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特許7587553器具の再利用を防止するための電気外科用システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】器具の再利用を防止するための電気外科用システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20241113BHJP
   A61L 33/06 20060101ALI20241113BHJP
   A61B 18/14 20060101ALN20241113BHJP
【FI】
A61B18/12
A61L33/06 300
A61B18/14
【請求項の数】 21
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022118534
(22)【出願日】2022-07-26
(65)【公開番号】P2023021011
(43)【公開日】2023-02-09
【審査請求日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】63/227,510
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/262,918
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ アメリカ
(73)【特許権者】
【識別番号】522298370
【氏名又は名称】ジャイラス メディカル リミテッド ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ ヨーロッパ
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケスター ジュリアン バチェラー
(72)【発明者】
【氏名】テオ ヘン ジミー ヤン
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-092182(JP,A)
【文献】特開2020-080995(JP,A)
【文献】特表2022-500197(JP,A)
【文献】国際公開第2020/033950(WO,A1)
【文献】特開昭61-154659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/00 - 18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気外科用器具との電気的な連通を介して生体組織に付与される電気エネルギーを生成するように構成された電気外科用発電機であって、
作動して、前記電気エネルギーを前記電気外科用器具に出力するように構成された電源と、
前記電気外科用器具の一部分に堆積された浸食性コーティングの、前記電源の作動による浸食に関連する抵抗値を測定するように構成された測定回路と、
前記電源及び前記測定回路と連通する制御回路であって、
前記浸食性コーティングの測定された抵抗値を前記浸食性コーティングの閾値抵抗値と比較し、
前記測定された抵抗値と前記閾値抵抗値との前記比較に基づいて、前記電源の作動を許可するか阻止するかを決定する、ように構成される、制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、少なくとも前記電気エネルギーの出力中に、前記測定された抵抗値と前記閾値抵抗値との前記比較および前記電源の作動を許可するか阻止するかの決定を行う、
電気外科用発電機。
【請求項2】
前記閾値抵抗値は、前記浸食性コーティングが第1の状態から第2の状態に変化する前の前記浸食性コーティングの厚さに対応する既知の抵抗値、又は前記浸食性コーティングの開始抵抗値を表す前もって測定された抵抗値に対応する、請求項1に記載の電気外科用発電機。
【請求項3】
前記浸食性コーティングは、前記第1の状態において前記生体組織への表面付着を有し、それは前記浸食性コーティングが堆積される前記電気外科用器具の前記一部分の材料の前記生体組織への表面付着よりも小さい、請求項2に記載の電気外科用発電機。
【請求項4】
前記浸食性コーティングは、ポリジメチルシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、及びテトラメチルジシロキサンのうちの1つから選択される非粘着性疎水性層である、請求項1に記載の電気外科用発電機。
【請求項5】
前記測定された抵抗値及び前記閾値抵抗値は、抵抗、インピーダンス、又は位相角のうちの少なくとも1つを示し、前記制御回路は、前記測定された抵抗値を、前記電源の作動毎に前記閾値抵抗値と比較するように構成される、請求項1に記載の電気外科用発電機。
【請求項6】
前記制御回路は、前記測定された抵抗値が前記閾値抵抗値以下である場合に、前記電源の作動を阻止することによって前記電源の作動を制御するように構成される、請求項1に記載の電気外科用発電機。
【請求項7】
前記電気外科用発電機は、前記制御回路と電気的に連通するユーザインタフェースを含み、前記制御回路は前記ユーザインタフェースに、前記電源の作動を阻止する際に可聴又は視覚的警告を出力させるように構成される、請求項6に記載の電気外科用発電機。
【請求項8】
前記電気外科用発電機は、前記制御回路と電気的に連通するユーザインタフェースを含み、前記制御回路が前記ユーザインタフェースに、前記測定された抵抗値が基準抵抗値以下である場合に、可聴又は視覚的警告を出力させるように構成され、前記基準抵抗値は前記閾値抵抗値より大きい、請求項1に記載の電気外科用発電機。
【請求項9】
前記制御回路は、前記測定された抵抗値が前記閾値抵抗値より大きい場合にタイマを開始し、前記タイマが経過した後に前記電源の作動を阻止するように構成される、請求項1に記載の電気外科用発電機。
【請求項10】
前記電気外科用発電機は、前記制御回路と電気的に連通するユーザインタフェースを含み、前記制御回路は前記ユーザインタフェースに、前記タイマの開始時に可聴又は視覚的警告を出力させるように構成される、請求項9に記載の電気外科用発電機。
【請求項11】
前記制御回路は、前記測定された抵抗値が前記閾値抵抗値以上である場合に前記電源の作動の回数を計数し、前記電源の作動の閾値回数が発生した後に前記電源の作動を阻止するように構成される、請求項1に記載の電気外科用発電機。
【請求項12】
前記測定された抵抗値は、複数の測定された抵抗値の平均値であり、前記制御回路は、前記複数の測定された抵抗値を保存し、前記複数の測定された抵抗値から前記平均値を周期的に計算するように構成される、請求項1に記載の電気外科用発電機。
【請求項13】
前記制御回路は、異なる電気外科用器具の閾値抵抗値を各々定義する複数のデータベースエントリを含むデータベースと電気的に連通しており、前記電気外科用器具は、前記制御回路によって個々のデータベースエントリに一致可能なデータを含有しているメモリを含む、請求項1に記載の電気外科用発電機。
【請求項14】
前記閾値抵抗値は、前記浸食性コーティングが第1の状態から第2の状態に変化する前の厚さに前記浸食性コーティングが浸食されたときの、電気外科用器具内の導電性電気接触又は短絡に対応する抵抗値、又は前記浸食性コーティングの開始抵抗値を表す前もって測定された抵抗値である、請求項1に記載の電気外科用発電機。
【請求項15】
電気外科用システムであって、
生体組織に電気エネルギーを付与するように構成された電気外科用器具と、
前記電気エネルギーを前記電気外科用器具に供給するための電気外科用発電機と、を備え、
前記電気外科用発電機が、
前記電気外科用器具を前記電気外科用発電機に電気的に結合するように構成された電気コネクタと、
作動して前記電気エネルギーを前記電気外科用器具に出力するように構成された電源と、
前記電気外科用器具の一部分に堆積された浸食性コーティングの、前記電源の作動による浸食に関連する抵抗値を測定するように構成された測定回路と
前記電気外科用発電機内に配置された発電機構成要素及び前記電気外科用器具内に配置された機器構成要素を含む制御回路であって、
前記浸食性コーティングの測定された抵抗値を前記浸食性コーティングの閾値抵抗値と比較し、かつ、
前記測定された抵抗値と前記閾値抵抗値との比較に基づいて、前記電源の作動を許可するか阻止するかを決定する、ように構成された、制御回路と、
を含み、
前記制御回路は、少なくとも前記電気エネルギーの出力中に、前記測定された抵抗値と前記閾値抵抗値との前記比較および前記電源の作動を許可するか阻止するかの決定を行う、
電気外科用システム。
【請求項16】
それぞれ、前記発電機構成要素が前記制御回路のメモリあるいはRFID又はNFCトランシーバであり、前記機器構成要素がプログラム可能なメモリあるいはRFID又はNFCタグである、請求項15に記載の電気外科用システム。
【請求項17】
前記浸食性コーティングは、組織が前記電気外科用器具に付着することを防止するように構成された非粘着性コーティングを含み、
前記浸食性コーティングの厚さは浸食されるように構成され、
前記閾値抵抗値は、前記浸食性コーティングが第1の状態から第2の状態に変化する前の前記浸食性コーティングの最小厚さに対応し、
前記制御回路は、前記最小厚さに関連する前記機器構成要素又は前記発電機構成要素に関する情報を保存するように構成される、
請求項15に記載の電気外科用システム。
【請求項18】
前記電気外科用器具は鉗子であり、鉗子が、
開位置と閉位置との間で枢動可能な第1の顎部及び第2の顎部を含み、前記第1の顎部は前記第1の顎部から前記第2の顎部に向かって外側に延びる顎停止部を含み、ここで前記顎停止部は、前記制御回路と電気的に連通し、前記第1の顎部及び前記第2の顎部が閉位置にあるときに前記第2の顎部に接触するように構成され、前記浸食性コーティングは、前記顎停止部、前記第1の顎部の一部分に沿って、前記第2の顎部の一部分に沿って、のうちの少なくとも1つに堆積される、
請求項17に記載の電気外科用システム。
【請求項19】
前記第1の顎部に沿って互いに対して横方向に離隔された複数の顎停止部を更に備え、ここで前記複数の顎停止部の少なくとも1つは前記制御回路と電気的に連通し、前記複数の顎停止部の少なくとも1つは電気絶縁性である、請求項18に記載の電気外科用システム。
【請求項20】
前記測定された抵抗値は、前記制御回路と電気的に連通する第1の顎停止部で測定された複数の測定された抵抗値の平均値であり、前記制御回路は、前記測定された抵抗値から前記平均値を計算するように構成される、請求項19に記載の電気外科用システム。
【請求項21】
前記閾値抵抗値は、前記電気外科用器具内の導電性電気接触又は短絡に対応する抵抗値であり、前記顎停止部は、前記第1の顎部と前記顎停止部の遠位表面との間に延在する複数の導電性ストランドを含み、前記導電性ストランドは、前記浸食性コーティングが前記最小厚さまで浸食されたときに、前記電気外科用器具内で前記導電性電気接触又は前記短絡を引き起こすように構成される、請求項18に記載の電気外科用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月30日に出願された米国仮特許出願第63/227,510号、及び2021年10月22日に出願された米国仮特許出願第63/262,918号の優先権の利益を主張するものであり、それらの内容はその全体が参照によって本願に援用される。
【0002】
この明細書は、一般に、限定するものではないが、生体組織に変化を生成するために使用され得る電気外科用システム及び電気外科用デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
電気外科は、外科患者の生体組織への電気エネルギーの付与を伴い、例えば、生体組織を切断、凝固、焼灼、乾固、又は放電凝固する。これらの電気外科技術は、とりわけ、腹腔鏡器具などの多種多様な外科処置で実行され得て、例えば、限定するものではないが、虫垂切除術、胆嚢摘出術、結腸切除術、膀胱切除術、胃バンディング術、胃バイパス術、ヘルニア修復術、腎切除術、Nissen噴門形成術、前立腺切除術、スリーブ状胃切除術、又は更に他の処置が挙げられる。更に、これらの処置の各々は、電気エネルギーの付与を伴う1つ以上の段階、例えば、インテロゲーション段階、加熱段階、乾燥段階、焼灼段階、又は他の段階を含み得る。そのような処置で使用される電気エネルギーは、電気外科用発電機によって生成され、電気外科用発電機と電気的に連通する電気外科用器具に出力され得る。
【0004】
例えば、様々な電気外科用器具は、電気外科用発電機に取り外し可能に接続され得て、例えば、限定するものではないが、鉗子、導電性スパチュラ、電気パッド、腹腔鏡ループ、又は切断デバイスが挙げられる。したがって、電気外科用器具は、電気エネルギーが供給される生体組織に電気的及び機械的に係合するように構成され得る。加えて、異なる外科処置は、異なる電気エネルギーの付与を実施して、特定の外科処置に固有の結果を達成することができ、それは例えば1つ以上の電気メトリックを制御又は変更して、電気外科用器具によって係合される生体組織に有効な結果をもたらすことによる。電気メトリックは、限定するものではないが、極性(単極、双極)、AC及び/又はDC、周波数、信号振幅、攻撃及び減衰プロファイル、又はそれらの組み合わせであり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
電気外科用発電機は、電気外科用器具との電気的な連通を介して生体組織に付与される電気エネルギーを生成するように構成された電気外科用発電機であって、作動して、前記電気エネルギーを前記電気外科用器具に出力するように構成された電源と、前記電気外科用器具の一部分に堆積された浸食性コーティングに関連する抵抗値を測定するように構成された測定回路と、前記電源及び前記測定回路と連通する制御回路であって、前記浸食性コーティングの測定された抵抗値を前記コーティングの閾値抵抗値と比較し、前記電源の作動を、前記測定された抵抗値と前記閾値抵抗値との前記比較に基づいて制御する、ように構成される、制御回路と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
必ずしも正確な縮尺率ではない図面において、同じ数字が異なる図で同様の構成要素を説明する場合がある。異なる接尾文字を有する同じ数字が、同様の構成要素の異なる例を示す場合ある。図面は、一般的に、限定するものではなく、例によって、本明細書で論じられる様々な実施形態を示す。
【0007】
図1】電気エネルギーを生体組織に供給するための例示的な電気外科用システムの斜視図を示す。
図2】例示的な電気外科用システムのブロック図を示す。
図3】電気外科用発電機の例示的な出力デバイスの概略図を示す。
図4】疎水性層がその上に堆積された外科用顎部を含む例示的な電気外科用器具を示す図である。
図5】疎水性層がその上に堆積された例示的な電気外科用解剖鉗子を示す図である。
図6】疎水性層がその上に堆積された電気外科用ペンシルの一例を示す図である。
図7】疎水性層がその上に堆積された電気外科用腹腔鏡ループの遠位部分の一例を示す図である。
図8】電気外科用デバイスの表面に堆積された例示的な疎水性層の概略図を示す。
図9】電気外科用デバイスの表面に堆積された例示的な疎水性層の概略図を示す。
図10】疎水性物理構造がその上に形成されたレーザエッチングされた表面の一例を示す。
図11】電気外科用器具の限界を超えた後に電気外科用器具の再利用を防止するための例示的な方法のフローチャートを示す。
図12A】疎水性層がその上に堆積された電気外科用器具の斜視図を示す。
図12B】疎水性層がその上に堆積された電気外科用器具の断面図を示す。
図13】生体組織を通って移動する電気エネルギーを示している例示的な波形を示す。
図14】疎水性層の浸食曲線を疎水性層への電気エネルギーの付与の関数として示している例示的なグラフを示す。
図15】電気外科用発電機から相互接続された電気外科用器具への電気エネルギーの出力を、電気外科用器具に堆積された浸食性コーティングの厚さに基づいて制御するための例示的な方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明及び図面は、当業者がそれらを実施できるように特定の例を十分に示す。別の例は、構造、プロセス、又はその他の変更を組み込み得る。いくつかの例の一部分と特徴は、別の例の一部分と特徴に含有されるか、置き換えられ得る。特許請求に記載される例は、それらの特許請求の利用可能なすべての同等物を包含する。
【0009】
電気外科処置の間、凝固した流体又は固体組織片が、電気外科用器具を使用して生体組織に電気エネルギーを付与するときに、電気外科用器具に蓄積する可能性がある。電気エネルギーは、様々な生体組織の電気抵抗の関数として熱に変換され、流体又は固体組織を、電気外科用器具の部分、例えば電気補助切断若しくは血管封止要素に、又は機械的把持構成要素に付着させる。これは、電気外科処置の様々な態様を阻害する場合がある。例えば、切断要素上での流体の凝固は、表面付着を増加させる可能性があり、これは、切断要素の有効性を低下させ、組織の裂傷につながる場合がある。別の例では、電極上の組織の蓄積は、電気外科用器具が血管を効果的に封止することを妨げる場合がある。更なる例では、電気外科用器具の任意の可動構成要素、例えば枢動式鉗子の顎部又は拡張式ブレード上の血液又は組織の蓄積は、効果的なユーザ操作又はその使用を損なわせ、電気外科処置を長引かせる場合がある。
【0010】
とりわけ、これらの問題に対処するのを補助するために、疎水性層が電気外科用器具の様々な構成要素上に堆積され得る。例えば、疎水性層は、様々なコーティング、表面構造、又はそれらの組み合わせを含むか、あるいは規定して、電気外科用器具の表面付着を低減し得る。例えば、疎水性層は、非粘着層として機能でき、ポリシロキサン又はフルオロシランのナノコーティング、あるいは様々なナノ構造を形成又は提供するエッチング表面を含む。しかしながら、電気外科用器具の通常の使用中に、非粘着層は、電気外科用発電機などから電気外科用器具によって受け取られる電気エネルギーによって損傷を受ける場合がある。例えば、疎水性層は、電気外科用発電機が電気外科用器具に電気エネルギーを出力する毎に、浸食されるか、さもなければ劣化する可能性がある。最終的に、例えば、単一の電気外科処置の範囲内で、疎水性層は、それがもはや電気外科用器具の表面付着を低下させない点まで浸食される場合がある。
【0011】
このように、疎水性層の動作限界又は寿命は、電気外科用発電機が電気外科用器具に出力する電気エネルギー信号の数によって定量化され得る。例えば、使用される電気エネルギーは、電気外科用発電機の電源の個々の又は別個の作動時に電気外科用器具に出力される断続的又は周期的な信号であり得る。更に、多くの電気外科用器具は、外科処置に使用された後に様々な理由のために廃棄されるように構成され、例えば、限定するものではないが、器具の効果的な滅菌に伴う困難、器具の疎水性層の予想される浸食、器具の静止又は可動構成要素の予想される摩耗、あるいはそれらの組み合わせのためである。したがって、器具が、後続の電気外科処置において、適切な予防措置を講じることなく再処理されて再利用される場合、問題が発生する可能性がある。例えば、再処理された器具は機能性が低下する可能性があり、又は効果的に滅菌されていない場合に患者の感染につながる可能性がある。結果として、電気外科用器具の使用を、電気外科用器具の所定の限界又は有効寿命を超えた、あるいは期限が切れた後に、阻止又は他の方法で防止することができる電気外科用システムが所望される。
【0012】
本出願の開示は、これらの問題への対処を、特に、様々な電気外科用器具の所定の限界を識別することと監視することができる電気外科用システムを提供することによって補助し得る。電気外科用発電機は、電気外科用発電機と電気的に連通する電気外科用器具の所定の限界(例えば、有効寿命)を識別するように構成された制御回路を含み得る。例えば、電気外科処置の間、制御回路は、例えば、電気外科用発電機の電力(例えば、電気エネルギー)源を制御すること、又はそうでなければ監視することによって、電気外科用発電機と電気的に連通する電気外科用器具に出力される電気エネルギー信号の数を計数、集計、及び/又は保存し得る。
【0013】
電気外科用システムはまた、ユーザに電気外科用器具の残りの有効寿命をリアルタイムで、電気外科用器具に出力された電気エネルギー信号の計数、集計、及び/又は保存された数を所定の限界(例えば、有効寿命)と比較することによって、処置内に通知し、例えば、その後、電気外科用発電機の電源が電気エネルギーを出力するのを、電気外科用器具の所定の限界を超えたときに、阻止又は他の方法で防止し得る。更に、制御回路は、様々な使い捨て電気外科用器具の再処理及び再利用を、所定の限界を超えた後に、電気外科用器具上の、又は電気外科用器具を含むか、若しくは電気外科用器具に関連する電気外科用デバイスにデータを保存することなどによって、阻止又はさもなければ防止し得る。例えば、そのようなデータは、別の電気外科用発電機によって読み取り可能であり、電気外科用発電機が後続の処置で期限切れの電気外科用器具に電気エネルギーを出力するのを防ぐか、そうでなければ防止し得る。
【0014】
上記の概要は、電気外科用器具で使用される非粘着性コーティングに一般的に関する例を説明しているが、以下のシステム、デバイス、又は方法の説明は、他の用途において、例えば、摩擦又は表面付着を低減する以外の目的、あるいは様々な電気外科用器具の構成要素を長持ちさせるためなどの他のコーティングにも適用可能である。上記の概要は、本特許出願の主題の概要を提供することを目的とする。本発明の排他的又は網羅的な説明を提供することを意図するものではない。以下の説明は、本特許出願に関する更なる情報を提供するために含まれる。
【0015】
図1は、生体組織102に電気エネルギーを供給するための例示的な電気外科用システム100の斜視図を示す。図1はまた、中心軸A1を示す。電気外科用システム100は、電気外科用発電機104及び電気外科用デバイス106を含み得る。電気外科用発電機104は、電気エネルギーを発生するように構成され、例えばユーザ作動可能に配設される電源を含み、電気エネルギーを電気外科用デバイス106に出力し得る。電気外科用デバイス106は、電気外科用器具108を含み得る。電気外科用器具108は、生体組織102と様々な方法のいずれかで係合するように構成された様々な電気外科用エンドエフェクタのいずれかであり得て、方法には例えば、限定するものではないが、生体組織102に電気エネルギーを、生体組織102と触れること、又は直接接触することによって付与することが挙げられる。
【0016】
例えば、図1に示されるように、電気外科用器具108は、第1の顎部110及び第2の顎部112を含む電気外科用鉗子であり得る。第1の顎部110及び第2の顎部112は、生体組織102の一部分をそれらの間に挟持し、把持し、そうでなければ保持し、例えば電気エネルギーを第1の顎部110と第2の顎部112との間に位置する生体組織102の任意の部分に通過させるように構成され得る。他の電気外科用器具は、生体組織102と他の方法で係合し得る。例えば、他のタイプの電気外科用器具108は、生体組織102に電気エネルギーを、限定するものではないが、生体組織102を挟持、切断、放射、取り囲み、又は貫通するような方法で付与し得る。
【0017】
電気外科用デバイス106は、ハンドピース114及びシャフトアセンブリ116を更に含み得る。ハンドピース114は、持ち手118、把持レバー120、切断トリガ122、エネルギーボタン124、及び回転ホイール126を含み得る。シャフトアセンブリ116は、近位部分128及び遠位部分130を含み得る。近位部分128は、ハンドピース114に接続され得て、遠位部分130は、電気外科用器具108に接続され得る。シャフトアセンブリ116は、ハンドピース114から長手方向に、中心軸A1を規定するように遠位方向へ延在し得る。シャフトアセンブリ116は、電気外科用デバイス106の一部分(例えば、電気外科用器具108)を患者の解剖学的構造に挿入することを可能にする一方で、電気外科用デバイス106の残りの部分(例えば、ハンドピース114及びシャフトアセンブリ116の近位部分128)が患者の外側に留まるのを可能にする。シャフトアセンブリ116は、電気外科用器具108とハンドピース114の任意の要素又は構成要素との間に延在する様々な導電性要素(例えば、ワイヤ、導電性外側シャフト及び/又は導電性内側シャフトなど)を、電気外科用発電機104と電気外科用器具108との間の電気的な連通を可能にするように含み得る。
【0018】
いくつかの例では、電気外科用器具108は、シャフトアセンブリ116を取り外し可能に係合し、例えば電気外科処置の終了後に取り外して廃棄できる。別の例では、電気外科用器具108は、シャフトアセンブリ116と固定的に係合するか、又は一体的に形成され得る。そのような例では、シャフトアセンブリ116及びハンドピース114を含むような電気外科用デバイス106全体は、電気外科処置の終了後に廃棄され得る。したがって、「電気外科用デバイス106」及び「電気外科用器具108」という用語は、以下に説明する任意の例において、少なくとも「所定の限界」及び「有効寿命」という用語に関連して使用されるように、交換可能に使用され得る。シャフトアセンブリ116は、切断要素132と、切断要素132を切断トリガ122に動作可能に結合するような機械的リンケージとを取り囲む細長い中空部材(例えば、管状の外側シャフト)を含み得る。例えば、切断要素132は、中心軸A1に沿ってスライド可能又はそうでなければ作動可能なブレードであり得る。切断要素132は、電気外科用器具108の第1の顎部110と第2の顎部112との間に位置する、生体組織102又は任意の物体を、切断、切除、又はさもなければ影響を与え得る。
【0019】
ハンドピース114の把持レバー120、切断トリガ122、エネルギーボタン124、及び回転ホイール126はそれぞれ、シャフトアセンブリ116の様々な作動を引き起こすように構成される。把持レバー120は、電気外科用器具108に、例えばシャフトアセンブリ116内に配置された機械的リンケージを介して、動作可能に結合されたアクチュエータであり得る。これにより、把持レバー120は、開位置(図1に示す)から閉位置に移動可能であり得て、把持レバー120は持ち手118に向かって近位方向に移動され、第1の顎部110又は第2の顎部112が枢動されて生体組織102に接触するか、さもなければ係合される。切断トリガ122は、シャフトアセンブリ116の遠位部分130に配置された切断要素132に、例えばシャフトアセンブリ116内に延びる機械的リンケージを介して、動作可能に結合されたアクチュエータであり得る。これにより、切断トリガ122は、後退位置(図1に示す)から展開位置に移動可能であり得て、切断トリガ122は持ち手118に向かって近位方向に移動され、切断要素132に、電気外科用器具108の第1の顎部110と第2の顎部112との間に位置する生体組織102の任意の部分を切断させる。
【0020】
回転ホイール126は、動作可能な調整機能であり、シャフトアセンブリ116、切断要素132、第1の顎部110、又は第2の顎部112のいずれかの向き又は位置を、互いに対して、例えば中心軸A1を中心に調整し得る。これにより、回転ホイール126を中心軸A1の周りで回転させて、シャフトアセンブリ116、切断要素132、第1の顎部110、又は第2の顎部112のいずれかを、中心軸A1を中心として回転させ、互いに横方向に平行移動させ得る。エネルギーボタン124は、電気外科用発電機104の電力(例えば、電気エネルギー)源を作動させて電気エネルギーを電気外科用デバイス106に出力させるように構成された入力デバイス又は特徴であり得る。これにより、エネルギーボタン124は、電気外科用発電機104に電気エネルギーを、電気外科用器具108、例えば第1の顎部110又は第2の顎部112のいずれかに置かれた1つ以上の電極、切断要素132、遠隔電極パッド、又は他の電気外科用器具の様々な他の要素若しくは構成要素に出力させ、生体組織102を焼灼、封止、又は他の方法で電気的に影響を与え得る。電気外科用デバイスの詳細な例は、米国特許出願公開第2020/0305960号に示されて記載されており、その全内容は、参照により本明細書に援用される。更に、電気外科用システムの詳細な例は、国際公開第2020/227519号に示され、その全内容は、参照により本明細書に援用される。
【0021】
電気外科用システム100は、制御回路134(図1に概略的に示す)を含み得る。制御回路134は、電気外科用発電機104に統合され得て、又は電気外科用発電機104及び電気外科用デバイス106と電気的に連通するスタンドアロンの外部デバイス又はコントローラとして実現され得る。例えば、制御回路134は、電気外科用発電機104及び電気外科用デバイス106と直接(例えば、有線)又は無線(例えば、ネットワーク)接続であり得る。制御回路134は、電気外科用システム100の様々な構成要素を制御するか、又はデータを転送し、そこからデータを受信し得る。例えば、制御回路134は、電気外科用発電機104の電源を制御し、例えば電源を作動して、電気外科用器具108に電気エネルギーを出力し得る。制御回路134はまた、各作動の長さ(例えば、タイムスパン)などを含んで、各作動を計数し、集計し、及び電気外科用システム100の様々なメモリ要素又は構成要素などに保存し得る。
【0022】
電気外科用発電機104は、ユーザインタフェース136を含み得て、例えば様々な入力及び出力デバイスが挙げられる。例えば、ユーザインタフェース136は、タッチスクリーンなどの視覚ディスプレイを含み得て、又は様々なゲージ、ダイヤル、ボタン、スイッチ、若しくは発光体のいずれかを含み得る。いくつかの例では、電気外科用発電機104は、キーボード又はマウスなどの外部入力デバイス、あるいは遠隔ディスプレイ画面などの外部出力デバイスに結合され得る。制御回路134は、ユーザインタフェース136と電気的な連通にあり、電気外科用発電機104の様々な機能又は動作を制御し得る。例えば、電気外科用発電機104の電源によって出力される電気エネルギーのパラメータ又は電気メトリックは、ユーザインタフェース136への入力を介して構成され、例えば電気エネルギーが、生体組織102を抵抗加熱して血管を焼灼及び封止させるように構成される。
【0023】
電気外科用システム100は、電気コネクタ138を含み得る。電気コネクタ138は、電気外科用発電機104を電気外科用デバイス106に取り外し可能に接続して、それらの間に電気的な連通を確立するようにできる。例えば、電気コネクタ138は、高周波(RF)エネルギーを電気外科用発電機104から電気外科用デバイス106に伝達するのに適した様々な電気コネクタのいずれかであり得る。いくつかの例では、電気コネクタ138は、電気外科用デバイス106の構成要素であり得て、電気外科用発電機104に関連する機器インタフェースと係合するように構成されたものなどである。別の例では、電気コネクタ138は、2つの別個の電気コネクタ間、例えば電気外科用デバイス106に関連付けられた雄型コネクタと電気外科用発電機104に関連付けられた雌型コネクタ、又はその逆の間で実現され得る。
【0024】
電気コネクタ138はまた、電気外科用発電機104と電気外科用デバイス106との間のデータリンクを確立し得る。例えば、電気外科用発電機104の制御回路134は、電気外科用デバイス106のメモリへのデータの転送、又はメモリからのデータの受信を、それらの間の電気接続の確立により行い、例えば、電気外科用発電機104に接続された電気外科用デバイス106の所定の限界(例えば、有効寿命)を識別するように構成され得る。電気外科用器具108は、疎水性層140を含み得る。疎水性層140は、コーティング、表面構造、又はそれらの組み合わせであり、例えば、電気外科用器具108の表面と生体組織102の表面との間の表面付着を低減することによって非粘着層として機能するように構成された材料であり得る。例えば、図1に示すように、疎水性層140は、第1の顎部110、第2の顎部112、切断要素132、又は切断要素132が属するようなシャフトアセンブリ116の内面の、様々な表面のいずれかに堆積又は他の方法で形成され得る。
【0025】
いくつかの例では、疎水性層140は、電気外科用器具108の所定の限界(例えば、有効寿命)を定義し得る。そのような例では、疎水性層140は、通常の電気外科使用の関数として浸食され、又は直線的に劣化する場合があり、例えば電気外科用発電機104の電源が作動して電気エネルギーを電気外科用器具108に出力する毎に、又はそうでなければ電源が電気外科用器具108に電気エネルギーを出力しているアクティブ期間にわたって、厚さがわずかに減少している。いくつかの例では、電気外科用器具108の所定の限界は、電源作動の総(例えば、合計)数、あるいは疎水性層140が機能しなくなるか、又はもはや電気外科用器具108と生体組織102との間の表面付着を効果的に低減しなくなることが分かる前の総(例えば、合計)アクティブ期間として定量化され得る。いくつかの例では、所定の限界は、有効時間窓、例えば期間(時間又は分など)であり得て、電気外科処置が、電気外科用器具108の電気外科用発動機104への第1の係合又は第1の接続後に開始し、あるいは電気外科用器具108の電気外科用発動機104からの第1の係合解除又は第1の切り離し後に開始して完了される。これにより、電気外科用システム100は、電気外科処置の準備中又は処置中に、電気外科用器具108の所定の限界を識別及び監視(例えば、追跡)し得る。
【0026】
電気外科用システム100は、電気外科用器具108の所定の限界を超えたときに、電気外科用デバイス106の使用を更に防ぎ得る。例えば、制御回路134は、電気外科用器具108に出力される電源作動の回数及び長さを計数、集計、及び保存し得るため、制御回路134は、電気外科用器具108の所定の限界を超えたときを認識でき、それに応じて、制御回路134は、別の(例えば、期限切れでない)電気外科用器具108が電気外科用発電機104に接続されるまでなど、電源の作動を防ぎ得る。加えて、電気外科用器具108の所定の限界を超えた場合、制御回路134は、電気外科用デバイス106又は電気外科用器具108のメモリにデータを転送することができ、例えば電気外科処置が終了した後の電気外科用器具108のその後の再利用を防止するように構成される。例えば、電気外科用器具108が後で再処理され、別の電気外科用発電機に結合される場合、制御回路134は、保存されたデータを受信(例えば、読み取り)し、電源が作動するのを防ぎ、電気エネルギーが電気外科用器具108に出力されるのを防ぎ得る。
【0027】
電気外科用システム100のいくつかの例の動作において、ユーザは、まず、電気外科用デバイス106を電気外科用発電機104へ、例えば電気コネクタ138を用いて接続し得る。次に、電気外科用発電機104は、電気外科用デバイス106と相互作用でき、例えば電気外科用器具108の所定の限界を認識する。次に、ユーザは、例えば、電気外科用デバイス106のエネルギーボタン124を、電気外科用器具108が生体組織102に接触するか、そうでなければ係合しているときに操作することにより、電気エネルギーを生体組織102に付与できる。制御回路134は、電気外科用発電機104又は電気外科用デバイス106のメモリ上の電源の各作動を、例えば、各作動の長さを含んで、同時に計数して集計し得る。最後に、所定の限界を超えたことを認識すると、制御回路134は、電源が作動するのを防ぎ、電気外科用デバイス108への電気エネルギーの出力を防ぎ得る。更に別の例では、制御回路134は、生体組織102への電気エネルギーの付与を、電気外科用器具108の所定の限界を超えた後、例えば、電気外科用器具108が電気外科用発電機104から切り離されていない、又は制御回路134のクロック若しくはタイマによって測定された所定の有効時間窓を超える期間、電気外科用発電機104から切り離されていない、という条件で可能にできる。
【0028】
それにより、電気外科用システム100は、電気外科処置中に、ユーザ及び患者の両方に様々な利益を提供し得る。例えば、電気外科用システム100は、使い捨ての電気外科用器具又はデバイスの所定の限界を識別及び監視し、例えば、ユーザが電気外科処置中に電気外科用器具の有効寿命を不注意に超えるのを防止し得る。これは、様々な電気外科処置における患者予後を、組織の裂傷又は不完全な血管封止が、例えばデバイスの動作を妨げる付着組織が原因でその上に堆積された疎水性層(例えば、非粘着性コーティング)の機能不良によって引き起こされることを防ぐことにより改善するのに役立ち得る。電気外科用システム100はまた、電気外科用器具の所定の限界(例えば、有効寿命)が超過された後、期限切れの電気外科用器具の再利用を防ぎ得る。これは、再処理された電気外科用器具の不十分な滅菌による術後の患者の感染を減らし、再処理された電気外科用器具の機能の低下によって引き起こされる患者の外傷を防ぐのに役立ち得て、例えば、そのような機能の低下は、解剖学的構造を期限切れの電気外科用器具に係合する前に確認することが困難又は不可能である可能性がある場合である。
【0029】
図2は、例示的な電気外科用システム100のブロック図を示す。図2は、図1に示され、図1に関して上述された電気外科用システム100を参照して説明される。いくつかの例では、電気外科用システム100は、図2に示される要素を使用して実現され得る。別の例では、電気外科用システム100は、様々な別の要素を含み得る。図2に示されるように、電気外科用発電機104は、ユーザインタフェース136、機器インタフェース142、電源144、及び測定回路146を含み得て、そして、電気外科用デバイス106は、電気外科用器具108及びメモリ148を含み得る。メモリ148は、電気外科用デバイス106の様々な構成要素のいずれか上又はその中に配置され得て、例えば、限定するものではないが電気外科用器具108、電気コネクタ138、又は機器インタフェース142が挙げられる。したがって、「電気外科用デバイス106」及び「電気外科用器具108」という用語は、以下に説明する任意の例で、少なくとも「メモリ148」という用語と「所定の限界」及び「有効寿命」という用語に、前述の理由のため関連して使用されるように、交換可能に使用され得る。
【0030】
いくつかの例では、制御回路134は、電気外科用発電機104内に含まれるか、そうでなければ統合される要素であり得る。別の例では、制御回路134は、電気外科用発電機104及び電気外科用デバイス106からの要素の組み合わせを使用して実現される。更に別の例では、制御回路134は、電気外科用発電機104及び電気外科用デバイス106の外部に配置され、それらと電気的に連通しているスタンドアロンの制御デバイスであり得る。制御回路134は、電気外科用発電機104と有線(例えば、直接)通信することができる。更に、又は代替的に、制御回路134は、電気外科用発電機104と無線(例えば、ネットワーク)通信にあり、例えばデータを、近接場通信(NFC)、Bluetooth(登録商標)(Bluetooth低エネルギーなど)、Wi-Fi、3GPP(登録商標) LTE、又はその他のヘルスケア準拠の無線通信プロトコルを介して送受信し得る。
【0031】
制御回路134は、少なくともプロセッサ150及びメモリ152を含み得る。いくつかの例では、プロセッサ150は、タイマ及び/又はクロックを含み得る。別の例では、タイマ及び/又はクロックは、プロセッサ150とは別の要素であるか、又は、プロセッサ150と離れてデバイスに含まれ得る。プロセッサ150は、ハードウェアプロセッサ、例えば、中央処理ユニット(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、ハードウェアプロセッサコア、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。プロセッサ150は、マイクロプロセッサ、制御回路、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は他の同等の個別論理回路若しくは集積論理回路のうちのいずれか1つ以上を含み得る。
【0032】
これにより、プロセッサ150は、メモリ152上(例えば、プログラムメモリ152P上)に保存されるようなプログラム命令を受信、検索、及び/又は処理することができ、あるいはメモリ152上(例えば、データメモリ152D上)又はメモリ148上(例えば、データメモリ148D上)に保存されるデータを受信、検索、及び/又は処理することができ、限定するものではないが、以下の例に記載された電気外科用システム100の様々な機能又は動作のいずれかを実装し、そうでなければ実行し得る。いくつかの例では、プロセッサ150は、電源144を作動又は停止するため、命令又はデータを受信、検索、及び/又は処理し得る。電源144は、作動されると電気エネルギーを生成及び出力することができ、停止されると、電気エネルギーの生成と出力を中止し得る。いくつかの例では、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索、及び/又は処理して、電源144を繰り返し作動及び停止させ、可変電気エネルギーを断続的、周期的、循環的、又は他の方法で出力し得る。
【0033】
いくつかの例では、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索、及び/又は処理して、プロセッサ150によって、電気外科用器具108を電気外科用発電機104と電気的な連通で、メモリ148及び/又は152に配置されたデータを用いて一致させるか、さもなければ関連付けさせるようにし得る。例えば、メモリ152は、電気外科用器具108に関連する識別データを含み得て、メモリ148は、様々な異なる電気外科用器具(例えば、限定するものではないが、図4図7に示されるもの)及びそれらのそれぞれの所定の限界に関連する情報のライブラリ(例えば、データベース)をその上に含むか、又はそれらとネットワーク通信できる。そのような例では、プロセッサ150は、最初に命令又はデータを受信、検索、及び/又は処理して、電気外科用器具108を電気外科用発電機104に接続することで、プロセッサ150に、電気外科用器具108のメモリ152から識別データを取得させ得る。次に、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索、及び/又は処理して、電気外科用装置108の所定の限界を定義するか、さもなければ含む個々のデータセット(例えば、データベースエントリ)を、電気外科用器具108の識別データをメモリ148に保存された関連データと一致させることによって検索できる。別の例では、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索、及び/又は処理して、プロセッサ150によって、電気外科用器具108の所定の限界を、電気外科用器具108のメモリ152から直接検索させ得る。したがって、制御回路134は、電気外科用器具108から情報を読み取り、電気外科用器具108が属する器具のタイプ又はクラスを識別又は認識し、それに応じて、例えば、電源144の作動の最大総回数、又は最大アクティブ期間を認識するように構成され得て、電気外科用器具108は、電気外科用器具108への電気エネルギーの出力を、制御回路134によって阻止又はさもなければ防止されるまで受けることができる。
【0034】
いくつかの例では、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索、及び/又は処理して、電源144の連続する各作動を計数又は記録し、個々の電気外科用器具108に関連する電源作動の総回数(例えば、合計)をメモリ148又は152上など保存し得る。いくつかの例では、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索、及び/又は処理して、電源144の連続する各作動の長さ(例えば、タイムスパン)を計数又は記録して、電気外科用器具108の総(例えば、合計)アクティブ期間をメモリ148又は152上などに保存し得る。いくつかの例では、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索、及び/又は処理して、例えば、電気外科用器具108を電気外科用発電機104から切り離すときに保存された総回数をメモリ152から削除することができる。いくつかの例では、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索、及び/又は処理して、連続的に(例えば、リアルタイムで)又は周期的に、保存された総回数を電気外科用器具108の所定の限界と比較することができる。いくつかの例では、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索、及び/又は処理して、例えば電気外科用システム100の任意の入力デバイス間、例えば電気外科用デバイス106又はユーザインタフェース136と電源144との間の信号通信を中断することによって、電源144を無効にし得る。
【0035】
いくつかの例では、所定の限界は、電気外科用器具108によって受信可能な電源作動の最大回数であり得る。そのような例では、電源作動の最大回数は、疎水性層140が機能しなくなるか、又は電気外科用器具108と生体組織102との間の表面付着がもはや低下されなくなるときの、電源作動の総回数よりも少ない、等しい、又は多くなり得る。別の例では、電気外科用器具108の所定の限界は、電気外科用デバイス106又は電気外科用器具108の他のコーティング又は構成要素が、機能しなくなるか、又は機能しないと推定されるか、又は低下若しくは低減した機能性を示す、電源作動の総回数よりも少ない、等しい、又は多い、電気外科用器具108によって受け取られる電源作動の総回数であり得る。いくつかの例では、所定の限度は、電気外科用器具108の最大アクティブ期間であり得る。そのような例では、最大アクティブ期間は、疎水性層140が機能しなくなる、又は電気外科用器具108と生体組織102との間の表面付着をもはや低下させなくなる、総(例えば、合計)アクティブ期間よりも短いか、等しいか、又はそれより長くなり得る。別の例では、電気外科用器具108の所定の限界は、電気外科用デバイス106又は電気外科用器具108の他のコーティング又は構成要素が、機能しなくなるか、又は機能しないと推定されるか、又は低下若しくは低減した機能性を示す、総アクティブ期間よりも短いか、等しいか、又はそれより長い総アクティブ期間であり得る。
【0036】
いくつかの例では、所定の限界は、代替的に、電気外科用器具108の電気外科用発電機104への第1の係合又は第1の接続後の有効時間窓であり得るか、又は有効時間窓を追加的に含むことができ、その後、所定の限界が超過される。いくつかの例では、所定の限界は、電気外科用デバイス106又は電気外科用器具108の電気外科用発電機104からの第1の係合解除又は第1の切り離し後の有効時間窓などの期間であり得て、その後、所定の限界が超過される。そのような例では、有効時間窓は、限定するものではないが、外科処置が完了する時間数、又は分数よりも少ない、等しい、又は多い期間であるか、又は追加的に含み得る。例えば、有効時間窓は、限定するものではないが、約1~60分、2~5時間、又は6~12時間であり得る。更に別の例では、所定の限度は、上記の例示的な所定の限界のいずれかの組み合わせを含み得て、例えば電源作動の最大回数、最大アクティブ期間、又は有効時間窓の2つ以上を含んでいる。そのような例では、所定の限界は、例示の所定の限界のいずれか、又はすべてに基づいて超過され得る。上記を考慮して、「超える」又は「超えている」という用語は、一般に、上記の例示の所定の限界のいずれかより下に、いずれかに、又はいずかれより上に設定された任意の閾値を表し得る。
【0037】
いくつかの例では、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索、及び/又は処理して、電源144を作動させ、例えば特定の電気外科処置又は電気外科技術用の特定の電気外科用器具に出力される電気エネルギーを定義する様々な電気的パラメータ又は測定メトリックによることを含んで、メモリ148又は152から検索された所定の電気治療スケジュールに従って電気エネルギーを生成及び出力し得る。測定回路146は、電気外科用器具108によって係合される生体組織102の1つ以上の電気パラメータ、又は電源144によって出力される電気エネルギーを、電気外科用器具108のセンサ又は他の導電性構成要素を用いて電流、電圧、又は位相値のいずれかを感知することなどによって、測定するように構成され得る。
【0038】
いくつかの例では、プロセッサ150は、命令又はデータを更に受信、検索、及び/又は処理して、測定回路146によって測定された任意の電気的パラメータ又は測定メトリックを所定の電気治療スケジュールと比較し得る。応答して、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索、及び/又は処理して、電源144及び/又は測定回路146にコマンドを実行し、例えば、電源144によって出力される電気エネルギーのパラメータ又はメトリックを変更し、所望の電気外科結果を達成するためなど、電気治療スケジュールに適合させる。いくつかの例では、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索、及び/又は処理して、電源144を、電気外科用デバイス106又は電気外科用発電機104への1つ以上のユーザ入力において、例えば電気外科用デバイス106のエネルギーボタン124の操作において、作動、又は繰り返し作動させ得る。いくつかの例では、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索、及び/又は処理して、電気外科用デバイス106又は電気外科用発電機104への1つ以上のユーザ入力において、例えば電気外科用デバイス106のエネルギーボタン124を、プロセッサ150が電気外科用器具108によって受信可能な電源作動(例えば、電気エネルギー出力)の所定の最大回数を(メモリ148又は152に)保存した後に操作することによって、電源144が作動、又は繰り返し作動されるのを阻止するか、そうでなければ防止し得る。例えば、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索、及び/又は処理して、電気外科用デバイス106と電源144との間の信号通信を中断して、エネルギーボタン124の操作が電源144の作動を引き起こすのを阻止するか、そうでなければ防止し得る。いくつかの例では、プロセッサ150は、別の(例えば、期限切れでない)電気外科用器具108が電気外科用発電機104に接続されるまで、電源144の作動を阻止するか、そうでなければ防止し得る。
【0039】
いくつかの例では、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索、及び/又は処理して、プロセッサ150が、電気外科用器具108によって受信可能な電源作動の最大回数、又は電気外科用器具108の最大アクティブ期間を保存することに応答して、電源144が作動するのを阻止するか、そうでなければ防止した後に、電源144を作動、又は繰り返し作動させることができる。いくつかのそのような例では、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索、及び/又は処理して、電気外科用デバイス106又は電気外科用器具が前もって機器インタフェース142及び/又は電気コネクタ138から切り離されたか、さもなければ係合解除されたかどうかを、例えば電気外科用発電機104との第1の係合又は第1の接続の後に決定し得る。別のそのような例では、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索、及び/又は処理して、有効時間窓が超過されたか、そうでなければ経過したかを決定し得る。
【0040】
プロセッサ150によって、電気外科用デバイス106又は電気外科用器具108が前もって切り離し又は係合解除されていない、あるいは有効期間窓がまだ経過していない、と決定されたことに応答して、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索、及び/又は処理して、電気外科用デバイス106に結合された電気外科用器具108の所定の限界が超過された後に、電源144の作動を再び可能にし、例えば電気エネルギーをエネルギーボタン124のユーザ操作において電気外科用デバイス106に出力し得る。これは、例えば、電気外科処置が終了した後の期限切れの電気外科用器具の再利用を防止し、同時に、交換用器具が容易に入手できない状況で、又は器具の処置内交換が困難又は非現実的である状況で、ユーザが組織に電気エネルギーを付与し続けることを可能にし得る。
【0041】
いくつかの例では、上記のように、所定の限界は、代替的に、電気外科用器具108の電気外科用発電機104への第1の係合又は第1の接続の後に始まる、あるいは電気外科用器具108の電気外科用発電機104からの第1の切断又は係合解除の後に始まる最大有効時間窓などの期間であり得るか、又はそのような期間を追加的に含み得る。そのような例では、電気外科用器具108の電気外科用発電機104への、そしてそれによる制御回路134への第2の係合又は再接続時などに、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索、及び/又は処理し、再接続又は第2の係合が最大有効時間窓内に行われたかどうかを決定し得る。例えば、電気外科用器具108を処置中に切断又は再接続し、例えば電気外科用発電機104を再起動する、電気外科用デバイス106を電気外科用発電機104の別の接続ポートに移動する、又は一時的に別の電気外科用器具を利用することが望ましい場合がある。プロセッサ150による、電気外科用器具108が最大有効時間窓内に再接続又は再係合されたという決定に応答して、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索、及び/又は処理して、電源144の作動を再び可能にし、例えば電気外科用デバイス106に電気エネルギーを出力し得る。
【0042】
ユーザインタフェース136は、電気外科用システム100とユーザ(例えば、外科医又は技術者)との間で情報を通信又は転送し得る。例えば、ユーザインタフェース136は、入出力デバイス、例えば様々なディスプレイ、可聴信号発生器、スイッチ、ボタン、タッチスクリーン、マウス、キーボードなどを含み得る。ユーザインタフェース136は、通信モジュールを、例えば様々な入出力デバイスのいずれかを含んで、又はそれに加えて含み得る。ユーザインタフェース136は、通信モジュールを利用して、例えば、外部デバイスと、1つ以上の無線又は有線ネットワーク、あるいはその両方などの、1つ以上のネットワークを介して通信し得る。通信モジュールは、イーサネットカードなどのネットワークインタフェースカード、光トランシーバ、無線周波数トランシーバ、又は情報を送受信できる他の任意のタイプのデバイスを含み得る。このようなネットワークインタフェースの別の例には、Bluetooth、3G、4G、Wi-Fi無線コンピューティングデバイス、及びユニバーサルシリアルバス(USB)デバイスが含まれる。いくつかの例では、ユーザインタフェース136は、図3に示され、それに関して以下で説明される出力デバイス200を含み得る。
【0043】
いくつかの例では、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索及び/又は処理して、電源144に対する選択的なユーザ制御を実施し、例えばユーザインタフェース136への入力を介して、電源144によって生成され出力される電気エネルギーのパラメータ又はメトリックのユーザ構成を、電源144の作動時に可能にし得る。いくつかの例では、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索及び/又は処理して、ユーザインタフェース136に可聴又は視覚的警告を生成させてユーザに出力させ得る。そのような例では、可聴又は視覚的警告は、プロセッサ150によって保存された、所定の、又はユーザ選択可能な、電源作動の総回数に対応しており、例えばユーザに電気外科用器具108の残りの有効寿命の表示を、電源作動の最大回数(電気外科用デバイス106又は電気外科用器具108の所定の限界を定義する)を超える前に提供し、又はユーザに所定の限界を超えたという表示を提供し得る。
【0044】
いくつかの例では、制御回路134は、電気外科用発電機104の出力回路と電気的に連通し得る。出力回路は、電源144の作動によって生成された電気エネルギーの伝達を可能にして、電気外科用デバイス106に出力されるように構成され得る。例えば、出力回路は、電源144及び機器インタフェース142の形で実現され得る。機器インタフェース142は、様々な信号ドライバ、バッファ、増幅器、又はESD保護デバイス、あるいは電気コネクタ138によって係合可能なような出力端子のいずれかを含み得る。例えば、機器インタフェース142は、電気外科用デバイス106又は電気コネクタ138の要素又は構成要素によって、直接的又は間接的に係合され得て、無線周波数(RF)エネルギーなどの電気外科用エネルギーを、生体組織102に電気外科用器具108を介して伝達することを可能にする。
【0045】
追加の例では、電気外科用システム100は、無線通信回路を含み、制御回路134と電気外科用デバイス106又は電気外科用器具108との間の無線の電気的な連通を可能にし得る。例えば、無線通信回路は、制御回路上又は制御回路内、例えば、いくつかの例では電気外科用発電機104上又はその内部に位置する発電機構成要素154、及び電気外科用デバイス106若しくは電気外科用器具108の上、又はその内部に位置する機器構成要素156の形で実現され得る。図2に示すように、発電機構成要素154は、例えば、限定するものではないが、無線周波数識別(RFID)又は近距離通信(NFC)無線トランシーバであり得て、機器構成要素156は、例えば、限定するものではないが、アンテナ158含むタグ及びメモリ148などのメモリであり得る。例えば、機器構成要素156は、無線周波数識別(RFID)又は近距離通信(NFC)パッシブ型インレイ又はハードタグであり得て、例えば、限定するものではないが、金属、プラスチック、又は複合材料を含む様々な材料のいずれかから作られる。
【0046】
いくつかの例では、機器構成要素156は、アクティブタグであり得て、例えば電気外科用発電機104とは別個に実現されるバッテリ又は他の電源を含んでいる。そのような例の動作において、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索、及び/又は処理して、トランシーバによって、様々な無線プロトコルのいずれかを使用してメモリ148にデータを無線で受信又は送信させ得る。いくつかの例では、発電機構成要素154は、限定するものではないが、約1~10センチメートル、0.1~1メートル、又は1~30メートルの範囲からメモリ152にデータを送信又は受信するように構成され得る。発電機構成要素154の受信範囲又は送信範囲は、機器構成要素156のタグ付けの周波数又は波長、例えば、超短波(VHF)、極超短波(UHF)、短波(HF)、又は長波(LF)に依存し得る。
【0047】
いくつかの例では、メモリ148又は152は、電気外科用発電機104又は制御回路134上で実行されるソフトウェア又はアプリケーションによって使用されて、プロセッサ150による実行のための様々なプログラム命令を保存し、例えば、限定するものではないが、上述の電気外科用システム100の機能又は動作のいずれかを実行し得る。いくつかの例では、メモリ148又は152は、コンピュータ可読記憶媒体として説明され得る。いくつかの例では、コンピュータ可読記憶媒体は非一時的媒体を含み得る。「非一時的」という用語は、記憶媒体が搬送波又は伝搬信号で具現化されていないことを示し得る。いくつかの例では、非一時的記憶媒体は、経時的に変化する可能性のあるデータを(例えば、RAM又はキャッシュ内に) 保存し得る。いくつかの例では、メモリ148又は152は、一時的なメモリであり得て、メモリ148又は152の主な目的が長期保存ではないことを意味している。
【0048】
いくつかの例では、メモリ148又は152は、揮発性メモリとして説明され得て、メモリ148又は152が、電気外科用システム100への電源が切られると、保存された内容を保持しないことを意味している。揮発性メモリの例には、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、及び他の形の揮発性メモリが含まれ得る。いくつかの例では、メモリ148又は152は、1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体を含み得る。いくつかの例では、メモリ148又は152は、揮発性メモリよりも大量の情報を保存するように構成され得る。いくつかの例では、メモリ148又は152は更に、情報の長期記憶のために構成され得る。いくつかの例では、メモリ148又は152は、不揮発性記憶要素を含み得る。このような不揮発性記憶要素の例には、磁気ハードディスク、光ディスク、フラッシュメモリ、又は電気的にプログラム可能メモリ(EPROM)若しくは電気的に消去及びプログラム可能メモリ(EEPROM)の形態を含み得る。
【0049】
図3は、電気外科用システム100の電気外科用発電機104の例示的な出力デバイス200の概略図を示す。図3は、図1図2に示され、それらに関して上述された電気外科用システム100を参照して説明される。いくつかの例では、電気外科用発電機104のユーザインタフェース136は、少なくとも出力デバイス200を含み得る。出力デバイス200は、視覚ディスプレイ202及びオーディオドライバ204を含み得る。視覚ディスプレイ202は、アクティブ出力ディスプレイユニット、例えば液晶ディスプレイ、プラズマスクリーン、有機発光ダイオードディスプレイなどであり得る。視覚ディスプレイ202はまた、入力及び出力ディスプレイユニットの両方、例えば様々な出力に応答して入力を可能にするタッチスクリーンデバイスであり得る。
【0050】
視覚ディスプレイ202は、様々な出力を生成するか、そうでなければユーザに提供するようにプログラムされ得る。いくつかの例では、視覚ディスプレイ202は、出力表示部206A~206E及びダイヤル208を含み得る。視覚ディスプレイ202、ダイヤル208、又は他の出力デバイスは、様々なタイプのフィードバックを、上述(図1図2)の電気外科用システム100の機能又は動作に関連する任意の要因又はパラメータに応答して提供し得る。例えば、出力表示部206A~206Eは、様々なタイプの発光体のいずれかであり得る。いくつかの例では、表示部206A~206Eのうちの少なくとも1つの作動は、ユーザに、電気外科用器具108の所定の限界の表示を提供し得る。いくつかの例では、例えば電気外科用デバイス106の電気外科用発電機104への接続又は係合により、出力デバイス200の下部にある発光体206E、出力デバイス200の上部にある発光体206A、及びそれらの間の発光体204B~204Dのいずれかは、対向する方法で作動され(例えば、点灯され)、例えば、残りの電源作動の総回数として定量化された残りの有効寿命を、電気外科用器具108の所定の限界を超える前にユーザに視覚的に示し得る。
【0051】
いくつかの例では、電気外科用デバイス106の処置中の使用の間などは、発光体204A~206Eを順次作動させて、ユーザに電気外科用器具108の残りの有効寿命をリアルタイムで示し得る。例えば、発光体206A又は206Eは、作動されて、電気外科用器具108が、限定するものではないが、電源144から約0~50回の電源作動(例えば、電気エネルギー出力)を受けたことを示し得る。そのような例では、残りの発光体は、順次作動されて、ユーザに電気外科用器具108が約51~100回(206B又は206D)、101~150回(206C)、151~200回(206D又は206B)、あるいは200~250回(206E又は206A)の電源作動を受けたことを示し得る。いくつかの例では、最終発光体(206E又は206A)は、点滅又はフラッシュなどにより異なる方法で点灯するように作動されて、ユーザに電気外科用器具108の所定の限界がまもなく超過するか、又は超過していることを示す。
【0052】
いくつかの例では、発光体206A~206Eのすべてを作動させて、電気外科用器具108の最大寿命又は始動寿命(starting life)を示すか、あるいは電気外科用器具108の有効寿命(例えば、所定の限界)が超過していることを示し得る。更に別の例では、発光体206A~206Eのいずれかが、色の変化によって、又は点滅若しくはフラッシュによってなど、様々な異なる方法で点灯し、電源作動の正確な回数又はおおよその回数を示し得る。例えば、発光体206Aが点灯して、電気外科用器具108が約50~100回の電源作動を受けたことを示す場合、発光体206Aの色の変化、又は点滅若しくはフラッシュは、ユーザに電気外科用器具が約60回、70回、80回、又は90回の電源作動を受けたことを示し得る。
【0053】
いくつかの例では、ダイヤル208は、ユーザに電気外科用器具108の残りの有効寿命を示すように構成された目盛り又は他の連続したマーキングを含み得る。そのような例では、 ダイヤル208の針は、連続するマーキングの間を線形に移動し、例えば電気外科用器具108が、限定するものではないが約51~100回、101~150回、151~200回、又は200~250回の電源作動を受けたことを示し得る。いくつかの例では、ダイヤル208の針の動きは、発光体206A~206Eの作動の関数であり得るか、そうでなければそれに連動され得る。このような例では、ダイヤル208は、サブダイアルとして機能するように構成され、例えば発光体206A~206Eと一緒に見たときに、電源作動の正確な回数又はおおよその回数を示し得る。
【0054】
例えば、発光体206Aが点灯して、電気外科用器具108が50~100回の電源作動を受けたことを示す場合、針の位置は、ユーザに電気外科用器具が約60回、70回、80回、又は90回の電源作動を受けたことを示し得る。それにより、ユーザインタフェース136は、ユーザに、電気外科用器具108の残りの有効寿命に対応する視覚的警告、又は電気外科用器具108の有効寿命(例えば、所定の限界)が超過されたことを示す視覚的警告を提供し得る。
【0055】
いくつかの例では、オーディオドライバ204が作動されて、可聴警告又はアラームを生成及び出力できる。いくつかの例では、オーディオドライバ204は、上述の発光体206A~206Eの機能又はダイヤル208の針と同様の方法で機能するように作動され、例えば、電気外科用器具108の残りの有効寿命を、電気外科用器具108の所定の限界が超過される前に可聴表示することである。例えば、安定したオーディオ信号はオーディオドライバ204を介して発せられ得て、ピッチ、音量、又はトーンを、電気外科用器具108が電気外科用発電機104から受け取った電源作動(例えば、電気エネルギー出力)の回数に基づいて変化させる。
【0056】
別の例では、あるいは、断続的又は周期的なオーディオ信号が発せられ得て、それは周波数、ピッチ、音量、又はトーンを、電気外科用器具108が電気外科用発電機104から受け取った電源作動の回数に基づいて変化させる。更に別の例では、電気外科用器具108の所定の限界がユーザによって超過されたことに応答してオーディオドライバ204によって生成及び出力されるオーディオ信号は、オーディオドライバ204によって生成及び出力される任意の他のオーディオ信号とは異なり得る。いくつかの例では、オーディオドライバ204は、発光体206A~206E又はダイヤル208に連動されて、発光体206A~206E又はダイヤル208の任意の機能に応答してオーディオ信号を発することができる。それにより、ユーザインタフェース136は、ユーザに、電気外科用器具108の残りの有効寿命に対応する可聴警告、又は電気外科用器具の有効寿命(例えば、所定の限界)が超過されたことを示す可聴警告を提供し得る。図3は、電源144の総作動回数によって定義される所定の限界を参照して上述されるが、図3に示され、それに関して説明される様々な要素又は動作はまた、他の所定の限界の表示、例えば電気外科用器具108の最大アクティブ期間、又は図2に関して説明された例示的な有効時間窓のいずれかを提供するために使用され得る。
【0057】
図4図7は、疎水性層を堆積させることができる様々な例示的な電気外科用器具300~600を示す。図4図7は、図1図2に示され、それらに関して上述された電気外科用システム100の様々な要素を参照して論じられる。疎水性層は、疎水性層140と同様であってもよく、又は図8図10に示され、それらに関して議論される疎水性層又は疎水性物理構造の更なる例と同様であってもよい。図4は、疎水性層304が堆積された外科用顎部302を含む例示的な電気外科用器具300を示す。電気外科用器具300は、血管封止鉗子であり得て、例えば生体組織102を、電気外科用発電機104によって生成された電気エネルギーから得られるRF(無線周波数)エネルギーで支援される機械的切断デバイスを用いて切断するために使用可能である。
【0058】
電気外科用器具300は、疎水性層304を含み得る。外科用顎部302は、第1の顎部306、第2の顎部308、第1の電極板310、第2の電極板312、及び切断要素314、第1のフランジ316、第2のフランジ318、枢動点320、及びチャネル322を含み得る。電気外科用器具300では、第1の顎部306及び第2の顎部308は、互いに対向してヒンジ留めされ、持ち手118などのハンドピース114上の1つ以上の制御を介して作動可能であり得る。これにより、ユーザは、外科用顎部302を電気外科処置中に必要に応じて開閉し得る。第1の電極板310及び第2の電極板312は、第1の顎部306又は第2の顎部308のいずれかに配置されて、電気外科用発電機104から生体組織102への電気エネルギーの付与を可能にし、例えば血管封止に使用し得る。例えば、動作中、ユーザは、外科用顎部302を生体組織102の周りで閉じ、例えば第1の電極板310及び第2の電極板312への電流の流れを、エネルギーボタン124を作動させることなどによって作動し、生体組織102を封止し得る。
【0059】
第1の電極板310及び第2の電極板312は、双極電極又は単極電極と、必要に応じてブレードを含み、組織の切断に使用し得る。双極電極又は単極電極は、高周波電流を使用して、組織の切断、凝固、乾固、又は放電凝固などを行い得る。双極電極構成では、電流は、2つのより近接した電極の間、例えば第1の電極板310と第2の電極板312の間の生体組織102の組織を通過し得る。双極構成では、電流は、2つの活性電極の先端の間、例えば第1の電極板310と第2の電極板312の先端の間で組織を通過する。単極構成では、電流は、電気外科用器具108と患者の腹部上のパッド又は別の別個の戻り電極との間の生体組織102を通過し得る。
【0060】
第1の顎部306及び第2の顎部308は、枢動点320の周りで、それぞれ第1のフランジ316及び第2のフランジ318の動きを通して関節運動され得る。切断要素314は、チャネル322に出入りするように構成され、例えばシャフトアセンブリ116の遠位部分130の本体に配置され得る。外科用顎部302が組織を封止するために使用されるとき、ユーザは、切断トリガ122を作動させることなどによって、切断要素314を外科用顎部の間で外側に延ばし得る。それにより、切断要素314は、チャネル322を通って延在し、生体組織102を切断し得る。疎水性層304は、切断要素314の少なくとも一部分の上及び周囲に堆積され得る。場合によっては、疎水性層304は、チャネル322内及びその周囲に堆積され、切断要素314がチャネル322に出入りするときにチャネル322内に組織が蓄積するのを防ぎ得る。
【0061】
図5は、疎水性層402が堆積された例示的な電気外科用鉗子400を示す。電気外科用鉗子400は、上述の電気外科用器具300と同様であり得るが、組織の解剖に使用され得る。電気外科用鉗子400は、第1の顎部404、第2の顎部406、第1の電極板408、及び第2の電極板410を含み得る。一例では、第1の顎部404及び第2の顎部406の部分は、例えばスタンドアロンのブレード又はナイフアセンブリの代わりに切断要素412として作用し得る。例えば、第1の顎部404及び第2の顎部406は、鋸歯状となり、これらの働きを可能にし得る。
【0062】
一例では、電気外科用鉗子400は、第1の顎部404と第2の顎部406との間に位置する切断要素、例えば図4に示される切断要素314を含み得る。第1の顎部404及び第2の顎部406はまた、湾曲して、関節運動を可能にし、生体組織102の把持、解剖、後退、及び凝固を確実にし得る。第1の電極板408及び第2の電極板410は、疎水性層402で完全に又は部分的に被膜され得る。
【0063】
図6は、疎水性層504が堆積された電気外科用ペンシル500の遠位部分502の一例を示す。電気外科用ペンシル500は、切断要素506を含み得る。そのような例では、電気外科用ペンシル500自体が、様々な電気外科処置において切断要素506として機能でき、疎水性層504によって少なくとも部分的に被膜され得る。電気外科用ペンシル500は、必要に応じて正確な外科技術に使用され得る。代替的に、疎水性層504は、電気外科用スパチュラの切断部分に堆積され得る。
【0064】
図7は、疎水性層604が堆積された腹腔鏡ループ600の遠位部分602を示す。腹腔鏡ループ600は、切断要素606と、ループセクション610及び612とを含み得て、ループセクションは切断要素606で一緒に接し得る。切断要素606は、疎水性層604によって少なくとも部分的に覆われ得る。腹腔鏡ループ600は、電気外科用発電機104に結合されて、双極エネルギーを生体組織102に供給し得て、例えば頸部子宮摘出処置で使用される。
【0065】
図8図9は、電気外科用デバイスの表面702上に堆積された疎水性層700の例の概略図を示す。図8図9は、以下で同時に説明される。例えば、疎水性層700は、表面702上に疎水性物理構造704を形成し得る。疎水性層700は、任意の疎水性層と同様であり得て、表面702は、図1図7に示され、それらに関して上で議論された様々な電気外科用デバイス又は器具の任意の構成要素の任意の表面であり得る。一般に、疎水性層700の厚さ又は深さは、約10nm~約300nmの範囲であり、非粘着性機能及び関連する利点を提供し得る。以下の実施例で説明するように、この範囲の様々な部分は、特定の又は追加の利点を提供するのと同時に、組織付着抵抗及び感知能力を提供し得る。
【0066】
いくつかの例では、疎水性層700は薄いコーティングであり得て、限定するものではないが、約10~30ナノメートルの範囲の厚さを有する。いくつかの例では、疎水性層700は、約10~20ナノメートルの範囲の厚さを有し得る。別の例では、疎水性層700は、20ナノメートル未満、例えば約15ナノメートルの厚さを有し得る。いくつかの例では、疎水性層700の厚さは、電気外科用器具108又は電気外科用デバイス106の所定の限界を定義するか、そうでなければ指示し得る。例えば、疎水性層の厚さを増加させると、塗布又は堆積された表面の表面付着を減少することに対して有効に機能しなくなる前に、疎水性層700が受け取ることができる電源144(図2)の作動の最大回数を増加させることができ、又は疎水性層700の最大アクティブ期間を増加させることができる。いくつかの例では、限定するものではないが、約5~10ナノメートル、11~15ナノメートル、16~20ナノメートル、21~25ナノメートル、又は26~30ナノメートルの厚さを有する疎水性層700は、限定するものではないが、それぞれ、約100~200回、201~300回、301~400回、又は401~500回の電源作動を行った後で、表面付着を効果的に減少しなくなる。
【0067】
いくつかの例では、限定するものではないが、約5~10、11~15、16~20、21~25、又は26~30ナノメートルの厚さを有する疎水性層700は、限定するものではないが、約30~60分、61~120分、121~180分、181~240分、又は240~300分の最大アクティブ期間を実施する場合がある。任意の数の作動又は任意のアクティブ期間がデバイスの特性に応じて使用され、所定の限界を定義し得る。デバイスの特性に応じて、いくつかの範囲又は閾値が望ましい場合がある。加えて、作動の範囲/閾値とアクティブ期間との組み合わせを使用して、所定の限界を定義し得る。上記の本文献に記載された限界の例では、疎水性層700又は他のコーティングは、第1の状態から第2の状態に変化し得る(例えば、分解、劣化、浸食)。例えば、第1の状態では、疎水性層700は、電気外科用器具108(図1図4)又は電気外科用デバイス106(図1図4)の少なくとも一部分と生体組織102(図1)との間の表面付着を低減するのに十分な厚さを有し得る。第2の状態では、疎水性層700又はその一部分は、電気外科用器具108又は電気外科用デバイス106の少なくとも一部分と生体組織102との間の表面付着を低減するのに不十分な厚さまで浸食され得る。例えば、第2の状態は、疎水性層700又は他のコーティングの開始厚さの所定のパーセンテージとして定義され得て、例えば、限定するものではないが、開始厚さの約25~40、41~55、56~70、71~85、又は86~100パーセントである。
【0068】
別の例では、疎水性層700に使用される材料は、疎水性層700が受け取ることができる電源作動の最大回数に影響を与える場合がある。疎水性層700は、電気エネルギーの通過を可能にするように構成され得て、その結果、電気外科用器具が生体組織に電気エネルギーを伝達又は付与し得る。例えば、疎水性層700は、電気エネルギーが疎水性層700を通過するのを可能にするように構成された光容量素子又は光抵抗素子であり得る。そのような例では、疎水性層700は、表面702、例えば電気外科用デバイスの切断要素と、電気外科用デバイスに結合された、又はそうでなければ電気外科用デバイスに含まれる電気外科用器具の任意の電極板などの電極とに直接付与され得る。場合によっては、接着剤が使用されて、疎水性層700を電気外科用デバイスの表面702に付与し得る。
【0069】
いくつかの例では、疎水性層700は、ポリマベースのコーティング、例えばフルオロポリマタイプのコーティングを含み得る。いくつかの例では、疎水性層700は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)コーティングを含み得る。いくつかの例では、疎水性層700は、ポリシロキサン又はフルオロシランコーティングを含み得る。そのような例では、シリコーン及びシリコーン樹脂などの材料が使用され得る。いくつかの例では、シリコーン及びシリコーン樹脂は、プラズマ蒸着プロセスを使用して塗布され、厚さを正確に制御し、例えば組織又は血管の封止中に発生する熱に耐えることができる。疎水性層700に適したシリコーン樹脂は、限定するものではないが、ポリジメチルシロキサンと、ポリメチルシラン及びポリメチルシロキサンなどのポリエステル変性メチルフェニルポリシロキサンと、ヒドロキシル官能性シリコーン樹脂を含み得る。
【0070】
いくつかの例では、疎水性層700は、シロキサンを含む組成物から作ることができ、それは、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサジメチルシロキサン、テトラメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの例では、疎水性層700は、ポリジメチルシロキサン(「PMDSO」)コーティングであり得る。いくつかの例では、疎水性層700は、ヘキサメチルジシロキサン(「HMDSO」)コーティングであり得る。いくつかの例では、疎水性層700は、テトラメチルジシロキサン(TMDSO又はTMDS)であり得る。更に別の例では、疎水性層700は、約1~5ナノメートルの厚さを有するようなヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)の薄層を含み得る。一般に、HMDSOは電気抵抗性であるが、そのような層の薄さは、電気エネルギーの通過を可能にし得る。
【0071】
いくつかの例では、疎水性層700は、エッチングされたコーティングを含み得て、例えば電気外科用器具の電極板上に重ねられた1つ以上の疎水性ピラーを含んでいる。このような例では、疎水性ピラーのナノ構造は、表面エネルギーが低い超疎水性コーティングとして機能し、組織の付着又はスティクションを低減し得る。そのようなエッチングされたコーティングは、疎水性層700が組織付着を低減又は防止するための任意の適切なパターンで形成され得て、例えば、印刷、化学エッチング、レーザエッチング、化学衝撃、又は他の技術によって塗布され得る。疎水性層700の様々な例示的な材料が上記で論じられているが、所望の機能(例えば、表面702の付着の低減と同時に、有効な電気伝達の通過を維持し、例えば組織又は血管の封止を可能にする)を提供できる任意の材料は、材料が適切な生体適合性を有する場合、疎水性層700として使用され得る。一例では、そのような材料は、多孔質であり、材料を通る電気伝達を可能にするか、そうでなければ改善し得る。
【0072】
疎水性層700は、電気外科用デバイス又は器具の任意の表面のすべて又は一部分のみに堆積された疎水性物理構造704を画定し得る。疎水性層700は、異なる疎水性物理構造を、例えば電気外科用デバイス又は器具の特定の若しくは異なる表面又は構成要素で使用するために画定し得る。例えば、疎水性層700は、疎水性物理構造704を電気外科用器具の特定の部分又は領域のみに画定し得て、又は、異なる疎水性物理構造を別の部分に画定し得る。一例では、疎水性物理構造704は、電気外科用器具の切断要素上又はその周囲の任意の絶縁要素上に堆積され得るが、切断要素の刃先又は他の切断手段上には堆積され得ない。
【0073】
疎水性物理構造704は、凹凸706を含み得る。凹凸706は、高さ708及びピッチ710を画定することができる。いくつかの例では、疎水性物理構造704は、以下の式によって記述又は定義され得る。
【0074】
【数1】
【0075】
そのような例では、Λは接触線密度であり、Λcは臨界接触線密度であり、ρ=液滴の密度、g=重力による加速度、V=液滴の体積、θa=見掛けの前進接触角、θa,0 =滑らかな基板の前進接触角、γ=液体の表面張力、及びw=タワー壁角(tower wall angle)である。接触線密度Λは、所与の単位面積にわたる凸凹の総周長として定義される。一例では、Λ>Λcである場合、液体の液滴712は、Cassie-Baxter状態で懸架され得る。そうでなければ、液滴712は崩壊してWenzel状態になる。一例では、液滴712はCassie-Baxter状態にあり、超疎水性状態が、例えば低付着面を形成又は定義して存在する。
【0076】
図8に関して、液滴712は、界面714で凸凹706の上にCassie-Baxter状態で静止する。凸凹706は、説明のために長方形の形状で示されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、凸凹706の各々によって形成される形状は、少なくともタワー壁角度(例えば、「w」)を介して、上記の式で考慮される。図9に関して、凹凸706は、バルク材料から直接形成され、別個のコーティングから形成されない。一例では、凸凹706をバルク材料から直接形成する方法は、化学エッチングを含む。一例では、凸凹706をバルク材料から直接形成する方法は、レーザエッチング又はアブレーションを含む。別の例では、凸凹706をバルク材料から直接形成する方法は、イオンエッチングを含む。
【0077】
更に、図9に示すように、疎水性物理構造704は、表面702との直接界面705を形成するか、そうでなければ画定するコーティング703の一部であり得る。凹凸706は、ナノ粒子を表面702に塗布してコーティング703を形成することによって形成され得る。いくつかの例では、凹凸706は、ナノ粒子をコーティング703の表面に塗布することによって形成され得る。いくつかの例では、ナノ粒子は、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)粒子を含み得る。いくつかの例では、ナノ粒子は、テトラメチルジシロキサン(TMDSO)粒子を含み得る。更に別の例では、ナノ粒子は、フルオロシラン粒子を含み得る。上記の例は、様々なナノ粒子材料を記載しているが、他のナノ粒子材料も本発明の範囲内である。追加の例では、ナノ粒子の疎水性化学は、図9に示されるようなナノスケールの凹凸構造との組み合わせで、単独の疎水性化学と比較して、より優れた疎水性を提供し得る。
【0078】
図10は、疎水性物理構造802がその上に形成された、レーザエッチングされた表面800の一例を示す。疎水性物理構造802は、疎水性層700と同様であり得て、例えば図8図9に示され、それらに関して上で議論された疎水性物理構造704を含んでいる。レーザエッチングされた表面800は、図1図9に示され、それらに関して上で議論された様々な電気外科用デバイス又は器具の任意の構成要素の任意の表面であり得る。
【0079】
疎水性物理構造802の付与は、コーティングの厚さを正確に制御できる任意のシステム及びプロセスを使用して達成され得る。いくつかの例では、HMDSOは、導電性封止板、例えば様々な電気外科用器具の電極板の上に、プラズマ強化化学気相成長法(PECVD)、又は大気圧プラズマ強化化学気相成長法(AP-PECVD)などの他の適切な方法を使用して堆積される。このような例では、ポリジメチルシロキサンコーティングの塗布は、電源、液体及び/又はガスのイオン化可能媒体(酸素など)の供給源、ポンプ、及び真空チャンバに結合されたプラズマデバイスを含む、システム及びプロセスを使用して達成され得る。
【0080】
電源は、給電するため、又はプラズマデバイスにインピーダンスをマッチングさせるための任意の適切な構成要素を含み得る。例えば、電源は、無線周波数発生器又は電力を生成することができる他の電源であり、プラズマ流出物を生成するためにイオン性媒体を点火及び維持し得る。図10に示すように、ガウス孔アレイは、レーザエネルギーを電気外科用器具のレーザエッチングされた表面800に、制御された規則的なパターンで付与することによって形成され、例えば複数の孔804を形成し得る。孔804の各々の形状は、アレイを形成する際に使用されるレーザエネルギーのエネルギー分布により、ガウスとして特徴付けることができる。このようなプロセスでは、複数の凸凹806もまた形成され得て、例えば、図8図9に関して上述したように、Cassie-Baxter状態を提供するアレイ状に間隔をあけて配置される。例示的な液滴808もまた、疎水性物理構造802上に示される。液滴808は、図8図9に示され、それらに関して上述された任意の液滴712と同様であり得る。
【0081】
図11は、電気外科用発電機が電気エネルギーを電気外科用器具に出力するのを、電気外科用器具の限界を超えた後に阻止するための例示的な方法900の流れ図を示す。方法900のステップ又は動作は、便宜上及び明確にするために特定の順序で示される。説明した動作は、他の動作に著しく影響を与えることなく、並行して、又は、別の順序で実行され得る。説明した方法900は、複数の異なるアクタ、デバイス、及び/又はシステムによって実行され得る動作を含む。方法900で説明した動作のサブセットは、単一のアクタデバイス又はシステムに起因する場合があり、別個のスタンドアロンプロセス又は方法と見なし得ることが理解される。
【0082】
方法900は、動作902で開始され得る。動作902は、電気外科用器具の限界を電気外科用発電機によって受信することを含み得る。例えば、ユーザは、電気外科用発電機と電気外科用器具との間の電気接続を、電気コネクタ及び/又はネットワーク若しくは無線通信を使用して確立し得る。このような接続を確立することで、電気外科用発電機は、電気外科用器具にデータを転送し、又は電気外科用器具からデータを受け取ることができ、それに応じて、電気外科用発電機は、ユーザに電気外科用器具の限界(例えば、有効寿命)を示すか、又は別の方法で提供し得る。動作902には、任意選択で、電気外科用器具の限界を電気外科用発電機によって受信することが、電気外科用器具と電気外科用発電機との間で電気通信を確立する電気コネクタを介して、電気外科用器具と電気外科用発電機との間の情報を交換することを含み、例えば、電気外科用器具の限界を電気外科用発電機のメモリ又はデータベース内で調べることを含んでいる、ことが含まれ得る。例えば、電気外科用器具を電気外科用発電機に接続することで、電気外科用発電機は、電気外科用器具のメモリに保存されたデータを、電気外科用発電機のデータベース上、又は電気外科用発電機とネットワーク通信しているデータベース上にある個々のデータベースエントリ(例えば、データセット)と自動的に一致させ、電気外科用器具の所定の限界を取得できる。
【0083】
したがって、電気外科用発電機は、電気外科用器具から情報を読み取り、例えば、電気外科用器具が受けることができる電源作動の最大回数、又は最大アクティブ期間を認識し得る。そのような情報の交換は、電気外科用器具の限界を示す可聴又は視覚的警告を生成することを含み得る。例えば、電気外科用発電機は、ユーザインタフェースを含み得て、それは例えば、視覚ディスプレイ、1つ以上のダイヤル、及びオーディオドライバなどの出力デバイスを含み得る。いくつかの例では、視覚ディスプレイ、1つ以上のダイヤル、及びオーディオドライバのうちの少なくとも1つの作動は、ユーザに電気外科用器具の限界の表示を提供し得る。いくつかの例では、表示は、電気外科用器具の残りの寿命、例えば電気外科用器具の限界を超える前の定量化された残りの使用量の表示であり得るか、又は更にこれを含む。
【0084】
動作902は、任意選択で、限界が更に有効時間窓を含むことを含み得て、ここで電気外科用器具を電気外科用発電機に接続することは、タイマを始動させて、電源の作動を、有効時間窓を超えた後に阻止することを含む。例えば、有効時間窓は、電気外科処置が完了される時間数又は分数にすることができ、例えば電気外科用発電機のクロック又はタイマによって測定され、電気外科用器具の電気外科用発電機への第1に係合又は第1の接続の後に開始するか、あるいは電気外科用器具の電気外科用発電機からの第1の係合解除又は第1の切り離し後に開始する。
【0085】
動作902は、任意選択で、電気外科用器具の限界を電気外科用発電機によって受信することが、電気外科用発電機のRFID又はNFCトランシーバと電気外科用器具のRFID又はNFCタグとの間で情報を交換することを含む、ことを含み得る。例えば、電気外科用発電機は、無線周波数識別(RFID)又は近距離通信(NFC)無線トランシーバを含み得て、電気外科用器具は、インレイ又はハードタグを含み得て、例えばアンテナ及びメモリを含んでいる。そのような例では、電気外科用器具を電気外科用発電機に接続することは、RFID又はNFCタグに給電することを含み得て、例えば、RFID又はNFCトランシーバとRFID又はNFCタグとの間の無線データ送受信を可能にする。
【0086】
方法900は、動作904を含み得る。動作904は、電気外科用発電機の電源を作動させて、電気エネルギーを電気外科用器具に出力し、電源作動の総回数を電気外科用発電機のメモリに保存することを含み得て、ここで、電気外科用器具の限界は、電気外科用器具の少なくとも一部分に堆積されたコーティングが第1の状態から第2の状態に変化する前に、電気外科用器具によって受信可能な電源作動の最大回数であり、ここで、コーティングは、組織への表面付着が、電気外科用器具の一部分の材料の組織への表面付着よりも小さい材料を含む。
【0087】
例えば、ユーザは、生体組織を電気外科用器具の1つ以上の表面と係合させることができ、次いで、電気外科用器具を含有しているか、又はそうでなければ電気外科用器具を含んでいる電気外科用デバイス上に位置するようなエネルギーボタンを操作して、電気外科用発電機の電源を作動させ、電気外科用器具に電気外科用デバイスを介して電気エネルギーを出力させ得る。いくつかの例では、エネルギーボタンの1回の作動により、電源が繰り返し作動され、循環的、断続的、又はその他の可変電気エネルギーを出力することができ、同時に、電気外科用発電機に、電源作動の総回数を計数、集計、及び保存させ得る。いくつかの例では、電源作動の総回数を計数、集計、及び保存することは、電気外科用発電機又は電気外科用器具のメモリで各作動の長さ(例えば、タイムスパン)を計数、集計、及び保存することを含み得る。
【0088】
動作904は、任意選択で、電気外科用発電機の電源を作動することが、電気外科用器具の限界を超える前に電源作動の残りの回数に対応する可聴又は視覚的警告を生成することを含む、ことを含み得る。例えば、電気外科用発電機は、ユーザインタフェースを含み得て、それは例えば、視覚ディスプレイ、1つ以上のダイヤル、及びオーディオドライバ等の出力デバイスを含み得る。いくつかの例では、視覚ディスプレイ、1つ以上のダイヤル、及びオーディオドライバのうちの少なくとも1つの作動は、ユーザにリアルタイムで、電気外科用器具の残りの寿命の表示、例えば電気外科用器具の限界を超える前の定量化された残りの使用量を提供し得る。いくつかの例では、視覚ディスプレイ、1つ以上のダイヤル、及びオーディオドライバのうちの少なくとも1つの作動は、ユーザに、電気外科用器具に残りの寿命がないこと、例えば電気外科用デバイスの限界が超過したときの表示を提供し得る。
【0089】
動作904は、任意選択で、限界が最大アクティブ期間を更に含み、また電気外科術器具を動作して電源を繰り返し作動することが、電源の各作動時にタイマを開始し、電源の各非作動時にタイマを停止し、総アクティブ期間を電気外科用発電機のメモリに保存することを含む、ことを含み得る。例えば、ユーザは、電気外科用器具を含有するか、又はそうでなければ電気外科用器具を含む電気外科用デバイス上に配置されたエネルギーボタンを操作して、電気外科用発電機の電源を作動させ、電気外科用器具に電気外科用デバイスを介して電気エネルギーを出力させ得る。そのような例では、エネルギーボタンの1回の作動により、電源が繰り返し作動されて、周期的、断続的、又はそうでなければ可変の電気エネルギーを出力させ、同時に電気外科用発電機に電気外科用発電機のメモリで各電源作動の長さ(例えば、タイムスパン)を計数、集計、及び保存させ得る。
【0090】
方法900は、動作906を含み得る。動作906は、電源を作動させて、電気外科用発電機のメモリに電気外科用器具の限界を定義する電源作動の最大回数を保存することによって、電源が作動するのを阻止することを含み得る。例えば、ユーザは、電気外科用器具を含有するか、又はそうでなければ電気外科用器具を含む電気外科用デバイス上に位置するようなエネルギーボタンを操作して、電気外科用発電機を、電気外科用器具の限界を定義する電源作動の最大回数よりも少ない、等しい、又は多い総回数で作動させ得る。そのような例では、電気外科用発電機は、次に、例えば電気外科用器具がエネルギーボタンの操作を介して作動を効果的に呼び出すことを阻止すること、又は他の方法で防止することによって、あるいは電源の作動時に生成される電気エネルギーが電気外科用器具に出力するのを、電気外科用デバイスと電源との間の信号通信を中断することにより、阻止すること、又は他の方法で防止することによって、電源を無効にし得る。
【0091】
動作906は、任意選択で、又は代替的に、電気外科用発電機から電気外科用器具への電気エネルギーの出力を阻止することを含み、電気外科用器具を動作し、電気外科用器具の限界を定義する最大アクティブ期間を電気外科用発電機のメモリに保存することにより電源の作動を阻止する。例えば、ユーザは、電気外科用器具を含有するか、又は他の方法で電気外科用器具を含む電気外科用デバイス上に配置されるようなエネルギーボタンを操作して、電気外科用発電機に、電気外科用器具の限界を定義する最大アクティブ期間より短い、等しい、又は大きい総アクティブ期間を電気外科用発電機のメモリに保存させ得る。その後、電気外科用発電機は、上述のように電源を無効にし得る。
【0092】
方法900は、任意選択で動作908を含み得る。動作908は、電気外科用発電機によって、電気外科用器具の限界を超えたことを示す情報を電気外科用器具のメモリに保存することを含み得る。例えば、ユーザは、電気外科用器具を含有するか、又は他の方法で電気外科用器具を含む電気外科用デバイス上に配置されるようなエネルギーボタンを操作して、電気外科用発電機に、電気外科用器具の限界を定義する電源作動の最大アクティブ期間又は最大数以上の総アクティブ期間を電気外科用発電機のメモリに保存させ得る。
【0093】
方法900は、任意選択で動作910を含み得る。動作910は、電気外科用器具の限界を超えた後に電源を作動させることを含み得て、ここでこの限界は、電気外科用器具と電気外科用発電機との単一の係合中に超過される。例えば、電気外科用発電機は、1つ以上のユーザ入力、例えば電気外科用器具の限界を超えた後のエネルギーボタンの操作を可能にし、電気外科用発電機に、様々な条件、例えば電気外科用器具が動作902と908の間で電気外科用発電機から切り離されていないことを条件として、あるいは追加の例では、電気外科用器具を電気外科用発電機に接続又は電気外科用発電機から切り離した後の開始などの有効時間窓、又は電気外科用器具の最大アクティブ期間が超過されていないことを条件として、いずれかの条件を満たす場合に電気エネルギーを電気外科用器具へ出力させるように構成され得る。
【0094】
動作910は、任意選択で、電気外科用器具を電気外科用発電機から切り離すことを含み得て、ここで、電気外科用器具を切り離すことは、電気外科用器具を電気外科用発電機に再接続した後に、電気外科用発電機が電気エネルギーを電気外科用器具に出力するのを阻止することを含む。例えば、ユーザは、電気コネクタを使用して、電気外科用発電機を電気外科用器具から電気的に切り離し、又は分離し得る。そのような例では、電気外科用発電機は、例えばユーザが電源作動の最大回数、又は電気外科用器具の限界を定義する電気外科用器具の最大アクティブ期間を超えていることに応答して、電気外科用器具のメモリにデータを送信する、又は電気外科用器具のメモリからデータを受信するように構成され得る。データによって、電気外科用発電機又は別の電気外科用発電機は、電気外科用器具が期限切れになったこと、例えば電気外科用器具がその後の電気外科処置の準備において、後で別の電気外科用発電機に再接続された場合を認識できるように構成され得る。これに応じて、電気外科用発電機は、上述のように電源を無効にできる。
【0095】
図12Aは、疎水性層1002が堆積された電気外科用器具1000の斜視図を示す。図12Bは、疎水性層1002が堆積された電気外科用器具1000の断面図を示す。図12A図12Bは、図1図2に示され、それらに関して上述された電気外科用システム100を参照して以下に論じられる。電気外科用器具1000は、米国特許出願公開第2021/0307859号で論じられる電気外科用デバイスの様々な態様又は特徴のいずれかを含み得て、その全内容は参照により本明細書に援用される。電気外科用器具1000は、上述の電気外科用器具108に類似しており、少なくとも、電気外科用器具1000が疎水性層1002、第1の顎部1004、第2の顎部1006、第1の電極板1008、及び第2の電極板1010を含み得るという点で同様であり得る。第1の電極板1008及び第2の電極板1010は、第1の顎部1004及び第2の顎部1006と一体にされ得て、又は、第1の電極板1008及び第2の電極板1010は、第1の顎部1004及び第2の顎部1006にそれぞれ結合され得る。
【0096】
電気外科用器具1000の第1の顎部1004又は第2の顎部1006は、1つ以上の顎停止部1012を含み得る。顎停止部1012は、一般に、第1の顎部1004又は第2の顎部1006から外側に、例えば第1の電極板1008又は第2の電極板1010を越えて、それぞれ第2の顎部1006又は第1の顎部1004に向かって延びる突起又は突出部であり得る。顎停止部1012は、米国特許出願公開第2021/0307859号に詳細に記載されている停止部と同様であり得て、例えば、顎停止部1012は、第1の電極板1008と第2の電極板1010との間の導電性電気接触又は短絡を防止するように構成され得るという点で同様である。例えば、顎停止部1012は、電気外科用器具1000が、図12A~12Bに示され、それに関して説明されるように、開位置から閉位置に枢動されるときに、第1の電極板1008が第2の電極板1010に接触するのを防止し得る。顎停止部1012のそれぞれは、外面1014を画定できる(図12B)。外面1014は、例えば第1の顎部1004又は第2の顎部1006に対して、顎停止部1012のそれぞれの最外側、又はそうでなければ最遠位の面であり得る。例えば、第1の顎部1004上に配置された顎停止部1012のそれぞれの外面1014は、第2の顎部1006の第2の電極板1010に接触でき、又は第2の顎部1006上に配置された顎停止部1012のそれぞれの外面1014は、第1の電極板1008に接触でき、その時、電気外科用器具1000は開位置から閉位置に枢動される。
【0097】
顎停止部1012は、電気絶縁性であり得る。例えば、顎停止部1012の各々は、非導電性材料から作成され得て、限定するものではないが、セラミック、プラスチック、ガラス、ゴム、又は磁器が挙げられる。顎停止部1012のいずれも、更に、疎水性層1002によって完全に又は部分的に覆われ得る。代替的に、顎停止部1012は、疎水性層1002が作られる材料、例えばポリジメチルシロキサン、ヘキサジメチルジシロキサン、及びテトラメチルジシロキサンから全体的に形成され得る。上記を考慮して、顎停止部1012は、第1の電極板1008と第2の電極板1010との間の導電性電気接触又は短絡を、電気外科用器具1000が閉鎖位置にあるときに、それらの間の電気エネルギーの移動を防ぐことによって、防止し得る。疎水性層1002は、上記の図1図11に示され、それらに関して説明される疎水性層又は他のコーティングのいずれかと同様であり得る。疎水性層1002は、電気外科用器具1000の様々な導電性構成要素、例えば第1の電極板1008と第2の電極板1010の間の、又は生体組織102がその間に位置するとき生体組織102(図1)を介した、電気エネルギーの直接的な通過に対する電気抵抗を提供する。例えば、疎水性層1002は、所定の開始抵抗値又は既知の抵抗値(例えば、電気外科用器具1000の電気外科使用の前)、例えば、限定するものではないが、約0~1オーム、1~3オーム、又は4~5オームのインピーダンスを規定し得る。
【0098】
また、図1図11に関して上述したように、疎水性層1002は、通常の電気外科使用の機能として、厚さが浸食又は減少する可能性があり、例えば、電気外科用発電機104の電源144が作動して電気エネルギーを電気外科用器具1000に出力するたびに、又は電源144が電気エネルギーを電気外科用器具1000に出力しているアクティブ期間に連続的に、厚さが部分的に減少される。したがって、疎水性層1002がそれを通る電気エネルギーの通過に寄与するインピーダンス又は抵抗の量は、疎水性層1002が浸食されるにつれて減少する可能性がある。したがって、電気外科処置中の疎水性層1002に関連する抵抗値は、そのような抵抗値が測定されるか、又は他の方法で取得される時点での疎水性層1002の厚さを示し得る。図1図11に関して説明した様々な方法及び技法に加えて、電気外科用発電機104は、電気外科用器具108(電気外科用器具1000など)の所定の限界が、電気外科処置中の様々な時点で疎水性層1002に関連する(例えば、それによって定義される)抵抗値を監視することによって満たされるか、又は超過されるとき、電気エネルギーの電気外科デバイス106への出力を防止するように構成され得る。
【0099】
例えば、電気外科用発電機104の制御回路134(図1図2)は、第1の電極板1008及び第2の電極板1010上に堆積された疎水性層1002に関連する少なくとも1つの抵抗値を、電源144(図2)が、例えば国際公開第2020/227519号に記載された方法及び技術のいずれかに従って、電気外科用器具1000に電気エネルギーを出力しているときに、測定回路146(図2)を介して測定するように構成され得る。例えば、少なくとも1つの抵抗値は、疎水性層1002の直流(DC)又は交流(AC)電気値(抵抗又はインピーダンスなど)、疎水性層140を横切って伝送される電圧差及び/又は疎水性層140によって伝導される電流、又は、疎水性層140を横切って伝送される電圧差と疎水性層140によって伝導される電流との間の位相角であり得る。したがって、電気外科用発電機104の制御回路134は、第1の電極板1008及び第2の電極板1010上に堆積された疎水性層1002に関連する少なくとも1つの抵抗値を、第1の電極板1008及び第2の電極板1010が互いに接触している、又は生体組織102と接触している場合で、これは図14を参照してより詳細に論じるように電気外科用器具1000が閉鎖位置にあるときに、測定するように構成され得る。別の例では、電気外科用発電機104の制御回路134は、第1の電極板1004及び第2の電極板1006上に堆積された疎水性層1002に関連する少なくとも1つの抵抗値を、第1の電極板1008と第2の電極板1010とが互いに接触していない場合で、電気外科用器具1000が開位置にあるときに、測定するように構成され得る。例えば、第1の電極板1008及び第2の電極板1010は、導電性部材又は液体媒体、例えば、限定するものではないが、顎部の間に延在する生理食塩水と接触して配置されて、第1の電極板1008と第2の電極板1010との間の電気エネルギーの伝達を可能にし得る。
【0100】
制御回路134は、電源144の作動を、少なくとも1つの測定された抵抗値に基づき、許可するか阻止するかを決定するように構成され得て、例えば、少なくとも1つの測定された抵抗値が所定の閾値抵抗値(例えば、疎水性層1002が上記の図8図9に関して説明したような第1の状態から第2の状態へ変化する前の疎水性層1002の最小厚さを示す抵抗値か、そうでなければそれに対応する抵抗値)以下であるかどうか、又は開始抵抗値と閾値抵抗値との間の差以上の変化(例えば、デルタ)であるかどうかに関する。言い換えると、測定された抵抗値は、疎水性層1002が新しいか、又は磨耗していない開始抵抗値と比較され、測定された抵抗値が開始抵抗値の特定のパーセンテージである場合、電源144の作動を阻止し得る。電気外科用システム100は、それによって、疎水性層1002の厚さを監視して、電気外科用器具1000への電気エネルギーの出力を、電気外科用器具1000の所定の限界(例えば、最小厚さ)に達するか、又は超えたときに防止し得る。
【0101】
いくつかの例では、電気外科用器具1000の顎停止部1012のうちの1つ以上は、疎水性層1002の厚さを電気外科処置中に監視するのを助けるように構成され得る。例えば、顎停止部1012は、電気外科用器具1000内で導電性電気接触又は短絡を引き起こすように構成され得て、それは、電気外科用器具1000の所定の限界に達した、又は超えたとき、例えば、疎水性層1002が最小厚さまで浸食されたとき、又はそうでなければ、第1の電極板1008、第2の電極板1010、又は顎停止部1012のいずれかで第1の状態から第2の状態に変化したときである。そのような例では、顎停止部1012は、導電性要素1016を含み得る(図12B)。導電性要素1016は、一般に、1つ以上の導電性フィラメント又はワイヤであり得て、例えば、限定するものではないが、銀、銅、金、又は他の金属ストランドである。導電性要素1016は、顎停止部1012のいずれかを通って、第1の電極板1008、第2の電極板1010、又は電気外科用器具1000の他の電気構成要素と顎停止部1012のそれぞれの外面1014との間などを、長手方向に延在し得る。いくつかの例では、顎停止部1012の導電性要素1016は、電気外科用発電機104と、例えば第1の顎部1008及び第2の顎部1006を通って電気外科用発電機104まで延在する回路を介して、電気的に連通するが、しかし、第1の電極板1008及び第2の電極板1010と電気外科用発電機104との間に延在する回路から電気的に絶縁され、例えば、顎停止部1012が、第1の電極板1008及び第2の電極板1010を介して生体組織に電気エネルギーを付与することによって達成される血管封止又は組織の焼灼動作を妨害するのを防止し得る。
【0102】
それにより、顎停止部1012のいずれもが、電気外科用器具1000、電気外科用デバイス106、又は電気外科用発電機104の様々な電気構成要素と電気的に連通され得て、例えば制御回路134及び測定回路146が挙げられる。そのような例では、導電性要素1016及び外面1014は、疎水性層1002によって電気外科処置の開始時、例えば疎水性層1002が開始厚さを規定するときに覆われ得る。続いて、疎水性層1002が最小厚さまで浸食されるか、さもなければ顎停止部1012のうちの少なくとも1つの外面1014上で第1の状態から第2の状態に変化する(例えば、完全に又は全体的に浸食される)場合、外面1014に沿った導電性要素1016の少なくとも一部分が露出される可能性があり、その結果、導電性要素1016は、様々な例において、第1の電極板1008、第2の電極板1010、又は第1の顎部1004若しくは第2の顎部1006に対向して配置された少なくとも1つの顎停止部1012の導電性要素1016と接触し、電気エネルギーがそれらの間を移動するのを可能とし得る。
【0103】
別の例では、顎停止部1012は、導電性電気接触又は短絡を、第1の電極板及び第2の電極板が生体組織102と接触しているときに引き起こすように更に構成され得る。例えば、導電性要素1016は、顎停止部1012内に横方向に離隔された少なくとも2つの導電性フィラメント又はワイヤを含み得て、例えば、限定するものではないが、銀、銅、金、又は他の金属ストランドである。続いて、疎水性層1002が最小厚さまで浸食されるか、さもなければ顎停止部1012のうちの少なくとも1つの外面1014上で第1の状態から第2の状態に変化する(例えば、完全に又は全体的に浸食される)と、導電性要素1016の少なくとも2つの導電性フィラメント又はワイヤの少なくとも一部分は、露出されて、電気エネルギーがそれらの間を移動するのを可能にし得る。更なる例では、第1の顎部1004上の1つ以上の顎停止部1012及び第2の顎部1006上の1つ以上の顎停止部1012上に堆積された疎水性層1002の厚さは、第1の電極板1008又は第2の電極板1010上に堆積された疎水性層1002の厚さよりも、より薄いか、そうでなければ厚さを薄くされ得る。これは、例えば、第1の顎部1004上の顎停止部1012と第2の顎部1006上の顎停止部1012との間の導電性電気接触又は短絡を引き起こし、その後、第1の電極板1008及び第2の電極板1010上に堆積された疎水性層1002は、疎水性層1002が第1の状態から第2の状態に変化する前の最小厚さに浸食され得る。上記を考慮して、顎停止部1012は、導電性要素1016によって、顎停止部1012の少なくとも1つ内に導電性電気接触、又は短絡を生成し得る。顎停止部1012は、それによって、電気外科用器具1000内で導電性電気接触又は短絡を引き起こすように構成され得る。これに応答して、制御回路134は、導電性電気接触又は短絡を検出し、導電性電気接触又は短絡の表示を、例えばメモリ152(図2)又はメモリ148(図2)に保存し、電源144の作動を阻止し得る。いくつかの例では、更に議論されるように、電気外科用発電機104の制御回路134は、顎停止部1012上の開始抵抗値と少なくとも1つの測定された抵抗値との間のデルタを監視するように構成され、導電性電気接触又は短絡がいつ発生するかを決定するのに役立ち、例えば、導電性電気接触又は短絡が発生する前に、可聴又は視覚的警告を生成し得る。
【0104】
図13は、生体組織を通って移動する電気エネルギーを示す例示的な波形1100を示す。図13は、図1図12に示され、それらを参照して説明される電気外科用システム100を参照して説明される。図12A図12Bに関して説明したように、電気外科用発電機104(図1図2)は、生体組織102に電気エネルギーを付与し、電気外科用器具108(図1図2)の少なくとも1つの電極、電極板、又は他の導電性特徴と導電的に連通している生体組織102(図1)に関連する抵抗値を、例えば国際公開第2020/227519号に記載されている方法及び技術などに従って測定するように構成され得る。電気外科用発電機104は、同様の方法及び技術を実行して、疎水性層140(図1)に関連する抵抗値を測定し、例えば、電源144(図2)の作動を、疎水性層140に関連する少なくとも1つの測定された抵抗値に基づいて可能にするか、又は阻止するかを決定するように構成され得る。例えば、電気外科用発電機104の制御回路134(図1図2)は、電源144を制御して、電源144によって電気エネルギーを電気外科用器具108(図1図2)に、及びそれと導電的に連通する任意の生体組織に、第1の段階1102及び/又は第2の段階1104において付与させるように構成され得る。
【0105】
第1の段階1102の間、制御回路134は、電源144を作動させて、制御回路134が疎水性層140に関連する少なくとも1つの測定された抵抗値を、1つ以上の時点で例えば、図12A図12Bの電気外科用器具1000の第1の電極板1008、第2の電極板1010、又は顎停止部1012上に堆積された疎水性層1002で取得できるようにするのに十分な量の電気エネルギーを出力し得る。様々な例において、測定された抵抗値は、限定するものではないが、疎水性層1002の直流(DC)又は交流(AC)電気値(抵抗又はインピーダンスなど)、疎水性層140を横切って送達される電圧差及び/又は疎水性層140によって伝導される電流、又は、疎水性層140を横切って送達される電圧差と疎水性層140によって伝導される電流との間の位相角のいずれかであり得る。例えば、第1の段階1102の間、電源144によって出力される電気エネルギーの量は低くてもよいが、ゼロではなく、その結果、電源144によって出力されるエネルギーの量は、電気外科用器具108と導電的に連通している生体組織に実質的に影響を与えたり、また重大に変化させたりすることがない。例えば、第1段階1102中に電源144によって出力されるエネルギー量は、限定するものではないが、約4~6ワット、7~9ワット、又は10~12ワットであり得る。第1の段階1102はまた、所定の又はユーザが選択した制限時間又は時間窓に限定され得る。例えば、第1の段階1102の時間窓は、限定するものではないが、約200~250ミリ秒、251~300ミリ秒、又は301~350ミリ秒の長さであり得る。
【0106】
それに応じて、疎水性層140に関連する少なくとも1つの測定された抵抗値に基づき、制御回路134は、電源144のその後の作動を可能にするか、又は阻止するかを決定するように構成され得る。例えば、制御回路134は、疎水性層140に関連する測定された抵抗値を、他の抵抗値、例えば疎水性層140に関連する疎水性層140の厚さに対応するか、又はそうでなければ示すような他の抵抗値、例えば開始抵抗値、前もって測定された抵抗値、又は閾値抵抗値と比較し、疎水性層140が第1の状態から第2の状態に変化したかどうか、若しくはいつ疎水性層140が第1の状態から第2の状態に変化するかを決定するのに役立ち得る。それにより、電気外科用システム100は、疎水性層140の厚さを監視し、電気外科用器具108の所定の限界(例えば、最小厚さ)に達するか、又はそれを超えたときに、電気外科器具108への電気エネルギーの出力を防止し得る。
【0107】
制御回路134が、電気外科用器具108の限界に達していない、又は超えていないこと、及び電気外科用器具108が生体組織と導電的に係合していると決定した場合、制御回路134は、第2の段階1104に進むように構成され得る。第2の段階1104の間、制御回路134は、電源144を作動させて、電気外科用器具108と導電的に連通している生体組織に実質的に影響を与えるか、又は重大に変化させるのに十分な量の電気エネルギーを出力し、例えば国際公開第2020/227519号に記載されている方法及び技術のいずれかに従って、電気外科用器具108によって係合された血管を封止し得る。例えば、第2の段階中に電気外科用器具108に送達される電気エネルギーの量は、第1の段階1102中に電気外科用器具に送達される電気エネルギーの量と比較して高くなり得て、例えば、限定するものではないが、約13~40ワット、41~70ワット、又は71~100ワットである。第1の段階1102又は第2の段階1104の間に電気外科用器具108に送達される電気エネルギーの量は、様々な要因に依存する可能性があり、例えば、電気外科用発電機104、電気外科用器具108、又は電気外科用デバイス106(図1図2)の様々な構成要素内の固有抵抗値又はインピーダンス、電極(複数可)、電極板(複数可)、又は電気外科用器具108の他の導電性特徴の接触領域、電気フィードバックから抵抗値を測定する制御回路134の能力、電気外科用装置106を電気外科用発電機104に結合するケーブルの長さなどである。更に、第1の段階1102又は第2の段階1104の間に電気外科用器具108に送達される電気エネルギーの量、第1の段階1102が第2の段階1104に対して伝導される周波数、又は測定される抵抗値のタイプ若しくはカテゴリは、電気外科用発電機104のユーザインタフェース136(図1図2)への1つ以上の入力などによって、事前調整若しくは事前調節、又はユーザ調整若しくはユーザ調節され得る。
【0108】
更に、制御回路134は、第1の段階1102を第2の段階1104の前に連続的又は周期的に行うように構成され得る。例えば、ユーザは、制御回路134が第1の段階1102を、例えば第2の段階1104に対して行う周波数を選択又は構成し得る。例えば、制御回路134は、電源144の作動毎に第1段階1102を実行し、例えば電気外科処置中に疎水性層140の厚さを連続的に監視し得る。別の例では、制御回路134は、第1の段階1102を、電源144の2回目の作動毎、3回目の作動毎、又は4回目の作動毎などの別の間隔で実施し得る。代替的に、制御回路134は、所定の時間間隔又はユーザ選択の時間間隔に基づき、例えば図1図2に関して上述した電源144の総アクティブ期間に関連して、第1の段階1102を実施し得る。
【0109】
図14は、疎水性層140への電気エネルギーの付与の関数として、疎水性層140の浸食曲線1200を示す例示的なグラフを示す。図14は、図1図2に示され、それらに関して説明される電気外科用システム100を参照して説明される。疎水性層140(図1)は、直線的に、対数的に、又は指数関数的に浸食され得て、例えば、限定するものではないが、電源144(図2)の各作動時に送達される電気エネルギーの量、疎水性層140の化学組成などに基づく。電気外科処置中の疎水性層140の厚さの浸食を監視するのを助けるために、疎水性層140の漸進的浸食に対応するか、又はそうでなければそれを示す浸食曲線1200に沿った様々な点を選択的に選ぶことができる。例えば、図14に示すように、浸食曲線1200は、開始抵抗値1202、基準抵抗値1204、閾値抵抗値1206、及び終了抵抗値1208を含み得る。
【0110】
いくつかの例では、開始抵抗値1202は、疎水性層140に関連する所定の抵抗値又は抵抗値の範囲であり得て、例えばメモリ148に保存されており、疎水性層140の(例えば、電気エネルギーを電気外科用器具108に付与する前の)所定の厚さに対応するか、そうでなければ疎水性層140の開始厚さを示す。別の例では、開始抵抗値1202は、測定された抵抗値であり、例えば疎水性層140の開始厚さに対応するか、そうでなければそれを示す第1の測定された抵抗値である。基準抵抗値1204は、開始厚さより小さい疎水性層140の厚さに対応するか、又はそうでなければそれを示す抵抗値又は抵抗値の範囲であり得て、例えば、限定するものではないが、開始厚さの約41~55、56~70、71~90パーセントである。例えば、疎水性層140に関連する開始抵抗値1202が約1オームである場合、次に基準抵抗値1204は、限定するものではないが、約0.41~0.55オーム、0.56~0.70オーム、又は0.71~0.90オームであり得る。基準抵抗値1204は、疎水性層140の特定の厚さに対応するか、そうでなければそれを示す抵抗値又は抵抗値の範囲であり得て、開始抵抗値1202に関連付けられた厚さよりも小さく、例えば、限定するものではないが、開始厚さの約41~55、56~70、71~90パーセントである。例えば、疎水性層140に関連する開始抵抗値1202が約1オームである場合、次に基準抵抗値1204は、限定するものではないが、約0.41~0.55オーム、0.56~0.70オーム、又は0.71~0.90オームであり得る。基準抵抗値1204は、オペレータが、通知又は警報を受信し始める値であり得て、例えば、本明細書で説明するように、疎水性層140が劣化点(例えば、コーティングが第1の状態から第2の状態へ変化したとき、もはや所望するレベルの効果がない閾値抵抗値1206)に近づいているという可聴又は視覚的警告であり、したがって、ユーザ又はオペレータは、処置が完了し得るのを確実にするための手段を開始する必要がある。
【0111】
閾値抵抗値1206は、基準抵抗値1204に関連する厚さよりも薄い疎水性層140の厚さに対応するか、又はそれを示す抵抗値又は抵抗値の範囲であり、例えば、開始厚さの約0~10、11~24、又は25~40パーセントであり得る。例えば、開始抵抗値1202が約1オームである場合、閾値抵抗値1206は、約0.1~0.24オーム、又は0.25~0.40オームであり得る。いくつかの例では、閾値抵抗値1206はまた、疎水性層140が第1の状態から第2の状態に変化する前の疎水性層140の最小厚さに対応でき、上記の図8図9、及び図12A図12Bに関して論じられる。したがって、閾値抵抗値1206は、電気外科用発電機104の制御回路134が、例えば、電源144の作動を阻止して、電気外科用器具108への電気エネルギーの出力を防止する抵抗値又は抵抗値の範囲であり得る。したがって、いくつかの例では、制御回路134は、電源144の作動を、閾値抵抗値1206で、又は閾値抵抗値1206に至る抵抗値の範囲内で阻止するように構成され、例えば、無効化窓を提供する。最終抵抗値1208は、疎水性層140が最初に堆積された電気外科用器具108の少なくとも一部分からの疎水性層140の完全な又はほぼ完全な浸食に対応するか、そうでなければそれを示す抵抗値又は抵抗値の範囲であり得る。例えば、開始抵抗値1202が約1オームである場合、次に電気外科用器具108内の導電性電気接触又は短絡に対応する抵抗値は、約0~0.1オームであり得る。したがって、様々な実施例において、閾値抵抗値1206又は最終抵抗値1208は、図12A図12Bに示される顎停止部1012によって提供されるなど、電気外科用器具108内の導電性電気接触又は短絡に対応するか、又はそうでなければそれを示し得る。
【0112】
いくつかの例の動作において、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索、及び/又は処理して、プロセッサ150に、電気外科用発電機104と電気的に連通する電気外科用器具108を、メモリ148及び/又は152上に位置するデータと一致させるか、さもなければ関連付けさせ得る。例えば、メモリ152は、電気外科用器具108に関連する識別データを含み得て、メモリ148は、様々な異なる電気外科用器具(例えば、限定するものではないが、図4図7及び図12に示されるもの)、及び閾値抵抗値1206又は最終抵抗値1208によって定義されるような、それらのそれぞれの所定の限界に関連する情報のライブラリを、含むか、又はネットワーク通信の状態にあり得る。そのような例では、プロセッサ150は、電気外科用器具108が電気外科用発電機104に接続されると、命令又はデータを受信、検索及び/又は処理して、プロセッサ150に電気外科用器具108のメモリ152から識別データを取得させ得る。次いで、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索、及び/又は処理して、電気外科用器具108の開始抵抗値1202、基準抵抗値1204、閾値抵抗値1206、及び最終抵抗値1208のいずれかを定義するか、さもなければそれらを含む個々のデータセット(例えば、データベースエントリ)を、例えば 電気外科用器具108の識別データをメモリ148に保存された関連データと一致させることによって検索し得る。別の例では、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索、及び/又は処理して、プロセッサ150に、電気外科用器具108の開始抵抗値1202、基準抵抗値1204、閾値抵抗値1206、又は最終抵抗値1208のいずれかを、電気外科用器具108のメモリ152から直接検索させ得る。プロセッサ150はまた、命令又はデータを受信、検索、及び/又は処理して、トランシーバにメモリ148とのデータの無線受信又は送信を、上記の図2に関して説明したような様々な無線プロトコルのいずれかを使用して生じさせ得る。したがって、制御回路134は、例えば、開始抵抗値1202、基準抵抗値1204、閾値抵抗値1206、又は最終抵抗値1208、あるいは浸食曲線1200又は他の浸食性コーティングの浸食曲線に沿った様々な他の所定の抵抗値を識別するように構成され得る。
【0113】
電気外科用発電機104は、疎水性層140の厚さを電気外科処置中に監視するように構成され得る。例えば、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索及び/又は処理して、プロセッサ150に測定回路146を制御させて電源144を作動させ、生体組織に関連する少なくとも1つの抵抗値を、例えば図12A図12Bの第1の電極板1008及び第2の電極板1010が、互いに、又は顎停止部1012の少なくとも一方に接触している場合、又は第1の顎部1004の顎停止部1012のうちの少なくとも一方が、第2の顎部1006の顎停止部のうちの少なくとも一方と接触している場合、又は生体組織が少なくとも第1の電極板1008及び第2の電極板1010と導電的に連通している場合に測定し得る。いくつかの例では、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索及び/又は処理して、測定回路146と電源144を制御し、疎水性層1002に関連する複数の抵抗値を、例えばメモリ148に保存された所定の期間、又は処置中に選択された、ユーザインタフェース136への1つ以上のユーザ入力を介して選択可能なような期間にわたって測定し得る。そのような例では、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索及び/又は処理して、平均の測定された抵抗値を複数の測定された抵抗値から計算し、基準抵抗値1204、閾値抵抗値1206、又は最終抵抗値1208との比較に使用可能な測定された抵抗値の精度を改善するのに役立ち得る。
【0114】
別の例では、生体組織が電気外科用器具1000(例えば、第1の電極板1008(図12A図12B)と第2の電極板1010(図12A~12B)との間に位置し、それらと接触している)と導電的に連通している場合などでは、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索及び/又は処理して、プロセッサ150に、生体組織102に関連する測定された抵抗値を疎水性層140の開始抵抗値1202から減算させ得る。プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索及び/又は処理し、プロセッサ150に、開始抵抗値1202と、生体組織102に関連する測定された抵抗値を開始抵抗値1202から減算した残りとの間の変化(例えば、デルタ)を計算させて、疎水性層140に関連する測定された抵抗値を取得させ得る。次いで、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索及び/又は処理し、プロセッサ150に、疎水性層140に関連する測定された抵抗値を、基準抵抗値1204、閾値抵抗値1206、又は最終抵抗値1208のいずれかと、電源144の作動毎に、又は他の間隔で比較させることができ、他の間隔は限定するものではないが電源144の作動回数、又はユーザインタフェース136への1つ以上のユーザ入力に応答してプロセッサ150によって実装される所定の、若しくは処置中に構成された時間窓が挙げられる。
【0115】
例えば、疎水性層140に関連する測定された抵抗値と開始抵抗値1202が、基準抵抗値1204又は閾値抵抗値1206のいずれか以上である場合、制御回路134は、疎水性層140が最小厚さまで浸食されていないか、又は第1の状態から第2の状態に変化していないと決定し得る。これに応答して、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索及び/又は処理し、その後、電源144を作動させるか、又はその作動を可能にして、図2に関して説明したように、電気エネルギーを電気外科用器具108に出力し得る。測定された抵抗値が基準抵抗値1204、閾値抵抗値1206、又は最終抵抗値1208のいずれか以下である場合、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索及び/又は処理し、プロセッサ150に、電源144の後続の作動を、電気外科用デバイス106又はユーザインタフェース136などの電気外科用システム100の任意の入力デバイスと電源144との間の信号通信を中断することによって、例えば異なる(例えば、有効期限が切れていない)電気外科用器具108が電気外科用発電機104に接続されるまで、阻止又はそうでなければ防止させ得る。
【0116】
加えて、電気外科用器具108の所定の限界が超過された場合、例えば少なくとも1つの測定された抵抗値が閾値抵抗値1206又は最終抵抗値1208以下である場合、制御回路134は、データをメモリ152に転送し、電気外科処置が終了した後、電気外科用器具108のその後の再使用を防止するように構成され得る。例えば、電気外科用器具108が後で再処理され、異なる電気外科用発電機に結合される場合、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索及び/又は処理し、プロセッサ150にメモリ152上に保存されたデータを受信させ(例えば、読み取る)、それに応じて、電源144の作動を阻止して、電気エネルギーが電気外科用器具108に出力されるのを防止し得る。
【0117】
制御回路134は更に、疎水性層140に関連する少なくとも1つの測定された抵抗値が、所定のパーセンテージ又は数値などによって、基準抵抗値1204以下であるか、又は閾値抵抗値1206より大きい場合、タイマを開始するか、又は電源144のその後の作動の回数を計数し、時間窓が経過した後、又は電源144の作動が特定の回数発生した後に、電源144の作動を阻止するように構成され得る。例えば、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索及び/又は処理し、メモリ148又は152上に秒数又は分数、あるいは電源144の作動のその後の総計数を計数して保存することを、制御回路134が、疎水性層140に関連する測定された抵抗値は基準抵抗値1204又は閾値抵抗値1206以下であると決定した後に行い得る。これにより、例えば、電気外科処置が終了した後に期限切れの電気外科用器具を再使用することを防止し、同時に、ユーザが交換器具を直ぐに利用できない状況において、又は器具の処置中の交換が困難若しくは非現実的である状況において、組織に電気エネルギーを付与し続けることを可能にし得る。
【0118】
制御回路134は、ユーザインタフェース136に、可聴又は視覚的警告を、タイマの開始時、又は電源144の作動の総回数を計数し始めるときに出力させるように構成され得る。例えば、プロセッサ150は、命令又はデータを受信、検索及び/又は処理し、ユーザインタフェース136に、図3に示され、それに関して更に説明されるように、可聴又は視覚的警告を生成し、ユーザに出力させ得る。そのような可聴又は視覚的警告は、プロセッサ150によってなされる決定に対応でき、その決定は、疎水性層140に関連する測定された抵抗値が、基準抵抗値1204、閾値抵抗値1206、又は最終抵抗値1208のいずれか以下であるというものである。いくつかの例では、そのような可聴又は視覚的警告は、開始抵抗値1202と疎水性層140に関連する測定された抵抗値との間の、ユーザ選択された抵抗値又はデルタに対応し得て、例えばユーザインタフェース136への1つ以上のユーザ入力によって構成される。
【0119】
図15は、電気外科用発電機から相互接続された電気外科用器具への電気エネルギーの出力を、電気外科用器具上に堆積された浸食性コーティングの厚さに基づいて制御するための例示的な方法1300のフローチャートを示す。方法1300のステップ又は動作は、便宜上及び明確にするために特定の順序で示される。説明した動作は、他の動作に重大な影響を与えることなく、並行して、又は別の順序で実行され得る。説明するように方法1300は、複数の異なるアクタ、デバイス、及び/又はシステムによって実行され得る動作を含む。方法1300で論じた動作のサブセットは、単一のアクタデバイス又はシステムに起因する可能性があり、別個のスタンドアロンプロセス又は方法と見なされてもよいことが理解される。
【0120】
方法1300は、動作1302で開始し得る。動作1302は、浸食性コーティングの厚さに対応する少なくとも1つの抵抗値を測定することを含む。例えば、外科医又は臨床医などのユーザは、浸食性コーティングが堆積された電気外科用器具の電極又は電極板と接触している生体組織への電気エネルギーの送達を開始して、浸食性コーティングに関連する測定された抵抗値を取得し得る。別の例では、外科医又は臨床医などのユーザは、浸食性コーティングが堆積された電気外科用器具への電気エネルギーの送達を開始して、浸食性コーティング及び生体組織の両方に関連する測定された抵抗値を取得し得る。別の例では、外科医又は臨床医などのユーザは、浸食性コーティングが堆積された電気外科用器具の電極又は電極板と接触している生体組織への電気エネルギーの送達を開始し、最初に浸食性コーティングに関連する測定された抵抗値を取得し得る。次いで、電気外科用発電機の制御回路は、生体組織に関連する測定された抵抗値を、浸食性コーティングの所定の開始抵抗値から減算し得る。続いて、制御回路は、生体組織に関連する測定された抵抗値を浸食性コーティングの所定の開始抵抗値から減算した残りの部分の間のデルタを計算し、浸食性コーティングに関連する測定された抵抗値を得ることができ、例えば、浸食性コーティングによって寄与又は引き起こされる生体組織を通る電気エネルギーの通過に対する抵抗又はインピーダンスを示す。
【0121】
動作1302は、電気外科用発電機のメモリあるいはRFID又はNFCトランシーバと、電気外科用器具のメモリあるいはRFID又はNFCタグとの間でそれぞれ情報を交換することによって、閾値抵抗値を取得することを、任意選択で最初に含み得る。例えば、電気外科用器具を電気外科用発電機に接続することは、RFID又はNFCタグに給電して、例えばRFID又はNFCトランシーバとRFID又はNFCタグとの間の無線データ送信又は受信を可能にし得る。
【0122】
動作1302は、第1の顎部及び第2の顎部を開位置から閉位置まで枢動させて、その間に位置する生体組織を係合させることを含み得る。例えば、ユーザは、電気外科用器具を含む電気外科用デバイスの把持レバーを、電気外科用デバイスの持ち手に向かって近位方向に動かすことによって操作し、これにより、第1の顎部を第2の顎部に向かって枢動させ、同時に、第1の顎部又は第2の顎部のうちの少なくとも一方を、第1の顎部と第2の顎部との間に配置された生体組織に接触させ得る。動作1302は、第1の顎部及び第2の顎部を開位置から閉位置まで枢動させ、第1の顎部に配置された第1の電極板を、第2の顎部に配置された第2の電極板に接触させることを含み得る。例えば、ユーザは、電気外科用器具を含む電気外科用デバイスの把持レバーを、電気外科用デバイスの持ち手に向かって近位方向に動かすことによって操作し、これにより、第1の顎部を第2の顎部に向かって枢動させ、同時に第1の電極板を第2の電極板に接触させ得る。
【0123】
方法1300は動作1304を含み得る。動作1304は、少なくとも1つの測定された抵抗値を浸食性コーティングの最小厚さに対応する閾値抵抗値と比較することを、浸食性コーティングが第1の状態から第2の状態に変化する前に行うことを含み得る。例えば、電気外科用発電機の制御回路は、浸食性コーティングに関連する少なくとも1つの測定された抵抗値を、浸食性コーティングの漸進的浸食に関連する基準抵抗値又は閾値抵抗値と比較し得る。動作1304は、少なくとも1つの測定された抵抗値を閾値抵抗値と比較することが、電源の各作動時に電気外科用発電機によって実行されることを含み得る。例えば、電気外科用発電機の制御回路は、浸食性コーティングに関連する少なくとも1つの測定された抵抗値を閾値抵抗値と、電源の作動毎に、又は他の間隔で比較させ得て、他の間隔は限定するものではないが電源の作動回数、又はプロセッサによって実装される所定の、若しくは処置中に例えば、電気外科用発電機のユーザインタフェースへの1つ以上のユーザ入力に応答して設定された時間窓が挙げられる。
【0124】
方法1300は、動作1306を任意選択で含み得る。動作1306は、複数の測定された抵抗値から平均抵抗値を計算することを含み、ここで少なくとも1つの測定された抵抗値は平均抵抗値である。例えば、制御回路は、電気外科用発電機の測定回路及び電源を制御して、生体組織102に関連する複数の抵抗値を、所定の又は処置中に選択された期間又は時間窓にわたって、又はその間に測定し得る。そのような例では、制御回路は、複数の測定された抵抗値から平均の測定された抵抗値を計算し、浸食性コーティングの実際の浸食に対して測定された抵抗値の精度を改善するのに役立ち得る。
【0125】
方法1300は、動作1308を含み得る。動作1308は、測定された抵抗値が閾値抵抗値以下である場合に、浸食性コーティングが最小厚さまで浸食されたと決定することを含む。例えば、電気外科用発電機の制御回路は、測定された抵抗値と閾値抵抗値との間の差を計算し、測定された抵抗値と閾値抵抗値との差に基づいて、測定された抵抗値が閾値抵抗値より大きいか、等しいか、又は小さいかを決定し得る。
【0126】
動作1308は、電気外科用器具のメモリあるいはRFID又はNFCタグに、浸食性コーティングが最小厚さまで浸食されたことを示す情報を保存することを含み得る。例えば、制御回路が、浸食性コーティングは最小厚さまで浸食されたと決定した後、制御回路は、浸食性コーティングが最小厚さまで浸食されたという表示を、電気外科用発電機又は電気外科用器具のメモリに保存し得る。いくつかの例では、電気外科用発電機は、無線周波数識別(RFID)又は近距離通信(NFC)無線トランシーバを含み得て、そして電気外科用器具は、例えばアンテナ及びメモリを含んでいるインレイ又はハードタグを含み、例えばRFID又はNFCトランシーバとRFID又はNFCタグとの間の無線データ送受信を可能にし得る。動作1308は、浸食性コーティングが最小厚さまで浸食されたことを示す可聴又は視覚的警告を生成することを含み得る。例えば、制御回路は、電気外科用発電機のユーザインタフェースに、浸食性コーティングが最小厚さまで浸食されたことの決定において、可聴又は視覚的警告を生成及び出力させ得る。
【0127】
動作1308は、最小厚さに達する前にタイマを開始して、時間窓が経過したときに電気外科用発電機が電源の作動を阻止するのを防止することを含み得る。例えば、電気外科用発電機の制御回路のプロセッサは、命令又はデータを受信、検索、及び/又は処理し、制御回路が、浸食性コーティングに関連する測定された抵抗値は基準抵抗値以下であり、例えば、それは浸食性コーティングの最小厚さに対応する閾値抵抗値よりも大きいと決定した後に、電気外科用発電機のメモリに秒数又は分数を計数して保存し得る。
【0128】
方法1300は、動作1310を任意選択で含み得る。動作1310は、導電性電気接触又は短絡に対応する少なくとも1つの抵抗値を、電気外科用器具内の顎停止部で測定することを含む。例えば、顎停止部は、少なくとも2つの導電性要素を、その上に配置されるか、そうでなければそこに含まれるか、又は一体化されて含むことができ、それらは、電気外科用発電機の制御回路のプロセッサによって検出可能な導電性電気接触又は短絡を、顎停止部に堆積された浸食性コーティングの少なくとも一部分が浸食性コーティングの最小厚さまで浸食されるときに生じるように構成され得る。
【0129】
方法1300は、動作1312を含み得る。動作1312は、電気外科用発電機の電源の作動を阻止して、電気外科用器具への電気エネルギーの出力を防止することを含み得る。例えば、電気外科用発電機の制御回路は、電源を無効にすることができ、それは電気外科用器具が、電気外科用器具を含む電気外科用デバイスのエネルギーボタンの操作を介して作動を効果的に要求することを阻止するか、そうでなければ防止することによって、又は、電源の作動時に生成される電気エネルギーが電気外科用器具に出力されるのを電気外科用デバイスと電気外科用発電機の電源との間の信号通信を遮断することで阻止するか、そうでなければ防止することによってなされる。
【0130】
上記の詳細な説明は、添付の図面への参照を含み、添付の図面は詳細な説明の一部を成す。図面は、例示として、本発明が実施され得る特定の実施形態を示す。これらの実施形態もまた、本明細書において「実施例」として参照される。そのような例は、示されているか又は記載されているものに加えて、要素を含み得る。しかし、また、本発明者は、示されているか又は記載されているそれらの要素のみが提供される例を検討する。更に、また、本発明者は、示されているか又は記載されているそれらの要素(又はそれらの1つ以上の態様)の任意の組み合わせ又は置換を、特定の例(又はそれらの1つ以上の態様)か、あるいは本明細書に示されているか又は記載されている別の例(又はそれらの1つ以上の態様)のどちらか一方に関して使用する例を検討する。本文献と、参照により援用される任意の文献との間で使用法に矛盾がある場合は、本文献での使用法が制御する。
【0131】
本文献では、「a」又は「an」という用語は、任意の別の例、又は「少なくとも1つ」若しくは「1つ以上」の使用と無関係に、特許文献において一般的であるように、1つ又は2つ以上を含むように用いられる。本文献では、用語「又は(or)」は、包括的なものを指すように、又は別段の指示がない限り、「A又はB」が「AであるがBでない」、「BであるがAでない」、及び「A及びB」を含むように、用いられる。本文献では、「含んでいる(including)」及び「in which」という用語は、「含んでいる(comprising)」及び「wherein」というそれぞれの用語の平易な英語の同意義のものとして用いられる。また、下記の特許請求の範囲では、「含んでいる(including)」及び「含んでいる(comprising)」という用語はオープンエンドであり、すなわち特許請求の範囲内でそのような用語の後に列挙されているものに加えて要素を含むシステム、デバイス、物品、組成物、製剤、又はプロセスが、依然として特許請求の範囲内に入ると見なされる。更に、下記の特許請求の範囲では、「第1の」、「第2の」、及び「第3の」などという用語は単にラベルとして用いられており、それらの対象物に数的な要件を課することは意図されていない。
【0132】
本明細書に記載された方法の例は、少なくとも部分的に機械又はコンピュータで実装され得る。いくつかの例では、上記の例に記載された方法を実行するように電子デバイスを構成するために動作可能な命令でコード化された、コンピュータ可読媒体又は機械可読媒体を含み得る。このような方法の一実施態様は、マイクロコード、アセンブリ言語コード、高レベル言語コードなどのコードを含み得る。このようなコードは、様々な方法を実行するためのコンピュータ可読命令を含み得る。コードは、コンピュータプログラム製品の一部分を形成することができる。更に、一例では、コードは、実行中又は他の時間などに、1つ以上の揮発性、非一時的、又は不揮発性の有形のコンピュータ可読媒体に明白に保存することができる。これらの有形のコンピュータ可読媒体の例は、限定するものではないが、ハードディスク、取り外し可能磁気ディスク、取り外し可能光ディスク(例えば、コンパクトディスク及びデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカード又はメモリスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)などを挙げることができる。
【0133】
上記説明は例示的であることが意図され、制限的であることは意図されていない。例えば、前述の例(又はその1つ以上の態様)は、互いに組み合わせて使用され得る。別の実施形態は、当業者によって上記説明を検討する際などで使用され得る。要旨が37C.F.R.セクション1.72(b)に準拠して提供されて、読者は技術的開示の本質を迅速に確認することができる。要旨は、それが特許請求の範囲又は意味を解釈するか又は制限するのに使用されないものと理解して提示される。また、上記の発明を実施するための形態では、様々な特徴がグループ化されて、本開示を効率化し得る。これは、特許請求されていない開示された特徴が任意の特許請求の範囲に不可欠であるよう意図していると見なされるべきではない。むしろ、発明の主題は、特定の開示された実施形態の全特徴より少ない特徴にある場合がある。したがって、下記の特許請求の範囲は、本明細書によって、発明を実施するための形態に、例又は実施形態として組み込まれ、各特許請求の範囲は別個の実施形態としてそれ自体で存立し、そのような実施形態は、様々な組み合わせ及び順列において互いに組み合わせられ得ると考えられる。本発明の範囲は、そのような特許請求の範囲が権利を与えられている同等物の完全な範囲と共に、添付の特許請求の範囲を参照して決定されるべきである。
【0134】
付記及び実施例
以下の非限定的な例は、本主題の特定の態様を詳述し、特に、課題を解決し、本明細書で議論される利益を提供する。
【0135】
実施例1は、電気外科用器具との電気的な連通を介して生体組織に付与される電気エネルギーを生成するように構成された電気外科用発電機であり、電気外科用発電機は、作動して電気エネルギーを電気外科用器具に出力するように構成された電源と、電気外科用器具の一部分に堆積された浸食性コーティングに関連する抵抗値を測定するように構成された測定回路と、電源及び測定回路と連通する制御回路とを含み、制御回路は、浸食性コーティングの測定された抵抗値をコーティングの閾値抵抗値と比較し、そして、電源の作動を測定された抵抗値と閾値抵抗値との比較に基づいて制御するように構成される。
【0136】
実施例2では、実施例1の主題は、閾値抵抗値が、既知の抵抗値であって、浸食性コーティングが第1の状態から第2の状態に変化する前の浸食性コーティングの厚さに対応する既知の抵抗値、又はコーティングの開始抵抗値を表す前もって測定された抵抗値に対応する、ことを含む。
【0137】
実施例3では、実施例2の主題は、浸食性コーティングが、第1の状態において生体組織への表面付着を有し、それはコーティングが堆積される電気外科用器具の部分の材料の生体組織への表面付着よりも小さい、ことを含む。
【0138】
実施例4では、実施例1~3の主題は、浸食性コーティングが、ポリジメチルシロキサン、ヘキサジメチルジシロキサン、及びテトラメチルジシロキサンのうちの1つから選択される非粘着性疎水性層である、ことを含む。
【0139】
実施例5では、実施例1~4の主題は、測定された抵抗値及び閾値抵抗値が、抵抗、インピーダンス、又は位相角のうちの少なくとも1つを示し、制御回路が、測定された抵抗値を、電源の作動毎に閾値抵抗値と比較するように構成される、ことを含む。
【0140】
実施例6では、実施例1~5の主題は、制御回路が、測定された抵抗値が閾値抵抗値以下である場合に、電源の作動を阻止することによって電源の作動を制御するように構成される、ことを含む。
【0141】
実施例7では、実施例6の主題は、電気外科用発電機が、制御回路と電気的に連通するユーザインタフェースを含み、制御回路がユーザインタフェースに、電源の作動を阻止するときに可聴又は視覚的警告を出力させるように構成される、ことを含む。
【0142】
実施例8では、実施例1~7の主題は、電気外科用発電機が、制御回路と電気的に連通するユーザインタフェースを含み、制御回路がユーザインタフェースに、測定された抵抗値が基準抵抗値以下である場合に、可聴又は視覚的警告を出力させるように構成され、基準抵抗値は閾値抵抗値より大きい、ことを含む。
【0143】
実施例9では、実施例1~8の主題は、制御回路が、測定された抵抗値が所定のパーセンテージで閾値抵抗値以上である場合にタイマを開始し、タイマが経過した後に電源の作動を阻止するように構成される、ことを含む。
【0144】
実施例10では、実施例9の主題は、電気外科用発電機が、制御回路と電気的に連通するユーザインタフェースを含み、制御回路がユーザインタフェースに、タイマの開始時に可聴又は視覚的警告を出力させるように構成される、ことを含む。
【0145】
実施例11では、実施例1~10の主題は、制御回路が、測定された抵抗値が閾値抵抗値以上である場合に電源の作動の回数を計数し、電源作動の閾値回数が発生した後に電源の作動を阻止するように構成される、ことを含む。
【0146】
実施例12では、実施例1~11の主題は、測定された抵抗値が、複数の測定された抵抗値の平均値であり、制御回路が、複数の測定された抵抗値を保存し、複数の測定された抵抗値から平均値を周期的に計算するように構成される、ことを含む。
【0147】
実施例13では、実施例1~12の主題は、制御回路が、異なる電気外科用器具の閾値抵抗値を各々定義する複数のデータベースエントリを含むデータベースと電気的に連通しており、電気外科用器具が、制御回路によって個々のデータベースエントリに一致可能なデータを含有しているメモリを含む、ことを含む。
【0148】
実施例14では、実施例1~13の主題は、閾値抵抗値が、第1の状態から第2の状態に浸食性コーティングが変化する前の浸食性コーティングの厚さに浸食性コーティングが浸食されたときの、電気外科用器具内の導電性電気接触又は短絡に対応する抵抗値、又はコーティングの開始抵抗値を表す前もって測定された抵抗値である、ことを含む。
【0149】
実施例15は、電気外科用システムであり、電気外科用システムは、生体組織に電気エネルギーを付与するように構成された電気外科用器具、電気エネルギーを電気外科用器具に供給するための電気外科用発電機を備え、電気外科用発電機が、電気外科用器具を電気外科用発電機に電気的に結合するように構成された電気コネクタ、作動して電気エネルギーを電気外科用器具に出力するように構成された電源、電気外科用器具の一部分に堆積された浸食性コーティングの、電源の作動による浸食に関連する抵抗値を測定するように構成された測定回路、ならびに、電気外科用発電機内に配置された発電機構成要素及び電気外科用器具内に配置された機器構成要素を含む制御回路であって、浸食性コーティングの測定された抵抗値をコーティングの閾値抵抗値と比較し、電源の作動を測定された抵抗値と閾値抵抗値との比較に基づいて制御するように構成された、制御回路と、を含む。
【0150】
実施例16では、実施例15の主題は、それぞれ、発電機構成要素が制御回路のメモリあるいはRFID又はNFCトランシーバであり、機器構成要素がプログラム可能なメモリあるいはRFID又はNFCタグである、ことを含む。
【0151】
実施例17では、実施例15~16の主題は、浸食性コーティングが、組織の電気外科用器具への付着を防止するように構成された非粘着性コーティングを含み、浸食性コーティングの厚さが浸食されるように構成され、閾値抵抗値が、第1の状態から第2の状態に浸食性コーティングが変化する前の浸食性コーティングの最小厚さに対応し、制御回路が、最小厚さに関連する機器構成要素又は発電機構成要素に関する情報を保存するように構成される、ことを含む。
【0152】
実施例18では、実施例17の主題は、電気外科用器具が、開位置と閉位置との間で枢動可能な第1の顎部及び第2の顎部を含む鉗子であり、第1の顎部が第1の顎部から第2の顎部に向かって外側に延びる顎停止部を含み、顎停止部は、制御回路と電気的に連通し、第1の顎部及び第2の顎部が閉位置にあるときに第2の顎部に接触するように構成され、浸食性コーティングは、顎停止部、第1の顎部の一部分に沿って、第2の顎部の一部分に沿って、のうちの少なくとも1つに堆積される、ことを含む。
【0153】
実施例19では、実施例18の主題は、第1の顎部に沿って互いに対して横方向に離隔された複数の顎停止部を含み、複数の顎停止部の少なくとも1つが制御回路と電気的に連通し、複数の顎停止部の少なくとも1つが電気絶縁性である、ことを含む。
【0154】
実施例20では、実施例19の主題は、測定された抵抗値が、制御回路と電気的に連通する第1の顎停止部で測定された複数の測定された抵抗値の平均値であり、制御回路が、測定された抵抗値から平均値を計算するように構成される、ことを含む。
【0155】
実施例21では、実施例18~20の主題は、閾値抵抗値が、電気外科用器具内の導電性電気接触又は短絡に対応する抵抗値であり、顎停止部が、第1の顎部と顎停止部の遠位表面との間に延在する複数の導電性ストランドを含み、導電性ストランドが、浸食性コーティングが最小厚さまで浸食されたときに電気外科用器具内で導電性電気接触又は短絡を引き起こすように構成される、ことを含む。
【0156】
実施例22は、電気外科用発電機から相互接続された電気外科用器具への電気エネルギーの出力を、電気外科用器具に堆積された浸食性コーティングの厚さに基づいて制御するための方法であり、方法は、浸食性コーティングの厚さに対応する少なくとも1つの抵抗値を測定することと、少なくとも1つの測定された抵抗値を、浸食性コーティングが第1の状態から第2の状態に変化する前の浸食性コーティングの最小厚さに対応する閾値抵抗値と比較することと、測定された抵抗値が閾値抵抗値以下である場合、浸食性コーティングが最小厚さまで浸食されたと決定することと、電気外科用発電機の電源の作動を阻止して、電気エネルギーが電気外科用器具に出力されるのを防止することと、を含む。
【0157】
実施例23では、実施例22主題は、この方法が第1に、電気外科用発電機のメモリあるいはRFID又はNFCトランシーバと、電気外科用器具のメモリあるいはRFID又はNFCタグとの間でそれぞれに情報を交換することによって、閾値抵抗値を取得することを含む、ことを含む。
【0158】
実施例24では、実施例22~23の主題は、少なくとも1つの測定された抵抗値を閾値抵抗値と比較することが、電気外科用発電機によって電源の作動毎に実行される、ことを含む。
【0159】
実施例25では、実施例22~24の主題は、少なくとも1つの測定された抵抗値を閾値抵抗値と比較することが、複数の測定された抵抗値から平均抵抗値を計算することを含み、少なくとも1つの測定された抵抗値が平均抵抗値である、ことを含む。
【0160】
実施例26では、実施例22~25の主題は、浸食性コーティングが最小厚さまで浸食されたと決定することが、浸食性コーティングが最小厚さまで浸食されたことを示す情報を電気外科用器具のメモリあるいはRFID又はNFCタグに保存することを含む、ことを含む。
【0161】
実施例27では、実施例22~26の主題は、浸食性コーティングが最小厚さまで浸食されたと決定することが、可聴又は視覚的警告を生成することを含む、ことを含む。
【0162】
実施例28では、実施例22~27の主題は、浸食性コーティングが最小厚さまで浸食されたと決定することが、最小厚さに達する前にタイマを開始して、時間窓が経過したときに電気外科用発電機が電源の作動を阻止することを防止することを含む、ことを含む。
【0163】
実施例29では、実施例22~28の主題は、少なくとも1つの抵抗値を測定することが、第1の顎部及び第2の顎部を開位置から閉位置まで枢動させて、それらの間に位置する生体組織を係合させることを含む、ことを含む。
【0164】
実施例30では、実施例22~29の主題は、少なくとも1つの抵抗値を測定することが、第1の顎部及び第2の顎部を開位置から閉位置まで枢動させて、第1の顎部上に配置された第1の電極板を第2の顎部上に配置された第2の電極板に接触させることを含む、ことを含む。
【0165】
実施例31では、実施例22~30の主題は、浸食性コーティングが最小厚さまで浸食されたことを決定することが、電気外科用器具内の顎停止部で導電性電気接触又は短絡に対応する少なくとも1つの抵抗値を測定することを含む、ことを含む。
【0166】
実施例32は、命令を含む少なくとも1つの機械可読媒体であり、命令が処理回路によって実行されると、処理回路に実施例1~31のいずれかを実施するための動作を実行させる。
【0167】
実施例33は、実施例1~31のいずれかを実施するための手段を含む装置である。
【0168】
実施例34は、実施例1~31のいずれかを実施するためのシステムである。
【0169】
実施例35は、実施例1~31のいずれかを実施するための方法である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15