(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】油剤添加剤、及び油剤組成物
(51)【国際特許分類】
C10M 129/16 20060101AFI20241113BHJP
C10M 129/90 20060101ALI20241113BHJP
C10N 30/06 20060101ALN20241113BHJP
C10N 40/04 20060101ALN20241113BHJP
C10N 40/25 20060101ALN20241113BHJP
【FI】
C10M129/16
C10M129/90
C10N30:06
C10N40:04
C10N40:25
(21)【出願番号】P 2021522884
(86)(22)【出願日】2020-05-28
(86)【国際出願番号】 JP2020021213
(87)【国際公開番号】W WO2020241787
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-03-10
(31)【優先権主張番号】P 2019099462
(32)【優先日】2019-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】亀ノ上 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】堀 寛
(72)【発明者】
【氏名】若狭 崇志
(72)【発明者】
【氏名】高力 駿介
【審査官】川嶋 宏毅
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0222603(US,A1)
【文献】国際公開第2007/062112(WO,A2)
【文献】特開昭62-235487(JP,A)
【文献】特開昭55-105632(JP,A)
【文献】特開2014-025040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M 101/00-177/00
C10N 30/00,30/06,
40/04,40/25
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式(1)で表される化合物を少なくとも1種含有する潤滑油添加剤。
【化1】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ置換基を有さない炭素数1以上15以下の直鎖又は分岐アルキル基であり、R
1とR
2の合計炭素数は14以上16以下であり、Xは単結合であり、Aは-O-CH
2-CH(OH)-CH
2OH又は-O-CH(-CH
2-OH)
2である。)
【請求項2】
前記化学式(1)においてAが-O-CH
2-CH(OH)-CH
2OHである化合物1、及び前記化学式(1)においてAが-O-CH(-CH
2-OH)
2である化合物2を含有する、請求項1に記載の潤滑油添加剤。
【請求項3】
前記化合物1の含有量は、前記化合物1と前記化合物2の合計に対し、1質量%以上99質量%以下である、請求項2に記載の潤滑油添加剤。
【請求項4】
前記化学式(1)で表される化合物の融点は、30℃以下である、請求項1~3のいずれかに記載の潤滑油添加剤。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の潤滑油添加剤と潤滑油を含有する潤滑油組成物。
【請求項6】
前記潤滑油は、エンジンオイル又はギア油である、請求項5に記載の潤滑油組成物。
【請求項7】
前記潤滑油は、パラフィン系潤滑油である、請求項5又は6に記載の潤滑油組成物。
【請求項8】
前記
潤滑油組成物中の前記
潤滑油添加剤の含有量は、0.05質量%以上20質量%以下である、請求項5~7のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項9】
請求項1~4のいずれかに記載の潤滑油添加剤の摩擦係数低減剤としての使用。
【請求項10】
請求項1~4のいずれかに記載の潤滑油添加剤のエンジン又はギアの摩擦係数低減のための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油剤添加剤、及び前記油剤添加剤と油剤を含有する油剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシアルカンと多価アルコールとの反応によって得られるエーテルアルコールは、乳化剤及び界面活性剤などの原料として有用である。
【0003】
例えば、特許文献1では、炭素数8~20のエポキシアルカンと炭素原子1~10個及びアルコール性水酸基1~4個を有するモノ又はポリ官能性アルコールとの反応によって得られるエーテルアルコールが開示されている。
【0004】
一方、特許文献2には、炭素数8~22の炭化水素基を有するモノグリセリド(グリセリンの3つのヒドロキシル基のうち1つに脂肪酸がエステル結合したグリセリン脂肪酸エステル)を含有する内燃機関用潤滑油組成物が開示されている。
【0005】
当該モノグリセリドは、摩擦調整剤として潤滑油組成物に添加されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開昭55-105632号公報
【文献】特開2014-25040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載のモノグリセリドは、潤滑油に溶けにくく、摩擦係数を低下させるために添加量を多くすると潤滑油組成物中に析出するという問題があった。
【0008】
本発明は、上記のような状況を鑑みてなされたものであり、油剤に溶けやすく、摩擦係数を低下させる効果に優れる油剤添加剤、及び前記油剤添加剤を含有する油剤組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、特定構造の化合物により、上記課題を解決しうることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明は、下記化学式(1)で表される化合物を少なくとも1種含有する油剤添加剤、に関する。
【化1】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ炭素数1以上33以下の脂肪族炭化水素基であり、R
1とR
2の合計炭素数は2以上34以下であり、Xは単結合又は炭素数1以上5以下の脂肪族炭化水素基であり、Aは-O-CH
2-CH(OH)-CH
2OH又は-O-CH(-CH
2-OH)
2である。)
【発明の効果】
【0011】
従来の潤滑油添加剤として用いられてきたモノグリセリドは、モノグリセリドの水酸基が金属に吸着し、モノグリセリドの直鎖アルキル基が潤滑油側に向くことで油膜を形成して摩擦を低減する。より強固な油膜を形成して摩擦係数の低減効果を向上するためにはモノグリセリドの直鎖アルキル基を長くする必要がある。しかし、モノグリセリドの直鎖アルキル基が長いほど、モノグリセリドの融点がより高くなるため潤滑油に対する溶解性が低下すると考えられる。
【0012】
一方、本発明の化学式(1)で表される化合物は、炭素鎖の内部にグリセリルエーテル基と水酸基を有する特徴ある構造を有しているため、融点が低く、油剤に対する溶解性に優れており、しかも摩擦係数を低下させる効果に優れていると考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0014】
<油剤添加剤>
本発明の油剤添加剤は、下記化学式(1)で表される化合物(以下、エーテルアルコールともいう)を少なくとも1種含有する。また、本発明の油剤添加剤は、下記化学式(1)で表される化合物からなるものであってよい。また、本発明の油剤添加剤は、下記化学式(1)で表される化合物の1種以上からなるものであってよい。
【化2】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ炭素数1以上33以下の脂肪族炭化水素基であり、R
1とR
2の合計炭素数は2以上34以下であり、Xは単結合又は炭素数1以上5以下の脂肪族炭化水素基であり、Aは-O-CH
2-CH(OH)-CH
2OH又は-O-CH(-CH
2-OH)
2である。)
【0015】
R1及びR2はそれぞれ炭素数1以上33以下の脂肪族炭化水素基であり、摩擦係数を低下させる観点から、好ましくは直鎖又は分岐アルキル基(分岐鎖アルキル基ともいう)であり、より好ましくは直鎖アルキル基である。前記脂肪族炭化水素基は、本発明の効果を妨げない限り、ヒドロキシ基、ケトン基、カルボキシル基、アリール基、及びアルコキシ基等の置換基を有していてもよい。R1及びR2は、同じ脂肪族炭化水素基であってもよく、異なる脂肪族炭化水素基であってもよい。また、R1及びR2の置換基の数は、それぞれ、油剤に対する溶解性の観点から、R1及びR2において合計で、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは1以下、より更に好ましくは0(すなわち置換基を有さない)である。
【0016】
R1及びR2の合計炭素数は2以上34以下であり、摩擦係数を低下させる観点から、好ましくは12以上、より好ましくは14以上、更に好ましくは16以上であり、油剤に対する溶解性の観点から、好ましくは22以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは18以下、より更に好ましくは16以下である。
【0017】
Xは単結合又は炭素数1以上5以下の脂肪族炭化水素基であり、製造効率及び製造容易性の観点から、好ましくは単結合又は炭素数1以上3以下の脂肪族炭化水素基、より好ましくは単結合又は炭素数1以上2以下の脂肪族炭化水素基、更に好ましくは単結合又は炭素数1の脂肪族炭化水素基、より更に好ましくは単結合である。
【0018】
R1とR2とXの合計炭素数は2以上39以下であり、摩擦係数を低下させる観点から、好ましくは12以上、より好ましくは14以上、更に好ましくは16以上であり、油剤に対する溶解性の観点から、好ましくは24以下、より好ましくは22以下、更に好ましくは20以下、より更に好ましくは18以下、より更に好ましくは16以下である。
【0019】
Xが前記脂肪族炭化水素基である場合、製造効率及び製造容易性の観点から、好ましくは直鎖又は分岐アルキル基であり、より好ましくは直鎖アルキル基である。
【0020】
Xは、製造効率及び製造容易性の観点から、好ましくは、
*-(CH2)n-* (nは0以上5以下、*は結合部位を示す。)
であり、nは好ましくは0以上であり、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、更に好ましくは1以下、より更に好ましくは0、すなわち単結合である。
【0021】
前記油剤添加剤は、製造効率及び製造容易性の観点から、R1とR2の合計炭素数が同じであり、かつR1とR2のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含むことが好ましい。
【0022】
前記油剤添加剤は、製造効率及び製造容易性の観点から、R1とR2とXの合計炭素数が同じであり、かつR1とR2のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含むことが好ましい。
【0023】
前記油剤添加剤は、製造効率及び製造容易性の観点から、Xが単結合又は炭素数1以上3以下の脂肪族炭化水素基であり、R1とR2の合計炭素数が同じであり、かつR1とR2のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含むことが好ましい。
【0024】
前記油剤添加剤は、製造効率及び製造容易性の観点から、Xが単結合又は炭素数1以上3以下の脂肪族炭化水素基であり、R1とR2とXの合計炭素数が同じであり、かつR1とR2のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含むことが好ましい。
【0025】
前記油剤添加剤は、製造効率及び製造容易性の観点から、Xが単結合又は炭素数1以上2以下の脂肪族炭化水素基であり、R1とR2の合計炭素数が同じであり、かつR1とR2のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含むことがより好ましい。
【0026】
前記油剤添加剤は、製造効率及び製造容易性の観点から、Xが単結合又は炭素数1以上2以下の脂肪族炭化水素基であり、R1とR2とXの合計炭素数が同じであり、かつR1とR2のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含むことがより好ましい。
【0027】
前記油剤添加剤は、製造効率及び製造容易性の観点から、Xが単結合又は炭素数1の脂肪族炭化水素基であり、R1とR2の合計炭素数が同じであり、かつR1とR2のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含むことが更に好ましい。
【0028】
前記油剤添加剤は、製造効率及び製造容易性の観点から、Xが単結合又は炭素数1の脂肪族炭化水素基であり、R1とR2とXの合計炭素数が同じであり、かつR1とR2のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含むことが更に好ましい。
【0029】
前記油剤添加剤は、製造効率及び製造容易性の観点から、Xが単結合であり、R1とR2の合計炭素数が同じであり、かつR1とR2のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含むことがより更に好ましい。
【0030】
前記油剤添加剤が、Xが単結合であり、R1とR2の合計炭素数が異なる2種以上の化合物を含有する場合、油剤に対する溶解性の観点から、R1とR2の合計炭素数が、14である化合物、及び16である化合物の合計含有量は、好ましくは75質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは100質量%である。
【0031】
前記油剤添加剤が、化学式(1)で表される化合物において、R1とR2の合計炭素数が同じであり、かつR1とR2のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含有する場合、油剤に対する溶解性の観点から、R1の炭素数が5以上かつR2の炭素数が5以上の化合物の含有割合は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
【0032】
前記エーテルアルコールの融点は、油剤に対する溶解性の観点から、好ましくは30℃以下、より好ましくは20℃以下、更に好ましくは10℃以下であり、また、-200℃以上であってよい。
【0033】
前記エーテルアルコールの製造方法は特に制限されず、例えば、内部オレフィンの二重結合を過酸化水素、過ギ酸、過酢酸等の過酸化物により酸化して内部エポキシドを合成し、得られた内部エポキシドにグリセリンを反応させることにより製造することができる。なお、内部オレフィンの総炭素数が一定で、異なる位置に二重結合を有する混合物の場合、前記製造方法により得られる前記化学式(1)で表される化合物は、Xが単結合であり、R1とR2の合計炭素数が同じであり、かつR1とR2のそれぞれの炭素数が異なる複数の化合物の混合物である。また、前記製造方法により得られる前記化学式(1)で表される化合物は、通常、Aが-O-CH2-CH(OH)-CH2OHである化合物1(以下、エーテルアルコール1ともいう)と、Aが-O-CH(-CH2-OH)2である化合物2(以下、エーテルアルコール2ともいう)の混合物である。
【0034】
前記エーテルアルコールの製造に用いられる内部オレフィンは、末端オレフィンを含有していてもよい。その場合、オレフィン中に含まれる末端オレフィンの含有量は、例えば、0.1質量%以上、0.2質量%以上、また、5質量%以下、3質量%以下、2質量%以下、1質量%以下、0.5質量%以下などである。
【0035】
前記油剤添加剤が、前記エーテルアルコール1と前記エーテルアルコール2を含有する場合、前記エーテルアルコール1の含有量は、摩擦係数を低下させる観点から、前記エーテルアルコール1と前記エーテルアルコール2の合計に対し、好ましくは1質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、より更に好ましくは50質量%以上であり、好ましくは99質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。また、同様の観点から、好ましくは1~99質量%、より好ましくは30~99質量%、更に好ましくは40~90質量%、より更に好ましくは50~80質量%である。
【0036】
前記油剤添加剤は、前記化学式(1)で表される化合物1種、或いは、前記化学式(1)で表される化合物2種以上の混合物、或いは、これらと原料オレフィンに含まれるオレフィン以外の微量成分及びその誘導体との混合物として得ることができる。
【0037】
前記油剤添加剤は、潤滑油添加剤又は摩擦係数低減剤として好適に使用することができる。
【0038】
また、前記油剤添加剤は、エンジン又はギアの摩擦係数低減のために好適に使用することができる。
【0039】
<油剤組成物>
本発明の油剤組成物は、少なくとも油剤と前記油剤添加剤を含有する。
【0040】
前記油剤の融点は、取り扱い容易性の観点から、好ましくは-200℃以上であり、好ましくは-15℃以下、より好ましくは-30℃以下、更に好ましくは-45℃以下、より更に好ましくは-60℃以下である。なお、油剤の融点は、高感度型示差走査熱量計(株式会社日立ハイテクサイエンス製、商品名:DSC7000X)を使用して測定することができる。
【0041】
前記油剤は、特に制限なく使用可能であり、潤滑性の観点から、好ましくは潤滑油であり、潤滑油としては、例えば、エンジンオイル、及びギア油などが挙げられる。また、前記油剤は、パラフィン系潤滑油であることが好ましい。
【0042】
前記油剤組成物中の前記油剤添加剤の含有量は特に制限されないが、摩擦係数を低下させる観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、より更に好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
【0043】
前記油剤組成物は、必要に応じて各種の添加剤を含有してもよい。前記添加剤としては、例えば、酸化防止剤、金属不活性剤、耐摩耗剤、消泡剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、清浄分散剤、防錆剤、及び公知の油剤添加剤などが挙げられる。
【0044】
以下に、本発明及び本発明の好ましい実施態様を示す。
<1>
下記化学式(1)で表される化合物を少なくとも1種含有する油剤添加剤。
【化3】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ炭素数1以上33以下の脂肪族炭化水素基であり、R
1とR
2の合計炭素数は2以上34以下であり、Xは単結合又は炭素数1以上5以下の脂肪族炭化水素基であり、Aは-O-CH
2-CH(OH)-CH
2OH又は-O-CH(-CH
2-OH)
2である。)
<2>
下記化学式(1)で表される化合物を少なくとも1種含有する油剤添加剤。
【化4】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ炭素数1以上33以下の脂肪族炭化水素基であり、Xは単結合又は炭素数1以上5以下の脂肪族炭化水素基であり、R
1とR
2とXの合計炭素数は2以上39以下であり、Aは-O-CH
2-CH(OH)-CH
2OH又は-O-CH(-CH
2-OH)
2である。)
<3>
R
1及びR
2は、それぞれ直鎖又は分岐アルキル基である、<1>又は<2>に記載の油剤添加剤。
<4>
R
1及びR
2は、それぞれ直鎖アルキル基である、<1>又は<2>に記載の油剤添加剤。
<5>
R
1及びR
2の合計炭素数は、好ましくは12以上、より好ましくは14以上、更に好ましくは16以上であり、好ましくは22以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは18以下、より更に好ましくは16以下である、<1>~<4>のいずれかに記載の油剤添加剤。
<6>
R
1及びR
2の合計炭素数は、好ましくは12以上22以下、より好ましくは14以上22以下、更に好ましくは16以上22以下である、<1>~<4>のいずれかに記載の油剤添加剤。
<7>
R
1及びR
2の合計炭素数は、好ましくは12以上20以下、より好ましくは14以上20以下、更に好ましくは16以上20以下である、<1>~<4>のいずれかに記載の油剤添加剤。
<8>
R
1及びR
2の合計炭素数は、好ましくは12以上18以下、より好ましくは14以上18以下、更に好ましくは16以上18以下である、<1>~<4>のいずれかに記載の油剤添加剤。
<9>
R
1及びR
2の合計炭素数は、好ましくは12以上16以下、より好ましくは14以上16以下、更に好ましくは16である、<1>~<4>のいずれかに記載の油剤添加剤。
<10>
前記化学式(1)で表される化合物において、Xは単結合又は炭素数1以上3以下の脂肪族炭化水素基である、<1>~<9>のいずれかに記載の油剤添加剤。
<11>
前記化学式(1)で表される化合物において、Xは単結合又は炭素数1以上2以下の脂肪族炭化水素基である、<1>~<9>のいずれかに記載の油剤添加剤。
<12>
前記化学式(1)で表される化合物において、Xは単結合又は炭素数1の脂肪族炭化水素基である、<1>~<9>のいずれかに記載の油剤添加剤。
<13>
前記化学式(1)で表される化合物において、Xは単結合である、<1>~<9>のいずれかに記載の油剤添加剤。
<14>
前記化学式(1)で表される化合物において、Xは、好ましくは直鎖又は分岐アルキル基であり、より好ましくは直鎖アルキル基である、<1>~<9>のいずれかに記載の油剤添加剤。
<15>
前記化学式(1)で表される化合物において、Xは、
*-(CH
2)
n-* (nは0以上5以下、*は結合部位を示す。)
であり、nは好ましくは0以上であり、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、更に好ましくは1以下、より更に好ましくは0、すなわち単結合である、<1>~<9>のいずれかに記載の油剤添加剤。
<16>
R
1とR
2とXの合計炭素数は2以上39以下であり、好ましくは12以上、より好ましくは14以上、更に好ましくは16以上であり、好ましくは24以下、より好ましくは22以下、更に好ましくは20以下、より更に好ましくは18以下、より更に好ましくは16以下である、<1>~<15>のいずれかに記載の油剤添加剤。
<17>
前記油剤添加剤は、Xが単結合又は炭素数1以上3以下の脂肪族炭化水素基であり、R
1とR
2の合計炭素数が同じであり、かつR
1とR
2のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含む、<1>~<9>のいずれかに記載の油剤添加剤。
<18>
前記油剤添加剤は、Xが単結合又は炭素数1以上3以下の脂肪族炭化水素基であり、R
1とR
2とXの合計炭素数が同じであり、かつR
1とR
2のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含む、<1>~<9>のいずれかに記載の油剤添加剤。
<19>
前記油剤添加剤は、Xが単結合又は炭素数1以上2以下の脂肪族炭化水素基であり、R
1とR
2の合計炭素数が同じであり、かつR
1とR
2のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含む、<1>~<9>のいずれかに記載の油剤添加剤。
<20>
前記油剤添加剤は、Xが単結合又は炭素数1以上2以下の脂肪族炭化水素基であり、R
1とR
2とXの合計炭素数が同じであり、かつR
1とR
2のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含む、<1>~<9>のいずれかに記載の油剤添加剤。
<21>
前記油剤添加剤は、Xが単結合又は炭素数1の脂肪族炭化水素基であり、R
1とR
2の合計炭素数が同じであり、かつR
1とR
2のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含む、<1>~<9>のいずれかに記載の油剤添加剤。
<22>
前記油剤添加剤は、Xが単結合又は炭素数1の脂肪族炭化水素基であり、R
1とR
2とXの合計炭素数が同じであり、かつR
1とR
2のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含む、<1>~<9>のいずれかに記載の油剤添加剤。
<23>
前記油剤添加剤は、Xが単結合であり、R
1とR
2の合計炭素数が同じであり、かつR
1とR
2のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含む、<1>~<9>のいずれかに記載の油剤添加剤。
<24>
前記油剤添加剤は、Xが単結合であり、R
1とR
2の合計炭素数が異なる2種以上の化合物を含有し、R
1とR
2の合計炭素数が、14である化合物、及び16である化合物の合計含有量は、好ましくは75質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは100質量%である、<1>~<4>のいずれかに記載の油剤添加剤。
<25>
前記油剤添加剤は、R
1とR
2の合計炭素数が同じであり、かつR
1とR
2のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含み、R
1の炭素数が5以上かつR
2の炭素数が5以上の化合物の含有割合は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である、<1>~<23>のいずれかに記載の油剤添加剤。
<26>
前記油剤添加剤は、R
1とR
2の合計炭素数が同じであり、かつR
1とR
2のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含み、R
1の炭素数が5以上かつR
2の炭素数が5以上の化合物の含有割合は、10質量%以上90質量%以下である、<1>~<23>のいずれかに記載の油剤添加剤。
<27>
前記油剤添加剤は、R
1とR
2の合計炭素数が同じであり、かつR
1とR
2のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含み、R
1の炭素数が5以上かつR
2の炭素数が5以上の化合物の含有割合は、20質量%以上80質量%以下である、<1>~<23>のいずれかに記載の油剤添加剤。
<28>
前記油剤添加剤は、R
1とR
2の合計炭素数が同じであり、かつR
1とR
2のそれぞれの炭素数が異なる2種以上の化合物を含み、R
1の炭素数が5以上かつR
2の炭素数が5以上の化合物の含有割合は、30質量%以上70質量%以下である、<1>~<23>のいずれかに記載の油剤添加剤。
<29>
前記化学式(1)で表される化合物の融点は、30℃以下である、<1>~<28>のいずれかに記載の油剤添加剤。
<30>
前記化学式(1)で表される化合物の融点は、20℃以下である、<1>~<28>のいずれかに記載の油剤添加剤。
<31>
前記化学式(1)で表される化合物の融点は、10℃以下である、<1>~<28>のいずれかに記載の油剤添加剤。
<32>
前記化学式(1)で表される化合物の製造に用いられる内部オレフィンは、末端オレフィンを含有し、オレフィン中に含まれる末端オレフィンの含有量は、0.1質量%以上、又は0.2質量%以上であり、5質量%以下、3質量%以下、2質量%以下、1質量%以下、又は0.5質量%以下である、<1>~<31>のいずれかに記載の油剤添加剤。
<33>
前記化学式(1)において、Aが-O-CH
2-CH(OH)-CH
2OHである化合物1(エーテルアルコール1)、及び前記化学式(1)においてAが-O-CH(-CH
2-OH)
2である化合物2(エーテルアルコール2)を含有する、<1>~<32>のいずれかに記載の油剤添加剤。
<34>
前記エーテルアルコール1の含有量は、前記エーテルアルコール1と前記エーテルアルコール2の合計に対し、好ましくは1質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、より更に好ましくは50質量%以上であり、好ましくは99質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である、<33>に記載の油剤添加剤。
<35>
前記エーテルアルコール1の含有量は、前記エーテルアルコール1と前記エーテルアルコール2の合計に対し、1~99質量%である、<33>に記載の油剤添加剤。
<36>
前記エーテルアルコール1の含有量は、前記エーテルアルコール1と前記エーテルアルコール2の合計に対し、30~99質量%である、<33>に記載の油剤添加剤。
<37>
前記エーテルアルコール1の含有量は、前記エーテルアルコール1と前記エーテルアルコール2の合計に対し、40~90質量%である、<33>に記載の油剤添加剤。
<38>
前記エーテルアルコール1の含有量は、前記エーテルアルコール1と前記エーテルアルコール2の合計に対し、50~80質量%である、<33>に記載の油剤添加剤。
<39>
<1>~<38>のいずれかに記載の油剤添加剤の潤滑油添加剤としての使用。
<40>
<1>~<38>のいずれかに記載の油剤添加剤の摩擦係数低減剤としての使用。
<41>
<1>~<38>のいずれかに記載の油剤添加剤のエンジン又はギアの摩擦係数低減のための使用。
<42>
<1>~<38>のいずれかに記載の油剤添加剤と油剤を含有する油剤組成物。
<43>
前記油剤の融点は、好ましくは-200℃以上であり、好ましくは-15℃以下、より好ましくは-30℃以下、更に好ましくは-45℃以下、より更に好ましくは-60℃以下である、<42>に記載の油剤組成物。
<44>
前記油剤は、潤滑油である、<42>又は<43>に記載の油剤組成物。
<45>
前記潤滑油は、エンジンオイル又はギア油である、<44>に記載の油剤組成物。
<46>
前記潤滑油は、パラフィン系潤滑油である、<44>又は<45>に記載の油剤組成物。
<47>
前記油剤組成物中の前記油剤添加剤の含有量は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、より更に好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である、<42>~<46>のいずれかに記載の油剤組成物。
<48>
前記油剤組成物中の前記油剤添加剤の含有量は、0.05質量%以上20質量%以下である、<42>~<46>のいずれかに記載の油剤組成物。
<49>
前記油剤組成物中の前記油剤添加剤の含有量は、0.1質量%以上10質量%以下である、<42>~<46>のいずれかに記載の油剤組成物。
<50>
前記油剤組成物中の前記油剤添加剤の含有量は、0.2質量%以上5質量%以下である、<42>~<46>のいずれかに記載の油剤組成物。
<51>
前記油剤組成物中の前記油剤添加剤の含有量は、0.5質量%以上5質量%以下である、<42>~<46>のいずれかに記載の油剤組成物。
【実施例】
【0045】
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。なお、表中に特に示さない限り、各成分の含有量は質量%を示す。また、各種測定方法は以下のとおりである。
【0046】
<オレフィンの二重結合分布の測定方法>
オレフィンの二重結合分布は、ガスクロマトグラフィー(以下、GCと省略)により測定した。具体的には、オレフィンに対しジメチルジスルフィドを反応させることでジチオ化誘導体とした後、各成分をGCで分離した。それぞれのピーク面積よりオレフィンの二重結合分布を求めた。なお、測定に使用した装置および分析条件は次の通りである。
GC装置:商品名HP6890(HEWLETT PACKARD社製)
カラム:商品名Ultra-Alloy-1HTキャピラリーカラム30m×250μm×0.15μm(フロンティア・ラボ株式会社製)
検出器:水素炎イオン検出器(FID)
インジェクション温度:300℃
ディテクター温度:350℃
オーブン:60℃(0min.)→2℃/min.→225℃→20℃/min.→350℃→350℃(5.2min.)
<構造異性体の含有量比の測定方法>
アルキルグリセリルエーテル0.05g、トリフルオロ酢酸無水物0.2g、重クロロホルム1gを混合し、1H-NMRにて測定を行った。測定条件は以下のとおりである。
核磁気共鳴装置:Agilent 400-MR DD2、アジレント・テクノロジー株式会社製
観測範囲:6410.3Hz
データポイント:65536
測定モード:Presat
パルス幅:45°
パルス遅延時間:10sec
積算回数:128回
【0047】
<内部オレフィンの製造>
製造例A1
(炭素数16の内部オレフィン(内部オレフィン1)の製造)
撹拌装置付きフラスコに1-ヘキサデカノール(製品名:カルコール6098、花王株式会社製)7000g(28.9モル)、固体酸触媒としてγ―アルミナ(STREMChemicals,Inc社)700g(原料アルコールに対して10wt%)を仕込み、撹拌下、280℃にて系内に窒素(7000mL/分)を流通させながら32時間反応を行った。反応終了後のアルコール転化率は100%、C16オレフィン純度は99.6%であった。得られた粗C16内部オレフィンを蒸留器に移し、136~160℃/4.0mmHgで蒸留することでオレフィン純度100%の内部オレフィン1を得た。得られた内部オレフィン1の二重結合分布はC1位0.2%、C2位15.8%、C3位14.5%、C4位15.7%、C5位17.3%、C6位16.5%、C7位、8位の合計が20.0%であった。
【0048】
製造例A2
(炭素数18の内部オレフィン(内部オレフィン2)の製造)
撹拌装置付き反応器に1-オクタデカノール(製品名:カルコール8098、花王株式会社製)800kg(3.0キロモル)、固体酸触媒として活性アルミナGP-20(水澤化学工業株式会社)80kg(原料アルコールに対して10wt%)を仕込み、撹拌下、280℃にて系内に窒素(15L/分)を流通させながら16時間反応を行った。反応終了後のアルコール転化率は100%、C18オレフィン純度は98.7%であった。得られた粗C18内部オレフィンを蒸留器に移し、163~190℃/4.6mmHgで蒸留することでオレフィン純度100%の内部オレフィン2を得た。得られた内部オレフィン2の二重結合分布はC1位0.3%、C2位13.3%、C3位12.6%、C4位13.9%、C5位14.8%、C6位13.7%、C7位12.6、C8位、9位の合計が18.8%であった。
【0049】
<内部エポキシドの製造>
製造例B1
(炭素数16の内部エポキシド(内部エポキシド1)の製造)
撹拌装置付きフラスコに製造例A1で得た内部オレフィン1(800g、3.56モル)、酢酸(和光純薬工業株式会社製)107g(1.78モル)、硫酸(和光純薬工業株式会社製)15.6g(0.15モル)、35%過酸化水素(和光純薬工業株式会社製)415.7g(4.28モル)、硫酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)25.3g(0.18モル)を仕込み、50℃で4時間反応した。その後、70℃に昇温し更に2時間反応を行った。反応後、分層して水層を抜出し、油層をイオン交換水、飽和炭酸ナトリウム水溶液(和光純薬工業株式会社製)、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液(和光純薬工業株式会社製)、1%食塩水(和光純薬工業株式会社製)にて洗浄を行いエバポレーターにて濃縮し、内部エポキシド1を820g得た。
【0050】
製造例B2
(炭素数18の内部エポキシド(内部エポキシド2)の製造)
撹拌装置付きフラスコに製造例A2で得た内部オレフィン2(595g、2.38モル)、酢酸(和光純薬工業株式会社製)71.7g(1.20モル)、硫酸(和光純薬工業株式会社製)9.8g(0.10モル)、35%過酸化水素(和光純薬工業株式会社製)324g(4.00モル)を仕込み、50℃で4時間反応した。その後、80℃に昇温し更に5時間反応を行った。反応後、分層して水層を抜出し、油層をイオン交換水、飽和炭酸ナトリウム水溶液(和光純薬工業株式会社製)、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液(和光純薬工業株式会社製)、イオン交換水にて洗浄を行いエバポレーターにて濃縮し、内部エポキシド2を629g得た。
【0051】
<エポキシドとグリセリンの反応物(アルキルグリセリルエーテル、AGE)の製造>
以下、アルキルグリセリルエーテルをAGEと記載する。また、AGE1、AGE2、などは、それぞれ、アルキルグリセリルエーテル1、アルキルグリセリルエーテル2、などを表す。
【0052】
製造例C1
(内部エポキシド1とグリセリンの反応物(AGE1)の製造)
撹拌装置付きフラスコにグリセリン(和光純薬工業株式会社製)2298g(25.0モル)、98%硫酸(和光純薬工業株式会社製)0.122g(1.25ミリモル)を仕込み130℃に昇温した。その後、製造例B1で得た内部エポキシド1(300g、1.25モル)を1時間かけ滴下した後、130℃/8時間反応を行った。この反応により得られた液にヘキサンを加えイオン交換水にて水洗を行った後、エバポレーターにて減圧濃縮を行い、AGE1を400g得た。得られたAGE1は、前記化学式(1)において、R1及びR2はそれぞれ炭素数1~13のアルキル基を含み、R1とR2の合計炭素数が14であり、Xが単結合であり、Aが-O-CH2-CH(OH)-CH2OHであるエーテルアルコール1(グリセリンの1位の水酸基とエポキシ基が反応して得られるAGE)を73%、Aが-O-CH(-CH2-OH)2であるエーテルアルコール2(グリセリンの2位の水酸基とエポキシ基が反応して得られるAGE)を27%含んでいた。
【0053】
製造例C2
(内部エポキシド2とグリセリンの反応物(AGE2)の製造)
製造例B1で得た内部エポキシド1(1.25モル)に代えて、製造例B2で得た内部エポキシド2(1.25モル)を用いた以外は、製造例C1と同様の製造方法で、AGE2を得た。得られたAGE2は、前記化学式(1)において、R1及びR2はそれぞれ炭素数1~15のアルキル基を含み、R1とR2の合計炭素数が16であり、Xが単結合であり、Aが-O-CH2-CH(OH)-CH2OHであるエーテルアルコール1(グリセリンの1位の水酸基とエポキシ基が反応して得られるAGE)を72%、Aが-O-CH(-CH2-OH)2であるエーテルアルコール2(グリセリンの2位の水酸基とエポキシ基が反応して得られるAGE)を28%含んでいた。
【0054】
実施例1~8、比較例1~6
表1に記載の油剤に、表1に記載の油剤添加剤を表1に記載の添加量で添加し、80℃で十分に混合して油剤組成物を調製した。なお、表1に記載の油剤、及び油剤添加剤は以下の通りである。
<油剤>
コスモニュートラル150:コスモ石油ルブリカンツ株式会社製、パラフィン系潤滑油
トヨタ純正ATF WS:トヨタ自動車株式会社製、パラフィン系潤滑油
<油剤添加剤>
添加剤1:製造例C1で作製したAGE1
添加剤2:製造例C2で作製したAGE2
エキセルO-95R:純植物性分子蒸留モノグリセライド(花王株式会社製)
<油剤添加剤の融点の測定>
高感度型示差走査熱量計(株式会社日立ハイテクサイエンス製、商品名:DSC7000X)を使用し、70μLパンに各油剤添加剤を入れ、-60℃から80℃まで2℃/minで昇温し、昇温時間に対する示差熱電極で検出する温度差の最大ピーク時の温度を融点とした。
【0055】
実施例及び比較例で調製した油剤組成物を用いて、以下の測定及び評価を行った。
<摩擦係数の測定>
MTM2トラクション計測器(PCS Instruments Ltd.社製)を用いて、下記に示す測定条件にて、調製した各油剤組成物の摩擦係数を測定した。結果を表1に示す。摩擦係数が小さいほど、省燃費性に優れているといえる。
測定条件
負荷荷重:50N
油温:80℃又は120℃
スライド・ロールレシオ:50%
平均回転速度:10mm2/秒
【0056】
<保管試験>
調製した各油剤組成物を5℃で保管し、1日後及び20日後の外観を目視で観察し、下記基準で評価した。結果を表1に示す。
〇:油剤組成物は透明である。
×:油剤組成物中に化合物が析出している。
【0057】
【0058】
表1から、実施例1~8の油剤組成物は、80℃及び120℃において摩耗係数が低く、しかも長期間低温保管しても油剤添加剤が析出せず、高品質であることがわかる。一方、比較例1及び2の油剤は、油剤添加剤を添加していないため、80℃及び120℃において摩耗係数が高い。比較例3~6の油剤組成物は、80℃及び120℃において摩耗係数が比較的低いが、低温保管すると油剤添加剤が析出しており、改善が望まれる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の油剤添加剤は、各種の油剤組成物に添加される摩擦低減剤として有用である。