(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】モータ制御装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H02P 6/18 20160101AFI20241113BHJP
【FI】
H02P6/18
(21)【出願番号】P 2021092510
(22)【出願日】2021-06-01
【審査請求日】2024-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】亀山 滋
【審査官】池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-207250(JP,A)
【文献】特開2019-201488(JP,A)
【文献】国際公開第2008/120737(WO,A1)
【文献】米国特許第05001405(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 6/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコイルを含むモータの前記複数のコイルにコイル電流を流すため、前記複数のコイルに印加する電圧を制御する電圧制御手段と、
前記複数のコイルに流れたコイル電流を検知する電流検知手段と、
前記複数のコイルの内の2つのコイルのセットそれぞれに対して測定処理を実行することで前記モータのロータの停止位置を判定する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、セットに対する前記測定処理において、前記電圧制御手段を制御することにより当該セットの内の第1コイルから第2コイルに向けてコイル電流を流して前記電流検知手段による第1検知結果を取得し、続いて、前記電圧制御手段を制御することにより前記セットの内の前記第2コイルから前記第1コイルに向けてコイル電流を流して前記電流検知手段による第2検知結果を取得し、前記セットそれぞれに対して取得した前記第1検知結果及び前記第2検知結果に基づき前記モータのロータの停止位置を判定
し、
前記測定処理は、第1期間と、前記第1期間に続く第2期間と、前記第2期間に続く第3期間と、を含み、
前記第2期間の途中までの期間においては前記第1コイルから前記第2コイルに向けて前記コイル電流が流れ、前記第2期間の前記途中より後の期間においては前記第2コイルから前記第1コイルに向けて前記コイル電流が流れることを特徴とするモータ制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記第1期間において、前記第1コイルの前記第2コイルに接続する端子とは異なる第1端子の電位が、前記第2コイルの前記第1コイルに接続する端子とは異なる第2端子の電位より高くなる様に前記電圧制御手段を制御し、
前記第2期間において、前記第2端子の電位が、前記第1端子の電位より高くなる様に前記電圧制御手段を制御し、
前記第3期間において、前記第1端子の電位が、前記第2端子の電位より高くなる様に前記電圧制御手段を制御することを特徴とする請求項
1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1期間及び前記第3期間において、パルス幅変調信号が前記第1端子に印加され、前記第2期間において、前記パルス幅変調信号が前記第2端子に印加される様に前記電圧制御手段を制御することを特徴とする請求項
2に記載のモータ制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第1期間及び前記第3期間において、前記第1端子に印加される前記パルス幅変調信号のデューティを変化させ、前記第2期間において、前記第2端子に印加される前記パルス幅変調信号のデューティを変化させることを特徴とする請求項
3に記載のモータ制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第1期間において、前記第1端子に印加される前記パルス幅変調信号のデューティを正弦波状、三角波状又は台形波状に変化させ、前記第2期間において、前記第2端子に印加される前記パルス幅変調信号のデューティを正弦波状、三角波状又は台形波状に変化させ、前記第3期間において、前記第1端子に印加される前記パルス幅変調信号のデューティを正弦波状、三角波状又は台形波状に変化させることを特徴とする請求項
4に記載のモータ制御装置。
【請求項6】
前記第1期間において前記第1端子に印加される前記パルス幅変調信号のデューティは、前記第1期間の終了タイミングにおいて0であり、
前記第2期間において前記第2端子に印加される前記パルス幅変調信号のデューティは、前記第2期間の終了タイミングにおいて0であり、
前記第3期間において前記第1端子に印加される前記パルス幅変調信号のデューティは、前記第3期間の開始タイミングと終了タイミングにおいて0であることを特徴とする請求項
4又は
5に記載のモータ制御装置。
【請求項7】
前記第1期間における前記パルス幅変調信号のデューティの最大値を示す第1最大値と、前記第2期間における前記パルス幅変調信号のデューティの最大値を示す第2最大値と、前記第3期間における前記パルス幅変調信号のデューティの最大値を示す第3最大値と、を示す情報を保持する保持手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記第1最大値、前記第2最大値及び前記第3最大値に従い、前記第1期間、前記第2期間及び前記第3期間それぞれにおける前記パルス幅変調信号のデューティを変化させることを特徴とする請求項
4から
6のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
【請求項8】
前記第2最大値は前記第1最大値より大きいことを特徴とする請求項
7に記載のモータ制御装置。
【請求項9】
前記第1検知結果は、前記第1コイルから前記第2コイルに向けて流れたコイル電流の最大値であり、
前記第2検知結果は、前記第2コイルから前記第1コイルに向けて流れたコイル電流の最大値であることを特徴とする請求項1から
8のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記電圧制御手段を制御することにより前記第2コイルから前記第1コイルに向けてコイル電流を流し、続いて、前記電圧制御手段を制御することにより前記第1コイルから前記第2コイルに向けてコイル電流を流したときの前記電流検知手段による第3検知結果が前記第1検知結果に近づく様に前記第2最大値を更新する更新処理を実行することを特徴とする請求項
7又は
8に記載のモータ制御装置。
【請求項11】
前記更新処理は、第1処理と第2処理と、を含み、
前記第1処理は、第4期間と、前記第4期間に続く第5期間と、を含み、
前記第2処理は、第6期間と、前記第6期間に続く第7期間と、を含み、
前記制御手段は、
前記第4期間及び前記第6期間において、前記第2端子には前記第1最大値に従い変化する前記パルス幅変調信号が印加される様に前記電圧制御手段を制御し、
前記第5期間において、前記第1端子には第4最大値に従い変化する前記パルス幅変調信号が印加される様に前記電圧制御手段を制御して第4検知結果を取得し、
前記第6期間において、前記第1端子には前記第4最大値とは異なる第5最大値に従い変化する前記パルス幅変調信号が印加される様に前記電圧制御手段を制御して第5検知結果を取得し、
前記第4最大値、前記第5最大値、前記第4検知結果及び前記第5検知結果に基づき前記第1検知結果が得られる前記パルス幅変調信号のデューティの最大値を判定し、前記第2最大値を、判定した前記最大値に更新することを特徴とする請求項
10に記載のモータ制御装置。
【請求項12】
前記第1検知結果、前記第4検知結果及び前記第5検知結果は、前記第1コイルから前記第2コイルに向けて流れたコイル電流の最大値であり、
前記第2検知結果は、前記第2コイルから前記第1コイルに向けて流れたコイル電流の最大値であることを特徴とする請求項
11に記載のモータ制御装置。
【請求項13】
搬送路に沿ってシートを搬送するための回転部材と、
前記搬送路を搬送される前記シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記回転部材又は前記画像形成手段を駆動するモータと、
前記モータを制御する
、請求項1から12のいずれか1項に記載のモータ制御
装置と、
を備えている画像形成装
置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置における回転部材の駆動源として、ロータ位置を検知するためのセンサを搭載しないセンサレスDCブラシレスモータが使用されている。センサレスDCブラシレスモータに対しては、起動時の脱調や逆回転を防ぐため、ロータの停止位置(以下、ロータ停止位置)を検知し、ロータ停止位置に応じた起動処理を行う。特許文献1は、コイルに所定の電圧を印加したときの励磁電流(コイル電流)に基づきロータ停止位置を検知する構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロータ停止位置の検知精度を向上させるには、コイル電流を大きくする必要がある。しかしながら、コイル電流を大きくし過ぎると、コイル電流によってロータが回転し、検知精度が低下し得る。
【0005】
本発明は、ロータ停止位置の検知精度の低下を抑える技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によると、モータ制御装置は、複数のコイルを含むモータの前記複数のコイルにコイル電流を流すため、前記複数のコイルに印加する電圧を制御する電圧制御手段と、前記複数のコイルに流れたコイル電流を検知する電流検知手段と、前記複数のコイルの内の2つのコイルのセットそれぞれに対して測定処理を実行することで前記モータのロータの停止位置を判定する制御手段と、を備え、前記制御手段は、セットに対する前記測定処理において、前記電圧制御手段を制御することにより当該セットの内の第1コイルから第2コイルに向けてコイル電流を流して前記電流検知手段による第1検知結果を取得し、続いて、前記電圧制御手段を制御することにより前記セットの内の前記第2コイルから前記第1コイルに向けてコイル電流を流して前記電流検知手段による第2検知結果を取得し、前記セットそれぞれに対して取得した前記第1検知結果及び前記第2検知結果に基づき前記モータのロータの停止位置を判定し、前記測定処理は、第1期間と、前記第1期間に続く第2期間と、前記第2期間に続く第3期間と、を含み、前記第2期間の途中までの期間においては前記第1コイルから前記第2コイルに向けて前記コイル電流が流れ、前記第2期間の前記途中より後の期間においては前記第2コイルから前記第1コイルに向けて前記コイル電流が流れることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、ロータ停止位置の検知精度の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】一実施形態による画像形成装置の制御構成図。
【
図5】一実施形態による励磁相と合成インピーダンスとの関係を示す図。
【
図6】一実施形態によるコイルへの印加電圧及びコイル電流と、インダクタンス成分に印加される電圧及び当該電圧の積分波形と、を示す図。
【
図8】一実施形態による励磁相と、最大測定値とを示す図。
【
図9】一実施形態によるロータ停止位置の判定処理のフローチャート。
【
図10】一実施形態による係数の更新処理のフローチャート。
【
図11】一実施形態によるコイルへの印加電圧及びコイル電流を示す図。
【
図12】一実施形態によるコイルへの印加電圧及びコイル電流を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<第一実施形態>
図1は、本実施形態による画像形成装置の構成図である。画像形成装置は、例えば、印刷装置、プリンタ、複写機、複合機、ファクシミリのいずれかであり得る。画像形成装置のカセット25に格納されたシートは、給送ローラ26及び搬送ローラ27により搬送路に沿って搬送される。画像形成ユニット1は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を形成し、搬送路を搬送されるシートにこれらトナー像を転写する。定着器24は、加熱ローラ及び加圧ローラを有し、トナー像が転写されたシートを加熱・加圧して、シートにトナー像を定着させる。トナー像の定着処理が行われたシートは、画像形成装置外に排出される。モータ15Fは、定着器24のローラを回転させる駆動源である。
【0011】
図2は、画像形成装置の制御構成を示している。プリンタ制御部11は、通信コントローラ21を介して形成する画像の画像データをホストコンピュータ22より受信すると、画像形成ユニット1を制御してシートにトナー像を形成し、定着器24を制御してシートにトナー像を定着させる。また、このとき、プリンタ制御部11は、モータ制御部14を制御して、モータ15Fを含む各モータ15を制御し、シートの搬送制御等を行う。また、プリンタ制御部11は、表示部20に画像形成装置の状態を表示する。なお、プリンタ制御部11は、マイクロコンピュータ及びメモリを有する。メモリは、各種制御プログラムやデータを保持しており、マイクロコンピュータは、メモリに格納されている各種制御プログラムやデータ等に基づき画像形成装置の各部を制御する。
【0012】
図3は、モータ15Fの制御構成の詳細を示している。モータ制御部14は、マイクロコンピュータ(以下、マイコンと表記)51を有する。マイコン51は、通信ポート52を介してプリンタ制御部11と通信を行う。また、マイコン51の基準クロック生成部56は、水晶発振子50に接続され、水晶発振子50の出力に基づき基準クロックを生成する。カウンタ54は、基準クロックに基づきカウント動作を行う。マイコン51は、パルス幅変調信号(PWM信号)をPWMポート58から出力する。本実施形態において、マイコン51は、モータ15Fの3相のコイル(U相、V相、W相)それぞれについて、ハイ側のPWM信号(U-H、V-H、W-H)と、ロー側のPWM信号(U-L、V-L、W-L)の計6つのPWM信号を出力する。このため、PWMポート58は、6つの端子U-H、V-H、W-H、U-L、V-L、W-Lを有する。
【0013】
PWMポート58の各端子は、ゲートドライバ61に接続され、ゲートドライバ61は、PWM信号に基づき、3相のインバータ60の各スイッチング素子のON/OFF制御を行う。なお、インバータ60は、各相についてハイ側3個、ロー側3個の計6つのスイッチング素子を有し、ゲートドライバ61は、各スイッチング素子を対応するPWM信号に基づき制御する。スイッチング素子としては、例えばトランジスタやFETを使用することができる。本実施形態においては、PWM信号がハイであると、対応するスイッチング素子がONになり、ローであると、対応するスイッチング素子がOFFになるものとする。インバータ60の出力62は、モータのコイル73(U相)、74(V相)及び75(W相)の第1端子に接続されている。なお、コイル73、74及び75の第1端子とは異なる第2端子は、相互に接続され、中性点76を形成している。
【0014】
したがって、ある相のハイ側のスイッチング素子をONにし、当該相のロー側のスイッチング素子をOFFにすると、当該相のコイルの第1端子の電位は、所定の第1電位となる。一方、ある相のハイ側のスイッチング素子をOFFにし、当該相のロー側のスイッチング素子をONにすると、当該相のコイルの第1端子の電位は、第1電位より低い第2電位となる。なお、本例において第2電位は接地電位である。したがって、インバータ60の各スイッチング素子をON/OFF制御することで、各コイル73、74、75のコイル電流を制御することができる。この様に、マイコン51、ゲートドライバ61及びインバータ60は、複数のコイル73、74及び75に印加する電圧を制御する電圧制御部として機能する。各コイル73、74、75に流れたコイル電流は、抵抗63により電圧に変換され、マイコン51のADコンバ-タ53に入力される。ADコンバータ53は、コイル電流に対応する電圧をデジタル値に変換し、マイコン51は、このデジタル値からコイル電流の電流値を検知する。この様に、抵抗63と、ADコンバ-タ53を含むマイコン51は電流検知部を構成する。また、マイコン51は、モータ15Fの制御に使用する各種データ等を格納する不揮発性メモリ55及びメモリ57を有する。
【0015】
図4は、モータ15Fの構成図である。モータ15Fは、6スロットのステータ71と、4極のロータ72と、を有する。ステータ71は、各相のコイル73、74、75を有する。ロータ72は、永久磁石により構成され、N極とS極との組を2つ有する。ロータ72は励磁相に応じて停止する位置が決まる。なお、励磁相は、複数のコイル73、74及び75の内の2つのコイルの順列で示される。つまり、励磁相は、U-V、U-W、V-U、V-W、W-U、W-Vの計6つである。ここで、U-V相とは、U相のコイル73から中性点76を介してV相のコイル74にコイル電流を流すことを意味する。例えば、U-V相を励磁すると、
図4(A)に示す回転位置にてロータ72は停止する。なお、このとき、U相がN極となり、V相がS極となるものとする。続いて、U-W相を励磁すると、
図4(B)に示す回転位置にてロータ72は停止する。
【0016】
モータ15Fの駆動を停止し、コイル電流を0にすると、ロータ72をホールドする力が働かなくなり、ロータ72に外部から回転力が加わればロータ72は回転する。したがって、定着器24を画像形成装置から脱着する際、或いは、ジャムにより定着器24に挟まったシートを取り除く際、ロータ72は回転することがある。このとき、モータ制御部14は、ロータ72の停止位置が判らなくなる。また、画像形成装置の電源投入直後においても、モータ制御部14は、ロータ72の停止位置が判らない。したがって、モータ制御部14は、モータ15Fを回転させる場合、まず、ロータ72の停止位置の判定処理を行う。
【0017】
ここで、一般的に、コイル73、74、75の様なコイルは、電磁鋼板を積層したコアに銅線を巻いた構成となっている。電磁鋼板の透磁率は、外部磁界が有ると小さくなる。コイルのインダクタンスは、コアの透磁率に比例するため、コアの透磁率が小さくなると、コイルのインダクタンスも小さくなる。例えば、
図4(A)のU相のコイル73には、ロータ72のS極のみが対向しているため、ロータ72のS極とN極の両方が対向しているW相のコイル75よりインダクタンスの低下率が大きくなる。また、インダクタンスの変化量は、コイル電流によって生じる磁界の方向と、外部磁界の方向が同じ方向か逆方向かによって異なる。具体的には、
図4(A)の状態において、U相のコイル73を、対向するロータ72のS極により生じる磁界と同じ方向、つまり、U相をN極とする様にコイル電流を流すと、U相をS極とする方向にコイル電流を流した場合より、インダクタンスの低下量が大きくなる。この様に、ロータ72の停止位置と励磁相に応じて、検出されるインダクタンスは異なる。また、インダクタンスが変化することによって、コイルの鉄損が変化するため、コイルの抵抗成分も変化する。つまり、ロータ72の停止位置と励磁相に応じて、コイルのインピーダンスが変化する。
【0018】
図5は、ロータ72が停止しているときに各励磁相を励磁した際の合成インピーダンスの一例を示している。なお、
図5では、ロータ72が、U-V相を励磁した場合に停止する位置で停止しているものとする。以下、X-Y相を励磁した場合にロータ72が停止する位置を"X-Y相の位置"と表現する。ロータ72は、U-V相の位置に停止しているため、U-V相を励磁した際の合成インピーダンスは、他の相を励磁した際の合成インピーダンスより小さくなる。合成インピーダンスは、6つの励磁相それぞれを励磁した際のコイル電流の大きさや、コイル電流の立ち上がりの早さにより判定することができる。したがって、6つの励磁相それぞれを励磁して合成インピーダンスの相対的な大小関係を判定することによりロータ72の停止位置を判定することができる。
【0019】
ここで、本実施形態では6つの励磁相の内、2つの相が同じである2つの励磁相を1つのセットとする。そして、1セット内の2つの励磁相については、1つの測定処理において続けて励磁する。つまり、"X-Y相"と"Y-X相"が1セットであり、X-Y相と、Y-X相の励磁を1つの測定処理において行う。なお、本実施形態のモータ15Fは3相(U相、V相、W相)であるため、セット数は3である。したがって、ロータ停止位置を判定するために、本実施形態では、セットに対する測定処理を3回行う。
【0020】
以下では、U-V相及びV-U相のセットを例にして1つの測定処理について
図6を用いて説明する。なお、
図6では、U-V相の励磁後に、V-U相を励磁している。また、
図6(A)のコイル電流は、U相のコイル73からV相のコイル74に向けてコイル電流が流れている状態を正の電流値としている。まず、A期間においては、PWMポート58のV-H端子をローレベルに固定し、U-H端子からデューティが時間的に変化するPWM信号を出力する。なお、A期間においては、V-L端子をハイレベルに固定し、その他の端子をローレベルに固定する。したがって、A期間において、U相のコイル73の第1端子は、PWM信号がハイレベルの間、第1電位になる。一方、A期間において、V相のコイル74の第1端子は、第1電位より低い第2電位(接地電位)になる。なお、詳細に述べると、抵抗63に流れるコイル電流により、V相のコイル74の第1端子の電位は、第2電位から変化するが、この変動は、第1電位と比較して十分小さいため無視することができる。なお、
図6(A)に示す様に、A期間においてはU-H端子から出力するPWM信号のデューティについては正弦波状に変化させる。この正弦波の半周期はA期間の長さに対応し、デューティの最大値は、本例では65%である。
【0021】
A期間に続くB期間においては、U-H端子をローレベルに固定し、V-H端子から出力するPWM信号のデューティを正弦波状に変化させ、U-L端子をハイレベルに固定する。この正弦波の半周期はB期間の長さに対応し、デューティの最大値は、本例では90%である。したがって、B期間において、V相のコイル74の第1端子の電位は、PWM信号に従い時間的に変化する。一方、B期間において、U相のコイル73の第1端子の電位は、時間的に変化しない。なお、B期間においては、上記以外の端子についてはローレベルに固定する。C期間においてPWMポート58の各PWM端子から出力する信号は、A期間と同様である。但し、U-H端子から出力するPWM信号のデューティの最大値については、A期間と同じでなくて良く、本例では62%である。
【0022】
上記の通り励磁することで、A期間においては、U相のコイル73からV相のコイル74に向けてコイル電流が流れる。なお、インダクタンス成分によりA期間の終了時点においてコイル電流は、依然、U相のコイル73からV相のコイル74に向けて流れる。B期間においては、V相のコイル74からU相のコイル73に向けてコイル電流を流す様に電圧を印加するため、B期間の途中において、コイル電流の方向が逆転し、V相のコイル74からU相のコイル73に向けてコイル電流が流れる。なお、インダクタンス成分によりB期間の終了時点においてコイル電流は、依然、V相のコイル74からU相のコイル73に向けて流れる。C期間は、V相のコイル74からU相のコイル73に向けて流れているコイル電流を0にするための期間である。この様に、A期間の初めからB期間のコイル電流が0となるタイミングまでがU-V相の励磁を行っている期間であり、B期間の当該タイミングからC期間の終わりまでがV-U相の励磁を行っている期間となる。
【0023】
A期間の時間長及びA期間におけるデューティ最大値は、ロータ72が回転しないとの条件と、各励磁相を励磁した際に検知される合成インピーダンスの違いが区別できるとの条件を満たす様に決定される。本例では、A期間の時間長及びデューティの最大値それぞれを1ms及び65%としている。また、B期間のデューティの最大値は、A期間のデューティの最大値に所定のオフセット値を加えた値とする。この所定のオフセット値は、A期間においてコイルのインダクタンス成分に生じた電圧の時間積分値を凡そ零にする様に設定される。つまり、B期間のデューティの最大値は、A期間においてコイルのインダクタンス成分に印加される電圧波形に基づき決定される。本例では、オフセット値を25%とし、よって、B期間のデューティの最大値を90%としている。このオフセット値を加えることで、V-U相を励磁する前に流れているU相のコイル73からV相のコイル74の方向へのコイル電流の影響をキャンセルすることができる。なお、B期間の時間長は、本例では、A期間の時間長と同じ1msとする。さらに、C期間の時間長及びデューティの最大値は、A期間開始からC期間終了時点までのコイルのインダクタンス成分に生じた電圧の時間積分値を凡そ零にする様に設定する。つまり、C期間の時間長及びデューティの最大値は、A期間及びB期間においてコイルに印加される電圧波形に基づき決定される。本例では、C期間の時間長及びデューティの最大値をそれぞれ0.5ms及び62%としている。
【0024】
図6(B)の上側は、
図6(A)に示す様に電圧を印加した際の、U相とV相のコイル列に印加される電圧と、コイルのインダクタンス成分に加わる電圧VLと、を示している。また、
図6(B)の下側は、電圧VLの波形を時間積分した波形を示している。なお、上側の電圧波形は、
図6(A)に示す様にPWM信号のデューティを正弦波状に変化させた場合にU相とV相のコイル列に印加される1パルス期間毎の平均電圧を示している。つまり、例えば、PWM信号が1パルス期間において常にハイである場合、コイル列に印加される電圧は第1電位-第2電位であり、PWM信号が1パルスの半分の期間だけハイである場合、コイル列に印加される電圧は、(第1電位-第2電位)/2である。電圧VLは、コイルの抵抗による電圧降下や逆起電圧により、コイルに印加される電圧から変化する。電圧VLの時間積分波形は、A期間において電圧VLが正の間は増加する。そして、電圧VLの時間積分波形は、A期間において電圧VLが負になった以降は、減少してB期間の途中において0になる。その後、電圧VLの時間積分波形は、増加の後に減少し、C期間の終了時点で凡そ零となる。
【0025】
図6(A)に示す様にコイル列に電圧を印加することで、1つの測定処理においてU-V相及びV-U相を励磁することができる。したがって、1つの測定処理においてU-V相とV-U相を励磁した際の合成インピーダンスを検知することができる。また、U-V相とV-U相の検知を1つの測定処理内において連続して行うため、U-V相の励磁で発生したロータ72に働くトルクを、V-U相の励磁により打ち消すことができロータ72が回転することを抑えることができる。上述した様に、本実施形態では励磁相のセットが3であるため、モータ制御部14は、上記測定処理を3回行うことで、6つの励磁相それぞれを励磁した際の合成インピーダンスを検知することができる。
【0026】
本実施形態では、デューティを正弦波状に変化させるための時系列データを予め作成して不揮発性メモリ55に保存しておく。
図7は、時系列データの一例を示している。なお、
図7の時系列データは、50μs毎のデータである。
図7の#1は、A期間及びB期間用の基本データである。A期間及びB期間は1msであるため、20個のデータとなる。一方、
図7の#2は、C期間用の基本データである。C期間は0.5msであるため、10個のデータとなる。モータ制御部14は、各期間において、対応する基本データに所定の係数(以下、デューティ係数と呼ぶ。)を乗じた値を使用する。本例において、デューティ係数は、デューティの最大値である。つまり、A期間、B期間及びC期間のデューティ係数は、それぞれ、0.65、0.9及び0.62である。なお、デューティ係数を示す情報は、モータ制御部14の不揮発性メモリ55に予め格納されている。
【0027】
モータ制御部14は、X-Y相とY-X相のセットに対する測定処理の間、所定の期間毎にコイル電流を検知し、検知したコイル電流を電流測定値としてメモリ57に保存する。例えば、所定の期間は50μsである。測定処理が終了すると、モータ制御部14は、保存した複数の電流測定値から、測定処理における検知結果として最大測定値MX-Y及び最大測定値MY―Xを判定する。最大測定値MX-Yは、X相のコイルからY相のコイルに向けて流れるコイル電流の電流測定値(絶対値)の最大値である。同様に、最大測定値MY―Xは、Y相のコイルからX相のコイルに向けて流れるコイル電流の電流測定値(絶対値)の最大値である。上記の通り、励磁相の3つのセットそれぞれに対して測定処理を実行することで、モータ制御部14は、6つの励磁相それぞれの測定結果である最大測定値MU-V、MV-U、MU-W、MW-U、MV-W、MW-Vを取得する。
【0028】
図8は、6つの励磁相それぞれの最大測定値の例を示している。
図8に示す例では、U-V相を励磁した際の最大測定値が一番大きいことから、U-V相を励磁した際の合成インピーダンスが一番小さいことが判る。従って、ロータ72は、U-V相の位置で停止していると判定することができる。
【0029】
図9は、モータ制御部14が実行する、ロータ停止位置を判定する処理のフローチャートである。S10において、モータ制御部14は、
図7に示す様な時系列データ及び各期間のデューティ係数を不揮発性メモリ55から読み出して、測定処理においてPWMポート58から出力するPWM信号を判定する。S11で、モータ制御部14は、測定処理を実行する励磁相のセットを選択する。モータ制御部14は、S12において、選択したセットに対して測定処理を実行し、電流測定値をメモリ57に保存する。選択したセットに対する測定処理が終了すると、モータ制御部14は、S13において、選択したセットの2つの励磁相それぞれの最大測定値を判定してそれぞれの値をメモリ57に保存する。その後、モータ制御部14は、総てのセットに対して測定処理を実行したかを判定し、実行していなければS11から処理を繰り返す。一方、総てのセットに対して測定処理を実行していると、モータ制御部14は、各励磁相の最大測定値に基づきロータ72の停止位置を判定する。
【0030】
デューティ係数の初期値は、予めモータ15Fの標準的なパラメ-タに基づき決定する。しかしながら、個々のモータ15Fの特性のばらつきに応じて、より最適な値に補正することが望ましい。したがって、本実施形態では、B期間で使用するデューティ係数を補正・更新する更新処理を行う。
【0031】
まず、X-Y相及びY-X相のセットに対する測定処理で使用するB期間のデューティ係数の補正・更新方法の考え方について説明する。まず、X-Y相を先に励磁し、その後に、Y-X相を励磁する様に上記の測定処理を行い、最大測定値MX-Y(以下、第1最大測定値)を判定する。続いて、Y-X相を先に励磁し、その後に、X-Y相を励磁する様に上記の測定処理を行い、最大測定値MX-Y(以下、第2最大測定値)を判定する。第1最大測定値は、それ以前のコイル電流の影響がない場合のコイル電流の最大値である。一方、第2最大測定値は、それ以前にY相のコイルからX相のコイルに向けて流れていたコイル電流の影響を受ける場合のコイル電流の最大値である。1つの測定処理において励磁する励磁相の順序に拘わらず、最大測定値は同じでなければならない。つまり、第1最大測定値と第2最大測定値は同じでなければならない。したがって、本実施形態では、第1最大測定値と第2最大測定値が等しくなる様に、B期間のデューティ係数を補正する。
【0032】
図10は、モータ制御部14が実行する、デューティ係数の更新処理のフローチャートである。S20において、モータ制御部14は、
図7に示す様な時系列データ及び現時点での各期間のデューティ係数を不揮発性メモリ55から読み出して、PWMポート58から出力するPWM信号を判定する。S21で、モータ制御部14は、X-Y相及びY-X相のセットに対して測定処理を実行する。なお、このとき、X-Y相を先に励磁して、続いて、Y-X相を励磁する。測定処理の終了後、モータ制御部14は、S22において、最大測定値M
X-Yを判定して保存する。
【0033】
続いて、S23で、モータ制御部14は、同じセットに対して測定処理を実行する。但し、先に励磁する励磁相については、S21での順番とは反転させ、Y-X相を先に励磁する。また、B期間のデューティ係数については、現時点のデューティ係数より小さくする。一例として、現時点でのB期間のデューティ係数を0.95倍したデューティ係数をB期間において使用する。したがって、例えば、現時点でのB期間のデューティ係数が0.9であると、S23で実行する測定処理においては、B期間のデューティ係数を0.85とする。測定処理の終了後、モータ制御部14は、S24において、最大測定値MX-Yを判定して保存する。
【0034】
続いて、S25で、モータ制御部14は、同じセットに対して測定処理を実行する。但し、先に励磁する励磁相については、S21での順番とは反転させ、Y-X相を先に励磁する。また、B期間のデューティ係数については、現時点のデューティ係数より大きくする。一例として、現時点でのB期間のデューティ係数を1.05倍したデューティ係数をB期間において使用する。したがって、例えば、現時点でのB期間のデューティ係数が0.9であると、S25で実行する測定処理においては、B期間のデューティ係数を0.945とする。測定処理の終了後、モータ制御部14は、S26において、最大測定値MX-Yを判定して保存する。
【0035】
モータ制御部14は、S27において、S22、S24及びS26での最大測定値に基づきB期間のデューティ係数を更新する。例えば、S24での最大測定値をM1とし、S26での最大測定値をM2とし、S22での最大測定値をM3とする。また、S23で使用したB期間のデューティ係数をD1として、S25で使用したB期間のデューティ係数をD2とする。この場合、モータ制御部14は、デューティ係数D1及びD2と、最大測定値M1及びM2に基づき、B期間のデューティ係数と最大測定値との関係を求める。そして、この関係から、最大測定値がM3となるB期間のデューティ係数D3を判定する。そして、モータ制御部14は、X-Y相及びY-X相のセットに対するB期間のデューティ係数をD3に更新する。
【0036】
この様に、デューティ係数を更新することで、励磁相のセットに含まれる2つの励磁相を連続して励磁しても、精度良くロータ72の停止位置を判定することができる。なお、
図10のフローチャートのS21~S22の処理と、S23~S24の処理と、S25~S26の処理を行う順序は任意である。また、S21~S22の処理は、ロータ72の停止位置の判定処理での結果を使用することができる。つまり、この場合、
図10に示す更新処理では、S21~S22を実行せず、最後に行ったロータ72の停止位置の判定処理での結果を使用する。また、本実施形態では、S23及びS25でのB期間のデューティ係数として、現在のデューティ係数より小さい値と大きい値を使用していた。しかしながら、2つの内の1つを現在のデューティ係数と同じ値とすることもできる。また、例えば、S25~S26を省略し、S23~S24において、例えば、現在のデューティ係数を使用して1つの最大測定値M
X-Yを測定する構成とすることもできる。この場合、例えば、S22で取得した最大測定値M
X-Yと、S24で取得した最大測定値M
X-Yとの大小関係を判定し、大小関係に応じて所定値だけデューティ係数を増減させる構成とすることができる。また、大小関係に応じて増減させる値については、所定値ではなく、S22で取得した最大測定値M
X-Yと、S24で取得した最大測定値M
X-Yとの差に応じて決定する構成とすることもできる。さらに、本実施形態では、A期間のデューティ係数を基準として、B期間のデューティ係数を更新したが、B間のデューティ係数を基準として、A期間のデューティ係数を更新することもできる。
【0037】
また、本実施形態では、
図6(A)に示す様に、測定処理においてPWM信号のデューティを正弦波状に変化させていた。しかしながら、本発明は、PWM信号のデューティを正弦波状に変化させることに限定されない。例えば、
図11(A)に示す様に、デューティを三角波状に変換させることができる。或いは、
図11(B)に示す様にデューティを台形波状に変化させることもできる。さらに、図示してないが、デューティを矩形波状に変化させることもできる。より一般的には、コイルに印加する電圧波形の形状は、各期間の開始及び終了時において0であり、各期間において、最大値に向けて増加し、最大値に到達したときや、その後の任意のタイミングにおいて0に向けて減少するものであれば良い。また、A期間、B期間、C期間におけるPWM信号のデューティ比の変化の形状は同じでなくとも良い。
【0038】
<第二実施形態>
続いて、第二実施形態について第一実施形態との相違点を中心に説明する。本実施形態においては、コイルへの電圧印加方法が第一実施形態とは異なる。
図12は、U-V相及びV-U相のセットを励磁する測定処理においてPWMポート58から出力するPWM信号のデューティの時間変化を示している。A期間及びB期間は0.8msである。A期間の開始タイミングにおいて、U-H端子から出力するPWM信号のデューティを最大値に立ち上げ、その後、所定期間の間、PWM信号のデューティを最大値に維持する。所定期間が経過すると、U-H端子から出力するPWM信号のデューティがA期間の終了タイミングにおいて0となる様にデューティを減少させる。また、B期間においては、A期間におけるU-H端子と同様のPWM信号をV-H端子から出力する。C期間は0.4msであり、第一実施形態と同様に正弦波状にデューティが変化するPWM信号をU-H端子から出力する。なお、本例において、A期間、B期間及びC期間のデューティの最大値は、それぞれ、65%、90%、87%である。A期間からC期間において、図示しない他の端子から出力する信号は第一実施形態と同様である。
【0039】
A期間及びB期間の時間長は、ロータ72が回転しない期間を上限として、必要な検知精度に基づき決定される。本例では、A、B期間を0.8msとしている。また、C期間の時間長およびデューティの最大値は、第一実施形態と同様に、A期間及びB期間及びC期間でのコイルのインダクタンス成分に生じた電圧の時間積分値が、凡そ零となるように設定する。A、B、C期間で使用するデューティの時系列データを
図13に示す。A、B、C期間用のデューティ係数は、それぞれ、0.65、0.9、0.87である。
【0040】
本実施形態によるロータ停止位置の検知処理およびデューティ係数の補正方法は、第一実施形態と同様なので説明を省略する。
【0041】
以上、本実施形態では、A、B期間のデューティを矩形波状に立ち上げることで、検知精度を満足するために必要な電流値に、短時間で立ち上げることができる。また、デューティを所定の傾きを持って立ち下げることで、電流の変化をなだらかにする。この構成により、ロータ停止位置の検知処理に必要な時間を短縮させると共に、異音の発生を抑制することが可能になる。
【0042】
[その他の実施形態]
なお、上記モータ制御部14は、モータ制御装置として実装することができる。また、上記モータ制御部14とプリンタ制御部11のモータ制御に係る部分を、モータ制御装置として実装することができる。さらに、本実施形態では、定着器24を駆動するモータ15Fの制御を例にして説明したが、本発明は、例えば、画像形成装置においてシートの搬送に係る各ローラを駆動するモータに対しても同様に適用できる。同様に、画像形成装置の画像形成ユニット1内の部材を駆動するモータに対しても同様に適用できる。
【0043】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0044】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0045】
51:マイクロコンピュータ、61:ゲートドライバ、60:インバータ、63:抵抗、53:ADコンバータ、14:モータ制御部、11:プリンタ制御部