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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】光源を特定するための分光システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20241113BHJP
   A61B 18/24 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
A61B1/00 621
A61B1/00 550
A61B18/24
【請求項の数】 24
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023050339
(22)【出願日】2023-03-27
(65)【公開番号】P2023143888
(43)【公開日】2023-10-06
【審査請求日】2023-05-23
(31)【優先権主張番号】63/269,939
(32)【優先日】2022-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/383,627
(32)【優先日】2022-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】セルゲイ・エー・ブケソフ
(72)【発明者】
【氏名】カート・ジー・シェルトン
(72)【発明者】
【氏名】マリア・ラオ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・マーカス
【審査官】小野 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-247758(JP,A)
【文献】特開2020-192007(JP,A)
【文献】特開2006-341076(JP,A)
【文献】特開2004-321511(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0038062(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
A61B 18/20-18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用システムであって、
ターゲットが照明光源によって照明された後、前記ターゲットから信号を受信する手段であって、前記ターゲットはテストターゲットまたは解剖学的ターゲットの一方または両方を含むことができる、手段と、
前記受信された信号の分光分析を実行する手段と、
前記分光分析に少なくとも部分的に基づいて、前記照明光源の特性および前記ターゲットの特性を決定する手段
決定された前記照明光源の特性および決定された前記ターゲットの特性に基づいて、前記照明光源もしくは前記ターゲットを治療するレーザ光もしくは治療エネルギーのパラメータまたは特性のうちの少なくとも1つを調整する手段と、
を備える外科用システム
【請求項2】
前記分光分析を、様々な光タイプおよび/または前記ターゲットの様々な物質に対する分光情報を含むデータベース情報と比較する手段をさらに備え、前記照明光源の前記特性の前記決定が、前記分光分析の前記比較に少なくとも部分的に基づく、請求項1に記載の外科用システム
【請求項3】
前記分光分析が、前記受信された信号の強度またはスペクトルのうちの少なくとも1つを、前記データベース情報内に位置する、前記ターゲットからの様々なタイプの照明光源に関連する強度またはスペクトルと比較することを備える、請求項2に記載の外科用システム
【請求項4】
前記ターゲットが、光吸収なしに照明光を反射するように構成されたテストターゲットを備える、請求項2に記載の外科用システム
【請求項5】
前記照明光源が、キセノン光源およびLED光源のうちの少なくとも1つを備える、請求項2に記載の外科用システム
【請求項6】
インターネットに接続されたサーバからデータベース情報を取り出す手段をさらに備える、請求項2に記載の外科用システム
【請求項7】
前記データベース情報が人工知能エンジンを備える、請求項6に記載の外科用システム
【請求項8】
特定された前記照明光源に基づいて組織の分光分析を改善するように前記照明光源のパラメータまたは特性のうちの少なくとも1つを調整する手段をさらに備える、請求項1に記載の外科用システム
【請求項9】
前記パラメータが、輝度、電力、波長、および強度のうちの少なくとも1つを含み、前記特性が、前記照明光源のタイプを含む、請求項8に記載の外科用システム
【請求項10】
明光を用いて解剖学的組織を照明する手段と、
前記照明光の反射の分光分析を実行する手段と、
前記分光分析を用いて前記解剖学的組織の特性を決定する手段
をさらに備える、請求項1に記載の外科用システム
【請求項11】
前記特性が、前記解剖学的組織のタイプ、物質、組成、組成プロファイル、構造、および/または硬さのうちの1つまたは複数を含む、請求項10に記載の外科用システム
【請求項12】
前記解剖学的組織のタイプに基づいて前記解剖学的組織の治療を改善するように治療光源のパラメータまたは特性のうちの少なくとも1つを調整する手段
をさらに備える、請求項10に記載の外科用システム
【請求項13】
外科用システムの作動方法であって、
ーゲットが照明光源によって照明された後、前記ターゲットから信号を受信するステップと、
前記受信された信号の分光分析を実行するステップと、
前記分光分析に少なくとも部分的に基づいて、前記照明光源の第1の特性および前記ターゲットの第2の特性を決定するステップと、
前記照明光源および前記ターゲットの前記決定された特性に少なくとも部分的に基づいて、前記照明光源または前記ターゲットを治療する治療光源のパラメータまたは特性のうちの少なくとも1つを調整するステップと
を備える方法。
【請求項14】
前記パラメータまたは特性のうちの少なくとも1つを調整するステップが、前記外科用システムの動作モード、電力もしくはエネルギー、パルス形状プロファイル、放出パルスレジーム、および/または結合出力パルス列を含む、1つまたは複数のパラメータを生成または調整するステップを備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記1つまたは複数のパラメータを調整するステップが、コントローラによって自動的に実行される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記1つまたは複数のパラメータを調整するステップが、前記照明光源への提案された調整を受諾するようにユーザを促すステップを備える、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記分光分析、前記照明光源の前記パラメータ、または前記照明光源の前記特性のうちの少なくとも1つが、インターネットを介して通信される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記1つまたは複数のパラメータを生成するために人工知能エンジンを利用するステップをさらに備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ターゲットが前記照明光源によって照明された後、前記ターゲットから前記信号を受信するステップが、
テストターゲットが前記照明光源によって照明された後、前記テストターゲットから第1の信号を受信するステップと、
解剖学的ターゲットが前記照明光源によって照明された後、前記解剖学的ターゲットから第2の信号を受信するステップとを備える、
請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記受信された信号の分光分析を実行するステップが、
前記照明光源によって放出される光のタイプを特定するために前記第1の信号の分光分析を実行するステップと、
前記解剖学的ターゲットの組織の特性を特定するために前記第2の信号の分光分析を実行するステップとを備える、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記特性が、前記組織のタイプ、物質、組成、組成プロファイル、構造、および/または硬さのうちの1つまたは複数を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記テストターゲットが反射面を備え、
前記照明光源がキセノン光源またはLED光源を備える、
請求項20に記載の方法。
【請求項23】
外科用システムであって、
ターゲットが照明光源によって照明された後、前記ターゲットから信号を受信する手段と、
前記受信された信号の分光分析を実行する手段と、
前記分光分析に少なくとも部分的に基づいて、前記照明光源の特性および前記ターゲットの特性を決定する手段と、
決定された前記照明光源の特性および決定された前記ターゲットの特性に基づいて、組織の分光分析を改善するように前記照明光源のパラメータまたは特性のうちの少なくとも1つを調整する手段と、
を備え、
前記パラメータが、輝度、電力、波長、および強度のうちの少なくとも1つを含み、前記特性が、前記照明光源のタイプを含む、
外科用システム。
【請求項24】
外科用システムであって、
照明光を用いて解剖学的組織を照明する手段と、
前記解剖学的組織からの前記照明光の反射の分光分析を実行する手段と、
前記分光分析を用いて、前記照明光の特性および前記解剖学的組織の特性を決定する手段と、
決定された前記照明光の特性および前記解剖学的組織の特性に基づいて、前記解剖学的組織の治療を改善するように治療光源のパラメータまたは特性のうちの少なくとも1つを調整する手段と、
を備える外科用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、一般に、ただし限定としてではなく、物質に対して分光を実行するためのシステムおよび方法に関する。より詳細には、ただし限定としてではなく、本出願は、分光システムを使用する内視鏡検査システムにおいて光源を特定するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの外科処置は、ターゲット組織、たとえば、患者の内側に位置する病気の組織、潜在的に病気の組織、またはさもなければ不要な組織の、治療または切除を伴う。したがって、これらの処置のうちのいくつかは、開放処置を介した、または最小限侵襲(たとえば、内視鏡または腹腔鏡の)処置におけるもっと小さい開口を通じた、患者の内部構造へのアクセスを必要とする。
【0003】
構造から切除中または治療中である組織のタイプまたは組成を、それが切除または治療される前に確実に特定して、特にそれによって、適切な組織が切除中または治療中であることを保証することが、有用であり得る。たとえば、健康な組織ではなく病気の組織の切除を容易にするために、健康な組織と癌性組織などの病気の組織との間を区別することが有用であり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2022/0039641号
【文献】米国特許出願公開第2021/0038300号
【文献】米国特許出願公開第2021/0038306号
【文献】米国特許出願公開第2021/0038310号
【文献】米国特許出願公開第2021/0038064号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特に、組織の分光学的な特定を実行する際に解決されるべき問題が、組織への異なるタイプの光源の異なる分光学的応答であることを、本発明の発明者は認識している。内視鏡などの典型的な外科用器具は、異なるタイプの光を器具の遠位端において投影するための様々な光送達システムを含むことができる。たとえば、照明、照準、および治療のために、異なるタイプの光が使用され得る。照明システムは、キセノン、発光ダイオード(LED)、ハロゲン、およびレーザーダイオード(LD)などの、様々なタイプの光源を使用することができる。さらに、照明または治療のために医療器具において使用されるレーザーは、ホルミウム:イットリウム-アルミニウム-ガーネット(Ho:YAG)およびツリウム-ファイバー(Tm-Fiber)などの、様々なレーザー技術を使用することができる。
【0006】
医療器具は、通常、デバイスの長さに沿って延在する光導体、および医療器具から光を投影する発光体しか含まない。しかしながら、光を生成する光源は、照明か治療かにかかわらず、スタンドまたはタワーの上に取り付けられた外部コンピューティングシステムの中などの、医療器具の外側に位置することができる。病院は、同じ器具向けに様々なタイプのレーザー光および照明光を作り出す生成器を有することができる。したがって、同じ医療器具と一緒に異なる光源が使用されることが可能である。
【0007】
同じかまたは異なる組織タイプに対して様々な異なるタイプの光に対応できる光生成器の特性(たとえば、タイプ)を特定することなく、分光分析を使用してターゲット組織の特性(たとえば、タイプ、組成など)を特定することが困難であり得ることを、本発明の発明者は認識している。具体的には、組織のスペクトル分析は、光源とターゲット組織との特定のペアに基づいて分析される。たとえば、ターゲット組織は、特定の光源のスペクトル分析を様々なターゲット組織に対する所定のスペクトログラフと比較することによって分析される。したがって、異なる光源が使用される場合、組織のスペクトル分析は偏っているかまたは不正確であり得る。
【0008】
本主題は、ターゲット組織のスペクトル分析のために使用中の光のタイプを特定できる、医学的なデバイス、システム、および方法を提供することなどによって、この問題および他の問題への解決策を提供することができる。光のタイプは、組織のスペクトル分析が実行される前に特定され得る。たとえば、照明光源を確実に特定するために、白い面から反射されるかまたは周辺反射から収集される、光源からの光のスペクトル分析が実行され得る。その後、ターゲット組織を特定するための適切な光タイプのスペクトログラフを使用するスペクトル分析を使用して、ターゲット組織から反射される光を分析することによって、ターゲット組織の特定情報が決定され得る。例では、分光分析を実行するための光源は、照明光源であり得る。
【0009】
スペクトル分析の結果が、様々な組織、様々なタイプの光源(または、生成器)の組合せに対するライブラリ情報と比較され得る。情報のライブラリは、クラウドを介して随意にアクセスされることが可能であり、人工知能を使用して分析され得る。人工知能分析は、治療光源、分光光源、および照明光源、または光源もしくは外科用デバイス(たとえば、レーザーシステム)の生成/動作モード、電力レベル、形状などのための設定などの外科手術のうちのいずれかまたはすべてに対して、光生成への調整を行うかまたは提案するために使用され得る。光の生成および/または外科用デバイスの動作が、次いで、組織タイプを確実に特定するための光の能力を改善するために、人工知能出力に基づいて、自動的に、半自動的に、または手作業で調整され得る。
【0010】
物質によって反射、送信、放出、または吸収される光のスペクトルを通じた物質の特定のために、分光技法が広く使用される。分光システムの例は、米国特許出願公開第2022/0039641号、米国特許出願公開第2021/0038300号、米国特許出願公開第2021/0038306号、および米国特許出願公開第2021/0038310号、ならびに米国特許出願公開第2021/0038064号に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一例では、外科用システムにおいて照明光源を特定する方法は、ターゲットが照明光源によって照明された後、ターゲットから信号を受信するステップと、受信された信号の分光分析を実行するステップと、分光分析に少なくとも部分的に基づいて、照明光源の特性を決定するステップとを備える。
【0012】
別の例では、ターゲットを治療する方法は、ターゲットが照明光源によって照明された後、ターゲットから信号を受信することと、受信された信号の分光分析を実行することと、分光分析に少なくとも部分的に基づいて、照明光源の第1の特性およびターゲットの第2の特性を決定することと、照明光源およびターゲットの決定された特性に少なくとも部分的に基づいて、ターゲットを治療するために外科用システムを操作することとを備える。
【0013】
この概要は、本特許出願の主題の概要を提供することを意図する。本発明の排他的または網羅的な説明を提供することは意図しない。本特許出願についてのさらなる情報を提供するために、発明を実施するための形態が含められている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】レーザーシステム、照明光源を含むイメージングシステム、およびモノのインターネット(IOT)を介してクラウドおよび人工知能(AI)入力に接続され得る分光システムに接続された、外科用器具を有する、外科用システムの概略図である。
図2】様々な光源に対する光強度対波長プロットを示すグラフである。
図3】反射または放出される分光信号に基づいて医療デバイスシステムの光システムのための操作パラメータを提供するように構成される、例示的なコンピュータベースの臨床決定サポートシステム(CDSS:clinical decision support system)を示す概略図である。
図4】フィードバック制御型レーザー治療システムの例を示す図である。
図5】分光学的な外科用システムにおいて光源を特定および調整する方法における動作を示すブロック図である。
図6】本明細書で説明する技法(たとえば、方法体系)のうちのいずれか1つまたは複数がそこで実行され得る例示的なマシンを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
必ずしも一定の縮尺で描かれているとは限らない図面において、同様の数字は、異なる図の中の類似の構成要素を表してよい。異なる添え字を有する同様の数字は、類似の構成要素の異なるインスタンスを表してよい。図面は、一般に、例として、ただし限定としてではなく、本文書の中で説明される様々な実施形態を示す。
【0016】
本開示は、内視鏡、腹腔鏡などを使用して実行され得る外科処置の間に解剖学的ターゲットを照明する照明光源の特定に関する。照明光は、追加として、分光を使用して解剖学的ターゲット(たとえば、ターゲット組織)を特定するために使用され得る。追加の例では、治療または介入を実行するために使用され得る光源、および分光分析を実行するために使用され得る光源などの、他のタイプの光源が特定され得る。分光分析は、反射された分光信号を、知られている光源に対するスペクトログラフのデータセットと相関させることに依存する場合があるので、すべての光源、ただし、特に解剖学的ターゲットの分光分析を実行するために使用される光源を特定することが望ましい。述べたように、病院は、同じ外科用器具と一緒に異なる光源を使用する場合があり、それによって、潜在的な変数をスペクトログラフ分析の中に持ち込む。本開示は、第1の分光分析を使用して光源タイプを特定する方法を提供し、光源は、その後、第2の分光処置を使用してターゲット組織を特定するために使用される。たとえば、ターゲット組織によって生成される分光信号を分析するために適切なスペクトログラフが使用され得るように、分光システムは、キセノン光、LED光、ハロゲン光源、またはレーザーダイオードなどの照明光源を特定するために最初に使用され得る。その後、レーザーなどの異なる光源を用いて解剖学的ターゲットの治療が実行され得る。照明光源の特定は、レーザー源が光を放出することを伴うかまたは伴わずに実行され得る。これらの方法は、光源および解剖学的ターゲットを特定し、それに応答して、外科処置において使用される光(分光学的な光、治療光、および照明光)の組成、形成、もしくは放出を制御および調整するか、または外科処置の間に外科用デバイスの動作を制御および調整するための、アルゴリズムおよび動作の一部であり得る。したがって、制御および調整される光、または外科用デバイスは、不適当または準最適なレーザー放出からの内視鏡損傷または組織損傷を防止する助けとなること、壊れた光放出ファイバーを検出すること、および解剖学的ターゲットにおける治療効果を最適化することなどの他の肯定的な利点を有することができる。
【0017】
解剖学的ターゲットからの光信号は、迅速に検出されることが可能であり、たとえば、レーザーファイバーまたは別個のファイバーチャネルを通して、送達システムによって分光システムに送達され得る。送達および分光システムは、ターゲットからスペクトルデータを継続的に収集すること、信号を分光計に送達すること、およびデジタルスペクトルデータを分光計からフィードバック分析器へ送ることができる。
【0018】
フィードバック分析器は、分光信号データを分析することができ、分光信号データを、利用可能なデータベースライブラリと比較することができる。フィードバック分析器は、データ分析に基づいて、照明光源タイプ(または、治療光源タイプ)、および/またはターゲットの特性を特定することができる。解剖学的ターゲット特定は、レーザーモジュールの動作セットアップ、好ましいレーザー動作モード(パルス波または連続波(CW))、電力およびエネルギー、パルス形状およびプロファイル、レーザー放出パルスレジームを最適化する助けとなり、生成されたパルスのすべてを結合して結合出力パルス列にする。提案される設定を伴う最適化された信号は、レーザーコントローラへ直接送られるか(自動モード)、またはレーザーコントローラ設定を自動調整するための操作者承認を要求する(半自動モード)。
【0019】
本発明では、モノのインターネット(IoT)システムとは、レーザーシステムの構成要素がインターネットを介して他のものと通信および相互作用できるネットワークである。例では、後続の分析のためにIoTを介してスペクトルデータが配信され得る。データはまた、IoTを介してレーザーシステムに配信され得る。このデータは、限定されることなく、構成パラメータ、ソフトウェア更新ファイル、レーザーシステムのユーザ用のメッセージなどを含むことができる。スペクトルデータベースライブラリがIoT接続を通じて少なくとも部分的にアクセス可能である例では、レーザーシステムは、フィードバック分析器にデータを提供するために、遠隔に記憶されたスペクトルデータベースライブラリと通信することができる。加えて、レーザーシステムのすべての構成要素は、ネットワークを通じて、所望される場合に遠隔に監視および制御され得る。
【0020】
図1は、レーザーシステム104、イメージングシステム106、分光システム108、およびフィードバック制御システム110に接続された、外科用器具102を有する、外科用システム100の概略図である。フィードバック制御システム110は、フィードバック分析器112および人工知能(AI)エンジン114を備えることができる。分光システム108およびAIエンジン114は、モノのインターネット(IOT)116を介してクラウド118に接続され得る。
【0021】
外科用器具102は、送達システム120に結合され得る。外科用器具102は、内視鏡を備えることができ、送達システム120は、レーザー放出砕石術デバイスなどの光放出デバイス、および/またはターゲットへ光を送信するための、光放出デバイスに関連する光学構成要素(たとえば、光ファイバー)を備えることができる。
【0022】
レーザーシステム104は、レーザーモジュール122A、レーザーモジュール122B、レーザーモジュール122Nまでなどの、任意の個数のレーザーモジュールを備えることができる。レーザーモジュール122Aおよびレーザーモジュール122Bは、レーザー結合システム125などを介して、レーザーコントローラ124に接続され得る。再び、レーザーシステム104からの出力は、送達システム120(たとえば、光ファイバー)を介してターゲットへ送信され得る。
【0023】
イメージングシステム106は、光源126(「照明光源」)および/またはカメラモジュール128に接続され得る。カメラモジュール128は、電荷結合デバイス(「CCD」センサ)または相補型金属酸化物半導体(「CMOS」)センサなどの感光素子を備えることができる。カメラモジュール128は、次に出力ユニットまたはビデオモニタなどのディスプレイ(たとえば、図4のディスプレイ482)上で表示されるべき画像(たとえば、ビデオ信号)を表す、感光素子からの信号をイメージングシステム106へ送信するために、イメージングシステム106に(たとえば、有線接続またはワイヤレス接続を介して)結合され得る。様々な例では、カメラモジュール128およびイメージングシステム106は、内視鏡検査処置に適した所望の解像度(たとえば、少なくとも480p、少なくとも720p、少なくとも1080p、少なくとも4K UHDなど)で出力を提供するように構成され得る。
【0024】
光源126は、光ファイバーリンクなどを介して光を外科用器具102へ送信するための出力ポートを含むことができる。光源126は、所望のスペクトル(たとえば、広帯域白色光、好適な電磁波長を使用する狭帯域イメージングなど)の光を使用して、ターゲット組織に最も近い解剖学的領域を照明するように構成され得る。例では、光源126は、少なくとも1つのキセノン生成器または少なくとも1つの発光ダイオード(LED)を使用して、可視スペクトル光を生成することができる。
【0025】
内視鏡、たとえば、外科用器具102は、治療または診断されるべきターゲット構造の部位に達するように、患者の構造を通って送達されるように構成され得る。送達システム120は、治療および診断能力をターゲット構造に送達するために、(たとえば、それらのワーキングチャネルを介して)外科用器具102の中に挿入され得る。図示の例では、送達システム120は、ターゲット構造のビデオ画像を取得するためにカメラモジュール128に接続され得る光学構成要素を含む。加えて、光源126からの可視光が、追加として、送達システム120を通ってターゲット構造に送達され得る。送達システム120は、ターゲット構造からカメラモジュール128にイメージングデータを送達し、かつ光源126からターゲット構造に可視光を送達するために、同じかまたは異なる光学構成要素を使用してよい。
【0026】
レーザーシステム104は、様々な使用のためにレーザー光をターゲット構造に送達するために使用され得る。レーザーモジュール122A~122Nの各々は、異なるタイプのレーザー光をレーザーコントローラ124に送達することができる。レーザーコントローラ124は、外科用器具102上の適切な制御装置の操作を用いて、レーザーモジュール122A~122Nからのレーザー光の送達を協調させることができる。レーザーコントローラ124は、追加として、モード、電力、および形状などの、レーザーモジュール122A~レーザーモジュール122Nから放出されるレーザー光のパラメータを設定するために使用され得る。
【0027】
本明細書で説明するように、光源126のキセノンおよびLED生成器によって生成される光は、両方ともユーザには白色に見える場合がある。同様に、レーザーモジュール122A~122Nによって放出される光は、ユーザの肉眼を介して見分けるのに困難であり得る。しかしながら、同じタイプ(たとえば、照明またはレーザー)のものでさえ、異なる光源からの分光分析は、極めて異なる結果を有する場合がある。したがって、光源によって生成される光の正しい分光分析が実行されることを保証するために、光源126およびレーザーモジュール122A~122N、ならびに内視鏡の中で使用される任意の他の光源によって生成される光を特定することが重要である。本開示を用いると、放出中の光のタイプを特定して、それによって、そのような光に適用される分光が正しくまたは最適に実行されることを保証するために、かつ分光システム108、レーザーコントローラ124、および光源126のための相応の適切または最適な構成を容易にするために、光源126およびレーザーモジュール122A~122Nからの光が分析され得る。例では、スペクトログラフ分析が実行される前に、光源の肯定的な特定が実行される。光源の肯定的な特定は、たとえば、図2に示すように、波長スペクトルにわたって実質的に完全な強度の(たとえば、吸収されないかまたは完全に反射される)光源を示す、様々な光源のスペクトログラフを使用して実行され得る。
【0028】
図2は、解剖学的ターゲット特定のために使用され得る内視鏡光源に対する典型的なスペクトルの一例を示す。図2は、ナノメートル(nm)単位での波長を示すx軸202、および平方メートル当たりのルーメン(ルクス)単位での光強度を示すy軸204を備える、グラフ200を示す。グラフ200は、光源126などからの第1のタイプの照明光に対するプロット206、および光源126などからの第2のタイプの照明光に対するプロット208を示す。したがって、プロット206および208は、2つの異なるタイプの光源126、または2つの異なる光タイプを生成することの間で切り替え得る光源を表すことができる。例では、プロット206はLED光を備えることができ、プロット208はキセノン光を備えることができる。プロット206およびプロット208は、いかなる光も反射面によって吸収されない、光源の完全なスペクトルおよび強度を含むベースラインスペクトログラフを示す。たとえば、プロット206およびプロット208は、白色面から反射される光、または反射を伴わずに光源から直接放出される光を示すことができる。したがって、プロット206およびプロット208は、組織からの光吸収によって影響を受けない。
【0029】
プロット206およびプロット208は、様々な光源の様々な波長に対する光強度の差分を示す。わかるように、プロット206およびプロット208に対する波形は異なり、ほとんど全範囲の波長にわたって強度における相違を生み出す。強度差分が特に大きく、それによって、フィードバック分析器112によって容易に認識され得る不一致をもたらす、いくつかの個別のロケーションがある。たとえば、フィードバック分析器112は、実際の反射光分光を表す数値データを、プロット206およびプロット208を表す数値データと比較して、実際の反射光がどのプロットに最もよく似ているのかを決定することができる。詳細には、グラフ200は、プロット206に対する光源とプロット208に対する光源とが区別され得る4つの異なるゾーン(ゾーン1、ゾーン2、ゾーン3、およびゾーン4)を含む。
【0030】
例では、ゾーン1は、ほぼ450nmという波長の最も近くに位置することができ、ゾーン2は、ほぼ525nmという波長の最も近くに位置することができ、ゾーン3は、ほぼ650nmという波長の最も近くに位置することができ、ゾーン4は、ほぼ450nmという波長の最も近くに位置することができる。
【0031】
ゾーン1、ゾーン2、およびゾーン4の場合、キセノン光源に対するプロット206の強度は著しく、たとえば、機械通訳によって容易に、認識可能であり得、LED光源に対するプロット208の強度よりも大きい。したがって、光源を区別および特定するために+/-光強度差が使用され得る。
【0032】
ゾーン2およびゾーン3の場合、プロット206およびプロット208の勾配は異なる場合がある。詳細には、プロット206の勾配は、下降中であるかまたはゾーン2の中のトラフにある場合があるが、ゾーン2の中のプロット208の勾配は上昇中である場合があり、ゾーン3の中のプロット206の勾配は上昇中である場合があるが、ゾーン3の中のプロット208の勾配は平坦である場合がある。したがって、+/-勾配差、勾配上昇/下降、および勾配たわみ点が、光源を区別および特定するために使用され得る。
【0033】
ゾーン1、ゾーン2、ゾーン3、およびゾーン4の中でのプロット206およびプロット208の信号強度およびスペクトル勾配の分光分析は、照明光源タイプの特定を可能にすることができる。そのような情報は、フィードバック分析器112による、分光システム108によって収集された波形の参照および比較のために、フィードバック分析器112のメモリ(たとえば、図6のメモリ604またはメモリ606)の中、またはクラウド118の中に記憶され得る。詳細には、プロット206およびプロット208の形成のための数値データセットは、分光システム108によって生成されるデータとの比較のために、図6のメモリ604およびメモリ606などのメモリの中に記憶され得る。したがって、分光システム108は、光源126から放出される光に対して、光強度値、または値の範囲を特定することができ、特定されたそのような光強度値の大きさが、プロット206およびプロット208からの同じ波長における値と比較され得る。例では、フィードバック分析器112は、プロット206またはプロット208との共通の特性を探すために、ゾーン1、ゾーン2、ゾーン3、およびゾーン4の中の実際の反射光を比較することができる。
【0034】
図1に戻ると、動作においては、光源126は、光ファイバーケーブルなどの適切な光導体を介して外科用器具102に渡され得る光ビーム140を生成することができる。光ビーム140は、患者130に導かれ得る。詳細には、光ビーム140は、送達システム120を介して、図4の解剖学的ターゲット422などの患者内の構造上に入射することができる。光ビーム140は、解剖学的ターゲット422上に入射することができ、次いで、反射照明光ビーム142として送達システム120に戻って反射され得る。追加として、光ビーム140は、テストターゲット170上に入射することができ、反射照明光ビーム142として送達システム120に戻って反射され得る。本明細書で説明するように、光源126の特定は、反射照明光ビーム142を使用して実行されることが可能であり、解剖学的ターゲット422のスペクトログラフ分析は、反射照明光ビーム142を使用して実行されることが可能である。
【0035】
レーザーコントローラ124は、それぞれ、レーザーモジュール122A、122B~122Nから、レーザービーム144A、144B~144Nを受信することができる。レーザービーム144A~144Nは、レーザー結合システム125を介してレーザーコントローラ124に伝達され得る。レーザーコントローラ124は、結合レーザービーム146を受信することができる。レーザーコントローラ124は、出力電力、放出範囲、パルス形状、およびパルス列などを制御するために設定を調整することなどによって、結合レーザービーム146に様々な処置を実行することができる。レーザーコントローラ124は、治療レーザー148を解剖学的ターゲット422に出力することができる。治療レーザー148は、送達システム120を介して解剖学的ターゲット422に導かれ得る。治療レーザー148は、解剖学的ターゲット422上に入射することができ、次いで、反射レーザービーム150として送達システム120に戻って反射され得る。例では、解剖学的ターゲット422のスペクトログラフ分析は、反射レーザービーム150を使用して実行されることが可能であり、解剖学的ターゲット422の治療は、治療レーザー148を使用して実行されることが可能である。図示しないが、治療レーザー148は、追加として、治療レーザー148のソースの特定を容易にするためにテストターゲット170から反射され得る。
【0036】
図4を参照しながら説明するように、分光システム108は、分光計411および(内視鏡光源126と同じかまたは異なってよい)分光光源430を含むことができ、分光光源430は、追加として、解剖学的ターゲット422上に入射することができ、分光システム108に戻って反射され得る。図示しないが、分光光源430からの光は、追加として、分光光源430が生成する光のタイプの特定を容易にするためにテストターゲット170から反射され得る。
【0037】
分光システム108は、反射照明光ビーム142および反射レーザービーム150、ならびに解剖学的ターゲット422から反射されるのかそれともテストターゲット170から反射されるのかにかかわらず、光源430からの反射光に対して分光分析を実行することができる。分光システム108は、分光器信号152をフィードバック分析器112に、またデータ信号154をIOT116に提供することができ、IOT116は、クラウド118と通信することができる。IOT116は、信号156をAIエンジン114に提供することができる。AIエンジン114は、信号158をフィードバック分析器112に提供することができる。フィードバック分析器112は、光信号160を光源126に、またレーザー信号162をレーザーコントローラ124に提供することができる。
【0038】
患者130の解剖学的ターゲット422(図4)の分光分析のために光源126からの光が使用される例では、外科処置が実行される前に、外科用システム100は、光ビーム140および反射光ビーム172を作り出すように操作され得る。光ビーム140は、テストターゲット170から反射され得る。テストターゲット170は、光ビーム140のいずれもまたはほぼいずれもテストターゲット170によって吸収されないような、光ビーム140の光の全部または実質的に全部を反射できる物体または表面を備えることができる。例では、テストターゲット170は、イメージングシステム106のキャビネットまたはハウジング上の表面などの、外科用システム100の表面を備えることができる。例では、反射光ビーム172は、特にターゲットから反射されることなく、単に送達システム120を通じて戻して送信される光ビーム140の光、たとえば、周辺光から反射される光ビーム140の部分であり得る。次いで、分光システム108は、フィードバック分析器112が光源126によって生成中の光のタイプを決定できるように、反射光ビーム172を分析することができる。たとえば、フィードバック分析器112は、AIエンジン114の援助を伴うかまたは伴わずに、光源126を特定するために、反射光ビーム172に基づく分光システム108の出力を、知られている光源の完全なスペクトルのプロット(たとえば、図2)と比較することができる。反射光ビーム172の分光は、様々な波長における反射光ビーム172の強度値を図2のプロット206および208からの強度と波長とのペアと整合させることによって実行され得る。整合が見出せる場合、フィードバック分析器112は、光源126がフィードバック分析器112と互換性があること、すなわち、フィードバック分析器112が、光源126の光タイプに対して、異なるターゲット組織のスペクトログラフへのアクセスを有することを確認することができる。したがって、フィードバック分析器112は、反射照明光ビーム142がその上に入射しておりそこから反射された構造のタイプの表示(たとえば、解剖学的ターゲット422の特定情報)を提供するために、患者130からの反射照明光ビーム142と連携して後続のステップの中で使用され得る。その後、フィードバック分析器112は、外科処置を実行するためのレーザーコントローラ124の設定、ならびに光源126のための潜在的な調整値に対して、推奨を提供することができる。しかしながら、フィードバック分析器112が、反射光ビーム172の分光分析と非反射光のベースラインスペクトログラフ(たとえば、図2)との間に整合を見出すことができない場合、外科用システム100は、知られていない照明光源が使用中であるというフィードバックをユーザに提供することができる。言い換えれば、フィードバック分析器112は、ローカルメモリまたはクラウド118のいずれかの中で、使用された光源と、解剖学的ターゲット422を伴うその光タイプの分光分析との組合せへのアクセスを有さず、したがって、ターゲット組織タイプの確認を提供することができない。例では、外科用システム100は、照明光源がフィードバック分析器112の組織特定能力と互換性がない場合、外科用システム100を全体的にまたは部分的にシャットダウンまたは無効化することができる。たとえば、外科医が、解剖学的ターゲット422を手作業で特定するために外科医技能を使用して外科処置を実行するために、レーザーシステム104を使用し続けることができるように、外科用システム100は、外科用システム100の組織特定能力のみをシャットダウンすることができる。フィードバック分析器112が光源のタイプおよび解剖学的ターゲットを確認することができないようなシナリオでは、外科用システム100は、依然として分光学的出力をクラウド118に提供することができ、その結果、AIエンジン114は、光源と解剖学的ターゲットとの新たなペアリングを学習することができる。
【0039】
図1では、本開示の様々な例に従って外科用システム100が概略的に示される。外科用システム100の構造および動作のさらなる詳細が以下で説明され、そのことは追加として、示される場合、図4のレーザー治療システム(外科用システム)400に適用可能である。
【0040】
レーザーシステム104
外科用システム100は、ターゲットに向かって導かれるレーザーエネルギーを送達するように構成されたレーザーシステム104、およびレーザーシステム104に結合されるように構成されたフィードバック制御システム110を含むことができる。レーザーシステム104は、UVからIRまでの類似のまたは異なる波長を放出できる1つまたは複数のレーザーモジュール122A~122N(たとえば、固体レーザーモジュール)を含むことができる。統合されるレーザーモジュールの個数、それらの出力電力、放出範囲、パルス形状、およびパルス列は、システムコストと、所望の効果をターゲットに送達するために必要とされる性能とのバランスをとるように選択される。例では、これらのファクタ、たとえば、出力電力、放出範囲、パルス形状、およびパルス列の一部または全部は、向上した性能をもたらすために、ユーザによるか、またはレーザーコントローラ124もしくはフィードバック分析器112による自動的のいずれかで、調整され得る。
【0041】
レーザーモジュール122A~122Nは、ファイバーと統合されることが可能であり、レーザーコントローラ124の中に含められることが可能である。ファイバー統合型レーザーシステムは、曲げやすい内視鏡を通してレーザーエネルギーを渡すための、かつ硬組織および軟組織を効果的に治療するための、それらの能力に起因して、内視鏡処置のために使用され得る。これらのレーザーシステムは、UVエリアからIRエリアまで(たとえば、200nm~10000nm)の広い波長範囲の中でレーザー出力ビームを作り出す。いくつかのファイバー統合型レーザーは、軟組織または硬組織によって大きく吸収される波長範囲、たとえば、水分吸収に対して1900~3000nm、またはオキシヘモグロビン吸収および/もしくはデオキシヘモグロビン吸収に対して400~520nmの中で、出力を作り出す。Table 1(表1)を参照しながら説明するものなどの、内視鏡処置におけるレーザー源として、様々なIRレーザーが使用され得る。
【0042】
【表1】
【0043】
レーザーモジュール122A~122Nは各々、出力電力を大きくするとともに放出をターゲットに送達するために光ファイバーの中に統合された、いくつかの固体レーザーダイオードからなり得る。いくつかのファイバー統合型レーザーは、ターゲット軟組織または硬組織によって最小限吸収される波長範囲の中で出力を作り出すことができる。これらのタイプのレーザーは、細い毛細管の直径5~10μmと類似の侵入深さに起因して効果的な組織凝固をもたらすことができる。レーザーモジュール122A~122Nは、ファイバー統合型レーザーモジュールを備えることができ、本開示における様々な例に従って説明されるようにいくつかの利点を有することができる。一例では、レーザーモジュール122A~122Nのうちの1つによる光放出は、対称のビーム品質、円形かつ平滑な(均質化された)強度プロファイルを有する。コンパクトな冷却構成がレーザーモジュールの中に統合され、システム全体をコンパクトにする。レーザーモジュール122A~122Nは、他の光ファイバー構成要素と容易に組み合わせられ得る。追加として、ファイバー統合型レーザーモジュール122A~122Nは、モジュールが位置合わせなしに大部分の光学モジュールとともに良好に動作することを可能にする、標準的な光ファイバーコネクタをサポートすることができる。その上、ファイバー統合型レーザーモジュール122A~122Nは、レーザー結合システム125の位置合わせを変えることなく容易に置き換えられ得る。
【0044】
いくつかの例では、レーザーモジュール122A~122Nのうちの1つまたは複数は、軟組織または硬組織、石、骨、歯などのいくつかの物質によって大きく吸収される波長範囲、たとえば、水分吸収に対して1900~3000nm、またはオキシヘモグロビン吸収および/もしくはデオキシヘモグロビン吸収に対して400~520nmの中で、レーザー出力を作り出すことができる。いくつかの例では、レーザーモジュール122A~122Nのうちの1つまたは複数は、軟組織または硬組織、石、骨、歯などのターゲットによって低吸収される波長範囲の中で、レーザー出力を作り出すことができる。これらのタイプのレーザーは、細い毛細管の直径(たとえば、5~10μm)と類似の侵入深さに起因して、より効果的な組織凝固をもたらすことができる。市販の固体レーザーは、レーザーモジュール用の電位放出源である。レーザーモジュール122A~122N用のレーザー源の例は、GaN(放出515~520nm)もしくはInXGa1-XN(放出370~493nm)などのInXGa1-XN半導体レーザー、GaXAl1-XAsレーザー(放出750~850nm)、またはInXGa1-Xasレーザー(放出904~1065nm)を放出する、UV-VISを含むことができる。そのようなレーザー源はまた、組織凝固用途に適用可能であり得る。
【0045】
フィードバック制御システム110は、たとえば、分光システム108、フィードバック分析器112、およびレーザーコントローラ124を含む、1つまたは複数のサブシステムを備えることができる。
【0046】
分光システム108
分光システム108は、治療のために使用されるレーザーモジュール122A~122Nのために使用される光源126、ならびに分光学的な目的のために使用される分光システム108のために含まれる光源430(図4)などの、様々なソースからの光を分析するために使用され得る分光計411(図4)を含むことができる。
【0047】
分光システム108は、限定はしないが、結石、軟組織もしくは硬組織、骨、または歯、あるいは産業用ターゲットなどのターゲットへ、光源430から制御光信号を送ることができ、ターゲットから反射されるスペクトル応答データを収集する。応答は、別個のファイバー、レーザーファイバー、または内視鏡システム、たとえば、外科用器具102(図1)を通して分光計411に送達され得る。分光計411は、デジタルスペクトルデータをフィードバック分析器112へ送ることができる。UVからIRまでの光学範囲をカバーする分光システム用の光源の例は、Table 2(表2)を参照しながら上記で説明した光源を含むことができる。
【0048】
【表2】
【0049】
分光システム108は、追加として、光源126からの光の分光分析を実行するために使用され得る。外科用器具102は、光源126からの光の送達用の好適なファイバーを含むことができる。光源126としての使用に適した光源の例がTable 3(表3)の中に列挙される。
【0050】
【表3】
【0051】
分光システム108は、追加として、Table 1(表1)の中に列挙されたものなどの、レーザーモジュール122A~122Nからの光の分光分析を実行するために使用され得る。
【0052】
光学分光法は、有機物質および無機物質の簡単かつ迅速な分析のために使用され得る強力な方法である。分光分析のために使用される任意の光が、別個のファイバーチャネル、レーザーファイバー、または内視鏡システムの中に統合され得る。ターゲットから反射される光源信号は、たとえば、デジタル内視鏡の中に含まれ得る、CCDセンサまたはCMOSセンサなどの検出器を含むイメージングシステム106によって、迅速に収集かつ分光計411に配信され得る。分光学的応答を収集するために、レーザー走査のような他のイメージングシステムも使用され得る。光学分光法はいくつかの利点を有する。それは送達システム120の中でレーザーファイバーと容易に統合され得る。物質化学組成を検出および分析することは非破壊的な技法であり、分析はリアルタイムで実行され得る。光学分光法は、たとえば、硬組織および軟組織、結石構造などを含む、様々なタイプの物質を分析するために使用され得る。
【0053】
様々な分光学的技法は、ターゲット化学組成を分析するとともに分光学的フィードバックを作成するために、単独または組合せで使用され得る。そのような分光学的技法の例は、特に、UV-VIS反射分光、蛍光分光、フーリエ変換赤外分光(FTIR:Fourier-Transform Infrared Spectroscopy)、またはラマン分光を含むことができる。Table 2(表2)は、UVからIRまでの光学エリアをカバーするとともに一例に適用可能な分光システム108用の光源の例を提示する。タングステンハロゲン光源は、通常、可視かつ近IRの範囲の中で分光学的測定を行うために使用される。ジュウテリウム光源は、それらの安定な出力について知られており、UV吸収または反射測定のために使用される。ジュウテリウム光とのハロゲン光の混合は、200~2500nmからの平滑なスペクトルを提供する、スペクトル範囲が広い光源を作り出す。キセノン光源は、蛍光測定におけるような長寿命および大出力電力が必要とされる用途において使用される。LED光源およびレーザーダイオード光源は、精密な波長において大電力を提供し、長い寿命、短いウォームアップタイム、および高い安定性を有する。分光光源は、別個のファイバーチャネル、レーザーファイバー、または内視鏡システムの中に統合され得る。ターゲットから反射される光源信号は、迅速に検出されることが可能であり、別個のファイバーチャネルまたはレーザーファイバーを通って分光計に送達され得る。
【0054】
フィードバック分析器112
フィードバック分析器112は、レーザーモジュール122A~122Nのパラメータまたは光源126の操作パラメータを含むレーザーシステム操作パラメータを提案または直接調整するために、分光システム108の分光計411、およびAIエンジン114からの分光学的応答データを含む、様々なソースからの入力を受信することができる。例では、フィードバック分析器112は、ビーム142、ビーム150、および反射光ビーム172などからの分光学的応答データを、図2のベースラインスペクトログラフなどの、様々な光源126に対するベースラインスペクトログラフの利用可能なデータベースライブラリ、および光源126またはレーザーモジュール122A~122Nと解剖学的ターゲットとの様々な組合せに対する解剖学的ターゲット組成データと比較することができる。様々なタイプの光源に対する組織スペクトログラフの例が、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Sheltonらへの米国特許出願公開第2021/0038064号に記載されている。異なる分光システムフィードバックに基づいて、フィードバック分析器112は、光源126、および解剖学的ターゲット422の組成を検出し、レーザーモジュール122A~122Nのうちの少なくとも1つのための操作パラメータなどのレーザー動作モード(レーザーセットアップとも呼ばれる)を提案して、光ファイバーの損傷を防止すること、特定された組織組成に対して効果的な組織治療を達成すること、および光源126のための操作パラメータなどの照明光動作モード(照明光セットアップとも呼ばれる)を提案することができる。調整され得るレーザーモジュール122A~122Nのための操作パラメータの例は、少なくとも1つのレーザー波長、パルス波または連続波(CW)放出モード、ピークパルス電力、パルスエネルギー、パルスレート、パルス形状、および少なくとも1つのレーザーモジュールからのパルスの同時放出または逐次放出を含むことができる。逐次パルスは、選択されたパルスエネルギーを送達するように結合するパルスのバーストを含む。本明細書で説明するようなパルスとは、概して、レーザーモジュールからのレーザー放出を開始することと停止することとの間の時間を指す。各パルス中のレーザーエネルギーの強度は、選択された平均レーザー電力が維持される限り、上昇もしくは下降するランプまたは正弦波プロファイルの形状あるいは任意の他の形状を、単独でまたはパルスの系列と組み合わせて有するように変わることができる。たとえば、1つのパルスしかない場合、2Hzという周波数において、1Jのパルスエネルギーを伴う2Wの平均電力設定が行われる。しかしながら、エネルギーはまた、2Hzというレートで発生する、間断ない2つの0.5Jパルスとして送達され得る。それらのパルスの各々は、類似のパルス形状または異なるパルス形状を有することができる。フィードバック分析器112は、アルゴリズムおよび入力データを利用して、上記の例で説明したパラメータなどのレーザー操作パラメータを直接調整または提案することができる。調整され得る光源126のための操作パラメータの例は、振幅、輝度、電力、波長、および強度を含むことができる。例では、光強度は、ターゲット物質、用途、および周辺光に応じて、値の範囲内で調整され得る。追加として、波長範囲およびスペクトル形状は、追加の光学フィルタによって調整され得る。LED光源光学特性も、構成要素であるLEDの強度を制御することによって調整され得る。
【0055】
レーザーコントローラ124
レーザーコントローラ124は、レーザー結合システム125と統合され得る。レーザー結合システム125は、レーザーモジュール(たとえば、固体レーザーモジュール)122A~122Nのうちの1つまたは複数をファイバーの中に結合することができる。レーザーコントローラ124はフィードバック分析器112に結合されることが可能であり、フィードバック分析器112は、提案された設定を有する最適化された信号を直接レーザーコントローラ124へ送ることができるか(自動モード)、またはレーザー設定を調整するための操作者承認を要求することができる(半自動モード)。図1は、全自動化レーザーシステムの概略図であり、ここで、レーザーコントローラ124はフィードバック分析器112によって自動的に調整され得る。図4は、半自動化レーザーシステムの概略図であり、ここで、外科用システム100は、ユーザインターフェース484を含むディスプレイ482などを介するユーザ承認を必要とする。一例では、レーザー設定は設定範囲内で調整されることが可能であり、設定範囲は、一例では、処置の開始においてユーザによって事前決定され得る。
【0056】
いくつかの例では、レーザーコントローラ124は、2つ以上のレーザーパルス列を結合して結合レーザーパルス列を作成することができる。レーザーコントローラ124は、いくつかの(たとえば、N個の)レーザーパルス列を生成すること、そのレーザーパルス列を結合して結合パルス列にすること、およびターゲットに結合パルス列を見せることができる。異なるレーザー列が、フィードバック分析器信号に従って、異なる時間においてオンにされること、および/または異なる時間においてオフにされることが可能である。出力結合レーザーパルス列は、レーザー列のうちの2つ以上が時間的に重複する部分を含むことができる。
【0057】
レーザーモジュール122A~122Nの結合を用いて、本明細書で説明するような分光システム108、フィードバック分析器112、およびフィードバック制御システム110は、内視鏡を通じてターゲットの組成を継続的に特定することができ、処置全体にわたってレーザー設定を更新することができる。
【0058】
レーザーシステム104の主な構成要素は、ターゲットにされる医療処置に応じて容易にカスタマイズされ得る。たとえば、レーザーコントローラ124は、異なるレーザータイプおよびそれらの組合せをサポートすることができる。このことは、電力、波長、パルスレート、パルス形状およびプロファイル、単一レーザーパルス列、ならびに結合レーザーパルス列を含む、もっと広い範囲の出力信号オプションを可能にする。レーザーシステム104の動作モードは、所望の光学的効果ごとに自動的に調整または提案され得る。分光システム108は、診断目的のために、かつターゲットにとってレーザーパラメータが最適であることを確認するために有用である、ターゲット物質についての情報を収集することができる。フィードバック分析器112は、レーザーシステムの動作モードを自動的に最適化することができ、人間の間違いのリスクを低減する。
【0059】
モノのインターネット(IoT)システム116
いくつかの例では、外科用システム100は、クラウド118上にスペクトルデータベースライブラリを記憶することをサポートし、スペクトルおよび最適セットアップデータベースライブラリへの迅速なアクセスをサポートし、かつクラウド118とフィードバック分析器112との間の通信を可能にする、IoTシステム116を含むことができる。スペクトルデータベースライブラリは、1)光源を特定するために使用され得る、光源の様々な組合せに対する所定のスペクトログラフ、および2)解剖学的ターゲットを特定するために使用され得る、光源と解剖学的組織との様々な組合せに対する所定のスペクトログラフを含むことができる。データのクラウド記憶域は、図3を参照しながらより詳細に説明するように、フィードバック分析器112に入力を提供するために人工知能(AI)技法の使用をサポートし、アルゴリズムおよびデータベース改善への即時アクセスをサポートする。
【0060】
本明細書で説明する様々な例によれば、IoTシステム116は、外科用システム100の構成要素がインターネットを介して他のものと通信および相互作用できる、ネットワークを含むことができる。IoTは、クラウド118上に記憶されたスペクトルデータベースライブラリへの迅速なアクセスをサポートし、クラウド118とフィードバック分析器112との間の通信を実行する。加えて、外科用システム100の構成要素のすべては、ネットワークを通じて、必要な場合、遠隔に監視および制御され得る。成功したそのような接続の一例は、医療および健康関連目的のためのIoTの利用可能な適用例である医療用モノのインターネット(健康用モノのインターネットとも呼ばれる)であり、それは研究のためのデータ収集および分析ならびに監視を含む。
【0061】
様々な例では、IoTシステム116は、分光光源およびターゲット構造(たとえば、結石構造または解剖学的組織)の、クラウドベースの検出、認識、または分類を含む、様々なクラウドリソースへのアクセスをサポートすることができる。いくつかの例では、クラウドベースのターゲット検出、特定、または分類のサービスを提供するために、図3のAIモデル304などの機械学習(ML)エンジンがクラウド118の中に実装され得る。MLエンジンは、トレーニング済みのMLモデル(たとえば、1つまたは複数のマイクロプロセッサ上で実行可能な機械可読命令)を含むことができる。
【0062】
MLエンジンは、分光光源、たとえば、光源126および光源430に対する、分光学的データをレーザーシステム104から受信すること、またはクラウド118の中に記憶されたターゲット分光器データを取り出すこと、光源検出、特定、もしくは分類を実行すること、ならびに光源タイプ(たとえば、キセノンまたはLED)を表すラベルなどの出力を生成することができる。
【0063】
MLエンジンは、ターゲット分光学的データをレーザーシステム104から受信すること、またはクラウド118の中に記憶されたターゲット分光器データを取り出すこと、ターゲット検出、特定、もしくは分類を実行すること、および組織タイプ(たとえば、正常組織もしくは癌性病変、または特定の解剖学的部位における組織)もしくは結石タイプ(たとえば、特定の組成を有する腎臓石、膀胱石、膵胆石、または胆嚢石)を表すラベルなどの出力を生成することができる。
【0064】
処置の前または処置の間に患者から収集される臨床データの中でも、光源およびターゲット分光学的データは、処置の終了またはスケジュールされた他の時間において自動的にクラウド118にアップロードされ得る。代替として、データをクラウド118にアップロードするようにシステムユーザ(たとえば、臨床医)が促されることが可能である。いくつかの例では、出力は、追加として、ターゲットが組織もしくは結石として特定される確率、またはターゲットが特定の組織タイプもしくは結石タイプとして分類される確率を含むことができる。システムユーザ(たとえば、臨床医)は、内視鏡レーザー処置を実行するなどの間、ターゲット組織または生体内の結石についての情報をほぼリアルタイムで取得するために、そのようなクラウドサービスを使用することができる。
【0065】
いくつかの例では、MLエンジンは、クラウド118の中に記憶されるようなトレーニングデータを使用してMLモデルをトレーニングするように構成された、トレーニングモジュールを含むことができる。トレーニングデータは、光源に関連する分光学的データ、およびターゲットタイプ(たとえば、結石タイプまたは組織タイプ)を特定するタグなどのターゲット情報を含むことができる。トレーニングデータは、様々な光源ならびに組織タイプおよび/または結石タイプの分光分析に基づく研究室データを含むことができる。追加または代替として、トレーニングデータは、生体外または生体内で複数の患者から獲得された臨床データを含むことができる。いくつかの例では、MLモデルをトレーニングするために、またはトレーニング済みのMLモデルを使用してターゲット検出、特定、もしくは分類を実行するために、そのようなデータが使用またはクラウド118にアップロードされる前に、患者を特定する情報は患者臨床データ(たとえば、分光学的データ)から除去され得る。システム100は、特定されない患者臨床データを、データのソースを特定するタグ(たとえば、病院、レーザーシステム特定情報、処置時間)に関連付けることができる。臨床医は、処置の間または処置の後、ターゲットタイプ(たとえば、結石タイプまたは組織タイプ)を分析および確認することができ、光源およびターゲットタイプを、特定されない患者臨床データに関連付けて、トレーニングデータを形成することができる。特定されない患者臨床データを使用することは、大規模な患者集団からの追加のデータがMLモデルをトレーニングするために含められ得るので、クラウドベースMLモデルのロバストネスを有利に向上させることができる。このことはまた、珍しい結石タイプからの分光学的データが臨床的にまたは研究室から取得するのに困難であるので、珍しい結石タイプを認識するためのMLモデルの性能を向上させることができる。
【0066】
決定木、ニューラルネットワーク、ディープラーニングネットワーク、サポートベクトルマシンなどの、様々なMLモデルアーキテクチャおよびアルゴリズムが使用され得る。いくつかの例では、MLモデルのトレーニングは、追加の分光学的データが利用可能にされるとき、継続的もしくは周期的に、またはほぼリアルタイムで実行され得る。トレーニングは、トレーニング中のMLモデルが指定のトレーニング収束基準を満たすまで1つまたは複数のMLモデルパラメータをアルゴリズム的に調整することを伴う。得られたトレーニング済みのMLモデルは、クラウドベースのターゲット検出、認識、または分類において使用され得る。クラウド118の中に記憶された大量のデータおよびそれらに終始または周期的に加えられる追加のデータを活用することによってトレーニングされたMLモデルを用いると、本明細書で説明するようなクラウド接続を用いたMLベースのターゲット認識は、生体内でのターゲット検出、認識、および分類の確度およびロバストネスを改善することができる。
【0067】
図3は、光タイプおよび組織タイプを特定するとともに光生成パラメータを生成して、波長および光強度などの、解剖学的組織から反射される光の分光に基づいて、より良好に組織を特定および治療するとともにシステムの性能を改善するように構成される、例示的なコンピュータベースの臨床決定サポートシステム(CDSS)300の概略図を示す。CDSS300は、図1のAEエンジン114の一例を備えることができる。
【0068】
CDSS300は、入力インターフェース302、AIモデル304、出力インターフェース306を備えることができ、データベース308に接続され得る。入力インターフェース302は、フィードバック制御システム110に接続されることが可能であり、したがって、分光システム108、フィードバック分析器112、ならびに反射照明光ビーム142および反射レーザービーム150を含む送達システム120から、入力を受信することができる。
【0069】
様々な実施形態では、CDSS300は入力インターフェース302を含み、患者のための処置に固有である波長、光強度、およびスペクトル形状などのスペクトル分析または分光情報が、入力インターフェース302を通じて入力特徴として人工知能(AI)モデル304に提供される。追加の入力は、照明光タイプ、治療光タイプ、ターゲット組織タイプ、および外科処置タイプを備えることができる。AIモデル304が光源特定処置を実行中であるのかそれとも組織特定処置を実行中であるのかなどの、追加の他の入力も提供され得る。プロセッサは、スペクトル分析出力がAIモデルに適用されて、光パラメータ、および光パラメータがそれを通じてユーザ、たとえば、臨床医に通信されるユーザインターフェース(UI)を生成する、推定動作を実行することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、入力インターフェース302は、CDSS300と、入力特徴のうちの少なくともいくつかを生成する1つまたは複数の医療デバイスとの間の、有線もしくはワイヤレスまたはインターネットもしくはIoTシステム116(図1)を介した直接データリンクであり得る。データベース308は、クラウド118(図1)上に存在することができる。入力インターフェース302は、治療処置および/または診断医療処置の間に、スペクトル分析データをCDSS300へ直接送信することができる。追加または代替として、入力インターフェース302は、ユーザとCDSS300との間の対話を容易にする古典的なユーザインターフェースであり得る。たとえば、入力インターフェース302は、ユーザがそれを通じてモード、電力、および形状などの光パラメータを手作業で入力できるユーザインターフェースを容易にすることができる。追加または代替として、入力インターフェース302は、1つまたは複数の入力特徴がそこから抽出され得る電子患者記録へのアクセスを、CDSS300に提供することができる。これらの事例のうちのいずれにおいても、入力インターフェース302は、光タイプおよび組織タイプを査定するためにCDSS300が使用される時間においてまたはその前に、特定の患者に関連する以下の入力特徴のうちの1つまたは複数を収集するように、構成され得る。
【0071】
例では、第1の入力特徴は、照明またはレーザーなどの光タイプを備えることができる。
【0072】
例では、第2の入力特徴は、キセノン、LED、ハロゲン、LDなどの特定の光タイプを備えることができる。
【0073】
例では、第3の入力特徴は、Ho:YAG、Tm-Fiberなどの特定の光タイプを備えることができる。
【0074】
例では、第4の入力特徴は、健康な組織、病気の組織などの組織タイプを備えることができる。
【0075】
例では、第5の入力特徴は、腎臓、子宮、腸、胃などの解剖学的組織タイプを備えることができる。
【0076】
例では、第6の入力特徴は、光波長を備えることができる。
【0077】
例では、第7の入力特徴は、光強度を備えることができる。
【0078】
例では、第8の入力特徴は、勾配などのスペクトル形状を備えることができる。
【0079】
他の入力特徴が、追加として、本開示と矛盾なく使用され得る。また、入力特徴のすべてが使用され得るとは限らない。
【0080】
上記の入力特徴のうちの1つまたは複数に基づいて、プロセッサは、光パラメータを生成するためにAIモデルを使用して推定動作を実行する。たとえば、入力インターフェース302は、光タイプおよび組織、光強度および波長、ならびにスペクトル形状タイプを、AIモデルの入力層の中に配信することができ、AIモデルは、AIモデルを通じてこれらの入力特徴を出力層に伝搬させる。AIモデルは、データの分析において見つけられたパターンに基づいて推定を行うことによって、明示的にプログラムされることなく、タスクを実行するための能力をコンピュータシステムに提供することができる。AIモデルは、既存のデータから学習することおよび新たなデータについて予測を行うことができるアルゴリズム(たとえば、機械学習アルゴリズム)の検討および構築を探求する。そのようなアルゴリズムは、出力または査定として表現される、データ駆動型の予測または決定を行うために、例示的なトレーニングデータからAIモデルを構築することによって、動作する。一例では、AIモデル304は、データベース308の中に記憶された以前の外科処置からの、レーザーの性能と組織との組合せに基づいて、特定のタイプの組織を治療するために使用されるべきレーザーのタイプを提案することができる。別の例では、AIモデル304は、データベース308の中に記憶された以前の外科処置の結果に基づいて、より良好に手術を実行するために、またはより迅速に手術を実行するために、特定の組織および外科処置のためのパルス列を提案することができる。実行中の現在の外科処置の結果は、その後、データベース308の中に記憶されることが可能であり、その結果、AIモデル304は、レーザーモジュール122A~122Nのパラメータを提案するための追加のデータポイントを含めることができる。したがって、AIモデル304の提案されるパラメータにまさって外科医が自身の選好を利用するときのような、データベース308が増大するにつれて、レーザーモジュール122A~122Nのための異なるパラメータを提案するようにAIモデル304が適合することを容易にできる、新たな手術結果が含められ得る。
【0081】
機械学習(ML)にとって2つの一般のモード、すなわち、教師ありMLおよび教師なしMLがある。教師ありMLは、事前知識(たとえば、入力を出力または結果に相関させる例)を使用して入力と出力との間の関係を学習する。教師ありMLの目標は、いくつかのトレーニングデータが与えられると、トレーニング入力とトレーニング出力との間の関係を最もよく近似する関数を学習することであり、その結果、MLモデルは、対応する出力を生成するために入力が与えられるとき、同じ関係を実施することができる。教師なしMLは、分類もラベル付けもされない情報を使用する、MLアルゴリズムのトレーニングであり、アルゴリズムが案内なしにその情報に対して作用することを可能にする。教師なしMLは、データの中の構造を自動的に特定できるので探査分析において有用である。
【0082】
教師ありMLのための一般のタスクは、分類問題および回帰問題である。カテゴリー化問題とも呼ばれる分類問題は、項目を分類していくつかのカテゴリー値のうちの1つにすることを目的とする(たとえば、この物体はリンゴですかそれともオレンジですか)。回帰アルゴリズムは、いくつかの項目を(たとえば、いくつかの入力の値にスコアを与えることによって)定量化することを目的とする。一般に使用される教師ありMLアルゴリズムのいくつかの例は、ロジスティック回帰(LR)、単純ベイズ、ランダムフォレスト(RF)、ニューラルネットワーク(NN)、ディープニューラルネットワーク(DNN)、行列因子分解、およびサポートベクトルマシン(SVM)である。
【0083】
教師なしMLのためのいくつかの一般のタスクは、クラスタリング、表現学習、および密度推定を含む。一般に使用される教師なしMLアルゴリズムのいくつかの例は、K平均クラスタリング、主成分分析、およびオートエンコーダである。
【0084】
別のタイプのMLは、データを交換することなく、ローカルデータを保持する複数の非集中型デバイスにわたってアルゴリズムをトレーニングする、連合学習(協調学習とも呼ばれる)である。この手法は、すべてのローカルデータセットが1つのサーバにアップロードされる従来の集中型機械学習技法、ならびに、しばしば、ローカルデータサンプルが同等に配布されることを想定する、より古典的な非集中型手法とは対照的に位置する。連合学習は、データを共有することなく、共通のロバストな機械学習モデルを複数のアクターが構築することを可能にし、したがって、データプライバシー、データセキュリティ、データアクセス権、および異種データへのアクセスなどの、重大な問題に対処することを可能にする。
【0085】
いくつかの例では、AIモデルは、プロセッサによる推定動作の実行の前に、継続的または周期的にトレーニングされ得る。次いで、推定動作中、AIモデルに提供された患者固有の入力特徴は、入力層から1つまたは複数の隠れ層を通って、最終的には、光パラメータに対応する出力層に伝搬され得る。たとえば、分光学的な波長および強度が、分光システム108からAIモデル304に提供され得る。波長および強度は、フィードバック分析器112などを用いて光源および/または特定の組織を特定するために使用され得る。AIモデル104は、反射光の分光学的な固有の特徴、たとえば、波長および強度を分析することができ、波長および強度を生成するために使用された光源を特定することができる。AIモデル104は、反射光の分光学的な固有の特徴、たとえば、波長および強度を分析することができ、光がそこから反射された解剖学的組織を特定することができる。AIモデル104は、所与の波長および強度に対して、特定された組織を分析することができ、特定された光源のためのパラメータを生成することができ、レーザー動作モード(パルス波または連続波(CW))、電力およびエネルギー、パルス形状、ならびにプロファイル、レーザー放出パルスレジームなどの、外科処置を改善するためのレーザーモジュール122A~122Nの出力パラメータを変更することができ、生成されたパルスのすべてを結合して結合出力パルス列にする。AIモデル304によって生成される変更済みのパラメータは、組織タイプを特定する、より明確な表示を提供できるスペクトル形状をもたらすことができ、それによって、適切なターゲット組織が外科処置のレシピエントとなる可能性を改善することができる。AIモデル304によって生成される変更済みのパラメータは、たとえば、病気の組織を治療することにおいてもっと効果的であるかまたは光ファイバーへの損傷を防止する、レーザーパラメータを提供することができる。
【0086】
推定動作の間かつ/またはその後に、光パラメータは、ユーザインターフェース(UI)を介してユーザに通信されることが可能であり、かつ/または自動的に光生成器に、AIモデル304によって特定および提案されたパラメータに光生成パラメータを変更させることができる。たとえば、光生成器は、光生成パラメータを自動的に変更することができ、あるいは入力インターフェース302は、スクリーンまたはディスプレイ482(図4)などの出力デバイスを介して、提案された変更とともにプロンプトまたはメッセージを臨床医に提供することができ、たとえば、ユーザインターフェース484(図4)を使用して、変更を受諾するように臨床医に要請することができる。さらに、出力インターフェース306は、組織タイプを出力することができ、そのため、臨床医は、医療処置を実行すべき組織を検証することができる。追加または代替として、内視鏡または治療デバイスなどの医療デバイスは、自動的に、または臨床医の案内を伴って、ターゲット組織を治療するための切除信号または超音波信号を生成することができる。
【0087】
図4は、例示的なフィードバック制御型レーザー治療システム400を示す。図4において、レーザー治療システム400は、光源フィードバックを受信するフィードバック制御型レーザー治療システム400と統合された内視鏡402を含む。外科用システム100(図1)の一例であるレーザー治療システム400は、内視鏡402、レーザー源420、照明光源425(たとえば、光源126)、および分光光源430を備える。様々な例では、フィードバック制御型レーザー治療システム400の一部分または全体が、内視鏡402の中に組み込まれ得る。フィードバック制御型レーザー治療システム400は、光源126からの入力を使用する図1における分光システム108の代わりに、分光計411に入力を提供するために使用され得る光源430が追加され、かつ図1におけるレーザーコントローラ124を直接調整するフィードバック分析器112の代わりに、レーザーコントローラ413のユーザ調整を可能にするユーザ入力システム480が追加されて、図1の外科用システム100と同様に動作することができる。図4は、追加として、内視鏡カメラモジュール416からのイメージング信号450が分光計411に提供されつつあることを示す。
【0088】
フィードバック制御型レーザー治療システム400は、分光システム108の中に含まれ得る分光計411、フィードバック分析器412(フィードバック分析器112の少なくとも一部分の一例)、およびレーザーコントローラ413(レーザーコントローラ124の一例)を含むことができる。レーザー源420は、レーザーモジュール122A~122Nの一例を備えることができ、レーザーファイバー404に結合され得る。ファイバー統合型レーザーシステムは、曲げやすい内視鏡を通してレーザーエネルギーを渡すための、かつ硬組織および軟組織を効果的に治療するための、それらの能力に起因して、内視鏡処置のために使用され得る。これらのレーザーシステムは、UVエリアからIRエリアまで(200nm~10000nm)の広い波長範囲の中でレーザー出力ビームを作り出す。いくつかのファイバー統合型レーザーは、軟組織または硬組織によって大きく吸収される波長範囲、たとえば、水分吸収に対して1900~3000nm、またはオキシヘモグロビン吸収および/もしくはデオキシヘモグロビン吸収に対して400~520nmの中で、出力を作り出す。上のTable 2(表2)は、高い水分吸収範囲1900~3000nmの中で放出し光源430としての使用に適しているIRレーザーの概要である。
【0089】
いくつかのファイバー統合型レーザーは、ターゲット軟組織または硬組織によって最小限吸収される波長範囲の中で、出力を作り出す。これらのタイプのレーザーは、細い毛細管の直径5~10μmと類似の侵入深さに起因して効果的な組織凝固をもたらす。レーザー源420の例は、特に、515~520nmにおける放出を伴うGaNレーザー、370~493nmにおける放出を伴うInXGa1-XNレーザー、750~850nmにおける放出を伴うGaXAl1-XAsレーザー、または904~1065nmにおける放出を伴うInXGa1-XAsレーザーなどのInXGa1-XN半導体レーザーを放出する、UV-VISを含むことができる。
【0090】
光源430は、内視鏡402の細長い本体に沿って延在する第1の光学経路を介して解剖学的ターゲット422へ送信され得る電磁放射信号を作り出すことができる。第1の光学経路は、ワーキングチャネル418内に位置することができる。一例では、第1の光学経路は、レーザーファイバー404とは別個の光ファイバーであり得る。別の例では、電磁放射信号は、レーザービームを送信するために使用される同じレーザーファイバー404を通って送信され得る。電磁放射は、第1の光学経路の遠位端から離脱し、ターゲット構造および周囲環境に投影する。解剖学的ターゲット422は、内視鏡カメラモジュール416(たとえば、カメラモジュール128)の視野内にあり、その結果、ターゲット構造および周囲環境への電磁放射の投影に応答して、CCDまたはCMOSカメラなどの内視鏡カメラモジュール416は、解剖学的ターゲット422から反射される信号を収集すること、ターゲット構造のイメージング信号450を作り出すこと、およびイメージング信号をフィードバック制御型レーザー治療システム410に配信することができる。いくつかの例では、レーザー走査などの、CCDまたはCMOSカメラ以外のイメージングシステムが、分光学的応答を収集するために使用され得る。
【0091】
内視鏡カメラモジュール416を通して生成および送信されるフィードバック信号(たとえば、イメージング信号450)に加えて、またはその代わりに、いくつかの例では、解剖学的ターゲット422から反射される信号が、追加または代替として、収集されることが可能であり、内視鏡402に関連するような別個のファイバーチャネルまたはレーザーファイバーを通してフィードバック制御型レーザー治療システム410へ送信され得る。追加の例では、フィードバック制御型レーザー治療システム400と統合された内視鏡402を含むレーザー治療システム400は、分光学的センサフィードバックを受信するように構成され得る。(図1の反射照明光ビーム142および反射レーザービーム150と同様に機能できる)反射分光信号470は、光源430から解剖学的ターゲット422へ電磁放射を送信するために使用される、レーザーファイバー404などの同じ光学経路を通って、フィードバック制御型レーザー治療システム410に戻って進行することができる。別の例では、反射分光信号470は、光源430からターゲット構造へ電磁放射を送信する第1の光ファイバーから、別個の光ファイバーチャネルなどの第2の光学経路を通ってフィードバック制御型レーザー治療システム410に進行することができる。
【0092】
フィードバック制御型レーザー治療システム400は、1つまたは複数のフィードバック信号(たとえば、ターゲット構造のイメージング信号450、もしくは反射分光信号470、または図1の分光器信号152もしくは反射照明光ビーム142もしくは反射レーザービーム150)を分析して、図5を参照しながら概説される処置を使用することなどによって、レーザー源420、照明光源425、および分光光源430のうちの1つまたは複数に対する光源、組織タイプ、および動作状態を決定することができる。分光計411は、FTIR分光計、ラマン分光計、UV-VIS分光計、UV-VIS-IR分光計、または蛍光分光計のうちの1つまたは複数を使用することなどによって、1つまたは複数のフィードバック信号から1つまたは複数の分光学的特性を生成することができる。フィードバック分析器412は、ターゲット検出器またはターゲット分類器のうちの1つまたは複数を使用することなどによって、複数の構造カテゴリーまたは構造タイプのうちの1つとしてターゲット構造を特定または分類するように構成され得る。レーザーコントローラ413は、同様に図1を参照しながら上記で説明したように、レーザー源420、照明光源425、および光源430の動作モードを決定するように構成され得る。
【0093】
図4は、追加として、フィードバック制御型レーザー治療システム400がユーザ入力システム480を備えることを示し、ユーザ入力システム480は、ディスプレイ482およびユーザインターフェース484を備えることができる。ユーザ入力システム480は、レーザーコントローラ413、照明光源425、および光源430に対する提案された変更に関係する情報を含む出力をディスプレイ482上で提供するために、フィードバック分析器412から信号を受信することができる。例では、レーザー源420のための設定は、ディスプレイ482によって提供される設定範囲内で調整されることが可能であり、設定範囲は、一例では、処置の開始においてユーザによって事前決定され得る。ディスプレイ482は、光源430、照明光源425、およびレーザーコントローラ413のための推奨される設定または設定の範囲を示す信号485を、フィードバック分析器412から受信することができる。ディスプレイ482は、光源430、照明光源425、およびレーザーコントローラ413のための推奨される設定または設定の範囲のオーディオ信号または視覚表現もしくはグラフィカル表現を含む推奨486を、ユーザに表示することができる。ユーザは、信号485の推奨を肯定もしくは拒否するか、または推奨される設定の範囲から特定の設定を選択するための、入力488を提供することができる。
【0094】
図5は、本明細書で説明する分光学的な外科用システムを使用して光源を特定および調整する方法500における動作を示すブロック図である。図5は、方法500において使用され得る動作のシーケンスの一例を示す。ただし、本明細書で提供する開示と矛盾しない他のステップが含まれ得る。追加として、いくつかの動作は、追加の例では異なる順序で実行され得るかまたは省略され得る。
【0095】
動作502において、光源を用いて光ビームが生成され得る。たとえば、光源126(図1)が、光ビーム140を生成することができる。異なるタイプの光源126が外科用システム100(図1)とともに使用され得る。たとえば、光源126は、キセノン光またはLED光を生成するように構成され得る。光ビームはテストターゲット170から反射され得る。反射光ビーム172は分光システム108によって受信され得る。たとえば、反射光ビーム172は、外科用器具102内の送達システム120によって受信されることが可能であり、分光計411(図4)まで光導体、たとえば、光ファイバーを通過させられ得る。外科用器具102および送達システム120(図1)は、たとえば、光ファイバーを使用して、光ビームを解剖学的ターゲット422に導くために使用され得る。
【0096】
動作504において、分光システム108は、反射光ビーム172の分光分析を実行することができる。たとえば、反射光ビーム172の強度および波長が、異なるタイプの光源に対する強度および波長のデータベース情報と比較され得る。光強度は、キセノン光およびLED光を作り出す異なるタイプの光源126などの、異なるタイプの光源の異なる波長に対する光強度値を備えるデータベース情報と比較され得る。例では、異なるタイプの光源に対する分光情報は、分光システム108の中に記憶され得る。追加の例では、分光システム108は、異なるタイプの光源に対する分光情報をクラウド118(図1)またはメモリ604(図6)から取得することができる。
【0097】
動作506において、反射光ビーム172のそれと最も密に整合する強度および波長データセットが、光源126または別の光源から来る光のタイプを特定するために使用され得る。したがって、光源126に対する光ビーム140の分光分析は、分光学的な組織分析のために使用中の光源のタイプを検証して組織の後続の分光分析が正しく実行されることを保証するために使用され得る。例では、光源126に対する光ビーム140の分光分析は、光源126の製造業者を決定するために使用され得る。
【0098】
動作502~506は、光源126から発出する光のタイプを決定することを参照しながら説明される。しかしながら、光源430およびレーザーモジュール122A~122Nを使用して類似の動作が実行され得る。すなわち、光源430およびレーザーモジュール122A~122Nからの純粋な、すなわち弱められていない光が、ターゲット組織上に入射する前に分析され得る。
【0099】
動作508において、光ビームは、動作502において生成された同じ光ビームなどの光源を用いて生成され得る。たとえば、光源126(図1)が光ビーム140を生成することができる。光ビーム140は、医療処置がそれに対して実行されるターゲット組織から反射され得る。たとえば、光ビーム140は、患者130の解剖学的ターゲット422上に入射することができる。光ビーム140は、反射照明光ビーム142として解剖学的ターゲット422から反射することができる。外科用器具102および送達システム120(図1)は、たとえば、光ファイバーを使用して、光ビームを解剖学的ターゲット422に導くために使用され得る。
【0100】
動作510において、動作504からの反射光は、分光システムによって受信され得る。たとえば、反射照明光ビーム142は、外科用器具102内の送達システム120によって受信されることが可能であり、分光計411まで光導体、たとえば、光ファイバーを通過させられ得る。受信された光は分光器によって分析され得る。たとえば、分光計411は、反射照明光ビーム142の波長に対する光強度を分析することができる。光強度は、結石または癌細胞などの異なるタイプの解剖学的組織の異なる波長に対する光強度値を備えるデータベース情報と比較され得る。例では、異なるタイプの解剖学的ターゲットに対する分光情報が、分光システム108の中に記憶され得る。追加の例では、分光システム108は、異なるタイプの解剖学的ターゲットに対する分光情報をクラウド118(図1)またはメモリ604(図6)から取得することができる。
【0101】
動作512において、光ビーム142を反射させた解剖学的組織のタイプが決定され得る。たとえば、反射照明光ビーム142の波長に対する光強度は、所定の参照データからのデータポイントの対応するセットと整合され得る。したがって、分光システム108は、波長と光強度との組合せを作り出した組織のタイプを確実に特定することができる。したがって、解剖学的ターゲット422が特定され得る。したがって、解剖学的ターゲット422に対する光ビーム140の分光分析は、組織タイプを検証して外科処置が正しく実行されることを保証するために使用され得る。例では、方法500は、動作512から動作526に直接進むことができる。
【0102】
動作514において、方法500と連携して実行中の外科処置が分析され得る。たとえば、外科用システム100の構成要素が外科処置を実行するための、提案される設定または設定の範囲を決定するために、外科処置が分析され得る。提案される設定は、手術結果を改善するかまたは外科処置のもっと簡単な実行を容易にするために使用され得る。外科処置は、動作516における外科用システム100からの入力および動作515におけるAIエンジン114からの入力を使用して分析され得る。
【0103】
動作516において、外科データは、外科処置を分析するために、特定された光源および特定された組織タイプと組み合わせられ得る。例では、外科データは、外科処置において使用中のレーザーモジュール、たとえば、レーザーモジュール122A~122Nのタイプ、使用中のレーザーモジュール122A~122Nに対する設定、使用中の外科用器具102のタイプ、使用中の送達システム120のタイプなどを備えることができる。さらに、外科用システム100は、レーザーモジュール122A~122Nのうちの1つまたは複数を使用して結石または癌細胞などの解剖学的ターゲット422(図4)を剥離、切開、または焼灼することなどの、特定のタイプの処置を実行するように最初に構成され得る。外科医は、解剖学的ターゲット422を引き入れるために望まれるタイプの治療レーザー148(図1)を生成するために、出力電力、放出範囲、パルス形状、およびパルス列などのパラメータをレーザーコントローラ124の中に入力することができる。したがって、動作516における入力は、外科医自身の過去の経験または鑑定に基づく、外科医の選好を備えることができる。
【0104】
動作515において、AI入力は、外科データ、特定された組織タイプ、および特定された光源タイプと組み合わせられ得る。AIエンジン114(図1)は、光源126(図1)およびレーザーモジュール122A~122Nのうちの一方または両方を用いて実行され得る複数の異なるタイプの外科処置に関係する情報の、データベース308などのデータベースを有する記憶システムを含むことができるか、またはそれに接続され得る。例では、クラウド118は、そのような情報がその上に記憶されたメモリ(たとえば、図6のメモリ604または606)を有するサーバに接続され得る。クラウド118またはAIエンジン114の中に記憶される情報は、異なるタイプの外科処置(たとえば、癌切除、腎石切除、胆嚢石切除など)のための、異なるタイプの光源126、異なるタイプのレーザーモジュール122A~122N、および異なる設定(たとえば、出力電力、放出範囲、パルス形状、およびパルス列)を含む、パラメータの組合せを含むことができる。たとえば、処置のタイプごとに、情報は、外科パラメータの異なる組合せに対する結果データ(たとえば、患者回復、再発など)を含むことができる。
【0105】
動作517において、方法500と連携して実行中の外科処置のための調整値が決定され得る。動作510において特定された光源126からの光タイプに対して、AIエンジン114は、最良の結果を患者にもたらすパラメータを推奨することができる。例では、動作517は、AIモデル304を利用して外科処置のための調整値を決定することができる。
【0106】
動作518において、動作517の外科処置のための決定された調整値は、ユーザ参照のために表示され得る。例では、光源126に対する光ビーム140の分光分析が、光源126、光源430、およびレーザーモジュール122A~122Nに対する設定を提案するために使用され得る。たとえば、ディスプレイ482(図4)は、外科用システム100のための推奨される設定、または設定に対する値の範囲の、視覚出力またはグラフィカル出力を提供することができる。推奨される設定は、限定はしないが、異なるタイプの外科処置(たとえば、癌切除、腎石切除、胆嚢石切除など)のための、異なるタイプのレーザーモジュール122A~122Nに対する出力電力、放出範囲、パルス形状、およびパルス列を含むことができる。同様に、提案され得る光源126のための操作パラメータは、振幅、輝度、電力、波長、および強度を含むことができる。
【0107】
動作520において、外科処置のための設定が自動的に調整され得る。たとえば、フィードバック分析器112は、ユーザ入力を用いずに、光信号160を光源126に、かつレーザー信号162をレーザーコントローラ124に提供して、提案された変更を適用することができる。
【0108】
動作522において、外科処置に対する調整値は、提案された調整値としてユーザに提示され得る。たとえば、ディスプレイ482(図4)は、外科用システム100のための推奨された設定、または設定に対する値の範囲の、視覚出力またはグラフィカル出力を提供することができる。ディスプレイ482は、様々なパラメータのYes/No受諾を要請することができ、または提案された範囲内の値の入力もしくは選択を要請することができる。ディスプレイ482はまた、以前に入力されたパラメータを外科医が利用できるような、提案されたパラメータ変更のうちのいずれかまたはすべてを拒絶するためのオプションを提供することができる。
【0109】
動作524において、推奨された変更に対する外科医承認、または設定の推奨された範囲からの外科医選択が、取得され得る。ユーザは、動作522において提示された提案済みの設定を選択および/または確認するための音声コマンドまたは触覚入力を提供することによって、ユーザインターフェース484と対話することができる。
【0110】
動作526において、外科処置が実行され得る。外科処置は、照明光源、解剖学的ターゲット、および治療光の適切なまたは望ましい組合せを使用して実行され得る。外科処置は、外科医技能、選好、および査定に基づいて外科医によって当初入力されたパラメータを用いて実行され得るか、外科処置は、AIモデル304によって決定されたパラメータを用いて実行され得るか、またはそれらの組合せである。
【0111】
動作528において、組織特定機能性がシャットダウンされ得る。例では、組織検証システムを無効化するために、光源126に対する光ビーム140および反射光ビーム172の分光分析が使用され得る。たとえば、動作506が光源126の出力を決定できない場合、組織タイプの確認を行うための外科用システムの能力が無効化され得る。適切な警告がディスプレイ482上に提供され得る。その後、外科医は、システムに対して、ユーザが入力したパラメータを使用して外科処置を実行し続けることができる。
【0112】
図6は、概して、本明細書で説明する技法(たとえば、方法体系または動作)のうちのいずれか1つまたは複数がそこで実行され得る例示的なマシン600のブロック図である。この説明の部分は、本明細書で説明するような例によるレーザー治療システムおよび分光分析システムの様々な部分のコンピューティングフレームワークに適用され得る。
【0113】
例では、マシン600は、スタンドアロンのデバイスとして動作することができるか、または他のマシンに接続(たとえば、ネットワーク化)され得る。ネットワーク化展開では、マシン600は、サーバクライアントネットワーク環境の中のサーバマシン、クライアントマシン、またはその両方の能力において動作することができる。一例では、マシン600は、ピアツーピア(P2P)(または、他の分散型)ネットワーク環境の中のピアマシンとして機能することができる。マシン600は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、携帯情報端末(PDA)、モバイル電話、ウェブアプライアンス、ネットワークルータ、スイッチもしくはブリッジ、またはそのマシンによって取られるべきアクションを指定する(連続した、または別様の)命令を実行することが可能な任意のマシンであり得る。さらに、単一のマシンしか図示されないが、「マシン」という用語はまた、クラウドコンピューティング、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)、他のコンピュータクラスタ構成などの、本明細書で説明する方法体系のうちのいずれか1つまたは複数を実行するための命令のセット(または、複数のセット)を個別にまたは共同で実行するマシンの、任意の集合を含むように理解されるものとする。
【0114】
本明細書で説明するような例は、論理もしくはいくつかの構成要素、またはメカニズムを含むことができるか、またはそれらによって動作することができる。回路セットとは、ハードウェアを含む有形のエンティティの中に実装される回路(たとえば、単純な回路、ゲート、論理など)の集合である。回路セットメンバーシップは、経時的にフレキシブルであり得、ハードウェア変動性の下にあり得る。回路セットは、単独または組合せで、動作すると指定された動作を実行できるメンバーを含む。一例では、回路セットのハードウェアは、特定の動作を実行するように不変に設計(たとえば、ハードワイヤ化)され得る。一例では、回路セットのハードウェアは、特定の動作の命令を符号化するために物理的に修正される(たとえば、変動しない集結した粒子の磁気的に、電気的に移動可能な配置など)コンピュータ可読媒体を含む、可変に接続される物理構成要素(たとえば、実行ユニット、トランジスタ、単純な回路など)を含むことができる。物理構成要素を接続する際に、構成要素であるハードウェアの下にある電気特性は、たとえば、絶縁体から導体に、またはその逆に、変更される。命令は、動作中のとき、特定の動作の部分を実行するために、組込みハードウェア(たとえば、実行ユニットまたはローディングメカニズム)が可変接続を介してハードウェアの中の回路セットのメンバーを作成することを可能にする。したがって、コンピュータ可読媒体は、デバイスが動作しているとき、回路セットメンバーの他の構成要素に通信可能に結合される。一例では、物理構成要素のいずれも、2つ以上の回路セットの2つ以上のメンバーの中で使用され得る。たとえば、動作のもとで、実行ユニットは、ある時点において第1の回路セットの第1の回路の中で使用されることが可能であり、第1の回路セットの中の第2の回路によって、または異なる時間において第2の回路セットの中の第3の回路によって、再使用されることが可能である。
【0115】
マシン(たとえば、コンピュータシステム)600は、ハードウェアプロセッサ602(たとえば、中央処理ユニット(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、ハードウェアプロセッサコア、またはそれらの任意の組合せ)、メインメモリ604、およびスタティックメモリ606を含むことができ、それらの一部または全部は、インターリンク(たとえば、バス)608を介して互いに通信することができる。マシン600は、ディスプレイユニット610(たとえば、ラスタディスプレイ、ベクトルディスプレイ、ホログラフィックディスプレイなど)、英数字入力デバイス612(たとえば、キーボード)、およびユーザインターフェース(UI)ナビゲーションデバイス614(たとえば、マウス)をさらに含むことができる。一例では、ディスプレイユニット610、入力デバイス612、およびUIナビゲーションデバイス614は、タッチスクリーンディスプレイであり得る。マシン600は、追加として、記憶デバイス(たとえば、ドライブユニット)616、信号生成デバイス618(たとえば、スピーカー)、ネットワークインターフェースデバイス620、および全地球測位システム(GPS)センサ、コンパス、加速度計、または他のセンサなどの1つまたは複数のセンサ621を含むことができる。マシン600は、1つまたは複数の周辺デバイス(たとえば、プリンタ、カードリーダーなど)を通信または制御するために、シリアル(たとえば、ユニバーサルシリアルバス(USB))、パラレル、または他の有線もしくはワイヤレスの(たとえば、赤外線(IR)、近距離場通信(NFC)など)接続などの出力コントローラ628を含むことができる。
【0116】
記憶デバイス616は、図5を参照しながら説明した動作などの、本明細書で説明する技法または機能のうちのいずれか1つまたは複数によって具現するかまたは利用される、データ構造または命令624(たとえば、ソフトウェア)の1つまたは複数のセットがその上に記憶される、機械可読媒体622を含むことができる。命令624はまた、マシン600によるそれらの実行中、完全にまたは少なくとも部分的に、メインメモリ604内、スタティックメモリ606内、またはハードウェアプロセッサ602内に常駐することができる。一例では、ハードウェアプロセッサ602、メインメモリ604、スタティックメモリ606、または記憶デバイス616のうちの1つまたは任意の組合せは、機械可読媒体を構成することができる。
【0117】
単一の媒体として機械可読媒体622が図示されるが、「機械可読媒体」という用語は、1つまたは複数の命令624を記憶するように構成された単一の媒体または複数の媒体(たとえば、集中型もしくは分散型のデータベース、ならびに/または関連するキャッシュおよびサーバ)を含むことができる。
【0118】
「機械可読媒体」という用語は、マシン600が実行するための命令を記憶、符号化、または搬送することが可能であり、かつ本開示の技法のうちのいずれか1つまたは複数をマシン600に実行させるか、あるいはそのような命令によって使用されるかまたはそれらに関連するデータ構造を記憶、符号化、または搬送することが可能である、任意の媒体を含むことができる。非限定的な機械可読媒体例は、固体メモリならびに光学媒体および磁気媒体を含むことができる。一例では、集結した機械可読媒体は、変動しない(たとえば、静止)質量を有する複数の粒子を有する機械可読媒体を備える。したがって、集結した機械可読媒体は一時的な伝搬信号でない。集結した機械可読媒体の具体例は、半導体メモリデバイス(たとえば、電気的プログラマブル読取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EEPROM))およびフラッシュメモリデバイスなどの不揮発性メモリ、内部ハードディスクおよびリムーバルディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、ならびにCD-ROMおよびDVD-ROMディスクを含むことができる。
【0119】
命令624は、さらに、いくつかの転送プロトコル(たとえば、フレーム中継、インターネットプロトコル(IP)、伝送制御プロトコル(TCP)、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)など)のうちのいずれか1つを利用するネットワークインターフェースデバイス620を介して、伝送媒体を使用して通信ネットワーク626上で送信または受信され得る。例示的な通信ネットワークは、特に、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、パケットデータネットワーク(たとえば、インターネット)、モバイル電話ネットワーク(たとえば、セルラーネットワーク)、簡易電話(POTS)ネットワーク、およびワイヤレスデータネットワーク(たとえば、WiFi(登録商標)と呼ばれる規格の米国電気電子技術者協会(IEEE)802.11ファミリー、WiMax(登録商標)と呼ばれる規格のIEEE802.16ファミリー)、規格のIEEE802.15.4ファミリー、ピアツーピア(P2P)ネットワークを含むことができる。一例では、ネットワークインターフェースデバイス620は、通信ネットワーク626に接続するための、1つもしくは複数の物理的なジャック(たとえば、Ethernetジャック、同軸ジャック、または電話ジャック)、または1つもしくは複数のアンテナを含むことができる。一例では、ネットワークインターフェースデバイス620は、単入力多出力(SIMO)、多入力多出力(MIMO)、または多入力単出力(MISO)技法のうちの少なくとも1つを使用してワイヤレス通信するための複数のアンテナを含むことができる。「伝送媒体」という用語は、マシン600が実行するための命令を記憶、符号化、または搬送することが可能な任意の無形媒体を含むように理解されるものとし、そのようなソフトウェアの通信を容易にするための、デジタルもしくはアナログの通信信号、または他の無形媒体を含む。
【0120】
追加の注釈
上の発明を実施するための形態は、発明を実施するための形態の一部を形成する添付図面への参照を含む。図面は、例として、本発明が実践され得る特定の実施形態を示す。これらの実施形態は、本明細書では「例」とも呼ばれる。そのような例は、図示または説明されるものに加えて要素を含むことができる。しかしながら、本発明の発明者はまた、図示または説明されるそれらの要素だけが提供される例を企図する。その上、本発明の発明者はまた、特定の例(または、それらの1つもしくは複数の態様)に関するか、または本明細書で図示もしくは説明される他の例(または、それらの1つもしくは複数の態様)に関するかのいずれかで、図示または説明されるそれらの要素の任意の組合せまたは並べ替えを使用する例(または、それらの1つもしくは複数の態様)を企図する。
【0121】
本明細書では、「a」または「an」という用語は、特許文献において一般的であるように、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」の任意の他のインスタンスまたは使用から独立して、1つまたは2つ以上を含めるために使用される。本明細書では、「または(or)」という用語は、別段に規定されていない限り「AまたはB」が「AただしBでない」、「BただしAでない」、および「AおよびB」を含むような、非排他的なorを参照するために使用される。本明細書では、「含むこと(including)」および「in which」という用語は、「備えること(comprising)」および「wherein」というそれぞれの用語の平易な英語の均等物として使用される。また、以下の請求項では、「含むこと(including)」および「備えること(comprising)」という用語は、オープンエンドであり、すなわち、請求項の中でそのような用語の後に列挙されたものに加えて要素を含むシステム、デバイス、項目、組成、公式化、またはプロセスは、やはりその請求項の範囲内に入るものと見なされる。その上、以下の請求項では、「第1の」、「第2の」、および「第3の」などという用語は、ラベルとして使用されるにすぎず、それらの対象物に数値要件を強いることを意図しない。
【0122】
上の説明は、限定的でなく例示的であることを意図する。たとえば、上記で説明した例(または、それらの1つもしくは複数の態様)は、互いに組み合わせて使用され得る。上の説明を検討すると、当業者などによって他の実施形態が使用され得る。本要約書は、技術的開示の性質を読者が迅速に確認することを可能にするために、米国連邦規則法典第37巻セクション1.72(b)に適合するように提供される。それは、請求項の範囲または意味を解釈または限定するためには使用されないという理解とともに提出される。また、上の発明を実施するための形態では、本開示を合理化するために様々な特徴が一緒にグループ化され得る。このことは、特許請求されない開示された特徴が、任意の請求項に必須であることを意図するものとして、解釈されるべきでない。むしろ、本発明の主題は、開示される特定の実施形態のすべての特徴よりも小さくあり得る。したがって、以下の請求項は、本明細書によって、発明を実施するための形態の中に例または実施形態として組み込まれ、各請求項が別個の実施形態としてそれ自体に基づき、そのような実施形態が様々な組合せまたは並べ替えをなして互いに組み合わせられ得ることが企図される。本発明の範囲は、そのような請求項がそれに対して権利を与えられる均等物の完全な範囲と一緒に、添付の請求項に関して決定されるべきである。
【0123】
(実施例)
実施例1は、外科用システムにおいて照明光源を特定する方法であり、方法は、ターゲットが照明光源によって照明された後、ターゲットから信号を受信するステップと、受信された信号の分光分析を実行するステップと、分光分析に少なくとも部分的に基づいて、照明光源の特性を決定するステップとを備える。
【0124】
実施例2では、実施例1の主題は、分光分析を、様々な光タイプおよび/またはターゲットの様々な物質に対する分光情報を含むデータベース情報と比較することを随意に含み、照明光源の特性の決定は、分光分析の比較に少なくとも部分的に基づく。
【0125】
実施例3では、実施例2の主題は、分光分析が、受信された信号の強度またはスペクトルのうちの少なくとも1つを、データベース情報内に位置する、ターゲットからの様々なタイプの照明光源に関連する強度またはスペクトルと比較することを備えることを、随意に含む。
【0126】
実施例4では、実施例2~3のうちのいずれか1つまたは複数の主題は、ターゲットが、光吸収なしに照明光を反射するように構成されたテストターゲットを備えることを、随意に含む。
【0127】
実施例5では、実施例2~4のうちのいずれか1つまたは複数の主題は、照明光源が、キセノン光源およびLED光源のうちの少なくとも1つを備えることを、随意に含む。
【0128】
実施例6では、実施例2~5のうちのいずれか1つまたは複数の主題は、インターネットに接続されたサーバからデータベース情報を取り出すことを随意に含む。
【0129】
実施例7では、実施例6の主題は、データベース情報が人工知能エンジンを備えることを、随意に含む。
【0130】
実施例8では、実施例1~7のうちのいずれか1つまたは複数の主題は、特定された照明光源に基づいて組織の分光分析を改善するように照明光源のパラメータまたは特性のうちの少なくとも1つを調整することを随意に含む。
【0131】
実施例9では、実施例8の主題は、パラメータが、輝度、電力、波長、および強度のうちの少なくとも1つを含み、特性が、照明光源のタイプを含むことを、随意に含む。
【0132】
実施例10では、実施例1~9のうちのいずれか1つまたは複数の主題は、照明光を用いて解剖学的組織を照明することと、照明光の反射の分光分析を実行することと、分光分析を用いて解剖学的組織の特性を決定することとを随意に含む。
【0133】
実施例11では、実施例10の主題は、特性が、解剖学的組織のタイプ、物質、組成、組成プロファイル、構造、および/または硬さのうちの1つまたは複数を含むことを、随意に含む。
【0134】
実施例12では、実施例10~11のうちのいずれか1つまたは複数の主題は、解剖学的組織のタイプに基づいて解剖学的組織の治療を改善するように治療光源のパラメータまたは特性のうちの少なくとも1つを調整することを随意に含む。
【0135】
実施例13は、ターゲットを治療する方法であり、ターゲットが照明光源によって照明された後、ターゲットから信号を受信することと、受信された信号の分光分析を実行することと、分光分析に少なくとも部分的に基づいて、照明光源の第1の特性およびターゲットの第2の特性を決定することと、照明光源およびターゲットの決定された特性に少なくとも部分的に基づいて、ターゲットを治療するために外科用システムを操作することとを備える。
【0136】
実施例14では、実施例13の主題は、外科用システムを操作することが、外科用システムの動作モード、電力もしくはエネルギー、パルス形状プロファイル、放出パルスレジーム、および/または結合出力パルス列を含む、1つまたは複数のパラメータを生成または調整することを備えることを、随意に含む。
【0137】
実施例15では、実施例14の主題は、1つまたは複数のパラメータを調整することが、コントローラによって自動的に実行されることを、随意に含む。
【0138】
実施例16では、実施例14~15のうちのいずれか1つまたは複数の主題は、1つまたは複数のパラメータを調整することが、照明光源への提案された調整を受諾するようにユーザを促すことを備えることを、随意に含む。
【0139】
実施例17では、実施例14~16のうちのいずれか1つまたは複数の主題は、分光分析、照明光源のパラメータ、または照明光源の特性のうちの少なくとも1つが、インターネットを介して通信されることを、随意に含む。
【0140】
実施例18では、実施例17の主題は、1つまたは複数のパラメータを生成するために人工知能エンジンを利用することを随意に含む。
【0141】
実施例19では、実施例13~18のうちのいずれか1つまたは複数の主題は、ターゲットが照明光源によって照明された後、ターゲットから信号を受信することが、テストターゲットが照明光源によって照明された後、テストターゲットから第1の信号を受信することと、解剖学的ターゲットが照明光源によって照明された後、解剖学的ターゲットから第2の信号を受信することとを備えることを、随意に含む。
【0142】
実施例20では、実施例19の主題は、受信された信号の分光分析を実行することが、照明光源によって放出される光のタイプを特定するために第1の信号の分光分析を実行することと、解剖学的ターゲットの組織の特性を特定するために第2の信号の分光分析を実行することとを備えることを、随意に含む。
【0143】
実施例21では、実施例20の主題は、特性が、組織のタイプ、物質、組成、組成プロファイル、構造、および/または硬さのうちの1つまたは複数を含むことを、随意に含む。
【0144】
実施例22では、実施例20~21のうちのいずれか1つまたは複数の主題は、テストターゲットが反射面を備え、照明光源がキセノン光源またはLED光源を備えることを、随意に含む。
【0145】
これらの非限定的な例の各々は、それ自体に基づくことができるか、あるいは様々な並べ替えまたは他の例のうちの1つもしくは複数との組合せをなして組み合わせられ得る。
【符号の説明】
【0146】
100 外科用システム
102 外科用器具
104 レーザーシステム
106 イメージングシステム
108 分光システム
110 フィードバック制御システム
112 フィードバック分析器
114 人工知能(AI)エンジン
116 モノのインターネット(IOT)
118 クラウド
120 送達システム
122 レーザーモジュール
124 レーザーコントローラ
125 レーザー結合システム
126 光源
128 カメラモジュール
130 患者
140 光ビーム
142 反射照明光ビーム
144 レーザービーム
146 結合レーザービーム
148 治療レーザー
150 反射レーザービーム
152 分光器信号
154 データ信号
156 信号
158 信号
160 光信号
162 レーザー信号
170 テストターゲット
172 反射光ビーム
300 臨床決定サポートシステム(CDSS)
302 入力インターフェース
304 AIモデル
306 出力インターフェース
308 データベース
400 レーザー治療システム
402 内視鏡
404 レーザーファイバー
410 フィードバック制御型レーザー治療システム
411 分光計
412 フィードバック分析器
413 レーザーコントローラ
416 内視鏡カメラモジュール
418 ワーキングチャネル
420 レーザー源
422 解剖学的ターゲット
425 照明光源
430 分光光源
450 イメージング信号
470 反射分光信号
480 ユーザ入力システム
482 ディスプレイ
484 ユーザインターフェース
485 信号
486 推奨
488 入力
600 マシン
602 ハードウェアプロセッサ
604 メインメモリ
606 スタティックメモリ
608 インターリンク
610 ディスプレイユニット
612 英数字入力デバイス
614 ユーザインターフェース(UI)ナビゲーションデバイス
616 記憶デバイス
618 信号生成デバイス
620 ネットワークインターフェースデバイス
621 センサ
622 機械可読媒体
624 命令
626 通信ネットワーク
628 出力コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6