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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】複数車線の曲がり角における車両の制御
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20241113BHJP
   B60W 30/10 20060101ALI20241113BHJP
   B60W 50/00 20060101ALI20241113BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20241113BHJP
【FI】
G08G1/16 D
B60W30/10
B60W50/00
B60W60/00
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023065302
(22)【出願日】2023-04-13
(62)【分割の表示】P 2021518953の分割
【原出願日】2019-10-10
(65)【公開番号】P2023100652
(43)【公開日】2023-07-19
【審査請求日】2023-05-08
(31)【優先権主張番号】16/165,114
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】317015065
【氏名又は名称】ウェイモ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル,ジャレッド,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】グートマン,ジェンズ-ステフェン,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】サン,ペイ
【審査官】宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-120476(JP,A)
【文献】特開2014-151838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数車線の曲がり角において自律型車両を制御する方法であって、
1つ以上のプロセッサによって、前記複数車線の曲がり角の車線内における少なくとも1つの他の車両であって、前記自律型車両に対する後方周囲車両を含む前記少なくとも1つの他の車両の位置に対する前記自律型車両の位置および前記自律型車両の軌道に対応するデータを受信することと、
前記少なくとも1つの他の車両の前記位置に対する前記自律型車両の前記位置に基づいて、前記自律型車両が前記複数車線の曲がり角の内側車線内に位置しており、前記少なくとも1つの他の車両が前記内側車線よりも外側の隣接車線内に位置していると判定することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記複数車線の曲がり角において前記自律型車両が前記少なくとも1つの他の車両に対して互い違いの位置にあるように、前記自律型車両と前記少なくとも1つの他の車両との間の距離を判定することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記複数車線の曲がり角において前記互い違いの位置を維持するために、前記距離に基づいて、前記自律型車両の前記軌道を調整することと、
前記調整された軌道に基づいて、前記複数車線の曲がり角において前記自律型車両を制御することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの他の車両は、前記少なくとも1つの他の車両が前記自律型車両に対して前方周囲車両であるように、前記自律型車両の前に位置している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記距離は、固定された停止範囲に基づいて維持される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記自律型車両の速度および加速度は、前記自律型車両の前記少なくとも1つの他の車両に対する前記互い違いの位置を維持するように調整される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記自律型車両の前記速度および加速度は、前記自律型車両と前記少なくとも1つの他の車両との間の前記距離に基づいて調整される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記自律型車両が前記固定された停止範囲内にある場合、前記自律型車両は、前記後方周囲車両と前記自律型車両との間の適切な距離に到達するまで加速する、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの他の車両が前記前方周囲車両を含み、前記自律型車両が前記固定された停止範囲内にある場合、前記自律型車両は、前記前方周囲車両と前記自律型車両との間の適切な距離に到達するまで減速する、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記自律型車両の前記軌道を調整することは、前記複数車線の曲がり角において継続的に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの他の車両の前記軌道は、前記自律型車両上の撮像センサによって追跡される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
複数車線の曲がり角において自律型車両を制御するシステムであって、前記システムは、
1つ以上のプロセッサを備え、前記1つ以上のプロセッサは、
前記複数車線の曲がり角の車線内における少なくとも1つの他の車両の位置に対する前記自律型車両であって、前記自律型車両に対する後方周囲車両を含む前記少なくとも1つの他の車両の位置および前記自律型車両の軌道に対応するデータを受信し、
前記少なくとも1つの他の車両の前記位置に対する前記自律型車両の前記位置に基づいて、前記自律型車両が前記複数車線の曲がり角の内側車線内に位置しており、前記少なくとも1つの他の車両が前記内側車線よりも外側の隣接車線内に位置していると判定し、
前記複数車線の曲がり角において前記自律型車両が前記少なくとも1つの他の車両に対して互い違いの位置にあるように、前記自律型車両と前記少なくとも1つの他の車両との間の距離を判定し、
前記複数車線の曲がり角において前記互い違いの位置を維持するために、前記距離に基づいて、前記自律型車両の前記軌道を調整し、
前記調整された軌道に基づいて、前記複数車線の曲がり角において前記自律型車両を制御する、ように構成される、システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの他の車両は、前記少なくとも1つの他の車両が前記自律型車両に対して前方周囲車両であるように、前記自律型車両の前に位置している、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記距離は、固定された停止範囲に基づいて維持される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記自律型車両の速度および加速度は、前記自律型車両の前記少なくとも1つの他の車両に対する前記互い違いの位置を維持するように調整される、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記自律型車両の前記速度および加速度は、前記自律型車両と前記少なくとも1つの他の車両との間の前記距離に基づいて調整される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記自律型車両が前記固定された停止範囲内にある場合、前記自律型車両は、前記後方周囲車両と前記自律型車両との間の適切な距離に到達するまで加速する、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記少なくとも1つの他の車両が前記前方周囲車両を含み、前記自律型車両が前記固定された停止範囲内にある場合、前記自律型車両は、前記前方周囲車両と前記自律型車両との間の適切な距離に到達するまで減速する、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記自律型車両の前記軌道を調整することは、前記複数車線の曲がり角において継続的に行われる、請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
前記少なくとも1つの他の車両の前記軌道は、前記自律型車両上の撮像センサによって追跡される、請求項10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年10月19日に出願された出願第16/165,114号の優先権を主張し、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
人間の運転者を必要としない車両などの自律型車両が、ある場所から別の場所への搭乗者または物品の輸送を支援するために使用される場合がある。そのような車両では、ピックアップ場所や目的地などのいくつかの初期入力を搭乗者が提供でき、自律型車両が自らを操作してその場所へと移動する、完全自律モードで動作できる。これを安全に行うために、これらの車両は、環境内の物体を検出および識別し、それらに迅速に対応できる必要がある。通常、これらの物体は、LIDAR、レーダ、カメラなどのセンサが認識できる情報から識別される。
【0003】
場合によっては、自律型車両を目的地まで安全に操作するには、自律型車両の近くにある他の車両を検出して識別することが最も重要である。例えば、自律型車両の軌道は、当該自律型車両の周りを走行する他の車両の動作によって影響を受ける可能性がある。したがって、このような動作を検出して応答できることは、安全で効果的な自律運転体験を確実にするために特に重要であり得る。
【発明の概要】
【0004】
本技術は、一般に、複数車線の曲がり角において自律型車両を制御する方法に関連する。方法は、1つ以上のプロセッサによって、複数車線の曲がり角の車線内における前記自律型車両の位置および前記自律型車両の軌道に対応するデータを受信することと、前記1つ以上のプロセッサによって、前記自律型車両の近くの物体の位置に対応するデータを受信することと、前記物体の位置に対する前記車線内の前記自律型車両の位置に基づいて、前記自律型車両が前記車線内の先頭車両として位置しているか、または前記車線内の別の車両の後ろに位置しているかを判定することと、前記自律型車両が前記車線内の先頭車両として位置しているか、または前記車線内の別の車両の後ろに位置しているかに基づいて、前記車線を通る前記自律型車両の前記軌道を1つ以上のプロセッサによって調整することと、前記調整された軌道に基づいて、前記複数車線の曲がり角において前記自律型車両を制御することと、を含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、前記自律型車両の前記位置を、前記車線内の先頭車両として位置していると判定した場合、前記車線を通過した1つ以上の車両の以前の軌道に対応する履歴データに基づいて軌道を調整してもよい。いくつかの例では、前記履歴データは、前記自律型車両の以前の軌道に対応してもよい。場合によっては、前記履歴データに基づいて前記軌道を調整することは、前記自律型車両の前記軌道に対する前記以前の軌道の平均横方向変位を決定することと、前記自律型車両の前記軌道を前記平均横方向変位によって調整することと、を含んでもよい。いくつかの実施形態では、前記平均横方向変位は、前記軌道の左右方向への所定の距離に制限されてもよい。
【0006】
いくつかの実施形態では、前記自律型車両が前記別の車両の後ろに位置していると判定した場合、前記別の車両の軌道に基づいて前記軌道を調整してもよい。いくつかの例では、前記別の車両の前記軌道は、前記自律型車両の撮像センサによって追跡されてもよい。場合によっては、前記調整された軌道は、前記軌道の左右への所定の距離によって制限されてもよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、前記自律型車両の前記軌道を調整することは、前記複数車線の曲がり角において継続的に行われる。
【0008】
いくつかの実施形態では、前記自律型車両が複数の車両の後ろに位置していると判定した場合、前記複数車線の曲がり角において前記複数の車両の軌道に基づいて前記軌道を調整する。
【0009】
本技術の別の態様は、複数車線の曲がり角において自律型車両を制御するシステムに関連する。前記システムは、1つ以上のプロセッサを備え、前記1つ以上のプロセッサは、前記複数車線の曲がり角の車線内における前記自律型車両の位置に対応するデータを受信し、前記自律型車両の近くの物体の位置に対応するデータを受信し、前記物体の位置に対する前記車線内の前記自律型車両の位置に基づいて、前記自律型車両が前記車線内の先頭車両として位置しているか、または前記車線内の別の車両の後ろに位置しているかを判定し、前記自律型車両が前記車線内の先頭車両として位置しているか、または前記車線内の別の車両の後ろに位置しているかに基づいて、前記車線を通る前記自律型車両の前記軌道を1つ以上のプロセッサによって調整し、前記調整された軌道に基づいて、前記複数車線の曲がり角において前記自律型車両を制御する、ように構成される。
【0010】
場合によっては、前記1つ以上のプロセッサは、前記自律型車両の前記位置を、前記車線内の先頭車両として位置していると判定した場合、前記車線を通過した1つ以上の車両の以前の軌道に対応する履歴データに基づいて前記軌道を調整するようにさらに構成されてもよい。いくつかの例では、前記履歴データは、前記自律型車両の以前の軌道に対応する。
【0011】
場合によっては、前記履歴データに基づいて前記軌道を調整することは、前記自律型車両の前記軌道に対する前記以前の軌道の平均横方向変位を決定することと、前記自律型車両の前記軌道を前記平均横方向変位によって調整することと、を含む。いくつかの例では、前記平均横方向変位は、前記軌道の左右への所定の距離に制限されてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記1つ以上のプロセッサは、前記自律型車両が前記別の車両の後ろに位置していると判定した場合、前記別の車両の軌道に基づいて前記軌道を調整するようにさらに構成されてもよい。いくつかの例では、前記別の車両の前記軌道は、前記自律型車両の撮像センサによって追跡されてもよい。場合によっては、前記調整された軌道は、前記軌道の左右への所定の距離によって制限されてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記自律型車両の前記軌道を調整することは、前記複数車線の曲がり角において継続的に行われてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記1つ以上のプロセッサは、前記自律型車両が複数の車両の後ろに位置していると判定した場合、前記複数車線の曲がり角において前記複数の車両の軌道に基づいて前記軌道を調整するようにさらに構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本開示の態様による例示的な車道を示す図である。
【0016】
図2図2は、本開示の態様による例示的な車両の機能図である。
【0017】
図3図3は、本開示の態様による車両の例示的な代表図である。
【0018】
図4A図4Aは、本開示の態様による、自律型車両が通過している、マップ情報に対応する車道の区画を示す例示的な図である。
図4B図4Bは、本開示の態様による、自律型車両が通過している、マップ情報に対応する車道の区画を示す例示的な図である。
【0019】
図5図5は、本開示の態様による自律型車両の代替軌道を示す例示的な図である。
【0020】
図6図6は、本開示の態様による別の車両の軌道をたどる自律型車両を示す例示的な図である。
【0021】
図7図7は、本開示の態様による、交差点を通過する2台の車両の例示的な図である。
【0022】
図8図8は、本開示の態様による、周囲車両に対して自律型車両を互い違いにする例示的な図である。
【0023】
図9図9は、本開示の態様による、周囲車両に近づきすぎて走行する自律型車両を示す例示的な図である。
【0024】
図10図10は、本開示の態様による、周囲車両に近づきすぎて走行する自律型車両を示す例示的な図である。
【0025】
図11図11は、本開示の態様による、周囲車両に近づきすぎて走行する自律型車両を示す例示的な図である。
【0026】
図12図12は、本開示の態様によるフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
概要
本技術は、複数車線の曲がり角における自律型車両の制御に関連する。この点で、複数車線の曲がり角、すなわち、2車線または3車線の左折または右折車線などを通過する場合、運転者が角に沿って曲がらなかったり、車線境界線を越えたりすることがよくある。例えば、図1は、2車線の左折車線160の内側車線161を車両101が、外側車線162を車両102が走行している、車道100の部分を示している。外側車線162を走行する車両102は、内側車線161に侵入し、内側車線161を走行する車両101の経路に侵入する。車両102に衝突することを回避するために、車両101はその軌道を調整することを強制される場合がある。車両101などの車両は、隣接する車線を走行する車両に割り込まれるたり、現在の軌道から押し出されたりすることがよくある。このような問題は自律型車両において大きくなる。自律型車両は、車両が位置している車線内の軌道をたどるようにプログラムされている可能性があるためである。このように、自律型車両が複数車線の曲がり角を曲がっている最中に、自律型車両が他の車両によって「割り込まれた」または「挟まれた」場合、回避行動が必要となる場合がある。このような回避行動は、自律型車両の搭乗者に不快または危険な状態をもたらす可能性がある。
【0028】
これらの問題に対処するために、自律型車両が複数車線の曲がり角を通過するときに、当該自律型車両の動作と軌道を調整してもよい。軌道は、他の車両に対する自律型車両の位置に基づいて、または複数車線の曲がり角を通過する車両の履歴データに基づいて、調整してもよい。これに関して、自律型車両は、複数車線の曲がり角を通過する場合、他の車両と相対的にいくつかの位置にある可能性がある。例えば、一連の車両の先頭の車両、一連の車両の最後の車両、車両の間、などである。例えば、自律型車両が一連の車両の先頭に位置するとき、当該自律型車両の軌道は、車両が複数車線の曲がり角を通過した以前の経路に対応する履歴データに基づいて、代替軌道をたどってもよいように調整されてもよい。自律型車両が他の車両の間または後ろに位置する場合、自律型車両の軌道は、前に位置する車両の軌道をたどるように調整してもよい。
【0029】
履歴データは、自律型車両または他の車両が複数車線の曲がり角を通過した以前の経路で構成されてもよく、自律型車両の標準軌道を変更するために監視および使用されてもよい。この履歴データに基づいて、自律型車両の標準軌道の代わりに代替軌道をたどって、曲がり角を通過する車両の以前の軌道により近くすることができる。場合によっては、自律型車両が安全な動作軌道から大きく外れるのを防ぐために、代替軌道が制限されることがある。
【0030】
自律型車両に隣接する車線を車両が走行している場合、自律型車両は、隣接する車両に対して互い違いになるように軌道を調整して、隣接する車両の運転者に対する視認性を高めてもよい。言い換えれば、自律型車両は、隣接する車線の車両が自律型車両を見ることができるように、隣接する車線の車両の間にあるようにそれ自体を継続的に位置づけてもよい。
【0031】
自律型車両が隣接車線の車両に対して互い違いの位置を維持できない場合、自律型車両は周囲車両の1つより先に行くか、またはその車両を先に行かせてもよい。先に行くか行かせるかの決定は、搭乗者の快適さのレベルに基づいて行ってもよく、先に行くか行かせる操作が搭乗者に過度の不快感をもたらさないようにする必要がある。
【0032】
本明細書に記載する特徴により、複数車線の曲がり角における自律型車両の改善された安全な走行が可能になる。これに関して、本明細書に記載の特徴は、急ブレーキや急ハンドルなどの回避操作が回避され得るので、自律型車両の搭乗者により快適な右左折状態を提供する。さらに、複数車線の曲がり角を通過しているときに運転者から自律型車両が見えないリスクを減らすために、自律型車両が周囲車両からよりよく見えるように位置づけてもよい。さらに、複数車線の曲がり角における自律型車両の動きを、より人間の運転者に典型的な動きにしてもよく、周囲車両の運転者が自律型車両の動きをより簡単に予測できるようにしてもよい。
例示的なシステム
【0033】
図2に示すように、本開示の一態様による車両201は、様々な構成要素を含む。本開示のある態様は、特定のタイプの車両と関連して特に有用であり、車両は、自動車、トラック、オートバイ、バス、レクリエーション用車両などを含むがこれらに限定されない任意のタイプの車両でもよい。車両は、1つ以上のコンピューティングデバイス、例えば、1つ以上のプロセッサ220、メモリ230、および汎用コンピューティングデバイスに典型的に存在する他の構成要素を含む、コンピューティングデバイス210を有してもよい。
【0034】
メモリ230は、1つ以上のプロセッサ220によってアクセス可能な情報を記憶し、その情報には、プロセッサ220によって実行または別様に使用され得る命令234およびデータ232が含まれる。メモリ230は、プロセッサによってアクセス可能な情報を記憶することができる任意のタイプのメモリであってもよく、それらには、コンピューティングデバイス可読媒体、またはハードドライブ、メモリカード、ROM、RAM、DVD、もしくは他の光ディスク、ならびに他の書き込み可能および読み取り専用メモリなどの電子デバイスを用いて読み取ることができるデータを記憶する他の媒体が含まれる。システムおよび方法は、上記の異なる組み合わせを含み得、それによって、命令およびデータの様々な部分が、様々なタイプの媒体に記憶される。
【0035】
命令234は、プロセッサにより直接的に(マシンコードなど)または間接的に(スクリプトなど)実行される任意の組の命令であってもよい。例えば、命令は、コンピューティングデバイス可読媒体上のコンピューティングデバイスコードとして記憶されてもよい。その点において、「命令」および「プログラム」という用語は、本明細書では、区別なく使用され得る。命令は、プロセッサによる直接的な処理のためのオブジェクトコード形式で、または要求に応じて解釈されるか、もしくは予めコンパイルされるスクリプトもしくは独立したソースコードモジュールの集合を含む、任意の他のコンピューティングデバイス言語で記憶されてもよい。命令の機能、方法、およびルーチンについては、以下でさらに詳細に説明される。
【0036】
データ232は、命令234に従ってプロセッサ220によって検索、記憶、または修正されてもよい。例えば、特許請求の範囲の主題は、いかなる特定のデータ構造にも限定されないが、データは、コンピューティングデバイスレジスタ内に、すなわち、複数の異なるフィールドおよびレコードを有する表、XMLドキュメント、またはフラットファイルとしてリレーショナルデータベース内に記憶されてもよい。データはまた、任意のコンピューティングデバイス可読形式でフォーマットされてもよい。
【0037】
プロセッサ220は、市販されているCPUなどの任意の1つ以上の従来のプロセッサであってもよい。あるいは、1つ以上のプロセッサは、ASICまたは他のハードウェアベースプロセッサなどの専用デバイスであってもよい。図2は、プロセッサ、メモリ、およびコンピューティングデバイス210の他の要素を同じブロック内にあるものとして機能的に例示するが、プロセッサ、コンピューティングデバイス、またはメモリは、実際には、同じ物理的な筐体内に記憶されてもされなくてもよい、複数のプロセッサ、コンピューティングデバイス、またはメモリを含むことができることは、当業者により、理解されるであろう。例えば、メモリ230は、ハードドライブ、および/またはコンピューティングデバイス210の筐体とは異なる筐体内に位置する他のストレージ媒体であってもよい。したがって、プロセッサまたはコンピューティングデバイスへの言及は、並列に動作してもしなくてもよいプロセッサまたはコンピューティングデバイスまたはメモリの集合体への言及を含むことが理解されよう。
【0038】
コンピューティングデバイス210は、上述したプロセッサおよびメモリ、ならびに1つ以上のユーザ入力装置250(例えば、マウス、キーボード、タッチスクリーン、および/またはマイクロフォン)ならびに様々な電子ディスプレイ(例えば、スクリーンを有するモニタ、または情報を表示するように動作可能である任意の他の電気デバイス)などの、コンピューティングデバイスと関連して通常使用される全ての構成要素を含んでもよい。この例では、車両は、内部電子ディスプレイ252、ならびに1つ以上のスピーカ254を含み、情報または視聴覚体験を提供する。これに関して、ディスプレイ252は、車両201の車室内に配置されてもよく、コンピューティングデバイス210によって使用されて、車両201内またはその周辺にいる搭乗者や保守担当者に情報を提供してもよい。
【0039】
コンピューティングデバイス210はまた、以下に詳細に説明するクライアントコンピューティングデバイスおよびサーバコンピューティングデバイスなど他のコンピューティングデバイスとの通信を容易にするために、1つ以上の無線ネットワーク接続256を含んでもよい。無線ネットワーク接続には、ブルートゥース、ブルートゥースローエネルギー(LE)、携帯電話接続などの短距離通信プロトコル、ならびにインターネット、World Wide Web、イントラネット、仮想プライベートネットワーク、ワイドエリアネットワーク、ローカルネットワーク、1つ以上の企業専有の通信プロトコルを使用するプライベートネットワーク、イーサネット、WiFi、およびHTTPを含む様々な構成およびプロトコル、ならびにそれらの様々な組み合わせが含まれてもよい。車両201のコンピューティングデバイス210はまた、さらなる地図または知覚データを含むか格納するコンピューティングデバイスなどの、他のコンピューティングデバイス(図示せず)との間で情報を送受信してもよい。
【0040】
一例では、コンピューティングデバイス210は、車両201に組み込まれた自律運転コンピューティングシステムのコンピューティングデバイスを制御してもよい。この自律運転コンピューティングシステムは、メモリ230に格納されたプライマリ車両制御コードに従って車両201の動きを制御するために、車両の様々な構成要素と通信することが可能であってもよい。例えば、コンピューティングデバイス210は、メモリ230の命令234に従って車両201の移動、速度などを制御するために、減速システム260、加速システム262、ステアリングシステム264、シグナリングシステム266、ナビゲーションシステム268、測位システム270、知覚システム272、および動力システム274(すなわち、車両のエンジンまたはモータ)などの、車両201の様々なシステムと通信してもよい。また、これらのシステムは、コンピューティングデバイス210の外部にあるものとして示されているが、実際には、これらのシステムもまた、ここでも、車両201を制御するための自律運転コンピューティングシステムとして、コンピューティングデバイス210の中に組み込まれてもよい。
【0041】
一例として、コンピューティングデバイス210は、車両の速度を制御するために、車両のブレーキ、アクセルペダル、および/またはエンジンもしくはモータなど、減速システム260および/または加速システム262の1つ以上のアクチュエータやその他の構成要素と相互作用してもよい。同様に、ステアリングホイール、ステアリングシャフト、ならびに/またはラックアンドピニオンシステムのピニオンおよびラックなど、ステアリングシステム264の1つ以上のアクチュエータまたはその他の構成要素が、車両201の方向を制御するために、コンピューティングデバイス210によって使用されてもよい。例えば、車両201が自動車またはトラックのように道路で使用するように構成されている場合、ステアリングシステムは、車両の向きを変えるための車輪の角度を制御する1つ以上のアクチュエータまたはその他のデバイスを含んでいてもよい。シグナリングシステム266は、例えば、必要に応じて方向指示器またはブレーキライトを点灯させることによって、車両の意図を他の運転者または車両に伝えるために、コンピューティングデバイス210によって使用されてもよい。
【0042】
ナビゲーションシステム268は、ある場所までのルートを決定して、たどるために、コンピューティングデバイス210によって使用されてもよい。これに関して、ナビゲーションシステム268および/またはデータ232は、詳細な地図/道路地図情報、例えば、車道の形状および標高、車線境界線、交差点、横断歩道、速度制限、交通信号、建物、標識、リアルタイム交通情報、植生、または他のそのような物体および情報を識別する高精密地図を格納してもよい。例えば、図4Aは、交差点402に近接する様々な道路特徴の形状、位置、および他の特性を識別する例示的な地図情報を示す、車道400の部分を示している。この例では、地図情報に対応する車道400の部分は、車線マーカー410~414、停止線425、横断歩道430、432、歩道440、信号機420、422、車線マーキング471、472、473、の形状と位置を定義する情報、および車線461、462、465、466の交通の形状と方向などを含む。車道400の部分は、地図情報に含まれるいくつかの道路の特徴を示している。地図情報には、例えば、車線ライン、路肩エリア、交差点、車線と方位など、車道の追加の特徴が含まれてもよい。地図情報はまた、停止標識、譲れ標識、鉄道線路、踏切、制限速度標識、道路標識、スピードバンプなどの他の様々な道路特徴を識別してもよい。車道400の部分には示されていないが、地図情報はまた、制限速度やその他の法的交通要件、例えば停止標識の場所や交通信号の状態に応じてどの車両が優先されるかなど、を識別する情報を含んでもよい。
【0043】
本明細書では、車道400の部分に対応する詳細な地図情報は、画像ベースの地図として描かれているが、地図情報は、完全に画像ベース(例えば、ラスタ)である必要はない。例えば、詳細な地図情報は、1つ以上の道路グラフ、または道路、車線、交差点、およびこれらの特徴間の接続などの情報のグラフネットワークを含み得る。各特徴は、グラフデータとして記憶されてもよく、地理的位置や、他の関連する特徴にリンクされているか否か、などの情報に関連付けられてもよく、例えば停止標識が道路や交差点にリンクされてもよい。いくつかの例では、関連付けられたデータは、特定の道路グラフ特徴の効率的な検索を可能にするために道路グラフのグリッドベースのインデックスを含んでもよい。
【0044】
測位システム270は、地図上または地球上での車両の相対または絶対位置を判別するコンピューティングデバイス210によって使用されてもよい。例えば、測位システム270は、測位システムの緯度、経度、および/または高度の位置を判定するためのGPS受信機を含んでもよい。レーザを利用した位置特定システム、慣性支援GPS、またはカメラを利用した位置特定などの他の位置特定システムも、車両の位置を特定するために使用してもよい。車両の位置には、緯度、経度、高度などの絶対的な地理的位置情報の他に、すぐ周りの他の車両に対する位置などの相対的な位置情報が含まれてもよく、これは、多くの場合、絶対的な地理的位置よりも少ないノイズで判定することができる。
【0045】
測位システム270はまた、車両の方向および速度、またはそれらの変化を判定するための加速度計、ジャイロスコープ、または別の方向/速度検出デバイスなど、コンピューティングデバイス210と通信する他のデバイスを含んでいてもよい。単なる例として、加速デバイスは、重力の方向またはそれに垂直な平面に対するピッチ、ヨー、またはロール(またはそれらの変化)を判定してもよい。このデバイスはまた、速度の増減、およびそのような変化の方向を追跡してもよい。本明細書で説明したようなデバイスの位置および方位データの提供は、コンピューティングデバイス210、他のコンピューティングデバイス、および上記の組み合わせに自動的に提供されてもよい。
【0046】
知覚システム272はまた、他の車両、車道内の障害物、交通信号、標識、樹木などの車両の外部にある物体を検出するために1つ以上の構成要素を含んでもよい。例えば、知覚システム272は、レーザ、ソナー、レーダ、カメラ、および/またはコンピューティングデバイス210が処理することができるデータを記録する任意の他の検出デバイスを含んでもよい。例えば、知覚システム272は、レーザ、ソナー、レーダ、カメラ、および/または、車両内のコンピューティングデバイスによって処理され得るデータを記録する任意の他の検出デバイスを含んでもよい。場合によっては、知覚システムは、車両のルーフまたは他の便利な場所に取り付けられたレーザまたは他のセンサを含んでもよい。例えば、知覚システム272は、LIDAR、ソナー、レーダ、カメラなどの様々なセンサを使用して、物体およびそれらの位置、向き、サイズ、形状、タイプ、方向および移動速度などの特性を検出してもよい。車両がミニバンなどの乗用車である場合には、ミニバンは、ルーフまたは他の都合の良い場所に搭載されるレーザまたは他のセンサを含んでもよい。
【0047】
例えば、図3は、車両201の例示的な外観図である。この例では、ルーフトップセンサ筐体310およびドームセンサ筐体312は、1つ以上のライダセンサ、カメラ、および/またはレーダユニットを含んでもよい。さらに、車両200の前端部に配置された筐体320、ならびに車両の運転者側および搭乗者側の筐体330、332は、それぞれライダセンサを格納してもよい。例えば、筐体330は、運転者ドア360の前部に位置している。車両201はまた、これも車両201のルーフ上に位置するレーダユニットおよび/またはカメラのための筐体340、342を含む。追加のレーダユニットおよびカメラ(図示せず)が、車両201の前端および後端に、および/またはルーフもしくはルーフトップセンサ筐体310に沿った他の位置に設置されてもよい。これに関して、筐体310、312、320、330、332、340、および342のそれぞれは、センサ筐体と見なしてもよく、前述のセンサのいずれかまたは全ては、車両の知覚システム272の一部と見なしてもよい。
【0048】
コンピューティングデバイス210は、様々なシステム構成要素から受信したデータに基づいて、自律型車両201の様々な構成要素に命令を送信することによって、自律型車両201の方向、速度、加速度などを制御してもよい。例えば、コンピューティングデバイスは、地図情報およびナビゲーションシステムからのデータを使用して、自律型車両を目的地に完全に自律的にナビゲートしてもよい。コンピューティングデバイスは、測位システムを使用して自律型車両の位置を判定し、その位置に安全に到着する必要がある場合には、知覚システムを使用して物体を検出して応答してもよい。そうするために、コンピューティングデバイスは、自律型車両を、加速させ(例えば、加速システムにより、エンジンに提供される燃料または他のエネルギーを増加させることによって)、減速させ(例えば、エンジンに供給される燃料を低減させ、ギヤを切り替え、および/または減速システムにより制動をかけることによって)、方向転換させ(例えば、ステアリングシステムにより、自律型車両の前輪または後輪の向きを変えることによって)、これらの変更を合図(例えば、シグナリングシステムの方向指示器を点灯することによって)させてもよい。したがって、加速システムおよび減速システムは、自律型車両のエンジンと、自律型車両の車輪との間の様々な構成要素を含むドライブトレインの一部であってもよい。この場合も、これらのシステムを制御することにより、コンピューティングデバイス210は、地図情報およびナビゲーションシステムからのデータを使用して完全に自律的に目的地まで車両を操作するために、自律型車両のドライブトレインも制御してもよい。
例示的な方法
【0049】
上述し、図示した動作に加えて、様々な動作を説明する。以下の動作は、以下に説明する正確な順序で実行される必要がないことを理解されたい。むしろ、様々なステップは、異なる順序でまたは同時に処理されてもよく、ステップはまた、追加または省略されてもよい。さらに、自律という用語は、人間の運転者が車両の制御を引き継ぐことができる車両を含む、半自律型車両を含み得ることを理解されたい。
【0050】
複数車線の曲がり角を通過するとき、自律型車両は他の車両に対していくつかの位置にある可能性がある。例えば、自律型車両401は、車両201と比較することができ、図4Aに示すように一連の車両の先頭の車両であるか、図6おび図7にそれぞれ示すように、一連の車両の間または後方にある場合がある。本明細書に記載の例は、2車線の左折460を走行する自律型車両401を示しているが、本明細書に記載の特徴は、任意の複数車線の曲がり角に適用することができる。例えば、これらの特徴は、3車線の左折、2車線の右折、3車線の右折、1つ以上のオフセットおよび/または変位が存在する複数車線の道路の直線部分、例えば交差点の入口、出口の場所、侵入車線、出口車線、または複数の車線を持つ他のそのような道路区画に使用してもよい。
【0051】
複数車線の曲がり角を通過する他の車両に対する自律型車両の位置に応じて、自律型車両の軌道を調整してもよい。例えば、図4Aおよび図4Bの車道400の部分に示されているように、自律型車両401は、2車線の左折車線460内の車両407を含む、一連の車両の前方にある。自律型車両は、一連の車両の前方に配置されると(例えば、先頭の車両)、図4Aに示すように、1車線を曲がるときのように標準軌道480を走行できる。言い換えれば、コンピューティングデバイス210などの自律型車両のコンピューティングデバイスは、自律型車両401がその通常の動作パラメータ内で走行するように、またはむしろ、標準軌道をたどるように命令し、自律型車両が典型的な運転慣行に従って、右左折車線の中央またはほぼ中央になるようにしてもよい。
【0052】
自律型車両または他の車両が複数車線の曲がり角を通過した以前の経路に対応する履歴データが、自律型車両の標準軌道を変更するために監視および使用されてもよい。これに関して、過去の軌道、例えば、車両が走行した実際の経路、または地図情報で定義された標準運転回廊(すなわち、車両が典型的に走行する道路の部分)に対して車両が走行した実際の経路などが追跡されてもよい。他の車両または自律型車両の加速や減速などの動作も追跡してもよい。履歴データは、知覚システム272のセンサ、他の車両のセンサ、および/または複数車線の曲がり角またはその近くに配置されたセンサなどの自律型車両のセンサによって追跡してもよい。
【0053】
センサによって収集された履歴データには、2車線の左折の内側と外側の車線を通過する車両のこれらの以前の軌道が含まれてもよい。例えば、図4Bに示すように、2車線の左折の外側車線462(すなわち、より広い半径の曲がり角を有する車線)の車両403および405は、内側車線に向かって移動および/または内側車線461(すなわち、より短い半径の曲がり角を有する車線)に入り込む傾向がある。外側車線462の車両との衝突を回避するために、自律型車両401および車両407などの内側車線461を通過する車両は、通常、外側車線462に車両がない場合に通常たどるよりも鋭角に曲がることになる軌道をたどってもよい。
【0054】
この履歴データに基づいて、コンピューティングデバイス210などの車両402のコンピューティングデバイス、または他のそのようなコンピュータは、標準軌道の代わりに代替軌道をたどるべきであると決定してもよい。これに関して、自律型車両401の軌道は、その標準軌道から、曲がり角を通過する車両の以前の軌道により類似した代替軌道に調整してもよい。例えば、そして前述のように、履歴データは、外側車線462を走行する車両が、曲がる間に内側車線461に入り込む傾向があることを示す場合がある。履歴データに基づいて、コンピューティングデバイス210は、標準軌道480に対して曲がり角を通過する車両の平均横方向変位を決定してもよい。自律型車両の標準軌道480は、図4Bにさらに示すように、自律型車両の調整された軌道481が他の車両の軌道と同様になるように、平均横方向変位により厳密に従うように調整されてもよい。自律型車両の軌道は、自律型車両が複数車線の曲がり角を通過するときに継続的に調整されてもよい。次に、コンピューティングデバイス210などの自律型車両のコンピューティングデバイスは、調整された軌道481に従って自律型車両401を制御してもよい。場合によっては、平均横方向変位を決定する前に履歴データをフィルタリングして、所定の距離を超える車両軌道を標準軌道から削除してもよい。
【0055】
自律型車両が安全な動作軌道から大きく外れないように、代替軌道を制限してもよい。これに関して、自律型車両401は、曲がり角の軌道の周りの横方向の範囲によって制限されてもよい(すなわち、軌道の左および/または右への距離に制限される)。例えば、地図情報500に示すように、無制限の初期代替軌道580は、それが特定の量、例えば、標準軌道の右または左に2または3フィート、またはその程度、逸脱し、「X」で示されている範囲外である場合がある。これにより、自律型車両401および/または他の周囲車両の運転状態が危険になる可能性がある。
【0056】
これに対処するために、初期代替軌道580は、それが所定の範囲「X」内にあるように修正されてもよい。例えば、図5に示すように、無制限の初期代替軌道580は、自律型車両401が、自律型車両401と反対方向に進む車線を走行する車両の停止線425を横切る結果となる可能性がある。車両が停止線425上またはそれを超えて位置している場合があるため、初期代替軌道580は、調整された軌道581によって示すように、それが所定の範囲「X」内にあるように調整されてもよい。調整された軌道581は、自律型車両が停止線上を走行しないように、自律型車両401と停止線425との間に十分なスペースを提供してもよい。他の境界は、自律型車両の軌道上にある可能性のある車線分割器および他のそのような障害物の配置に基づいてもよい。
【0057】
代替軌道が曲がり角の各部分の標準軌道から特定の距離内にあるかどうかを決定するために、曲がり角の各部分について信頼区間を決定してもよい。言い換えれば、信頼区間は、先行車両の経路が標準経路の任意に決定された範囲内にある限り、自律型車両401が先行車両の経路をたどり、そうでなければ自律型車両がその標準経路をたどってもよいような、トレードオフを提供するように調整できるパラメータであってもよい。これに関して、曲がり角を、一連の固定または非固定の長さの間隔に細分化してもよい。全ての間隔内で、標準軌道に対する潜在的な横方向変位の分布が、履歴データを介して観察されるか、モデルを使用して生成されてもよい。変位の分布に基づいて、サンプルを生成し、95%程度などの任意の信頼区間を割り当てててもよい。代替軌道を変位のサンプルと比較して、代替軌道が、割り当てられた信頼区間を有する変位のサンプルによって定義される標準軌道から0.5メートル程度などの距離の範囲内にあることを保証してもよい。
【0058】
自律型車両が一連の車両の間または端にある場合、自律型車両は別の車両または自身の前の車両の軌道をたどってもよい。これに関して、知覚システム272などの自律型車両402の知覚システムは、自律型車両と同じ複数車線の曲がり角の車線を通過する車両の経路をリアルタイムで追跡してもよい。知覚システムによって追跡される経路に基づいて、自律型車両は同じまたは同様の軌道をたどってもよい。例えば、図6に示すように、自律型車両401は、2車線の左折460の内側車線461の、車両601と603との間に位置している。自律型車両401の知覚システム272は、車両601が車線461を通過するときに、車両601の軌道680を追跡してもよい。次に、自律型車両401は、自律型車両が2車線の左折を通過するときに、同じ軌道680をたどってもよい。場合によっては、自律型車両の軌道は、本明細書に記載のように制限されてもよい。すなわち、他の車両の軌道が制限範囲外にある場合、自律型車両が他の車両の軌道から逸脱してもよい。
【0059】
場合によっては、複数車線の曲がり角の並んだ車線にある車両の位置が互いに近すぎ、それによって他の車両の運転者に対する他の車両の視認性が低下することがある。一般的な用語では、隣接する車両は、周囲車両の運転者の「死角」にあると見なされる。このような状況では、車両の運転者が、別の車両が自分の死角にいることに気付かずに、隣接する車線に侵入する危険性が高くなる。例えば、図7に示すように、車両701は、2車線の左折460の内側車線461を通過している。車両701に隣接して(および車両710の死角内に)位置し、外側車線462の外側を通過する車両703の運転者は、車両701を見ることができず、内側車線461に侵入しようとして、車両701の前に割り込む場合がある。
【0060】
複数車線の曲がり角を通過する際のこれらの問題を回避するために、自律型車両のコンピューティングデバイスは、周囲車両に対して自律型車両を互い違いに配置してもよい。そうすることにより、自律型車両は、前後の車両の他の運転者からの視認性を向上させてもよい。例えば、図8に示すように、2車線の左折460の内側車線461を走行している自律型車両401は、隣接する外側車線462を通過している車両801と803の間にあるようにそれ自体を配置してもよい。そうすることにより、隣接する外側車線462の車両は、自律型車両401を見ることができる。さらに、隣接する外側車線462の車両に対して自律型車両401を互い違いにすることにより、衝突を回避するために、ブレーキングおよび/または加速などの作動が必要となることが少なくなる場合がある。
【0061】
自律型車両のコンピューティングデバイスは、隣接する車線内の周囲車両の位置に対する自律型車両の軌道および位置を継続的に調整してもよい。これに関して、知覚システム272などの自律型車両の知覚システムは、自律型車両401の前(前方周囲)および後ろ(後方周囲)の周囲車両の位置を追跡して、自律型車両401に対するそれらの位置を決定してもよい。自律型車両401が後方周囲車両と前方周囲車両との間で維持できる距離は、固定された停止範囲に基づいてもよい。例えば、図6を参照すると、自律型車両401のフロントバンパーは、自律型車両の前に位置する車両601のリアバンパーから1メートル程度離れていてもよい。車両603など、自律型車両の後ろにある周囲車両の場合、自律型車両401のリアバンパーは、周囲車両603のフロントバンパーから1メートル離れていてもよい。
【0062】
自律型車両のコンピューティングデバイスは、後方周囲車両と前方周囲車両との間の距離に基づいて、自律型車両の速度および/または加速度を調整して、互い違いの位置を維持してもよい。例えば、図9に示すように、2車線の左折車線460の内側車線を通過する自律型車両401が、後方の、隣接する外側車線462を通過する周囲車両903に近すぎる場合、コンピューティングデバイス210などの自律型車両のコンピューティングデバイスは、自律型車両401を加速させ、後方周囲車両との間の適切な距離に到達するまでその速度を増加させてもよい。
【0063】
自律型車両が前方周囲車両に近すぎる位置にある場合、自律型車両のコンピューティングデバイスは、自律型車両の速度を低下させ、および/または加速を低下させて、前方周囲車両が自律型車両のさらに前方に進むまで待ってもよい。例えば、図10に示すように、2車線の左折車線460の内側車線を通過する自律型車両401が、前方周囲車両1001に近すぎる場合、コンピューティングデバイス210などの自律型車両のコンピューティングデバイスは、前方周囲車両1001との間の適切な距離に到達するまで、自律型車両401を減速させ速度を落とさせてもよい。
【0064】
前方周囲車両と後方周囲車両との間の適切な間隔に達した場合、自律型車両のコンピューティングデバイスは、自律型車両の現在の速度および/または加速度を維持してもよい。
【0065】
場合によっては、前方および/または後方周囲車両により、自律型車両を互い違いに配置することができないことがある。これに関して、前方および/または後方周囲車両は、自律型車両を互い違いに配置するには互いに接近しすぎている可能性がある。このような状況では、自律型車両は周囲車両の1つより先に行くか、それを先に行かせてもよい。例えば、図11に示すように、2車線の左折車線460の外側車線462を走行する後方周囲車両1103は、前方周囲車両1101に近すぎて、自律型車両を互い違いに配置できない。これに対して、内側車線461を通過している自律型車両401は、車両の速度および/または加速を減少させることによって後方周囲車両1103を先に行かせるか(例えば、後方周囲車両が自律型車両より前の場所に移動する)、車両の速度および/または加速度を増加させることによって前方周囲車両1101の先に行ってもい(例えば、自律型車両が前方周囲車両より前の場所に移動する)。
【0066】
先に行くか行かせるかの決定は、搭乗者の快適さのレベルに基づいて行ってもよい。これに関して、コンピューティングデバイス210などのコンピューティングデバイスは、自律型車両の角軌道、その現在の速度、その現在の加速度、および周囲車両に対するその位置を監視してもよい。これらの要因に基づいて、コンピューティングデバイスは、自律型車両が前方周囲車両より先に行く場合と、自律型車両が後方周囲車両を先に行かせる場合とのどちらが搭乗者にとってより快適であるかどうかを判断してもよい。これは、自律型車両が他の車両に横方向に近づきすぎた場合、および/または自律型車両の曲がる速度が速すぎたり遅すぎたりした場合、搭乗者が不快に感じる可能性があるためである。例えば、自律型車両は、前後の車両間の車間距離、周囲車両間の横方向の分離距離、周囲車両のブレーキ動作などの要因を監視してもよい。それらの要因と、それらの要因による車両の動作への潜在的または実際の影響に基づいて、自律型車両のコンピューティングデバイスは、周囲車両より先に行くか、周囲の車両を先に行かせるか、または自律型車両の現在位置を維持するか、のどれが搭乗者にとってより快適であるかを決定してもよい。
【0067】
図12は、上記のように車両を制御するためのいくつかの例の例示的なフロー図1200を含む。この例では、フロー図のステップは、車両201のコンピューティングデバイス210のプロセッサ220など、1つ以上のコンピューティングデバイスの1つ以上のプロセッサによって実行されてもよい。例えば、ブロック1201において、1つ以上のプロセッサは、複数車線の曲がり角の車線内における自律型車両の位置および自律型車両の軌道に対応するデータを受信する。ブロック1203において、1つ以上のプロセッサは、自律型車両の近くの物体の位置に対応するデータを受信する。ブロック1205において、物体の位置に対する車線内の自律型車両の位置に基づいて、自律型車両が車線内の先頭車両として位置しているか、または車線内の別の車両の後ろに位置しているかが判定される。ブロック1207に示すように、自律型車両が車線内の先頭車両として位置しているか、または車線内の別の車両の後ろに位置しているかに基づいて、車線を通る自律型車両の軌道が1つ以上のプロセッサによって調整されてもよい。ブロック1209に示すように、自律型車両は、調整された軌道に基づいて複数車線の曲がり角において制御されてもよい。
【0068】
別段の記載がない限り、前述の代替例は、相互に排他的ではないが、独自の利点を達成するために様々な組み合わせで実施されてもよい。上述した特徴のこれらおよび他の変形および組み合わせは、特許請求の範囲によって定義される主題から逸脱することなく利用することができるので、実施形態の前述の説明は、特許請求の範囲によって定義される主題の限定としてではなく、例示として見なされるべきである。加えて、本明細書に説明された実施例、ならびに「など」、「含む」などとして表現された語句の提供は、特許請求の範囲の主題を特定の例に限定するものと解釈されるべきではなく、むしろ、それらの例は、多くの可能性のある実施形態のうちの単なる1つを例示することが意図されている。さらに、異なる図面中の同じ参照番号は、同じまたは類似の要素を特定することができる。

図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12