IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー イノテック カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-熱電素子 図1
  • 特許-熱電素子 図2
  • 特許-熱電素子 図3
  • 特許-熱電素子 図4
  • 特許-熱電素子 図5
  • 特許-熱電素子 図6
  • 特許-熱電素子 図7
  • 特許-熱電素子 図8
  • 特許-熱電素子 図9
  • 特許-熱電素子 図10
  • 特許-熱電素子 図11
  • 特許-熱電素子 図12
  • 特許-熱電素子 図13
  • 特許-熱電素子 図14
  • 特許-熱電素子 図15
  • 特許-熱電素子 図16
  • 特許-熱電素子 図17
  • 特許-熱電素子 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】熱電素子
(51)【国際特許分類】
   H10N 10/13 20230101AFI20241113BHJP
   H02N 11/00 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
H10N10/13
H02N11/00 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021543237
(86)(22)【出願日】2020-01-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-15
(86)【国際出願番号】 KR2020001194
(87)【国際公開番号】W WO2020153799
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】10-2019-0008471
(32)【優先日】2019-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0008472
(32)【優先日】2019-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517099982
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(72)【発明者】
【氏名】イ,スンファン
(72)【発明者】
【氏名】イ,セウン
(72)【発明者】
【氏名】カン,インソク
(72)【発明者】
【氏名】キム,スンチョル
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-214934(JP,A)
【文献】特開平06-174329(JP,A)
【文献】特開2006-234362(JP,A)
【文献】特開平08-293627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 10/13
H02N 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金属基板、
前記第1金属基板上に配置される第1樹脂層、
前記第1樹脂層上に配置された複数の第1電極、
前記複数の第1電極上に配置された複数のP型熱電レッグおよび複数のN型熱電レッグ、
前記複数のP型熱電レッグおよび複数のN型熱電レッグ上に配置された複数の第2電極、
前記複数の第2電極上に配置される第2樹脂層、そして
前記第2樹脂層上に配置される第2金属基板を含み、
前記第1金属基板は低温部であり、前記第2金属基板は高温部であり、
前記第2樹脂層は前記複数の第2電極と直接接触する第1レイヤおよび前記第1レイヤ上に配置され前記第2金属基板と直接接触する第2レイヤを含み、
前記第1レイヤおよび前記第2レイヤはシリコン(Si)系樹脂を含み、
前記第1樹脂層の接合強度は第2樹脂層の接合強度より高く、
前記第1レイヤの厚さに対する前記第2レイヤの厚さの比は0.2~2.5であ
前記第1レイヤはポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane、PDMS)および酸化アルミニウムを含み、
前記第2レイヤはポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane、PDMS)および銀(Ag)を含み、
前記第1レイヤの熱伝導度は前記第2レイヤの熱伝導度より低い、又は
前記第1レイヤの電気抵抗は前記第2レイヤの電気抵抗より高い、熱電素子。
【請求項2】
前記第1金属基板および第2金属基板のうち少なくとも一つはアルミニウムを含む、請求項1に記載の熱電素子。
【請求項3】
前記第2樹脂層の厚さは前記第1樹脂層の厚さより大きいか同一である、請求項1に記載の熱電素子。
【請求項4】
前記第1樹脂層の厚さに対する第2樹脂層の厚さの比は1~5である、請求項3に記載の熱電素子。
【請求項5】
前記第1レイヤの熱伝導度は1.5~3.5W/mKであり、前記第2レイヤの熱伝導度は6.0~10.0W/mKである、請求項に記載の熱電素子。
【請求項6】
前記第1レイヤと前記第2レイヤの間に配置されたポリイミド(Polyimide)層をさらに含み、前記第1レイヤと前記第2レイヤはポリシロキサン(Polysiloxan)系樹脂を含む、請求項3に記載の熱電素子。
【請求項7】
前記第1レイヤおよび第2レイヤは150~200℃の温度で1kgf/mm以下の接合強度を有する、請求項に記載の熱電素子。
【請求項8】
前記第1レイヤと前記ポリイミド(Polyimide)層の間に第3レイヤをさらに含む、請求項に記載の熱電素子。
【請求項9】
前記第2レイヤと前記ポリイミド(Polyimide)層の間に第4レイヤをさらに含む、請求項に記載の熱電素子。
【請求項10】
前記第1~第4レイヤそれぞれの熱伝導度は前記第2金属基板に隣接するほど大きくなる、請求項に記載の熱電素子。
【請求項11】
前記第1金属基板および第2金属基板のうち他の少なくとも一つは銅(Cu)を含む、請求項2に記載の熱電素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱電素子に関し、より詳細には熱電素子の接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
熱電現象は材料内部の電子(electron)と正孔(hole)の移動によって発生する現象であり、熱と電気の間の直接的なエネルギー変換を意味する。
【0003】
熱電素子は熱電現象を利用する素子の総称であり、P型熱電材料とN型熱電材料を金属電極の間に接合させてPN接合対を形成する構造を有する。
【0004】
熱電素子は電気抵抗の温度変化を利用する素子、温度差によって起電力が発生する現象であるゼーベック効果を利用する素子、電流による吸熱または発熱が発生する現象であるペルティエ効果を利用する素子などに区分され得る。熱電素子は家電製品、電子部品、通信用部品などに多様に適用されている。例えば、熱電素子は冷却用装置、温熱用装置、発電用装置などに適用され得る。これに伴い、熱電素子の熱電性能に対する要求はますます高まっている。
【0005】
熱電素子は基板、電極および熱電レッグを含み、上部基板と下部基板の間に複数の熱電レッグがアレイの形態で配置され、複数の熱電レッグと上部基板の間に複数の上部電極が配置され、複数の熱電レッグとおよび下部基板の間に複数の下部電極が配置される。この時、上部基板と下部基板のうち一つは低温部となり、残りの一つは高温部となり得る。熱電素子が発電用装置に適用される場合、低温部と高温部間の温度差が大きいほど発電性能が高くなる。これに伴い、高温部は200℃以上に温度が上昇し得る。高温部の温度が200℃以上になると、高温部側の基板と電極間の熱膨張係数の差によってレッグとソルダー間に機械的に高いせん断応力が伝達される。この時、レッグとソルダー間に加えられるせん断応力を緩和するために、基板と電極の間の接合層を一定の厚さ以上に形成することができる。しかし、接合層の厚さが厚くなるほど熱抵抗が下がりながら熱電素子の発電性能が低下する問題点が発生する。そして、接合側は基板が過熱膨張する場合、せん断応力の緩和に限界があり、ソルダリング部位にクラックが発生する問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が達成しようとする技術的課題は熱電素子の接合構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施例に係る熱電素子は、第1金属基板、前記第1金属基板上に配置される第1樹脂層、前記第1樹脂層上に配置された複数の第1電極、前記複数の第1電極上に配置された複数のP型熱電レッグおよび複数のN型熱電レッグ、前記複数のP型熱電レッグおよび複数のN型熱電レッグ上に配置された複数の第2電極、前記複数の第2電極上に配置される第2樹脂層、そして前記第2樹脂層上に配置される第2金属基板を含み、前記第1金属基板は低温部であり、前記第2金属基板は高温部であり、前記第2樹脂層は前記複数の第2電極と直接接触する第1レイヤおよび前記第1レイヤ上に配置され前記第2金属基板と直接接触する第2レイヤを含み、前記第1レイヤおよび前記第2レイヤはシリコン(Si)系樹脂を含み、前記第1樹脂層の接合強度は第2樹脂層の接合強度より高くてもよい。
【0008】
前記第1金属基板および第2金属基板のうち少なくとも一つはアルミニウムを含むことができる。
【0009】
前記第2樹脂層の厚さは前記第1樹脂層の厚さより大きいか同一であってもよい。
【0010】
前記第1樹脂層の厚さに対する第2樹脂層の厚さの比は1~5であり得る。
【0011】
前記第1レイヤはポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane、PDMS)および酸化アルミニウムを含み、前記第2レイヤはポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane、PDMS)および銀(Ag)を含むことができる。
【0012】
前記第1レイヤの熱伝導度は前記第2レイヤの熱伝導度より低くてもよい。
【0013】
前記第1レイヤの電気抵抗は前記第2レイヤの電気抵抗より高くてもよい。
【0014】
前記第1レイヤの熱伝導度は1.5~3.5W/mKであり、前記第2レイヤの熱伝導度は6.0~10.0W/mKであり得る。
【0015】
前記第1レイヤの厚さに対する前記第2レイヤの厚さの比は0.2~2.5であり得る。
【0016】
前記第1レイヤと前記第2レイヤ間に配置されたポリイミド(Polyimide)層をさらに含み、前記第1レイヤと前記第2レイヤはポリシロキサン(Polysiloxan)系樹脂を含むことができる。
【0017】
前記第1レイヤおよび第2レイヤは150~200℃の温度で1kgf/mm以下の接合強度を有することができる。
【0018】
前記第1レイヤと前記ポリイミド(Polyimide)層間に第3レイヤをさらに含むことができる。
【0019】
前記第2レイヤと前記ポリイミド(Polyimide)層間に第4レイヤをさらに含むことができる。
【0020】
前記第1~第4レイヤそれぞれの熱伝導度は前記第2金属基板に隣接するほど大きくなり得る。
【0021】
前記第1金属基板および第2金属基板のうち他の少なくとも一つは銅(Cu)を含むことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施例によると、基板と電極の間の接合層の厚さを確保して、レッグのソルダリング部位に加えられるせん断応力を緩和し、高温での熱電素子の耐久性を高めることができる。これとともに、接合層の基板と接合する部分を伝導性が優秀な物質で構成することによって、接合層の厚さが増加するにつれて熱伝導度が低下する現象を防止し、熱電素子の発電性能を維持することができる。
【0023】
本発明の実施例によると、基板と電極の間を粘着性物質で接合することにより、基板の熱膨張によってレッグのソルダリング部位に機械的せん断応力が伝達されることを効果的に遮断することができる。
【0024】
そして、本発明の実施例によると、基板と電極の間の接合層の厚さを確保して、レッグのソルダリング部位に加えられるせん断応力を緩和し、高温での熱電素子の耐久性を高めることができる。これとともに、接合層の基板と接合する部分を伝導性が優秀な物質で構成することにより、接合層の厚さが増加するにつれて熱伝導度が低下する現象を防止し、熱電素子の発電性能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1実施例に係る熱電素子の断面図である。
【0026】
図2】本発明の第1実施例に係る熱電素子に含まれる第1金属基板の上面図である。
【0027】
図3】本発明の第1実施例に係る熱電素子に含まれる第1金属基板の側面図である。
【0028】
図4図3の部分拡大図である。
【0029】
図5】本発明の第1実施例に係る熱電素子の斜視図である。
【0030】
図6】本発明の第1実施例に係る熱電素子の分解斜視図である。
【0031】
図7】本発明の第1実施例に係る熱電素子の部分拡大図である。
【0032】
図8】本発明の第1実施例に係る熱電素子が発電中である状態を図示した図面である。
【0033】
図9】本発明の第2実施例に係る熱電素子の断面図である。
【0034】
図10図9の部分拡大図である。
【0035】
図11】本発明の第2実施例に係る熱電素子に電源を印加した状態を図示した図面である。
【0036】
図12】本発明の第3実施例に係る熱電素子の断面図である。
【0037】
図13】本発明の第3実施例に係る熱電素子の部分拡大図である。
【0038】
図14】本発明の第3実施例に係る熱電素子が発電中である状態を図示した図面である。
【0039】
図15】本発明の第4実施例に係る熱電素子の断面図である。
【0040】
図16図15の部分拡大図である。
【0041】
図17】本発明の第4実施例に係る熱電素子に電源を印加した状態を図示した図面である。
【0042】
図18】第3実施例と比較例の温度サイクル試験のサイクル(Cycle)数に対する抵抗変化率を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0044】
ただし、本発明の技術思想は説明される一部の実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現され得、本発明の技術思想範囲内であれば、実施例間にその構成要素のうち一つ以上を選択的に結合、置換して使うことができる。
【0045】
また、本発明の実施例で使われる用語(技術および科学的用語を含む)は、明白に特に定義されて記述されない限り、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に一般的に理解され得る意味で解釈され得、辞書に定義された用語のように一般的に使われる用語は関連技術の文脈上の意味を考慮してその意味を解釈することができるであろう。
【0046】
また、本発明の実施例で使われた用語は実施例を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。
【0047】
本明細書で、単数型は文面で特に言及しない限り複数型も含むことができ、「Aおよび(と)B、Cのうち少なくとも一つ(または一つ以上)」と記載される場合、A、B、Cで組み合わせできるすべての組み合わせのうち一つ以上を含むことができる。
【0048】
また、本発明の実施例の構成要素を説明するにおいて、第1、第2、A、B、(a)、(b)等の用語を使うことができる。
【0049】
このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって該当構成要素の本質や順番または順序などに限定されない。
【0050】
そして、ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載された場合、その構成要素はその他の構成要素に直接的に連結、結合または接続される場合だけでなく、その構成要素とその他の構成要素の間にあるさらに他の構成要素によって「連結」、「結合」または「接続」される場合も含み得る。
【0051】
また、各構成要素の「上(うえ)または下(した)」に形成または配置されるものと記載される場合、上(うえ)または下(した)は二つの構成要素が互いに直接接触する場合だけでなく、一つ以上のさらに他の構成要素が二つの構成要素の間に形成または配置される場合も含む。また、「上(うえ)または下(した)」で表現される場合、一つの構成要素を基準として上側方向だけでなく下側方向の意味も含み得る。
【0052】
図1は本発明の第1実施例に係る熱電素子の断面図であり、図2は本発明の第1実施例に係る熱電素子に含まれる第1金属基板の上面図であり、図3は本発明の第1実施例に係る熱電素子に含まれる第1金属基板の側面図であり、図4図3の部分拡大図であり、図5は本発明の第1実施例に係る熱電素子の斜視図であり、図6は本発明の第1実施例に係る熱電素子の分解斜視図である。
【0053】
図1図6を参照すると、熱電素子は第1金属基板110、第1樹脂層120、複数の第1電極130、複数のP型熱電レッグ140、複数のN型熱電レッグ150、複数の第2電極160、第2樹脂層170、第2金属基板180およびシーリング手段190を含む。
【0054】
第1金属基板110は板状に形成される。第1金属基板110は第2金属基板180と向き合うように離隔して配置される。第1金属基板110はアルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金からなり得る。特に、第1金属基板110はアルミニウムからなり得る。この時、熱電素子に電圧を印加すると、第1金属基板110はペルティエ効果(Peltier effect)により熱を吸収して低温部として作用し、第2金属基板180は熱を放出して高温部として作用する。
【0055】
一方、第1金属基板110に互いに異なる温度を加えると、温度差によって高温領域の電子が低温領域に移動して熱起電力が発生する。これをゼーベック効果(Seebeck effect)といい、これによる熱起電力によって熱電素子の回路内に電気が発生する。
【0056】
ここで、第1金属基板110は第1樹脂層120と直接接触することができる。このために、第1金属基板110は両面のうち第1樹脂層120が配置される面すなわち、第1金属基板110の第1樹脂層120と向かい合う面の全体または部分に表面粗さが形成され得る。これによると、第1金属基板110と第1樹脂層120間の熱圧着時に第1樹脂層120が浮く問題を防止することができる。本明細書で表面粗さは凹凸を意味し、表面粗度と混用されることもある。
【0057】
図2~4を参照すると、第1金属基板110の両面のうち第1樹脂層120が配置される面すなわち、第1金属基板110の第1樹脂層120と向かい合う面は第1領域112および第2領域114を含み、第2領域114は第1領域112の内部に配置され得る。すなわち、第1領域112は第1金属基板110の縁から中央領域に向かって所定距離内に配置され得、第1領域112は第2領域114を囲むことができる。
【0058】
この時、第2領域114の表面粗さは第1領域112の表面粗さより大きく、第1樹脂層120は第2領域114上に配置され得る。ここで、第1樹脂層120は第1領域112と第2領域114間の境界から所定距離だけ離隔するように配置され得る。すなわち、第1樹脂層120は第2領域114上に配置されるものの、第1樹脂層120の縁は第2領域114の内部に位置することができる。これに伴い、第2領域114の表面粗さによって形成された溝400の少なくとも一部には、第1樹脂層120の一部すなわち、第1樹脂層120に含まれるエポキシ樹脂600および無機充填材の一部604が浸み込まれ得、第1樹脂層120と第1金属基板110間の接着力が高くなり得る。
【0059】
ただし、第2領域114の表面粗さは第1樹脂層120に含まれる無機充填材のうち一部の粒子の大きさD50よりは大きく、他の一部の粒子の大きさD50よりは小さく形成され得る。ここで、粒子の大きさD50は粒度分布曲線で重量百分率の50%に該当する粒径すなわち、通過質量百分率が50%となる粒径を意味し、平均粒径と混用され得る。第1樹脂層120が無機充填材として酸化アルミニウムと窒化ホウ素を含む場合を例に挙げると、酸化アルミニウムは第1樹脂層120と第1金属基板110間の接着性能に影響を及ぼさないが、窒化ホウ素は表面がなめらかであるため第1樹脂層120と第1金属基板110間の接着性能に悪い影響を及ぼし得る。これに伴い、第2領域114の表面粗さを、第1樹脂層120に含まれる酸化アルミニウムの粒子の大きさD50よりは大きいが、窒化ホウ素の粒子の大きさD50よりは小さく形成すれば、第2領域114の表面粗さによって形成された溝内には酸化アルミニウムのみが配置され、窒化ホウ素は配置され難いため第1樹脂層120と第1金属基板110は高い接合強度を維持することができる。
【0060】
このような表面粗さは表面粗さ測定機を利用して測定され得る。表面粗さ測定機は探針を利用して断面曲線を測定し、断面曲線の頂上線、谷底線、平均線および基準長さを利用して表面粗さを算出することができる。本明細書で、表面粗さは中心線平均算出法による算術平均粗さ(Ra)を意味し得る。算術平均粗さ(Ra)は下記の数式1を通じて得ることができる。
【数式1】
【0061】
【0062】
すなわち、表面粗さ測定機の探針を得た断面曲線を基準長さLだけ抜き取って、平均線方向をx軸とし、高さ方向をy軸として関数(f(x))で表現した時、数式2によって求められる値をμmで表すことができる。
【0063】
この時、図面には図示していないが、第1金属基板110は前面に第2領域114に対応する表面粗さが形成されることが可能である。また、第1金属基板110に形成された表面粗さは後述する第2金属基板180に同一に適用され得る。
【0064】
第1樹脂層120は第1金属基板110上に配置される。第1樹脂層120は第1金属基板110より少ない面積で形成される。このため、第1樹脂層120は第1金属基板110の縁から所定距離だけ離隔した領域に配置され得る。
【0065】
第1樹脂層120はエポキシ樹脂および無機充填材を含むエポキシ樹脂組成物からなるか、PDMS(polydimethylsiloxane)を含むシリコン樹脂組成物からなってもよい。
【0066】
ここで、無機充填材はエポキシ樹脂組成物の68~88vol%で含まれ得る。無機充填材が68vol%未満で含まれると熱伝導効果が低い可能性があり、無機充填材が88vol%を超過して含まれると樹脂層と金属基板間の接着力が低くなり得、樹脂層が容易に壊れ得る。
【0067】
エポキシ樹脂はエポキシ化合物および硬化剤を含むことができる。この時、エポキシ化合物10体積比に対して硬化剤1~10体積比で含まれ得る。ここで、エポキシ化合物は結晶性エポキシ化合物、非結晶性エポキシ化合物およびシリコンエポキシ化合物のうち少なくとも一つを含むことができる。結晶性エポキシ化合物はメソゲン(mesogen)構造を含むことができる。メソゲン(mesogen)は液晶(liquid crystal)の基本単位であり、剛性(rigid)構造を含む。そして、非結晶性エポキシ化合物は分子のうちエポキシ基を二個以上有する通常の非結晶性エポキシ化合物であり得、例えばビスフェノールAまたはビスフェノールFから誘導されるグリシジルエーテル化物であり得る。ここで、硬化剤はアミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、ポリメルカプタン系硬化剤、ポリアミノアミド系硬化剤、イソシアネート系硬化剤およびブロックイソシアネート系硬化剤のうち少なくとも一つを含むことができ、2種以上の硬化剤を混合して使用してもよい。
【0068】
無機充填材は酸化アルミニウムおよび窒化物を含むことができ、窒化物は無機充填材の55~95wt%で含まれ得、より好ましくは60~80wt%であり得る。窒化物がこのような数値範囲で含まれる場合、熱伝導度および接合強度を高めることができる。ここで、窒化物は、窒化ホウ素および窒化アルミニウムのうち少なくとも一つを含むことができる。ここで、窒化ホウ素は板状窒化ホウ素であるか、板状窒化ホウ素が固まった窒化ホウ素凝集体であり得、窒化ホウ素の表面は高分子樹脂でコーティングされ得る。ここで、窒化ホウ素と結合できるか、窒化ホウ素の表面をコーティングできるのであれば、どのような高分子樹脂も利用され得る。高分子樹脂は、例えばアクリル系高分子樹脂、エポキシ系高分子樹脂、ウレタン系高分子樹脂、ポリアミド系高分子樹脂、ポリエチレン系高分子樹脂、EVA(ethylene vinyl acetate copolymer)系高分子樹脂、ポリエステル系高分子樹脂およびPVC(polyvinyl chloride)系高分子樹脂からなるグループから選択され得る。そして、高分子樹脂は下記の単位体1を有する高分子樹脂であってもよい。
【0069】
単位体1は次の通りである。
【0070】
【単位体1】
【0071】
【0072】
ここで、R、R、RおよびRのうち一つはHであり、残りはC~Cアルキル、C~CアルケンおよびC~Cアルキンで構成されたグループから選択され、Rは線形、分枝状または環状の炭素数1~12である2価の有機リンカーであり得る。
【0073】
一実施例で、R、R、RおよびRのうち、Hを除いた残りのうちの一つはC~Cアルケンから選択され、残りのうち他の一つおよびさらに他の一つはC~Cアルキルから選択され得る。例えば、本発明の実施例に係る高分子樹脂は下記の単位体2を含むことができる。
【0074】
【単位体2】
【0075】
【0076】
または前記R、R、RおよびRのうちHを除いた残りはC~Cアルキル、C~CアルケンおよびC~Cアルキンで構成されたグループから互いに異なるように選択されてもよい。
【0077】
このように、単位体1または単位体2による高分子樹脂が窒化ホウ素にコーティングされると作用基の形成が容易となり、窒化ホウ素上に作用基が形成されると樹脂との親和度が高くなり得る。
【0078】
このように、第1金属基板110と複数の第1電極130の間に第1樹脂層120が配置されると、別途のセラミック基板がなくても第1金属基板110と複数の第1電極130の間の熱伝達が可能であり、第1樹脂層120自らの接着性能によって別途の接着剤または物理的な締結手段が不要である。特に、第1樹脂層120は既存のセラミック基板に比べて顕著に薄い厚さで具現できるため、複数の第1電極130と第1金属基板110間の熱伝達性能を改善することができ、熱電素子の全体的なサイズを減らすこともできる。
【0079】
複数の第1電極130は第1樹脂層120上に配置される。そして第1電極130上には複数のP型熱電レッグ140および複数のN型熱電レッグ150が配置される。この時、第1電極130はP型熱電レッグ140およびN型熱電レッグ150と電気的に連結される。ここで、第1電極130は銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)およびニッケル(Ni)のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0080】
複数のP型熱電レッグ140および複数のN型熱電レッグ150は第1電極130上に配置される。この時、P型熱電レッグ140およびN型熱電レッグ150は第1電極130とソルダリング(Soldering)によって接合され得る。
【0081】
この時、P型熱電レッグ140およびN型熱電レッグ150はビズマス(Bi)およびテルル(Te)を主原料として含むピスムステルライド(Bi-Te)系熱電レッグであり得る。P型熱電レッグ140は全体重量100wt%に対してアンチモン(Sb)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、鉛(Pb)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、テルル(Te)、ビズマス(Bi)およびインジウム(In)のうち少なくとも一つを含むピスムステルライド(Bi-Te)系主原料物質99~99.999wt%とBiまたはTeを含む混合物0.001~1wt%を含む熱電レッグであり得る。例えば、主原料物質がBi-Se-Teであり、BiまたはTeを全体重量の0.001~1wt%でさらに含むことができる。N型熱電レッグ150は全体重量100wt%に対してセレン(Se)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、鉛(Pb)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、テルル(Te)、ビズマス(Bi)およびインジウム(In)のうち少なくとも一つを含むピスムステルライド(Bi-Te)系主原料物質99~99.999wt%とBiまたはTeを含む混合物0.001~1wt%を含む熱電レッグであり得る。例えば、主原料物質がBi-Sb-Teであり、BiまたはTeを全体重量の0.001~1wt%でさらに含むことができる。
【0082】
P型熱電レッグ140およびN型熱電レッグ150はバルク型または積層型で形成され得る。一般的にバルク型P型熱電レッグ140またはバルク型N型熱電レッグ150は、熱電素材を熱処理してインゴット(ingot)を製造し、インゴットを粉砕して篩分けして熱電レッグ用粉末を取得した後、これを焼結し、焼結体をカッティングする過程を通じて得られ得る。積層型P型熱電レッグ140または積層型N型熱電レッグ150はシート状の基材上に熱電素材を含むペーストを塗布して単位部材を形成した後、単位部材を積層しカッティングする過程を通じて得られ得る。
【0083】
この時、一対のP型熱電レッグ140およびN型熱電レッグ150は同じ形状および体積を有したり、互いに異なる形状および体積を有し得る。例えば、P型熱電レッグ140とN型熱電レッグ150の電気伝導特性が異なるので、N型熱電レッグ150の高さまたは断面積をP型熱電レッグ140の高さまたは断面積と異なるように形成してもよい。
【0084】
本発明の一実施例に係る熱電素子の性能は熱電性能指数で示し得る。熱電性能指数(ZT)は数式2のように表すことができる。
【数式2】
【0085】
【0086】
ここで、αはゼーベック係数[V/K]であり、σは電気伝導度[S/m]であり、ασはパワー因子(Power Factor、[W/mK])である。そして、Tは温度であり、kは熱伝導度[W/mK]である。kはacpρで表すことができ、aは熱拡散度[cm/S]であり、cpは比熱[J/gK]であり、ρは密度[g/cm]である。
【0087】
熱電素子の熱電性能指数を得るために、Zメーターを利用してZ値(V/K)を測定し、測定したZ値を利用して熱電性能指数(ZT)を計算することができる。
【0088】
P型熱電レッグ140またはN型熱電レッグ150は円筒状、多角柱状、楕円柱状などを有することができる。またはP型熱電レッグ140またはN型熱電レッグ150は積層型構造を有してもよい。例えば、P型熱電レッグまたはN型熱電レッグはシート状の基材に半導体物質が塗布された複数の構造物を積層した後、これを切断する方法で形成され得る。これに伴い、材料の損失を防止し、電気伝導特性を向上させることができる。またはP型熱電レッグ140またはN型熱電レッグ150はゾーンメルティング(zone melting)方式または粉末焼結方式により製作され得る。ゾーンメルティング方式によると、熱電素材を利用してインゴット(ingot)を製造した後、インゴットにゆっくり熱を加えて単一の方向に粒子が再配列されるようにリファイニングし、ゆっくり冷却させる方法で熱電レッグを得る。粉末焼結方式によると、熱電素材を利用してインゴットを製造した後、インゴットを粉砕して篩分けして熱電レッグ用粉末を取得し、これを焼結する過程を通じて熱電レッグを得る。
【0089】
複数の第2電極160は複数のP型熱電レッグ140および複数のN型熱電レッグ150上に配置される。この時、P型熱電レッグ140およびN型熱電レッグ150は第2電極160にソルダリングによって接合され得る。この時、ソルダリングされた部分はせん断に応力が加えられる場合、ソルダリング部分にクラックが形成され得る。ここで、第2電極160は銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)およびニッケル(Ni)のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0090】
第2樹脂層170は複数の第2電極160上に配置される。そして、第2樹脂層170上には第2金属基板180が配置される。第2樹脂層170は第2金属基板180より少ない面積で形成され得る。したがって、第2樹脂層170は第2金属基板180の縁から所定距離だけ離隔した領域内に配置され得る。
【0091】
この時、第1樹脂層120と第2樹脂層170の大きさは異なるように形成されてもよい。例えば、第1樹脂層120と第2樹脂層170のうち一つの体積、厚さまたは面積は他の一つの体積、厚さまたは面積より大きく形成され得る。ペルティエまたはゼーベック素子で第2金属基板180領域の温度が第1金属基板110領域の温度より高い場合、第2樹脂層170と直接接触する複数の第2電極160または第2金属基板180との接合強度は、第1樹脂層120と直接接触する複数の第1電極130または第1金属基板110との接合強度対比さらに低くてもよい。第1樹脂層120と複数の第1電極130または第1金属基板110との接合強度は5kgf/mm以上であり得、好ましくは10kgf/mm以上、さらに好ましくは15kgf/mm以上であり得る。これに反し、第2樹脂層170と複数の第2電極160または第2金属基板180との接合強度は1kgf/mm以下の接合強度を有することができる。
【0092】
この時、第1樹脂層の厚さT1より第2樹脂層の厚さT2が大きいか同一であってもよい。好ましくは、第1樹脂層120の厚さT1は約40μmであり、第2樹脂層170の厚さT2は40~200μmであり得る。すなわち、第1樹脂層120の厚さT1に対する第2樹脂層170の厚さT2の比は1~5であり得る。
【0093】
第2樹脂層170はP型熱電レッグ140およびN型熱電レッグ150で発生した熱を第2金属基板180に伝達したり、第2金属基板180から収得された外部の熱をP型熱電レッグ140およびN型熱電レッグ150に伝達するとともに、第2金属基板180と第2電極160の間に電流が通じることを防止することができる。このために、第2樹脂層170は第2電極160に隣接した部分は絶縁性が相対的に高く、第2金属基板180に隣接した部分は熱伝導度が相対的に高くてもよい。本明細書で絶縁性は電気抵抗を意味し得る。例えば、絶縁性が高いという意味は電気抵抗が高いという意味で解釈することができる。また、第1金属基板110と第2金属基板180はそれぞれ放熱フィン115、185と一体に形成されたものとして図示されたが、これに限定されず、第1金属基板110と第2金属基板180のうち少なくとも一つは熱的特性を考慮して放熱フィンを省略したり、放熱フィンと一体に形成されなくてもよい。詳しくは、第1金属基板110は第1放熱フィン115を省略し低温領域と接触され得、第2金属基板180は第2放熱フィン185と一体に形成されず、別途の放熱フィンを接合させて高温領域に配置させることができる。
【0094】
図7は、本発明の一実施例に係る熱電素子の部分拡大図である。
【0095】
図7を参照すると、第2樹脂層170は第1レイヤ171および第2レイヤ172を含む。
【0096】
第1レイヤ171は第2電極160と直接接触する。第1レイヤ171は絶縁性を有し、第2電極160に流れる電流が第2金属基板180に伝達されることを遮断する役割をする。このために、第1レイヤ171はマトリックス樹脂と絶縁性フィラーを含むことができる。ここで、マトリックス樹脂はポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane、PDMS)を含むことができる。また、前記絶縁性フィラーは酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素などのセラミック粉末を含むことができる。好ましくは、セラミック粉末は50~99wt%で含まれ得る。さらに好ましくは、酸化アルミニウム粉末は50~99wt%で含まれ得る。この時、第1レイヤ171の熱伝導度は1.5~3.5W/mKであり得る。
【0097】
第2レイヤ172は第1レイヤ171上に配置され、第2金属基板180と直接接触する。第2レイヤ172は第1レイヤ171と直接接触する。この時、第2レイヤ172は伝導性を有し、P型熱電レッグ140およびN型熱電レッグ150で発生する熱を第2金属基板180に伝達したり第2金属基板180から取得された外部の熱をP型熱電レッグ140およびN型熱電レッグ150に伝達する。
【0098】
第2レイヤ172はマトリックス樹脂と伝導性フィラーを含むことができる。ここでマトリックス樹脂はシリコン樹脂を含むことができ、例えば、ポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane、PDMS)を含むことができる。この時、第2レイヤ172に適用されたマトリックス樹脂は第1レイヤ171に適用されたマトリックス樹脂と同一であることが好ましい。また、伝導性フィラーは銀(Ag)系、金(Au)系、アルミニウム(Al)系などの金属粉末を含むことができる。好ましくは、金属粉末は50~99wt%で含まれ得る。さらに好ましくは、銀(Ag)系金属粉末は50~99wt%で含まれ得る。この時、第2レイヤ172の熱伝導度は6.0~10.0W/mKであり得る。
【0099】
ここで第1レイヤ171および第2レイヤ172は粘着性または接着性を有することができる。
【0100】
第1レイヤ171の厚さt1は約40~100μmであり得る。この時、第1レイヤ171の厚さt1が40μm未満の場合、絶縁性が確保されないため通電の危険があり、第1レイヤ171の厚さt2が40μmより増加する場合、熱伝導度が減少する現象が発生して熱電素子の発電性能が低下し得る。また、第2レイヤ172の厚さt2は40~200μmであり得る。すなわち、第1レイヤ171の厚さt1に対する第2レイヤ172の厚さt2の比は0.2~2.5であり得る。
【0101】
第2金属基板180は第1金属基板110に向き合って第2樹脂層170上に配置される。第2金属基板180はアルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金からなり得る。特に、第2金属基板180はアルミニウムからなり得る。この時、発電のために第2金属基板180を高温領域に配置したり、熱電素子に電流を加えて第2金属基板180をペルティエ効果による高温部として適用することができる。
【0102】
この時、第2金属基板180は両面のうち第2樹脂層170が配置される面すなわち、第1金属基板180の第2樹脂層170と向かい合う面の全体または部分に表面粗さが形成され得る。
【0103】
ここで、第1金属基板110と第2金属基板180の面積は40mm×40mm~200mm×200mmであり、厚さは1~100mmであり得る。この時、第1金属基板110と第2金属基板180の面積または厚さは同一であるか、互いに異なり得る。
【0104】
図8は、本発明の第1実施例に係る熱電素子が発電中である状態を図示した図面である。
【0105】
図8を参照すると、熱電素子の第2金属基板180を高温領域に配置し、第1金属基板110を低温領域に配置すれば、ゼーベック効果によって直列連結された複数の熱電レッグ間の電子の移動によって電気が生成される。この時、高温に露出した第2金属基板180は熱によって体積が膨張し得る。この時、第2金属基板180の水平方向の膨張によって、第2樹脂層170にせん断方向の応力が加えられ得る。せん断応力は第2電極160のソルダリング部分まで伝達されて、ソルダリング部分にクラック(Crack)を発生させ、高温での耐久性を低下させ得る。この時、実施例に係る熱電素子は第2樹脂層170の厚さを確保し、ソルダリング接合部分に伝達されるせん断応力を緩和し、高温での耐久性を確保することができる。この時、第2樹脂層170は第2金属基板180側に行くほど第2金属基板180と水平方向に幅が増加し得る。一方、図示されていないが、熱電素子に電圧が印加された時にペルティエ効果によって第2金属基板180が高温部作動時に発生する熱膨張にも同一に適用され得る。
【0106】
再び図5および図6を参照すると、シーリング手段190は第1樹脂層120の側面と第2樹脂層170の側面に配置され得る。すなわち、シーリング手段190は第1金属基板110と第2金属基板180の間に配置され、第1樹脂層120の側面、複数の第1電極130の最外郭、複数のP型熱電レッグ140および複数のN型熱電レッグ150の最外郭、複数の第2電極160の最外郭および第2樹脂層170の側面を囲むように配置され得る。これに伴い、第1樹脂層120、複数の第1電極130、複数のP型熱電レッグ140、複数のN型熱電レッグ150、複数の第2電極160および第2樹脂層は外部の湿気、熱、汚染などからシーリングされ得る。
【0107】
ここで、シーリング手段190は第1樹脂層120の側面、複数の第1電極130の最外郭、複数のP型熱電レッグ140および複数のN型熱電レッグ150の最外郭、複数の第2電極160の最外郭および第2樹脂層170の側面から所定距離離隔して配置されるシーリングケース192、シーリングケース192と第2金属基板180の間に配置されるシーリング材194、シーリングケース192と第1金属基板110の間に配置されるシーリング材196を含むことができる。このように、シーリングケース192はシーリング材194、196を媒介として第1金属基板110および第2金属基板180と接触することができる。これに伴い、シーリングケース192が第1金属基板110および第2金属基板180と直接接触する場合、シーリングケース192を通じて熱伝導が起きることになり、その結果、△Tが低くなる問題を防止することができる。
【0108】
ここで、シーリング材(194、196)はエポキシ樹脂およびシリコン樹脂のうち少なくとも一つを含んだり、エポキシ樹脂およびシリコン樹脂のうち少なくとも一つが両面に塗布されたテープを含むことができる。シーリング材194、196はシーリングケース192と第1金属基板110の間およびシーリングケース192と第2金属基板180の間を気密にする役割をし、第1樹脂層120、複数の第1電極130、複数のP型熱電レッグ140、複数のN型熱電レッグ150、複数の第2電極160および第2樹脂層170のシーリング効果を高めることができ、仕上げ材、仕上げ層、防水材、防水層などと混用され得る。
【0109】
一方、シーリングケース192には電極に連結されたワイヤーW1、W2を引き出すためのガイド溝Gが形成され得る。このために、シーリングケース192はプラスチックなどからなる射出成形物であり得、シーリングカバーと混用され得る。
【0110】
シーリング手段190の構造を具体的に図示しているが、これは例示に過ぎず、シーリング手段190は多様な形態に変形され得る。
【0111】
図示されていないが、シーリング手段190を囲むように断熱材がさらに含まれてもよい。またはシーリング手段190は断熱成分を含んでもよい。
【0112】
図9は本発明の第2実施例に係る熱電素子の断面図であり、図10図9の部分拡大図であり、図11は本発明の第2実施例に係る熱電素子に電源を印加した状態を図示した図面である。
【0113】
本発明の他の実施例によると、第2樹脂層200は複数のレイヤを含むことができる。この時、複数のレイヤは少なくとも3個以上であり、互いに直接接触し得る。この時、第2樹脂層200に含まれたレイヤの個数は変形可能である。
【0114】
図9および図10を参照すると、第2樹脂層200は第1~第4レイヤ201、202、203、204を含む。この時、第1~第4レイヤ201、202、203、204は互いに異なる材質からなる。また、第1~第4レイヤ201、202、203、204は互いに異なる熱伝導度を有することができる。第1~第4レイヤ201、202、203、204は第1金属基板110から第2金属基板180に行くほど熱伝導性が高い順で配置される。
【0115】
第1~第4レイヤ201、202、203、204はマトリックス樹脂と伝導性フィラーまたは絶縁性フィラーを含むことができる。ここでマトリックス樹脂はシリコン樹脂を含むことができ、例えばポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane、PDMS)を含むことができる。この時、第1~第4レイヤ201、202、203、204に含まれた伝導性フィラーまたは絶縁性フィラーの含量は互いに異なり得る。
【0116】
図11を参照すると、熱電素子の第2金属基板180を高温領域に配置し、第1金属基板110を低温領域に配置すれば、ゼーベック効果によって直列連結された複数の熱電レッグ間の電子の移動によって電気が生成される。この時、高温に露出した第2金属基板180は熱によって体積が膨張し得る。この時、第2金属基板180の水平方向の膨張によって、第2樹脂層200にせん断方向の応力が加えられ得る。この時、第2樹脂層200は第1レイヤ211から第4レイヤ(214)に行くほど第2金属基板180の水平方向に幅が増加し得る。図示されていないが、熱電素子に電圧が印加された時にペルティエ効果によって第2金属基板180が高温部作動時に発生する熱膨張にも同一に適用され得る。
【0117】
以下、実施例および比較例に係る熱電素子を通じて本発明をより詳細に説明する。このような実施例は、本発明をより詳細に説明するために例示として提示したものに過ぎない。したがって、本発明はこのような実施例に限定されるものではない。
【0118】
比較例に係る熱電素子と実施例に係る熱電素子はいずれも、図1の構造のような第1金属基板、第1樹脂層、複数の第1電極、複数のP型熱電レッグ、複数のN型熱電レッグ、複数の第2電極、第2樹脂層および第2金属基板を含む40mm×40mmの大きさの発電用熱電素子の第1金属基板領域に35℃、第2金属基板領域に200℃の温度を加えた環境での測定結果である。比較例に係る熱電素子は第2樹脂層をすべて絶縁性を有する樹脂剤で形成し、実施例に係る熱電素子は第2樹脂層が第1レイヤと第2レイヤで構成され、第1レイヤは絶縁性を有し第2レイヤは伝導性を有するものとして製作した。この時、第1レイヤの厚さは40μmに固定しておき、第2レイヤの厚さを変更して熱電素子の発電量と発電量減少率を測定した。
【0119】
【表1】
【0120】
表1を参照すると、比較例に係る熱電素子は第2樹脂層の厚さが増加するほど発電量が減少し、発電量減少率が増加することが分かる。一方、実施例に係る熱電素子は第2樹脂層の厚さが増加するほど発電量が多少減少し、発電量減少率が増加するが、比較例より発電量が顕著に少ない幅で減少することが分かる。すなわち、実施例に係る熱電素子は熱応力を緩和するために第2樹脂層の厚さを増加させても熱伝導性が大きく低下されず、十分な発電性能を確保することができる。
【0121】
以下では、本発明の他の実施例に関して図12図14を参照して説明することにする。本実施例に係る熱電素子は第2樹脂層を除いては図1図6の熱電素子と実質的に同一である。したがって、図1図6の熱電素子と同一の構成要素は同一の図面符号を付し、重複する説明を省略する。
【0122】
図12は本発明の第3実施例に係る熱電素子の断面図であり、図13は本発明の第3実施例に係る熱電素子の部分拡大図であり、図14は本発明の第3実施例に係る熱電素子が発電中である状態を図示した図面である。
【0123】
図12および図13を参照すると、第2樹脂層210は第1レイヤ211、第2レイヤ212およびポリイミド層213を含む。この時、第1レイヤ211と第2レイヤ212は粘着性を有することができる。例えば、第2樹脂層はポリイミド(Polyimide)層の両面に粘着層が形成され得る。
【0124】
ここで、第1金属基板110と第2金属基板180の面積は40mm×40mm~200mm×200mmであり、厚さは1~100mmであり得る。この時、第1金属基板110と第2金属基板180の面積または厚さは同一であるか、互いに異なり得る。
【0125】
第1レイヤ211は第2電極160と直接接触する。より好ましくは、第1レイヤ211はポリシロキサン(Polysiloxan)系粘着剤であり得る。この時、第1レイヤ211は露出温度が増加するほど接合強度が低くなる。すなわち、露出温度が増加するにつれて流動性が高くなりながら第2電極160と接合された部分が流動的に変形され得る。したがって、第1レイヤ211はせん断応力が加えられても第2電極160との接合された部分が流動的に押されながら第2電極160にせん断応力が伝達されることを遮断することができる。この時、第1レイヤ211は150~200℃の温度で1kgf/mm以下の接合強度を有することができる。好ましくは、第1レイヤ211は150~200℃の温度で0.5kgf/mm以下の接合強度を有することができ、さらに好ましくは、第1レイヤ211は150~200℃の温度で0.1kgf/mm以下の接合強度を有することができる。
【0126】
第2レイヤ212は第1レイヤ211と離隔して積層され、第2金属基板180と直接接触する。より好ましくは、第2レイヤ212はポリシロキサン(Polysiloxan)系粘着剤であり得る。この時、第2レイヤ212は露出温度が増加するほど接合強度が低くなる。すなわち、露出温度が増加するにつれて流動性が高くなりながら第2金属基板180と接合された部分が流動的に変形され得る。このため、第2金属基板180が高温で膨張しても第2金属基板180との接合された部分が流動的に押されながら第2金属基板180からせん断応力が加えられることを遮断することができる。この時、第2レイヤ212は150~200℃の温度で1kgf/mm以下の接合強度を有することができる。好ましくは、第2レイヤ212は150~200℃の温度で0.5kgf/mm以下の接合強度を有することができ、さらに好ましくは、第2レイヤ212は150~200℃の温度で0.1kgf/mm以下の接合強度を有することができる。
【0127】
第2レイヤ212の接合強度は第1レイヤ211の接合強度と同一であるかさらに高くてもよい。
【0128】
ポリイミド層213は第1レイヤ211と第2レイヤ212の間に積層される。この時、ポリイミド層213の一面は第1レイヤ211の上面と接触し、他面は第2レイヤ212の下面と接触する。ポリイミド層213は絶縁性を有し、第2電極160の電流が第2金属基板180に伝達されることを遮断する。ポリイミド層213はポリイミド(Polyimide)系素材であり得る。この時、ポリイミド層の代わりに、他の絶縁性物質を含む絶縁層が配置されることも可能である。一方、ポリイミド層213の厚さt1は1~500μmであり得る。ポリイミド層213は厚さt1が増加するほど熱伝導性および熱電破壊電圧が低くなるため通電の危険性が低くなる。その反面、ポリイミド層213は厚さt1が増加するほど熱伝導度が低くなるため発電性能が低下する傾向がある。
【0129】
次の表2はポリイミド層の厚さによる絶縁破壊電圧、熱伝導度および熱伝導性を示した表である。
【0130】
【表2】
【0131】
表2を詳察すると、ポリイミド層213の厚さは約5umであり得る。この時、ポリイミド層の厚さが増加するほど絶縁破壊電圧は高くなり、熱伝導度および熱伝導性は低くなることが分かる。この時、熱電素子で要求される絶縁破壊電圧は1kV未満であって、ポリイミド層の厚さを約5umに形成する場合、過負荷によって破損することなく、高い熱伝導性を確保することができる。
【0132】
以下、表3および図18を参照して、実施例および比較例に係る熱電素子を通じて本発明をさらに詳細に説明する。このような実施例は本発明をさらに詳細に説明するために例示として提示したものに過ぎない。したがって、本発明はこのような実施例に限定されるものではない。下記の表3は実施例と比較例の温度サイクル試験に対する測定結果であり、図18は実施例と比較例の温度サイクル試験のサイクル(Cycle)数に対する抵抗変化率を示したグラフである。
【0133】
比較例に係る熱電素子と実施例に係る熱電素子はいずれも、第1金属基板、第1樹脂層、複数の第1電極、複数のP型熱電レッグ、複数のN型熱電レッグ、複数の第2電極、第2樹脂層および第2金属基板を含む40mm×40mmの大きさの発電用熱電素子である。比較例に係る熱電素子は第1樹脂層と第2樹脂層をすべて5kgf/mm以上の接合強度を有する樹脂剤で形成した反面、実施例に係る熱電素子は第1樹脂層を5kgf/mm以上の接合強度を有する樹脂剤で形成し、第2樹脂層を両面にポリシロキサン系粘着層が形成されたポリイミド系フィルムで配置した。
【0134】
温度サイクル試験は、第1金属基板の温度は25℃で維持させた状態で、第2金属基板の温度を50℃から180℃に変化させる昇温ステップと、温度を180℃から50℃に変化させる減温ステップを一回ずつ遂行するのを1サイクルとして合計5000サイクルを遂行した。この時、昇温ステップで昇温速度は30℃/minであり、減温ステップで減温速度は22℃/minである。
【0135】
【表3】
【0136】
表3および図18を参照すると、比較例に係る熱電素子は0~200サイクルまでは抵抗が急増し発電量が急減したし、200サイクルが超過すると熱電素子の破壊現象が発生したことを確認することができた。反面、実施例に係る熱電素子は5000サイクルの間抵抗の変化率はいずれも5%以内に変化したし発電量は増加した。また、5000サイクルを維持する間熱電素子の破壊現象が発生しないことを確認することができた。すなわち、実施例に係る熱電素子は比較例に係る熱電素子と比較して熱変化による製品耐久性が強く、高温での発電性能が優秀であることが分かる。
【0137】
図14を参照すると、熱電素子の第2金属基板180を高温領域に配置し、第1金属基板110を低温領域に配置すれば、ゼーベック効果によって直列連結された複数の熱電レッグ間の電子の移動によって電気が生成される。この時、高温に露出した第2金属基板180は熱によって体積が膨張し得る。この時、第2金属基板180の水平方向の膨張によって、第2樹脂層210にせん断方向の応力が加えられ得る。せん断応力は第2電極160のソルダリング部分まで伝達されてソルダリング部分にクラック(Crack)を発生させ、高温での耐久性を低下させ得る。この時、実施例に係る熱電素子は、第2樹脂層210を粘着性物質で構成して第2金属基板180が高温で膨張しても第2樹脂層210が第2金属基板180に対して流動的に押されるように具現することにより、ソルダリング部分に伝達されるせん断応力を緩和し、熱電素子の高温耐久性を確保することができる。図示されていないが、熱電素子に電圧が印加された時にペルティエ効果によって第2金属基板180が高温部作動時に発生する熱膨張にも同一に適用され得る。
【0138】
以下では、本発明の第4実施例に関して図15図17を参照して説明することにする。本実施例に係る熱電素子は第2樹脂層を除いては図12図14の熱電素子と実質的に同一である。したがって、図12図14の熱電素子と同一の構成要素は同一の図面符号を付し、重複する説明を省略することにする。
【0139】
図15は本発明の第4実施例に係る熱電素子の断面図であり、図16図15の部分拡大図であり、図17は本発明の第4実施例に係る熱電素子に電源を印加した状態を図示した図面である。
【0140】
図15および図16を参照すると、第2樹脂層220は複数のレイヤと、ポリイミド層を含むことができる。この時、複数のレイヤは少なくとも3個以上であり、複数のレイヤは互いに接触したり、ポリイミド層225と接触することができる。この時、第2樹脂層220に含まれたレイヤの個数は変形可能である。
【0141】
第2樹脂層220は第1~第4レイヤ221、222、223、224を含む、この時、第1~第4レイヤ221、222、223、224は互いに異なる材質からなる。また、第1~第4レイヤ221、222、223、224は互いに異なる熱伝導度を有することができる。そして、第1~第4レイヤ221、222、223、224は第1金属基板110から第2金属基板180に行くほど熱伝導性が高い順で配置される。この時、第2電極160および第2金属基板180と直接接触する第1レイヤ221と、第4レイヤ224は粘着性を有することができる。
【0142】
ポリイミド層225は第1~第4レイヤ221、222、223、224の間のうちいずれか一つに配置される。図面ではポリイミド層225が第2レイヤ222と第3レイヤ223の間に配置されているが、ポリイミド層225は第1~第4レイヤ221、222、223、224の間のうち他の位置に配置されることも可能である。この時、ポリイミド層225は絶縁性材質からなり、第2電極160の電流が第2金属基板180に伝達されることを遮断する。このようなポリイミド層225は第2電極160に隣接するように配置されるほど電流の遮断に有利であるが、これを限定しない。この時、ポリイミド層225はポリイミド(Polyimide)系素材であり得る。またポリイミド層225の厚さは1~500μmであり得る、例えば、ポリイミド層225の厚さは約5μmであり得る。
【0143】
本発明の実施例に係る熱電素子は発電用装置、冷却用装置、温熱用装置などに作用され得る。具体的には、本発明の実施例に係る熱電素子は主に光通信モジュール、センサ、医療機器、測定機器、航空宇宙産業、冷蔵庫、チラー(chiller)、自動車通風シート、カップホルダー、洗濯機、乾燥機、ワインセラー、浄水器、センサ用電源供給装置、サーモパイル(thermopile)等に適用され得る。
【0144】
ここで、本発明の実施例に係る熱電素子が医療機器に適用される例として、PCR(Polymerase Chain Reaction)機器がある。PCR機器はDNAを増幅してDNAの塩基序列を決定するための装備であり、精密な温度制御が要求され、熱循環(thermal cycle)が必要な機器である。このために、ペルティエ基盤の熱電素子が適用され得る。
【0145】
本発明の実施例に係る熱電素子が医療機器に適用される他の例として、光検出器がある。ここで、光検出器は赤外線/紫外線検出器、CCD(Charge Coupled Device)センサ、X-ray検出器、TTRS(Thermoelectric Thermal Reference Source)等がある。光検出器の冷却(cooling)のためにペルティエ基盤の熱電素子が適用され得る。これに伴い、光検出器内部の温度上昇による波長の変化、出力の低下および解像力の低下などを防止することができる。
【0146】
本発明の実施例に係る熱電素子が医療機器に適用されるさらに他の例として、免疫分析(immunoassay)分野、インビトロ診断(In vitro Diagnostics)分野、温度制御および冷却システム(general temperature control and cooling systems)、物理治療分野、液状チラーシステム、血液/プラズマ温度制御分野などがある。これに伴い、精密な温度制御が可能である。
【0147】
本発明の実施例に係る熱電素子が医療機器に適用されるさらに他の例として、人工心臓がある。これに伴い、人工心臓に電源を供給することができる。
【0148】
本発明の実施例に係る熱電素子が航空宇宙産業に適用される例として、星追跡システム、熱イメージングカメラ、赤外線/紫外線検出器、CCDセンサ、ハッブル宇宙望遠鏡、TTRSなどがある。これに伴い、イメージセンサの温度を維持することができる。
【0149】
本発明の実施例に係る熱電素子が航空宇宙産業に適用される他の例として、冷却装置、ヒーター、発電装置などがある。
【0150】
この他にも本発明の実施例に係る熱電素子はその他の産業分野に発電、冷却および温熱のために適用され得る。
【0151】
前記では本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、該当技術分野の熟練した当業者は下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正および変更できることが理解できるであろう。
【0152】
[符号の説明]
110:第1金属基板
120:第1樹脂層
130:第1電極
140:P型熱電レッグ
150:N型熱電レッグ
160:第2電極
180:第2金属基板
190:シーリング手段
170、200、210、220:第2樹脂層
171、201、211、221:第1レイヤ
172、202、212、222:第2レイヤ
203、223:第3レイヤ
204、224:第4レイヤ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18