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特許7587634光学デバイスのバックグラウンドの補正及び較正を改善するためのシステム、機器、及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】光学デバイスのバックグラウンドの補正及び較正を改善するためのシステム、機器、及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20241113BHJP
   G01N 21/73 20060101ALI20241113BHJP
   G01N 21/00 20060101ALI20241113BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
G01N21/27 F
G01N21/73
G01N21/00 B
H01L21/66 J
H01L21/66 P
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023079483
(22)【出願日】2023-05-12
(65)【公開番号】P2023168317
(43)【公開日】2023-11-24
【審査請求日】2023-07-11
(31)【優先権主張番号】63/341,869
(32)【優先日】2022-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/316,117
(32)【優先日】2023-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505350178
【氏名又は名称】ヴェリティー インストルメンツ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン コーレス
(72)【発明者】
【氏名】クリス パイラント
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー キュニー
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-509399(JP,A)
【文献】特開2021-139907(JP,A)
【文献】特開平04-009704(JP,A)
【文献】特表2004-522168(JP,A)
【文献】特表2019-530322(JP,A)
【文献】特開2008-022486(JP,A)
【文献】特開2009-278143(JP,A)
【文献】特表2018-512573(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2003-0041043(KR,A)
【文献】特開2009-033321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/74
G01B 11/00-11/30
H01L 21/66
H01L 21/30-21/308
H04N 5/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学測定システムであって、
受信した光信号に対応する電荷を蓄積する複数のピクセルを有する光センサのピクセル領域と、
前記光センサに固有の信号レベルを提供する1つ又は複数の低照度領域と、
前記システムのアクティブ動作中に、前記1つ又は複数の低照度領域からの前記信号レベルの特性解析を用いて、前記ピクセル領域の前記ピクセルからの前記電荷のデジタル表現を調整するように構成された1つ又は複数のプロセッサと
を備え
前記特性解析の各々が、前記信号レベルの複数の異なる種類の変動のうちの1つに対応し、前記複数の異なる種類の前記変動が、熱飽和を含む、光学測定システム。
【請求項2】
前記1つ又は複数の低照度領域が、前記受信した光信号によって照明されない、前記ピクセル領域のピクセルを含む、請求項1に記載の光学測定システム。
【請求項3】
前記複数の異なる種類の前記変動が、非光信号に対応する、請求項に記載の光学測定システム。
【請求項4】
前記複数の異なる種類の前記変動が、信号のオフセット又は信号の過渡現象の少なくとも1つをさらに含む、請求項に記載の光学測定システム。
【請求項5】
前記複数の異なる種類の前記変動が、温度、サンプリング周波数、又はその他の非光学的要因によって引き起こされる信号変動をさらに含む、請求項に記載の光学測定システム。
【請求項6】
前記1つ又は複数のプロセッサが、前記ピクセル領域の前記ピクセルからの前記電荷の前記デジタル表現を、前記ピクセルのうちの1つ又は複数に関連する少なくとも1つの変動に従って調整するようにさらに構成されている、請求項1に記載の光学測定システム。
【請求項7】
前記光学測定システムが、分光器を含む、請求項1に記載の光学測定システム。
【請求項8】
前記1つ又は複数のプロセッサのうちの少なくとも1つが、前記分光器に統合されている、請求項に記載の光学測定システム。
【請求項9】
前記1つ又は複数のプロセッサのうちの少なくとも1つが、前記分光器に外付けされている、請求項に記載の光学測定システム。
【請求項10】
前記1つ又は複数のプロセッサが、前記特性解析を行うようにさらに構成されている、請求項1に記載の光学測定システム。
【請求項11】
光学データの処理方法であって、
前記光学データを受信する光センサの暗レベル推定値を定義するステップと、
前記光センサのアクティブ・ピクセルからのアクティブ・ピクセル値を収集するステップと、
前記アクティブ・ピクセル値と前記暗レベル推定値とから暗減算されたピクセル値を生成するステップと、
前記暗減算されたピクセル値に基づいて、前記アクティブ・ピクセル値を修正することによって補正されたアクティブ・ピクセル値を生成し、設計された暗レベル値を前記補正されたアクティブ・ピクセル値に与えるステップと
を含む、方法。
【請求項12】
前記補正されたアクティブ・ピクセル値を生成するステップが、前記暗減算されたピクセル値に基づいて前記アクティブ・ピクセル値の強度補正値を与えるステップを含む、請求項1に記載のスペクトル・データの処理方法。
【請求項13】
前記スペクトル・データを処理するために広帯域較正ベクトルを適用するステップをさらに含み、前記強度補正値が、前記広帯域較正ベクトルからの値と前記暗減算されたピクセル値との組み合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
飽和しきい値を用いて前記アクティブ・ピクセル内の飽和ピクセルを検出するステップと、前記飽和ピクセルに基づいて飽和マスクを生成するステップと、前記飽和マスクを前記補正されたアクティブ・ピクセル値に適用して調整されたアクティブ・ピクセル値を生成するステップとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記調整されたアクティブ・ピクセル値を、内挿法を用いて均一な波長-空間表現として提供するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記補正されたアクティブ・ピクセル値を生成するステップが、均一なゲイン値を適用することによって前記アクティブ・ピクセル値を修正するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
非一時的コンピュータ可読媒体に記憶された一連の動作命令を有するコンピュータ・プログラム製品であって、それによって開始されたときに、1つ又は複数のプロセッサに、光センサのピクセル領域のピクセルからの電荷のデジタル表現を調整するための動作を行うように指示し、前記動作が、
前記光センサの1つ又は複数の低照度領域からのピクセルを含む、前記光センサのピクセルからの信号レベルを特性解析することであって、前記1つ又は複数の低照度領域のピクセルからの前記信号レベルの移動平均に基づく、前記光センサの暗レベル推定値を定義することを含む特性解析することと、
前記特性解析を用いて前記電荷のデジタル表現を調整することと
を含む、コンピュータ・プログラム製品。
【請求項18】
前記特性解析することが、設計された暗レベル値を用いることをさらに含む、請求項17に記載のコンピュータ・プログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、本出願と共通して譲渡され、その全体が参照により本書に組み込まれる、John Corlessらによって2022年5月13日に出願された「SYSTEM,APPARATUS, AND METHOD FOR IMPROVED BACKGROUND CORRECTION AND CALIBRATION FOR SPECTROMETERS」と題する米国仮特許出願第63/341,869号の利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、一般的に、光学分光システム及び使用方法に関し、より詳細には、半導体プロセス中に使用される画像及び非画像分光器から記録されるデータの改善されたバックグラウンド補正及び較正に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体プロセスの光学モニタリングは、エッチング、堆積、化学機械研磨、注入などのプロセスを制御するためのよく確立された方法である。発光分析(OES:Optical Emission Spectroscopy)及び光干渉による終点検知(IEP:Interferometric Endpoint)が、データ収集の2種類の基本的な動作モードである。OESの適用例では、モニターされているプロセスの状態や進行を示す原子種や分子種の変化を識別し、追跡するために、プロセスから、典型的にはプラズマから発せられた光が収集され、分析される。IEPの適用例では、典型的にはフラッシュランプなどの外部光源から光が供給され、被加工物の上に誘導される。被加工物からの反射によって、供給された光が被加工物の反射率という形で被加工物の状態を示す情報を伝える。被加工物の反射率を抽出し、モデル化することによって、特性の中でもとりわけ膜厚や加工寸法(feature size)/深さ/幅を把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第7,049,156号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様において、本開示は光学測定システムを提供する。一実例では、光学測定システムは、(1)受信した光信号に対応する電荷を蓄積する複数のピクセルを有する光センサのピクセル領域と、(2)光センサに固有の信号レベルを提供する1つ又は複数の低照度(reduced illumination)領域と、(3)システムのアクティブ動作中に、1つ又は複数の低照度領域からの信号レベルの特性解析を用いて、ピクセル領域のピクセルからの電荷のデジタル表現を調整するように構成された1つ又は複数のプロセッサとを含む。
【0006】
本開示はまた光学データの処理方法を提供する。一実例では、本方法は、(1)光学データを受信する光センサの暗レベル推定値を定義するステップと、(2)光センサのアクティブ・ピクセルからアクティブ・ピクセル値を収集するステップと、(3)アクティブ・ピクセル値と暗レベル推定値とから暗減算されたピクセル値を生成するステップと、(4)暗減算されたピクセル値に基づいて、アクティブ・ピクセル値を修正することによって補正されたアクティブ・ピクセル値を生成するステップとを含む。
【0007】
さらに別の態様において、本開示は、非一時的コンピュータ可読媒体に記憶された一連の動作命令を有するコンピュータ・プログラム製品であって、それによって開始されたときに、1つ又は複数のプロセッサに、光センサのピクセル領域のピクセルからの電荷のデジタル表現を調整するための動作を実行するように指示するコンピュータ・プログラム製品を提供する。一実例では、操作は、(1)光センサのピクセルからの信号レベルを特性解析することであって、ピクセルが光センサの1つ又は複数の低照度領域からのピクセルを含む、特性解析することと、(2)特性解析を用いて電荷のデジタル表現を調整することとを含む。
【0008】
ここで、添付の図面と併せてなされる以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】半導体プロセス・ツール内のプラズマ又は非プラズマ・プロセスの状態をモニター及び/又は制御するためにOES及び/又はIEPを採用するためのシステムのブロック図である。
図2】典型的な面状CCD(Charge-Coupled Device)センサの機能要素を一般的に示す概略図である。
図3A】本開示の原理に従って、収集光の変換に起因する典型的なOES光信号(スペクトル)のプロットである。
図3B】本開示の原理に従って、非光信号源の発生に起因するバックグラウンド信号の一実例のプロットである。
図4】本開示の原理に従って、バックグラウンド信号が動作温度及びサンプリング周波数によってどのように影響され得るかを示すプロットである。
図5A】本開示の原理に従って、サンプリング周波数及び熱変化の影響を受けたバックグラウンド信号に対する過渡的な現象を詳述する一組のプロットである。
図5B】本開示の原理に従って、サンプリング周波数及び熱変化の影響を受けたバックグラウンド信号に対する過渡的な現象を詳述する一組のプロットである。
図6】本開示の原理に従って、CCDデバイスからスペクトル・データを読み取り、それらの信号にバックグラウンドの補正及び較正を適用することによってスペクトル・データを処理する例示的方法のフローチャートである。
図7】本開示の原理に従って、分光器及び特定の関連システムのブロック図である。
図8】本開示の原理に従って、スペクトル・データにバックグラウンドの補正及び較正を適用するように構成されたコンピューティング・システムの一実例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明において、本明細書の一部を構成する添付図面を参照し、本発明が実施され得る特定の実施例を例示的に示す。これらの実施例は、当業者が本発明を実施することが可能となるように十分に詳細に説明されており、他の実施例が利用され得ることは理解されるべきである。本発明の思想及び範囲から逸脱することなく、構造的、手順的及びシステム的な変更が行われ得ることも理解されるべきである。したがって、以下の説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。説明を明快にするために、添付の図面に示す同様の特徴は、同様の参照数字で示し、図面における代替的実施例に示すような同様の特徴は、同様の参照数字で示す。本発明の他の特徴は、添付の図面及び以下の詳細な説明から明らかになるであろう。図解の明快のために図面の特定の要素は縮尺通りに描かれていないことがあることに留意されたい。
【0011】
プロセス時間の短縮、加工寸法の微細化、及び構造の複雑化のための半導体プロセスの弛まぬ進歩は、プロセス・モニタリング技術に多大な要求を課している。例えば、FinFET(FIN Field-Effect Transistor)や3D NAND構造など、オングストローム単位の変動(数原子層)が決定的に重大である非常に薄い層に対する非常に高速なエッチング速度を正確にモニターするためには、より高速なデータ・レートが必要である。OESとIEPの両方の方法で、反射率、発光又は両方のわずかな変化を検出することを助けるためには、より広い光の帯域幅とより大きな信号対雑音が必要とされる場合が多い。プロセス機器自体がより複雑で高額なものになるにつれ、コストやパッケージ・サイズも一定の圧力下にある。これらの要件は全て、半導体プロセスの光学モニタリングの性能を向上させることを求めている。OESの方法かIEPの方法かにかかわらず、多くの光学モニタリング・システムの重要な構成要素は、分光器などの測定デバイスやシステム、及び半導体プロセスの制御やモニタリングのために受信した光学データを安定して正確に電気データに変換する能力である。
【0012】
したがって、本明細書に開示されるのは、光学測定システム内の光センサから収集されたデータを表す電気データ中の定常信号と過渡信号とを識別して特性解析することによって光学データの改善された処理を提供するプロセス、システム、及び機器である。光センサから収集される電気データは、一般的に、入射光の変換による光学データと、入射光に起因しない、センサや他のシステム構成要素の内部で生成される非光学的データとを含み得る。非光学的データは、モニターされるプロセスを示すものではないため、モニターされるプロセスを不適切に特性解析することを避けるために、この種のデータはできるだけ安定して小さいことが望まれる。改善された処理はまた、光学データのより真実に近い表現を提供するために、アナログ信号領域又はデジタル信号領域のいずれかで、電気信号、又は電気信号に関連するデータを修正して、例えば、非光学的データに関連する信号レベルの異なる種類の変動を分離することを含むことができる。この改善された処理は、半導体プロセスをより正確にモニターするために使用することができる。
【0013】
プロセス・ツール内の半導体プロセスの状態をモニター及び評価することに具体的に関連して、図1は、半導体プロセス・ツール110内のプラズマ又は非プラズマ・プロセスの状態をモニター及び/又は制御するためにOES及び/又はIEPを利用するプロセスシステム100のブロック図を示す。半導体プロセス・ツール110、又は単にプロセス・ツール110は、様々なプロセス・ガスを含み得るチャンバー135の、典型的には部分的に排気された容積内に、通常、ウェハー120と、場合によってはプロセス・プラズマ130とを封入する。プロセス・ツール110は、様々な箇所及び方向でチャンバー135内部の観察を可能にするための1つ又は複数の光学インターフェース、又は単にインターフェース、140、141及び142を含み得る。インターフェース140、141、及び142は、光学フィルター、レンズ、窓、開口部、ファイバー光学系など、これらに限定されない複数の種類の光学要素を含み得る。
【0014】
IEPの適用例では、光源150は、インターフェース140と直接又は光ファイバー・ケーブル・アセンブリ153を介して接続され得る。この構成に示されるように、インターフェース140は、ウェハー120の表面に対して垂直に向けられ、多くの場合、同ウェハー120について中心に置かれる。光源150からの光は、平行ビーム155の形態でチャンバー135の内部容積に入り得る。ビーム155はウェハー120から反射すると、再びインターフェース140によって受信され得る。一般的な適用例では、インターフェース140は、光コリメータであり得る。インターフェース140による受信後、光は、検出及びデジタル信号への変換のために、光ファイバー・ケーブル・アセンブリ157を介して、光学測定システム160に転送され得る。光学測定システム160は、分光器を含むことができ、又は分光器とすることができる。図1に示すように、本明細書では、光を電気信号に変換するために使用することができる光学測定システムの一実例として分光器を使用する。光学測定システムの他の実例は、固定型又は走査型モノクロメータと、波長フィルタリングを伴う又は伴わない単一又は複数のダイオード検出器とを含む。光は、照射光と検出光を含み得、例えば、深紫外(DUV:Deep UltraViolet)から近赤外(NIR:Near-InfraRed)までの波長域を含み得る。対象の波長は、波長域の任意のサブレンジから選択され得る。より大きな基板や、ウェハーの不均一性を理解することが関心事である場合には、ウェハー120に垂直に向けられた追加の光学インターフェース(図1に図示せず)が使用され得る。プロセス・ツール110は、他のモニタリング・オプションのために、異なる箇所に配置された追加の光学インターフェースを含むこともできる。
【0015】
OESの適用例では、インターフェース142は、プラズマ130からの発光を収集する方向に向けられ得る。インターフェース142は単にビューポートであり得るが、レンズ、ミラー、光学波長フィルターなどの他の光学系も追加で含み得る。光ファイバー・ケーブル・アセンブリ159は、検出及びデジタル信号への変換のために、収集された光を分光器160に誘導し得る。分光器160は、検出及び変換のために、図2のCCDセンサ200及びコンバータ250のようなCCDセンサとコンバータとを含むことができる。複数のインターフェースが、OES関連の光信号を収集するために個別に又は並行して使用され得る。例えば、図1に示すように、インターフェース141はウェハー120の表面付近からの発光を収集するように配置され得るが、インターフェース142はプラズマ130の大部分を観察するように配置され得る。
【0016】
多くの半導体プロセス適用例では、OESとIEPの両方の光信号を収集することが一般的であり、この収集は、分光器160の使用に関して複数の問題を生じる。OES信号は典型的には時間について連続であるのに対し、IEP信号は時間について連続か不連続のいずれか又は両方であり得る。プロセス制御では、多くの場合、OESもIEPも信号のわずかな変化を検出する必要があり、どちらかの信号に固有の変動があると、もう一方の信号の変化の観測を隠すことがあるので、これらの信号を混在させると多くの困難が生じる。信号種ごとに複数の分光器をサポートすることは、例えば、コスト、複雑さ、信号タイミングの同期、較正、及びパッケージングの不便により得策でない。
【0017】
分光器160による受信した光信号の検出及びアナログ電気信号への変換の後、そのアナログ電気信号は、典型的には、分光器160のサブシステム内で増幅及びデジタル化され、シグナル・プロセッサ170に送られる。シグナル・プロセッサ170は、例えば、産業用PC(Personal Computer)、PLC(Programmable Logic Controller)又は他のシステムであり得、1つ又は複数のアルゴリズムを採用して、例えば、特定の波長の強度又は2つの波長帯の比を表すアナログ又はデジタルの制御値などの出力180を生成する。別個のデバイスではなく、代わりにシグナル・プロセッサ170が分光器160に統合され得る。シグナル・プロセッサ170は、予め決定される波長での発光強度信号を分析し、プロセスの状態に関連するトレンド・パラメータを決定し、そしてその状態、例えば終点検出、エッチング深さ等にアクセスするために使用され得るOESアルゴリズムを採用し得る。IEPの適用例については、シグナル・プロセッサ170は、膜厚を決定するためのスペクトルの広帯域部分を分析するアルゴリズムを採用し得る。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、「System and Method for In-situ Monitor and Control of Film Thickness and Trench Depth」、米国特許第7,049,156号明細書を参照されたい。出力180は、プロセス・ツール110のチャンバー135内で起きている製造プロセスをモニター及び/又は修正するために、通信リンク185を介してプロセス・ツール110に転送され得る。
【0018】
例示し、説明した図1の構成要素は、便宜上簡略化されており、一般的に知られている。共通の機能に加えて、分光器160又はシグナル・プロセッサ170はまた、光信号及び非光信号の、定常的及び過渡的な変動を識別し、本明細書に開示される方法及び/又は機能に従ってこれらの信号を処理するように構成することができる。このように、分光器160又はシグナル・プロセッサ170は、定常的及び過渡的な、光信号及び非光信号を識別し、処理するためのアルゴリズム、処理能力、及び/又は論理を含むことができる。アルゴリズム、処理能力、及び/又は論理は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせの形態であり得る。アルゴリズム、処理能力、及び/又は論理は、1つのコンピューティング・デバイス内にあってもよいし、分光器160やシグナル・プロセッサ170などの複数のデバイス全体にわたって分散させることもできる。したがって、1つ又は複数のプロセッサは、識別及び処理を実行するように構成することができる。処理は、光センサの1つ又は複数の低照度領域からの信号レベルの特性解析を用いて、光センサのピクセル領域のピクセルの電荷のデジタル表現の調整を含むことができる。光センサは、分光器160の一部であり得る。光センサは、図2に表されるような電荷結合素子(CCD)センサであり得る。
【0019】
図2は、従来の面状CCDセンサ200の機能要素を一般的に示す概略図である。センサ200は、一般的に、日本の浜松からのCCDセンサS7031のように、1024(H)×122(V)などの個々のピクセルのアレイに分割され得るアクティブ・ピクセル領域210を含む。センサ200は、図1の分光器160のような分光器に統合され得、又は別の種類の光学測定システムとともに使用され得る。定義と明快性の問題として、本明細書で光センサを扱う際に「水平」と「垂直」を使用するときは、議論下の光センサの長軸と短軸をそれぞれ指していることに留意されたい。分光の適用例では、光センサの長軸/水平軸を波長分散の方向と一致させ、短軸/垂直軸をファイバーや光スリットなど、画定された光源又は照明開口の結像又は収集と関連付けることが一般的である。
【0020】
センサ200は、ピクセル領域210に隣接する水平シフト・レジスタ220も含む。光ファイバー・ケーブル・アセンブリ157や159からなどセンサ200に集積された光信号は、典型的には、ピクセル領域210の各ピクセル内の蓄積電荷を水平シフト・レジスタ220中に、矢印230で示すように垂直にシフトさせることによって読み取られる。アクティブ・ピクセル領域210の全て又は一部は、行単位でそのようにシフトさせられ得る。垂直シフトに続いて、矢印240で示すように水平シフトが実行され得る。水平シフト・レジスタ220の各ピクセルがシフトされる(図2の上部に向かって)と、その信号内容は、コンバータ250によってアナログ信号ベースからデジタル信号ベースに、例えば、アナログ電気信号からデジタル電気信号に変換され得る。得られたデジタル・データの後続する対処及び処理は、シグナル・プロセッサ170中など、分光器の内部でも外部でも行うことができ、平均化、カーブ・フィッティング、しきい値検出、フィルタリング、及び本明細書に記載するようなその他の数学的操作を含めることができる。
【0021】
センサ200は、シフト・レジスタ要素260及び261並びにピクセル領域要素270、271及び272などの、非照明又は部分的に照明される要素の1つ又は複数の低照度領域をさらに含み得る。通例、要素260及び261は「ブランク」ピクセルと呼ばれることがあり、要素270、271及び272は「ベベル」ピクセルと呼ばれることがある。これらの領域又は要素のうちの1つ又は複数がセンサ200内に含まれ、センサ200に固有の信号レベルを提供し得る。信号レベルは、非光信号レベルであり得る。非光信号は一般的に、信号のオフセット、信号の過渡、及び温度又は光でない他の要因によって引き起こされる他の形態の信号変動を含み得る。
【0022】
図3A及び図3Bは、光信号データや非光信号データのコンテキストと、光信号及び非光信号の処理のための本明細書に記載の方法とを提供する。図3A及び図3Bの各々は、分光器から収集された信号のプロットを示している。各プロットは、物理的なピクセル単位(典型的には不均一に間隔を置く波長単位)のX軸と、信号カウント単位のY軸とを有する。図3Aは、分光器のセンサへの入射光から得られる典型的なOES光信号(スペクトル)320のプロット300を示す。スペクトル320は、分子発光(例えば、400nm付近の広帯域構造)と原子発光(例えば、全体にわたって存在する狭いピーク)の両方に典型的な特徴を示している。図3Bは、同じセンサから収集された非光信号から得られたバックグラウンド信号360のプロット350を示す。図3A図3Bを比較すれば容易に観測され得るように、バックグラウンド信号360は、除去されない場合、スペクトル320に大きな変容を与えかねない。例えば、バックグラウンド信号360の平均レベルは約2080カウントであるのに対して、スペクトル320の平均信号レベルは約5000カウントである。加えて、バックグラウンド信号360は、スペクトルの特徴として解釈され得る、ピクセル1と100との間に生じている特徴を含んでいる。バックグラウンド信号(又はスペクトル)360の平均値及びバックグラウンド信号中の特徴の静的な値及び時間発展は、光信号320などの関連するスペクトルの特徴又は変化の誤解釈を引き起こし、半導体プロセスの制御エラーにつながり得る。最先端の半導体プロセスでは制御検出のしきい値は数パーセントに近いかそれ未満であり、非光学的バックグラウンド信号の変化によって容易に不明瞭になり得る。
【0023】
図4は、非光信号に由来するバックグラウンド信号が、センサ200などのセンサの動作温度及びサンプリング周波数によってどのように影響され得るかを示すプロット400を示す。プロット400は、物理的なピクセル単位(典型的には不均一に間隔を置く波長単位)のx軸と、信号カウント単位のy軸とを有する。信号410と信号420は、2msのサンプリング周期、すなわち等価的に毎秒500スペクトルのサンプル・レートで、それぞれ摂氏0度と40度の環境温度で動作するセンサを用いて収集された。信号410と信号420は基本的に区別がつかず、ほぼ同じ平均信号レベル並びにピクセル番号に対するほぼ同じ変動によって特徴付けられる。
【0024】
信号430と信号440は、信号410と信号420のときと同じセンサから収集されたが、100msのサンプリング周期、すなわち等価的に毎秒10スペクトルのサンプル・レートで、それぞれ摂氏0度と40度の周囲温度で動作した。信号430と信号440とは容易に区別でき、約30カウントの平均信号レベルの変化、並びにピクセル番号に対する変動に見られる複数の差異、並びに変化したRMS(root mean square)ノイズ・レベルによって特徴付けられる。これは2msのサンプリング周期でセンサを動作させた方が良いことを示唆しているが、このサンプリング周期は入射光の量などの要因に左右されるので実用的でない。入射光レベルが比較的高い場合は2msのサンプリング周期が適していることがあるが、かなり低い入射光レベルの場合は、適切な信号レベルと信号対ノイズ比を得るためにより長いサンプリング周期が必要とされる。
【0025】
図5A及び図5Bは、サンプリング周波数及び熱変化の影響を受けたバックグラウンド信号に対する過渡的な現象をさらに詳細に示す一組のプロット500及び550である。プロット500は、サンプル番号(サンプルあたりの時間増分と関連付けることができる)のx軸と、信号カウント単位のy軸とを有する。プロット500は、2msの予め決定され固定されたアイドル時間のサンプリング周期と、実際のプロセスの信号収集期間中に使用されるサンプリング周期との間のサンプリング・レートが変化することによって引き起こされるバックグラウンド信号変動を示す。信号510は、2msのプロセスのサンプリング周期を有し、したがってアイドル時間のレートと実際のレートが同等であるので過渡的な挙動を示さない。信号520は、10msのプロセスのサンプリング周期を有し、アイドル時間のレートと実際のレートが異なるので過渡的な挙動を示す。信号530ではサンプル周期が100msに増やされ、過渡的な動作のより大きな増加が観測される。プロット500に示されるような過渡現象は、収集されたデータの最初の部分(サンプル)を処理中にさらに進むための基準値として利用する一般的な慣行によるものであり、プロセス制御にとって有害であり得る。過渡現象による変動性は、ベースラインやしきい値などのパラメータ処理に悪影響を及ぼし得る。アクティブ状態(プロセス制御のために継続的な信号収集と処理が行われる)とアイドル状態(プロセス制御のための収集開始を待つ間、信号の収集と処理が変更又は一時停止されることがある)との間の変動は、センサへの電流を変える異なる読み取り周波数が原因であり得、これは熱環境を変え、様々な構成要素においてオフセットをシフトさせる。
【0026】
プロット550は、熱的に引き起こされる過渡現象及びサンプリング周期に対するそれらの依存性を示す。プロット550は、時間単位のX軸と、信号カウント単位のY軸とを有する。信号560と信号570は、それぞれ、2msのサンプリング周期で動作する光センサの、ブランク・ピクセルとアクティブ・ピクセルの平均値の時間的傾向である。この動作条件では、基本的に過渡現象は観測されないが、オフセットが容易に見出される。信号580と信号590は、それぞれ、100msのサンプリング周期で動作する光センサの、ブランク・ピクセルとアクティブ・ピクセルの平均値の時間的傾向である。この動作条件では、信号レベルのオフセットに加えて、約10秒間の過渡現象が観測される。プロット550に示すような過渡現象やオフセットは、光センサ及び関連する熱電冷却器による電力使用の変化、並びにその後のセンサの周囲環境への再加熱に由来し得る。この種の偏移は、収集されたデータの最初の部分(サンプル)を処理中にさらに進むための基準値として利用する一般的な慣行によるものであり、プロセス制御にとって有害であり得る。過渡現象による変動性は、ベースラインやしきい値などのパラメータ処理に悪影響を及ぼし得る。
【0027】
図6は、光センサからスペクトル・データを読み取り、本明細書で説明した過渡現象、オフセット及びその他の信号変動に対処するためにそれらの信号にバックグラウンドの補正及び較正を適用することによってスペクトル・データを処理する方法600の一実例に関するフローチャートである。例えば、図4に表されるようなオフセット/形状、及び図5A及び図5Bに表されるような過渡現象に対応するために、スペクトル・データを処理すること。方法600は、少なくともいくつかの低照度領域からの信号レベル及び変動を特性解析し、この特性解析を用いて光センサのアクティブ・ピクセルからのスペクトル・データのデジタル表現を調整する。方法600は、1つ又は複数のプロセッサで実行することができ、光センサ又は光センサを含む光学測定システムのアクティブ動作中に、リアルタイムで実行することができる。例えば、方法600は、分光器160、シグナル・プロセッサ170、又はそれらの組み合わせで実行することができる。方法600は、初期化ステップ610、620、及び630で開始し、これらのステップは、アイドル時間中は2msのレートで、アクティブな収集時間中はその他のレートで繰り返し実行され得、これは上述のようにアクティブ動作とも呼ばれる。アイドル時間とは、分光器が、プロセス制御及び/又はプロセス・モニタリングに使用される光学データを積極的に収集していない期間のことである。ステップ610の間、領域のピクセル(低照度ピクセル)からの値は、センサから収集され得る。上述の図2に関連して説明したように、様々なセンサは、ブランク・ピクセル及び/又はベベルピクセルのような複数の低照度ピクセルを含み得る。低照度ピクセルがシフト・レジスタ要素のみに関連付けられる場合、典型的には4~20個の低照度ピクセルが存在し、読み出され得る。収集後、ステップ620において、中央値又はその他の数学的値(例えば、平均値又は他のより複雑な数学的に導かれた値)が、低照度ピクセル値から選択され得る。アイドル時間中のサイクル数が増加すると、ステップ620で選択された値の移動平均がステップ630において計算され得る。
【0028】
分光器のアクティブな収集状態が開始されると、ステップ640において暗レベル推定が定義され得る。暗レベル推定は、センサの暗ピクセルとも呼ばれる低照度ピクセルから決定され、センサのアクティブ領域からのデータも含み得る。暗レベル推定は、アクティブ状態の構成とアイドル状態の構成との間の類似性又は相違性に左右され得る。例えば、サンプル期間、温度又はその他の特性は、状態間で異なることがある。アイドル状態とアクティブ状態の構成が同じである特定の実例では、暗レベル推定は、ステップ630において決定された移動平均と同等とみなされ得る。アイドル状態とアクティブ状態との間で差異が生じる場合、ステップ620において選択された値がステップ640における暗レベル推定と同等とみなされ得、そこで移動平均をバイパスして、アクティブ状態の動作の現在値を選択することが可能である。図6において、ステップ630の移動平均を使用するオプションは、プロセス・ステップ・スイッチを示す矢印の位置によって表現されている。ステップ620の数学的表現、ステップ630の移動平均、或いはさらに別の表現又は計算を用いることは、予め決定して実行することができ、或いはプロセッサがリアルタイムで決定することができる。どのオプションを使用するかを検討するための要素は、アクティブ状態とアイドル状態の熱特性、サンプリング・レート、その他の特性、又はそれらの組み合わせであり得る。暗レベル推定の他の値は、本明細書で上述した特定の実例以外のブランク・ピクセル値の数学的操作によって生成され得る。暗レベル推定は、分光器の、光センサに光が当たらない状態で撮影したスペクトルである暗スペクトルに対応することができる。
【0029】
ステップ650におけるアクティブ収集の間、アクティブ・ピクセル値が収集され得る。収集に続いて、アクティブ・ピクセル値は、ステップ640の暗レベル推定値と数学的に組み合わされ、ステップ660で暗減算されたピクセルを提供し得る。アクティブ・ピクセル値と暗レベル推定値の数学的組み合わせは、アクティブ・ピクセル値から暗レベル推定値を減算するような単純な組み合わせであってもよいし、追加の操作を含んでもよい。
【0030】
ステップ650のアクティブ・ピクセル値はまた、ステップ670で決定された、予め決定された飽和しきい値とともに処理されて、ステップ675中に、一組のアクティブ・ピクセル値(典型的には、1024値又は2048値のアレイ)内の飽和ピクセル値の検出を行い得る。飽和しきい値は、この値以上のアクティブ・ピクセル値が飽和、非線形特性、又は他の望ましくない変動を受け得るように定義されたピクセル値であり得る。ステップ675において飽和ピクセルが検出されると、ステップ678で定義される飽和マスクに進む。飽和マスクは、アクティブ・ピクセル値が飽和しているか否かに対応する、真又は偽の値をアレイ・インデックスごとに示す、バイナリのアレイによって表され得る。
【0031】
広帯域較正ベクトルは、ステップ680において予め決定され得る。センサとセンサ(又は分光器と分光器)の整合性は重要であり、したがってプロセス・モニタリングは同じであるべきである。しかし、処理装置はそれぞれ異なる構成要素を含み、それゆえに感度が異なる。したがって、680の広帯域較正ベクトルは、実際の光信号にしか適用される必要がない。したがって、広帯域較正ベクトルの適用などによる広帯域較正の前に、ステップ640の暗レベル推定値がステップ650のアクティブ・ピクセル値から減算されて、ステップ660の暗減算されたピクセル値を得る。広帯域較正ベクトル又はその値は、ステップ660の暗減算されたピクセル値と組み合わされて、ピクセルごとの強度補正値を与え得る。
【0032】
強度補正値は、ステップ682において予め決定された均一ゲイン値の適用によって、さらに調整され得る。ゲイン係数は、典型的にはスカラー値、例えば1.5であり、光センサの入力に同じ量の入射光があった場合に一貫した応答を行うために全てのデータに適用される。ゲインは、光センサやその他の分光器の構成要素の応答が一貫性のない場合に、その補償を支援するものである。ゲイン調整に続いて、ステップ685において、ゼロ値に対するピクセル値の適切なオフセットを与えるために、予め決定された設計された暗レベル値が全てのピクセル値に加算され得る。予め決定された設計された暗レベル値は、ステップ640の暗レベル推定に基づき得る。信号レベルの修正が適用されてアクティブ・ピクセル値を修正又は補正した後、ステップ687において、事前決定された飽和マスクが補正されたアクティブ・ピクセル値に適用されて、調整されたアクティブ・ピクセル値を生成し得る。飽和マスクを適用することにより、全ての飽和信号など、方法600の前のステップのいずれかによって調整されたであろう飽和信号は、適切に作り直される。飽和マスクの適用に続いて、ステップ690において、ピクセル・データは、調整されたアクティブ・ピクセル値の均一な波長-空間表現中に内挿され得る。ステップ695において、調整されたアクティブ・ピクセル値の均一な波長-空間表現は、さらなる使用のために出力される。例えば、調整されたアクティブ・ピクセル値は、シグナル・プロセッサ170に与えられ、生産プロセスをモニター又は修正するために使用され得る。
【0033】
プロセス600は、1)ベースライン・オフセットに依存しない広帯域ラジオメトリック補正のための方法の統合を提供すること、2)温度感度(ブランク・ピクセルが温度ドリフトでアクティブ・ピクセルに従う)を小さくするバックグラウンド補正を提供すること、及び3)バックグラウンド・レベルにノイズを加えることなく、CCD内の自己加熱及び冷却によるベースラインレベル過渡現象を回避するバックグラウンド補正を提供することなど、複数の組の特徴について、これらに限定されないが有利に使用され得る。プロセス600は、環境温度の変動がベースライン・オフセット及び過渡変化の主な原因の1つである場合、暗電流が小さいシステム(すなわち、暗電流が一般的に小さく、短い積分時間が通常使用されるので暗電流の影響が限定的であり得る熱電(TE)冷却デバイス)において特に有用であり得る。
【0034】
図7は、本開示の一実施例による、分光器710と特定の関連システムとを含む光学システム700のブロック図である。分光器710は、半導体プロセスからの光信号の測定に有利になるように、本明細書に開示されたシステム、特徴、及び方法を組み込み得、図1の分光器160と関連し得る。分光器710は、半導体プロセスからの光信号の測定に有利になるように、本明細書に開示されたシステム、特徴、及び方法を組み込み得、図1の分光器160と関連し得る。分光器710は、光ファイバー・ケーブル・アセンブリ157又は159を介してなど、外部光学系730から光信号を受信し得、集積及び変換後に、図1の出力180など外部システム720にデータを送信し得、このデータは、例えば、動作モードの選択、又は本明細書で定義する集積タイミングの制御により、分光器710を制御するためにも使用され得る。分光器710は、サブミニチュア・アセンブリ(SMA)又はフェルール・コネクタ(FC)光ファイバー・コネクタ又は他のオプトメカニカル・インターフェースなどの光学インターフェース740を含み得る。スリット、レンズ、フィルター、グレーティングなどのさらなる光学構成要素745は、受信した光信号を形成、誘導、色分離し、集積及び変換のためにセンサ750に誘導するように作用し得る。センサ750は、図2のセンサ200と関連し得る。センサ750の低レベルの機能は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)760やプロセッサ770などの要素によって制御され得る。光から電気への変換に続いて、アナログ信号は、A/D(Analog/Digital)コンバータ780に誘導され、電気アナログ信号から電気デジタル信号に変換され得、その後、即刻又は後刻の使用及び外部システム720(図1のシグナル・プロセッサ170を参照のこと)などへの送信のためにメモリ790に記憶され得る。ある程度のインターフェースや関係は図7中に矢印で示しているが、全てのインタラクションや制御関係を示しているわけではない。図3図5Bに示すスペクトル・データは、例えば、図6のプロセス600に従って、メモリ/ストレージ790、FPGA760、プロセッサ770及び/又は外部システム720のうちの1つ又は複数の範囲内で/によって、収集、記憶及び/又は実行され得る。分光器710は電源795も含み、これは、分光器に典型的に含まれる従来の交流又は直流電源であり得る。
【0035】
図8は、スペクトル・データ中の信号の識別や信号の処理など、本明細書で開示するプロセスに使用することができるコンピューティング・システム800を示す。コンピューティング・デバイス800は、本明細書で開示する分光器160又は710など、分光器又は分光器の一部とすることができる。コンピューティング・デバイス800は、少なくとも1つのインターフェース832と、メモリ834と、プロセッサ836とを含み得る。インターフェース832は、例えば未処理スペクトル・データを受信し、例えば処理後スペクトル・データを送信するために必要なハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせを含む。
【0036】
インターフェース832の一部はまた、アナログ電気信号又はデジタル電気信号を通信するために必要なハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせを含むことができる。インターフェース832は、標準プロトコル又は独自プロトコルなどのプロトコルに従って(例えば、インターフェース832は、I2C、USB、RS232、SPI、又はMODBUSをサポートし得る)、様々な通信システム、接続、バスなどを介して通信する従来のインターフェースであり得る。
【0037】
メモリ834は、コンピューティング・デバイス800に関連する様々なソフトウェア及びデジタル・データの態様を記憶するように構成される。さらに、メモリ834は、例えば、スペクトル・データ中の異常信号を識別し、識別された異常信号を処理するために開始されると、プロセッサ836の動作を指示する1つ又は複数のアルゴリズムに対応する一連の動作命令を記憶するように構成される。プロセス600及びその変動は、アルゴリズムの代表的な実例である。この処理は、信号データの除去又は修正、又は別のアクションを含み得る。例えば、プロセッサ836は、バックグラウンド信号すなわち非光信号に由来する信号を識別し、特性解析し、このバックグラウンド信号にバックグラウンドの補正及び較正を適用することができる。メモリ834は、非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、フラッシュ・メモリ及び/又は他の媒体)であり得る。プロセッサ836は、コンピューティング・デバイス800の動作を指示するように構成される。かくして、プロセッサ836は、インターフェース832及びメモリ834と通信し、スペクトル・データ中の異常信号を識別し処理するように本明細書に記載された機能を実行するために必要な論理を含む。
【0038】
上述の機器、システム又は方法の一部は、様々な従来のデジタル・データ・プロセッサ又はコンピュータなどの中に具現化し又はそれらによって実行され得、コンピュータは、方法のステップの1つ又は複数を実行するようにプログラムされるか、又はソフトウェア命令のシーケンスの実行可能なプログラムを記憶する。そのようなプログラム又はコードのソフトウェア命令は、アルゴリズムを表し、非一時的デジタル・データ記憶媒体、例えば、磁気ディスク又は光学ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random-access memory)、磁気ハード・ディスク、フラッシュ・メモリ、及び/又は読出し専用メモリ(ROM:read-only memory)上に機械実行可能形式で符号化されて、様々な種類のデジタル・データ・プロセッサ又はコンピュータが、本明細書に記載した上述の方法、若しくは機能、システム又は機器のうちの1つ又は複数のステップのうちの1つ、複数又は全てを実行できるようにし得る。
【0039】
開示した実施例の一部は、機器、デバイスの一部を具現化し、又は本明細書に規定した方法のステップを実行する様々なコンピュータ実装の動作を実行するためのプログラム・コードをその上に有する非一時的コンピュータ可読媒体をもつコンピュータ・ストレージ製品に関連し得る。本明細書で使用する非一時的とは、一時的な伝搬信号を除く全てのコンピュータ可読媒体を指す。非一時的なコンピュータ可読媒体の実例は、ハード・ディスク、フロッピー・ディスク、磁気テープなどの磁気媒体、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)ディスクなどの光学媒体、フロプティカル・ディスクなどの光磁気媒体、及びROMやRAMデバイスなど、プログラム・コードを記憶し実行するように特別に構成されたハードウェア・デバイスを含むが、これらに限定されない。プログラム・コードの実例は、コンパイラで生成されるような機械語コードと、インタープリタを使うコンピュータによって実行され得る高水準コードを含むファイルの両方を含む。構成されているとは、例えば、1つ又は複数のタスクを実行するために必要な論理、アルゴリズム、処理命令、及び/又は機能を備えて、設計されている、構築されている、又はプログラムされていることを意味する。
【0040】
上述、及びその他の変更は、本明細書に記載した光学測定システム及びサブシステムにおいて、本明細書の範囲から逸脱することなく行われ得る。例えば、いくつかの実例は半導体ウェハー・プロセス機器と関連して説明されているが、本明細書に記載した光学測定システムは、ロールツーロール薄膜処理、太陽電池製造又は高精度光学測定が必要とされ得る任意の応用機器など他の種類の処理機器に適合させられ得ることは理解され得る。さらに、本明細書で議論したいくつかの実施例は、イメージング分光器などの一般的な光分析デバイスの使用を説明するが、既知の相対感度をもつ複数の光分析デバイスが利用され得ることを理解されたい。さらに、本発明の態様を説明する際に本明細書で「ウェハー」という用語を使用したが、石英板、位相シフト・マスク、LED(Light-Emitting Diode)基板、及び他の非半導体プロセス関連基板などの他の種類の被加工物、並びに固体、気体、液体の被加工物を含む被加工物が使用され得ると理解されるべきである。
【0041】
本明細書で説明した実例は、本開示の原理及び実際の適用を最も良く説明するために、当業者が、企図される特定の用途に適するように様々な修正を伴う様々な応用について本開示を理解することができるように選択し、説明したものである。本明細書に記載された特定の実例は、本開示の範囲及び趣旨を逸脱することなく、様々な変形及び環境下で実施することができるので、決して本明細書に開示された特徴の範囲を限定することを意図したものではない。したがって、本開示は、例示された例に限定されることを意図するものではなく、本明細書に記載された原理及び特徴と相反しない最も広い範囲が与えられるべきである。
【0042】
図中のフローチャート及びブロック図は、本開示の様々な実施例によるシステム、方法、及びコンピュータ・プログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能性、及び動作を示すものである。この点で、フローチャート又はブロック図中の各ブロックは、特定の論理機能を実装するための1つ又は複数の実行可能な命令を含むコードのモジュール、セグメント、又は部分を表し得る。いくつかの代替的な実装では、ブロックに記された機能は、図に記された順序とは無関係に起こり得ることにも留意されたい。例えば、関係する機能性により、連続して示される2つのブロックは、実際には実質的に同時に実行されることもあれば、又はそのブロックは、時には逆の順序で実行されることもある。ブロック図及び/又はフローチャート図の各ブロック、並びにブロック図及び/又はフローチャート図中のブロックの組み合わせは、特定の機能又は行為を実行する特別な目的のハードウェアベースのシステム、又は特別な目的のハードウェアとコンピュータ命令の組み合わせによって実装することができることにも留意されたい。
【0043】
本明細書で使用する用語は、特定の実施例を説明することのみを目的とし、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用する際、単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、複数形も含むことを意図している。本明細書で使用する場合、「comprises」及び/又は「comprising」という用語は、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を規定するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除しないことはさらに理解されるであろう。
【0044】
当業者には理解されるように、本開示は、方法、システム、又はコンピュータ・プログラム製品として具現化され得る。したがって、本開示は、完全にハードウェアの実施例、完全にソフトウェアの実施例(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、又はソフトウェアとハードウェアの態様を組み合わせた実施例の形態をとることができ、これらは全て本明細書において一般的に「回路」又は「モジュール」と呼ばれている。さらに、本開示は、媒体中に具現化されたコンピュータ使用可能なプログラム・コードを有するコンピュータ使用可能な記憶媒体上のコンピュータ・プログラム製品の形態をとり得る。
【0045】
本開示の様々な態様は、本明細書に開示される機器、システム、及び方法を含めて主張することができる。本明細書に開示され、概要に記載された態様は、以下のものが含まれる。
【0046】
A.光学測定システムであって、(1)受信した光信号に対応する電荷を蓄積する複数のピクセルを有する光センサのピクセル領域と、(2)光センサに固有の信号レベルを提供する1つ又は複数の低照度領域と、(3)システムのアクティブ動作中に、1つ又は複数の低照度領域からの信号レベルの特性解析を用いてピクセル領域のピクセルからの電荷のデジタル表現を調整するように構成された1つ又は複数のプロセッサとを備える光学測定システム。
【0047】
B.(1)光学データを受信する光センサの暗レベル推定値を定義するステップと、(2)光センサのアクティブ・ピクセルからアクティブ・ピクセル値を収集するステップと、(3)アクティブ・ピクセル値と暗レベル推定値とから暗減算されたピクセル値を生成するステップと、(4)暗減算されたピクセル値に基づいて、アクティブ・ピクセル値を修正することによって補正されたアクティブ・ピクセル値を生成するステップとを含む、光学データの処理方法。
【0048】
C.非一時的コンピュータ可読媒体に記憶された一連の動作命令を有するコンピュータ・プログラム製品であって、それによって開始されたときに、1つ又は複数のプロセッサに、光センサのピクセル領域のピクセルからの電荷のデジタル表現を調整するための動作を行うように指示し、その動作が、(1)光センサのピクセルからの信号レベルを特性解析することであって、そのピクセルは光センサの1つ又は複数の低照度領域からのピクセルを含む、特性解析することと、(2)特性解析を用いて電荷のデジタル表現を調整することとを含む、コンピュータ・プログラム製品。
【0049】
態様A、B、及びCの各々は、以下の追加の要素のうちの1つ又は複数を組み合わせて有することができる。要素1:1つ又は複数の低照度領域は、ブランク・ピクセル、ベベルピクセル、又はその両方の組み合わせを含む。要素2:1つ又は複数の低照度領域は、ピクセル領域の、受信した光信号によって照明されないピクセルを含む。要素3:特性解析の各々は、信号レベルの複数の異なる種類の変動のうちの1つに対応する。要素4:複数の異なる種類の変動は、非光信号に対応する。要素5:複数の異なる種類の変動は、信号のオフセット又は信号の過渡現象の少なくとも1つを含む。要素6:複数の異なる種類の変動は、温度、サンプリング周波数、又はその他の非光学的要因によって引き起こされる信号変動を含む。要素7:複数の異なる種類の変動は、熱飽和を含む。要素8:1つ又は複数のプロセッサは、ピクセル領域のピクセルからの電荷のデジタル表現を、ピクセルのうちの1つ又は複数に関連する少なくとも1つの変動に従って調整するようにさらに構成される。要素9:光学測定システムは分光器を含む。要素10:1つ又は複数のプロセッサのうちの少なくとも1つは、分光器に統合される。要素11:1つ又は複数のプロセッサのうちの少なくとも1つは、分光器に外付けされる。要素12:1つ又は複数のプロセッサは、特性解析を行うようにさらに構成される。要素13:補正されたアクティブ・ピクセル値を生成するステップは、暗減算されたピクセル値に基づいてアクティブ・ピクセル値の強度補正値を与えることを含む。要素14:スペクトル・データを処理するために広帯域較正ベクトルを適用するステップをさらに含み、強度補正値は、広帯域較正ベクトルからの値と暗減算されたピクセル値との組み合わせである。要素15:飽和しきい値を用いてアクティブ・ピクセル内の飽和ピクセルを検出するステップと、飽和ピクセルに基づいて飽和マスクを生成するステップと、飽和マスクを補正されたアクティブ・ピクセル値に適用して調整されたアクティブ・ピクセル値を生成するステップとをさらに含む。要素16:調整されたアクティブ・ピクセル値を、内挿法を用いて均一な波長-空間表現として提供するステップをさらに含む。要素17:補正されたアクティブ・ピクセル値を生成するステップは、均一なゲイン値を適用することによってアクティブ・ピクセル値を修正するステップをさらに含む。要素18:補正されたアクティブ・ピクセル値を生成するステップは、設計された暗レベル値を補正されたアクティブ・ピクセル値に与えるステップをさらに含む。要素19:特性解析することは、光センサの暗レベル推定値を定義することを含む。要素20:暗レベル推定値は、1つ又は複数の低照度領域のピクセルからの信号レベルの移動平均に基づく。要素21:暗レベル推定値は、1つ又は複数の低照度領域のピクセルからの信号レベルの数学的表現に基づく。要素22:特性解析することは、設計された暗レベル値を用いることを含む。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8