(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】カテーテル形状の決定
(51)【国際特許分類】
A61B 34/20 20160101AFI20241113BHJP
A61B 5/367 20210101ALI20241113BHJP
A61B 5/287 20210101ALI20241113BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B5/367 100
A61B5/287 100
A61B5/287 200
(21)【出願番号】P 2022564018
(86)(22)【出願日】2021-04-22
(86)【国際出願番号】 IB2021053338
(87)【国際公開番号】W WO2021214708
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-12-06
(32)【優先日】2020-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511177374
【氏名又は名称】セント・ジュード・メディカル,カーディオロジー・ディヴィジョン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イーラン パピニ
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-519046(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0001048(US,A1)
【文献】特開2007-021218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/20
5/367
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルの形状を決定するためのシステムの作動方法であって、
前記システムが、
前記カテーテルの可撓性先端部上に配置された複数の電極から、複数のインピーダンス測定値を受信することと、
前記カテーテルのシャフト上に配置された磁気位置センサから、磁気位置測定値を受信することと、
前記複数の電極から受信した前記インピーダンス測定値に基づいて、前記カテーテルの前記可撓性先端部上に配置された前記複数の電極の各々の間の角度を決定することと、
前記カテーテルの前記可撓性先端部上に配置された前記複数の電極の各々の間の決定された前記角度に基づいて、前記カテーテルの前記可撓性先端部の形状を予測することと、
前記磁気位置測定値および前記可撓性先端部の予測された前記形状に基づいて、前記カテーテルの形状を決定することと、
を
含む、システムの作動方法。
【請求項2】
前記システムが前記カテーテルの前記可撓性先端部の前記形状を予測することは、前記可撓性先端部の形状モデルに対する前記複数の電極の各々の間の前記角度に基づき、前記形状モデルは、複数の電極位置を備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記可撓性先端部の前記形状モデルは、前記可撓性先端部の屈曲、ヨー、湾曲、およびひねりを因子として含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記システムが、前記カテーテル上に配置された前記磁気位置センサから、向き測定値を受信すること、をさらに
含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記システムが前記カテーテルの前記形状を決定することは、前記磁気位置センサから受信した前記
磁気位置
測定値および
前記向き測定値に基づいて、前記カテーテルの前記シャフトに対して、前記カテーテルの前記可撓性先端部の前記形状をシフトすること、を含む、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記カテーテルの前記可撓性先端部上に配置された前記複数の電極の各々の間の前記角度を決定するために使用される前記複数のインピーダンス測定値は、生インピーダンス測定値である、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記システムが、前記カテーテルの前記可撓性先端部上に配置された前記複数の電極から受信した前記生インピーダンス測定値をフィルタリングすること、をさらに
含む、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、
前記システムが、剛体変換を利用して、前記生インピーダンス測定値をインピーダンスドメインから磁気ドメインに変換することを含んでおり、
前記剛体変換の制約は、前記可撓性先端部上の前記電極の間の既知の距離を含む、
請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記システムが、
前記生インピーダンス測定値に関連する局所場スケーリングを決定することと、
前記局所場スケーリングに基づいて、前記生インピーダンス測定値をスケーリングすることによって、前記生インピーダンス測定値を磁気位置に変換することと、
をさらに
含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記局所場スケーリングは、前記カテーテルの前記可撓性先端部にわたって一定である、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記カテーテルは、マッピングカテーテルであり、
前記複数の電極が配置された前記カテーテルの前記可撓性先端部は、円形状である、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記カテーテルは、マッピングカテーテルであり、
前記複数の電極が配置された前記カテーテルの前記可撓性先端部は、パドル形状である、
請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記システムが、前記カテーテルの前記可撓性先端部上に配置された前記複数の電極の各々の位置を予測すること、をさらに
含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項14】
カテーテルの形状を決定するためのシステムであって、
プロセッサと、前記プロセッサによって実行可能な命令を記憶するメモリと、を含む電子制御ユニットを備え、
前記命令は、
前記カテーテルの可撓性先端部上に配置された複数の電極から、複数の生インピーダンス測定値を受信し、
前記カテーテルのシャフト上に配置された磁気位置センサから、磁気位置測定値を受信し、
前記複数の電極から受信した前記生インピーダンス測定値に基づいて、前記カテーテルの前記可撓性先端部上に配置された前記複数の電極の各々の間の角度を決定し、
前記カテーテルの前記可撓性先端部上に配置された前記複数の電極の各々の間の決定された前記角度に基づいて、前記カテーテルの前記可撓性先端部の形状を予測
し、
前記磁気位置測定値に基づいて、前記カテーテルの前記可撓性先端部の位置を決定し、
前記磁気位置測定値に基づいて、前記複数の電極の前記決定された位置をシフトし、
前記カテーテルの前記可撓性先端部の前記シフトされた位置と、前記可撓性先端部の前記予測された形状とを使用して、前記カテーテルの前記形状を決定するためのものである、
システム。
【請求項15】
カテーテルの形状を決定するためのシステムであって、
プロセッサと、前記プロセッサによって実行可能な命令を記憶するメモリと、を含む電子制御ユニットを備え、
前記命令は、
前記カテーテルの可撓性先端部上に配置された複数の電極から、複数の生インピーダンス測定値を受信し、
前記カテーテルのシャフト上に配置された磁気位置センサから、磁気位置測定値を受信し、
前記複数の電極から受信した前記生インピーダンス測定値に基づいて、前記カテーテルの前記可撓性先端部上に配置された前記複数の電極の各々の間の角度を決定し、
前記カテーテルの前記可撓性先端部上に配置された前記複数の電極の各々の間の決定された前記角度に基づいて、前記カテーテルの前記可撓性先端部の形状を予測し、
前記磁気位置測定値に基づいて、前記カテーテルの前記可撓性先端部の位置を決定し、
前記磁気位置測定値に基づいて、前記カテーテルの前記シャフトの位置を決定するためのものであり、
前記カテーテルの前記可撓性先端部の決定された前記位置は、前記可撓性先端部の決定された前記位置を前記カテーテルの前記シャフトの決定された前記位置と位置合わせするように、シフトされる、
システム。
【請求項16】
前記生インピーダンス測定値に関連する局所場スケーリングを決定するための、前記プロセッサによって実行可能な命令と、
前記局所場スケーリングに基づいて、前記生インピーダンス測定値をスケーリングすることによって、前記生インピーダンス測定値を磁気位置に変換するための、前記プロセッサによって実行可能な命令と、
をさらに備える、
請求項
14又は15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年4月23日に出願された米国仮出願第63/014,453号の利益を主張し、その内容は本明細書に完全に明記されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
a.発明分野
本開示は、概ねカテーテル形状の決定に関する。
【0003】
b.背景技術
電気生理学カテーテルなどの医療装置、カテーテル、および/または心血管カテーテルは、例えば、異所性心房頻拍、心房細動、および心房粗動を含む心房性不整脈などの病気を診断および/または治療するために、様々な診断、治療、マッピング、および/またはアブレーション処置において使用される場合がある。医療装置は、患者の血管系を通って、病気を診断および/または治療するための診断、治療、マッピング、および/またはアブレーション処置が行われる部位まで進められる。
【0004】
患者の近傍で生成された信号を装置から受信することができるセンサ(例えば、電極、磁気位置決めセンサ)が、医療装置上に配置されることがある。受信した信号に基づいて、心臓内の医療装置の向きおよび/または位置を計算することができる。
【0005】
身体内のカテーテルの位置および向きを決定するための1つの技術は、位置検知およびナビゲーションシステム(位置マッピングシステムと呼ばれることもある)を使用して、カテーテル上の複数のセンサを追跡するやり方である。センサは、カテーテル上に配置された電極を含んでよく、これらの電極は、身体の外表面上の電極対の励起によって生成される電場への電極の曝露に関連する電圧測定値を提供することができる。次いで、カテーテル電極の電圧測定値を使用して、位置検知およびナビゲーションシステムの座標系内でカテーテル電極の位置および向きを決定することができる。他の例示的な位置検知およびナビゲーションシステムは、磁気システムを含む。
【0006】
カテーテルの位置および向きに関する情報を臨床医に提供するために、カテーテルセンサの決定された位置および向きは、心臓組織を含む周囲組織に対してカテーテルの画像をレンダリングするために使用されることが多い。しかしながら、従来のシステムの1つの欠点は、カテーテルセンサの決定された位置および向きが、カテーテル電極から受信されたデータに関連するエラーに起因するエラーを含む可能性があることである。一例では、カテーテル電極の位置は、シフトおよび/またはドリフトによって影響を受ける可能性がある。例えば、インピーダンスは、例えば、薬物の変化に起因して、ゆっくりとドリフトするかまたは過渡シフトを受けることさえあり得、医療装置の検出された位置のドリフトおよび/またはシフトを引き起こしてしまう。さらに、カテーテル電極から受信するデータは、非線形の性質である可能性があり、それにより、非線形データを使用する場合に、線形空間においてカテーテルの位置を決定することが困難になることがある。結果として、カテーテル電極の決定された位置に基づくカテーテルのレンダリングされた形状は、カテーテル電極から受信したデータのエラーおよび非線形性の結果として、カテーテルの真の機械的形状から歪んでしまうことが。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の実施形態は、カテーテルの形状を決定するための方法を含む。方法は、カテーテルの可撓性先端部上に配置された複数の電極から、複数のインピーダンス測定値を受信することを含んでよい。方法は、カテーテルのシャフト上に配置された磁気位置センサから、磁気位置測定値を受信することを含んでよい。方法は、複数の電極から受信したインピーダンス測定値に基づいて、カテーテルの可撓性先端部上に配置された複数の電極の各々の間の関係を決定することを含んでよい。方法は、カテーテルの可撓性先端部上に配置された複数の電極の各々の間の決定された関係に基づいて、カテーテルの可撓性先端部の形状を予測することを含んでよい。方法は、磁気位置測定値および可撓性先端部の予測された形状に基づいて、カテーテルの形状を決定することを含んでよい。
【0008】
本開示の実施形態は、カテーテルの形状を決定するためのシステムを含む。システムは、プロセッサと、非一時的なコンピュータ可読媒体上に命令を記憶するメモリとを含んでよく、命令は、カテーテルの可撓性先端部上に配置された複数の電極から、複数の生インピーダンス測定値を受信するために、プロセッサによって実行可能である。システムは、カテーテルのシャフト上に配置された磁気位置センサから磁気位置測定値を受信するための、プロセッサによって実行可能な命令を含んでよい。システムは、複数の電極から受信した生インピーダンス測定値に基づいて、カテーテルの可撓性先端部上に配置された複数の電極の各々の間の角度を決定するための、プロセッサによって実行可能な命令を含んでよい。システムは、カテーテルの可撓性先端部上に配置された複数の電極の各々の間の決定された角度に基づいて、カテーテルの可撓性先端部の形状を予測するための、プロセッサによって実行可能な命令を含んでよい。システムは、磁気位置センサ測定値に基づいて、カテーテルの可撓性先端部の決定された位置をシフトするための、プロセッサによって実行可能な命令を含んでよい。システムは、カテーテルの可撓性先端部のシフトされた位置を使用して、カテーテルの形状を決定するための、プロセッサによって実行可能な命令を含んでよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施形態による、1つまたは複数の診断または治療処置を行うための例示的なシステムの概略図である。
【0010】
【
図2A】本開示の実施形態による、電気生理学カテーテルの等角側面図を示す。
【0011】
【
図2B】本開示の実施形態による、第2のタイプの電気生理学カテーテルの上面図を示す。
【0012】
【
図3】本開示の実施形態による、カテーテルの形状を決定するための方法を示す。
【0013】
【
図4】本開示の実施形態による、特定の領域に関する静電場線の図式的な描写を示す。
【0014】
【
図5】本開示の実施形態による、カテーテルの形状を予測するためのシステムを示す。
【0015】
【
図6A】本開示の実施形態による、円形マッピングカテーテルの形状を規定するために使用されるパラメータを示す。
【
図6B】本開示の実施形態による、円形マッピングカテーテルの形状を規定するために使用されるパラメータを示す。
【
図6C】本開示の実施形態による、円形マッピングカテーテルの形状を規定するために使用されるパラメータを示す。
【
図6D】本開示の実施形態による、円形マッピングカテーテルの形状を規定するために使用されるパラメータを示す。
【0016】
【
図7A】本開示の実施形態による、2次元のカテーテル形状の直交射影を示す。
【0017】
【
図7B】本開示の実施形態による、最終的なカテーテル形状モデルを示し、
図7Aに示される直交射影が投影されて、最終的なカテーテル形状モデルが提供されている。
【0018】
【
図8A】本開示の実施形態による、高密度電極マッピングカテーテルのカテーテル形状モデルを規定するために使用されるパラメータを示す。
【
図8B】本開示の実施形態による、高密度電極マッピングカテーテルのカテーテル形状モデルを規定するために使用されるパラメータを示す。
【
図8C】本開示の実施形態による、高密度電極マッピングカテーテルのカテーテル形状モデルを規定するために使用されるパラメータを示す。
【
図8D】本開示の実施形態による、高密度電極マッピングカテーテルのカテーテル形状モデルを規定するために使用されるパラメータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
様々な図における同一のコンポーネントを識別するために同様の参照番号が使用されている図面を参照すると、
図1は、本発明が実施され得るカテーテルシステムの概略図である。当該システムは、例えば、本明細書でさらに論じるように、とりわけ、Abbott Laboratories社から市販されているEnSite(商標)Velocity(商標)心臓マッピングおよび可視化システムを含む、当技術分野で既知の様々な可視化、マッピング、およびナビゲーションコンポーネントを備えてもよい。
【0020】
当該システムは、例えば、心臓のマッピングおよび/または心臓アブレーション処置などの様々な医療処置に関連して、またはそのような医療処置のために、使用されてよい。一実施形態では、医療位置決めシステム14は、例えば、Biosense Webster社から入手可能なCARTO(商標)システムなどの磁場ベースのシステム、ならびに米国特許第6,498,944号、第6,788,967号、および第6,690,963号のうちの1つまたは複数を参照して概して示されるような磁場ベースのシステム(これらの開示全体は、本明細書に完全に明記されているかのように、それらの全体が組み込まれる)を備えてもよい。別の実施形態では、磁場ベースのシステムは、Abbott Laboratories社からのMediGuide(商標)技術システムなどの磁場ベースのシステム、ならびに米国特許第6,233,476号、第7,197,354号、第7,386,339号、2014年3月13日に出願された「Medical Device Navigation System」と題する米国特許出願第14/208,120号、2013年6月12日に出願された「Medical Device Navigation System」と題する米国仮特許出願第61/834,223号、および2014年3月13日に出願された「Medical Device Navigation System」と題する国際出願第PCT/IB2014/059709号のうちの1つまたは複数を参照して概して示されるような磁場ベースのシステム(これらの開示は、本明細書に完全に明記されているかのように、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を部分的に備えることができる。さらに別の実施形態では、医療位置決めシステム14は、例えば、限定するものではないが、2011年9月13日に出願された「Catheter Navigation Using Impedance and Magnetic Field Measurements」と題する係属中の米国特許出願第13/231,284号、および2011年4月14日に出願された「System and Method for Registration of Multiple Navigation Systems to a Common Coordinate Frame」と題する米国特許出願第13/087,203号に記載されたシステム(これらの各々は本明細書に完全に記載されているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)、またはBiosense Webster社から市販されているCARTO(商標)3システムなどの、磁場ベースのシステムと電場ベースのシステムとの組合せを備えてもよい。いくつかの実施形態では、医療位置決めシステム14は、例えば、限定するものではないが、蛍光透視法、コンピュータ断層撮影法(CT)、および磁気共鳴イメージング(MRI)ベースのシステムなどの他の一般的に利用可能なシステムを備えるか、またはそれらと併用することができる。明確さおよび例示のみを目的として、医療位置決めシステム14は、ハイブリッド磁気およびインピーダンス追跡システムを備えるものとして、以下に説明される。心臓の心臓マッピングについて言及するが、本開示の1つまたは複数の態様は、他の解剖学的構造に適用されてもよい。
【0021】
図1を参照すると、カテーテルシステムは、患者11の心臓10の概略図を含む。このシステムは、カテーテルの遠位端が心臓の心腔付近および心腔内で動かされるときに、複数のカテーテル位置を受信する能力を含む。この目的のために、
図1は、1つまたは複数のカテーテル位置センサの位置を特定するために使用される直交電場であって、外部から印加される直交電場に基づくタイプの例示的なカテーテル位置特定システムを示す。このようなシステムは、EnSite(商標)NavX(商標)電子解剖学的マッピングシステム、EnSite(商標)Velocity(商標)電子解剖学的マッピングシステム、およびEnSite Precision(商標)電子解剖学的マッピングシステム(これらは、すべてAbbott Laboratories社から市販されている)、または米国特許第7,263,397号(’397特許)、米国特許公開第2007/0060833A1号、2005年9月15日に出願された米国出願第11/227,580号(’580出願)、米国公開第2018/0296111A1号、もしくは2018年4月13日に出願された米国出願第15/953,155号(’155出願)を参照して概して見られるようなシステムなどの、インピーダンス位置特定システム、および/またはハイブリッド磁気およびインピーダンス追跡システムを含んでよい。’397特許、’580出願、および’155出願はすべて、本明細書に完全に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。様々なEnSite(商標)システムは、電流が胸郭を通過するときに、心臓などの内部器官で電圧降下が生じ、この電圧降下を測定および使用して体内の医療装置の位置を決定することができるという原理に基づいている。しかしながら、この実施形態は例示的なものに過ぎず、一切限定的なものではないことを理解されたい。MediGuide(商標)システムなど、カテーテルの3D空間内での位置を特定するための他の技術が、本発明を実施する際に使用されてもよく、そのような技術は、例えば、Biosense Webster社のCARTO(商標)ナビゲーションおよび位置特定システムまたはNorthern Digital社のAURORA(登録商標)システムを含み、この2つのシステムは、電場ではなく磁場を利用する。したがって、本明細書では、センサは、カテーテル位置情報を示す信号を生成するために提供され、1つまたは複数の位置センサを含んでよい。位置センサは、例えばインピーダンスベースの位置特定システムの場合には、電場の1つまたは複数の特性を検出するように構成された1つまたは複数の電極を含んでよく、あるいは、例えば磁場ベースの位置特定システムの場合には、磁場の1つまたは複数の特性を検出するように構成された1つまたは複数のコイル(例えば、巻線)を含んでよい。
【0022】
いくつかの位置特定システムでは、1つまたは複数の位置センサが、集合的にセンサを規定してよいことをさらに理解されたい。1つまたは複数の位置センサは、カテーテルの遠位端に設けられてもよく、位置特定システムは、1つまたは複数の位置センサから位置情報を取得するように構成されてもよい。位置特定システムは、受信した位置情報だけでなく、位置情報を提供する1つまたは複数の位置センサとカテーテルの遠位位置との間の幾何学的関係も使用して、カテーテルの遠位位置を計算してもよい(例えば、幾何学的情報の1つは、リング電極から先端までの距離であってよい)。最後に、位置特定システムは、計算された位置が直接収集されたかのように、計算された位置を使用してもよい。同様に、磁場ベースの位置特定の実施形態では、カテーテル先端と磁気コイルとの間に幾何学的関係があり、位置特定システムは、計算された先端位置(すなわち、磁気コイル信号と、コイルと先端との間の幾何学的関係の事前把握と、に基づいて計算された先端位置)が直接収集されたかのように、その計算された先端位置を使用するように構成される。もちろん、他の変形も可能である。
【0023】
図1を引き続き参照すると、図示のインピーダンスベースの位置特定システムの実施形態では、3組の表面電極(例えば、パッチを介して適用される)、すなわちX軸電極12、14と、Y軸電極18、19と、Z軸電極16、22とが示されている。いくつかの実施形態では、追加の表面電極21(例えば、「腹部」パッチを介して適用される)が使用されてもよい。表面電極はすべて、スイッチ24に接続されている。代表的なカテーテル13が図示されており、カテーテル13は、本明細書において「ロービング」電極または「測定」電極と呼ばれ得る単一の遠位電極17を有する。いくつかの実施形態では、カテーテル13は、冠状静脈洞カテーテルまたは右室心尖部カテーテルであってよい。本実施形態では、電極17は位置センサを規定してもよいが、上述部で暗示したように、多くの変形が可能であり、カテーテル13は、本明細書でさらに論じるように、複数の位置センサを含んでもよい。
図1はまた、較正目的のために心臓10上に定置され得る固定基準電極31を有する第2の独立カテーテル29を示す。
【0024】
図1はさらに、コンピュータシステム20、信号発生器25、アナログ-デジタルコンバータ26、およびローパスフィルタ27を示す。コンピュータシステム20は、本明細書で説明されるいくつかの機能を行うために、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、および/またはロジックを利用することができる。コンピュータシステム20は、情報を共有するためのハードウェアと命令との組合せであってよい。ハードウェアは、例えば、処理リソース32、および/またはメモリリソース33(例えば、非一時的コンピュータ可読媒体(CRM)データベースなど)を含んでよい。処理リソース32は、本明細書では、メモリリソース33によって記憶された命令を実行可能ないくつかのプロセッサを含んでよい。処理リソース32は、単一の装置に統合されてもよいし、または複数の装置に分散されてもよい。命令(例えば、コンピュータ可読命令(CRI))は、メモリリソース33に記憶され、処理リソース32によって実行可能な心臓モデルを調整するための命令を含むことができる。
【0025】
コンピュータシステム20は、個々の表面電極対を選択的に通電するために、所定の方策に従って信号発生器25を制御するように構成されている。動作中、コンピュータシステム20は、フィルタ27およびA-Dコンバータ26を介して生パッチデータ(すなわち、電圧測定値)を取得し、この生パッチデータを使用して、心臓10またはその心腔の内部に配置されたカテーテル電極(例えば、上述のロービング電極17)の3次元空間(X、Y、Z)における生電極位置座標を決定するように構成されている。いくつかの実施形態では、そのような電極位置座標が受信されているときに、患者11の心周期の位相が、測定されるかまたは他の方法で決定されてよい。この目的のために、一実施形態では、身体表面電極に結合され、参照番号15によってまとめて示される従来の12個のECGリードのほとんどまたはすべてが、患者11の心電図(ECG)の取得を支援するために、設けられている。
【0026】
あるいは、固定基準電極31などの、心臓10内の固定位置に配置された(例えば、冠状静脈洞に置かれた)基準電極は、心周期における心臓10の心位相を決定するために分析可能な比較的安定した信号を提供するために使用されてもよい。より一般的には、心位相を示す比較的安定した信号を取得するために、移動カテーテルまたはロービングカテーテル以外の電極を有する別のカテーテルが、心臓10に対して一定の位置に置かれて維持されてもよい。図示のように、ECGリード15は、心周期における心臓10の位相を取得するための収集および後続の処理のために、コンピュータシステム20に直接結合される。ECGリード15は、他のシステム(図示せず)にも提供されてよい。
【0027】
前述のように、本開示の実施形態は、磁場ベースのシステムと共に使用されてよい。いくつかの実施形態は、様々な入力/出力機構を有する主電子制御ユニット(例えば、1つまたは複数のプロセッサ)、ディスプレイ23、オプションの画像データベース、医療位置決めシステム(MPS)(電磁センサ追跡システム)などの位置特定システム、心電図(ECG)モニタ、1つまたは複数のMPS位置センサ(例えば、患者基準センサ)、および、1つまたは複数の上述のMPS位置センサを含むMPS対応医療装置(細長いカテーテルまたは導入器など)を含んでよい。論じたように、いくつかの実施形態では、医療位置決めシステムは、例えば、Abbott Laboratories社からのMediGuide(商標)テクノロジーシステムなどの磁場ベースのシステム、ならびに米国特許第6,233,476号、第7,197,354号、第7,386,339号、2014年3月13日に出願された「Medical Device Navigation System」と題する米国特許出願第14/208,120号、2013年6月12日に出願された「Medical Device Navigation System」と題する米国仮特許出願第61/834,223号、および2014年3月13日に出願された「Medical Device Navigation System」と題する国際出願第PCT/IB2014/059709号のうちの1つまたは複数を参照して概して示されるような磁場ベースのシステム(これらの開示は、本明細書に完全に明記されているかのように、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を備えてよい。
【0028】
実施形態は入力/出力機構を含んでよく、入力/出力機構は、コンピュータベースの制御ユニットと連動するための従来の装置、例えば、キーボード、マウス、タブレット、フットペダル、スイッチなどを含み得る。実施形態はディスプレイ23も含んでよく、ディスプレイ23も従来の装置を備えてよい。
【0029】
実施形態は、関心領域のイメージングを使用するナビゲーション応用での用途を見出してもよい。したがって、磁場ベースのシステムは、画像データベースを任意で含んでもよい。画像データベースは、例えば、医療装置が目標とする部位を取り囲む関心領域、および/または、目標とする部位に至るために、装置が横断すると予期されるナビゲーション経路に沿う複数の関心領域などの、患者の身体に関する画像情報を記憶するように構成されてよい。画像データベース内の画像データは、(1)過去の別々の時刻にそれぞれ取得された1つまたは複数の2次元静止画像、(2)画像取得装置からリアルタイムで取得された複数の関連2次元画像(例えば、X線イメージング装置からの蛍光透視画像)、および/または(3)シネループ(CL)を規定する関連2次元画像のシーケンスを含む、既知の画像タイプを備えてもよく、(2)の場合、画像データベースはバッファとして機能し(ライブ蛍光透視)、(3)の場合、シーケンスの各画像は、ECGモニタから得られた取得済みのリアルタイムECG信号に従ってシーケンスの再生を可能にするのに適当な、各画像に関連する少なくとも1つのECGタイミングパラメータを有する。前述のものは、例示に過ぎず、一切限定するものではないことを理解されたい。例えば、画像データベースは、3次元画像データも含んでもよい。画像は、現在既知であるまたは今後開発されるあらゆるイメージングモダリティ、例えば、X線、超音波、コンピュータ断層撮影、核磁気共鳴などを使って取得してよいことがさらに理解されるべきである。
【0030】
MPSは、位置特定システムとして機能するように構成されてよく、したがって、1つまたは複数のMPS位置センサ、1つまたは複数の医療装置、および/または1つまたは複数の患者基準センサ(PRS)に関する位置決め(位置特定)データを決定し、それぞれの位置測定値を出力するように構成されてよい。位置測定値はそれぞれ、基準座標系に対する位置および向き(P&O)のうちの少なくとも1つまたは両方を含んでよく、この座標系はMPSの座標系であってよい。例えば、P&Oは、磁場発生器または送信器に対する磁場内の磁場センサの位置(すなわち、X、Y、およびZの3つの軸における座標)および向き(すなわち、方位角および仰角)として表されてもよい。
【0031】
MPSは、制御された低強度交流磁場内に配置された磁場センサから受信した信号の捕捉および処理に基づいて、基準座標系内でのそれぞれの位置(すなわち、P&O)を決定する。電磁気の観点から、これらのセンサは、ここで思料されるように、変化する磁場内に存在するコイル上で誘導される電圧を生じる。したがって、センサは、センサが配置されている磁場の1つまたは複数の特性を検出し、表示信号を生成するように構成され、表示信号は、センサのそれぞれのP&Oを取得するために、MPSによってさらに処理される。センサおよびこのようなセンサを組み込んだ医療装置の例示的な設計特徴ならびに製造プロセスおよび方法は、米国特許第8,636,718号に見出すことができ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0032】
MPSセンサおよびさらなる実施形態におけるオプションの追加のMPSセンサは、MPS対応の医療装置に関連してよい。別のMPSセンサ、すなわち、患者基準センサ(PRS)は、患者の身体の動き全体および/または呼吸によって誘導された動きの動作補償を可能にするように、患者の身体の位置基準を提供するように構成されている。PRSは、患者の胸部における安定した場所である胸骨柄、または位置的に比較的安定した別の場所に取り付けられてもよい。MPS位置センサと同様に、PRSは、PRSが配置されている磁場の1つまたは複数の特性を検出するように構成され、MPSは、基準座標系におけるPRSの位置および向きを示す位置測定値(例えば、P&O測定値)を提供する。
【0033】
心電図(ECG)モニタは、患者の身体の外側に外面的に貼り付けられ得る複数のECG電極(図示せず)を使用することによって、心臓器官の電気的タイミング信号を連続的に検出するように構成されている。タイミング信号は概して、とりわけ、心周期の特定の位相に対応する。一般に、データベースに記憶されている過去に撮られた画像のシーケンス(シネループ)のECG同期再生のために、ECG信号は、制御ユニットによって使用されてもよい。ECGモニタおよびECG電極は、両方とも従来のコンポーネントを備えてもよい。
【0034】
磁場ベースのシステムは、透視撮影システムに組み込まれるかまたは関連付けられ、透視撮影システムは、例えば、x線源、Cアーム、および/または、x線画像増強器もしくは検出器(すなわち、「カテーテルラボ」)などの市販の蛍光透視撮像コンポーネントを含んでよい。MPS(電磁センサ追跡システム)は、磁気送信機アセンブリ(MTA)(電磁場発生器)と、位置(P&O)測定値を決定するための磁気処理コアとを含む。MTAは、モーションボックスとして同定される所定の3次元空間において、患者の胸腔内およびその近くに磁場を生成するように構成されている。
【0035】
MPSセンサは、上述のように、センサがモーションボックス内にあるときに、磁場の1つまたは複数の特性を感知するように構成されており、センサのそれぞれが、磁気処理コアに提供されるそれぞれの信号を生成する。処理コアは、これらの検出された信号に応じ、モーションボックス内の各MPSセンサのそれぞれのP&O測定値を計算するように構成されている。処理コアは、MPSセンサがモーションボックスから出るのを検出することができる。したがって、MPSは、3次元空間における各センサのリアルタイム追跡を可能にする。
【0036】
モーションボックスの実際のボリュームは、例えば、処理コアに記憶されてもよく、処理コアは、モーションボックスの境界に対する各センサの位置および向きを決定することができる。あるいは、モーションボックスの実際のボリュームは、例えば、主制御部に記憶されてもよく、主制御部は、モーションボックスの境界に対する各センサの位置および向きを決定することができてよい。したがって、システムは、センサがモーションボックス内にあるか、モーションボックスの境界上にあるか、またはモーションボックスの外側にあるかを(例えば、処理コアまたは主制御部において)評価することができる。本明細書の他の箇所でより詳細に説明されるように、この情報に基づいて、モーションボックスおよびセンサが、ディスプレイ上に互いに関連して表示される。
【0037】
いくつかの代替実施形態では、MTAは、x線源と患者診察台との間において、患者診察台の下に配置されてよい。例えば、MTAは、患者診察台に接続されてよい。いくつかの実施形態では、本明細書で論じるように、MTAは、患者の胸部上に置かれて、物体を追跡するための磁場を生成するために使用可能なモバイル装置であってよい。
【0038】
画像座標系とMPS基準座標系(電磁追跡座標系)との間の位置関係は、システムの既知の光学磁気較正に基づいて計算されてもよい(例えば、セットアップ中に確立されてよい)。これは、そのような実施形態では、位置決めシステムとイメージングシステムとが互いに対して固定されていると考えられ得るからである。しかしながら、画像データが先に取得され、その後外部ソース(例えば、データベースに記憶された撮像データ)からインポートされる実施形態を含む、他のイメージングモダリティを使用する他の実施形態に関しては、MPS座標系と画像座標系とを位置合わせする位置合わせステップは、MPS位置測定値が使用されているいかなる特定の画像とも適切に調整されるように、行われる必要があり得る。
【0039】
図2Aは、本開示の実施形態による、電気生理学カテーテル40Aを示す。電気生理学カテーテル40Aは、医師が異常な心調律(例えば、不整脈)の性質を理解するのを助けるために電気生理学処置において使用することができ、本明細書に完全に明記されているかのように参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2017/177121号においてさらに論じられるような特徴を含んでよい。この処置は、電気的活動を測定する電気生理学カテーテル40Aを、心臓に入る血管を通して挿入することによって行われる。各電気生理学カテーテル40Aは、接続ボックスを介してコンピュータシステム(例えば、
図1におけるコンピュータシステム20)に接続された、いくつかの電極46-1A、46-2A、・・・、46-12Aを含んでよい。以下、電極46-1A、46-2A、・・・、46-12Aを複数の電極46Aと称する。複数の電極46Aは、図示されるように、可撓性先端部44A上に配置されてよく、可撓性先端部44Aは円形の先端であってよい。しかしながら、いくつかの実施形態において、先端は他の形状として形成されてもよい。
【0040】
電気生理学カテーテル40Aは、いくつかの実施形態において、シャフト42A内および/またはシャフト42A上に配置された磁気位置センサ56を含んでよい。複数の電極は、複数の電極46Aが配置されている電場の1つまたは複数の特性を検出することができる。本明細書で
図1に関連して前述したように、電場は、患者の外部に置かれた表面電極(例えば、パッチ電極)によって生成されてよい。複数の電極46Aから受信した信号に関連するインピーダンスに基づいて、電気生理学カテーテル40Aの位置(例えば、座標)を決定することができる。いくつかの実施形態において、電気生理学カテーテル40Aは、Abbott Laboratories社によって製造されるAdvisor(商標)FLサーキュラーマッピングカテーテル(FL Circular Mapping Catheter)、Sensor Enabled(商標)であってよいが、いくつかの実施形態においては、電気生理学カテーテル40Aは別のタイプの電気生理学カテーテルであってもよい。カテーテル40Aは、他のタイプのシステムの中でもとりわけ、例えば、本明細書に言及されるEnSite(商標)Velocity(商標)電気解剖マッピングシステム(Electro Anatomical Mapping System)、EnSite Precision(商標)電気解剖マッピングシステム、および/またはMediGuide(商標)システムと併用されてよい。
【0041】
図2Bは、本開示の実施形態による、第2のタイプの電気生理学カテーテル101の上面図である。電気生理学カテーテルは、本明細書において、高密度電極カテーテル101とも称される。いくつかの実施形態では、高密度電極カテーテル101は、電極102の可撓性アレイを形成する可撓性先端部110を含んでよい。電極102のこの平面アレイ(または「パドル」構成)は、4つの並んだ長手方向に延在するアーム103、104、105、106を備え、これらのアームが、電極102が配置される可撓性フレームワークを形成してよい。4つの電極キャリアアームは、第1のアウトボードアーム103、第2のアウトボードアーム106、第1のインボードアーム104、および第2のインボードアーム105を備えてよく、これらのアームは、遠位接続部109によって遠位端で接合されてよいが、必須ではない。これらのアームは、互いから側方に離間していてよい。
【0042】
4つのアームの各々は、複数の電極102を担持してよい。例えば、4つのアームの各々は、4つのアームの各々の長さに沿って離間した電極102を担持してよい。
図2Bに示された高密度電極カテーテル101は、4つのアームを示しているが、高密度電極カテーテル101は、より多いまたはより少ないアームを含んでもよい。さらに、
図2Bに示された高密度電極カテーテル101は、18個の電極(例えば、第1のアウトボードアーム103および第2のアウトボードアーム106上に5個の電極、ならびに第1のインボードアーム104および第2のインボードアーム105上に4個の電極)を示しているが、カテーテルは、18個よりも多いまたは少ない電極を含んでもよい。さらに、第1のアウトボードアーム103および第2のアウトボードアーム106は、5つよりも多いまたは少ない電極を含んでもよく、第1のインボードアーム104および第2のインボードアーム105は、4つよりも多いまたは少ない電極を含んでもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、電極102は、診断、治療、および/またはマッピング処置で使用されてよい。例として、限定するものではないが、電極102は、電気生理学的調査、ペーシング、心臓マッピング、およびアブレーションのために使用されてよい。いくつかの実施形態では、電極102は、単極または双極アブレーションを行うために使用されてよい。この単極または双極アブレーションは、損傷の具体的な線またはパターンを作り出すことができる。いくつかの実施形態では、電極102は、心臓から電気信号を受信してよく、これらの電気信号は、電気生理学的調査のために使用されてよい。いくつかの実施形態では、電極102は、心臓マッピングに関連するロケーション感知機能または位置感知機能を行ってよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、高密度電極カテーテル101は、カテーテルシャフト107を含んでよい。カテーテルシャフト107は、近位端および遠位端を含んでよい。遠位端は、コネクタ108を含んでよく、コネクタ108は、カテーテルシャフト107の遠位端を平面アレイの近位端に結合してよい。カテーテルシャフト107は、
図1Bに示すように、カテーテルシャフト長手方向軸a-aを規定してよく、それに沿って、第1のアウトボードアーム103、第1のインボードアーム104、第2のインボードアーム105、および第2のアウトボードアーム106は、カテーテルシャフト長手方向軸a-aとの関係において概して平行に延在してよい。カテーテルシャフト107は、患者の蛇行した血管系を通って縫うように進むことができるように、可撓性材料で作られてよい。いくつかの実施形態では、カテーテルシャフト107は、カテーテルシャフト107の長さに沿って配置される1つまたは複数のリング電極111と、シャフト107内またはシャフト107に沿って配置される1つまたは複数の磁気位置センサ116とを含んでよい。リング電極111は、一例において、診断、治療、および/またはマッピング処置に使用されてよい。
【0045】
本開示の実施形態は、カテーテルの視覚的表現を生成することができる。上述のように、カテーテルは、カテーテルシャフトと、複数の電極を含む可撓性先端部とを有してよい。可撓性先端部は、概ね、患者の組織に適合するのに十分な可撓性を有してよく、これにより、可撓性先端部上に配置された複数の電極のうちのいくつかまたはすべてが患者の組織に接触できる。しかしながら、先端部の可撓性の性質は、可撓性先端部および概ねカテーテルの視覚的表現を決定しようとするときに、問題となり得る。可撓性先端部上の電極は、患者の身体と接触している1つまたは複数の電極パッチによって生成されるインピーダンス場におけるシフトおよび/またはドリフトを受ける可能性があり、これによって、電極の実際の位置に対して計算されたインピーダンスベースの位置がずれてしまう可能性がある。可撓性先端部上に配置された複数の電極の位置を計算するために、様々な方法、特にインピーダンス位置と実際の位置との間の関係を提供するインピーダンス変換が使用されてきた。しかしながら、この変換を求めるのは簡単ではなく、この変換は時間および位置に依存する。
【0046】
本開示の実施形態は、生インピーダンス位置の間の角度を使用し、かつカテーテルの可撓性先端部上に配置された電極が配置されている電場の性質を適用することによって、心臓内部の電場から導出される生インピーダンス位置を使用して、可撓性先端部とカテーテルの全体的な視覚的表現を決定することができる。
【0047】
図3は、本開示の実施形態による、カテーテルの形状を決定するための方法120を示す。いくつかの実施形態では、本方法は、カテーテルの可撓性先端部上に配置された複数の電極から複数のインピーダンス測定値を受信すること122を含んでよい。
図2Aおよび2Bに関連して論じたように、複数のインピーダンス測定値は、
図2Aに示されるカテーテル40A上に配置された電極46-1A、46-2A、・・・、46-10Aから受信されてよく、および/または、複数のインピーダンス測定値は、
図2Bにおける高密度電極カテーテル101の可撓性先端部110上に配置された電極102-1、102-2、・・・、102-18から受信されてもよい。
【0048】
方法は、カテーテルのシャフト上に配置された磁気位置センサから、磁気位置測定値を受信すること124を含んでよい。例えば、カテーテルシャフト42A(
図2A)は、磁気位置センサ56を含んでよく、カテーテルシャフト107(
図2B)も、磁気位置センサ116を含んでよく、磁気位置センサから、磁気位置測定値が受信されてよい。
【0049】
方法120は、複数の電極から受信したインピーダンス測定値に基づいて、カテーテルの可撓性先端部上に配置された複数の電極の各々の間の関係を決定すること126を含んでよい。いくつかの実施形態では、カテーテルの可撓性先端部上に配置された複数の電極の各々の間の関係を決定することは、複数の電極の各々の間の角度を決定することを含んでよい。一例では、カテーテルの可撓性先端部上に配置されたいかなる数の電極の間の角度を決定してよい。いくつかの実施形態では、カテーテルの可撓性先端部上に配置された少なくとも3つの電極の間の角度を決定してよい。いくつかの実施形態では、電極間の角度を決定するために使用される電極の最小数が、3つの電極であってよい。いくつかの実施形態では、複数の電極対を使用して、カテーテルの可撓性先端部の屈曲、ヨー、ひねりなどを測定するために、複数の電極対を使用して角度を決定してよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、カテーテルの可撓性先端部上に配置された複数の電極の各々の間の角度を決定する際に使用されるインピーダンス測定値は、生インピーダンス測定値であってよい。いくつかの実施形態では、生インピーダンスを使用することにより、電極間の角度を決定するときに行われる計算をより少なくすることができる。生インピーダンスを使用すると、電極46A、102の位置が、それらの実際の位置に対してシフトされ得る。しかしながら、電極46A、102のそれぞれの位置は、ほぼ同じ量だけシフトしたと想定することができるので、シフトおよび/またはドリフトを受けた場合であっても、可撓性先端部の全体的な形状を決定することが可能である。いくつかの実施形態では、電極間の角度を決定する前に、本明細書でさらに論じるように、局所場スケーリングを使用することによって、生インピーダンス測定値をインピーダンスドメインから磁気ドメインに変換してよい。
【0051】
電極46A、102が配置されている場は、静電場とみなすことができ、これは、内部で電荷の変化がない場合、ポアソン式によって、ラプラスの方程式を使用して説明することができる。さらに、電極46A、102が配置されているボリュームに作用している磁場がないと想定することができる。したがって、磁場が電流に対して渦として作用しうるので、静電場においてカールは存在しないかもしれない。いくつかの実施形態では、カテーテル40A、101の可撓性先端部のサイズ(例えば、長手方向長さおよび/または横幅)は、約2センチメートルであってよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、サイズは、2センチメートルより大きくても小さくてもよい。カテーテル40A、101の可撓性先端部のサイズが比較的小さいので、カテーテルの可撓性先端部が配置される空間全体にわたって、静電場の性質を比較的均一に維持できる。例えば、特定の領域144に関する静電場線142の図式的な描写140である
図4を参照すると、領域内に最小限のカールが存在する。いくつかの実施形態では、カテーテルの可撓性先端部のサイズが比較的小さいので、局所場スケーリングは、可撓性先端部にわたって一定であると想定することができる。例えば、本明細書でさらに論じるように、電極46A、102から受信したインピーダンス測定値は、局所場スケーリングを使用して、インピーダンスドメインから磁気ドメインに変換されてよい。カテーテルの可撓性先端部の比較的小さいサイズにわたって、スケーリングが一定であると想定することができる。
【0052】
図4に示すように、x軸およびy軸は、この場合、センチメートルで距離を表現する。領域144はおおよそ、
図2Aおよび2Bに示された可撓性先端部44A、110のサイズである。
図4に見られるように、約2センチメートル×2センチメートとして示される比較的小さい領域144内に、静電場の方向の微小変化が存在しているが、領域は、可撓性先端部のサイズに応じて、より大きくても、より小さくてもよい。したがって、可撓性先端部44A、110上に配置された電極46A、102から受信したデータが生インピーダンスデータであるとしても、電極46A、102の各々の間の角度を正しく決定することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、領域144に作用する磁場が存在しない場合、領域144の内部の静電場内のカールはゼロであると想定することができ、これは、複数の電極の各々の間の角度を決定する複雑さを低減するのに役立つ。例えば、矢印142によって表現される静電場内での方向変化は、使用されているカテーテルに対して、測定された領域144内で漸進的である。例えば、静電場ソースにおいて放出され、静電場シンクにおいて収束する静電場電線内に、屈曲、ループ、ひねり、または他のタイプの変動は存在しない。オームの法則に基づいてインピーダンスを位置に変換すると、測定される総インピーダンスは、経路の長さと単位長さ当たりのインピーダンスとの関数であり、測定された領域144内の静電場の最小方向変化に関する上記の想定を維持する。
【0054】
静電場の方向変化が最小なので、
図2Aおよび2Bに示された電極46A、102の任意の組み合わせの間の角度を決定することができ、カテーテル40A、101の可撓性先端部44A、110の
図6A~6Dおよび
図8A~8Dに関連して本明細書でさらに論じられる屈曲、ヨー、湾曲、およびひねりが決定される。
図2Aを参照すると、可撓性先端部44Aは、矢印48のいずれかの方向への屈曲を受け得る。例えば、
図2Aが載っている図面シートを参照すると、線48が交差する可撓性先端部44Aは、矢印48のいずれかの方向に沿って、ページに対して左または右に屈曲し得る。可撓性先端部44Aが矢印50の方向に動く場合、可撓性先端部110は面外屈曲を受け得、その結果、カテーテルのループの湾曲を中心に螺旋が形成される。例えば、
図2Aが載っている図面シートを参照すると、矢印50が通過する可撓性先端部44Aはページに沿って左へ動かされ得、その結果、可撓性先端部44Aに螺旋が形成される。矢印52が通過する可撓性先端部44Aの一部が矢印52のいずれかの方向に動かされることに伴って、可撓性先端部44Aは、矢印52の方向にひねりを受け得る。可撓性先端部44Aが矢印54の方向に動く場合、可撓性先端部44Aは面内屈曲を受け得、その結果、カテーテルのループの面内湾曲が生じる。例えば、
図2Aが載っている図面シートを参照すると、矢印54が通過する可撓性先端部44Aは、ページに沿って右に動き得、その結果、カテーテルの可撓性先端部44Aを面内湾曲させる。
【0055】
図2Bを参照すると、可撓性先端部110は、矢印112a、112bのいずれかの方向へ屈曲を受け得る。例えば、
図2Bが載っている図面シートを参照すると、可撓性先端部110は、ページ内へ(例えば、矢印112aの方向に)、またはページ外へ(例えば、矢印112bの方向に)屈曲し得る。可撓性先端部110が長手方向軸a-aを中心に湾曲する場合、可撓性先端部110は湾曲を受け得る。例えば、
図2Bが載っている図面シートを参照すると、可撓性先端部110は、ページ内へ(例えば、矢印113aの方向に)、またはページ外へ(例えば、113bの方向に)湾曲し得る。可撓性先端部110が、長手軸を中心に、第1方向(例えば、矢印114a)、または第2方向(例えば、矢印114b)にひねられる場合、可撓性先端部110は、矢印114aまたは114bの方向にひねりを受ける。可撓性先端部110は、矢印115aまたは115bの方向にヨーを受け得る。
図2Bが載っている図面シートを参照すると、可撓性先端部110は、ページに対して上または下へ、つまり矢印115aの第1方向または矢印115bの第2方向に、屈曲し得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、電極間の角度を決定する際に電極からの生インピーダンスデータを使用すると、ノイズの多いデータがもたらされ得る。例えば、生インピーダンスデータを使用して決定された電極の位置は、時には不整合である可能性があり、この場合、電極の位置が他の電極位置に対してジャンプしてしまっている見た目がもたらされる。したがって、本開示の方法は、カテーテルの可撓性先端部上に配置された複数の電極から受信した生インピーダンス測定値をフィルタリングすることを含んでよい。生インピーダンスデータがフィルタリングされない場合、いくつかの実施形態では、カテーテルの可撓性先端部の不正確な形状が決定され得る。いくつかの実施形態では、複数の電極から受信した生インピーダンス測定値をフィルタリングすることは、ローパスフィルタを用いて生インピーダンス測定値をフィルタリングすることを含んでよい。いくつかの実施形態では、フィルタリングする前に、本明細書でさらに論じるように、生インピーダンスデータは、局所場スケーリングを使用して、インピーダンスドメインから磁気ドメインに変換されてよい。
【0057】
図3をさらに参照すると、いくつかの実施形態では、方法122は、カテーテルの可撓性先端部上に配置された複数の電極の各々の間の決定された関係に基づいて、カテーテルの可撓性先端部の形状を予測すること128を含んでよい。いくつかの実施形態では、方法は、カテーテルの可撓性先端部44A、110上に配置された複数の電極の各々の位置を予測することを含んでよい。例えば、カテーテルの可撓性先端部44A、110が受けている屈曲、ヨー、湾曲、およびひねりに基づいて、可撓性先端部上に配置された電極46A、102の間の角度は変化し得る。上述のように、電極間の角度の変化を決定するためには、少なくとも3つの電極からの生インピーダンスデータを有することが有利であり得る。これは、2つの電極のみの間の角度傾向を決定することが困難であり得るからである。電極間の変化する角度に基づいて、カテーテルの可撓性部の形状の決定をすることができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、方法120は、複数の電極の各々の間の角度を使用して、可撓性先端部の形状モデルに対する形状を計算することによって、カテーテルの可撓性先端部の形状を予測することを含んでよい。可撓性先端部の形状モデルは、上述のように、屈曲、ヨー、湾曲、および/またはひねりを因子として含んでよい。本開示の実施形態は、本明細書でさらに論じるように、カテーテルの可撓性先端部の形状モデルの予測を含んでよい。
【0059】
図5は、本開示の実施形態による、カテーテルの形状を予測するためのシステムを示す。いくつかの実施形態では、生インピーダンスデータを受信してよく、生インピーダンスデータから、電極位置およびフレーム曲線を計算してよい。一例では、ボックス154へとつながる矢印152によって表現されるように、生インピーダンスデータは、1つまたは複数の電極から受信されてよい。いくつかの実施形態では、論じたように、ボックス154において、ローパスフィルタ154が生インピーダンスデータ152に適用されてよい。いくつかの実施形態では、ボックス156において、電極位置が磁気空間に変換されてよい。例えば、フィルタリングされた生インピーダンスデータは、ボックス156において、インピーダンス変換モデルを使って磁気データに変換されてよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、インピーダンス変換モデルは、局所場スケーリング164を使用することによって、生インピーダンス測定値をインピーダンスドメインから磁気ドメインに変換することを含んでよい。局所場スケーリング164は、剛体変換を利用してよく、剛体変換は、1つまたは複数の電極対間の距離をモデル化する1つまたは複数の方程式を含んでよい。剛体変換の制約は、カテーテルの可撓性先端部上の電極間の既知の距離を含んでよい。一例では、インピーダンスドメインから磁気ドメインへの点の剛体変換は、カテーテルの可撓性先端部のスプラインまたは円形ループに沿った電極間の既知の距離である制約を有する剛体変換を使用することによって行われてよい。しかしながら、いかなるタイプの成形された可撓性先端部上の電極間の距離が使用されてもよい。例えば、本開示の実施形態は、
図2Aおよび2Bに関連して示され論じられたような可撓性先端部を有するカテーテルに限定されない。一例では、生インピーダンス測定値に関連する局所場スケーリング164が決定され、局所場スケーリング164に基づいて生インピーダンス測定値をスケーリングすることによって、生インピーダンス測定値が磁気位置に変換されてよい。局所スケーリングが完了すると、生インピーダンス測定値をx、y、およびz軸に沿ってスケーリングすることによって、生インピーダンス測定値をおおよその磁気位置に調整することができる。データの不一致に対処するために、本明細書で論じたように、測定値は、(例えば、ローパスフィルタ154を使って)フィルタリングされてよい。
【0061】
本開示のいくつかの実施形態は、以下でさらに論じられるカテーテル形状モデル158を決定することを含む。上述のように、カテーテルの可撓性先端部の形状を計算するために、複数の電極の各々の間の角度がカテーテル形状モデル158に関連して使用されてよい。形状モデル158は、電極位置160およびフレーム曲線162の両方を計算するために使用されてよい。一例では、電極位置は、可撓性先端部の決定された形状から決定されてよい。いくつかの実施形態では、電極位置は、カテーテルモデルによって生成されたフレーム曲線と組み合わせて表示されてよい。いくつかの実施形態では、カテーテルモデルは、本明細書でさらに論じるように決定される可撓性先端部の形状モデルを含む。
【0062】
図3をさらに参照すると、方法120は、磁気位置測定値および可撓性先端部の予測された形状に基づいて、カテーテルの形状を決定すること130を含んでよい。例えば、
図2Aおよび2Bに関して、磁気位置測定値は、磁気位置センサ56、116から取得することができる。いくつかの実施形態では、可撓性先端部44A、110に対するカテーテルシャフト42A、107の位置関係は、既知であってよい。電極位置は、生インピーダンスデータから決定されることがあり、この場合、データは、シフトおよびドリフトを受ける可能性がある。いくつかの実施形態において磁気位置データに変換され得る電極の決定された位置は、電極の決定された位置が磁気位置センサの位置と適切に位置合わせされるように、シフトされてよい。
【0063】
例えば、いくつかの実施形態では、方法120は、複数の電極の各々の間の角度と、可撓性先端部の形状モデルに関する磁気位置測定値とを使用して、カテーテルの形状を決定することを含んでよい。いくつかの実施形態では、位置および向き測定値が、カテーテル上に配置された磁気位置センサから受信されてよく、複数の電極の各々の間の角度と磁気位置および向き測定値とを使用してカテーテルの形状を決定するために使用されてよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、カテーテルの形状を決定することは、磁気位置センサから受信された位置および向き測定値に基づいて、カテーテルのシャフトに対してカテーテルの可撓性先端部の形状をシフトすることを含んでよい。いくつかの実施形態では、まず、可撓性先端部の形状が、電極から受信された生インピーダンスデータを使用して、可撓性先端部の形状モデルに対して決定されてよい。次いで、可撓性先端部の決定された形状が、カテーテルシャフトの決定された位置と正確に位置決めされてよい。例えば、可撓性先端部の決定された形状は、磁気位置センサから受信された位置および向き測定値に基づいて、正確に位置決めされてよい。したがって、可撓性先端部およびカテーテルシャフトを含むカテーテルの形状を決定することは、磁気位置センサから受信された位置および向き測定値に基づいて、カテーテルのシャフトに対してカテーテルの可撓性先端部の決定された形状をシフトすることを含んでよい。
【0065】
可撓性先端部の形状モデルの決定は、異なるタイプの可撓性先端部を有するカテーテルについて異なる形状モデルを決定することを含んでよい。例えば、
図2Aに示されるカテーテルと
図2Aに示されるカテーテルとは異なる可撓性先端部を有するので、第1の形状モデルが、
図2Aに示されるカテーテルについて決定されてよく、一方、異なる形状モデルが、
図2Bに示されるカテーテルについて決定されてよい。他のタイプの可撓性先端部についても同様に、形状モデルが決定されてよい。
【0066】
図2Aに示されるカテーテルなどの円形マッピングカテーテル(例えば、Abbott Laboratories社から入手可能なAdvisor(商標)VLマッピングカテーテル)の場合、カテーテル形状の物理的な挙動に基づいて、カテーテルがモデル化されてよい。この解決策は、数値屈曲モデルを構築するために、単純な線ばねの機械的性質を使用することを含んでよい。円形マッピングカテーテルの形状は、
図2Aに示すように、3つの主要部分に分割されてよい。3つの部分は、剛性であるシャフト42Aと、予め90度曲げられているニー58と、ループ60(同じく、ループの平面内で予め所与の角度曲げられている)とを含んでよい。決定されたカテーテル形状モデルは、
図6A~
図6Bに関連して示され論じられてもいる4つの異なる動作を可能にする。4つの異なる動作は、矢印48のいずれかの方向において、ニー58から始まるカテーテル40Aの前方軸を中心とした屈曲(例えば、曲げ)と、矢印52のいずれかの方向において、ニー58から始まるカテーテル40Aの側軸を中心とする屈曲(例えば、ひねり)と、矢印52の方向において、カテーテルのループ60の湾曲を中心とする面内屈曲(例えば、ループ)と、矢印50の方向において、カテーテルのループの湾曲を中心とする面外屈曲(例えば、螺旋)と、を含む。
【0067】
カテーテルのループ部分の屈曲およびひねりについて、オイラー・ベルヌーイ梁理論が使用されてよく、オイラー・ベルヌーイ梁理論に従うセクションは、ほぼ電極46―5Aまで延在するループ60の第1四分円および第2の四分円までのニー58の頂部であってよい。ループ60の角度について、オイラー・ベルヌーイ梁理論が使用されてよく、オイラー・ベルヌーイ梁理論が適用され得るセクションは、ニー58から電極46-10Aが位置する遠位端までのループ60全体である。螺旋の角度について、機械学におけるねじれの理論(theory of torsion)が使用されてよく、ねじれの理論が適用され得るセクションは、ニー58から電極46-10Aが位置する遠位端までのループ60全体である。
【0068】
ねじれの理論は、以下のように使用することができる。固体力学の分野では、ねじれは、印加されたトルクに起因する物体のひねりとして定義することができる。ねじれは、ニュートン/平方メートルのSI単位であるパスカル(Pa)またはポンド/平方インチ(psi)で表すことができ、一方、トルクは、ニュートンメートル(Nm)またはフィート重量ポンド(ft・lbf)で表される。トルク軸に垂直なセクションでは、このセクションにもたらされるせん断応力は、半径に垂直であり得る。非円形断面では、ひねりは、横断面が平面を維持しない反りと呼ばれる歪みを伴うことがある。反りに拘束されていない均一な断面のシャフトについて、ねじれは、以下のように表すことができる。
【数1】
ここで、Tは、Nmでの印加されたトルクまたはねじれモーメントであり、Tauは、外面における最大せん断応力であり、JTは、セクションのねじれ定数であり、おおよそ中立軸に関する断面二次モーメントであり、rは、回転軸とセクションの(外面における)最遠点との間の距離であり、lは、トルクが印加されている物体の長さであり、φ(phi)は、ラジアンでのひねりの角度であり、Gは、剛性率とも呼ばれるせん断剛性率である。
【0069】
シャフト内の点におけるせん断応力は、以下のように表すことができる。
【数2】
ひねりの角度は、以下の式を使用することによって求めることができる。
【数3】
円形断面について、同じ式が適用され、慣性モーメントは、円形断面について、以下のように定義することができる。
【数4】
上記の関係は、以下のように表すことができる。
【数5】
ここで、G Ipは、ねじれ剛性として定義される。ひねりの角度φは、以下のように表すことができる。
【数6】
ここで、φは、ラジアンで測定される。ねじれ可撓性は、以下のように表すことができる。
【数7】
ねじれ剛性は、以下のように表される。
【数8】
【0070】
ねじれに加えて、2つの直交軸を中心とした屈曲を因子として含んでもよく、これらの屈曲誘起応力は重ね合わせの法則(rule of superposition)を用いて組み合わせられてよい。屈曲およびひねりにおけるカテーテルの屈曲を説明する方程式は、オイラー・ベルヌーイ梁の要素(Euler Bernoulli beam element)から導出することができる。オイラー・ベルヌーイ方程式(Euler-Bernoulli equation)は、梁のたわみと加えられた荷重との間の関係を説明する。以下の式は、分布荷重qの結果としての屈曲曲線を説明する。
【数9】
曲線w(x)は、ある位置xにおけるz方向の梁のたわみを説明する(梁が1次元物体としてモデル化されることを想起されたい)。qは、分布荷重、言い換えれば、単位長さ当たりの力であり(面積当たりの力である圧力に類似する)、x、w、または他の変数の関数であってもよい。
【0071】
上記の方程式において、Eは弾性率であり、Iは梁の断面の断面二次モーメントである。特に、Iは、断面の中心を通過し、加えられた荷重に垂直である軸に関して計算することができ、zに沿って荷重を有し、xに沿って配向された軸を有する梁について、梁の断面はYZ平面内にあり、関連する断面二次モーメントは、
【数10】
たわみwの連続する導関数は、重要な物理的意味を有する。つまり、dw/dxが梁の傾きであり、Mが梁における曲げモーメントである。
【数11】
【0072】
オイラー・ベルヌーイの定理(Euler-Bernoulli theorem)は、大きなたわみのケースにまで拡張されてよく、梁のx軸に沿ったたわみの積分の代わりに、傾きがセクションごとに積分されてよい。モーメントは各セクションにおいて、遠位端からの距離および各セクションに作用する垂直力を使用して、計算することができる。カテーテルは、端部に荷重がかかった円形の梁としてモデル化されてよく、屈曲角度は、互いに直交するコンポーネントの重ね合わせによってセグメントごとに積分されてよい。カテーテルは、ニー部およびループ部において予め曲げられているので、カテーテルの形状は、変形されていない形状(予め曲げられた)と3つの屈曲コンポーネントの結果である変形された形状とから構成されてよい。カテーテルのスパインに沿ったカテーテル形状の数値積分の後、この形状上の電極位置およびカテーテルワイヤの位置を計算することができ、この計算は、以下に記載のように、フレネ・セレの公式を使用することによって行うことができる。
【0073】
微分幾何学では、フレネ・セレの公式は、3次元ユークリッド空間R3において連続的で微分可能な曲線に沿って移動する粒子の運動学的性質、または、いかなる運動にも関係ない曲線自身の幾何学的性質を説明する。より具体的には、公式は、いわゆる接線単位ベクトル、主法線単位ベクトル、および従法線単位ベクトルの導関数を互いに関して説明する。これらの公式を記すために現在使用されているベクトル表記および線形代数は、公式が発見された時にはまだ使用されていなかった。
【0074】
T、N、およびBと呼ばれることが多いか、もしくは集合的にフレネ・セレ標構またはTNB標構と呼ばれる、接線単位ベクトル、主法線単位ベクトル、および従法線単位ベクトルは、R3に広がる正規直交基底を共に形成し、次のように定義される。Tは、運動方向を指し、曲線に接する単位ベクトルであり、Nは、曲線の長さで分割された曲線の弧長パラメータに関するTの導関数である主法線単位ベクトルであり、Bは、TとNとの外積である従法線単位ベクトルである。
【0075】
フレネ・セレの公式は、次のとおりである。
【数12】
ここで、d/dsは弧長に関する導関数であり、κは曲率であり、τは曲線のねじれである。2つのスカラκおよびτは、空間曲線の曲率およびねじれを効果的に定義する。関連する集合であるT、N、B、κ、およびτは、フレネ・セレツール(Frenet-Serret apparatus)と呼ばれる。曲率は、直線となるべきである曲線の失敗具合を示し、ねじれは、平面となるべきである曲線の失敗具合を示す。
【0076】
T、N、およびBと呼ばれることが多いか、もしくは集合的にフレネ・セレ標構またはTNB標構と呼ばれる、接線単位ベクトル、主法線単位ベクトル、および従法線単位ベクトルは、R3に広がる正規直交基底を共に形成し、次のように定義される。Tは、運動方向を指し、曲線に接する単位ベクトルであり、Nは、曲線の長さで分割された曲線の弧長パラメータに関するTの導関数である主法線単位ベクトルであり、Bは、TとNとの外積である従法線単位ベクトルである。
【0077】
フレネ・セレの公式は、フレネ・セレの定理(Frenet-Serret theorem)としても知られており、行列表記を使用してより簡潔に述べることができる。
【数13】
行列は、我々のカテーテルスパインに沿ってセグメントごとに記憶され、電極の位置および曲線を抽出するために使用される。上述したのと同様に、螺旋に沿って動くフレネ・セレ標構は、螺旋の曲線に接し、運動方向を指す単位ベクトルであるTと、曲線の長さで分割された螺旋曲線の弧長パラメータに関するTの導関数である主法線単位ベクトルであるNと、TとNとの外積である従法線単位ベクトルであるBと、によって表現される。次いで、このモデルは、いくつかのソースからのデータ(例えば、合成データ、水槽データ、動物試験データ)と比較されてよい。本開示の実施形態では、合成データと計算された形状との間の一致は、数値モデルの正当性を立証し、すべての測定された位置および電極について小さな誤差を示した。
【0078】
図6A~6Dは、本開示の実施形態による、円形マッピングカテーテルの形状を規定するために使用されるパラメータを示す。
図6Aに示すように、カテーテル形状モデルは、カテーテル170Aのニー182Aから始まる、カテーテル170Aの前方軸c-cを中心としたカテーテル170Aの可撓性先端部176Aの屈曲を計算に入れてよい。カテーテル170Aの可撓性先端部176Aの図示された屈曲は、
図2Aの矢印52に関連しても示されている。図示されるように、カテーテル170Aは、ループ状遠位端174Aから形成された可撓性先端部176Aに接続されたカテーテルシャフト172Aを含む。ループ状遠位端174Aは、複数の電極178A(図示の簡便性のため、複数の電極178Aのうち1つのみに符号が付けられている)を含んでおり、カテーテルシャフト172Aは、複数の電極180A(複数の電極180Aのうちの1つのみに符号が付けられている)をさらに含んでいる。
【0079】
図6Bに示すように、カテーテル形状モデルは、カテーテル170Bのニー182Bから始まる、カテーテル170Bの側軸d-dを中心としたカテーテル170Bの可撓性先端部176Bの屈曲を計算に入れてよい。カテーテル170Bの可撓性先端部176Bの図示された屈曲は、
図2Aの矢印48に関しても示されている。図示されるように、カテーテル170Bは、ループ状遠位端174Bから形成された可撓性先端部分176Bに接続されたカテーテルシャフト172Bを含む。ループ状遠位端174Bは、複数の電極178B(図示の簡便性のため、複数の電極178Bのうちの1つのみに符号が付けられている)を含んでおり、カテーテルシャフト172Bは、複数の電極180B(複数の電極180Bのうちの1つのみに符号が付けられている)をさらに含んでいる。
【0080】
図6Cに示すように、カテーテル形状モデルは、カテーテル170Cのループ状遠位端174Cの湾曲を中心としたカテーテル170Cの可撓性先端部176Cの面内屈曲を計算に入れてよい。カテーテル170Cの可撓性先端部176Cの図示された屈曲は、
図2Aの矢印54に関連しても示されている。図示されるように、カテーテル170Cは、ループ状遠位端174Cから形成された可撓性先端部176Cに接続されたカテーテルシャフト172Cを含む。ループ状遠位端178Cは、複数の電極178C(図示の簡便性のため、複数の電極178Cのうち1つのみに符号が付けられている)を含んでおり、カテーテルシャフト172Cは、複数の電極180C(複数の電極180Cのうちの1つのみに符号が付けられている)をさらに含んでいる。
【0081】
図6Dに示すように、カテーテル形状モデルは、カテーテル170Dのループ状遠位端174Dの湾曲を中心としたカテーテル170Dの可撓性先端部176Dの面外屈曲を計算に入れてよい。カテーテル170Dの可撓性先端部176Dの図示された屈曲は、
図2Aの矢印50に関連しても示されている。図示されるように、カテーテル170Dは、ループ状遠位端174Dから形成された可撓性先端部176Dに接続されたカテーテルシャフト172Dを含む。ループ状遠位端174Dは、複数の電極178D(図示の簡便性のため、複数の電極178Dのうち1つのみに符号ラベルが付けられている)を含んでおり、カテーテルシャフト172Dは、複数の電極180D(複数の電極180Dのうちの1つのみに符号が付けられている)をさらに含んでいる。円形マッピングカテーテルのために生成されたカテーテル形状モデルは、合成データセットと共に使用された際、1mmよりも小さい誤差を実証した。
【0082】
図2Bに示されているような高密度電極マッピングカテーテル(例えばAbbott社から入手可能なAdvisor(商標)HDグリッドマッピングカテーテル)の場合、カテーテルは、カテーテル形状の物理的な挙動に基づいてモデル化された。この解決策を策定するために、有限要素が使用され、変形された形状に至るために力および制約を適用する方法について知見が得られた。有限要素法(FEM)は、工学および数理物理学の問題を解くための数値的方法である。典型的な問題の関心領域は、構造解析、熱伝達、流体の流れ、物質移行、および電磁ポテンシャルを含む。これらの問題の解析解は、一般的に、偏微分方程式に対する境界値問題の解を必要とする。この問題の有限要素法の定式化は、代数方程式系をもたらす。この方法は、領域での未知関数に近似する。この問題を解決するために、大規模な系を、有限要素と呼ばれるより小さく、より簡単な部分に分割する。次に、これらの有限要素をモデル化する簡単な方程式が、問題全体をモデル化するより大きな方程式系へと組み立てられる。次に、FEMは、変分法からの変分方法を使用し、関連する誤差関数を最小化することによって解に近づく。
【0083】
この方法のワークアウトは、(1)問題の領域を、各々が元の問題に対する要素方程式のセットによって表現されるサブ領域の集合へ分割すること、続いて(2)要素方程式の全てのセットを、最終計算のための大域的な方程式系へと系統的に再結合すること、を含んでよい。大域的な方程式系は、既知の解法を有し、数値解を得るために、元の問題の初期値から計算することができる。本開示の実施形態は、形状に対する既知のたわみのセットを考慮して、適用の力および位置を求めることができる。いくつかの実施形態では、最終的な形状に至るまで、各々が最後からの小さなたわみを有する解のセットが構築されてよい。大域的な剛性マトリクスの構築は既知の幾何学的形状を前提とし、そしてこの幾何学的形状は形状の初期状態を使用して計算されない可能性があるので、単一のFEM解を使用することはあり得ないかもしれない。
【0084】
いくつかの実施形態では、有限要素モデルから得られた知見に基づいて、簡略化された数値モデルが開発されてよく、知見は、壁に接触するカテーテル形状、および接触する壁に垂直に加えられる力であった。加えて、カテーテルの剛性をモデル化することによって、いくつかの軸が他の軸よりも大きな剛性し、そのため起こりにくい動作があることが実証された。例えば、カテーテルの慣性モーメントがヨーにおいてはるかに高いので、カテーテルはヨーにおいて屈曲する可能性が低く、カテーテルの接触点から滑る可能性が最も高い。ひねりに関して、カテーテル形状が屈曲していない状態では、純粋なひねりが自然に起こることはないかもしれず、このため、形状を心臓の壁に接触させ続けるために、ある程度の屈曲およびヨーがひねりと結合されてよい。
【0085】
数値モデルを解くことは、本明細書でさらに論じるように、屈曲、ヨー、ひねり、および湾曲を含む、カテーテルの最終的形態に影響を及ぼす4つのパラメータを知ることに限定されてよい。カテーテルのスパインに沿ったカテーテルの屈曲を説明する方程式は、オイラー・ベルヌーイ梁要素から導出される。これらの方程式は、屈曲およびヨーに対して、それぞれ異なる剛性を適用して、使用されてよい。オイラー・ベルヌーイ方程式は、梁のたわみと加えられた荷重との関係を説明する。以下の式は、分布荷重qの結果としての屈曲曲線を説明する。
【0086】
オイラー・ベルヌーイ方程式は、梁のたわみと加えられた荷重との関係を説明する。以下の式は、分布荷重qの結果としての屈曲曲線を説明する。
【数14】
曲線w(x)は、ある位置xにおけるz方向の梁のたわみを説明し(梁が1次元物体としてモデル化されることを想起されたい)。qは、分布荷重、言い換えれば、単位長さ当たりの力であり(面積当たりの力である圧力に類似する)、x、w、または他の変数の関数であってもよい。上記の方程式において、Eは弾性率であり、Iは梁の断面の断面二次モーメントである。特に、Iは、断面の中心を通過し、加えられた荷重に垂直である軸に関して計算することができる。zに沿って荷重を有し、xに沿って配向された軸を有する梁について、梁の断面はYZ平面内にあり、関連する断面二次モーメントは、
【数15】
たわみwの連続する導関数は、重要な物理的意味を有する。つまり、dw/dxが梁の傾きであり、Mが梁における曲げモーメントである。
【数16】
オイラー・ベルヌーイの定理は、大きなたわみのケースにまで拡張されてよく、梁のx軸に沿ったたわみの積分の代わりに、傾きがセクションごとに積分されてよい。モーメントは各セクションにおいて、遠位端からの距離および各セクションに作用する垂直力を使用して、計算することができる。
【0087】
ひねりに使用される定理は、固体力学における梁のねじれであってよい。固体力学の分野では、ねじれは、印加されたトルクに起因する物体のひねりである。ねじれは、ニュートン/平方メートルのSI単位であるパスカル(Pa)またはポンド/平方インチ(psi)で表され、一方、トルクは、ニュートンメートル(Nm)またはフィート重量ポンド(ft・lbf)で表される。トルク軸に垂直なセクションでは、このセクションにもたらされるせん断応力は、半径に垂直である。
【0088】
非円形断面では、ひねりは、横断面が平面を維持しない反りと呼ばれる歪みを伴う。反りに拘束されていない均一な断面のシャフトについて、ねじれは、以下のように表すことができる。
【数17】
ここで、Tは、Nmでの印加されたトルクまたはねじれモーメントであり、Tauは、外面における最大せん断応力であり、JTは、セクションのねじれ定数であり、おおよそ中立軸に関する断面二次モーメントであり、rは、回転軸と当該セクションの(外面における)最遠点との間の距離であり、lは、トルクが印加されている物体の長さであり、φ(phi)は、ラジアンでのひねりの角度であり、Gは、剛性率とも呼ばれるせん断剛性率である。
【0089】
シャフト内の点におけるせん断応力は、以下のように表すことができる。
【数18】
ひねりの角度は、以下の式を使用することによって求めることができる。
【数19】
【0090】
ひねりにおける数値積分は、Advisor(商標)HDグリッドマッピングカテーテルなどのカテーテルにとって必須ではないが、積分ステップはひねりを積分するのにも使用されてよい。これは、そうすることで、スパインに沿ってねじれ剛性JTを変化させることができ、解の精度がより高くなるからである。Advisor(商標)HDグリッドマッピングカテーテルは、後述するように、ペダル上の電極と曲線をモデル化するダルブー標構法(Darboux frame method)にもよく適している。純粋なひねりは、カテーテル上に存在しない可能性がある。カテーテル上の力は、心臓の壁と接することによって引き起こされ、最終的な形状は、高密度電極マッピングカテーテルのパドルと心臓の壁との間の滑りのない拘束の結果であり、したがって、ひねりは、屈曲および/またはヨーと結合されてよい。
【0091】
カテーテルのスパインに沿ったカテーテル形状の数値積分の後、この形状上の電極位置およびカテーテルワイヤの位置も計算されてよい。この形状上の電極位置およびカテーテルワイヤの位置を計算するために、ダルブー標構法が使用されてよい。面の微分幾何学では、ダルブー標構は、面上に構築された自然な動標構として定義することができる。ダルブー標構は、面形状に適用されるフレネ・セレ標構の類似物であり得る。ダルブー標構は、ユークリッド空間に埋め込まれた面の任意の非臍点において存在する。埋め込まれた曲線に対してダルブー標構法を使用するために、Sは、3次元ユークリッド空間E3における配向された面であってよい。S上でのダルブー標構の構築は、まず、Sの曲線に沿って動く標構を考慮し、次いで、曲線が主曲率方向に動くときに特化する。任意の特定の固定点における法線に対して向きが選択されるとすぐに、配向された面の各点pにおいて、単位法線ベクトルu(p)が固有の方法で取り付けられてよい。γ(s)が弧長によってパラメータ化されたSにおける曲線である場合、γのダルブー標構は、以下のように定義することができる。
【数20】
三つ組みのT、t、uは、曲線の各点に取り付けられた正に配向された直交基底、すなわち、埋め込まれた曲線に沿った自然な動標構を定義する。
【0092】
ひねりにおける数値積分は、Advisor(商標)HDグリッドマッピングカテーテルなどのカテーテルにとって必須ではないが、積分ステップはひねりを積分するのにも使用されてよい。これは、そうすることで、スパインに沿ってねじれ剛性JTを変化させることができ、解の精度がより高くなるからである。Advisor(商標)HDグリッドマッピングカテーテルは、後述するように、ペダル上の電極と曲線をモデル化するダルブー標構法にもよく適している。観察を通じて、カテーテル上の純粋なひねりが存在することは確認されなかった。例えば、カテーテル上の力は、心臓の壁と接することによって引き起こされ、最終的な形状は、高密度電極マッピングカテーテルのパドルと心臓の壁との間の滑りのない拘束の結果であり、したがって、ひねりは、屈曲、およびしばしばヨーと結合されてよい。
【0093】
曲線のダルブー標構は、接線ベクトルの初期選択にさらに依存するので、面上の自然な動標構をもたらさない可能性がある。面上の動標構を得るために、γのダルブー標構をγのフレネ・セレ標構と比較してよい。
【数21】
両方のケースにおいて接線ベクトルが同じであるので、NおよびBの平面における回転がtおよびuの対を生成するように、固有の角度αが存在する。
【数22】
微分を取り、フレネ・セレの公式を適用すると、次のようになる。
【数23】
ここで、κgは曲線の測地的曲率であり、κnは曲線の法曲率であり、τrjは曲線の相対ねじれ(relative torsion)(測地線ねじれ(geodesic torsion)とも呼ばれる)である。上記の解決策を使用して、カテーテル形状は、屈曲、ヨー、およびひねりに使えるカテーテルのスパインに沿った数値積分を使用して計算されてよく、最終的なカテーテル形状は、ダルブー標構法を使用して得られた。カテーテル形状モデルを提供するために、電極位置およびカテーテルフレーム曲線の計算は、変形されたダルブー標構上への2次元カテーテル形状および電極の直交射影によって行われてよい。
【0094】
直交射影190Aは、
図7Aに示されている。図示されているように、2次元カテーテル形状の直交射影190Aは、電極位置192-1、192-2、...、192-16(以下、電極位置192と総称する)と、電極位置192の各々の間の距離194とを含む。示されているように、カテーテルのスパインに沿って可撓性先端部196に沿う電極位置192の各々の間の距離は変化せず、これは、物理的なカテーテルの挙動を代表する。しかしながら、可撓性先端部196の側面上に位置する電極位置192-1、192-2、192-3、192-4と電極位置192-13、192-14、192-15、192-16との間の間隔は、変化する。これは、可撓性先端部196の側面間の距離が、両側にどれだけの力が加えられるかによって変化し得るからである。例えば、可撓性先端部がひねりおよび/または湾曲を受ける可能性があり、この場合、可撓性先端部分196の両側に配置されている電極間の距離が変化する。図示されているように、電極位置192-17、192-18は、カテーテルのシャフト上に配置されている電極と関連しており、直交射影に含まれる。
【0095】
図7Bは、最終的なカテーテル形状モデル190Bを示し、
図7Bでは、最終的なカテーテル形状モデル190Bを提供するために、
図7Aに示された直交射影190Aがダルブー標構198に射影されている。図示されていないが、
図7Aに示されているシャフト電極位置192-17、192-18も、ダルブー標構198上に射影されてよい。カテーテル形状モデル190Bは、本明細書でさらに論じるように、物理的なカテーテルの屈曲、ヨー、ひねり、および湾曲をモデル化するために使用されてよい。
【0096】
図8A~8Dは、高密度電極マッピングカテーテルのカテーテル形状モデルを規定するために使用されるパラメータを示す。
図8Aに示すように、カテーテル形状モデル210Aは、線e-eで規定されたx軸を中心としたカテーテルの可撓性先端部212Aの屈曲を計算に入れてよい。カテーテルの可撓性先端部212Aの図示された屈曲は、
図2Bの矢印112aおよび矢印112bに関連しても示されている。図示されているように、カテーテル形状モデル210Aは、複数の電極位置214Aを含む可撓性先端部212Aを含んでいる。カテーテル形状モデル210Aは、複数の電極位置214Aを含んでいるが、図示の簡便性のために、1つの電極位置214Aのみに符号が付けられている。
【0097】
カテーテル形状モデル210Aはまた、ダルブー標構法を使って射影されたフレーム曲線216A-1、216A-2、216A-3、216A-4も含む。カテーテル形状モデル210Aは、カテーテルシャフト電極位置218A-1、218A-2を含むようにも図示されている。カテーテルシャフト電極位置218A-1、218A-2は、いくつかの実施形態において、同じようにカテーテル形状モデル210Aに図示されている磁気位置センサ位置220A-1、220A-2を使って決定されてよい。磁気位置センサ位置220A-1、220A-2は、カテーテル形状モデル210Aに図示されたカテーテルのシャフト上に配置されている磁気位置センサを使って、取得されてよい。参考として、撓んでいない電極位置222Aがボックスとして示されており、撓んでいない電極位置222Aで表現される撓んでいない状態と、可撓性先端部212Aの屈曲を反映するカテーテル形状モデル210Aに含まれる電極位置214Aとのたわみの違いを示している。
【0098】
図8Bに示すように、カテーテル形状モデル210Bは、カテーテルのスパインに沿った、線f-fで規定されたy軸を中心としたカテーテルの可撓性先端部212Bのひねりを計算に入れてよい。カテーテルの可撓性先端部212Bの屈曲は、
図2Bの矢印114aおよび矢印114bに関連しても示されている。図示されているように、カテーテル形状モデル210Bは、複数の電極位置214Bを含む可撓性先端部212Bを含んでいる。カテーテル形状モデル210Bは、複数の電極位置214Bを含んでいるが、図示の簡便性のために、1つの電極位置214Bのみに符号が付けられている。
【0099】
カテーテル形状モデル210Bはまた、ダルブー標構法を使って射影されたフレーム曲線216B-1、216B-2、216B-3、216B-4も含む。カテーテル形状モデル210Bは、カテーテルシャフト電極位置218B-1、218B-2を含むようにも図示されている。カテーテルシャフト電極位置218B-1、218B-2は、いくつかの実施形態において、同じようにカテーテル形状モデル210Bに図示されている磁気位置センサ位置220B-1、220B-2を使って決定されてよい。磁気位置センサ位置220B-1、220B-2は、カテーテル形状モデル210Bに図示されたカテーテルのシャフト上に配置されている磁気位置センサを使って、取得されてよい。参考として、撓んでいない電極位置222Bがボックスとして示されており、撓んでいない電極位置222Bで表現される撓んでいない状態と、可撓性先端部212Bのひねりを反映するカテーテル形状モデル210Bに含まれる電極位置214Bとのたわみの差を示す。
【0100】
図8Cに示すように、カテーテル形状モデル210Cは、線g-gで規定されるz軸を中心としたカテーテルの可撓性先端部212Cのヨーを計算に入れてよい。カテーテルの可撓性先端部212Cの図示されたヨーは、
図2Bの矢印115aおよび矢印115bに関連しても示されている。図示されているように、カテーテル形状モデル210Cは、複数の電極位置214Cを含む可撓性先端部212Cを含んでいる。カテーテル形状モデル210Cは、複数の電極位置214Cを含んでいるが、図示の簡便性のために、1つの電極位置214Cのみに符号が付けられている。
【0101】
カテーテル形状モデル210Cはまた、ダルブー標構法を使って射影されたフレーム曲線216C-1、216C-2、216C-3、216C-4も含む。カテーテル形状モデル210Cは、カテーテルシャフト電極位置218C-1,218C-2を含むようにも図示されている。カテーテルシャフト電極位置218C-1、218C-2は、いくつかの実施形態において、同じようにカテーテル形状モデル210Bに図示されている磁気位置センサ位置220C-1、220C-2を使って、決定されてよい。磁気位置センサ位置220C-1、220C-2は、カテーテル形状モデル210Cに図示されたカテーテルのシャフト上に配置されている磁気位置センサを使って、取得されてよい。参考として、撓んでいない電極位置222Cがボックスとして示されており、撓んでいない電極位置222Cで表現される撓んでいない状態と、可撓性先端部212Cのヨーを反映するカテーテル形状モデル210Cに含まれる電極位置214Cとのたわみの差を示す。
【0102】
図8Dに示すように、カテーテル形状モデル210Dは、線h-hで規定されたz軸を中心としたカテーテルの可撓性先端部212Dの湾曲を計算に入れてよい。カテーテルの可撓性先端部212Dの図示された湾曲は、
図2Bの矢印113aおよび矢印113bに関連しても示されている。図示されているように、カテーテル形状モデル210Dは、複数の電極位置214Dを含む可撓性先端部212Dを含んでいる。カテーテル形状モデル210Dは、複数の電極位置214Dを含んでいるが、図示の簡便性のために、1つの電極位置214Dのみに符号が付けられている。カテーテル形状モデル210Dはまた、ダルブー標構法を使って射影されたフレーム曲線216D-1、216D-2、216D-3、216D-4も含む。
【0103】
カテーテル形状モデル210Dは、カテーテルシャフト電極位置218D-1,218D-2を含むようにも図示されている。カテーテルシャフト電極位置218D-1、218D-2は、いくつかの実施形態において、同じようにカテーテル形状モデル210Dに図示されている磁気位置センサ位置220D-1、220D-2を使って、決定されてよい。磁気位置センサ位置220D-1、220D-2は、カテーテル形状モデル210Dに図示されたカテーテルのシャフト上に配置されている磁気位置センサを使って、取得されてよい。参考として、撓んでいない電極位置222Dがボックスとして示されており、撓んでいない電極位置222Dで表現されている撓んでいない状態と、可撓性先端部212Dのヨーを反映したカテーテル形状モデル210Dに含まれる電極位置214Dとのたわみの差を示す。
【0104】
図1をさらに参照すると、本開示の実施形態は、カテーテル(例えば、カテーテル13)の形状を決定するように構成されたコンピュータシステム20を含んでよい。いくつかの実施形態では、システム20は、カテーテル13の可撓性先端部上に配置された複数の電極17から複数の生インピーダンス測定値を受信するために、処理リソース32によって実行可能なコンピュータ可読命令を含んでよい。本明細書で論じるように、本開示の実施形態は、シフトおよびドリフトを受け得る、複数の電極17から受信される生インピーダンス測定値を使用してよい。生インピーダンス測定値を使用することで、カテーテル形状を決定する他の方法によって使用されてもよいインピーダンスデータを精緻化するために使用される処理リソースの量を低減することができる。
【0105】
いくつかの実施形態では、命令は、カテーテル13のシャフト上に配置された磁気位置センサ(
図1に不図示)から磁気位置測定値を受信するために、実行されてよい。カテーテルの可撓性先端部上に配置された複数の電極の各々の間の角度は、複数の電極から受信された生インピーダンス測定値に基づいて、決定されてよい。カテーテル13の可撓性先端部のたわみのタイプおよび/または量に応じて、電極間の角度は互いに対して変化し得、これによって、可撓性先端部の特定の形状の表示を提供することができる。シフトおよび/またはドリフトはインピーダンス測定値と関連し得るが、電極が位置する静電場は、概して均一であってよく、その結果、静電場は、可撓性先端部の領域サイズ内で、1つの電極と別の電極に対して特に異なる効果を有さない。例えば、シフトおよび/またはドリフトが起こる場合、効果は複数の異なる電極の全てに対して比較的均一であってよく、それによって、電極の1つずつの間の関係(例えば、角度)に基づいて、可撓性先端部の形状の正しい計算が可能となる。
【0106】
いくつかの実施形態では、シフトおよび/またはドラフトが、概して均一に各インピーダンス測定値に影響を与える可能性があっても、インピーダンス測定値は、依然としてシフトおよび/またはドリフトを受けてよい。したがって、本開示の実施形態は、磁気位置センサ測定値に基づいて、カテーテルの可撓性先端部の決定された位置をシフトさせてよい。カテーテルシャフトに配置され得る磁気位置センサは、可撓性先端部の既知の位置および/または向き内に留まり、したがって、可撓性先端部上に配置された電極の既知の位置および/または向き内にも留まる。したがって、磁気位置センサ測定値は、可撓性先端部の決定された位置をシフトさせるための基準点としての役割を担ってよい。
【0107】
いくつかの実施形態では、カテーテルのシャフトの位置は、磁気位置センサ測定値に基づいて、決定されてよい。次いで、カテーテルの可撓性先端部の決定された位置は、磁気位置センサ測定値および/またはカテーテルのシャフトの決定された位置に基づいて、シフトされてよい。一例では、カテーテルの可撓性先端部の決定された位置は、可撓性先端部の決定された位置をカテーテルのシャフトの決定された位置と位置合わせするように、シフトされる。いくつかの実施形態では、カテーテルの形状は、全体として(例えば、カテーテルのシャフトおよび可撓性先端部を含む)、カテーテルの可撓性先端部のシフトされた位置を使用して決定されてよい。一例では、決定されたカテーテルの形状は、患者に対して治療および/または診断操作を行う医者に向けて、ディスプレイ23(例えば、グラフィカルユーザインターフェース)上に表示されてよい。
【0108】
様々な装置、システム、および/または方法の実施形態について、本明細書で説明した。明細書に記載され、添付の図面に描写されるように、実施形態の全体的な構造、機能、製造、および使用の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が明記されている。しかしながら、実施形態がそのような具体的な詳細なしで実施され得ることは、当業者によって理解されるであろう。他の例では、明細書で説明した実施形態を不明瞭にしないために、周知の動作、コンポーネント、および要素は、詳細には説明されていない。当業者は、本明細書に記載および図示された実施形態が非限定的な例であり、したがって、本明細書に開示された具体的な構造的および機能的詳細が、代表的である可能性があり、実施形態の範囲を必ずしも限定せず、その範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ規定されることは、理解するであろう。
【0109】
本明細書を通して、「様々な実施形態」、「いくつかの実施形態」、「一実施形態」、または「一実施形態」などへの言及は、実施形態に関連して記載された特定の特徴、構成、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、明細書内での所々の「様々な実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、「一実施形態では」、または「実施形態」などの語句の表れは、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の相応しい方法で組み合わせられ得る。したがって、1つの実施形態に関連して図示または記載された特定の特徴、構造、または特性は、全体または一部において、限定されることなく、そのような組み合わせが非論理的または非機能的ではないことを考慮すると、1つまたは複数の他の実施形態の特徴、構造、または特性と組み合わせられ得る。
【0110】
用語「近位」および「遠位」が、明細書を通して、患者を治療するために使用される器具の一端を操作する臨床医を参照して、使用され得ることは理解されよう。「近位」という用語は、臨床医に最も近い器具の部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医から最も遠くに位置する部分を指す。簡潔さおよび明瞭さのために、「垂直」、「水平」、「上方」、および「下方」などの空間的用語が、図示の実施形態に関して本明細書で使用され得ることは、さらに理解されよう。しかしながら、外科用器具は、多くの向きおよび位置で使用される可能性があり、これらの用語は、限定的で絶対的であることを意図されない。
【0111】
カテーテル形状を決定するための少なくとも1つの実施形態は、ある程度の特殊性をもって上述されたが、当業者であれば、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく、開示された実施形態に対して多数の変更を行うことができる。全ての方向に関する言及(例えば、上側、下側、上方向、下方向、左側、右側、左方向、右方向、頂部、底部、上方、下方、垂直、水平、時計方向、および反時計方向)は、単に、読者が本開示を理解するのを助けるため、識別目的のために使用され、特に、装置の位置、配向、または使用に関して限定を作り出さない。接合に関する言及(例えば、貼り付けられた、取り付けられた、結合された、接続されたなど)は、広く解釈されるべきであり、要素の接続部の間の中間部材と、要素間の相対移動とを含み得る。そのため、接合に関する言及は、2つの要素が直接接続され、互いに固定されている関係であることを必ずしも暗示しない。上記の説明に含まれる、または添付の図面に示される全ての事項が、限定ではなく、単に例示として解釈されるべきであることは、意図される。詳細または構造の変更は、添付の特許請求の範囲に定義されるように、本開示の趣旨から逸脱することなく、作ることができる。
【0112】
参照により本明細書に組み込まれると言われる、任意の特許、刊行物、または他の開示資料は、全体または一部において、組み込まれた資料が、本開示に明示された既存の定義、記述、または他の開示資料と矛盾しない程度でのみ、本明細書に組み込まれる。そのように、そして必要な程度まで、本明細書に明示的に明示された開示は、参照により本明細書に組み込まれるいかなる矛盾する資料よりも優先される。参照により本明細書に組み込まれると言われるが、本明細書に明示された既存の定義、記述、または他の開示資料と矛盾するいかなる資料またはその一部は、組み込まれる資料と既存の開示資料との間に矛盾が生じない程度でのみ組み込まれる。
以下の項目は、国際出願時の特許請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
カテーテルの形状を決定するための方法であって、
前記カテーテルの可撓性先端部上に配置された複数の電極から、複数のインピーダンス測定値を受信することと、
前記カテーテルのシャフト上に配置された磁気位置センサから、磁気位置測定値を受信することと、
前記複数の電極から受信した前記インピーダンス測定値に基づいて、前記カテーテルの前記可撓性先端部上に配置された前記複数の電極の各々の間の関係を決定することと、
前記カテーテルの前記可撓性先端部上に配置された前記複数の電極の各々の間の決定された前記関係に基づいて、前記カテーテルの前記可撓性先端部の形状を予測することと、
前記磁気位置測定値および前記可撓性先端部の予測された前記形状に基づいて、前記カテーテルの形状を決定することと、
を備える、方法。
(項目2)
前記カテーテルの前記可撓性先端部上に配置された前記複数の電極の各々の間の前記関係を決定することは、前記複数の電極の各々の間の角度を決定することを含む、
項目1に記載の方法。
(項目3)
前記カテーテルの前記可撓性先端部の前記形状を予測することは、前記可撓性先端部の形状モデルに対する前記複数の電極の各々の間の前記角度に基づく、
項目2に記載の方法。
(項目4)
前記可撓性先端部の前記形状モデルは、前記可撓性先端部の屈曲、ヨー、湾曲、およびひねりを因子として含む、
項目3に記載の方法。
(項目5)
前記カテーテル上に配置された前記磁気位置センサから、位置および向き測定値を受信すること、をさらに備える、
項目1に記載の方法。
(項目6)
前記カテーテルの前記形状を決定することは、前記磁気位置センサから受信した前記位置および向き測定値に基づいて、前記カテーテルの前記シャフトに対して、前記カテーテルの前記可撓性先端部の前記形状をシフトすること、を含む、
項目5に記載の方法。
(項目7)
前記カテーテルの前記可撓性先端部上に配置された前記複数の電極の各々の間の前記角度を決定するために使用される前記複数のインピーダンス測定値は、生インピーダンス測定値である、
項目2に記載の方法。
(項目8)
前記カテーテルの前記可撓性先端部上に配置された前記複数の電極から受信した前記生インピーダンス測定値をフィルタリングすること、をさらに備える、
項目7に記載の方法。
(項目9)
前記方法は、剛体変換を利用して、前記生インピーダンス測定値をインピーダンスドメインから磁気ドメインに変換することを含んでおり、
前記剛体変換の制約は、前記可撓性先端部上の前記電極の間の既知の距離を含む、
項目7に記載の方法。
(項目10)
前記生インピーダンス測定値に関連する局所場スケーリングを決定することと、
前記局所場スケーリングに基づいて、前記生インピーダンス測定値をスケーリングすることによって、前記生インピーダンス測定値を磁気位置に変換することと、
をさらに備える、
項目9に記載の方法。
(項目11)
前記局所場スケーリングは、前記カテーテルの前記可撓性先端部にわたって一定である、
項目10に記載の方法。
(項目12)
前記カテーテルは、マッピングカテーテルであり、
前記複数の電極が配置された前記カテーテルの前記可撓性先端部は、円形状である、
項目1に記載の方法。
(項目13)
前記カテーテルは、マッピングカテーテルであり、
前記複数の電極が配置された前記カテーテルの前記可撓性先端部は、パドル形状である、
項目1に記載の方法。
(項目14)
前記カテーテルの前記可撓性先端部上に配置された前記複数の電極の各々の位置を予測すること、をさらに備える、
項目1に記載の方法。
(項目15)
カテーテルの形状を決定するためのシステムであって、
プロセッサと、前記プロセッサによって実行可能な命令を記憶するメモリと、を含む電子制御ユニットを備え、
前記命令は、
前記カテーテルの可撓性先端部上に配置された複数の電極から、複数の生インピーダンス測定値を受信し、
前記カテーテルのシャフト上に配置された磁気位置センサから、磁気位置測定値を受信し、
前記複数の電極から受信した前記生インピーダンス測定値に基づいて、前記カテーテルの前記可撓性先端部上に配置された前記複数の電極の各々の間の角度を決定し、
前記カテーテルの前記可撓性先端部上に配置された前記複数の電極の各々の間の決定された前記角度に基づいて、前記カテーテルの前記可撓性先端部の形状を予測し、
前記磁気位置センサ測定値に基づいて、前記カテーテルの前記可撓性先端部の決定された位置をシフトし、
前記カテーテルの前記可撓性先端部のシフトされた前記位置を使用して、前記カテーテルの前記形状を決定するためのものである
システム。
(項目16)
前記磁気位置センサ測定値に基づいて、前記カテーテルの前記シャフトの位置を決定するための、前記プロセッサによって実行可能な命令をさらに備える、
項目15に記載のシステム。
(項目17)
前記カテーテルの前記可撓性先端部の決定された前記位置は、前記可撓性先端部の決定された前記位置を前記カテーテルの前記シャフトの決定された前記位置と位置合わせするように、シフトされる、
項目16に記載のシステム。
(項目18)
前記生インピーダンス測定値に関連する局所場スケーリングを決定するための、前記プロセッサによって実行可能な命令と、
前記局所場スケーリングに基づいて、前記生インピーダンス測定値をスケーリングすることによって、前記生インピーダンス測定値を磁気位置に変換するための、前記プロセッサによって実行可能な命令と、
をさらに備える、
項目15に記載のシステム。