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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】メタルガスケット
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/08 20060101AFI20241113BHJP
【FI】
F16J15/08 G
F16J15/08 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022557471
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(86)【国際出願番号】 JP2021038177
(87)【国際公開番号】W WO2022085577
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2024-04-16
(31)【優先権主張番号】P 2020175744
(32)【優先日】2020-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000229564
【氏名又は名称】株式会社バルカー
(74)【代理人】
【識別番号】100141472
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 善弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 広嗣
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-028958(JP,U)
【文献】特開2002-364750(JP,A)
【文献】国際公開第2012/005165(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周側に開口部を有し、平面形状が環状であり、縦断面形状がコの字状または横向きのU字状であるメタルガスケットであって、上面部と内周部と下面部とを有し、上面部の上面と内周部の内周面との境界および下面部の下面と内周部の内周面との境界にそれぞれ内周方向に向かって傾斜し、メタルガスケットの高さの3~25%の厚さの最小肉厚部を有する傾斜面がそれぞれ形成され、縦断面形状が山形状である山形部それぞれ上面部および下面部に形成されており前記上面部の上面と内周部の内周面との境界にある傾斜面の延長線上に頂点が上面部で形成され、前記下面部の下面と内周部の内周面との境界にある傾斜面の延長線上に頂点が下面部で形成されており、前記上面部および前記下面部でそれぞれ形成されている山形部の頂点がガスケットの水平方向においてメタルガスケットの幅の中間点とメタルガスケットの内周部の内周面との間の領域にそれぞれ存在しており、上面部の上面から山形部の頂点までの高さおよび下面部の下面から山形部の頂点までの高さがそれぞれ0.01mm以上であり、上面部の下面と下面部の上面との間隔がメタルガスケットの高さの20~90%である開口部が形成されていることを特徴とするメタルガスケット。
【請求項2】
メタルガスケットがアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、インコネル、炭素鋼、鉛、金、銀、銅、ニッケル、タンタル、クロムモリブデン鋼、モネル、チタンおよびマグネシウム合金からなる群より選ばれた金属で形成されてなる請求項1に記載のメタルガスケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタルガスケットに関する。さらに詳しくは、本発明は、例えば、火力発電所、原子力発電所、スチームタービン船の蒸気機関、石油精製ライン、石油化学工業のプロセスライン、半導体製造ラインなどにおいて配管同士、機器装置などを接続する際に用いられるメタルガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
耐熱性に優れているメタルガスケットとして、メタル中空Oリング、ばね入りメタルCリングなどが提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。しかし、これらのメタルガスケットには、フランジ間をシールさせるために必要な締付力が大きいという欠点がある。
【0003】
フランジ間の締付力を低減させるために、被シール部材のシール面に当接する突起を備えたジャケットシール(例えば、特許文献3参照)、上部負荷集中突起と下部負荷集中突起とを備えたシール(例えば、特許文献4参照)などが提案されている。しかし、前記突起を備えたジャケットシールおよび前記上部負荷集中突起と下部負荷集中突起とを備えたシールは、いずれも突起を精度よく製造することが困難であることから、高いシール性を確保することが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-177976号公報
【文献】特開平11-30333号公報
【文献】特開2000-304132号公報
【文献】特表2005-517883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、フランジなどの被シール材を小さい締付け力で締付けることによってメタルガスケットと被シール材とのシール性を確保することができ、さらにボルトなどの締付部材を完全に締付けるまでに要する力を小さくすることができるメタルガスケットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
(1)外周側に開口部を有し、平面形状が環状であり、縦断面形状がコの字状または横向きのU字状であるメタルガスケットであって、上面部と内周部と下面部とを有し、上面部の上面と内周部の内周面との境界および下面部の下面と内周部の内周面との境界にそれぞれ内周方向に向かって傾斜し、メタルガスケットの高さの3~25%の厚さの最小肉厚部を有する傾斜面がそれぞれ形成され、縦断面形状が山形状である山形部それぞれ上面部および下面部に形成されており前記上面部の上面と内周部の内周面との境界にある傾斜面の延長線上に頂点が上面部で形成され、前記下面部の下面と内周部の内周面との境界にある傾斜面の延長線上に頂点が下面部で形成されており、前記上面部および前記下面部でそれぞれ形成されている山形部の頂点がガスケットの水平方向においてメタルガスケットの幅の中間点とメタルガスケットの内周部の内周面との間の領域にそれぞれ存在しており、上面部の上面から山形部の頂点までの高さおよび下面部の下面から山形部の頂点までの高さがそれぞれ0.01mm以上であり、上面部の下面と下面部の上面との間隔がメタルガスケットの高さの20~90%である開口部が形成されていることを特徴とするメタルガスケット、および
(2)メタルガスケットがアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、インコネル、炭素鋼、鉛、金、銀、銅、ニッケル、タンタル、クロムモリブデン鋼、モネル、チタンおよびマグネシウム合金からなる群より選ばれた金属で形成されてなる前記(1)に記載のメタルガスケット
に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、フランジなどの被シール材を小さい締付け力で締付けることによってメタルガスケットと被シール材とのシール性を確保することができ、さらにボルトなどの締付部材を完全に締付けるまでに要する力を小さくすることができるメタルガスケットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明のメタルガスケットの一実施態様を示す概略側面図である。
図2図1に示される本発明のメタルガスケットのX-X部における概略断面図である。
図3図1に示される本発明のメタルガスケットのX-X部における概略断面図である。
図4】各実施例および各比較例で用いられたメタルガスケットの評価試験装置の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のメタルガスケットは、前記したように、外周側に開口部を有し、平面形状が環状であり、縦断面形状がコの字状(lateral channel shape)または横向きのU字状であるメタルガスケットである。
【0010】
本発明のメタルガスケットは、上面部と内周部と下面部とを有し、上面部の上面と内周部の内周面との境界および下面部の下面と内周部の内周面との境界にそれぞれ内周方向に向かって傾斜し、メタルガスケットの高さの3~25%の厚さの最小肉厚部を有する傾斜面がそれぞれ形成されており、縦断面形状が山形状である山形部をそれぞれ上面部および下面部に有し、上面部の上面から山形部の頂点までの高さおよび下面部の下面から山形部の頂点までの高さがそれぞれ0.01mm以上であり、上面部の下面と下面部の上面との間隔がメタルガスケットの高さの20~90%である開口部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明のメタルガスケットは、前記構成を有することから、フランジなどの被シール材を小さい締付け力で締付けることによってメタルガスケットと被シール材とのシール性を確保することができ、さらにボルトなどの締付部材を完全に締付けるまでに要する力を小さくすることができるという優れた効果を発現する。
【0012】
なお、前記被シール材は、本発明のメタルガスケットによって締め付けられる部材を意味する。当該被シール材の代表例としては、鋼管などの管状体の端部に形成されているフランジ、機器装置の接続部などが挙げられる。
【0013】
以下に、本発明のメタルガスケットを図面に基づいて詳細に説明するが、本発明のメタルガスケットは、当該図面に記載の実施態様のみに限定されるものではなく、本発明の範囲内であれば他の実施態様を有するものであってもよい。
【0014】
図1は、本発明のメタルガスケット1の一実施態様を示す概略側面図である。図2および図3は、図1に示される本発明のメタルガスケット1のX-X部における概略断面図である。本発明のメタルガスケット1の説明の便宜上、図2には、主として本発明のメタルガスケット1の主要部の参照符号が記載されており、図3には、主として本発明のメタルガスケット1の主要部以外の部分の参照符号が記載されている。
【0015】
メタルガスケット1は、図1に示されるように環状の平面形状を有する。環状の平面形状としては、例えば、円形、正方形、長方形など多角形などが挙げられるが、本発明は、当該平面形状のみに限定されるものではない。なお、前記円形は、真円のみならず、縦長の楕円形、横長の楕円形およびトラック楕円形を含む概念のものである。メタルガスケット1が多角形を有する場合、当該多角形の角部には、稜角を避けるために、半径が0.3~0.5mm程度である円弧を有することが好ましい。
【0016】
メタルガスケット1は、図2および図3に示されるように、上面部3と内周部4と下面部5とを有する。上面部3は内周部4と連結されており、内周部4は下面部5と連結されている。
【0017】
メタルガスケット1の縦断面形状は、図2および図3に示されるように片仮名のコの字状の縦断面形状(lateral channel shape)であるか、または横向きのU字状である。これらの断面形状のなかでは、フランジなどの被シール材を小さい締付け力で締付けることによってメタルガスケットと被シール材とのシール性を確保し、ボルトなどの締付部材を完全に締付けるまでに要する力を小さくする観点から、片仮名のコの字状の縦断面形状(lateral channel shape)であることが好ましい。
【0018】
メタルガスケット1の縦断面形状が片仮名のコの字状である場合、メタルガスケット1の内周部4の内周面4a(開口部2の円周方向の内面)は、図2および図3に示されるように平面であってもよく、曲面であってもよく、角を有する面であってもよく、あるいは凹凸を有する面であってもよい。
【0019】
メタルガスケット1の縦断面形状が横向きのU字状である場合、メタルガスケット1の内周部4の縦断面形状は、円弧状である。縦断面形状が横向きのU字状のメタルガスケット1は、説明の便宜上、その縦断面がU字状であるものを意味する。縦断面がU字状であることには、その開口部2よりも内部の方が拡がっている縦断面が横向きのC字状である概念が含まれる。
【0020】
メタルガスケット1は、図2に示されるように、外周側に開口部2を有する。メタルガスケット1の開口部2内の内周部4の外周面4bは、図2に示されるように平面であってもよく、弧を有する面であってもよく、凹凸を有する面であってもよい。
【0021】
図2に示される実施態様では、上面部3の下面3bと内周部4の外周面4bとの境界および下面部5の上面5bと内周部4の外周面4bとの境界に円弧が形成されているが、角を有していてもよく、斜面を有していてもよい。
【0022】
図2に示される実施態様では、上面部3の下面3bおよび下面部5の上面5bは、それぞれメタルガスケット1の平面に対して平行な面(メタルガスケット1の水平面)となっている。下面3bおよび上面5bには、テーパ(傾斜)が形成されていてもよい。
【0023】
図2および図3に示される実施態様では、開口部2の内部は空洞となっている。開口部2の内部には、必要により、弾性体(図示せず)が装着されていてもよい。弾性体は、通常、メタルガスケット1の開口部2の内部の形状に対応する形状を有する。弾性体は、メタルガスケット1の開口部2の内壁と接触するように開口部2内に配設されていてもよい。表面に凹凸形状を形成したり、弾性体の縦断面形状を円形、三角形などの形状にしたりすることにより、弾性体と開口部2の内壁との間に間隙が設けられていてもよい。
【0024】
弾性体を構成する材料としては、例えば、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、天然ゴムなどのゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマー、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂などのように可撓性が高い熱可塑性樹脂、アルミニウム合金、ステンレス鋼、インコネル、炭素鋼、鉛、金、銀、銅、ニッケル、タンタル、クロムモリブデン鋼、モネル、チタン、マグネシウム合金などの金属などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの弾性体を構成する材料のなかでは、耐熱性に優れているとともに、フランジなどの被シール材(図示せず)を小さい締付け力で締付けることによってメタルガスケット1と被シール材とのシール性を確保することができ、熱履歴を受けた場合であってもメタルガスケット1と被シール材とのシール性を確保することができるメタルガスケット1を得る観点から、フッ素ゴムおよびシリコーンゴムが好ましく、フッ素ゴムがより好ましい。また、弾性体として、例えば、コイルばねなどを用いることもできる。
【0025】
上面部3の上面3aと内周部4の内周面4aとの境界および下面部5の下面5aと内周部4の内周面4aとの境界には、フランジなどの被シール材を小さい締付け力で締付けることによってメタルガスケットと被シール材とのシール性を確保し、ボルトなどの締付部材を完全に締付けるまでに要する力を小さくする観点から、それぞれ、メタルガスケット1の内周方向に向かって傾斜している上面部3の傾斜面6aおよび下面部5の傾斜面6bが形成されている。
【0026】
傾斜面6a,6bとメタルガスケット1の水平面との間の角度(傾斜角)θ1は、特に限定されないが、被シール材を小さい締付け力で締付けることができるようにする観点から、それぞれ、好ましくは20~80°、より好ましくは30~55°である。
【0027】
メタルガスケット1の傾斜面6a,6bには、フランジなどの被シール材を小さい締付け力で締付けることによってメタルガスケットと被シール材とのシール性を確保し、ボルトなどの締付部材を完全に締付けるまでに要する力を小さくする観点から、それぞれメタルガスケット1の高さHの3~25%の厚さの最小肉厚部tが形成されている。最小肉厚部tは、図2および図3に示されるように、傾斜面6a,6bにおいてその厚さが最も小さい箇所である。傾斜面6a,6bの最小肉厚部tは、メタルガスケット1と被シール材とのシール性を向上させる観点から、それぞれ、メタルガスケット1の高さHの3%以上であり、被シール材を小さい締付け力で締付けることができるようにする観点から25%以下である。
【0028】
メタルガスケット1の高さHは、メタルガスケット1の用途などによって異なるので一概には決定することができないことから、メタルガスケット1の用途などに応じて適宜調整することが好ましい。メタルガスケット1の高さHの一例を挙げれば、高さHは、例えば、1.5~15mm程度である。
【0029】
上面部3の上面3a、内周部4の内周面4aおよび下面部5の下面5aは、通常、平面である。上面3a、内周面4aおよび下面5aには、本発明の目的が阻害されない範囲内で、例えば、凹凸形状、波形形状、湾曲形状などの形状が形成されていてもよい。
【0030】
図2および図3に示される実施態様では、メタルガスケット1の上面部3の上面3aおよび下面部5の下面5aは、メタルガスケット1に対して水平となっているが、必ずしもメタルガスケット1に対して水平となっていなくてもよく、本発明の目的が阻害されない範囲内で傾斜を有していてもよい。
【0031】
メタルガスケット1は、頂点Pを有し、縦断面形状が山形状である山形部7aを上面部3に有し、頂点Qを有し、縦断面形状が山形状である山形部7bを下面部5に有する。
【0032】
図3に示されるように、頂点Pは、フランジなどの被シール材を小さい締付け力で締付けることによってメタルガスケットと被シール材とのシール性を確保し、ボルトなどの締付部材を完全に締付けるまでに要する力を小さくする観点から、上面部3の傾斜面6aの延長線上に形成されていることが好ましく、上面部3の傾斜面6aの延長線上に同一平面で形成されていることがより好ましい。また、頂点Qは、フランジなどの被シール材を小さい締付け力で締付けることによってメタルガスケットと被シール材とのシール性を確保し、ボルトなどの締付部材を完全に締付けるまでに要する力を小さくする観点から、下面部5の傾斜面6bの延長線上に形成されていることが好ましく、下面部5の傾斜面6bの延長線上に同一平面で形成されていることが好ましい。
【0033】
上面部3の上面3aから山形部7aの頂点Pまでの高さh1および下面部5の下面5aから山形部7bの頂点Qまでの高さh2は、それぞれ0.01mm以上である。メタルガスケット1は、山形部7a,7bで被シール材と接触する。
【0034】
本発明においては、縦断面形状が山形状の山形部7a,7bがメタルガスケット1に形成されており、高さh1および高さh2がそれぞれ0.01mm以上であるので、被シール材を小さい締付け力で締付けることによってメタルガスケット1と被シール材とのシール性を確保することができ、締付部材を完全に締付けるまでに要する応力を小さくすることができる。
【0035】
なお、高さh1の上限値および高さh2の上限値は、いずれも特に限定されないが、被シール材を小さい締付け力で締付けることによってメタルガスケット1と被シール材とのシール性を確保することができ、締付部材を完全に締付けるまでに要する応力を小さくすることができるようにする観点から、それぞれ、好ましくは0.3mm以下、より好ましくは0.2mm以下である。
【0036】
図2に示されるように、山形部7aの頂点Pおよび山形部7bの頂点Qは、それぞれ尖っていてもよく、丸みを帯びていてもよいが、被シール材を小さい締付け力で締付けることによってメタルガスケット1と被シール材とのシール性を確保することができ、締付部材を完全に締付けるまでに要する応力を小さくすることができるようにする観点から、尖っていることが好ましい。
【0037】
図3において、山形部7aの頂点Pにおける角度θ2および山形部7bの頂点Qにおける角度θ2は、特に限定されないが、被シール材を小さい締付け力で締付けることによってメタルガスケット1と被シール材とのシール性を確保することができ、締付部材を完全に締付けるまでに要する応力を小さくすることができるようにする観点から、それぞれ、好ましくは10~160°、より好ましくは30~150°、さらに好ましくは60~140°、さらに一層好ましくは90~140°である。
【0038】
図2に示されるように、山形部7a,7bの斜面は、平滑面であってもよく、波形を有する面であってもよく、あるいは凹凸を有する面であってもよい。
【0039】
山形部7aの頂点Pおよび山形部7bの頂点Qの水平方向における位置は、図2に示されるように、フランジなどの被シール材を小さい締付け力で締付けることによってメタルガスケットと被シール材とのシール性を確保し、ボルトなどの締付部材を完全に締付けるまでに要する力を小さくする観点から、メタルガスケット1の幅の中間点とメタルガスケット1の内周部4の内周面4aとの間の領域Rに存在することが好ましい。
【0040】
メタルガスケット1の幅は、メタルガスケット1の内周部4の内周面4aから上面部3の外周端3cまでの長さおよび内周部4の内周面4aから下面部5の外周端5cまでの長さである。
【0041】
山形部7aの頂点Pおよび山形部7bの頂点Qの水平方向における位置は、被シール材を小さい締付け力で締付けることによってメタルガスケット1と被シール材とのシール性を確保することができるようにする観点から、図2に示されるように、それぞれ、内周部4の外周面4bと上面部3の下面3bの中間点Mとの間および内周部4の外周面4bと下面部5の上面5bの中間点Nとの間に存在することが好ましい。
【0042】
上面部3の下面3bと下面部5の上面5bとの間隔Dは、被シール材を小さい締付け力で締付けることによってメタルガスケット1と被シール材とのシール性を確保することができ、締付部材を完全に締付けるまでに要する力を小さくする観点から、メタルガスケット1の高さHの20%以上、好ましくは25%以上であり、メタルガスケット1と被シール材とのシール性を向上させる観点から90%以下、好ましくは80%以下である。
【0043】
メタルガスケット1の平面における直径は、メタルガスケット1の用途によって異なるので一概には決定することができないことから、メタルガスケット1の用途に応じて適宜決定することが好ましいが、通常、2mm~3m程度である。
【0044】
メタルガスケット1の幅は、メタルガスケット1の用途によって異なるので一概には決定することができないことから、メタルガスケット1の用途に応じて適宜決定することが好ましいが、通常、1~15mm程度である。
【0045】
メタルガスケット1の材質は、被シール材を小さい締付け力で締付けることによってメタルガスケット1と被シール材とのシール性を確保する観点から、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、インコネル、炭素鋼、鉛、金、銀、銅、ニッケル、タンタル、クロムモリブデン鋼、モネル、チタンおよびマグネシウム合金からなる群より選ばれた金属であることが好ましく、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼およびインコネルからなる群より選ばれた金属であることがより好ましく、アルミニウム、アルミニウム合金またはステンレス鋼であることがさらに好ましく、アルミニウムまたはアルミニウム合金であることがさらに一層好ましい。
【0046】
アルミニウム合金としては、例えば、アルミニウム-鉄合金、アルミニウム-銅合金、アルミニウム-マンガン合金、アルミニウム-マグネシウム合金、アルミニウム-亜鉛合金、アルミニウム-ニッケル合金などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0047】
ステンレス鋼としては、例えば、SUS304、SUS316、SUS430、SUS630、SUS631、SUS633、SUS420J2などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0048】
また、マグネシウム合金に使用されるマグネシウム以外の金属としては、例えば、リチウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛、チタン、マンガン、ジルコニウム、イットリウム、タンタル、ネオジウム、ニオブなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0049】
メタルガスケット1の表面には、本発明の目的が阻害されない範囲内でめっき層、コーティング層(塗膜)などが形成されていてもよい。
【0050】
以上のようにして構成されるメタルガスケット1をフランジなどの被シール材間に挿入して締付けたとき、所定の高さを有する山形部7a,7bが被シール材によって押圧され、メタルガスケット1が適度に撓むので、被シール材を小さい締付け力で締付けた場合であってもメタルガスケット1と被シール材とのシール性を確保することができる。さらに締付部材を被シール材間で完全に締付けたとき、上面部3の下面3bと下面部5の上面5bとの間隔Dがメタルガスケット1の高さに対して所定の割合で有する開口部2が形成されていることから、締付部材を完全に締付けるまでに要する応力を小さくすることができる。
【0051】
したがって、本発明のメタルガスケット1は、フランジなどの被シール材を小さい締付け力で締付けることによってメタルガスケット1と被シール材とのシール性を確保することができ、さらに締付部材を完全に締付けるまでに要する応力を小さくすることができることから、締付部材の小型化およびその数量の低減を図ることができる。このことから、本発明のメタルガスケット1は、例えば、火力発電所、原子力発電所、スチームタービン船の蒸気機関、石油精製ライン、石油化学工業のプロセスライン、半導体製造ラインなどにおける配管同士、機器装置などを接続する際に好適に使用することができる。
【実施例
【0052】
次に、本発明のメタルガスケットを実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明は、当該実施例に記載の実施態様のみに限定されるものではない。
【0053】
実施例1
メタルガスケットとして、図2および図3に示される縦断面形状を有するアルミニウム製のメタルガスケット1を用いた。
【0054】
より具体的には、メタルガスケット1は、円形の平面形状を有しており、頂点Pおよび頂点Qがそれぞれ領域Rの範囲内に存在し、メタルガスケット1の高さHが3.2mmであり、内径が20mmであり、外径が25mmであった。メタルガスケット1の上面部3、内周部4および下面部5の厚さはそれぞれ0.3mmであり、傾斜面6a,6bとメタルガスケット1の水平面との間の角度(傾斜角)θ1は、それぞれ45°であり、山形部7a,7bの頂点P,Qにおける角度θ2は、それぞれ125°であった。
【0055】
メタルガスケット1の上面部3の傾斜面6aおよび下面部5の傾斜面6bにそれぞれメタルガスケット1の高さHの15%の厚さの最小肉厚部tが形成されており、高さh1および高さh2がそれぞれ0.01mmであり、上面部3の下面3bと下面部5の上面5bとの間隔Dがメタルガスケット1の高さの40%である開口部2が形成されているメタルガスケット1を用いた。
【0056】
前記メタルガスケット1の性能として、シール開始荷重および締付完了時の荷重を以下の方法に基づいて調べた。その結果を表1に示す。
【0057】
なお、シール開始荷重および締付完了時の荷重は、図4に示されるメタルガスケット1の評価試験装置8を用いて調べた。図4は、メタルガスケット1の評価試験装置8の概略説明図である。
【0058】
(1)シール開始荷重
評価試験装置8内にメタルガスケット1を試験プラテン9aと試験プラテン9bとの間に装着した。ヘリウムガスボンベ10のノズル10aからヘリウムガスを噴射させ、大気圧のヘリウムガスを評価試験装置8内に充満させた。
【0059】
次に、ヘリウムリークディテクター11を用い、メタルガスケット1の外部からメタルガスケット1の内側の空間部に流入したヘリウムガスの漏れ量を測定した。このとき、メタルガスケット1に加えられる圧縮荷重を調整し、ヘリウムガスの漏れ量が1×10-11Pa・m3/s以下となるときの圧縮荷重をシール開始荷重とし、以下の評価基準に基づいてシール開始荷重を評価した。
【0060】
〔評価基準〕
〇:シール開始荷重が1.2kN以下である。
×:シール開始荷重が1.2kNを超える。
【0061】
(2)締付完了時の荷重
シール開始荷重を測定した後、メタルガスケット1が完全に締め付けられるときに必要な荷重を測定し、以下の評価基準に基づいて締付完了時の荷重を評価した。
【0062】
〔評価基準〕
○:締付完了時の荷重が3.2kN以下である。
×:締付完了時の荷重が3.2kNを超える。
【0063】
(3)総合評価
シール開始荷重および締付完了時の荷重の評価がいずれも○であるとき、総合評価を○とし、それ以外の評価であるとき、総合評価を×とした。
【0064】
実施例2
メタルガスケットとして、図2および図3に示される縦断面形状を有するアルミニウム製のメタルガスケット1を用いた。
【0065】
より具体的には、メタルガスケット1は、円形の平面形状を有しており、頂点Pおよび頂点Qがそれぞれ領域Rの範囲内に存在し、メタルガスケット1の高さHが3.2mmであり、内径が20mmであり、外径が25mmであった。メタルガスケット1の上面部3、内周部4および下面部5の厚さはそれぞれ0.3mmであり、傾斜面6a,6bとメタルガスケット1の水平面との間の角度(傾斜角)θ1は、それぞれ45°であり、山形部7a,7bの頂点P,Qにおける角度θ2は、それぞれ125°であった。
【0066】
メタルガスケット1の上面部3の傾斜面6aおよび下面部5の傾斜面6bにそれぞれメタルガスケット1の高さHの3%の厚さの最小肉厚部tが形成されており、高さh1および高さh2がそれぞれ0.01mmであり、上面部3の下面3bと下面部5の上面5bとの間隔Dがメタルガスケット1の高さの40%である開口部2が形成されているメタルガスケット1を用いた。
【0067】
前記メタルガスケット1の性能として、シール開始荷重および締付完了時の荷重を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0068】
実施例3
メタルガスケットとして、図2および図3に示される縦断面形状を有するアルミニウム製のメタルガスケット1を用いた。
【0069】
より具体的には、メタルガスケット1は、円形の平面形状を有しており、頂点Pおよび頂点Qがそれぞれ領域Rの範囲内に存在し、メタルガスケット1の高さHが3.2mmであり、内径が20mmであり、外径が25mmであった。メタルガスケット1の上面部3、内周部4および下面部5の厚さはそれぞれ0.3mmであり、傾斜面6a,6bとメタルガスケット1の水平面との間の角度(傾斜角)θ1は、それぞれ45°であり、山形部7a,7bの頂点P,Qにおける角度θ2は、それぞれ125°であった。
【0070】
メタルガスケット1の上面部3の傾斜面6aおよび下面部5の傾斜面6bにそれぞれメタルガスケット1の高さHの15%の厚さの最小肉厚部tが形成されており、高さh1および高さh2がそれぞれ0.01mmであり、上面部3の下面3bと下面部5の上面5bとの間隔Dがメタルガスケット1の高さの40%である開口部2が形成されているメタルガスケット1を用いた。
【0071】
前記メタルガスケット1の性能として、シール開始荷重および締付完了時の荷重を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0072】
実施例4
メタルガスケットとして、図2および図3に示される縦断面形状を有するアルミニウム製のメタルガスケット1を用いた。
【0073】
より具体的には、メタルガスケット1は、円形の平面形状を有しており、頂点Pおよび頂点Qがそれぞれ領域Rの範囲内に存在し、メタルガスケット1の高さHが3.2mmであり、内径が20mmであり、外径が25mmであった。メタルガスケット1の上面部3、内周部4および下面部5の厚さはそれぞれ0.3mmであり、傾斜面6a,6bとメタルガスケット1の水平面との間の角度(傾斜角)θ1は、それぞれ45°であり、山形部7a,7bの頂点P,Qにおける角度θ2は、それぞれ125°であった。
【0074】
メタルガスケット1の上面部3の傾斜面6aおよび下面部5の傾斜面6bにそれぞれメタルガスケット1の高さHの25%の厚さの最小肉厚部tが形成されており、高さh1および高さh2がそれぞれ0.01mmであり、上面部3の下面3bと下面部5の上面5bとの間隔Dがメタルガスケット1の高さの40%である開口部2が形成されているメタルガスケット1を用いた。
【0075】
前記メタルガスケット1の性能として、シール開始荷重および締付完了時の荷重を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0076】
実施例5
メタルガスケットとして、図2および図3に示される縦断面形状を有するアルミニウム製のメタルガスケット1を用いた。
【0077】
より具体的には、メタルガスケット1は、円形の平面形状を有しており、頂点Pおよび頂点Qがそれぞれ領域Rの範囲内に存在し、メタルガスケット1の高さHが3.2mmであり、内径が20mmであり、外径が25mmであった。メタルガスケット1の上面部3、内周部4および下面部5の厚さはそれぞれ0.3mmであり、傾斜面6a,6bとメタルガスケット1の水平面との間の角度(傾斜角)θ1は、それぞれ45°であり、山形部7a,7bの頂点P,Qにおける角度θ2は、それぞれ125°であった。
【0078】
メタルガスケット1の上面部3の傾斜面6aおよび下面部5の傾斜面6bにそれぞれメタルガスケット1の高さHの15%の厚さの最小肉厚部tが形成されており、高さh1および高さh2がそれぞれ0.01mmであり、上面部3の下面3bと下面部5の上面5bとの間隔Dがメタルガスケット1の高さの20%である開口部2が形成されているメタルガスケット1を用いた。
【0079】
前記メタルガスケット1の性能として、シール開始荷重および締付完了時の荷重を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0080】
実施例6
メタルガスケットとして、図2および図3に示される縦断面形状を有するアルミニウム製のメタルガスケット1を用いた。
【0081】
より具体的には、メタルガスケット1は、円形の平面形状を有しており、頂点Pおよび頂点Qがそれぞれ領域Rの範囲内に存在し、メタルガスケット1の高さHが3.2mmであり、内径が20mmであり、外径が25mmであった。メタルガスケット1の上面部3、内周部4および下面部5の厚さはそれぞれ0.3mmであり、傾斜面6a,6bとメタルガスケット1の水平面との間の角度(傾斜角)θ1は、それぞれ45°であり、山形部7a,7bの頂点P,Qにおける角度θ2は、それぞれ125°であった。
【0082】
メタルガスケット1の上面部3の傾斜面6aおよび下面部5の傾斜面6bにそれぞれメタルガスケット1の高さHの15%の厚さの最小肉厚部tが形成されており、高さh1および高さh2がそれぞれ0.01mmであり、上面部3の下面3bと下面部5の上面5bとの間隔Dがメタルガスケット1の高さの40%である開口部2が形成されているメタルガスケット1を用いた。
【0083】
前記メタルガスケット1の性能として、シール開始荷重および締付完了時の荷重を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0084】
実施例7
メタルガスケットとして、図2および図3に示される縦断面形状を有するアルミニウム製のメタルガスケット1を用いた。
【0085】
より具体的には、メタルガスケット1は、円形の平面形状を有しており、頂点Pおよび頂点Qがそれぞれ領域Rの範囲内に存在し、メタルガスケット1の高さHが3.2mmであり、内径が20mmであり、外径が25mmであった。メタルガスケット1の上面部3、内周部4および下面部5の厚さはそれぞれ0.3mmであり、傾斜面6a,6bとメタルガスケット1の水平面との間の角度(傾斜角)θ1は、それぞれ45°であり、山形部7a,7bの頂点P,Qにおける角度θ2は、それぞれ125°であった。
【0086】
メタルガスケット1の上面部3の傾斜面6aおよび下面部5の傾斜面6bにそれぞれメタルガスケット1の高さHの15%の厚さの最小肉厚部tが形成されており、高さh1および高さh2がそれぞれ0.01mmであり、上面部3の下面3bと下面部5の上面5bとの間隔Dがメタルガスケット1の高さの90%である開口部2が形成されているメタルガスケット1を用いた。
【0087】
前記メタルガスケット1の性能として、シール開始荷重および締付完了時の荷重を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0088】
実施例8
メタルガスケットとして、図2および図3に示される縦断面形状を有するアルミニウム製のメタルガスケット1を用いた。
【0089】
より具体的には、メタルガスケット1は、円形の平面形状を有しており、頂点Pおよび頂点Qがそれぞれ領域Rの範囲内に存在し、メタルガスケット1の高さHが3.2mmであり、内径が20mmであり、外径が25mmであった。メタルガスケット1の上面部3、内周部4および下面部5の厚さはそれぞれ0.3mmであり、傾斜面6a,6bとメタルガスケット1の水平面との間の角度(傾斜角)θ1は、それぞれ45°であり、山形部7a,7bの頂点P,Qにおける角度θ2は、それぞれ125°であった。
【0090】
メタルガスケット1の上面部3の傾斜面6aおよび下面部5の傾斜面6bにそれぞれメタルガスケット1の高さHの15%の厚さの最小肉厚部tが形成されており、高さh1および高さh2がそれぞれ0.15mmであり、上面部3の下面3bと下面部5の上面5bとの間隔Dがメタルガスケット1の高さの90%である開口部2が形成されているメタルガスケット1を用いた。
【0091】
前記メタルガスケット1の性能として、シール開始荷重および締付完了時の荷重を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0092】
実施例9
メタルガスケットとして、図2および図3に示される縦断面形状を有するアルミニウム製のメタルガスケット1を用いた。
【0093】
より具体的には、メタルガスケット1は、円形の平面形状を有しており、頂点Pおよび頂点Qがそれぞれ領域Rの範囲内に存在し、メタルガスケット1の高さHが3.2mmであり、内径が20mmであり、外径が25mmであった。メタルガスケット1の上面部3、内周部4および下面部5の厚さはそれぞれ0.3mmであり、傾斜面6a,6bとメタルガスケット1の水平面との間の角度(傾斜角)θ1は、それぞれ45°であり、山形部7a,7bの頂点P,Qにおける角度θ2は、それぞれ125°であった。
【0094】
メタルガスケット1の上面部3の傾斜面6aおよび下面部5の傾斜面6bにそれぞれメタルガスケット1の高さHの3%の厚さの最小肉厚部tが形成されており、高さh1および高さh2がそれぞれ0.01mmであり、上面部3の下面3bと下面部5の上面5bとの間隔Dがメタルガスケット1の高さの20%である開口部2が形成されているメタルガスケット1を用いた。
【0095】
前記メタルガスケット1の性能として、シール開始荷重および締付完了時の荷重を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0096】
実施例10
メタルガスケットとして、図2および図3に示される縦断面形状を有するアルミニウム製のメタルガスケット1を用いた。
【0097】
より具体的には、メタルガスケット1は、円形の平面形状を有しており、頂点Pおよび頂点Qがそれぞれ領域Rの範囲内に存在し、メタルガスケット1の高さHが3.2mmであり、内径が20mmであり、外径が25mmであった。メタルガスケット1の上面部3、内周部4および下面部5の厚さはそれぞれ0.3mmであり、傾斜面6a,6bとメタルガスケット1の水平面との間の角度(傾斜角)θ1は、それぞれ45°であり、山形部7a,7bの頂点P,Qにおける角度θ2は、それぞれ125°であった。
【0098】
メタルガスケット1の上面部3の傾斜面6aおよび下面部5の傾斜面6bにそれぞれメタルガスケット1の高さHの3%の厚さの最小肉厚部tが形成されており、高さh1および高さh2がそれぞれ0.01mmであり、上面部3の下面3bと下面部5の上面5bとの間隔Dがメタルガスケット1の高さの90%である開口部2が形成されているメタルガスケット1を用いた。
【0099】
前記メタルガスケット1の性能として、シール開始荷重および締付完了時の荷重を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0100】
実施例11
メタルガスケットとして、図2および図3に示される縦断面形状を有するアルミニウム製のメタルガスケット1を用いた。
【0101】
より具体的には、メタルガスケット1は、円形の平面形状を有しており、頂点Pおよび頂点Qがそれぞれ領域Rの範囲内に存在し、メタルガスケット1の高さHが3.2mmであり、内径が20mmであり、外径が25mmであった。メタルガスケット1の上面部3、内周部4および下面部5の厚さはそれぞれ0.3mmであり、傾斜面6a,6bとメタルガスケット1の水平面との間の角度(傾斜角)θ1は、それぞれ45°であり、山形部7a,7bの頂点P,Qにおける角度θ2は、それぞれ125°であった。
【0102】
メタルガスケット1の上面部3の傾斜面6aおよび下面部5の傾斜面6bにそれぞれメタルガスケット1の高さHの25%の厚さの最小肉厚部tが形成されており、高さh1および高さh2がそれぞれ0.01mmであり、上面部3の下面3bと下面部5の上面5bとの間隔Dがメタルガスケット1の高さの20%である開口部2が形成されているメタルガスケット1を用いた。
【0103】
前記メタルガスケット1の性能として、シール開始荷重および締付完了時の荷重を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0104】
実施例12
メタルガスケットとして、図2および図3に示される縦断面形状を有するアルミニウム製のメタルガスケット1を用いた。
【0105】
より具体的には、メタルガスケット1は、円形の平面形状を有しており、頂点Pおよび頂点Qがそれぞれ領域Rの範囲内に存在し、メタルガスケット1の高さHが3.2mmであり、内径が20mmであり、外径が25mmであった。メタルガスケット1の上面部3、内周部4および下面部5の厚さはそれぞれ0.3mmであり、傾斜面6a,6bとメタルガスケット1の水平面との間の角度(傾斜角)θ1は、それぞれ45°であり、山形部7a,7bの頂点P,Qにおける角度θ2は、それぞれ125°であった。
【0106】
メタルガスケット1の上面部3の傾斜面6aおよび下面部5の傾斜面6bにそれぞれメタルガスケット1の高さHの25%の厚さの最小肉厚部tが形成されており、高さh1および高さh2がそれぞれ0.01mmであり、上面部3の下面3bと下面部5の上面5bとの間隔Dがメタルガスケット1の高さの90%である開口部2が形成されているメタルガスケット1を用いた。
【0107】
前記メタルガスケット1の性能として、シール開始荷重および締付完了時の荷重を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0108】
比較例1
メタルガスケットとして、図2および図3に示される縦断面形状を有するアルミニウム製のメタルガスケット1を用いた。
【0109】
より具体的には、メタルガスケット1は、円形の平面形状を有しており、頂点Pおよび頂点Qがそれぞれ領域Rの範囲内に存在し、メタルガスケット1の高さHが3.2mmであり、内径が20mmであり、外径が25mmであった。メタルガスケット1の上面部3、内周部4および下面部5の厚さはそれぞれ0.3mmであり、傾斜面6a,6bとメタルガスケット1の水平面との間の角度(傾斜角)θ1は、それぞれ45°であり、山形部7a,7bの頂点P,Qにおける角度θ2は、それぞれ125°であった。
【0110】
メタルガスケット1の上面部3の傾斜面6aおよび下面部5の傾斜面6bにそれぞれメタルガスケット1の高さHの15%の厚さの最小肉厚部tが形成されており、高さh1および高さh2がそれぞれ0.005mmであり、上面部3の下面3bと下面部5の上面5bとの間隔Dがメタルガスケット1の高さの40%である開口部2が形成されているメタルガスケット1を用いた。
【0111】
前記メタルガスケット1の性能として、シール開始荷重および締付完了時の荷重を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0112】
比較例2
メタルガスケットとして、図2および図3に示される縦断面形状を有するアルミニウム製のメタルガスケット1を用いた。
【0113】
より具体的には、メタルガスケット1は、円形の平面形状を有しており、メタルガスケット1の高さHが3.2mmであり、内径が20mmであり、外径が25mmであった。メタルガスケット1の上面部3、内周部4および下面部5の厚さはそれぞれ0.3mmであり、傾斜面6a,6bとメタルガスケット1の水平面との間の角度(傾斜角)θ1は、それぞれ45°であり、山形部7a,7bの頂点P,Qにおける角度θ2は、それぞれ125°であった。
【0114】
メタルガスケット1の上面部3の傾斜面6aおよび下面部5の傾斜面6bにそれぞれメタルガスケット1の高さHの2%の厚さの最小肉厚部tが形成されており、高さh1および高さh2がそれぞれ0.01mmであり、上面部3の下面3bと下面部5の上面5bとの間隔Dがメタルガスケット1の高さの40%である開口部2が形成されているメタルガスケット1を用いた。
【0115】
前記メタルガスケット1の性能として、シール開始荷重および締付完了時の荷重を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0116】
比較例3
メタルガスケットとして、図2および図3に示される縦断面形状を有するアルミニウム製のメタルガスケット1を用いた。
【0117】
より具体的には、メタルガスケット1は、円形の平面形状を有しており、メタルガスケット1の高さHが3.2mmであり、内径が20mmであり、外径が25mmであった。メタルガスケット1の上面部3、内周部4および下面部5の厚さはそれぞれ0.3mmであり、傾斜面6a,6bとメタルガスケット1の水平面との間の角度(傾斜角)θ1は、それぞれ45°であり、山形部7a,7bの頂点P,Qにおける角度θ2は、それぞれ125°であった。
【0118】
メタルガスケット1の上面部3の傾斜面6aおよび下面部5の傾斜面6bにそれぞれメタルガスケット1の高さHの26%の厚さの最小肉厚部tが形成されており、高さh1および高さh2がそれぞれ0.01mmであり、上面部3の下面3bと下面部5の上面5bとの間隔Dがメタルガスケット1の高さの40%である開口部2が形成されているメタルガスケット1を用いた。
【0119】
前記メタルガスケット1の性能として、シール開始荷重および締付完了時の荷重を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0120】
比較例4
メタルガスケットとして、図2および図3に示される縦断面形状を有するアルミニウム製のメタルガスケット1を用いた。
【0121】
より具体的には、メタルガスケット1は、円形の平面形状を有しており、メタルガスケット1の高さHが3.2mmであり、内径が20mmであり、外径が25mmであった。メタルガスケット1の上面部3、内周部4および下面部5の厚さはそれぞれ0.3mmであり、傾斜面6a,6bとメタルガスケット1の水平面との間の角度(傾斜角)θ1は、それぞれ45°であり、山形部7a,7bの頂点P,Qにおける角度θ2は、それぞれ125°であった。
【0122】
メタルガスケット1の上面部3の傾斜面6aおよび下面部5の傾斜面6bにそれぞれメタルガスケット1の高さHの15%の厚さの最小肉厚部tが形成されており、高さh1および高さh2がそれぞれ0.01mmであり、上面部3の下面3bと下面部5の上面5bとの間隔Dがメタルガスケット1の高さの19%である開口部2が形成されているメタルガスケット1を用いた。
【0123】
前記メタルガスケット1の性能として、シール開始荷重および締付完了時の荷重を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0124】
比較例5
メタルガスケットとして、図2および図3に示される縦断面形状を有するアルミニウム製のメタルガスケット1を用いた。
【0125】
より具体的には、メタルガスケット1は、円形の平面形状を有しており、メタルガスケット1の高さHが3.2mmであり、内径が20mmであり、外径が25mmであった。メタルガスケット1の上面部3、内周部4および下面部5の厚さはそれぞれ0.3mmであり、傾斜面6a,6bとメタルガスケット1の水平面との間の角度(傾斜角)θ1は、それぞれ45°であり、山形部7a,7bの頂点P,Qにおける角度θ2は、それぞれ125°であった。
【0126】
メタルガスケット1の上面部3の傾斜面6aおよび下面部5の傾斜面6bにそれぞれメタルガスケット1の高さHの40%の厚さの最小肉厚部tが形成されており、高さh1および高さh2がそれぞれ0.01mmであり、上面部3の下面3bと下面部5の上面5bとの間隔Dがメタルガスケット1の高さの91%である開口部2が形成されているメタルガスケット1を用いた。
【0127】
前記メタルガスケット1の性能として、シール開始荷重および締付完了時の荷重を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0128】
比較例6
メタルガスケットとして、図3に示される縦断面形状において、山形部を有しておらず、上面部3の山形部7aの頂点Pから上面部3の外周端3cまでが平面であり、下面部5の山形部7bの頂点Qから下面部5の外周端5cまでが平面となっているアルミニウム製のメタルガスケット1を用いた。
【0129】
より具体的には、図2および図3に示されるメタルガスケット1において、メタルガスケット1は円形の平面形状を有しており、メタルガスケット1の高さHが3.2mmであり、内径が20mmであり、外径が25mmであった。メタルガスケット1の上面部3、内周部4および下面部5の厚さはそれぞれ0.3mmであり、傾斜面6a,6bとメタルガスケット1の水平面との間の角度(傾斜角)θ1は、それぞれ45°であった。
【0130】
メタルガスケット1の上面部3の傾斜面6aおよび下面部5の傾斜面6bにそれぞれメタルガスケット1の高さHの40%の厚さの最小肉厚部tが形成されており、高さh1および高さh2がそれぞれ0.01mmであり、上面部3の下面3bと下面部5の上面5bとの間隔Dがメタルガスケット1の高さの20%である開口部2が形成されているメタルガスケット1を用いた。
【0131】
前記メタルガスケット1の性能として、シール開始荷重および締付完了時の荷重を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0132】
【表1】
【0133】
表1に示された結果から、各実施例で得られたメタルガスケットは、いずれも、フランジなどの被シール材を小さい締付け力で締付けることによってメタルガスケットと被シール材とのシール性を確保することができ、さらにボルトなどの締付部材を完全に締付けるまでに要する応力を小さくすることができることがわかる。
【0134】
したがって、各実施例で得られたメタルガスケットは、例えば、火力発電所、原子力発電所、スチームタービン船の蒸気機関、石油精製ライン、石油化学工業のプロセスライン、半導体製造ラインなどにおける配管同士、機器装置などを接続する際に好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0135】
1 メタルガスケット
2 開口部
3 上面部
3a 上面部の上面
3b 上面部の下面
3c 上面部の外周端
4 内周部
4a 内周部の内周面
4b 内周部の外周面
5 下面部
5a 下面部の下面
5b 下面部の上面
5c 下面部の外周端
6a 上面部の傾斜面
6b 下面部の傾斜面
7a 上面部の山形部
7b 下面部の山形部
8 評価試験装置
9a 試験プラテン
9b 試験プラテン
10 ヘリウムガスボンベ
10a ノズル
11 ヘリウムリークディテクター
D 上面部の下面と下面部の上面との間隔
P,Q 山形部の頂点
R メタルガスケットの幅の中間点と内周部の内周面との間の領域
M 上面部の下面の中間点
N 下面部の下面の中間点
1 上面部の上面から山形部の頂点Pまでの高さ
2 下面部の下面から山形部の頂点Qまでの高さ
t 最小肉厚部
図1
図2
図3
図4