IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士機械製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-部品実装機及び電子部品の撮像方法 図1
  • 特許-部品実装機及び電子部品の撮像方法 図2
  • 特許-部品実装機及び電子部品の撮像方法 図3
  • 特許-部品実装機及び電子部品の撮像方法 図4
  • 特許-部品実装機及び電子部品の撮像方法 図5
  • 特許-部品実装機及び電子部品の撮像方法 図6
  • 特許-部品実装機及び電子部品の撮像方法 図7
  • 特許-部品実装機及び電子部品の撮像方法 図8
  • 特許-部品実装機及び電子部品の撮像方法 図9
  • 特許-部品実装機及び電子部品の撮像方法 図10
  • 特許-部品実装機及び電子部品の撮像方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】部品実装機及び電子部品の撮像方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20241113BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
H05K13/08 Q
H05K13/04 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023527181
(86)(22)【出願日】2021-06-07
(86)【国際出願番号】 JP2021021641
(87)【国際公開番号】W WO2022259338
(87)【国際公開日】2022-12-15
【審査請求日】2024-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 晶太
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-13097(JP,A)
【文献】特開2010-21248(JP,A)
【文献】特開2014-99556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を基板に実装する部品実装機であって、
前記基板を前記部品実装機内の作業位置に搬送する基板搬送装置と、
前記電子部品を供給する部品供給装置と、
前記部品供給装置から供給される前記電子部品を吸着するノズルと、
前記ノズルを前記部品供給装置と前記作業位置との間で移動可能とすると共に、前記ノズルをその軸回りに回転可能とする部品移動装置と、
前記部品供給装置と前記基板搬送装置の間に配置され、前記ノズルに吸着された前記電子部品を下方から撮像する撮像装置と、
前記ノズルに吸着された前記電子部品が、前記撮像装置の撮像範囲内全体と、前記作業位置に搬送された前記基板の上方との両方に跨って配置可能な大きさである場合に、当該電子部品を前記撮像装置で撮像するときは、当該電子部品が前記基板の上方に位置しない位置で前記ノズルを回転させるように前記部品移動装置を制御すると共に、前記ノズルを軸回りに回転させる前後のそれぞれで当該電子部品を下方から撮像するように前記撮像装置を制御する制御装置と、を備える、部品実装機。
【請求項2】
前記ノズルに吸着された前記電子部品が、前記撮像装置の撮像範囲内全体と、前記作業位置に搬送された前記基板の上方との両方に跨って配置可能な大きさである場合は、前記撮像装置は、前記電子部品の撮像対象領域を分割して得られる複数の撮像領域のそれぞれを撮像し、
前記制御装置は、
前記電子部品が前記基板の上方に位置しない位置で前記ノズルを前記基板の表面と平行な平面内で平行移動させる平行移動処理と、
前記電子部品が前記基板の上方に位置しない位置で前記ノズルを軸回りに回転させる回転処理と、を実行するように前記部品移動装置を制御し、
前記制御装置は、前記平行移動処理と前記回転処理とを組みわせて前記複数の撮像領域全てを前記撮像装置に撮像させる、請求項1に記載の部品実装機。
【請求項3】
電子部品を基板に実装する部品実装機であって、
前記基板を前記部品実装機内の作業位置に搬送する基板搬送装置と、
前記電子部品を供給する部品供給装置と、
前記部品供給装置から供給される前記電子部品を吸着するノズルと、
前記ノズルを前記部品供給装置と前記作業位置との間で移動可能とすると共に、前記ノズルをその軸回りに回転可能とする部品移動装置と、
前記部品供給装置と前記基板搬送装置の間に配置され、前記ノズルに吸着された前記電子部品を下方から撮像する撮像装置と、
前記ノズルに吸着された前記電子部品が前記撮像装置の撮像範囲内全体に配置されるように前記ノズルを前記基板の表面と平行な平面内で平行移動させたときに、前記ノズルに吸着された前記電子部品が前記作業位置に搬送された前記基板上に先に実装されている電子部品に干渉する場合に、前記ノズルに吸着された前記電子部品を前記撮像装置で撮像するときは、前記ノズルに吸着された前記電子部品が前記先に実装されている電子部品に干渉しない位置で前記ノズルを回転させるように前記部品移動装置を制御すると共に、前記ノズルを軸回りに回転させる前後のそれぞれで前記ノズルに吸着された前記電子部品を下方から撮像するように前記撮像装置を制御する制御装置と、を備える、部品実装機。
【請求項4】
電子部品供給位置から供給される電子部品を作業位置に配置された基板に実装する際に、前記電子部品供給位置と前記基板との間に設けられた撮像範囲において、当該撮像範囲に配置された前記電子部品を下方から撮像する方法であって、
前記電子部品が、前記撮像範囲内全体と、前記基板の上方との両方に跨って配置可能な大きさであるか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程において、前記電子部品が、前記撮像範囲内全体と、前記基板の上方との両方に跨って配置可能な大きさであると判定されたときに、当該電子部品を下方から撮像する撮像工程であって、当該電子部品が前記基板の上方に位置しない位置で当該電子部品を回転させると共に、回転の前後のそれぞれで当該電子部品を下方から撮像する、撮像工程と、を備える、撮像方法。
【請求項5】
前記判定工程において、前記電子部品が、前記撮像範囲内全体と、前記作業位置に配置された前記基板の上方との両方に跨って配置可能な大きさであると判定されたときに、前記電子部品の撮像対象領域を複数の撮像領域に分割する分割工程をさらに備え、
前記撮像工程は、
前記電子部品が前記基板の上方に位置しない位置で当該電子部品を前記基板の表面と平行な平面内で平行移動させる平行移動工程と、
前記電子部品が前記基板の上方に位置しない位置で当該電子部品を前記基板の表面と平行な平面内で回転させる回転工程と、を備え、
前記撮像工程では、前記平行移動工程と前記回転工程とを組みわせて前記複数の撮像領域全てを撮像する、請求項4に記載の撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、電子部品を基板に実装する部品実装機及び電子部品の撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に電子部品を実装する部品実装機では、ノズルによって電子部品を吸着し、電子部品を基板上の所定の位置まで移動させ、電子部品を基板上に実装することがある。このような部品実装機は、ノズルに吸着された電子部品の欠損や欠陥を確認したり、電子部品がノズルに吸着されたときの姿勢のずれを確認したりするために、ノズルに吸着された電子部品を下方から撮像する撮像装置を備えている。電子部品が大きいと、撮像装置の撮像範囲内に電子部品の撮像対象領域の全体が収まらないことがある。このような場合には、電子部品を撮像装置に対して移動させながら複数回の撮影を行い、電子部品の撮像対象領域の全体を撮像している。例えば、特開平10-267619号公報には、電子部品が大きい場合に、電子部品を回転させて電子部品の所望の範囲全体を撮像する部品実装機が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特開平10-267619号公報の部品実装機では、電子部品が大きい場合には、電子部品を回転させて電子部品を下方から撮像している。しかしながら、電子部品の大きさや形状によっては、電子部品の撮像時に、電子部品の一部が基板の上方に位置することがある。電子部品の撮像時に電子部品が基板の上方に位置すると、その電子部品が基板上に先に実装されている電子部品に干渉する虞がある。
【0004】
本明細書は、大きい電子部品を下方から撮像する際に、その電子部品と先に基板上に実装されている他の電子部品とが干渉することを回避する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示する部品実装機は、電子部品を基板に実装する。部品実装機は、基板を部品実装機内の作業位置に搬送する基板搬送装置と、電子部品を供給する部品供給装置と、部品供給装置から供給される電子部品を吸着するノズルと、ノズルを部品供給装置と作業位置との間で移動可能とすると共に、ノズルをその軸回りに回転可能とする部品移動装置と、部品供給装置と基板搬送装置の間に配置され、ノズルに吸着された電子部品を下方から撮像する撮像装置と、ノズルに吸着された電子部品が、撮像装置の撮像範囲内全体と、作業位置に搬送された基板の上方との両方に跨って配置可能な大きさである場合に、当該電子部品を撮像装置で撮像するときは、当該電子部品が基板の上方に位置しない位置でノズルを回転させるように部品移動装置を制御すると共に、ノズルを軸回りに回転させる前後のそれぞれで当該電子部品を下方から撮像するように撮像装置を制御する制御装置と、を備える。
【0006】
また、本明細書に開示する部品実装機は、電子部品を基板に実装する。部品実装機は、基板を部品実装機内の作業位置に搬送する基板搬送装置と、電子部品を供給する部品供給装置と、部品供給装置から供給される電子部品を吸着するノズルと、ノズルを部品供給装置と作業位置との間で移動可能とすると共に、ノズルをその軸回りに回転可能とする部品移動装置と、部品供給装置と基板搬送装置の間に配置され、ノズルに吸着された電子部品を下方から撮像する撮像装置と、ノズルに吸着された電子部品が撮像装置の撮像範囲内全体に配置されるようにノズルを基板の表面と平行な平面内で平行移動させたときに、ノズルに吸着された電子部品が作業位置に搬送された基板上に先に実装されている電子部品に干渉する場合に、ノズルに吸着された電子部品を撮像装置で撮像するときは、ノズルに吸着された電子部品が先に実装されている電子部品に干渉しない位置でノズルを回転させるように部品移動装置を制御すると共に、ノズルを軸回りに回転させる前後のそれぞれでノズルに吸着された電子部品を下方から撮像するように撮像装置を制御する制御装置と、を備える。
【0007】
上記の部品実装機では、電子部品を下方から撮像する際に、電子部品の大きさに応じて電子部品を回転させる位置を決定している。これにより、大きい電子部品を下方から撮像する際に、その電子部品と先に基板上に実装されている他の電子部品とが干渉することを回避することができる。
【0008】
また、本明細書に開示する撮像方法は、電子部品供給位置から供給される電子部品を作業位置に配置された基板に実装する際に、電子部品供給位置と基板との間に設けられた撮像範囲において、当該撮像範囲に配置された電子部品を下方から撮像する方法である。撮像方法は、電子部品が撮像範囲内全体と基板の上方との両方に跨って配置可能な大きさであるか否かを判定する判定工程と、判定工程において、電子部品が撮像範囲内全体と基板の上方との両方に跨って配置可能な大きさであると判定されたときに、当該電子部品を下方から撮像する撮像工程であって、当該電子部品が基板の上方に位置しない位置で当該電子部品を回転させると共に、回転の前後のそれぞれで当該電子部品を下方から撮像する、撮像工程と、を備える。
【0009】
上記の撮像方法でも、電子部品を下方から撮像する際に、電子部品の大きさに応じて電子部品を回転させる位置を決定していため、先に基板上に実装されている他の電子部品と干渉することを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例に係る部品実装機の概略構成を示す図。
図2図1のII-II線における断面図。
図3】実施例に係る部品実装機の制御系を示すブロック図。
図4】撮像装置を用いてノズルに吸着された電子部品の下面を撮像する処理の一例を示すフローチャート。
図5】撮像装置の撮像範囲内全体と回路基板の上方との両方に跨って配置可能な大きさの電子部品を撮像する際の電子部品と回路基板との位置関係を示す図であり、(a)は電子部品が回路基板の上方に位置しない状態を示し、(b)は電子部品が回路基板の上方に位置する状態を示す。
図6】撮像装置の撮像範囲内全体と回路基板の上方とに跨る大きさの電子部品を撮像する処理の一例を示すフローチャート。
図7図6の撮像処理の一例を説明するための図であり、撮像領域1が撮像範囲内に位置する状態を示す。
図8図6の撮像処理の一例を説明するための図であり、撮像領域9が撮像範囲内に位置する状態を示す。
図9図6の撮像処理の一例を説明するための図であり、図8の状態から電子部品を90度回転させた状態を示す。
図10図6の撮像処理の一例を説明するための図であり、撮像領域14が撮像範囲内に位置する状態を示す。
図11図6の撮像処理の一例を説明するための図であり、図10の状態から電子部品を90度回転させた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。
【0012】
本明細書に開示する部品実装機では、制御装置は、電子部品が大きい場合(具体的には、電子部品を撮像装置で撮像するために撮像装置の上方に移動させたときに、電子部品が基板の上方にも位置される大きさである場合)に、電子部品が基板の上方に位置しないようにノズルを回転させ、ノズルの回転の前後のそれぞれで電子部品を撮像する。これにより、撮像装置で電子部品を撮像する際に、電子部品が基板の上方に位置することが回避される。このため、電子部品の撮像時に、その撮像される電子部品が基板上に先に実装された電子部品に干渉することを回避することができる。
【0013】
本明細書に開示する部品実装機では、ノズルに吸着された電子部品が、撮像装置の撮像範囲内全体と、作業位置に搬送された基板の上方との両方に跨って配置可能な大きさである場合は、撮像装置は、電子部品の撮像対象領域を分割して得られる複数の撮像領域のそれぞれを撮像してもよい。制御装置は、電子部品が基板の上方に位置しない位置でノズルを基板の表面と平行な平面内で平行移動させる平行移動処理と、電子部品が基板の上方に位置しない位置でノズルを軸回りに回転させる回転処理と、を実行するように部品移動装置を制御してもよい。制御装置は、平行移動処理と回転処理とを組みわせて複数の撮像領域全てを撮像装置に撮像させてもよい。このような構成によると、電子部品が大きい場合に、電子部品全体を好適に撮像することができる。
【0014】
また、本明細書に開示する撮像方法は、判定工程において、電子部品が、撮像範囲内全体と、作業位置に配置された基板の上方との両方に跨って配置可能な大きさであると判定されたときに、電子部品の撮像対象領域を複数の撮像領域に分割する分割工程をさらに備えていてもよい。撮像工程は、電子部品が基板の上方に位置しない位置で当該電子部品を基板の表面と平行な平面内で平行移動させる平行移動工程と、電子部品が基板の上方に位置しない位置で当該電子部品を基板の表面と平行な平面内で回転させる回転工程と、を備えていてもよい。撮像工程では、平行移動工程と回転工程とを組みわせて複数の撮像領域全てを撮像してもよい。このような構成においても、電子部品が大きい場合に、電子部品全体を好適に撮像することができる。
【実施例
【0015】
図面を参照して、実施例に係る部品実装機10について説明する。部品実装機10は、回路基板2に電子部品4を実装する装置である。部品実装機10は、電子部品装着装置やチップマウンタとも称される。通常、部品実装機10は、はんだ印刷機及び基板検査機といった他の基板作業機と共に併設され、一連の実装ラインを構成する。
【0016】
図1及び図2に示すように、部品実装機10は、複数の部品フィーダ12と、フィーダ保持部14と、装着ヘッド16と、ヘッド移動装置18と、基板コンベア20と、撮像装置30と、制御装置26と、タッチパネル24を備える。部品実装機10の外部には、部品実装機10と通信可能に構成された管理装置8が配置されている。
【0017】
各々の部品フィーダ12は、複数の電子部品4を収容している。部品フィーダ12は、フィーダ保持部14に着脱可能に取り付けられ、装着ヘッド16へ電子部品4を供給する。部品フィーダ12の具体的な構成は特に限定されない。各々の部品フィーダ12は、例えば、テープ上に収容された複数の電子部品4を供給するテープ式フィーダ、トレイ上に収容された複数の電子部品4を供給するトレイ式フィーダ、又は、容器内にランダムに収容された複数の電子部品4を供給するバルク式フィーダのいずれであってもよい。
【0018】
フィーダ保持部14は、複数のスロットを備えており、複数のスロットのそれぞれには部品フィーダ12を着脱可能に設置することができる。フィーダ保持部14は、部品実装機10に固定されたものであってもよいし、部品実装機10に対して着脱可能なものであってもよい。
【0019】
装着ヘッド16は、電子部品4を吸着するノズル6を有する。ノズル6は、装着ヘッド16に着脱可能に取り付けられている。装着ヘッド16は、ノズル6をZ方向(ここでは鉛直方向)に移動可能であり、部品フィーダ12や回路基板2に対して、ノズル6を接近及び離間させる。また、装着ヘッド16は、ノズル6をその軸線(Z方向に伸びる軸線)の周りに回転可能である。装着ヘッド16は、部品フィーダ12から電子部品4をノズル6によって吸着すると共に、ノズル6に吸着された電子部品4を回路基板2上に装着することができる。また、装着ヘッド16がノズル6をその軸線の回りに回転させることにより、電子部品4は、ノズル6の軸線と直交する平面(XY平面)で回転する。なお、装着ヘッド16は、単一のノズル6を有するものに限られず、複数のノズル6を有するものであってもよい。
【0020】
ヘッド移動装置18は、部品フィーダ12と回路基板2との間で装着ヘッド16を移動させる。一例ではあるが、本実施例のヘッド移動装置18は、移動ベース18aをX方向及びY方向に移動させるXYロボットであり、移動ベース18aに対して装着ヘッド16が固定されている。ヘッド移動装置18は、ノズル6を回路基板2の表面と平行な平面(XY平面)で平行移動可能である。なお、装着ヘッド16は、移動ベース18aに固定されるものに限られず、移動ベース18aに着脱可能に取り付けられるものであってもよい。
【0021】
基板コンベア20は、回路基板2の搬入、位置決め及び搬出を行う装置である。一例ではあるが、本実施例の基板コンベア20は、一対のベルトコンベアと、回路基板2を下方から支持する支持装置(図示省略)とを有する。
【0022】
撮像装置30は、部品フィーダ12と基板コンベア20(詳細には、一対の基板コンベア20のうち部品フィーダ12側に設置される基板コンベア20)との間に配置されている。撮像装置30は、カメラと光源を備えている。カメラは、その撮像方向が上方に向かうように配置されており、電子部品4を吸着した状態のノズル6を下方から撮像する。すなわち、カメラは、ノズル6が電子部品4を吸着したとき、ノズル6に吸着された電子部品4の下面を撮影する。カメラには、例えばCCDカメラが用いられる。光源は、LEDにより構成されており、ノズル6に吸着された電子部品4の下面(撮像面)を照明する。撮像装置30によって撮像された画像の画像データは、制御装置26のメモリ(図示省略)に記憶される。
【0023】
制御装置26は、CPU及び記憶装置を備えるコンピュータを用いて構成されている。制御装置26は、管理装置8から送信される生産プログラムに基づいて、部品実装機10の各部の動作を制御する。図3に示すように、制御装置26は、ヘッド移動装置18、基板コンベア20、タッチパネル24及び撮像装置30と接続しており、ヘッド移動装置18、基板コンベア20、タッチパネル24及び撮像装置30の各部を制御している。タッチパネル24は、作業者に部品実装機10の各種の情報を提供する表示装置であると共に、作業者からの指示や情報を受け付ける入力装置である。
【0024】
次に、撮像装置30を用いてノズル6に吸着された電子部品4の下面を撮像する処理について説明する。電子部品4を回路基板2上に実装する際には、部品フィーダ12から供給される電子部品4をノズル6で吸着した状態で、電子部品4の下面が撮像装置30によって撮像される。そして、撮像画像により、電子部品4に欠損や欠陥がないことや、ノズル6に吸着した電子部品4の姿勢がずれていないことが確認される。撮像画像から電子部品4に問題ないことが確認されると、その電子部品4は回路基板2上に実装される。電子部品4の下面の撮像対象領域が、撮像装置30の撮像範囲より大きい場合には、撮像対象領域を複数の撮像領域に分割して撮像する。各撮像領域を撮像する際には、撮像装置30の焦点が撮像領域に合うように電子部品4の高さ方向の位置を調整すると共に、その撮像領域が撮像装置30の撮像範囲内に入るように電子部品4を移動させる。このとき、電子部品4の一部が回路基板2の上方に位置すると、回路基板2上に先に実装されている電子部品4に干渉することがある。以下では、撮像される電子部品4が回路基板2上に先に実装されている他の電子部品4に干渉しないように電子部品4を撮像する処理について説明する。本実施例では、電子部品4の下面全体を撮像する場合を例に説明する。なお、撮像装置30で撮像する範囲(撮像対象領域)は、電子部品4の下面のうちの所望の一部の範囲であってもよい。
【0025】
図4に示すように、まず、制御装置26は、回路基板2に実装する電子部品4に関するデータを取得する(S12)。電子部品4に関するデータは、制御装置26のメモリ(図示省略)に記憶されている。電子部品4に関するデータには、電子部品4の形状や大きさに関する情報が含まれている。制御装置26は、メモリから電子部品4に関するデータを取得する。
【0026】
次いで、制御装置26は、ステップS12で取得した電子部品4に関するデータに基づいて、電子部品4を撮像装置30で撮像する際に、電子部品4が回路基板2上に掛かる大きさであるか否かを判断する(S14)。電子部品4を撮像装置30で撮像する際には、電子部品4は、撮像装置30の上方の所定の高さにおいて撮像される。この所定の高さとは、撮像装置30の焦点(ピント)の合う高さである。なお、本実施例では、撮像装置30の被写界深度が浅いため、撮像装置30から電子部品4までの距離(すなわち、電子部品4の所定の高さ)が一定となるように設定されている。電子部品4の撮像対象領域(本実施例では、下面全体)が撮像装置30の撮像範囲より大きい場合、撮像対象領域は、複数の撮像領域に分割される。そして、電子部品4を所定の高さで移動して、複数の撮像領域全てが撮像される。
【0027】
電子部品4が大きいと、電子部品4の撮像対象領域が撮像装置30の撮像範囲に入るように電子部品4を所定の高さで移動させたときに、電子部品4の一部が回路基板2の上方に位置することがある。すなわち、電子部品4が大きいと、電子部品4の撮像対象領域が撮像装置30の撮像範囲に入るように電子部品4を所定の高さで移動させたときに、図5(a)で示すように、電子部品4が回路基板2の上方に位置しないように位置するだけでなく、図5(b)で示すように、電子部品4の一部が回路基板2の上方に位置することがある。制御装置26は、電子部品4を所定の高さで移動させたときに、撮像装置30の撮像範囲と回路基板2の両方に跨って位置することがあるか否か(電子部品4が、図5(b)で示すような位置に配置可能な大きさかどうか)を判断する。例えば、電子部品4のY方向の寸法が設定値を超えるか否かを判断する(図5(b))。
【0028】
電子部品4が撮像装置30の撮像範囲と回路基板2の両方に跨る大きさである場合(ステップS14でYES)、制御装置26は、電子部品4が回路基板2に掛からない位置でノズル6を軸方向に回転させて、撮像対象領域全体を撮像する(S16)。例えば、図5(a)で示す位置で電子部品4が回転するようにノズル6を回転させることによって、図5(b)で示す位置に電子部品4が配置されることないように撮像対象領域全体を撮像する。
【0029】
図6を参照してさらに具体的に説明する。図6に示すように、ステップS16の撮像対象領域を撮像する処理では、まず、制御装置26は、電子部品4の撮像対象領域を分割する(S22)。すると、複数の撮像領域が生成される。後述するように本実施例では、複数の撮像領域を撮像した複数の画像を合成して1枚の画像を生成する。このため、各撮像領域は、撮像装置30の撮像範囲より小さくなるように設定されている。
【0030】
次いで、制御装置26は、複数の撮像領域を全て撮像するように、複数の撮像領域の撮像順と移動経路を設定する(S24)。移動経路を設定する際には、回路基板2の表面と平行な平面(XY平面)内でノズル6(すなわち、ノズル6に吸着された電子部品4)を移動させる平行移動と、ノズル6(すなわち、ノズル6に吸着された電子部品4)をノズル6の軸周りに回転させる回転とを組み合わせる。このとき、平行移動と回転のいずれも、電子部品4が回路基板2の上方に位置しない位置で実行されるように設定される。
【0031】
その後、制御装置26は、ステップS24で設定された移動経路で電子部品4を移動させながら、ステップS24で設定された撮像順で複数の撮像領域を撮像する(S28)。
【0032】
図7図11を参照して、ステップS16の撮像対象領域を撮像する処理(図6の処理)の一例について説明する。ステップS14(図4参照)において、制御装置26が、電子部品4が撮像装置30の撮像範囲と回路基板2の両方に跨る大きさであると判定すると(ステップS14でYES)、ステップS22(図6参照)において、制御装置26は、電子部品4の撮像対象領域を分割する。制御装置26は、分割された1つの撮像領域全体が、撮像装置30の撮像範囲A内に収まるように、電子部品4の撮像対象領域を分割する。本実施例では、電子部品4の下面全体を撮像する。図7に示す例では、制御装置26は、電子部品4の下面全体を16個の撮像領域に分割している。撮像装置30の撮像範囲A内には、分割された撮像領域全体と、その周囲の領域の一部が含まれる。例えば、図7では、撮像範囲Aの中心と撮像領域1の中心が一致する位置に、電子部品4が配置されている。この場合、撮像範囲A内には、撮像領域1全体と、撮像領域2、3、9、11、16の一部と、電子部品4外の部分(図7において、撮像領域1より左側の部分)が含まれる。全ての撮像領域の撮像後、全ての撮像領域を合成して撮像対象領域(本実施例では、電子部品4の下面全体)の画像が生成される。各撮像領域を撮像した画像内に、その撮像領域の周囲の部分が含まれることによって、隣接する撮像領域間で重複する部分が生じる。このように各撮像領域を撮像することによって、撮像領域を正確に合成することができる。
【0033】
なお、図7図11で示す例では、基板コンベア20側の3行の撮像領域(図7において、撮像領域2、1、16のそれぞれから横方向に伸びる3つの領域)は、撮像装置30の撮像範囲A内に位置するように電子部品4を平行移動させても、電子部品4は回路基板2に掛からず(例えば、図5(a)の状態)、基板コンベア20から離れた1行の撮像領域(図7において、撮像領域15から横方向に伸びる1つの領域)は、撮像装置30の撮像範囲A内に位置するように電子部品4を平行移動させると、電子部品4が回路基板2に掛かるものとする(例えば、図5(b)の状態)。
【0034】
次いで、ステップS24(図6参照)において、制御装置26は、複数の撮像領域の撮像順と移動経路を設定し、ステップS26(図6参照)において、制御装置26は、設定した撮像順と移動経路に従い電子部品4を移動させながら、各撮像領域を撮像する。
【0035】
例えば、図7では、撮像領域内の番号が設定された撮像領域の撮像順を示している。まず、制御装置26は、撮像領域1の中心が撮像範囲Aの中心と一致するように、ノズル6を平行移動させる(図7で示す状態)。そして、制御装置26は、その位置で電子部品4を撮像する。すると、撮像領域1全体が撮像される。次いで、制御装置26は、撮像領域2の中心が撮像範囲Aの中心と一致するように、ノズル6を平行移動させ、撮像領域2全体を撮像する。同様にして、制御装置26は、ノズル6を平行移動させて、撮像領域3~9をそれぞれ順に撮像する。上述したように、図7で示す例では、基板コンベア20側の3行の撮像領域は、撮像装置30の撮像範囲A内に位置するように電子部品4を平行移動させても、電子部品4は回路基板2に掛からない。このため、図7において基板コンベア20側の3行に位置する撮像領域1~9は、電子部品4を平行移動させながら撮像する。撮像領域9を撮像するように電子部品4を平行移動させると、電子部品4は、図8に示す位置に位置する。
【0036】
撮像領域9が撮像されると、制御装置26は、ノズル6をその軸回りに反時計回りで90度回転させる。電子部品4をノズル6に吸着させる際には、ノズル6の軸線と電子部品4の中心Oとが略一致する位置で、ノズル6は電子部品4を吸着する。以下の説明では、ノズル6の軸線と電子部品4の中心Oとが一致しているものとする。ノズル6をその軸回りに回転させると、電子部品4は、中心Oを中心として回転する。図8に示す例では、撮像領域9は、基板コンベア20側から2行目に位置する。このため、図8で示す状態で電子部品4の中心Oを中心に電子部品4を回転させても、電子部品4(特に、図8で示す状態の撮像領域5の右角部分)は、回路基板2に掛からない。電子部品4をノズル6の軸周りに90度回転させると、電子部品4は、図8に示す状態から図9に示す状態となる。このとき、撮像範囲A内には、撮像領域10が位置する。このため、回転後、制御装置26は、電子部品4を平行移動させることなく撮像領域10を撮像する。
【0037】
その後、制御装置26は、ノズル6を平行移動させて、撮像領域11~14をそれぞれ撮像する。撮像領域11~14は、図9で示す状態では基板コンベア20側の1~3行に位置するため、撮像領域10~14をそれぞれ撮像するために電子部品4を平行移動しても、電子部品4は、回路基板2に掛からない。撮像領域14を撮像するように電子部品4を平行移動させると、電子部品4は、図10に示す位置に位置する。
【0038】
撮像領域14が撮像されると、制御装置26は、ノズル6をその軸回りに反時計回りでさらに90度回転させる。すると、電子部品4は、中心Oを中心として回転し、図10に示す状態から図11に示す状態となる。図10に示す例では、撮像領域14は、基板コンベア20側から1行目に位置する。このため、図10で示す状態で電子部品4の中心Oを中心に電子部品4を回転させても、電子部品4は、回路基板2に掛からない。図11に示すように、回転後、撮像範囲A内には、撮像領域15が位置する。このため、制御装置26は、電子部品4を平行移動させることなく、そのまま撮像領域15を撮像する。その後、制御装置26は、ノズル6を平行移動させて、撮像領域16を撮像する。撮像領域16は、図11で示す状態では基板コンベア20側から2行目に位置するため、撮像領域16を撮像するために電子部品4を平行移動しても、電子部品4は、回路基板2に掛からない。このようにして、制御装置26は、電子部品4が回路基板2に掛からない位置でのノズル6の平行移動と回転を組み合わせながら、電子部品4の分割された複数の撮像領域全てを撮像する。これにより、電子部品4が回路基板2に掛かることなく、電子部品4の下面の撮像対象領域(下面全体)を撮像することができる。
【0039】
一方で、図4に示すように、電子部品4が撮像装置30の撮像範囲と回路基板2の両方に跨る大きさではない場合(ステップS14でNO)、制御装置26は、電子部品4を平行移動させながら撮像対象領域を撮像する(S18)。撮像対象領域が撮像装置30の撮像範囲A内に収まる場合には、制御装置26は、撮像対象領域が撮像範囲A内に収まる位置に電子部品4を平行移動させ、撮像対象領域を撮像する。また、撮像対象領域が撮像装置30の撮像範囲A内に収まらない場合には、制御装置26は、撮像対象領域を分割し、平行移動しながら各撮像領域を撮像する。電子部品4は、撮像装置30の撮像範囲と回路基板2の両方に跨る大きさではないため、複数の撮像領域をそれぞれ撮像するために電子部品4を平行移動しても、電子部品4は回路基板2に掛からない。このため、制御装置26は、電子部品4を平行移動することによって、複数の撮像領域全てを撮像できる。なお、電子部品4が撮像装置30の撮像範囲と回路基板2の両方に跨る大きさではない場合であっても、制御装置26は、ノズル6をその軸周りで回転させて各撮像領域を撮像してもよいし、平行移動と回転とを組み合わせて各撮像領域を撮像してもよい。
【0040】
なお、本実施例では、電子部品4が、撮像装置30の撮像範囲と回路基板2の上方の両方に跨る大きさである場合に、回路基板2に掛からないように電子部品4を平行移動及び回転させていたが、このような構成に限定されない。例えば、電子部品4が、撮像装置30の撮像範囲に入るように平行移動させたときに、回路基板2に先に実装されている他の電子部品4に干渉する場合に、先に実装されている他の電子部品4に干渉しないようにノズル6(すなわち、ノズル6に吸着されている電子部品4)を平行移動及び回転させてもよい。具体的には、制御装置26は、ステップS12において、実装する電子部品4のデータと共に、先に実装されている他の電子部品4の実装位置と高さ方向の寸法を取得する。次いで、制御装置26は、ステップS14において、実装する電子部品4が撮像装置30の撮像範囲内に入るように平行移動させたときに、実装する電子部品4が先に実装されている他の電子部品4に干渉する場合があるか否かを判断する。そして、実装する電子部品4が先に実装されている他の電子部品4に干渉しない場合(ステップS14でYES)、ステップS16に進み、実装する電子部品4が先に実装されている他の電子部品4に干渉することがある場合(ステップS14でNO)、ステップS18に進む。このような場合にも、撮像装置30で電子部品4を撮像する際に、その電子部品4が先に実装されている他の電子部品4に干渉することを回避できる。
【0041】
実施例で説明した部品実装機10に関する留意点を述べる。実施例の部品フィーダ12は、「部品供給装置」の一例であり、装着ヘッド16及びヘッド移動装置18は、「部品移動装置」の一例であり、基板コンベア20は、「基板搬送装置」の一例である。
【0042】
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11