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特許7587552外装材、外装材連結体、ワイヤハーネス、及びワイヤハーネスの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】外装材、外装材連結体、ワイヤハーネス、及びワイヤハーネスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20241113BHJP
   H02G 3/06 20060101ALI20241113BHJP
   F16L 11/06 20060101ALI20241113BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20241113BHJP
   H01B 13/012 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
H02G3/04 068
H02G3/06
F16L11/06
H01B7/00 301
H01B13/012 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022105524
(22)【出願日】2022-06-30
(65)【公開番号】P2024005366
(43)【公開日】2024-01-17
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 友和
(72)【発明者】
【氏名】榎本 聖
(72)【発明者】
【氏名】石塚 直紀
(72)【発明者】
【氏名】田所 真一
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-020952(JP,U)
【文献】国際公開第2015/099128(WO,A1)
【文献】特開昭54-005216(JP,A)
【文献】特開2015-146672(JP,A)
【文献】特開2020-202629(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0389000(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
H02G 3/06
F16L 11/06
H01B 7/00
H01B 13/012
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に沿った中心軸の周りに環状に形成され前記軸線方向と交差する径方向の一方に向けて突出した複数の山部と、前記中心軸の周りに環状に形成され前記径方向の他方に向けて凹んだ複数の谷部とを含み、前記軸線方向に沿って前記山部と前記谷部とが交互に並んで設けられ、電線に外装される蛇腹部を備え、
前記蛇腹部は、
複数の前記谷部のうち、少なくとも1つの第1谷部と、複数の前記山部のうち、少なくとも1つの第1山部とを含んで構成される第1凹凸領域と、
複数の前記谷部のうち、前記第1谷部の内径より相対的に短い外径を有する少なくとも1つの第2谷部と、複数の前記山部のうち、前記第1山部の内径より相対的に短い外径を有する少なくとも1つの第2山部とを含んで構成される第2凹凸領域と、を有し、
前記第1凹凸領域及び前記第2凹凸領域は、前記軸線方向に沿って交互に並んでおり
前記蛇腹部は、
前記軸線方向に沿って形成されるスリットを有する、
ことを特徴とする外装材。
【請求項2】
前記第1凹凸領域は、
1つの前記第1谷部を挟んだ2つの前記第1山部によって構成され、
前記第2凹凸領域は、
1つの前記第2谷部を挟んだ2つの前記第2山部によって構成される、
請求項1に記載の外装材。
【請求項3】
軸線方向に沿った中心軸の周りに環状に形成され前記軸線方向と交差する径方向の一方に向けて突出した複数の山部と、前記中心軸の周りに環状に形成され前記径方向の他方に向けて凹んだ複数の谷部とを含み、前記軸線方向に沿って前記山部と前記谷部とが交互に並んで設けられ、配索材に外装される蛇腹部を有する外装材を少なくとも2つ備え、
前記蛇腹部は、
複数の前記谷部のうち、少なくとも1つの第1谷部と、複数の前記山部のうち、少なくとも1つの第1山部とを含んで構成される第1凹凸領域と、
複数の前記谷部のうち、前記第1谷部の内径より相対的に短い外径を有する少なくとも1つの第2谷部と、複数の前記山部のうち、前記第1山部の内径より相対的に短い外径を有する少なくとも1つの第2山部とを含んで構成される第2凹凸領域と、を有し、
前記第1凹凸領域及び前記第2凹凸領域は、前記軸線方向に沿って交互に並んでおり、
前記蛇腹部は、
前記軸線方向に沿って形成されるスリットを有し、
前記第1凹凸領域は、
前記蛇腹部の前記軸線方向の一方の端部に位置し、
前記第2凹凸領域は、
前記蛇腹部の前記軸線方向の他方の端部に位置し、
2つの前記外装材は、
前記軸線方向に連結可能に構成され、
一方の前記外装材の前記蛇腹部における前記一方の端部に位置する前記第1凹凸領域は、
他方の前記外装材の前記蛇腹部における前記他方の端部に位置する前記第2凹凸領域を前記径方向内側に重ね合わせて互いに連結する、
ことを特徴とする外装材連結体。
【請求項4】
導電性を有する配索材と、
軸線方向に沿った中心軸の周りに環状に形成され前記軸線方向と交差する径方向の一方に向けて突出した複数の山部と、前記中心軸の周りに環状に形成され前記径方向の他方に向けて凹んだ複数の谷部とを含み、前記軸線方向に沿って前記山部と前記谷部とが交互に並んで設けられ、前記配索材に外装される蛇腹部を有する少なくとも1つの外装材と、を備え、
前記蛇腹部は、
複数の前記谷部のうち、少なくとも1つの第1谷部と、複数の前記山部のうち、少なくとも1つの第1山部とを含んで構成される第1凹凸領域と、
複数の前記谷部のうち、前記第1谷部の内径より相対的に短い外径を有する少なくとも1つの第2谷部と、複数の前記山部のうち、前記第1山部の内径より相対的に短い外径を有する少なくとも1つの第2山部とを含んで構成される第2凹凸領域と、を有し、
前記第1凹凸領域及び前記第2凹凸領域は、前記軸線方向に沿って交互に並んでおり
前記蛇腹部は、
前記軸線方向に沿って形成されるスリットを有する、
ことを特徴とするワイヤハーネス。
【請求項5】
軸線方向に沿った中心軸の周りに環状に形成され前記軸線方向と交差する径方向の一方に向けて突出した複数の山部と、前記中心軸の周りに環状に形成され前記径方向の他方に向けて凹んだ複数の谷部とを含み、前記軸線方向に沿って前記山部と前記谷部とが交互に並んで設けられ、配索材に外装される蛇腹部を備え、前記蛇腹部は、複数の前記谷部のうち、少なくとも1つの第1谷部と、複数の前記山部のうち、少なくとも1つの第1山部とを含んで構成される第1凹凸領域と、複数の前記谷部のうち、前記第1谷部の内径より相対的に短い外径を有する少なくとも1つの第2谷部と、複数の前記山部のうち、前記第1山部の内径より相対的に短い外径を有する少なくとも1つの第2山部とを含んで構成される第2凹凸領域と、を有し、前記第1凹凸領域及び前記第2凹凸領域は、前記軸線方向に沿って交互に並んでいる外装材の、前記蛇腹部における前記第1凹凸領域と、当該第1凹凸領域に隣り合う前記第2凹凸領域との間を切断して少なくとも2つの前記外装材を形成する切断工程と、
2つの前記外装材のうち、一方の前記外装材の前記蛇腹部における前記一方の端部に位置する前記第1凹凸領域に対して、他方の前記外装材の前記蛇腹部における前記他方の端部に位置する前記第2凹凸領域を前記径方向内側に重ね合わせて互いに連結して1つの外装材連結体を形成する外装材連結工程と、
前記外装材連結体に設けられたスリットを介して当該外装材連結体の内側に配索材を収容する配索材収容工程と、
前記配索材が収容された前記外装材連結体に対して、少なくとも当該外装材連結体の前記軸線方向の両端を含む前記外装材連結体の外周にテープ巻きを行うテープ巻き工程と、を含む、
ことを特徴とするワイヤハーネスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装材、外装材連結体、ワイヤハーネス、及びワイヤハーネスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤハーネスを外側から保護するための外装部材としてコルゲートチューブが知られている。コルゲートチューブは、筒状の本体における内方の空間に配索材が収容されることによって、その配索材を外側から覆って外部の周辺部品から保護する。コルゲートチューブでは、例えば、単一管体において不等ピッチに配列された蛇腹部を有する電線用保護管が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、コルゲートチューブを二重構造にし、外側コルゲートチューブをスリット無しに形成し、内側コルゲートチューブを隣り合う山部のピッチが外側コルゲートチューブの隣り合う谷部のピッチよりも狭くなるように形成された二重構造コルゲートチューブが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、内側コルゲートチューブの第1環状凸部が、外側コルゲートチューブの第2環状凸部に覆われる覆部を含み、軸方向に第1環状凸部のうち少なくとも覆部のピッチが第2環状凸部のピッチの複数倍である二重構造コルゲートチューブが記載されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開昭58-72925号公報
【文献】特開2011-254614号公報
【文献】特開2015-186400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、コルゲートチューブは、ワイヤハーネスの延在方向の設計寸法に応じて、予め用意されたチューブ長が異なる複数のチューブの中から選択されたものを組み合わせて使用している。そのため、異なる長さの2つのチューブをワイヤハーネスに取り付ける際、チューブの構造上、一方のチューブの両端を取付けた後、他方のチューブの両端を取り付ける、という二重の作業が発生する点で改善の余地がある。
【0007】
本発明は、ワイヤハーネスの製造に係る作業性を向上させることができる外装材、外装材連結体、ワイヤハーネス、及びワイヤハーネスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る外装材は、軸線方向に沿った中心軸の周りに環状に形成され前記軸線方向と交差する径方向の一方に向けて突出した複数の山部と、前記中心軸の周りに環状に形成され前記径方向の他方に向けて凹んだ複数の谷部とを含み、前記軸線方向に沿って前記山部と前記谷部とが交互に並んで設けられ、配索材に外装される蛇腹部を備え、前記蛇腹部は、複数の前記谷部のうち、少なくとも1つの第1谷部と、複数の前記山部のうち、少なくとも1つの第1山部とを含んで構成される第1凹凸領域と、複数の前記谷部のうち、前記第1谷部の内径より相対的に短い外径を有する少なくとも1つの第2谷部と、複数の前記山部のうち、前記第1山部の内径より相対的に短い外径を有する少なくとも1つの第2山部とを含んで構成される第2凹凸領域と、を有し、前記第1凹凸領域及び前記第2凹凸領域は、前記軸線方向に沿って交互に並んでおり前記蛇腹部は、前記軸線方向に沿って形成されるスリットを有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る外装材、外装材連結体、ワイヤハーネス、及びワイヤハーネスの製造方法によれば、ワイヤハーネスの製造に係る作業性を向上させることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係るワイヤハーネスの斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る外装材の平面図である。
図3図3は、実施形態に係る外装材の部分拡大断面図である。
図4図4は、実施形態に係る外装材の分割方法を説明するための平面図である。
図5図5は、実施形態に係る外装材の連結方法を説明するための平面図である。
図6図6は、実施形態に係る外装材の連結前の連結部の部分拡大断面図である。
図7図7は、実施形態に係る外装材の連結後の連結部の部分拡大断面図である。
図8図8は、実施形態に係る外装材連結体の斜視図である。
図9図9は、実施形態に係る外装材連結体の平面図である。
図10図10は、実施形態に係るワイヤハーネスの製造の流れを示すフローチャートである。
図11図11は、実施形態に係る外装材及び外装材連結体に対応する製品品番の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る外装材、外装材連結体、ワイヤハーネス、及びワイヤハーネスの製造方法の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
[実施形態]
図1図2に示す外装材1は、例えば自動車等の車両に配索されるワイヤハーネスWHに組み込まれ、1本または複数本の配索材Wに外装され当該配索材Wを外的ダメージから保護するものである。また、外装材1は、複数本の配索材Wを電線束として束ねることが可能である。本実施形態における外装材1は、外装材同士を連結する構造を有する。なお、図1(及び図8)に示す配索材Wは二点鎖線で示しており、図2(及び図9)では配索材Wは省略されている。
【0013】
以下に説明する図示のX方向は、本実施形態における外装材1(及び外装材連結体100)の軸線方向Xである。Z方向は、本実施形態における外装材1(及び外装材連結体100)の径方向Zであり、軸線方向Xと交差する方向である。軸線方向Xと径方向Zとは、例えば互いに直交する。
【0014】
ワイヤハーネスWHは、例えば、車両に搭載される各種電子機器間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の配索材Wを束にして集合部品とし、コネクタ等で複数の配索材Wを各機器に接続するようにしたものである。ワイヤハーネスWHは、導電性の配索材Wと、配索材Wに装着され当該配索材Wを保護する外装材1とを備える。配索材Wは、例えば、可撓性を有する電線、電線束等によって構成される。電線は、複数の導電性を有する金属素線からなる導体部(芯線)の外側を、絶縁性を有する被覆部によって覆ったものである。電線束は、当該電線を束ねたものである。なお、ワイヤハーネスWHは、この他に、さらに、コネクタ、固定具等を含んで構成されてもよい。
【0015】
外装材1は、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリカーボネイト系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等を材料にして成形される。外装材1は、軸線方向Xに沿った中心軸Oの周りに環状に形成され、1本または複数本の配索材Wに外装されて当該配索材Wを保護する。外装材1は、図1図2に示すように、蛇腹部2を備える。
【0016】
蛇腹部2は、可撓性を有し、配索材Wの延在方向の形状に応じて屈曲自在に当該配索材Wに外装されるものである。蛇腹部2は、内部空間2aと、スリット2bとを有する。内部空間2aは、蛇腹部2の径方向Zの内側に形成され、配索材Wに対して外装材1が外装された状態において、当該配索材Wの一部が収容される。スリット2bは、蛇腹部2に対して軸線方向Xに沿って直線状に形成された切込みである。配索材Wの一部が、スリット2bを介して蛇腹部2の内部空間2aに収容される。
【0017】
蛇腹部2は、複数の山部5と、複数の谷部6とを含んで構成され、加熱溶融させた樹脂材料を金型内に射出注入し、冷却及び固化させることによって、山部5と谷部6とが一体成形されている。蛇腹部2は、軸線方向Xに沿って山部5と谷部6とが交互に並んで設けられる。蛇腹部2は、筒状に形成され、図3に示すように、一定の肉厚dを有する。
【0018】
山部5は、蛇腹部2において、軸線方向Xに沿った中心軸Oの周りに環状に形成され軸線方向Xと交差する径方向Zの一方に向けて突出した部位である。ここで径方向Zの一方は、中心軸Oに向かう方向と反対側の方向であり、径方向外側を意味する。複数の山部5は、それぞれが同じ環状に形成され、軸線方向Xに沿って並んで設けられている。複数の山部5は、例えば、中心軸Oの周りに筒状に形成され、ここでは、円筒状に形成されている。複数の山部5は、例えば、外側に露出した外壁面が軸線方向Xに沿って円筒状に形成され、かつ、径方向Zにおいて外壁面とは反対側に位置する内側の内壁面が軸線方向Xに沿って円筒状に形成されている。複数の山部5は、図3に示すように、それぞれの肉厚dが同じ厚みである。ここで、山部5の肉厚dとは、山部5の径方向Zの厚みである。隣り合う一方の山部5と他方の山部5との間には、谷部6が設けられている。
【0019】
谷部6は、蛇腹部2において、中心軸Oの周りに環状に形成され径方向Zの他方に向けて凹んだ部位である。ここで径方向Zの他方とは、中心軸Oに向かう方向であり、径方向内側を意味する。複数の谷部6は、それぞれが同じ環状に形成され、軸線方向Xに沿って並んで設けられている。複数の谷部6は、例えば、中心軸Oの周りに山部5よりも小径の筒状に形成され、ここでは、円筒状に形成されている。複数の谷部6は、例えば、外側に露出した外壁面が軸線方向Xに沿って円筒状に形成され、かつ、径方向Zにおいて外壁面とは反対側に位置する内側の内壁面が軸線方向Xに沿って円筒状に形成されている。複数の谷部6は、図3に示すように、それぞれの肉厚dが同じ厚みである。ここで、谷部6の肉厚dとは、谷部6の径方向Zの厚みである。隣り合う一方の谷部6と他方の谷部6との間には、山部5が設けられている。
【0020】
蛇腹部2は、複数の第1凹凸領域3と、複数の第2凹凸領域4とを含んで構成される。第1凹凸領域3及び第2凹凸領域4は、軸線方向Xに沿って交互に並んでいる。第1凹凸領域3及び第2凹凸領域4は、1つの谷部6を介して連結される。本実施形態における蛇腹部2は、軸線方向Xの一方の端部に第1凹凸領域3が位置し、他方の端部に第2凹凸領域4が位置する。
【0021】
第1凹凸領域3は、図2図3に示すように、複数の谷部6のうち、1つの第1谷部11と、複数の山部5のうち、2つの第1山部10とを含んで構成される。具体的には、第1凹凸領域3は、軸線方向Xに沿って設けられ、1つの第1谷部11を挟んだ2つの第1山部10によって構成される。第1凹凸領域3は、図6に示すように、当該第1凹凸領域3の径方向内側に凹凸状に形成される凹凸部位3bを有する。
【0022】
2つの第1山部10は、径方向Zに同一の外径及び内径を有し、それぞれ外径Y1o、内径Y1iを有する。第1谷部11は、径方向Zに沿って第1谷部11の外径T1o、第1谷部11の内径T1iを有する。各第1山部10の外径Y1oは、第1谷部11の外径T1oよりも相対的に長く形成されている(Y1o>T1o)。各第1山部10の内径Y1iは、第1谷部11の内径T1iよりも相対的に長く形成されている(Y1i>T1i)。第1山部10は、蛇腹部2の内部空間2a側に、径方向Zと直交する内周面10bを有する。第1谷部11は、蛇腹部2の内部空間2a側に、径方向Zと直交する内周面11bを有する。凹凸部位3bは、1つの内周面11bと、蛇腹部2の軸線方向Xに沿って内周面11bを挟んで連続する2つの内周面10bとを含んで構成される。内周面10bの軸線方向Xの長さY1xは、内周面11bの軸線方向Xの長さT1xよりも長く形成されている(Y1x>T1x)。
【0023】
第2凹凸領域4は、図2図3に示すように、複数の谷部6のうち、1つの第2谷部21と、複数の山部5のうち、2つの第2山部20とを含んで構成される。具体的には、第2凹凸領域4は、軸線方向Xに沿って設けられ、1つの第2谷部21を挟んだ2つの第2山部20によって構成される。第2凹凸領域4は、図6に示すように、当該第2凹凸領域4の径方向外側に凹凸状に形成される凹凸部位4aを有する。
【0024】
2つの第2山部20は、径方向Zに同一の外径及び内径を有し、それぞれ外径Y2o、内径Y2iを有する。第2谷部21は、径方向Zに沿って第2谷部21の外径T2o、第2谷部21の内径T2iを有する。各第2山部20の外径Y2oは、第2谷部21の外径T2oよりも相対的に長く形成されている(Y2o>T2o)。各第2山部20の内径Y2iは、第2谷部21の内径T2iよりも相対的に長く形成されている(Y2i>T2i)。第2山部20は、蛇腹部2の内部空間2aと反対側の外側に、径方向Zと直交する外周面20aを有する。第2谷部21は、蛇腹部2の内部空間2aと反対側の外側に、径方向Zと直交する外周面21aを有する。凹凸部位4aは、1つの外周面21aと、蛇腹部2の軸線方向Xに沿って外周面21aを挟んで連続する2つの外周面20aとを含んで構成される。外周面20aの軸線方向Xの長さ(幅)Y2xは、外周面21aの軸線方向Xの長さT2xよりも長く形成されている(Y2x>T2x)。
【0025】
各第2山部20の外径Y2oは、各第1山部10の外径Y1oよりも短く形成される(Y2o<Y1o)。第2谷部21の外径T2oは、第1谷部11の外径T1oよりも短く形成される(T2o<T1o)。本実施形態における第2山部20の外径Y2oは、第1山部10の内径Y1iより相対的に短く形成されている(Y2o<Y1i)。第2谷部21の外径T2oは、第1谷部11の内径T1iより相対的に短く形成されている(T2o<T1i)。
【0026】
各外周面20aの軸線方向Xの長さY2xは、各内周面10bの軸線方向Xの長さY1xよりも相対的に短く形成される(Y2x<Y1x)。外周面21aの軸線方向Xの長さT2xは、内周面11bの軸線方向Xの長さT1xよりも相対的に長く形成される(T2x>T1x)。
【0027】
本実施形態における外装材1は、蛇腹部2において、図2に示す分割位置Cにて切り離すことで、図4に示す2つの外装材1A,1Bに分割することが可能である。分割位置Cは、蛇腹部2における複数の谷部6のうち、第1凹凸領域3と第2凹凸領域4とを連結する第3谷部30に設けられる。つまり、第1凹凸領域3と第2凹凸領域4は、蛇腹部2の軸線方向Xに沿って、第3谷部30を介して互いに連結されている。蛇腹部2における分割位置Cの断面は、中心軸Oと直交する面である。
【0028】
外装材1A,1Bは、図5に示すように、それぞれが蛇腹部2を有し、各蛇腹部2の軸線方向Xの一方の端部に第1凹凸領域3が位置し、他方の端部に第2凹凸領域4が位置する。外装材1A,1Bは、軸線方向Xにおいて連結可能に構成される。つまり、外装材1Aは、図6図7に示すように、蛇腹部2の軸線方向Xの一方の端部に位置する第1凹凸領域3に対して、外装材1Bにおける蛇腹部2の軸線方向Xの他方の端部に位置する第2凹凸領域4を径方向内側に重ね合わせて、外装材1Aと外装材1Bが互いに連結する。外装材1Aと外装材1Bが連結されることで、例えば、図8図9で例示するような外装材連結体100が形成される。
【0029】
外装材連結体100は、図8図9に示すように、外装材1と同様に、ワイヤハーネスWHに組み込まれ、配索材Wに外装されることで当該配索材Wを外的ダメージから保護するものである。外装材連結体100は、2つ以上の外装材同士を連結して構成される。外装材連結体100は、外装材1と同様に、蛇腹部2Aを有する。
【0030】
蛇腹部2Aは、複数の第1凹凸領域3と、複数の第2凹凸領域4とを含んで構成されるが、少なくとも1つの連結部7を含む点で上記蛇腹部2と異なる。蛇腹部2Aは、内部空間2aと、スリット2bとを有する。蛇腹部2Aの内部空間2aは、外装材1A,1Bの内部空間2a同士を軸線方向Xにて連結させたものである。蛇腹部2Aのスリット2bは、外装材1A,1Bのスリット2b同士を軸線方向Xに沿って連結させたものである。
【0031】
連結部7は、外装材同士を軸線方向Xに沿って連結させた部分である。連結部7は、図9に示すように、蛇腹部2Aの軸線方向Xにおいて、複数の第1凹凸領域3のうち、隣り合う第1凹凸領域3の一方である。つまり、連結部7は、第1凹凸領域3及び第2凹凸領域4が軸線方向Xに沿って交互に並んでいる蛇腹部2Aにおいて、連続する第1凹凸領域3の一方である。連結部7は、図7に示すように、外装材1Bの第2凹凸領域4に対して、外装材1Aの第1凹凸領域3を径方向外側から重ね合わせた部分である。言い換えると、連結部7は、第1凹凸領域3の径方向内側に形成される凹凸部位3bに対して、第2凹凸領域4の径方向外側に形成される凹凸部位4aが径方向Zに対向し、かつ凹凸部位3bと凹凸部位4aとが互いに嵌合している(図7)。
【0032】
次に、各図を参照して本実施形態に係るワイヤハーネスWHの製造方法について説明する。以下の説明では、図10のフローチャートを基に説明しつつ、適宜他図を参照する。以下で説明するワイヤハーネス製造方法は、作業者が種々の装置、機器、治具等を用いて手作業で行ってもよいし、種々の製造装置によって自動で行われるものであってもよい。
【0033】
本実施形態のワイヤハーネス製造方法は、切断工程(ステップS1)と、外装材連結工程(ステップS2)と、配索材収容工程(ステップS3)と、テープ巻き工程(ステップS4)とを含む。
【0034】
切断工程(ステップS1)は、1つの外装材1を、蛇腹部2における第1凹凸領域3と、当該第1凹凸領域3に隣り合う第2凹凸領域4との間を切断して少なくとも2つの外装材を形成する工程である。具体的には、まず、作業者は、切断工程として、外装材1に対してスリット2bを設けた後、蛇腹部2における分割位置Cにて切り離すことで、2つの外装材1(1A,1B)に分割する(図2図4)。例えば、図11に示すように、品番aに対応する外装材1は、軸線方向Xの長さLaを有する。品番bに対応する外装材1は、軸線方向Xの長さLbを有する。品番cに対応する外装材1は、軸線方向Xの長さLcを有する。ここで品番a~cの外装材1の長さは、La<Lb<Lcの関係とする。作業者は、長さ(La+Lb+Lc)を有する外装材1に対して、2箇所の分割位置Cにて切り離すことで、互いに長さが異なる品番a~cの3種類の外装材1を製造することができる。
【0035】
外装材連結工程(ステップS2)は、2つの外装材1A,1Bのうち、一方の外装材1Aの蛇腹部2における一方の端部に位置する第1凹凸領域3に対して、他方の外装材1Bの蛇腹部2における他方の端部に位置する第2凹凸領域4を径方向内側に重ね合わせて互いに連結して1つの外装材連結体100を形成する工程である。具体的には、作業者は、外装材連結工程として、図7に示すように、外装材1Bの第2凹凸領域4に対して、外装材1Aの第1凹凸領域3を径方向外側から重ね合わせて外装材連結体100を形成する(図5図9)。作業者は、例えば図11に示すように、品番aに対応する外装材1と、品番cに対応する外装材1とを連結することで、軸線方向Xの長さLdを有する外装材連結体100を形成する。ここで長さLdは、Ld≦(La+Lc)となる。また、品番bに対応する外装材1と、品番cに対応する外装材1とを連結することで、長さLeを有する外装材連結体100を形成する。ここで長さLeは、Le≦(Lb+Lc)となる。このように、例えば、互いに長さが異なる5つの品番を用意する必要がある従来の製品に比して、互いに長さが異なる3つの品番だけで5種類以上の長さが異なる製品に対応することが可能となる。これにより、外装材連結体100は、基本となる長さを有するいくつかの外装材1を組み合わせることで、互いに長さが異なる製品を複数製造することが可能となり、製品の品番数を削減することができる。
【0036】
配索材収容工程(ステップS3)は、外装材連結体100に設けられたスリット2bを介して当該外装材連結体100の内側に配索材Wを収容する工程である。具体的には、作業者は、外装材連結体100に設けられたスリット2bを径方向に開いて、当該外装材連結体100の内側に配索材Wの一部を収容する。
【0037】
テープ巻き工程(ステップS4)は、配索材Wが収容された外装材連結体100に対して、少なくとも当該外装材連結体100の軸線方向Xの両端を含む外装材連結体100の外周にテープ巻きを行う工程である。具体的には、作業者は、外装材連結体100の軸線方向Xの両端と、当該外装材連結体100の軸線方向Xの両端から導出された配索材Wとを絶縁性のテープ等を巻回することにより、外装材連結体100と配索材Wを互いに固定する。従来、配索材Wに対して異なる長さの外装材を組み付けてワイヤハーネスWHを製造する場合、作業者は、一方の外装材の両端をテープ巻で取り付けた後に、他方の外装材の両端をテープ巻きで取付ける作業を行う必要がある。一方、本実施形態に係る外装材1では、作業者が、外装材同士を連結した後、連結部7に1箇所、連結させた外装材連結体100の軸線方向Xの両端に2箇所の計3箇所で配索材Wに対して外装材連結体100を固定することが出来ることから、ワイヤハーネスWHの加工工数を削減でき、ワイヤハーネスWHの製造に係る作業性を向上させることができる。
【0038】
以上のように、本実施形態に係る外装材1、外装材連結体100、及びワイヤハーネスWHは、蛇腹部2が、複数の第1凹凸領域3と、複数の第2凹凸領域4とを含んで構成される。第1凹凸領域3は、複数の谷部6のうち、1つの第1谷部11と、複数の山部5のうち、2つの第1山部10とを含んで構成される。第2凹凸領域4は、複数の谷部6のうち、第1谷部11の内径T1iより相対的に短い外径T2oを有する1つの第2谷部21と、複数の山部5のうち、第1山部10の内径Y1iより相対的に短い外径Y2oを有する2つの第2山部20とを含んで構成される。本実施形態に係る外装材1及びワイヤハーネスWHは、第1凹凸領域3及び第2凹凸領域4が、軸線方向Xに沿って交互に並んでいる。
【0039】
上記構成により、外装材1は、従来の外装材と比較して、2つに切断された外装材1のうち、一方の外装材1の第2凹凸領域4に対して他方の外装材1の第1凹凸領域3を連結することにより、外装材同士を再連結することが可能となる。この結果、外装材1は、長さが異なる外装材1を組み合わせることで複数種類の長さの外装材1を再現することが可能となり、部品点数を削減し部品の管理コストの低減を図ることができる。
【0040】
また、本実施形態に係る外装材連結体100は、一方の外装材1Aの蛇腹部2における一方の端部に位置する第1凹凸領域3が、他方の外装材1Bの蛇腹部2における他方の端部に位置する第2凹凸領域4を径方向内側に重ね合わせて互いに連結する。例えば、配索材Wに対して異なる長さの外装材を組み付けてワイヤハーネスWHを製造する場合、従来は、一方の外装材の両端をテープ巻で配索材Wに取り付けた後に、他方の外装材の両端をテープ巻きで配索材Wに取付けるという計4カ所の取付け作業が発生する。本実施形態に係る外装材連結体100は、上記構成により外装材1同士を連結できるので、連結部7に1箇所、連結させた外装材連結体100の軸線方向Xの両端に2箇所の計3箇所で配索材Wに対して外装材連結体100を固定することが出来ることから、ワイヤハーネスWHの製造に係る作業性を向上させることができる。
【0041】
また、本実施形態に係る外装材連結体100は、第2凹凸領域4が、第1谷部11の内径T1iより相対的に短い外径T2oを有する第2谷部21と、第1山部10の内径Y1iより相対的に短い外径Y2oを有する2つの第2山部20とを含んで構成される。そして、外装材連結体100は、第1凹凸領域3の径方向内側に形成される凹凸部位3bに対して、第2凹凸領域4の径方向外側に形成される凹凸部位4aが径方向Zに対向し、かつ凹凸部位3bと凹凸部位4aとが互いに嵌合する連結部7を有する。これにより、外装材連結体100は、外装材同士の連結を前提としておらず、外装材の連結部分においてワイヤハーネスの外径が太くなる従来の外装材に比して、外装材連結体100が外装されたワイヤハーネスWHの外径を略一定に維持し、部分的に太くなることを回避することができる。また、外装材連結体100は、連結部7に対して軸線方向Xに外力が加わった場合でも、凹凸部位3bと凹凸部位4aとが互いに嵌合するので、当該外力を分散させ、外力による変形の低減を図ることができ、外装材同士の連結をより強固にすることができる。
【0042】
また、本実施形態に係る外装材1、外装材連結体100、及びワイヤハーネスWHは、第1凹凸領域3が、1つの第1谷部11を挟んだ2つの第1山部10によって構成され、第2凹凸領域4が、1つの第2谷部21を挟んだ2つの第2山部20によって構成される。これにより、外装材連結体100は、2つに切断された外装材1のうち、一方の外装材1Aの第2凹凸領域における1つの第2谷部21を挟んだ2つの第2山部20に対して、他方の外装材1Bの第1凹凸領域3における1つの第1谷部11を挟んだ2つの第1山部10によって連結するので、外装材同士の連結代を増加することが可能となる。
【0043】
また、本実施形態に係る外装材1は、軸線方向Xに沿って形成されるスリット2bを有するので、当該外装材1の内側に配索材Wを容易に収容することができる。
【0044】
本実施形態に係る外装材連結体100は、2つの外装材1A,1Bが、軸線方向Xに連結可能に構成され、一方の外装材1Aの蛇腹部2における一方の端部に位置する第1凹凸領域3が、他方の外装材1Bの蛇腹部2における他方の端部に位置する第2凹凸領域4を径方向内側に重ね合わせて互いに連結する。これにより、外装材連結体100は、2つの外装材1A,1Bにより軸線方向Xにおいて容易に連結することができる。
【0045】
ワイヤハーネスWHは、導電性を有する配索材Wと、配索材Wに外装される外装材1とを備え、上述した外装材1、外装材連結体100と同等の効果を奏する。
【0046】
なお、上記実施形態では、第1凹凸領域3は、1つの第1谷部11と、2つの第1山部10とを含んで構成され、第2凹凸領域4は、1つの第2谷部21と、2つの第2山部20とを含んで構成されるが、これに限定されるものではない。例えば、第1凹凸領域3は、1つの第1谷部11と、1つの第1山部10とを含んで構成され、第2凹凸領域4は、1つの第2谷部21と、1つの第2山部20とを含んで構成されていてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、蛇腹部2,2Aは、軸線方向Xの一方の端部が第1凹凸領域3であり、他方の端部が第2凹凸領域4であるが、これに限定されるものではない。例えば、蛇腹部2,2Aは、軸線方向Xの両端が第1凹凸領域3であってもよいし、第2凹凸領域であってもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、蛇腹部2,2Aは、一定の肉厚dを有しているが、この肉厚dを相対的に薄くすることで、従来のコルゲートチューブと同様に、蛇腹部2,2Aの可撓性を確保することが可能となる。一方、外装材1は、蛇腹部2,2Aの肉厚dを相対的に厚くすることで、曲げ強度が増すことから、従来の硬質チューブ等と同様に、ワイヤハーネスWHに加わる外力等から配索材Wを保護することが可能となる。
【0049】
また、上記実施形態では、外装材連結体100は、外装材1同士が連結されているが、これに限定されず、外装材1と外装材連結体100が連結されていてもよいし、外装材連結体100同士が連結されていてもよい。また、外装材連結体100は、肉厚dが相対的に厚い外装材1Aと、肉厚dが相対的に薄い外装材1Bが連結されていてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、外装材連結体100は、2つの外装材1A,1Bが連結されているが、これに限定されず、3つ以上の外装材1が連結されていてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、蛇腹部2,2Aは、スリット2bを有するが、これに限定されず、スリット2bを有していなくともよい。
【符号の説明】
【0052】
1,1A,1B 外装材
2,2A 蛇腹部
2b スリット
3 第1凹凸領域
4 第2凹凸領域
5 山部
6 谷部
10 第1山部
11 第1谷部
20 第2山部
21 第2谷部
100 外装材連結体
Y1o 第1山部10の外径
Y1i 第1山部10の内径
T1o 第1谷部11の外径
T1i 第1谷部11の内径
Y2o 第2山部20の外径
Y2i 第2山部20の内径
T2o 第2谷部21の外径
T2i 第2谷部21の内径
W 配索材
WH ワイヤハーネス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11