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特許7587530熱線風速計、風量測定、パフ検出、及び周囲温度のトラッキング
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】熱線風速計、風量測定、パフ検出、及び周囲温度のトラッキング
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/51 20200101AFI20241113BHJP
   A24F 40/57 20200101ALI20241113BHJP
   A24F 40/53 20200101ALI20241113BHJP
【FI】
A24F40/51
A24F40/57
A24F40/53
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021570815
(86)(22)【出願日】2021-01-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-23
(86)【国際出願番号】 US2021013340
(87)【国際公開番号】W WO2021150411
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2023-10-24
(31)【優先権主張番号】16/749,692
(32)【優先日】2020-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517453405
【氏名又は名称】アルトリア クライアント サーヴィシーズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】パロット・アダム
(72)【発明者】
【氏名】ギャラガー・ナイル
(72)【発明者】
【氏名】ラウ・レイモンド・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ホーズ・エリック
(72)【発明者】
【氏名】ニューカム・ライアン
(72)【発明者】
【氏名】ベイチ・テリー
(72)【発明者】
【氏名】サンダー・ランガラージ・エス
(72)【発明者】
【氏名】キーン・ジャレット
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0042306(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0021930(US,A1)
【文献】特表2019-523037(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110352015(CN,A)
【文献】特開2019-022673(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0000160(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/51
A24F 40/57
A24F 40/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非ニコチンeベイピングデバイスの熱線風計を制御する方法であって、
第1の比例積分微分(PIDコントローラを用いて、前記熱線風計の発熱体の温度と設定温度とに基づいて、前記非ニコチンeベイピングデバイスによって前記熱線風計に供給される電力のレベルを制御するステップと、
前記非ニコチンeベイピングデバイスにおいて、現在パフが発生しているか否かを示すパフ検出信号であって、前記パフが生じているときに第1の論理値と、前記パフが生じていないときに第2の論理値とを有する前記パフ検出信号を生成するステップと、
前記パフ検出信号が前記非ニコチンeベイピングデバイスのパフが発生していないことを示す前記第2の論理値を有する間に、
第2のPIDコントローラを用いて、前記熱線風計の周囲温度の変化を検出するステップと、
前記第2のPIDコントローラを用いて、検出された前記熱線風計の前記周囲温度の変化に応じて前記設定温度が補正されるように、前記設定温度を制御するステップと、を含
前記設定温度は、前記パフ検出信号が、前記パフが前記非ニコチンeベイピングデバイスに関連して現在発生していることを示す前記第1の論理値を有する間は固定されている、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記非ニコチンeベイピングデバイスによって前記熱線風計に供給される前記電力のレベルを制御するステップは、前記第1のPIDコントローラを用いて、駆動信号設定値を生成するステップと、
前記駆動信号設定値に基づいて、前記非ニコチンeベイピングデバイスによって前記熱線風計に供給される前記電力のレベルを決定するステップと、を含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、
前記パフ検出信号が、前記非ニコチンeベイピングデバイスにおいて前記パフが発生していることを示している間に、前記駆動信号設定値に基づいて、前記熱線風計の周囲を流れているエアの流量を決定するステップをさらに含む、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法において、
前記パフ検出信号を生成するステップは、
前記駆動信号設定値の勾配を決定するステップと、
決定された前記駆動信号設定値の勾配に基づいて前記パフ検出信号を生成するステップと、
を含む、方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法において、
前記駆動信号設定値に基づいて、PWM駆動信号を生成するステップと、
前記PWM駆動信号を前記熱線風計に印加することで、前記熱線風計に前記電力のレベルを供給するステップと、
を含む、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、
前記PWM駆動信号を生成するステップは、前記駆動信号設定値に基づいて前記PWM駆動信号のデューティサイクルが制御されるように、前記PWM駆動信号を生成するステップを含む、方法。
【請求項7】
請求項2に記載の方法において、
前記駆動信号設定値を生成するステップは、
前記第1のPIDコントローラを用いて、前記熱線風計の発熱体の前記温度と前記設定温度との差に基づいて、前記駆動信号設定値を生成するステップを含む、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、
前記熱線風計の前記周囲温度の変化を検出するステップは、
前記第2のPIDコントローラを用いて、前記駆動信号設定値と目標駆動信号設定値との差に基づいて、前記熱線風計の前記周囲温度の変化を検出するステップを含む、方法。
【請求項9】
請求項2に記載の方法において、
前記熱線風計の前記周囲温度の変化を検出するステップは、
前記第2のPIDコントローラを用いて、前記駆動信号設定値と目標駆動信号設定値との差に基づいて、前記熱線風計の前記周囲温度の変化を検出するステップを含む、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、
前記設定温度を制御するステップは、
前記第2のPIDコントローラを用いて、前記熱線風計の前記周囲温度の上昇の検出に応じて前記設定温度を上げるステップと、
前記第2のPIDコントローラを用いて、前記熱線風計の前記周囲温度の低下の検出に応じて前記設定温度を下げるステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
非ニコチンeベイピングデバイスであって、
非ニコチンプレベイパー製剤収納部と、ヒータと、熱線風計と、第1の比例積分微分(PIDコントローラと、パフ検出信号生成部と、第2のPIDコントローラと、を備え、
前記非ニコチンプレベイパー製剤収納部は、非ニコチンプレベイパー製剤を収納するためのものであり、
前記ヒータは、前記非ニコチンプレベイパー製剤を加熱して非ニコチンプレベイパーを生成するように構成され、
前記第1のPIDコントローラは、前記熱線風計の発熱体の温度と設定温度とに基づいて、前記非ニコチンeベイピングデバイスによって前記熱線風計に供給される電力のレベルを制御するように構成され、
前記パフ検出信号生成部は、前記非ニコチンeベイピングデバイスにおいて現在パフが発生しているか否かを示すパフ検出信号であって、前記パフが生じているときに第1の論理値と、前記パフが生じていないときに第2の論理値とを有する前記パフ検出信号を生成するように構成され、
前記第2のPIDコントローラは、前記非ニコチンeベイピングデバイスにおいて現在パフが発生していないことを示す前記第2の論理値を有する間、
前記熱線風計の周囲温度の変化を検出し、
前記熱線風計の前記周囲温度の変化に応じて、検出された前記設定温度が補正されるように、前記設定温度を制御するように構成され、
前記設定温度は、前記パフ検出信号が、前記パフが前記非ニコチンeベイピングデバイスに関連して現在発生していることを示す前記第1の論理値を有する間は固定されている、もの。
【請求項12】
請求項11に記載の非ニコチンeベイピングデバイスにおいて、
前記第1のPIDコントローラは、駆動信号設定値を生成することで、前記非ニコチンeベイピングデバイスによって前記熱線風計に供給される前記電力のレベルを制御するように構成され、
前記非ニコチンeベイピングデバイスによって前記熱線風計に供給される前記電力のレベルは、前記駆動信号設定値に基づいている、もの。
【請求項13】
請求項12に記載の非ニコチンeベイピングデバイスにおいて、
前記第2のPIDコントローラは、前記パフ検出信号が前記非ニコチンeベイピングデバイスにおいて現在パフが発生していることを示す間に、前記駆動信号設定値に基づいて前記熱線風計の周囲を流れているエアの流量を決定するようにさらに構成される、もの。
【請求項14】
請求項12に記載の非ニコチンeベイピングデバイスにおいて、
前記パフ検出信号生成部は、
前記駆動信号設定値の勾配を決定し、
決定された前記駆動信号設定値の勾配に基づいて、前記パフ検出信号を生成するように構成される、もの。
【請求項15】
請求項12に記載の非ニコチンeベイピングデバイスにおいて、
駆動信号生成部をさらに備え、
前記駆動信号生成部は、
前記駆動信号設定値に基づいてPWM駆動信号を生成し、
前記PWM駆動信号を前記熱線風計に印加することで、前記熱線風計に前記電力のレベルを供給するように構成される、もの。
【請求項16】
請求項15に記載の非ニコチンeベイピングデバイスにおいて、
前記駆動信号生成部は、前記駆動信号設定値に基づいて前記PWM駆動信号のデューティサイクルを制御するように構成される、もの。
【請求項17】
請求項12に記載の非ニコチンeベイピングデバイスにおいて、
前記第1のPIDコントローラは、前記熱線風計の発熱体の前記温度と前記設定温度との差に基づいて、前記駆動信号設定値を生成するように構成される、もの。
【請求項18】
請求項17に記載の非ニコチンeベイピングデバイスにおいて、
前記第2のPIDコントローラは、前記駆動信号設定値と目標駆動信号設定値との差に基づいて、前記熱線風計の前記周囲温度の変化を検出するように構成される、もの。
【請求項19】
請求項12に記載の非ニコチンeベイピングデバイスにおいて、
前記第2のPIDコントローラは、前記駆動信号設定値と目標駆動信号設定値との差に基づいて、前記熱線風計の前記周囲温度の変化を検出するように構成される、もの。
【請求項20】
請求項19に記載の非ニコチンeベイピングデバイスにおいて、
前記第2のPIDコントローラは、
前記熱線風計の前記周囲温度の上昇の検出に応じて前記設定温度を上げ、
前記熱線風計の前記周囲温度の低下の検出に応じて前記設定温度を下げることで、前記設定温度を制御するように構成される、もの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非ニコチンプレベイパー製剤を含む自給式物品を備える非ニコチン電子ベイパーデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
非ニコチンeベイピングデバイスは、非ニコチンのプレベイパー製剤材料を非ニコチンベイパーに気化させるために使用される。これらの非ニコチンeベイピング(e-vaping)デバイスは、非ニコチンeベイピングデバイスと呼ばれることがある。非ニコチンeベイピングデバイスは、非ニコチンプレベイパー製剤材料を気化させて非ニコチンベイパーを生成するヒータを備える。非ニコチンeベイピングデバイスは、電源、ヒータを含むカートリッジ又はタンク、及び非ニコチンプレベイパー製剤を保持することができるリザーバを含むいくつかの要素を含むことができる。
【発明の概要】
【0003】
少なくともいくつかの実施形態によれば、非ニコチンeベイピングデバイスの熱線風速計(HWA:Hot Wire anemometer)を制御する方法は、第1のPIDコントローラを用いて、前記熱線風速計の発熱体の温度と設定温度とに基づいて、前記非ニコチンeベイピングデバイスによって前記熱線風速計に供給される電力のレベルを制御するステップと、前記非ニコチンeベイピングデバイスにおいて、現在パフが発生しているか否かを示すパフ検出信号を生成するステップと、前記パフ検出信号が前記非ニコチンeベイピングデバイスのパフが発生していないことを示す間に、第2のPIDコントローラを用いて、前記熱線風速計の周囲温度の変化を検出するステップと、前記第2のPIDコントローラを用いて、検出された前記熱線風速計の前記周囲温度の変化に応じて前記設定温度が変化するように、前記設定温度を制御するステップと、を含む。
【0004】
前記非ニコチンeベイピングデバイスによって前記熱線風速計に供給される前記電力のレベルを制御するステップは、前記第1のPIDコントローラを用いて、駆動信号設定値を生成するステップと、前記駆動信号設定値に基づいて、前記非ニコチンeベイピングデバイスによって前記熱線風速計に供給される前記電力のレベルを決定するステップと、を含んでもよい。
【0005】
本方法は、前記パフ検出信号が、前記非ニコチンeベイピングデバイスにおいてパフが発生していることを示している間に、前記駆動信号設定値に基づいて、前記熱線風速計の周囲を流れているエアの流量を決定するステップをさらに含んでもよい。
【0006】
前記パフ検出信号を生成するステップは、前記駆動信号設定値の勾配を決定するステップと、決定された前記駆動信号設定値の勾配に基づいて前記パフ検出信号を生成するステップと、を含んでもよい。
【0007】
本方法は、前記駆動信号設定値に基づいて、PWM駆動信号を生成するステップと、前記PWM駆動信号を前記熱線風速計に印加することで、前記熱線風速計に前記電力を供給するステップと、を含んでもよい。
【0008】
前記PWM駆動信号を生成するステップは、前記駆動信号設定値に基づいて前記PWM駆動信号のデューティサイクルが制御されるように、前記PWM駆動信号を生成するステップを含んでもよい。
【0009】
前記駆動信号設定値を生成するステップは、前記第1のPIDコントローラを用いて、前記熱線風速計の発熱体の前記温度と前記設定温度との差に基づいて、前記駆動信号設定値を生成するステップを含んでもよい。
【0010】
前記熱線風速計の前記周囲温度の変化を検出するステップは、前記第2のPIDコントローラを用いて、前記駆動信号設定値と目標駆動信号設定値との差に基づいて、前記熱線風速計の前記周囲温度の変化を検出するステップを含んでもよい。
【0011】
前記熱線風速計の前記周囲温度の変化を検出するステップは、前記第2のPIDコントローラを用いて、前記駆動信号設定値と目標駆動信号設定値との差に基づいて、前記熱線風速計の前記周囲温度の変化を検出するステップを含んでもよい。
【0012】
前記設定温度を制御するステップは、前記第2のPIDコントローラを用いて、前記熱線風速計の前記周囲温度の上昇の検出に応じて前記設定温度を上げるステップと、前記第2のPIDコントローラを用いて、前記熱線風速計の前記周囲温度の低下の検出に応じて前記設定温度を下げるステップと、を含んでもよい。
【0013】
少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、非ニコチンeベイピングデバイスは、非ニコチンプレベイパー製剤収納部と、ヒータと、熱線風速計と、第1のPIDコントローラと、パフ検出信号生成部と、第2のPIDコントローラと、を備え、前記非ニコチンプレベイパー製剤収納部は、非ニコチンプレベイパー製剤を収納するためのものであり、前記ヒータは、前記非ニコチンプレベイパー製剤を加熱して非ニコチンプレベイパーを生成するように構成され、前記第1のPIDコントローラは、前記熱線風速計の発熱体の温度と設定温度とに基づいて、前記非ニコチンeベイピングデバイスによって前記熱線風速計に供給される電力のレベルを制御するように構成され、前記パフ検出信号生成部は、前記非ニコチンeベイピングデバイスにおいて現在パフが発生しているか否かを示すパフ検出信号を生成するように構成され、前記第2のPIDコントローラは、前記非ニコチンeベイピングデバイスにおいて現在パフが発生していないことを示している間、前記熱線風速計の周囲温度の変化を検出し、前記熱線風速計の前記周囲温度の変化に応じて、検出された前記設定温度が変化するように、前記設定温度を制御するように構成される。
【0014】
前記第1のPIDコントローラは、駆動信号設定値を生成することで、前記非ニコチンeベイピングデバイスによって前記熱線風速計に供給される前記電力のレベルを制御するように構成され、前記非ニコチンeベイピングデバイスによって前記熱線風速計に供給される前記電力のレベルは、前記駆動信号設定値に基づいている、ものであってもよい。
【0015】
前記第2のPIDコントローラは、前記パフ検出信号が前記非ニコチンeベイピングデバイスにおいて現在パフが発生していることを示す間に、前記駆動信号設定値に基づいて前記熱線風速計の周囲を流れているエアの流量を決定するようにさらに構成される、ものであってもよい。
【0016】
前記パフ検出信号生成部は、前記駆動信号設定値の勾配を決定し、決定された前記駆動信号設定値の勾配に基づいて、前記パフ検出信号を生成するように構成される、ものであってもよい。
【0017】
本非ニコチンeベイピングデバイスは、駆動信号生成部をさらに備え、前記駆動信号生成部は、前記駆動信号設定値に基づいてPWM駆動信号を生成し、前記PWM駆動信号を前記熱線風速計に印加することで、前記熱線風速計に前記電力を供給するように構成される、ものであってもよい。
【0018】
前記駆動信号生成部は、前記駆動信号設定値に基づいて前記PWM駆動信号のデューティサイクルを制御するように構成される、ものであってもよい。
【0019】
前記第1のPIDコントローラは、前記熱線風速計の発熱体の前記温度と前記設定温度との差に基づいて、前記駆動信号設定値を生成するように構成される、ものであってもよい。
【0020】
前記第2のPIDコントローラは、前記駆動信号設定値と目標駆動信号設定値との差に基づいて、前記熱線風速計の前記周囲温度の変化を検出するように構成される、ものであってもよい。
【0021】
前記第2のPIDコントローラは、前記駆動信号設定値と目標駆動信号設定値との差に基づいて、前記熱線風速計の前記周囲温度の変化を検出するように構成される、ものであってもよい。
【0022】
前記第2のPIDコントローラは、前記熱線風速計の前記周囲温度の上昇の検出に応じて前記設定温度を上げ、前記熱線風速計の前記周囲温度の低下の検出に応じて前記設定温度を下げることで、前記設定温度を制御するように構成される、ものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本明細書の非限定的な実施形態の様々な特徴及び利点は、添付の図面と併せて詳細な説明を検討することにより、より明らかになるであろう。添付の図面は、単に説明のために提供されており、特許請求の範囲を限定するように解釈されるべきではない。添付の図面は、明示的に記載されていない限り、縮尺に合わせて描かれているとはみなされない。明確にするために、図面の様々な寸法が誇張されている場合がある。
【0024】
図1図1は、例示的な実施形態による非ニコチンeベイピングデバイスの正面図である。
【0025】
図2図2は、図1の非ニコチンeベイピングデバイスの側面図である。
【0026】
図3図3は、図1の非ニコチンeベイピングデバイスの背面図である。
【0027】
図4図4は、図1の非ニコチンeベイピングデバイスの近位側の端部(近位端)を示す図である。
【0028】
図5図5は、図1の非ニコチンeベイピングデバイスの遠位側の端部(遠位端)を示す図である。
【0029】
図6図6は、図1の非ニコチンeベイピングデバイスの斜視図である。
【0030】
図7図7は、図6のポッドインレットの拡大図である。
【0031】
図8図8は、図6の非ニコチンeベイピングデバイスの断面図である。
【0032】
図9図9は、図6の非ニコチンeベイピングデバイスのデバイス本体の斜視図である。
【0033】
図10図10は、図9のデバイス本体の正面図である。
【0034】
図11図11は、図10の貫通孔の拡大斜視図である。
【0035】
図12図12は、図10のデバイス電気コネクタの拡大斜視図である。
【0036】
図13図13は、図6の非ニコチンeベイピングデバイスのポッド部品の斜視図である。
【0037】
図14図14は、図13のポッド部品の他の斜視図である。
【0038】
図15図15は、図13のポッド部品の一部分解斜視図である。
【0039】
図16図16は、図15のコネクタモジュールの斜視図である。
【0040】
図17図17は、図15のコネクタモジュールの他の斜視図である。
【0041】
図18図18は、ウィック及びヒータのない図17のコネクタモジュールの斜視図である。
【0042】
図19図19は、図18のコネクタモジュールの分解斜視図である。
【0043】
図20図20は、図18のコネクタモジュールの他の分解図である。
【0044】
図21A図21Aは、例示的な実施形態によるデバイス本体のデバイスシステムダイアグラムである。
【0045】
図21B図21Bは、例示的な実施形態によるマイクロプロセッサの一例を示す図である。
【0046】
図22A図22Aは、例示的な実施形態によるポッド部品のポッドシステム図である。
【0047】
図22B図22Bは、例示的な実施形態による、暗号化コプロセッサが省略された図22Aのポッドシステムの一例を示す図である。
【0048】
図23図23は、例示的な実施形態による、デバイスシステムに接続されたポッドシステムを示す図である。
【0049】
図24A図24A~24Dは、例示的な実施形態による、図22Aのポッドシステムの熱線風速計に含まれる発熱体の実装例を説明する図である。
図24B図24A~24Dは、例示的な実施形態による、図22Aのポッドシステムの熱線風速計に含まれる発熱体の実装例を説明する図である。
図24C図24A~24Dは、例示的な実施形態による、図22Aのポッドシステムの熱線風速計に含まれる発熱体の実装例を説明する図である。
図24D図24A~24Dは、例示的な実施形態による、図22Aのポッドシステムの熱線風速計に含まれる発熱体の実装例を説明する図である。
【0050】
図25A図25Aは、例示的な実施形態による内側PID制御ループの図である。
【0051】
図25B図25B~25Dは、図25Aのパルス幅変調駆動信号の波形例を示す図である。
図25C図25B~25Dは、図25Aのパルス幅変調駆動信号の波形例を示す図である。
図25D図25B~25Dは、図25Aのパルス幅変調駆動信号の波形例を示す図である。
【0052】
図26A図26Aは、例示的な実施形態による外側のPID制御ループの図である。
【0053】
図26B図26Bは、例示的な実施形態による熱線風速計の操作方法を示すフローチャートである。
【0054】
図27図27は、例示的な実施形態によるエアロゾル生成デバイスの概略図である。
【0055】
図28図28は、例示的な実施形態による他のヒートノットバーンエアロゾル生成デバイスの断面図である。
【0056】
図29図29は、例示的な実施形態によるヒートノットバーンエアロゾル生成デバイスの電極とシールによって係合されたカプセルを含む配置の平面図である。
【0057】
図30図30は、図29の配置の斜視図である。
【0058】
図31図31は、図29の配置の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
ある要素又は層が、他の要素又は層の「上に(on)ある」、「接続されている(connected to)」、「結合されている(coupled to)」又は「覆っている(covering)」と呼ばれる場合、それは他の要素又は層の上に直接、接続されている、結合されている又は覆っているであってもよいし、介在する要素又は層が存在していてもよいことを理解すべきである。一方、ある要素が他の要素や層に「直接載っている(directly on)」、「直接つながっている(directly connected to)」又は「直接結合している(directly coupled to)」と言われる場合は、介在する要素や層が存在しないこととなる。本明細書では、同一番号は同一要素を意味する。本明細書では、「及び/又は(and/or)」という用語は、関連する記載項目の1つ又は複数の任意の及びすべての組み合わせを含む。
【0060】
本明細書では、様々な要素、エレメント、領域、層、及び/又はセクションを説明するために、第1、第2、第3などの用語が使用されることがあるが、これらの要素、エレメント、領域、層、及び/又はセクションは、これらの用語によって限定されるべきではないことを理解する必要がある。これらの用語は、1つの要素、エレメント、領域、層、又はセクションを別の領域、層、又はセクションと区別するためにのみ使用される。したがって、以下で説明する第1の要素、エレメント、領域、層、又はセクションは、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素、エレメント、領域、層、又はセクションと呼ぶことができる。
【0061】
本明細書では、説明を容易にするために、空間的に相対的な用語(例えば、「下方に(beneath)」、「下方に(below)」、「下方に(lower)」、「上方に(above)」、「上方に(upper)」など)を使用して、図に示されているように、ある要素又は機能と他の要素又は機能との関係を説明することができる。空間的に相対的な用語は、図に描かれている向きに加えて、使用時や動作時におけるデバイスの異なる向きを包含することを意図していることを理解すべきである。例えば、図中のデバイスを裏返した場合、他の要素や特徴の「下方(below)」や「下方(beneath)」と記載された要素は、他の要素や特徴の「上方(above)」に向けられることになる。したがって、「下方(below)」という用語は、上と下の両方の向きを包含する可能性がある。また、デバイスは他の方向に向けてもよく(90度回転させてもよいし、他の方向に向けてもよい)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子はそれに応じて解釈される。
【0062】
本明細書で使用されている用語は、様々な実施形態を説明するためだけのものであり、例示的な実施形態を限定することを意図したものではない。本明細書で使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明確に示す場合を除き、複数形も含むことが意図される。本明細書で使用される用語「含む(includes)」、「含む(including)」、「備える(comprises)」及び/又は「備える(comprising)」は、記載された特徴、整数、ステップ、動作、エレメント、及び/又は要素の存在を特定するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではないことがさらに理解されるであろう。
【0063】
例示的な実施形態は、本明細書において、例示的な実施形態の理想化された実施形態(及び中間構造)の概略図である断面図を参照して説明される。そのため、例えば、製造技術及び/又は公差の結果として、図示の形状からの変動が予想される。したがって、例示された実施形態は、ここで図示された領域の形状に限定されると解釈されるべきではなく、例えば、製造に起因する形状の偏差を含むものとする。図に例示されている領域は、本質的に模式的であり、その形状は、デバイスの領域の実際の形状を例示することを意図しておらず、例示の実施形態の範囲を制限することを意図していない。
【0064】
特に定義されていない限り、本明細書で使用されているすべての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、例示された実施形態が属する技術分野の通常の技術者によって一般的に理解されているのと同じ意味を持つ。さらに、一般的に使用されている辞書で定義されているものを含む用語は、関連する技術の文脈における意味と一致する意味を持つものとして解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想化された、又は過度に形式的な意味で解釈されることはないことが理解されるであろう。
[非ニコチンeベイピングデバイスの構造例]
【0065】
本明細書で使用される「非ニコチンeベイパーデバイス(non-nicotine e-vapor device)」は、非ニコチンeベイピングデバイス(non-nicotine e-vaping device)、非ニコチンeベイパーアパレイタス(non-nicotine e-vapor apparatus)、及び非ニコチンeベイピングアパレイタス(non-nicotine e-vaping apparatus)という用語のいずれかを使用して時折言及され、同義とみなされることがある。ポッド部品(例えば、ポッド部品300)は、本明細書では、「ポッド(pods)」又は「取り外し可能なポッド(removable pods)」とも呼ばれることがある。
【0066】
図1は、例示的な実施形態による非ニコチンeベイピングデバイスの正面図である。図2は、図1の非ニコチンeベイピングデバイスの側面図である。図3は、図1の非ニコチンeベイピングデバイスの背面図である。図1図3を参照すると、非ニコチンeベイピングデバイス500は、ポッド部品300を受け入れるように構成されたデバイス本体100を含む。ポッド部品300は、非ニコチンプレベイパー製剤を保持するように構成されたモジュール物体である。本明細書で使用される場合、用語「非ニコチンプレベイパー製剤(non-nicotine pre-vapor formulation)」(又は「非ニコチンプレベイパー製剤材料(non-nicotine pre-vapor formulation material)」)は、ニコチンを含まず、非ニコチンベイパーに変換され得る材料(又は材料の組み合わせ)を指す。例えば、非ニコチンプレベイパー製剤は、水、油、エマルジョン、ビーズ、溶媒、有効成分、エタノール、植物抽出物(カンナビノイドなど)、天然又は人工フレーバ、及びグリセリンやプロピレングリコールなどのベイパー形成剤を含む(ただし、これらに限定されない)液体、固体、及び/又はゲル状の製剤であってもよい。ベイピング中、非ニコチンeベイピングデバイス500は、非ニコチンプレベイパー製剤を加熱して、非ニコチンベイパーを生成するように構成されている。本明細書で言及されるように、「ベイパー(vapor)」とは、本明細書で開示される例示的な実施形態のいずれかによる任意の非ニコチンeベイピングデバイスから生成又は出力される任意の物質である。非ニコチンプレベイパー製剤は、2019年8月14日に出願された「NON-NICOTINE E-VAPING SECTION, AND NON-NICOTINE E-VAPING DEVICE INCLUDING NON-NICOTINE E-VAPING SECTION」(Atty.Dkt.No.24000NV-000612-US)と題された米国出願第16/540,433号に記載されているものでもよく、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0067】
デバイス本体100は、フロントカバー104と、フレーム106と、リアカバー108とを備える。フロントカバー104、フレーム106、及びリアカバー108は、非ニコチンeベイピングデバイス500の動作に関連する機械部品、電子部品、及び/又は回路を封入するデバイス筐体を形成する。例えば、デバイス本体100のデバイス筐体は、ポッド部品300に電流を供給することを含む、非ニコチンeベイピングデバイス500に電力を供給するように構成された電源を封入してもよい。さらに、組み立てられたときに、フロントカバー104、フレーム106、及びリアカバー108は、デバイス本体100の可視部分の大部分を構成してもよい。
【0068】
フロントカバー104(例えば、第1のカバー)は、ベゼル構造112を収容するように構成された一次開口部を規定する。ベゼル構造112は、ポッド部品300を受け入れるように構成された貫通孔150を規定する。貫通孔150は、例えば、図9に関連して本明細書でより詳細に説明される。
【0069】
フロントカバー104はまた、ライトガイドアレンジメントを収容するように構成された二次開口部を規定する。二次開口部は、スロット(例えば、セグメント化されたスロット)に似ていてもよいが、ライトガイドアレンジメントの形状に応じて他の形状も可能である。例示的な実施形態では、ライトガイドアレンジメントは、ライトガイドレンズ116を含む。さらに、フロントカバー104は、第1のボタン118及び第2のボタン120を収容するように構成された三次開口部及び四次開口部を規定する。三次開口部及び四次開口部のそれぞれは、ボタンの形状に応じて他の形状が可能であるが、丸みを帯びた正方形に似ているかもしれない。第1のボタン筐体122は、第1のボタンレンズ124を露出させるように構成され、一方、第2のボタン筐体123は、第2のボタンレンズ126を露出させるように構成される。
【0070】
非ニコチンeベイピングデバイス500の動作は、第1のボタン118及び第2のボタン120によって制御されてもよい。例えば、第1のボタン118は、電源ボタンであってもよく、第2のボタン120は、強度ボタンであってもよい。図面では、ライトガイドアレンジメントに関連して2つのボタンが示されているが、利用可能な機能及び所望のユーザインタフェースに応じて、より多くの(又は少ない)ボタンが提供されてもよい。
【0071】
フレーム106(例えば、ベースフレーム)は、デバイス本体100(及び全体としての非ニコチンeベイピングデバイス500)の中央支持構造である。フレーム106は、シャーシと呼ばれることもある。フレーム106は、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端との間の一対の側部とを含む。近位端及び遠位端は、それぞれ、下流端及び上流端と呼ばれることもある。本明細書では、「近位(proximal)」(及び、逆に「遠位(distal)」)は、ベイピング中のアダルトベイパーとの関係であり、「下流(downstream)」(及び、逆に「上流(upstream)」)は、非ニコチンベイパーの流れとの関係である。強度と安定性を高めるために、側部の対向する内面の間(例えば、フレーム106の長さのほぼ中間)に架橋部を設けてもよい。フレーム106は、モノリシック構造となるように一体的に形成されてもよい。
【0072】
構造の材料に関しては、フレーム106は、合金又はプラスチックで形成されてもよい。合金(例えば、ダイキャストグレード、機械加工可能グレード)は、アルミニウム(Al)合金又は亜鉛(Zn)合金であってもよい。プラスチックは、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、又はそれらの組み合わせ(PC/ABS)であってもよい。例えば、ポリカーボネートは、LUPOY SC1004Aであってもよい。さらに、フレーム106は、機能的及び/又は美的な理由で(例えば、高級感のある外観を提供するために)、表面仕上げが施されていてもよい。例示的な実施形態では、フレーム106(例えば、アルミニウム合金で形成される場合)は、アルマイト処理されてもよい。別の実施形態では、フレーム106(例えば、亜鉛合金で形成されている場合)は、硬質エナメルでコーティングされてもよいし、塗装されてもよい。他の実施形態では、フレーム106(例えば、ポリカーボネートで形成されている場合)は、金属化されてもよい。さらに他の実施形態では、フレーム106(例えば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンで形成されている場合)は、電気めっきされてもよい。フレーム106に関する構造の材料は、フロントカバー104、リアカバー108、及び/又は非ニコチンeベイピングデバイス500の他の適切な部分にも適用可能である。
【0073】
リアカバー108(例えば、第2のカバー)はまた、ベゼル構造112を収容するように構成された開口部を規定する。フロントカバー104及びリアカバー108は、スナップフィットアレンジメントを介してフレーム106と係合するように構成されてもよい。
【0074】
デバイス本体100はまた、マウスピース102を備える。マウスピース102は、フレーム106の近位端に固定されてもよい。
【0075】
図4は、図1の非ニコチンeベイピングデバイスの近位側の端部を示す図である。図4を参照すると、マウスピース102のアウトレット面は、複数のベイパーアウトレットを規定している。非限定的な実施形態では、マウスピース102のアウトレット面は、楕円形であってもよい。
【0076】
図5は、図1の非ニコチンeベイピングデバイスの遠位側の端部を示す図である。図5を参照すると、非ニコチンeベイピングデバイス500の遠位端は、ポート110を含む。ポート110は、非ニコチンeベイピングデバイス500内の内部電源を充電するように、外部電源から(例えば、USBケーブルを介して)電流を受け取るように構成されている。さらに、ポート110は、他の非ニコチンeベイピングデバイス又は他の電子デバイス(例えば、電話、タブレット、コンピュータ)にデータを送信し、及び/又は他の電子デバイスからデータを受け付ける(例えば、USBケーブルを介して)ように構成されてもよい。さらに、非ニコチンeベイピングデバイス500は、電話機などの他の電子デバイスと、その電子デバイスにインストールされたアプリケーションソフトウェア(アプリ)を介して、無線通信できるように構成されていてもよい。そのような例では、アダルトベイパーは、アプリを介して、非ニコチンeベイピングデバイス500を制御したり、そうでなければインタフェースで結合したりすることができる(例えば、非ニコチンeベイピングデバイス500の位置を確認したり、使用情報を確認したり、動作パラメータを変更したりすることができる)。
【0077】
図6は、図1の非ニコチンeベイピングデバイスの斜視図である。また、図7は、図6のポッドインレットの拡大図である。図6~7を参照すると、上で簡単に述べたように、非ニコチンeベイピングデバイス500は、非ニコチンプレベイパー製剤を保持するように構成されたポッド部品300を含む。ポッド部品300は、上流側の端部(ライトガイドアレンジメントに面する)と、下流側の端部(マウスピース102に面する)とを有する。非限定的な実施形態では、上流側の端部は、ポッド部品300の下流側の端部の対向面である。ポッド部品300の上流側の端部は、ポッドインレット322を規定する。デバイス本体100は、ポッド部品300を受け入れるように構成された貫通孔(例えば、図9の貫通孔150)を規定する。例示的な実施形態では、デバイス本体100のベゼル構造112は、貫通孔を規定し、上流側のリムを含む。特に図7に示すように、ベゼル構造112の上流側のリムは、ポッド部品300がデバイス本体100の貫通孔内に着座したときにポッドインレット322を露出させるように角度が付けられている(例えば、内側に窪んでいる)。
【0078】
例えば、フロントカバー104の輪郭に従うのではなく(ポッド部品300の前面部と相対的に同一平面になるように、したがって、ポッドインレット322を覆い隠すように)、ベゼル構造112の上流側のリムは、周囲のエアをポッドインレット322に導くように構成されたスクープの形態である。この角度付き/スクープの構成は、非ニコチンeベイピングデバイス500のエアインレット(例えば、ポッドインレット322)の閉塞を低減又は防止するのに役立ち得る。スクープの深さは、ポッド部品300の上流側の端面部の半分以下(例えば、4分の1以下)が露出するようなものであってもよい。さらに、非限定的な実施形態では、ポッドインレット322は、スロットの形態である。さらに、デバイス本体100が第1の方向に延びているとみなされる場合、スロットは第2の方向に延びているとみなされてもよく、第2の方向は第1の方向に対して横向きである。
【0079】
図8は、図6の非ニコチンeベイピングデバイスの断面図である。図8では、断面は、非ニコチンeベイピングデバイス500の長手方向に沿って撮影されている。図示されているように、デバイス本体100及びポッド部品300は、非ニコチンeベイピングデバイス500の動作に関連する機械部品、電子部品、及び/又は回路を含み、これらは、本明細書でより詳細に説明されており、及び/又は本明細書で参照により組み込まれている。例えば、ポッド部品300は、内部の密封されたリザーバから非ニコチンプレベイパー製剤を放出するために作動するように構成された機械的コンポーネントを含んでもよい。また、ポッド部品300は、ポッド部品300の挿入及び着座を容易にするために、デバイス本体100と係合するように構成された機械的側面を有してもよい。
【0080】
さらに、ポッド部品300は、情報を格納、受信、及び/又はデバイス本体100との間で送信するように構成された電子部品及び/又は回路を含む「スマートポッド(smart pod)」であってもよい。そのような情報は、デバイス本体100と一緒に使用するためにポッド部品300を認証するために使用されてもよい(例えば、未承認/偽造のポッド部品の使用を防止するため)。さらに、この情報は、ポッド部品300のタイプを識別するために使用されてもよく、次に、識別されたタイプに基づくベイピングプロファイルと相関する。ベイピングプロファイルは、非ニコチンプレベイパー製剤の加熱のための一般的なパラメータを規定するように設計されてもよく、ベイピング前及び/又はベイピング中にアダルトベイパーによってチューニング、改良、又は他のアジャストメントが行われてもよい。
【0081】
また、ポッド部品300は、非ニコチンeベイピングデバイス500の動作に関連する可能性のある他の情報をデバイス本体100と通信してもよい。関連する情報の例には、ポッド部品300内の非ニコチンプレベイパー製剤のレベル、及び/又は、ポッド部品300がデバイス本体100に挿入されて起動されてから経過した時間の長さが含まれ得る。
【0082】
デバイス本体100は、ポッド部品300を係合、保持、及び/又は起動するように構成された機械的構成要素(例えば、相補的構造)を含んでもよい。さらに、デバイス本体100は、電流を受けて内部電源(例えば、電池)を充電するように構成された電子部品及び/又は回路を含んでもよく、この回路は、次々に、ベイピング中にポッド部品300に電力を供給するように構成されている。さらに、デバイス本体100は、ポッド部品300、他の非ニコチンeベイピングデバイス、他の電子デバイス(例えば、電話、タブレット、コンピュータ)、及び/又はアダルトベイパーと通信するように構成された電子部品及び/又は回路を含んでもよい。
【0083】
図9は、図6の非ニコチンeベイピングデバイスのデバイス本体の斜視図である。図9を参照すると、デバイス本体100のベゼル構造112は、貫通孔150を規定している。貫通孔150は、ポッド部品300を受け入れるように構成されている。貫通孔150内へのポッド部品300の挿入及び着座を容易にするために、ベゼル構造112の上流側のリムは、第1の上流側の突出部128a及び第2の上流側の突出部128bを含む。
【0084】
ベゼル構造112の下流側の側壁部は、第1の下流側の開口部、第2の下流側の開口部、及び第3の下流側の開口部を規定してもよい。第1の下流側の突出部130a及び第2の下流側の突出部130bを含む保持構造は、第1の下流側の突出部130a及び第2の下流側の突出部130bが、ベゼル構造112の第1の下流側の開口部及び第2の下流側の開口部をそれぞれ通って、貫通孔150内に突出するように、ベゼル構造112と係合する。
【0085】
図10は、図9のデバイス本体の正面図である。図10を参照すると、デバイス本体100は、貫通孔150の上流側に配置されたデバイス電気コネクタ132を含む。デバイス本体100のデバイス電気コネクタ132は、貫通孔150内に着座しているポッド部品300と電気的に係合するように構成されている。このため、ベイピング中には、デバイス本体100からデバイス電気コネクタ132を介してポッド部品300に電力を供給することができる。さらに、デバイス電気コネクタ132を介して、デバイス本体100及びポッド部品300にデータを送信及び/又はポッド部品300からデータを受け付けることができる。
【0086】
図11は、図10の貫通孔の拡大斜視図である。図11を参照すると、第1の上流側の突出部128a、第2の上流側の突出部128b、第1の下流側の突出部130a、第2の下流側の突出部130b、及びマウスピース102の遠位端が、貫通孔150内に突出している。例示的な実施形態では、第1の上流側の突出部128a及び第2の上流側の突出部128bは、静止した構造(例えば、ステーショナリピボット)であり、第1の下流側の突出部130a及び第2の下流側の突出部130bは、牽引可能な構造(例えば、リトラクタブル部材)である。例えば、第1の下流側の突出部130a及び第2の下流側の突出部130bは、ポッド部品300の挿入を容易にするために、収容状態に一時的に移行する(及び収容状態に可逆的に戻る)ように構成される一方で、収容状態にデフォルトで移行するように構成されてもよい(例えば、ばね負荷がかかっている)。
【0087】
図12は、図10のデバイス電気コンタクトの拡大斜視図である。デバイス本体100のデバイス電気コンタクトは、ポッド部品300がデバイス本体100の貫通孔150内に着座したときに、ポッド部品300のポッド電気コンタクトと係合するように構成されている。図12を参照すると、デバイス本体100のデバイス電気コンタクトは、デバイス電気コネクタ132を含む。デバイス電気コネクタ132は、電力コンタクト及びデータコンタクトを含む。デバイス電気コネクタ132の電力コンタクトは、デバイス本体100からポッド部品300に電力を供給するように構成されている。図示されているように、デバイス電気コネクタ132の電力コンタクトは、第1の一対の電力コンタクトと、第2の一対の電力コンタクト(リアカバー108よりもフロントカバー104に近い位置にあるように配置されている)とを含む。第1の一対の電力コンタクト(例えば、第1の上流側の突出部128aに隣接する一対)は、第2の一対の電力コンタクトとは異なる単一の一体構造であってもよく、組み立てられたときに、貫通孔150内に延びる2つの突出部を含んでいる。同様に、第2の一対の電力コンタクト(例えば、第2の上流側の突出部128bに隣接する一対)は、第1の一対の電力コンタクトとは異なる単一の一体構造であってもよく、組み立てられたときに、貫通孔150内に延びる2つの突起部を含む。デバイス電気コネクタ132の第1の一対の電力コンタクト及び第2の一対の電力コンタクトは、デフォルトとして貫通孔150内に突出し、バイアスに打ち勝つ力を受けたときに貫通孔150から(例えば、独立して)後退するように、牽引可能に取り付けられ、バイアスがかけられてもよい。
【0088】
図13は、図6の非ニコチンeベイピングデバイスのポッド部品の斜視図である。また、図14は、図13のポッド部品の他の斜視図である。
【0089】
図13は、図6の非ニコチンeベイピングデバイスのポッド部品の斜視図である。また、図14は、図13のポッド部品の他の斜視図である。図13及び図14を参照すると、非ニコチンeベイピングデバイス500のポッド部品300は、非ニコチンプレベイパー製剤を保持するように構成されたポッド本体を含む。したがって、ポッド部品300は、非ニコチンeベイピングデバイス500の非ニコチンプレベイパー製剤収容部分の一例である。ポッド本体は、上流側の端部と、下流側の端部とを有する。ポッド本体の上流側の端部は、ポッドインレット322を規定する。ポッド本体の下流側の端部は、上流側の端部のポッドインレット322と流体連通するポッドアウトレット304を規定する。ベイピング中、エアはポッドインレット322を介してポッド部品300に入り、非ニコチンベイパーはポッドアウトレット304を介してポッド部品300から出る。ポッドインレット322は、図面ではスロットの形をしているように示されている。しかし、例示的な実施形態はそれに限定されず、他の形態が可能である。
【0090】
ポッド部品300は、ポッド本体内に配置され、上流側の端部の開口部によって露出するコネクタモジュール320(例えば、図16)を含む。コネクタモジュール320の外面は、少なくとも1つの電気コンタクトを含む。少なくとも1つの電気コンタクトは、複数の電力コンタクトを含んでいてもよい。例えば、複数の電力コンタクトは、第1の電力コンタクト324a及び第2の電力コンタクト324bを含んでもよい。ポッド部品300の第1の電力コンタクト324aは、デバイス本体100のデバイス電気コネクタ132の第1の電力コンタクト(例えば、図12の第1の上流側の突出部128aに隣接する電力コンタクト)と電気的に接続するように構成されている。同様に、ポッド部品300の第2の電力コンタクト324bは、デバイス本体100のデバイス電気コネクタ132の第2の電力コンタクト(例えば、図12の第2の上流側の突出部128bに隣接する電力コンタクト)と電気的に接続するように構成されている。さらに、ポッド部品300の少なくとも1つの電気コンタクトは、複数のデータコンタクト326を含む。ポッド部品300の複数のデータコンタクト326は、デバイス電気コネクタ132のデータコンタクト(例えば、図12の5つの突起の列)と電気的に接続するように構成されている。ポッド部品300に関連して2つの電力コンタクトと5つのデータコンタクトが示されているが、デバイス本体100の設計に応じて他のバリエーションが可能である。
【0091】
例示的な実施形態では、ポッド部品300は、前面部と、前面部に対向する後面部と、前面部と後面部の間の第1の側面部と、第1の側面部に対向する第2の側面部と、上流側の端面部と、上流側の端面部に対向する下流側の端面部とを含む。側面部及び端面部の角部(例えば、第1の側面部と上流側の端面部の角部、上流側の端面部と第2の側面部の角部、第2の側面部と下流側の端面部の角部、下流側の端面部と第1の側面部の角部)は、丸みを帯びていてもよい。しかし、場合によっては、角部が角張っていてもよい。さらに、前面部の周縁部は、レッジの形態であってもよい。コネクタモジュール320の外面(ポッド本体によって露出されている)は、ポッド部品300の上流側の端面部の一部であるとみなすことができる。ポッド部品300の前面部は、後面部よりも広く、長くてもよい。そのような例では、第1の側面部及び第2の側面部は、互いに向かって内側に角度をつけていてもよい。また、上流側の端面部と下流側の端面部も、互いに向かって内側に角度をつけてもよい。角張った面があるため、ポッド部品300の挿入は、一方向性(例えば、デバイス本体100の前側部(フロントカバー104に関連する側)から)となる。その結果、ポッド部品300がデバイス本体100に不適切に挿入される可能性を低減又は防止することができる。
【0092】
図示されているように、ポッド部品300のポッド本体は、第1の筐体部302及び第2の筐体部308を含む。第1の筐体部302は、ポッドアウトレット304を規定する下流側の端部を有する。ポッドアウトレット304のリムは、任意に、沈んだ又は窪んだ領域であってもよい。そのような例では、この領域はコーブに似ていてもよく、ポッド部品300の後面部に隣接するリムの側面は開いていてもよく、一方、前面部に隣接するリムの側面は、第1の筐体部302の下流端の隆起部分によって囲まれていてもよい。隆起部分は、マウスピース102の遠位端のストッパーとして機能してもよい。その結果、ポッドアウトレット304のためのこの構成は、リムの開放面を介したマウスピース102(例えば、図11)の遠位端の受け入れと整列、及びその後の第1の筐体部302の下流端の隆起部分に対する着座を容易にすることができる。非限定的な実施形態において、マウスピース102の遠位端はまた、ポッド部品300がデバイス本体100の貫通孔150内に適切に挿入されたときにポッドアウトレット304の周りにシールを形成するのを助けるために、弾力性のある材料を含んでもよい(又は、そのように形成されてもよい)。
【0093】
第1の筐体部302の下流側の端部は、さらに、少なくとも1つの下流側の凹部を規定する。例示的な実施形態では、少なくとも1つの下流側の凹部は、第1の下流側の凹部306a及び第2の下流側の凹部306bの形をしている。ポッドアウトレット304は、第1の下流側の凹部306aと第2の下流側の凹部306bとの間にあってもよい。第1の下流側の凹部306a及び第2の下流側の凹部306bは、デバイス本体100の第1の下流側の突出部130a及び第2の下流側の突出部130bとそれぞれ係合するように構成されている。図11に示すように、デバイス本体100の第1の下流側の突出部130a及び第2の下流側の突出部130bは、貫通孔150の下流側の側壁部の隣接する角部に配置されてもよい。また、第1の下流側の凹部306a及び第2の下流側の凹部306bのそれぞれは、V字形状の切り欠きの形態であってもよい。このような例では、デバイス本体100の第1の下流側の突出部130a及び第2の下流側の突出部130bのそれぞれは、第1の下流側の凹部306a及び第2の下流側の凹部306bの対応するV字形状の切り欠きに係合するように構成された楔形状の形態であってもよい。第1の下流側の凹部306aは、下流側の端面と第1の側面部の角部に接し、第2の下流側の凹部306bは、下流側の端面部と第2の側面部の角部に接していてもよい。その結果、第1の側面部及び第2の側面部にそれぞれ隣接する第1の下流側の凹部306a及び第2の下流側の凹部306bの端部が開放されていてもよい。このような例では、図14に示すように、第1の下流側の凹部306a及び第2の下流側の凹部306bのそれぞれが、3面の凹部であってもよい。
【0094】
第2の筐体部308は、(ポッドインレット322に加えて)ポッド部品300内でコネクタモジュール320(図15~16)を露出させるように構成された複数の開口部(例えば、第1の電力コンタクト開口部325a、第2の電力コンタクト開口部325b、データコンタクト開口部327)をさらに規定する上流端を有する。第2の筐体部308の上流側の端部は、少なくとも1つの上流側の凹部も規定している。例示的な実施形態では、少なくとも1つの上流側の凹部は、第1の上流側の凹部312a及び第2の上流側の凹部312bの形態をしている。ポッドインレット322は、第1の上流側の凹部312aと第2の上流側の凹部312bとの間にあってもよい。第1の上流側の凹部312a及び第2の上流側の凹部312bは、デバイス本体100の第1の上流側の突出部128a及び第2の上流側の突出部128bとそれぞれ係合するように構成されている。図12に示すように、デバイス本体100の第1の上流側の突出部128a及び第2の上流側の突出部128bは、貫通孔150の上流側の側壁部の隣接する角部に配置されてもよい。第1の上流側の凹部312a及び第2の上流側の凹部312bのそれぞれの深さは、第1の下流側の凹部306a及び第2の下流側の凹部306bのそれぞれの深さよりも大きくてもよい。また、第1の上流側の凹部312a及び第2の上流側の凹部312bのそれぞれの終端は、第1の下流側の凹部306a及び第2の下流側の凹部306bのそれぞれの終端よりも丸みを帯びていてもよい。例えば、第1の上流側の凹部312a及び第2の上流側の凹部312bのそれぞれは、U字型の窪みの形態であってもよい。このような例では、デバイス本体100の第1の上流側の突出部128a及び第2の上流側の突出部128bのそれぞれは、第1の上流側の凹部312a及び第2の上流側の凹部312bの対応するU字形の窪みと係合するように構成された丸みを帯びたノブの形態であってもよい。第1の上流側の凹部312aは、上流側の端面と第1の側面部の角部に接し、第2の上流側の凹部312bは、上流側の端面部と第2の側面部の角部に接していてもよい。その結果、第1の側面部及び第2の側面部にそれぞれ隣接する第1の上流側の凹部312a及び第2の上流側の凹部312bの端部が開放されていてもよい。
【0095】
第1の筐体部302は、非ニコチンプレベイパー製剤を保持するように構成されたリザーバを内部に規定してもよい。リザーバは、ポッド部品300の起動によって非ニコチンプレベイパー製剤がリザーバから放出されるまで、非ニコチンプレベイパー製剤を密閉シールするように構成されてもよい。密閉シールの結果、非ニコチンプレベイパー製剤は、環境だけでなく、非ニコチンプレベイパー製剤と潜在的に反応する可能性のあるポッド部品300の内部要素からも隔離されてもよく、それにより、非ニコチンプレベイパー製剤の保存期間及び/又は感覚的特性(例えば、フレーバ)に対する悪影響の可能性を低減又は防止することができる。第2の筐体部308は、ポッド部品300をアクティベートし、アクティベーション後にリザーバから放出された非ニコチンプレベイパー製剤を受け取り、加熱するように構成された構造を含んでもよい。
【0096】
ポッド部品300は、ポッド部品300をデバイス本体100に挿入する前に、アダルトベイパーによって手動で起動されてもよい。あるいは、ポッド部品300は、ポッド部品300のデバイス本体100への挿入の一部として起動されてもよい。例示的な実施形態では、ポッド本体の第2の筐体部308は、ポッド部品300のアクティベーション中に、第1の筐体部302内のリザーバから非ニコチンプレベイパー製剤を放出するように構成された穿孔器(パーフォレ-タ)を含む。穿孔器(パーフォレ-タ)は、第1のアクティベーションピン314a及び第2のアクティベーションピン314bの形態であってもよく、これについては本明細書でより詳細に説明する。
【0097】
ポッド部品300を手動で起動させるために、アダルトベイパーは、ポッド部品300をデバイス本体100の貫通孔150に挿入する前に、第1のアクティベーションピン314a及び第2のアクティベーションピン314bを内側に(例えば、同時に又は順次)押してもよい。例えば、第1のアクティベーションピン314a及び第2のアクティベーションピン314bは、その端部がポッド部品300の上流側の端面部と実質的に一致するまで手動で押してもよい。例示的な実施形態では、第1のアクティベーションピン314a及び第2のアクティベーションピン314bの内向きの動きによって、リザーバのシールが穿刺されるか、又は他の方法で損なわれて、そこから非ニコチンプレベイパー製剤を放出するようになる。
【0098】
代替的に、ポッド部品300のデバイス本体100への挿入の一部としてポッド部品300を起動するために、ポッド部品300は、第1の上流側の凹部312a及び第2の上流側の凹部312bがそれぞれ第1の上流側の突出部128a及び第2の上流側の突出部128bと係合する(例えば、上流側の係合)ように初期配置される。デバイス本体100の第1の上流側の突出部128a及び第2の上流側の突出部128bのそれぞれは、第1の上流側の凹部312a及び第2の上流側の凹部312bの対応するU字形の窪みと係合するように構成された、丸みを帯びたノブの形態であってもよいので、ポッド部品300は、その後、第1の上流側の突出部128a及び第2の上流側の突出部128bを中心にして、デバイス本体100の貫通孔150の中に比較的容易に枢動されてもよい。
【0099】
ポッド部品300の枢動に関して、回転軸は、第1の上流側の突出部128a及び第2の上流側の突出部128bを通って延在し、デバイス本体100の長手方向軸に対して直交するように配向されているとみなすことができる。ポッド部品300の初期の位置決め及びその後の枢動の間、第1のアクティベーションピン314a及び第2のアクティベーションピン314bは、ポッド部品300が貫通孔150内に進行する際に、第1のアクティベーションピン314a及び第2のアクティベーションピン314bが第2の筐体部308内に(例えば、同時に)押し込まれると、貫通孔150の上流側の側壁部に接触し、突出状態から後退状態に移行する。ポッド部品300の下流端が貫通孔150の下流側の側壁部の近傍に到達し、第1の下流側の突出部130a及び第2の下流側の突出部130bに接触すると、第1の下流側の突出部130a及び第2の下流側の突出部130bが後退し、その後、弾力的に突出する(例えば、スプリングバック)するのは、ポッド部品300の位置決めによって、デバイス本体100の第1の下流側の突出部130a及び第2の下流側の突出部130bが、ポッド部品300の第1の下流側の凹部306a及び第2の下流側の凹部306bとそれぞれ係合する(例えば、下流側の係合)ときである。
【0100】
上述したように、例示的な実施形態によれば、マウスピース102は、保持構造140(第1の下流側の突出部130a及び第2の下流側の突出部130bがその一部である)に固定される。このような例では、第1の下流側の突出部130a及び第2の下流側の突出部130bの貫通孔150からの後退により、マウスピース102が同じ方向(例えば下流側の方向)に対応する距離だけ同時に移動することになる。逆に、マウスピース102は、ポッド部品300が十分に挿入されて下流側の係合が容易になったときに、第1の下流側の突出部130a及び第2の下流側の突出部130bと同時にスプリングバックする。第1の下流側の突出部130a及び第2の下流側の突出部130bによる弾力的な係合に加えて、マウスピース102の遠位端は、ポッド部品300がデバイス本体100の貫通孔150内に適切に配置されたときに、ポッド部品300に対しても偏った状態になる(そして、比較的ベイパー密なシールを形成するようにポッドアウトレット304と整列する)ように構成されている。
【0101】
さらに、下流側の係合は、ポッド部品300がデバイス本体100の貫通孔150内に適切に着座していることを示すために、可聴クリック及び/又は触覚フィードバックを生成してもよい。正しく着座すると、ポッド部品300は、機械的、電気的、及び流体的にデバイス本体100に接続される。本明細書の非限定的な実施形態では、ポッド部品300の上流側の係合が下流側の係合の前に発生するものとして記述されているが、下流側の係合が上流側の係合の前に発生するように、関連する嵌合、起動、及び/又は電気的な配置を逆にしてもよいことを理解すべきである。
【0102】
図15は、図13のポッド部品の部分分解図である。図15を参照すると、第1の筐体部302は、ベイパーチャネル316を含む。ベイパーチャネル316は、ベイピング中に生成される非ニコチンベイパーを受け取るように構成され、ポッドアウトレット304と流体連通している。例示的な実施形態では、ベイパーチャネル316は、ポッドアウトレット304に向かって延びるにつれて、サイズ(例えば、直径)が徐々に大きくなってもよい。さらに、ベイパーチャネル316は、第1の筐体部302と一体的に形成されていてもよい。第1の筐体部302の上流端には、ポッド部品300のリザーバを規定するためのインサート342及びシール344が配置されている。例えば、インサート342は、インサート342の外周面と第1の筐体部302の内周面との界面が液密(例えば、液密及び/又は気密)になるように、インサート342の外周面がリムに沿って第1の筐体部302の内周面と係合するように(例えば、干渉嵌めを介して)、第1の筐体部302内に着座してもよい。さらに、シール344は、リザーバ内の非ニコチンプレベイパー製剤の流体密(例えば、液密及び/又は気密)な封じ込めを提供するように、インサート342内のリザーバアウトレットを閉鎖するために、インサート342の上流側に取り付けられている。
【0103】
第2の筐体部308の上流端は、ポッドインレット322、第1の電力コンタクト開口部325a、第2の電力コンタクト開口部325b、データコンタクト開口部327、第1の上流側の凹部312a、第2の上流側の凹部312b、第1のピン開口部315a、及び第2のピン開口部315bを規定する。上述したように、ポッドインレット322は、ベイピング中にエアがポッド部品300に入ることを可能にし、一方、第1の電力コンタクト開口部325a、第2の電力コンタクト開口部325b、及びデータコンタクト開口部327は、コネクタモジュール320の第1の電力コンタクト324a、第2の電力コンタクト324b、及びデータコンタクト326をそれぞれ露出させるように構成されている。例示的な実施形態では、第1の電力コンタクト324a及び第2の電力コンタクト324bは、コネクタモジュール320のモジュール筐体354に取り付けられている。さらに、データコンタクト326は、プリント回路基板(PCB)362上に配置されていてもよい。さらに、ポッドインレット322は、第1の上流側の凹部312aと第2の上流側の凹部312bとの間に位置していてもよく、コンタクト開口部(例えば、第1の電力コンタクト開口部325a、第2の電力コンタクト開口部325b、データコンタクト開口部327)は、第1のピン開口部315aと第2のピン開口部315bとの間に位置していてもよい。第1のピン開口部315a及び第2のピン開口部315bは、その中を延びる第1のアクティベーションピン314a及び第2のアクティベーションピン314bをそれぞれ収容するように構成される。
【0104】
図16は、図15のコネクタモジュールの斜視図である。図17は、図16のコネクタモジュールの他の斜視図である。図16~17を参照すると、コネクタモジュール320の一般的な枠組みは、モジュール筐体354を含む。さらに、コネクタモジュール320は、外面部及び外面部に隣接する側面部を含む複数の面部を有する。例示的な実施形態では、コネクタモジュール320の外面部は、モジュール筐体354、第1の電力コンタクト324a、第2の電力コンタクト324b、データコンタクト326、及びプリント回路基板(PCB)362の上流側の面部によって構成される。コネクタモジュール320の側面部は、モジュール筐体354と一体であり、外面部に対して概ね直交していてもよい。
【0105】
ポッド部品300は、ポッドインレット322からポッドアウトレット304までの中の流路を規定する。ポッド部品300を通る流路は、特に、第1の発散部分、第2の発散部分、及び収束部分を含む。ポッドインレット322は、流路の第1の発散部分及び第2の発散部分よりも上流にある。特に、図16に示すように、第1の電力コンタクト324a及び第2の電力コンタクト324bの上のモジュール筐体354(及びコネクタモジュール320)の側面部(例えば、インレット側面部)は、流路の第1の分岐部分及び第2の分岐部分の初期セグメントとともに、ディバイダー329を定めるように凹んでいる。ディバイダー329がモジュール筐体354の外面から凹んでいる例示的な実施形態(例えば、図16)では、第1の電力コンタクト324a及び第2の電力コンタクト324bの上にあるモジュール筐体354の側面は、ポッドインレット322から下流で、流路の第1の分岐部分及び第2の分岐部分から上流にある流路のインレット部分を規定するものとみなすこともできる。
【0106】
モジュール筐体354の一対の長い側面部(例えば、垂直な側面部)も、流路の第1の分岐部分及び第2の分岐部分の後続のセグメントを規定するように凹んでいる。ここで、モジュール筐体354の一対の長い側面部は、代替的に、側面部と呼ばれてもよい。図16のプリント回路基板(PCB)362によって覆われたモジュール筐体354のセクター(ただし、図20に示されている)は、流路の収束部分とともに、第1の発散部分及び第2の発散部分のさらなるセグメントを規定する。第1の分岐部分及び第2の分岐部分のさらなるセグメントは、それぞれ、第1の湾曲セグメント(例えば、第1の湾曲経路330a)及び第2の湾曲セグメント(例えば、第2の湾曲経路330b)を含む。本明細書でより詳細に議論されるように、第1の発散部分及び第2の発散部分は、流路の収束部分を形成するために招集される。
【0107】
コネクタモジュール320が第2の筐体部308の下流側の受容キャビティ内に着座すると、モジュール筐体354の凹んでいない側面部は、第2の筐体部308の受容キャビティの側壁部とインタフェースで結合し、一方、モジュール筐体354の凹んだ側面部は、受容キャビティの側壁部と一緒になって、流路の第1の発散部分及び第2の発散部分を規定する。第2の筐体部308の受容キャビティ内でのコネクタモジュール320の着座は、コネクタモジュール320がポッド部品300内で本質的に静止したままであるような、クローズフィットアレンジメントを介していてもよい。
【0108】
図17に示すように、コネクタモジュール320は、非ニコチンプレベイパー製剤をヒータ336に移送するように構成されたウィック338を含む。ヒータ336は、非ニコチンベイパーを生成するために、ベイピング中に非ニコチンプレベイパー製剤を加熱するように構成される。ヒータ336は、コネクタモジュール320の少なくとも1つの電気コンタクトに電気的に接続されている。例えば、ヒータ336の一端(例えば、第1の端)は、第1の電力コンタクト324aに接続されてもよく、一方、ヒータ336の他端(例えば、第2の端)は、第2の電力コンタクト324bに接続されてもよい。例示的な実施形態では、ヒータ336は、折り畳まれた発熱体を含む。そのような例では、ウィック338は、折り畳まれた発熱体によって保持されるように構成された平面的な形態を有していてもよい。ポッド部品300が組み立てられると、ウィック338は、(ポッド部品300が起動されたときに)吸収材の中に存在しうる非ニコチンプレベイパー製剤が毛細管現象によってウィック338に移されるように、吸収材と流体連通するように構成される。本明細書では、ヒータは、加熱エンジン(heating engine)とも呼ばれることがある。
【0109】
例示的な実施形態では、ポッドインレット322を介してポッド部品300に入る流入エアフローは、ディバイダー329によって、流路の第1の分岐部分及び第2の分岐部分に向けられる。ディバイダー329は、楔形状であって、流入エアフローを(例えば、少なくとも初めは)反対方向に分割するように構成されていてもよい。分割されたエアフローは、第1のエアフロー(流路の第1の分岐部分を通過する)及び第2のエアフロー(流路の第2の分岐部分を通過する)を含んでもよい。ディバイダー329による分岐に続いて、第1のエアフローは、インレットの側面部に沿って移動し、角部を回って第1の横方向の面に続き、第1の湾曲経路330aに沿って移動する。同様に、第2のエアフローは、インレットの側面部に沿って移動し、角部を回って第2の横方向の面部に沿って第2の湾曲経路330bへと続く(例えば、図20)。流路の収束部分は、第1の発散部分及び第2の発散部分の下流にある。また、ヒータ336及びウィック338は、流路の収束部分よりも下流にある。したがって、第1のエアフローは、流路の収束部分(例えば、図20の収束経路330c)で第2のエアフローと合流して、モジュール筐体354のモジュールアウトレット368(例えば、図18にラベルが貼られている)を通過してヒータ336及びウィック338に至る前に合流した流れを形成する。
【0110】
少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、ウィック338は、毛細管現象のために設計された細孔/間隙を有する繊維状のパッド又は他の構造体であってもよい。さらに、ウィック338は、例示的な実施形態がそれに限定されないが、長方形の形状を有してもよい。例えば、ウィック338は、不規則な六角形の代替形状を有していてもよく、その場合、2つの辺は、内側でヒータ336に向かって角度が付けられている。ウィック338は、所望の形状に製造されてもよいし、より大きなシート状の材料からそのような形状に切断されてもよい。ウィック338の下部が、ヒータ336の巻回部に向かってテーパ状になっている場合(例えば、六角形状)、非ニコチンプレベイパー製剤が、(ヒータ336からの距離のために)蒸発を連続的に回避するウィック338の部分にある可能性を低減又は回避することができる。さらに、上述したように、ヒータ336は、ウィック338をグリップするように構成された折り畳まれた発熱体を含んでもよい。また、折り畳まれた発熱体は、ウィック338の中に突出するように構成された少なくとも1つのプロングを含んでもよい。
【0111】
例示的な実施形態では、ヒータ336は、それに電流が印加されるとジュール加熱(オーミック/抵抗加熱としても知られる)を受けるように構成される。より詳細に説明すると、ヒータ336は、1つ以上の導体で形成され、その中を電流が通過すると熱を生成するように構成されていてもよい。電流は、デバイス本体100内の電源(例えば、電池)から供給され、第1の電力コンタクト324a又は第2の電力コンタクト324bを介してヒータ336に伝達されてもよい。
【0112】
ヒータ336のための適切な導体は、鉄ベースの合金(例えば、ステンレス鋼)及び/又はニッケルベースの合金(例えば、ニクロム)を含む。ヒータ336は、導電性シート(例えば、金属、合金)から製造されてもよく、そのシートから巻線パターンを切断するためにスタンピングされる。巻線パターンは、水平セグメントが平行に延びながらジグザグに往復するように、水平セグメントと交互に配置された曲線セグメントを有していてもよい。さらに、巻線パターンの水平セグメントのそれぞれの幅は、巻線パターンの隣接する水平セグメント間の間隔と実質的に等しくてもよいが、例示的な実施形態はこれに限定されない。図面に示されたヒータ336の形態を得るために、巻線パターンは、ウィック338をグリップするように折り畳まれてもよい。さらに、プロングがヒータ336の一部である場合、プロングに対応する突起部は、巻線パターンが折り畳まれる前に(例えば、内側及び/又は直交するように)曲げられる。プロングの結果として、ウィック338がヒータ336から抜け出す可能性が減少又は防止される。ヒータ及び関連する構造は、2017年10月11日に出願された「Folded Heater For Electronic Vaping Device」と題された米国出願第15/729,909号(Atty.Dkt.No.24000-000371-US)でより詳細に議論されており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0113】
図15を参照すると、第1の筐体部302は、ベイパーチャネル316を含む。ベイパーチャネル316は、ヒータ336によって生成された非ニコチンベイパーを受け取るように構成され、ポッドアウトレット304と流体連通している。例示的な実施形態では、ベイパーチャネル316は、ポッドアウトレット304に向かって延びるにつれて、サイズ(例えば、直径)が徐々に大きくなってもよい。さらに、ベイパーチャネル316は、第1の筐体部302と一体的に形成されていてもよい。第1の筐体部302の上流端には、ポッド部品300のリザーバを規定するためのインサート342及びシール344が配置されている。例えば、インサート342は、インサート342の外周面と第1の筐体部302の内周面との界面が液密(例えば、液密及び/又は気密)になるように、インサート342の外周面がリムに沿って第1の筐体部302の内周面と係合するように(例えば、干渉嵌めを介して)、第1の筐体部302内に着座してもよい。さらに、シール344は、リザーバ内の非ニコチンプレベイパー製剤の液密(例えば、液密及び/又は気密)な封じ込めを提供するように、インサート342内のリザーバアウトレットを閉鎖するために、インサート342の上流側に取り付けられている。ここで、第1の筐体部302、インサート342、及びシール344は、集合的に第1のセクションと呼ばれることがある。本明細書でより詳細に議論されるように、第1セクションは、ポッド部品300の起動まで、非ニコチンプレベイパー製剤を密閉するように構成される。
【0114】
少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、インサート342は、上流側から突出するホルダ部分と、下流側から突出するコネクタ部分とを含む。少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、インサート342のホルダ部分は、吸収性材料を保持するように構成され、一方、インサート342のコネクタ部分は、第1の筐体部302のベイパーチャネル316と係合するように構成される。インサート342のコネクタ部分は、ベイパーチャネル316内に着座し、したがって、ベイパーチャネル316の内部に係合するように構成されてもよい。あるいは、インサート342のコネクタ部分は、ベイパーチャネル316を受容し、したがって、ベイパーチャネル316の外部と係合するように構成されてもよい。また、インサート342は、ポッド部品300の起動中にシール344が穿刺されたときに、非ニコチンプレベイパー製剤が流れるリザーバアウトレットを規定する。例示的な実施形態はそれに限定されないが、インサート342のホルダ部分及びコネクタ部分は、リザーバアウトレット(例えば、第1及び第2のリザーバアウトレット)の間にあってもよい。さらに、インサート342は、ホルダ部分及びコネクタ部分を通って延びるベイパー導管を規定する。その結果、インサート342が第1の筐体部302内に着座すると、インサート342のベイパー導管は、ベイピング中にヒータ336によって生成される非ニコチンベイパーのためのリザーバを介したポッドアウトレット304への連続した経路を形成するように、ベイパーチャネル316と整列し、かつ、ベイパーチャネル316と流体連通することになる。
【0115】
シール344は、インサート342内のリザーバアウトレットを覆うように、インサート342の上流側に取り付けられる。例示的な実施形態では、シール344は、シール344がインサート342に取り付けられたときに、(インサート342の上流側から突出する)ホルダ部分を収容するための適切なクリアランスを提供するように構成された開口部(例えば、中央開口部)を規定する。ポッド部品300の第1のアクティベーションピン314a及び第2のアクティベーションピン314bによってシール344が穿刺されると、シール344の2つの穿刺された部分がフラップとしてリザーバ内に押し込まれ、その結果、シール344に2つの穿刺された開口部(例えば、中央開口部の両側に1つずつ)が形成される。シール344におけるパンクした開口部のサイズ及び形状は、インサート342におけるリザーバアウトレットのサイズ及び形状に対応し得る。対照的に、穿刺されていない状態では、シール344は、平面的な形態を有し、1つの開口部(例えば、中央開口部)のみを有していてもよい。シール344は、ポッド部品300の通常の動き及び/又は取り扱いの間に、早まって/誤って破られることを避けるように、無傷のままでいるのに十分な強度を有するように設計されている。例えば、シール344は、コーティングされたフォイル(例えば、アルミニウムバックされたトライタン)であってもよい。
【0116】
第2の筐体部308は、非ニコチンプレベイパー製剤を放出、受容、及び加熱するように構成された様々な構成要素を含むように構造化されてもよい。例えば、第1のアクティベーションピン314a及び第2のアクティベーションピン314bは、第1の筐体部302内のリザーバを穿刺して、非ニコチンプレベイパー製剤を放出するように構成される。第1のアクティベーションピン314a及び第2のアクティベーションピン314bのそれぞれは、第2の筐体部308の第1のピン開口部315a及び第2のピン開口部315bのうちの対応する1つを通って延びる遠位端を有する。例示的な実施形態では、第1のアクティベーションピン314a及び第2のアクティベーションピン314bの遠位端は、組み立て(例えば、図13)後に見えるが、第1のアクティベーションピン314a及び第2のアクティベーションピン314bの残りの部分は、ポッド部品300内で見えないようになっている。さらに、第1のアクティベーションピン314a及び第2のアクティベーションピン314bのそれぞれは、ポッド部品300の起動に先立って、シール344に隣接し、かつシール344よりも上流に位置するように配置される近位端を有する。第1のアクティベーションピン314a及び第2のアクティベーションピン314bを第2の筐体部308に押し込んでポッド部品300を起動させると、第1のアクティベーションピン314a及び第2のアクティベーションピン314bのそれぞれの近位端は、インサート342を通って前進し、その結果、シール344を穿刺して、非ニコチンプレベイパー製剤をリザーバから放出することになる。第1のアクティベーションピン314aの動きは、第2のアクティベーションピン314bの動きとは独立していてもよい(その逆もまた同様である)。
【0117】
吸収性材料は、ウィック338の下流にあり、ウィック338と流体的に連絡していてもよい。さらに、上述したように、吸収性材料は、インサート342のホルダ部分(インサート342の上流側から突出してもよい)と係合するように構成されてもよい。吸収体は、例示的な実施形態がそれに限定されないが、環状の形態を有してもよい。例えば、吸収体は、中空の円筒に似ていてもよい。そのような例では、吸収材の外径は、ウィック338の長さと実質的に同じ(又はわずかに大きい)であってもよい。吸収性材料の内径は、干渉フィットをもたらすように、インサート342のホルダ部分の平均外径よりも小さくてもよい。吸収材との係合を容易にするために、インサート342のホルダ部分の先端は、テーパ状になっていてもよい。吸収材は、ポッド部品300が起動されたときにリザーバから放出される非ニコチンプレベイパー製剤の量を受け取り、保持するように構成されてもよい。ウィック338は、毛細管現象によって非ニコチンプレベイパー製剤の製剤が吸収材からヒータ336に引き込まれるように、吸収材と流体連通するようにポッド部品300内に配置されてもよい。ウィック338は、吸収性材料の上流側に物理的に接触してもよい。さらに、ウィック338は、例示的な実施形態がそれに限定されないが、吸収材の直径と整列してもよい。
【0118】
図17に示されているように、ヒータ336は、ウィック338の対向する表面を把持して熱的接触を確立するように、折り畳まれた構成を有してもよい。ヒータ336は、非ニコチンベイパーを生成するためのベイピング中にウィック338を加熱するように構成されている。そのような加熱を容易にするために、ヒータ336の第1の端部は、第1の電力コンタクト324a(図16及び18)に電気的に接続されてもよく、一方、ヒータ336の第2の端部は、第2の電力コンタクト324b(図16及び18)に電気的に接続されてもよい。その結果、デバイス本体100内の電源(例えば、電池)から電流が供給され、第1の電力コンタクト324a又は第2の電力コンタクト324bを介してヒータ336に伝達されてもよい。既に上述した(例えば、図16~17に関連して)コネクタモジュール320の他の態様の関連する詳細は、簡潔にするために、このセクションでは繰り返さない。例示的な実施形態では、第2の筐体部308は、コネクタモジュール320のための受容キャビティを含む。第2の筐体部308及びその中の上述した構成要素は、ひとまとめに、第2のセクションと呼ばれることがある。ベイピング中、ヒータ336によって生成された非ニコチンベイパーは、インサート342のベイパー導管を通って、第1の筐体部302のベイパーチャネル316を通って、ポッド部品300のポッドアウトレット304を出て、マウスピース102のベイパー通路136を通って、ベイパーアウトレット(複数可)に引き込まれる。
【0119】
図18は、ウィック及びヒータのない図17のコネクタモジュールの斜視図である。図19は、図18のコネクタモジュールの分解図である。図20は、図18のコネクタモジュールの他の分解図である。図18~20を参照すると、モジュール筐体354は、コネクタモジュール320の骨組みを形成している。モジュール筐体354は、特に、ディバイダー329と、ポッド部品300に吸い込まれるエアの流路とを規定する。加熱室は、モジュールアウトレット368を介して、モジュール筐体354の上流側の流路と流体的に連通している。
【0120】
上述したように、ポッド部品300に吸い込まれるエアのための流路は、モジュール筐体354によって規定される第1の発散部分、第2の発散部分、及び収束部分を含む。例示的な実施形態では、第1の発散部分及び第2の発散部分は、流路の収束部分に対応する軸によって二分された対称部分である。例えば、図20に示すように、第1の分岐部分、第2の分岐部分、及び収束部分は、それぞれ、第1の湾曲経路330a、第2の湾曲経路330b、及び収束経路330cを含んでもよい。第1の湾曲経路330a及び第2の湾曲経路330bは、実質的にU字型の経路であってもよく、収束経路330cは、実質的に直線的な経路であってもよい。収束経路330cに対応する軸であって、ディバイダー329の頂上と整列した軸に基づいて、流路の第1の分岐部分は、流路の第2の分岐部分のミラーイメージであってもよい。ベイピング中、ポッドインレット322を通って吸い込まれたエアは、ディバイダー329によって分割され、最初はディバイダー329から離れる反対方向に流れ、その後、各エアフローがUターンして(第1の湾曲経路330a及び第2の湾曲経路330bを経由して)、モジュールアウトレット368を通って加熱室に通過する前にディバイダー329に向かって戻る結合された流れのために(収束経路330cを経由して)招集される前に、並行して流れることがある。ヒータ336及びウィック338は、モジュールアウトレット368を通過するエアの結合された流れに対して両側が実質的に均等に露出するように配置されてもよい。ベイピングの間、生成された非ニコチンベイパーは、加熱室を通ってベイパーチャネル316に移動するエアの結合された流れによって同伴される。
【0121】
図19~20に示されているように、第1の電力コンタクト324a及び第2の電力コンタクト324bのそれぞれは、コンタクト面部及びコンタクト脚部を含んでもよい。例示的な実施形態はこれに限定されないが、コンタクト脚部(細長い構成を有していてもよい)は、コンタクト面部(正方形状であってもよい)に対して直交して配向されてもよい。モジュール筐体354は、第1の電力コンタクト324a及び第2の電力コンタクト324bの取り付けを容易にするために、一対の浅い窪み及び一対の開口部を規定してもよい。組み立て中に、第1の電力コンタクト324a及び第2の電力コンタクト324bのそれぞれのコンタクト面部は、モジュール筐体354の外面部と実質的に同一平面になるように、一対の浅い窪みのうちの対応する1つに着座してもよい(例えば、図16参照)。さらに、第1の電力コンタクト324a及び第2の電力コンタクト324bのそれぞれのコンタクト脚部は、モジュール筐体354の下流側から突出するように、一対の開口部のうちの対応する1つを通って延びてもよい(例えば、図18)。ヒータ336は、続いて、第1の電力コンタクト324a及び第2の電力コンタクト324bのそれぞれのコンタクト脚部に接続することができる。
【0122】
プリント回路基板(PCB)362は、その上流側(例えば、図20)に複数のデータコンタクト326を含み、その下流側(例えば、図19)にセンサ364を含む様々な電子部品を含む。センサ364は、センサ364がモジュール筐体354によって規定される収束経路330c内にあるように、プリント回路基板(PCB)362上に配置されてもよい。例示的な実施形態では、プリント回路基板(PCB)362(及びそれに固定された関連部品)は、データコンタクト326が第2の筐体部308のデータコンタクト開口部327によって露出するように、最初に第2の筐体部308の下流側の受容キャビティに挿入される独立した構造体である。その後、第2の筐体部308の第1の電力コンタクト開口部325a及び第2の電力コンタクト開口部325bによってそれぞれ第1の電力コンタクト324a及び第2の電力コンタクト324bが露出するように、モジュール筐体354(その上に第1の電力コンタクト324a、第2の電力コンタクト324b、ヒータ336、及びウィック338が取り付けられている)を受容キャビティに挿入してもよい。あるいは、上記の2段階の挿入プロセスを1段階の挿入プロセスに簡略化するために、プリント回路基板(PCB)362(及びそれに固定された関連部品)は、第1の湾曲経路330a、第2の湾曲経路330b、収束経路330c、及びモジュールアウトレット368を覆うように、モジュール筐体354に貼り付けられてもよい(例えば、単一の統合構造を形成するため)。
【0123】
モジュールアウトレット368は、ドロー抵抗(RTD(Resistance-to-Draw))ポートであってもよい。そのような構成では、非ニコチンeベイピングデバイス500のドロー抵抗は、(ポッドインレット322のサイズを変更するのではなく)モジュールアウトレット368のサイズを変更することによって調整されてもよい。例示的な実施形態では、モジュールアウトレット368のサイズは、ドロー抵抗が25~100mmHOの間(例えば、30~50mmHOの間)となるように選択されてもよい。例えば、モジュールアウトレット368の直径が1.0mmの場合、ドロー抵抗が88.3mmHOになることがある。他の例では、モジュールアウトレット368の直径が1.1mmの場合、73.6mmHOのドロー抵抗になることがある。他の例では、モジュールアウトレット368の直径が1.2mmであると、ドロー抵抗が58.7mmHOになることがある。さらに他の例では、モジュールアウトレット368の直径が1.3mmの場合、約40~43mmHOのドロー耐性が得られる可能性がある。注目すべきは、モジュールアウトレット368のサイズは、その内部配置のために、ポッド部品300の外部の美観に影響を与えることなく調整することができ、それによって、様々なドロー抵抗(RTD)を有するポッド部品のためのより標準化された製品設計を可能にする一方で、流入エアの不注意な閉塞の可能性を低減することができる。
【0124】
図21Aは、例示的な実施形態によるデバイス本体のデバイスシステムを示す。デバイスシステム2100は、非ニコチンeベイピングデバイス500のデバイス本体100内のシステムであってもよい。
【0125】
デバイスシステム2100は、コントローラ2105、電源2110、アクチュエータコントロール2115、ポッド電源/データインタフェース2120、デバイスセンサ2125、入力/出力(I/O)インタフェース2130、ベイパーインジケータ2135、少なくとも1つのアンテナ2140、及び記憶媒体2145を含む。なお、デバイスシステム2100は、図21Aに示す機能に限定されない。例えば、デバイスシステム2100は、追加の要素を含んでもよい。ただし、簡潔にするために、追加の要素については説明しない。他の例示的な実施形態では、デバイスシステム2100は、アンテナを含まなくてもよい。
【0126】
コントローラ2105は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアを実行するハードウェア、又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。コントローラ2105がハードウェアである場合、そのような既存のハードウェアは、1つ又は複数の中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、プロセッサコア、マルチプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)コンピュータ、コントローラ2105の機能を実行するための特別な目的の機械として構成されたものなどを含んでもよい。CPU、マイクロプロセッサ、プロセッサコア、マルチプロセッサ、DSP、ASIC、FPGAは、一般に処理装置と呼ばれることがある。
【0127】
コントローラ2105が、ソフトウェアを実行するプロセッサであるか、又はそれを含む場合、コントローラ2105は、コントローラ2105の機能を実行するために、コントローラ2105によってアクセス可能なメモリ(例えば、記憶媒体2145又は別の記憶装置)に格納されたソフトウェアを実行する特別目的機械(例えば、処理装置)として構成される。ソフトウェアは、コントローラ2105又はコントローラ2105A(図21B)によって実行されるものとして本明細書に記載された任意の又はすべての動作を実行及び/又は制御するための命令を含むプログラムコードとして具現化されてもよい。
【0128】
本明細書において、「記憶媒体(storage medium)」、「コンピュータ可読記憶媒体(computer readable storage medium)」又は「非一時的コンピュータ可読記憶媒体(non-transitory computer readable storage medium)」という用語は、データを記憶するための1つ又は複数のデバイスを表す場合がある。これには、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気RAM、コアメモリ、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、及び/又は情報を記憶するための他の有形的機械可読媒体が含まれる。また、「コンピュータ可読媒体(computer-readable medium)」という言葉には、携帯型又は固定型の記憶装置、光学記憶装置、及び命令やデータを記憶、格納、運搬することができるその他の様々な媒体が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0129】
図21Bは、例示的な実施形態によるコントローラ2105Aの一例を示す図である。例示的な実施形態によれば、図21Bに図示されたコントローラ2105Aは、図21Aに図示されたコントローラ2105の例示的な実施形態である。コントローラ2105Aは、マイクロプロセッサを含んでいてもよい。コントローラ2105Aは、図21Bに示すように、GPIO(General Purpose Input/Outputs)、IC(Inter-Integrated Circuit)インタフェース、SPI(Serial Peripheral Interface Bus)インタフェースなどの入出力インタフェース、マルチチャネルのADC(Analog-Digital Converter)、及びクロック入力端子を含んでもよい。しかし、例示的な実施形態は、この例に限定されるべきではない。例えば、コントローラ2105Aは、デジタル-アナログ変換器及び演算回路又は回路をさらに含んでもよい。
【0130】
図21Aに戻ると、コントローラ2105は、電源2110、アクチュエータコントロール2115、ポッド電源/データインタフェース2120、デバイスセンサ2125、入力/出力(I/O)インタフェース2130、ベイパーインジケータ2135、オンプロダクトコントロール2150、及び少なくとも1つのアンテナ2140と通信する。少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、オンプロダクトコントロール2150は、値の選択を示すためにアダルトベイパーによって手動で操作可能な任意のデバイス又は装置を含むことができる。例示的な実施形態は、1つ以上のボタン、ダイヤル、容量性センサ、及びスライダを含むが、これらに限定されない。
【0131】
コントローラ2105は、ポッド電源/データインタフェース2120を介して、ポッド部品300内の不揮発性メモリ付き暗号化コプロセッサ(CC-NVM)又は不揮発性メモリ(NVM)と通信する。CC-NVMという用語は、暗号化及び関連する処理のためのプロセッサと、NVMとを含むハードウェアモジュール(複数可)を指してもよい。より具体的には、コントローラ2105は、ポッド部品300を認証するために暗号化を利用してもよい。説明されるように、コントローラ2105は、ポッド部品300を認証するために、CC-NVMパッケージ又はNVMと通信する。より具体的には、不揮発性メモリは、製造時に、認証のための製品情報及びその他の情報でエンコードされてもよい。
【0132】
記憶装置は、ポッド部品300がデバイス本体100に挿入されたときに、ポッド部品300の認証及びポッド部品300のタイプ(又は加熱エンジンのタイプなどの物理的構造)に固有の動作パラメータのペアリングの少なくとも1つを可能にするために、電子的アイデンティティでコード化されてもよい。ポッド部品300の電子的アイデンティティに基づく認証に加えて、コントローラ2105は、NVM又はCC-NVMの不揮発性メモリにエンコードされた保存された非ニコチンプレベイパー製剤及び/又はヒータの有効期限に基づいて、ポッド部品300の使用を認可してもよい。コントローラが、不揮発性メモリにエンコードされた有効期限が過ぎたと判断した場合、コントローラは、ポッド部品300の使用を認可せず、非ニコチンeベイピングデバイス500を無効にしてもよい。
【0133】
コントローラ2105(又は記憶媒体2145)には、暗号化のための鍵物質と独自のアルゴリズムソフトウェアが格納されている。例えば、暗号化アルゴリズムは、乱数の使用に依存している。これらのアルゴリズムの安全性は、これらの数字がいかに真にランダムであるかに依存する。これらの数字は通常、あらかじめ生成され、プロセッサ又はメモリデバイスにコード化されている。例示的な実施形態は、ベイパー吸引パラメータ、例えば、ベイパー吸引の場面の持続時間、ベイパー吸引の場面間のインターバル、又はそれらの組み合わせを使用して、事前に生成された乱数よりもランダムで、個人ごとに変化する数字を生成することによって、暗号化に使用される数字のランダム性を高めることができる。
コントローラ2105とポッド部品300の間のすべての通信は、暗号化されてもよい。
【0134】
さらに、ポッド部品300は、非ニコチンeベイピングデバイス500のソフトウェアパッチなどの他の情報のための一般的なペイロードキャリアとして使用することができる。ポッド部品300とコントローラ2105との間のすべての通信において暗号化が使用されるので、そのような情報はより安全であり、非ニコチンeベイピングデバイス500はマルウェア又はウイルスがインストールされにくくなる。データやソフトウェアの更新などの情報キャリアとしてCC-NVMを使用することにより、インターネットに接続することなく、また、定期的なソフトウェアの更新を必要とする他のほとんどの家電製品のようにアダルトベイパーがダウンロードプロセスを経ることなく、非ニコチンeベイピングデバイス500のソフトウェアを更新することができる。
【0135】
また、コントローラ2105は、コントローラ2105のリソースが、認証に関わる符号化及び復号化以外の機能を実行できるようにするために、暗号化アクセラレータを含んでもよい。また、コントローラ2105は、ポッド又はアダルトベイパーが認証されていない場合に、通信チャネルの不正使用を防止し、データへの不正アクセスを防止するなどの他のセキュリティ機能を含んでもよい。
【0136】
暗号化アクセラレータに加えて、コントローラ2105は、他のハードウェアアクセラレータを含んでもよい。例えば、コントローラ2105は、浮動小数点ユニット(FPU)、別個のDSPコア、デジタルフィルタ、及び高速フーリエ変換(FFT)モジュールを含んでもよい。
【0137】
コントローラ2105は、RTOS(Real Time Operating System)を動作させ、デバイスシステム2100を制御するように構成されており、NVMやCC-NVMと通信することで更新されたり、I/Oインタフェース2130及び/又はアンテナ2140を介してデバイスシステム2100が他の機器(例えば、スマートフォン)と接続されることで更新されたりする。I/Oインタフェース2130及びアンテナ2140により、デバイスシステム2100は、スマートフォン、タブレット、及びPCなどの様々な外部機器と接続することができる。例えば、I/Oインタフェース2130は、micro-USBコネクタを含んでいてもよい。マイクロUSBコネクタは、デバイスシステム2100が電源2110bを充電するために使用されてもよい。
【0138】
コントローラ2105は、分析、診断、及びソフトウェアのアップグレードを含むコードを格納及び実行するために、オンボードのRAM及びフラッシュメモリを含んでもよい。代替として、記憶媒体2145がコードを格納してもよい。さらに、別の例示的な実施形態では、記憶媒体2145は、コントローラ2105に搭載されていてもよい。
【0139】
コントローラ2105は、デバイス本体100のPCBで覆われる領域を減らすために、オンボードのクロック、リセット、及び電源管理モジュールをさらに含んでもよい。
【0140】
デバイスセンサ2125は、コントローラ2105に測定情報を提供する多数のセンサトランスデューサを含んでもよい。デバイスセンサ2125は、電源温度センサ、外部ポッド温度センサ、ヒータ用電流センサ、電源電流センサ、エアフローセンサ、及び動きや向きを監視する加速度センサを含んでもよい。電源温度センサ及び外部ポッド温度センサは、サーミスタ又は熱電対であってもよく、ヒータ用電流センサ及び電源電流センサは、抵抗ベースのセンサ又は電流を測定するように構成された他のタイプのセンサであってもよい。フローセンサは、MEMS(Micro Electro Mechanical System)フローセンサ、又は熱線式風速計などのエアフローを測定するように構成された別のタイプのセンサであってもよい。さらに、図22A~26を参照して以下でより詳細に説明するように、デバイス本体100のデバイスシステム2100のデバイスセンサ2125に含まれるフローセンサを用いてエアフローを測定する代わりに、又はそれに加えて、ポッド部品300のポッドシステム2200に配置された熱線風速計2220Aを用いてエアフローを測定してもよい。
【0141】
1又は複数のデバイスセンサ2125から生成されたデータは、離散的なマルチチャネルのアナログ・デジタル・コンバータ(ADC)を用いて、測定対象のパラメータに適したサンプルレートでサンプリングされてもよい。
【0142】
コントローラ2105は、コントローラ2105から受け付けた測定情報に基づいて、非ニコチンプレベイパー製剤用のヒータプロファイルやその他のプロファイルを適応させてもよい。便宜上、これらは一般にベイピングプロファイル又はベイパープロファイルと呼ばれる。ヒータプロファイルは、ベイパー吸引が行われる数秒間にヒータに供給される電力プロファイルを特定するものである。例えば、ヒータプロファイルでは、ベイパー吸引が開始されたときに最大の電力をヒータに供給し、1秒ほど経過した後に電力を半分又は4分の1にまで下げることができる。少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、ヒータに供給される電力の変調は、パルス幅変調を用いて実施することができる。
【0143】
さらに、非ニコチンeベイピングデバイス500にかかる負圧に基づいて、ヒータプロファイルを変更することもできる。MEMSフローセンサの使用により、ベイパー吸引強度を測定し、コントローラ2105へのフィードバックとして使用して、ポッドのヒータに供給される電力を調整することができる(これは、ヒーティング又はエネルギーデリバリと呼ばれることがある)。
【0144】
少なくともいくつかの実施形態によれば、コントローラ2105が、ポッドが現在設置されていることを(例えば、SKUを介して)認識すると、コントローラ2105は、その特定のポッドのために設計されている関連する加熱プロファイルを照合する。コントローラ2105及び記憶媒体2145は、すべてのSKUに対する加熱プロファイルの生成を可能にするデータ及びアルゴリズムを記憶する。別の例示的な実施形態では、コントローラ2105は、ポッドから加熱プロファイルを読み取ってもよい。また、アダルトベイパーは、自分の好みに合わせて加熱プロファイルを調整してもよい。
【0145】
図21Aに示すように、コントローラ2105は、電源2110にデータを送信し、電源2110からデータを受け付ける。電源2110は、電源2110bと、電源2110bが出力する電力を管理する電源コントローラ2110aとを含む。
【0146】
電源2110bは、リチウムイオン電池又はその変種の一つ、例えばリチウムイオンポリマー電池であってもよい。あるいは、電源2110bは、ニッケル金属水素電池、ニッケルカドミウム電池、リチウムマンガン電池、リチウムコバルト電池、又は燃料電池であってもよい。あるいは、電源2110bは、充電可能であり、外部の充電装置によって電池を充電できるようにする回路を含んでいてもよい。その場合、回路は、充電されると、所望の(又は代替的に予め決定された)回数のベイパー吸引のための電力を提供し、その後は、回路を外部の充電装置に再接続しなければならない。
【0147】
電源コントローラ2110aは、コントローラ2105からの指示に基づいて、電源2110bにコマンドを提供する。例えば、電源2110は、ポッドが認証され、アダルトベイパーがデバイスシステム2100を作動させた場合(例えば、トグルボタン、容量性センサ、IRセンサなどのスイッチを作動させることによって)、コントローラ2105からポッドに電力を供給するコマンドを受け付けてもよい(ポッド電源/データインタフェース2120を介して)。ポッドが認証されていない場合、コントローラ2105は、電源2110にコマンドを送信しないか、電源2110に電力を供給しないように指示を送信してもよい。別の例示的な実施形態では、コントローラ2105は、ポッドが認証されない場合、デバイスシステム2100のすべての動作を無効にしてもよい。
【0148】
また、電源2110は、ポッドに電力を供給するだけでなく、コントローラ2105にも電力を供給する。さらに、電源コントローラ2110aは、電源2110bの性能を示すフィードバックをコントローラ2105に提供してもよい。
【0149】
コントローラ2105は、少なくとも1つのアンテナ2140にデータを送信し、少なくとも1つのアンテナ2140からデータを受け付ける。少なくとも1つのアンテナ2140は、NFC(Near Field Communication)モデムと、LE(BLUETOOTH(登録商標) Low Energy)モデム及び/又は他の無線技術(例えば、Wi-Fi(登録商標))のための他のモデムを含んでもよい。例示的な実施形態では、通信スタックはモデムの中にあるが、モデムはコントローラ2105によって制御される。BLUETOOTH(登録商標) LEモデムは、外部デバイス(例えば、スマートフォン)上のアプリケーションとのデータ及び制御通信に使用される。また、NFCモデムは、非ニコチンeベイピングデバイス500とアプリケーションとのペアリングや、診断情報の取得に用いられてもよい。さらに、BLUETOOTH(登録商標) LEモデムは、(アダルトベイパーが非ニコチンeベイピングデバイス500を見つけるための)位置情報の提供や、購入の際の認証に使用されてもよい。
【0150】
上述したように、デバイスシステム2100は、ベイピングのための様々なプロファイルを生成及び調整してもよい。コントローラ2105は、電源2110及びアクチュエータコントロール2115を用いて、アダルトベイパーのためのプロファイルを調節する。
【0151】
アクチュエータコントロール2115は、所望のベイパープロファイルを調節するための受動的及び能動的アクチュエータを含む。例えば、デバイス本体100は、マウスピース内にインレットチャネルを含んでもよい。アクチュエータコントロール2115は、所望のベイパープロファイルに関連するコントローラ2105からのコマンドに基づいて、インレットチャネルを制御してもよい。
【0152】
さらに、アクチュエータコントロール2115は、電源2110と連動してヒータに通電するために使用される。より具体的には、アクチュエータコントロール2115は、所望のベイピングプロファイルに関連する駆動波形を生成するように構成される。上述したように、ありうるプロファイルのそれぞれは、駆動波形に関連付けられている。コントローラ2105から所望のベイピングプロファイルを示すコマンドを受け付けると、アクチュエータコントロール2115は、電源2110のために関連する変調波形を生成してもよい。
【0153】
コントローラ2105は、ベイパーインジケータ2135に情報を供給して、アダルトベイパーにステータスや発生している動作を示す。ベイパーインジケータ2135は、アダルトベイパーによって押されたボタンをコントローラ2105が感知したときに活性化され得る電源インジケータ(例えば、LED)を含む。また、ベイパーインジケータ2135は、バイブレータ、スピーカ、アダルトベイパーが制御するベイピングパラメータ(例えば、ベイパー量)の現在の状態を示すインジケータ、及び他のフィードバック機構を含んでもよい。
【0154】
ポッド部品300が認証されると、コントローラ2105は、非ニコチンeベイピングデバイス500を使用するアダルトベイパーと、ポッド上のNVM又はCC-NVMによって記憶された情報とに応じて、電源2110、アクチュエータコントロール2115、ベイパーインジケータ2135及びアンテナ2140を動作させる。さらに、コントローラ2105は、ロギング機能を含み、非ニコチンeベイピングデバイス500をキャリブレーションするためのアルゴリズムを実行できるようにしてもよい。ロギング機能は、コントローラ2105によって実行され、使用量データに加えて、予期せぬイベントや障害を記録する。記録された使用データは、診断及び分析のために使用されてもよい。コントローラ2105は、ボタンレスベイピング(すなわち、マウスピースに負圧をかけたときに非ニコチンベイパーを発生させるなど、ボタンを押さずにベイピングすること)、アダルトベイパーの形状、及びベイパー吸引感知、非ニコチンプレベイパー製剤レベル及び非ニコチンプレベイパー製剤組成を含むCC-NVM又はNVM上の記憶された情報を用いて、非ニコチンeベイピングデバイス500をキャリブレーションしてもよい。例えば、コントローラ2105は、ポッド内の非ニコチンプレベイパー製剤組成物に関連するベイピングプロファイルに基づいて、ポッド内のヒータに電力を供給するように電源2110に命令してもよい。あるいは、ベイピングプロファイルは、CC-NVM又はNVMにエンコードされ、コントローラ2105によって利用されてもよい。
【0155】
図22Aは、例示的な実施形態によるポッドシステム図である。ポッドシステム2200は、ポッド部品300内のシステムであってもよい。
【0156】
図22Aに示すように、ポッドシステム2200は、CC-NVM2205、本体電気/データインタフェース2210、ヒータ2215及びポッドセンサ2220を含む。ポッドシステム2200は、本体電気/データインタフェース2210及びポッド電源/データインタフェース2120を介して、デバイスシステム2100と通信する。CC-NVM2205は、暗号化コプロセッサ2205aと、不揮発性メモリ2205bとを含む。コントローラ2105は、暗号化コプロセッサ2205aと通信することにより、認証やポッド部品300の動作を目的として、不揮発性メモリ2205bに格納された情報にアクセスしてもよい。
【0157】
別の例示的な実施形態では、ポッド部品300は、暗号化コプロセッサを有していなくてもよい。例えば、図22Bは、例示的な実施形態による、暗号化コプロセッサ2205aが省略された図22Aのポッドシステムの例を示し、図23は、例示的な実施形態による図21Aのデバイスシステムに接続されたポッドシステム22Bの一例を示す。
【0158】
図22Bに示すように、ポッドシステム2200は、CC-NVM2205の代わりに不揮発性メモリ2205bを含み、暗号化コプロセッサ2205aが省略されていてもよい。ポッドシステム2200に暗号化コプロセッサが存在しない場合、コントローラ2105は、暗号化コプロセッサを使用せずに不揮発性メモリ2205bからデータを読み出して、加熱プロファイルを制御/定義してもよい。
【0159】
不揮発性メモリ2205bは、ポッド部品がデバイス本体100の貫通孔に挿入されたときに、ポッドの認証及びポッドのタイプに固有の動作パラメータのペアリングの少なくとも一方を可能にするために、電子的アイデンティティがコード化されていてもよい。ポッドの電子的アイデンティティに基づく認証に加えて、コントローラ2105は、保存された非ニコチンプレベイパー製剤の有効期限に基づいて、及び/又は不揮発性メモリ2205bにエンコードされて、ポッドの使用を認可してもよい。コントローラが、不揮発性メモリ2205bにエンコードされた有効期限が過ぎたと判断した場合、コントローラは、ポッドの使用を認可せず、非ニコチンeベイピングデバイス500を無効にしてもよい。
【0160】
さらに、不揮発性メモリ2205bは、非ニコチンプレベイパー製剤のコンパートメント内(非ニコチンプレベイパー製剤組成物を含む)の非ニコチンプレベイパー製剤のストックキーピングユニット(SKU)、デバイスシステム2100のソフトウェアパッチ、ベイパー吸引場面カウント、ベイパー吸引場面持続時間、及び非ニコチンプレベイパー製剤レベルなどの製品使用情報などの情報を記憶してもよい。不揮発性メモリ2205bは、ポッドのタイプ及び非ニコチンプレベイパー製剤組成物に固有の動作パラメータを記憶してもよい。例えば、不揮発性メモリ2205bは、コントローラ2105が所望のベイピングプロファイルに対応するコマンドを決定するために使用するポッドの電気的及び機械的設計を記憶してもよい。
【0161】
ポッド内の非ニコチンプレベイパー製剤レベルは、例えば、2つの方法のうちの1つで決定することができる。ある例示的な実施形態では、ポッドセンサ2220の1つが、ポッド内の非ニコチンプレベイパー製剤レベルを直接測定する。
【0162】
別の例示的な実施形態では、不揮発性メモリ2205bは、ポッドからのベイパー吸引場面カウントを記憶し、コントローラ2105は、ベイパー吸引場面カウントを、気化した非ニコチンプレベイパー製剤の量への代理として使用する。
【0163】
コントローラ2105及び/又は記憶媒体2145は、非ニコチンプレベイパー製剤組成物の動作点を特定する非ニコチンプレベイパー製剤キャリブレーションデータを記憶してもよい。非ニコチンプレベイパー製剤キャリブレーションデータは、非ニコチンプレベイパー製剤の残量によって非ニコチンプレベイパー製剤の流量がどのように変化するか、又は非ニコチンプレベイパー製剤の経時変化によって揮発性がどのように変化するかを記述したデータを含み、コントローラ2105によるキャリブレーションに使用されてもよい。非ニコチンプレベイパー製剤のキャリブレーションデータは、コントローラ2105及び/又は記憶媒体2145によって、テーブル形式で記憶されてもよい。非ニコチンプレベイパー製剤キャリブレーションデータにより、コントローラ2105は、ベイパー吸引場面カウントと、気化した非ニコチンプレベイパー製剤の量とを等しくすることができる。
【0164】
コントローラ2105は、ポッドの不揮発性メモリ2205bに非ニコチンプレベイパー製剤レベル及びベイパー吸引場面カウントを書き戻すので、ポッドがデバイス本体100から取り外され、後に再取り付けされた場合でも、ポッドの正確な非ニコチンプレベイパー製剤レベルがコントローラ2105によって知られることになる。
【0165】
なお、動作パラメータ(例えば、電源、電源持続時間、エアチャネル制御)は、ベイピングプロファイルと呼ばれる。さらに、不揮発性メモリ2205bは、コントローラ2105から伝達された情報を記録してもよい。不揮発性メモリ2205bは、デバイス本体100がポッドから切り離された状態になっても、記録された情報を保持してもよい。
【0166】
例示的な実施形態では、不揮発性メモリ2205bは、プログラマブルリードオンリーメモリであってもよい。
【0167】
ヒータ2215は、コントローラ2105によって作動され、例えば、コントローラ2105からの指令されたプロファイル(体積、温度(電力プロファイルに基づく)及びフレーバ)にしたがって、ポッド部品300内の非ニコチンプレベイパー製剤の少なくとも一部に熱を伝達する。
【0168】
ヒータ2215は、例えば、平面体、セラミック体、単線、抵抗線のケージ、ウィックを囲むワイヤコイル、メッシュ、面、又は他の適切な形態であってもよい。適切な電気抵抗材料の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、及び白金族の金属が挙げられる。適切な金属合金の例としては、ステンレス鋼、ニッケル-、コバルト-、クロム-、アルミニウム-、チタン-、ジルコニウム-、ハフニウム-、ニオブ-、モリブデン-、タンタル-、タングステン-、スズ-、ガリウム-、マンガン-、鉄を含む合金、及びニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼をベースとする超合金が挙げられる。例えば、ヒータは、ニッケルアルミナイド、表面にアルミナの層を有する材料、鉄アルミナイド、及び他の複合材料で形成されてもよく、電気抵抗性材料は、エネルギー伝達の速度論及び必要とされる外部の物理化学的特性に応じて、任意に、絶縁材料に埋め込まれ、カプセル化され、又はコーティングされてもよく、その逆も可能である。一実施形態では、ヒータ2215は、ステンレス鋼、銅、銅合金、ニッケル-クロム合金、超合金、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料からなる。一実施形態では、ヒータ2215は、ニッケル-クロム合金又は鉄-クロム合金で形成される。一実施形態では、ヒータ2215は、その外面に電気抵抗層を有するセラミックヒータとすることができる。
【0169】
別の実施形態では、ヒータ2215は、一般に所有されている米国特許第5,595,706号(1994年12月29日出願のSikkaらに対するもの)に記載されているような鉄アルミナイド(例えば、FeAl又はFeAl)、又はニッケルアルミナイド(例えば、FeAl)で構成されていてもよく、その全内容は参照によりここに組み込まれる。
【0170】
ヒータ2215は、ポッドセンサ又はコントローラ2105からのフィードバックに基づいて、加熱する非ニコチンプレベイパー製剤の量を決定してもよい。非ニコチンプレベイパー製剤の流れは、マイクロキャピラリー又はウィッキング作用によって調節されてもよい。さらに、コントローラ2105は、ヒータ2215にコマンドを送信して、ヒータ2215へのエアインレットを調整してもよい。
【0171】
ポッドセンサ2220から生成されたデータは、離散的なマルチチャネルのアナログ/デジタルコンバータ(ADC)を用いて、測定されるパラメータに適したサンプルレートでサンプリングされてもよい。ポッドセンサ2220は、例えば、ヒータ温度センサ、非ニコチンプレベイパー製剤流量モニタ、エアフローセンサ、及びパフ検出器を含んでもよい。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、ヒータ温度センサは、サーミスタ又は熱電対であってもよく、非ニコチンプレベイパー製剤流量の検出は、静電干渉又は非ニコチンプレベイパー製剤内の回転子を用いてポッドシステム2200によって実行されてもよい。
【0172】
ポッドセンサ2220はまた、熱線風速計(HWA:Hot Wire anemometer)2220Aを含んでもよい。熱線風速計2220Aは、エア流量検出機能を提供し、本明細書では、フローセンサ2220Aとも呼ばれることがある。さらに、図24A~27にてより詳細に後述するように、少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、熱線風速計(HWA)2220Aは、デュアル制御ループアーキテクチャと組み合わせて単一の発熱体を使用して、(i)エア流量検出、(ii)パフ検出、及び(iii)周囲温度追跡のいずれか又はすべてを容易にすることができる。例えば、熱線風速計を含むいくつかの従来のシステムでは、熱線風速計は定常流を測定することを目的としており、そのため、2つ以上の検出要素が使用される。1つは周囲温度の測定であり、もう1つはいくつかの発熱体からの熱伝達率の測定である。その結果、単一の発熱体を用いてエア流量検出と周囲温度追跡を行うことで、エア流量検出と周囲温度追跡の両方を行うために必要なハードウェア(例えば、回路)の複雑さを有利に軽減することができる。さらに、熱線風速計2220Aの周囲温度追跡能力もまた、熱線風速計2220Aの発熱体の温度を推定する際に、近くの加熱エンジンの影響を考慮することができるため、有用である。
【0173】
本明細書で使用されるように、熱線風速計又はフローセンサに関して使用される「周囲温度」という用語は、熱線風速計又はフローセンサの近傍におけるエアの温度を指してもよい。例えば、熱線風速計(又はフローセンサ)2220Aの少なくとも発熱体がポッド部品300内にある場合、熱線風速計(又はフローセンサ)2220Aの周囲温度は、熱線風速計(又はフローセンサ2220A)の発熱体を囲むポッド部品300内のエアの温度を指してもよい。少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、ポッド部品300内のエアの温度が実質的に均一である場合(例えば、非ニコチンベイパーが非ニコチンeベイピングデバイス500のアウトレットを介して現在引き出されていない場合、及び/又は、ヒータ2215が現在作動していない場合)、本明細書における熱線風速計(又はフローセンサ)2220Aの「周囲温度」への言及は、一般的に、ポッド部品300内のエアの温度を指してもよい。
【0174】
図24A~26を参照して以下で詳しく説明するが、熱線風速計2220Aは発熱体を備える。発熱体は、当該発熱体に電力を印加した結果、加熱される。さらに、発熱体の温度は、発熱体の抵抗(Ω)に影響を与える。そのため、発熱体の電圧から発熱体の温度を推定することができる。さらに、流れているエアが存在する場合、熱が、流れているエアによって熱線風速計2220Aの発熱体から奪われる。これにより、熱線風速計2220Aの発熱体が特定の温度を維持するために必要な電力のレベルを用いて、熱線風速計2220Aの発熱体の周りを流れているエアの流量を推定することができる。本明細書では、熱線風速計(又はフローセンサ)2220Aの発熱体の近傍を流れているエアを、単に、熱線風速計(又はフローセンサ)2220Aの周囲を流れているエア、又は熱線風速計(又はフローセンサ)2220Aの発熱体の周囲を流れているエアと呼ぶことがある。ここで、熱線風速計2220Aの発熱体の例について、図24A~24Dを参照しつつ以下でより詳細に説明する。
【0175】
少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、熱線風速計2220Aは、図19のセンサ364であってもよい(又は、センサ364に含まれていてもよい)。その結果、センサ364、ならびに図19及び図20を参照して上述したように、熱線風速計2220Aは、収束経路330c内に位置してもよい。さらに、図19及び図20を参照して上述したように、収束経路330cは、ポッドインレット322を介してポッド部品300に引き込まれ、ヒータ336が着座するモジュールアウトレット368から出るエアの流路の一部である(図17)。このように、少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、熱線風速計2220Aの周りを流れているエアは、ポッドインレット322から収束経路330c(例えば、パフの間)を介してモジュールアウトレット368に流れているエアである。
【0176】
図24A~24Dは、熱線風速計2220Aに含まれる発熱体の実装例を示す図である。図24Aを参照すると、熱線風速計2220Aの発熱体は、第1のエッチングされた蛇行素子2402A又は第2のエッチングされた蛇行素子2402Bによって実装されてもよい。図24Aに図示されているように、第1のエッチングされた蛇行素子2402Aは、第1の支持部2404Aと第2の支持部2406Aとの間に懸架された第1の蛇行線2408Aを含み、第2のエッチングされた蛇行素子2402Bは、第3の支持部2404Bと第4の支持部2406Bとの間に懸架された第2の蛇行線2408Bを含む。図24Bを参照すると、熱線風速計2220Aの発熱体は、単線素子2402Cによって実装されてもよい。図24Bに示されているように、単線要素は、第5の支持部2404Cと第6の支持部2406Cとの間に垂直に懸架された単線2408Cを含む。図24Cを参照すると、熱線風速計2220Aの発熱体は、巻線素子2410によって実装されてもよい。例えば、巻線素子2410は、Coilcraft社製の巻線表面実装(SMT)インダクタであってもよい。図24Dを参照すると、熱線風速計2220Aの発熱体は、薄膜抵抗温度検出器(RTD;resistance temperature detector)2412によって実装されてもよい。次に、少なくともいくつかの例示的な実施形態によるデュアル制御ループアーキテクチャについて、図25A~25D及び図26を参照して以下に説明する。
【0177】
図25Aは、内側PID制御ループ2500の図であり、図25B~25Dは、図25Aのパルス幅変調(PWM:Pulth Width Modulated)駆動信号2526の第1~第3の例示波形2526-1~2526-3を示す図であり、図26Aは、外側PID制御ループ2600の図である。
【0178】
図25Aに示されるように、内側PID制御ループ2500は、内側設定値SP_Iと、内側プロセス2520から出力される内側プロセス変数PV_Iとの間の差に基づいて、内側誤差Error_Iを計算する。例えば、コントローラ2105又はポッド部品300のポッドシステム2200に含まれるコントローラは、合計演算2518を実行することによって、内側設定値SP_Iと内側プロセス変数PV_Iとの間の差を決定してもよい。図25Aに示される例では、合計演算2518は、内側誤差Error_Iとして、内側設定値SP_Iと内側プロセス変数PV_Iの反転(すなわち、負(-))バージョンとの合計を計算することを含む。内側PIDコントローラ2510は、内側誤差Error_Iに基づいて、内側誤差Error_Iが低減され、又は代替的に最小化されるような方法で、内側制御変数CV_Iに補正を適用する。その後、内側制御変数CV_Iは、内側プロセス2520への入力として適用される。内側PIDコントローラ2510は、既知の方法にしたがって、比例項(P)、積分項(I)、及び微分項(D)を決定するために内側誤差Error_Iを用いて、制御変数CV_Iを生成するように構成される。少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、内側PIDコントローラ2510は、デバイス本体100のデバイスシステム2100内のコントローラ2105によって具現化されてもよいし、ポッド部品300のポッドシステム2200内の別個のコントローラとして具現化されてもよい。次に、内側プロセス2520について、以下でより詳細に説明する。
【0179】
図25Aを参照すると、内側プロセス2520は、フローセンサ2220Aを駆動するプロセスである。少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、内側プロセス2520は、駆動信号生成機能2522と、フローセンサ2220Aと、電圧-温度変換機能2524とを含む。少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、駆動信号生成機能2522及び電圧-温度変換機能2524は、コントローラによって具現化されてもよい。例えば、駆動信号生成機能2522又は電圧-温度変換機能2524によって実行されるものとして本明細書に記載されている動作は、コントローラ2105によって実行され、又は制御されてもよい。他の例として、駆動信号生成機能2522又は電圧-温度変換機能2524によって実行されるものとして本明細書に記載されている動作は、ポッド部品300のポッドシステム2200に含まれる他のコントローラによって実行されてもよく、又は制御されてもよい。
【0180】
フローセンサ2220Aは、駆動信号生成機能2522によって生成されるPWM駆動信号2526によって駆動される。少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、駆動信号生成機能2522は、電源2110を制御することにより、PWM駆動信号2526を生成し、フローセンサ2220AにPWM駆動信号2526を印加する。これにより、駆動信号生成機能2522は、(例えば、ポッド電源/データインタフェース2120を介して)PWM駆動信号2526を生成し、フローセンサ2220AにPWM駆動信号2526を印加する。PWM駆動信号2526のフローセンサ2220Aへの印加によって、フローセンサ2220Aの発熱体が熱を蓄積し、これにより発熱体の温度が上昇する。例えば、図25B図25Dは、PWM駆動信号2526の第1~第3の例示波形2526-1~2526-3を示す。第1~第3の例示波形2526-1~2526-3は、PWM駆動信号2526の電流の大きさが時間に対してどのように変化するかを示している。図25B~25Dに示す例では、第1~第3の例示波形2526-1~2526-3の縦軸は、PWM駆動信号2526の電流の大きさを示しており、これは、例えば、アンペア(A)又はミリアンペア(mA)で表されてもよい。図25B~25Dに示す例では、第1~第3の例示波形2526-1~2526-3の横軸は、時間を示しており、この時間は、例えば、秒(s)又はミリ秒(ms)で表されてもよい。図25B~25Dに示されるように、少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、PWM駆動信号2526は、高値(H)と低値(L)との間で振動する周期的な信号である。図25B~25Dに示す例では、第1~第3の例示波形2526-1~2526-3は、同じ周期である共通周期2540を共有しているが、第1~第3の例示波形2526-1~2526-3のそれぞれの第1~第3のデューティサイクル2550-1~2550-3は、互いに異なっている。
【0181】
図25Aに戻り、駆動信号設定値2514は、駆動信号生成機能2522によって生成されるPWM駆動信号2526のデューティサイクルを制御することによって、フローセンサ2220Aの発熱体に印加される電力のレベルを(そしてこれにより、発熱体による発熱量を)制御する。例えば、少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、駆動信号生成機能2522は、内側PIDコントローラ2510から駆動信号生成機能2522に出力される駆動信号設定値2514が増加するにつれてPWM駆動信号2526のデューティサイクルが増加し、内側PIDコントローラ2510から駆動信号生成機能2522に出力される駆動信号設定値2514が減少するにつれてPWM駆動信号2526のデューティサイクルが減少するように、PWM駆動信号2526を生成する。
【0182】
例えば、少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、内側PIDコントローラ2510は、駆動信号設定値2514を上限値及び下限値の範囲内になるように生成し、駆動信号生成機能2522は、PWM駆動信号2526のデューティサイクルが駆動信号設定値2514に比例するように、PWM駆動信号2526を生成してもよい。例えば、図25B~25Dに示されるように、図25Bの第1の例示波形2526-1の第1のデューティサイクル2550-1は、共通周期2540の約50%に対応し、図25Cの第2の例示波形2526-2の第2のデューティサイクル2550-2は、共通周期2540の約25%に対応し、図25Cの第3例示波形2526-3の第3デューティサイクル2550-3は、共通周期2540の約75%に対応する。したがって、駆動信号設定値2514の上限値及び下限値がそれぞれ10.0及び0.0である例示的なシナリオでは、駆動信号生成機能2522は、駆動信号設定値2514が5.0であることに応じて、図25Bの第1の例示波形2526-1の第1のデューティサイクル2550-1を生成し、2.5であることに応じて、図25Cの第2の例示波形2526-2の第2のデューティサイクル2550-2を生成し、駆動信号設定値2514が7.5であることに応じて、図25Cの第3例示波形2526-3の第3デューティサイクル2550-3を生成してもよい。なお、駆動信号設定値2514の上限値と下限値の例として、それぞれ10.0と0.0を挙げたが、駆動信号設定値2514の上限値と下限値は、10.0と0.0という値に限定されるものではなく、任意の値に設定してもよい。
【0183】
図25Aに戻り、PWM駆動信号2526のレベルが高い場合、フローセンサ2220Aの電圧であるフローセンサ電圧2528が測定されてもよい。例えば、図25B~25Dはそれぞれ、サンプル2530を示している。少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、サンプル2530はそれぞれ、フローセンサ電圧2528をサンプリングする動作のタイミングを例示している。少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、フローセンサ電圧2528のサンプリングは、コントローラ2105又はポッド部品300のポッドシステム2200に含まれるコントローラによって実行又は制御されてもよい。少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、図25B~25Dに示されているように、PWM駆動信号2526のレベルがハイ(H)間は、サンプル2530が周期的に発生してもよく、PWM駆動信号2526のレベルがロー(L)間は、サンプル2530が発生しなくてもよい。少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、ハイ(H)の場合におけるPWM駆動信号2526の電流は既知であり、フローセンサ2220Aの発熱体の温度と抵抗値の関係も既知である。したがって、(例えば、オームの法則を用いた)既知の方法にしたがって、電圧-温度変換機能2524は、フローセンサ電圧2528をフローセンサ温度2516に変換する。
【0184】

このように、内側PID制御ループ2500によって制御されているプロセスは内側プロセス2520であり、内側設定値SP_Iは設定温度2512であり、内側制御変数CV_Iは駆動信号設定値2514であり、内側プロセス変数PV_Iはフローセンサ温度2516である。
【0185】
その結果、図25Aの内側PID制御ループ2500は、フローセンサ温度2516と設定温度2512との間の差を低減又は代わりに最小化するように、駆動信号設定値2514を連続的に補正するように(それによって、PWM駆動信号2526のデューティサイクルを変化させ、したがって、フローセンサ2220Aの発熱体によって生成される熱量を変化させるように)動作する。フローセンサ2220Aの発熱体を通過及び/又は横切るエアの流量が増加すると、流れているエアによって発熱体から熱が抽出される速度が増加する。流れているエアによって発熱体から熱が取り出される速度が増加すると、発熱体の温度を設定温度2512に維持するために、発熱体に印加すべき電力のレベルも増加する。その結果、フローセンサ2220Aの発熱体に印加される電力のレベルを測定又は推定することによって、非ニコチンeベイピングデバイス500(例えば、コントローラ2105及び/又はポッドシステム2200のコントローラ)は、フローセンサ2220Aの発熱体の周りを通過するエアの流量を測定又は推定することができ、それによって、非ニコチンeベイピングデバイス500及び/又はポッド部品300を通過するエアの流量を測定又は推定することができる。
【0186】
しかしながら、設定温度2512が固定されたままフローセンサ2220Aの周囲温度が変化すると、フローセンサ2220Aの性能が悪影響を受ける可能性がある。例えば、フローセンサ2220Aの周囲温度が上昇するシナリオでは、フローセンサ2220Aの発熱体の温度も、例えば、発熱体が発熱体の近傍のエアから熱を受け取ることにより、上昇する可能性がある。発熱体の温度が上昇すると、発熱体の抵抗値(Ω)も上昇する。したがって、フローセンサ2220Aから測定されるフローセンサ電圧2528と、電圧-温度変換機能2524によって生成されるフローセンサ温度2516と、の両方の値も上昇する。さらに、例えば、フローセンサ温度2516が設定温度2512を超えた場合、その結果として生じる内側誤差Error_Iの値に起因して、内側PIDコントローラ2510は、フローセンサ2220Aの発熱体に印加される電力のレベルを低減することにより(すなわち、PWM駆動信号2556のデューティサイクルを下げるように駆動信号設定値2514を下げることで)、フローセンサ温度2516を下げようとする。したがって、内側誤差Error_Iが十分大きいことに起因して、内側PIDコントローラ2510が、フローセンサ2220Aが確実に機能するために必要なレベル未満まで発熱体に印加される電力のレベルを小さくしようとする場合、フローセンサ2220Aは、電力不足のために応答しなくなり、したがって、フロー検出機能を実行しなくなる可能性がある。例えば、内側PIDコントローラ2510が、結果として得られるPWM駆動信号2556のデューティサイクルが小さすぎてフローセンサ2220Aに十分な量の電力を供給できなくなる値まで駆動信号設定値2514を下げる場合、フローセンサ2220Aは、電力不足のために応答しなくなり、したがって、フロー検出機能を実行しなくなる可能性がある。
【0187】
その結果、フローセンサ2220Aが適切に機能しなくなる上述のシナリオを回避するためには、フローセンサ2220Aの周囲温度の変化に応じて、図25Aの内側PID制御ループ2500の設定温度2512を変更することが有益な可能性がある。一つの解決策は、フローセンサ2220Aの周囲温度の検出用の他の温度センサを採用することである。
【0188】
しかしながら、少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、上述した図25Aの内側PID制御ループ2500と組み合わせて、図26Aの外側PID制御ループ2600を含むデュアル制御ループアーキテクチャは、フローセンサ2220Aの周囲温度の変化を追跡することと、それに応じて設定温度2512を調整することと、が可能である。次に、図26Aの外側PID制御ループ2600について、以下でより詳細に説明する。
【0189】
図26Aを参照すると、外側PID制御ループ2600は、外側設定値SP_Oと、外側プロセス2620から出力される外側プロセス変数PV_Oとの間の差に基づいて、外側誤差Error_Oを算出する。例えば、コントローラ2105又はポッド部品300のポッドシステム2200に含まれるコントローラは、合計演算2618を実行することによって、外側設定値SP_Oと外側プロセス変数PV_Oとの間の差を決定してもよい。図26Aに示される例では、合計演算2618は、外側誤差Error_Oとして、内側設定値SP_Iと外側プロセス変数PV_Oの反転(すなわち、負(-))バージョンとの合計を計算することを含む。外側誤差Error_Oに基づいて、外側誤差Error_Oが低減され、又は、代替的に最小化されるような方法で、外側制御変数CV_Oに補正を適用する。その後、外側制御変数CV_Oは、外側プロセス2620への入力として適用される。図25Aの内側PID制御ループ2500の内側PIDコントローラ2510を参照して上述したように、外側PIDコントローラ2610は、既知の方法にしたがって、比例項(P)、積分項(I)、及び微分項(D)を決定するために外側誤差Error_Oを用いて、外側制御変数CV_Oを生成するように構成される。少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、外側PIDコントローラ2610は、デバイス本体100のデバイスシステム2100内のコントローラ2105によって具現化されてもよいし、ポッド部品300のポッドシステム2200内の別個のコントローラとして具現化されてもよい。少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、内側PIDコントローラ2510及び外側PIDコントローラ2610は、両方とも、デバイス本体100のデバイスシステム2100内のコントローラ2105によって具現化されてもよく、両方とも、ポッド部品300のポッドシステム2200内の同じ単一のコントローラとして具現化されてもよく、又は、それぞれが、例えば、ポッド部品300のポッドシステム2200内の2つのコントローラとして、別個のコントローラとして具現化されてもよい。
【0190】
図26Aに図示されているように、少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、外側PID制御ループ2600によって制御されているプロセスである外側プロセス2620は、図25Aの内側PID制御ループ2500である。例えば、図26Aに図示されているように、外側PID制御ループ2600の外側設定値SP_Oは目標駆動信号設定値2612であり、外側PID制御ループ2600の外側制御変数CV_Oは内側PID制御ループ2500の設定温度2512であり、外側PID制御ループ2600の外側プロセス変数PV_Oは内側PID制御ループ2500の駆動信号設定値2514である。
【0191】
その結果、図26Aの外側PID制御ループ2600は、内側PID制御ループ2500が出力する駆動信号設定値2514と目標駆動信号設定値2612との間の差を低減又は代わりに最小化するように、内側PID制御ループ2500に入力される設定温度2512を連続的に補正するように動作する。さらに、少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、外側PID制御ループ2600は、パフ中に内側PID制御ループ2500に入力される設定温度2512を調整しない。例えば、図26Aに示されているように、外側PID制御ループ2600は、マルチプレクサ2650を含んでもよい。少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、マルチプレクサ2650の機能は、コントローラ2105又はポッド部品300のポッドシステム2200に含まれるコントローラによって実行されてもよい。さらに、図26Aに示されているように、パフ検出信号2640が、パフが発生していることを示す(すなわち、非ニコチンベイパーが、非ニコチンeベイピングデバイス500又はポッド部品300のアウトレットを介して現在吸引されていること、又は、負圧が、非ニコチンeベイピングデバイス500又はポッド部品300のアウトレットに現在印加されていることを示す)第1の論理値(例えば、論理ハイ)を有する場合、パフ検出信号2640が、パフが現在発生していないことを示す(すなわち、非ニコチンベイパーが、非ニコチンeベイピングデバイス500又はポッド部品300のアウトレットを介して現在引き出されていないこと、又は負圧が、非ニコチンeベイピングデバイス500又はポッド部品300のアウトレットに現在印加されていないことを示す)第2の論理値(例えば論理ロー)に遷移するまで、マルチプレクサ2650に入力される設定温度2512の現在値は、内側PID制御ループ2500に与えられる値として固定される。パフ検出信号2640が、パフが現在発生していないことを示す第2の論理値(例えば、論理ロー)に遷移すると、マルチプレクサ2650は、外側PIDコントローラ2610によって出力される設定温度2512を、内側PID制御ループ2500への入力として単に出力する。このように、内側PID制御ループ2500の内側設定値SP_I(すなわち、設定温度2512)は、パフが発生している間は固定値であり、パフが発生していない間は変動値である。パフが発生していないときに設定温度2512が変動する態様は、以下でより詳細に説明される。図26Bを参照して以下でより詳細に説明するように、パフ検出信号2640は、パフ検出信号生成器によって生成されてもよい。少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、パフ検出信号生成器は、コントローラ(例えば、コントローラ2105又はポッド部品300のポッドシステム2200内のコントローラ)である。
【0192】
フローセンサ2220Aの周囲温度が上昇すると、駆動信号設定値2514は、図25Aを参照して上述した方法で下降する可能性がある。しかし、外側PIDコントローラ2610は、駆動信号設定値2514が、フローセンサ2220Aが応答しなくなる可能性がある値に低下することを防止することができる。例えば、図26Aを参照すると、駆動信号設定値2514が目標駆動信号設定値2612に対して減少すると、外側誤差Error_Oの大きさが増加する。これに伴い、外側PIDコントローラ2610は、フローセンサ2220Aの周囲温度の変化に応じて設定温度2512を増加させ、これにより駆動信号設定値2514を増加させることで、外側誤差Error_Oを低減させるように動作する。例えば、発熱体の温度を新たに上昇した設定温度2512まで上げるために、フローセンサ2220Aの発熱体に追加の電力を印加する必要があるので、内側PIDコントローラ2510は、上昇した設定温度2512に応じて駆動信号設定値2514を上げる。
【0193】
上記の例示的シナリオで説明したように、フローセンサ2220Aの周囲温度が上昇することに応じて設定温度2512を上げることに加えて、外側PID制御ループ2600は、フローセンサ2220Aの周囲温度が低下することに応じて設定温度2512を下げてもよい。例えば、フローセンサ2220Aの周囲温度が低下するシナリオでは、例えば、発熱体が発熱体の近傍のエアに熱を逃がすことに起因して、フローセンサ2220Aの発熱体の温度も低下する可能性がある。発熱体の温度が低下すると、発熱体の抵抗値も低下する。したがって、フローセンサ2220Aから測定されるフローセンサ電圧2528と、電圧-温度変換機能2524によって生成されるフローセンサ温度2516と、の両方の値も減少する。さらに、例えば、フローセンサ温度2516が設定温度2512を下回っている場合、内側誤差Error_Iの結果の値に起因して、内側PIDコントローラ2510が、フローセンサ2220Aの発熱体に印加される電力のレベルを増加させることによって(すなわち、PWM駆動信号2556のデューティサイクルを増加させるように駆動信号設定値2514を増加させることによって)、フローセンサ温度2516を上げようとさせる。さらに、駆動信号設定値2514が目標駆動信号設定値2612に対して増加すると、外側誤差Error_Oの大きさが増加する。これに伴い、外側PIDコントローラ2610は、フローセンサ2220Aの周囲温度の変化に応じて設定温度2512を減少させ、これにより駆動信号設定値2514を増加させることで、外側誤差Error_Oの大きさを低減させるように動作する。例えば、発熱体の温度を新たに下降した設定温度2512まで下降させるために、フローセンサ2220Aの発熱体に印加される電力のレベルを低下させる必要があるため、内側PIDコントローラ2510は、下降した設定温度2512に応じて駆動信号設定値2514を減少させる。
【0194】
少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、目標駆動信号設定値2612のレベルは、非ニコチンeベイピングデバイス500及び/又はポッド部品300の設計者及び/又は製造者の好みに応じて設定されてもよい。少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、目標駆動信号設定値2612のレベルは、非ニコチンeベイピングデバイス500の設計者及び/又は製造者の好みに応じて(例えば、デバイス本体100及び/又はポッド部品300に)記憶されてもよい。例えば、少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、目標駆動信号設定値2612のレベルは、熱線風速計2220Aの周囲温度と熱線風速計2220Aの発熱体の温度との間の所望のマージン(すなわち、パフが発生していない場合)に応じて設定されてもよい。
【0195】
その結果、外側PID制御ループ2600は、フローセンサ2220Aの周囲温度を検出するために、(例えば、ポッド部品300内にて)別個の温度センサを実装する必要なく、フローセンサ2220Aを用いて、フローセンサ2220Aの周囲温度の変化に応じて設定温度2512が変化するように制御することが有利に可能である。次に、少なくともいくつかの例示的な実施形態による熱線風速計を動作させる例示的な方法を、図26Bを参照して以下に説明する。
【0196】
図26Bは、少なくともいくつかの例示的な実施形態による、熱線風速計を操作する方法を示すフローチャートである。
【0197】
図26Bを参照すると、ステップS2710では、熱線風速計の発熱体の温度が決定される。例えば、図25Aを参照して上述したように、コントローラ(例えば、コントローラ2105又はポッド部品300のポッドシステム2200に含まれるコントローラ)は、フローセンサ電圧2528を測定する動作を実行又は制御してもよく、電圧-温度変換機能2424は、測定されたフローセンサ電圧2528を、熱線風速計2220Aの発熱体の温度を表すフローセンサ温度2516に変換してもよい。
【0198】
ステップS2720では、非ニコチンeベイピングデバイスが熱線風速計に印加する電力のレベルが、決定された熱線風速計の発熱体の温度と、設定温度と、に基づいて、制御される。例えば、図25Aを参照して上述したように、内側PIDコントローラ2510は、設定温度2512(すなわち、内側設定値SP_I)とフローセンサ温度2516(すなわち、内側プロセス変数PV_I)との差に基づいて、駆動信号設定値2514(すなわち、内側制御変数CV_I)を生成する。さらに、駆動信号設定値2514は、例えば、PWM駆動信号2526のデューティサイクルを制御することで、フローセンサ2220Aの発熱体に印加される電力のレベルを制御する。
【0199】
ステップS2730では、パフ検出信号が生成される。少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、パフ検出信号2640は、駆動信号設定値2514及び/又は駆動信号設定値2514の勾配を監視することで、コントローラ(例えば、コントローラ2105又はポッド部品300のポッドシステム2200に含まれるコントローラ)によって生成されてもよい。例えば、ステップS730において、パフ検出信号2640が現在パフが、発生していないことを示す値(例えば、論理ロー値又は0)を有している間、コントローラは、駆動信号設定値2514の現在のレベル(又はレベルのスライディングウィンドウ上の平均レベル)がパフ開始レベル閾値を超えたと判定したこと、及び/又は駆動信号設定値2514の現在の勾配(又は勾配のスライディングウィンドウ上の平均勾配)がパフ開始勾配閾値を超えたと判定したことに応じて、パフ検出信号2640の値を、現在パフが発生していることを示す値(例えば、論理ハイ値又は1)に変更してもよい。さらに、ステップS730において、パフ検出信号が現在パフが発生していることを示す値(例えば、論理ハイ値又は1)を有している間、コントローラは、駆動信号設定値2514の現在のレベル(又はレベルのスライディングウィンドウ上の平均レベル)がパフ終了レベル閾値を下回ったと判断したこと、及び/又は駆動信号設定値2514の現在の勾配(又は勾配のスライディングウィンドウ上の平均勾配)がパフ終了勾配閾値を下回ったと判断したことに応じて、パフ検出信号2640の値を現在パフが発生していないことを示す値(例えば、論理ロー値又は0)に変更してもよい。
【0200】
ステップS2740では、パフが検出されたか否かに関して判定が行われる。例えば、ステップS2730で生成されたパフ検出信号2640のレベルが、パフが検出されていないことを示している場合(N)、本方法はステップS2750に進む。
【0201】
ステップS2750では、熱線風速計の周囲温度の変化が検出されたか否かに関して、判定が行われる。例えば、図26Aに関して上述した態様において、外側PIDコントローラ2610は、外側誤差Error_Oの大きさの増加を検出したことに基づいて、熱線風速計2220Aの周囲温度が変化したと判定してもよい。さらに、外側誤差Error_Oの符号は、外側PIDコントローラ2610に対して、熱線風速計2220Aの周囲温度の変化の方向(例えば、増加又は減少)を示してもよい。ステップS2750において、熱線風速計2220Aの周囲温度の変化が検出されない場合(N)、本方法は終了する。ステップS2750において、熱線風速計2220Aの周囲温度の変化が検出された場合(Y)、本方法はステップS2760に進む。
【0202】
ステップS2760では、検出された熱線風速計の周囲温度の変化に応じて、設定温度が変化するように制御される。例えば、図26Aに関して上述したように、外側PIDコントローラ2610は、熱線風速計2220Aの周囲温度に応じて設定温度2512の値を変更することで、ステップS2750で検出された熱線風速計2220Aの周囲温度の変化に応答してもよい。例えば、外側PIDコントローラ2610は、熱線風速計2220Aの周囲温度の上昇を検出したことに応じて、設定温度2512を増加させ、外側PIDコントローラ2610は、熱線風速計2220Aの周囲温度の低下を検出したことに応じて、設定温度2512を減少させてもよい。少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、ステップS2760の後、本方法は終了する。
【0203】
ステップS2750に戻り、ステップS2730で生成したパフ検出信号2640のレベルがパフを検出したことを示す場合(Y)、ステップS2770に進む。
【0204】
ステップS2770では、熱線風速計に印加される電力のレベルに基づいて、熱線風速計の周囲を流れているエアのエア流量を決定する。例えば、ステップS2770において、コントローラ(例えば、コントローラ2105又はポッド部品300のポッドシステム2200に含まれるコントローラ)が、現在の駆動信号設定値2514に基づいて、熱線風速計の周囲を流れているエアのエア流量を決定してもよい。具体的には、上述したように、熱線風速計2220Aの発熱体が、PWM駆動信号2526を介して発熱体に電力が印加されることにより加熱される。さらに、発熱体の温度は、発熱体の抵抗値(Ω)に影響を与える。そのため、発熱体の電圧(例えば、フローセンサ電圧2528)が、発熱体の温度(例えば、フローセンサ温度2516)を推定するために用いられてもよい。さらに、流れているエアが存在する場合、熱は、流れているエアによって熱線風速計2220Aの発熱体から逃がされ、これにより、熱線風速計2220Aの発熱体が特定の温度を維持するために必要な電力のレベルは、熱線風速計2220Aの発熱体の周囲を流れているエアのエア流量を推定するために用いることができる。さらに、熱線風速計2220Aの発熱体が特定の温度を維持するために必要な電力のレベルは、現在の駆動信号設定値2514に基づいて決定又は推定することができる。ここで、現在の駆動信号設定値2514は、熱線風速計2220Aに印加されるPWM駆動信号2526のデューティサイクルを制御することによって熱線風速計2220Aの発熱体に印加される電力の現在のレベルを制御する。その結果、コントローラ2105又はポッドシステム2200に含まれるコントローラは、現在の駆動信号設定値2514を用いて、熱線風速計2220Aの発熱体の周囲を流れているエアの流量を決定又は推定してもよい。さらに、熱線風速計2220Aの発熱体の周りを流れているエアのエア流量は、ポッド部品300及び/又は非ニコチンeベイピングデバイス500を流れているエアのエア流量を示していてもよい。例えば、図13及び図14を参照して上述したように、ベイピング中、エアは、ポッドインレット322を介してポッド部品300に入り、ポッドアウトレット304を介してポッド部品から出る。さらに、図18~20を参照して上述したように、センサ364は、熱線風速計2220Aであってもよく、又は、熱線風速計2220Aを含んでいてもよく、したがって、熱線風速計2220Aは、収束経路330c内に位置していてもよい。さらに、図18~20を参照して上述したように、収束経路330cは、ポッドインレット322を介してポッド部品300に引き込まれ、加熱室を通って移動し(例えば、モジュールアウトレット368から入り、ベイパーチャネル316に出る)、ポッドアウトレット304を介してポッド部品300から出る、エアの流路の一部である。その結果、少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、熱線風速計2220Aの周りを流れているエアは、(例えば、パフ中に)ポッドインレット322及びポッドアウトレット304を介して非ニコチンeベイピングデバイス500のポッド部品300を通って流れているエアであり、したがって、熱線風速計2220Aの発熱体の周りを流れているエアのエア流量は、ポッド部品300及び/又は非ニコチンeベイピングデバイス500を通って流れているエアのエア流量を示している可能性がある。
【0205】
したがって、少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、図25Aの内側PID制御ループ2500及び図26Aの外側PID制御ループ2600を含むデュアル制御ループアーキテクチャと連携した単一の熱線風速計(例えば、熱線風速計2220A)は、熱線風速計の周囲温度を感知するための追加の温度センサを実装する必要なく、エア流量感知を改善する目的で、(i)エア流量感知、(ii)パフ検出、及び(iii)周囲温度追跡のいずれか又はすべてを容易にすることができる。次に、図27~31を参照して、ヒートノットバーンエアロゾル生成デバイスの例示的な構造について以下に説明する。
[ヒートノットバーンエアロゾル生成デバイスの構造の例]
【0206】
図27は、例示的な実施形態によるヒートノットバーンエアロゾル生成デバイスの概略図である。図27を参照すると、ヒートノットバーンエアロゾル生成デバイス1000は、マウスピース1015及びデバイス本体1025を含んでもよい。電源1035及び制御回路1045は、ヒートノットバーンエアロゾル生成デバイス1000のデバイス本体1025内に配置されてもよい。ヒートノットバーンエアロゾル生成デバイス1000は、カプセル800を受け入れるように構成されている。カプセル800は、上述した非ニコチンeベイピングデバイス500のポッド300と同様に、着脱可能な容器である。少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、カプセル800は、第1及び第2のヒータの間に挟まれたエアロゾル形成基材を含んでもよい。少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、第1及び第2のヒータは、平面的であってもよく、電流が印加されると加熱する材料で形成されてもよい。また、ヒートノットバーンエアロゾル生成デバイス1000は、カプセル800に電気的に接触するように構成された第1の電極1055a、第2の電極1055b、第3の電極1055c、及び第4の電極1055dを含んでもよい。少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、第1の電極1055a及び第3の電極1055cは、第1のヒータに電気的に接触してもよく、第2の電極1055b及び第4の電極1055dは、第2のヒータに電気的に接触してもよい。しかし、1つのヒータのみを有するカプセルを含む非限定的な実施形態では、第1の電極1055a及び第3の電極1055c(又は第2の電極1055b及び第4の電極1055d)が省略されてもよいことを理解すべきである。
【0207】
本明細書では、「エアロゾル形成基材(aerosol-forming substrate)」という用語は、エアロゾルをもたらす可能性のある材料(又は材料の組み合わせ)を指す。本明細書で言及されるように、「エアロゾル(aerosol)」とは、本明細書で開示される例示的な実施形態のいずれかによる任意のヒートノットバーンエアロゾル生成デバイスから生成又は出力される任意の物質である。材料は、固体形態であり、化合物(例えば、カンナビノイド)の優勢な供給源であり、材料が加熱されると、化合物を含むエアロゾルが生成される。加熱は、エアロゾル形成基材の実質的な熱分解又は(もしあれば)燃焼副生成物の実質的な生成を伴うことなくエアロゾルを生成するように、燃焼温度未満であってもよい。したがって、少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、加熱及びその結果としてのエアロゾルの生成中に熱分解は起こらない。他の例では、いくらかの熱分解及び燃焼副産物があるかもしれないが、その程度は比較的軽微であり、及び/又は単に付随的であると考えられる。例えば、ヒートノットバーンエアロゾル生成デバイスがエアロゾル形成基材をエアロゾル化温度まで加熱すると、エアロゾル形成基材はエアロゾルを生成することがある。本明細書で使用されるように、エアロゾル形成基材の「エアロゾル化温度(aerosolization temperature)」、エアロゾル形成基材がエアロゾルをもたらす温度であり、エアロゾル形成基材の燃焼温度未満である。
【0208】
エアロゾル形成基材は、繊維状材料であってもよい。例えば、繊維状材料は、植物性材料であってもよい。繊維質材料は、加熱されると化合物を放出するように構成されている。化合物は、繊維質材料の天然に存在する構成要素であってもよい。例えば、繊維質材料は、タバコなどの植物材料であってもよく、放出される化合物は、ニコチンであってもよい。「タバコ(tobacco)」という用語は、ニコチアナ・ルスティカ(Nicotiana rusticaand)及びタバコ(Nicotiana tabacum)などのタバコ植物の1つ以上の種からの、タバコ葉、タバコプラグ、再構成タバコ、圧縮タバコ、成形タバコ、又は粉末タバコ、及びそれらの組み合わせを含む任意のタバコ植物材料を含む。
【0209】
いくつかの例示的な実施形態では、タバコ材料は、ニコチアナ(Nicotiana)属の任意のメンバーからの材料を含んでもよい。さらに、タバコ材料は、2つ以上の異なるタバコ品種のブレンドを含んでもよい。使用することができる好適なタイプのタバコ材料の例には、フルーキュアードタバコ、バーリータバコ、ダークタバコ、メリーランドタバコ、オリエンタルタバコ、レアタバコ、スペシャルタバコ、それらのブレンドなどが含まれるが、これらに限定されない。タバコ材料は、任意の適切な形態で提供されてもよく、これには、タバコのラミナ、容積拡大タバコ又はパフ付きタバコなどの加工タバコ材料、カットロール又はカットパフ付きステムなどの加工タバコステム、再構成タバコ材料、それらのブレンドなどが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの例示的な実施形態では、たばこ材料は、実質的に乾燥したたばこ塊の形態である。さらに、いくつかの例では、タバコ材料は、プロピレングリコール、グリセリン、それらのサブコンビネーション、又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つと混合及び/又は組み合わせてもよい。
【0210】
また、本化合物は、医学的に認められた治療効果を有する薬用植物の天然成分であってもよい。例えば、薬用植物はカンナビスであり、化合物はカンナビノイドであってもよい。カンナビノイドは、体内の受容体と相互作用して様々な効果をもたらす。その結果、カンナビノイドは、様々な薬効(例えば、痛み、吐き気、てんかん、精神疾患の治療)に使用されている。繊維状物質は、カンナビス・サティバ、カンナビス・インディカ、カンナビス・ルデラリスなどの1種又は複数種のカンナビス植物の葉及び/又は花の物質を含むことができる。いくつかの例では、繊維状材料は、60~80%(例えば、70%)のカンナビス・サティバと20~40%(例えば、30%)のカンナビス・インディカの混合物である。
【0211】
カンナビノイドの例としては、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビジオール(CBD)、カンナビノール(CBN)、カンナビシクロ(CBL)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビゲロール(CBG)などがある。テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)はテトラヒドロカンナビノール(THC)の前駆体であり、カンナビジオール酸(CBDA)はカンナビジオール(CBD)の前駆体である。テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)及びカンナビジオール酸(CBDA)は、加熱を介して、それぞれテトラヒドロカンナビノール(THC)及びカンナビジオール(CBD)に変換されてもよい。例示的な実施形態では、第1のヒータ及び/又は第2のヒータからの熱は、カプセル(例えば、カプセル800又は900)中のテトラヒドロカンナビノール酸(THCA)をテトラヒドロカンナビノール(THC)に変換するように、及び/又はカプセル中のカンナビジオール酸(CBDA)をカンナビジオール(CBD)に変換するように、脱炭酸を引き起こしてもよい。
【0212】
テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)とテトラヒドロカンナビノール(THC)の両方がカプセル内に存在する例では、脱炭酸とその結果としての変換により、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)が減少し、テトラヒドロカンナビノール(THC)が増加する。テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)の少なくとも50%(例えば、少なくとも87%)は、カプセルの加熱中にテトラヒドロカンナビノール(THC)に変換されてもよい。同様に、カンナビジオール酸(CBDA)とカンナビジオール(CBD)の両方がカプセル内に存在する例では、脱炭酸とその結果としての変換により、カンナビジオール酸(CBDA)が減少し、カンナビジオール(CBD)が増加する。カプセルの加熱中に、カンナビジオール酸(CBDA)の少なくとも50%(例えば、少なくとも87%)がカンナビジオール(CBD)に変換されてもよい。
【0213】
さらに、化合物は、後に繊維質材料に導入される非天然由来の添加剤であってもよいし、追加的に含んでもよい。一例では、繊維状材料は、綿、ポリエチレン、ポリエステル、レーヨン、それらの組み合わせなどのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい(例えば、ガーゼの形で)。別の例では、繊維状材料は、セルロース材料(例えば、非タバコ及び/又は非カンナビスの材料)であってもよい。いずれの例においても、導入される化合物は、ニコチン、カンナビノイド、及び/又はフレバラントを含んでいてもよい。フレバラントは、植物抽出物(例えば、タバコ抽出物、大麻抽出物)などの天然由来のもの、及び/又は人工由来のものであってもよい。さらに別の例では、繊維状材料がタバコ及び/又はカンナビスを含む場合、化合物は、1つ以上のフレバラント(例えば、メンソール、ミント、バニラ)であってもよく、又は追加で含んでもよい。このように、エアロゾル形成基材内の化合物は、天然由来の成分及び/又は非天然由来の添加物を含んでいてもよい。これに関連して、エアロゾル形成基質の天然由来の成分の既存のレベルは、補充によって増加させてもよいことを理解すべきである。例えば、ある量のタバコに含まれるニコチンの既存のレベルは、ニコチンを含む抽出物を補充することで増加させることができる。同様に、カンナビスの量に含まれる1つ以上のカンナビノイドの既存のレベルは、そのようなカンナビノイドを含む抽出物を補充することによって増加してもよい。
【0214】
少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、カプセル800がヒートノットバーンエアロゾル生成デバイス1000に挿入されると、制御回路1045は、第1の電極1055a、第2の電極1055b、第3の電極1055c、及び/又は第4の電極1055dに電流を供給するように電源1035に指示してもよい。電源1035からの電流の供給は、手動操作(例えば、ボタン作動)又は自動操作(例えば、パフ作動)に応じて行われてもよい。電流の結果、カプセル800が加熱されてエアロゾルが生成されてもよい。
【0215】
カプセル800と、マウスピース1015、デバイス本体1025、電源1035、制御回路1045、第1の電極1055a、第2の電極1055b、第3の電極1055c、及び第4の電極1055dを含むヒートノットバーンエアロゾル生成デバイス1000の追加の詳細は、2017年12月18日に出願された「VAPORIZING DEVICES AND METHODS FOR DELIVERING A COMPOUND USING THE SAME」と題された米国出願第15/845,501号(Atty.Dkt.No.24000DM-000012-US)に記載されており、その開示内容は参照により全体が本明細書に組み込まれる。本明細書で議論されるカプセル、エアロゾル形成基板、及び関連する態様は、2019年1月21日に出願された米国出願第16/252,951号にもより詳細に記載されており、タイトルは「CAPSULE,HEAT-NOT-BURN(HNB)AEROSOL-GENERATING DEVICES,AND METHODS OF GENERATING AN AEROSOL」であり、Atty Dkt No.24000NV-000521-US、及び2019年6月25日に出願された米国出願第16/451,662号(タイトルは「CAPSULES, HEAT-NOT-BURN (HNB) AEROSOL-GENERATING DEVICES, AND METHODS OF GENERATING AN AEROSOL」Atty.Dkt.No.24000NV-000522-US)に記載されており、これらの各開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0216】
図28は、例示的な実施形態による別のヒートノットバーンエアロゾル生成デバイスの断面図である。図28を参照すると、ヒートノットバーンエアロゾル生成デバイス2000は、特に、マウスピース2015及びデバイス本体2025を含んでもよい。図27のヒートノットバーンエアロゾル生成デバイス1000に関連する特徴は、ヒートノットバーンエアロゾル生成デバイス2000にも適用可能であることを理解すべきであり、簡潔にするために繰り返さないことにする。図28に示すように、センサ2075は、ヒートノットバーンエアロゾル生成デバイス2000内のカプセルの温度を測定するために含まれてもよい。例えば、センサ2075は、カプセルの非接触温度感知を行うように構成された赤外線(IR)センサであってもよい。センサ2075は、デバイス本体2025内のカプセルの下流側かつ上方に位置するように配置されてもよい。さらに、センサ2075は、エアロゾル経路からオフセットされ、ヒートノットバーンエアロゾル生成デバイス2000の長手方向の軸に対して角度をつけて配向されてもよい。例示的な実施形態では、長手方向の軸は、カプセルの面に対応する平面に直交してもよく、角度は、長手方向の軸に対して8~20度(例えば、13~15度)であってもよい。その結果、生成されたエアロゾルからの蓄積物及び堆積物が低減又は防止され、それによって、センサ2075の性能及び寿命が向上することがある。
【0217】
図29は、例示的な実施形態によるヒートノットバーンエアロゾル生成デバイスの電極及びシールによって係合されたカプセルを含む配置の平面図である。図30は、図29の配置の斜視図である。図31は、図29の配置の側面断面図である。図29~31を参照すると、ヒートノットバーンエアロゾル生成デバイス内のカプセル900は、第1のシール1165a及び第2のシール1165bによって係合されてもよい。第1のシール1165aは、第1のヒータに対応するカプセル900の側面に係合されてもよく、一方、第2のシール1165bは、第2のヒータに対応するカプセル900の側面に係合されてもよい(又は、その逆)。係合されると、第1のシール1165a及び第2のシール1165bは、その中に配置されたヒートノットバーンエアロゾル形成基板を取り囲むように、キャビティの周縁部にあってもよい。
【0218】
第1の電極1155a、第2の電極1155b、第3の電極1155c、及び第4の電極1155dは、カプセル900に電気的に接触するように構成される。少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、その後、第1の電極1155a及び第3の電極1155cは、第1のヒータに電気的に接触してもよく、第2の電極1155b及び第4の電極1155dは、第2のヒータに電気的に接触してもよい。しかし、1つのヒータのみを有するカプセルを含む非限定的な実施形態では、第1の電極1155a及び第3の電極1155c(又は、第2の電極1155b及び第4の電極1155d)が省略されてもよいことを理解すべきである。
【0219】
ヒータと係合すると、第1の電極1155a及び第3の電極1155cは、第1のシール1165aによって囲まれた領域内にあり、第2の電極1155b及び第4の電極1155dは、第2のシール1165bによって囲まれた領域内にある。また、第1の電極1155a及び第3の電極1155cは、第1のヒータが下地の第1のフレームに押し付けられるように、第1のシール1165aの反対側に隣接していてもよい。同様に、第2の電極1155b及び第4の電極1155dは、第2のヒータが下にある第2のフレームに対して押し付けられるように、第2のシール1165bの反対側に隣接していてもよい。第3のフレームを含む例示的な実施形態では、ヒータは、電極によって下にある第3のフレームに対して押し付けられてもよい。
【0220】
なお、第1の電極1155a、第2の電極1155b、第3の電極1155c、及び第4の電極1155dは、ブレードの形状であってもよい。さらに、接触抵抗を低減するために、第1の電極1155a、第2の電極1155b、第3の電極1155c、及び第4の電極1155dは、鋼で形成され、窒化チタンでコーティングされていてもよい。例示的な実施形態では、ブレードは、ストレートエッジであってもよい。あるいは、ヒータの表面に凹凸がある場合(例えば、メッシュ状のヒータ)に電気的接触を高めるために、ブレードを鋸歯状にしてもよい。
【0221】
少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、第1の電極1155a、第2の電極1155b、第3の電極1155c、第4の電極1155d、カプセル900、第1のシール1165a及び第2のシール1165dは、ヒートノットバーンエアロゾル生成デバイス1000に含まれてもよい。例えば、少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、第1の電極1155a、第2の電極1155b、第3の電極1155c、第4の電極1155d及びカプセル900は、第1の電極1055a、第2の電極1055b、第3の電極1055c、第4の電極1055d及びカプセル800の例である。
【0222】
少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、ヒートノットバーンエアロゾル生成デバイス1000の制御回路1045及び電源1035は、それぞれ、図21A~23を参照して上述したデバイスシステム2100及び電源2110によって具現化される。さらに、少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、カプセル800は、制御回路を含み、カプセル800の制御回路は、図21A~23を参照して上述したポッドシステム2200によって具現化される。
【0223】
本明細書では、多数の例示的な実施形態を開示してきたが、他の変形が可能であることを理解すべきである。そのような変形は、本開示の意図及び範囲から逸脱したものとみなされるべきではなく、当業者には明らかであろうすべてのそのような変更は、以下の請求項の範囲内に含まれることが意図される。
図1
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