(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】光ファイバ通信システムおよび光伝送装置
(51)【国際特許分類】
H04L 12/44 20060101AFI20241113BHJP
H04B 10/272 20130101ALI20241113BHJP
H04B 10/2575 20130101ALI20241113BHJP
H04J 14/02 20060101ALI20241113BHJP
H04W 88/08 20090101ALI20241113BHJP
【FI】
H04L12/44 200
H04B10/272
H04B10/2575 120
H04J14/02
H04W88/08
(21)【出願番号】P 2021162202
(22)【出願日】2021-09-30
【審査請求日】2023-08-01
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人情報通信研究機構、「Beyond 5Gに向けたモバイル収容大容量光アクセスインフラの研究開発」副題「Radio-over-Fiber型伝送技術をベースとするBeyond 5Gモバイルフロントホールの研究開発」委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 和樹
(72)【発明者】
【氏名】猪原 涼
【審査官】羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/072356(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/104075(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0288777(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0321845(US,A1)
【文献】Jun Li et al.,Passive Optical Network Based Mobile Backhaul Enabling Ultra-Low Latency for Communications Among Base Stations,Journal of Optical Communications and Networking (Volume: 9, Issue: 10, October 2017),2017年10月31日,P.855-863,<URL>https://www.researchgate.net/publication/319940938_Passive_Optical_Network_Based_Mobile_Backhaul_Enabling_Ultra-Low_Latency_for_Communications_Among_Base_Stations
【文献】I-Shyan Hwang et al.,A Novel Fault-Tolerant Multi-EPON System with Sharing Protection through Bridge ONUs,Proceedings of the International MultiConference of Engineers and Computer Scientists 2008 Vol I, IMECS 2008,2008年03月21日,P.1-7,<URL> https://www.researchgate.net/publication/44261560_A_Novel_Fault-Tolerant_Multi-EPON_System_with_Sharing_Protection_through_Bridge_ONUs
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/44
H04B 10/272
H04B 10/2575
H04J 14/02
H04W 88/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のエリア毎に複数のONU(Optical Network Unit)
を含むONU群を配下に備えるOLT(Optical Line Terminal)から構成される光ファイバ通信システムであって、
前記各OLTと前記各ONU
群との間にそれぞれ設けられた複数の中継局と、
隣接する前記エリアの前記各中継局を光接続する中継用光ファイバと、を備え、
前記各OLTは、前記中継用光ファイバを用いて、他のOLTの配下のONUに対して、信号を伝送することを特徴とする光ファイバ通信システム。
【請求項2】
前記各OLTは、前記各OLTを収容する収容局内に配置され、配下のONUと光通信する際の波長を制御する波長コントローラと接続し、
第1のOLTは、配下のONUと通信中の端末装置の位置情報に基づいて、前記端末装置が、配下の各ONUの通信領域外のONUと通信をすると判断した場合は、その通信領域外のONUを収容する第2のOLTに対して、前記中継用光ファイバを用いて通信を行なうエリア外モードに移行する旨の要求を行ない、前記第2のOLTが前記要求を許可した場合は、前記第1のOLTおよび前記第2のOLTは、前記エリア外モードへ移行し、前記第1のOLTの波長コントローラまたは前記第2のOLTの波長コントローラは、前記第2のOLTの配下のONUのうち、前記エリア外モードに移行すべきONUに対して、前記エリア外モードで用いる波長を通知し、前記端末装置が、前記エリア外モードに移行したONUおよび前記中継用光ファイバを介して、前記第1のOLTと通信を行なうことを特徴とする請求項1記載の光ファイバ通信システム。
【請求項3】
第1のOLTは、前記中継用光ファイバを用いて、第2のOLTの配下のいずれかのONUとの間で、中継局間伝送を行なうために割り当てられた波長で信号を伝送することを特徴とする請求項1記載の光ファイバ通信システム。
【請求項4】
前記各OLTは、前記各OLTを収容する収容局内に配置され、無線信号を光信号に多重して配下のONUとIFoF通信をする際の周波数を制御するIFコントローラと接続し、
第3のOLTは、配下のONUと通信中の端末装置の位置情報に基づいて、前記端末装置が、配下の各ONUの通信領域外のONUと通信をすると判断した場合は、その通信領域外のONUを収容する第4のOLTに対して、前記中継用光ファイバを用いて通信を行なうエリア外モードに移行する旨の要求を行ない、前記第4のOLTが前記要求を許可した場合は、前記第3のOLTおよび前記第4のOLTは、前記エリア外モードへ移行し、前記第3のOLTのIFコントローラまたは前記第4のOLTのIFコントローラは、前記第4のOLTの配下のONUのうち、前記エリア外モードに移行すべきONUに対して、前記エリア外モードで用いる周波数を通知し、前記端末装置が、前記エリア外モードに移行したONUおよび前記中継用光ファイバを介して、前記第3のOLTと通信を行なうことを特徴とする請求項1記載の光ファイバ通信システム。
【請求項5】
第3のOLTは、前記中継用光ファイバを用いて、第4のOLTの配下のいずれかのONUとの間で、中継局間伝送を行なうために割り当てられた周波数でIFoF通信をすることを特徴とする請求項1記載の光ファイバ通信システム。
【請求項6】
前記各OLTは、無線信号を光信号に多重して配下のONUとIFoF通信をする際の周波数を制御するOLT側IFコントローラを備え、
前記各中継局は、前記各OLT側IFコントローラから周波数の制御を受ける中継局側IFコントローラを備え、
第5のOLTは、配下のONUと通信中の端末装置の位置情報に基づいて、前記端末装置が、配下の各ONUの通信領域外のONUと通信をすると判断した場合は、その通信領域外のONUを収容する第6のOLTに対して、前記中継用光ファイバを用いて通信を行
なうエリア外モードに移行する旨の要求を行ない、前記第6のOLTが前記要求を許可した場合は、前記第5のOLTおよび前記第6のOLTは、前記エリア外モードへ移行し、前記第5のOLTのOLT側IFコントローラおよび前記第6のOLTのOLT側IFコントローラは、各配下の中継局の中継局側IFコントローラに対し、前記エリア外モードで用いる周波数を通知し、前記端末装置が、前記エリア外モードに移行した前記第6のOLTの配下のONUおよび前記中継用光ファイバを介して、前記第5のOLTと通信を行なうことを特徴とする請求項1記載の光ファイバ通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エリア境界における無線品質を改善する光ファイバ通信システムおよび光伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光ファイバ通信システムにおける無線通信の品質を向上させるため、様々な検討がなされてきた。
【0003】
無線品質を向上させる技術として、非特許文献1では、無線基地局の上位レイヤ機能を有するBaseband unit(BBU)やDistributed unit(DU)を収容局側に、下位レイヤ機能を有するRemote radio head(RRH)やRemote unit(RU)をAntenna(ANT)設置サイトに配置するCentralized radio access network(C-RAN)アーキテクチャに関する技術が開示されている。C-RANでは、同一の収容局に配置された複数の無線基地局を集中制御、連携動作させることで、無線品質を向上させることが可能である。
【0004】
また、非特許文献2では、アナログradio over fiber(RoF)技術をベースとしたMobile fronthaul(MFH)として、Wavelength division multiplexing passive optical network(WDM-PON)構成でPoint to multipoint(PtMP)アーキテクチャを構築し、1本のアクセスファイバを複数のANTサイトの収容のために有効活用する光アクセス方式が開示されている。
【0005】
また、特許文献1では、アナログRoF技術をベースとしたMobile fronthaul(MFH)として、Intermediate frequency over fiber(IFoF)リンクやIFoFとRoFリンクのカスケード接続構成によるPtMPアーキテクチャを構築し、1本のアクセスファイバを複数のANTサイトの収容のため有効活用する光アクセス方式が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】TTC技術レポートTR-1079 第5世代移動体通信システムのフロントホールにおける光アクセスに関する技術報告書
【文献】10.1109/JLT.2019.2923245/Experimental Demonstration of a WDM-RoF Based Mobile Fronthaul With f-OFDM Signals by Using Directly Modulated 3s-DBR Laser
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、非特許文献1では、無線ユーザ端末が収容局の異なるセル間のエッジ部分にある場合に、Centralized radio access network(C-RAN)の特長である基地局間協調動作(異なるアンテナサイト間のMultiple-Input Multiple-Output(MIMO)等)による無線信号品質の向上が困難となる。
【0009】
また、非特許文献2では、実現のためのシステム構成が複雑であり、多くのアクセスファイバが追加で必要となる。また、アクセスファイバの長距離化でコスト増加や工事期間長期化が懸念される。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、シンプルかつ経済的な光アクセスシステムである光ファイバ通信システムおよび光伝送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の光ファイバ通信システムは、複数のONU(Optical Network Unit)を配下に備える複数のOLT(Optical Line Terminal)から構成される光ファイバ通信システムであって、前記各OLTと前記各ONUとの間にそれぞれ設けられた複数の中継局と、前記各中継局を光接続する中継用光ファイバと、を備え、前記各OLTは、前記中継用光ファイバを用いて、他のOLTの配下のONUに対して、信号を伝送することを特徴とする。
【0012】
(2)また、本発明の光ファイバ通信システムにおいて、前記各OLTは、配下のONUと光通信する際の波長を制御する波長コントローラを備え、第1のOLTは、配下のONUと通信中の端末装置の位置情報に基づいて、前記端末装置が、配下の各ONUの通信領域外のONUと通信をすると判断した場合は、その通信領域外のONUを収容する第2のOLTに対して、前記中継用光ファイバを用いて通信を行なうエリア外モードに移行する旨の要求を行ない、前記第2のOLTが前記要求を許可した場合は、前記第1のOLTおよび前記第2のOLTは前記エリア外モードへ移行し、前記第1のOLTの波長コントローラまたは前記第2のOLTの波長コントローラは、前記第2のOLTの配下のONUのうち、前記エリア外モードに移行すべきONUに対して、前記エリア外モードで用いる波長を通知し、前記端末装置が、前記エリア外モードに移行したONUおよび前記中継用光ファイバを介して、前記第1のOLTと通信を行なうことを特徴とする。
【0013】
(3)また、本発明の光ファイバ通信システムにおいて、第1のOLTは、前記中継用光ファイバを用いて、第2のOLTの配下のいずれかのONUとの間で、中継局間伝送を行なうために割り当てられた波長で信号を伝送することを特徴とする。
【0014】
(4)また、本発明の光ファイバ通信システムにおいて、前記各OLTは、無線信号を光信号に多重して配下のONUとIFOF通信をする際の周波数を制御するIFコントローラを備え、第3のOLTは、配下のONUと通信中の端末装置の位置情報に基づいて、前記端末装置が、配下の各ONUの通信領域外のONUと通信をすると判断した場合は、その通信領域外のONUを収容する第4のOLTに対して、前記中継用光ファイバを用いて通信を行なうエリア外モードに移行する旨の要求を行ない、前記第4のOLTが前記要求を許可した場合は、前記第3のOLTおよび前記第4のOLTは前記エリア外モードへ移行し、前記第3のOLTのIFコントローラまたは前記第4のOLTのIFコントローラは、前記第4のOLTの配下のONUのうち、前記エリア外モードに移行すべきONUに対して、前記エリア外モードで用いる周波数を通知し、前記端末装置が、前記エリア外モードに移行したONUおよび前記中継用光ファイバを介して、前記第3のOLTと通信を行なうことを特徴とする。
【0015】
(5)また、本発明の光ファイバ通信システムにおいて、第3のOLTは、前記中継用光ファイバを用いて、第4のOLTの配下のいずれかのONUとの間で、中継局間伝送を行なうために割り当てられた周波数でIFoF通信をすることを特徴とする。
【0016】
(6)また、本発明の光ファイバ通信システムにおいて、前記各OLTは、無線信号を光信号に多重して配下のONUとIFoF通信をする際の周波数を制御するOLT側IFコントローラを備え、前記各中継局は、前記各OLT側IFコントローラから制御を受ける中継局側IFコントローラを備え、第5のOLTは、配下のONUと通信中の端末装置の位置情報に基づいて、前記端末装置が、配下の各ONUの通信領域外のONUと通信をすると判断した場合は、その通信領域外のONUを収容する第6のOLTに対して、前記中継用光ファイバを用いて通信を行なうエリア外モードに移行する旨の要求を行ない、前記第6のOLTが前記要求を許可した場合は、前記第5のOLTおよび前記第6のOLTは、前記エリア外モードへ移行し、前記第5のOLTのOLT側IFコントローラおよび前記第6のOLTのOLT側IFコントローラは、各配下の中継局の中継局側IFコントローラに対し、前記エリア外モードで用いる周波数を通知し、前記端末装置が、前記エリア外モードに移行した前記第6のOLTの配下のONUおよび前記中継用光ファイバを介して、前記第5のOLTと通信を行なうことを特徴とする。
【0017】
(7)また、本発明の光伝送装置は、光ファイバ通信システムに適用されるOLTであって、配下の光ネットワーク装置と光通信する際の波長を制御する波長コントローラを備え、他の光伝送装置から、前記他の光伝送装置の配下の光ネットワーク装置が用いる波長を示す波長情報が通知された場合は、自装置が備える波長コントローラに対して、配下の光ネットワーク装置が前記通知された波長情報に示された波長を用いるように制御することを特徴とする。
【0018】
(8)また、本発明の光伝送装置は、光ファイバ通信システムに適用される光伝送装置であって、無線信号を光信号に多重して配下の光ネットワーク装置とIFoF通信をする際の周波数を制御するIFコントローラを備え、他の光伝送装置から、前記他の光伝送装置の配下の光ネットワーク装置が用いる周波数を示す周波数情報が通知された場合は、自装置が備えるIFコントローラに対して、配下の光ネットワーク装置または中継局側のIFコントローラが前記通知された周波数情報に示された周波数を用いるように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、エリア境界付近での無線通信の品質を向上させることが可能となる。また、光ファイバコストや光ファイバ敷設置期間を短く抑えたシンプルかつ経済的な構造を有する光ファイバ通信システムを構築することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】各実施形態に係る光ファイバ通信システムの概略構成を示す図である。
【
図2】第1の実施形態に係る光ファイバ通信システムの概要を示す図である。
【
図3】UEの接続先ANTが変化する様子を示す図である。
【
図4】第1の実施形態に係る収容局CO-Bの概略構成を示す図である。
【
図5】第1の実施形態おける波長の配置例を示す図である。
【
図6A】第1の実施形態に係る中継局RN-Bの概略構成を示す図である。
【
図6B】第1の実施形態に係る中継局RN-Aの概略構成を示す図である。
【
図7】(a)、(b)通常動作時(エリア外通信なし)の各アンテナサイトの概略構成、および各アンテナサイトと各UEの位置関係を示す図である。
【
図8】(a)、(b)切り替え動作時(エリア外通信あり)の各アンテナサイトの概略構成、および各アンテナサイトと各UEの位置関係を示す図である。
【
図9】UE位置情報と各ポート出力波長との対応の一例を示す表である。
【
図10】UE位置情報と各ポート出力波長との対応の一例を示す表である。
【
図12】PtPファイバ、Ringファイバの構造を示す図である。
【
図13】第2の実施形態に係る光ファイバ通信システムの概要を示す図である。
【
図14】第2の実施形態に係る収容局CO-Bの概略構成を示す図である。
【
図15】第2の実施形態おける波長の配置例を示す図である。
【
図16A】第2の実施形態に係る中継局RN-Bの概略構成を示す図である。
【
図16B】第2の実施形態に係る中継局RN-Aの概略構成を示す図である。
【
図17】(a)、(b)各アンテナサイトの概略構成、および各アンテナサイトと各UEの位置関係を示す図である。
【
図18】第3の実施形態に係る光ファイバ通信システムの概要を示す図である。
【
図19】第3の実施形態に係る収容局CO-Bの概略構成を示す図である。
【
図20】第3の実施形態におけるCO~RN間のIFoF伝送周波数の配置例を示す図である。
【
図21A】第3の実施形態に係る中継局RN-Bの概略構成を示す図である。
【
図21B】第3の実施形態に係る中継局RN-Aの概略構成を示す図である。
【
図22】第3の実施形態における中継局(RN-A、RN-B)間のIFoF伝送周波数の配置例を示す図である。
【
図23】第3の実施形態におけるRN-B~ONU/ANTサイト間のIFoF伝送周波数の配置例を示す図である。
【
図24】(a)、(b)通常動作時(エリア外通信なし)の各アンテナサイトの概略構成、および各アンテナサイトと各UEの位置関係を示す図である。
【
図25】(a)、(b)切り替え動作時(エリア外通信あり)の各アンテナサイトの概略構成、および各アンテナサイトと各UEの位置関係を示す図である。
【
図26】UE位置情報と各ポート出力IFとの対応の一例を示す表である。
【
図27】UE位置情報と各ポート出力IFとの対応の一例を示す表である。
【
図28】第4の実施形態に係る光ファイバ通信システムの概要を示す図である。
【
図29】第4の実施形態に係る収容局CO-Bの概略構成を示す図である。
【
図30】第4の実施形態におけるCO~RN間のIFoF伝送周波数の配置例を示す図である。
【
図31A】第4の実施形態に係る中継局RN-Bの概略構成を示す図である。
【
図31B】第4の実施形態に係る中継局RN-Aの概略構成を示す図である。
【
図32】第4の実施形態における中継局(RN-A、RN-B)間のIFoF伝送周波数の配置例を示す図である。
【
図33】第4の実施形態におけるRN-B~ONU/ANTサイト間のIFoF伝送周波数の配置例を示す図である。
【
図34】(a)、(b)第4の実施形態における各アンテナサイトの概略構成、および各アンテナサイトと各UEの位置関係を示す図である。
【
図35】第5の実施形態に係る光ファイバ通信システムの概要を示す図である。
【
図36】第5の実施形態に係る収容局CO-Bの概略構成を示す図である。
【
図37】第5の実施形態におけるCO~RN間のIFoF伝送周波数の配置例を示す図である。
【
図38A】第5の実施形態に係る中継局RN-Bの概略構成を示す図である。
【
図38B】第5の実施形態に係る中継局RN-Aの概略構成を示す図である。
【
図39】第5の実施形態における中継局(RN-A、RN-B)間のIFoF伝送周波数の配置例を示す図である。
【
図40】第5の実施形態におけるRN-B~ONU/ANTサイト間のIFoF伝送周波数の配置例を示す図である。
【
図41】(a)、(b)通常動作時(エリア外通信なし)の各アンテナサイトの概略構成、および各アンテナサイトと各UEの位置関係を示す図である。
【
図42】(a)、(b)切り替え動作時(エリア外通信あり)の各アンテナサイトの概略構成、および各アンテナサイトと各UEの位置関係を示す図である。
【
図43】UE位置情報と各TRxでの入出力IFとの対応の一例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明者らは、光ファイバ通信システムでは、エリア境界付近において無線品質が不安定となることに着目し、中継局間を光ファイバ接続することによって、エリア境界付近において無線品質を向上することができることを見出し、本発明をするに至った。
【0022】
すなわち、複数のONU(Optical Line Terminal)を配下に備える複数のOLT(Optical Line Terminal)から構成される光ファイバ通信システムであって、前記各OLTと前記各ONUとの間にそれぞれ設けられた複数の中継局と、前記各中継局を光接続する中継用光ファイバと、を備え、前記各OLTは、前記中継用光ファイバを用いて、他のOLTの配下のONUに対して、信号を伝送することを特徴とする。
【0023】
これにより、本発明者らは、エリア境界付近での無線通信の品質が向上する光ファイバ通信システムであって、光ファイバコストや光ファイバ敷設置期間を短く抑えることできるシンプルかつ経済的な光ファイバ通信システムを実現することを可能とした。以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
【0024】
まず、各実施形態において共通する光ファイバ通信システムの概要について説明する。
図1は、各実施形態に係る光ファイバ通信システムの概略構成を示す図である。
【0025】
光ファイバ通信システム1は、光伝送装置(OLT(Optical Line Terminal)11、21)と複数の光ネットワーク装置(ONU(Optical Line Terminal)15、25)から構成されるPON(Passive Optical Network)である。収容局CO-Aと収容局CO-Bに光接続される基地局アンテナ群16、26を、それぞれ1本のアクセスファイバを有効活用してPoint to multi-point(PtMP)収容するために中継局(RN:Remote node)13、23を有する。中継局13、23では、パッシブ部品から成るAWGやWDM CPL等を利用して、光信号の伝送先サイトを波長で割り振る。なお、本明細書において、中継局をRemote node(RN)や集約局とも称する。隣接するエリアの収容局(CO:Central Office)は、上位ネットワーク(Upper Network)により接続されている。
【0026】
さらに、本実施形態に係る光ファイバ通信システムでは、隣接するエリアの中継局間を中継用光ファイバ31で接続している。中継局間を光接続することで、収容局CO-A/B配下の基地局アンテナ(アンテナサイト)を以下の経路で通信可能とする。
(1)基地局アンテナ⇔中継局A/B⇔中継局B/A⇔収容局CO-B/A⇔基地局A/B
(2)基地局アンテナ⇔中継局A/B⇔収容局A/B (通常の接続構成)
【0027】
つまり、今までは(2)の経路でのみ通信が可能であったが、隣接するエリアの中継局間(RN-A⇔RN-B)を中継用光ファイバ31で接続することで、(1)のように、基地局アンテナ⇔中継局A⇔中継局B⇔収容局CO-B⇔基地局A、または基地局アンテナ⇔中継局B⇔中継局A⇔収容局CO-A⇔基地局Bの経路で通信を行うことも可能となる。
【0028】
本発明は、このように構築された光ファイバ通信システムにおいて、時刻により変化するユーザ端末(UE:User equipment)の位置情報(UEでの各Antenna(ANT)または基地局からの無線通信品質でもよい)受信状況を元に、波長コントローラ17、27またはIFコントローラ19、29を用いて、OLTが通信先のONUを切り替える、またはエリアの異なる2つのONUと同時に通信することを可能とするものである。
【0029】
このように、基地局(BS:Base station)と通信するユーザ端末(UE)が、収容局Central office-A(CO-A)に光接続されているセル群の一部および別の収容局CO-Bに光接続されているセル群の一部の双方と無線通信を行うことが可能となり、その結果、セルエッジでの無線品質が向上する。なお、「セル」は「基地局アンテナ(ANT:Antenna)」と置き換えてもよい。
【0030】
また、中継局A(RN-A)と中継局B(RN-B)をそれぞれ収容局CO-Bと収容局CO-Aに直接光接続することも可能であるが、中継局RN-Aと中継局RN-Bをそれぞれ収容局CO-Bと収容局CO-Aに光接続するよりも、中継局間(RN-A⇔RN-B)を光接続する方が、光ファイバコストも抑えることができ、ファイバ敷設期間を短縮することも可能であり、シンプルかつ経済的な光ファイバ通信システムを構築することができる。
【0031】
上述したシステムを実現するための構成は、以下の構成パターンが考えられる。
[1]OLTとエリア外ONUとの接続方式
(1)切り替え(エリア外のONUとの接続に伴い、エリア内のONUとの接続を中断する接続方式)
(2)常時接続(常時、エリア外のONUとエリア内のONUと同時接続可能な状態とする接続方式)
【0032】
[2]PtMPの実現方式
(1)WDM-PON(Wavelength Division Multiplexing-Passive Optical Network):端末の位置情報(UEでの各Antenna(ANT)または基地局からの無線通信品質でもよい)に基づき、収容局、アンテナサイトの光波長を切り替えることで基地局アンテナの収容先を変更する。
(2)カスケード接続:端末の位置情報(UEでの各Antenna(ANT)または基地局からの無線通信品質でもよい)に基づき、収容局およびアンテナサイトにおいて、IFoF伝送するためのIFを変更することで、基地局アンテナの収容先を変更する。または、端末の位置情報に基づき、中継局において、IFoF伝送するためのIFを変更することで、基地局アンテナの収容先を変更する。
【0033】
[3]追加アクセスファイバ構成
(1)PtP(Point to Point)ファイバ追加構成
(2)Ringファイバ追加構成
【0034】
[1]および[2]を組み合わせた構成について、以下、各実施形態で具体的に説明する。[3]追加アクセスファイバ構成については、PtPファイバ追加構成で説明するが、Ringファイバ追加構成でも同様である。
【0035】
本明細書において、収容局のOLTから中継局またはアンテナサイトへの方向を下り、アンテナサイトまたは中継局から収容局のOLTへの方向を上りとする。
【0036】
以下、各実施形態では、本発明をわかりやすくするため、2つの収容局およびその配下の基地局アンテナ、UEとからなる2つの隣接するエリアに絞って説明するが、隣接する収容局が複数あっても同様であることはいうまでもない。さらに、収容局CO-Bのエリアを中心に説明するが、収容局CO-Aのエリア、その他隣接する収容局のエリアも同様であることは、いうまでもない。
【0037】
[第1の実施形態]
本実施形態における構成パターンは、以下の通りである。
[1]OLTとエリア外ONUとの接続方式:切り替え方式
[2]PtMPの実現方式:WDM-PON
[3]追加アクセスファイバ構成:PtPファイバ追加構成
【0038】
まず、本実施形態に係る光ファイバ通信システムの概要について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る光ファイバ通信システムの概要を示す図である。
図3は、UEのエリア位置により、UEの接続先ANTが変化する(ビーム形成#1→ビーム形成#2)様子を示す図である。
図3では、一例として、UEが4つのANTと同時に通信を行う環境を想定した場合を示すが、これに限定されない。
【0039】
収容局CO-Aと収容局CO-Bに光接続される基地局アンテナ群を、それぞれ1本のアクセスファイバを有効活用してPoint to multi-point(PtMP)収容するために中継局を有する。中継局では、パッシブ部品から成るAWGやWDM CPL等を利用して、光信号の伝送先サイトを波長で割り振る。
【0040】
時刻により変化するユーザ端末の位置に基づいて、OLT、ONUは利用波長の設定を変更し、各基地局アンテナは収容局CO-Aまたは収容局CO-Bと通信する。ユーザ端末の位置情報をトリガーに波長変更を記載したが、ユーザ端末や基地局設備が持つ他の情報(アンテナ/基地局とユーザ端末間の無線通信品質情報等)をトリガーにして波長変更してもよい。以下、各機器の構成および波長変更手順について具体的に説明する。
【0041】
[光ファイバ通信システムの各機器の構成]
本実施形態に係る光ファイバ通信システムを構成する各機器について説明する。
(収容局)
図4は、第1の実施形態に係る収容局CO-Bの概略構成を示す図である。収容局CO-Bは、CO-BエリアのONU#1-1だけでなく、時刻によってはCO-AエリアにあるONU#1-1’とも通信する。収容局CO-Bは、BS、OLT、および波長コントローラ(Wavelength controller)を備える。
【0042】
基地局(BS:Base station)は、複数のBSまたはBS機能から構成されるBS poolと、複数のBSまたはBS機能の接続ポート(BS Port)を備える。
図4では、一例として、基地局数(基地局機能数)m、各基地局接続ポート数nを想定した構成を示す。
【0043】
OLTは、TRx(Transceiver)、AWG(Array Waveguide Gratings)for DL(Downlink)/UL(Uplink)、およびWDM CPL(Wavelength division multiplexing Coupler)を備える。TRx#1-1は、波長コントローラと接続され、波長コントローラからOLTおよびONUが使用する波長の情報を受信する。そしてTRx#1-1は、受信した波長の情報に基づき、OLTおよびONUが使用する波長を出力する。
図4の波長λの表記について、「’」が無いものがCO-B配下のONU向け、「’」があるものがCO-A配下のONU向けの波長を示す。他の図においても、同様である。
【0044】
TRx#1-1では、λd1-1(CO-B配下の波長)またはλd1-1’(CO-A配下の波長)のいずれかの波長を出力することを想定している。例えば、CO-B配下のONU#1-1と通信する場合、波長λd1-1が出力され、CO-A配下のONU#1-1’と通信する場合、波長λd1-1’が出力される。TRx#1-1において出力する波長を選択する方法として、チューナブルLD(Laser Diode)で波長を選択する方法や、異なる波長の2台のLDを用意していずれか一方を出力する方法が考えられる。また、CO-Aエリアにある別のONU(ONU#1-1以外のONU)とも通信する必要がある場合は、TRx#1-1の機能を有するTRxが複数必要になる。
【0045】
図5は、第1の実施形態おける波長の配置例を示す図である。
図5(a)は、アンテナサイトおよび伝送方向でまとまった波長を割り当てる方式を示す。
図5(b)は、伝送方向でまとまった波長を割り当てる方式を示す。本実施形態では、異なる波長の光を1本の光ファイバで伝送する波長多重伝送を行うため、AWGおよびWDM CPLにおいて、例えば、
図5に示すように波長を割り当てて、異なる波長の光を伝送する。
【0046】
収容局CO-Aの基本的な機器構成は、収容局CO-Bと同じ構成である。ただし、収容局CO-Bとは使用する波長が異なるため、波長の表記は、
図4におけるλの記載が、「’」のあるものとないものとが逆になる。また、収容局CO-Aは、中継局RN-Aと通信を行うため、“From/To RN-A”となる。
【0047】
(中継局)
図6Aは、第1の実施形態に係る中継局RN-Bの概略構成を示す図である。
図6Bは、第1の実施形態に係る中継局RN-Aの概略構成を示す図である。中継局RN-Bおよび中継局RN-Aの構成は同じであるため、
図6Aを参照しながら、中継局RN-Bの構成について説明する。
【0048】
中継局RN-Bは、ONUのほか、隣接するエリアの中継局RN-Aと中継用光ファイバで接続されている。AWGおよびWDM CPLにおいて、光信号の伝送先サイトを波長で割り振る。AWG for DL_AおよびAWG for DL_Bは、下り伝送信号のうち、RN-AとRN-B間伝送を行う複数信号をWDMするために利用する。そのため、1波長のみ伝送する場合は、不要である。また、AWG for UL_AおよびAWG for UL_Bは、上り伝送信号のうち、RN-AとRN-B間伝送を行う複数信号をWDMするために利用する。そのため、1波長のみ伝送する場合は、不要である。
【0049】
中継局RN-Bでは、従来のPONシステムの構成に加え、
図6Aにおけるグレーの部分が新たな構成として設けられているが、いずれもパッシブ部品のみでの構成が可能なシンプルな構成となっている。
【0050】
(アンテナサイト)
アンテナサイトは、ONUとANTから構成される。ONUは、WDM-CPL、O/E、E/O、Circulatorを備え、中継局から伝送された波長をUEへ送信する。Circulatorは、上り、下り伝送を分ける部品であり、スイッチ等でもよい。また、Circulatorは、ONUの構成に含めず、外部に設けられていてもよい。
【0051】
図7(a)は、通常動作時(エリア外通信なし)の各アンテナサイトの概略構成を示す図である。
図7(b)は、通常動作時(エリア外通信なし)の各アンテナサイトと各UEの位置関係を示すイメージ図である。
図7(a)、(b)に示すように、通常動作時の場合、エリア外通信は行われず、同一エリアで通信が行われる。
【0052】
例えば、UE#2は、UE#2周辺でかつCO-Bエリアのアンテナサイト(ONU#1-1、ONU#1-2、ONU#1-3、ONU#1-4)と通信を行い、アンテナサイト(ONU#1-1、ONU#1-2、ONU#1-3、ONU#1-4)⇔中継局B⇔収容局Bの通信経路で波長の伝送が行われるため、下り伝送ではONU#1-1へ波長λd1-1(CO-B配下の波長)が入力され、上り伝送ではONU#1-1から波長λu1-1(CO-B配下の波長)が出力される。UE#1-1’も同様、UE#1周辺でかつCO-Aエリアのアンテナサイト(ONU#1-1’、ONU#1-2’、ONU#1-3’、ONU#1-4’)と通信を行い、アンテナサイト(ONU#1-1’、ONU#1-2’、ONU#1-3’、ONU#1-4’)⇔中継局A⇔収容局Aの通信経路で波長の伝送が行われるため、下り伝送ではONU#1-1’へ波長λd1-1’(CO-A配下の波長)が入力され、上り伝送ではONU#1-1’から波長λu1-1’(CO-A配下の波長)が出力される。
【0053】
図8(a)は、切り替え動作時(エリア外通信あり)の各アンテナサイトの概略構成を示す図である。
図8(b)は、切り替え動作時(エリア外通信あり)の各アンテナサイトと各UEの位置関係を示すイメージ図である。切り替え動作時の場合、エリア外通信が行われる。
【0054】
例えば、UE#2がエリアの境界付近に移動すると、UE#2が通信するアンテナサイトが、ONU#1-1、ONU#1-2からONU#1-1’、ONU#1-2’に変更され、エリア外通信が行われる。UE#2は、エリア境界付近のアンテナサイト(ONU#1-1’、ONU#1-2’、ONU#1-3、ONU#1-4)と通信を行う。変更されたアンテナサイト(ONU#1-1’、ONU#1-2’)は、アンテナサイト(ONU#1-1’、ONU#1-2’)⇔中継局A⇔中継局B⇔収容局CO-B⇔基地局Aの通信経路で波長の伝送が行われることになるため、下り伝送ではONU#1-1’へ波長λd1-1’(CO-A配下の波長)が入力され、上り伝送ではONU#1-1’から波長λu1-1(CO-B配下の波長)が出力される。ONU#1-2’も同様である。一方、UE#2と通信を行わなくなったONU#1-1、ONU#1-2は、波長の入出力を停止する、または上り伝送の波長をCO-A向けの波長λu1-1’へ変更し、アンテナサイト(ONU#1-1、ONU#1-2)⇔中継局B⇔中継局A⇔収容局CO-A⇔基地局Bの通信経路で波長の伝送を行ってもよい。
【0055】
[波長設定変更手順]
次に、本実施形態における使用アンテナサイトの制御方法について、
図2~
図8を参照しながら説明する。上述した通り、収容局CO-Aと収容局CO-Bは、カバレッジが互いに隣接する収容局であり、収容局CO-Aと収容局CO-B配下のエリアは、互いに異なる波長帯(例えば、波長群A、波長群B)をベースに運用している。
【0056】
(1)CO-Bのエリア(波長群B)において、まず、UE#2から収容局CO-BのBSやモバイルコアに伝送されるUE#2の位置情報を、OLTの波長コントローラへ入力する。UE#2の位置情報を、波長コントローラへ入力する方法として、例えば、以下の2つの方法があるが、これに限定されない。
(i)収容局CO-BのBSで、UE#2からの位置情報を直接読み取り、読み取ったUE#2の位置情報を、波長コントローラへ入力する。
(ii)上位ネットワーク(Upper Network)内の位置情報管理サーバで、UE#2の位置情報を読み取り、読み取ったUE#2の位置情報を、波長コントローラへ入力する。
【0057】
波長コントローラは、UEの位置情報と各ポート出力波長との対応表を予め保有している。ここで、UEの位置情報とOLTおよびONUの各ポート出力波長との対応表について、説明する。
【0058】
図9、
図10は、UE位置情報と各ポート出力波長との対応の一例を示す表である。
図9(a)では、CO-B内のOLT Port#1-1に出力される波長の情報をまとめた表であり、
図9(b)は、CO-A内のOLT Port#1-1’に出力される波長の情報をまとめた表である。例えば、
図9(a)では、UE#2の位置情報(Location information)が「1」(通常動作モード)の場合、下り伝送で使用する波長(OLT output wavelength)は「λ
d1-1」、上り伝送で使用する波長(ONU output wavelength)は「λ
u1-1」であることを示し、UE#2の位置情報(Location information)が「101」(エリア外動作モード)の場合、下り伝送で使用する波長(OLT output wavelength)は「λ
d1-1’」、上り伝送で使用する波長(ONU output wavelength)は「λ
u1-1」であることを示している。
【0059】
一方、UE#2がエリア外動作モードの場合、CO-AはCO-A配下のONU(ONU#1-1’、ONU#1-2’)への波長の出力を停止し、通信を中断する。そのため、
図9(b)では、エリア外動作モードの部分において、下り伝送で使用する波長(OLT output wavelength)は「No output」、上り伝送で使用する波長(ONU output wavelength)は「-」としている。また、リソースを有効利用するために、エリア外動作モード時は、CO-AはCO-B配下のONU(ONU#1-1、ONU#1-2)と通信するよう、
図10(b)に示すように、下り伝送で使用する波長(OLT output wavelength)は「λ
d1-1」、上り伝送で使用する波長(ONU output wavelength)は「λ
u1-1’」としてもよい。
【0060】
(2)UE#2の位置情報を波長コントローラへ入力後、対応表を確認し、収容局CO-Bのエリア外のONU(例えば、CO-AのエリアのONU#1-1’)と通信する場合、OLTは、そのエリア外のONU(ONU#1-1’)を収容するCO-AのエリアのOLT(波長コントローラ)に対して、エリア外通信のリクエスト(通信を使用する許可期間・時間(タイミング)、利用したい波長、利用する波長を変更することにより利用しなくなる波長情報等を含む)を、送信する。
【0061】
(3)エリア外通信のリクエストを受けたCO-AのエリアのOLTは、対応可否と許可時間(タイミング)を、送信元のOLT(CO-BエリアのOLT)に返す。対応可否については、例えば、リクエスト先のOLTから一定期間内に返信があれば対応可、一定期間内に返信がなければ対応不可とする様なルールを予め決めておいてもよいし、これに限定されない。
【0062】
(4)エリア外通信許可を受けたOLT(波長コントローラ)は、許可期間(時間)の間、波長コントローラの対応表に基づき、OLTの出力波長を切り替える。そして、エリア外通信許可を出したOLT(CO-AのエリアのOLT)は、波長コントローラの対応表に基づき、許可期間中は、自身の波長の出力を停止する。
【0063】
(5)エリア外通信リクエストを出したOLT(CO-BのOLT)は、自身のTx(Transmitter)の波長変更とあわせて、そのポート(Port)の通信先となるエリア外ONU(CO-AのエリアのONU#1-1’)に対して波長変更命令を送信する。なお、手順(4)(5)において、エリア外通信許可を出したOLT(CO-AのOLT)が、自身の波長の出力を停止する前に、配下のONU(エリア外通信リクエストを出したOLT(CO-BのOLT)から見ると、エリア外のONU(CO-AのONU))に波長変更命令を出す方法をとってもよい。
【0064】
(6)波長変更命令を受けたエリア外ONU(CO-AのONU)は、波長変更命令に含まれる情報に基づいて自身の出力波長を変更し、OLT(CO-BのOLT)とエリア外ONU(CO-AのエリアのONU#1-1’)との通信が確立される。
【0065】
(7)許可期間終了後、エリア外通信のリクエストを出したOLT(CO-BのOLT)、およびエリア外通信のリクエストを受けたOLT(CO-AのOLT)は、それぞれリクエスト前の状態に戻る。
【0066】
(8)エリア外通信許可を出したOLT(CO-AのOLT)は、手順(6)で波長変更した自身の配下のONU(ONU#1-1’)に対して、元の波長に戻す命令を送信する。
【0067】
このようにUEの位置に応じて利用する波長の変更を行うことで、UEがエリア境界へ移動しても、無線品質を低下させることなく、通信を行うことができる。
【0068】
また、上記手順(4)では、「エリア外通信許可を出したOLT(CO-AのエリアのOLT)は、波長コントローラの対応表に基づき、許可期間中は、自身の波長の出力を止める。」としているが、この場合、エリア外通信許可を出したOLT(CO-AのエリアのOLT)の1ポートと、エリア外通信リクエストを出したOLT(CO-BのOLT)配下にある1つのONU(ONU#1-1)が利用されない状態となる。
【0069】
そこで、
図10(b)の対応表に示すように、手順(2)で利用しなくなった波長を利用して、OLT(CO-AのエリアのOLT)の1ポートとONU#1-1間で通信を行うことで、通信リソースを有効活用することができる。両機器(OLTの1ポートとONU#1-1)の波長調整については、(5)~(8)と同様の手順で実現する。
【0070】
ただし、通信リソースを有効活用するケースにおいて、機器障害等で波長変更プロセスが中断した場合には、2つのOLTが1つのONUと同時通信し、光信号間干渉が発生し、無線信号の品質が劣化する可能性がある。これを避けるため、手順(4)で、エリア外通信許可を受けたOLT(CO-BのOLT)は、波長切り替え後に、波長を切り替えた旨を、エリア外通信許可を出したOLT(CO-AのOLT)に通知する機能をさらに有する。その通知を受けたOLT(CO-AのOLT)は、自身がエリア外通信許可を出したOLT(CO-BのOLT)の波長変更が完了したと判断し、自身も変更した波長を利用する。一方、波長を切り替えた旨の通知を受けなかった場合には、変更した波長の利用を中止する。
【0071】
また、ユーザ端末が、収容局CO-AとCO-B両配下のANTと通信する状態から、いずれか一方のCO配下のANTとのみ通信する状態にシフトする際、境界付近で端末が往復を繰り返すと、回線切り替えに伴う経路変更(波長変更)が頻繁に発生し、信号処理負荷が増大する可能性がある。そこで、例えば、
図11に示すように、UE#2がANT#1-1’、ANT#1-2’(ONU#1-1’、ONU#1-2’)と接続するときの境界線をB1とし、ANT#1-1、ANT#1-2’(ONU#1-1、ONU#1-2)と接続するときの境界線をB2とするなど、あるANTのエリアに入る時の位置条件に対して、出る時の位置条件を広くとることで経路切り替えが頻繁に発生することを抑制し、信号処理負荷を軽減する。
【0072】
また、2つの中継局(RN)間をPtP接続1ルートで接続する場合には、その光ファイバの切断等によりセルエッジでの信号品質改善効果がなくなる懸念がある。その場合、
図12に示すように、中継局からPtP接続2ルートで接続する、または、複数の中継局をリング構成で繋ぐことで、光ファイバの切断等が発生しても信号品質劣化がなく、信頼性の高いネットワークの実現が可能となる。
【0073】
[第2の実施形態]
本実施形態における構成パターンは、以下の通りである。
[1]OLTとエリア外ONUとの接続方式:常時接続
[2]PtMPの実現方式:WDM-PON
[3]追加アクセスファイバ構成:PtPファイバ追加構成
【0074】
まず、本実施形態に係る光ファイバ通信システムの概要について説明する。
図13は、第2の実施形態に係る光ファイバ通信システムの概要を示す図である。本実施形態においても、第1の実施形態と同様、一例として、
図3に示すUEのエリア位置により、UEの接続先ANTが変化する(ビーム形成#1→ビーム形成#2)環境を想定した場合について説明するが、これに限定されない。
【0075】
収容局CO-Aと収容局CO-Bに光接続される基地局アンテナ群を、それぞれ1本のアクセスファイバを有効活用してPoint to multi-point(PtMP)収容するために中継局を有する。中継局では、パッシブ部品から成るAWGやWDM CPL等を利用して、光信号の伝送先サイトを波長で割り振る。CO-AとCO-Bエリアの境界付近にあるANTサイトでは、CO-AおよびCO-Bからの下り信号を同時受信できるように、複数のO/E(ONU)を有する。CO-AとCO-Bエリアの境界付近にあるONUサイトでは、CO-AおよびCO-Bへ上り信号を同時送信できるように、複数のE/O(ONU)を有する。以下、各機器の構成について具体的に説明する。
【0076】
[光ファイバ通信システムの各機器の構成]
(収容局)
図14は、第2の実施形態に係る収容局CO-Bの概略構成を示す図である。収容局CO-Bは、CO-BエリアのONU#1-1だけでなく、常時CO-AエリアにあるONU#1-1’とも通信する収容局である。収容局CO-Bは、BSおよびOLTを備える。
【0077】
BSは、複数のBSまたはBS機能から構成されるBS poolと、複数のBSまたはBS機能の接続ポート(BS Port)を備える。
図14では、一例として、基地局数(基地局機能数)m、各基地局接続ポート数nを想定した構成を示す。OLTは、TRx(Transceiver)、AWG(Array Waveguide Gratings)、およびWDM CPL(Wavelength division multiplexingCoupler)を備える。
【0078】
本実施形態では、ONU#1-1’との通信用に、CO-B内ONUとの通信とは独立した伝送チャネル(波長)が割り当てられている。そのため、BS、OLTには、ONU#1-1’との通信用に、BS Port #1-1’r、TRx#1-1’rが設けられ、波長は、λd1-1’r、λu1-1’rが使用される。ONU#1-1’に加えて、CO-Aエリアの別のONUとも通信する場合は、BS Port #1-1’r、TRx#1-1’r相当の機能が追加で必要になる。
【0079】
図15は、第2の実施形態における波長の配置例を示す図である。
図15(a)は、アンテナサイトおよび伝送方向でまとまった波長を割り当てる方式を示す。
図15(b)は、伝送方向でまとまった波長を割り当てる方式を示す。本実施形態では、異なる波長の光を1本の光ファイバで伝送する波長多重伝送を行うため、AWGおよびWDM CPLにおいて、例えば、
図15に示すように波長を割り当てて波長を伝送する。
【0080】
収容局CO-Aの基本的な機器構成は、収容局CO-Bと同じ構成である。ただし、収容局CO-Bとは使用する波長が異なるため、波長の表記は、
図14におけるλの記載が、「’」のあるものとないものとが逆になる。また、
図14におけるλの記載に「r」のある波長は、別のCOエリアのONU向け(エリア外ONU)の波長を表す。また、収容局CO-Aは、中継局RN-Aと通信を行うため、“From/To RN-A”となる。
【0081】
(中継局)
図16Aは、第2の実施形態に係る中継局RN-Bの概略構成を示す図である。
図16Bは、第2の実施形態に係る中継局RN-Aの概略構成を示す図である。中継局RN-Bおよび中継局RN-Aの構成は同じであるため、
図16Aを参照しながら、中継局RN-Bの構成について説明する。
【0082】
中継局RN-Bは、ONUのほか、隣接するエリアの中継局RN-Aと中継用光ファイバで接続されている。AWGおよびWDM CPLにおいて、光信号の伝送先サイトを波長で割り振る。AWG for DL_AおよびAWG for DL_Bは、下り伝送信号のうち、RN-AとRN-B間伝送を行う複数信号をWDMするために利用する。そのため、1波長のみ伝送する場合は、不要である。また、AWG for UL_AおよびAWG for UL_Bは、上り伝送信号のうち、RN-AとRN-B間伝送を行う複数信号をWDMするために利用する。そのため、1波長のみ伝送する場合は、不要である。WDM CPL#1-1、#1-1rは、同じ光ファイバを使用しているが、WDM CPL#1-1とWDM CPL#1-1rに分けて、別々の光ファイバで伝送してもよい。
【0083】
中継局RN-Bでは、従来のPONシステムの構成に加え、
図16Aにおけるグレーの部分が新たな構成として設けられているが、いずれもパッシブ部品のみでの構成が可能なシンプルな構成となっている。
【0084】
(アンテナサイト)
図17(a)は、第2の実施形態の各アンテナサイトの概略構成を示す図である。
図17(b)は、各アンテナサイトと各UEの位置関係を示すイメージ図である。本実施形態のアンテナサイトは、エリア境界付近のアンテナサイト(ONU#1-1’、ONU#1-1’r)と、エリア境界から離れたアンテナサイト(ONU#1-1)で構成が異なる。
【0085】
エリア境界付近のアンテナサイト(ONU#1-1’、ONU#1-1’r)は、複数のO/E、E/Oを備える。O/E#1-1’とO/E#1-1’rを備えることにより、CO-A(波長λd1-1’)およびCO-B(波長λd1-1’r)からの下り信号を同時受信できる。また、E/O#1-1’とE/O#1-1’rを備えることにより、CO-A(波長λu1-1’)およびCO-B(波長λu1-1’r)への上り信号を同時送信できる。
【0086】
WDM CPLは、WDM CPL#1-1’とWDM CPL#1-1’rの2つに分けて別々の光ファイバで伝送してもよい。Circulatorは、上り、下り伝送を分ける部品であり、スイッチ等でもよい。また、Circulatorは、ONUの構成に含めず、外部に設けられていてもよい。
【0087】
このように、エリア境界付近アンテナサイトに複数のO/E(ONU)、複数のE/O(ONU)を設け、OLTとエリア外ONUを常時接続可能とすることで、UEがエリア境界へ移動しても、収容局(CO)、アンテナサイト(ONU、ANT)の光波長を切り替えることなく、かつ無線品質を低下させることなく、通信を行うことができる。
【0088】
ただし、1つのアンテナサイトで複数のエリア向け信号を送受信する構成では、異なる無線信号が同じタイミングでANTから放射されたり、ANTで受信されたりすることで、干渉による信号劣化の懸念がある。そこで、それぞれの無線信号のビームフォーミング(BF)制御情報を、ネットワークを介して共有し、それを元にBFすることでお互い干渉せずに信号伝送可能となる。
【0089】
また、2つの中継局(RN)間をPtP接続1ルートで接続する場合には、その光ファイバの切断等によりセルエッジでの信号品質改善効果がなくなる懸念がある。その場合、
図12に示すように、中継局からPtP接続2ルートで接続する、または、複数の中継局をリング構成で繋ぐことで、光ファイバの切断等が発生しても信号品質劣化がなく、信頼性の高いネットワークの実現が可能となる。
【0090】
[第3の実施形態]
本実施形態における構成パターンは、以下の通りである。
[1]OLTとエリア外ONUとの接続方式:切り替え方式(CO,ANTでIFを動的に変更)
[2]PtMPの実現方式:カスケード接続
[3]追加アクセスファイバ構成:PtPファイバ追加構成
【0091】
まず、本実施形態に係る光ファイバ通信システムの概要について説明する。
図18は、第3の実施形態に係る光ファイバ通信システムの概要を示す図である。本実施形態においても、第1の実施形態と同様、一例として、
図3に示すUEのエリア位置により、UEの接続先ANTが変化する(ビーム形成#1→ビーム形成#2)環境を想定した場合について説明するが、これに限定されない。
【0092】
収容局CO-Aと収容局CO-Bに光接続される基地局アンテナ群を、それぞれ1本のアクセスファイバを有効活用してPoint to multi-point(PtMP)収容するために中継局を有する。CO-AエリアおよびCO-Bエリアはいずれも同じIF周波数を用いて通信を行い、中継局では、COから伝送されてきたIFoF信号を電気信号に変換し、IF信号分離機器、周波数変換機器等を用いて、各ANTサイト向けの無線信号に分けてそれぞれをE/Oに入力する。上り伝送においては、各ANTサイトからのIFoF信号を電気信号に変換し、周波数変換器等で周波数軸上に多重してCO向けのE/Oに入力する。
【0093】
時刻(タイミング)により変化するユーザ端末の位置に基づいて、BS、ONUはIFoF伝送する無線信号のIF設定を変更し、各基地局アンテナが収容局CO-Aまたは収容局CO-Bと通信する。ユーザ端末の位置情報をトリガーにIF設定変更すると記載したが、ユーザ端末や基地局設備が持つ他の情報、例えば、アンテナ/基地局とユーザ端末間の無線通信品質情報等)をトリガーにしてIF設定変更してもよい。
【0094】
本実施形態に係る光ファイバ通信システムでは、UEの位置情報(UEでの各Antenna(ANT)または基地局からの無線通信品質でもよい)に基づき、収容局(CO)、アンテナサイト(ONU、ANT)でIF(Intermediate frequency)を動的に変更し、RNでは動的にIF周波数変換は行わない。以下、各機器の構成およびIF設定変更手順について具体的に説明する。
【0095】
[光ファイバ通信システムの各機器の構成]
本実施形態に係る光ファイバ通信システムを構成する各機器について説明する。
(収容局)
図19は、第3の実施形態に係る収容局CO-Bの概略構成を示す図である。収容局CO-Bは、CO-BエリアのONU#1-1だけでなく、時刻によってはCO-AエリアにあるONU#1-1’とも通信する。収容局CO-Bは、BS、OLT、およびIFコントローラ(Intermediate frequency)を備える。
【0096】
BSは、複数のBSまたはBS機能から構成されるBS poolと、複数のBSまたはBS機能の接続ポート(BS Port)を備える。
図19では、一例として、基地局数(基地局機能数)m、各基地局接続ポート数nを想定した構成を示す。BS Port #1-1は、IFコントローラと接続され、IFコントローラからOLTおよびONUが使用するIFの情報を受信する。そしてBS Port #1-1は、受信したIFの情報に基づき、OLTおよびONUが使用するIFを出力する。
図19のfの表記について、「’」が無いものがエリア内(CO-B配下)のONU向け、「’」があるものがエリア外(CO-A配下)のONU向けの周波数(IF)を示す。他の図においても、同様である。
【0097】
BS Port#1-1では、fd1-1(エリア内(CO-Bエリア)向けのIF)またはfd1-1’(エリア外(CO-Aエリア)向けのIF)のいずれかのIFを出力することを想定している。例えば、CO-B配下のONU#1-1と通信する場合、エリア内通信であるため、fd1-1が出力され、CO-A配下のONU#1-1’と通信する場合、エリア外通信となるため、fd1-1’が出力される。
【0098】
また、本実施形態では、ONU#1-1’との通信用に、CO-B内ONUとの通信とは別の伝送チャネル(IF周波数)が割り当てられている。ULとDLは別波長で光伝送するため、上りと下りでIF周波数が同じでもよい。
【0099】
また、BS Port #1-1は、ONU#1-1’に加えて、CO-Aエリアの別のONUともタイミングにより通信する場合は、BS Port #1-1と同様に、CO-Aエリア向けの別のIFで出力可能なBSポートが追加で必要である。
【0100】
OLTは、Mux、Demux、Transceiver(TRx)、およびWDM CPL(Wavelength division multiplexing Coupler)を備える。WDM CPLはTRxに含まれる形でもよい。Mux、Demuxの機能をBS側の機能の一部としても良い。
図19ではBS各ポートの入出力周波数は他ポートと異なるが、BS側では各ポート間の入力周波数および出力周波数をそれぞれ同一しておき、MuxおよびDemux側で周波数変換機能(Down conv.,Up conv.)を入れる構成でも良い。
【0101】
図20は、第3の実施形態におけるCO~RN間のIFoF伝送周波数の配置例を示す図である。
図20(a)、(b)は、エリア内(通常動作)モードのUL・DLにおけるIFoF伝送周波数の配置例である。
図20(c)、(d)は、エリア外動作モードのUL・DLにおけるIFoF伝送周波数の配置例である。
図20(c)、(d)に示すように、エリア外動作モードでは、エリア内ONUの収容に加えて、CO-BでCO-AエリアのONU#1-1’(CO-AでCO-BエリアのONU#1-1)を収容している。エリア外の複数のONUを収容する場合、エリア外の複数のONU向けにまとまった周波数帯を割り当てて、IFoF伝送する。
【0102】
なお、実運用では装置監視や制御用の伝送チャネルも必要だが記載は省略するが、装置監視や制御用の伝送チャネルは、低周波数側等に配置して無線IF信号と周波数多重して伝送が可能である。
【0103】
収容局CO-Aの基本的な機器構成は、収容局CO-Bと同じ構成である。ただし、収容局CO-Aは、中継局RN-Aと通信を行うため、“From/To RN-A”となる。
【0104】
(中継局)
図21Aは、第3の実施形態に係る中継局RN-Bの概略構成を示す図である。
図21Bは、第3の実施形態に係る中継局RN-Aの概略構成を示す図である。中継局RN-Bおよび中継局RN-Aの構成は同じであるため、
図21Aを参照しながら、中継局RN-Bの構成について説明する。
【0105】
中継局RN-Bは、ONUのほか、隣接するエリアの中継局RN-Aと中継用光ファイバで接続されている。中継局では、下り伝送においては、COから伝送されてきたIFoF信号を電気信号に変換し、IF信号分離機器、周波数変換機器等を用いて、各アンテナサイト向けの無線信号に分けてそれぞれE/Oに入力する。上り伝送においては、各アンテナサイトからのIFoF信号を電気信号に変化し、周波数変換器等で周波数軸上に多重してCO向けのE/Oに入力する。RN間のDLとULのWDM伝送のため、TRx RNの波長が異なる。そこで、例えば、RN-BからRN-Aの光伝送ではO-bandを使い、RN-AからRN-Bの光伝送ではC-bandを使うようにする。
【0106】
図22は、第3の実施形態における中継局(RN-A、RN-B)間のIFoF伝送周波数の配置例を示す図である。
図22(a)は、RN-AからRN-BへIFoF伝送する際の周波数配置例であり、
図22(b)は、RN-BからRN-AへIFoF伝送する際の周波数配置例であり、低周波数体にシフトして光伝送する場合の周波数配列例である。装置監視や制御用の伝送チャネルの記載は省略するが、低周波数側等に配置して無線IF信号と周波数多重して伝送が可能である。
【0107】
図23は、第3の実施形態におけるRN-B~ONU/ANTサイト間のIFoF伝送周波数の配置例を示す図である。
図23(a)、(b)は、エリア内(通常動作)モードにおけるRN-B~ONU/ANTサイト間のIFoF伝送周波数の配置例であり、低周波数帯にシフトして光伝送する場合のIFoF伝送周波数の配置例を示している。
図23(a)、(b)では、CO~RN間伝送の最低IF周波数にシフトしている場合のIFoF伝送周波数の配置例を示す。装置監視や制御用の伝送チャネルの記載は省略するが、低周波数側等に配置して無線IF信号と周波数多重して伝送が可能である。
【0108】
図23(c)、(d)は、エリア外動作モードにおけるRN-B~ONU/ANTサイト間のIFoF伝送周波数の配置例であり、RN-B~ONU/ANTサイト間のIFoF伝送において、低周波数帯にシフトして光伝送、CO-Aに収容されるIF信号も含む場合のIFoF伝送周波数の配置例を示している。装置監視や制御用の伝送チャネルの記載は省略するが、低周波数側等に配置して無線IF信号と周波数多重して伝送が可能である。
【0109】
(アンテナサイト)
アンテナサイトは、ONUとANTから構成される。ONUは、WDM-CPL、O/E、E/O、Frequency converters、Circulatorを備え、BSから送信された下りRF(Radio frequency)、上りIFを得るためのLO(Local oscillator)周波数変更の命令を受信する。受信したLO周波数に基づき、自身のLO周波数を変更し、BSと通信を確立する。Circulatorは、上り、下り伝送を分ける部品であり、スイッチ等でもよい。また、Circulatorは、ONUの構成に含めず、外部に設けられていてもよい。
【0110】
図24(a)は、通常動作時(エリア外通信なし)の各アンテナサイトの概略構成を示す図である。
図24(b)は、通常動作時(エリア外通信なし)の各アンテナサイトと各UEの位置関係を示すイメージ図である。
図24(a)、(b)に示すように、通常動作時の場合、エリア外通信は行われず、同一エリアで通信が行われる。
【0111】
例えば、UE#2周辺でかつCO-Bエリアのアンテナサイト(ONU#1-1、ONU#1-2、ONU#1-3、ONU#1-4)と通信を行い、アンテナサイト(ONU#1-1、ONU#1-2、ONU#1-3、ONU#1-4)⇔中継局B⇔収容局Bの通信経路でIFoF伝送が行われるため、下り伝送ではONU#1-1のO/EからIFfd1-1(CO-BエリアのIF)が出力され、上り伝送ではONU#1-1のE/OへのIFfu1-1(CO-BエリアのIF)が入力される。UE#1-1’も同様、UE#1周辺でかつCO-Aエリアのアンテナサイト(ONU#1-1’、ONU#1-2’、ONU#1-3’、ONU#1-4’)と通信を行い、アンテナサイト(ONU#1-1’、ONU#1-2’、ONU#1-3’、ONU#1-4’)⇔中継局A⇔収容局Aの通信経路でIFoF伝送が行われるため、下り伝送ではONU#1-1’のO/EからIFfd1-1(CO-AエリアのIF)が出力され、上り伝送ではONU#1-1’のE/OへのIFfu1-1(CO-AエリアのIF)が入力される。
【0112】
図25(a)は、切り替え動作時(エリア外通信あり)の各アンテナサイトの概略構成を示す図である。
図25(b)は、切り替え動作時(エリア外通信あり)の各アンテナサイトと各UEの位置関係を示すイメージ図である。切り替え動作時の場合、エリア外通信が行われる。
【0113】
例えば、UE#2がエリアの境界付近に移動すると、UE#2が通信するアンテナサイトが、ONU#1-1、ONU#1-2からONU#1-1’、ONU#1-2’に変更され、エリア外通信が行われる。UE#2は、エリア境界付近のアンテナサイト(ONU#1-1’、ONU#1-2’、ONU#1-3、ONU#1-4)と通信を行う。下り伝送では、Frequency convertersは、入力IFに対して所望のRFとなるようONU(ONU#1-1’、ONU#1-2’)自身のLO周波数を、エリア外用周波数を示すfd1-1’に変更し、上り伝送では、Frequency convertersは、入力RFに対して所望のRFとなるよう自身のLO周波数を、エリア外用周波数を示すfu1-1’に変更し、変更されたアンテナサイト(ONU#1-1’、ONU#1-2’)は、アンテナサイト(ONU#1-1’、ONU#1-2’)⇔中継局A⇔中継局B⇔収容局CO-B⇔基地局Aの通信経路でIFoF伝送が行われることになる。一方、UE#2と通信を行わなくなったONU#1-1、ONU#1-2は、IF信号の入出力を停止する、または ONU#1-1’、ONU#1-2’と同様に、ONU#1-1、ONU#1-2自身のLO周波数を、下り伝送では、エリア外用周波数を示すfd1-1’に変更し、上り伝送では、エリア外用周波数を示すfu1-1’へ変更し、アンテナサイト(ONU#1-1、ONU#1-2)⇔中継局B⇔中継局A⇔収容局CO-A⇔基地局Bの通信経路でIFoF伝送を行ってもよい。
【0114】
[IF設定変更手順]
次に、本実施形態における使用アンテナサイトの制御方法について、
図18~
図25を参照しながら説明する。上述した通り、カバレッジが互いに隣接する収容局CO-Aと収容局CO-B配下のエリアにおいて、それぞれ配下のONU向けの周波数帯と隣接エリア配下のONU向けの周波数帯を分けて、IFoF伝送する(例えば、配下のONU向けに周波数帯A、隣接エリアのONU向けに周波数帯Bを利用)。BSの各ポートとONUでは、出力するIFを決めることで、どのようなルートで信号伝送されるか決まるよう設計されている。
【0115】
(1)CO-Bのエリアにおいて、まず、UE#2から収容局CO-BのBSやモバイルコアに伝送されるUE#2の位置情報を、BSのIFコントローラへ入力する。UE#2の位置情報を、IFコントローラへ入力する方法として、例えば、以下の2つの方法があるが、これに限定されない。
(i)収容局CO-BのBSで、UE#2からの位置情報を直接読み取り、読み取ったUE#2の位置情報を、IFコントローラへ入力する。
(ii)上位ネットワーク(Upper Network)内の位置情報管理サーバで、UE#2の位置情報を読み取り、読み取ったUE#2の位置情報を、IFコントローラへ入力する。
【0116】
IFコントローラは、UEの位置情報とOLTおよびONUの各ポート出力IFとの対応表を予め保有している。ここで、UEの位置情報とOLTおよびONUの各ポート出力IFとの対応表について、説明する。
【0117】
図26、
図27は、UE位置情報と各ポート出力IFとの対応の一例を示す表である。
図26(a)は、CO-B内のBS Port#1-1に出力されるIFの情報をまとめた表であり、
図26(b)は、CO-A内のBS Port#1-1’に出力されるIFの情報をまとめた表である。例えば、
図26(a)では、UE#2の位置情報(Location information)が「1」(通常動作モード)の場合、下り伝送で使用するIF(input IF to E/O in CO)は「f
d1-1」、上り伝送で使用するIF(Input IF to E/O in ANT site)は「f
u1-1’」であることを示し、UE#2の位置情報(Location information)が「101」(エリア外動作モード)の場合、下り伝送で使用するIF(input IF to E/O in CO)は「f
d1-1’」、上り伝送で使用するIF(Input IF to E/O in ANT site)は「f
u1-1’」であることを示している。
【0118】
一方、UE#2がエリア外動作モードの場合、CO-AはCO-A配下のONU(ONU#1-1’、ONU #1-2’)へのIFの出力を停止し、通信を中断する。そのため、
図26(b)では、エリア外動作モードの部分において、下り伝送で使用するIF(input IF to E/O in CO)は「No output」、上り伝送で使用するIF(Input IF to E/O in ANT site)は「-」としている。また、リソースを有効利用するために、エリア外動作モード時は、
図27(b)に示すように、CO-AはCO-B配下のONU(ONU#1-1、ONU#1-2)と通信するよう、下り伝送で使用するIF(input IF to E/O in CO)は「f
d1-1’」、上り伝送で使用するIF(Input IF to E/O in ANT site)は「f
u1-1’」としてもよい。
【0119】
(2)UE#2の位置情報をIFコントローラへ入力後、対応表を確認し、収容局CO-Bのエリア外のONU(例えば、CO-AのエリアのONU#1-1’)と通信する場合、OLTは、そのエリア外のONU(ONU#1-1’)を収容するCO-AのエリアのBS(IFコントローラ)に対して、エリア外通信のリクエスト(通信を使用する許可期間・時間(タイミング)変更する通信ポート情報等を含む)を、送信する。
【0120】
(3)エリア外通信のリクエストを受けたCO-AのエリアのBS(IFコントローラ)は、対応可否と許可時間(タイミング)を、送信元のBS(CO-BエリアのBS)に返す。対応可否については、例えば、リクエスト先のBSから一定期間内に返信があれば対応可、一定期間内に返信がなければ対応不可とする様なルールを予め決めておいてもよいし、これに限定されない。
【0121】
(4)エリア外通信許可を受けたBS(IFコントローラ)は、許可期間(時間)の間、IFコントローラの対応表に基づき、BS Portの出力IFを切り替える。そして、エリア外通信許可を出したBS(CO-AのエリアのBS)は、IFコントローラの対応表に基づき、許可期間中は、自身のIF信号の出力を止める。
【0122】
(5)エリア外通信リクエストを出したBS(CO-BのBS)は、自身の出力PortのIF変更とあわせて、そのポート(Port)の新しい通信先となるエリア外ONUに対して所望の下りRF、上りIFを得るためのLO周波数変更命令を送信する。なお、手順(4)(5)において、エリア外通信許可を出したBS(CO-AのBS)から、配下のONU(エリア外通信リクエストを出したBSから見ると、エリア外のONU)にLO周波数変更命令を出す方法をとってもよい。
【0123】
(6)LO周波数変更命令を受けたエリア外ONUは、LO周波数変更命令に含まれる情報に基づいて自身のLO周波数をエリア外用周波数(fd1-1’、fu1-1’)に変更し、BS(CO-BのBS)とエリア外ONU(CO-AのエリアのONU#1-1’)との通信が確立される。
【0124】
(7)許可期間終了後、エリア外通信のリクエストを出したBS(CO-BのBS)、およびエリア外通信のリクエストを受けたBS(CO-AのBS)は、それぞれリクエスト前の状態に戻る。
【0125】
(8)エリア外通信許可を出したBS(CO-AのBS)は、手順(6)でLO周波数変更した自身の配下のONU(ONU#1-1’)に対して、元のLO周波数に戻す命令を送信する。
【0126】
このようにUEの位置に応じてIF変更を行い、IFoF伝送することで、UEがエリア境界へ移動しても、無線品質を低下させることなく、通信を行うことができる。
【0127】
また、上記手順(4)では、「エリア外通信許可を出したBS(CO-AのエリアのBS)は、IFコントローラの対応表に基づき、許可期間中は、自身のIF信号の出力を止める。」としているが、この場合、エリア外通信許可を出したBSの1ポートとエリア外通信リクエストを出したBS配下にある1つのONUが利用されない状態となる。
【0128】
そこで、エリア外通信リクエストをしたBSのポートと同様に、リクエストを許可した側のBSのポートでも、対応表を元にエリア外通信用のIF(fd1-1’、fu1-1’)に周波数変更し、利用されなくなるONUを有効利用することができる。IF調整については、(5)~(8)と同様のプロセスで実現する。
【0129】
そして、本実施形態においても、第1の実施形態と同様、ユーザ端末が、収容局CO-AとCO-B両配下のANTと通信する状態から、いずれか一方のCO配下のANTとのみ通信する状態にシフトする際、境界付近で端末が往復を繰り返すと、回線切り替えに伴う経路変更(IF変更)が頻繁に発生し、信号処理負荷が増大する可能性がある。そこで、
図11に示すように、あるANTのエリアに入る時の位置条件に対して、出る時の位置条件を広くとることで経路切り替えが頻繁に発生することを抑制し、信号処理負荷を軽減する。
【0130】
また、2つの中継局(RN)間をPtP接続1ルートで接続する場合には、その光ファイバの切断等によりセルエッジでの信号品質改善効果がなくなる懸念がある。その場合、
図12に示すように、中継局からPtP接続2ルートで接続する、または、複数の中継局をリング構成で繋ぐことで、光ファイバの切断等が発生しても信号品質劣化がなく、信頼性の高いネットワークの実現が可能となる。
【0131】
[第4の実施形態]
本実施形態における構成パターンは、以下の通りである。
[1]OLTとエリア外ONUとの接続方式:常時接続
[2]PtMPの実現方式:カスケード接続
[3]追加アクセスファイバ構成:PtPファイバ追加構成
【0132】
まず、本実施形態に係る光ファイバ通信システムの概要について説明する。
図28は、第4の実施形態に係る光ファイバ通信システムの概要を示す図である。本実施形態においても、第1の実施形態と同様、一例として、
図3に示すUEのエリア位置により、UEの接続先ANTが変化する(ビーム形成#1→ビーム形成#2)環境を想定した場合について説明するが、これに限定されない。
【0133】
収容局CO-Aと収容局CO-Bに光接続される基地局アンテナ群を、それぞれ1本のアクセスファイバを有効活用してPoint to mult-point(PtMP)収容するために中継局を有する。CO-AエリアおよびCO-Bエリアはいずれも同じIF周波数を用いて通信を行い、中継局では、COから伝送されてきたIFoF信号を電気信号に変換し、IF信号分離機器、周波数変換機器等を用いて、各ANTサイト向けの無線信号に分けてそれぞれをE/Oに入力する。上り伝送においては、各ANTサイトからのIFoF信号を電気信号に変換し、周波数変換器等で周波数軸上に多重してCO向けのE/Oに入力する。
【0134】
本実施形態では、COと中継局間のIFoF伝送において、COとエリア内ANT向けのIF信号と、別のエリア向けのIF信号とを周波数多重してIFoF伝送する。中継局間のIFoF伝送において、あるCOのエリア外向け下りIF信号と、そのエリア外COに向かう上りIF信号を周波数多重して、IFoF伝送する。CO-AとCO-Bエリアの境界付近にあるANTサイトに対して、その2つのエリア向けのIF信号を周波数多重して伝送する。ANTサイトでそれぞれのIF信号を分離して、RFに変換してANTから放射する。上りの場合は、ANTサイトでその2つのエリアからのRF信号を周波数軸上にIF多重して伝送する。以下、各機器の構成について具体的に説明する。
【0135】
[光ファイバ通信システムの各機器の構成]
(収容局)
図29は、第4の実施形態に係る収容局CO-Bの概略構成を示す図である。収容局CO-Bは、CO-BエリアのONU#1-1だけでなく、常時CO-AエリアにあるONU#1-1’とも通信する収容局である。収容局CO-Bは、BSおよびOLTを備える。
【0136】
BSは、複数のBSまたはBS機能から構成されるBS poolと、複数のBSまたはBS機能の接続ポート(BS Port)を備える。
図29では、一例として、基地局数(基地局機能数)m、各基地局接続ポート数nを想定した構成を示す。
【0137】
本実施形態では、ONU#1-1’との通信用に、CO-B内ONUとの通信とは独立した伝送チャネル(IF周波数)が割り当てられている。そのため、BSには、ONU#1-1’との通信用に、BS Port #1-1’rが設けられ、IFは、f
d1-1’r、f
u1-1’rが使用される。ULとDLで、別波長で光伝送するため、上りと下りでIF周波数が同じでもよい。
図29のfの表記について、「’」が無いものがエリア内(CO-B配下)のONU向け、「’」があるものがエリア外(CO-A配下)のONU向けの周波数(IF)を示す。他の図においても、同様である。ONU#1-1’に加えて、CO-Aエリアの別のONUとも通信する場合は、BS Port#1-1’r相当の機能が追加で必要になる。
【0138】
また、本実施形態では、ONU#1-1’との通信用に、CO-B内ONUとの通信とは別の伝送チャネル(IF周波数)が割り当てられている。ULとDLは別波長で光伝送するため、上りと下りでIF周波数が同じでもよい。
【0139】
OLTは、Mux、Demux、Transceiver(TRx)、およびWDM CPL(Wavelength division multiplexing Coupler)を備える。WDM CPLはTRxに含まれる形でもよい。Mux、Demuxの機能をBS側の機能の一部としても良い。
図29ではBS各ポートの入出力周波数は他ポートと異なるが、BS側では各ポート間の入力周波数および出力周波数をそれぞれ同一しておき、MuxおよびDemux側で周波数変換機能(Down conv.,Up conv.)を入れる構成でも良い。
【0140】
図30(a)、(b)は、第4の実施形態におけるCO~RN間のIFoF伝送周波数の配置例を示す図である。
図30(a)、(b)は、エリア内のONUの収容に加えて、CO-BでCO-AのONU#1-1’rを、CO-AでCO-BのONU#1-1rを収容する場合のUL・DLにおけるIFoF伝送周波数の配置例であり、エリア外の複数のONUを収容する場合、エリア外の複数のONU向けにまとまった周波数帯を割り当てる。
【0141】
なお、実運用では装置監視や制御用の伝送チャネルも必要だが記載は省略するが、装置監視や制御用の伝送チャネルは、低周波数側等に配置して無線IF信号と周波数多重して伝送が可能である。
【0142】
収容局CO-Aの基本的な機器構成は、収容局CO-Bと同じ構成である。ただし、
図29におけるfの記載に「r」のあるIFは、別のCOエリアのONU向けのIFを表す。また、収容局CO-Aは、中継局RN-Aと通信を行うため、“From/To RN-A”となる。
【0143】
(中継局)
図31Aは、第4の実施形態に係る中継局RN-Bの概略構成を示す図である。
図31Bは、第4の実施形態に係る中継局RN-Aの概略構成を示す図である。中継局RN-Bおよび中継局RN-Aの構成は同じであるため、
図31Aを参照しながら、中継局RN-Bの構成について説明する。
【0144】
中継局RN-Bは、ONUのほか、隣接するエリアの中継局RN-Aと中継用光ファイバで接続されている。中継局では、下り伝送においては、COから伝送されてきたIFoF信号を電気信号に変換し、IF信号分離機器、周波数変換機器等を用いて、各アンテナサイト向けの無線信号に分けてそれぞれE/Oに入力する。上り伝送においては、各アンテナサイトからのIFoF信号を電気信号に変化し、周波数変換器等で周波数軸上に多重してCO向けのE/Oに入力する。
【0145】
さらに、本実施形態の中継局では、COと中継局間のIFoF伝送において、COとエリア内アンテナサイト向けのIF信号と、別エリア向けのIF信号とを周波数多重してIFoF伝送する。
【0146】
中継局間のIFoF伝送において、あるCOのエリア外向け下りIF信号と、そのエリア外に向かう上りIF信号を周波数多重して、IFoF伝送する。
【0147】
CO-AおよびCO-Bエリアの境界付近にあるアンテナサイトに対して、2つのエリア向けのIF信号を周波数多重して伝送する。アンテナサイトでそれぞれのIF信号を分離してRFに変換して、アンテナサイトから放射する。上りの場合は、アンテナサイトでその2つのエリアからRF信号を周波数軸上にIF多重して伝送する。
【0148】
RN間のDLとULのWDM伝送のため、TRx RNの波長が異なる。そこで、例えば、RN-BからRN-Aの光伝送ではO-bandを使い、RN-AからRN-Bの光伝送ではC-bandを使うようにする。
【0149】
図32は、第4の実施形態における中継局(RN-A、RN-B)間のIFoF伝送周波数の配置例を示す図である。
図32(a)は、RN-AからRN-BへIFoF伝送する際の周波数配置例であり、
図32(b)は、RN-BからRN-AへIFoF伝送する際の周波数配置例であり、低周波数体にシフトして光伝送する場合の周波数配列例である。装置監視や制御用の伝送チャネルの記載は省略するが、低周波数側等に配置して無線IF信号と周波数多重して伝送が可能である。
【0150】
図33は、第4の実施形態におけるRN-B~ONU/ANTサイト間のIFoF伝送周波数の配置例を示す図である。
図33(a)、(b)は、エリア内における(他のエリアに収容されるIF信号は含まない)RN-B~ONU/ANTサイト間のIFoF伝送周波数の配置例であり、低周波数帯にシフトして光伝送する場合のIFoF伝送周波数の配置例を示している。
図33(a)、(b)では、CO~RN間伝送の最低IF周波数にシフトしている場合のIFoF伝送周波数の配置例を示している。装置監視や制御用の伝送チャネルの記載は省略するが、低周波数側等に配置して無線IF信号と周波数多重して伝送が可能である。
【0151】
図33(c)、(d)は、CO-Aに収容されるIF信号も含む場合のIFoF伝送周波数の配置例を示す図である。装置監視や制御用の伝送チャネルの記載は省略するが、低周波数側等に配置して無線IF信号と周波数多重して伝送が可能である。
【0152】
(アンテナサイト)
図34(a)は、第4の実施形態の各アンテナサイトの概略構成を示す図である。
図34(b)は、各アンテナサイトと各UEの位置関係を示すイメージ図である。本実施形態のアンテナサイトは、エリア境界付近のアンテナサイト(ONU#1-1’、ONU#1-1’r)と、エリア境界から離れたアンテナサイト(ONU#1-1)で構成が異なる。いずれのアンテナサイトもONUとANTから構成され、ONUは、WDM-CPL、O/E、E/O、Frequency converters、Circulatorを備える。
【0153】
エリア境界付近のアンテナサイト(ONU#1-1’、ONU#1-1’r)においては、下り伝送では、エリア境界付近アンテナサイトに対し、RNから隣接する2つのエリア向けのIF信号(fd1-1’、fd1-1’r)を周波数多重して伝送され、アンテナサイトでそれぞれのIF信号を分離し、RFに変換してANTから放射する。逆に、上り伝送では、アンテナサイトでその2つのエリアからのRF信号を周波数軸上にIF多重(fd1-1’、fd1-1’r)してRNへ伝送する。Circulatorは、上り、下り伝送を分ける部品であり、スイッチ等でもよい。また、Circulatorは、ONUの構成に含めず、外部に設けられていてもよい。
【0154】
エリア境界から離れたアンテナサイト(ONU#1-1)は、下り伝送では、CO-Bのエリア向けのIF信号(fd1-1)を伝送し、アンテナサイトでRFに変換してANTから放射する。逆に、上り伝送では、アンテナサイトでそのCO-BのエリアからのRF信号をIF信号(fu1-1)に変換してIFoF伝送する。
【0155】
このように、エリア境界付近アンテナサイトにおいてIF信号を周波数多重して伝送し、OLTとエリア外ONUを常時接続可能とすることで、UEがエリア境界へ移動しても、収容局(CO)、アンテナサイト(ONU、ANT)のIFを切り替えることなく、かつ無線品質を低下させることなく、通信を行うことができる。
【0156】
ただし、1つのANTサイトで複数のエリア向け信号を送受する構成では、異なる無線信号が同じタイミングでANTから放射されたり、ANTで受信されたりすることで、干渉による信号劣化の懸念がある。それぞれの無線信号のビームフォーミング(BF)制御情報を、ネットワークを介して共有し、それを元にBFすることでお互い干渉せずに信号伝送可能となる。
【0157】
また、2つの中継局(RN)間をPtP接続1ルートで接続する場合には、その光ファイバの切断等によりセルエッジでの信号品質改善効果がなくなる懸念がある。中継局からPtP接続2ルートで接続する、または、複数の中継局をリング構成で繋ぐことで、光ファイバの切断等が発生しても信号品質劣化がなく、信頼性の高いネットワークの実現が可能となる。
【0158】
[第5の実施形態]
本実施形態における構成パターンは、以下の通りである。
[1]OLTとエリア外ONUとの接続方式:切り替え方式(RNでIFを動的に変更)
[2]PtMPの実現方式:カスケード接続
[3]追加アクセスファイバ構成:PtPファイバ追加構成
【0159】
まず、本実施形態に係る光ファイバ通信システムの概要について説明する。
図35は、第5の実施形態に係る光ファイバ通信システムの概要を示す図である。本実施形態においても、第1の実施形態と同様、一例として、
図3に示すUEのエリア位置により、UEの接続先ANTが変化する(ビーム形成#1→ビーム形成#2)環境を想定した場合について説明するが、これに限定されない。
【0160】
収容局CO-Aと収容局CO-Bは、いずれも同じIF周波数を利用し、IFoF(Intermediate frequency over fiber)伝送する。本実施形態に係る光ファイバ通信システムは、RNで、UEの位置情報(UEでの各Antenna(ANT)または基地局からの無線通信品質)に基づき、IF(Intermediate frequency)を動的に変更し、COおよびアンテナサイトでは、固定したIF周波数(fd1-1、fu1-1)を利用する。RN向けのIF変更情報を、COのIFコントローラで生成し、無線信号とともにIFoF伝送する。以下、各機器の構成およびIF変更変更手順について具体的に説明する。
【0161】
[光ファイバ通信システムの各機器の構成]
本実施形態に係る光ファイバ通信システムを構成する各機器について説明する。
(収容局)
図36は、第5の実施形態に係る収容局CO-Bの概略構成を示す図である。収容局CO-Bは、CO-BエリアのONU#1-1だけでなく、時刻によってはCO-AエリアにあるONU#1-1’とも通信する。収容局CO-Bは、BS、OLT、およびIFコントローラ(Intermediate frequency)を備える。
【0162】
BSは、複数のBSまたはBS機能から構成されるBS poolと、複数のBSまたはBS機能の接続ポート(BS Port)を備える。各BS Portからは固定周波数のIF信号が出力される。
図36では、一例として、基地局数(基地局機能数)m、各基地局接続ポート数nを想定した構成を示す。
図17の周波数fの表記について、「’」が無いものがエリア内(CO-B配下)のONU向け、「’」があるものがエリア外(CO-A配下)のONU向けの周波数(IF)を示す。他の図においても、同様である。
【0163】
IFコントローラは、UE位置情報と中継局RNでの出力先、出力IFをまとめた表を保持している。IFコントローラは、RN内での周波数変換制御用に、無線通信信号とは別の伝送チャネル(IF周波数)で制御信号を伝送する。他の監視や制御用のチャネルを利用して情報(制御信号)を伝送してもよい。ULとDLは別波長で光伝送するため、上りと下りでIF周波数が同じでもよい。
【0164】
OLTは、Mux、Demux、Transceiver(TRx)、およびWDM CPL(Wavelength division multiplexing Coupler)を備える。WDM CPLはTRxに含まれる形でもよい。Mux、Demuxの機能をBS側の機能の一部としても良い。図ではBS各ポートの入出力周波数は他ポートと異なるが、BS側では各ポート間の入力周波数および出力周波数をそれぞれ同一しておき、MuxおよびDemux側で周波数変換機能(Down conv.,Up conv.)を入れる構成でも良い。Mux、Demux、TRx、およびWDM CPLについては、既存のカスケード接続に用いられているものと同じであるため、動作の説明は省略する。
【0165】
なお、実運用では装置監視や制御用の伝送チャネルも必要だが記載は省略するが、装置監視や制御用の伝送チャネルは、低周波数側等に配置して無線IF信号と周波数多重して伝送が可能である。
【0166】
図37は、第5の実施形態におけるCO~RN間のIFoF伝送周波数の配置例を示す図であり、エリア内のONUの収容に加えて、CO-BでCO-AエリアのONU#1-1’を、CO-AでCO-BエリアのONU#1-1を収容する場合のIFoF伝送周波数の配置例を示している。ULおよびDLにおいて、エリア外のONUを収容する場合も、エリア内のONUを収容する場合と同じIFでIFoF伝送し、低周波数側にIF control channelを配置する。装置監視や制御用の伝送チャネルの記載は省略してrが、低周波数側等に配置して無線IF信号と一緒に伝送してもよい。
【0167】
収容局CO-Aの基本的な機器構成は、収容局CO-Bと同じ構成である。ただし、収容局CO-Aは、中継局RN-Aと通信を行うため、“From/To RN-A”となる。
【0168】
(中継局)
図38Aは、第5の実施形態に係る中継局RN-Bの概略構成を示す図である。
図38Bは、第5の実施形態に係る中継局RN-Aの概略構成を示す図である。中継局RN-Bおよび中継局RN-Aの構成は同じであるため、
図38Aを参照しながら、中継局RN-Bの構成について説明する。
【0169】
中継局RN-Bは、ONUのほか、隣接するエリアの中継局RN-Aと中継用光ファイバで接続されている。中継局RN-Bでは、各IF信号の送信先(ONU、BS、別のRN)、IF周波数を変更する。中継局は、IFコントローラ_rを備え、BSのIFコントローラから制御信号を受信し、IFコントローラ_rが周波数変換器、Mux、Demuxを制御することで、RNサイトでの当該BS portからの出力IF信号の周波数を、BSのIFコントローラ内にある対応表を元に、変更、対向するRNサイト向けおよび配下のONU向けのTRxへ入力させる。
【0170】
図39は、第5の実施形態における中継局(RN-A、RN-B)間のIFoF伝送周波数の配置例を示す図である。
図39(a)は、RN-AからRN-BへIFoF伝送する際の周波数配置例であり、
図39(b)は、RN-BからRN-AへIFoF伝送する際の周波数配置例であり、低周波数体にシフトして光伝送する場合の周波数配列例である。装置監視や制御用の伝送チャネルの記載は省略するが、低周波数側等に配置して無線IF信号と周波数多重して伝送が可能である。
【0171】
図40は、第5の実施形態におけるRN-B~ONU/ANTサイト間のIFoF伝送周波数の配置例を示す図である。
図40(a)、(b)は、エリア内(通常動作)モードにおけるRN-B~ONU/ANTサイト間のIFoF伝送周波数の配置例であり、低周波数帯にシフトして光伝送する場合のIFoF伝送周波数の配置例を示している。
図40(a)、(b)では、CO~RN間伝送の最低IF周波数にシフトしている場合のIFoF伝送周波数の配置例を示す。
【0172】
(アンテナサイト)
アンテナサイトは、ONUとANTから構成される。ONUは、WDM-CPL、O/E、E/O、Frequency converters、Circulatorを備え、BSから送信された下りRF(Radio frequency)、上りIFを得るためのLO(Local oscillator)周波数変更の命令を受信する。受信したLO周波数に基づき、自身のLO周波数を変更し、BSと通信を確立する。Circulatorは、上り、下り伝送を分ける部品であり、スイッチ等でもよい。また、Circulatorは、ONUの構成に含めず、外部に設けられていてもよい。
【0173】
図41(a)は、通常動作時(エリア外通信なし)の各アンテナサイトの概略構成を示す図である。
図41(b)は、通常動作時(エリア外通信なし)の各アンテナサイトと各UEの位置関係を示すイメージ図である。
図41(a)、(b)に示すように、通常動作時の場合、エリア外通信は行われず、同一エリアで通信が行われる。
【0174】
例えば、UE#2は、UE#2周辺でかつCO-Bエリアのアンテナサイト(ONU#1-1、ONU#1-2、ONU#1-3、ONU#1-4)と通信を行い、アンテナサイト(ONU#1-1、ONU#1-2、ONU#1-3、ONU#1-4)⇔中継局B⇔収容局Bの通信経路でIFoF伝送が行われるため、下り伝送ではONU#1-1のO/EからIFfd1-1(CO-BエリアのIF)が出力され、上り伝送ではONU#1-1のE/OへのIFfu1-1(CO-BエリアのIF)が入力される。UE#1-1’も同様、UE#1周辺でかつCO-Aエリアのアンテナサイト(ONU#1-1’、ONU#1-2’、ONU#1-3’、ONU#1-4’)と通信を行い、アンテナサイト(ONU#1-1’、ONU#1-2’、ONU#1-3’、ONU#1-4’)⇔中継局A⇔収容局Aの通信経路でIFoF伝送が行われるため、下り伝送ではONU#1-1’のO/EからIFfd1-1(CO-AエリアのIF)が出力され、上り伝送ではONU#1-1’のE/OへのIFfu1-1(CO-AエリアのIF)が入力される。
【0175】
図42(a)は、切り替え動作時(エリア外通信あり)の各アンテナサイトの概略構成を示す図である。
図42(b)は、切り替え動作時(エリア外通信あり)の各アンテナサイトと各UEの位置関係を示すイメージ図である。切り替え動作時の場合、エリア外通信が行われる。
【0176】
例えば、UE#2がエリアの境界付近に移動すると、UE#2が通信するアンテナサイトが、ONU#1-1、ONU#1-2からONU#1-1’、ONU#1-2’に変更され、エリア外通信が行われる。UE#2は、エリア境界付近のアンテナサイト(ONU#1-1’、ONU#1-2’、ONU#1-3、ONU#1-4)と通信を行う。本実施形態では、RNでIFを動的に変更しているため、アンテナサイトでは、固定したIF周波数を利用する。RNでのIF変更に基づき、アンテナサイト(ONU#1-1’、ONU#1-2’)⇔中継局A⇔中継局B⇔収容局CO-B⇔基地局Aの通信経路でIFoF伝送が行われることになる。一方、UE#2と通信を行わなくなったONU#1-1、ONU#1-2は、IFの出力を停止する、またはONU#1-1’、ONU#1-2’と同様に、RNでのIF変更に基づき、アンテナサイト(ONU#1-1、ONU#1-2)⇔中継局B⇔中継局A⇔収容局CO-A⇔基地局Bの通信経路でIFoF伝送を行ってもよい。
【0177】
[IF設定変更手順]
次に、本実施形態における使用アンテナサイトの制御方法について、
図35~
図42を参照しながら説明する。カバレッジが互いに隣接する収容局CO-Aと収容局CO-B配下のエリアにおいて、それぞれ配下のONU向けの周波数と隣接エリア配下のONU向けの周波数にRNサイトで変換し、RN~RN間またはRN~ONU間でIFoF伝送を行う(例えば、配下のONU向けに周波数f1、隣接エリアのONU向けには周波数fx(f1 < fx)に変換して出力)。変換された周波数によりどのようなルートで信号伝送されるか決まるよう設計されている。
【0178】
(1)CO-Bのエリアにおいて、まず、UE#2から収容局CO-BのBSやモバイルコアに伝送されるUE#2の位置情報を、OLTのIFコントローラへ入力する。UE#2の位置情報を、IFコントローラへ入力する方法として、例えば、以下の2つの方法があるが、これに限定されない。
(i)収容局CO-BのBSで、UE#2からの位置情報を直接読み取り、読み取ったUE#2の位置情報を、IFコントローラへ入力する。
(ii)上位ネットワーク(Upper Network)内の位置情報管理サーバで、UE#2の位置情報を読み取り、読み取ったUE#2の位置情報を、IFコントローラへ入力する。なお、IFコントローラは、UEの位置情報とRNでの出力先(TRx接続先)、RFでの出力IFの対応表を予め保有している。
【0179】
ここで、UEの位置情報とRNでの出力先(TRx接続先)、RFでの出力IFとの対応表について、説明する。
図43は、UE位置情報と各TRxでの入出力IFとの対応の一例を示す表である。
図43(a)は、CO-B内BS Port#1-1に関係する上り、下り伝送に使用するIFの情報をまとめた表であり、
図43(b)は、CO-A内BS Port#1-1に関係する上り、下り伝送に使用するIFの情報をまとめた表である。
【0180】
中継局において、UE#2の位置情報(Location information)が「1」(通常動作モード)の場合、下り伝送ではTRx#1-1に「fd1-1」、上り伝送ではTRxに「fu1-1」のIFを伝送することを示し、UE#2の位置情報(Location information)が「101」(エリア外動作モード)の場合、下り伝送ではTRx RNに「fd1-1_r」、上り伝送ではTRxに「fu1-1_r」のIFを伝送することを示している。そして、UE#2がエリア外動作モードの場合、CO-A側では、下り伝送ではTRx RNに「fd1-1_r」、上り伝送ではTRx_RNに「fu1-1_r」のIFを伝送することを示している。CO-B内BS Port#1-1がエリア外動作モードになった時に、CO-A内BS Port#1-1の入出力をオフにし、停止するとしてもよい。
【0181】
(2)UE#2の位置情報をOLTのIFコントローラへ入力後、対応表を確認し、収容局CO-Bのエリア外のONU(例えば、CO-AのエリアのONU#1-1’)と通信する場合、OLTは、そのエリア外のONU(ONU#1-1’)向けのBS(IFコントローラ)に対して、エリア外通信のリクエスト(通信を使用する許可期間・時間(タイミング)、変更する通信ポート情報等を含む)を、送信する。
【0182】
(3)エリア外通信のリクエストを受けたCO-AのエリアのBSは、対応可否と許可時間(タイミング)を、送信元のBS(CO-BエリアのBS)に返す。対応可否については、例えば、リクエスト先のBSから一定期間内に返信があれば対応可、一定期間内に返信がなければ対応不可とする様なルールを予め決めておいてもよいし、これに限定されない。
【0183】
(4)エリア外通信許可を受けたBS(IFコントローラ)は、配下のRN内のIFコントローラ(IF controller_r)に対して制御信号を送信し、そのIFコントローラが周波数変換器、Mux、Demuxを制御することで、許可期間(時間)の間、RNサイトで当該BS portからの出力IF信号の周波数を、対応表を元に、変更、対向するRNサイト向けのTRxへ入力させる。そして、エリア外通信許可を出したBS(CO-AのエリアのBS)は、許可期間中は対応するポートのIF信号出力を停止する。
【0184】
(5)エリア外通信許可を出したBS(IFコントローラ)も、(4)の制御に合わせて、配下のRN内のIFコントローラに対して制御信号を送信し、そのIFコントローラが周波数変換器、Mux、Demuxを制御することで、許可期間(時間)の間、エリア外のRNから伝送されてきたIF信号を該当する配下のONU向けのTRxへ入力される。
【0185】
(6)許可期間の終わりになったら、RN内のIFコントローラは周波数変換機器、Mux、Demuxを制御前の状態に戻す。エリア外許可通信を出したBSは、停止していたIF信号の出力を開始する。なお、(4)~(6)で一旦制御した状態を元の状態に戻す際に、制御情報をもとに戻すような制御信号をトリガーとしてもよい。
【0186】
このようにUEの位置に応じてIF変更を行うことで、UEがエリア境界へ移動しても、無線品質を低下させることなく、通信を行うことができる。
【0187】
また、上記手順(4)では、「エリア外通信許可を出したBS(CO-AのエリアのBS)は、許可期間中は対応するポートのIF信号出力を止める。」とした場合に、エリア外通信許可を出したBSの1ポートとエリア外通信リクエストを出したBS配下にある1つのONUが利用されない状態となる。
【0188】
そこで、エリア外通信リクエストをしたBSポートと同様に、リクエストを許可した側のBSの1ポートでもIF信号を出力し続け、配下のRNサイトで対向するRN向けのIFに変更して、利用されなくなるONUを有効利用することができる。IF調整については、(4)~(6)と同様のプロセスで実現する。
【0189】
また、ユーザ端末が、収容局CO-AとCO-B両配下のANTと通信する状態から、いずれか一方のCO配下のANTとのみ通信する状態にシフトする際、境界付近で端末が往復を繰り返すと、回線切り替えに伴う経路変更(IF変更)が頻繁に発生し、信号処理負荷が増大する可能性がある。そこで、例えば、
図11に示すように、UE#2がANT#1-1’、#1-2’(ONU#1-1’、ONU#1-2’)と接続するときの境界線をB1とし、ANT#1-1、#1-2(ONU#1-1、ONU#1-2)と接続するときの境界線をB2とするなど、あるANTのエリアに入る時の位置条件に対して、出る時の位置条件を広くとることで経路切り替えが頻繁に発生することを抑制し、信号処理負荷を軽減する。
【0190】
また、2つの中継局(RN)間をPtP接続1ルートで接続する場合には、その光ファイバの切断等によりセルエッジでの信号品質改善効果がなくなる懸念がある。その場合、
図12に示すように、中継局からPtP接続2ルートで接続する、または、複数の中継局をリング構成で繋ぐことで、光ファイバの切断等が発生しても信号品質劣化がなく、信頼性の高いネットワークの実現が可能となる。
【0191】
以上説明したように、本実施形態によれば、エリア境界付近での無線通信の品質を向上させることが可能となる。また、光ファイバコストや光ファイバ敷設置期間を短く抑えたシンプルかつ経済的な構造を有する光ファイバ通信システムを構築することが可能となる。
【符号の説明】
【0192】
1 光ファイバ通信システム
11、21 OLT
13、23 中継局
15、25 ONU
16、26 ANT
17、27 波長コントローラ
19、29 IFコントローラ
31 中継用光ファイバ