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特許7587699カルバゾ-ルを含有するONCN四座配位子の白金錯体
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  • 特許-カルバゾ-ルを含有するONCN四座配位子の白金錯体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】カルバゾ-ルを含有するONCN四座配位子の白金錯体
(51)【国際特許分類】
   C07F 15/00 20060101AFI20241113BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20241113BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20241113BHJP
   C07D 409/14 20060101ALI20241113BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20241113BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
C07F15/00 F CSP
C07D401/14
C07D405/14
C07D409/14
C07D471/04 108X
C09K11/06 660
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023531690
(86)(22)【出願日】2021-10-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-07
(86)【国際出願番号】 CN2021125929
(87)【国際公開番号】W WO2022111174
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】202011366647.8
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515177907
【氏名又は名称】広東阿格蕾雅光電材料有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】呉 信▲尉▼
(72)【発明者】
【氏名】李 慧楊
(72)【発明者】
【氏名】戴 雷
(72)【発明者】
【氏名】蔡 麗菲
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110872325(CN,A)
【文献】国際公開第2012/009957(WO,A1)
【文献】特表2017-508845(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111377971(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0194615(US,A1)
【文献】国際公開第2020/165064(WO,A1)
【文献】特開2014-082479(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103694168(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
C07D
C09K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で示されるカルバゾ-ルを含有するONCN四座配位子白金錯体であって、
式(I)中、R1-R24は、独立して、水素、重水素、ロゲン、ヒドロキシ基、アシル基、1~30個のC原子を含むアルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、ニトロ基、アシルアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、スチリル基、カルバモイル基、ベンジルカルボニル基、アリ-ルオキシ基、ジアリ-ルアミノ基、1~30個のC原子を含む飽和アルキル基、~30個のC原子を含む置換若しくは無置換のアリ-ル基、及び5~30個のC原子を含む置換若しくは無置換のヘテロアリ-ル基のうちから選択され、
Arは、6~30個の炭素原子を有する置換若しくは無置換のアリ-ル基、及び3~30個の炭素原子を有する置換若しくは無置換のヘテロアリ-ル基のうちから選択され、
前記置換は、重水素、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、シアノ基又はC1-C4アルキル基による置換である、ことを特徴とする白金錯体。
【請求項2】
R1-R24は、独立して、水素、重水素、ロゲン、1~10個のC原子を含むアルコキシ基、シアノ基、スチリル基、アリ-ルオキシ基、ジアリ-ルアミノ基、1~10個のC原子を含む飽和アルキル基、~20個のC原子を含む置換若しくは無置換のアリ-ル基、及び5~20個のC原子を含む置換若しくは無置換のヘテロアリ-ル基のうちから選択されることを特徴とする請求項1に記載の白金錯体。
【請求項3】
Arは、6~30個の炭素原子を有する置換若しくは無置換の2,3若しくは3,4ベンゾアリ-ル基、3~30個の炭素原子を有する置換若しくは無置換の2,3若しくは3,4ベンゾヘテロアリ-ル基、6~20個の炭素原子の置換若しくは無置換のフェニルアリ-ル基、及び6~20個の炭素原子の置換若しくは無置換のフェニルヘテロアリ-ル基のうちから選択される、ことを特徴とする請求項2に記載の白金錯体。
【請求項4】
以下の式(II)又は式(III)で示され、
式(II)又は式(III)中、R1-R24は、独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、アリ-ルオキシ基、ジアリ-ルアミノ基、1~4個のC原子を含む飽和アルキル基、~10個のC原子を含む置換若しくは無置換のアリ-ル基、及び5~10個のC原子を含む置換若しくは無置換のヘテロアリ-ル基のうちから選択され、
A、Bは、5~30個のC原子を含む置換若しくは無置換のアリ-ル基、及び5~30個のC原子を含む置換若しくは無置換のヘテロアリ-ル基のうちから選択される、ことを特徴とする請求項3に記載の白金錯体。
【請求項5】
R1-R24のうち、R17とR19はtert-ブチルであり、残りは水素である、ことを特徴とする請求項4に記載の白金錯体。
【請求項6】
前記A、前記Bは、置換若しくは無置換の5員ヘテロ芳香環、6員芳香環、6員ヘテロ芳香環及び5員ベンゾヘテロ芳香環のうちから選択される、ことを特徴とする請求項5に記載の白金錯体。
【請求項7】
以下のいずれかである、
ことを特徴とするカルバゾ-ルを含有するONCN四座配位子白金錯体
【請求項8】
以下の式(IV)で示され、
式中、R1-R24及びArの定義は上記と同じである、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の白金錯体の前駆体。
【請求項9】
をBとカップリング反応させてCを得る工程、酸性条件下でCを脱メチル化反応させてDを得る工程、D中のヒドロキシル基をハロゲン化させてEを得る工程、及びEをFとカップリング反応させてGを得る工程を含み、
さらに、その後、Gをハロゲン化芳香族誘導体とカップリング反応させてHを得る工程、酸性条件下でHを脱メチル化してIを得る工程、及びIを金属白金とONCN四座錯体形成反応させてJ型発光材料を得る工程を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の白金錯体の調製方法。
【請求項10】
OLEDにおける発光層の燐光ド-ピング材料としての、請求項1~7のいずれか1項に記載の白金錯体の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OLED材料の分野に関し、特に、カルバゾ-ルを含有するONCN四座配位子の白金錯体に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオ-ド(Organic Light-Emitting Diode ,OLED)は、1979 年に中国系アメリカ人のトウ青雲(Ching W .Tang)教授によって研究室で発見され、自発光、広い視野角、ほぼ無限に高いコントラスト、低消費電力、非常に高速な応答速度、及び柔軟な折り畳み可能性などの利点を有するため、広く関心を集め、研究されてきた。OLED材料分野では、燐光類OLED発光層ド-ピング材料の発展は比較的に速く、成熟しており、それは主にいくつかの重金属有機錯体に基づく。燐光材料は、発光過程で一重項励起子と三重項励起子のエネルギ-を十分に利用することができるため、論理的にその量子効率が100%に達することができ、現在、業界で広く使用されている発光材料である。金属錯体発光材料は、産業に使用されている。従来の産業化された燐光類のOLED発光層ド-ピング材料は、金属イリジウム錯体を主としている。金属白金錯体は、その平面性による優れた材料安定性のために近年大きく発展しており、イリジウム錯体を追い越す性質を示している。より高い効率とより長い使用寿命を有する発光材料は、現在の産業界の切実な需要である。ONCN四座配位子の白金錯体分子は、合成手順が簡単であり、修飾可能な部位が多く、改善の余地が非常に大きい。しかしながら、発光効率、使用寿命などの性能をさらに向上させる必要がある。
【発明の概要】
【0003】
従来技術に存在する上記の問題に対して、本発明はONCN四座配位子を含む白金錯体発光材料を提供する。この材料は、燐光材料の重原子効果を高め、それによって発光中に一重項と三重項励起子に対するエネルギ-の利用率を高めて、これによって発光効率を高めることができる。
【0004】
この白金錯体は、有機発光ダイオ-ドに使用されると、良好な光電的特性及びデバイス寿命を示す。
カルバゾ-ルを含有するONCN四座配位子の白金錯体は、式(I)で示される構造を有し、
R1-R24は、独立して、水素、重水素、硫黄、ハロゲン、ヒドロキシ基、アシル基、1~30個のC原子を含むアルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、ニトロ基、アシルアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、スチリル基、カルバモイル基、ベンジルカルボニル基、アリ-ルオキシ基、ジアリ-ルアミノ基、1~30個のC原子を含む飽和アルキル基、2~20個のC原子を含む不飽和アルキル基、5~30個のC原子を含む置換若しくは無置換のアリ-ル基、5~30個のC原子を含む置換若しくは無置換のヘテロアリ-ル基から選択され、又は隣接するR1-R24は共有結合によって互いに連結されて環を形成し、
Arは、6~30個の炭素原子を有する置換若しくは無置換のアリ-ル基、3~30個の炭素原子を有する置換若しくは無置換のヘテロアリ-ル基から選択され、
前記置換は、重水素、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、シアノ基又はC1-C4アルキル基による置換である。
【0005】
好ましくは、R1-R24は、独立して、水素、重水素、硫黄、ハロゲン、1~10個のC原子を含むアルコキシ基、シアノ基、スチリル基、アリ-ルオキシ基、ジアリ-ルアミノ基、1~10個のC原子を含む飽和アルキル基、2~8個のC原子を含む不飽和アルキル基、5~20個のC原子を含む置換若しくは無置換のアリ-ル基、5~20個のC原子を含む置換若しくは無置換のヘテロアリ-ル基から選択され、又は隣接するR1-R24は共有結合によって互いに連結されて環を形成する。
【0006】
Arは、6~30個の炭素原子を有する置換若しくは無置換の2.3若しくは3.4ベンゾアリ-ル基、3~30個の炭素原子を有する置換若しくは無置換の2,3若しくは3,4ベンゾヘテロアリ-ル基、6~20個の炭素原子の置換若しくは無置換のフェニルアリ-ル基、6~20個の炭素原子の置換若しくは無置換のフェニルヘテロアリ-ル基から選択される。
【0007】
好ましくは、白金錯体の構造は、以下の式(II)、式(III)で示されるものであり、
R1-R24は、独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、アリ-ルオキシ基、ジアリ-ルアミノ基、1~4個のC原子を含む飽和アルキル基、2~4個のC原子を含む不飽和アルキル基、5~10個のC原子を含む置換若しくは無置換のアリ-ル基、5~10個のC原子を含む置換若しくは無置換のヘテロアリ-ル基から選択され、又は隣接するR1-R24は共有結合によって互いに連結されて環を形成する。
【0008】
A、Bは、5~30個のC原子を含む置換若しくは無置換のアリ-ル基、5~30個のC原子を含む置換若しくは無置換のヘテロアリ-ル基である。
【0009】
さらに好ましくは、一般式(II)(III)では、R1からR24のうち、R17とR19はtert-ブチルであり、残りは水素である。
【0010】
前記A、Bは、置換若しくは無置換の5員ヘテロ芳香環、6員芳香環、6員ヘテロ芳香環若しくは5員ベンゾヘテロ芳香環である。
【0011】
本発明による白金金属錯体は以下にリストされるが、リストされる構造に限定されない。
【0012】
上記の錯体の前駆体は、構造が下記式で示される。
【0013】
上記白金錯体の調製方法では、AをBとカップリング反応させてCを得、Cを酸性条件下で脱メチル化反応させてDを得、Dをヒドロキシル基ハロゲン化反応させてEを得、EをFとカップリング反応させてGを得るという調製経路を経て、
次に、Gをハロゲン化芳香族誘導体とカップリング反応させてHを得、Hを酸性条件下で脱メチル化してIを得、最後に、Iを金属白金とONCN四座錯体形成反応させてJ型発光材料を得る。
【0014】
OLEDにおける発光層の燐光ド-ピング材料としての本発明の白金錯体の使用。
【0015】
本発明は、構造設計により、燐光材料の重原子効果を向上させ、スピンカップリングを強化し、T1-S0の高効率変換を実現し、それによって高い発光効率を得ることができる。同時に、ONCN四座配位子の白金錯体分子は、合成手順が簡単であり、修飾可能な部位が多い。含まれるカルバゾ-ル基によって追加された立体障害は、分子間の凝集効果を効果的に低減し、エキサイプレックスの形成を回避し、色純度と発光効率をさらに向上させることができる。
【0016】
本発明の有機金属錯体は、高い蛍光量子効率、良好な熱安定性、及び低い消光定数を有し、高い発光効率を有する緑色OLEDデバイスを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るデバイスの構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面と実施例を参照しながら本発明を更に限定する。
<実施例1>中間体Gの合成
【0019】
中間体Cの合成
1000mlの三つ口フラスコを取り、A(10.0g、40mmol、1.0eq.)、B(11.7g、50mmol、 1.25eq.)、Pd132(280mg、0.4mmol、1%eq.)、KCO(13.8g、100mmol、2.5eq.)、及びトルエン/エタノ-ル/HO(200/200/50ml)を投入し、窒素保護下、90℃で12時間撹拌して反応させた。反応終了後、反応液の大部分をスピン乾燥し、脱イオン水を加え、ジクロロメタンで3回抽出し、スピン乾燥し、シリカゲルと混合してカラムを通過させた(Hex:EA=10:1)。最終的に、褐色の固体21.0gを得た(収率94.2%)。水素スペクトルデ-タは以下の通りである:
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.52 (s, 1H), 8.31 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 8.16 - 8.07 (m, 2H), 7.46 (dd, J = 9.1, 2.6 Hz, 3H), 7.31 (s, 1H), 7.28 (s, 1H), 7.20 (dd, J = 5.3, 1.4 Hz, 1H), 7.08 (s, 1H), 4.03 (s, 3H).
【0020】
中間体Dの合成
250mlの一つ口フラスコを取り、C(2.0g、7.2mmol、1.0eq.)、ピリジン塩酸塩(10g、質量比5)、o-DCB(2ml)を投入し、
窒素保護下、180℃で3.5時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、水とジクロロメタンを加えて30分間撹拌し、分液し、有機層を集めて粗生成物を取得し、Hexでスラリ-化して黄色の固体を得た(2.0g、収率~100%)。
H NMR (400 MHz, DMSO) δ 11.22 (s, 1H), 8.15 (dd, J = 18.5, 7.7 Hz, 2H), 7.59 - 7.52 (m, 2H), 7.46 - 7.36 (m, 2H), 7.24 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.20 - 7.13 (m, 1H), 6.67 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 6.52 (dd, J = 6.7, 1.7 Hz, 1H).
【0021】
中間体Eの合成
上述した中間体Dを取り、POCl(10mL)とO-DCB(1ml)を加え、窒素保護下、100℃で18時間反応させ、反応終了後、室温まで冷却した。POCl3の一部を回転蒸発させて粘稠な状態にした後、氷水を加え、十分に撹拌してPOCl3をクエンチし、次にジクロロメタンで反応液を抽出し、粗生成物を得、Hexでスラリ-化して黄色の固体を得た(2.0g、収率~100%)。水素スペクトルデ-タは次の通りである:H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.59 (s, 1H), 8.49 (dd, J = 5.1, 0.6 Hz, 1H), 8.14 (dd, J = 17.2, 7.5 Hz, 2H), 7.70 - 7.65 (m, 1H), 7.55 (dd, J = 5.1, 1.5 Hz, 1H), 7.53 - 7.42 (m, 3H), 7.35 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.32 - 7.27 (m, 1H).
【0022】
中間体Gの合成
250ml一つ口フラスコを取り、E(6.0 g, 21.5mmol,1.0eq.)、F (13.5g, 23.5mmol,1.1eq.)(この中間体Fの合成調製方法は、特許CN110872325Aを参照)、Pd(dba)(2.15g,10%eq.)、X-phos(2.15g,20%eq.)、KPO-3HO(17g,3.0eq.)及びトルエン/エタノ-ル/HO(100/60/40ml)を投入し、窒素保護下、110℃で12時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却した。吸引濾過して濾液を得、回転蒸発してトルエン/エタノ-ルを除去し、その後、反応液を抽出し、DCM層を合わせ、シリカゲルカラム(Hex/EA=5/1)で分離し、褐色がかった白色の固体8gを得た(収率51.6%、純度HPLC99.15%)。水素スペクトルデ-タは次の通りである:H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.85 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 8.80 (s, 1H), 8.68 (s, 1H), 8.22 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 8.14 (dd, J = 13.8, 8.3 Hz, 4H), 8.05 - 7.99 (m, 2H), 7.92 (d, J = 1.4 Hz, 1H), 7.67 - 7.51 (m, 7H), 7.43 - 7.36 (m, 4H), 7.26 (s, 1H), 7.06 (dd, J = 15.3, 7.9 Hz, 2H), 3.88 (s, 3H), 1.42 (s, 18H).
【0023】
<実施例2>錯体2の合成
【0024】
<中間体2bの合成>
250mlの三つ口フラスコに、G(5.0g,1.0eq)、2-ヨ-ドナフタレン(5.50g,3.0eq)、Cu(230mg,0.5eq)、CuI(688mg,0.5eq)、1,10-フェナントロリン(1.30g,1.0eq)及び炭酸セシウム(7.06g,3.0eq)を加え、100mlの無水キシレンを反応溶媒として、窒素保護下、油浴温度160℃で3日間反応させた後、室温まで冷却し、EAを溶出剤として反応液を直接吸引濾過して無機塩を除去した後、シリカゲルと混合してカラムクロマトグラフィ-を行い(クロマトグラフィ-液hex:EA=8:1)、黄色の蛍光生成物3.8gを収集した。水素スペクトルデ-タは次の通りである:H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.30 (dd, J = 5.9, 3.1 Hz, 1H), 8.24 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 8.18 (s, 2H), 8.07 (d, J = 4.1 Hz, 2H), 7.89 (s, 1H), 7.59 (t, J = 5.1 Hz, 6H), 7.48 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.45 - 7.30 (m, 8H), 7.29 (s, 1H), 7.17 (s, 2H), 7.06 (dd, J = 8.7, 5.1 Hz, 3H), 3.91 (s, 3H), 1.43 (s, 18H).
【0025】
<中間体2cの合成>
100mlの一つ口フラスコに、148b(3.0g)、ピリジン塩酸塩(30.0g)及びo-ジクロロベンゼン(3.0ml)を加え、窒素保護下、油浴温度200℃で8時間反応させた後に室温まで冷却した。大量の水で溶解しかつDCMで3回抽出し、有機相をスピン乾燥し、シリカゲルと混合してカラムクロマトグラフィ-を行い(クロマトグラフィ-液hex:EA=10:1)、淡黄色の生成物2.8gを得た。水素スペクトルデ-タは次の通りである:H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.31 - 8.28 (m, 1H), 8.23 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 8.06 (s, 1H), 7.98 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 7.83 (s, 1H), 7.62 - 7.53 (m, 6H), 7.51 - 7.28 (m, 11H), 7.22 (s, 2H), 7.11 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 7.00 (d, J = 10.9 Hz, 2H), 1.43 (d, J = 2.2 Hz, 18H).
【0026】
錯体2の合成
250mlの一つ口フラスコを取り、2c(100mg,0.124mmol)、KPtCl(70mg,0.167mmol)、18 クラウン 6 エ-テル(6mg,0.012mmol)及び酢酸(5mL)を投入し、窒素保護下,130℃48時間反応させた。反応終了後、過剰の脱イオン水を加え、固体を沈殿させ、吸引濾過し、固体をジクロロメタンに溶解し、スピン乾燥し、シリカゲルと混合してカラムを通過させた(Hex:DCM:EA=20:20:1)。カラム通過後、生成物をジクロロメタン:n-ヘキサン=1:4で再結晶した。赤色の固体80mgを得た。水素スペクトルデ-タは次の通りである:H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.56 (s, 1H), 8.35 - 8.27 (m, 2H), 8.24 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.10 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.73 (s, 1H), 7.63 (d, J = 11.9 Hz, 4H), 7.52 - 7.45 (m, 4H), 7.41 (dd, J = 17.2, 5.8 Hz, 5H), 7.38 - 7.32 (m, 3H), 7.13 (dd, J = 15.0, 9.3 Hz, 4H), 6.99 (dd, J = 18.3, 10.4 Hz, 3H), 6.77 (t, J = 6.9 Hz, 1H), 1.45 (d, J = 12.3 Hz, 18H).
【0027】
<実施例3>錯体19の合成
錯体19の合成
【0028】
<中間体19bの合成>
250mlの三つ口フラスコを取り、中間体G((2.5 g,3.61mmol)、19a(2.02g, 7.22mmol)、Cu(115mg,1.81mmol)、CuI(345mg,1.81mmol)、CsCO(3.53g,10.83mmol)、o-フェナントロリン(651mg,3.61mmol)及びキシレン(50ml)を投入し、窒素保護下、160℃で30時間撹拌し反応させた。反応終了後、直接吸引濾過し、EAで溶出し、スピン乾燥して褐色の固体を得、その後、(Hex:EA =5:1)を用いてシリカゲルカラムに通し、白色の固体2.2gを得た。水素スペクトルデ-タは次の通りである:
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.49 (s, 1H), 8.42 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 8.27 (dd, J = 5.5, 3.5 Hz, 1H), 8.19 (dd, J = 14.2, 7.7 Hz, 2H), 8.01 (d, J = 6.4 Hz, 2H), 7.90 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.84 (d, J = 1.1 Hz, 1H), 7.57 - 7.47 (m, 4H), 7.46 (s, 1H), 7.38 (ddd, J = 22.4, 10.0, 5.3 Hz, 5H), 7.28 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.22 - 7.07 (m, 9H), 7.03 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 3.87 (s, 3H), 1.40 (s, 18H).
【0029】
中間体19cの合成
500mlの一つ口フラスコを取り、19b(3.8g,4.5mmol)、ピリジン塩酸塩(38g)及び3.8mLo-ジクロロベンゼンを投入し、窒素保護下、200℃で8時間反応させた。反応終了後、ジクロロメタンで2回抽出し、スピン乾燥し、シリカゲルと混合してカラムを通過させた(Hex:DCM:EA=15:15:1)。得られた粗生成物を酢酸エチル/メタノ-ルで再結晶した。淡黄色の固体2.9gを得た。水素スペクトルデ-タは次の通りである。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.45 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 8.31 (s, 1H), 8.28 (dd, J = 6.1, 2.9 Hz, 1H), 8.22 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 8.02 (s, 2H), 7.95 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 7.86 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.77 (s, 1H), 7.59 (s, 1H), 7.56 - 7.48 (m, 3H), 7.47 - 7.39 (m, 4H), 7.33 (dd, J = 9.9, 7.5 Hz, 4H), 7.15 (qd, J = 13.8, 7.0 Hz, 10H), 6.97 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 1.42 (s, 18H).
【0030】
錯体19の合成
250mlの一つ口フラスコを取り、19c(426mg,0.513mmol)、KPtCl(256mg,0.616mmol)、TBAB(16.5mg,0.051mmol)及び酢酸(42.6mL)を投入し、窒素保護下、130℃で48時間反応させた。反応終了後、過剰の脱イオン水を加え、固体を沈殿させ、吸引濾過し、固体をジクロロメタンに溶解し、スピン乾燥し、シリカゲルと混合してカラムを通過させた(Hex:DCM:EA=20:20:1)。カラム通過後、生成物をジクロロメタン:n-ヘキサン=1:4で再結晶した。赤色の固体380mgを得た。水素スペクトルデ-タは次の通りである。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.84 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 8.40 - 8.27 (m, 2H), 8.23 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 8.13 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.72 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.64 (dd, J = 6.7, 1.6 Hz, 3H), 7.55 - 7.30 (m, 8H), 7.24 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 7.20 (t, J = 7.4 Hz, 5H), 7.15 - 7.01 (m, 4H), 6.78 (dt, J = 8.3, 6.0 Hz, 4H), 1.47 (s, 18H).
【0031】
<実施例4>錯体20の合成
【0032】
<中間体20bの合成>
250mlの三つ口フラスコを取り、中間体G((2.5 g,3.61mmol)、20a(2.02g,7.22mmol)、Cu(115mg,1.81mmol)、CuI(345mg,1.81mmol)、CsCO(3.53g,10.83mmol)、o-フェナントロリン(651mg,3.61mmol)及びキシレン(50ml)を投入し、窒素保護下、160℃で30時間撹拌し反応させた。反応終了後、直接吸引濾過し、EAで溶出し、スピン乾燥して褐色固体を得、その後、(Hex:EA =5:1)を用いてシリカゲルカラムに通し、白色の固体2.2gを得た。水素スペクトルデ-タは以下の通りである:
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.49 (s, 1H), 8.42 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 8.27 (dd, J = 5.5, 3.5 Hz, 1H), 8.19 (dd, J = 14.2, 7.7 Hz, 2H), 8.01 (d, J = 6.4 Hz, 2H), 7.90 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.84 (d, J = 1.1 Hz, 1H), 7.57 - 7.47 (m, 4H), 7.46 (s, 1H), 7.38 (ddd, J = 22.4, 10.0, 5.3 Hz, 5H), 7.28 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.22 - 7.07 (m, 9H), 7.03 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 3.87 (s, 3H), 1.40 (s, 18H).
【0033】
中間体20cの合成
500mlの一つ口フラスコを取り、20b(3.8g,4.5mmol)、ピリジン塩酸塩(38g)及び3.8mLo-ジクロロベンゼンを投入し、窒素保護下、200℃で8時間反応させた。反応終了後、ジクロロメタンで2回抽出し、スピン乾燥し、シリカゲルと混合してカラムを通過させた(Hex:DCM:EA=15:15:1)。得られた粗生成物を酢酸エチル/メタノ-ルで再結晶した。淡黄色の固体2.9gを得た。水素スペクトルデ-タは次の通りである。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.45 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 8.31 (s, 1H), 8.28 (dd, J = 6.1, 2.9 Hz, 1H), 8.22 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 8.02 (s, 2H), 7.95 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 7.86 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.77 (s, 1H), 7.59 (s, 1H), 7.56 - 7.48 (m, 3H), 7.47 - 7.39 (m, 4H), 7.33 (dd, J = 9.9, 7.5 Hz, 4H), 7.15 (qd, J = 13.8, 7.0 Hz, 10H), 6.97 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 1.42 (s, 18H).
【0034】
錯体20の合成
250mlの一つ口フラスコを取り、20c(426mg,0.513mmol)、KPtCl(256mg,0.616mmol)、TBAB(16.5mg,0.051mmol)及び酢酸(42.6mL)を投入し、窒素保護下、130℃で48時間反応させた。反応終了後、過剰の脱イオン水を加え、固体を沈殿させ、吸引濾過し、固体をジクロロメタンに溶解し、スピン乾燥し、シリカゲルと混合してカラムを通過させた(Hex:DCM:EA=20:20:1)。カラム通過後、生成物をジクロロメタン:n-ヘキサン=1:4で再結晶した。赤色の固体380mgを得た。水素スペクトルデ-タは以下の通りである。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.84 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 8.40 - 8.27 (m, 2H), 8.23 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 8.13 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.72 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.64 (dd, J = 6.7, 1.6 Hz, 3H), 7.55 - 7.30 (m, 8H), 7.24 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 7.20 (t, J = 7.4 Hz, 5H), 7.15 - 7.01 (m, 4H), 6.78 (dt, J = 8.3, 6.0 Hz, 4H), 1.47 (s, 18H).
【0035】
化合物の発光特性:
【0036】
以下は、本発明の化合物の使用例である。
デバイスの製造方法
【0037】
まず、透明な導電性ITOガラス基板10(その上に陽極20がある)を洗浄剤溶液及び脱イオン水、エタノ-ル、アセトン、脱イオン水で順次洗浄し、次に、酸素プラズマで300秒間処理した。
【0038】
次に、ITO上に厚さ3nmのHATCNを正孔注入層30として蒸着した。
【0039】
次に、化合物TAPCを蒸着して、厚さ50nmの正孔輸送層40を形成した。
【0040】
次に、正孔輸送層上に厚さ7nmのゲスト錯体(9%)とホストTCTA (91%)を発光層50として蒸着した。
【0041】
次に、正孔輸送層上に厚さ3nmのゲスト錯体 (9%)とホストTCTA(91%)を発光層60として蒸着した。
【0042】
次に、発光層上に厚さ50nmのTmPyPbを正孔阻止層70として蒸着した。
【0043】
最後に、0.8nmのLiFを電子注入層80として、及び100nmのAlをデバイスの陰極80として蒸着した。
【0044】
デバイスにおける上記の構造式
【0045】
デバイス結果:
20mA/cm電流密度での比較例1及び比較例2の有機エレクトロルミネセンスデバイスのデバイス性能は、表1にリストされる。
表1
【0046】
本発明の有機金属錯体は、高い量子効率を維持するとともに、デバイスの駆動電圧をわずかに低下させ、発光効率を高める。しかしながら、比較例のLT95と比較すると、実施例のデバイスの寿命は明らかに質的に改善されている。この一連のデバイスのデ-タは、このようなカルバゾ-ル含有ONCN錯体を燐光発光配位子材料として使用する場合、発光効率の高い緑色光OLEDデバイスを製造することができ、かつ非常に良好な寿命を達成することができることを示している。
【0047】
上記の様々な実施形態は単なる例であり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の精神から逸脱することなく、本発明の様々な材料及び構造を他の材料及び構造に置き換えることができる。当業者は、創造的な作業なしに、本発明のアイデアに従って多くの修正や変更を行うことができることを理解されたい。従って、既存の技術に基づいて分析、推論、又は部分的な研究を通じて当業者が取得できる技術的解決策は、本願によって制限される保護範囲内にあるものとする。
図1