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特許7587593締結管理の方法、システム、およびそのプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】締結管理の方法、システム、およびそのプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0631 20230101AFI20241113BHJP
【FI】
G06Q10/0631
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022547526
(86)(22)【出願日】2021-09-01
(86)【国際出願番号】 JP2021032097
(87)【国際公開番号】W WO2022054662
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2024-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2020150627
(32)【優先日】2020-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000229564
【氏名又は名称】株式会社バルカー
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(74)【代理人】
【識別番号】100206933
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】坂井 重夫
(72)【発明者】
【氏名】山邊 雅之
【審査官】橘 均憲
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-217497(JP,A)
【文献】特開2001-128202(JP,A)
【文献】特開平11-300585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理サーバによって行われ、
作業者が出社、プラントでの作業開始または作業工程を完了した場合、あるいは、前記作業者に追加で作業工程が発生した場合、前記作業者の識別情報を取得する工程と
前記識別情報に基づき、前記識別情報に関連付けて登録された技能情報を作業者データベースから読み出す工程と、
前記プラントのフランジ締結部の位置情報および技能条件情報を取得する工程と、
記技能情報を前記技能条件情報と対比して、前記フランジ締結部に対して前記作業者を割当てる工程と、
前記フランジ締結部の位置情報および、作業内容や作業に用いる工具や作業の数値条件のいずれかまたは2以上を示す作業設定情報を含む指示情報を生成する工程と、
前記作業者に対して前記指示情報を通知する工程と、
を含むことを特徴とする締結管理方法。
【請求項2】
前記管理サーバは、前記フランジ締結部に対する前記作業者の割り当てを行った後に、前記作業者に対して作業管理選択画面を提示する工程と、
前記作業管理選択画面に表示した前記識別情報に対する選択入力に基づき、前記作業設定情報を含む作業設定画面を生成し、前記作業者に提示する工程と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の締結管理方法。
【請求項3】
前記フランジ締結部の作業情報を収集する工程と、
前記作業情報と前記フランジ締結部に設定された工程情報を対比して、進捗状態を判定する工程と、
この判定結果に基づいて前記フランジ締結部に対する作業能力を調整し、新たな指示情報を生成する工程と、
を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の締結管理方法。
【請求項4】
進捗状態の前記判定結果を管理者に通知する工程を含むことを特徴とする請求項に記載の締結管理方法。
【請求項5】
作業者が出社、プラントでの作業開始または作業工程を完了した場合、あるいは前記作業者に追加で作業工程が発生した場合、前記作業者の識別情報を取得する識別情報取得手段と、
前記作業者の前記識別情報と前記作業者の技能情報を関係付けて登録する作業者データベースと、
前記プラントのフランジ締結部の位置情報および技能条件情報が格納されたプラントデータベースと、
前記プラントデータベースから前記技能条件情報を読み出すとともに、前記識別情報に基づき前記作業者データベースから前記技能情報を読み出し、前記技能情報と前記技能条件情報を対比して、前記フランジ締結部に対して前記作業者を割当て、前記フランジ締結部の位置情報および、作業内容や作業に用いる工具や作業の数値条件のいずれかまたは2以上を示す作業設定情報を含む指示情報を生成する制御手段と、
前記指示情報を前記作業者の端末装置に出力する通信手段と、
を含むことを特徴とする締結管理システム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記フランジ締結部に対する前記作業者の割り当てを行った後に、前記作業者に対して作業管理選択画面を提示し、該作業管理選択画面に表示した前記識別情報に対する選択入力に基づき、前記作業設定情報を含む作業設定画面を生成し、前記作業者に提示することを特徴とする請求項5に記載の締結管理システム。
【請求項7】
前記制御手段は、前記フランジ締結部から収集した作業情報と前記フランジ締結部に設定された工程情報を対比して進捗状態を判定し、この判定結果に基づいて、前記フランジ締結部に対する作業能力を調整し、新たな指示情報を生成することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の締結管理システム。
【請求項8】
コンピュータにより実現させるプログラムであって、
作業者が出社、プラントでの作業開始または作業工程を完了した場合、あるいは、前記作業者に追加で作業工程が発生した場合に、前記作業者の識別情報を識別情報取得手段から読み込む機能と、
作業者データベースにアクセスし、前記識別情報に基づき、前記識別情報に関連付けて登録された技能情報を読み込む機能と、
プラントデータベースにアクセスし、前記プラントのフランジ締結部の位置情報および技能条件情報を取得する機能と、
作業者の前記技能情報と前記技能条件情報を対比して、前記フランジ締結部に対して前記作業者を割当て、前記フランジ締結部の位置情報および、作業内容や作業に用いる工具や作業の数値条件のいずれかまたは2以上を示す作業設定情報を含む指示情報を生成する機能と、
前記作業者に対して前記指示情報を通知する機能と、
をコンピュータで実現させることを特徴とする締結管理プログラム。
【請求項9】
前記フランジ締結部に対する前記作業者の割り当てを行った後に、前記作業者に対して作業管理選択画面を提示し、該作業管理選択画面に表示した前記識別情報に対する選択入力に基づき、前記作業設定情報を含む作業設定画面を生成し、前記作業者に提示する機能と、
を前記コンピュータで実現させることを特徴とする請求項8に記載の締結管理プログラム。
【請求項10】
前記フランジ締結部の作業情報を読み込み、前記作業情報と前記フランジ締結部に設定された工程情報を対比して、進捗状態を判定する機能と、
この判定結果に基づいて、前記フランジ締結部に対する作業能力を調整し、新たな指示情報を生成する機能と、
をコンピュータで実現させることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の締結管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、プラント設備などに用いられるフランジの締結作業を含む組立や保守の管理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
プラントなどの設備では、配管連結や配管に対するポンプなどの接続に、フランジ継手が用いられている。フランジ継手同士の間には、ガスケットが挟み込まれて、フランジ間を複数箇所に配置したボルトおよびナットによる締結作業が行われる。
【0003】
フランジを用いる設備では、ボルトおよびナットの締結状態やガスケットによるシール状態の管理、そのほか、配管やその接続部分の腐食管理などを含む保守管理が設備の安全性を確保する上で重要である。この保守作業には、ボルトおよびナットによりどのようなトルクで締付けを行う必要があるかなどの締結技術のほか、設備ごとに必要な確認事項などを熟知した作業者でなければ、十分な保守管理を行うことはできない。
【0004】
このような、締結処理などについて、必要な知識や作業内容を作業者に通知したり、作業状態を監視する技術として、作業者に装着させたウェアラブルセンサが計測した値に基づいてトルクレンチによるボルトの締結作業の判定や注意喚起信号を出力させるものが知られている(たとえば、特許文献1)。また、プラント保守作業管理において、必要な情報入力によりスケジューリングの作成や報告文書作成を自動で行うものが知られている(たとえば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-202570号公報
【文献】特開平8-129414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、プラント設備の組立や保守管理作業において、必要な知識や技術、経験を有する作業者について、作業箇所への配置計画や、スケジュール策定には、高度な経験やプラント全体の状態を把握したベテラン管理者が必要になる。スケジュールの策定や作業員の人員配置計画には、プラントに配置されている多数の作業員のスキルと、組立てや保守作業に要する技術とをマッチングさせる必要があって、これらの情報の組み合せに多大な労力や時間を要することになる。このような高度な判断技術を持つ管理者を育成するには多くの経験と長い教育期間が必要になるという課題がある。
【0007】
また、プラント管理では、作業員の配置やスケジュール管理において、経験を有する管理者であっても判断ミスを完全に排除することは不可能であるという課題もある。そのため、非属人的な管理技術の導入が進められている。
【0008】
そこで、本開示の技術の発明者は、作業員が有する資格情報や技能訓練情報、作業経験情報などを予め収集してビッグデータ化し、これらの情報を利用して作業にあたるプラントに求められる技術とマッチングさせることで、効率的な人員配置の計画が策定できるとの知見を得た。
【0009】
斯かる課題について、特許文献1、2に開示された構成では問題を解決することはできないものである。
【0010】
そこで、本開示の技術の目的は、上記課題および上記知見に鑑み、収集した作業員が有するスキル情報を利用して、プラントの最適箇所に人員配置を行い、組立てや保守作業によるプラントの安全性を確保することにある。
【0011】
また、本開示の技術の他の目的は、配置された作業者の作業状況を把握し、作業工程に沿っていない作業箇所に対して、作業能力の改善による工程管理および作業効率化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本開示の締結管理方法の一側面は、管理サーバによって行われ、作業者が出社、プラントでの作業開始または作業工程を完了した場合、あるいは、前記作業者に追加で作業工程が発生した場合、前記作業者の識別情報を取得する工程と前記識別情報に基づき、前記識別情報に関連付けて登録された技能情報を作業者データベースから読み出す工程と、前記プラントのフランジ締結部の位置情報および技能条件情報を取得する工程と、記技能情報を前記技能条件情報と対比して、前記フランジ締結部に対して前記作業者を割当てる工程と、前記フランジ締結部の位置情報および、作業内容や作業に用いる工具や作業の数値条件のいずれかまたは2以上を示す作業設定情報を含む指示情報を生成する工程と、前記作業者に対して前記指示情報を通知する工程とを含む。
【0013】
上記締結管理方法において、前記管理サーバは、前記フランジ締結部に対する前記作業者の割り当てを行った後に、前記作業者に対して作業管理選択画面を提示する工程と、前記作業管理選択画面に表示した前記識別情報に対する選択入力に基づき、前記作業設定情報を含む作業設定画面を生成し、前記作業者に提示する工程とを含む。
上記締結管理方法において、前記フランジ締結部の作業情報を収集する工程と、前記作業情報と前記フランジ締結部に設定された工程情報を対比して、進捗状態を判定する工程と、この判定結果に基づいて前記フランジ締結部に対する作業能力を調整し、新たな指示情報を生成する工程とを含む。
【0014】
上記締結管理方法において、進捗状態の前記判定結果を管理者に通知する工程を含む。
【0015】
上記目的を達成するため、本開示の締結管理システムの一側面は、作業者が出社、プラントでの作業開始または作業工程を完了した場合、あるいは前記作業者に追加で作業工程が発生した場合、前記作業者の識別情報を取得する識別情報取得手段と、前記作業者の前記識別情報と前記作業者の技能情報を関係付けて登録する作業者データベースと、前記プラントのフランジ締結部の位置情報および技能条件情報が格納されたプラントデータベースと、前記プラントデータベースから前記技能条件情報を読み出すとともに、前記識別情報に基づき前記作業者データベースから前記技能情報を読み出し、前記技能情報と前記技能条件情報を対比して、前記フランジ締結部に対して前記作業者を割当て、前記フランジ締結部の位置情報および、作業内容や作業に用いる工具や作業の数値条件のいずれかまたは2以上を示す作業設定情報を含む指示情報を生成する制御手段と、前記指示情報を前記作業者の端末装置に出力する通信手段とを含む。
【0016】
上記締結管理システムにおいて、前記制御手段は、前記フランジ締結部に対する前記作業者の割り当てを行った後に、前記作業者に対して作業管理選択画面を提示し、該作業管理選択画面に表示した前記識別情報に対する選択入力に基づき、前記作業設定情報を含む作業設定画面を生成し、前記作業者に提示する。
上記締結管理システムにおいて、前記制御手段は、前記フランジ締結部から収集した作業情報と前記フランジ締結部に設定された工程情報を対比して進捗状態を判定し、この判定結果に基づいて、前記フランジ締結部に対する作業能力を調整し、新たな指示情報を生成する。
【0017】
上記目的を達成するため、本開示の締結管理プログラムの一側面は、コンピュータにより実現させるプログラムであって、作業者が出社、プラントでの作業開始または作業工程を完了した場合、あるいは、前記作業者に追加で作業工程が発生した場合に、前記作業者の識別情報を識別情報取得手段から読み込む機能と、作業者データベースにアクセスし、前記識別情報に基づき、前記識別情報に関連付けて登録された技能情報を読み込む機能と、プラントデータベースにアクセスし、前記プラントのフランジ締結部の位置情報および技能条件情報を取得する機能と、作業者の前記技能情報と前記技能条件情報を対比して、前記フランジ締結部に対して前記作業者を割当て、前記フランジ締結部の位置情報および、作業内容や作業に用いる工具や作業の数値条件のいずれかまたは2以上を示す作業設定情報を含む指示情報を生成する機能と、前記作業者に対して前記指示情報を通知する機能とをコンピュータで実現させる。
【0018】
上記締結管理プログラムにおいて、前記フランジ締結部に対する前記作業者の割り当てを行った後に、前記作業者に対して作業管理選択画面を提示し、該作業管理選択画面に表示した前記識別情報に対する選択入力に基づき、前記作業設定情報を含む作業設定画面を生成し、前記作業者に提示する機能とを前記コンピュータで実現させる。
上記締結管理プログラムにおいて、前記フランジ締結部の作業情報を読み込み、前記作業情報と前記フランジ締結部に設定された工程情報を対比して、進捗状態を判定する機能と、この判定結果に基づいて、前記フランジ締結部に対する作業能力を調整し、新たな指示情報を生成する機能とをコンピュータで実現させる。
【発明の効果】
【0019】
本開示の技術によれば、次のいずれかの効果が得られる。
【0020】
(1) プラントの各作業箇所に対し、適切な作業スキルを有する作業者を配置することができ、人員配置処理の作業負荷の軽減が図れる。
【0021】
(2) 作業箇所ごとに必要な作業スキルを有する作業者を配置できるので、組立てや保守、点検作業の安全性が高められる。
【0022】
(3) プラントの作業箇所における作業状態を可視化することができ、プラントの組立てや保守管理の信頼性が高められる。
【0023】
(4) 作業箇所に配属された作業者に対し、作業箇所ごとに必要な指示情報を通知することで、作業内容の誤認や作業ミスの軽減が図れる。
【0024】
そして、本開示の技術の他の目的、特徴および利点は、添付図面および各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1の実施形態に係るフランジ締結管理処理例を示すフローチャートである。
図2】締結管理システムの構成例を示す図である。
図3】作業者データベースの一例を示す図である。
図4】プラントデータベースの一例を示す図である。
図5】作業状況データベースの一例を示す図である。
図6】第2の実施形態に係るフランジ締結管理処理例を示すフローチャートである。
図7】締結管理システムの構成例を示す図である。
図8】締結管理システムのハードウェア構成例を示す図である。
図9】工程情報データベースの一例を示す図である。
図10】Aは作業者管理の選択画面の一例を示す図であり、Bは識別情報が入力された作業者の選択画面の一例を示す図である。
図11】選択した識別情報に対する操作確認画面の一例を示す図である。
図12】Aは配置された作業箇所に対する設定情報を示す図であり、Bは設定情報を作業者の端末に転送する画面の一例を示している。
図13】プラントの作業箇所の一例を示している。
図14】配属された作業箇所に設置されるタグ情報の一例を示している。
図15】指示情報を工具に設定する構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔第1の実施形態〕
図1は、第1の実施形態に係るフランジ締結管理処理工程の一例を示している。図1に示す処理は、本開示の締結管理方法、締結管理プログラムの一例であり、本開示の技術が斯かる構成に限定されない。
【0027】
このフランジ締結管理処理には、たとえば図1に示すように、作業者10の識別情報20を取得する工程(S101)、作業者データベース(DB)14から登録された技能情報の読み出し工程(S102)、プラントのフランジ締結部の位置情報および技能条件情報の取得工程(S103)、フランジ締結部と作業者10のマッチング処理工程(S104)、指示情報の生成工程(S105)、作業者10に対する指示情報の通知処理工程(S106)が含まれる。このフランジ締結管理処理は、たとえば図2に示す締結管理システム2で実行される。
【0028】
作業者10の識別情報20を取得する工程(S101):締結管理システム2は、たとえば少なくとも作業員の配置処理機能を備える管理サーバー4により、プラントで作業する作業者10の識別情報20を収集する。この識別情報20は、作業者10を個別に判別するとともに、プラントへの入場や作業の許可を得ている者を認証するための情報の一例である。
【0029】
管理サーバー4は、たとえば作業者10の顔や目の網膜紋、指紋などの生体情報のほか、所有するIDカードなどに登録された情報などを識別情報20として利用する。管理サーバー4は、たとえば作業者10の出社時、プラントでの作業開始時、作業工程完了時、追加の作業工程が発生したときなどのタイミングで識別情報20を収集するほか、作業者10の配置後もしくは作業中にその配置状態が適正かを判定を行うタイミングで識別情報20を収集する場合も含まれる。
【0030】
作業者データベース(DB)14から登録された技能情報の読み出し工程(S102):管理サーバー4は、締結管理システム2に備えるDB(データベース)6にアクセスし、格納された作業者データベース14を読み出す。そして管理サーバー4は、収集した作業者10の識別情報20に関連付けられたデータを読み出す。
【0031】
プラントのフランジ締結部の位置情報および技能条件情報の取得工程(S103):管理サーバー4は、DB6に格納されたプラントデータベース16にアクセスし、プラントを構成する設備情報からフランジ締結部の位置情報、その締結や保守、点検作業に必要な技能条件情報を読み出す。
【0032】
フランジ締結部と作業者10のマッチング処理工程(S104):管理サーバー4は、作業者データベース14から読み出した作業者10の情報とプラントデータベース16から読み出した技能条件情報とを対比し、プラントの各作業箇所に対して作業者10を配置するマッチング処理を行う。
【0033】
管理サーバー4は、作業者データベース14に登録された作業者10の情報のうち、少なくとも技能情報を利用してフランジ締結箇所と作業者10をマッチングする。そして管理サーバー4は、マッチング処理の結果を登録した作業状況データベース18を生成してDB6に格納する。
【0034】
このマッチング処理は、たとえば未配置の作業者10に対する配置箇所の設定として行われてもよく、またはすでに組立や保守、管理作業に従事している作業者10に対する配置位置の適切判断として行われてもよい。
【0035】
指示情報の生成工程(S105):管理サーバー4は、マッチング処理したそれぞれの作業者10について、少なくとも作業箇所への配置情報を含む指示情報を生成する。さらに指示情報には、たとえば作業箇所に設置されている設備の種類や名称などの情報のほか、フランジ締結作業に利用する工具情報や締付けトルク値などの設定情報などを含んでもよい。
【0036】
作業者に対する指示情報の通知処理工程(S106):管理サーバー4は、生成された指示情報をそれぞれの作業者10に対して通知し、作業箇所の把握および作業に必要な設定情報などを取得させる。指示情報の通知は、たとえば管理サーバー4や図示しない作業者10の共用端末装置に表示させてもよく、または作業者10がそれぞれ所持する端末装置12に送信してもよい。
【0037】
<締結管理システム2>
図2は、締結管理システムの構成を示している。図2に示す構成は一例であり、本開示の技術が斯かる構成に限定されない。
【0038】
この締結管理システム2は、たとえば図2に示すように、管理サーバー4、各種データベースが格納されるDB6、ネットワーク8、作業者10-1、10-2、・・・10-Nの端末装置12を含んでいる。
【0039】
管理サーバー4は、コンピュータで構成されており、作業者10の配置処理や作業状況の監視処理などの管理処理を実行する。この管理サーバー4には、たとえば設定されたタイミングで作業者10の識別情報20を取込む、図示しない識別情報取得手段を備える。この識別情報取得手段は、たとえばプラントの組立てや保守、管理に従事する複数の作業者10-1、10-2、・・・10-Nの生体情報を利用して認証を行う認証装置や、ICカードなどを読み込むリーダー(Reader)装置、そのほか作業者10-1、10-2、・・・10-Nごとに割り振られたIDやパスワードなどが入力される入力端末などを利用すればよい。
【0040】
<管理サーバー4の情報処理>
管理サーバー4が実行する情報処理は、たとえば、
ア)作業者情報の抽出および記録
イ)プラント情報の抽出および記録
ウ)プラントの作業箇所に対する作業者10の配置処理および配置状況の判定
エ)プラントの作業状態、進捗状況の収集および判別
オ)作業状況に応じた作業者10の再配置処理
カ)作業者10に対する指示情報の生成
キ)作業者10の端末装置12に対する指示情報の通知
ク)プラントの組立てや保守、管理の作業結果の報告および通知処理
などが含まれる。
【0041】
DB6は、記憶手段の一例であり、管理サーバー4を構成するコンピュータに内蔵される記憶部のほか、管理サーバー4に接続された外部記憶装置などが含まれる。
【0042】
ネットワーク8は、たとえば有線または無線により管理サーバー4と複数の作業者10-1、10-2、・・・10-Nの端末装置12との間でデータ通信させる手段の一例である。このネットワーク8は、たとえば公衆回線を利用してもよく、またはプラント内のみでアクセス可能に制限されたプライベート回線などを利用すればよい。
【0043】
端末装置12は、少なくとも管理サーバー4との間でデータ通信を行い、指示情報を受信して表示可能な情報処理装置であり、たとえば携帯電話機やモバイルPC(Personal Computer)、その他、締結作業に利用する専用端末装置などが含まれる。
【0044】
<作業者データベース(DB)14について>
図3は、作業者データベースの一例を示している。
【0045】
この作業者データベース14は、たとえばプラントの組立てや保守、管理に携る作業者10の情報源であり、作業者10の識別や能力、保有する資格情報や経験値などの情報が登録されている。
【0046】
作業者データベース14は、たとえば図3に示すように、作業者10ごとの作業者ファイル22-1、22-2、・・・22-Nが含まれる。作業者ファイル22には、それぞれ作業者名部24、ID番号部26、アドレス情報部28、日付部30、指示情報部32、作業履歴部34、技能情報部36を含んでいる。
【0047】
作業者名部24には、作業者10の名前が格納される。
【0048】
ID番号部26には、作業者10が所属する会社に登録されたID(IDentification)情報、またはプラントに対する入場や作業の許可を受けたときに登録されたID情報などが格納される。
【0049】
アドレス情報部28には、たとえば作業者10が保有する電子メールのアドレス情報などが含まれており、端末装置12において電子メールを介在させて、または直接データ通信により管理サーバー4から送信される指示情報を受信するための情報の一例である。
【0050】
日付部30には、たとえば作業者10が作業に従事した日時や管理サーバー4との間で指示情報の通知や作業報告データの送信などを行った日時などの情報が格納される。
【0051】
指示情報部32には、たとえば管理サーバー4から各作業者10に通知される作業箇所や作業内容、作業に必要な設定情報などを含む作業情報が格納される。
【0052】
作業履歴部34には、たとえば配置された作業箇所において作業者10に割当てられた作業内容、およびその進捗状況や、作業者10から入力された作業報告情報などが格納される。
【0053】
技能情報部36には、作業者10が備える技能データが格納される。この技能データには、たとえば溶接施工管理や危険物取扱い、消防設備士、ボイラー技師などの資格情報のほか、フランジおよびガスケットの締結モデルを利用した実習、工具の取扱実習などを終了した認定資格情報、そのほか作業者10が締結その他の作業を経験した情報などが含まれる。またこれらの技能データには、たとえば資格取得や実習経験からの経過年数や講習などの受講回数、作業経験の回数などの情報が含まれてもよい。
【0054】
<プラントデータベース(DB)16について>
図4は、プラントデータベースの一例を示している。
【0055】
このプラントデータベース16は、プラントにおける作業箇所や締結作業の内容などの情報が格納される。
プラントデータベース16には、たとえば位置情報部38、作業履歴部40、作業対象部42、補修期間部44、技能条件情報部46が含まれる。
【0056】
位置情報部38には、プラントに設置された機器や配管設備などを特定する情報であって、フランジ締結作業、設備や機器などの点検作業などの作業箇所もしくは作業内容ごとに区分けして特定された情報が格納される。締結管理では、たとえば位置情報部38に格納された位置情報を作業単位として、各作業者10に作業箇所が割当てられる。
【0057】
作業履歴部40には、プラントの機器や設備について、組立てや保守、管理などが行われた時期などが特定できる履歴情報が格納される。
【0058】
作業対象部42には、フランジ締結作業、配管や機器の点検作業などに用いられる部品や工具などの情報が格納される。この作業対象は、たとえばフランジやガスケットの型番や配管の径、ボルトやナットの本数や呼び径、使用する工具の種類、その他、ボルトとナットの締付けにおいて工具に設定するトルク値などの設定情報が含まれる。
【0059】
補修期間部44には、たとえばプラントの補修間隔などの情報が格納される。
【0060】
技能条件情報部46には、配管や設備の組立て、または保守、点検作業に関し、作業者10が習得していなければならない作業スキルの情報が格納されている。この技能条件である作業スキルには、たとえばプラントの作業に関わるために必要な資格情報のほか、このプラントもしくはフランジと同様の構成の訓練施設において習得した経験値などの条件が含まれる。
【0061】
管理サーバー4は、技能条件情報部46の情報と作業者10が取得している技能情報とを対比して、この作業箇所を担当する作業者10を選定する。
【0062】
<作業状況データベース(DB)18について>
作業状況データベース18は、プラントの作業箇所に対する作業者10の人員配置処理を行うワークスペースであるとともに、作業状況や結果などが格納される作業報告情報の一例である。この作業状況データベース18は、たとえば図5に示すように、作業日ごとの作業状況ファイル50-1、50-2、・・・50-Nが含まれる。作業状況ファイル50-1、50-2、・・・50-Nには、たとえば日付部52、位置情報部54、技能条件情報部56、作業者ID部58、技能情報部60、作業負荷部62、作業能力部64が含まれる。
【0063】
日付部52には、締結管理を行う日付情報が格納されるほか、管理データを更新した時間情報を格納してもよい。
【0064】
位置情報部54には、締結管理の対象となるプラントの作業箇所を示す情報が格納される。この位置情報は、たとえばプラントデータベース16の位置情報部38から読み出した情報が格納されればよく、もしくはデータをリンク(Link)させてもよい。
【0065】
技能条件情報部56には、プラントの設備や配管などの組立てや保守、点検に必要なスキル情報が格納されており、プラントデータベース16の技能条件情報部46から読み出した情報が格納されればよく、もしくはデータをリンクさせてもよい。
【0066】
作業者ID部58には、プラントの作業位置に対して配置された作業者10の名前やID情報が格納される。この作業者IDは、たとえば作業者データベース14の作業者名部24やID番号部26のデータを読み出して記憶させてもよく、またはこれらの情報部とデータをリンクさせてもよい。
【0067】
技能情報部60には、配置された作業者10が備える技能情報が格納される。この技能情報部60には、たとえば作業者データベース14の技能情報部36から読み出した情報が格納されればよい。
【0068】
作業負荷部62には、各作業箇所において作業者10が行う作業内容などが格納される。この作業内容は、たとえばプラントデータベース16の作業対象部42に格納されている情報の一部または全部を格納し、またはこれらの情報から算出した負荷情報などが格納される。負荷情報は、たとえばボルトの締付け回数や締付けトルク値などの情報のほか、作業予測時間などを算出した情報であってもよい。
【0069】
作業能力部64には、作業箇所における作業状況を示す情報が格納される。この作業能力は、たとえば作業負荷部62に格納される情報を利用して算出した作業目標値と、実際の作業結果との対比により算出した値などが格納されればよい。これにより、管理サーバー4は、作業箇所ごとに、作業負荷に対する作業能力の配分状態を判断して、作業者10の再配置や人員の追加などの処理に利用すればよい。
【0070】
管理サーバー4は、データベース6に格納されている情報を利用して、プラントの作業箇所に対し、適切なスキルを有する作業者10を割当て、配置させる。管理サーバー4は、たとえばプラントデータベース16の技能条件情報部46に格納されている作業に必要なスキルに対応した技能情報を有する作業者10をピックアップして担当する作業者10を選定するほか、すでに割当てられている作業者10が適切か否かを判定する。
【0071】
作業者10の選定では、たとえば複数人の作業者10が候補に挙がった場合、プラントの設備に関連した実習訓練の習得成績や訓練回数のほか、最新の訓練日が近いなどの条件を設定すればよい。
【0072】
<第1の実施形態の効果>
この第1の実施形態によれば、次のいずれかの効果が得られる。
【0073】
(1) プラントデータベース16に格納された技能条件情報と作業者データベース14に登録された技能情報とを対比し、必要な作業スキルを備える作業者10を選定して作業箇所に配置させることで、プラントの組立て作業や、保守、管理作業の信頼性を高めることができる。
【0074】
(2) 作業に必要なスキルを備えた作業者10を選定して作業箇所に配置させることで、プラントの安全性の向上が図れる。
【0075】
(3) プラントに勤務する作業者10の情報を収集し、これらの情報を利用して人員配置を自動で行えるようにすることで、作業現場の管理者に対し、作業担当を分配する手間が省ける。
【0076】
(4) 作業状況データベース18を利用して、人員配置やその条件、または作業者10の作業の進捗状況などが容易に把握できる。これによりプラントの作業箇所における作業状態が可視化されて、プラントの組立てや保守管理の信頼性が高められる。
【0077】
(5) 作業者10のスキル情報と作業箇所に必要なスキル情報のマッチングにより、管理者の経験値によらずに適切な作業者10の配置処理を行える。
【0078】
(6) 作業者10の経験情報や資格情報をデータベースに格納し、それらの情報を組み合せて作業者10の配置処理を行うとともに、その判断内容が管理サーバー4によって表示されることで、配置処理の可視化によりプラント管理の信頼性が向上する。
【0079】
〔第2の実施形態〕
図6は、第2の実施形態に係るフランジ締結管理処理工程の一例を示している。図6に示す工程は一例であり、この工程に本開示の技術が限定されるものではない。このフランジ締結管理処理工程において、Sは一部の工程、Sに付した番号は順序の一例である。
【0080】
このフランジ締結管理処理では、たとえば図6に示すように、作業者情報の登録処理f1と締結管理処理f2とを含む。
【0081】
作業者情報の登録処理f1には、たとえば作業者10の識別情報20を作業者DBに登録する工程(S201)、作業者10の技能情報を識別情報20に紐付けて登録する工程(S202)、作業者情報の登録完了工程(S203)を含む。
【0082】
また締結管理処理f2には、たとえば作業者10の認証工程(S204)、作業者10の識別情報20から技能情報の読み出し工程(S205)、プラントDBからプラント情報および技能条件情報を取得する工程(S206)、技能情報と技能条件情報との対比工程(S207)、プラントのフランジ締結部に対して作業者10を割当てる工程(S208)、フランジ締結部ごとの進捗情報の取得工程(S209)、進捗状況の判定工程(S210)、作業者10の配置調整工程(S211)を含む。
【0083】
作業者10の識別情報20を作業者DB14に登録する工程(S201):締結管理システム70は、たとえば管理サーバー4により、プラントで作業する作業者10の識別情報20を収集し、作業者データベース14に登録する。
【0084】
作業者10の技能情報を識別情報20に紐付けて登録する工程(S202):管理サーバー4は、登録した作業者10の作業者ファイル22に対し、各作業者10から取得または他のデータベースなどから収集した技能情報を登録する。
【0085】
作業者情報の登録完了工程(S203):管理サーバー4は、作業者10の識別情報20に紐付けて技能情報、その他の情報を作業者ファイル22に登録して作業者情報の登録処理f1を完了する。
【0086】
作業者10の認証工程(S204):管理サーバー4は、締結管理処理f2として、プラントへの出勤タイミングや作業箇所の策定タイミング、そのほか、作業状態の工程確認処理において作業者10から識別情報20を収集して認証する。
【0087】
作業者10の識別情報20から技能情報の読み出し工程(S205):管理サーバー4は、識別情報20に基づいて作業者データベース14に登録されている技能情報を読み出す。
【0088】
プラントDBからプラント情報および技能条件情報を取得する工程(S206):管理サーバー4は、プラントデータベース16からプラントの作業箇所の位置情報やその作業箇所に必要な技能条件情報を取得する。なお、作業工程の判断処理の場合は、作業者10が配置された作業箇所に対応する技能情報を読み出せばよい。
【0089】
技能情報と技能条件情報との対比工程(S207):管理サーバー4は、作業者10が備える技能情報と作業箇所の技能条件情報とを対比し、一致する作業箇所と作業者10とを区分する。
【0090】
プラントのフランジ締結部に対して作業者10を割当てる工程(S208):管理サーバー4は、S207の対比結果に基づいて、技能情報にマッチングする作業箇所に作業者10を割当てる。
【0091】
フランジ締結部ごとの進捗情報の取得工程(S209):管理サーバー4は、プラントの組立てや保守、点検作業が開始された後、設定されたタイミングまたはランダムのタイミングでフランジ締結部ごとの作業進捗情報を取得する。作業進捗情報は、たとえば作業者10またはその管理者が作成した作業報告データや、工具もしくは端末装置12に格納されている作業情報などが含まれる。
【0092】
進捗状況の判定工程(S210):管理サーバー4は、たとえば予め設定された工程情報を読み出し、作業進捗情報と対比する。この作業進捗情報は、たとえば作業状況データベース18に登録された作業負荷情報などを利用してもよい。
【0093】
作業者10の配置調整工程(S211):管理サーバー4は、進捗状況が予定通りの場合には(S210のYES)、作業者10の割当てが十分であると判断する。この判断結果は、たとえば作業状況データベース18に登録してもよい。
【0094】
また管理サーバー4は、進捗状況が予定通りでない場合(S210のNO)であって、作業状況が工程情報に対して遅延している場合には、作業者10の作業能力が不足していると判断し、作業者10の交代または増員を指示する。
【0095】
作業状況が工程情報に対して早い場合には、作業者10を維持してもよく、または作業が完了した後に、新たな作業箇所を提示する指示情報を生成してもよい。
【0096】
<締結管理システム70>
図7は、第2の実施形態に係る締結管理システムの構成を示している。図7に示す構成は一例であり、本開示の技術が斯かる構成に限定されない。また図7において、図2と同一部分には同一符号を付している。
【0097】
この締結管理システム70は、たとえば図7に示すように、作業者データベース14に作業者10が取得している資格情報に加えて、フランジ締結技能訓練装置で習得した技能経験情報72やフランジ締結その他プラント保守、点検作業に関する知識の習得を示す技能認証情報74などの認定情報が格納されている。また作業者データベース14には、プラントへの入出や作業許可、および作業者10の認証情報を含むIDタグ76の情報が格納されている。
【0098】
このIDタグ76のコード情報78には、たとえばQRコード(登録商標)などの二次元コードが付与されており、作業者10の認証情報や管理サーバー4などのへのアクセスなどを含む管理権限情報などが紐付けられている。
【0099】
管理サーバー4には、作業者10の識別情報20として、図示しない認証装置などにより顔認証情報80が送信されるほか、作業者10に付与されているIDカード82による認証結果や認証情報が通知される。
【0100】
管理サーバー4は、作業者10の認証情報や技能情報に基づいてプラントの作業箇所への人員配置を行う。
【0101】
<締結管理システム70のハードウェアについて>
図8は、締結管理システムのハードウェア構成例を示している。
【0102】
制御部84は、通信機能を有するコンピュータで構成される。この制御部84は、たとえばプロセッサ86、記憶部88、通信部90、入出力部(I/O)92を備える。
【0103】
プロセッサ86は、記憶部88にあるOS(Operating System)を実行し、作業者10の認証処理や作業者データベース14の登録、作業者10の技能情報と作業箇所の技能条件情報との対比処理、作業進捗状況の判断処理を含む締結管理プログラムなどの各種プログラムを実現するための情報処理を実行する。
【0104】
記憶部88は、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)などの記憶素子を備え、記録媒体の一例である。この記憶部88にはOS、既述の作業者10の配置処理や指示情報の生成などを実行するためのプログラムなど、各種のプログラムや作業者データベース14、プラントデータベース16、作業状況データベース18、工程情報データベース94が格納される。
【0105】
通信部90は、外部のデータベースや作業者10に与えられた端末装置12と無線通信により情報を送受信するための機能部である。
【0106】
I/O92は、プロセッサ86の制御により、情報提示部102に対して指示情報を表示させるほか、操作入力部104からの情報の入力を行う。またI/O92には、締結管理システム70を構成する識別情報入力部96、外部DB98、締結工具100、端末装置12などが有線または無線などにより接続されている。
【0107】
識別情報入力部96は、作業者10の識別情報20を取込み、認証処理するための手段の一例であり、たとえば顔画像を撮影する撮像装置、認証装置などで構成される。
【0108】
外部データベース98は、たとえばフランジ締結実習装置や締結実習を行う団体の管理コンピュータのデータベースなどが含まれており、作業者10が備える資格や取得した技能情報などが格納されている。
【0109】
締結工具100は、作業者10が作業箇所において使用する工具であり、制御部84から作業者10に対して通知する締付けトルク値など設定情報が入力される。この締結工具100は、たとえば各種の作業データを入力設定可能なトルクレンチやナットランナーなどの工具が含まれる。
【0110】
情報提示部102は、締結管理システム70の全体の動作状態や作業者10に対して通知する作業箇所の情報などを表示する手段の一例であり、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)などの情報提示機器で構成される。
【0111】
操作入力部104は、管理サーバー4に対する設定条件や作業者10のID番号などの認証情報を入力する手段の一例であり、たとえばキーボードやタッチパネルなどの操作手段を備える。
【0112】
<工程情報データベース(DB)94について>
図9は、工程情報データベースの一例を示している。
【0113】
この工程情報データベース94は、たとえばプラントの組立てや保守、管理の作業工程、作業状態などを含む管理データの一例であり、作業箇所に対する作業能力の判定処理に利用する情報源である。
【0114】
工程情報データベース94は、たとえば図9に示すように、フランジ締結部106、作業者部108、作業時間部110、作業量部112、設定時間部114、作業状況部116を含んでいる。
【0115】
フランジ締結部106には、締結を行うフランジの位置情報のほか、フランジやガスケット、ボルト、ナットなどの作業対象の情報が格納される。
【0116】
作業者部108には、フランジ締結部に配置された作業者10の識別情報20などが格納される。
【0117】
作業時間部110には、フランジ締結や保守、点検作業の時間情報が格納される。この作業時間部110には、たとえば開始時刻部1101や経過時間部1102が含まれる。管理サーバー4は、たとえば作業進捗状況の判断において、作業時間部110に格納された情報を利用し、予め設定された作業設定時間と経過時間とを対比する。
【0118】
作業量部112には、フランジ締結部において作業者10が行う作業内容などの情報が格納される。この作業量部112は、たとえば作業状況データベース18の作業負荷部62に格納される情報が格納されてもよく、またはデータをリンクしてもよい。
【0119】
設定時間部114には、たとえばフランジ締結部に対する作業予定時間情報が格納される。この作業予定時間情報は、工程の進捗状態を判断するための対比情報の一例であり、たとえば過去の組立てや保守、点検に要した時間情報に基づいて設定されればよい。
【0120】
作業状況部116には、管理サーバー4による進捗状況の判断結果が格納される。
【0121】
<締結管理の処理画面について>
図10図11図12は、締結管理の処理画面の一例を示している。
【0122】
管理サーバー4の情報提示部102には、たとえば図10のAに示すように、作業者管理の選択画面120が表示される。この選択画面120には、たとえば作業者10の検索処理に移行する「ID自動検索」操作部122や作業者10の配置処理に移行する「担当者決定」操作部124が含まれる。
【0123】
作業者10は、たとえば管理サーバー4にアクセスし、選択画面120から「ID自動検索」操作部122または「担当者決定」操作部124を選択して操作する。
【0124】
管理サーバー4は、たとえば「ID自動検索」操作部122が選択された場合、図10のBに示すように、IDカード選択画面130に移行する。このIDカード選択画面130には、たとえばIDカードの読込みや生体認証情報によって選択された作業者10の一覧情報132が含まれる。作業者10は、たとえば一覧情報132からから自身のIDカード情報を選択することができる。
【0125】
管理サーバー4は、一覧情報132に含まれる情報から特定のIDカード情報が選択操作されると、図11に示すように、確認画面140を生成して情報提示部102に表示させる。
【0126】
この確認画面140には、たとえば選択したIDカード情報の一部または全部の情報とともに、ボルティングの設定開始を確認する選択操作部142が含まれる。作業者10は、選択操作部142のうち、「はい」または「いいえ」のいずれかを選択入力する。
【0127】
次に、管理サーバー4は、選択操作部142の入力により、ボルティングの設定処理に移行し、締め付け作業設定画面150を生成する。この締め付け作業設定画面150には、たとえば図12のAに示すように、作業者10が担当するフランジ締結部に対する設定情報部152や、この設定情報を端末装置12やその他の機器、工具などに転送するための指示情報生成操作部154が含まれる。
【0128】
設定情報部152には、たとえば締め付けの目標軸力またはトルク値やフランジ名、ボルトの種類、サイズや本数、ガスケットの種類などの情報が含まれる。
【0129】
指示情報生成操作部154には、設定情報部152に含まれる設定情報をインポートするか、またはエクスポートするかなどの選択部が含まれる。
【0130】
そして管理サーバー4は、指示情報生成操作部154に対する操作が行われると、図12Bに示すように指示情報生成処理決定画面156を表示して、設定情報を端末装置12に転送するか否かの選択を促す。
【0131】
<プラントの作業箇所について>
図13は、プラントに設定される作業箇所の一例を示している。
【0132】
このプラント施設160には、たとえば図13に示すように、複数の配管や機器で構成されている。本開示の締結管理処理では、これらの配管同士を接続するフランジ締結部や機器の組立てや保守、点検などの作業箇所に対し、専門の技術や知識を有する作業者10の配置処理を含む。
【0133】
このプラント施設160には、たとえば1つまたは一定の距離範囲内に配置されたフランジ締結部や機器ごとに作業箇所が区分されており、各作業箇所に作業箇所識別情報162A、162B・・・162Gが設定されている。
【0134】
この作業箇所には、たとえば図14に示すように、フランジ締結部170として、先端部にフランジ継手を備える配管同士を対向させて連結させ、そのフランジ継手をボルトおよびナットで締付けている。またこのフランジ締結部170には、たとえば配管の一部やフランジ継手の表面などにタグ172が備え付けられている。
【0135】
このタグ172には、たとえば作業者10の端末装置12などで読み取り可能な二次元コードなどのアクセス情報が印字されている。
【0136】
作業者10は、たとえば端末装置12でタグ172のアクセス情報を読み取ることで、直接または管理サーバー4などを通じて、作業箇所識別情報162Cやフランジ継手の型番やボルトおよびナットの締結本数、配管の径などの情報を取得することができる。
【0137】
<締結作業について>
図15は、指示情報を工具に設定する構成例を示している。
【0138】
管理サーバー4は、作業者10の配置処理が完了すると、端末装置12に対して作業箇所とともに作業に必要な設定情報を含む指示情報を通知する。この設定情報には、ボルトおよびナットの締結に必要な軸力や締め付けトルク値などの情報が含まれる。
【0139】
作業者10は、たとえば図15に示すように、端末装置12で指示情報を受信すると、締結作業に必要な設定情報をコントローラ174に対して入力する。
【0140】
このコントローラ174は、締結作業に利用する締結工具176を制御する装置であり、締結工具176に対してケーブル178を通じて締め付けトルク値T1などの制御指示を入力する。コントローラ174には、たとえば設定情報や操作内容、締結工具176の状態などを表示する表示画面180や設定操作や数値情報などを入力する操作入力部182を備える。
【0141】
締結工具176は、コントローラ174を通じて入力された設定情報に基づき、フランジ締結部170の締結処理を行う。
【0142】
このフランジ締結部170は、たとえば連結手段であるフランジ184A、184B間にガスケット186が挟み込まれ、その周縁に設定された複数の締付け箇所にそれぞれボルト188(188A、188B、188C)およびナット190(190A、190B、190C)が配置される。
【0143】
フランジ184A、184Bの周縁上には、たとえば締付け箇所が8箇所設定されている。つまり、このフランジ184A、184Bには、たとえば等間隔に角度θ=45〔°〕の間隔で8本のボルト188とナット190が締付けられる。ガスケット186は、フランジ184A、184Bの対向面に接触するとともに、配管などの流路に重ならないように配置される。
【0144】
また指示情報には、たとえばフランジ184A、184Bの周縁上に配置されたボルト188およびナット190に対し、締め付け順序や段階的に締め付けを強くするために、締め付け回数、および締め付けトルク値の増加情報などが含まれている。
【0145】
そのほか、締結管理処理では、たとえばコントローラ174や端末装置12、またはその他図示しない作業状態の監視手段により、フランジ締結部170に対する締結工具176の位置や締め付け順序などを監視し、管理サーバー4に通知してもよい。
【0146】
<第2の実施形態の効果>
斯かる構成によれば、以下の効果が得られる。
【0147】
(1) 第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0148】
(2) 工程情報データベース94を利用し、作業の進捗状況を判断することで、作業者10の作業効率や作業能力を管理することができ、プラントの組立てや保守、点検作業の効率化を図ることができる。
【0149】
(3) 作業箇所の進捗状況に応じて作業者10の配置調整を行うことで、一部の作業箇所に作業負荷の偏りを防止することで、作業者10への作業負荷の軽減や、多大な工数による作業ミスの発生防止に貢献できる。
【0150】
(4) 作業能力の判定により、配置された作業者10が備えるスキルに対する評価を行ってフィードバックすることで、実習訓練効率の充実化が図れる。
【0151】
以上説明したように、本開示の技術の最も好ましい実施形態等について説明した。本開示の技術は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本開示の技術の範囲に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0152】
2、70 締結管理システム
4 管理サーバー
6 DB
8 ネットワーク
10 10-1、10-2、・・・10-N 作業者
12 端末装置
14 作業者データベース(DB)
16 プラントデータベース(DB)
18 作業状況データベース(DB)
20 識別情報
22-1、22-2、・・・22-N 作業者ファイル
24 作業者名部
26 ID番号部
28 アドレス情報部
30 日付部
32 指示情報部
34、40 作業履歴部
36、60 技能情報部
38、54 位置情報部
42 作業対象部
44 補修期間部
46 技能条件情報部
50-1、50-2、・・・50-N 作業状況ファイル
52 日付部
56 技能条件情報部
58 作業者ID部
62 作業負荷部
64 作業能力部
72 技能経験情報
74 技能認証情報
76 IDタグ
78 コード情報
80 顔認証情報
82 IDカード
84 制御部
86 プロセッサ
88 記憶部
90 通信部
92 I/O
94 工程情報データベース(DB)
96 識別情報入力部
98 外部DB
100、176 締結工具
102 情報提示部
104 操作入力部
106 フランジ締結部
108 作業者部
110 作業時間部
1101 開始時刻部
1102 経過時間部
112 作業量部
114 設定時間部
116 作業状況部
120 選択画面
122 「ID自動検索」操作部
124 「担当者決定」操作部
130 IDカード選択画面
132 一覧情報
140 確認画面
142 選択操作部
150 締め付け作業設定画面
152 設定情報部
154 指示情報生成操作部
156 指示情報生成処理決定画面
160 プラント施設
162A~162G 作業箇所識別情報
170 フランジ締結部
172 タグ
174 コントローラ
178 ケーブル
180 表示画面
182 操作入力部
184A、184B フランジ
186 ガスケット
188A、188B、188C ボルト
190A、190B、190C ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15