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特許7587632電子デバイスのための温度検知システム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】電子デバイスのための温度検知システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01K 3/06 20060101AFI20241113BHJP
【FI】
G01K3/06
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023075764
(22)【出願日】2023-05-01
(62)【分割の表示】P 2022067763の分割
【原出願日】2022-04-15
(65)【公開番号】P2023106436
(43)【公開日】2023-08-01
【審査請求日】2023-05-26
(31)【優先権主張番号】63/176,007
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/658,882
(32)【優先日】2022-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライビアー, ウィリアム ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ユー, チュンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】セグラ, ジュディース シー.
(72)【発明者】
【氏名】リ, メイ
(72)【発明者】
【氏名】ユー, シャンフェイ
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-81467(JP,A)
【文献】特開2021-12078(JP,A)
【文献】特開2019-90616(JP,A)
【文献】特開2019-29141(JP,A)
【文献】特開2013-108801(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0004065(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 3/06
G01K 13/00-13/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスであって、
内容積を少なくとも部分的に画定する筐体と、
前記内容積内に配置された第1の電気構成要素と、
前記第1の電気構成要素に近接して位置しており、前記第1の電気構成要素における第1の温度を測定するように構成された第1の温度センサと、
前記内容積内に配置された第2の電気構成要素と、
前記第2の電気構成要素に近接して位置しており、前記第2の電気構成要素における第2の温度を測定するように構成された第2の温度センサと、
前記第1の温度センサ及び前記第2の温度センサに接続されたプロセッサであって、前記第1の温度と、前記第2の温度と、前記筐体の外部の環境のタイプに少なくとも部分的に基づく調整係数とに少なくとも部分的に基づいて、前記筐体の外部の環境の温度を決定するように構成されたプロセッサと、を備える、電子デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の電子デバイスであって、前記第1の温度センサと前記第2の温度センサとのうちの少なくとも1つは、負温度特性サーミスタ、正温度特性サーミスタ、抵抗温度検出器、又は熱電対を含む、電子デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載の電子デバイスであって、
前記電子デバイスは、電源を更に備え、
前記第1の温度は、前記第1の電気構成要素が前記電源によって電力を供給されている場合に上昇する、電子デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載の電子デバイスであって、前記第1の電気構成要素と前記第2の電気構成要素とのうちの少なくとも1つは、触覚エンジン、ディスプレイアセンブリ、バッテリ、スピーカ、又はアンテナを含む、電子デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載の電子デバイスであって、前記プロセッサは、前記調整係数と、前記第1の温度と前記第2の温度とのうちの少なくとも1つについての重み付き値とを組み合わせることによって、前記筐体の外部の前記環境の前記温度を決定するように構成される、電子デバイス。
【請求項6】
請求項1に記載の電子デバイスであって、前記調整係数は、
乾燥環境に対応する第1の調整係数と、
水性環境に対応する第2の調整係数であって、前記第1の調整係数とは異なる第2の調整係数と、を含む、電子デバイス。
【請求項7】
電子デバイスであって、
内容積を少なくとも部分的に画定する筐体と、
前記内容積内に配置された電気構成要素と、
前記電気構成要素に近接して位置しており、前記電気構成要素における温度を測定するように構成された温度センサと、
前記温度センサに接続されたプロセッサであって、
補助電子デバイスから受信された校正データに基づいて前記温度から重み付き温度を決定することであって、前記校正データは、場所依存の気象データを含む、ことと、
前記重み付き温度に少なくとも部分的に基づいて、前記筐体の外部の環境の温度を決定することと、を行うように構成されたプロセッサと、を備える、電子デバイス。
【請求項8】
請求項7に記載の電子デバイスであって、前記電気構成要素は、第1の電気構成要素を含み、前記温度センサは、第1の温度センサを含み、前記温度は、第1の温度を含み、
前記電子デバイスは、
前記内容積内に配置された第2の電気構成要素と、
前記第2の電気構成要素に近接して位置しており、前記第2の電気構成要素における第2の温度を測定するように構成された第2の温度センサと、を更に備える、電子デバイス。
【請求項9】
請求項8に記載の電子デバイスであって、前記重み付き温度は、第1の重み付き温度を含み、前記プロセッサは、前記第2の温度センサに接続され、前記プロセッサは、前記第2の温度から第2の重み付き温度を決定するように構成される、電子デバイス。
【請求項10】
請求項9に記載の電子デバイスであって、前記プロセッサは、前記第2の重み付き温度に少なくとも部分的に基づいて、前記筐体の外部の前記環境の前記温度を決定するように構成される、電子デバイス。
【請求項11】
請求項7に記載の電子デバイスであって、前記重み付き温度を決定することは、前記内容積内の前記電気構成要素と前記温度センサとのうちの少なくとも1つの位置に基づく、電子デバイス。
【請求項12】
電子デバイスであって、
内容積を少なくとも部分的に画定する筐体と、
少なくとも3つの温度センサのセットと、
少なくとも3つの温度センサの前記セットに接続されたプロセッサであって、
少なくとも3つの温度センサの前記セットから、前記内容積内に配置されており、第1の温度を測定するように構成された第1の温度センサと、第2の温度を測定するように構成された第2の温度センサを選択することと、
前記第1の温度及び前記第2の温度に少なくとも部分的に基づいて、前記筐体の外部の環境の温度を決定することと、を行うように構成されたプロセッサと、を備える、電子デバイス。
【請求項13】
請求項12に記載の電子デバイスであって、前記内容積内に配置された第1の電気構成要素を更に備え、前記第1の温度センサは、前記第1の電気構成要素に近接して位置している、電子デバイス。
【請求項14】
請求項12に記載の電子デバイスであって、前記第2の温度センサは、前記内容積の外側の前記筐体の外面に貼り付けられている、電子デバイス。
【請求項15】
請求項12に記載の電子デバイスであって、前記プロセッサは、前記筐体の外部の前記環境の前記温度を決定するために、前記第1の温度と前記第2の温度とを異なるように重み付けるように構成される、電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本明細書は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれている、2021年4月16日に出願された「TEMPERATURE SENSING SYSTEMS AND METHODS FOR AN ELECTRONIC DEVICE」と題する米国仮特許出願第63/176,007号の利益を主張する。
【0002】
記載の実施形態は、概して、温度検知に関する。特に、本実施形態は、1つ以上のポータブル電子デバイスを使用する温度検知に関する。
【背景技術】
【0003】
電子デバイスは、例えばユーザがこれらのデバイスを多種多様な状況及び環境において使用することを可能にするために、デバイスの携帯性を念頭に置いて益々設計されている。実際、リチウムバッテリなどの電源は、相当な持続時間で及び多様な屋内外環境において、電子デバイスに給電することができる。プロセッサ、メモリ、アンテナ、及び他の構成要素などの電子デバイス内の構成要素は、筐体の外部の環境によって誘発される損傷又は故障から構成要素を保護するために、筐体内に密封され得る。ポータブル電子デバイスの改善及び向上が、多様な状況及び環境において追加の機能を提供するために望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本開示のいくつかの態様によれば、ポータブル電子デバイスは、内容積を画定する筐体と、ディスプレイアセンブリと、内容積内に配置された温度センサセットと、内容積内に配置されたプロセッサと、を含むことができる。プロセッサは、温度センサセットに接続されてもよく、筐体の外部の環境を判定するように構成されてもよい。プロセッサはまた、環境に相関する調整係数を判定することができる。プロセッサはまた、温度センサセットから、第1のセンサ及び第2のセンサを選択することができる。プロセッサはまた、第1のセンサによって提供された第1の信号に第1の重みを割り当てて、第1の重み付き信号を生成することができる。プロセッサはまた、第2のセンサによって提供された第2の信号に第2の重みを割り当てて、第2の重み付き信号を生成することができる。プロセッサはまた、調整係数と第1の重み付き信号及び第2の重み付き信号とに基づいて、環境の温度を判定することができる。
【0005】
いくつかの例では、第1のセンサ及び第2のセンサは、判定された環境に基づいて、温度センサセットから選択される。第1の信号及び第2の信号は、第1のセンサ及び第2のセンサを取り囲むそれぞれの領域の温度測定値を含むことができる。第1のセンサは、第1の内部構成要素に隣接して位置してもよく、第2のセンサは、第2の内部構成要素に隣接して位置してもよい。第1の重みの大きさは、環境、第1の信号、又は、内容積内の第1のセンサの位置のうちの少なくとも1つに基づいてもよい。第2の重みの大きさは、環境、第2の信号、又は、内容積内の第2のセンサの位置のうちの少なくとも1つに基づいてもよい。第1のセンサ又は第2のセンサのうちの少なくとも1つは、サーミスタであってもよい。第1のセンサ又は第2のセンサのうちの少なくとも1つは、ディスプレイアセンブリに貼り付けられてもよい。環境は、ポータブル電子デバイスを少なくとも部分的に取り囲む周囲空気、又はポータブル電子デバイスを少なくとも部分的に取り囲む水のうちの1つであってもよい。ポータブル電子デバイスは、スマートウォッチ、スマートフォン、又はタブレットコンピューティングデバイスのうちの1つであってもよい。
【0006】
いくつかの例によれば、電子デバイスが、内容積を画定する筐体と、内容積内に配置された温度センサセットと、内容積内に配置されたプロセッサと、を含むことができる。プロセッサは、温度センサセットに接続されてもよく、温度センサセットの第1のセンササブセットを選択するように構成されてもよい。プロセッサはまた、第1のセンササブセットによって検出された温度のそれぞれに個別の重みを適用して、重み付き温度を生成することができる。プロセッサはまた、筐体の外部の予測環境に相関する第1の調整係数を選択することができる。プロセッサはまた、第1の調整係数及び重み付き温度に基づいて、予測環境の第1の予測温度を判定することができる。
【0007】
いくつかの例では、プロセッサはまた、第1の予測温度を評価し、評価に基づいて、温度センサセットの第2のセンササブセットを選択し、第2のセンササブセットによって検出された温度のそれぞれに個別の重みを適用して、代替の重み付き温度を生成し、第1の調整係数及び代替の重み付き温度に基づいて、環境の第2の予測温度を判定する、ように構成されてもよい。代替的に、プロセッサは、評価に基づいて、第1のセンササブセットに基づく予測温度を確認することができる。
【0008】
いくつかの例では、プロセッサはまた、第1の予測温度を評価し、評価に基づいて、筐体の外部の予測環境に相関する第2の調整係数を選択し、第2の調整係数及び重み付き温度に基づいて、環境の第2の予測温度を判定する、ように構成されてもよい。代替的に、プロセッサは、評価に基づいて、第1のセンササブセットに基づく予測温度を確認することができる。
【0009】
いくつかの例では、プロセッサはまた、第1の予測温度を評価し、評価に基づいて、温度センサセットの第2のセンササブセットを選択し、第2のセンササブセットによって検出された温度のそれぞれに個別の重みを適用して、代替の重み付き温度を生成し、筐体の外部の予測環境に相関する第2の調整係数を選択し、第2の調整係数及び代替の重み付き温度に基づいて、環境の第2の予測温度を判定する、ように構成されてもよい。代替的に、プロセッサは、評価に基づいて、第1のセンササブセットに基づく予測温度を確認することができる。
【0010】
いくつかの例では、個別の重みの大きさは、予測環境、第1のセンササブセットの個別のセンサのそれぞれによって検出された温度、又は、第1のセンササブセットのセンサのそれぞれの内容積内のそれぞれの位置のうちの少なくとも1つに基づく。予測環境は、電子デバイスを少なくとも部分的に取り囲む周囲空気、又は電子デバイスを少なくとも部分的に取り囲む水のうちの1つであってもよい。それぞれの重み又は第1の調整係数のうちの少なくとも1つは、補助電子デバイスによってプロセッサに通信された校正データに少なくとも部分的に基づいてもよい。補助電子デバイスは、スマートサーモスタット、スマートフォン、スマートウォッチ、又はタブレットコンピューティングデバイスであってもよい。補助電子デバイスは、第1の補助電子デバイスであってもよく、プロセッサは、第1の補助電子デバイス及び第2の補助電子デバイスから校正データを受信するように構成されてもよい。
【0011】
いくつかの態様によれば、電子デバイスは、内容積を少なくとも部分的に画定する筐体と、内容積内に配置された第1の電気構成要素と、第1の温度センサと、内容積内に配置された第2の電気構成要素と、第2の温度センサと、第1の温度センサ及び第2の温度センサに接続されたプロセスと、を含むことができる。第1の温度センサは、第1の電気構成要素に近接して位置してもよく、第1の電気構成要素における温度を測定するように構成されてもよい。第2の温度センサは、第2の電気構成要素に近接して位置してもよく、第2の電気構成要素における温度を測定するように構成されてもよい。プロセッサは、調整係数と第1の温度センサ及び第2の温度センサとによって測定された温度とに基づいて、筐体の外部の環境から離れて温度を判定するように構成されてもよい。
【0012】
いくつかの例では、第1の温度センサ及び第2の温度センサのそれぞれは、負温度特性サーミスタ、正温度特性サーミスタ、抵抗温度検出器、又は熱電対のうちの1つであってもよい。電子デバイスはまた、電源を含むことができる。第1の電気構成要素が電源によって電力を供給されている間に、第1の電気構成要素に近接する温度は増加し得る。第1の電気構成要素は、ディスプレイアセンブリ、バッテリ、スピーカ、又はアンテナであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本開示は、同様の参照番号が同様の構造的要素を示す添付の図面に関連して、以下の詳細な説明によって容易に理解されよう。
【0014】
図1A】電子デバイスの斜視図である。
【0015】
図1B】電子デバイスの上部斜視図である。
【0016】
図1C】電子デバイスの底部斜視図である。
【0017】
図1D】電子デバイスの分解図である。
【0018】
図2A】環境における電子デバイスの斜視図である。
【0019】
図2B】環境における電子デバイスの斜視図である。
【0020】
図3A】環境の温度を検出するためのプロセスフロー図である。
【0021】
図3B】環境の温度を検出するためのプロセスフロー図である。
【0022】
図3C】環境の温度を検出するためのプロセスフロー図である。
【0023】
図4】環境の温度を検出することが可能であるシステムのブロック図である。
【0024】
図5】環境の温度を検出するためのプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
ここで、添付の図面に示す代表的な実施形態について詳細に説明する。以下の説明が実施形態を1つの好ましい実施形態に限定することは意図されていないことを理解されたい。反対に、以下の説明は、添付の特許請求の範囲により定義されている記載の実施形態の精神及び範囲に含まれ得る代替形態、修正形態及び均等物を網羅することが意図されている。
【0026】
以下の本開示は、電子デバイスを取り囲む環境の温度を推定又は予測するために、電子デバイス内に配置された1つ以上の温度センサを使用することができる電子デバイスに関する。1つ以上の温度センサのそれぞれは、電子デバイス内の構成要素上に又は隣接して配置されてもよく、当該構成要素の動作温度を監視するために使用されてもよい。例えば、温度センサは、プロセッサの動作温度を監視するために、電子デバイスのメインロジックボード又はプロセッサ上に配置されてもよい。本開示の一態様では、構成要素(例えばプロセッサ)の動作温度を監視するために温度センサによって取得された温度測定値はまた、外部環境の(すなわち、電子デバイスの筐体の外部の)温度を推定するために使用されてもよい。したがって、センサによって取得された単一の測定値は、センサに近接する温度及び電子デバイスの外部の温度を判定するために使用されてもよい。
【0027】
いくつかの例では、外部環境の温度を判定することは、電子デバイスの着用者又はユーザに有益であり得る。例えば、水の温度は、泳者が運動中に燃焼するカロリー数に著しく影響し得るため、泳者は、泳者が運動している水の温度を知ることを望み得る。同じことが、ハイキング、サイクリング、及び多くの他の身体活動に当てはまる。
【0028】
いくつかの例では、電子デバイスの多数の属性を表すデータを含むデータセット又はデータベースがコンパイルされてもよい。例えば、データセットは、センサの数量、及び電子デバイス内のセンサのそれぞれの個別の位置を含むことができる。データセットはまた、センサのそれぞれについての個別の温度測定値、及びそれぞれの温度測定値が取得された時の外部環境温度を含むことができる。機械学習技術は、データセットを環境のタイプ(乾燥、湿潤、水性など)及びこれらの環境の温度に相関させて、又はデータセットを環境のタイプ(乾燥、湿潤、水性など)及びこれらの環境の温度と比較して、電子デバイス内で測定された温度に基づいて、外部環境の温度を最良に又は最も正確に予測するモデルを生成するために使用され得る。換言すれば、調整係数及びスケーラは、電子デバイスの外部の環境の温度を判定するために、電子デバイスの内部の1つ以上の温度センサによって測定された温度に適用されてもよい。例えば、機械学習は、センサ測定値、重み、及び調整係数のどの組み合わせが電子デバイスの外部の環境の温度を最良に又は最も正確に推定するかを判定することができる。
【0029】
いくつかの例では、電子デバイスはポータブルであってもよく、内容積を画定する筐体を含んでもよい。電子デバイスは、内容積内に配置された温度センサセットを含むことができる。電子デバイスは、内容積内に配置されており温度センサセットに接続されているプロセッサ又はメインロジックボードを含むことができる。いくつかの例では、プロセッサは、筐体の外部の環境のタイプを判定することができ、環境のタイプに相関する調整係数を判定することができる。プロセッサは、使用可能な温度センサのセットから、第1のセンサ及び第2のセンサを選択することができる。プロセッサは、第1の温度センサによって提供された第1の信号に第1の重みを割り当てて、第1の重み付き信号を生成することができる。プロセッサは、第2の温度センサによって提供された第2の信号に第2の重みを割り当てて、第2の重み付き信号を生成することができる。本明細書に記載のとおり、プロセッサは、調整係数と第1の重み付き信号及び第2の重み付き信号とに基づいて、環境の温度を判定することができる。
【0030】
以下に、これらの実施形態及び他の実施形態について、図1A図6を参照して考察する。しかしながら、これらの図を参照して本明細書に記載されている詳細な説明は例示のみのためであり限定するとして解釈されるべきではないことが、当業者には容易に理解されよう。更に、本明細書で使用される場合、第1の選択肢、第2の選択肢、又は第3の選択肢のうちの少なくとも1つを含むシステム、方法、物品、構成要素、特徴(feature)、又は副特徴(sub-feature)は、列挙された選択肢のそれぞれを1つ(例えば、第1の選択肢を1つのみ、第2の選択肢を1つのみ、第3の選択肢を1つのみ)含んでもよく、単一の列挙された選択肢を複数(例えば、第1の選択肢を2つ以上)含んでもよく、同時に2つの選択肢(例えば、第1の選択肢を1つ、及び第2の選択肢を1つ)含んでもよく、又は、これらの組み合わせ(例えば、第1の選択肢を2つ、及び第2の選択肢を1つ)を含んでもよいシステム、方法、物品、構成要素、特徴、又は副特徴を指すとして理解されたい。
【0031】
図1Aは、電子デバイス100の例を示す。図1Aに示す電子デバイス100は、スマートウォッチなどの携帯時計である。図1Aのスマートウォッチは、本明細書に開示のシステム及び方法に関連して使用され得るデバイスの単なる代表的な一例である。電子デバイス100は、任意の形態のウェアラブル電子デバイス、ポータブルメディアプレーヤ、メディア記憶デバイス、ポータブルデジタルアシスタント(Portable Digital Assistant、「PDA」)、タブレットコンピュータ、コンピュータ、モバイル通信デバイス、GPSユニット、遠隔制御デバイス、スマートウォッチ、スマートフォン、又は他の電子デバイスに対応し得る。電子デバイス100は、電子デバイス、又は消費者デバイスと称され得る。いくつかの例では、電子デバイス100は筐体102を含むことができ、筐体102は、例えば筐体102によって少なくとも部分的に画定された内容積内に、動作構成要素を担持することができる。電子デバイス100はまた、必要に応じてデバイス100をユーザの身体に固定することができるストラップ104又は他の保持構成要素を含むことができる。電子デバイスの更なる詳細について、図1Bを参照して以下で説明する。
【0032】
図1Bは、スマートウォッチなどのデバイス200を示し、デバイス200は、電子デバイス100などの本明細書に記載のデバイスの特徴のうちのいくつか又は全てと実質的に類似してもよく、又はこれらを含んでもよい。電子デバイス200は、筐体202と、筐体202に貼り付けられたディスプレイアセンブリ204と、を含むことができる。筐体202は、デバイス200の外部面の少なくとも一部分を実質的に画定することができる。
【0033】
ディスプレイアセンブリ204は、ガラス、プラスチック、又は任意の他の実質的に透明な外部層、材料、構成要素、若しくはアセンブリを含んでもよい。ディスプレイアセンブリ204は、本明細書に記載のとおり、層のそれぞれが固有の機能を提供する複数の層を含むことができる。したがって、ディスプレイアセンブリ204は、インタフェース構成要素であってもよく、又はインタフェース構成要素の一部分であってもよい。ディスプレイアセンブリ204は、デバイス200の前外部面を画定することができ、本明細書に記載のとおり、この外部面はインタフェース面と考えられ得る。いくつかの例では、ディスプレイアセンブリ204によって画定されたインタフェース面は、ユーザからのタッチ入力などの入力を受信することができる。
【0034】
いくつかの例では、筐体202は、実質的に連続の又は一元の構成要素であってもよく、電子デバイス200の構成要素を受容するために1つ以上の開口部を画定してもよい。いくつかの例では、デバイス200は、開口部内に配置されてもよい1つ以上のボタン206及び/又は竜頭208などの入力構成要素を含むことができる。いくつかの例では、材料が、気密シール及び/又は水密シールを開口部の場所において提供するために、ボタン206及び/又は竜頭208と筐体202との間に配置されてもよい。筐体202はまた、開口210などの1つ以上の開口部又は開口を画定することができ、開口210などの1つ以上の開口部又は開口は、音が筐体202によって画定された内容積の中又は外へ通ることを可能にすることができる。例えば、開口210は、内容積内に配置されたマイクロフォン構成要素と連通してもよい。
【0035】
図1Cは、電子デバイス200の底部斜視図を示す。デバイス200は、後カバー212を含むことができ、後カバー212は、例えばディスプレイアセンブリ204の反対側で筐体202に貼り付けられてもよい。後カバー212は、セラミック、プラスチック、金属、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。いくつかの例では、後カバー212は、少なくとも部分的に電磁透過性の構成要素214を含むことができる。電磁透過性の構成要素214は、可視光、赤外線、電波、又はこれらの組み合わせなどの任意の所望の波長の電磁放射に対して透過性であり得る。いくつかの例では、電磁透過性の構成要素214は、筐体202内に配置されたセンサ及び/又は放射装置が外部環境と通信することを可能にすることができる。筐体202、ディスプレイアセンブリ204、及び後カバー212は一緒に、デバイス200の内容積及び外部面を実質的に画定することができる。
【0036】
図1Dは、スマートウォッチなどの電子デバイス300の分解図を示し、電子デバイス300は、電子デバイス100及び電子デバイス200などの本明細書に記載のデバイスの特徴のうちのいくつか又は全てと実質的に類似してもよく、又はこれらを含んでもよい。電子デバイス300は、筐体302と、ディスプレイアセンブリ304と、後カバー312と、を含むことができる。筐体302、ディスプレイアセンブリ304、及び後カバー312は一緒に、電子デバイス300の外部面及び内容積を画定することができる。
【0037】
筐体302は、実質的に連続の又は一元の構成要素であってもよく、電子デバイス300の構成要素を受容するために、及び/又は電子デバイス300の内部部分へのアクセスを提供するために、1つ以上の開口部316、318、320を画定することができる。いくつかの例では、電子デバイス300は、開口部320、318内に配置されてもよい1つ以上のボタン306及び/又は竜頭308などの入力構成要素を含むことができる。マイクロフォン(図示せず)は、開口部316を介して外部環境又は周囲環境と連通して内容積内に配置されてもよい。
【0038】
ディスプレイアセンブリ304は、筐体302によって受容されてもよく、筐体302に貼り付けられてもよい。ディスプレイアセンブリ304は、プラスチック、ガラス、及び/又はセラミックなどの透明な材料を含むカバー322を含むことができる。ディスプレイアセンブリ304はまた、ディスプレイアセンブリ324を含むことができ、ディスプレイアセンブリ324は、複数の層及び構成要素を含むことができ、複数の層及び構成要素のそれぞれは、1つ以上の所望の機能を実行することができる。例えば、ディスプレイアセンブリ324は、タッチ検出層又はタッチ検出構成要素と、力感知層又は力感知構成要素と、視覚的コンテンツ及び/又は情報をユーザに表示するために1つ以上の画素及び/又は発光部分を含むことができる1つ以上のディスプレイ層又はディスプレイ構成要素と、を含むことができる層を含んでもよい。いくつかの例では、ディスプレイ層又はディスプレイ構成要素は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、LCD)、発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)ディスプレイ、有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode、OLED)ディスプレイ、及び/又は任意の他の形態のディスプレイを含んでもよい。ディスプレイ層はまた、電子デバイス300の他の構成要素からディスプレイ層に信号及び/又は電力を提供するために、1つ以上の電気コネクタを含むことができる。
【0039】
いくつかの例では、電子デバイス300は、ガスケット又はシール326を含むことができ、ガスケット又はシール326は、外部環境から内容積内への液体又は湿気の進入に対する障壁をシール326の場所において実質的に画定するように、ディスプレイアセンブリ304と筐体302との間に配置されてもよい。本明細書に記載のとおり、シール326は、ポリマー材料、金属材料、及び/又はセラミック材料を含んでもよい。電子デバイス300はまた、類似のシール(図示せず)を含むことができ、当該類似のシールは、外部環境から内容積への液体又は湿気の進入に対する障壁をシールの場所において実質的に画定するように、筐体302と後カバー312との間に配置されてもよい。本明細書に記載のとおり、シールは、ポリマー材料、金属材料、及び/又はセラミック材料を含んでもよい。シールは、シールの特徴のうちのいくつか又は全てと実質的に類似してもよく、又はこれらを含んでもよい。
【0040】
電子デバイス300はまた、触覚エンジン328、電源330(例えばバッテリ)、スピーカモジュール336、及びメインロジックボード332とも称されるロジックボード332などの内部構成要素を含むことができ、ロジックボード332は、システムインパッケージ(System in Package、SiP)334を含むことができ、SiP334は、ロジックボード332上に配置されており、プロセッサ、センサ、及びメモリなどの1つ以上の集積回路を含む。SiP334はまた、パッケージを含んでもよい。
【0041】
いくつかの例では、内部構成要素は、メインロジックボード332の下に配置されてもよく、後カバー312によって画定された内容積の一部分内に少なくとも部分的に配置されてもよい。いくつかの例では、電子デバイス300は、電子デバイス300の1つ以上の他の構成要素と電気通信することができる1つ以上の無線アンテナ(図示せず)を含んでもよい。いくつかの例では、アンテナ(単数又は複数)は、1つ以上の周波数の無線信号を受信及び/又は送信することができ、例えば、LTEアンテナなどのセルラーアンテナ、WiFiアンテナ、Bluetoothアンテナ、GPSアンテナ、及び多周波数アンテナのうちの任意の1つ以上であってもよい。アンテナ(単数又は複数)は、電子デバイス300の1つ以上の追加の構成要素に通信可能に結合されてもよい。
【0042】
メインロジックボード332は、電子デバイス300の筐体302の外部の環境を判定することができる。環境(すなわち、環境のタイプ)は、電子デバイス300のユーザが浜辺において椅子に座っている間などの大気環境又は乾燥環境であると判定され得る。代替的に、判定された環境は、例えば、ユーザが海、湖、又はプールなどの水域に入り電子デバイス300が一時的に水中に浸されているときなどの水性環境であり得る。メインロジックボード332は、現在使用可能である又はそうでなければ将来開発される任意の技術によって、環境のタイプを判定することができる。例えば、電子デバイス300は、位置情報(すなわちGPSデータ)、圧力検出、分光法(spectroscopy)、湿気検出、又はこれらの組み合わせに基づいて、環境の特性を測定又は検出する1つ以上の構成要素を含んでもよい。
【0043】
いくつかの例では、電子デバイス300は、筐体302内に配置されたスピーカアセンブリ336を含むことができる。スピーカアセンブリ336は、電気信号を筐体302の外部の環境において可聴である音波に変換する1つ以上のスピーカを含むことができる。例えば、1つ以上の開口338は、筐体302内に形成されてもよく、スピーカアセンブリを筐体302の外部の環境と流体連通させる。内部構成要素は、筐体302によって少なくとも部分的に画定された内容積内に配置されてもよく、内部構成要素は、筐体302及び/又は後カバー312内に形成されている、これらによって画定されている、又はそうでなければこれらの一部分である接着剤、内部面、取り付け特徴、ねじ付きコネクタ、スタッド、ポスト、又は他の特徴を介して、筐体302に貼り付けられてもよい。
【0044】
電子デバイス300は、1つ以上のセンサ340A~Eなどの追加の構成要素を含んでもよく、1つ以上のセンサ340A~Eは、個別のセンサを直接取り囲む空間の温度を検出する。1つ以上のセンサ340A~Eは、負温度特性サーミスタ(Negative Temperature Coefficient、NTC)、正温度特性サーミスタ(Positive Temperature Coefficient、PTC)、抵抗温度検出器、熱電対、これらの組み合わせ、又はセンサを直接取り囲む空間の温度を検出することが可能である任意の他のセンサであってもよい。いくつかの例では、図1Dに示すように、1つ以上のセンサ340A~Eは、電子デバイス300の構成要素のうちの任意の1つ以上の上に又は隣接して位置してもよい。換言すれば、1つ以上のセンサ340A~Eのそれぞれは、電子デバイス300の構成要素に貼り付けられてもよく、接着されてもよく、締結されてもよく、又はそうでなければ結合されてもよい。したがって、センサ340のそれぞれによって検出された個別の温度は、センサ340が貼り付けられている構成要素の動作によって影響され得る又はそうでなければ変更され得る。例えば、センサ340Dは、ロジックボード332に貼り付けられてもよく、センサ340Dは、ロジックボード332が動作の間に熱を発生し得るため、ディスプレイアセンブリ324に貼り付けられたセンサ340Aによって検出される温度よりも比較的高い温度を検出することができる。図1Dに示すセンサ340A~Eは、筐体302の内容積内の構成要素(例えば、ディスプレイアセンブリ304、後カバー312、メインロジックボード332など)に結合されているとして図示されているが、1つ以上のセンサが追加的に又は代替的に筐体の外部に(例えば、筐体302の外部面上)に貼り付けられてもよいことが、当業者には容易に理解されよう。センサ340A~Eは、メインロジックボード332に、又は電子デバイス300内のプロセッサを有する別の構成要素に通信可能に結合されてもよい。例えば、センサ340A~Eのうちの任意の1つ以上は、有線通信経路又は無線通信経路を介してメインロジックボード332に結合されてもよい。
【0045】
センサ340A~Eによって測定されたそれぞれの温度は、筐体302の外部の環境の温度と等価でないことがあるが、しかしながら、メインロジックボード332は、センサ340A~Eからのそれぞれの温度測定値のうちの任意の1つ以上に依存して、筐体302の外部の環境の温度を判定又は近似することができる。換言すれば、メインロジックボード332は、筐体302内の1つ以上の場所から取得された温度測定値に少なくとも部分的に基づいて、筐体302の外部の環境の温度を判定又は近似することができる。したがって、センサ340A~Eによって収集されたそれぞれの温度測定値は、複数の目的(例えば、センサ340を取り囲む温度を判定し、筐体302の外部の温度を判定するためになど)で使用されてもよい。電子デバイス300の外部の環境の温度を判定することは、例えばユーザが運動しており環境の温度を知ることを望む(例えば、水泳、スキューバダイビング、シュノーケリングなどの)ときに、有益であり得る。
【0046】
いくつかの例では、メインロジックボード332は、筐体の外部の環境の温度を判定又は近似するための等式に依存してもよい。等式は、それぞれのセンサ340からの2つ以上の重み付き温度測定値と、筐体302の外部の環境に基づく調整係数又はオフセットとを含んでもよい。換言すれば、筐体の外部の環境の温度は、n項を有する等式によって判定又は近似され得、等式中、nは、それぞれのセンサ340からの2つ以上の重み付き温度測定値を表す。n項のそれぞれは、センサ340のうちの任意の1つ以上によって収集された少なくとも1つの重み付き温度測定値に相関し得る。いくつかの例では、以下に示す等式1は、筐体302の外部の環境の温度を判定するために使用され得る。
等式1:T=-A±(B(VALUE:S))+(C(VALUE:S))
【0047】
等式1中の項Tは、筐体302の外部の環境の温度を表すことができる。等式1中の項Aは、メインロジックボード332によって判定された環境に相関する調整係数又はオフセットを表すことができる。項VALUE:Sは、センサ340A~Eのうちの特定のセンサによって取得された温度測定値を表すことができる。等式1中の項Bは、特定のセンサ(すなわち、項Sによって表されるセンサ)によって取得された温度測定値に適用される重み又はスケーラを表すことができる。項VALUE:Sは、センサ340A~Eのうちの別の特定のセンサによって取得された温度測定値を表すことができる。等式1中の項Cは、別の特定のセンサ(すなわち、項Sによって表されるセンサ)によって取得された温度測定値に適用される重み又はスケーラを表すことができる。等式1は、追加のセンサによって取得された追加の温度測定値を修正する追加の重み又はスケーラを含み得ることが容易に理解されよう。
【0048】
調整係数Aは、外部環境の温度を予測又は推定するために、重み付き温度値の合計に適用され得る。調整係数Aは、電子デバイス300を取り囲む特定の環境に少なくとも部分的に基づき得る。例えば、調整係数Aは、ポータブル電子デバイスが乾いた環境又は乾燥環境によって取り囲まれているときに、個別の大きさ又は値を有してもよく、電子デバイス300が湿潤環境又は水性環境によって取り囲まれている(例えば、水中に浸されている)ときに、異なる大きさ又は値を有してもよい。調整係数Aの大きさ又はサイズは、電子デバイス300及び/又は環境の熱伝達特性又は任意の他の特性に基づいて選択され得る。
【0049】
いくつかの例では、調整係数Aは、電子デバイス300の外部の環境(又は環境のタイプ)に相関してもよく、又はこれに少なくとも部分的に関係してもよい。異なる環境における調整係数Aの大きさ間の変動は、環境が電子デバイス300の構成要素のうちの任意の1つ以上と双方向作用する様式に基づき得る。例えば、調整係数Aの大きさは、電子デバイスが水中に浸されているときに比較的より小さいことがあり、これは、筐体302内の熱が、水により速い速度で伝達し得るためである。逆に、調整ファクタAの大きさは、電子デバイスが乾燥環境内に配置されているときに比較的大きいことがあり、これは、ハウジング302内の熱が、デバイスを取り囲む空気により少なく伝達するためである。いくつかの例では、調整係数は、例えば電子デバイス内に配置された電気構成要素によって発生した熱をオフセットするために、負であってもよく、又はそうでなければ重み付き温度の合計から減算されてもよい。
【0050】
センサS、Sの測定値又は信号に適用された個別の重みB及び個別の重みCは、電子デバイス300を取り囲む環境の予測温度又は推定温度の最良の又は最も正確な判定を可能にするように測定値又は信号を修正する値又は大きさを有するスケーラであってもよい。いくつかの例では、重みBは、重みCとは異なってもよく、例えば、重みBは、重みCよりも大きくてもよく、又は重みCを超えてもよい。
【0051】
いくつかの例では、センサ340A~Eのサブセットのみが、等式1中の温度値(例えば、VALUE:S及びVALUE:S)を収集するために依存されてもよい。例えば、センサ340A及びセンサ340Eのそれぞれの温度測定値又は信号が、等式1中で使用され得る。いくつかの例では、センサのうちの3つ以上又はセンサのうちの2つ未満の温度測定値又は信号が、電子デバイス300の外部の環境の温度を予測又は推定するために使用され得る。換言すれば、任意の数のセンサ340A~E又はセンサ340A~Eの任意の数のサブセットが、電子デバイス300の外部の環境の温度を予測又は推定するために使用され得る。更に、2つのセンサ、2つ以上のセンサ、又は2つ以下のセンサの温度測定値又は信号のそれぞれは、電子デバイス300の外部の環境の温度を予測又は推定するために、個々に重み付けされてもよい。
【0052】
いくつかの例では、多数の調整係数、重み、電子デバイス内のセンサ位置、及びセンサの温度測定値を表すデータを含むデータセット又はデータベースが形成され得る。機械学習技術は、データセットを環境のタイプ(乾燥、湿潤、水性など)及びこれらの環境の温度に相関させて、又はデータセットを環境のタイプ(乾燥、湿潤、水性など)及びこれらの環境の温度と比較して、外部環境の温度を最良に又は最も正確に予測するモデルを生成するために使用され得る。これらの機械学習技術は、電子デバイスの組み立て及び/又は製造中に組み込まれてもよく、デバイスのそれぞれについて調整又は同調されてもよい。データセット又はデータベースは、ローカルコンピュータ若しくはリモートコンピュータ、又はローカルサーバ若しくはリモートサーバに記憶されてもよく、生成されたモデルのそれぞれは、アセンブリデバイス又は試験構造体から電子デバイスのそれぞれのプロセッサ及びメモリにアップロードされてもよい。例えば、機械学習は、センサ340A~Eの測定値(例えば、VALUE:S及びVALUE:S)、重み(例えば、重みB及び重みC)、及び調整係数(例えば、調整係数A)のどの組み合わせが、電子デバイス300の外部の環境の温度を最良に又は最も正確に推定するかを判定することができる。したがって、環境のタイプ(例えば、乾燥、湿潤、水性)が判定された後、環境の当該タイプに相関する最良の又は最も正確なモデル(例えば、センサ値、重み、及び調整係数の組み合わせ)が、特定の外部環境の温度を予想、推定、又は予測するために使用され得る。
【0053】
環境のタイプは、現在知られている又は将来開発される任意の方法又は機構によって判定され得る。例えば、1つ以上の赤外線センサ、湿度センサ、又は他のセンサは、電子デバイス300を取り囲む環境のタイプを判定するために、メインロジックボード332に通信可能に結合されてもよい。環境のタイプの2つの非限定的な例について、図2A及び図2Bを参照して以下に説明する。
【0054】
図2A及び図2Bは、それぞれ、第1のタイプの環境内及び第2のタイプの環境内に配置された電子デバイス400の側面斜視図を示す。電子デバイス400は、着用者の手首402に結合されたスマートウォッチとして図示されている。しかしながら、電子デバイス400は、他の例では、スマートフォン、タブレットコンピュータ、又は別のポータブル電子デバイスを含む任意の電子デバイスであり得る。第1のタイプの環境は、乾燥環境又は比較的乾いた環境であり得、当該環境において、電子デバイス400は、比較的少ない湿気に曝される(例えば、浜辺)。第2のタイプの環境は、水性環境であり得、当該環境において、電子デバイス400は、液体404中に浸されている(例えば、海中の水泳)。電子デバイス400の1つ以上のセンサは、電子デバイス400を取り囲む環境のタイプを判定することができる。第1の環境及び第2の環境のみが本明細書に記載されているが、代替の及び/又は追加のタイプの環境がまた、本開示の範囲に含まれる。例えば、サウナ、スチームルーム、シャワー、又は他のタイプの環境がまた、電子デバイス400によって判定又は識別され得る。
【0055】
電子デバイスのいくつかの例の動作及び機能に関するより詳細について、図3A図3C及び図4を参照して以下に開示する。図3Aは、前述の電子デバイスのうちのいずれか1つなどの電子デバイスで実装されるプロセスフロー図の例を示す。電子デバイスは、電子デバイス100、200、300、400などの本明細書に記載のデバイスの特徴及び/又は構成要素のうちのいくつか又は全てと実質的に類似してもよく、又はこれらを含んでもよい。例えば、電子デバイスは、内容積を画定する筐体、ディスプレイアセンブリ、プロセッサ、触覚エンジン、電源(例えばバッテリ)、温度センサセット、及び/又は、本明細書に開示の他の電子デバイスの任意の他の構成要素を含んでもよい。
【0056】
プロセッサは、内容積内に配置されてもよく、温度センサセットに通信可能に結合されてもよい。プロセス500は、筐体の外部の環境を判定する動作502(act)を含む。プロセス500は、環境に相関する調整係数を判定する動作504を含む。プロセス500は、温度センサセットから、第1のセンサ及び第2のセンサを選択する動作506を含む。プロセス500は、第1のセンサによって提供された第1の信号に第1の重みを割り当てて、第1の重み付き信号を生成する動作508を含む。プロセス500は、第2のセンサによって提供された第2の信号に第2の重みを割り当てて、第2の重み付き信号を生成する動作510を含む。プロセス500は、調整係数と第1の重み付き信号及び第2の重み付き信号とに基づいて、環境の温度を判定する動作512を含む。
【0057】
したがって、プロセス500は、電子デバイスの外部の環境の予測温度又は推定温度を生成するために使用され得る。プロセス500は、動作502~512よりも多くの動作、又は動作502~512よりも少ない動作を含んでもよい。例えば、プロセス500は、第3のセンサを選択することと、第3のセンサによって提供された第3の信号に第3の重みを割り当てて、第3の重み付き信号を生成することと、調整係数と第1の重み付き信号、第2の重み付き信号及び第3の重み付き信号とに基づいて、環境の温度を判定することと、に関する動作を、任意選択で含んでもよい。換言すれば、動作のうちのいくつかは、任意選択であり、したがって、電子デバイスの外部の環境の予測温度又は推定温度を生成するために実装される必要がない。
【0058】
プロセス500は、筐体の外部の環境を判定する動作502を含む。筐体の外部の環境を判定することは、電子デバイス300を取り囲む環境のタイプを判定するために、プロセッサ(例えばメインロジックボード)に通信可能に結合された1つ以上の赤外線センサ、湿度センサ、又は他のセンサを使用して、環境のタイプを判定することを含んでもよい。例えば、環境又は環境のタイプは、電子デバイスが水中に浸されているときなどに、水性であると判定され得る。
【0059】
プロセス500は、環境に相関する調整係数を判定する動作504を含む。調整係数は、外部環境の温度を予測又は推定するために、重み付き温度値の合計に適用され得る。調整係数は、電子デバイスを取り囲む環境に少なくとも部分的に相関することができる。例えば、調整係数は、ポータブル電子デバイスが比較的乾いた空気によって取り囲まれているときに、個別の大きさ又は値を有してもよく、電子デバイスが液体によって取り囲まれている(例えば、水中に浸されている)ときに、異なる個別の大きさ又は値を有してもよい。いくつかの例では、調整係数の大きさ又はサイズは、電子デバイスと判定された環境との間の熱伝達特性又は別の関係に基づいて判定され得る。
【0060】
プロセス500は、温度センサセットから、第1のセンサ及び第2のセンサを選択する動作506を含む。いくつかの例では、第1のセンサ及び第2のセンサは、筐体内の第1のセンサ及び第2のセンサの位置に基づいて選択され得る。本明細書に記載のとおり、機械学習技術は、センサのどの組み合わせが、外部環境の最も正確な推定温度を一貫して生成するために依存され得るかを判定するために、データセットに適用され得る。例えば、電子デバイスの熱を発生しない電気構成要素に隣接して位置するセンサからの信号は、正確な外部温度をより一貫して近似するために使用され得る。代替的に又は追加的に、第1のセンサ及び第2のセンサは、温度センサセットのうちの特定のセンサによって測定された温度の値に基づいて選択され得る。例えば、機械学習技術は、センサ(単数又は複数)における特定の測定された温度を外部環境の特定の温度に相関させるモデル(すなわち、センサ、重み、及び調整係数の組み合わせ)を生成することができる。
【0061】
プロセス500は、第1のセンサによって提供された第1の信号に第1の重みを割り当てて、第1の重み付き信号を生成する動作508を含む。プロセス500は、第2のセンサによって提供された第2の信号に第2の重みを割り当てて、第2の重み付き信号を生成する動作510を含む。第1の重み及び第2の重みは、外部環境の温度を推定するために適用される特定のモデルに固有であるスケーラであり得る。例えば、機械学習技術は、前述のデータセットを分析した後に、第1の重み及び第2の重みを生成するために使用され得る。第1の重みは、第2の重みよりも大きくてもよく、第2の重みに等価であってもよく、又は第2の重みよりも小さくてもよい。いくつかの実施形態では、第1の重み及び第2の重みは、それぞれ、第1のセンサ及び第2のセンサに関連付けられた信頼レベルを表すことができる。例えば、第1の信号に適用される第1の重みは、第2の信号に適用される第2の重みを超えてもよく、これは、機械学習技術が、第1のセンサ(すなわち、電子デバイス内の特定の位置にある温度センサ)の信号が環境の特定のタイプとのより一貫した相関を有することを示すためである。第1の重み及び第2の重みの大きさ又はサイズは、筐体の外部の環境、第1のセンサ及び第2のセンサのそれぞれによって検出される温度、又は第1のセンサ及び第2のセンサのそれぞれの内容積内のそれぞれの位置のうちの少なくとも1つに基づき得る。
【0062】
プロセス500は、調整係数と第1の重み付き信号及び第2の重み付き信号とに基づいて、環境の温度を判定する動作512を含む。例えば、環境の温度は、等式1に示すように、第1の重み付き信号及び第2の重み付き信号を加算することと、次いで、調整係数を減算する(又は負の調整係数を加算する)ことと、によって判定され得る。プロセス500は、2つのセンサ(第1のセンサ及び第2のセンサ)を使用するが、プロセス500は2つ未満のセンサ又は3つ以上のセンサを含んでもよいことが、当業者には容易に理解されよう。例えば、プロセス500は、第3のセンサを選択することと、第3のセンサによって提供された第3の信号に第3の重みを割り当てて、第3の重み付き信号を生成することと、調整係数と第1の重み付き信号、第2の重み付き信号及び第3の重み付き信号とに基づいて、環境の温度を判定することと、を任意選択で含んでもよい。
【0063】
図3Bは、前述の電子デバイスのうちのいずれか1つなどの電子デバイスで実装されるプロセスフロー図の例を示す。電子デバイスは、電子デバイス100、200、300、400などの本明細書に記載のデバイスの特徴及び/又は構成要素のうちのいくつか又は全てと実質的に類似してもよく、又はこれらを含んでもよい。例えば、電子デバイスは、内容積を画定する筐体、ディスプレイアセンブリ、プロセッサ、触覚エンジン、電源、温度センサセット、及び/又は、本明細書に開示の他の電子デバイスの任意の他の構成要素を含んでもよい。
【0064】
プロセッサは、内容積内に配置されてもよく、温度センサセットに通信可能に結合されてもよい。プロセス600は、温度センサセットの第1のセンササブセットを選択する動作602を含む。プロセス600は、第1のセンササブセットによって検出された温度のそれぞれに個別の重みを適用して、重み付き温度を生成する動作604を含む。プロセス600は、筐体の外部の予測環境に相関する第1の調整係数を選択する動作606を含む。プロセス600は、第1の調整係数及び重み付き温度に基づいて、予測環境の第1の予測温度を判定する動作608を含む。
【0065】
したがって、プロセス600は、電子デバイスの外部の環境の予測温度又は推定温度を生成するために使用され得る。プロセス600は、動作602~608よりも多くの動作、又は動作602~608よりも少ない動作を含んでもよい。例えば、プロセス600は、第1の予測温度を評価する動作を任意選択で含んでもよい。換言すれば、動作のうちのいくつかは、任意選択であり、したがって、電子デバイスの外部の環境の予測温度又は推定温度を生成するために実装される必要がない。
【0066】
プロセス600は、温度センサセットの第1のセンササブセットを選択する動作602を含む。第1のセンササブセットは、温度センサセットからの少なくとも1つのセンサであってもよく、例えば、サブセットは、単一のセンサ、2つのセンサ、3つのセンサ、又は4つ以上のセンサであってもよい。温度センサセットは、電子デバイス内に配置されてもよく、メインロジックボード若しくはプロセッサ、電源、気圧通気口、スピーカモジュール、触覚エンジン、ディスプレイアセンブリ、無線通信モジュール、又は電子デバイスの任意の他の構成要素などの電子デバイスの様々な構成要素上に又は隣接して位置してもよい。
【0067】
プロセス600は、第1のセンササブセットによって検出された温度のそれぞれに個別の重みを適用して、重み付き温度を生成する動作604を含む。それぞれの重みのそれぞれは、外部環境の温度を推定するために適用される特定のモデルに固有であるスケーラであり得る。例えば、機械学習技術は、前述のデータセットを分析した後に、それぞれの重みを生成するために使用され得る。センサに割り当てられた個別の重みのそれぞれは、別のセンサに割り当てられた別の個別の重みよりも大きくてもよく、当該別の個別の重みに等価であってもよく、又は当該別の個別の重みよりも小さくてもよい。それぞれの重みの大きさ又はサイズは、予測環境、第1のセンササブセットの個別のセンサのそれぞれによって検出された温度、又は、第1のセンササブセットのセンサのそれぞれの内容積内のそれぞれの位置のうちの少なくとも1つに基づいてもよい。
【0068】
プロセス600は、筐体の外部の予測環境に相関する第1の調整係数を選択する動作606を含む。第1の調整係数は、電子デバイスを取り囲む環境に少なくとも部分的に相関することができる。例えば、第1の調整係数は、電子デバイスが比較的乾いた空気によって取り囲まれているときに、個別の大きさ又は値を有してもよく、ポータブル電子デバイスが液体によって取り囲まれている(例えば、水中に浸されている)ときに、異なる大きさ又は値を有してもよい。いくつかの例では、第1の調整係数の大きさ又はサイズは、電子デバイスと判定された環境との間の熱伝達特性又は別の関係に基づいて判定され得る。
【0069】
プロセス600は、第1の調整係数及び重み付き温度に基づいて、予測環境の第1の予測温度を判定する動作608を含む。例えば、予測環境の第1の予測温度は、等式1に示すように、動作604の重み付き温度を加算することと、次いで、第1の調整係数を減算する(又は負の調整係数を加算する)ことと、によって判定されてもよい。
【0070】
いくつかの例では、プロセス600は、第1の予測温度を評価することを含むことができる。例えば、第1の予測温度は、期待される温度値の範囲と比較され得る。第1の予測温度が、期待される温度値の範囲内にある場合、第1の予測温度は、確認又は確証され得る。しかしながら、第1の予測温度が、期待される温度値の範囲外にある(例えば、当該範囲を超える又は当該範囲未満である)場合、プロセス600は、第1のセンササブセット、それぞれの重み、又は第1の調整係数のうちの少なくとも1つを修正することと、次いで、予測温度の判定又は計算を繰り返すことと、を含むことができる。例えば、第1の予測温度が、期待される温度値の範囲外にある場合、プロセス600は、温度センサセットの第2のセンササブセットを選択することと、第2のセンササブセットによって検出された温度のそれぞれに個別の重みを適用して、代替の重み付き温度を生成することと、第1の調整係数及び代替の重み付き温度に基づいて、環境の第2の予測温度を判定することと、を含むことができる。
【0071】
いくつかの例では、第1の予測温度が、期待される温度値の範囲外にある場合、プロセス600は、筐体の外部の予測環境に相関する第2の調整係数を選択することと、第2の調整係数及び重み付き温度に基づいて、環境の第2の予測温度を判定することと、を含むことができる。いくつかの例では、第1の予測温度が、期待される温度値の範囲外にある場合、プロセス600は、温度センサセットの第2のセンササブセットを選択することと、第2のセンササブセットによって検出された温度のそれぞれに個別の重みを適用して、代替の重み付き温度を生成することと、筐体の外部の予測環境に相関する第2の調整係数を選択することと、第2の調整係数及び代替の重み付き温度に基づいて、環境の第2の予測温度を判定することと、を含むことができる。
【0072】
いくつかの例では、それぞれの重み又は調整係数のうちの少なくとも1つは、補助電子デバイスから電子デバイスに通信された校正データに基づいて判定又は選択され得る。例えば、電子デバイスは、1つ以上の補助電子デバイスに通信可能に結合されてもよく、温度データ、位置データ、センサデータ、又は電子デバイスの地理的位置若しくは電子デバイス自体に関する任意の他のデータなどの校正データを受信してもよい。換言すれば、校正データは、電子デバイスと通信する1つ以上の補助電子デバイスからクラウドソースされてもよい。校正データは、温度推定プロセス(例えば、プロセス500、600)が開始する前に、又は当該プロセスが現在進行中である間に、電子デバイスによって受信され得る。電子デバイスは、有線接続又は無線接続、例えば、2つのデバイスを相互接続するケーブル又はIEEE 802などの無線プロトコル(すなわち、Bluetooth及びWiFi無線ネットワーク技術)を介して、1つ以上の補助電子デバイスに結合され得る。電子デバイスを1つ以上の補助電子デバイスと通信可能に結合するための任意の他の方法、例えば、USBベースの接続及び他の有線接続などがまた、本開示内で意図されている。
【0073】
図3Cは、例えば、上述のプロセス600の後に又はプロセス600と同時に電子デバイスで実装され得るプロセスフロー図の例を示す。したがって、プロセス600及びプロセス700は、直列に又は並列に実施されてもよい。追加のプロセス700は、温度センサセットの異なる第2のセンササブセットを選択する動作702を含む。第2のセンササブセットは、温度センサセットからの少なくとも1つのセンサであってもよく、例えば、サブセットは、単一のセンサ、2つのセンサ、3つのセンサ、又は4つ以上のセンサであってもよい。温度センサセットは、電子デバイス内に配置されてもよく、メインロジックボード若しくはプロセッサ、電源、気圧通気口、スピーカモジュール、触覚エンジン、ディスプレイアセンブリ、無線通信モジュール、又は電子デバイスの任意の他の構成要素などの電子デバイスの様々な構成要素上に又は隣接して位置してもよい。
【0074】
プロセス700は、第2のセンササブセットによって検出された温度のそれぞれに個別の重みを適用して、重み付き温度を生成する動作704を含む。それぞれの重みのそれぞれは、外部環境の温度を推定するために適用される特定のモデルに固有であるスケーラであり得る。例えば、機械学習技術は、前述のデータセットを分析した後に、それぞれの重みを生成するために使用され得る。センサに割り当てられた個別の重みのそれぞれは、別のセンサに割り当てられた別の個別の重みよりも大きくてもよく、当該別の個別の重みに等価であってもよく、又は当該別の個別の重みよりも小さくてもよい。それぞれの重みの大きさ又はサイズは、予測環境、第2のセンササブセットの個別のセンサのそれぞれによって検出された温度、又は、第2のセンササブセットのセンサのそれぞれの内容積内のそれぞれの位置のうちの少なくとも1つに基づいてもよい。
【0075】
プロセス700は、調整係数及び重み付き温度に基づいて、予測環境の第2の予測温度を判定する動作706を含む。調整係数は、プロセス600の第1の調整係数と同じであってもよく、又は別の選択された調整係数であってもよい。第2の調整係数は、筐体の外部の異なる予測環境に相関するように選択され得る。例えば、予測環境の第2の予測温度は、等式1に示すように、動作704の重み付き温度を加算することと、次いで、第1の調整係数又は第2の調整係数を減算する(又は負の調整係数を加算する)ことと、によって判定され得る。
【0076】
図4のブロック図に示すように、電子デバイスは、1つ以上の補助電子デバイスに通信可能に結合されたスマートウォッチ800又は別のポータブル電子デバイスであり得る。補助電子デバイスは、任意の据置式電子デバイス又はポータブル電子デバイスであってもよく、例えば、ホームオートメーションデバイス802、スマートサーモスタット804、タブレットコンピューティングデバイス806、スマートフォン808、又は、任意の他の電子デバイスであってもよい。いくつかの例では、スマートウォッチ800は、スマートウォッチ800が位置する地理的位置についての気象予測を含む校正データを受信することができる。気象予測は、地理的位置の現在及び将来の温度、湿度データ、特定の日若しくは特定の期間についての年間平均温度、及び/又は他の気象に関する情報を含み得る。
【0077】
本明細書に記載のとおり、本明細書に記載の構成のいずれかにおける任意の数の又は多種の構成要素が電子デバイスに含まれてもよい。構成要素は、本明細書に記載の特徴の任意の組み合わせを含んでもよく、本明細書に記載の様々な構成のいずれかにおいて配置されてもよい。デバイスの構成要素の構造及び配置、並びにこれらの使用に関する概念は、本明細書で考察されている特定の例のみでなく、任意の数の実施形態に任意の組み合わせで適用されてもよい。電子デバイス及び電子デバイス構成要素の動作態様及び機能の様々な例について、図5を参照して以下に説明する。
【0078】
図5は、前述の電子デバイスのうちのいずれか1つなどの電子デバイスで実装されるプロセスフロー図の例を示す。電子デバイスは、電子デバイス100、200、300、400などの本明細書に記載のデバイスの特徴及び/又は構成要素のうちのいくつか又は全てと実質的に類似してもよく、又はこれらを含んでもよい。例えば、電子デバイスは、内容積を少なくとも部分的に画定する筐体、ディスプレイアセンブリ、プロセッサ、触覚エンジン、電源(例えばバッテリ)、1つ以上の温度センサ、及び/又は、本明細書に開示の他の電子デバイスの任意の他の構成要素を含んでもよい。
【0079】
プロセス900は、第1の温度センサを用いて、電子デバイスの第1の電気構成要素における温度を測定する動作902を含む。プロセス900は、第2の温度センサを用いて、電子デバイスの第2の電気構成要素における温度を測定する動作904を含む。プロセス900は、プロセッサを用いて、調整係数と第1の温度センサ及び第2の温度センサによって測定された温度とに基づいて、筐体の外部の環境の温度を判定する動作906を含む。
【0080】
したがって、プロセス900は、電子デバイスの筐体の外部の環境の予測温度又は推定温度を生成するために使用され得る。プロセス900は、動作902~906よりも多くの動作、又は動作902~906よりも少ない動作を含んでもよい。例えば、プロセス900は、第1の温度センサ及び第2の温度センサによって測定されたそれぞれの温度を重み付けする動作を任意選択で含んでもよい。換言すれば、動作のうちのいくつかは、任意選択であり、したがって、電子デバイスの外部の環境の予測温度又は推定温度を生成するために実装される必要がない。
【0081】
プロセス900は、第1の温度センサを用いて、電子デバイスの第1の電気構成要素における温度を測定する動作902を含む。プロセス900は、第2の温度センサを用いて、電子デバイスの第2の電気構成要素における温度を測定する動作904を含む。第1の温度センサ及び第2の温度センサは、負温度特性サーミスタ(NTC)、正温度特性サーミスタ(PTC)、抵抗温度検出器、熱電対、又は別のタイプのサーミスタなどのサーミスタであってもよい。第1の電気構成要素及び第2の電気構成要素は、電子デバイスの構成要素の任意の組み合わせであってもよく、例えば、触覚エンジン、電源、スピーカモジュール、及びロジックボード若しくはプロセッサ、ディスプレイ構成要素、無線通信モジュール、ユーザインタフェース、バックライト、又はポータブル電子デバイス内に配置された任意の他の構成要素の任意の組み合わせであってもよい。
【0082】
プロセス900は、プロセッサを用いて、調整係数と第1の温度センサ及び第2の温度センサによって測定された温度とに基づいて、筐体の外部の環境の温度を判定する動作906を含む。例えば、環境の温度は、等式1に示すように、第1の温度センサ及び第2の温度センサによって測定された温度に重み付けすることと、重み付き温度を加算することと、調整係数を減算する(又は負の調整係数を加算する)ことと、によって判定され得る。調整係数は、電子デバイスを取り囲む環境のタイプに少なくとも部分的に基づき得る。例えば、調整係数は、ポータブル電子デバイスが乾いた環境又は乾燥環境によって取り囲まれているときに、個別の大きさ又は値を有してもよく、電子デバイスが湿潤環境又は水性環境によって取り囲まれている(例えば、水中に浸されている)ときに、異なる大きさ又は値を有してもよい。
【0083】
いくつかの例では、第1の電気構成要素及び/又は第2の電気構成要素は、電源(例えばバッテリ)から電力を受容することができる。電源によって給電されている間、第1の電気構成要素及び/又は第2の電気構成要素は、動作中に熱を発生し得る。例えば、ロジックボード又はプロセッサは、動作中に熱を発生し得る。この付加的な熱は、第1の温度センサ及び/又は第2の温度センサによって測定される電気構成要素に近接する温度に影響し得る、又は当該温度を変化させ得る。いくつかの例では、第1の温度センサ及び/又は第2の温度センサにおいて測定された温度は、電子デバイスの外部の温度の不正確な判定を軽減するように重み付けされてもよい。追加的に又は代替的に、電子デバイスの筐体内で発生した熱を補償する調整係数の大きさ又はサイズが選択されてもよい。
【0084】
本技術に適用可能な範囲で、様々なソースから入手可能なデータの収集及び使用は、招待コンテンツ又はユーザにとって興味深い任意の他のコンテンツのユーザへの配信を改善するために使用され得る。いくつかの例において、この収集されたデータは、特定の人を固有に識別する個人情報データ、又は特定の人に連絡するために若しくは特定の人の所在を確認するために使用され得る個人情報データを含み得ることが、本開示によって意図されている。このような個人情報データは、人口統計データ、位置ベースのデータ、電話番号、電子メールアドレス、TWITTER(登録商標)ID、住所、ユーザの健康若しくはフィットネスレベル(例えば、バイタルサイン測定値、服薬情報、運動情報)に関するデータ若しくは記録、誕生日、又は任意の他の識別情報若しくは個人情報を含み得る。
【0085】
本技術におけるこのような個人情報データの使用は、ユーザの利益のために使用され得ることが、本開示によって認識される。例えば、個人情報データは、ユーザにとってより興味深い対象のコンテンツを配信するために使用され得る。したがって、このような個人情報データの使用は、ユーザが配信されるコンテンツの計算された制御ことを可能にする。更に、ユーザに利益をもたらす個人情報データについての他の使用が、本開示によって意図されている。例えば、健康データ及びフィットネスデータは、ユーザの全般的なウェルネスについての洞察を提供するために使用されてもよく、又はウェルネスの目標を追求する技術を使用する個人への積極的なフィードバックとして使用されてもよい。
【0086】
このような個人情報データの収集、分析、開示、伝送、記憶、又は他の使用に関与するエンティティは、確立されたプライバシーポリシー及び/又はプライバシー慣行を遵守することが、本開示によって意図されている。特に、このようなエンティティは、個人情報データを内密及び安全に維持するための業界又は政府の要件を満たす又は超えるとして一般に認識されているプライバシーのポリシー及び慣行を実施し一貫して使用するべきである。このようなポリシーは、ユーザによって容易にアクセス可能であるべきであり、データの収集及び/又は使用が変化する際に更新されるべきである。ユーザからの個人情報は、エンティティの合法的かつ正当な使用のためのために収集されるべきであり、これらの合法的使用以外で共有又は販売されるべきではない。更に、このような収集/共有は、ユーザの告知に基づく同意を受容した後に起きるべきである。追加的に、このようなエンティティは、このような個人情報データへのアクセスを保護し安全にするための、並びに個人情報データへのアクセス権を有する他者がエンティティのプライバシーポリシー及び手順を遵守することを確実にするための任意の必要な措置をとることを考慮するべきである。更に、このようなエンティティは、広く受け入れられているプライバシーポリシー及び慣行へのエンティティの遵守を証明するために、サードパーティによる評価に自身を供してもよい。加えて、ポリシー及び慣行は、収集及び/又はアクセスされる個人情報データの特定のタイプに適合されるべきであり、管轄権特有の考慮事項を含む適用可能な法令及び規格に適合されるべきである。例えば、アメリカ合衆国では、特定の健康データの収集又は当該データへのアクセスは、医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(ealth Insurance Portability and Accountability Act、HIPAA)などの連邦法及び/又は州法によって管理され得、他国における健康データは、他の規制及びポリシーによって管理され得、これらに従って処理されるべきである。それゆえ、異なるプライバシー慣行が、それぞれの国において、異なる個人データのタイプについて維持されるべきである。
【0087】
前述にも関わらず、ユーザが個人情報データの使用又は個人情報データへのアクセスを選択的に阻止する実施形態がまた、本開示によって意図されている。すなわち、ハードウェア要素及び/又はソフトウェア要素は、このような個人情報データへのアクセスを防止又は阻止するために提供され得ることが、本開示によって意図されている。例えば、広告配信サービスの場合では、本技術は、ユーザが、サービスのための登録中又はその後のいつでも、個人情報データの収集への参加の「オプトイン」又は「オプトアウト」を選択することを可能にするに構成されてもよい。別の例では、ユーザは、対象のコンテンツ配信サービスのためにムードに関連付けられたデータを提供しないことを選択することができる。更に別の例では、ユーザは、ムードに関連付けられたデータが維持される期間を制限すること、又は基準ムードプロファイルの展開全体を禁止することを選択することができる。「オプトイン」及び「オプトアウト」の選択肢を提供することに加えて、個人情報のアクセス又は使用に関する通知を提供することが、本開示によって意図されている。例えば、ユーザは、ユーザの個人情報データがアクセスされることが、アプリのダウンロードの際に通知され得、次いで、個人情報データがアプリによってアクセスされる直前に再び通知され得る。
【0088】
更に、個人情報データは、意図されない又は無許可アクセス又は使用のためのリスクを最小にするように管理及び処理されるべきであることが、本開示によって意図されている。リスクは、データの収集を制限することと、データがもはや必要でない際にデータを削除することと、によって最小にされ得る。加えて、適用可能な場合、健康に関するあるアプリケーションに含めて、データの匿名化が、ユーザのプライバシーを保護するために使用され得る。匿名化は、適切な場合、具体的な識別子(例えば、誕生日など)を除去すること、記憶されたデータの量又は特定性を制御すること(例えば、位置データを住所レベルにおいてではなく都市レベル収集すること)、データがどのように記憶されるかを制御すること(例えば、データをユーザ全体にわたって集計すること)、及び/又は他の方法によって容易にされてもよい。
【0089】
したがって、本開示は、1つ以上の様々な開示されている実施形態を実施するための個人情報データの使用を広範に網羅するが、様々な実施形態は、このような個人情報データにアクセスすることを必要とせずに実装されてもよいことがまた、本開示によって意図されている。すなわち、本技術の様々な実施形態は、このような個人情報データの全て又は一部分の欠如に起因して、動作不可能になされない。例えば、コンテンツは、ユーザに関連付けられたデバイスによりリクエストされたコンテンツ、コンテンツ配信サービスに使用可能な他の非個人情報、又は公的に使用可能な情報などの非個人情報データ又は個人情報の最小の量のみに基づいて嗜好を推測することによって選択され得、ユーザに配信され得る。
【0090】
前述の説明では、説明のために、具体的な専門用語が、記載の実施形態の完全な理解をもたらすために使用されている。しかしながら、具体的な詳細は、記載の実施形態を実施するために必要とされないことが、当業者には明らかである。したがって、本明細書に記載の具体的な実施形態の前述の説明は、例示及び説明のために提示されている。これらが、網羅的であること、又は実施形態を開示の精密な形態に限定することは意図されていない。多くの修正形態及び変形形態が上記の教示を鑑みて可能であることが、当業者には明らかである。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5