(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】光学式ライトガイドを有する身分証明ドキュメント
(51)【国際特許分類】
B42D 25/351 20140101AFI20241113BHJP
B42D 25/23 20140101ALI20241113BHJP
B42D 25/309 20140101ALI20241113BHJP
B42D 25/305 20140101ALI20241113BHJP
B42D 25/328 20140101ALI20241113BHJP
【FI】
B42D25/351
B42D25/23
B42D25/309
B42D25/305 100
B42D25/328 100
(21)【出願番号】P 2022544743
(86)(22)【出願日】2020-01-27
(86)【国際出願番号】 EP2020051881
(87)【国際公開番号】W WO2021151460
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】521208228
【氏名又は名称】オレル フュースリ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】マルティン アイヒェンベルガー
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム バセ
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-514200(JP,A)
【文献】特開2007-203568(JP,A)
【文献】特開2019-195916(JP,A)
【文献】国際公開第2017/217428(WO,A1)
【文献】特表2013-536100(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0056972(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 15/02
B42D 25/00-25/485
G07D 7/00- 7/207
G02B 5/18
G02B 5/32
G02B 6/00- 6/54
G06K 19/00-19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身分証明ドキュメントであって、
前記ドキュメントの所有者を身分証明するパーソナライズ情報(22~28)を担持するパーソナライズ領域(20)と、
一次インカプラ(14)および一次アウトカプラ(16)を備える光学式ライトガイド(12)と、
を有し、
前記ライトガイド(12)は前記一次インカプラ(14)と前記一次アウトカプラ(16)との間に保護領域(18)を形成し、前記保護領域(18)は前記パーソナライズ領域(20)の少なくとも一部と重なっている、
ドキュメントにおいて、
前記一次インカプラ(14)は、
前記パーソナライズ領域(20)の第1の縁(34)の横方向外側に、または
前記パーソナライズ領域(20)の第1の縁(34)と重なるように、または
前記パーソナライズ領域(20)内に完全に、
配置されており、
前記ライトガイド(12)が前記保護領域(18)に二次アウトカップリング構造(40)を備え、
前記二次アウトカップリング構造(40)は、前記保護領域(18)の20%以下をカバーし、
前記保護領域(18)は、前記一次インカプラ(14)と前記一次アウトカプラ(16)との間の方向(X)に、距離Lにわたり拡がっており、
前記保護領域(18)内の任意の点(P)について、前記二次アウトカップリング構造(40)までの最短距離(d)がL/3未満である、
ことを特徴とする、ドキュメント。
【請求項2】
前記ライトガイド(12)は、前記ドキュメントの頂底方向に関し、前記パーソナライズ領域(20)よりも下に配置されている、請求項1に記載のドキュメント。
【請求項3】
前記ライトガイド(12)は、前記ドキュメントの頂底方向に関し、前記パーソナライズ領域(20)よりも上に配置されている、請求項1に記載のドキュメント。
【請求項4】
前記ライトガイド(12)は前記パーソナライズ領域(20)を完全に横切って拡がっている、請求項1から3までのいずれか1つに記載のドキュメント。
【請求項5】
前記一次アウトカプラ(16)は、
前記パーソナライズ領域(20)の第2の縁(36)の横方向外側に、または
前記パーソナライズ領域(20)の第2の縁(36)と重なるように、または
前記パーソナライズ領域(20)内に完全に、
配置されている、
請求項1から4までのいずれか1つに記載のドキュメント。
【請求項6】
前記第1の縁(34)が前記第2の縁(36)と異なっている、請求項5に記載のドキュメント。
【請求項7】
前記一次インカプラ(14)または前記一次アウトカプラ(16)が、前記パーソナライズ領域(20)の20%以下と重なっている、請求項1から6までのいずれか1つに記載のドキュメント。
【請求項8】
前記一次インカプラ(14)または前記一次アウトカプラ(16)が前記パーソナライズ領域(20)と重ならない、請求項7に記載のドキュメント。
【請求項9】
前記ライトガイド(12)が、前記保護領域(18)または前記パーソナライズ領域(20)において、インカップリングまたはアウトカップリング構造を備えていない、請求項1から8までのいずれか1つに記載のドキュメント。
【請求項10】
前記二次アウトカップリング構造(40)が、前記保護領域内に少なくとも1つの線状のアウトカプラ要素(42)を備え、前記線状のアウトカプラ要素(42)は、少なくとも5mmの長さ(v)を有し、1mm以下の幅(w)を有する、請求項1に記載のドキュメント。
【請求項11】
前記保護領域(18)における前記パーソナライズ情報(22~28)と前記パーソナライズ領域(20)との間の重なりが少なくとも1cm
2である、請求項1から10までのいずれか1つに記載のドキュメント。
【請求項12】
前記距離Lが少なくとも1cmである、請求項1から11までのいずれか1つに記載のドキュメント。
【請求項13】
前記ドキュメントの頂底方向に関し、前記パーソナライズ領域(20)よりも上に配置された第1のライトガイド(12a)と、前記パーソナライズ領域(20)よりも下に配置された第2のライトガイド(12b)とを有する、請求項1から12までのいずれか1つに記載のドキュメント。
【請求項14】
身分証明ドキュメントであって、
前記ドキュメントの所有者を身分証明するパーソナライズ情報(22~28)を担持するパーソナライズ領域(20)と、
一次インカプラ(14)および一次アウトカプラ(16)を備える光学式ライトガイド(12)と、
を有し、
前記ライトガイド(12)は前記一次インカプラ(14)と前記一次アウトカプラ(16)との間に保護領域(18)を形成し、前記保護領域(18)は前記パーソナライズ領域(20)の少なくとも一部と重なっており、
前記一次インカプラ(14)は、
前記パーソナライズ領域(20)の第1の縁(34)の横方向外側に、または
前記パーソナライズ領域(20)の第1の縁(34)と重なるように、または
前記パーソナライズ領域(20)内に完全に、
配置されており、
前記パーソナライズ領域(20)において、前記保護領域(18)が、前記ドキュメントの所有者の写真(26)を含む少なくとも1つの情報キャリア(22~28)と重なって
おり、
前記ドキュメントは、前記ドキュメントの頂底方向に関し、前記パーソナライズ領域(20)よりも上に配置された第1のライトガイド(12a)と、前記パーソナライズ領域(20)よりも下に配置された第2のライトガイド(12b)とを有する、
ドキュメント。
【請求項15】
前記保護領域(18)が前記情報キャリア(22~28)のいくつかと重なっている、請求項
14に記載のドキュメント。
【請求項16】
前記保護領域(18)が少なくとも1つの前記情報キャリア(22~28)と完全に重なっている、請求項
14または
15のいずれか1つに記載のドキュメント。
【請求項17】
前記ドキュメントの頂底方向に見て、前記第1および第2のライトガイド(12a、12b)の前記一次インカプラ(14a、14b)が互いに重なっている、請求項
14に記載のドキュメント。
【請求項18】
前記ドキュメントの頂底方向に見て、前記第1および第2のライトガイド(12a、12b)の前記一次アウトカプラ(16a、16b)が重なっていない領域を有する、請求項
14から17のいずれか1つに記載のドキュメント。
【請求項19】
前記ドキュメントの頂底方向に見て、前記第1および第2のライトガイド(12a、12b)の前記一次アウトカプラ(16a、16b)が相補的な形状を有する、請求項
14から18のいずれか1つに記載のドキュメント。
【請求項20】
前記一次インカプラおよび前記一次アウトカプラ(14、16)に加えて、反射で見える、さらなるセキュリティ要素(50)を備える、請求項1から19までのいずれか1つに記載のドキュメント。
【請求項21】
前記一次インカプラ(14)または前記一次アウトカプラ(16)の位置に配置された少なくとも1つの窓(52、54)を備える、請求項1から20までのいずれか1つに記載のドキュメント。
【請求項22】
身分証明ドキュメントであって、
前記ドキュメントの所有者を身分証明するパーソナライズ情報(22~28)を担持するパーソナライズ領域(20)と、
一次インカプラ(14)および一次アウトカプラ(16)を備える光学式ライトガイド(12)と、
を有し、
前記ライトガイド(12)は前記一次インカプラ(14)と前記一次アウトカプラ(16)との間に保護領域(18)を形成し、前記保護領域(18)は前記パーソナライズ領域(20)の少なくとも一部と重なっている、
ドキュメントにおいて、
前記一次インカプラ(14)は、
前記パーソナライズ領域(20)の第1の縁(34)の横方向外側に、または
前記パーソナライズ領域(20)の第1の縁(34)と重なるように、または
前記パーソナライズ領域(20)内に完全に、
配置されており、
前記ドキュメントは、前記ドキュメントの頂底方向に関し、前記パーソナライズ領域(20)よりも上に配置された第1のライトガイド(12a)と、前記パーソナライズ領域(20)よりも下に配置された第2のライトガイド(12b)とを有する、
ことを特徴とする、ドキュメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、身分証明ドキュメントであって、前記ドキュメントの所有者を識別又は身分証明する情報、例えば、名前データ、出生の日および/もしくは場所、写真、ならびに/または、所有者の身分証明データを担持する電子データキャリア、を担持するパーソナライズ領域を有するドキュメントに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
このタイプの身分証明ドキュメントは、例えば特許文献1又は2から公知である。
【0003】
例えば光学効果を生成するためのかつパーソナライズ情報を改ざんから保護するためのエンボス加工またはホログラムを搭載したセキュリティフォイルを使用して、このようなドキュメントのパーソナライズ領域をカバーすることが公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】欧州特許第0364730号明細書
【文献】米国特許出願第2003/0129345号明細書
【発明の概要】
【0005】
発明の開示
本発明によって解決されるべき問題は、パーソナライズ領域の少なくとも一部の保護を改善することである。
【0006】
この問題は、請求項1の身分証明ドキュメントによって解決される。
【0007】
したがって、身分証明ドキュメントは、以下を備える。
パーソナライズ領域:この領域は、ドキュメントの所有者を身分証明又は識別する情報、例えば、名前データ(名前および/または署名を含んでもよい)、出生の日および/または場所、パーソナライズ情報を含むデータキャリア、および/または、写真、を担持する。
一次インカプラおよび一次アウトカプラを備える光学式ライトガイド(導光体):一次インカプラおよび一次アウトカプラは、有利には、光が一次インカプラにおいて(直接または蛍光プロセスを介して)ライトガイドにインカップリング(取り込み)できるように、かつ、ライトガイドによりガイドされた光が一次アウトカプラにおいて(直接または蛍光プロセスを介して)ライトガイドからアウトカップリング(取り出し)できるように、構成される。ライトガイドは一次インカプラと一次アウトカプラとの間に保護領域を形成し、この保護領域はパーソナライズ領域の少なくとも一部と重なっている。
【0008】
偽造者がライトガイドを介してパーソナライズ領域へのアクセスを試みると、保護領域が損傷される可能性が高く、このことは、一次インカプラに光をインカップリングし、一次アウトカプラに光が存在するかどうかを確認することで検出することができる。
【0009】
したがって、ライトガイド、特にその保護領域は、パーソナライズ領域の少なくとも一部に対する改ざん防止シールを形成してもよい。
【0010】
「と重なっている」という用語は、保護領域の少なくとも一部がパーソナライズ領域の上または下に配置されてパーソナライズ領域上のパーソナライズ情報と重なっている、ということを理解されたい。
【0011】
「上」および「頂」という用語は、ドキュメントの、パーソナライズ情報が見える表面を示す。この情報がドキュメントの両面から見える場合には、頂面はこれらの表面のうちの一方を示し、有利には、より多くのパーソナライズ情報が見えるほうの表面を示す。
【0012】
「下」および「底」という用語は、ドキュメントの、頂面の反対側にある表面を示し、つまり、底面は頂面よりも下にあり、頂面は下面よりも上にある。
【0013】
有利には、パスポートについては、頂面および下面は、パーソナライズ情報を含む1又は複数のデータページの表面として、理解されるべきである。
【0014】
有利には、ライトガイドはパーソナライズ領域を完全に横切って拡がっている。有利には、ライトガイドは、少なくともドキュメントの第1の横方向側部から第2の横方向側部まで拡がることができる。この文脈において、「横方向」は、頂底方向に垂直な任意の方向を示す。
【0015】
一次インカプラを、パーソナライズ領域の横方向の第1の側に配置してもよい。このことは、一次インカプラの少なくとも一部がパーソナライズ領域の外側に配置されている(つまり、重なっていない)ことを意味する。有利には、一次インカプラを:
パーソナライズ領域の第1の縁の横方向外側に(つまり、パーソナライズ領域の外側に配置され、パーソナライズ領域の第1の縁と重ならない)、または
パーソナライズ領域の第1の縁に重ねて、
配置してもよい。
【0016】
どちらの場合も、「第1の縁」は、第1の側におけるパーソナライズ領域の縁である。
【0017】
同様に、一次アウトカプラを、パーソナライズ領域の横方向の第2の側に配置してもよい。このことは、一次アウトカプラの少なくとも一部がパーソナライズ領域の外側に配置されている(つまり、重なっていない)ことを意味する。有利には、一次アウトカプラを:
パーソナライズ領域の第2の縁の横方向外側に(つまり、パーソナライズ領域の外側に配置され、パーソナライズ領域の第2の縁と重ならない)、または
パーソナライズ領域の第2の縁に重ねて、
配置してもよい。
【0018】
どちらの場合も、「第2の縁」は第2の側におけるパーソナライズ領域の縁である。
【0019】
有利には、かつ、これらの実施形態を組み合わせる場合には、一次インカプラと一次アウトカプラとの間のライトガイドがこれらの側の間のパーソナライズ領域を横切って拡がるように、第1の側は第2の側と異なっている。
【0020】
特に、第1の側は第2の側に対向して配置され、これにより、ライトガイドがパーソナライズ領域の径方向部分全体を保護することが可能になる。
【0021】
一タイプの実施形態では、一次インカプラおよび/またはアウトカプラを、パーソナライズ領域に(すなわち、重ねて)配置してもよい。一次インカプラおよび/またはアウトカプラをパーソナライズ領域内に完全に配置してもよい。
【0022】
一次インカプラおよび/またはアウトカプラがパーソナライズ領域と少なくとも部分的に重なっていると、かつ/または、パーソナライズ領域内に完全に配置されていると、偽の写真のような偽のパーソナライズ情報キャリアでパーソナライズ領域を単純にカバーすることは困難になる。
【0023】
パーソナライズ領域への視認を妨げないようにするために、パーソナライズ領域に対する一次インカプラおよび/または一次アウトカプラの重なりは有利には小さい。したがって、一次インカプラおよび/または一次アウトカプラは、パーソナライズ領域の20%以下、特に10%以下と重なる。有利には、一次インカプラおよび/または一次アウトカプラは、パーソナライズ領域とまったく重ならない。
【0024】
一実施形態では、ライトガイドは、パーソナライズおよび/または保護領域にインカップリングおよび/またはアウトカップリング構造を備えていない、すなわち、光をライトガイドにインカップリングするための、および/または、光をライトガイドからアウトカップリングするための構造がパーソナライズおよび/または保護領域内に存在しない。これにより、保護領域の場所にあるパーソナライズ領域が遮られることなく視認でき、この位置においてライトガイドが実質的に見えなくなってもよい。ただし、ライトガイドを介して(つまり、重なっている領域で)パーソナライズ領域にアクセスしようとすると、ライトガイドの導光特性が影響を受けるので、このような構成でもパーソナライズ領域と重なる保護領域が提供される。
【0025】
別の実施形態では、ライトガイドは、保護領域に(一次アウトカプラに加えて)二次アウトカップリング構造を備えてもよい。二次アウトカップリング構造は、次の条件を満たす。
保護領域の20%以下、特に10%以下をカバーする。
保護領域内の任意の位置について、二次アウトカプラまでの最短距離dがL/3未満である。この文脈において、Lは、一次インカプラと一次アウトカプラの間の方向の保護領域の拡張である。
【0026】
これらの2つの条件により、二次アウトカップリング構造が保護領域の比較的小さな部分を使用することが保証され、しかしながら、ある意味では、本開示で「スパース」アウトカプラと呼ばれる組み合わせが領域上に分散される。このようなスパースアウトカプラにより、小さなアウトカプラの範囲でもって比較的大きな領域を保護することが可能になる。これとは対照的に、一次アウトカプラは集中して密集していてもよく、これにより見やすくなり、しかしながら、より広い領域をカバーするのにはあまり適していない。
【0027】
一実施形態では、パーソナライズ領域において、保護領域は、以下の情報キャリアのうちの少なくとも1つと重なっている:
ドキュメントの所有者の名前データを有する書き込み、
ドキュメントの所有者の誕生日を有する書き込み、
ドキュメントの所有者の写真、および/または
所有者の身分証明データを担持した電子データキャリア。
【0028】
有利には、保護領域はこれらの情報キャリアのうちのいくつかと重なっている。
【0029】
有利には、保護領域は、そのような情報キャリアの少なくとも1つと完全に重なっている、すなわち、少なくとも一方の側で、情報キャリアは、情報キャリアに完全にアクセスできないように、保護領域によって完全に裏打ちされる。
【0030】
ライトガイドをパーソナライズ領域の下または上に配置してもよく、ここで「下」および「上」はすでに定義したものである。これにより、特定の側からパーソナライズ領域へのアクセスを、より困難にするのが可能になる。
【0031】
ドキュメントはまた、パーソナライズ領域の上に配置された第1のライトガイドと、パーソナライズ領域の下に配置された第2のライトガイドとを備えてもよく、この場合、パーソナライズ領域を両側から保護してもよい。
【0032】
ドキュメントは、例えば、パスポートまたはその一部であってもよく、または、身分証明カード、アクセスカードなどであってもよい。
【0033】
図面の簡単な説明
以下の詳細な説明を考慮すれば、本発明がさらによく理解され、上記以外の目的が明らかになるであろう。そのような説明は、以下の添付図面を参照している。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、身分証明ドキュメントの第1の実施形態の頂面図である。
【0035】
【
図2】
図2は、
図1の線II-IIに沿った(縮尺どおりでない)断面図である。
【0036】
【0037】
【0038】
【
図5】
図5は、身分証明ドキュメントの第4の実施形態の頂面図である。
【0039】
【
図6】
図6は、
二次アウトカプラを備えた身分証明ドキュメントの第5の実施形態の頂面図である。
【0040】
【
図8】
図8は、身分証明ドキュメントの第6の実施形態の頂面図を示す。
【0041】
【
図9】
図9は、窓を備えた身分証明ドキュメントの第6の実施形態の頂面図を示す。
【0042】
【発明を実施するための形態】
【0043】
発明を実施するための態様
第1の実施形態および包括的特徴
図1および2は、身分証明ドキュメントの第1の実施形態を示している。身分証明ドキュメントはキャリア10を備え、キャリア10は例えば紙および/またはプラスチック製であってよい。それは、柔軟性があってもよく、剛性があってもよい。
【0044】
図1および2に示す身分証明ドキュメントは、例えば、クレジットカードサイズのIDカード、パーソナライズアクセスカードであってよく、または、パスポートのパーソナライズページであってもよい。
【0045】
キャリア10は、目に見えるマーキング、特に書き込みまたはグラフィック要素などの印刷されたマーキング、および、任意の適切なセキュリティ機能を担持してもよい。さらに、キャリア10は、少なくとも1つのライトガイド12を担持し、これは、例えば、透明なプラスチックのフィルムであってよい。一般に、ライトガイドは、薄い、実質的に2次元のフィルム、フィルムのパッチ、もしくは、フィルムのストライプであり、または、アスペクト比が低く2D形状が可変の材料の層である。ライトガイドの厚さは、好ましくは1mmよりも薄く、特に200μmよりも薄く、有利には50μmよりも薄い。
【0046】
一般に、ID(身分証明)ドキュメントは、可視または不可視の他のセキュリティ機能を担持してもよく、これらのような機能はおそらく、それらの小さい寸法、光学特性、電子特性、および触覚特性に依存している。それらのようなセキュリティ機能を、キャリア10に適用しもしくは統合してもよく、あるいは、それらのようなセキュリティ機能を、他の薄いフォイル、紙もしくはプラスチック基板、もしくはIDドキュメントの他の部分の一部としてもよく、または、他の薄いフォイル、紙もしくはプラスチック基板、もしくはIDドキュメントの他の部分によって形成してもよい。
【0047】
プラスチック材料には、プラスチック、強化プラスチック、複合プラスチック、添加剤を含むプラスチック、ナノ粒子、マイクロファイバ、タガントなどを充填したプラスチック、架橋ラッカなどの架橋有機材料、ハイブリッドポリマ/有機および有機/無機マトリックス材料など、および層状フィルムが含まれることが意図されており、プラスチック材料は、単一ポリマで作られたフィルムのみに限定されない。
【0048】
フィルムは、例えば、高屈折率を有するコアと、コアの片側または両側に低屈折率のコーティングとを有して、それにより、誘導光がアウトカップリングされまたは隣接する構造によって減衰されるのを防ぐようにしてもよい。
【0049】
低屈折率コーティングを、コアに対するクラッド層と見なすことができる。コア屈折率は、有利には、より低い屈折率に対して、0.05、より有利には少なくとも0.1だけ、さらにより好ましくは少なくとも0.15だけ高い。一例では、コアは、1.55の可視スペクトルの所与の部分で1.55の屈折率と、1.4のクラッドとを有してもよく、別の例では、コアは、1.6の屈折率と1.44のクラッドとを有する。
【0050】
ライトガイド12は、有利には、400nmと1000nmとの間のスペクトル範囲の少なくとも1つの波長のライトガイドである。
【0051】
ライトガイド12は、一次インカプラ14および一次アウトカプラ16をさらに備える。
【0052】
一次インカプラ14は、例えば、回折格子および/またはマイクロレンズであってよい。一次インカプラ14は、ライトガイド12の専用表面層などのライトガイド12の表面にエンボス加工されてもよく、かつ/または、ライトガイド12内に埋め込まれてもよい。あるいは、それはまた、ライトガイド12の散乱、および/または微小反射および/または蛍光領域によって形成されてもよい。
【0053】
同様に、一次アウトカプラ16は、ライトガイド12の表面にエンボス加工されてもよく、かつ/または、ライトガイド12内に埋め込まれてもよい。あるいは、一次アウトカプラ16はまた、ライトガイド12の縁によって、またはライトガイド12の散乱、拡散、もしくは蛍光領域によって、形成されてもよい。このようなアウトカプラは、アディティブプロセス、サブトラクティブプロセス、レーザ照射などの材料改質プロセス、または、導波光を散乱する材料もしくは導波光によって蛍光に励起される蛍光材料をライトガイド上に印刷することによって実現されてもよい。
【0054】
インカプラ14およびアウトカプラ16の両方は、ライトガイド12の2つの側部の一方または両方からの光をインカップリングする/これらへの光をアウトカップリングするのに適していてもよい。アウトカップリングされた光が照明側または照明側とは反対側で観測されるように構成してもよい。
【0055】
一次インカプラ14と一次アウトカプラ16との間のライトガイド12内を光がガイドされる領域は、「保護領域」18と呼ばれる。
【0056】
身分証明ドキュメント10はさらに、パーソナライズ領域20を有し、これは、ドキュメントの所有者のパーソナライズ情報を担持する身分証明ドキュメントの領域を指定する。
【0057】
パーソナライズ領域20は、例えば、そのようなパーソナライズ情報を備えた領域の全部または一部の凸状ボディとして定義されてもよい。あるいは、パーソナライズ領域20は、例えば、そのようなパーソナライズ情報によってカバーされた領域として定義される。
【0058】
特に、パーソナライズ領域は、以下の情報キャリアのうちの1または複数を備えてもよい:
-ドキュメントの所有者の名前データを表す書き込み。特に、そのような書き込みは、所有者の名前22aおよび/または署名22bを含んでもよい。
-ドキュメントの所有者の出生の日および/または場所の書き込み24。
-ドキュメントの所有者の写真26。
-所有者の身分証明データを担持する電子データキャリア28。データキャリア28は、有利には、名前データ、経歴データ、および/または生体認証データなどの、所有者に関連する個別データを格納するメモリチップである。そのようなメモリチップは、適切な無線または有線のインターフェースに接続されてもよい。メモリチップは例えばRFIDチップであってよい。アンテナ付きのチップをパスポートのデータページまたは表紙に統合してもよい。
-一意のID番号および/またはパーソナライズ機械可読ゾーン(MRZ)。機械可読ゾーンは、例えば、プレーンテキストおよび/または機械固有の(つまり、機械可読のみの)エンコーディング(例えば、QRコード(登録商標)などの、バーコードまたはデータマトリックス)でエンコードされてもよい。
【0059】
機能
一般に、ライトガイド12は、一次インカプラ14に光を当てることによって作動されてもよい。光の少なくとも一部が、ライトガイド12にインカップリングされ、保護領域18を通って伝播する。次いで、光の少なくとも一部が一次アウトカプラ16においてアウトカップリングされる。
【0060】
ライトガイドに損傷がなければ、一次アウトカプラの全部または一部がライトアップされる。
【0061】
保護領域18のいずれかの部分が損傷していると、典型的には、一部の光が一次アウトカプラ16に到達できずに、より暗い領域を一次アウトカプラ16に形成し、これにより損傷の存在を検出することが可能になる。より暗い領域は、インカプラに光が当てられたときに、アウトカップリングされた光がより少なくなる領域を示し、しかしながら、背景が白または透明であることから、色が白または透明に見えてもよい。付加的にまたは代替的に、そのような損傷は、それ自体のアウトカプラとして機能するおそれがあり、これにより保護領域18内に予期しない明るい領域が得られ、これもまた、損傷の存在を検出するのに使用することができる。
【0062】
保護領域18とパーソナライズ領域20との間の重なりは、パーソナライズ領域20の巨視的部分を効果的にカバーするのに十分に大きくあるべきである。したがって、保護領域18と、保護領域20におけるパーソナライズ情報22a、22b、24、16、28との間の重なりは、有利には、少なくとも1cm2、特に少なくとも2cm2である。
【0063】
巨視的領域を保護できるようにするために、一次インカプラ14と一次アウトカプラ16との間の距離は大きくあるべきである。したがって、方向Xに関し、一次インカプラ14と一次アウトカプラ16との間において保護領域18は、有利には、少なくとも1cm、特に少なくとも2cmの拡がりまたは延びLを有する。
【0064】
有利には、一次アウトカプラ16の拡がりは、パーソナライズ情報22~28の広いセクションを監視するのに十分に大きくあるべきである。したがって、方向Xに垂直な方向Yに関し、一次アウトカプラ16は、少なくとも1cm、特に少なくとも2cmの拡がりまたは延びWを有する。
【0065】
垂直配置
図2に見られるように、ライトガイド12は、一実施形態では、書き込み22a、22b、および/もしは24、写真26、ならびに/またはデータキャリア28などのパーソナライズ情報をカバーしてもよく、すなわち、ライトガイド12はパーソナライズ情報の上に配置される。これにより、身分証明ドキュメントの頂側30から前記情報にアクセスすることが困難になり、パーソナライズ情報を効果的に保護する。
【0066】
図3に示される別の実施形態では、ライトガイド12は、書き込み22a、22b、および/もしくは24、写真26、ならびに/またはデータキャリア28などのパーソナライズ情報の下に配置されてもよい。これにより、身分証明ドキュメントの底側32から前記情報にアクセスすることが困難になる。その場合、透明な層33が、例えば、一次インカプラ14と一次アウトカプラ16よりも上に、選択任意にはパーソナライズ情報22~28とライトガイド12の間に、提供されてもよい。これにより、インクマーキングや写真などのパーソナライズ情報にアクセスするためにドキュメントを分離しようと試みる攻撃、および、研削による攻撃などの、ドキュメントの裏側またはデータページの裏側からの攻撃をなくすことにより、パーソナライズ情報にアクセスするのが非常に困難になる。
【0067】
図4に示されるさらに別の実施形態では、身分証明ドキュメントは、書き込み22a、22b、および/もしくは24、写真26、ならびに/またはデータキャリア28などのパーソナライズ情報よりも上に配置された第1のライトガイド12aを備える。身分証明ドキュメントはまた、パーソナライズ情報22~28よりも下に配置された第2のライトガイド12bを備える。これらの2つのライトガイドは、頂側30からのおよび底側32からのパーソナライズ情報へのアクセスを遮断する。
【0068】
図示されるように、透明な層33が、例えば、第1および第2の一次ライトガイド12a、12bの間に配置されてもよい。
【0069】
この実施形態では、第1および第2のライトガイド12a、12bの一次インカプラ14a、14bが互いに重なってもよく、これにより、単一の光源で両方のライトガイド12a、12bに光をインカップリングするのが容易になる。例えば、2つの一次インカプラ14a、14bは同じサイズで、互いの上に心合わせされる。
【0070】
しかしながら、第1および第2のライトガイド12a、12bの一次アウトカプラ16a、16bは、有利には、方向Yに沿う大きな、特に少なくとも1cm、特に少なくとも2cmの、拡がりを有する少なくとも1つの非重なり領域を有する。これにより、両方が同時に照らされたときに、2つのライトガイド12a、12bの保護領域18の一体性を別々に監視することが可能となる。
【0071】
図4の実施形態では、このことは、2つの一次アウトカプラ16a、16bが互いに平行で互いにオフセットされることによって、達成される。
【0072】
有利には、第1および第2のライトガイド12a、12bの一次アウトカプラ16a、16bは、上または下から見たときに互いに隣接して配置された相補的な形状を有する。
【0073】
水平配置
図1~4の実施形態では、一次インカプラ14および一次アウトカプラ16は両方とも、パーソナライズ領域20の横方向外側に配置される。
【0074】
特に、一次インカプラ14は、パーソナライズ領域20の第1の側の第1の縁34の横方向外側に配置され、すなわちパーソナライズ領域20のパーソナライズ情報22~28のどの部分とも重ならない。
【0075】
同様に、一次アウトカプラ16は、パーソナライズ領域20の第2の側の第2の縁36の横方向外側に配置され、すなわちパーソナライズ領域20のパーソナライズ情報22~28のどの部分とも重ならない。
【0076】
縁34および36は、互いに対向していてもよい。
【0077】
しかしながら、一次インカプラ14および/または一次アウトカプラ16はまた、パーソナライズ領域20、特にパーソナライズ領域20内のパーソナライズ情報22~28と重なってもよい。
【0078】
前記オーバーラップは、有利には、一次インカプラ14および/または一次アウトカプラ16がパーソナライズ情報の可視性に影響を与えるのを防ぐために、小さい。したがって、有利には、一次インカプラ14および/または一次アウトカプラ16は、パーソナライズ領域20、特にパーソナライズ情報の領域22~28の20%以下、特に10%以下と重なる。
【0079】
しかしながら、有利には、この場合、一次インカプラ14および/または一次アウトカプラ16は、パーソナライズ領域20内に完全に配置されず、その縁34、36と重なっている。
【0080】
図5は、一次アウトカプラ16がパーソナライズ領域36の縁36、および、パーソナライズ情報22~28のうちの少なくとも1つの縁と重なっている例を示している。
【0081】
同様に、付加的または代替的に、インカプラ14は、
図5の点線の一次インカプラ14’によって示されるように、パーソナライズ領域20、特にパーソナライズ情報22~28の少なくとも1つと少なくとも部分的に重なってもよい。
【0082】
二次アウトカプラ
これまでに示された実施形態では、保護領域18内にインカップリングまたはアウトカップリング構造はない。これにより、保護領域18が基本的に視認不能になり、パーソナライズ領域20の情報の優れた可視性が提供される。
【0083】
しかしながら、別の実施形態では、ライトガイド12は、一次アウトカプラ16に加えて、同様にライトガイド12からの光をアウトカップリング可能な二次アウトカップリング構造40を備えてもよい。この二次アウトカップリング構造40は、
図6に示されるように、保護領域18内に配置されてもよい。
【0084】
しかしながら、その場合、二次アウトカップリング構造40は、有利には、保護領域18における誘導光の大きな損失を防止するために、かつ/または、パーソナライズ情報22~28を妨害しないために、上で定義されるように、散在する。言い換えれば、アウトカップリング構造16は、保護領域18の20%以下、特に10%以下をカバーする。
【0085】
さらに、
図7に示されているように、保護領域18内の任意の点Pは、アウトカップリング構造16の少なくとも一部に近接しているべきである。有利には、そのような任意の点Pは、二次アウトカップリング構造40の最も近い部分から、L/3未満、特にL/4未満、特にL/5未満、特にL/10未満の距離dを有する。
【0086】
この構成は、保護領域18上のあらゆる点Pが二次アウトカップリング構造16から遠く離れていないことを保証する。したがって、例えば、ライトガイド12を局所的に除去すること、ライトガイド12をドキュメントから分離すること、ドキュメントに穴を開けること、保護領域でドキュメントを局所的に研磨すること、などによる、身分証明ドキュメントの巨視的領域を偽造または模造するあらゆる試みは、二次アウトカップリング構造40の少なくとも一部を破壊する可能性が高い。一次インカプラ14によりライトガイド12に光を送り二次アウトカップリング構造40を光学的に検証することによって、これを容易に検出することができる。
【0087】
一次および/または二次アウトカップリング構造16、40は、少なくとも1つの線状要素42を含んでもよい。この文脈において、「線状」は、線状要素42が、例えば、直線または
図7に示すように曲線に沿って延びることを意味する。線状要素を使用すると、大量の光を必要とせずに目で簡単に認識できるという利点がある。
【0088】
例えば、一次および/または二次アウトカップリング構造16、40は、ギロシェパターンを形成してもよい。
【0089】
線状要素42は、(その長手方向に沿う)その長さvに比べてはるかに小さい、(その長手方向に垂直な)幅wを有する。有利には、長さvは少なくとも5mm、特に少なくとも10mmであり、および/または幅wは1mm以下、特に0.5mm以下、特に0.2mm以下である。
【0090】
しかしながら、他方では、アウトカプラを肉眼でよく見えるようにするために、幅wは、有利には少なくとも0.05mm、有利には少なくとも0.1mmである。
【0091】
有利には、そのような線状アウトカプラが複数、特に少なくとも5つ、特に少なくとも10、特に少なくとも100あり、これにより、よりよい保護および視覚的検出のためにそれらが保護領域全体に分散することが可能になる。
【0092】
一次および/または二次アウトカップリング構造16、40の形状は変化してもよい。また、これらは、例えば、ドット、記号、文字などを形成してもよい。
【0093】
図7はまた、ライトガイド12からの光をアウトカップリングするのに使用できる回折格子44を拡大して示している。
【0094】
有利には、二次アウトカップリング構造40は、パーソナライズ情報22~28の少なくとも一部と重なっている。
【0095】
窓(複数)
図9および10は、一次インカプラ14および/または一次アウトカプラ16がドキュメントの窓52、54に配置されている実施形態を示す。
【0096】
これらの窓52、54は、一次インカプラ14および一次アウトカプラ16によってそれぞれインカップリング/アウトカップリングされる少なくとも1つの波長に対して透明であるように構成されている。この文脈において、「透明」は、有利には、前記波長の光の少なくとも25%、特に少なくとも50%、特に少なくとも75%が、窓の位置において、有利には、散乱することなく、キャリア10を透過することを意味する。
【0097】
これには、一次インカプラ14および/または一次アウトカプラ16において、光がドキュメントの頂部または底部からインカップリング/アウトカップリングされてもよいという利点がある。
【0098】
図9の実施形態では、2つのそのような窓52、54が提供され、第1の窓52は一次インカプラ14に配置され、第2の窓54は一次アウトカプラ16に配置される。
【0099】
ただし、そのような窓が、例えば一次インカプラ14の位置において、ただ1つであってもよく、このことにより、ドキュメントを光源上に置いてドキュメントを下から照らし、光が第1の窓52を通過し、一次インカプラ14においてインカップリングされ、次いで一次アウトカプラ16(または上記のような任意の二次アウトカップリング構造40)において上方から視認される、ということが可能になる。
【0100】
保護領域18はまた、パーソナライズ領域20の少なくとも一部、例えば図示されるような写真36、をカバーしてもよい。
【0101】
備考
身分証明ドキュメントは、パーソナライズ領域20の外側にさらなるドキュメント固有の情報を含んでもよい。特に、パスポート番号などの身分証明ドキュメントの一意の番号を、パーソナライズ領域20の外側に配置してもよい。いくつかのパーソナライズ情報をパーソナライズ領域20の外側に配置してもよく、その場合、ライトガイドは、それが少なくとも部分的にカバーするパーソナライズ情報のみを保護する。
【0102】
しかしながら、有利には、パーソナライズ領域20は少なくとも、所有者の任意の写真26と、所有者の名前データ22a、22bの少なくとも1つのインスタンスと、好ましくは所有者固有の情報を有する任意のデータキャリア28を含む。
【0103】
単一の光源からの光を大きな保護領域18に分配するために、一次インカプラ14は、有利には、それがライトガイド12にインカップリングする光を有利に拡散させる。有利には、それは、少なくとも20°、有利には少なくとも30°の角度幅を有するライトガイド10内に光のファン(扇)を生成するように構成されている。この文脈では、ファンの幅は、誘導光が最大強度の50%以内で変化する角度範囲によって定義される。
【0104】
そのような光のファンの形成は、例えば、
図1に示される(原寸に比例していない)ように、一次インカプラ14を湾曲した回折格子46として構成することによって達成することができる。それはまた、広い受容角を有するカプラと、LED、例えばスマートフォンのバックカメラのLEDフラッシュ、などの非コリメート光源と、を選択することによって達成することができる。
【0105】
付加的にまたは代替的に、一次インカプラ14は、有利には、それがライトガイド12にインカップリングする光を広げて、一次アウトカプラ16のすべての延長W(例えば、
図1の方向Yに沿った延長)を照らし、強度の変化は延長W全体にわたって50%以下である。
【0106】
図1の実施形態では、保護領域18は、名前データ22a、22bの書き込み、誕生日の書き込み24、およびデータキャリア28のすべてをカバーしている。ただし、保護領域18は写真26の一部のみをカバーする。
【0107】
一般に、保護領域18は、有利には、パーソナライズ領域20内のそれぞれのパーソナライズ情報の、すべて、または少なくとも50%、特に少なくとも75%、と重なる。例えば、保護領域18は、写真26を完全にカバーしてもよく、および/または、その他の任意のパーソナライズ情報を部分的にのみカバーしてもよい。
【0108】
一次アウトカプラおよび/または一次アウトカプラが配置される場所においてキャリア10が少なくとも部分的に透明であることを条件として、それぞれ、ドキュメントの下からの光をインカップリングし/ドキュメントの下へアウトカップリングするように、一次インカプラ14および/または一次アウトカプラ16を適合してもよい。アウトカップリングされた光が、照明側、または身分証明ドキュメントに関して照明側とは反対側で観察されるような構成とすることができる。
【0109】
アウトカプラを、蛍光領域、好ましくは色またはデザインが不均一な蛍光領域から形成することができる。有利には、蛍光アウトカプラ材料は、パーソナライズ領域に配置され場合に可視範囲での吸収が低くなるように構成され、したがって、一次アウトカプラ構造16すなわちライトガイド内に光が当たっていないときに、蛍光アウトカプラ材料はパーソナライズ領域の読み取りを妨げない。
【0110】
一次アウトカプラ構造16は、身分証明ドキュメントの所有者のポートレートの少なくとも一部を表してもよい。言い換えれば、アウトカプラ構造16は、ユーザに合わせてパーソナライズされており、これにより、セキュリティ機能が偽造されにくくなり、検証が容易になる。これは、アディティブプロセス、サブトラクティブプロセス、レーザ照射などの材料改質プロセス、または、導波光を散乱する材料もしくは導波光によって蛍光に励起される蛍光材料をライトガイド上に印刷することによって実現することができる。一例として、一次インカプラ14に照明光を当てたときに視認可能になるように、身分証明ドキュメントの所有者の蛍光ポートレートを印刷してもよい。
【0111】
ライトガイドは、光を、異なる主伝搬方向または異なるスペクトル組成すなわち色でもって、ライトガイドにかつ保護領域に向けてインカップリングするように配置されたいくつかのインカプラを含んでもよい。
【0112】
一次インカプラ14は、巨視的に、かつ保護領域の一方の縁に実質的に平行に、細長くされて、ライトガイドへの複数の照明軸線、または、光源とインカプラとのより容易な位置合わせ、を提供するようにしてもよい。
【0113】
上記の実施形態では、一次インカプラ14も一次アウトカプラ16も、パーソナライズ領域20内に完全に配置されていない。
【0114】
これとは対照的に、
図8は、一次インカプラ14および一次アウトカプラ16が完全にパーソナライズ領域20内に配置されている実施形態を示している。
【0115】
代替的に、それらの一方のみ(すなわち、インカプラまたはアウトカプラのみ)を完全にパーソナライズ領域20内に配置することができ、他方を、パーソナライズ領域20の縁と重なるように、または、完全にパーソナライズ領域の外側に、配置してもよい。
【0116】
保護領域18は、アウトカプラ構造に加えて、少なくとも1つのさらなる視覚的セキュリティ要素を備えてもよい。そのようなセキュリティ要素50は、例として、
図1に点線の十字として示されている。このさらなるセキュリティドキュメントは、反射で、すなわち光がライトガイド内にインカップリングすることなくライトガイドに光を当てることによって、見ることができる。これにより、例えば偽の写真または別の偽造要素を、検出されることなく、ライトガイドの上に配置するのが困難になる。あるいは、そのようなさらなるセキュリティ要素を、伝達で制御してもよい。そのようなさらなる視覚的セキュリティ要素は、例えば、回折構造などの光学的に可変のデバイスと、印刷されたマーキングなどの不変マーキングと、の少なくとも1つであってよい。
【0117】
ライトガイド10は、キャリア10とは別に製造され、次にそれにラミネートされたフォイルであってもよく、またはキャリア10上にその場で形成されてもよい。
【0118】
本開示で言及される任意のインカプラおよび/またはアウトカプラは、例えば、回折インカプラ/アウトカプラ、蛍光インカプラ/アウトカプラ、赤外線アップコンバートインカプラ/アウトカプラ、微視的表面構造(すなわち、マイクロレンズまたはマイクロミラーまたは横方向の繰り返し周期(すなわち、ライトガイドの平面内での繰り返し周期)が例えば少なくとも10μmの表面構造などの、回折効果のない表面構造)に基づくインカプラ/アウトカプラであって構造または材料を拡散または散乱させるインカプラ/アウトカプラ、でもよい。
【0119】
また、2つの保護領域を、一次インカプラの互いに異なる、特に互いに対向する、側部に配置しつつ、一次インカプラを、例えば、ライトガイドの2端の間に配置してもよい。
【0120】
図9および10に例示されるように、ライトガイド12は、(任意の実施形態について)その幅よりもはるかに大きい長さ、特に幅の少なくとも5倍大きい長さを有し、有利にはその全長に沿って一定の幅を有するストリップ形状であってよい。ライトガイドは、ドキュメント全体、つまり一方の縁から反対側の縁まで拡がってもよい。
【0121】
本発明の現時点で好ましい実施形態が示され説明されているけれども、本発明がそれに限定されず、他の方法で以下の特許請求の範囲内で様々に具現化され実施されてもよいことが明確に理解されるべきである。
[構成1]
身分証明ドキュメントであって、
前記ドキュメントの所有者を身分証明するパーソナライズ情報(22~28)を担持するパーソナライズ領域(20)と、
一次インカプラ(14)および一次アウトカプラ(16)を備える光学式ライトガイド(12)と、
を有し、
前記ライトガイド(12)は前記一次インカプラ(14)と前記一次アウトカプラ(16)との間に保護領域(18)を形成し、前記保護領域(18)は前記パーソナライズ領域(20)の少なくとも一部と重なっている、
ドキュメント。
[構成2]
前記ライトガイド(12)は前記パーソナライズ領域(20)よりも下に配置されている、構成1に記載のドキュメント。
[構成3]
前記ライトガイド(12)は前記パーソナライズ領域(20)よりも上に配置されている、構成1に記載のドキュメント。
[構成4]
前記ライトガイド(12)は前記パーソナライズ領域(20)を完全に横切って拡がっている、構成1から3までのいずれか1つに記載のドキュメント。
[構成5]
前記一次インカプラ(14)は前記パーソナライズ領域(20)の第1の側において横方向に配置されている、構成1から4までのいずれか1つに記載のドキュメント。
[構成6]
前記一次インカプラ(14)は、
前記パーソナライズ領域(20)の第1の縁(34)の横方向外側に、または
前記パーソナライズ領域(20)の第1の縁(34)と重なるように、
配置され、前記第1の縁(34)は前記第1の側における前記パーソナライズ領域(20)の縁である、
構成5に記載のドキュメント。
[構成7]
前記一次アウトカプラ(16)は前記パーソナライズ領域(20)の第2の側において横方向に配置されている、構成1から6までのいずれか1つに記載のドキュメント。
[構成8]
前記一次アウトカプラ(16)は、
前記パーソナライズ領域(20)の第2の縁(36)の横方向外側に、または
前記パーソナライズ領域(20)の第2の縁(36)と重なるように、
配置され、前記第2の縁(36)は前記第2の側における前記パーソナライズ領域(20)の縁である、
構成7に記載のドキュメント。
[構成9]
前記第1の側が前記第2の側と異なり、特に前記第1の側が前記第2の側に対向している、構成5または6のいずれかおよび構成7または8のいずれか一項に記載のドキュメント。
[構成10]
前記一次インカプラ(14)および/または前記一次アウトカプラ(16)が、前記パーソナライズ領域(20)の20%以下、特に10%以下と重なっている、構成1から9までのいずれか1つに記載のドキュメント。
[構成11]
前記一次インカプラ(14)および/または前記一次アウトカプラ(16)が前記パーソナライズ領域(20)と重ならない、構成1から10までのいずれか1つに記載のドキュメント。
[構成12]
前記ライトガイド(12)が、前記保護領域(18)および/または前記パーソナライズ領域(20)において、インカップリングおよび/またはアウトカップリング構造を備えていない、構成1から11までのいずれか1つに記載のドキュメント。
[構成13]
前記ライトガイド(12)が前記保護領域(18)に二次アウトカップリング構造(40)を備え、
前記二次アウトカップリング構造(40)は、前記保護領域(18)の20%以下、特に10%以下をカバーし、
前記保護領域(18)内の任意の点(P)について、前記二次アウトカプラ(40)までの最短距離(d)がL/3未満であり、ここで、Lは、前記一次インカプラ(14)と前記一次アウトカプラ(16)との間の方向(X)における前記保護領域(18)の延長である、
構成1から12までのいずれか1つに記載のドキュメント。
[構成14]
前記二次アウトカプラ(16)が、前記保護領域内に少なくとも1つの線状のアウトカプラ要素(42)を備え、前記線状の一次アウトカプラ(16)は、少なくとも5mm、特に少なくとも10mmの長さ(v)を有し、1mm以下、特に0.5mm以下、特に0.2mm以下の幅(w)を有する、構成13に記載のドキュメント。
[構成15]
前記保護領域(18)における前記パーソナライズ情報(22~28)と前記パーソナライズ領域(20)との間の重なりが少なくとも1cm2、特に少なくとも2cm2である、構成1から14までのいずれか1つに記載のドキュメント。
[構成16]
前記一次インカプラ(14)と前記一次アウトカプラ(16)との間の方向(X)において、前記保護領域(18)が少なくとも1cm、特に少なくとも2cmの延長部(L)を有する、構成1から15までのいずれか1つに記載のドキュメント。
[構成17]
前記パーソナライズ領域(20)において、前記保護領域(18)が以下の情報キャリア(22~28)、
前記ドキュメントの所有者の名前データを表す書き込み(22a、22b)、
前記ドキュメントの所有者の出生の日および/または場所を有する書き込み(24)、
前記ドキュメントの所有者の写真(26)、および/または
前記所有者の身分証明データを担持する電子データキャリア(28)、
のうちの少なくとも1つと重なっている、構成1から16までのいずれか1つに記載のドキュメント。
[構成18]
前記保護領域(18)が前記情報キャリア(22~28)のいくつかと重なっている、構成17に記載のドキュメント。
[構成19]
前記保護領域(18)が少なくとも1つの前記情報キャリア(22~28)と完全に重なっている、構成17または18のいずれかに記載のドキュメント。
[構成20]
前記パーソナライズ領域(20)よりも上に配置された第1のライトガイド(12a)と、前記パーソナライズ領域(20)よりも下に配置された第2のライトガイド(12b)とを有する、構成1から19までのいずれか1つに記載のドキュメント。
[構成21]
前記第1および第2のライトガイド(12a、12b)の前記一次インカプラ(14a、14b)が互いに重なっている、構成20に記載のドキュメント。
[構成22]
前記第1および第2のライトガイド(12a、12b)の前記一次アウトカプラ(16a、16b)が重なっていない領域を有する、構成20または21のいずれかに記載のドキュメント。
[構成23]
前記第1および第2のライトガイド(12a、12b)の前記一次アウトカプラ(16a、16b)が相補的な形状を有する、構成20から22のいずれか1つに記載のドキュメント。
[構成24]
前記一次インカプラ(14)および/または前記一次アウトカプラ(16)が、前記パーソナライズ領域(20)内に完全に配置されている、構成1から23までのいずれか1つに記載のドキュメント。
[構成25]
前記インカプラおよび前記アウトカプラ(14、16)に加えて、反射または透過で見える、さらなるセキュリティ要素(50)を備え、特に、前記さらなるセキュリティ要素(50)は、回折構造などの光学的に可変のデバイスと、印刷されたマーキングなどの非可変のマーキングとの少なくとも1つである。構成1から24までのいずれか1つに記載のドキュメント。
[構成26]
前記一次インカプラ(14)および/または前記一次アウトカプラ(16)の位置に配置された少なくとも1つの窓(52、54)を備える、構成1から25までのいずれか1つに記載のドキュメント。