(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】交互駆動面を有するモジュラーコンベヤベルト
(51)【国際特許分類】
B65G 17/38 20060101AFI20241113BHJP
B65G 17/08 20060101ALI20241113BHJP
B65G 45/22 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
B65G17/38 F
B65G17/08
B65G45/22 C
(21)【出願番号】P 2021564723
(86)(22)【出願日】2020-04-28
(86)【国際出願番号】 EP2020061694
(87)【国際公開番号】W WO2020221718
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2023-04-27
(32)【優先日】2019-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591270796
【氏名又は名称】ハバシット アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】エルスナー,ディートマー
(72)【発明者】
【氏名】ジメンディンガー,シュテファン
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106170450(CN,A)
【文献】国際公開第2017/145315(WO,A1)
【文献】特表2010-517896(JP,A)
【文献】特表2008-543697(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0020612(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 17/00-17/48
B65G 45/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の
第1ベルトモジュール(20、110)の複数の第1列と、1以上の
第2ベルトモジュール(40、110)の複数の第2列とを有するモジュラーコンベヤベルト(10、100)であって、
各
第1及び第2ベルトモジュール(20、40、110)は、少なくとも2つのリンク部(21、41、121、141)を備え、
第1ベルトモジュールの第1列及び
第2ベルトモジュールの第2列は、
第1及び第2ベルトモジュールの隣接する第1及び第2列の隣接する
第1及び第2ベルトモジュール(20、40
、110)のリンク部(21、41、121、141)を挿入することにより相互に連結され、
第1ベルトモジュールの第1列のそれぞれは、駆動スプロケット(80)の第1力伝達面列(83)を受け入れるための第1駆動面(26、126、146)を有し、
第1ベルトモジュールの第1列の第1駆動面(26、126、146)は、ベルトの走行方向(T)の第1ラインに沿って配置され、
第2ベルトモジュールの第2列のそれぞれは
、駆動スプロケット(80)又はさらなる駆動スプロケットの第2力伝達面列(84)を受け入れるための
第2駆動面(48、128、148)を有し、
第2ベルトモジュールの第2列の第2駆動面(48、128、148)は、ベルト走行方向(T)の第2ラインに沿って配置され、
第1ラインと第2ラインとは互いにオフセットされ、
第1ベルトモジュールの第1列の1つの
第1ベルトモジュール(20、110)の少なくとも1つは、2つのリンク部(21)の間の第1中間部(22、122、142)を有する第1平坦面(220)を備え、第2平坦面(420)を有する隣接する
第2ベルトモジュール(40、110)の2つのリンク部(41、121、141)の間の第2中間部(42、122、142)に隣接して配置され、
第1平坦面(220)及び第2平坦面(420)は、少なくとも隣接領域でベルト走行方向(T)に異なる幅を有し、第1及び第2中間部(22、42、122、142)にはリンク手段が設けられていない、モジュラーコンベヤベルト(10、100)。
【請求項2】
前記
1以上の第2ベルトモジュール(40、110)の第2列には、第1駆動面(26、126、146)はなく、及び/又は、1以上の
第1ベルトモジュール(20、110)の第1列には、第2駆動面(48、128、148)はない、請求項1に記載のモジュラーコンベヤベルト(10、100)。
【請求項3】
リンク部(21、41、121、141)は、ベルト走行方向(T)に延在し、ベルト走行方向(T)と略垂直方向に配置された回転ロッド開口部(24、44)を有する複数の第1リンク端(23、43、123、143)と
、ベルト走行方向(T)とは反対方向に延在し、ベルト走行方向(T)と略垂直方向に配置された回転ロッド開口部(34、54)を有
する複数の第2リンク端(29、49、129、149)とを有し、リンク部(21、41)の一方の複数の第1リンク端(23、43、123、143)と、隣接する
第1及び第2ベルトモジュール(20、40、110)の隣接するリンク部(21、41、121、141)の複数の第2リンク端(29、49、129、149)とは、回転ロッド開口部(24、34、44、54)の少なくとも一部を通過して配置された少なくとも1つの回転ロッド(150)を介してヒンジ接続されている、請求項1又は2に記載のモジュラーコンベヤベルト(10、100)。
【請求項4】
前記ベルト走行方向(T)の第1ラインに沿う2つの連続する第1駆動面(26、126、146)の距離は、ベルト走行方向(T)の第2ラインに沿う2つの連続する第2駆動面(48、128、148)の距離と等しく
、第1駆動面(26、126、146)及び第2駆動面(48、128、148)は、この距離の半分だけ、ベルト走行方向(T)にオフセットされている、請求項1から3のいずれか1項に記載のモジュラーコンベヤベルト(10、100)。
【請求項5】
前記第1駆動面(26、126、146)及び/又は前記第2駆動面(48、128、148)の少なくとも1つは、
第1及び第2ベルトモジュール(20、40、110)の1つの底部(11)に設けたくぼみ(30、46、130、140)の境界壁によって、及び/又は
第1及び第2リンク端(23、29、43、49、123、129、143、149)の1つの端面によって形成されている、請求項
3に記載のモジュラーコンベヤベルト(10、100)。
【請求項6】
隣接する前記
第1及び第2ベルトモジュール(20、40、110)の隣接する前記第1及び第2中間部(22、42、122、142)は、隣接する前記
第1及び第2ベルトモジュール(20、40、110)が略直線状に配置されたとき、ほぼ閉鎖して連結された平坦面を形成するように、相補的な第1及び第2平坦面(220、420)を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載のモジュラーコンベヤベルト(10、100)。
【請求項7】
前記第1列
の第1ベルトモジュール(110)及び第2列の
第2ベルトモジュール(110)は同一であるが、第2列の
第2ベルトモジュールは第1列の
第1ベルトモジュールに対して180°回転している、請求項1から6のいずれか1項に記載のモジュラーコンベヤベルト(100)。
【請求項8】
前記
1つの第1列の
第1ベルトモジュール(20、110)
の一つと、隣接する
1つの第2列の
第2ベルトモジュール(40、110)との間に、モジュラーコンベヤベルト(10、100)の底部に向かって広がる間隙(61)が形成されている、請求項1から7のいずれか1項に記載のモジュラーコンベヤベルト(10、100)。
【請求項9】
前記
第1及び第2ベルトモジュール(20、40、110)は
、隣接する
第1及び第2ベルトモジュール(20、40、110)が略直線状に整列しているとき、間隙(61)はモジュラーコンベヤベルト(10、100)の上面(12)でほぼ閉鎖し
、隣接する
第1及び第2ベルトモジュール(20、40、110)が傾斜しているとき、間隙(61)はモジュラーコンベヤベルト(10、100)の上面(12)で開放するように設計して配置されている、請求項8に記載のモジュラーコンベヤベルト(10、100)。
【請求項10】
前記モジュラーコンベヤベルト(10、100)の
第1及び第2ベルトモジュール(20、40、110)の少なくとも1つは、底部(11)上に、底部(11)に衝突する流体ジェットを偏向させ、偏向された流体ジェットを隣接する
第1及び第2ベルトモジュール(20、40、110)に向かって案内するように設計されて配置された少なくとも1つの流体案内構造
部(27、47)を備える、請求項1から9のいずれか1項に記載のモジュラーコンベヤベルト(10、100)。
【請求項11】
前記流体案内構造部(27、47)の少なくとも1つは、衝突する流体ジェットを隣接する
第1及び第2ベルトモジュール(20、40、110)に向かって案内して広がるように設計されて配置された外向きの扇形部を備える、請求項10に記載のモジュラーコンベヤベルト(10、100)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの流体案内構造部(27、47)は、エッジやコーナーのない形状である、請求項10又は11に記載のモジュラーコンベヤベルト(10、100)。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載のモジュラーコンベヤベルト(10、100)と、
1
以上の
第1ベルトモジュール(20、110)の第1駆動面(26、126、146)に係合するための第1力伝達面列(83)、及び1以上の
第2ベルトモジュール(40、110)の第2駆動面(48。128、148)に係合するための第2力伝達面列(84)を有する少なくとも1つの駆動スプロケット(80)と、
を備えるコンベヤ。
【請求項14】
前記第1駆動面(26、126、146)と係合するための力伝達面(83)は、少なくとも1つの駆動スプロケット(80)の第1歯列(81)に設けられ、
前記第2駆動面(48、128、148)と係合するための力伝達面(84)は、少なくとも1つの駆動スプロケット(80)の第2歯列(82)に設けられ、
前記第1歯列(81)及び前記第2歯列(82)は、モジュラーコンベヤベルト(10、100)のベルト走行方向(T)で
、オフセットされて配置されている、請求項13に記載のコンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に係るモジュラーコンベヤベルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
物体を比較的短い距離、特に生産現場内で搬送しなければならない場合、モジュラーコンベヤベルトが適切であり、それは一般に使用されるツールでもある。モジュラーコンベヤベルトは、使用される実際の用途に応じて様々な要件に適合しなければならない。
【0003】
特に、食品産業で使用されるモジュラーコンベヤベルトは、簡単に清掃できる必要がある。さらに、モジュラーコンベヤベルトの材料は、いかなる方法でも食品を汚染してはならない。このため、食品業界では樹脂製のコンベヤベルトが広く使用されている。金属製のコンベヤベルトとは異なり、腐食せず、軽量で、清掃が容易である。拡張性を高めるために、樹脂製のモジュラーコンベヤベルトが使用されることが多い。このモジュラーコンベヤベルトは、幅を選択して並べて配置することができる樹脂製のベルトモジュールで構成されている。モジュールの前縁と後縁(側面)に配置された間隔を空けたリンク端列には、回転ロッドを収容するために整列させた開口部がある。ベルトモジュール列の片側に沿うリンク端は、隣接するベルトモジュール列のリンク端と相互に連結されている。連結されたモジュールの整列された開口部に軸受された回転ロッドは、隣接する列の間にヒンジを形成する。そして、ベルトモジュール列は、ドライブスプロケットを中心として回転可能に接続可能な無端コンベヤベルトを形成するように連結される。モジュラーコンベヤベルトの長さがある一定の大きさを超える場合、モジュラーコンベヤベルトを支持するためにコンベヤローラ又は支持スライドが使用される。このようなコンベヤローラは、受動的に転がる(基本的にモジュラーコンベヤベルトによって駆動される)ものと、能動的に転がる(モジュラーコンベヤベルトを能動的に駆動する)ものとがある。後者の場合、通常、スプロケットが使用される。
【0004】
さらに、食品業界では、肉や魚など、パンくずや粒子が落下するような製品には、ソリッド又はフラットトップのモジュール式樹脂製コンベヤベルトがよく使用される。このようなベルトの上部は、2つの隣接するベルトモジュール間の近接領域に殆ど隙間がなく、滑らかで平らな表面となっている。回転ロッド開口部からなるリンク端と、そのような回転ロッド開口部を介して配置された回転ロッドとを備えたありふれたデザインのおかげで、モジュラーコンベヤベルトをスプロケットの周り、特に端部に配置されたスプロケットの周りに撓ませて無端ベルトを形成することができる。隣接するベルトモジュールが互いに傾いているような領域では、通常、2つの隣接するベルトモジュールの間に隙間が形成される。これにより、隣接するベルトモジュールの隙間、特にリンク端を清掃することが可能となる。これは食品産業において特に重要である。このような清掃には、洗浄剤や殺菌剤を含む蒸気や温水を使用することができる。
【0005】
駆動スプロケットの駆動歯は、あまり薄くすると簡単に壊れてしまうため、幾つかのケースでは、モジュラーコンベヤベルトは、比較的小さなベルトモジュールと小さなピッチ、特に2.54cm(1インチ)以下のピッチとする必要がある。壊れない程度の厚さの歯を使用するために、駆動スプロケットの歯がベルトモジュールの2列ごとにしか接触しないようなコンベヤデザインが発見されている。これによれば、限られた数のベルトモジュールだけで、駆動スプロケットの駆動力をモジュラーコンベヤベルトの残りのベルトモジュールに伝達しなければならない。これらの問題を最小限に抑えるために、ベルトモジュールの隣接する列の隣接するベルトモジュールを、その全長に亘って設けた挿入リンク端によって接続している。欠点は、このようなベルトモジュールの清掃がやや面倒なことである。
【0006】
米国特許第4556142号明細書には、モジュラーコンベヤベルトを備えた別のコンベヤが開示されており、2列の平行な歯を有する駆動スプロケットが、第1列のベルトモジュールの駆動面と第2列のベルトモジュールの駆動面とに交互に係合し、第1列のベルトモジュールと第2列のベルトモジュールとが交互に連結されている。開示されたモジュールコンベヤベルトは、汚れや細菌が凝集しやすく、清掃が面倒である。
【0007】
モジュラーコンベヤベルト、特に比較的小さなベルトモジュールと小さなピッチ、特に2.54cm(1インチ)以下のピッチを有するモジュラーコンベヤベルトであって、清掃性に優れ、及び/又は汚れが付着しにくいものが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、独立項1に係るモジュラーコンベヤベルト、及びそのようなモジュラーコンベヤベルトを備えた独立項13に係るコンベヤを提供することにより、上述のニーズに応えている。本発明の特に有利な実施形態は、従属項から生じる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の核心は、以下の点にある。モジュラーコンベヤベルトは、1又は複数のベルトモジュールの複数の第1列と、1又は複数のベルトモジュールの複数の第2列とを備える。各ベルトモジュールは、少なくとも2つのリンク部を備え、第1列と第2列は、隣接する第1列と第2列の隣接するベルトモジュールのリンク部を挿入することにより互いに連結される。第1列のそれぞれは、駆動スプロケットの力伝達面の第1列を受け入れるための第1駆動面を備え、第1列の第1駆動面は、ベルトの走行方向の第1ラインに沿って配置されている。第2列のそれぞれは、駆動スプロケット又はさらなる駆動スプロケットの力伝達面の第2列を受け入れるための第2駆動面を備え、第2列の第2駆動面は、ベルト走行方向の第2ラインに沿って配置されている。第1ラインと第2ラインはオフセットされている。第1列の一方のベルトモジュールの少なくとも1つは、2つのリンク部の間に第1中間部を備える。第1中間部は、第1平坦面を有し、第2平坦面を有する隣接する第2列の一方の隣接するベルトモジュールの2つのリンク部の間の第2中間部に隣接して配置されている。第1平坦面と第2平坦面は、少なくとも隣接領域でベルト走行方向に異なる幅を有し、第1及び第2中間部にはリンク手段は設けられていない。
【0010】
1以上のベルトモジュールの第1列に第1駆動面を設け、1以上のベルトモジュールの第2列に第2駆動面を設けることで、少なくとも1つの駆動スプロケットの駆動力を1以上のベルトモジュールの各列に伝達させることができる。これにより、ベルトモジュールの駆動面、駆動スプロケットの力伝達面、及び隣接する列の隣接するベルトモジュール間の接続部を、少なくとも1つの駆動スプロケットの駆動力がベルトモジュールの交互の列のみに伝達される場合に比べて、より小さく、より堅牢に設計することができる。なお、堅牢性の低い設計は通常、各構成要素を小型化したり、堅牢性の低い材料や薄い材料層で製造したりすることを意味する。
【0011】
第1駆動面の第1ラインと第2駆動面の第2ラインが、(モジュール式コンベヤベルトの幅方向で、ベルトの走行方向に垂直な方向に)互いにオフセットされているため、1以上のベルトモジュールの連続する第1及び第2列の駆動面の配置に、より多くのスペースを利用することができる。オフセットは比較的小さいのが好ましく、それら2列の駆動面の間に未使用の駆動面を配置しないのが好適である。2列の駆動面の代わりに、3列、4列、5列、又は6列のようなより多くの数の駆動面を想定することができる。それらのラインは、好ましくは隣り合った(隣接して配置された)駆動面のラインのブロックとして配置することができる。勿論、そのようなブロックを複数使用することも可能である。特に、それらのブロックは、相互に一定の距離を置いて配置することができる。一例として、ベルトモジュールが2つ(場合によってはそれ以上)のリンク部からなる場合、複数又は個々のリンク部は駆動面のブロックを備えてもよい。このブロックは、1又は複数のベルトモジュールの複数の列に亘って見られる駆動面のラインのブロックの一部である。
【0012】
第1列のベルトモジュールの少なくとも1つは、第1平坦面を有する2つのリンク部の間の第1中間部を備え、第2平坦面を有する隣接する第2列のベルトモジュールの2つのリンク部の間の第2中間部に隣接して配置され、第1平坦面と第2平坦面は、少なくとも隣接領域でベルト走行方向に異なる幅を有することにより、隣接するベルトモジュールの中間部を省スペースで配置することを可能にし、必要に応じてほぼ閉鎖して連結された平坦面を提供することを可能にする。特に、中間部は清掃性が高く、汚染されにくくなっている。
【0013】
第1及び第2中間部がリンク手段を持たないことにより、それらはより一層、清掃可能で、汚染されにくいものとなる。
【0014】
1又は複数のベルトモジュールの第2列には第1駆動面がなく、1又は複数のベルトモジュールの第1列には第2駆動面がないのが好ましい。第2列は第1駆動面を必要とせず、第1列は第2駆動面を必要としないので、そのような不要な駆動面を避けるという利点がある。これにより、設計が簡素化され、ベルトモジュールの清掃性が向上し、汚染が発生しにくくなる。
【0015】
本発明に係るモジュラーコンベヤベルトの有利な実施形態では、リンク部は、ベルト走行方向に延在し、ベルト走行方向と略垂直方向に配置された回転ロッド開口部を有する複数の第1リンク端を備える。ベルト走行方向と反対方向に延在し、ベルト走行方向と略垂直方向に配置された回転ロッド開口部を有する複数の第2リンク端を備え、リンク部の一方の複数の第1リンク端と、隣接するベルトモジュールの隣接するリンク部の複数の第2リンク端とは、回転ロッド開口部の少なくとも一部を介して配置された少なくとも1つの回転ロッドが挿入されてヒンジ接続される。
【0016】
リンク端と回転ロッドを挿入することで、隣接するベルトモジュールのリンク部のヒンジ接続を容易に実現できる。さらに、このような設計を用いることで、モジュラーコンベヤベルトは、現在のモジュラーコンベヤベルトの設計と互換性がある。したがって、本発明のモジュラーコンベヤベルトは、現行の装置にわずかな変更を加えるだけで、あるいは全く変更を加えることなく、併用することができる。
【0017】
ベルト走行方向の第1ラインに沿った2つの連続する第1駆動面の距離が、ベルト走行方向の第2ラインに沿った2つの連続する第2駆動面の距離と等しいのが有利である。第1駆動面と第2駆動面は、この距離の半分だけベルト走行方向にオフセットされているのが好ましい。このような設計により、導入された力の特に有利な配分を実現することができる。このような設計は、幾何学的な理由からも有利であり、例えば、2つの異なるベルトモジュールのセットや、第1駆動面と第2駆動面からなる1つのベルトモジュールのセットであっても、容易に実現することができる。
【0018】
好ましい実施形態では、第1駆動面及び/又は第2駆動面の少なくとも1つは、ベルトモジュールの1つの底部にあるくぼみの境界壁及び/又はリンク端の1つの端面によって形成される。これは容易に実現可能であり、ベルトモジュールに使用される材料の量を減らすことができ、(それぞれの要素を駆動面として機能するように適合させる必要があるかもしれないが)いずれにしても提供されなければならないベルトモジュールの要素を使用することができる。
【0019】
隣接するベルトモジュールの隣接する第1及び第2の中間部は、隣接するベルトモジュールがほぼ直線状に配置されたとき、ほぼ閉鎖されて連結された平坦面を形成するように、相補的な第1及び第2平坦面を有するのが好ましい。これにより、ベルトモジュールは、特にその底部を汚染されにくくなる。
【0020】
有利な実施形態では、第1列のベルトモジュールと第2列のベルトモジュールは同一であるが、第2列のベルトモジュールは第1列のベルトモジュールに対して180°回転している。このように、ベルトモジュールは1種類で十分であり、モジュラーコンベヤベルトの製造及びメンテナンスを容易にすることができる。特に、1種類の予備のベルトモジュールのみを保管するだけでよくなる。
【0021】
別の有利な実施形態では、第1列のベルトモジュールと第2列のベルトモジュールは、異なるデザインである。例えば、第2中間部は、第1中間部よりもベルト走行方向に広くなっていてもよい。このような設計は、個々のベルトモジュールの設計が複雑でなく、モジュラーコンベヤベルトの特定の機能に対して最適化可能であるため、同様に有利であると考えられる。
【0022】
本発明に係るモジュラーコンベヤベルトの好ましい実施形態では、第1列の1つのベルトモジュールと、隣接する第2列の1つの隣接するベルトモジュールとの間に、モジュラーコンベヤベルトの底部に向かって広がる隙間が形成されている。このような設計では、間隙の流体ガイド効果により、特に洗浄のために流体ジェットを衝突させる場合、モジュラーコンベヤベルトの洗浄性をさらに向上させることができる。すなわち、近接領域(2つの隣接するベルトモジュール間の間隙領域)の清掃性が向上するように、衝突流体を誘導することができる。これは、特に中間部の領域に当てはまる可能性がある。
【0023】
有利なことに、ベルトモジュールは、第1列と第2列の隣接するベルトモジュールがほぼ直線に沿って整列しているとき、モジュラーコンベヤベルトの上面で間隙がほぼ閉鎖され、第1列と第2列の隣接するベルトモジュールが傾斜しているとき、モジュラーコンベヤベルトの上面で間隙が開放しているように設計されて配置されている。このようにして、モジュラーコンベヤベルトで搬送される物品(又はその一部)が、隣接するベルトモジュールの間に挟まったり、あるいは2つの隣接するベルトモジュールの間を通過したりする(その結果、紛失する)可能性が低くなる。それにもかかわらず、特定の領域、特にモジュラーコンベヤベルトがドライブスプロケット又はアイドラーを移動して戻される領域で、非常に効果的な清掃が可能である。
【0024】
好ましい実施形態では、モジュラーコンベヤベルトのベルトモジュールの少なくとも1つは、その底部に、底部に衝突する流体ジェットを偏向し、偏向された流体ジェットを隣接する列の隣接するベルトモジュールの1つに向けて案内するように設計及び配置された少なくとも1つの流体案内構造部を備える。
【0025】
流体ジェットは、モジュラーコンベヤベルトと組み合わせて洗浄目的で使用されることが多いため、特に食品産業では、少なくとも1つの流体案内構造部を使用する場合、流体ジェットを、モジュラーコンベヤベルトの汚れや細菌が特に凝集しやすい部分、及び/又は、流体ノズルから直接出てくる流体ジェットでは到達が困難な部分(直接視線が届かない)に向けて噴射することができる。ノズルから噴射された流体ジェットは、モジュラーコンベヤベルトの流体案内構造部に向けられ、流体案内構造部によって(流体ジェットの元の方向と比較して)異なる方向に偏向又は方向転換させることができる。特に、偏向された流体ジェットは、流体ジェットの洗浄作用が特に望まれる方向、特に隣接する列の1つの隣接するベルトモジュールに向かって誘導される。これは、直接流体ジェットを衝突させてもほとんど到達できない領域、特に徹底的な洗浄が必要な領域、(例えば、粒子がモジュールベルトから洗い流されるため)流体ジェットが特定の方向に衝突すると洗浄プロセスがより効果的になる領域などが考えられる。
【0026】
例えば、流体案内構造部は、流体ジェットが向けられ、又は案内される照準点/流出方向が、(少なくとも、ある反復的に発生する位置にあるときに)モジュラーコンベヤベルトの移動方向又はベルト走行方向への前方移動している間、ほぼ一定に維持されるように形成することができる。しかし、追加的又は代替的に、流体案内構造部は、衝突する流体ジェットが向けられる照準点及び/又は方向が、モジュラーコンベヤベルトの前方移動中に変化するように設計することができる。衝突する流体ジェットは、ベルトモジュールのそれぞれの底部に対して略垂直方向に衝突させることができ、あるいは、ベルトモジュールに対して、例えば、(垂直な方向に対して)最大10°、20°、30°、40°、又は50°の角度で傾斜させることができる。流体案内構造部は、衝突する流体ジェットの断面が殆ど変化しないように形成することができる。追加又は代替で、衝突する流体ジェットの断面は、流体案内構造部によっても影響を受けることができる。
【0027】
1以上のベルトモジュールの第1列と第2列の2つの隣接するベルトモジュールが互いに接近する(そしておそらく、モジュラーコンベヤベルトの移動サイクル中の少なくとも特定の位置で互いに接触する可能性がある)領域を、近接領域と呼ぶことができる。このような近接領域では、商品が置かれるモジュラーコンベヤベルトの上面が小さな間隙によって中断されるため、通常、徹底的な清掃が必要である。例えば、食品が搬送される場合、商品から流出した流体は通常、2つの隣接するベルトモジュール間の小さな隙間を通過して流動する。したがって、各領域を徹底的に洗浄することが重要である。
【0028】
清掃に関して何らかの問題がある別の領域は、リンク端領域である。これは、リンク端の一部が近接領域に配置されているという理由だけでなく、リンク端領域では、モジュラーコンベヤベルトの設計が一般に比較的複雑であり(少なくともベルトモジュールの底部では)、通常、外部から到達しにくい領域がいくつかあるためである。かなりの頻度で、外部からの見通し線で到達できない領域が存在することになる。したがって、直接衝突する流体ジェットで洗浄するには問題がある。補足すると、流体ジェットは、例えば水(特に高温の水、洗浄剤、及び/又は殺菌剤を含む水)を含むことができる。しかし、現在提案されているモジュラーコンベヤベルトの利点は、基本的にあらゆる種類の流体が達成することができる。流体ジェットについて言えば、確かに水流の異なる形態を選択することもできる。例えば、ある種のウォーターカーテンも使用可能である。
【0029】
有利なことに、流体案内構造部の少なくとも1つは、衝突する流体ジェットを隣接する列の隣接するベルトモジュールの1つに向けて誘導し、広がるように設計されて配置された外向きの扇形部から構成されている。このような設計により、比較的小さな流体ジェットを使用しながら、モジュラーコンベヤベルトの比較的大きな部分に向かって流体を誘導することが可能になる。さらに、流体ジェットを複数の流体ジェットに分割することも可能である(ここで、得られる流体ジェットは必ずしも互いに分離している必要はなく、何らかの流体カーテンが形成される場合もある)。このようにして、リンク端の側面、特に回転ロッド開口部を有するリンク端の側面を特に簡単に清掃することができる。特に、リンク端の回転ロッド開口部と回転ロッドとの間の接触領域は、このような設計を用いてより一層容易に清掃することができる。
【0030】
扇形部について言及すると、これは好ましくは、比較的小さな直径を有する円形ジェットが一定幅(特にモジュラーコンベヤベルトの幅方向)に亘って広がり、一方でその高さは比較的小さいまま(例えば、衝突する流体ジェットの元の直径とほぼ同じ大きさ)である配置に関する。これは、ある種のV字型溝によって達成することができ、溝の開口部の角度は、最大で10°、20°、30°、40°又は50°とすることができる(ここで、角度の下限は、0°又は前述の角度の1つとすることができる)。
【0031】
流体案内構造部の少なくとも1つは、エッジやコーナーのない形状であるのが好ましい。エッジやコーナーがないこと、つまり、丸みを帯びた形状や円弧状の形状を使用することで、衝突する流体ジェットの偏向や誘導がよりスムーズになる。そして、乱流を低減することができる。
【0032】
本発明に係るモジュラーコンベヤベルトの好ましい実施形態では、流体案内構造部の少なくとも1つが溝状に設計されている。このような溝状の設計により、衝突する流体ジェットを所望の方向に偏向して案内することが可能になる。
【0033】
流体案内構造部の少なくとも1つは、一方のベルトモジュールの2つのリンク端の間に配置されているのが好ましい。これにより、衝突する流体ジェットを両リンク端の側面、及び1以上のベルトモジュールの隣接する列の隣接するベルトモジュールの挿入リンク端の前面及び両側面に容易に偏向及び案内することが可能となる。
【0034】
有利な実施形態では、流体案内構造部の少なくとも1つは溝形状である。この溝形状により、衝突する流体ジェットを、1又は複数のベルトモジュールの隣接する列の隣接するベルトモジュールの挿入リンク端の前面及び両側面に偏向して案内することが容易となる。
【0035】
なお、複数の流体案内構造部が使用される場合、それらの流体案内構造部は、基本的に同じ及び/又は異なるデザインとすることができる。勿論、流体案内構造部の第1部を第1のデザインで使用し、流体案内構造部の第2部を異なるデザインで使用することも可能である。各部のシェアは、異なるデザインの数と同様に、様々であってよい。
【0036】
本発明に係るコンベヤは、上述した本発明に係るモジュラーコンベヤベルトと、1以上のベルトモジュールの第1列の第1駆動面に係合するための第1力伝達面、及び1以上のベルトモジュールの第2列の第2駆動面に係合するための第2力伝達面を備える少なくとも1つの駆動スプロケットと、を備える。
【0037】
有利な実施形態では、第1駆動面と係合するための力伝達面は、少なくとも1つの駆動スプロケットの第1歯列に設けられ、第2駆動面と係合するための力伝達面は、少なくとも1つの駆動スプロケットの第2歯列に設けられ、第1歯列と第2歯列は、モジュラーコンベヤベルトのベルト走行方向にオフセットされて配置されるのが好ましい。
【0038】
第1歯列と第2歯列は、モジュラーコンベヤベルトのベルト走行方向と垂直方向に隣接して配置するのが有利である。
【0039】
さらに、少なくとも1つの流体ノズル又はオリフィスを備えた流体供給システムが、モジュラーコンベヤベルトの底部に対向して配置されてもよいし、駆動スプロケット及び/又はアイドラーの近傍に配置されてもよい。これにより、モジュラーコンベヤベルトを効率的に清掃することが容易になる。
【0040】
本発明のさらなる利点、特徴、及び目的は、本発明に係るモジュラーコンベヤベルトの2つの実施形態を関連する図面と合わせて以下の詳細な説明から明らかになるであろうが、図面には以下のものが示されている。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】モジュラーコンベヤベルトの第1実施形態に係る、3つの隣接する列の3つの隣接するベルトモジュールの配置を底部斜視図で示す。
【
図2】
図1のモジュラーコンベヤベルトの第1タイプのベルトモジュールの底面図である。
【
図3】
図2の第1タイプのベルトモジュールの平面図である。
【
図4】
図2に示す第1タイプのベルトモジュールのリンク部と中間部の一部の拡大底面図である。
【
図5】
図1のモジュラーコンベヤベルトの第2タイプのベルトモジュールの底面図である。
【
図6】
図5に示す第2タイプのベルトモジュールの平面図である。
【
図7】
図5に示す第2タイプのベルトモジュールのリンク部及び中間部の一部の拡大底面図である。
【
図8】
図1の3つの隣接するベルトモジュールの配置を示す側面図である。
【
図9】駆動スプロケットと係合した
図1のモジュラーコンベヤベルトの第1実施形態の斜視図である。
【
図11】モジュラーコンベヤベルトの内部から見た平面図での
図9の配置図である。
【
図12】モジュラーコンベヤベルトの第2実施形態のベルトモジュールの底面図である。
【
図14】モジュラーコンベヤベルトを形成する方法で、
図12に係るベルトモジュールの配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図面を明確にするために、参照符号が図面に含まれているが、説明が直接関係する部分で言及されていない場合、説明の前又は後の部分でそれらの参照符号の説明を参照する必要がある。逆に、図面の過度の複雑化を避けるために、すぐに理解するのにあまり関係のない参照符号は、すべての図に含まれていない。その場合には、他の図を参照する必要がある。
【0043】
図1は、第1実施形態に係るモジュラーコンベヤベルト10の一部の底部11を斜視図で示す。隣接して配置される3つのベルトモジュールが示され、1つのタイプのベルトモジュール40が、異なるタイプの2つのベルトモジュール20の間に配置されている。各ベルトモジュール20は、
図2及び
図3でよりよく分かるように、2つのリンク部21と、2つのリンク部21の間の第1中間部22とを備える。ベルトモジュール40は、
図5及び
図6でよりよく分かるように、2つのリンク部41と、2つのリンク部41の間の第2中間部22とを備える。
【0044】
各ベルトモジュール20は、1つのベルトモジュールの第1列を形成する一方、ベルトモジュール40は、1つのベルトモジュールの第2列を形成する。モジュラーコンベヤベルト10の全体は、1つのベルトモジュール20の複数の第1列と、1つのベルトモジュール40の複数の第2列とからなる。第1列と第2列とは、隣接する第1列及び第2列の隣接するベルトモジュール20、40のリンク部21、41を挿入することにより互いに連結される。
【0045】
第1列及び第2列のベルトモジュール20、40の第1及び第2中間部22、42にリンク手段は設けられていない。ベルトモジュール20の第1中間部22は、
図2から
図4及び
図9に最もよく見られるように、底部11に向かってテーパ状となった第1平坦面220を有する。ベルトモジュール40の第2中間部42は、
図1、
図5から
図7及び
図9で最もよく分かるように、底部11に凹状の溝部421を有する板状の第2平坦面420を有する。第1平坦面220は、ベルト走行方向に第1幅を有する一方、第2平坦面420は、ベルト走行方向Tに第1幅よりも大きい第2幅を有する。第1平坦面220及び第2平坦面420は、
図1に示すように、隣接するベルトモジュール20、40がほぼ直線状に配置されたときに、ほぼ閉鎖されて結合された平坦面を形成するように相補的である。
【0046】
リンク部については、
図1乃至
図4から分かるように、各リンク部21は、ベルト走行方向Tに延びる複数の第1リンク端23と、ベルト走行方向Tと反対方向に延びる複数の第2リンク端29とを備える。第1リンク端23は、ベルト走行方向Tと略垂直方向に配置された回転ロッド開口部24をそれぞれ有する。回転ロッド開口部24は互いに整列し、見通し線の穴を形成する。リンク端29は、ベルト走行方向Tと略垂直方向に配置された回転ロッド開口部34をそれぞれ有する。回転ロッド開口部34は整列することにより見通し線の穴を形成する。
【0047】
図1及び
図5から
図7で分かるように、各リンク部41は、ベルト走行方向Tに延びる複数の第1リンク端43と、ベルト走行方向Tとは反対方向に延びる複数の第2リンク端49とを備える。第1リンク端43は、ベルト走行方向Tと略垂直方向に配置された回転ロッド開口部44をそれぞれ有する。回転ロッド開口部44は互いに整列することにより見通し線の穴を形成する。リンク端49は、ベルト走行方向Tと略垂直方向に配置された回転ロッド開口部54をそれぞれ有する。回転ロッド開口部54は整列することにより見通し線の穴を形成する。
【0048】
リンク部21、41の一方の複数の第1リンク端23、43と、隣接するベルトモジュール20、40の隣接するリンク部21、41の複数の第2リンク端29、49とは、それぞれの回転ロッド開口部24、34、44、54が整列するように、すなわち見通し線の穴を形成するように挿入され、整列した回転ロッド開口部24、34、44、54に配置された回転ロッドによってヒンジ接続される。リンク端23、29、43、49の挿入は、2つのリンク端23、又は2つのリンク端29、リンク端43又は49の幅よりも大きい幅を有する内部空間25と、2つのリンク端43、又は2つのリンク端49、リンク端23又は29の幅よりも大きい幅を有する内部空間45によって可能になる。
【0049】
特に
図2及び
図4を参照すると、第1列のベルトモジュール20は、リンク部21の底部に複数のくぼみ30を備える。各くぼみ30は、リンク端23とリンク端29の間の領域に配置される。
図9から
図11を参照すると、くぼみ30の境界壁は、駆動スプロケット80の力伝達面83の第1列を受け入れるための第1駆動面26を形成する。
【0050】
特に
図5及び
図7を参照すると、第2列のベルトモジュール40は、リンク部41の下側に複数のくぼみ46を備える。各くぼみ46は、リンク端43とリンク端49の間の領域に配置される。くぼみ46の境界壁は、
図9から
図11を参照して、駆動スプロケット80の力伝達面84の第2列を受け入れるための第2駆動面48を形成する。
【0051】
図9、
図10及び
図11は、モジュラーコンベヤベルト10を駆動するために使用される駆動スプロケット80と係合している状態でのモジュラーコンベヤベルト10を示す。
図9は前記状態の斜視図を示し、
図10は側面図であり、
図11はモジュラーコンベヤベルトを内側から見た平面図である。
【0052】
図から分かるように、駆動スプロケット80は、モジュラーコンベヤベルト10のベルト走行方向T(駆動スプロケット80の回転方向)にオフセットされて配置された第1列の歯81と第2列の歯82を備える。駆動スプロケット80の歯81は、第1列のベルトモジュール20のくぼみ30に係合する一方、駆動スプロケット80の歯82は、第2列のベルトモジュール40のくぼみ46に係合する。第1駆動面26に係合する力伝達面83は、第1列の歯81に設けられ、第2駆動面48に係合する力伝達面84は、第2列の歯82に設けられている。
【0053】
図9、
図10及び
図11から、駆動スプロケット80の第1列の歯81及び第2列の歯82は、駆動スプロケット80の軸方向85(モジュラーコンベヤベルト10の幅方向)に僅かにオフセットされていることが分かる。これにより、第1列の歯81が噛み合う第1列の第1駆動面26が、ベルト走行方向Tの第1ラインに沿って配置され、第2列の歯82が噛み合う第2列の第2駆動面48が、ベルト走行方向Tの第2ラインに沿って配置され、第1ラインと第2ラインがオフセットされる。
【0054】
ベルトモジュール20、40の他の有利な特徴は、流体案内構造部であり、これは
図1、
図4及び
図7に最もよく現れている。そこから分かるように、ベルトモジュール20、40は、底部に衝突する流体ジェットを偏向させ、偏向された流体ジェットを隣接する列のうちの隣接するベルトモジュールの1つに向かって案内するように設計されて配置された複数の流体案内構造部27、47をそれぞれ底部に備える。各流体案内構造部27、47は、外向きの扇形部を有する。この部分はややV字型で、衝突する流体ジェットを隣接する列のうち隣接するベルトモジュールの1つに向けて誘導して広げるように設計されて配置されている。流体案内構造部27、47は、リンク端23、29、43、49とくぼみ30、46の間のリンク部21、41に配置されている。
【0055】
流体案内構造部27、47は円弧状であるのが好ましく、ベルトモジュール20、40の底部と略垂直方向に衝突する流体ジェットは、モジュラーコンベヤベルト10の移動方向にやや平行な方向(又は最大約20°の一定の角度)に方向転換される。
【0056】
流体案内構造部27、47は、エッジやコーナーのない、丸みを帯びた形状又は円弧状に形成されている。これらは、偏向された流体ジェットを隣接する列の隣接するベルトモジュールに向けて案内するための溝状のデザインを有している。また、衝突した流体ジェットを、隣接するベルトモジュールの挿入リンクの端部の前面及び両側面に偏向して導くために谷形状となっている。
【0057】
すなわち、第1列のベルトモジュール20と、隣接する第2列のベルトモジュール40との間には、モジュラーコンベヤベルト10の底部11に向かって広がる間隙61が形成されている。ベルトモジュール20、40は、
図8に示すように、第1列と第2列の隣接するベルトモジュール20、40が略直線に沿って整列しているとき、間隙61がモジュラーコンベヤベルト10の上面12でほぼ閉鎖され、第1列と第2列の隣接するベルトモジュール20、40が互いに傾斜しているとき、間隙61が上面12で開放するように設計されて配置されている。
【0058】
図12から
図14は、本発明に係るモジュラーコンベヤベルト100の第2実施形態を示す。2種類のベルトモジュール20、40を採用した第1実施形態のモジュラーコンベヤベルト10とは対照的に、モジュラーコンベヤベルト100は、1種類の特殊形状のベルトモジュール110のみを使用する。
図12は、そのようなベルトモジュール110の底面図を示し、
図13は、ベルトモジュール110の平面図を示す。
【0059】
ベルトモジュール110は、2つの異なる半部111、112を有する。半部111は、リンク部121と中間部122とを備える。半部112は、リンク部141と、中間部142とからなる。中間部122、142は共に、ベルトモジュール110の中間部を形成する。
【0060】
複数の第1リンク端123、複数の第2リンク端129、くぼみ130、駆動面126、128を備えたリンク部121と、ベルトモジュール110の第1半部111(
図12では右側)の中間部122のデザインは、
図2から
図4に示すように、第1タイプのベルトモジュール20のリンク部21及び中間部22のデザインと同様である。また、ベルトモジュール110の第2半部112の複数の第1リンク端143、複数の第2リンク端149、くぼみ140及び駆動面146、148からなるリンク部141と、中間部142のデザイン(
図12の左側)は、
図5から
図7に示すように、第2タイプのベルトモジュール40のリンク部41と中間部42のデザインと同様である。
【0061】
図14は、モジュラーコンベヤベルト100の形成方法に於ける複数のベルトモジュール110の配置を示す。これを行うために、すべての第2ベルトモジュール110は、中心軸周りに180°回転される。このようにして、1つのベルトモジュール110の複数の第1列と、1つのベルトモジュール110の複数の第2列とが形成される。第1列のベルトモジュール110と第2列のベルトモジュール110とは同一であるが、第2列のベルトモジュールは第1列のベルトモジュールに対して180°回転している。第1実施形態のモジュラーコンベヤベルト10と同様に、第1列のベルトモジュール110及び第2列のベルトモジュール110は、回転ロッド150によって互いに連結されている。
【0062】
第2実施形態に係るモジュラーコンベヤベルト100の設計思想の利点は、単一のタイプのベルトモジュール110のみを必要するだけであるので、予備部品の保管が簡素化できることである。さらに、ベルトモジュール110の製造のための射出成形金型のためのツールセットは1つ必要なだけである。