(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】模型玩具
(51)【国際特許分類】
A63H 3/46 20060101AFI20241113BHJP
A63H 3/36 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
A63H3/46 B
A63H3/36 D
(21)【出願番号】P 2023204876
(22)【出願日】2023-12-04
【審査請求日】2023-12-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小田 和茂
(72)【発明者】
【氏名】上田 佳奈
【審査官】柳 重幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-132857(JP,A)
【文献】特開2023-132858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 3/36
3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
模型玩具であって、
少なくとも第1連結部及び第2連結部を有する第1部材と、
前記第1連結部に可動可能に連結される第1パーツと、
前記第2連結部に可動可能に連結される第2パーツと、
前記第1部材に接触し、かつ、前記第1部材の
下端から下方に所定の空間領域を
形成するように覆い、前記第1部材に対して可動可能な第3パーツと、
を備え、
前記
第3パーツは、
前記第1部材の下端が前記所定の空間領域
内を変位可能な範囲で、かつ、前記第2連結部の上下方向に
沿って、前記第1部材に対して摺動可能であることを特徴とする模型玩具。
【請求項2】
前記第1部材は、第3連結部をさらに有し、
前記模型玩具は、前記第3連結部に可動可能に連結される第4パーツをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の模型玩具。
【請求項3】
前記第1部材は、前記第1連結部、前記第2連結部、及び前記第3連結部が接続される基部部材をさらに有し、
前記第1連結部、前記第2連結部、及び前記第3連結部はそれぞれが前記基部部材に対して回動可能であることを特徴とする請求項2に記載の模型玩具。
【請求項4】
前記第1連結部及び前記第3連結部の回動軸は同じであり、
前記第2連結部の回動軸は前記第1連結部及び前記第3連結部の回動軸とは異なることを特徴とする請求項3に記載の模型玩具。
【請求項5】
前記第1連結部及び前記第3連結部は前記模型玩具の上下方向に回動可能であり、
前記第2連結部は前記模型玩具の前後方向に回動可能であることを特徴とする請求項4に記載の模型玩具。
【請求項6】
前記第2連結部は棒状に形成され、
前記第3パーツは前記棒状の前記第2連結部の長手方向に沿って摺動可能であることを特徴とする請求項2乃至5の何れか1項に記載の模型玩具。
【請求項7】
前記第1パーツ及び前記第4パーツの少なくとも一方が所定方向に回動して前記第3パーツに当接すると、前記第3パーツは前記第1パーツ及び前記第4パーツの少なくとも一方による押圧に応じて前記所定方向へ摺動することを特徴とする請求項6に記載の模型玩具。
【請求項8】
前記第1パーツ及び前記第4パーツのそれぞれに対して、該第1パーツ及び該第4パーツが回動した際に生じる他のパーツとの隙間を埋める隙間パーツを更に備えることを特徴とする請求項6に記載の模型玩具。
【請求項9】
前記隙間パーツは、前記第1パーツと前記第1連結部との間、又は、前記第4パーツと前記第3連結部との間に回動可能に挿入されることを特徴とする請求項8に記載の模型玩具。
【請求項10】
前記第1部材は前記模型玩具の腰関節及び股関節を形成し、
前記第1パーツは前記模型玩具の左脚を形成し、
前記第4パーツは前記模型玩具の右脚を形成し、
第2パーツは前記模型玩具の上体部を形成し、
前記第3パーツは前記模型玩具の腰部の外装を形成することを特徴とする請求項6に記載の模型玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、模型玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
人間や動物の動きに近い動作やポージングを実現すべく、人形玩具(模型玩具)には種々の関節や可動部が含まれる。これらの機構により様々なポージングを実現することができる。しかし、人形玩具に人間等と同数の関節等を設けることは、多数の部材が必要となり、精巧な人形玩具であってもその数には限りがあり実現は困難である。従って、上述のような動作やポージングを実現するためには、より少ない関節や部材で構成しつつ、関節やそれに連結される部位の可動域を拡大させることが重要である。可動域を拡大させることによって、より自由度の高い動作や多彩なポージングを行うことができる。特許文献1には、現実の動物と同様なリアルな動きを可能とした関節構造を有している四足動物人形が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人間の四肢のような自然な動作を実現するには、種々の方向に回動可能であることが望ましい。一方で、首関節や、肩関節、股関節、腰関節などは人間と同様に体の内部に設けられることによって、それらの関節に連結されたパーツの自然な動作を実現することができるが、その可動域は隣接するパーツによって制限されてしまう。したがって、可動域を拡大させるためには、可動域を拡大させる仕組みに加えて隣接するパーツとの間に空間を確保することが重要となる。
【0005】
本発明は、例えば模型玩具において、可動域を拡大させるための新規な構造を実現する仕組みを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、例えば、模型玩具であって、少なくとも第1連結部及び第2連結部を有する第1部材と、前記第1連結部に可動可能に連結される第1パーツと、前記第2連結部に可動可能に連結される第2パーツと、前記第1部材を覆い、前記第1部材に対して可動可能な第3パーツと、を備えることを特徴とする。
また、本発明は、例えば、模型玩具であって、少なくとも第1連結部及び第2連結部を有する第1部材と、前記第1連結部に可動可能に連結される第1パーツと、前記第2連結部に可動可能に連結される第2パーツと、前記第1部材の下部を、該下部との間に所定の空間領域を設けて覆い、前記第1部材に対して可動可能な第3パーツと、を備え、前記第1部材は、前記所定の空間領域を利用して前記模型玩具の上下方向に摺動可能であることを特徴とする。
また、本発明は、例えば、模型玩具であって、少なくとも第1連結部及び第2連結部を有する第1部材と、前記第1連結部に可動可能に連結される第1パーツと、前記第2連結部に可動可能に連結される第2パーツと、前記第1部材に接触し、かつ、前記第1部材の下端から下方に所定の空間領域を形成するように覆い、前記第1部材に対して可動可能な第3パーツと、を備え、前記第3パーツは、前記第1部材の下端が前記所定の空間領域内を変位可能な範囲で、かつ、前記第2連結部の上下方向に沿って、前記第1部材に対して摺動可能であることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、例えば、可動構造体であって、模型玩具の第1パーツが可動可能に連結される第1連結部と、前記模型玩具の第2パーツが可動可能に連結される第2連結部と、を備え、前記可動構造体は、該可動構造体に対して可動可能な前記模型玩具の第3パーツによって覆われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、可動域を拡大させるための新規な構造を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る模型玩具の(a)外観正面、及び(b)外観側面の一例を示す図。
【
図2】一実施形態に係る模型玩具の(a)外観正面、及び(b)腰部の分解斜視を示す図。
【
図3】一実施形態に係る模型玩具の可動フレーム(腰関節、股関節)の構成を示す図。
【
図4】一実施形態に係る模型玩具の可動フレームの動作を示す図。
【
図5】一実施形態に係る模型玩具の腰部の正断面図。
【
図6】一実施形態に係る模型玩具の腰部付近の外装の動作を示す図。
【
図7】一実施形態に係る模型玩具の脚部の組立構成を示す図。
【
図8】一実施形態に係る模型玩具の動作例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴うち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
<模型玩具の外観>
以下では本発明の一実施形態について説明する。まず、
図1を参照して、本実施形態に係る模型玩具100の外観構成の一例について説明する。
図1(a)は模型玩具100の外観正面を示す。
図1(b)は模型玩具100の外観側面を示す。なお、上下、左右、前後の矢印については図における模型玩具の向きを示し、他の図面についても同様である。
【0012】
模型玩具(人形体)100は、頭部101、上体部102、腕部103a、103b、及び腰部104、脚部105a、105bを備える。模型玩具100は、可動フィギアなどの可動式の模型玩具であり、各パーツは他の部材との関係で生じる制限領域の範囲内で可動させることができる。頭部101は上体部102に球形状の連結部材によって連結される(以下では、ボールジョイントとも称する。)。上体部102には、さらに右腕部103a及び左腕部103bを含む腕部103が球形状の連結部材で連結される。上体部102の下部には腰部104が可動可能に連結され、更に腰部104には右脚部105a及び左脚部105bを含む脚部105が連結される。本実施形態において「可動可能」と記載する場合は、回動または上下左右等への摺動等の動きが可能であることを含むものである。具体的には構成については後述する。
【0013】
以下では、本実施形態に係る可動構造(可動構造体)として、腰関節及び股関節を含む腰部の構造について説明する。しかしながら、本発明を限定する意図はなく、以下で説明する可動構造は、腰関節及び股関節に限らず、他の関節部、例えば首関節及び肩関節や、胸関節などの関節部に適用することも可能である。
【0014】
<腰部の構成>
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る模型玩具100の腰関節及び股関節を含む腰部104の詳細構成ついて説明する。
図2(a)は模型玩具100の正面図を示す。
図2(b)は腰部104を構成する複数のパーツを含むパーツ群の分解斜視図を示す。
図2(a)は
図1(b)と同様の図であるため説明を省略する。
【0015】
図2(b)に示すように、腰部104は、パーツ201~206を含んで構成され、上体部102に対して互いに可動可能に連結されるとともに、脚部105a、105bに対して互いに可動可能に連結される。パーツ201は、腰関節及び股関節の基部となる可動フレーム(第1部材)を形成する。パーツ201は、第1連結部、第2連結部、及び第3連結部を備え、各連結部が基部部材である後述するパーツ301に対して可動可能 に連結される。詳細については
図3を用いて後述する。
【0016】
パーツ202~204は、腰部104の外装を形成し、それぞれパーツ201の各連結部に挿入される。パーツ205aは股関節の一部を形成するパーツ201の連結部に挿入される隙間パーツである。隙間パーツ205aを通じて露出したパーツ201の連結部に対して、脚部105aの一部のパーツであるパーツ206aが可動可能に連結される。パーツ206aのパーツ201と連結された反対側の他端には、脚部105aの他のパーツが連結される。
【0017】
隙間パーツ205aは、パーツ206aが回動した際に生じる他のパーツとの隙間を隠す目隠しパーツとして機能する。隙間パーツ205aによる目隠し機能により、脚部105aが回動した際に生じる隙間による違和感を解消することができる。パーツ205b、206bは、パーツ205a、206aと同様の構成であるため説明を省略する。
【0018】
<可動フレームの詳細な構成>
次に、
図3を参照して、本実施形態に係る模型玩具100の腰関節及び股関節を形成する可動フレームの詳細構成について説明する。
図3(a)は可動フレームを構成するパーツの分解図を示す。
図3(b)は可動フレームであるパーツ201の斜視図を示す。
【0019】
図3(a)に示すように、パーツ201は、パーツ301~パーツ304を含んで構成される。パーツ301が腰関節及び股関節の基部パーツ(基部部材)となる。パーツ301は、3つの接続部311、312、313を含む。パーツ302は、上体部102の一部のパーツと接続するための球形状の接続部321と、パーツ301と接続するための円筒形状の接続部322とを含む。パーツ303は、脚部105bの一部のパーツに接続するための球形状の接続部331と、パーツ301と接続するためのリング形状の接続部332とを含む。パーツ304は、パーツ301と接続するためのリング形状の接続部341と、脚部105aの一部のパーツに接続するための球形状の接続部342とを含む。
【0020】
接続部311はリング形状に形成され、第2連結部であるパーツ302の接続部322が回動可能に連結される。接続部312は円筒形状で形成され、第1連結部であるパーツ304の接続部341が回動可能に連結される。接続部313は円筒形状で形成され、第3連結部であるパーツ303の接続部332が回動可能に連結される。したがって、第1連結部~第2連結部を形成するパーツ302~304はそれぞれ、パーツ301に対して回動可能に連結される。
【0021】
図3(b)はパーツ301~304を接続した可動フレームの斜視図を示す。基部パーツであるパーツ301に対してパーツ302~パーツ304を組み付けることにより、それぞれ異なる方向に延伸する第1連結部乃至第2連結部が形成される。各連結部は、上述したように、球形状で形成される。第1連結部には、脚部105aが可動可能に連結される。第3連結部には、脚部105bが可動可能に連結される。第2連結部には、上体部102が可動可能に連結される。本実施形態において、各パーツが可動可能に連結されるのは、球形状の各連結部に回動可能に連結されるとともに、当該連結部を含むパーツ201(可動フレーム)が腰部104の外装パーツに対して摺動可能に覆われるためである。なお、パーツ201(可動フレーム)の少なくとも一部が腰部104の外装パーツによって覆われていればよい。
【0022】
このように、本実施形態によれば、腰関節及び股関節を形成する可動フレームにおいて、第1連結部乃至第3連結部はそれぞれ回動可能であり、球形状の連結部に連結されるパーツの可動域を拡大させることができる。つまり、各連結部に連結されるパーツは、球形状の連結部に可動可能に連結されるとともに、連結部自体の回動に追従してさらに回動するため可動域を拡大させることができる。
【0023】
<可動フレームの動作>
次に、
図4を参照して、本実施形態に係る可動フレーム(腰関節及び股関節)の動作について説明する。
図4(a)はパーツ301、302の動作を示し、
図4(b)はパーツ303、304の動作を示す。
【0024】
図4(a)に示すように、パーツ201の可動フレームにおいては、パーツ301の接続部311とパーツ302の接続部322とを接続した部分が回動軸となって、パーツ302と、パーツ301とが互いに回動可能となる。パーツ301の回動に伴って、パーツ301に接続されたパーツ303、304も回動する。したがって、本実施形態に係る腰関節を形成する第2連結部(パーツ302)は模型玩具100の前後方向に回動可能である。
【0025】
さらに
図4(b)に示すように、パーツ301の接続部312と、パーツ304の接続部341とを接続した部分が回動軸となって、パーツ301に対してパーツ304が回動可能となる。同様に、不図示であるがパーツ301の接続部313と、パーツ303の接続部332とを接続した部分が回動軸となって、パーツ301に対してパーツ303が回動可能となる。
【0026】
このように、本実施形態に係る模型玩具100においては、股関節を形成する第1連結部(パーツ304)及び第3連結部(パーツ303)がそれぞれ模型玩具100の上下方向に回動可能である。つまり、第1連結部及び第3連結部の回動軸は同じである。一方で、
図4(a)を用いて説明したように、第2連結部は模型玩具100の前後方向に回動可能であり、第1連結部及び第3連結部の回動軸とは異なるものである。
【0027】
<外装の構成>
図5を参照して、本実施形態に係る外装パーツの構成について説明する。
図5は腰部104と脚部105a、105bの一部を含む断面図を示す。
図2(b)を用いて説明したように、パーツ202~204は、模型玩具100の腰部104付近の外装パーツを形成する。
【0028】
図2(b)及び
図5に示すように、可動フレームであるパーツ201は、パーツ202の内部に挿入され、パーツ202の左右の開口部からそれぞれパーツ201のパーツ304(第1連結部)、パーツ303(第3連結部)が露出する。さらにパーツ201のパーツ302(第2連結部)に対して、外装パーツを構成するパーツ203、204が重ねて挿入される。また、パーツ203、204はパーツ202に不図示の係合部により組み付けられる。
【0029】
外装パーツが挿入されたパーツ201は、
図5に示すようにパーツ202との間の下部に502に示す空間領域が確保される。この空間領域502を利用して、パーツ201は、矢印方向に摺動することができる。言い換えれば、パーツ202~204を含む外装パーツは、パーツ201の棒状に形成された第2連結部に対して
図5の矢印に示す方向(第2連結部の長手方向)に摺動可能に連結されるものである。これにより、当該外装パーツは他のパーツからの押圧によって矢印方向に摺動する。したがって、従来は腰部104の外装に制限されて脚部105の可動範囲が制限されていたが、本実施形態に係る構成を適用することにより、脚部105の動作に追従して外装パーツが矢印方向へ摺動することができ、可動範囲を拡大させることができる。
【0030】
また、
図5の501に示すように、パーツ301の接続部311と、パーツ302の接続部322とが接続されて1つの球形状の連結部が形成される。したがって、上記外装パーツは当該連結部を軸に全方向に回動することができる。これにより、上記摺動方向に加えて、脚部105の動作方向に合わせて回動することも可能である。
【0031】
<外装の動作>
図6を参照して、本実施形態に係る外装パーツの摺動動作を説明する。
図6(a)及び
図6(b)は腰部104の斜視図を示す。
【0032】
図6(a)は腰部104の通常状態の様子を示す。通常状態においては、パーツ201とパーツ202との間に空間領域が存在する。この空間領域を利用して外装パーツがパーツ201に対して摺動することができる。
図6(b)はパーツ201が下方向に摺動し、相対的に外装パーツがパーツ201に対して上方向に摺動した様子を示す。この状態においては、外装パーツが上方向へ移動することにより所定の空間が拡大し、股関節に連結された脚部105の上方向への可動範囲を拡大させることができる。
【0033】
<脚部の股関節への接続>
図7を参照して、本実施形態に係る脚部105の股関節への接続構成を説明する。
図7(a)は可動フレームと脚部105bの一部の接続パーツとの分解斜視図を示す。
図7(b)は股関節部において脚部105bを回動させた様子を示す。ここでは、股関節に対する脚部105bの連結構成について説明するが、脚部105aの連結構成も同様である。
【0034】
図7(a)に示すように、可動フレームに対して、脚部105bの一部のパーツである隙間パーツ205b、206bが接続される。組立構成としては、パーツ206bの2つの穴部に対して回転可能に隙間パーツ205bが連結される。その後、パーツ206bに連結された隙間パーツ205bの開口部にパーツ201の第3連結部であるパーツ303が挿入される。なお、パーツ206bには脚部105bのその他のパーツが接続される。
【0035】
ここで、第3連結部は球形状であるため、脚部105b(隙間パーツ205b)は第3連結部に対して回動可能に連結される。さらに、パーツ206bは隙間パーツ205bに対して回転可能に連結される。
【0036】
図7(b)はパーツ206bを矢印方向へ回転させた様子を示す。パーツ206bを回転させると、股関節を形成するパーツ201や不図示の外装パーツとの間に隙間が生じてしまう。しかし、本実施形態に係る模型玩具100では、
図7(b)の点線領域に示すように、パーツ206bの回転により生じた隙間を隙間パーツ205bが隠すように位置していることが分かる。これにより、模型玩具100の動作に応じて生じる隙間を好適に隠すことができ、不自然な印象を与えることを回避することができる。
【0037】
<動作例>
図8を参照して、本実施形態に係る模型玩具100の動作例について説明する。
図8(a)及び
図8(b)は模型玩具100において脚部105を動作させた際の様子を示す。
【0038】
図8(a)は模型玩具100のキック動作を示す。当該キック動作では左脚部105aを真上に振り上げている様子を示す。その際、左脚部105aの動作に追従して外装パーツが上方向へ移動する。これにより、当該左脚部105aの可動範囲を拡大し、左脚部105aを大きく振り上げる動作を可能とし、よりダイナミックなキック動作を実現することができる。
【0039】
図8(b)は模型玩具100の立ち膝の姿勢を示す。当該立ち膝の姿勢では、左脚部105aの上腿部が大きく上方向へ曲げられており、当該動作に追従して外装パーツが上方向へ移動する。これにより、当該左脚部105aの可動範囲を拡大し、左脚部105aの上腿部を大きく曲げることができ、自然な立ち膝ポーズを実現することができる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係る模型玩具は、少なくとも第1連結部及び第2連結部を有する第1部材と、第1連結部に可動可能に連結される第1パーツと、第2連結部に可動可能に連結される第2パーツと、第1部材を覆い、第1部材に対して可動可能な第3パーツとを備える。また、第1部材は、第3連結部をさらに有し、模型玩具は、第3連結部に可動可能に連結される第4パーツをさらに備える。本実施形態によれば、模型玩具において、可動域を拡大させるための新規な構造を実現する仕組みを提供することができる。
【0041】
<変形例>
本発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。上記実施形態では可動構造を股関節を含む腰関節に適用する例について説明したが、本発明を限定する意図はなく他の部位に利用してもよい。例えば、首関節や肩関節などの関節部にも利用することができる。
【0042】
また、模型玩具として模型玩具の例を説明したが、模型玩具(人形体)の形状は、特に限定されるものではなく、人、動物、ロボット、昆虫、恐竜、仮想生命体等、様々な形状を含むものである。また、可動部を含む形態であれば、模型玩具の形状は特に限定されるものではない。
【0043】
<実施形態のまとめ>
上記実施形態は以下の模型玩具、及び可動構造体を少なくとも開示する。
(1)
模型玩具であって、
少なくとも第1連結部及び第2連結部を有する第1部材と、
前記第1連結部に可動可能に連結される第1パーツと、
前記第2連結部に可動可能に連結される第2パーツと、
前記第1部材を覆い、前記第1部材に対して可動可能な第3パーツと、
を備えることを特徴とする模型玩具。
(2)
前記第1部材は、第3連結部をさらに有し、
前記模型玩具は、前記第3連結部に可動可能に連結される第4パーツをさらに備えることを特徴とする(1)に記載の模型玩具。
(3)
前記第1部材は、前記第1連結部、前記第2連結部、及び前記第3連結部が接続される基部部材をさらに有し、
前記第1連結部、前記第2連結部、及び前記第3連結部はそれぞれが前記基部部材に対して回動可能であることを特徴とする(2)に記載の模型玩具。
(4)
前記第1連結部及び前記第3連結部の回動軸は同じであり、
前記第2連結部の回動軸は前記第1連結部及び前記第3連結部の回動軸とは異なることを特徴とする(3)に記載の模型玩具。
(5)
前記第1連結部及び前記第3連結部は前記模型玩具の上下方向に回動可能であり、
前記第2連結部は前記模型玩具の前後方向に回動可能であることを特徴とする(3)又は(4)に記載の模型玩具。
(6)
前記第2連結部は棒状に形成され、
前記第3パーツは前記棒状の前記第2連結部の長手方向に沿って摺動可能であることを特徴とする(2)乃至(5)の何れか1つに記載の模型玩具。
(7)
前記第1パーツ及び前記第4パーツの少なくとも一方が所定方向に回動して前記第3パーツに当接すると、前記第3パーツは前記第1パーツ及び前記第4パーツの少なくとも一方による押圧に応じて前記所定方向へ摺動することを特徴とする(2)乃至(6)の何れか1つに記載の模型玩具。
(8)
前記第1パーツ及び前記第4パーツのそれぞれに対して、該第1パーツ及び該第4パーツが回動した際に生じる他のパーツとの隙間を埋める隙間パーツを更に備えることを特徴とする(2)乃至(6)の何れか1つに記載の模型玩具。
(9)
前記隙間パーツは、前記第1パーツと前記第1連結部との間、又は、前記第4パーツと前記第3連結部との間に回動可能に挿入されることを特徴とする(8)に記載の模型玩具。
(10)
前記第1部材は前記模型玩具の腰関節及び股関節を形成し、
前記第1パーツは前記模型玩具の左脚を形成し、
前記第4パーツは前記模型玩具の右脚を形成し、
第2パーツは前記模型玩具の上体部を形成し、
前記第3パーツは前記模型玩具の腰部の外装を形成することを特徴とする(2)乃至(9)の何れか1つに記載の模型玩具。
(11)
可動構造体であって、
模型玩具の第1パーツが可動可能に連結される第1連結部と、
前記模型玩具の第2パーツが可動可能に連結される第2連結部と、を備え、
前記可動構造体は、該可動構造体に対して可動可能な前記模型玩具の第3パーツによって覆われることを特徴とする可動構造体。
(12)
前記模型玩具の第4パーツへ連結される第3連結部と、
前記第1連結部、前記第2連結部、及び前記第3連結部が接続される基部部材と、をさらに備え、
前記第1連結部、前記第2連結部、及び前記第3連結部はそれぞれが前記基部部材に対して回動可能であることを特徴とする(11)に記載の可動構造体。
【符号の説明】
【0044】
100:模型玩具、101:頭部、102:上体部、103a、103b:腕部、104:腰部、105a、105b:脚部
【要約】
【課題】本発明は、例えば模型玩具において、可動域を拡大させるための新規な構造を実現する仕組みを提供する。
【解決手段】本模模型玩具は、少なくとも第1連結部及び第2連結部を有する第1部材と、第1連結部に可動可能に連結される第1パーツと、第2連結部に可動可能に連結される第2パーツと、第1部材を覆い、第1部材に対して可動可能な第3パーツとを備える。
【選択図】
図3