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特許7587649テレセントリック照明を有するマルチビーム電子特性評価ツール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】テレセントリック照明を有するマルチビーム電子特性評価ツール
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/28 20060101AFI20241113BHJP
   H01J 37/12 20060101ALI20241113BHJP
   H01J 37/141 20060101ALI20241113BHJP
   H01J 37/09 20060101ALI20241113BHJP
   H01J 37/063 20060101ALI20241113BHJP
   H01J 37/06 20060101ALI20241113BHJP
   H01J 37/244 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
H01J37/28 B
H01J37/12
H01J37/141 Z
H01J37/09 Z
H01J37/063
H01J37/06 A
H01J37/244
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023132058
(22)【出願日】2023-08-14
(62)【分割の表示】P 2021520961の分割
【原出願日】2019-10-08
(65)【公開番号】P2023138870
(43)【公開日】2023-10-02
【審査請求日】2023-08-14
(31)【優先権主張番号】16/163,263
(32)【優先日】2018-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブロディー アラン ディー
【審査官】佐藤 海
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03101430(US,A)
【文献】特開2013-236053(JP,A)
【文献】特開2009-032691(JP,A)
【文献】特表2010-519697(JP,A)
【文献】特開2001-168016(JP,A)
【文献】特表2011-517130(JP,A)
【文献】特開2002-033275(JP,A)
【文献】特表2009-507351(JP,A)
【文献】特開2013-196951(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0243717(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0068825(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチビーム走査電子顕微鏡法装置であって、
試料を固定するように構成された試料ステージと、
複数の一次電子ビームを形成するように構成されたマルチビーム電子源アセンブリであって、前記マルチビーム電子源アセンブリは、電子ビーム源、グリッドレンズアセンブリ、及びマルチレンズアレイアセンブリを備え、前記グリッドレンズアセンブリは、
第1レンズ要素及び第2レンズ要素であって、前記第1レンズ要素と前記第2レンズ要素が、選択された距離の間隙によって分離されている、第1レンズ要素及び第2レンズ要素と、
一組の開口を含むグリッド要素であって、前記グリッド要素が、前記第1レンズ要素と前記第2レンズ要素との間の前記間隙内部に配設されている、湾曲形状のグリッド要素と、
を備え、前記第1レンズ要素、前記第2レンズ要素、及び前記グリッド要素は、前記電子ビーム源からの電子ビームを前記マルチレンズアレイアセンブリ上にテレセントリックに前記マルチレンズアレイアセンブリの複数のレンズにわたって垂直入射で到着させるように構成され、前記マルチレンズアレイアセンブリの前記複数のレンズは、前記グリッドレンズアセンブリからの垂直入射の照明に基づいて均一な分布の複数の一次電子ビームを生成し、
前記複数の一次電子ビームのうちの少なくとも一部分を前記試料の一部分上に導くように構成された1組の電子光学要素を含む電子光学カラムアセンブリと、
前記複数の一次電子ビームのうちの1つ以上の一次電子ビームに応じて前記試料の表面から発する電子を検出するように構成された検出器アセンブリと、
を備え、
前記第1レンズ要素および前記第2レンズ要素は、円柱形電子光学レンズを備え、
前記第1レンズ要素は、選択された第1電圧に保持され、前記第2レンズ要素は、前記第1電圧と異なる、前記グリッド要素から発出する前記一次電子ビームを前記マルチレンズアレイアセンブリ上に集束させるように選択された第2電圧に保持されるマルチビーム走査電子顕微鏡法装置。
【請求項2】
前記グリッド要素は、湾曲基板を備え、前記湾曲基板は、前記第2レンズ要素に向けて突出するように湾曲する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記マルチビーム電子源アセンブリは、前記マルチレンズアレイアセンブリから前記均一に分布した複数の一次電子ビームの1つ以上の一次電子ビームを受け取り加速するように構成された加速型電子光学要素を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記マルチレンズアレイアセンブリの前記複数のレンズは、1つ又は複数の方向に選択されたピッチによって分離されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記電子光学カラムアセンブリは、電子光学カラムのアレイを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記検出器アセンブリは、二次電子検出器又は後方散乱電子検出器のうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
マルチビーム電子源であって、
電子ビーム源と、
マルチレンズアレイアセンブリであって、前記マルチレンズアレイアセンブリが、基板にわたって配設された複数のレンズを備える、マルチレンズアレイアセンブリと、
グリッドレンズアセンブリと、
を備え、
前記グリッドレンズアセンブリは、
第1レンズ要素及び第2レンズ要素であって、前記第1レンズ要素と前記第2レンズ要素が、選択された距離の間隙によって分離されている、第1レンズ要素及び第2レンズ要素と、
一組の開口を含むグリッド要素であって、前記グリッド要素が、前記第1レンズ要素と前記第2レンズ要素との間の前記間隙内部に配設されている、湾曲形状のグリッド要素と、
を備え、前記第1レンズ要素、前記第2レンズ要素、及び前記グリッド要素は、前記電子ビーム源からの電子ビームを前記マルチレンズアレイアセンブリ上にテレセントリックに前記マルチレンズアレイアセンブリの複数のレンズにわたって垂直入射で到着させるように構成され、前記マルチレンズアレイアセンブリの前記複数のレンズは、前記グリッドレンズアセンブリからの垂直入射の照明に基づいて均一な分布の複数の一次電子ビームを生成し、
前記第1レンズ要素および前記第2レンズ要素は、円柱形電子光学レンズを備え、
前記第1レンズ要素は、選択された第1電圧に保持され、前記第2レンズ要素は、前記第1電圧と異なる、前記グリッド要素から発出する前記一次電子ビームを前記マルチレンズアレイアセンブリ上に集束させるように選択された第2電圧に保持されるマルチビーム電子源。
【請求項8】
前記グリッド要素は、湾曲基板を備え、前記湾曲基板は、前記第2レンズ要素に向けて突出するように湾曲する、請求項7に記載のマルチビーム電子源。
【請求項9】
前記マルチレンズアレイアセンブリから前記均一に分布した一次電子ビームの1つ以上の電子ビームを受け取り加速するように構成された加速型電子光学要素を更に備える、請求項7に記載のマルチビーム電子源。
【請求項10】
前記マルチレンズアレイアセンブリの前記複数のレンズは、1つ又は複数の方向に選択されたピッチによって分離されている、請求項7に記載のマルチビーム電子源。
【請求項11】
方法であって、
一次電子ビームを発生させるステップと、
前記一次電子ビームを第1レンズ要素を通して伝送するステップと、
前記一次電子ビームを、基板に形成された一組の開口を含む湾曲形状のグリッド要素及び第2レンズ要素を通して伝送し、前記第1レンズ要素、前記第2レンズ要素、及び前記グリッド要素は、電子ビーム源からの電子ビームをマルチレンズアレイアセンブリ上にテレセントリックに前記マルチレンズアレイアセンブリの複数のレンズにわたって垂直入射で到着させるように構成され、それにより前記一次電子ビームが前記マルチレンズアレイアセンブリ上にテレセントリックに到着する、ステップと、
前記マルチレンズアレイアセンブリのグリッドレンズアセンブリからの垂直入射の照明に基づいて均一な分布の複数の一次電子ビームを生成するステップと、
前記マルチレンズアレイアセンブリから発する前記複数の一次電子ビームを試料上に導くステップと、
前記複数の一次電子ビームに応じた、前記試料からの複数の信号ビームレットを検出するステップと、
を含み、
前記第1レンズ要素および前記第2レンズ要素は、円柱形電子光学レンズを備え、
前記第1レンズ要素は、選択された第1電圧に保持され、前記第2レンズ要素は、前記第1電圧と異なる、前記グリッド要素から発出する前記一次電子ビームを前記マルチレンズアレイアセンブリ上に集束させるように選択された第2電圧に保持される方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して電子ビーム試料特性評価に関し、より具体的には、テレセントリック照明を有するマルチビーム電子特性評価ツールに関する。
【背景技術】
【0002】
論理及びメモリデバイス等の半導体デバイスの製造は、典型的には、多数の半導体製造プロセス用いて半導体ウェーハ等の基板を処理することにより、半導体デバイスの様々な特徴及びマルチレベルを形成することを含む。半導体デバイスサイズがより小さくなるにつれて、改良された検査を開発して、デバイス及び処置を精査することが重要な意味を持つようになった。かかる検査技術は、走査電子顕微鏡法(SEM)等の電子ビームベース検査システムを含む。グリッド及び箔レンズが用いられて、SEMシステムを形成するプローブにおける球面収差を低減した。かかるグリッドが用いられて、大きい領域ビームを取得して、小さい点にビームを集束させる。グリッド及び箔は、概して高輝度カソード及び高品質磁気レンズに移行する。更に、グリッド及び箔は、ビームの一部分がグリッドを通過するときに、それを箔内部で散乱させること、又はそれをレンジング/ブロッキングすることを介してビーム品質をしばしば劣化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/165308号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の手法にみられる欠点を解決するシステム及び方法を提供することが有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つ又は複数の実施形態に従うマルチビーム電子源が開示されている。一実施形態では、マルチビーム電子源は、1つの電子ビーム源を含む。別の一実施形態では、マルチビーム電子源は、グリッドレンズアセンブリを含む。別の一実施形態では、マルチビーム電子源は、マルチレンズアレイアセンブリを含み、マルチレンズアレイアセンブリは、基板にわたって配設された複数のレンズを備える。別の一実施形態では、グリッドレンズアセンブリは、電子ビーム源からの電子ビームをマルチレンズアレイアセンブリ上にテレセントリックに到達させるように構成されている。別の一実施形態では、マルチレンズアレイアセンブリは、電子ビーム源からの電子ビームを複数の一次電子ビームに分割するように構成されている。別の一実施形態では、グリッドレンズアセンブリは、第1レンズ要素及び第2レンズ要素であって、第1レンズ要素と第2レンズ要素が、選択された距離の間隙によって分離されている、第1レンズ要素及び第2レンズ要素と、複数の開口を含むグリッド要素であって、グリッド要素が、第1レンズ要素と第2レンズ要素との間の間隙内部に配設されている、グリッド要素と、を備える。
【0006】
本開示の1つ又は複数の実施形態に従うマルチビーム走査電子顕微鏡法装置が開示されている。一実施形態では、装置は、試料を固定するように構成された試料ステージを含む。別の一実施形態では、装置は、複数の一次電子ビームを形成するように構成されたマルチビーム電子源アセンブリを含み、マルチビーム電子源アセンブリは、電子ビーム源と、グリッドレンズアセンブリと、マルチレンズアレイアセンブリと、を備える。別の一実施形態では、マルチレンズアレイアセンブリは、基板にわたって配設された複数のレンズを備える。別の一実施形態では、グリッドレンズアセンブリは、電子ビーム源からの電子ビームをマルチレンズアレイアセンブリ上にテレセントリックに到着させるように構成されている。別の一実施形態では、マルチレンズアレイアセンブリは、電子ビーム源からの電子ビームを複数の一次電子ビームに分割するように構成されている。別の一実施形態では、グリッドレンズアセンブリは、第1レンズ要素及び第2レンズ要素であって、第1レンズ要素と第2レンズ要素が、選択された距離の間隙によって分離されている、第1レンズ要素及び第2レンズ要素と、複数の開口を含むグリッド要素であって、グリッド要素が、第1レンズ要素と第2レンズ要素との間の間隙内部に配設されている、グリッド要素と、を備える。別の一実施形態では、装置は、複数の電子ビームのうちの少なくとも一部分を試料の一部分上に導くように構成された1組の電子光学要素を含む電子光学カラムアセンブリを含む。別の一実施形態では、装置は、一次電子ビームのうちの1つ又は複数に応じて試料の表面から発する電子を検出するように構成された検出器アセンブリを含む。
【0007】
本開示の1つ又は複数の実施形態に従う走査電子顕微鏡法の方法が開示されている。一実施形態では、方法は、一次電子ビームを発生させることを含む。別の一実施形態では、方法は、第1レンズ要素を通して一次電子ビームを伝送することを含む。別の一実施形態では、方法は、一次電子ビームを湾曲グリッド及び第2レンズ要素を通して伝送し、それにより一次電子ビームが、テレセントリックにマルチレンズアレイに到着する、ことを含む。別の一実施形態では、方法は、マルチレンズアレイから発する複数の一次ビームレットを試料上に導くことを含む。別の一実施形態では、方法は、複数の一次ビームレットに応じた、試料からの複数の信号ビームレットを検出することを含む。
【0008】
理解すべきは、上記の概要及び下記の詳細な説明の両方が、単に例示的で説明的であり、必ずしもクレームされるような本発明を限定するわけではない。本明細書の一部分内に組み込まれて、それを構成する添付図面が、本発明の実施形態を図示し、概要と共に本発明の原理を説明するのに役立つ。
【0009】
本開示についての多数の長所は、以下の添付図面への参照を介して当業者によってよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、マルチビーム源内部にテレセントリック照明を有するマルチビーム走査電子顕微鏡法システムについてのブロック図である。
図2】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、マルチビーム源についての簡略図である。
図3A】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、マルチビーム源のレンズ要素の全長(x-z平面)に沿ってシミュレートされた電子分布についての概念図である。
図3B】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、マルチビーム源のレンズ要素の領域(x-y平面)にわたってシミュレートされた電子分布についての概念図である。
図4】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、マルチビーム走査電子顕微鏡法の方法を示すプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
開示される主題への詳細な言及がここでなされ、それは添付図面に図示されている。概して図1~4を参照して、テレセントリック照明を有するマルチビーム走査電子顕微鏡法についてのシステム及び方法が、本開示に従って説明される。
【0012】
図1及び2は、本開示の1つ又は複数の実施形態に従うマルチビームSEMシステム100についての簡略図である。一実施形態では、システム100は、マルチビーム電子ビーム源アセンブリ101、電子光学アセンブリ104、試料ステージ106、検出器アセンブリ108、及び/又は制御器110を含む。
【0013】
一実施形態では、マルチビーム電子源アセンブリ101は、電子源102、グリッドレンズアセンブリ103、及び初期照明ビーム120を多重電子ビーム105に分割するように構成されたマルチレンズアレイアセンブリ109を含む。別の一実施形態では、グリッドレンズアセンブリ103は、電子ビーム源102からの電子ビーム120をマルチレンズアレイアセンブリ109上にテレセントリックに到着させるように構成されている。この点に関して、電子ビーム120(又は、ビーム120を形成するビームレット)は、垂直入射でマルチレンズアレイアセンブリ109に衝突してもよい。
【0014】
一実施形態では、マルチレンズアレイアセンブリ109は、レンズ111のアレイを含む。例えば、レンズ111は、基板113にわたって分布してもよく、そしてそれを通過するように形成されてもよい。留意されるべきは、マルチレンズアレイアセンブリ109内のそれぞれのレンズ111は、マイクロレンズとして作用して、サンプル107上の小さいスポットに対応するビームレット105を集束させることである。基板113にわたるレンズ111の分離は、選択されたピッチによってビームを分離するように作用する。
【0015】
マルチレンズアレイアセンブリ109のレンズ111の照明は、マルチレンズアレイアセンブリ109内のそれぞれのレンズ111の高分解能を維持するのに重要である。更に留意されるべきは、より多くのビームがシステム100に付加されるとき、照明領域が有意に大きくなることにより、最外レンズ111が十分な角度均一性を伴って照明され得ることがなく、その結果、最外ビームにおける均一性の欠如をもたらすことである。テレセントリックな入力照明の使用は、角度不均一性によって生じさせられる影響を軽減することを助け、それによって、マルチレンズアレイアセンブリ109にわたって多重ビーム105の均一性を改善する。垂直入射照明を提供することに加えて、グリッドデバイス121は、クーロン又は電子間相互作用によるビームに対する劣化に寄与する不必要な電子を遮蔽してもよい。
【0016】
ここで図2を参照すると、一実施形態では、グリッドレンズアセンブリ103は、選択された距離の間隙によって分離された第1レンズ要素122と第2レンズ要素123とを含む。別の一実施形態では、グリッド要素121は、第1レンズ要素122と第2レンズ要素123との間の間隙内部に配置される。グリッド要素121は、基板/平板内に形成された1組の開口を含んでもよい。一実施形態では、グリッド要素121は、湾曲形状をとる。例えば、グリッド要素121は、切頭ベッセル関数の形状を有する湾曲基板/平板を含んでもよい。図2に示すように、湾曲グリッド要素121の最高点が、グリッド要素の平坦な最外部分に対して高さ(h)を有してもよい。留意すべきは、グリッド要素121の湾曲面が、ビーム120の空間電荷ぼけに寄与する過剰電子を制限しながら、(マルチレンズアレイアセンブリ109に入射する)テレセントリックビーム120を生成するように作用してもよい。
【0017】
別の一実施形態では、第1レンズ要素122は、第1電圧に保持された第1電子光学レンズ(例えば、静電又は電磁レンズ)であり、第2レンズ要素123は、第2電圧に保持された第2電子光学レンズ(例えば、静電又は電磁レンズ)であり、当該第2電圧は、第1電圧とは異なる。例えば、第1レンズ要素122は、第1電圧に保持された第1円柱であってもよく、第2レンズ要素123は、第2電圧に保持された第2円柱であってもよく、当該第2電圧は、第1電圧とは異なる。第1レンズ要素122及び第2レンズ要素123は、大口径円柱(例えば、電子光学円柱形レンズ)であってもよい。第1及び第2電圧は、システム100の作動条件に基づいて決定されてもよい。例えば、第1レンズ要素122は、選択された電圧(例えば、30kV)に設定された電子光学レンズセットを含んでもよく、一方、第2レンズ要素123は、グリッド要素121から発出するビーム/ビームレットをマルチレンズアレイアセンブリ109上に集束させるように選択された電圧(例えば、集束電圧(V))に設定された第2電子光学要素を含んでもよい。
【0018】
別の一実施形態では、グリッドレンズアセンブリ103は、1つ又は複数の追加の電子光学要素を含む。例えば、図2に示すように、グリッドレンズアセンブリ103は、第2レンズ要素123からのビーム/ビームレットの電子をマルチレンズアレイアセンブリ109から試料107までで加速するように構成された加速要素202(例えば、電子光学レンズ)を含んでもよいが、これに限定されない。
【0019】
図3A~3Bは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従うグリッドレンズアセンブリ103と関連する3次元電子分布についての概念図である。図3Aは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従うグリッドレンズアセンブリ103のレンズ要素122、123の全長(x-z平面)に沿ってシミュレートされた電子分布についての概念図である。図3Bは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従うグリッドレンズアセンブリ103のレンズ要素122、123の領域(x-y平面)にわたってシミュレートされた電子分布についての概念図である。
【0020】
再び図1を参照すると、電子源102は、該技術分野で公知のいずれかの電子源を含んでもよい。例えば、電子源102は、電子エミッタを含んでもよいが、これに限定されない。例えば、電子源102は、電子銃(例えば、電界放出銃(カソード))を含んでもよいが、これに限定されない。
【0021】
別の一実施形態では、検出器アセンブリ108は、一次電子ビーム/ビームレット105のうちの1つ又は複数に応じて試料の表面から発出する電子を検出するように構成されている。システム100の検出器アセンブリ108は、試料107の表面からの多重電子信号を検出することに適した、該技術分野で公知のいずれかの検出器アセンブリを含んでもよい。一実施形態では、検出器アセンブリ108は、電子検出器アレイを含む。この点に関して、検出器アセンブリ108は、電子検出部分のアレイを含んでもよい。更に、検出器アセンブリ108の検出器アレイのそれぞれの電子検出部分が、入射電子ビーム105のうちの1つと関連する、試料107からの電子信号を検出するように配置されてもよい。この点に関して、検出器アセンブリ108のそれぞれのチャネルは、多重電子ビーム105のうちの特定の電子ビームに対応する。検出器アセンブリ108は、多重画像(又は「副画像」)を取得してもよい。この点に関して、電子ビーム105のそれぞれは、対応する電子信号(例えば、二次電子信号又は後方散乱電子信号)に1組の信号ビーム117を形成させる。信号ビーム117は、次いで、検出器アセンブリ108において1組の対応する画像又は副画像を形成する。検出器アセンブリ108によって取得された画像は、次いで、分析、記憶、及び/又はユーザへの表示のための制御器110に伝送される。
【0022】
検出器アセンブリ108は、二次電子検出器及び/又は後方散乱電子検出器等であってこれに限定されない、該技術分野で公知のいずれかの電子検出器を含んでもよい。例えば、検出器アセンブリ108は、ダイオードアレイ、又はアバランシフォトダイオード(APD)等であってこれに限定されない、マイクロチャネルプレート(MCP)、PIN、又はpn接合検出器アレイを含んでもよい。別の一例として、検出器アセンブリ108は、高速シンチレータ/PMT検出器を含んでもよい。
【0023】
別の一実施形態では、制御器110は、検出器アセンブリ108に通信可能に結合される。制御器110が(例えば、図1に表された線によって示される1つ又は複数の伝送媒体によって)いずれかの好適な態様で検出器アセンブリ108の出力に結合されることにより、制御器110は、検出器アセンブリ108によって取得された出力を受け取ってもよい。一実施形態では、制御器110は、1つ又は複数のプロセッサ116と、記憶媒体118(又はメモリ)と、を含む。1つ又は複数のプロセッサ116は、記憶媒体118内に保持された1組のプログラム命令を実行することにより、1つ又は複数のプロセッサに本開示全体を通して記載された様々なステップのうちの1つ又は複数を実行させるように構成されている。
【0024】
システム100の試料ステージ106は、試料107を固定することに適した、該技術分野で公知のいずれかの試料ステージを含んでもよい。試料107は、電子ビーム顕微鏡法による検査/精査に適した、基板等であってこれに限定されないいずれかの試料を含んでもよい。基板は、シリコンウェーハを含んでもよいが、これに限定されない。別の一実施形態では、試料ステージ106は、作動可能なステージである。例えば、試料ステージ106は、1つ又は複数の直線方向(例えば、x方向、y方向、及び/又はz方向)に沿って試料107を選択可能に並進させるのに適した1つ又は複数の並進ステージを含んでもよいが、これに限定されない。別の一例として、試料ステージ106は、回転方向に沿って試料107を選択的に回転させるのに適した1つ又は複数の回転ステージを含んでもよいが、これに限定されない。別の一例として、試料ステージ106は、直線方向に沿って試料を並進させること及び/又は回転方向に沿って試料107を回転させることを選択的に行うのに適した回転ステージ及び並進ステージ含んでもよいが、これに限定されない。ここで留意すべきは、システム100は、該技術分野で公知のいずれかの走査モードで作動してもよいことである。
【0025】
電子光学アセンブリ104は、多重電子ビームによって試料を照明すること、及び多重電子ビームと関連する多重画像を取得することに適した、該技術分野で公知のいずれかの電子光学アセンブリを含んでもよい。一実施形態では、電子光学アセンブリ104は、試料107の表面に多重電子ビーム105を導くための1組の電子光学要素を含む。1組の電子光学要素は、電子光学カラムを形成してもよい。カラムの1組の電子光学要素は、試料107の多重部分上に電子ビーム105の少なくとも一部分を導いてもよい。1組の電子光学要素は、試料107の様々な領域上に一次電子ビーム105を集束させること、及び/又は導くことに適した、該技術分野で公知のいずれかの電子光学要素を含んでもよい。一実施形態では、1組の電子光学要素は、1つ又は複数の電子光学レンズを含む。例えば、1つ又は複数の電子光学レンズは、マルチレンズアレイアセンブリ109からの電子を収集するための1つ又は複数の集束レンズ(例えば、磁気集束レンズ)含んでもよいが、これに限定されない。別の一例として、電子光学レンズは、試料107の様々な領域に一次電子ビーム105を集束させるための1つ又は複数の対物レンズ114(例えば、磁気対物レンズ)を含んでもよいが、これに限定されない。
【0026】
別の一実施形態では、電子光学アセンブリ104は、1組の電子光学要素を含み、当該1組の電子光学要素は、多重一次電子ビーム105に応じて試料107から発出する電子(例えば、二次電子及び/又は後方散乱電子)を収集すること、並びに検出器アセンブリ108にそれらの電子を導くこと及び/又は集束させることのためのものである。例えば、電子光学アセンブリ104は、1つ又は複数の映写レンズ115を含んでもよいが、これに限定されず、当該1つ又は複数の映写レンズは、多重電子信号ビーム117を集束させて検出器アセンブリ108において試料107の様々な部分の多重画像を形成するためのものである。
【0027】
留意されるのは、システム100の電子光学アセンブリ104が、図1に示す電子光学要素に限定されず、それは例示目的のためだけに提供されていることである。更に留意されるのは、システム100が、任意の数及びタイプの電子光学要素を含んでもよく、当該電子光学要素は、多重ビーム104を試料107上に導くこと/集束させること、そして、それに応じて検出器アセンブリ108上に対応する信号ビーム117を収集して結像させることに必要であることである。
【0028】
例えば、電子光学アセンブリ104は、1つ又は複数の電子ビーム走査要素(図示せず)を含んでもよい。例えば、1つ又は複数の電子ビーム走査要素は、試料107の表面に関するビーム105の位置を制御することに適した1つ又は複数の電磁走査コイル又は静電偏向器を含んでもよいが、これに限定されない。更に、1つ又は複数の走査要素が利用されて、選択されたパターンで試料107にわたって電子ビーム105を走査してもよい。
【0029】
別の一例として、電子光学アセンブリ104は、ビーム分離器(図示せず)を含んでもよく、当該ビーム分離器は、試料107の表面から発出する多重電子信号を多重一次電子ビーム105から分離するためのものである。
【0030】
更に、電子光学アセンブリ104は、電子光学カラムのアレイを含んでもよく、それにより、それぞれの電子光学カラムは、一次電子ビーム105及び対応する信号ビーム117のうちの1つと対応する。単一の電子ビームカラムが、簡単のために図1に示されているけれども、本開示の範囲が、単一の電子カラムに限定されるように解釈されてはならない。マルチカラムSEM構成が、2017年6月2日に出願された米国特許出願第15/612,862号、2017年6月7日に出願された米国特許出願第15/616,749号、2018年5月2日に出願された米国特許出願第15/969,555号、及び2016年9月21日に出願された米国特許出願第15/272,194号に開示されており、これらは、それぞれ、全体として参照によって本明細書に組み込まれる。
【0031】
制御器110の1つ又は複数のプロセッサ116は、該技術分野で公知のいずれかの演算処理装置を含んでもよい。この意味で、1つ又は複数のプロセッサ116は、ソフトウェアアルゴリズム及び/又は命令を実行するように構成されたいずれかのマイクロプロセッサタイプのデバイスを含んでもよい。一実施形態では、1つ又は複数のプロセッサ116が、本開示全体を通して記載されているように、デスクトップコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、イメージコンピュータ、パラレルプロセッサ、又はシステム100を作動させるように構成されたプログラムを実行するように構成されたいずれか別の計算機システム(例えば、ネットワークコンピュータ)から構成されてもよい。認識されるべきは、本開示全体を通して記載されたステップは、単一の計算機システム、又は代替的に多重計算機システムによって実行されてもよいことである。一般に、用語「プロセッサ」とは、1つ又は複数の演算処理装置を有するいずれかのデバイスを包含するように広く規定されてもよく、当該演算処理装置は、非一過性記憶媒体118からのプログラム命令を実行する。
【0032】
記憶媒体118は、該技術分野で公知のいずれかの記憶媒体を含んでもよく、当該記憶媒体は、関連する1つ又は複数のプロセッサ116によって実行可能なプログラム命令を記憶することに適している。例えば、記憶媒体118は、非一過性記憶媒体を含んでもよい。記憶媒体118は、読取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気又は光学メモリデバイス(例えば、ディスク)、磁気テープ、ソリッドステートドライブ等を含んでもよいが、これに限定されない。ここで留意されるのは、記憶媒体118は、検出器アセンブリ108からの1つ又は複数の結果、及び/又は本明細書に記載された様々なステップのうちの1つ又は複数の出力を記憶するように構成されてもよいことである。更に留意されるのは、記憶媒体118が、1つ又は複数のプロセッサ116と一緒に共通の制御器ハウジング内に収容されてもよいことである。代替の一実施形態では、記憶媒体118は、1つ又は複数のプロセッサ116の物理的位置に対して遠隔に位置してもよい。例えば、1つ又は複数のプロセッサ116は、ネットワーク(例えば、インターネット、イントラネット等)を介してアクセス可能な遠隔メモリ(例えば、サーバ)にアクセスしてもよい。
【0033】
図1及び2に示すシステム100の実施形態は、本明細書に記載したように更に構成されてもよい。更に、システム100は、本明細書に記載した方法実施形態のうちのいずれかのいずれか別のステップを実行するように構成されてもよい。
【0034】
図4は、本開示の1つ又は複数の実施形態に従うテレセントリック照明を有するマルチビームSEMについての方法400において実行されるステップを示す流れ図である。ここで留意するのは、方法400のステップが、システム100によって全部又は一部が実装されてもよいことである。しかし、更に認識されるのは、方法400は、追加又は代替のシステムレベルの実施形態が方法400のステップの全部又は一部を実行してもよいようなシステム100に限定されないことである。ステップ402では、一次電子ビームが発生させられる。ステップ404では、一次電子ビームは、第1レンズ要素を通して伝送される。ステップ406では、一次電子ビームが、次いで、湾曲グリッド及び第2レンズ要素を通して伝送されることにより、一次電子ビームは、マルチレンズアレイ上にテレセントリックに到着する。ステップ408では、マルチレンズアレイからの1組の一次ビームレットが、試料上に導かれる。ステップ410では、試料からの1組の信号ビームレットが、複数の一次ビームレットに応じて検出される。
【0035】
本明細書に記載された方法のうちの全部が、記憶媒体118内の方法実施形態の1つ又は複数のステップについての結果を記憶することを含んでもよい。結果は、本明細書に記載した結果のうちのいずれかを含んでもよく、該技術分野で公知のいずれかの態様で記憶されてもよい。結果が記憶された後に、結果は、記憶媒体内でアクセスされて、本明細書に記載した方法又はシステム実施形態のうちのいずれかによって用いられてもよく、ユーザへの表示のためにフォーマットされてもよく、別のソフトウェアモジュール、方法、又はシステム等によって用いられてもよい。更に、結果は、「恒久的に」、「半恒久的に」、一時的に、又はなんらかの期間の間、記憶されてもよい。
【0036】
当業者であれば、現状技術が、システムの態様についてのハードウェア実装とソフトウェア実装との間に残された相違がほとんどない、すなわち、ハードウェア又はソフトウェアの使用が、概して、費用効率トレードオフを表す設計選択である(しかし、特定の局面では、ハードウェアとソフトウェアとの間の選択が有意になることがあるので、必ずしもそうであるわけではない)程度にまで進歩したことを認識するであろう。当業者であれば、様々な手段であって、それによって本明細書に記載したプロセス及び/又はシステム及び/又は別の技術が達成されてもよい様々な手段(例えば、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェア)が存在すること、及び好ましい手段が、プロセス及び/又はシステム及び/又は別の技術が配備される状況によって変化することを認識するであろう。例えば、実装者が、速度及び正確度が最重要であると決定するならば、実装者は、主にハードウェア及び/又はファームウェア手段を選んでもよく、その代替として、融通性が最重要であるならば、実装者は、主にソフトウェア実装を選んでもよく、又は、更なる代替として、実装者は、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアについてのなんらかの組合せを選んでもよい。そのため、いくつかの可能な手段であって、それらによって本明細書で説明されたプロセス及び/又はデバイス及び/又は技術が達成されてもよい手段が存在し、当該手段のうちのすべては、利用されるいずれかの手段が、手段が配備されることになる状況、及び実装者の特定の関心事(例えば、速度、融通性、又は予測性)であって、そのうちのいずれかが変化することがある関心事に依存する選択であるので、本質的に別のものよりも優れているわけではない。当業者であれば、実装についての光学的態様が、典型的には、光学的に適合されたハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアを利用することを認識するであろう。
【0037】
当業者であれば、本明細書で述べた流行中のデバイス及び/又はプロセスを説明し、その後に、かかる説明されたデバイス及び/又はプロセスをデータ処理システムに統合するための技術的手法を用いることは、該技術分野において一般的であることを認識するであろう。すなわち、本明細書に記述されたデバイス及び/又はプロセスのうちの少なくとも一部分は、合理的な量の実験を介してデータ処理システムに統合されてもよい。当業者であれば、典型的なデータ処理システムが、システムユニットハウジング、ビデオディスプレイデバイス、揮発性及び不揮発性メモリ等のメモリ、マイクロプロセッサ及びデジタルシグナルプロセッサ等のプロセッサ、オペレーティングシステム等の計算エンティティ、ドライバ、グラフィカルユーザインタフェース、アプリケーションプログラム、1つ又は複数の相互作用デバイス、例えばタッチパッド又はスクリーン、及び/又はフィードバックループ及び制御モータを含む制御システム(例えば、位置及び/又は速度を検知するためのフィードバック、成分及び/又は量を移動及び/又は調整するための制御モータ)を含む制御システムのうちの1つ又は複数を概して含むことを認識するであろう。典型的なデータ処理システムは、データ計算/通信及び/又はネットワーク計算/通信システムにおいて典型的に見られるもの等のなにかの好適な市販の構成要素を利用して実装されてもよい。
【0038】
本開示及びそれの付随する利点のうちの多くが、上記の説明によって理解されると考えられ、様々な変更が、開示された主題から逸脱することなく、又はそれの具体的な利点の全てを犠牲にすることなく構成要素の形式、構成、及び配置において成されてもよいことが明らかであろう。記載された形式は、単に説明的であるにすぎず、かかる変更を包含及び含有することは以下の請求項の趣旨である。
図1
図2
図3A
図3B
図4