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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20241113BHJP
   G08G 1/137 20060101ALI20241113BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20241113BHJP
【FI】
G01C21/26 A
G08G1/137
G05D1/43
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023124137
(22)【出願日】2023-07-31
(62)【分割の表示】P 2018193083の分割
【原出願日】2018-10-12
(65)【公開番号】P2023138605
(43)【公開日】2023-10-02
【審査請求日】2023-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】下平 真武
(72)【発明者】
【氏名】松本 令司
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 宏平
(72)【発明者】
【氏名】玉田 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】藤原 稔樹
(72)【発明者】
【氏名】塚田 卓也
【審査官】宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-159373(JP,A)
【文献】特開2017-130049(JP,A)
【文献】特開2018-032333(JP,A)
【文献】特開2011-215055(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G08G 1/00-99/00
G05D 1/00- 1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の点群データとともに総合点群データに統合される点群データを生成する情報処理装置であって、
移動体に搭載された撮像部から撮像情報を取得する撮像情報取得部と、
撮像時の前記移動体の走行条件に関する走行条件情報を取得する走行条件取得部と、
前記撮像情報に基づいて二次元的な特徴点群を生成し、さらに複数の当該特徴点群に基づいて前記点群データを生成する生成部と、
前記点群データに前記走行条件情報を付与する情報付与部と、を備え
前記点群データは、三次元点群データであることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
他の点群データとともに総合点群データに統合される点群データを生成する情報処理装置であって、
移動体に搭載された撮像部から撮像情報を取得する撮像情報取得部と、
撮像時の前記移動体の走行条件に関する走行条件情報を取得する走行条件取得部と、
前記撮像情報に基づいて二次元的な特徴点群を生成し、さらに複数の当該特徴点群に基づいて前記点群データを生成する生成部と、
前記点群データに対して前記走行条件情報に基づく信頼度情報を付与する情報付与部と、を備え
前記点群データは、三次元点群データであることを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
前記走行条件取得部は、前記走行条件情報として、前記移動体の状態又は挙動に関する自己情報と、前記移動体の周囲の環境に関する外部情報と、のうち少なくとも一方を取得することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記点群データを出力する出力部をさらに備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
他の点群データとともに総合点群データに統合される点群データを生成するための、情報処理装置により実行される情報処理方法であって、
移動体に搭載された撮像部から撮像情報を取得する撮像情報取得工程と、
撮像時の前記移動体の走行条件に関する走行条件情報を取得する走行条件取得工程と、
前記撮像情報に基づいて二次元的な特徴点群を生成し、さらに複数の当該特徴点群に基づいて前記点群データを生成する生成工程と、
前記点群データに前記走行条件情報を付与する情報付与工程と、を含み、
前記点群データは、三次元点群データであることを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
他の点群データとともに総合点群データに統合される点群データを生成するための、情報処理装置により実行される情報処理方法であって、
移動体に搭載された撮像部から撮像情報を取得する撮像情報取得工程と、
撮像時の前記移動体の走行条件に関する走行条件情報を取得する走行条件取得工程と、
前記撮像情報に基づいて二次元的な特徴点群を生成し、さらに複数の当該特徴点群に基づいて前記点群データを生成する生成工程と、
前記点群データに対して前記走行条件情報に基づく信頼度情報を付与する情報付与工程と、を含み、
前記点群データは、三次元点群データであることを特徴とする情報処理方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の情報処理方法を、コンピュータにより実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載の情報処理プログラムを格納したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動体において自己位置推定と環境地図作成を同時に実行する方法(SLAM;Simultaneous Localization and Mapping)が知られている。このようなSLAMの一種として、レーザ装置に代えてビデオカメラを用いる方法(VSLAM;Visual SLAM)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されたようなVSLAMでは、ビデオカメラを用いることによりコスト低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-222550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたようなVSLAMにおいては、ビデオカメラによって撮像された各画像(フレーム)において特徴点を抽出し、各画像間における特徴点の変化に基づいて自己位置推定及び環境地図作成を行う。このような環境地図に含まれる点群データを、外部サーバ等の装置が収集するとともに統合し、統合された点群データが自己位置推定等に活用されることがある。
【0005】
しかしながら、生成される点群データは、常に精度の高いものであるとは限らない。従って、統合される複数の点群データに、信頼度が低い点群データが含まれていると、統合後の点群データの信頼度が低下してしまう可能性がある。統合後の点群データの信頼度が低いと、自己位置推定等に活用しにくくなってしまう。
【0006】
したがって、本発明の課題は、統合後の点群データの信頼度を向上させることができる情報処理装置を提供することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の情報処理装置は、移動体に搭載された撮像部から撮像情報を取得する撮像情報取得部と、撮像時の前記移動体の走行条件に関する走行条件情報を取得する走行条件取得部と、前記撮像情報に基づいて点群データを生成する生成部と、前記点群データに前記走行条件情報を付与する情報付与部と、を備えることを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の本発明の情報処理装置は、移動体に搭載された撮像部から撮像情報を取得する撮像情報取得部と、撮像時の前記移動体の走行条件に関する走行条件情報を取得する走行条件取得部と、前記撮像情報に基づいて点群データを生成する生成部と、前記点群データに対して前記走行条件情報に基づく信頼度情報を付与する情報付与部と、を備えることを特徴としている。
【0009】
請求項5に記載の本発明の情報処理方法は、移動体に搭載された撮像部から撮像情報を取得する撮像情報取得工程と、撮像時の前記移動体の走行条件に関する走行条件情報を取得する走行条件取得工程と、前記撮像情報に基づいて点群データを生成する生成工程と、前記点群データに前記走行条件情報を付与する情報付与工程と、を含むことを特徴としている。
【0010】
請求項6に記載の本発明の情報処理方法は、移動体に搭載された撮像部から撮像情報を取得する撮像情報取得工程と、撮像時の前記移動体の走行条件に関する走行条件情報を取得する走行条件取得工程と、前記撮像情報に基づいて点群データを生成する生成工程と、前記点群データに対して前記走行条件情報に基づく信頼度情報を付与する情報付与工程と、を含むことを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例に係る情報処理装置の概略を示すブロック図である。
図2】前記情報処理装置が取得する撮像情報のフレームの一例を示す平面図である。
図3】前記情報処理装置が取得する撮像情報のフレームの他の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を説明する。本発明の実施形態に係る情報処理装置は、移動体に搭載された撮像部から撮像情報を取得する撮像情報取得部と、撮像時の移動体の走行条件に関する走行条件情報を取得する走行条件取得部と、撮像情報に基づいて点群データを生成する生成部と、点群データに走行条件情報を付与する情報付与部と、を備える。
【0013】
このような本実施形態の情報処理装置によれば、点群データに走行条件情報を付与することで、点群データを収集して統合する際に、走行条件情報に基づいてそれぞれの点群データの寄与度を決定することができる。信頼度の高い点群データが得られるような走行条件であれば、この点群データの寄与度を高くし、信頼度の低い点群データしか得られないような走行条件であれば、この点群データの寄与度を低くすることができる。従って、複数の点群データを統合する際、走行条件情報に基づいてそれぞれの点群データの寄与度を決定することにより、統合後の点群データの信頼度を向上させることができる。
【0014】
尚、撮像情報取得部と走行条件取得部と生成部と情報付与部とは、同一の対象に搭載されていなくてもよく、互いに異なる機器や装置に搭載されていてもよい。即ち、情報処理装置の各構成は、物理的に分離した複数の装置に跨っていてもよい。
【0015】
本発明の他の実施形態に係る情報処理装置は、移動体に搭載された撮像部から撮像情報を取得する撮像情報取得部と、撮像時の移動体の走行条件に関する走行条件情報を取得する走行条件取得部と、撮像情報に基づいて点群データを生成する生成部と、点群データに対して走行条件情報に基づく信頼度情報を付与する情報付与部と、を備える。
【0016】
このような本実施形態の情報処理装置によれば、走行条件情報に基づく信頼度情報を点群データに付与することで、点群データを収集して統合する際に、信頼度情報に基づいてそれぞれの点群データの寄与度を決定することができ、統合後の点群データの信頼度を向上させることができる。
【0017】
走行条件取得部は、走行条件情報として、移動体の状態又は挙動に関する自己情報と、移動体の周囲の環境に関する外部情報と、のうち少なくとも一方を取得することが好ましい。自己情報には、例えば走行安定度が含まれる。移動体の速度が低く、加速度(加減速)が小さく、ふらつきが少ないほど走行安定度が高い。走行安定度が高いほど信頼度の高い点群データを生成しやすい。
【0018】
外部情報には、例えば撮像難易度や走行阻害度が含まれる。移動体の周囲が暗い場合や雨天時には撮像が困難になったり、鮮明な撮像情報が得られなかったりし、撮像難易度が高くなる。渋滞時や、前方移動体との距離が近い場合、前方移動体が大型である場合には、移動体周囲の地物等が他の移動体の陰に隠れてしまい、撮像難易度が高くなる。また、移動体の周囲が暗い場合や雨天時には走行の安定性が低下してしまうことがあり、走行阻害度が高くなる。撮像難易度が高い場合や走行阻害度が高い場合、生成する点群データの信頼度が低下しやすい。
【0019】
尚、走行条件取得部は、走行条件情報を直接的に取得してもよいし、他のパラメータを取得することで算出したり推定したりしてもよい。例えば、移動体の周囲の明るさは、センサによって検知してもよいし、時刻情報および日付情報に基づいて推定してもよい。また、走行する道路に街灯が存在するか否かについての情報も考慮してもよい。また、天候についての情報は、センサによって雨を検知してもよいし、ネットワーク等を介して移動体の外部から取得してもよい。
【0020】
前記いずれの実施形態の情報処理装置においても、点群データを出力する出力部をさらに備えることが好ましい。これにより、出力先において点群データを活用することができる。
【0021】
本発明の実施形態に係る情報処理方法は、移動体に搭載された撮像部から撮像情報を取得する撮像情報取得工程と、撮像時の移動体の走行条件に関する走行条件情報を取得する走行条件取得工程と、撮像情報に基づいて点群データを生成する生成工程と、点群データに走行条件情報を付与する情報付与工程と、を含む。このような情報処理方法によれば、走行条件情報を点群データに付与することで、統合後の点群データの信頼度を向上させることができる。
【0022】
本発明の他の実施形態に係る情報処理方法は、移動体に搭載された撮像部から撮像情報を取得する撮像情報取得工程と、撮像時の移動体の走行条件に関する走行条件情報を取得する走行条件取得工程と、撮像情報に基づいて点群データを生成する生成工程と、点群データに対して走行条件情報に基づく信頼度情報を付与する情報付与工程と、を含む。このような情報処理方法によれば、走行条件情報に基づく信頼度情報を点群データに付与することで、統合後の点群データの信頼度を向上させることができる。
【0023】
また、上述した情報処理方法をコンピュータにより実行させる情報処理プログラムとしてもよい。このようにすることにより、コンピュータを用いて、統合後の点群データの信頼度を向上させることができる。
【0024】
また、上述した情報処理プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよい。このようにすることにより、当該プログラムを機器に組み込む以外に単体でも流通させることができ、バージョンアップ等も容易に行える。
【実施例
【0025】
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。本実施例の情報処理ユニット1は、図1に示すように、移動体10に搭載されたVSLAM装置である第1の情報処理装置1Aと、外部サーバ100に搭載された第2の情報処理装置1Bと、によって構成されている。第1の情報処理装置1Aは、情報取得部2と、生成部3と、出力部4と、を備える。移動体10は例えば車両であって、撮像部20と、地図情報記憶部30と、自己位置推定部40と、走行情報センサ50と、日時情報管理部60と、が搭載されている。
【0026】
第2の情報処理装置1Bは、収集部11と、生成部12と、を備える。外部サーバ100には、通信部101と、記憶部本体102と、が搭載されている。尚、外部サーバ100は複数の第1の情報処理装置1Aと通信するように構成されている。
【0027】
撮像部20は、例えばビデオカメラであって、移動体10の進行方向前方側を撮像するように配置されている。撮像部20が撮像した動画は、複数の撮像情報(フレーム)によって構成されており、情報取得部2に送信される。尚、撮像部は、所定の時間間隔で連続的に静止画を撮像可能なものであってもよい。
【0028】
地図情報記憶部30は、例えばハードディスクや不揮発性メモリなどで構成され、既存の地図情報が記憶されている。地図情報記憶部30に記憶された地図情報は、少なくとも地物についての情報を含んでいればよい。尚、地物についての情報とは、地物の位置や大きさについての数値だけでなく、地物の属性や種別(住宅と商業施設との区別や、商業施設の業種等)についての情報も含むものとする。
【0029】
自己位置推定部40は、移動体10の現在位置(絶対位置)を推定するものであって、例えば複数のGPS(Global Positioning System)衛星から発信される電波を受信するGPS受信部であればよい。自己位置推定部40が推定した現在位置は、撮像部20による撮像情報の撮像位置を示す位置情報として、情報取得部2に送信される。
【0030】
走行情報センサ50は、移動体10の変位量を測定するためのセンサであって、例えば、移動体10の車速パルスを取得する車速パルス取得部と、移動体10の方位変位量を測定するためのジャイロセンサと、移動体10の加速度を取得するための加速度センサと、によって構成されている。走行情報センサ50が取得した変位量によって、移動体10の進行方向が推定される。移動体10の進行方向と、移動体10における撮像部20の取り付け方向と、によって、撮像時における撮像部20の向きに関する撮像方位情報が決定される。撮像部20が移動体の正面に向けられている場合には、進行方向と撮像方位とが略一致する。従って、走行情報センサ50から情報取得部2に撮像方位情報が送信される。尚、走行情報センサ50は、少なくとも移動体10の進行方向を推定可能なものであればよい。
【0031】
日時情報管理部60は、カレンダー機能と時計機能とを有するものである。尚、時計機能は、標準電波を受信して誤差を自動修正する電波時計機能であることが好ましい。日時情報管理部60から情報取得部2に日付情報及び時刻情報が送信される。尚、日付情報及び時刻情報に基づき、太陽高度情報及び太陽方位情報を特定することができる。従って、日付情報及び時刻情報を取得する情報取得部2は、太陽高度情報及び太陽方位情報を取得しているものとみなすことができる。
【0032】
情報取得部2は、上記のように撮像部20から撮像情報を取得することで撮像情報取得部として機能し、上記のように自己位置推定部40から位置情報を取得することで位置情報取得部として機能し、地図情報記憶部30から地図情報を取得することで地図情報取得部として機能し、上記のように走行情報センサ50から撮像方位情報を取得することで、撮像方位情報取得部として機能し、上記のように日時情報管理部60から太陽高度情報及び太陽方位情報を取得することで、太陽情報取得部として機能する。情報取得部2は、例えばインターネットや公衆回線等のネットワークを介して、データセンタ等から他の情報を取得してもよい。
【0033】
生成部3は、情報取得部2が取得した撮像情報において特徴点を抽出して二次元的な特徴点群を生成し、さらに、複数の特徴点群に基づいて点群データを生成する。尚、生成部3が生成する点群データは、例えば三次元点群データであればよい。尚、特徴点の抽出には、例えばORB(Oriented fast and Rotated Brief)アルゴリズムを用いてもよいし
、その他のアルゴリズムを用いてもよい。
【0034】
出力部4は、インターネットや公衆回線等のネットワークと通信するための回路やアンテナ等から構成され、外部サーバ100の通信部101と通信することにより、生成部3が生成した情報(点群データ)を送信する。これにより、外部サーバ100の記憶部本体102に情報が記憶されるようになっている。
【0035】
第2の情報処理装置1Bの収集部11は、通信部101を介し、第1の情報処理装置1Aが生成した点群データ(個別点群データ)を取得する。収集部11は、複数の移動体から個別点群データを取得したり、1つの移動体から個別点群データを複数回取得したりすることにより、個別点群データを収集する。
【0036】
生成部12は、収集部11が収集した複数の個別点群データに基づいて、総合点群データを生成する。総合点群データは、複数の個別点群データを重ね合わせたものであってもよいし、複数の個別点群データの構成点の位置平均を示すものであってもよい。
【0037】
このように生成された総合点群データは、例えば移動体の自己位置推定に用いられる。即ち、移動体に搭載された光センサ(いわゆるLIDAR; Laser Imaging Detection and Ranging)によって地物が検出された際、総合点群データと照合することによってこの移動体の自己位置を推定すればよい。
【0038】
[走行条件情報の取得]
情報取得部2は、撮像時の移動体10の走行条件に関する走行条件情報を取得し、走行条件取得部として機能する。尚、情報取得部2が走行条件情報を取得するタイミングは任意であり、例えば、撮像情報と走行条件情報とを同時に取得してもよいし、撮像情報を取得して点群データを生成した後に走行条件情報を取得してもよい。
【0039】
走行条件情報は、移動体10の状態又は挙動に関する自己情報と、移動体10の周囲の環境に関する外部情報と、を含む。尚、走行条件情報は、自己情報と外部情報とのうちいずれか一方のみを含んでいてもよい。
【0040】
自己情報には、例えば走行安定度が含まれる。移動体10の速度が低く、加速度が小さく(加減速が少なく)、ふらつきが少ないほど走行安定度が高い。走行安定度が高いほど信頼度の高い点群データを生成しやすい。走行安定度は、撮像時における速度や加速度、ふらつきに基づいて算出されてもよいし、過去の走行履歴に基づいて算出されてもよい。即ち、過去の走行時に安定度が高い場合には、撮像時にも走行安定度が高いと推定することができる。また、移動体の過去の走行履歴に基づいて走行安定度を算出してもよいし、運転者の過去の走行履歴に基づいて走行安定度を算出してもよい。
【0041】
また、自己情報には、移動体10の性能や整備状態についての情報が含まれていてもよい。例えば、移動体10の加速性能や制動性能が高い場合には、大きな加減速が生じる可能性がある。また、パワーステアリングの設定によっては、ふらつきの生じやすさが変化する。即ち、移動体10の性能や整備状態によって、運転者の操作に対する移動体の反応しやすさが変化し、走行安定度に影響を及ぼすことがある。
【0042】
外部情報には、例えば撮像難易度や走行阻害度が含まれる。移動体10の周囲が暗い場合や雨天時には撮像部20による撮像が困難になったり、鮮明な撮像情報が得られなかったりし、撮像難易度が高くなる。渋滞時や、前方移動体との距離が近い場合、前方移動体が大型である場合には、移動体周囲の地物等が他の移動体によって隠れてしまい、撮像難易度が高くなる。
【0043】
例えば、図2に示すように前方においてトラック等の大型車Cが走行していると、図3に示すように道路Rの前方左手に位置する建物Bの一部又は全部が、大型車Cの陰に隠れてしまい、建物Bの特徴点を抽出することができなくなってしまう。
【0044】
また、移動体10の周囲が暗い場合や雨天時には走行の安定性が低下してしまうことがあり、走行阻害度が高くなる。撮像難易度が高い場合や走行阻害度が高い場合、生成する点群データの信頼度が低下しやすい。
【0045】
尚、走行条件情報は、直接的に取得してもよいし、他のパラメータを取得することで算出したり推定したりしてもよい。例えば、移動体10の周囲の明るさは、センサによって検知してもよいし、日時情報管理部60から時刻情報および日付情報を取得することで推定してもよい。また、地図情報記憶部30から地図情報を取得することで、走行する道路に街灯が存在するか否かについても考慮し、明るさを推定してもよい。また、天候についての情報は、雨をセンサによって検知してもよいし、情報取得部2によってネットワーク等を介して移動体10の外部から取得してもよい。
【0046】
[点群データに対する情報の付与]
生成部3は、生成した点群データに対し、上記のように取得した走行条件情報を付与し、情報付与部として機能する。即ち、出力部4は、走行条件情報が付与された点群データを出力する。
【0047】
尚、生成部3は、点群データに対し、走行条件情報に代えて信頼度情報を付与することで情報付与部として機能してもよい。即ち、走行条件情報に基づいて信頼度を決定し、この信頼度についての情報を点群データに付与してもよい。
【0048】
[情報が付与された個別点群データの統合]
上記のように、第2の情報処理装置1Bにおいて、収集部11が、個別点群データを収集し、生成部12が、複数の個別点群データに基づいて総合点群データを生成する。このとき、個別点群データに走行条件情報が付与されていれば、生成部12は、走行条件情報に基づいてその個別点群データの寄与度を決定し、総合点群データを生成する。
【0049】
このとき、上記のように走行条件によって個別点群データの信頼度が変化することから、走行条件情報に基づき、信頼度の高い個別点群データの寄与度を高くすればよい。尚、寄与度は0も含んでおり、寄与度を0とすればその個別点群データを除去することができる。また、個別点群データに対して走行条件情報ではなく信頼度情報が付与されている場合には、生成部12は、信頼度情報に基づいてその点群データの寄与度を決定すればよい。
【0050】
また、生成部12は、走行条件毎に、個別点群データに基づいて総合点群データを生成してもよい。例えば、個別点群データを天候に応じて分類し、晴天時の総合点群データと、曇天時の総合点群データと、雨天時の総合点群データと、をそれぞれ生成してもよい。また、運転者や車種毎に総合点群データを生成してもよいし、走行速度毎に総合点群データを生成してもよい。
【0051】
上記のように、走行条件毎に総合点群データを生成すれば、総合点群データの信頼度を向上させることができる。即ち、総合点群データを活用する際に、そのときの条件に応じた総合点群データを選択することで、点群データ生成時の条件と活用時の条件との乖離を小さくすることができる。上記の例の場合、総合点群データの利用時に雨天である場合には、雨天時の個別点群データに基づいて生成された総合点群データを利用すればよい。
【0052】
[第2の情報処理装置における走行条件情報の取得]
上記の例では、第1の情報処理装置1Aにおいて走行条件情報を取得し、個別点群データに情報を付与するものとしたが、第2の情報処理装置1Bの収集部11が、情報が付与されていない個別点群データと、走行条件情報と、を取得してもよい。即ち、収集部11が走行条件取得部として機能してもよい。このとき、収集部11が取得する走行条件情報は、上記の例と同様に、例えば自己情報と外部情報とのうち少なくとも一方を含むものであればよい。
【0053】
生成部12は、走行条件情報に基づいてその個別点群データの寄与度を決定し、総合点群データを生成する。このとき、走行条件情報に基づき、信頼度の高い個別点群データの寄与度を高くすればよい。また、生成部12は、上記と同様に、走行条件毎に個別点群データに基づいて総合点群データを生成してもよい。
【0054】
上記の構成により、点群データに走行条件情報又は信頼度情報を付与することで、個別点群データを収集して統合する際に、走行条件情報又は信頼度情報に基づいてそれぞれの個別点群データの寄与度を決定することができ、総合点群データの信頼度を向上させることができる。
【0055】
また、出力部4によって点群データを外部サーバ100に出力することで、出力先の外部サーバ100において点群データを活用することができる。
【0056】
また、第2の情報処理装置1Bの収集部11が、情報が付与されていない個別点群データと、走行条件情報と、を取得する場合であっても、個別点群データを収集して統合する際に、走行条件情報に基づいてそれぞれの個別点群データの寄与度を決定することができ、総合点群データの信頼度を向上させることができる。
【0057】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0058】
例えば、前記実施例では、情報取得部2と生成部3とが移動体に10に搭載されているものとしたが、第1の情報処理装置を構成する撮像情報取得部と走行条件取得部と生成部と情報付与部とは、移動体に搭載されていなくてもよく、互いに異なる機器や装置に搭載されていてもよい。即ち、情報処理装置の各構成は、物理的に分離した複数の装置に跨っていてもよい。
【0059】
また、前記実施例では、収集部11と生成部12とが外部サーバ100に搭載されているものとしたが、第2の情報処理装置を構成する収集部と生成部と走行条件取得部とは、外部サーバに搭載されていなくてもよく、互いに異なる機器や装置に搭載されていてもよい。即ち、情報処理装置の各構成は、物理的に分離した複数の装置に跨っていてもよい。
【0060】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施例に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施例に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0061】
1A 第1の情報処理装置
2 情報取得部(撮像情報取得部、走行条件取得部)
3 生成部(情報付与部)
4 出力部
10 移動体
20 撮像部
1B 第2の情報処理装置
11 収集部(走行条件取得部)
12 生成部
図1
図2
図3