図である。
図34の領域設定画面408においては、主表示領域410に表示される領域設定マップ画像に、対象物画像SIの三次元形状データを生成するための測定領域が複数の単位領域枠MMで示される。また、第1のマーカM1の三次元形状データを生成するための測定領域が複数の単位領域枠MMaで示される。さらに、第2のマーカM2の三次元形状データを生成するための測定領域が複数の単位領域枠MMbで示される。これにより、使用者は、第1のマーカM1および第2のマーカM2を用いた第1および第2の校正機能を使用するために、新たな測定領域が設定されたことを容易に把握することができる。
【0223】
図34の例で、第1のマーカM1に対応する単位領域枠MMa、第2のマーカM2に対応する単位領域枠MMb、測定対象物Sに対応する単位領域枠MMは、互いに識別可能な異なる態様で表示されている。これにより、使用者は、測定領域の各部について設定されている目的を容易に把握することができる。
【0224】
[6]上面除去機能
ところで、上記のように、
図22および
図29の上面除去ボタン429が操作された場合、すなわちステージ140の上面141sの三次元形状データを測定結果から除去すべき旨を使用者が指令した場合を想定する。この場合、形状測定装置500においては、測定対象物Sを撮像することにより得られる全ての三次元形状データから、上面141sに対応する三次元形状データが除かれた状態で、測定対象物Sの三次元形状画像が表示部400に表示される(上面除去機能)。この具体例について説明する。
【0225】
図35は、回転ユニット190を用いた測定対象物Sの形状測定の一例を示す外観斜視図である。
図35に示すように、本例では、2本の棒状部材94により保持部191に保持された測定対象物Sが回転されつつ形状測定される。この場合、ステージ140の上面141sが測定空間101内に位置すると、上面141sの形状を示す三次元形状データが、測定対象物Sの形状を示す三次元形状データと共に生成される。
【0226】
図36は、
図35の形状測定により得られる全ての三次元形状データに基づく三次元形状画像の一例を示す図である。
図36および後述する
図37の三次元形状画像では、Z方向の位置(高さ)がハッチングおよびドットパターンにより表される。
図36の三次元形状画像においては、白抜きの矢印で示される部分は、ステージ140の上面141sを表す部分である。このように、測定対象物Sに加えてステージ140の三次元形状画像が表示されると、使用者は測定対象物Sの形状を把握しにくい。
【0227】
図36に示されるように、ステージ140の上面141sに対応する三次元形状データは、ある程度の連続的な広がりを有する平面形状を示す。これらの三次元形状データは、連続的な広がりを有する平面のデータ群を抽出するとともに、各測定角度位置でその抽出された平面についての法線方向が上向きでありかつZ方向の位置が設計上の上面141sの位置にあるか否かに基づいて識別することができる。
【0228】
図37は、
図36の三次元形状画像からステージ140の上面141sに対応する三次元形状画像を除去した図である。
図37の三次元形状画像によれば、使用者は、測定対象物Sの三次元形状を容易かつ正確に把握することができる。なお、
図36および
図37の三次元形状画像では、Z方向の表示レンジが互いに異なる。
【0229】
[7]PC200におけるCPU210の機能的な構成
図38は、
図1のCPU210の機能的な構成を示すブロック図である。
図38に示すように、CPU210は、移動制御部21a、回転制御部21b、撮像制御部21c、領域設定部21d、設定画面提示部21e、回転角度設定部21f、三次元形状データ生成部21g、データ合成部21h、データ補正部21i、着脱判定部21jおよび表示制御部21kを含む。これらの構成要素は、CPU210が、記憶装置240に記憶された形状測定プログラムを実行することにより実現される。なお、CPU210に含まれる上記の複数の構成要素の一部または全てが電子回路等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0230】
移動制御部21aは、受光部120に対してステージ140の上面141sの位置が相対的に移動するように、ステージ駆動部146を制御する。換言すれば、移動制御部21aは、ステージ140上に測定対象物Sが配置された状態で、ステージ140の上面141sを移動させることにより測定対象物Sに対する測定空間101の相対的な位置を調整する。回転制御部21bは、回転を伴う測定対象物Sの形状測定時に、測定対象物Sが予め定められた複数の測定角度位置に順次回転するように回転ユニット190を制御する。
【0231】
撮像制御部21cは、測定対象物Sの存在領域を検出するために、ステージ140上に配置された測定対象物Sが低倍率で撮像されるように照明光出力部130および受光部120を制御する。また、撮像制御部21cは、測定対象物Sが各測定角度位置にある状態で、後述する領域設定部21dにより設定された測定領域が撮像されるように投光部110A,110Bおよび受光部120を制御する。
【0232】
領域設定部21dは、測定対象物Sがステージ140上に載置された状態または回転ユニット190に保持された測定対象物Sが各測定角度位置にある状態で、測定対象物Sの存在領域を検出する。また、領域設定部21dは、存在領域の検出結果に基づいて測定領域を設定する。さらに、領域設定部21dは、使用者による操作部250の操作に基づいて、設定された測定領域を修正する。
【0233】
設定画面提示部21eは、領域設定部21dによる測定領域の設定時に領域設定マップ画像を表示部400に表示させる。また、設定画面提示部21eは、設定された測定領域が識別可能となるように、領域設定マップ画像において測定対象物Sの画像上に単位領域枠MM,MMa,MMbを重畳表示させる。
【0234】
回転角度設定部21fは、回転を伴う測定対象物Sの形状測定が行われる場合に、複数の測定角度位置を設定する。ここで、第1の箱形状領域設定モード、第2の箱形状領域設定モードおよび軸形状領域設定モードにそれぞれ対応する複数の測定角度位置は、上記のように、例えばデフォルトの情報として記憶装置240に記憶されている。
【0235】
この場合、回転角度設定部21fは、回転を伴う測定対象物Sの形状測定時に、選択された領域設定モードに応じて記憶装置240に記憶された複数の測定角度位置を読み込むことにより複数の測定角度位置の設定を行う。回転角度設定部21fは、使用者が操作部250を用いて例えば
図29の角度ピッチ設定部454等を操作することにより特定の角度位置の指定を受けた場合に、指定された角度位置を測定角度位置として設定してもよい。
【0236】
三次元形状データ生成部21gは、測定領域にパターン光が照射されるとともに測定領域が撮像されることにより生成される複数の画像データに基づいて測定対象物Sの形状を示す三次元形状データを生成する。また、三次元形状データ生成部21gは、測定領域に位置する第1のマーカM1が撮像されることにより生成される複数の画像データに基づいて第1のマーカM1の形状を示す三次元形状データを生成する。さらに、三次元形状データ生成部21gは、測定領域に位置する第2のマーカM2が撮像されることにより生成される複数の画像データに基づいて第2のマーカM2の形状を示す三次元形状データを生成する。
【0237】
データ合成部21hは、測定対象物Sの表面のうちXY方向に並ぶ複数の部分の三次元形状データが個別に生成された場合に、上記の平面方向合成を行う。また、データ合成部21hは、測定対象物Sの表面のうち回転軸RA周りに並ぶ複数の部分の三次元形状データが個別に生成された場合に、使用者による合成の指定に応答して上記の回転方向合成を行う。さらに、データ合成部21hは、平面方向合成により生成された三次元形状データと回転方向合成により生成された三次元形状データとの合成を行う。また、データ合成部21hは、例えば測定対象物Sの表面に対してZ方向における複数の位置で撮像を行うことにより共通の測定領域において複数の三次元形状データが個別に生成された場合に、上記の高さ方向合成を行うこともできる。
【0238】
データ補正部21iは、回転を伴う測定対象物Sの形状測定が行われる場合に、第1のマーカM1および第2のマーカM2の使用の要否に応じて、上記の第1~第3の校正機能のいずれかに従う三次元形状データの補正処理を行う。具体的には、データ補正部21iは、第1の校正機能に従う補正処理において、第1のマーカM1の三次元形状データおよびその寸法に基づいて、複数の測定角度位置にそれぞれ対応する測定対象物Sの複数の三次元形状データを補正する。
【0239】
また、データ補正部21iは、第2の校正機能に従う補正処理において、第1のマーカM1および第2のマーカM2の三次元形状データおよびそれらの寸法とに基づいて、複数の測定角度位置にそれぞれ対応する測定対象物Sの複数の三次元形状データを補正する。なお、データ補正部21iは、第2の校正機能に従う補正処理において、第1のマーカM1の三次元形状データが存在しない場合には、第2のマーカM2の三次元形状データおよびその寸法に基づいて、複数の測定角度位置にそれぞれ対応する測定対象物Sの複数の三次元形状データを補正する。
【0240】
さらに、データ補正部21iは、第3の校正機能に従う補正処理において、複数の測定角度位置における測定対象物Sの三次元形状データの重複関係に基づいて、複数の測定角度位置にそれぞれ対応する測定対象物Sの複数の三次元形状データを補正する。
【0241】
着脱判定部21jは、回転ユニット190がステージ140に取り付けられているか否かを判定する。具体的には、着脱判定部21jは、回転ユニット190のコネクタ194とステージ140のコネクタ141cとが接続されている場合に、回転ユニット190がステージ140に取り付けられていると判定する。また、着脱判定部21jは、回転ユニット190のコネクタ194とステージ140のコネクタ141cとが接続されていない場合に、回転ユニット190がステージ140に取り付けられていないと判定する。なお、回転ユニット190のコネクタ194とステージ140のコネクタ141cとが接続されているか否かは、着脱判定部21jと回転ユニット190との間で電気信号の授受が可能か否かに基づいて容易に判定することができる。
【0242】
表示制御部21kは、測定対象物Sのライブ画像、測定対象物Sの三次元形状画像を表示部400に表示させるとともに、測定基本画面401および領域設定画面402~408等の各種設定画面を表示部400に表示させる。
【0243】
特に、表示制御部21kは、回転ユニット190がステージ140に取り付けられている場合に、水平移動操作ウィンドウ411および回転操作ウィンドウ413を表示部400に表示させる。さらに、この場合、表示制御部21kは、回転を伴う測定対象物Sの形状測定に関する各種設定を行うための画像を表示部400に表示させる。
【0244】
また、表示制御部21kは、回転ユニット190がステージ140に取り付けられていない場合に、水平移動操作ウィンドウ411を表示部400に表示させるが、回転操作ウィンドウ413を表示部400に表示させない。さらに、この場合、表示制御部21kは、回転を伴わない測定対象物Sの形状測定に関する各種設定を行うための画像を表示部400に表示させる。
【0245】
[8]形状測定処理
図39および
図40は、CPU210により実行される形状測定処理の一例を示すフローチャートである。
図39および
図40の形状測定処理は、形状測定装置500の電源がオンされた状態で、PC200のCPU210が記憶装置240に記憶された形状測定プログラムを実行することにより所定周期で繰り返して行われる。なお、初期状態においては、照明光出力部130からステージ140に向けて照明光が照射され、受光部120はステージ140の上面141sを撮像しているものとする。
【0246】
まず、表示制御部21kは、
図22の例に示すように、ライブ画像および測定開始ボタン425等を含む測定基本画面401を、回転ユニット190の操作が不可能な状態で表示部400に表示させる(ステップS101)。そのため、ステップS101で表示される測定基本画面401は、ステージ140を操作するための水平移動操作ウィンドウ411(
図22)を含むが、回転ユニット190を操作するための回転操作ウィンドウ413(
図24)を含まない。
【0247】
次に、着脱判定部21jは、ステージ140に回転ユニット190が取り付けられているか否かを判定する(ステップS102)。ステージ140に回転ユニット190が取り付けられていない場合、着脱判定部21jは、処理を後述するステップS105へ進める。一方、ステージ140に回転ユニット190が取り付けられている場合、表示制御部21kは、
図24の例に示すように、測定基本画面401を回転ユニット190の操作が可能な状態で表示部400に表示させる(ステップS103)。なお、ステップS102の判定時において、表示制御部21kは、判定結果に応じて回転ユニット190がステージ140に取り付けられているか否かを示すメッセージまたは指標等を表示部400に表示させてもよい。
【0248】
次に、着脱判定部21jは、回転ユニット190の操作が可能な測定基本画面401(
図24)が表示部400に表示された状態で、回転ユニット190が外れているか否かを判定する(ステップS104)。回転ユニット190が外れている場合、着脱判定部21jは、処理をステップS101に戻す。一方、回転ユニット190が外れていない場合、移動制御部21aおよび回転制御部21bは、ステージ140等の位置調整の指令を受け付ける(ステップS105)。ステージ140等の位置調整は、例えば、使用者が操作部250を用いて水平移動操作ウィンドウ411(
図22および
図24)または回転操作ウィンドウ413(
図24)を操作することにより指令される。このとき、移動制御部21aは、ステージ140の位置調整の指令に応答してステージ140の上面141sをX方向、Y方向およびZ方向に移動させる。また、回転制御部21bは、使用者からの回転ユニット190の回転指令に応答して、回転ユニット190の保持部191を回転させる。これにより、例えば受光部120の焦点の位置調整が行われる。
【0249】
その後、使用者の操作部250の操作に基づいて測定領域設定処理が行われる(ステップS106)。測定領域設定処理により、回転を伴う測定対象物Sの形状測定では、複数の測定角度位置が設定されるとともに各測定角度位置について1または複数の測定領域が設定される。また、回転を伴わない測定対象物Sの形状測定では、1または複数の測定領域が設定される。CPU210において実行される測定領域設定処理の詳細は後述する。
【0250】
次に、データ合成部21hは、回転を伴う測定対象物Sの形状測定についての測定領域が設定された場合に、複数の測定角度位置で取得される複数の三次元形状データを合成するか否かについての指令を受け付ける(ステップS107)。この受け付けは、例えば
図29の合成要否チェックボックス457が使用者によりチェックされたか否かに基づいて行われる。回転を伴わない測定対象物Sの形状測定時には、ステップS107の処理はスキップされる。なお、例えば
図22または
図24の測定基本画面401には、平面方向合成を行うか否か、および回転方向合成を行うか否かを指定するための合成要否入力部が設けられてもよい。この場合、データ合成部21hは、ステップS107において、合成要否入力部の入力を受け付けてもよい。
【0251】
次に、データ補正部21iは、測定対象物Sの形状測定で生成される三次元形状データからステージ140の上面141sを示す三次元形状データを要するか否かについての指令を受け付ける(ステップS108)。この受け付けは、例えば
図22または
図24の上面除去ボタン429が使用者により操作されたか否かに基づいて行われる。
【0252】
次に、撮像制御部21cは、パターン光を用いた測定対象物Sの撮像を開始する指令を受けたか否かを判定する(ステップS109)。この受け付けは、例えば
図22または
図24の測定開始ボタン425が使用者により操作されたか否かに基づいて行われる。撮像開始の指令を受けない場合、撮像制御部21cは、初期状態へ戻すべき指令があるか否かを判定する(ステップS112)。この判定は、例えば
図22または
図24の領域クリアボタン423が使用者により操作されたか否かに基づいて行われる。初期状態へ戻すべき指令がある場合、撮像制御部21cは、処理をステップS101に戻す。初期状態へ戻すべき指令がない場合、撮像制御部21cは、処理を後述するステップS111へ進める。
【0253】
一方、撮像開始の指令を受けると、設定された測定領域についてパターン光を用いた撮像が行われ、撮像により得られる複数の画像データに基づいて三次元形状データが生成される(ステップS110)。
【0254】
具体的には、複数の測定角度位置が設定されている場合に、回転制御部21bは、測定対象物Sが回転軸RA周りで設定された複数の測定角度位置に順次回転するように回転ユニット190を制御する。また、移動制御部21aは、ステージ140上に載置された測定対象物Sまたは回転ユニット190により保持された測定対象物Sについて、設定された測定領域が撮像されるように、ステージ駆動部146を制御する。また、撮像制御部21cは、設定された測定領域が撮像されるように、投光部110A,110Bおよび受光部120を制御する。さらに、三次元形状データ生成部21gは、撮像により得られる複数の画像データに基づいて測定領域の三次元形状データを生成する。このとき、表示制御部21kは、生成された三次元形状データに基づく三次元形状画像を表示部400に表示させる。
【0255】
なお、データ合成部21hは、ステップS107で複数の三次元形状データを合成することが指令されている場合に、複数の測定角度位置に対応する複数の三次元形状データを合成する(回転方向合成)。一方、データ合成部21hは、ステップS107で複数の三次元形状データを合成することが指令されていない場合に、複数の測定角度位置に対応する複数の三次元形状データを合成しない。
【0256】
また、データ補正部21iは、後述する測定領域設定処理のステップS236,S237の処理で有効化されている校正機能に従って合成前の複数の三次元形状データをそれぞれ補正する。さらに、データ補正部21iは、ステップS108で上面141sを示す三次元形状データが不要であることが指令されている場合に、生成された全ての三次元形状データからステージ140の上面141sを示す三次元形状データを除去する。
【0257】
次に、領域設定部21dは、使用者が操作部250を操作することによる測定領域の再設定指令があるか否かを判定する(ステップS111)。そこで、再設定指令があると、領域設定部21dは、処理をステップS106に戻す。一方、再設定指令がない場合、領域設定部21dは、一連の形状測定処理を終了する。このとき、三次元形状データ生成部21gは、生成された三次元形状データを各種設定情報(例えば、複数の測定角度位置および複数の測定領域等)とともに、記憶装置240に記憶させる。
【0258】
形状測定処理に含まれる測定領域設定処理の詳細を説明する。なお、以下に説明する測定領域設定処理は、回転ユニット190による回転を伴う測定対象物Sの形状測定に対応するものとする。
図41および
図42は、CPU210により実行される測定領域設定処理の一例を示すフローチャートである。
【0259】
図41に示すように、まず、領域設定部21dは、測定領域を設定するためのモードとして、第1または第2の箱形状領域設定モードが選択されたか否かを判定する(ステップS201)。この判定は、上記のステップS31の作業で、例えば
図24の箱全周ボタン434または箱部分ボタン435が使用者により操作されたか否かに基づいて行われる。
【0260】
第1または第2の箱形状領域設定モードが選択された場合、回転角度設定部21fは、選択された箱形状領域設定モードに対応する複数の測定角度位置を記憶装置240から読み込む(ステップS202)。複数の測定角度位置は、予め定められた角度(例えば、30°、45°または90°)の整数倍の間隔で規定される。換言すれば、複数の測定角度位置は、予め定められた角度ピッチで規定される。上記の読み込み処理は、複数の測定角度位置の設定処理に相当する。なお、回転角度設定部21fは、使用者が
図29の角度条件設定部453および角度ピッチ設定部454等を操作することにより指定される情報に基づいて複数の測定角度位置を設定してもよい。
【0261】
次に、各測定角度位置で低倍率カメラによる測定対象物Sの全体の撮像が行われる(ステップS203)。このとき、回転制御部21bは、測定対象物Sが設定された複数の測定角度位置に順次回転するように回転ユニット190を制御する。また、撮像制御部21cは、測定対象物Sが各測定角度位置にある状態で、当該測定対象物Sが低倍率カメラで撮像されるように照明光出力部130および受光部120を制御する。さらに、移動制御部21aは、測定対象物Sの全体が一度に撮像されない場合、測定対象物Sのうち撮像されていない部分が受光部120の撮像領域内に順次移動するように、ステージ140の上面141sをXY方向に移動させる。
【0262】
その後、領域設定部21dは、ステップS203の撮像により得られた画像データに基づいて各測定角度位置に対応する存在領域を検出する(ステップS204)。ここで、ステップS203における測定対象物Sの撮像は、後続のステップS204で測定対象物Sの存在領域を検出するために行われる。そのため、基本的には、測定対象物Sの全体が撮像される必要がある。
【0263】
上記のように、ステップS203では、測定対象物Sが低倍率カメラにより撮像される。低倍率カメラであるカメラ121Aの撮像領域は、高倍率カメラであるカメラ121Bの撮像領域よりも大きい。そのため、測定対象物Sの全体を低倍率カメラで撮像する場合には、測定対象物Sの全体を高倍率カメラで撮像する場合に比べて、撮像回数を低減することができる。したがって、存在領域の検出に要する時間を短くすることができる。
【0264】
ステップS204の処理後、領域設定部21dは、検出された各測定角度位置の存在領域を含む領域を当該測定角度位置の測定領域として仮に設定する(ステップS205)。そこで、設定画面提示部21eは、ステップS204で得られた複数の画像データと設定された各測定角度位置の測定領域とに基づいて領域設定マップ画像を生成し、表示部400に表示させる(ステップS206)。このとき、設定画面提示部21eは、設定された測定領域が識別可能となるように、領域設定マップ画像において測定対象物Sの画像上に1または複数の単位領域枠MMを重畳表示させる。
【0265】
次に、領域設定部21dは、測定領域の設定が完了したか否かを判定する(ステップS207)。この判定は、例えば
図24の測定開始ボタン425が使用者により操作されたか否かに基づいて行われる。測定領域の設定が完了すると、測定領域設定処理が終了する。一方、測定領域の設定が完了していない場合、領域設定部21dは、測定領域を修正すべき指令があるか否かを判定する(ステップS231)。この判定は、例えば
図26~
図28の領域設定画面403~405上で、使用者による測定領域の変更、追加または削除の指令があったか否かに基づいて行われる。
【0266】
ステップS231において測定領域を修正すべき指令がない場合、領域設定部21dは、処理を後述するステップS233に進める。一方、ステップS231において測定領域を修正すべき指令があると、領域設定部21dは、修正を受け付け、受け付けた内容に応じて設定済みの測定領域を修正する(ステップS232)。
【0267】
次に、データ補正部21iは、三次元形状データの校正のために第1のマーカM1または第2のマーカM2のいずれかのマーカを使用する旨の指令があるか否かを判定する(ステップS233)。マーカを使用する旨の指令があると、データ補正部21iは、使用するマーカの種類を判定する(ステップS234)。データ補正部21iによるステップS233,S234の判定は、例えば
図30の第1の校正チェックボックス463および第2の校正チェックボックス464のうちいずれが使用者によりチェックされたかに基づいて行われる。
【0268】
次に、データ補正部21iは、使用するマーカに応じて新たな測定領域の設定を追加するとともに(ステップS235)、使用するマーカに応じた校正機能を有効化させる(ステップS236)。その後、データ補正部21iは、処理をステップS207に戻す。なお、ステップS236においては、使用するマーカが第1のマーカM1である場合には、上記の第1の校正機能が有効化する。一方、使用するマーカが第2のマーカM2である場合には、上記の第2の校正機能が有効化する。上記のステップS233においてマーカを使用する旨の指令がない場合、データ補正部21iは、上記の第3の校正機能を有効化させ(ステップS237)、処理をステップS207に戻す。
【0269】
上記のステップS201において、第1または第2の箱形状領域設定モードが選択されなかった場合、領域設定部21dは、測定領域を設定するためのモードとして、軸形状領域設定モードが選択されたか否かを判定する(ステップS211)。この判定は、例えば
図24の軸ボタン436が使用者により操作されたかに基づいて行われる。
【0270】
軸形状領域設定モードが選択された場合、回転角度設定部21fは、軸形状領域設定モードに対応する複数の測定角度位置を記憶装置240から読み込む(ステップS212)。この読み込み処理は、ステップS202の処理と同様に、複数の測定角度位置の設定処理に相当する。なお、回転角度設定部21fは、使用者が
図29の角度条件設定部453および角度ピッチ設定部454等を操作することにより指定される条件に基づいて複数の測定角度位置を設定してもよい。このとき、角度ピッチ設定部454により設定可能な角度ピッチは、例えば測定対象物Sを回転させた時に当該測定対象物Sの全周を測定するために必要な数値に制限されてもよい。これにより、適切でない角度ピッチの設定が防止される。
【0271】
次に、複数の測定角度位置のうち一の測定角度位置で低倍率カメラによる測定対象物Sの全体の撮像が行われる(ステップS213)。このとき、回転制御部21bは、測定対象物Sが設定された複数の測定角度位置のうち一の測定角度位置で保持されるように回転ユニット190を制御する。また、撮像制御部21cは、測定対象物Sが一の測定角度位置にある状態で、当該測定対象物Sが低倍率カメラで撮像されるように照明光出力部130および受光部120を制御する。さらに、移動制御部21aは、測定対象物Sの全体が一度に撮像されない場合、測定対象物Sのうち撮像されていない部分が受光部120の撮像領域内に順次移動するように、ステージ140の上面141sをXY方向に移動させる。
【0272】
その後、領域設定部21dは、ステップS213の撮像により得られた画像データに基づいて一の測定角度位置に対応する存在領域を検出し(ステップS214)、処理をステップS205に進める。上記のステップS213では、ステップS203の処理と同様に、測定対象物Sが低倍率カメラにより撮像される。それにより、存在領域の検出に要する時間を短くすることができる。
【0273】
上記のステップS211において、軸形状領域設定モードが選択されなかった場合、領域設定部21dは、測定領域について詳細な設定を行うべき指令を受けたか否かを判定する(ステップS221)。この判定は、例えば
図24の回転詳細ボタン437が使用者により操作されたかに基づいて行われる。
【0274】
測定領域について詳細な設定を行うべき指令を受けた場合、領域設定部21dは、測定領域の設定を受け付ける(ステップS222)。ここでは、例えば使用者が
図29の角度条件設定部453および角度ピッチ設定部454等を操作することにより指定される条件が受け付けられる。その後、領域設定部21dは、処理をステップS207に進める。
【0275】
なお、回転を伴なわない測定対象物Sの形状測定に対応する測定領域設定処理では、測定対象物Sの存在領域の検出が行われた後、上記のステップS205~S207,S231,S232と同様の処理が行われる。
【0276】
[9]効果
(1)本実施の形態に係る形状測定装置500においては、回転を伴う測定対象物Sの形状測定を行うための測定領域の設定時に、少なくともY方向において設定された複数の測定角度位置にそれぞれ対応する測定対象物Sの存在領域が検出される。換言すれば、設定された各測定角度位置にある測定対象物Sを受光部120から見たときの少なくともY方向に延びる測定対象物Sの幅が検出される。
【0277】
また、各測定角度位置について受光部120により撮像されるべき複数の測定領域が、当該測定角度位置の少なくともY方向における存在領域の検出結果に基づいて設定される。この場合、使用者は、各測定角度位置について測定対象物Sの形状に応じた煩雑な設定作業を行う必要がない。その後、測定対象物Sが設定された複数の測定角度位置に順次回転される。測定対象物Sが各測定角度位置にある状態で、受光部120の撮像領域が少なくともY方向における複数の測定領域に順次移動され、測定対象物Sの撮像が行われる。このようにして生成される複数の画像データに基づいて、各測定角度位置に対応する三次元形状データを生成することができる。これらの結果、煩雑な設定作業を要することなく測定対象物Sの表面における広い範囲に渡って形状を測定することが可能になる。
【0278】
(2)本実施の形態に係る形状測定装置500においては、ステージ140の上面141s上に測定対象物Sが載置された状態で、その測定対象物Sにパターン光が照射される。または、回転ユニット190により測定対象物Sが保持された状態で、受光部120の光軸ROAに交差する回転軸RAの周りで回転する測定対象物Sにパターン光が照射される。パターン光が照射された測定対象物Sが受光部120により撮像される。撮像により得られた複数の画像データに基づいて測定対象物Sの三次元形状データが生成される。
【0279】
この場合、使用者は、測定対象物Sおける所望の部位の形状にパターン光が入射するように、測定対象物Sをステージの上面に載置しまたは測定対象物Sを回転ユニットにより回転させることができる。その結果、測定対象物Sの表面における広い範囲に渡って形状を測定することが可能になる。
【0280】
(3)本実施の形態に係る形状測定装置500においては、回転を伴う測定対象物Sの形状測定を行うために、例えば第1のマーカM1を用いた第1の構成機能を使用することが設定される。この場合、第1のマーカM1および測定対象物Sが撮像される。その撮像により得られた画像データに基づいて、第1のマーカM1の三次元形状データおよび測定対象物Sの三次元形状データが生成される。第1のマーカM1の三次元形状データおよび第1のマーカM1の寸法に基づいて、第1の校正機能に従う三次元形状データの補正処理が行われる。
【0281】
この場合、測定対象物Sが保持部191に保持された状態で第1のマーカM1の三次元形状データが生成されるので、保持部191が測定対象物Sを保持することにより保持部191の回転状態が変化する場合には、第1のマーカM1の回転状態も保持部191と同様に変化する。したがって、第1のマーカM1の三次元形状データは、測定対象物Sが保持部191に保持されない状態で生成される場合に比べて、測定対象物Sの三次元形状データを補正するためにより適したものとなる。その結果、測定対象物Sの表面における広い範囲に渡って、高い精度で形状を測定することが可能になる。
【0282】
なお、第1のマーカM1は、保持部191の一部を構成する。そのため、形状測定装置500の校正を行うために、保持部191に校正具を取り付ける作業および保持部191に取り付けられた校正具を測定対象物Sに交換する作業が不要である。したがって、形状測定装置500の校正作業に要する時間が短縮される。
【0283】
(4)また、形状測定装置500においては、回転を伴う測定対象物Sの形状測定を行うために、第2のマーカM2を用いた第2の構成機能を使用することが設定される。この場合、第2のマーカM2および測定対象物Sが撮像され、当該撮像により得られる、第2のマーカM2の三次元形状データおよび測定対象物Sの三次元形状データが生成される。第2のマーカM2の三次元形状データおよび第2のマーカM2の寸法に基づいて、第2の校正機能に従う三次元形状データの補正処理が行われる。第2の校正機能によれば、第1のマーカM1および第2のマーカM2の三次元形状データが用いられることにより、測定対象物Sの測定精度が向上する。
【0284】
さらに、形状測定装置500においては、回転を伴う測定対象物Sの形状測定を行うために、第1のマーカM1および第2のマーカM2を用いない第3の構成機能を使用することが設定される。この場合、測定対象物Sの三次元形状データに基づいて、第3の校正機能に従う三次元形状データの補正処理が行われる。第3の校正機能によれば、第1のマーカM1および第2のマーカM2を撮像する必要がないため、測定対象物Sの測定に要する時間を短縮することができる。
【0285】
(5)使用者は、例えば
図31の第1の校正チェックボックス463および第2の校正チェックボックス464のいずれかをチェックするか、チェックしないことにより、第1~第3の校正機能のうち1つを選択することができる。したがって、形状測定の用途に応じて所望の校正機能を容易に選択することができるので、測定対象物Sの形状測定の利便性が向上する。
【0286】
[10]他の実施の形態
(1)上記実施の形態に係る形状測定処理においては、領域設定部21dは、測定対象物Sの測定領域設定時にZ方向における測定対象物Sの測定範囲を設定してもよい。また、設定されたZ方向の撮像範囲がZ方向の測定空間101の範囲(受光部120の被写界深度の範囲)を超える場合に、高さ方向合成が行われてもよい。
【0287】
この場合、領域設定画面は、例えばZ方向の測定対象物Sの測定範囲を設定することの要否を受け付け可能に表示部400に表示される。
図43は、Z方向の測定対象物Sの測定範囲を設定することの要否を受け付け可能な領域設定画面の一例を示す図である。
図43の領域設定画面404においては、主表示領域410に領域設定マップ画像が表示された状態で、副表示領域420に高さ範囲ボタン471が表示される。
【0288】
使用者は、Z方向の測定範囲を設定したい場合に、高さ範囲ボタン471を操作する。それにより、表示部400には、測定対象物SのZ方向の測定範囲を設定するための領域設定画面が表示される。
図44は、測定対象物SのZ方向における測定範囲を設定するための領域設定画面の一例を示す図である。
【0289】
図44の領域設定画面409では、副表示領域420の角度位置一覧441が操作されることにより指定された測定角度位置(本例では0°)の測定範囲を設定するための各種画像および操作用のウィンドウが表示されている。
【0290】
具体的には、主表示領域410には、角度位置一覧441により指定された測定角度位置の領域設定マップ画像IMaと、指定された測定角度位置に対して90°ずれた測定角度位置の領域設定マップ画像IMbとが表示されている。また、領域設定マップ画像IMb上には、Z方向における測定範囲の上限位置および下限位置をそれぞれ示す上限マーク472および下限マーク473が上下方向にスライド可能に重畳表示されている。これにより、使用者は、領域設定マップ画像IMbに表示される測定対象物Sの画像を視認しつつ上限マーク472および下限マーク473を上下方向にスライドさせることにより、指定された測定角度位置におけるZ方向の測定範囲を設定することができる。
【0291】
また、主表示領域410には、さらにZ方向の測定範囲を数値で指定するためまたは自動設定を行うべき指令をするための範囲設定ウィンドウ481が表示されている。範囲設定ウィンドウ481には、使用者がZ方向における測定範囲の上限位置および下限位置をそれぞれ数値入力するための上限入力部482および下限入力部483が表示される。また、範囲設定ウィンドウ481には、使用者がZ方向における測定範囲の大きさ(上下方向の幅)およびその中心位置をそれぞれ数値入力するための幅入力部484および中心入力部485が表示される。さらに、範囲設定ウィンドウ481には、全ての測定角度位置の各々について自動的にZ方向における測定範囲を設定することを指令するための自動設定ボタン486が表示される。
【0292】
これにより、使用者は、上限マーク472および下限マーク473を操作することに代えて、上限入力部482および下限入力部483に数値を入力することにより測定範囲を設定することができる。または、使用者は、幅入力部484および中心入力部485に数値を入力することにより測定範囲を設定することができる。あるいは、使用者は、自動設定ボタン486を操作することにより、全ての測定角度位置についてZ方向の測定範囲を設定することができる。
【0293】
なお、自動設定ボタン486が操作された場合、領域設定部21dは各測定角度位置について以下のように測定範囲を設定してもよい。例えば、領域設定部21dは、一の測定角度位置についてZ方向の測定範囲を設定する場合、一の測定角度位置に対して90°ずれた測定角度位置の領域設定マップ画像を読み込む。また、領域設定部21dは、読み込んだ領域設定マップ画像から測定対象物Sが存在するZ方向の範囲を検出し、検出された範囲を一の測定角度位置のZ方向の範囲として設定する。
【0294】
または、領域設定部21dは各測定角度位置について以下のように測定範囲を設定することもできる。例えば、回転制御部21bは、回転ユニット190を複数の測定角度位置に順次移動させる。そこで、撮像制御部21cは、各測定角度位置にある状態で、受光部120により測定対象物Sの複数の部分を撮像させ、上方を向く測定対象物Sの複数の部分にそれぞれ受光部120の焦点面120Fが合うようにステージ140をZ方向に移動させる。その上で、領域設定部21dは、Z方向におけるステージ140の移動範囲に基づいて測定範囲を設定する。
【0295】
この場合、撮像制御部21cは、測定範囲が測定空間101の範囲(受光部120の被写界深度の範囲)を超える場合に、測定対象物Sの複数の部分が測定空間101の範囲内に含まれるように、Z方向における上面141sの複数の位置を決定してもよい。
【0296】
あるいは、領域設定部21dは各測定角度位置について以下のように測定範囲を設定することもできる。例えば、回転制御部21bは、回転ユニット190を複数の測定角度位置に順次移動させる。そこで、撮像制御部21cは、測定対象物Sが各測定角度位置にある状態で、パターン光を用いて測定対象物Sを撮像し、三次元形状データを生成することによりZ方向における測定対象物Sの上端部の位置を検出する。その上で、領域設定部21dは、生成された測定対象物Sの三次元形状データに基づいて測定範囲を設定する。なお、Z方向の測定範囲を設定するための測定対象物Sの撮像時には、いわゆる粗測定として、分解能が低いパターン光を用いて、パターン光の照射回数を低減することが好ましい。
【0297】
上記のようにして、測定対象物SのZ方向の測定範囲が設定される。これにより、CPU210は、任意の測定角度位置で設定された測定範囲が測定空間101を超える場合に、当該測定角度位置でZ方向におけるステージ140の位置を変更しながら複数回三次元形状データを生成することができる。また、生成された複数の三次元形状データを用いて高さ方向合成を行うことにより、測定対象物の表面におけるより広い範囲に渡って形状を測定することが可能になる。
【0298】
(2)上記実施の形態に係る形状測定処理においては、回転を伴う測定対象物Sの形状測定時に各測定角度位置に対応する測定対象物Sの存在領域を検出するために、各測定角度位置にある測定対象物Sが照明光を用いて撮像されるが、本発明はこれに限定されない。
【0299】
各測定角度位置に対応する測定対象物Sの存在領域を検出するために、CPU210は、以下の処理を行ってもよい。例えば、ステップS204において、回転制御部21bは、測定対象物Sが複数の測定角度位置のうち一部(例えば、0°および180°)の代表角度位置で保持されるように回転ユニット190を制御する。また、撮像制御部21cは、測定対象物Sが各代表角度位置にある状態で、パターン光を照射しつつ測定対象物Sを撮像することにより複数の画像データが生成されるように投光部110A,110Bおよび受光部120を制御する。三次元形状データ生成部21gは、測定対象物Sが各代表角度位置にある状態で生成された複数の画像データに基づいて、各代表角度位置に対応する三次元形状データを生成する。
【0300】
この場合、一の代表角度位置である0°に対応する三次元形状データと、他の代表角度位置である180°に対応する三次元形状データとを合成すると、測定対象物Sのほぼ全体の形状を把握することができる。そこで、領域設定部21dは、生成された三次元形状データに基づいて複数の測定角度位置に対応する測定対象物Sの存在領域を検出する。上記の処理によれば、複数の測定角度位置について存在領域を検出するために、複数の角度位置の各々で測定対象物を撮像する必要がなくなる。
【0301】
なお、存在領域を検出するために生成される三次元形状データは、高い測定精度を要しない。したがって、存在領域を検出するための三次元形状データの生成時には、測定対象物Sの形状を取得するための三次元形状データの生成時に対して、分解能が低いパターン光を用いて、パターン光の照射回数を低減することが好ましい。
【0302】
(3)上記実施の形態に係る形状測定処理においては、データ合成部21hは、ステップS107の処理で複数の測定角度位置の三次元形状データを合成するか否かについての指令を受け付けるが、本発明はこれに限定されない。
【0303】
ステップS107においては、データ合成部21hは、複数の測定角度位置の複数の三次元形状データのうち一部のみを合成することを受け付けてもよい。この場合、例えば
図29の副表示領域420においては合成要否チェックボックス457に代えて、複数の測定角度位置のうち三次元形状データが合成されるべき測定角度位置を選択するための入力部等が設けられてもよい。
【0304】
複数の測定角度位置のうち一部で取得された複数の三次元形状データのみを合成することが受け付けられた場合、データ合成部21hは、受け付けられた情報に従って複数の三次元形状データの一部のみを合成してもよい。
【0305】
なお、回転方向に並ぶ少なくとも一部の三次元形状データを回転方向合成するか否かを指令するためのデータ合成指令部が表示部400に表示されてもよい。具体的には、
図26~
図28の領域設定画面403~405の副表示領域420に、合成されるべき三次元形状データを個別に指定するためのチェックボックス等がデータ合成指令部として表示されてもよい。これにより、使用者は、測定対象物Sの形状について所望の態様で三次元形状データを取得することができる。
【0306】
(4)上記実施の形態においては、回転角度設定部21fは、ステップS212の処理でモード毎に予め定められた複数の測定角度位置を記憶装置240から読み込み、複数の測定角度位置の設定を行うが、本発明はこれに限定されない。
【0307】
回転角度設定部21fは、ステップS212の処理として、予め定められた複数の測定角度位置を読み込む代わりに、以下の方法で複数の測定角度位置の設定を行ってもよい。
【0308】
例えば、回転角度設定部21fは、ステップS211で軸形状領域設定モードが選択された場合に、まず受光部120の焦点面120Fが測定対象物Sの最も高い部分に一致するようにステージ140のZ方向の位置を調整する。次に、回転角度設定部21fは、受光部120の焦点面120Fが測定対象物Sの表面に位置するときのステージ140のZ方向の位置と、受光部120の作動距離WD(
図8)とに基づいて回転軸RAを基準とする測定対象物Sの半径方向のサイズ(実寸法)を算出する。
【0309】
この場合、算出されたサイズに基づいて測定対象物Sの外周面上に設定される測定領域のサイズを把握することが可能になる。それにより、回転軸RAの周りで回転させつつ受光部120により測定対象物Sを撮像する場合に、回転方向において連続する2つの測定領域の一部が互いに重複するように、回転角度設定部21fは複数の測定角度位置を設定してもよい。あるいは、回転角度設定部21fは、回転方向において連続する2つの測定領域の一部が互いに重複する測定角度位置を使用者に提示して、当該測定角度位置の設定を誘導するメッセージ等を表示部400に表示させてもよい。
【0310】
上記の測定角度位置の設定方法によれば、回転ユニット190により保持された測定対象物Sの回転方向において、測定対象物Sの表面全体をカバーするように測定領域が適切に設定される。
【0311】
(5)上記実施の形態に係る形状測定装置500は、いわゆるオートフォーカス機能を有してもよい。例えば、受光部120による測定対象物Sの撮像時に、受光部120の焦点面120Fが測定対象物Sの少なくとも一部に位置するように、Z方向における上面141sの位置が調整されてもよい。あるいは、受光部120内のレンズ122の位置が調整されてもよい。
【0312】
(6)上記実施の形態に係る形状測定処理においては、使用者が領域設定マップ画像を確認することにより測定領域の設定が行われるが、本発明はこれに限定されない。形状測定処理においては、例えば使用者の指令により領域設定マップ画像が生成されることなく測定対象物Sの形状測定が行われてもよい。
【0313】
具体的には、回転ユニット190がステージ140に取り付けられた状態で、使用者が、操作部250を操作して領域設定マップ画像の確認を行うことなく測定対象物Sの形状測定を行うべきことを指令する。この場合、CPU210は、予め定められた複数の測定角度位置の各々でパターン光を用いた撮像を行うとともに、三次元形状データの生成を行う。
【0314】
そこで、CPU210は、各測定角度位置に対応する一の測定領域を設定し、当該一の測定領域についての三次元形状データを生成し、生成された三次元形状データから測定対象物Sが存在する領域を推定(検出)しつつ、必要に応じて新たな測定領域を設定する。このとき、新たな測定領域は、一部が一の測定領域に重複するように設定される。その後、CPU210は、新たな測定領域について、三次元形状データの生成、測定対象物Sが存在する領域の推定(検出)およびさらに新たな測定領域の設定を行う。
【0315】
このようにして、CPU210が、各測定角度位置について、三次元形状データの生成、測定対象物Sが存在する領域の推定、および測定領域の設定を交互に繰り返すことにより、測定対象物Sの全周に渡る形状測定が行われてもよい。
【0316】
(7)上記実施の形態に係る形状測定装置500においては、測定対象物Sの形状測定時に設定された測定角度位置および測定領域に関する情報が、当該測定対象物Sの三次元形状データとともに設定情報として記憶装置240に保存されてもよい。この場合、例えば測定対象物Sに応じて記憶装置240に記憶された設定情報を読み出すことにより、読み出された設定情報に基づいて測定角度位置および測定領域が設定されてもよい。
【0317】
このように、形状測定装置500が設定情報の保存および読み出し機能を有することにより、同一形状を有する多数の測定対象物Sを順次形状測定する場合に、使用者は測定角度位置および測定領域の設定作業を繰り返す必要がない。
【0318】
(8)上記実施の形態に係る形状測定処理のステップS203の処理では、複数の測定角度位置で低倍率カメラによる測定対象物Sの撮像が行われる。このとき、各測定角度位置で撮像される測定対象物Sの画像データに基づいて、他の測定角度位置にあるときに測定対象物Sとステージ140とが干渉するか否かの判定が行われてもよい。さらに、測定対象物Sとステージ140とが干渉すると判定された他の測定角度位置については、測定対象物Sの撮像がスキップされるとともに、測定対象物Sとステージ140とが干渉する旨のメッセージまたは指標等が表示部400に表示されてもよい。
【0319】
図45は、測定対象物Sとステージ140との干渉判定機能を説明するための図である。例えば一の測定角度位置で測定対象物Sが撮像されることにより、
図45(a)の領域設定マップ画像が生成されるものとする。この場合、
図45(a)で一点鎖線RAiに示すように、領域設定マップ画像上の回転軸RAの位置は既知である。そのため、領域設定マップ画像上で、回転軸RAに直交する方向において、対象物画像SIの一端部と一点鎖線RAiとの間の距離di1を求めることにより、測定対象物Sの一端部がどのような半径で回転するのかを求めることができる。
【0320】
図45(b)に、
図45(a)の領域設定マップ画像に対応する回転ユニット190のX方向に見た側面図が示される。上記のように、測定対象物Sの一端部がどのような半径で回転するのかを求めることができれば、
図45(b)に示すように、求められた半径d1と、回転ユニット190およびステージ140の実寸法とに基づいて、測定対象物Sの一端部がステージ140と干渉する角度範囲rθを求めることができる。
【0321】
(9)上記実施の形態に係る形状測定装置500においては、回転ユニット190は、回転駆動部192のケーシングの側面ss1から保持部191が突出するように設けられた構成を有するが、本発明はこれに限定されない。
【0322】
図46は、他の実施の形態に係る回転ユニット190の構成例を示す図である。
図46(a)に示すように、本例の回転ユニット190は、保持部191および回転駆動部192に加えて、固定保持部材810および回転保持部材820を含む。固定保持部材810は、2本の支柱部811および連結部812から構成される。連結部812は、水平方向に延びるように設けられている。2本の支柱部811は、連結部812の両端部から上方に延びるように設けられている。連結部812は、2本の支柱部811の下端部を連結するとともに、ステージ140の上面141s上に設置可能に構成される。
【0323】
回転保持部材820は、固定保持部材810の2本の支柱部811の間に設けられている。回転保持部材820は、2本の支柱部821および連結部822から構成される。一方の支柱部821の各々の一端は、固定保持部材810の一方の支柱部811に対して、予め定められた回転軸830周りで回転可能に支持されている。他方の支柱部821の各々の一端は、固定保持部材810の他方の支柱部811に対して、予め定められた回転軸830周りで回転可能に支持されている。2本の支柱部821の他端は連結部822により連結されている。連結部822に回転駆動部192が取り付けられている。
【0324】
上記の構成によれば、固定保持部材810がステージ140上に固定された状態で、
図46(b)に示すように、回転保持部材820を固定保持部材810に対して回転させることができる。それにより、保持部191により保持される測定対象物Sについて、調整可能な姿勢の自由度を向上させることができる。
【0325】
(10)上記実施の形態に係る測定部100においては、ステージ140の上面141sと受光部120との間の位置関係を調整するために、ステージ駆動部146が受光部120に対してステージ140の上面141sを移動させる。本発明は、これに限定されない。
【0326】
例えば、測定部100は、ステージ140の上面141sと受光部120との間の位置関係を調整するために、ステージ140の上面141sに対して、光学系支持体992を移動可能に支持する構成を有してもよい。また、光学系支持体992を移動させる駆動部を有してもよい。
【0327】
(11)上記実施の形態に係る形状測定装置500においては、第1および第2の校正機能で用いられる第1のマーカM1および第2のマーカM2は、それぞれ円筒状の外周面を有するが、本発明はこれに限定されない。
【0328】
第1のマーカM1および第2のマーカM2として、正多角形状の断面を有する軸部材を用いてもよい。この場合、軸部材の断面を表す正多角形の頂点の数は、4よりも大きいことが好ましい。
【0329】
(12)上記実施の形態に係る形状測定装置500においては、測定対象物Sにパターン光が複数回照射され、測定対象物Sが撮像される。撮像により得られた複数の画像データに基づいて三次元形状データが生成される。しかしながら、本発明は上記の例に限定されない。
【0330】
三次元形状データは、パターン光の照射を伴う撮像に代えて、他の撮像方法により得られる画像データに基づいて生成されてもよい。例えば、複数の受光部120で測定対象物Sを撮像するかまたは複数の位置から測定対象物Sを撮像することにより、ステレオ法によって三次元形状データが生成されてもよい。
【0331】
(13)上記実施の形態に係る形状測定装置500においては、測定対象物Sを載置するためおよび回転ユニット190を支持するためにステージ140が設けられるが、本発明はこれに限定されない。回転ユニット190により保持された測定対象物Sについて形状測定を行うことができるのであれば、ステージ140は設けられなくてもよい。この場合、回転ユニット190は、例えば
図3の台座990に取り付けられる。
【0332】
(14)上記実施の形態に係る形状測定装置500は、第1、第2および第3の校正機能を有するが、本発明はこれに限定されない。形状測定装置500は、第1、第2および第3の校正機能のうち少なくとも一部を有しなくてもよい。
【0333】
(15)上記実施の形態に係る形状測定処理においては、回転ユニット190による回転を伴う測定対象物Sの形状測定を行う場合に、測定領域設定処理により複数の測定角度位置が設定されるが、本発明はこれに限定されない。
【0334】
回転ユニット190による回転を伴う測定対象物Sの形状測定を行う場合に、測定領域設定処理において、例えば使用者により指定される一の測定角度位置が設定可能であってもよい。
【0335】
この場合、使用者は、操作部250を操作することにより、例えば一の測定角度位置を指定するとともに一の測定角度位置に対応する形状測定の指令をCPU210に与える。そこで、CPU210は、一の測定角度位置に対応する形状測定の指令に応答して、指定された一の角度位置に対応する三次元形状データが生成されるように、形状測定装置500の各構成要素を制御する。これにより、使用者は、測定対象物Sの形状について所望の態様で三次元形状データを取得することができる。
【0336】
(16)上記実施の形態に係る形状測定装置500においては、回転を伴う測定対象物Sの形状測定を行うための測定領域の設定時に、撮像により得られた測定対象物Sの画像に基づいて存在領域が検出されるが、本発明はこれに限定されない。存在領域は、例えば予め記憶装置240に記憶された測定対象物Sの寸法情報(例えばCADデータ等)、あるいは入力された寸法情報をCPU210が取得することにより、取得された寸法情報に基づいて検出されてもよい。
【0337】
(17)上記実施の形態では、回転を伴う測定対象物Sの形状測定を行うための測定領域の設定時に、各測定角度位置にあるときの測定対象物Sの存在領域が検出される。また、測定対象物Sの存在領域に基づいて各測定角度位置に対応する複数の測定領域が設定される。本発明はこの例に限定されない。
【0338】
上記実施の形態に係る形状測定装置500においては、回転を伴う測定対象物Sの形状測定を行うための測定領域の設定時に、各測定角度位置にあるときのX方向およびY方向における測定対象物Sの幅が検出されてもよい。この場合、検出された幅に基づいて各測定角度位置に対応する複数の測定領域が設定されてもよい。
【0339】
[11]請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明する。上記実施の形態では、形状測定装置500が三次元形状測定装置の例であり、保持部191が保持部の例であり、回転軸RAが回転軸の例であり、回転駆動部192が回転駆動部の例であり、回転ユニット190が回転ユニットの例である。
【0340】
また、受光部120およびCPU210が撮像部、検出部およびデータ取得部の例であり、XYステージ141およびステージ駆動部146が並進駆動部の例であり、CPU210が設定部および制御部の例であり、ROM220、作業用メモリ230および記憶装置240のいずれかが記憶部の例であり、表示部400が表示部の例である。
【0341】
また、CPU210の三次元形状データ生成部21gおよびデータ合成部21hがデータ生成部の例であり、レンズ123Bが第一光学系の例であり、カメラ121Bが第一カメラの例であり、レンズ123Aが第二光学系の例であり、カメラ121Aが第二カメラの例である。
【0342】
また、受光部120およびCPU210が検出部の例であり、操作部250が操作部の例であり、Zステージ142およびステージ駆動部146が垂直駆動部の例であり、ステージ140がステージの例であり、ステージ140の上面141sが上面の例であり、投光部110A,110Bがプロジェクタの例であり、投光部110Aが第1の投光装置の例であり、投光部110Bが第2の投光装置の例であり、測定空間101が第1の投光装置によるパターン光の照射領域と、第2の投光装置によるパターン光の照射領域と、撮像部の撮像領域とが重複する空間の例である。
【0343】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【符号の説明】
【0344】
21a…移動制御部,21b…回転制御部,21c…撮像制御部,21d…領域設定部,21e…設定画面提示部,21f…回転角度設定部,21g…三次元形状データ生成部,21h…データ合成部,21i…データ補正部,21j…着脱判定部,21k…表示制御部,91…回転支持軸,92,93…保持片,92e,93e,es1,es2…端面,92h,93h…孔,94…棒状部材,100…測定部,101…測定空間,110A,110B…投光部,111…測定光源,112…パターン生成部,112S…パターン出射面,113,114,115,122,123A,123B…レンズ,116,125A,125B…絞り,117,118…ミラー,120…受光部,120F…焦点面,121a…撮像素子,121A,121B…カメラ,124…ハーフミラー,130…照明光出力部,140…ステージ,141…XYステージ,141c,194…コネクタ,141h…ねじ孔,141s…上面,142…Zステージ,145…ステージ操作部,146…ステージ駆動部,150,310…制御基板,160…ヘッドケーシング,190…回転ユニット,191…保持部,192…回転駆動部,193…ケーブル,195…保持ダイヤル,199…取付部,200…PC,210…CPU,220…ROM,230…作業用メモリ,240…記憶装置,250…操作部,300…制御部,320…照明光源,400…表示部,401…測定基本画面,402~409…領域設定画面,410…主表示領域,411…水平移動操作ウィンドウ,412…移動ボタン,413…回転操作ウィンドウ,414…原点ボタン,415…正回転ボタン,416…逆回転ボタン,417…保持部マーク,418…基準姿勢マーク,419…測定角度位置マーク,420…副表示領域,421…領域設定ボタン,422…編集ボタン,423…領域クリアボタン,424…視野確認画像,425…測定開始ボタン,426…除外ボタン,427…OKボタン,428…キャンセルボタン,429…上面除去ボタン,431…回転オンボタン,432…回転オフボタン,434…箱全周ボタン,435…箱部分ボタン,436…軸ボタン,437…回転詳細ボタン,441…角度位置一覧,451…基準姿勢入力枠,452…基準姿勢登録ボタン,453…角度条件設定部,454…角度ピッチ設定部,455…測定回数設定部,456…除外角度入力枠,457…合成要否チェックボックス,463…第1の校正チェックボックス,464…第2の校正チェックボックス,465…マーカ反転チェックボックス,471…範囲ボタン,472…上限マーク,473…下限マーク,481…範囲設定ウィンドウ,482…上限入力部,483…下限入力部,484…幅入力部,485…中心入力部,486…自動設定ボタン,500…形状測定装置,810…固定保持部材,811,821…支柱部,812,822…連結部,820…回転保持部材,830,RA…回転軸,990…台座,991…支柱,992…光学系支持体,DRA…設計回転軸,IMa,IMb…領域設定マップ画像,M1…第1のマーカ,M2…第2のマーカ,M2a…径大部,M2b…径小部,M2i…マーカ画像,MM,MMa,MMb…単位領域枠,pp…電源部,rθ…角度範囲,RD…基準距離,RM…可動ストローク範囲,ROA,TOA1,TOA2…光軸,S…測定対象物,SI…対象物画像,sm…ステッピングモータ,ss1,ss2…側面,sv…ずれ,WD…作動距離