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特許7587693開口部を備える可撓性膜を有するエアロゾル発生装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】開口部を備える可撓性膜を有するエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/85 20200101AFI20241113BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20241113BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20241113BHJP
【FI】
A24F40/85
A24F40/20
A24F40/40
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023526580
(86)(22)【出願日】2021-11-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 EP2021080728
(87)【国際公開番号】W WO2022096626
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-05-01
(31)【優先権主張番号】20205872.3
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】イム ジュン ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ハウ ジュン ジエ
(72)【発明者】
【氏名】デラ パズ デニス ヤペ
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/122878(WO,A1)
【文献】中国実用新案第210043215(CN,U)
【文献】中国実用新案第207940343(CN,U)
【文献】特表2017-529885(JP,A)
【文献】米国特許第03856024(US,A)
【文献】国際公開第2019/242230(WO,A1)
【文献】特開2018-113955(JP,A)
【文献】国際公開第2019/224120(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/199217(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03711519(EP,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0081070(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/85
A24F 40/20
A24F 40/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置であって、
エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を受容するための空洞であって、前記エアロゾル形成基体が、固体のエアロゾル形成基体である、空洞と、
前記空洞の上流端に配設された可撓性膜であって、前記可撓性膜が、前記空洞と流体連通する開口部を備え、前記可撓性膜がエアロゾル発生装置の上流端に提供され、前記開口部が、前記エアロゾル発生装置のための空気吸込み口として機能するように構成されている、可撓性膜と、を備え、
少なくとも二つの開口部が前記可撓性膜内に形成されていて、前記少なくとも二つの開口部が、少なくとも二つの交差するスリットを備え、かつ前記少なくとも二つの交差するスリットが中央部分を形成するエアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記空洞が、中央長軸方向空洞軸を有し、かつ前記開口部が、前記中央長軸方向空洞軸上に少なくとも部分的に配設されている、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記エアロゾル発生装置が中央長軸方向装置軸を備え、かつ前記中央長軸方向装置軸が前記中央長軸方向空洞軸からずれている、請求項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記可撓性膜が、前記空洞の内部に向かって膨らむ凹状部を備える、請求項1~3のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記開口部が、前記エアロゾル発生装置のための唯一の空気吸込み口として機能するように構成されている、請求項1~4のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記可撓性膜が、前記空洞の内部から外向きに膨らむ凸状部を備える、請求項1または請求項3のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
据え付け要素をさらに備え、前記可撓性膜が前記据え付け要素の中に据え付けられている、請求項1~6のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記開口部がスリットを備える、請求項1~7のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記中央部分が開口を備える、請求項1~8のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載のエアロゾル発生装置と、前記エアロゾル発生装置の前記空洞をクリーニングするためのクリーニングツールとを備えるキット。
【請求項11】
前記クリーニングツールがクリーニングヘッドを備え、前記クリーニングヘッドが、前記クリーニングツールを用いて圧力が印加されている時に、前記開口部を開放するように構成されている、請求項10に記載のキット。
【請求項12】
エアロゾル発生システムであって、
請求項1~9のいずれかに記載のエアロゾル発生装置と、
前記空洞の中に受容されるためのエアロゾル発生物品と、
前記空洞をクリーニングするためのクリーニングツールと、を備えるエアロゾル発生システム。
【請求項13】
請求項1~9のいずれかに記載の前記エアロゾル発生装置をクリーニングする方法であって、前記エアロゾル発生装置が、前記エアロゾル発生物品を前記空洞の中に受容するための下流端を備え、前記方法が、
-前記下流端を通して前記空洞の中にクリーニングツールを挿入し、開口部を通して前記クリーニングツールを押し、前記空洞から前記クリーニングツールを取り出すこと、または
-前記可撓性膜の前記開口部を通して、前記エアロゾル発生装置の前記上流端から前記空洞の中にクリーニングツールを押すことと、
前記クリーニングツールを前記空洞から取り出すことと、のうちの一方または両方を含む方法。
【請求項14】
前記クリーニングツールを前記空洞から取り出すことが、
-前記可撓性膜の前記開口部を通して、前記クリーニングツールを空洞の外に引き戻すことを含む、請求項13に記載のクリーニングする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアロゾル発生装置に関する。本発明は、エアロゾル発生装置とクリーニングツールと備えるキット、およびエアロゾル発生装置と、クリーニングツールと、エアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムにさらに関する。本発明は、エアロゾル発生装置をクリーニングするための方法にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
たばこなどのエアロゾル発生物品中のエアロゾル形成基体を加熱するが燃焼しないエアロゾル発生装置が知られている。こうした装置は、ユーザーによる吸入のためのエアロゾルを発生するために、エアロゾル形成基体を十分に高い温度に加熱する。これらのエアロゾル発生装置は通常、エアロゾル形成基体を受容するための空洞を含む。これらの装置は典型的に、携帯型の手持ち式の装置であり、コンパクトであることが要求される。
【0003】
エアロゾル形成物品からの残留物または破片は、経時的にエアロゾル発生装置の空洞の中に堆積する。一部の場合において、こうした残留物または破片は、これらの装置の機能を損なう場合がある。空洞の中のこうした残留物または破片はまた、エアロゾル消費中にユーザーが体験する味覚に影響を与え、装置の詰まりにつながる場合がある。エアロゾル発生装置の空洞のクリーニングは、数多くのこうした装置内の空洞が外側から簡単にアクセスできないため、しばしば時間がかかり、複雑である。空洞にアクセスするためにドアを有する開口部を含むエアロゾル発生装置が知られている。ユーザーはこれらのドアを開閉する必要があり、エアロゾル発生装置のクリーニングのために必要とされる時間が増加する。こうしたドアは、ばねまたは他の付勢機構を伴う機械的機構である場合がある。こうしたドアは、長時間にわたる使用で破損する場合がある。クリーニング手順の効率は、空洞の下端である上流端に堆積したあらゆる残留物で特に低い場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
簡単にクリーニングされることができるエアロゾル発生装置を提供することが望ましいことになる。装置の空洞の中に堆積した破片または残留物を簡単に除去できるエアロゾル発生装置を提供することがさらに望ましいことになる。空洞に簡単にアクセスできるエアロゾル発生装置を提供することがさらに望ましいことになる。エアロゾル発生物品を受容するための空洞の上流部の簡単なクリーニングを可能にするエアロゾル発生装置を提供することも望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態によると、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を受容するための空洞を備えてもよいエアロゾル発生装置が提供されている。可撓性膜は空洞の上流端に配設されてもよい。可撓性膜は、空洞と流体連通する開口部を備えてもよい。
【0006】
本発明のさらなる一実施形態によると、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を受容するための空洞を備えるエアロゾル発生装置が提供されている。可撓性膜は空洞の上流端に配設されている。可撓性膜は、空洞と流体連通する開口部を備える。
【0007】
可撓性膜内の開口部は、クリーニングツールを簡単に押し通すことを可能にする場合がある。クリーニングツールを使用して圧力を加える時、可撓性膜に起因して開口部が広げられる場合がある。これは、クリーニングツールが開口部を通過することを可能にする場合がある。開口部を通してクリーニングツールを引き戻す時、開口部は、クリーニングツールの圧力の印加が終わる時に、膜の可撓性の性質に起因して、その元の形状およびサイズに戻る場合がある。可撓性膜はまた、外側からのいかなる残留物もエアロゾル発生装置の空洞に入ることを可能にしないために、十分に剛直であってもよい。可撓性膜はまた、クリーニング前に空洞の中に任意の残留物を保持してもよい。
【0008】
開口部は、クリーニングのために有用な任意の幾何学的形状を有してもよい。開口部は、スリット、十字、切り込み、開口のうちの一つ以上の形状を有してもよい。これらのすべての幾何学的形状は、クリーニングツールが押し通される時に拡張してもよい。
【0009】
開口部は、空洞との開口部の流体連通を可能にする幾何学的形状を有してもよい。可撓性膜内の開口部は、空洞に隣接してもよい。開口部は、可撓性膜を通した流体連通を提供しなくてもよい。具体的に、開口部は、可撓性膜を通した流体連通を提供しない、可撓性膜内に形成されたスリットまたは切り込みであってもよい。この場合、クリーニングツールが通過するために十分に大きい開口部は、可撓性膜の開口部への圧力の印加に伴ってのみ形成される。
【0010】
開口部は、開口部に印加された任意の外圧の不在下で、部分的に閉鎖されてもよく、または完全に閉鎖されてもよい。これは、クリーニングすることなく、あらゆる破片が装置から出るのを可撓性膜が防止することを可能にする場合がある。部分的に閉鎖されたまたは完全に閉鎖された開口部は、例えばクリーニングツールを使用する圧力の印加に伴い開放されてもよい。可撓性膜は、圧力が可撓性膜に印加されている時に、開口部が開放されるおよび広げられることを可能にしてもよい。
【0011】
空洞は中央長軸方向空洞軸を有してもよい。開口部は、中央長軸方向空洞軸上に少なくとも部分的に配設されてもよい。
【0012】
これは、開口部を通してクリーニングツールを押すことによって、クリーニングツールを使用する空洞のクリーニングを簡単にする場合がある。開口部は、中央長軸方向空洞軸上に少なくとも部分的に配設されてもよいため、長く細長いクリーニングツールは、力を印加し開口部を通してクリーニングツールを押して、クリーニングツールを中央長軸方向空洞軸に沿って空洞の中に挿入すること、または空洞の上流端から、空洞の外側から開口部を通して空洞の中にクリーニングツールを押すことのいずれかによって特に簡単に開口部を通して押される場合がある。中央長軸方向空洞軸はまた、クリーニングツールを中央長軸方向空洞軸に沿って空洞内で中心に置くことを可能にする場合がある。これは、クリーニングツールが空洞の周辺に沿ってブラッシングする時に、クリーニングツールによって空洞の部分にもたらされるあらゆる損傷を回避する場合がある。
【0013】
エアロゾル発生装置は、中央長軸方向装置軸を備えてもよい。中央長軸方向装置軸は、中央長軸方向空洞軸からずれていてもよい。これは、電気回路またはエアロゾル発生装置の他の電子構成要素など、エアロゾル発生装置の他の構成要素から空洞が離隔されることにつながる場合がある。空洞はまた、エアロゾル発生装置の電源からも離隔されてもよい。これは、空洞を通る任意の気流経路が、エアロゾル発生装置の回路または他の電子構成要素を通過しないことを確実にする場合がある。同様に、気流経路は、エアロゾル発生装置の電源の周りに方向付けられてもよい。これは、エアロゾル発生装置の寿命を増大する場合がある。別の方法として、中央長軸方向空洞軸は、中央長軸方向装置軸と一致してもよい。
【0014】
可撓性膜は、空洞の内部に向かって膨らむ凹状部を備えてもよい。
【0015】
これは、空洞の中に形成されたあらゆる破片が、可撓性膜の凹状部の中心に堆積しないことを確実にする場合がある。破片は、空洞の内部に向かって膨らんでいない、またはわずかな程度しか膨らんでいない凹状部の縁に堆積する場合がある。これは、開口部を通してクリーニングツールを押すことによって、装置の簡単なクリーニングを可能にする場合がある。
【0016】
開口部は、可撓性膜の凹状部の中に形成されてもよい。具体的に、開口部は、空洞の内部の中に最も遠く突出する可撓性膜の凹状部に形成されてもよい。これは、空洞の中に形成されたあらゆる破片が開口部上に堆積しないが、可撓性膜の凹状部の周辺に堆積することを確実にする場合がある。これは、開口部がいかなる破片によっても遮断されないことを確実にする場合がある。
【0017】
開口部は、エアロゾル発生装置用の空気吸込み口として機能するように構成されてもよい。開口部は、エアロゾル発生装置の最も上流部の開口部であってもよく、空気がエアロゾル発生装置に入ることを可能にする。開口部は、エアロゾル発生装置の引き出し抵抗を著しく増加させることなく、空洞に入るのに十分な空気を提供してもよい。
【0018】
本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、エアロゾル発生装置の使用中に空気が気流経路に沿ってエアロゾル発生装置を通って流れる方向に対する、エアロゾル発生装置の構成要素の、または構成要素の部分の相対的な位置を説明するために使用される。本発明によるエアロゾル発生装置は、使用時にエアロゾルが通って装置を出る近位端を備える。エアロゾル発生装置の近位端はまた、口側端または下流端と呼ばれてもよい。口側端は遠位端の下流である。口側端はマウスピースを備えてもよい。エアロゾル発生装置の遠位端はまた、上流端と呼ばれてもよい。エアロゾル発生装置の構成要素または構成要素の部分は、エアロゾル発生装置を通る気流経路に対するこれらの相対的な位置に基づいて、互いの上流または下流にあるものとして記述されてもよい。
【0019】
開口部がエアロゾル発生装置用の空気吸込み口として機能する場合、開口部が可撓性膜の凹状部の中に形成されていれば特に有利である場合がある。具体的に、開口部は、空洞の内部の中に最も遠くに突出する可撓性膜の凹状部の中に形成されてもよい。これは、空気吸込み口として機能する開口部がいかなる破片によっても遮断されないことを確実にする場合がある。開口部は、エアロゾル発生装置用の唯一の空気吸込み口として機能してもよい。あらゆる破片はむしろ、開口部から離れて、凹状部の周辺にて収集されてもよい。
【0020】
可撓性膜は、凸状部を備えてもよい。凸状部は、空洞の内部から外向きに膨らんでもよい。凸状部は、空洞の中に形成されたあらゆる破片を収集することが可能であってもよい。開口部は、可撓性膜の凸状部の中に形成されてもよい。開口部は、空洞の内部から最も遠くに外向きに膨らむ可撓性膜の凸状部の中に形成されてもよい。これは、空洞の中に形成されたあらゆる破片が開口部の近くで収集されることを確実にする場合がある。これは、開口部を通してクリーニングツールを挿入することと、開口部の近く、または開口部に位置する破片を除去することとによって、装置のクリーニングを簡単にする場合がある。開口部を可撓性膜の凸状部の中に位置させることは、エアロゾル発生装置の中に追加的な空気吸込み口が存在する場合、特に有利である場合がある。この場合、開口部は唯一の空気吸込み口として機能しない、または空気入口として全く機能しない場合がある。
【0021】
可撓性膜は、平坦部を備えてもよい。可撓性膜全体は、平坦部として形成されてもよい。これは、ユーザーがクリーニングツールを可撓性膜の開口部の中に挿入し、クリーニングツールを使用することによって空洞をクリーニングすることを依然として可能にする場合がある。
【0022】
可撓性膜は、空洞の基部の一部であってもよい。これは、可撓性膜の開口部を通してクリーニングツールを挿入することによって、空洞を簡単にクリーニングすることができることを確実にする場合がある。可撓性膜はまた、エアロゾル発生装置の上流端を形成してもよい。これは、空洞内で可撓性膜上に収集されたあらゆる破片を、エアロゾル発生装置の外へ開口部を通して簡単に除去することができることを確実にする場合がある。可撓性膜は、取り外し可能なようにエアロゾル発生装置に取り付けられてもよい。これは、完全なエアロゾル発生装置を破棄する必要なく、可撓性膜を交換することを可能にする場合がある。可撓性膜は、エアロゾル発生装置の空洞の側壁のうちの一方もしくは両方に、または空洞の基部に取り付けられてもよい。
【0023】
エアロゾル発生装置は、据え付け要素をさらに備えてもよい。可撓性膜は、据え付け要素の中に据え付けられてもよい。据え付け要素は、可撓性膜とエアロゾル発生装置の残りの部分との間の簡単な接続を提供してもよい。据え付け要素は、据え付けフレームであってもよい。これは、据え付けフレーム内の可撓性膜の簡単な据え付けを可能にする場合があり、据え付けフレームは可撓性膜を包囲する。これは、追加的な安定性および構造の完全性を可撓性膜に提供する場合がある。
【0024】
可撓性膜は、空洞の上流端に取り外し可能なように接続されてもよい。可撓性膜は、エアロゾル発生装置の上流端に取り外し可能なように接続されてもよい。具体的に、可撓性膜は、据え付け要素に取り外し可能なように接続されてもよい。これは、完全なエアロゾル発生装置を破棄する必要なく、可撓性膜の交換を可能にする場合がある。
【0025】
据え付け要素は、剛直な材料を含んでもよい。これは、可撓性膜に追加的な安定性を提供する場合がある。据え付け要素は、プラスチックと金属のうちの一方または両方を含んでもよい。据え付けフレームは、ポリカーボネート(PC)、ポリカーボネートとアクリロニトリルブタジエンスチレンとのブレンド(PC/ABS)、ホモポリプロピレンなどのポリプロピレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリエーテルスルホン(PESU)、またはポリフェニルスルホン(PPSU)のうちの一つ以上を含んでもよい。
【0026】
エアロゾル発生装置はハウジングを備えてもよく、ハウジングは空洞を含む。据え付け要素の材料は、エアロゾル発生装置のハウジングのための材料と同じポリマーを含むことが好ましい。
【0027】
開口部はスリットを備えてもよい。スリットは、クリーニングツールを押し通すことによって開放されるのに特に良好に適している場合がある。スリットは、可撓性膜内に形成された第一のリップおよび第二のリップを備えてもよい。可撓性膜内の第一のリップおよび第二のリップは、クリーニングツールを押し通す時に簡単に押し離されてもよい。
【0028】
第一のリップおよび第二の唇は、相互に当接してもよい。当接する第一のリップおよび第二のリップは、可撓性膜内に切り込みを形成してもよい。こうした切り込みは、エアロゾル発生装置の空気吸込み口を形成しなくてもよい。切り込みは、切り込みにいかなる圧力も印加されていない場合、空洞の上流端を確実に覆ってもよい。切り込みは、クリーニングの前に、エアロゾル発生装置の使用中に空洞の中に形成されたあらゆる破片および堆積を保持してもよい。クリーニングツールを使用し、かつ切り込みに圧力を印加すると、クリーニングツールは切り込みを通して押されてもよく、またあらゆる破片を空洞から確実に除去してもよい。
【0029】
開口部は、エアロゾル発生装置の上流部分から空洞をシールしてもよい。これは、エアロゾル発生装置の空洞の内部に堆積したあらゆる破片が、いかなるクリーニングもなく装置から出ることを防止する場合がある。開口部は、エアロゾル発生装置の上流部分から空洞をシールしてもよい。具体的に、切り込みまたはスリットは、空洞のシールを提供してもよい。
【0030】
別の実施形態において、スリットの第一のリップおよび第二のリップは、相互から離隔してもよい。それ故に、スリットが形成されてもよく、スリットの第一のリップと第二のリップの間に小さい開口部が形成される。こうした開口部は、空気がエアロゾル発生装置の空洞に入るための空気吸込み口を提供してもよい。さらに開口部は、クリーニングツールがスリットを通して押された時に、スリットの簡単な開放を容易にする場合がある。スリットの幅は、0.05~0.3mm、好ましくは0.1~0.2mmであってもよい。これらの幅は、一方で装置の中への空気の幾らかのアクセスを提供する場合があるが、もう一方でクリーニングの前にあらゆる破片がエアロゾル発生装置の空洞から漏れ出るのを防止する場合がある。
【0031】
少なくとも二つの開口部が、可撓性膜内に形成されてもよい。少なくとも二つの開口部は、任意のクリーニングツールが膜を通過するために可撓性膜内で異なる位置を提供してもよい。少なくとも二つの開口部は、交差するスリットを備えてもよい。交差スリットは、十字として形作られてもよく、またはT字形状もしくは任意の他の適切な形状を有してもよい。任意のクリーニング手順中に、クリーニングツールが可撓性膜内の交差スリットを通過するのは特に簡単である場合がある。
【0032】
少なくとも二つの交差スリットは、中央部分を形成してもよく、中央部分において両方の交差スリットは相互に交差している。中央部分は、可撓性膜を通過する任意のクリーニングツールによって、特に簡単に押し通される場合がある。中央部分は開口を備えてもよい。開口は、外側からエアロゾル発生装置の空洞の中に通る空気のための空気吸込み口を提供してもよい。スリットが、相互から離隔している二つの対向する第一のリップおよび第二のリップを備える場合、開口の幅は、スリットの幅よりも大きくてもよい。開口の直径は、0.4mm~1.5mm、好ましくは0.5mm~1mmであってもよい。相互から離隔している対向する第一のリップおよび第二のリップを備えるスリットを有する開口のこの構成は、クリーニングツールによって簡単に押し通されることができる。この構成はまた、外側からエアロゾル発生装置の空洞の中に通る空気のための追加的な開口部も提供してもよい。
【0033】
開口部の中央部分で交差する複数のスリットは、クリーニングツールによって加えられた圧力下で曲がってもよい膜内の複数の可撓性領域を分離してもよい。例えば、中央部分から延びる三つのスリットは、三つの可撓性領域を画定してもよい。同様に、中央部分から延びる四つのスリットは、可撓性膜内の四つの可撓性領域につながってもよく、これはクリーニングツールからの圧力下でブレンドされることができ、クリーニングツールが開口部を通過することを可能にする。
【0034】
可撓性膜は、エラストマー材料を含んでもよい。エラストマー材料は、特に可撓性であり、またクリーニングツールによって印加される任意の力の印加が終わった後に、元の形状およびサイズに戻ることができる。エラストマー材料は、ケイ素、ポリエステルエラストマー、およびポリウレタンエラストマーのうちの一つ以上を含んでもよい。エラストマーは、熱硬化性または熱可塑性エラストマーであってもよく、好ましくは熱可塑性エラストマーであってもよい。
【0035】
エアロゾル発生装置は、発熱体をさらに備えてもよい。発熱体は、エアロゾルを生成するために、空洞の中に受容されたエアロゾル発生物品を加熱するように機能してもよい。発熱体は、誘導発熱体と抵抗発熱体のうちの一方または両方を備えてもよい。誘導発熱体は、空洞の少なくとも一部分の周りに配置された、かつ電源に接続されたインダクタコイルを備えてもよい。電源は、インダクタコイルに交流電流を提供するように構成されてもよく、これによって使用時にインダクタコイルは、渦電流を作り出すことによってサセプタを加熱するために、交番磁場を発生してもよい。サセプタは、エアロゾル発生装置と、エアロゾル発生装置の空洞の中に受容されたエアロゾル発生物品とのうちの一方または両方の一部とすることができる。好ましくは、サセプタは、エアロゾル発生物品の一部またはエアロゾル発生装置の一部であってもよい。
【0036】
エアロゾル発生装置は、空洞の中にエアロゾル発生物品を受容するための開口部を備える下流端を備えてもよい。エアロゾル発生物品の空洞は、細長い形状を有してもよい。これは、空洞が管状またはロッド形状のエアロゾル発生物品を受容することを可能にする。空洞の上流端にある可撓性膜は、細長い平坦な形状を有してもよい。こうした形状を有する可撓性膜は、空洞の上流端を覆うのに特に良好に適している場合がある。こうした膜はまた、可撓性膜によって装置を保持することによって、ユーザーがエアロゾル発生装置を取り扱うことを可能にすることによって、エアロゾル発生装置の取り扱いを簡単にする場合がある。可撓性膜は、粗い表面を有する構成要素を提供してもよく、これは、エアロゾル発生装置がユーザーの手から滑り落ちるリスクなしに、ユーザーが可撓性膜によってエアロゾル発生装置を保持することを可能にする。可撓性膜は、USBポートおよび他の接続ポートなどのエアロゾル発生装置のさらなる構成要素のための追加的な空間を提供してもよい。
【0037】
エアロゾル発生装置は電気回路をさらに備えてもよい。電気回路はマイクロプロセッサを備えてもよく、これはプログラマブルマイクロプロセッサであってもよい。マイクロプロセッサはコントローラの一部であってもよい。電気回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。電気回路は、発熱体への、特に誘導コイルまたは抵抗発熱体への電力の供給を調節するように構成されてもよい。電力はエアロゾル発生装置の起動に続いて発熱体に連続的に供給されてもよく、または断続的(例えば毎回の吸煙ごと)に供給されてもよい。電力は、電流パルスの形態で発熱体に供給されてもよい。電気回路は発熱体の電気抵抗をモニターするように構成されてもよく、また好ましくは発熱体の電気抵抗に応じて、発熱体への電力の供給を制御するように構成されてもよい。
【0038】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置の主本体内に電源(典型的には電池)をさらに備えてもよい。一つの実施形態において、電源はリチウムイオン電池である。別の方法として、電源はニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、またはリチウム系電池(例えば、リチウムコバルト電池、リン酸鉄リチウム電池、チタン酸リチウム電池、またはリチウムポリマー電池)であってもよい。代替として、電源は、コンデンサなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合があり、また一回以上の使用体験のために十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有してもよい。例えば、電源は約6分間、または6分の倍数の時間にわたってエアロゾルを連続的に発生するのに十分な容量を有してもよい。別の実施例において、電源は所定の吸煙回数、または発熱体の不連続的な起動を提供するのに十分な容量を有してもよい。
【0039】
本発明はまた、本明細書に記載の通りのエアロゾル発生装置と、エアロゾル発生装置の空洞をクリーニングするためのクリーニングツールとを備えるキットを提供する。クリーニングツールは、細長い形状を有してもよい。クリーニングツールの細長い形状は、空洞の細長い形状に対応してもよい。これは、クリーニングツールをエアロゾル発生装置の空洞の中に挿入することによって、空洞の簡単なクリーニングを容易にする場合がある。
【0040】
クリーニングツールはクリーニングヘッドを備えてもよい。クリーニングヘッドは、圧力がクリーニングツールに印加されている時に、開口部を開放するように構成されてもよい。クリーニングヘッドは、可撓性膜の開口部を通して押されるように構成されてもよい。クリーニングツールは、金属またはプラスチックのうちの一方または両方を含む中央長軸方向セクションを備えてもよい。金属は、ユーザーがクリーニングツールを可撓性膜の開口部を通して押すことを可能にするために十分に堅くてもよい。クリーニングツールは、剛毛が突出する中央長軸方向スティックを備えてもよい。長軸方向スティックは、金属、プラスチック、または木材のうちの一つ以上を含んでもよい。剛毛は、空洞をクリーニングするために構成されてもよい。空洞は側壁を備えてもよく、また剛毛は、空洞の側壁をクリーニングするために構成されてもよい。クリーニングツールのクリーニングヘッドは、空洞の中に位置するあらゆる残留物を吸収するために構成された吸収材料を含んでもよい。クリーニングヘッドは、吸収材料として綿を含んでもよい。
【0041】
クリーニングヘッドの断面幅は、開口部の幅以下であってもよい。クリーニングヘッドの断面幅は、可撓性膜内に形成されたスリットの長さ以下であってもよい。これは、クリーニングヘッドが開口部またはスリットのいずれかを簡単に通過することを可能にする場合がある。
【0042】
本発明はまた、本明細書に記載の通りのエアロゾル発生装置と、空洞の中に受容されるためのエアロゾル発生物品と、空洞をクリーニングするためのクリーニングツールとを備えてもよいエアロゾル発生システムを提供する。エアロゾル発生物品はエアロゾル形成基体を含んでもよい。
【0043】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる一つ以上の揮発性化合物を放出する能力を有する基体に関する。こうした揮発性化合物はエアロゾル形成基体を加熱することによって放出されてもよい。エアロゾル形成基体は好都合なことに、エアロゾル発生物品または喫煙物品の一部であってもよい。
【0044】
エアロゾル形成基体は固体エアロゾル形成基体であってもよい。エアロゾル形成基体は固体成分と液体成分の両方を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、高密度の安定したエアロゾルの形成を容易にするエアロゾル形成体を含んでもよい。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、これには多価アルコール(例えば、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、プロピレングリコール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(例えば、グリセロールモノ-、ジ-、またはトリアセテートなど)、モノ-、ジ-、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(例えば、ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
エアロゾル形成体は、グリセリンおよびプロピレングリコールのうちの一つ以上を含んでもよい。エアロゾル形成体は、グリセリン、またはプロピレングリコール、またはグリセリンとプロピレングリコールの組み合わせから成ってもよい。適切なエアロゾル形成体の好ましい実施例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0046】
好ましくは、エアロゾル形成体の量は、エアロゾル形成基体の乾燥重量基準で6重量パーセント~20重量パーセントであり、より好ましくはエアロゾル形成体の量は、エアロゾル形成基体の乾燥重量基準で8重量パーセント~18重量パーセントであり、最も好ましくはエアロゾル形成体の量は、エアロゾル形成基体の乾燥重量基準で10重量パーセント~15重量パーセントである。一部の実施形態については、エアロゾル形成体の量は、エアロゾル形成基体の乾燥重量基準で約13重量パーセントの目標値を有する。エアロゾル形成体の最も効率的な量は、エアロゾル形成基体、すなわちエアロゾル形成基体が植物葉身または均質化した植物材料を含むかどうかにも依存する。例えば、他の要因の中でも特に、基体のタイプは、エアロゾル形成体がエアロゾル形成基体からの物品の放出を容易にすることができる程度を決定することになる。
【0047】
これらの理由で、本発明のエアロゾル形成基体は、比較的に低い温度で十分な量のエアロゾルを効率的に発生する能力を有する。加熱チャンバー内の摂氏150度~摂氏200度の温度は、本発明のエアロゾル形成基体が十分な量のエアロゾルを発生するために十分であり、その一方でたばこキャストリーフシートを使用するエアロゾル発生装置において、典型的に摂氏約250度の温度が採用される。
【0048】
エアロゾル形成基体はカットフィラーを含むことが好ましい。この文書において、「カットフィラー」は、細かく切られた植物材料、具体的に葉の葉身、加工された茎およびリブ、均質化した植物材料(例えば、キャスティングプロセスまたは製紙プロセスを使用してシート形態へと作製されたようなもの)のブレンドを指すために使用される。カットフィラーはまた、他の切断後のもの、フィラーたばこ、または外被を含んでもよい。本発明の好ましい実施形態によると、カットフィラーは、少なくとも25パーセントの植物葉の葉身、より好ましくは少なくとも50パーセントの植物葉の葉身、なおより好ましくは少なくとも75パーセントの植物葉の葉身、最も好ましくは少なくとも90パーセントの植物葉の葉身を含む。植物材料は、たばこ、ミント、茶、クローブのうちの一つであることが好ましいが、本発明は、熱の適用に伴い、その後エアロゾルを形成することができる物質を放出する能力を有する他の植物材料に等しく適用可能である。
【0049】
たばこ植物材料は、ブライトたばこ葉身、ダークたばこ、アロマティックたばこ、フィラーたばこのうちの一つ以上の葉身を含むことが好ましい。ブライトたばこは、概して大きい明るい色の葉を有するたばこである。本明細書を通して、「ブライトたばこ」という用語はフルーキュアリングされたたばこに対して使用される。ブライトたばこの例としては、中国産のフルキュアたばこ、フルキュアブラジルたばこ、米国産のフルキュアたばこ(バージニアたばこなど)、インド産のフルキュアたばこ、タンザニア産のフルキュアたばこ、または他のアフリカ産のフルキュアたばこが挙げられる。ブライトたばこは、糖対窒素の比が高いことによって特徴付けられる。感覚的な見方からは、ブライトたばこはキュアリング後に、スパイスが効いていて活気のある感覚を伴うたばこタイプである。本発明によると、ブライトたばこは、還元糖の含有量が葉の乾燥重量基準の約2.5パーセント~約20パーセントであり、かつ総アンモニア含有量が葉の乾燥重量基準の約0.12パーセント未満であるたばこである。還元糖には、例えばグルコースまたはフルクトースが含まれる。総アンモニアには、例えばアンモニアおよびアンモニア塩が含まれる。ダークたばこは、概して大きい暗い色の葉を有するたばこである。本明細書を通して、「ダークたばこ」という用語はエアキュアリングしたたばこに対して使用される。追加的に、ダークたばこは発酵していてもよい。主に噛みたばこ、嗅ぎたばこ、葉巻たばこ、およびパイプブレンド用に使用されるたばこもこの範疇に含まれる。典型的に、これらのダークたばこは、エアキュアリングされ、場合によっては発酵される。感覚的な見方からは、ダークたばこは、キュアリング後、スモーキーでダークシガータイプの感覚を伴うたばこタイプである。ダークたばこは糖対窒素の比が低いことによって特徴付けられる。ダークたばこの例は、バーレーマラウイまたは他のアフリカンバーレー、ダークキュアブラジルガルパオ、サンキュアまたはエアキュアインドネシアカストリ(Kasturi)である。本発明によると、ダークたばこは、還元糖の含有量が葉の乾燥重量基準で約5パーセント未満、かつ総アンモニア含有量が葉の乾燥重量基準で約0.5パーセント以下であるたばこである。アロマティックたばこは、しばしば小さい明るい色の葉を有するたばこである。本明細書を通して、「アロマティックたばこ」という用語は、芳香成分含有量、例えば精油の含有量が高い他のたばこに対して使用される。感覚的な観点からは、アロマティックたばこは、キュアリング後、スパイスが効いていて芳しい感覚を伴うたばこタイプである。アロマティックたばこの例は、グリークオリエント、オリエンタルトルコ、セミオリエントたばこであるが、ファイアキュアード、ペリクなどのUSバーレー、ルスティカ、USバーレー、またはメリーランドもある。フィラーたばこは特定のたばこのタイプではないが、ブレンドで使用されるその他のたばこタイプを補完するために主に使用される、かつ最終製品に特定の特徴的な芳香の方向性をもたらさないたばこタイプを含む。フィラーたばこの例は、他のたばこタイプの茎、中肋、または葉柄である。具体的な例は、フルキュアブラジルの下部葉柄のフルーキュアリングされた茎であってもよい。
【0050】
本発明で使用するのに適したカットフィラーは概して、従来の喫煙物品に使用されるカットフィラーに似ていてもよい。カットフィラーの切断幅は、好ましくは0.3ミリメートル~2.0ミリメートルであり、より好ましくはカットフィラーの切断幅は、0.5ミリメートル~1.2ミリメートルであり、最も好ましくはカットフィラーの切断幅は、0.6ミリメートル~0.9ミリメートルである。切断幅は、物品の基体部分内部の熱の分布において役割を果たす場合がある。また、切断幅は、物品の引き出し抵抗において役割を果たす場合がある。さらに、切断幅は、基体部分の全体的な密度に影響を与える場合がある。
【0051】
ストランドの長さはストランドが切り出される物体の全体的なサイズに依存するため、カットフィラーのストランド長さは、ある程度ランダムな値である。それにもかかわらず、切断前に材料をコンディショニングすることによって、例えば材料の水分含量および全体的な繊細さを制御することによって、より長いストランドを切断することができる。ストランドは、ストランドが基体セクションへと形成される前に、約10ミリメートル~約40ミリメートルの長さを有することが好ましい。当然ながら、セクションの長軸方向の延長部が40ミリメートル未満である長軸方向の延長部で基体セクション内にストランドが配設されている場合、最終的な基体セクションは、当初のストランド長さよりも平均的に短いストランドを含んでもよい。カットフィラーのストランド長さは、約20パーセント~60パーセントのストランドが基体部分の全長に沿って延びるような長さであることが好ましい。これは、ストランドが基体セクションから簡単に外れるのを防止する。
【0052】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含む物品を指す。例えば、エアロゾル発生物品は、ユーザーの口を通ってユーザーの肺の中に直接吸入可能なエアロゾルを発生する喫煙物品であってもよい。エアロゾル発生物品は使い捨てであってもよい。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体を含む基体部分を含んでもよい。基体部分は、20ミリメートル~60ミリメートルの長さ、好ましくは12ミリメートル~16ミリメートルの長さを有してもよい。エアロゾル発生物品の直径は、12ミリメートル~16ミリメートル、好ましくはおおよそ6.5ミリメートル~7.5ミリメートル、より好ましくはおおよそ6.5ミリメートル~7.3ミリメートルであってもよい。
【0053】
エアロゾル発生物品は実質的に円筒状の形状であってもよい。エアロゾル発生物品は実質的に細長くてもよい。エアロゾル発生物品は、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す周囲とを有してもよい。エアロゾル発生物品は実質的にロッド形状であってもよい。エアロゾル形成基体は実質的に円筒状の形状であってもよい。エアロゾル形成基体は実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成基体はまた、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す周囲とを有してもよい。エアロゾル形成基体は実質的にロッド形状であってもよい。
【0054】
エアロゾル形成基体とは別に、エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の下流に位置する支持要素と、支持要素の下流に位置するエアロゾル冷却要素と、エアロゾル形成基体を囲む外側ラッパーとのうちの一つ以上をさらに備えてもよい。支持要素およびエアロゾル冷却要素は、エアロゾル形成基体と一緒の直線的な連続的な配設であってもよい。支持要素は、エアロゾル形成基体に当接してもよい。
【0055】
また、本明細書に記載の通りのエアロゾル発生装置をクリーニングするための方法が提供されている。方法は、
-空洞の下流端を通して空洞の中にクリーニングツールを挿入し、開口部を通してクリーニングツールを押し、空洞からクリーニングツールを取り出すことと、
-可撓性膜の開口部を通して、エアロゾル発生装置の上流端から空洞の中にクリーニングツールを押し、空洞からクリーニングツールを取り出すことと、のうちの一方または両方を含んでもよい。
【0056】
クリーニングツールを可撓性膜の開口部を通して押すことは、空洞からの破片の除去を可能にする場合がある。クリーニングツールを取り扱うこと以外に、ユーザーによるさらなる手動の工程は必要とされない。例えば、方法は、クリーニングツールが通過するのを可能にために、ユーザーがエアロゾル発生装置の上流部でドアを開放することを必要としない。可撓性膜内に提供された開口部に起因して、あらゆる破片はそれにもかかわらず、クリーニングツールによる圧力の印加に伴い開口部が広げられている時に、空洞から簡単に除去されることができる。
【0057】
クリーニングツールを空洞から取り出すことは、可撓性膜の開口部を通して、クリーニングツールを空洞の外に引き戻すことを含んでもよい。その後、膜の可撓性に起因して、開口部は元の形状およびサイズに戻ってもよい。クリーニング後、エアロゾル発生装置を再使用してもよい。装置を再使用する時、可撓性膜は、エアロゾル発生装置内の空洞の中に堆積されたあらゆる破片を確実に保持してもよい。
【0058】
エアロゾル発生装置は、装置の上流端に位置する下端面を備えてもよい。可撓性膜は、エアロゾル発生装置のための上流底部カバーを提供してもよい。上流底部カバーは、下端面の少なくとも一部を覆ってもよい。可撓性膜は、空洞の断面積に(例えば、形状およびサイズにおいて)対応する領域に及んでもよい。可撓性膜は、開口部を備える領域を覆ってもよい。可撓性膜は、開口部および開口部を包囲する領域を備えてもよい。可撓性膜は、開口部よりも大きい領域に及んでもよい。可撓性膜は、装置の下端面全体に及んでもよい。可撓性膜は、エアロゾル発生装置の下端面の少なくともおおよそ25パーセント、少なくともおおよそ50パーセント、少なくともおおよそ75%、少なくともおおよそ80パーセントに及んでもよい。
【0059】
本発明はまた、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を受容するための空洞を備えてもよいエアロゾル発生装置を提供する。空洞は中央長軸方向軸を有してもよい。可撓性膜は空洞の上流端に配設されてもよい。可撓性膜は切り込みを備えてもよい。この切り込みは、空洞の中央長軸方向軸上に少なくとも部分的に配設されてもよい。
【0060】
本発明は、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を受容するための空洞を備えるエアロゾル発生装置をさらに提供する。空洞は中央長軸方向軸を有する。可撓性膜は空洞の上流端に配設されている。可撓性膜は切り込みを備える。切り込みは、空洞の中央長軸方向軸上に少なくとも部分的に配設されている。
【0061】
切り込みは、クリーニングツールを膜を通して押す時に、可撓性膜に対する圧力の印加に伴い開放されてもよい。切り込みは、空洞の中央長軸方向軸上に少なくとも部分的に配設されてもよいため、クリーニングツールは特に簡単に空洞の中に挿入されて、切り込みを通して押されることができる。
【0062】
開口部を通してクリーニングツールを引き戻した後に、膜の可撓性に起因して、切り込みはその元の形状およびサイズに戻ってもよい。
【0063】
切り込みは、線入りの形状を有してもよい。これは、クリーニングツールが切り込みを通して簡単に押されることを可能にする場合がある。切り込みはスリットを備えてもよい。スリットは、可撓性膜内に形成された第一のリップおよび第二のリップを備えてもよい。第一のリップおよび第二のリップは、相互に当接してもよく、または相互から離隔してもよい。
【0064】
切り込みは、相互に当接する第一のリップと第二のリップを備える場合、空気吸込み口として機能しない場合がある。この場合、空気が外側から空洞に入ることを可能にする別個の空気吸込み口が、エアロゾル発生装置の中に存在してもよい。
【0065】
第一のリップおよび第二のリップは、相互から離隔していてもよく、また本明細書に既に記載の通りのスリットを形成してもよい。二つ以上のスリットがあってもよく、これらは本明細書に記載の通り、交差してもよい。
【0066】
一つの実施形態に関して説明される特徴は、本発明の他の実施形態にも等しく適用されてもよい。
【0067】
例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図1A-1B】図1Aおよび図1Bは、クリーニング手順の前およびクリーニング手順中の、可撓性膜を有する本発明の一つの実施形態によるエアロゾル発生装置の断面図を示す。
図2A-2B】図2Aおよび図2Bは、クリーニング手順の前およびクリーニング手順中の、可撓性膜を有する本発明の別のエアロゾル発生装置の断面図を示す。
図3図3は、可撓性膜を有するエアロゾル発生装置の上流端を示す、エアロゾル発生装置の斜視図を示す。
図4図4は、開口部の一つの実施形態として、スリットを含む可撓性膜の概略図を描写する。
図5A-5B】図5Aおよび図5Bは、可撓性膜内に形成された異なるスリットを描写する。
図6A-6B】図6Aおよび図6Bは、可撓性膜内に形成された異なる切り込みを描写する。
【発明を実施するための形態】
【0069】
以下において、同じ要素は、すべての図を通して、同じ参照符号で記されている。
【0070】
図1Aは、エアロゾル発生装置10の断面図を示す。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品を受容するための空洞16を備える。空洞16は、抵抗発熱体または誘導発熱体とすることができる発熱体18によって包囲されている。装置10は下流端10Aを備え、これを通してエアロゾル発生物品を空洞16の中に受容することができる。エアロゾル発生装置10の上流端10Bにて、開口部14を含む可撓性膜12が存在する。可撓性膜12は、エアロゾル発生装置10の空洞の内部に向かって膨らむ凹状部を備える。これは、空洞16の中に堆積したあらゆる破片24が、凹状部の周辺に蓄積し、開口部14にて、または開口部14の周囲に蓄積しないことにつながる(図1Aの矢印を参照のこと)。これは、開口部14がエアロゾル発生装置10の空洞16のための空気吸込み口としても機能する場合、有利である。この場合、膜の凹状部は、あらゆる破片が開口部を遮断することを防止することができる。
【0071】
図1Bは、図1Aのエアロゾル発生装置10の断面図を示し、クリーニングツール20は、下流端10Aから装置の空洞16の中に挿入されている(空洞の中へのクリーニングツールの挿入方向を示す矢印22Aを参照のこと)。クリーニングツール20はまた、矢印22Aによって示された方向と反対の方向で装置の上流端10Bから空洞16の中にクリーニングヘッドを開口部14を通して押すことによって、空洞の中に挿入されることができる。クリーニングツール20のクリーニングヘッド20Aは、開口部14を通して押され、また可撓性膜12は、開口部を通したクリーニングツールの通過を可能にするために開放している。空洞16の中に堆積した破片24は、それによって空洞から除去される。可撓性膜12の開口部14を通してクリーニングツール20を引き抜いた後に、開口部および可撓性膜は、図1Aに示す通り、その元の形状および寸法に戻る。その後、クリーニングされたエアロゾル発生装置10は、エアロゾルを吸入するためにユーザーによって再使用されることができる。
【0072】
図2Aおよび図2Bは、図1Aおよび図1Bに示す装置に類似する、エアロゾル発生装置10を描写する。差異は、図2Aの装置において可撓性膜12が凸状部を備えることである。凸状部は、空洞の内部から外向きに膨らみ、開口部14は、空洞の内部から最も遠く外向きに膨らむ凸状部に位置する。これは、開口部14上またはその近くに蓄積する、空洞の中に堆積した破片24をもたらす。これは、開口部14が空気吸込み口として機能する必要がないように、エアロゾル発生装置10の中に他の空気吸込み口が存在する場合、特に有利である。破片24は、開口部14の近くに蓄積する場合、クリーニングツールを開口部の中に挿入することによって簡単に除去されることができる。図2Bに示す通り、クリーニングツール20は、装置の上流端から可撓性膜12内の開口部14を通して(矢印22Bによって示した空洞16の中へのクリーニングツール20の挿入の方向)クリーニングヘッド20Aを押すことによって、空洞の中央長軸方向軸16Aに沿って空洞の中に挿入されることができる。このクリーニング手順はまた、空洞16の中に堆積したあらゆる破片24をエアロゾル発生装置10の外に除去する機能を果たす場合がある。次いで、クリーニングツール20は、エアロゾル発生装置10の上流端から開口部14を通してクリーニングツールを引くことによって、空洞16の外に引き抜かれることができる。
【0073】
図1Bおよび図2Bに描写したクリーニング手順は、ユーザーがクリーニングツール20を取り扱うことのみを必要とするが、追加的な取り扱い工程(空洞の上流部のドアの開放など)を必要としない。可撓性膜の存在に起因して、装置の底部の開放を容易にするために、ばねまたは他の付勢機構を伴う複雑な機械的機構が存在する必要はない。さらに、開口部14を有する可撓性膜12は、空洞の中に形成されたあらゆる破片がクリーニングの前に空洞から出ないことを確実にすることができる。これはまた、エアロゾル発生装置の取り扱いを容易にし、またクリーニング手順の不在下での破片の望ましくない漏出を回避する。
【0074】
図3は、エアロゾル発生装置10の斜視図を描写する。装置の上流端をはっきりと見ることができる。これは、可撓性膜12と、二つの交差スリットを備える開口部14とを含む。追加的に、エアロゾル発生装置10内に存在する電源を再充電するために使用することができるUSBポート13が存在する。22Bまたは22Aで描写された二つの矢印は、装置の空洞(図示せず)の中へのクリーニングツールの挿入の可能な方向を示す。22Bで示された矢印は、装置の上流端から開口部14を通して空洞の中に至るクリーニングツールの挿入を示す。22Aで示された矢印は、空洞から開口部14を通した反対方向でのクリーニングツールの挿入を示す。クリーニングツールの挿入の可能な方向は、中央長軸方向空洞軸16Aに沿う。この中央長軸方向空洞軸16Aは、中央長軸方向装置軸10Cからずれている。これは、空洞を通る気流経路を、エアロゾル発生装置のその他の内部構成要素(回路または電源など)から離隔して方向付けることを可能にする。
【0075】
図4は、スリット14を備える可撓性膜12の一実施形態の上面図を描写する。スリット14は、第一のリップ14Aと、対向する第二のリップ14Bとを備え、これらは相互から離隔している。両方の離隔したリップは、参照符号14Dで示された、幅L2を有する小さい開口部を有するスリットを形成する。中央部分で交差し、かつ中央部分に開口14Cを形成する二つのスリット14が存在する。開口は、参照符号14Eで示された幅D1を有し、D1は幅L2よりも大きい。それ故に、十字形状のスリットが形成されている。これらのスリット、特に開口14Cは、エアロゾル発生装置用の空気吸込み口として機能してもよい。これらのスリットはまた、それを通してクリーニングツールを押すことによって開放することが簡単であってもよい。具体的に、可撓性膜12の四つの異なる可撓性セクション12A、12B、12C、12Dが形成されていて、これらはクリーニングツールを使用して圧力を印加する時に、簡単に曲げられることができる。
【0076】
図5Aおよび図5Cは、二つの可撓性膜12の上面図を示し、これらは両方とも異なるスリット14を備える。図5Aは、交差する、かつ十字を形成する二つのスリット14を示す。スリット14は、二つの対向する第一のリップ14Aおよび第二のリップ14Bを備え、これらは相互から離隔していて、それによって小さい開口部を形成する。図5Bは、三つの別個の可撓性セクション12A、12B、12Cが可撓性膜12内に形成されているように、三芒星を形成する、膜16内のスリット14を示す。これらの三つの可撓性セクションは、クリーニングツールが可撓性膜を通過する時に、簡単に押しのけられることができる。
【0077】
図6Aおよび図6Bは、切り込み14Fを含む可撓性膜12を描写する。これらの切り込み14Fは、第一のリップ14Aと第二のリップ14Bを備え、これらは相互に直接当接し、従って膜12内に狭いスリット様の開口部を形成しない。従って、これらの切り込みは、エアロゾル発生装置の引き出し抵抗を増加させ、また空気吸込み口として機能しない。この場合、装置の空洞の中に空気が入ることを可能にする追加的な空気吸込み口がエアロゾル発生装置の中に通常存在する。それにもかかわらず、これらの切り込み14Fは、クリーニングツールが可撓性膜12を通して押されることを可能にし、それによってエアロゾル発生装置の空洞の簡単なクリーニングを可能にする。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B