(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】スラリーの供給装置及びスラリーの供給方法
(51)【国際特許分類】
B65D 90/00 20060101AFI20241113BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20241113BHJP
B05C 5/02 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
B65D90/00 A
B05C11/10
B05C5/02
(21)【出願番号】P 2023539910
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(86)【国際出願番号】 KR2022014857
(87)【国際公開番号】W WO2023090633
(87)【国際公開日】2023-05-25
【審査請求日】2023-06-28
(31)【優先権主張番号】10-2021-0159839
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン-ウ・チェ
(72)【発明者】
【氏名】スン-モ・カン
(72)【発明者】
【氏名】サン-ミン・キム
(72)【発明者】
【氏名】キョン-ロク・ムン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン-グ・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン-ウ・シン
(72)【発明者】
【氏名】ド-ユン・アン
(72)【発明者】
【氏名】ジェ-ピル・イ
(72)【発明者】
【氏名】シン-ウク・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】サン-フン・チェ
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-033860(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2073188(KR,B1)
【文献】特開2000-000509(JP,A)
【文献】特開平03-109957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 90/00
B05C 11/10
B05C 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラリーを保管するスラリータンクと、
前記スラリーの温度の調整のために前記スラリータンクに温水または冷水を供給する温度調整器と、
前記スラリータンクと接続されて前記スラリータンクに前記スラリーを供給し、かつ、前記スラリーの温度を調整するために温水または冷水が移動するように設けられる二重管と、
前記二重管に接続される二重管温度調整器と、
前記二重管に残留するスラリーの温度と、前記スラリータンクに保管されたスラリーの温度をそれぞれ測定する温度センサーと、
前記温度センサーの測定値に基づいて、前記二重管に残留するスラリーの温度と、前記スラリータンクに保管されたスラリーの温度が予め設定された範囲を有するように前記温度調整器または前記二重管温度調整器を制御する制御部と、
を含む、スラリーの供給装置。
【請求項2】
前記二重管は、
内側に配置されて前記スラリーが流れる内側管と、
前記内側管の外側に配置されて前記内側管を囲繞し、前記温水または冷水が流れるように設けられる外側管と、
を含む、請求項1に記載のスラリーの供給装置。
【請求項3】
前記温度調整器から前記スラリータンクに供給される温水または冷水は、前記スラリータンクを経て前記スラリータンクに接続された二重管の外側管を介して前記温度調整器に再び流れ込む、請求項2に記載のスラリーの供給装置。
【請求項4】
前記温度調整器から供給される温水または冷水により、前記スラリータンクの内部のスラリーと前記二重管に残留するスラリーとが予め設定された範囲の温度を有するように調整される、請求項3に記載のスラリーの供給装置。
【請求項5】
スラリーを保管するスラリータンクと、
前記スラリーの温度の調整のために前記スラリータンクに温水または冷水を供給する温度調整器と、
前記スラリータンクと接続されて前記スラリータンクに前記スラリーを供給し、かつ、前記スラリーの温度を調整するために温水または冷水が移動するように設けられる二重管と、
を含み、
前記二重管は、
内側に配置されて前記スラリーが流れる内側管と、
前記内側管の外側に配置されて前記内側管を囲繞し、前記温水または冷水が流れるように設けられる外側管と、
を含み、
前記温度調整器から前記スラリータンクに供給される温水または冷水は、前記スラリータンクを経て前記スラリータンクに接続された二重管の外側管を介して前記温度調整器に再び流れ込み、
前記温度調整器から供給される温水または冷水により、前記スラリータンクの内部のスラリーと前記二重管に残留するスラリーとが予め設定された範囲の温度を有するように調整され、
前記スラリータンクは2つ設けられ、
第1スラリータンクは、第1温度調整器と第1二重管に接続されてスラリーの温度が予め設定された範囲内にあるように調整され、
第2スラリータンクは、第2温度調整器と第2二重管に接続され、前記第1スラリータンクに接続されて前記第1スラリータンクからスラリーが供給され、前記第1スラリータンクから供給された前記スラリーが予め設定された温度を有するように調整される
、スラリーの供給装置。
【請求項6】
前記スラリータンクは第3二重管に接続され、
前記スラリータンクは、前記第3二重管を介して前記スラリーをスロットダイコーターに供給する、請求項1~5のいずれか一項に記載のスラリーの供給装置。
【請求項7】
前記温度調整器は、前記スラリータンクに温水または冷水を供給するように設けられ、
前記二重管温度調整器は、前記二重管に温水または冷水を供給するように設けられる、請求項
1に記載のスラリーの供給装置。
【請求項8】
スラリーをミキシングし、ミキシングされた前記スラリーを二重管を介してスラリータンクに搬送するステップと、
前記スラリーの温度の調整のために温度調整器から
前記スラリータンクに温水または冷水を供給するステップと、
前記スラリータンクに供給された温水または冷水が前記スラリータンクに接続された
前記二重管に移動するステップと、
前記二重管に移動した温水または冷水が前記温度調整器に流れ込むステップと、
を含む、スラリーの供給方法。
【請求項9】
前記温度調整器から供給される温水または冷水により、前記スラリータンクの内部のスラリーと前記二重管に残留するスラリーとが予め設定された範囲の温度を有するように調整されるステップを含む、請求項
8に記載のスラリーの供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年11月18日付け出願の韓国特許出願第10-2021-0159839号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、スラリーの供給装置及びスラリーの供給方法に関し、より詳細には、スラリーの温度を均一に保持することのできるスラリーの供給装置及びスラリーの供給方法に関する。
【背景技術】
【0003】
最近のモバイル機器に対する技術の開発と需要の増加には目を見張るものがあり、これに伴い、エネルギー源としての二次電池へのニーズが急激に伸びている。かような二次電池は、発電要素である電極組立体を必須的に含んでいる。
【0004】
電極組立体は、正極、セパレーター及び負極が少なくとも1回以上積層された形態を有し、正極と負極、すなわち、電極は、それぞれアルミニウム箔と銅箔からなる集電体に正極活物質スラリーと負極活物質スラリー、すなわち、スラリーが塗布及び乾燥されて製造される。
【0005】
二次電池の充放電特性を均一にするためには、スラリーが集電体に一様にコーティングされなければならず、従来からスロットダイコーターを用いて前記コーティングを行っている。
【0006】
スロットダイコーターを用いて、スラリータンクに保管されたスラリーを集電体にコーティングするとき、スラリーの温度は、電極のコーティング品質に甚だしい影響を及ぼす。
【0007】
具体的に、予め設定された範囲から外れる温度におけるスラリーによりスロットダイコーターに熱歪みが生じる場合、スロットダイコーターとコーティングロールとの間のギャップが変わってしまうため、スラリーのコーティングに際してローディングムラが生じる。
【0008】
これを防ぐためには、スラリーの温度が予め設定された範囲内において均一に安定化されなければならないが、従来の技術の場合、スラリータンクに接続された配管に残留するスラリーと、スラリータンクに保管されたスラリーとの温度差によりスラリーの温度にムラが生じるにつれて、安定化できなくなるという問題がある。
【0009】
具体的に、スラリーがミキシングされた後、配管を介してスラリータンクに搬送されて保管されるとき、すべてのスラリーがスラリータンクに搬送されるわけではなく、スラリータンクに搬送できずに配管に残留するスラリーが存在する。
【0010】
ここで、スラリータンクに搬送されて保管されるスラリーは、予め設定された範囲の温度に保持されるものの、配管に残留するスラリーは、外部との熱交換などにより熱損失が生じるにつれて、スラリータンクに保管されたスラリーとは異なる温度を有してしまう。
【0011】
また、配管に残留するスラリーが次回の搬送に際してスラリータンクに流れ込むと、配管に残留するスラリーとスラリータンクに保管されたスラリーとの温度差により全体のスラリーの温度にムラが生じ、予め設定された温度から外れるにつれて、スラリーが安定化できず、これにより、最終的には電極のコーティング不良が生じるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明が解決しようとする技術的課題は、スラリーの温度を均一に保持して安定化させ、これにより、電極のコーティング品質を向上させることのできるスラリーの供給装置及びスラリーの供給方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一側面によれば、スラリーを保管するスラリータンクと、前記スラリーの温度の調整のために前記スラリータンクに温水または冷水を供給する温度調整器と、前記スラリータンクと接続されて前記スラリータンクに前記スラリーを供給し、かつ、前記スラリーの温度を調整するために温水または冷水が移動するように設けられる二重管と、を含むスラリーの供給装置が提供可能である。
【0014】
また、前記二重管は、内側に配置されて前記スラリーが流れる内側管と、前記内側管の外側に配置されて前記内側管を囲繞し、前記温水または冷水が流れるように設けられる外側管と、を含んでいてもよい。
【0015】
さらに、前記温度調整器から前記スラリータンクに供給される温水または冷水は、前記スラリータンクを経て前記スラリータンクに接続された二重管の外側管を介して前記温度調整器に再び流れ込むように設けられてもよい。
【0016】
さらにまた、前記温度調整器から供給される温水または冷水により、前記スラリータンクの内部のスラリーと前記二重管に残留するスラリーとが予め設定された範囲の温度を有するように調整されてもよい。
【0017】
さらにまた、前記スラリータンクは2つ設けられ、第1スラリータンクは、第1温度調整器と第1二重管に接続されてスラリーの温度が予め設定された範囲内にあるように調整され、第2スラリータンクは、第2温度調整器と第2二重管に接続され、前記第1スラリータンクに接続されて前記第1スラリータンクからスラリーを供給され、前記第1スラリータンクから供給された前記スラリーが予め設定された温度を有するように調整されてもよい。
【0018】
さらにまた、前記スラリータンクは第3二重管に接続され、前記スラリータンクは、前記第3二重管を介して前記スラリーをスロットダイコーターに供給するように設けられてもよい。
【0019】
さらにまた、前記二重管に接続される二重管温度調整器と、前記二重管に残留するスラリーの温度と、前記スラリータンクに保管されたスラリーの温度をそれぞれ測定する温度センサーと、前記温度センサーの測定値に基づいて、前記二重管に残留するスラリーの温度と、前記スラリータンクに保管されたスラリーの温度が予め設定された範囲を有するように前記温度調整器または前記二重管温度調整器を制御する制御部をさらに含んでいてもよい。
【0020】
さらにまた、前記温度調整器は、前記スラリータンクに温水または冷水を供給するように設けられ、前記二重管温度調整器は、前記二重管に温水または冷水を供給するように設けられてもよい。
【0021】
一方、本発明の他の側面によれば、スラリーの温度の調整のために温度調整器からスラリータンクに温水または冷水を供給するステップと、前記スラリータンクに供給された温水または冷水が前記スラリータンクに接続された二重管に移動するステップと、前記二重管に移動した温水または冷水が前記温度調整器に流れ込むステップと、を含むスラリーの供給方法が提供可能である。
【0022】
また、前記スラリーの供給方法は、前記温度調整器から供給される温水または冷水により、前記スラリータンクの内部のスラリーと前記二重管に残留するスラリーとが予め設定された範囲の温度を有するように調整されるステップを含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の実施形態は、スラリーが供給される二重管に温水または冷水が移動しながら、スラリーの温度を均一に保持して安定化させ、これにより、電極のコーティング品質を向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1実施形態によるスラリーの供給装置の概略的な模式図である。
【
図2】本発明の第1実施形態によるスラリーの供給装置における二重管を示す図である。
【
図3】本発明の第2実施形態によるスラリーの供給装置の概略的な模式図である。
【
図4】本発明の第3実施形態によるスラリーの供給装置の概略的な模式図である。
【
図5】本発明の第4実施形態によるスラリーの供給装置の概略的な模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されるものである。したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを表すものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解されたい。
【0026】
図中、各構成要素またはその構成要素をなす特定の部分の大きさは、説明のしやすさ及び明確性のためにやや誇張して表現されたり、省略されたり、概略的に示されたりしている。したがって、各構成要素の大きさは、実際の大きさを全的に反映するものではない。関連する公知の機能もしくは構成についての具体的な説明が本発明の要旨を余計に曖昧にする虞があると認められる場合にはその詳細な説明を省略する。
【0027】
本明細書中で使用される「結合」または「接続」という用語は、ある一つの部材と他の部材とが直接的に結合されたり直接的に接続されたりする場合だけではなく、ある一つの部材が継ぎ部材を介して他の部材に間接的に結合されたり間接的に接続されたりする場合も含む。
【0028】
図1は、本発明の第1実施形態によるスラリーの供給装置の概略的な模式図であり、
図2は、本発明の第1実施形態によるスラリーの供給装置における二重管を示す図である。
【0029】
図1を参照すると、実線にて示されている矢印は、スラリーの移動方向を示し、点線にて示されている矢印は、温水または冷水の移動方向を示し、これは、他の図面においても同様に適用される。
【0030】
同図を参照すると、本発明の第1実施形態によるスラリーの供給装置10は、スラリータンク100と、温度調整器200と、二重管300と、を含む。
【0031】
図1を参照すると、スラリータンク100は、スラリーを保管するように設けられる。すなわち、スラリータンク100にはスラリーが貯留される。スラリーは、二次電池の電極を作製するために集電体の上に塗布する物質であって、活物質及び導電材など色々な物質が混合されており、流動自在に設けられる。
【0032】
スラリータンク100は、二重管300に接続され、二重管300を介してスラリーが供給される。すなわち、スラリーがミキシングされた後、二重管300を介してスラリータンク100に搬送される。
【0033】
前述したように、スラリーの温度が予め設定された範囲から外れる場合、スロットダイコーターの熱歪みを誘発させてスロットダイコーターとコーティングロールとの間のギャップを変化させる。
【0034】
また、これにより、スラリーのコーティングに際してローディングムラを引き起こして電極のコーティング不良を生じさせる虞があるため、スラリーの温度を予め設定された範囲に保持する必要がある。
【0035】
ここで、スラリーの温度を予め設定された範囲に保持するために、スラリータンク100は、温度調整器200から温水または冷水が供給される。
【0036】
図示はしないが、スラリータンク100は、第1タンクと、第1タンクを囲繞する第2タンクと、を備えた二重構造に形成されてもよい。
【0037】
スラリータンク100の第1タンクの内部にはスラリーが保管され、第1タンクを囲繞する第2タンクは、その内部に温度調整器200から供給される温水または冷水が流れるように設けられてもよく、第2タンクの内部を流れる温水または冷水とスラリーとの熱交換によりスラリーの温度が予め設定された範囲に保持されることが可能になる。
【0038】
温度調整器200は、スラリーの温度の調整のために、スラリータンク100に温水または冷水を供給するように設けられる。
【0039】
前述したように、スラリータンク100が、第1タンクと、第1タンクを囲繞する第2タンクと、を備えた二重構造に形成される場合、温度調整器200は、第2タンクに接続されて第2タンクに温水または冷水を送水する。なお、温水または冷水とスラリーとの熱交換によりスラリーの温度が調整可能である。
【0040】
ここで、温度調整器200からスラリータンク100に供給される流体は、温水または冷水に何ら限定されるものではなく、種々のものが採用可能であるが、以下では、説明のしやすさのために、前記流体が温水または冷水である場合を例にとって説明する。
【0041】
また、温水または冷水の温度は、スラリータンク100の大きさ、スロットダイコーターの材質と大きさなど様々な条件に応じて実験的に決定可能である。
【0042】
二重管300は、スラリータンク100と接続されてスラリータンク100にスラリーを供給し、かつ、スラリーの温度を調整するために温水または冷水が移動するように設けられる。
【0043】
図2を参照すると、二重管300は、内側管310と外側管320を備えていてもよい。内側管310は、内側に配置され、スラリーが流れるように設けられる。例えば、外部のミキシング機においてスラリーがミキシングされた後、二重管300の内側管310を介してスラリータンク100に搬送されて保管される。
【0044】
さらに、外側管320は、内側管310の外側に配置されて内側管310を囲繞し、温水または冷水が流れるように設けられる。外側管320を介して温水または冷水が流れると、温水または冷水が内側管310に接触するため、熱伝導により内側管310を流れるスラリーとの熱交換が行われてスラリーの温度が予め設定された範囲に保持されるように調整することができる。
【0045】
ここで、外側管320に沿って流れる温水または冷水は、温度調整器200から供給された温水または冷水と同一の温水または冷水であってもよく、あるいは、温度調整器200ではなく、別途の装置から供給された温水または冷水であってもよい。
【0046】
第1実施形態及び後述する第2実施形態は、温度調整器200から供給された温水または冷水が二重管300の外側管320に沿って流れるように設けられる。すなわち、スラリータンク100に沿って流れる温水または冷水と、二重管300の外側管320に沿って流れる温水または冷水は、供給源が同一である。
【0047】
さらにまた、後述する第3実施形態及び第4実施形態は、温度調整器200と別設された二重管温度調整器400から供給された温水または冷水が二重管300の外側管320に沿って流れるように設けられる。すなわち、スラリータンク100に沿って流れる温水または冷水と、二重管300の外側管320に沿って流れる温水または冷水は、供給源が同一ではない。
【0048】
一方、第2実施形態から第4実施形態の各二重管300の構造は、第1実施形態の二重管300の構造と共通している。
【0049】
図1を参照すると、温度調整器200からスラリータンク100に供給される温水または冷水は、スラリータンク100を経てスラリータンク100に接続された二重管300の外側管320を介して温度調整器200に再び流れ込むように設けられてもよい。
【0050】
すなわち、温度調整器200から供給される温水または冷水がスラリータンク100の第2タンクに流れ込んでスラリーの温度を予め設定された範囲に保持し、次いで、二重管300の外側管320に移動して二重管300の内側管310に残留するスラリーの温度を予め設定された範囲に保持する。
【0051】
ここで、スラリータンク100に保管されたスラリーの温度を調整する温水または冷水と、二重管300の内側管310に残留するスラリーの温度を調整する温水または冷水は、同一であるため、スラリータンク100に保管されたスラリーの温度と、二重管300の内側管310に残留するスラリーの温度は、同一または略同一に調整可能である。
【0052】
いうまでもなく、温度調整器200から供給される温水または冷水がスラリータンク100の第2タンクに流れ込んでスラリータンク100に保管されたスラリーと熱交換する過程において前記温水または冷水の温度が変わる筈であるが、最初に温度調整器200から供給される温水または冷水とスラリータンク100に保管されたスラリーの温度との差が大きくなければ、熱損失が大きくない筈であるため、このような調整などを通じてスラリータンク100に保管されたスラリーの温度と、二重管300の内側管310に残留するスラリーの温度は、同一または略同一に調整可能である。
【0053】
すなわち、温度調整器200から供給される温水または冷水により、スラリータンク100の内部のスラリーと二重管300に残留するスラリーとが予め設定された範囲の温度、例えば、同一の温度、または全く同一ではないものの、誤差範囲内で略同一の温度を有するように調整されることが可能である。
【0054】
このように、スラリータンク100の内部のスラリーと二重管300に残留するスラリーとが同一または略同一の温度を有することになると、二重管300に残留するスラリーが次回の搬送に際してスラリータンク100に流れ込んだとしても、全体のスラリーの温度の均一性が保持可能であり、これにより、電極のコーティング不良を防ぐことができるという効果がある。
【0055】
以下、添付図面に基づいて、本発明の第1実施形態によるスラリーの供給装置10の作用及び効果について説明する。
【0056】
図1を参照すると、温度調整器200からスラリータンク100に供給される温水または冷水は、スラリータンク100に流れ込んでスラリータンク100に保管されたスラリーの温度を予め設定された範囲に保持する。
【0057】
また、温度調整器200からスラリータンク100に供給された温水または冷水がスラリータンク100を経て二重管300の外側管320に流れ込み、二重管300の内側管310に残留するスラリーの温度を予め設定された範囲に保持する。
【0058】
ここで、温度調整器200から供給される温水または冷水が、スラリータンク100に保管されたスラリーのみならず、二重管300の内側管310に残留するスラリーの温度を調整するので、スラリータンク100の内部のスラリーと二重管300に残留するスラリーとが同一の温度または略同一の温度を有するように調整されるという効果がある。
【0059】
図3は、本発明の第2実施形態によるスラリーの供給装置の概略的な模式図である。但し、前述した本発明の第1実施形態によるスラリーの供給装置において説明した部分と共通する説明は、前述した説明に置き換える。
【0060】
図3を参照すると、第2実施形態の場合、スラリータンク100が2つ設けられるという点で、スラリータンク100が1つである
図1の第1実施形態とは相違点がある。但し、スラリータンク100が2つに限定されることはなく、必要に応じて、さらに多くのスラリータンク100が配備され得る。
【0061】
第1スラリータンク100aは、第1温度調整器200aと第1二重管300aに接続されてスラリーの温度が予め設定された範囲内にあるように調整される。
【0062】
第2スラリータンク100bは、第2温度調整器200bと第2二重管300bに接続され、第1スラリータンク100aに接続されて第1スラリータンク100aからスラリーが供給され、第1スラリータンク100aから供給されたスラリーが予め設定された温度を有するように調整される。
【0063】
ここで、第1スラリータンク100aと、第1温度調整器200a及び第1二重管300aによるスラリーの温度の調整と、第2スラリータンク100bと、第2温度調整器200b及び第2二重管300bによるスラリーの温度の調整は、第1実施形態と共通している。
【0064】
このように、スラリータンク100が複数で設けられれば、スラリーの温度をより一層精度よく調整することができるという効果がある。例えば、第1スラリータンク100aと第1温度調整器200a及び第1二重管300aを介してターゲット温度と略同一の温度を有するように調整した後、第2スラリータンク100bと第2温度調整器200b及び第2二重管300bを介してターゲット温度と同一の温度を有するように調整することができる。
【0065】
図3を参照すると、第2スラリータンク100bは、第3二重管300cに接続されてもよい。第3二重管300cは、第2スラリータンク100bとスロットダイコーターとを接続する。すなわち、第2スラリータンク100bは、第3二重管300cを介してスラリーをスロットダイコーターに供給するように設けられてもよい。
【0066】
ここで、第3二重管300cにより第2スラリータンク100bに保管されたスラリーの温度が均一に保持されながらスロットダイコーターに供給されるので、スロットダイコーターの熱歪みを防ぐことができるという効果がある。
【0067】
一方、スラリータンク100とスロットダイコーターとを接続する第3二重管300cは、第1実施形態においても適用可能である。
【0068】
図4は、本発明の第3実施形態によるスラリーの供給装置の概略的な模式図である。但し、前述した本発明の第1実施形態または第2実施形態によるスラリーの供給装置において説明した部分と共通する説明は、前述した説明に置き換える。
【0069】
図4を参照すると、二重管温度調整器400は、二重管300に接続され、二重管温度調整器400が二重管300に温水または冷水を供給するように設けられる。なお、温度調整器200は、スラリータンク100に温水または冷水を供給するように設けられる。
【0070】
すなわち、スラリータンク100に保管されたスラリーの温度を調整するための温水または冷水と、二重管300に残留するスラリーの温度を調整するための温水または冷水の供給源が互いに異なる。
【0071】
ここで、温度センサー500が配備され、温度センサー500は、二重管300に残留するスラリーの温度を測定し、かつ、スラリータンク100に保管されたスラリーの温度を測定する。二重管300に残留するスラリーの温度を測定するための温度センサー500と、スラリータンク100に保管されたスラリーの温度を測定するための温度センサー500は、それぞれ別々に配備され得る。
【0072】
制御部600は、温度センサー500の測定値に基づいて、二重管300に残留するスラリーの温度と、スラリータンク100に保管されたスラリーの温度が予め設定された範囲を有するように温度調整器または二重管温度調整器400を制御する。これにより、スラリーの温度を均一に保持して安定化させることができる。
【0073】
図5は、本発明の第4実施形態によるスラリーの供給装置の概略的な模式図である。但し、前述した本発明の第1実施形態から第3実施形態によるスラリーの供給装置において説明した部分と共通する説明は、前述した説明に置き換える。
【0074】
図5を参照すると、第4実施形態の場合、スラリータンク100が2つ設けられるという点で、スラリータンク100が1つである
図4の第3実施形態とは相違点がある。但し、スラリータンク100が2つに限定されることはなく、必要に応じて、さらに多くのスラリータンク100が配備され得る。
【0075】
第1スラリータンク100aは、第1温度調整器200aと第1二重管300a及び第1二重管温度調整器400aに接続されてスラリーの温度が予め設定された範囲にあるように調整される。
【0076】
第2スラリータンク100bは、第2温度調整器200bと第2二重管300b及び第2二重管温度調整器400bに接続され、第1スラリータンク100aに接続されて第1スラリータンク100aからスラリーが供給され、第1スラリータンク100aから供給されたスラリーが予め設定された温度を有するように調整される。
【0077】
このように、スラリータンク100が複数で設けられれば、スラリーの温度をより一層精度よく調整することができるという効果がある。これは、前述した第2実施形態と共通している。
【0078】
ここで、第1スラリータンク100aと、第1温度調整器200aと、第1二重管300a及び第1二重管温度調整器400aによるスラリーの温度の調整と、第2スラリータンク100bと、第2温度調整器200bと、第2二重管300b及び第2二重管温度調整器400bによるスラリーの温度の調整は、第3実施形態と共通している。
【0079】
以下、添付図面に基づいて、本発明の一実施形態によるスラリーの供給方法の作用及び効果について説明する。但し、前述した本発明の各実施形態によるスラリーの供給装置10において説明した部分と共通する説明は、前述した説明に置き換える。
【0080】
また、本発明の一実施形態によるスラリーの供給方法において説明した内容のうち、前述した本発明の各実施形態によるスラリーの供給装置10においても適用可能な内容は、前述した本発明の各実施形態によるスラリーの供給装置10にも適用される。
【0081】
まず、スラリーの温度の調整のために、温度調整器200からスラリータンク100に温水または冷水を供給する。ここで、スラリータンク100にはスラリーが保管されている。
【0082】
次いで、スラリータンク100に供給された温水または冷水がスラリータンク100に接続された二重管300に移動する。
【0083】
次いで、二重管300に移動した温水または冷水が温度調整器200に流れ込みながら循環する。
【0084】
これにより、温度調整器200から供給される温水または冷水により、スラリータンク100の内部のスラリーと二重管300に残留するスラリーとが予め設定された範囲の温度を有するように調整されることが可能である。
【0085】
以上、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で様々な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、二次電池の製造過程に用いられるスラリーの供給装置及びスラリーの供給方法に関するものであり、特に、二次電池と関わる産業に利用可能である。