(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】駆動装置、カメラモジュール及び電子機器
(51)【国際特許分類】
G02B 7/04 20210101AFI20241113BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20241113BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20241113BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20241113BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G02B7/02 Z
G02B7/02 E
G03B17/02
H04N23/55
(21)【出願番号】P 2022576012
(86)(22)【出願日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 CN2021099349
(87)【国際公開番号】W WO2021249473
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】202010536062.X
(32)【優先日】2020-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517372494
【氏名又は名称】維沃移動通信有限公司
【氏名又は名称原語表記】VIVO MOBILE COMMUNICATION CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1, vivo Road, Chang’an, Dongguan,Guangdong 523863, China
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】宋 博
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-094237(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0019688(KR,A)
【文献】特開2009-223117(JP,A)
【文献】特開2011-203435(JP,A)
【文献】特開2006-010892(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0085180(US,A1)
【文献】特開2004-304827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02-7/16
G03B 17/02
H04N 23/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定アセンブリ、キャリア及び電気駆動アセンブリを含む駆動装置であって、
前記電気駆動アセンブリの第1端は前記固定アセンブリに接続され、前記電気駆動アセンブリの第2端は前記キャリアに接続され、
前記キャリアは機能デバイスを運ぶためのものであり、
前記電気駆動アセンブリに電圧が印加されると、前記電気駆動アセンブリは変形して前記キャリアを移動させるように駆動し、
前記電気駆動アセンブリは、電気駆動片を含み、前記電気駆動片の第1端は前記固定アセンブリに接続され、前記電気駆動片の第2端は前記キャリアに接続され、
前記固定アセンブリは、第1貫通孔が設けられた環状構造体を含み、前記キャリアは前記第1貫通孔内に設けられ、前記電気駆動片の数は複数であり、複数の前記電気駆動片は前記第1貫通孔の中心軸線に対して対称に設けられ、
前記駆動装置は、ケーシングを含み、前記環状構造体は、前記ケーシングに固定配置され、前記固定アセンブリは固定部材をさらに含み、前記固定部材は前記第1貫通孔の内壁に設けられ、前記固定部材の数は前記電気駆動片の数と同じであり、前記電気駆動片のそれぞれは1つの前記固定部材を介して前記環状構造体に接続され、
前記固定部材は、それぞれ前記電気駆動片の第1表面及び第2表面に接触する上部パッキン及び下部パッキンを含み、
前記駆動装置は、回路基板をさらに含み、前記回路基板は、前記ケーシングと前記環状構造体との間の隙間に設けられ、前記固定部材は前記回路基板に電気的に接続され、前記固定部材と前記回路基板とが電気的に導通している場合、前記上部パッキン及び前記下部パッキンに印加された電圧の極性が逆であることによって、前記電気駆動片の前記第1表面及び前記第2表面に印加された電圧の極性が逆になり、前記電気駆動片が変形して前記キャリアを移動させるように駆動する、駆動装置。
【請求項2】
前記キャリアは第2貫通孔を含み、前記第2貫通孔で収容キャビティが形成され、前記機能デバイスは前記収容キャビティ内に設けられ、
前記電気駆動片に電圧が印加されると、前記電気駆動片は変形して前記キャリアを前記第2貫通孔の軸線方向に沿って移動させるように駆動する、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記電気駆動片はイオン伝導駆動片であり、前記イオン伝導駆動片は、イオン交換樹脂層と、前記イオン交換樹脂層の対向する2つの表面にそれぞれ設けられる第1電極層及び第2電極層とを含み、前記イオン交換樹脂層内にポリマー電解質が含まれる、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記イオン伝導駆動片に印加される電圧が第1電圧である場合、前記イオン伝導駆動片は前記キャリアを第1方向に沿って移動させるように駆動し、
前記イオン伝導駆動片に印加される電圧が第2電圧である場合、前記イオン伝導駆動片は前記キャリアを第2方向に沿って移動させるように駆動し、
前記第1電圧と前記第2電圧の極性は逆であり、前記第1方向と前記第2方向は互いに逆方向である、請求項3に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記イオン伝導駆動片に印加される電圧が第1電圧である場合、前記イオン伝導駆動片は前記キャリアを第1方向に沿って第1距離だけ移動させるように駆動し、
前記イオン伝導駆動片に印加される電圧が第3電圧である場合、前記イオン伝導駆動片は前記キャリアを第1方向に沿って第2距離だけ移動させるように駆動し、
前記第1電圧と前記第3電圧の極性は同じであり、前記第3電圧は前記第1電圧よりも大きく、前記第1距離と前記第2距離は異なる、請求項3に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記イオン伝導駆動片に印加される電圧が第1電圧である場合、前記イオン伝導駆動片は前記キャリアを第1速度で第1方向に沿って移動させるように駆動し、
前記イオン伝導駆動片に印加される電圧が第3電圧である場合、前記イオン伝導駆動片は前記キャリアを第2速度で第1方向に沿って移動させるように駆動し、
前記第1電圧と前記第3電圧の極性は同じであり、前記第3電圧は前記第1電圧よりも大きく、前記第1速度と前記第2速度は異なる、請求項3に記載の駆動装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の駆動装置である第1駆動装置を含むカメラモジュール。
【請求項8】
前記第1駆動装置におけるキャリアによって運ばれる機能デバイスは、第1レンズまたは第1レンズ群であり、前記カメラモジュールは、請求項1~6のいずれか1項に記載の駆動装置である第2駆動装置をさらに含み、前記第2駆動装置におけるキャリアによって運ばれる機能デバイスは、第2レンズまたは第2レンズ群である、請求項7に記載のカメラモジュール。
【請求項9】
前記第1レンズまたは第1レンズ群は、2枚の非球面レンズで構成されるズーム群であり、前記第1駆動装置の電気駆動アセンブリに電圧が印加されると、前記電気駆動アセンブリは変形して前記第1駆動装置における前記キャリアを移動させるように駆動し、前記ズーム群を移動させる、請求項8に記載のカメラモジュール。
【請求項10】
前記第2レンズまたは第2レンズ群は、1枚の非球面レンズで構成される補償群であり、前記第2駆動装置の電気駆動アセンブリに電圧が印加されると、前記電気駆動アセンブリは変形して前記第2駆動装置における前記キャリアを移動させるように駆動し、前記補償群を移動させ、前記ズーム群の移動による像面の移動を補償する、請求項
9に記載のカメラモジュール。
【請求項11】
前記カメラモジュールの光路において前記第1レンズまたは第1レンズ群の前に設けられたプリズムをさらに含み、
又は、
前記光路において前記第2レンズまたは第2レンズ群の後ろに設けられた後固定群をさらに含み、
又は、
前記光路において前記後固定群の後ろに設けられたカラーフィルターをさらに含み、
又は、
前記光路において前記カラーフィルターの後ろに設けられた感光チップをさらに含む、請求項8に記載のカメラモジュール。
【請求項12】
請求項1~6のいずれか1項に記載の駆動装置を含む電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年6月12日に中国で出願した中国特許出願番号第202010536062.X号の優先権を主張し、その全ての内容は引用によって本文に取り込まれる。
【0002】
本出願は、電子デバイスの分野に関し、特に駆動装置、カメラモジュール及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、電子機器の発展に伴い、電子機器により画像を撮影することが一般的になる。人々のニーズの向上に伴い、画像の品質への要求もますます高くなっている。
【0004】
電子機器のカメラモジュールにおける駆動構造によって、レンズを移動させるように駆動し、オートフォーカスの機能を実現することで、より鮮明な画像を撮影することができる。
【0005】
従来の駆動装置では、磁電気構造により駆動装置の駆動を実現するが、磁電気構造は、駆動装置の周辺の電子デバイスに干渉し、電子デバイスの性能に影響を与えてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願の実施例は、現在の駆動装置の磁性鋼及びコイルによる磁場が駆動装置の周辺のデバイスに干渉する問題を解決するために、駆動装置、カメラモジュール及び電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の問題を解決するために、本出願の実施例は以下のように実現される。
本出願の実施例の第1側面において、固定アセンブリ、キャリア及び電気駆動アセンブリを含む駆動装置であって、
前記電気駆動アセンブリの第1端は前記固定アセンブリに接続され、前記電気駆動アセンブリの第2端は前記キャリアに接続され、
前記キャリアは機能デバイスを運ぶためのものであり、
前記電気駆動アセンブリに電圧が印加されると、前記電気駆動アセンブリは変形して前記キャリアを移動させるように駆動する、駆動装置を提供する。
【0008】
さらに、前記電気駆動アセンブリは、電気駆動片を含み、前記電気駆動片の第1端は前記固定アセンブリに接続され、前記電気駆動片の第2端は前記キャリアに接続される。
【0009】
さらに、前記固定アセンブリは、第1貫通孔が設けられた環状構造体を含み、前記キャリアは前記第1貫通孔内に設けられ、前記電気駆動片の数は複数であり、複数の前記電気駆動片は前記第1貫通孔の中心軸線に対して対称に設けられる。
【0010】
さらに、前記キャリアは第2貫通孔を含み、前記第2貫通孔で収容キャビティが形成され、前記機能デバイスは前記収容キャビティ内に設けられ、
前記電気駆動片に電圧が印加されると、前記電気駆動片は変形して前記キャリアを前記第2貫通孔の軸線方向に沿って移動させるように駆動する。
【0011】
さらに、駆動装置は、ケーシングを含み、前記環状構造体は、前記ケーシングに固定配置され、前記固定アセンブリは固定部材をさらに含み、前記固定部材は前記第1貫通孔の内壁に設けられ、前記固定部材の数は前記電気駆動片の数と同じであり、前記電気駆動片のそれぞれは1つの前記固定部材を介して前記環状構造体に接続される。
【0012】
さらに、前記電気駆動片はイオン伝導駆動片であり、前記イオン伝導駆動片は、イオン交換樹脂層と、前記イオン交換樹脂層の対向する2つの表面にそれぞれ設けられる第1電極層及び第2電極層とを含み、前記イオン交換樹脂層内にポリマー電解質が含まれる。
【0013】
さらに、前記イオン伝導駆動片に印加される電圧が第1電圧である場合、前記イオン伝導駆動片は前記キャリアを第1方向に沿って移動させるように駆動し、
前記イオン伝導駆動片に印加される電圧が第2電圧である場合、前記イオン伝導駆動片は前記キャリアを第2方向に沿って移動させるように駆動し、
前記第1電圧と前記第2電圧の極性は逆であり、前記第1方向と前記第2方向は互いに逆方向である。
【0014】
さらに、前記イオン伝導駆動片に印加される電圧が第1電圧である場合、前記イオン伝導駆動片は前記キャリアを第1方向に沿って第1距離だけ移動させるように駆動し、
前記イオン伝導駆動片に印加される電圧が第3電圧である場合、前記イオン伝導駆動片は前記キャリアを第1方向に沿って第2距離だけ移動させるように駆動し、
前記第1電圧と前記第3電圧の極性は同じであり、前記第3電圧は前記第1電圧よりも大きく、前記第1距離と前記第2距離は異なる。
【0015】
さらに、前記イオン伝導駆動片に印加される電圧が第1電圧である場合、前記イオン伝導駆動片は前記キャリアを第1速度で第1方向に沿って移動させるように駆動し、
前記イオン伝導駆動片に印加される電圧が第3電圧である場合、前記イオン伝導駆動片は前記キャリアを第2速度で第1方向に沿って移動させるように駆動し、
前記第1電圧と前記第3電圧の極性は同じであり、前記第3電圧は前記第1電圧よりも大きく、前記第1速度と前記第2速度は異なる。
【0016】
本出願の実施例の第2側面において、上記のいずれか1つに記載の駆動装置である第1駆動装置を含むカメラモジュールを提供する。
【0017】
さらに、前記第1駆動装置Aにおけるキャリアによって運ばれる機能デバイスは、第1レンズまたは第1レンズ群であり、前記カメラモジュールは、上記のいずれか1つに記載の駆動装置である第2駆動装置Aをさらに含み、前記第2駆動装置Aにおけるキャリアによって運ばれる機能デバイスは、第2レンズまたは第2レンズ群である。
【0018】
本出願の実施例の第3側面において、上記のいずれか1つに記載の駆動装置を含む電子機器を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本出願の実施例において、固定アセンブリ、キャリア及び電気駆動アセンブリを含み、前記電気駆動アセンブリの第1端は前記固定アセンブリに接続され、前記電気駆動アセンブリの第2端は前記キャリアに接続され、前記キャリアは機能デバイスを運ぶためのものであり、前記電気駆動アセンブリに電圧が印加されると、前記電気駆動アセンブリは変形して前記キャリアを移動させるように駆動する。上記の駆動装置の構造において、磁電気構造を省いたため、駆動装置の周辺の回路及びデバイスに磁場干渉が発生することがなく、駆動装置の周辺の回路及びデバイスの作業環境が清浄化され得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本出願の実施例で提供される駆動装置の構造模式図である。
【
図3】本発明の実施例で提供されるIPMCにより製造された電気駆動片に電圧が印加されていない場合の模式図である。
【
図4】本発明の実施例で提供される電気駆動片に電圧が印加された場合の変形の模式図である。
【
図5】本発明の実施例で提供される電気駆動片に電圧が印加された場合の変形の模式図である。
【
図6】本出願の実施例で提供されるカメラモジュールの構造模式図である。
【
図7】本出願の実施例で提供されるカメラモジュールのズーミング効果の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本出願の実施例における図面を参照しながら、本出願の実施例における技術的解決手段を明確で完全に説明する。説明される実施例は、本出願の全ての実施例ではなく、その一部であることは自明である。本出願における実施例に基づいて、当業者が進歩性のある労働を費やせずに得られる他の実施例は、全て本出願の保護範囲に含まれる。
【0022】
図1及び
図2を参照し、本実施例は、固定アセンブリ1、キャリア2及び電気駆動アセンブリ3を含む駆動装置を提供し、前記電気駆動アセンブリ3の第1端は前記固定アセンブリ1に接続され、前記電気駆動アセンブリ3の第2端は前記キャリア2に接続され、前記キャリア2は機能デバイスを運ぶためのものであり、前記電気駆動アセンブリ3に電圧が印加されると、前記電気駆動アセンブリ3は変形して前記キャリア2を移動させるように駆動する。
【0023】
固定アセンブリ1と電気駆動アセンブリ3との間では、固定接続または取り外し可能な接続を行うことができ、同様に、キャリア2と電気駆動アセンブリ3との間では、固定接続または取り外し可能な接続を行うことができる。キャリア2は機能デバイスを運ぶためのものであり、キャリア2と機能デバイスとの間では、例えばねじ接続またはスナップ接続のような取り外し可能な接続を採用することができる。機能デバイスは、光学デバイスであってもよい。例えば、光学デバイスは、カメラ、赤外線センサ、フラッシュランプなどのデバイスに適用されるレンズ(lens)またはレンズアセンブリであってもよく、駆動装置により光学デバイスが光信号を出力または受信する光路、光学デバイスの発散角及び焦点などの光学パラメータを調節することができる。機能デバイスは、音響モジュールであってもよく、駆動装置により音響モジュールの位置を調節することで、音響モジュールの前部キャビティまたは後部キャビティの容積を変えて、音響モジュールのオーディオ特性などを変えることができる。機能デバイスは、他の幾つかの可動デバイス、例えばスタイラスペン、インターフェースまたはカードトレイなどの構造であってもよく、この場合、駆動装置は、可動デバイスを出すための駆動構造である。
【0024】
前記電気駆動アセンブリ3に電圧が印加されると、前記電気駆動アセンブリ3は変形して前記キャリア2を移動させるように駆動し、例えば、電気駆動アセンブリ3の変形方向によっては、前記キャリア2を第1方向または第2方向へ移動させるように駆動することができ、第1方向と第2方向とは互いに逆方向である。
【0025】
本実施例における駆動装置は、固定アセンブリ1、キャリア2及び電気駆動アセンブリ3を含み、前記電気駆動アセンブリ3の第1端は前記固定アセンブリ1に接続され、前記電気駆動アセンブリ3の第2端は前記キャリア2に接続され、前記キャリア2は機能デバイスを運ぶためのものであり、前記電気駆動アセンブリ3に電圧が印加されると、前記電気駆動アセンブリ3は変形して前記キャリア2を移動させるように駆動する。上記の駆動装置の構造において、磁電気構造を省いたため、駆動装置の周辺の回路及びデバイスに磁場干渉が発生することがなく、駆動装置の周辺の回路及びデバイスの作業環境が清浄化され得る。
【0026】
図1に示すように、前記電気駆動アセンブリ3は、電気駆動片31を含み、前記電気駆動片31の第1端は前記固定アセンブリ1に接続され、前記電気駆動片31の第2端は前記キャリア2に接続される。
【0027】
本出願の一実施例において、前記固定アセンブリ1は、第1貫通孔11が設けられた環状構造体を含み、前記キャリア2は前記第1貫通孔11内に設けられ、前記電気駆動片31の数は複数であり、複数の前記電気駆動片31は前記第1貫通孔11の中心軸線に対して対称に設けられる。
【0028】
具体的には、電気駆動片31の数は、複数であってもよく、これらの複数の電気駆動片31は前記第1貫通孔11の中心軸線に対して対称に設けられることにより、キャリア2に作用する駆動力が均等に分布することができる。好ましくは、電気駆動片31の数は4つである。
【0029】
さらに、前記キャリア2は第2貫通孔21を含み、前記第2貫通孔21で収容キャビティが形成され、前記機能デバイスは前記収容キャビティ内に設けられ、前記電気駆動片31に電圧が印加されると、前記電気駆動片31は変形して前記キャリア2を前記第2貫通孔21の軸線方向に沿って移動させるように駆動し、キャリア2の移動は、機能デバイスを一緒に移動させるように駆動する。
【0030】
本出願の一実施例において、駆動装置は、ケーシングを含み、前記環状構造体は、前記ケーシングに固定配置され、前記固定アセンブリ1は固定部材をさらに含み、前記固定部材は前記第1貫通孔11の内壁に設けられ、前記固定部材の数は前記電気駆動片31の数と同じであり、前記電気駆動片31のそれぞれは1つの前記固定部材を介して前記環状構造体に接続される。
【0031】
固定部材は、溶接または接着剤による接合などにより電気駆動片31に接続されてもよく、固定部材は、それぞれ電気駆動片31の第1表面及び第2表面に接触する上部パッキン及び下部パッキンを含み得る。駆動装置は、回路基板をさらに含み、回路基板は、ケーシングと環状構造体との間の隙間に設けられてもよく、固定部材は回路基板に電気的に接続される。固定部材と回路基板とが電気的に導通している場合、上部パッキン及び下部パッキンに印加された電圧の極性が逆であることによって、電気駆動片31の第1表面及び第2表面に印加された電圧の極性が逆になり、電気駆動片31が変形してキャリア2を移動させるように駆動する。
【0032】
本出願の一実施例において、駆動装置は、キャリア2に設けられたブラケットをさらに含み、電気駆動片31はブラケットを介してキャリア2に接続される。ブラケットは、電気駆動片の使用量を減らし、駆動装置のコストを削減するように、安価な絶縁材料で製造することができる。
【0033】
本出願の一実施例において、前記電気駆動片31はイオン伝導駆動片であり、前記イオン伝導駆動片は、イオン交換樹脂層と、前記イオン交換樹脂層の対向する2つの表面にそれぞれ設けられる第1電極層及び第2電極層とを含み、前記イオン交換樹脂層内にポリマー電解質が含まれる。
【0034】
具体的には、電気駆動片4は、イオン交換ポリマーメタル複合体(ion-exchange polymer metal composite,IPMC)で製造することができる。IPMC材料は、新型の電気駆動機能材料であり、イオン交換樹脂層(例えばフルオロカーボンポリマーなど)をマトリックスとし、マトリックスの表面に貴金属(例えば白金、銀など)をメッキし、電極層、即ち第1電極層及び第2電極層を形成する。
図3に示すように、
図3における符号101及び符号103はそれぞれ第1電極層及び第2電極層を示す。イオン交換樹脂層102は、カチオンとアニオンを含有するポリマー電解質を含み、
図3におけるカチオンとアニオンの位置及び数量は、例示的なものに過ぎず、実際の状況を表すものではない。
【0035】
図4、
図5に示すように、IPMCに厚み方向に電圧が印加されると、ポリマー電解質における水和カチオンがカソード側に移動することによって、IPMCのアノード面とカソード面の膨潤の差異による変形が発生し、アノード面へ撓むことになる。このように、IPMCの通電電圧または電流を制御し、IPMCの撓みの度合いを制御することにより、IPMCが横方向に変位することができる。
【0036】
IPMC材料は、新型の駆動材料であり、駆動重量が軽く、発生した変位と変形が大きく、駆動電圧が低いなどの利点を有する。駆動装置にIPMCを採用するメリットは明らかである。例えば、IPMCは、非磁性材料であるため、磁気干渉を生成しない。IPMCの変形による変位及び速度はIPMCの厚みに比例して小さくなり、IPMCの変形による力はIPMCの厚みの三乗に比例して大きくなる。そのため、所望のIPMCの変形による変位、速度及び力を達成するように、実際の状況に応じてIPMCの厚みを設定することができる。
【0037】
さらに、前記イオン伝導駆動片に印加される電圧が第1電圧である場合、前記イオン伝導駆動片は前記キャリア2を第1方向に沿って移動させるように駆動する。前記イオン伝導駆動片に印加される電圧が第2電圧である場合、前記イオン伝導駆動片は前記キャリア2を第2方向に沿って移動させるように駆動する。前記第1電圧と前記第2電圧の極性は逆であり、前記第1方向と前記第2方向は互いに逆方向である。イオン伝導駆動片に逆極性の電圧を印加することにより、イオン伝導駆動片は前記キャリア2を第1方向または第2方向に沿って移動させるように駆動することができる。第1方向と第2方向はいずれも第2貫通孔21の軸線方向である。
【0038】
さらに、前記イオン伝導駆動片に印加される電圧が第1電圧である場合、前記イオン伝導駆動片は前記キャリア2を第1方向に沿って第1距離だけ移動させるように駆動する。前記イオン伝導駆動片に印加される電圧が第3電圧である場合、前記イオン伝導駆動片は前記キャリア2を第1方向に沿って第2距離だけ移動させるように駆動する。前記第1電圧と前記第3電圧の極性は同じであり、前記第3電圧は前記第1電圧よりも大きく、前記第1距離と前記第2距離は異なる。第2距離は第1距離よりも大きくてもよい。キャリア2を大きい距離だけ移動させる必要がある場合、イオン伝導駆動片に大きい電圧を印加することにより、キャリア2を大きい距離だけ移動させるように駆動することができる。キャリア2を小さい距離だけ移動させる必要がある場合、イオン伝導駆動片に小さい電圧を印加することにより、キャリア2を小さい距離だけ移動させるように駆動することができる。イオン伝導駆動片に印加される電圧の大きさとキャリア2の移動距離には対応関係がある。キャリア2に必要な移動距離を確定した場合、当該対応関係に従ってイオン伝導駆動片に印加される電圧の大きさを確定することができる。
【0039】
さらに、前記イオン伝導駆動片に印加される電圧が第1電圧である場合、前記イオン伝導駆動片は、前記キャリア2を第1速度で第1方向に沿って移動させるように駆動する。前記イオン伝導駆動片に印加される電圧が第3電圧である場合、前記イオン伝導駆動片は、前記キャリア2を第2速度で第1方向に沿って移動させるように駆動する。前記第1電圧と前記第3電圧の極性は同じであり、前記第3電圧は前記第1電圧よりも大きく、前記第1速度と前記第2速度は異なり、第2速度は第1速度より小さくてもよい。キャリア2を大きい速度で移動させる必要がある場合、イオン伝導駆動片に大きい電圧を印加することにより、キャリア2を大きい速度で移動させることができる。キャリア2を小さい速度で移動させる必要がある場合、イオン伝導駆動片に小さい電圧を印加することにより、キャリア2を小さい速度で移動させることができる。イオン伝導駆動片に印加される電圧の大きさとキャリア2の移動速度には対応関係がある。キャリア2に必要な移動速度を確定した場合、当該対応関係に従ってイオン伝導駆動片に印加される電圧の大きさを確定することができる。
【0040】
本出願の一実施例において、上記の実施例に記載される駆動装置である第1駆動装置を含むカメラモジュールをさらに提供する。
【0041】
さらに、前記第1駆動装置のキャリアによって運ばれる機能デバイスは、第1レンズまたは第1レンズ群であり、前記カメラモジュールは、上記の実施例に記載される駆動装置である第2駆動装置をさらに含み、前記第2駆動装置におけるキャリアによって運ばれる機能デバイスは、第2レンズまたは第2レンズ群である。
【0042】
図6は、本出願の実施例で提供されるカメラモジュールの構造図である。
図6に示すように、符号11で示されるモジュールカバーは、合金で構成され、強度が高く、モジュール内部のアセンブリをパッケージ化して保護する役割を果たすことができる。
【0043】
符号12で示されるプリズムは、ガラス材料で構成され、プリズムの傾斜面は、入り込んだ光線を全反射し、入射光線の光路を変えることができるため、カメラモジュールのモバイル端末(例えば携帯電話)における配置方式を変えて、モバイル端末の厚みサイズの制限を突破することができる。プリズムは回転できるので、モジュールにおいて手ブレ防止の役割も果たすことができる。
【0044】
符号13で示される前固定群は、3枚の非球面レンズで構成され、収束・集光の役割を果たす。
【0045】
符号A1は、第1駆動装置であり、符号A2は、第2駆動装置であり、符号14は、ズーム群、即ち、第1駆動装置A1のキャリアが運ぶ機能デバイスを示し、ズーム群は、2枚の非球面レンズで構成される。
図7に示される第1駆動装置A1の電気駆動アセンブリがキャリアを押して移動させる効果図のとおり、第1駆動装置A1の電気駆動アセンブリに電圧が印加されると、電気駆動アセンブリは変形してキャリアを移動させるように駆動し、レンズの焦点距離を変更し、ズーム比を大きくする。
【0046】
符号16は、補償群、即ち、第2駆動装置A2のキャリアが運ぶ機能デバイスを示し、補償群は、1枚の非球面レンズで構成され、当該非球面レンズは、プラスチックまたはガラスで構成されてもよい。
図7に示される第2駆動装置A2の電気駆動アセンブリがキャリアを押して移動させる効果図のとおり、第2駆動装置A2の電気駆動アセンブリに電圧が印加されると、電気駆動アセンブリは変形してキャリアを移動させるように駆動し、ズーム群14の移動による像面の移動を補償する。
【0047】
符号17で示される後固定群は、1枚の非球面レンズで構成され、物体側のシーンをシステムの一次実像に収束させるという役割を果たす。
【0048】
符号18で示されるカラーフィルターは、赤外線カットフィルムがコーティングされたガラス片であり、システムに入った赤外光線をフィルタアウトすることができる。
【0049】
符号19で示される感光チップは、光電変換機能を有し、収差補正後の光信号を電気信号に変換する。
【0050】
第1駆動装置A1の固定アセンブリがモジュールカバー11に固定配置されてもよく、モジュールカバー11に位置制限構造または案内構造を設け、第1駆動装置A1の固定アセンブリを位置制限構造または案内構造に設けてもよい。位置制限構造または案内構造により、第1駆動装置A1の固定アセンブリは、所定の位置に制限され、または所定の方向における移動に制限される。
同様に、第2駆動装置A2の固定アセンブリも位置制限構造または案内構造に設けられてもよい。
【0051】
ズーム群と補償群の連続的な移動により、ズーム群と補償群が異なる位置にある場合、それぞれ異なる焦点距離に対応する。IPMCは大きな変位を実現できるため、カメラモジュールのズーム比が非常に高く、この解決手段では、IPMCは、電圧が印加されると変形してカメラのズーム群と補償群を移動させるように駆動するため、連続的な光学ズーミングを実現できる。本出願で提供される駆動装置は、構造が簡単であり、磁気干渉がなく、ストロークが大きく、ズーム比が大きいという利点を有する。
【0052】
本出願の一実施例において、上記の実施例に記載の駆動装置を含む電子機器をさらに提供する。
【0053】
上記は、本出願の具体的な実施形態に過ぎないが、本出願の保護範囲は、これに限定されない。当業者であれば、本出願に開示された技術範囲内の変更または置換に容易に想到でき、これらはすべて本出願の保護範囲内に含まれるべきである。よって、本出願の保護範囲は、請求項の保護範囲に基づくものとする。