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7587570セラミックス回路基板、放熱部材及びアルミニウム-ダイヤモンド系複合体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】セラミックス回路基板、放熱部材及びアルミニウム-ダイヤモンド系複合体
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20241113BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
H05K1/02 R
H05K3/00 N
H05K3/00 P
H05K1/02 F
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022510653
(86)(22)【出願日】2021-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2021012500
(87)【国際公開番号】W WO2021193810
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2020055457
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】後藤 大助
(72)【発明者】
【氏名】太田 寛朗
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-130156(JP,A)
【文献】特開昭62-158034(JP,A)
【文献】特表2008-518384(JP,A)
【文献】国際公開第2010/007922(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/025497(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0009891(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110690176(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 3/00
B23K 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属層と、
前記金属層の表面に形成されたマーカ部と、
を備え、
前記マーカ部は、前記金属層の前記表面にレーザで形成された凹部であり、
前記凹部は、10μm以上200μm以下の幅及び10μm以上200μm以下の深さを有する、セラミックス回路基板。
【請求項2】
請求項1に記載のセラミックス回路基板において、
前記マーカ部は、一次元コード及び二次元コードのうちの少なくとも一方である、セラミックス回路基板。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のセラミックス回路基板において、
前記マーカ部は、前記セラミックス回路基板の製造条件を含む情報を示す、セラミックス回路基板。
【請求項4】
放熱部材であって、
放熱フィンが取り付けられる第1面と、
前記第1面の反対側にあって、マーカ部が形成された第2面と、
を備え、
前記マーカ部は、前記放熱部材の前記第2面にレーザで形成された凹部であり、
前記凹部は、10μm以上200μm以下の幅及び10μm以上200μm以下の深さを有する、放熱部材。
【請求項5】
請求項に記載の放熱部材において、
前記マーカ部は、一次元コード及び二次元コードのうちの少なくとも一方である、放熱部材。
【請求項6】
請求項又はに記載の放熱部材において、
前記マーカ部は、前記放熱部材の反りの向きを含む情報を示す、放熱部材。
【請求項7】
請求項からまでのいずれか一項に記載の放熱部材において、
前記マーカ部は、前記放熱部材の製造条件を含む情報を示す、放熱部材。
【請求項8】
ダイヤモンド粒子とアルミニウムを主成分とする金属とを含む平板状のアルミニウム-ダイヤモンド系複合体であって、
前記アルミニウム-ダイヤモンド系複合体は複合化部及び前記複合化部の両面に設けられた表面層からなり、
前記表面層がアルミニウムを主成分とする金属を含む材料からなり、
前記表面層の表面に形成されたマーカ部を備え、
前記マーカ部は、前記表面にレーザで形成された凹部であり、
前記凹部は、10μm以上200μm以下の幅及び10μm以上200μm以下の深さを有する、アルミニウム-ダイヤモンド系複合体。
【請求項9】
請求項に記載のアルミニウム-ダイヤモンド系複合体において、
前記マーカ部は、一次元コード及び二次元コードのうちの少なくとも一方である、アルミニウム-ダイヤモンド系複合体。
【請求項10】
請求項又はに記載のアルミニウム-ダイヤモンド系複合体において、
前記マーカ部は、前記アルミニウム-ダイヤモンド系複合体の製造条件を含む情報を示す、アルミニウム-ダイヤモンド系複合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス回路基板、放熱部材及びアルミニウム-ダイヤモンド系複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子部品として、セラミックス回路基板及び放熱部材が用いられている。セラミックス回路基板は、放熱部材上に搭載される。セラミックス回路基板上には、様々な電子素子、例えば、Si半導体素子等が搭載される。
【0003】
特許文献1には、セラミックス回路基板にマーカパターンを形成することが記載されている。マーカパターンは、例えば、レーザによって形成される。マーカパターンは、例えば、バーコード又はマトリクスコード状に並んでいる。マーカパターンは、セラミックス回路基板の、例えば、モデル、型特性、性能又は大きさを示している。
【0004】
特許文献2には、ヒートシンク等の放熱部材としてアルミニウム-ダイヤモンド系複合体が用いられることが記載されている。アルミニウム-ダイヤモンド系複合体は、ダイヤモンド粒子と、アルミニウムを主成分とする金属と、を含んでいる。アルミニウム-ダイヤモンド系複合体は、複合化部と、この複合化部の両面に設けられた表面層と、を含んでいる。表面層は、アルミニウムを主成分とする金属からなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許出願公開第3361504号明細書
【文献】国際公開第2010/007922号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子部品の製造プロセス等様々な場面において、電子部品に用いられる部材(例えば、セラミックス回路基板、放熱部材又はアルミニウム-ダイヤモンド系複合体)に関する情報を取得することが要求されることがある。
【0007】
本発明の目的の一例は、電子部品に用いられる部材に関する情報を新規な方法で取得することにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、
金属層と、
前記金属層の表面に形成されたマーカ部と、
を備えるセラミックス回路基板である。
【0009】
本発明の他の一態様は、
放熱部材であって、
放熱フィンが取り付けられる第1面と、
前記第1面の反対側にあって、マーカ部が形成された第2面と、
を備える放熱部材である。
【0010】
本発明のさらに他の一態様は、
ダイヤモンド粒子とアルミニウムを主成分とする金属とを含む平板状のアルミニウム-ダイヤモンド系複合体であって、
前記アルミニウム-ダイヤモンド系複合体は複合化部及び前記複合化部の両面に設けられた表面層からなり、
前記表面層がアルミニウムを主成分とする金属を含む材料からなり、
前記表面層の表面に形成されたマーカ部を備えるアルミニウム-ダイヤモンド系複合体である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、電子部品に用いられる部材に関する情報を新規な方法で取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1に係るセラミックス回路基板の上面図である。
図2図1に示したセラミックス回路基板の下面図である。
図3図1のA-A´断面図である。
図4】実施形態2に係る放熱部材の上面図である。
図5図4のB-B´断面図である。
図6】実施形態3に係るアルミニウム-ダイヤモンド系複合体の上面図である。
図7図6のC-C´断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0014】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るセラミックス回路基板100の上面図である。図2は、図1に示したセラミックス回路基板100の下面図である。図3は、図1のA-A´断面図である。
【0015】
図1から図3を用いて、セラミックス回路基板100の概要を説明する。セラミックス回路基板100は、マーカ部150を備えている。マーカ部150は、セラミックス回路基板100の表面に形成されている。マーカ部150から、セラミックス回路基板100に関する情報を取得することができる。
【0016】
図1から図3を用いて、セラミックス回路基板100の詳細を説明する。
【0017】
セラミックス回路基板100は、セラミックス基材110、金属層120(第1金属層122及び第2金属層124)及びマーカ部150を備えている。
【0018】
セラミックス回路基板100(セラミックス基材110)は、第1面102、第2面104及び側面(図1に示す例では、第1側面106a、第2側面106b、第3側面106c及び第4側面106d)を有している。第2面104は、第1面102の反対側にある。各側面は、第1面102及び第2面104の間にある。第2側面106bは、第1側面106aの反対側にある。第3側面106cは、第1側面106a及び第2側面106bの間にある。第4側面106dは、第3側面106cの反対側にある。図1及び図2に示す例において、セラミックス基材110の第1面102及び第2面104は、実質的に矩形形状を有している。この矩形は、厳密な矩形でなくてもよく、例えば、切片が形成された辺を有していてもよいし、又は丸まった角を有していてもよい。セラミックス基材110の第1面102及び第2面104は、矩形以外の形状を有していてもよい。
【0019】
セラミックス基材110は、例えば、AlN、Si又はAlで形成されている。セラミックス基材110の厚さは、例えば、0.2mm以上1.5mm以下である。
【0020】
第1金属層122は、セラミックス基材110の第1面102上に位置している。第2金属層124は、セラミックス基材110の第2面104上に位置している。第1金属層122は、金属パターン(例えば、回路パターン)を形成している。図1に示す例において、この金属パターンは、隣り合って並ぶ4つの矩形パターンを含んでいる。ただし、金属パターンは、この例に限定されるものではない。これに対して、第2金属層124は、セラミックス基材110の第2面104のほぼ全体に亘って広がっている。ただし、第2金属層124の面積は、第2面104の面積より、僅かだけ小さくなっている。第2金属層124の面積は、例えば、第2面104の面積の80%以上97%以下である。第1面102の面積に対する第1金属層122の面積の比は、第2面104の面積に対する第2金属層124の面積の比より小さくなっている。
【0021】
金属層120は、例えば、Cu、Al及びMoと、Cu及びMoを含む合金と、Cu及びWを含む合金と、からなる群より選ばれる少なくとも1種で形成されている。金属層120の厚さは、例えば、0.1mm以上2mm以下である。金属層120の表面には、めっきが施されていてもよい。金属層120の表面に施されるめっきは、例えば、Ni、Au、Ag及びCuからなる群より選ばれる少なくとも1種で形成されている。
【0022】
マーカ部150は、第1金属層122の表面に形成されている。ただし、マーカ部150は、第2金属層124表面に形成されていてもよいし、又は第1金属層122の表面及び第2金属層124の表面の双方に形成されていてもよい。金属層120(第1金属層122又は第2金属層124)の表面にめっきが施されている場合、マーカ部150は、めっきの表面に形成されていてもよいし、又はめっきによって覆われていてもよい。
【0023】
マーカ部150は、セラミックス回路基板100に関する情報を示している。
【0024】
一例において、セラミックス回路基板100に関する情報は、例えば、セラミックス回路基板100の製造条件を含む情報である。セラミックス回路基板100の製造条件を含む情報は、例えば、セラミックス回路基板100の製造に用いられた材料の品質又は量、セラミックス回路基板100の加熱の時間又は温度等を含む。この例においては、セラミックス回路基板100の製造条件を含む情報をマーカ部150から取得することで、セラミックス回路基板100のトレーサビリティを向上させることができる。
【0025】
マーカ部150の形状は、特定の形状に限定されない。図1に示す例では、マーカ部150は、例示的に、一次元コード(バーコード)となっている。マーカ部150は、二次元コードであってもよい。マーカ部150は、一次元コード及び二次元コードの双方であってもよい。マーカ部150が一次元コード及び二次元コードのうちの少なくとも一方であるとき、マーカ部150は、セラミックス回路基板100に関する多くの情報を含むことができる。他の例として、マーカ部150は、例えば、文字、数字及び記号からなる群から選択される少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0026】
マーカ部150は、セラミックス基材110の表面に形成された様々な構造を含むことができる。
【0027】
一例において、マーカ部150は、セラミックス基材110の金属層120(第1金属層122)の表面に形成された凹部である。凹部は、例えば、セラミックス基材110の金属層120(第1金属層122)の表面にレーザで形成されている。凹部は、レーザ以外の方法、例えば、エッチングによって形成されてもよい。レーザを用いることで、連続した工程のライン中に簡易に設備を追加できるため、新たな工程追加により生産性を害することなく簡便にマーカ部150を付与できる。また、レーザにより形成される凹部であれば1mm以上100mm以下と小さい領域にマーカ部(凹部)を形成できるため、製品の性能に影響しない狭い領域であっても容易にマーカ部(凹部)を付与できる。製品の性能に影響しない狭い領域としては、半田付けやワイヤボンディング等組み立てに使用しない箇所等を挙げることができる。また、レーザで形成されたマーカ部であれば製造過程で消失する可能性がほとんどなく、製品になり長期間使用後であっても情報を取得することができる。特にレーザで二次元コード等のコードを形成することで、小さなマーカ部であっても多くの情報を記録することができる。レーザであれば、例えば、幅10μm以上200μm以下、深さ10μm以上200μm以下の凹部を形成できるため、小さな領域にコードを形成することができる。これらのレーザにより形成された凹部は、他の実施形態においても有用である。
【0028】
他の例において、マーカ部150は、塗料によって形成されてもよい。塗料は、例えば、ソルダーレジストであり、例えば、インクジェットによって塗布される。
【0029】
(実施形態2)
図4は、実施形態2に係る放熱部材200の上面図である。図5は、図4のB-B´断面図である。
【0030】
図4及び図5を用いて、放熱部材200の概要を説明する。放熱部材200は、第1面202及び第2面204を備えている。第2面204は、第1面202の反対側にある。第1面202には、グリス212を介して、放熱フィン210が取り付けられている。放熱フィン210は、第2面204上にセラミックス回路基板(例えば、実施形態1のセラミックス回路基板100)(不図示)を介して、Si半導体素子等の電子素子(不図示)を搭載して、放熱部材200、セラミックス回路基板及び電子素子によってパワーモジュールが形成された後、グリス212を介して第1面202に取り付けられる。この場合、放熱フィン210は、放熱部材200の第1面202にネジ止めされていてもよい。第2面204には、マーカ部250が形成されている。マーカ部250から、放熱部材200に関する情報を取得することができる。さらに、マーカ部250が放熱フィン210とは反対側の面(第2面204)に形成されているため、放熱部材200から放熱フィン210にかけての熱伝導をマーカ部250が妨げないようになっている。
【0031】
図4及び図5を用いて、放熱部材200の詳細を説明する。
【0032】
放熱部材200は、第1面202、第2面204及び側面(図4に示す例では、第1側面206a、第2側面206b、第3側面206c及び第4側面206d)を有している。各側面は、第1面202及び第2面204の間にある。第2側面206bは、第1側面206aの反対側にある。第3側面206cは、第1側面206a及び第2側面206bの間にある。第4側面206dは、第3側面206cの反対側にある。図4に示す例において、放熱部材200の第2面204は、実質的に矩形形状を有している。この矩形は、厳密な矩形でなくてもよく、例えば、切片が形成された辺を有していてもよいし、又は丸まった角を有していてもよい。放熱部材200の第2面204は、矩形以外の形状を有していてもよい。
【0033】
放熱部材200は、例えば、Al又はMgを主成分(例えば85質量%以上)とする金属と、SiC、Si、Al、SiO及びAlNからなる群より選ばれる少なくとも1種とからなる金属基複合体、Cu及びMo若しくはCu及びWを含む合金(例えば、Cu/Mo、Cu/W合金)、又は、Cu及びMo若しくはCu及びWで形成された多層金属板(Cu/Mo、Cu/W多層金属板)からなっている。放熱部材200の線膨張係数は、例えば、5×10-6/K以上9×10-6/K以下である。放熱部材200の熱伝導率は、例えば、150W/mK以上である。
【0034】
放熱部材200の表面(例えば、第1面202、第2面204、第1側面206a、第2側面206b、第3側面206c及び第4側面206d)には、めっきが施されていることが好ましい。放熱部材200の表面に施されるめっきは、例えば、Ni、Au、Ag及びCuからなる群より選ばれる少なくとも1種で形成されている。放熱部材200の表面にめっきが施されている場合、マーカ部250は、めっきの表面に形成されていてもよいし、又はめっきによって覆われていてもよい。
【0035】
マーカ部250は、放熱部材200に関する情報を示している。
【0036】
一例において、放熱部材200に関する情報は、例えば、放熱部材200の反りの向きを含む情報である。例えば、放熱部材200が第2面204から第1面202にかけて凸に反っているとき、マーカ部250は第2面204側に位置することが好ましい。仮に、放熱部材200が第1面202から第2面204にかけて凸に反っている場合において放熱フィン210が第1面202に取り付けられていると、放熱フィン210が放熱部材200に良好に接触せず、放熱フィン210による良好な放熱が実現されない。これに対して、放熱部材200が第2面204から第1面202にかけて凸に反っている場合において放熱フィン210が第1面202に取り付けられていると、放熱フィン210が放熱部材200に良好に接触して、放熱フィン210による良好な放熱が実現される。放熱部材200が第2面204から第1面202にかけて凸に反っている場合においてマーカ部250が第2面204側に位置していると、電子部品の製造者は、マーカ部250の反対側の面(すなわち、第1面202)に放熱フィン210が取り付けられることが好ましいことを判断することができる。
【0037】
他の例において、放熱部材200に関する情報は、例えば、放熱部材200の製造条件を含む情報である。放熱部材200の製造条件を含む情報は、例えば、放熱部材200の製造に用いられた材料の品質又は量、放熱部材200の加熱の時間又は温度等を含む。この例においては、放熱部材200の製造条件を含む情報をマーカ部250から取得することで、放熱部材200のトレーサビリティを向上させることができる。
【0038】
マーカ部250の形状は、特定の形状に限定されない。図4に示す例では、マーカ部250は、例示的に、一次元コード(バーコード)となっている。マーカ部250は、二次元コードであってもよい。マーカ部250は、一次元コード及び二次元コードの双方であってもよい。マーカ部250が一次元コード及び二次元コードのうちの少なくとも一方であるとき、マーカ部250は、放熱部材200に関する多くの情報を含むことができる。他の例として、マーカ部250は、例えば、文字、数字及び記号からなる群から選択される少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0039】
マーカ部250は、放熱部材200の表面に形成された様々な構造を含むことができる。
【0040】
一例において、マーカ部250は、放熱部材200の表面(第2面204)に形成された凹部である。凹部は、例えば、放熱部材200の表面(第2面204)にレーザで形成されている。凹部は、レーザ以外の方法、例えば、エッチングによって形成されてもよい。
【0041】
他の例において、マーカ部250は、塗料によって形成されてもよい。塗料は、例えば、実施形態1のマーカ部150に用いられた塗料と同じにすることができる。
【0042】
(実施形態3)
図6は、実施形態3に係るアルミニウム-ダイヤモンド系複合体300の上面図である。図7は、図6のC-C´断面図である。
【0043】
図6及び図7用いて、アルミニウム-ダイヤモンド系複合体300の概要を説明する。アルミニウム-ダイヤモンド系複合体300は、ダイヤモンド粒子とアルミニウムを主成分とする金属とを含む平板である。アルミニウム-ダイヤモンド系複合体300は、複合化部310及び複合化部310の両面に設けられた表面層320(第1表面層322及び第2表面層324)からなっている。表面層320は、アルミニウムを主成分とする金属を含む材料からなっている。アルミニウム-ダイヤモンド系複合体300は、マーカ部350を備えている。マーカ部350は、表面層320の表面に形成されている。マーカ部350から、アルミニウム-ダイヤモンド系複合体300に関する情報を取得することができる。
【0044】
図6及び図7用いて、アルミニウム-ダイヤモンド系複合体300の詳細を説明する。
【0045】
アルミニウム-ダイヤモンド系複合体300は、第1面302、第2面304及び側面(図6に示す例では、第1側面306a、第2側面306b、第3側面306c及び第4側面306d)を有している。第2面304は、第1面302の反対側にある。各側面は、第1面302及び第2面304の間にある。第2側面306bは、第1側面306aの反対側にある。第3側面306cは、第1側面306a及び第2側面306bの間にある。第4側面306dは、第3側面306cの反対側にある。図6に示す例において、アルミニウム-ダイヤモンド系複合体300の第1面302は、実質的に矩形形状を有している。この矩形は、厳密な矩形でなくてもよく、例えば、切片が形成された辺を有していてもよいし、又は丸まった角を有していてもよい。アルミニウム-ダイヤモンド系複合体300の第1面302は、矩形以外の形状を有していてもよい。
【0046】
アルミニウム-ダイヤモンド系複合体300の厚さは、例えば、0.4mm以上6mm以下である。
【0047】
複合化部310は、ダイヤモンド粒子と、アルミニウム合金と、の複合化部である。ダイヤモンド粒子の含有量は、アルミニウム-ダイヤモンド系複合体300の全体積に対して例えば40体積%以上75体積%以下となっている。アルミニウム合金は、アルミニウムを主成分とする金属である。アルミニウム合金は、アルミニウム合金の全質量に対して例えば75質量%以上のアルミニウムを含んでいる。アルミニウム合金は、アルミニウム合金の全質量に対して5質量%以上25質量%以下のシリコンを含んでいてもよい。アルミニウム合金は、マグネシウムをさらに含んでいてもよい。
【0048】
表面層320は、アルミニウムを主成分とする金属を含む材料からなっている。表面層320は、表面層320の全体積に対して例えば80体積%以上の当該金属を含んでいる。表面層320の表面粗さRaは、例えば、1μm以下となっている。表面層320の表面には、Niめっき層又はNiめっきとAuめっきの2層が例えば0.5μm以上10μm以下の厚さ形成されていてもよい。
【0049】
マーカ部350は、アルミニウム-ダイヤモンド系複合体300に関する情報を示している。
【0050】
一例において、アルミニウム-ダイヤモンド系複合体300に関する情報は、例えば、アルミニウム-ダイヤモンド系複合体300の製造条件を含む情報である。アルミニウム-ダイヤモンド系複合体300の製造条件を含む情報は、例えば、アルミニウム-ダイヤモンド系複合体300の製造に用いられた材料の品質又は量、アルミニウム-ダイヤモンド系複合体300の加熱の時間又は温度等を含む。この例においては、アルミニウム-ダイヤモンド系複合体300の製造条件を含む情報をマーカ部350から取得することで、アルミニウム-ダイヤモンド系複合体300のトレーサビリティを向上させることができる。
【0051】
マーカ部350の形状は、特定の形状に限定されない。図6に示す例では、マーカ部350は、例示的に、一次元コード(バーコード)となっている。マーカ部350は、二次元コードであってもよい。マーカ部350は、一次元コード及び二次元コードの双方であってもよい。マーカ部350が一次元コード及び二次元コードのうちの少なくとも一方であるとき、マーカ部350は、アルミニウム-ダイヤモンド系複合体300に関する多くの情報を含むことができる。他の例として、マーカ部350は、例えば、文字、数字及び記号からなる群から選択される少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0052】
マーカ部350、アルミニウム-ダイヤモンド系複合体300の表面に形成された様々な構造を含むことができる。
【0053】
一例において、マーカ部350は、アルミニウム-ダイヤモンド系複合体300の表面に形成された凹部である。凹部は、例えば、アルミニウム-ダイヤモンド系複合体300にレーザで形成されている。凹部は、レーザ以外の方法、例えば、エッチングによって形成されてもよい。
【0054】
他の例において、マーカ部350は、塗料によって形成されてもよい。塗料は、例えば、実施形態1のマーカ部150に用いられた塗料と同じにすることができる。
【0055】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 金属層と、
前記金属層の表面に形成されたマーカ部と、
を備えるセラミックス回路基板。
2. 1.に記載のセラミックス回路基板において、
前記マーカ部は、前記金属層の前記表面にレーザで形成された凹部である、セラミックス回路基板。
3. 1.に記載のセラミックス回路基板において、
前記マーカ部は、塗料によって形成されている、セラミックス回路基板。
4. 1.から3.までのいずれか一つに記載のセラミックス回路基板において、
前記マーカ部は、一次元コード及び二次元コードのうちの少なくとも一方である、セラミックス回路基板。
5. 1.から4.までのいずれか一つに記載のセラミックス回路基板において、
前記マーカ部は、前記セラミックス回路基板の製造条件を含む情報を示す、セラミックス回路基板。
6. 放熱部材であって、
放熱フィンが取り付けられる第1面と、
前記第1面の反対側にあって、マーカ部が形成された第2面と、
を備える放熱部材。
7. 6.に記載の放熱部材において、
前記マーカ部は、前記放熱部材の前記第2面にレーザで形成された凹部である、放熱部材。
8. 6.に記載の放熱部材において、
前記マーカ部は、塗料によって形成されている、放熱部材。
9. 6.から8.までのいずれか一つに記載の放熱部材において、
前記マーカ部は、一次元コード及び二次元コードのうちの少なくとも一方である、放熱部材。
10. 6.から9.までのいずれか一つに記載の放熱部材において、
前記マーカ部は、前記放熱部材の反りの向きを含む情報を示す、放熱部材。
11. 6.から10.までのいずれか一つに記載の放熱部材において、
前記マーカ部は、前記放熱部材の製造条件を含む情報を示す、放熱部材。
12. ダイヤモンド粒子とアルミニウムを主成分とする金属とを含む平板状のアルミニウム-ダイヤモンド系複合体であって、
前記アルミニウム-ダイヤモンド系複合体は複合化部及び前記複合化部の両面に設けられた表面層からなり、
前記表面層がアルミニウムを主成分とする金属を含む材料からなり、
前記表面層の表面に形成されたマーカ部を備えるアルミニウム-ダイヤモンド系複合体。
13. 12.に記載のアルミニウム-ダイヤモンド系複合体において、
前記マーカ部は、前記表面にレーザで形成された凹部である、アルミニウム-ダイヤモンド系複合体。
14. 12.に記載のアルミニウム-ダイヤモンド系複合体において、
前記マーカ部は、塗料によって形成されている、アルミニウム-ダイヤモンド系複合体。
15. 12.から14.までのいずれか一つに記載のアルミニウム-ダイヤモンド系複合体において、
前記マーカ部は、一次元コード及び二次元コードのうちの少なくとも一方である、アルミニウム-ダイヤモンド系複合体。
16. 12.から15.までのいずれか一つに記載のアルミニウム-ダイヤモンド系複合体において、
前記マーカ部は、前記アルミニウム-ダイヤモンド系複合体の製造条件を含む情報を示す、アルミニウム-ダイヤモンド系複合体。
【0056】
この出願は、2020年3月26日に出願された日本出願特願2020-055457号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0057】
100 セラミックス回路基板
102 第1面
104 第2面
106a 第1側面
106b 第2側面
106c 第3側面
106d 第4側面
110 セラミックス基材
120 金属層
122 第1金属層
124 第2金属層
150 マーカ部
200 マーカ
200 放熱部材
202 凹部
202 第1面
204 第2面
206a 第1側面
206b 第2側面
206c 第3側面
206d 第4側面
210 放熱フィン
212 グリス
250 マーカ部
302 第1面
304 第2面
306a 第1側面
306b 第2側面
306c 第3側面
306d 第4側面
310 複合化部
320 表面層
322 第1表面層
324 第2表面層
350 マーカ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7