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特許7587711キシロース母液を用いたキシリトール・カラメル色素併産システム、及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】キシロース母液を用いたキシリトール・カラメル色素併産システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 29/151 20060101AFI20241113BHJP
   C07C 29/74 20060101ALI20241113BHJP
   C07C 31/18 20060101ALI20241113BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20241113BHJP
【FI】
C07C29/151
C07C29/74
C07C31/18 A
C07B61/00 300
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023549938
(86)(22)【出願日】2022-10-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 CN2022125220
(87)【国際公開番号】W WO2023124395
(87)【国際公開日】2023-07-06
【審査請求日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】202111644482.0
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520401745
【氏名又は名称】浙江▲華▼康葯▲業▼股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG HUAKANG PHARMACEUTICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 勉
(72)【発明者】
【氏名】徐 偉冬
(72)【発明者】
【氏名】陳 徳水
(72)【発明者】
【氏名】程 新平
(72)【発明者】
【氏名】廖 承軍
(72)【発明者】
【氏名】呉 強
(72)【発明者】
【氏名】楊 武龍
(72)【発明者】
【氏名】秦 淑芳
【審査官】藤代 亮
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109503676(CN,A)
【文献】特表2004-517118(JP,A)
【文献】特開平09-313132(JP,A)
【文献】国際公開第2017/142000(WO,A1)
【文献】特開2016-079169(JP,A)
【文献】特開2000-236900(JP,A)
【文献】特表2000-511198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 29/151
C07C 29/74
C07C 31/18
C07B 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キシロース母液を用いたキシリトール・カラメル色素併産システムであって、
配管を介して順次連通している、キシロース母液を貯蔵するための原料タンクと、キシロース母液中の不純物をろ過するためのフィルタと、それを流れるキシロース母液を脱色処理して、色素液としての保持液と脱色液としての透過液をそれぞれ得るためのナノろ過膜装置と、それを流れる脱色液を脱塩して、イオン交換液を得るための第1イオン交換装置と、それを流れるイオン交換液を、キシロース成分の含有量が高い抽出液とキシロース成分の含有量が低いラフィネートに分離するためのクロマトグラフィー分離装置と、抽出液に精製水素化処理を行ってキシリトール結晶を製造するための精製水素化ユニットと、ラフィネートに褐変反応処理を行ってカラメル色素を製造するための褐変反応ユニットと、を含む、ことを特徴とするキシロース母液を用いたキシリトール・カラメル色素併産システム。
【請求項2】
前記精製水素化ユニットは、抽出液をさらに濃縮するための蒸発濃縮装置と、キシロースを結晶化するための結晶化タンクと、キシロース結晶を貯蔵するためのキシロース結晶貯蔵タンクと、キシロース結晶を溶解し液体として貯蔵するための溶解タンクと、キシロース液に水素化還元反応を行ってキシリトールを生成するための水素化反応釜と、キシリトール液体中のアニオンとカチオンを除去するための第2イオン交換装置と、イオン交換装置で処理された液体材料を結晶化してキシリトール結晶を得るための真空結晶化ユニットとを、含む、ことを特徴とする請求項1に記載のキシロース母液を用いたキシリトール・カラメル色素併産システム。
【請求項3】
前記褐変反応ユニットは、ラフィネートを所定の濃度となるまで濃縮して貯蔵するための濃縮タンクと、ラフィネートを褐変反応させてカラメル色素を製造するための褐変反応釜と、カラメル色素中の固体不純物をろ過するための褐変フィルタと、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のキシロース母液を用いたキシリトール・カラメル色素併産システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のキシロース母液を用いたキシリトール・カラメル色素併産システムを採用しており、
配管を介して原料タンク内のキシロース母液原料をフィルタに送り、一次ろ過による不純物除去処理を行った後、ナノろ過膜装置に送って脱色処理を行うステップ1と、
ナノろ過処理を受けた液体材料を第1イオン交換装置に送って脱塩処理を行い、イオン交換液を得るステップ2と、
イオン交換液をクロマトグラフィー分離装置に送ってクロマトグラフィー分離処理を行った後、キシロース成分の含有量が高い抽出液及びキシロース成分の含有量が低いラフィネートを得て、抽出液を精製水素化ユニットに送って処理して、純度が99%を超えるキシリトール結晶を得て、ラフィネートを褐変反応ユニットで処理してカラメル色素を製造するステップ3と、を含むことを特徴とするキシロース母液を用いたキシリトール・カラメル色素併産方法。
【請求項5】
ステップ1では、キシロース母液の乾物質量百分率濃度である糖濃度が50~60wt%であり、乾物中、グルコースが12~18wt%、キシロースが40~50%wt、アラビノースが17~23wt%、マンノースが10~22wt%、ガラクトースが0~6wt%含まれている、ことを特徴とする請求項4に記載のキシロース母液を用いたキシリトール・カラメル色素併産方法。
【請求項6】
ステップ1では、ナノろ過脱色処理において、ナノろ過膜装置は、運転温度40~48℃、運転圧力25bar~35barであり、収率は90%~98%である、ことを特徴とする請求項4に記載のキシロース母液を用いたキシリトール・カラメル色素併産方法
【請求項7】
ステップ2では、イオン交換脱塩処理において、導電率は50us/cm未満に制御され、収率は90%~98%である、ことを特徴とする請求項4に記載のキシロース母液を用いたキシリトール・カラメル色素併産方法。
【請求項8】
ステップ3では、キシロースを水で溶解し、屈折を50%~60%、pHを5.00~7.00に制御して、0.01質量%~0.02質量%のニッケル触媒を添加し、反応温度を130℃~140℃、蒸気圧を0.4MPa以上、水素化反応の圧力を7.0MPa~9.5MPa、水素化反応時間を60分間~120分間に制御し、ラフィネートを屈折75%~85%となるまで濃縮し、pHを7.00~9.00に調整して、6質量%~12質量%の複合アミノ化合物を触媒として加え、褐変反応の温度を120℃~140℃、褐変反応の時間を60分間~240分間に制御する、ことを特徴とする請求項4に記載のキシロース母液を用いたキシリトール・カラメル色素併産方法。
【請求項9】
ステップ3では、前記精製水素化ユニットによる処理とは、抽出液を蒸発濃縮させて結晶化タンクに入れ、結晶化により得られたキシロースを水で再溶解し、キシロース溶解液を水素化反応釜に送って水素化反応させ、キシリトール溶液を得て、反応終了後、沈降させて触媒を除去し、沈降後の上澄み液を第2イオン交換装置で脱塩処理し、脱塩後の液体材料を真空結晶化ユニットで真空蒸発濃縮してから真空沸騰結晶化を行い、キシリトール結晶を析出させ、最後に遠心分離してベークし、キシリトール結晶を得ることである、ことを特徴とする請求項4に記載のキシロース母液を用いたキシリトール・カラメル色素併産方法。
【請求項10】
ステップ3では、前記褐変反応ユニットによる処理とは、得られたラフィネートに対して濃縮、褐変反応及びろ過処理を行って、赤色指数が7を超え、610nmでの吸光度が0.07を超えるカラメル色素液体を得ることである、ことを特徴とする請求項4に記載のキシロース母液を用いたキシリトール・カラメル色素併産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キシロース母液を利用する技術分野に属し、特にキシロース母液を用いたキシリトール・カラメル色素併産システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キシリトールを生産する手段として、トウモロコシの芯や茎などを原料とし、その中のキシロースを抽出し、水素化してキシリトールを製造することが多い。また、キシロースを抽出して得られたキシロース母液中のキシロース成分の含有量は依然として非常に高く、もしキシロース母液中のキシロース成分を再度抽出してキシリトールを調製し、そして生成したクロマトグラフィー分離抽出液をカラメル色素に調製することができれば、資源やエネルギーの利用により有利である。公開番号CN109503676Aの特許は、キシロース母液からキシリトール及び混合シロップを調製する方法を紹介しており、キシロース母液を前処理、クロマトグラフィー分離、活性炭脱色、イオン交換脱塩、蒸発結晶化、水素化精製などの工程によりキシリトール結晶及び混合シロップを製造したが、混合シロップを再利用しておらず、キシロース母液の本来の価値を低下させている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする技術的課題は、ナノろ過膜による分離脱色、イオン交換による脱塩によって、キシロースの収率を高め、また、キシロースのクロマトグラフィー分離によるラフィネートを再利用することによって、カラメル色素である付加製品を得ることで、キシロース母液の利用価値を高める、キシロース母液を用いたキシリトール・カラメル色素併産システム、及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、以下のように達成される。キシロース母液を用いたキシリトール・カラメル色素併産システムであって、配管を介して順次連通している、キシロース母液を貯蔵するための原料タンクと、キシロース母液中の不純物をろ過するためのフィルタと、それを流れるキシロース母液を脱色処理して、色素液としての保持液と脱色液としての透過液をそれぞれ得るためのナノろ過膜装置と、それを流れる脱色液を脱塩して、イオン交換液を得るための第1イオン交換装置と、それを流れるイオン交換液を、キシロース成分の含有量が高い抽出液とキシロース成分の含有量が低いラフィネートに分離するためのクロマトグラフィー分離装置と、抽出液に精製水素化処理を行ってキシリトール結晶を製造するための精製水素化ユニットと、ラフィネートに褐変反応処理を行ってカラメル色素を製造するための褐変反応ユニットと、を含む、システムを提供する。
【0005】
さらに、前記精製水素化ユニットは、抽出液をさらに濃縮するための蒸発濃縮装置と、キシロースを結晶化するための結晶化タンクと、キシロース結晶を貯蔵するためのキシロース結晶貯蔵タンクと、キシロース結晶を溶解し液体として貯蔵するための溶解タンクと、キシロース液に水素化還元反応を行ってキシリトールを生成するための水素化反応釜と、キシリトール液体中のアニオンとカチオンを除去するための第2イオン交換装置と、イオン交換装置で処理された液体材料を結晶化してキシリトール結晶を得るための真空結晶化ユニットとを、含む。
【0006】
さらに、前記褐変反応ユニットは、ラフィネートを所定の濃度となるまで濃縮して貯蔵するための濃縮タンクと、ラフィネートを褐変反応させてカラメル色素を製造するための褐変反応釜と、カラメル色素中の固体不純物をろ過するための褐変フィルタと、を含む。
【0007】
本発明は、以下のように達成される。上記のキシロース母液を用いたキシリトール・カラメル色素併産システムを採用しており、
配管を介して原料タンク内のキシロース母液原料をフィルタに送り、一次ろ過による不純物除去処理を行った後、ナノろ過膜装置に送って脱色処理を行うステップ1と、
ナノろ過処理を受けた液体材料を第1イオン交換装置に送って脱塩処理を行い、イオン交換液を得るステップ2と、
イオン交換液をクロマトグラフィー分離装置に送ってクロマトグラフィー分離処理を行った後、キシロース成分の含有量が高い抽出液及びキシロース成分の含有量が低いラフィネートを得て、抽出液を精製水素化ユニットに送って処理して、純度が99%を超えるキシリトール結晶を得て、ラフィネートを褐変反応ユニットで処理してカラメル色素を製造するステップ3と、を含む、ことを特徴とするキシロース母液を用いたキシリトール・カラメル色素併産方法を提供する。
【0008】
さらに、ステップ1では、キシロース母液の乾物質量百分率濃度である糖濃度が50~60wt%であり、乾物中、グルコースが12~18wt%、キシロースが40~50%wt、アラビノースが17~23wt%、マンノースが10~22wt%、ガラクトースが0~6wt%含まれている。
【0009】
さらに、ステップ1では、ナノろ過脱色処理において、ナノろ過膜装置は、運転温度40~48℃、運転圧力25bar~35barであり、収率は90%~98%である。
【0010】
さらに、ステップ2では、イオン交換脱塩処理において、導電率は50us/cm未満に制御され、収率は90%~98%である。
【0011】
さらに、ステップ3では、キシロースを水で溶解し、屈折を50%~60%、pHを5.00~7.00に制御して、0.01質量%~0.02質量%のニッケル触媒を添加し、反応温度を130℃~140℃、蒸気圧を0.4MPa以上、水素化反応の圧力を7.0MPa~9.5MPa、水素化反応時間を60分間~120分間に制御し、ラフィネートを屈折75%~85%となるまで濃縮し、pHを7.00~9.00に調整して、6質量%~12質量%の複合アミノ化合物(尿素と炭酸アンモニウムを1:2~2:1の配合比で配合したもの)を触媒として加え、褐変反応の温度を120℃~140℃、褐変反応の時間を60分間~240分間に制御する。
【0012】
さらに、ステップ3では、前記精製水素化ユニットによる処理とは、抽出液を蒸発濃縮させて結晶化タンクに入れ、結晶化により得られたキシロースを水で再溶解し、キシロース溶解液を水素化反応釜に送って水素化反応させ、キシリトール溶液を得て、反応終了後、沈降させて触媒を除去し、沈降後の上澄み液を第2イオン交換装置で脱塩処理し、脱塩後の液体材料を真空結晶化ユニットで真空蒸発濃縮してから真空沸騰結晶化を行い、キシリトール結晶を析出させ、最後に遠心分離してベークし、キシリトール結晶を得ることである。
【0013】
さらに、ステップ3では、前記褐変反応ユニットによる処理とは、得られたラフィネートに対して濃縮、褐変反応及びろ過処理を行って、赤色指数が7を超え、610nmでの吸光度が0.07を超えるカラメル色素液体を得る。
【発明の効果】
【0014】
従来技術と比べて、本発明のキシロース母液を用いたキシリトール・カラメル色素併産システム、及び方法は、以下の特徴がある。
1、本発明は、ナノろ過膜分離技術を用いてキシロース母液を脱色することで、生産の収率を向上させる。
【0015】
2、ラフィネートを濃縮してから褐変反応及びろ過処理をして、色度が20000EBC、赤色指数が7と高いカラメル色素製品を得る。
【0016】
3、ラフィネートを用いてカラメル色素を製造すると、還元糖の利用率が70%以上に達し、ラフィネートの価値も1倍向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のキシロース母液を用いたキシリトール・カラメル色素併産システムの原理概略図である。
図2】本発明のキシロース母液を用いたキシリトール・カラメル色素併産の流れの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明が解決しようとする技術的課題、技術的解決手段及び有益な効果をより明確にするために、以下、図面及び実施例を参照して、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、ここで説明される特定実施例は本発明を解釈するために過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0019】
また、図1及び図2に示すように、本発明のキシロース母液を用いたキシリトール・カラメル色素併産システムの好適な実施例は、配管を介して順次連通している、原料タンク1、フィルタ2、ナノろ過膜装置3、第1イオン交換装置4、クロマトグラフィー分離装置5、精製水素化ユニット6、及び褐変反応ユニット7を含む。
【0020】
原料タンク1はキシロース母液Aを貯蔵することに用いられ、前記キシロース母液Aは、キシロースを利用してキシリトールを製造する過程において、バイオマス原料からキシロース成分を抽出して得た副生成物であり、前記キシロース母液A中、乾物質量百分率濃度である糖濃度が50~60wt%であり、乾物中、グルコースが12~18wt%、キシロースが40~50%wt、アラビノースが17~23wt%、マンノースが10~22wt%、ガラクトースが0~6wt%含まれている。
【0021】
フィルタ2は、キシロース母液A中の不純物をろ過することに用いられる。ナノろ過膜装置3は、それを流れるキシロース母液を脱色処理して、色素液としての保持液と脱色液としての透過液とをそれぞれ得ることに用いられる。第1イオン交換装置4は、それを流れるキシロース母液の脱色液を脱塩して、イオン交換液Bを得ることに用いられ、クロマトグラフィー分離装置5は、それを流れるイオン交換液Bを、キシロース成分の含有量が高い抽出液Cとキシロース成分の含有量が低いラフィネートDに分離することに用いられる。精製水素化ユニット6は、抽出液Cに精製水素化処理を行ってキシリトール結晶Eを製造することに用いられ、褐変反応ユニット7は、ラフィネートDに褐変反応を行ってカラメル色素Fを製造することに用いられる。
【0022】
具体的には、前記精製水素化ユニット6は、蒸発濃縮装置61、結晶化タンク62、キシロース結晶貯蔵タンク63、溶解タンク64、水素化反応釜65、第2イオン交換装置66、及び真空結晶化ユニット67を含む。蒸発濃縮装置61は、抽出液Cをさらに濃縮することに用いられ、結晶化タンク62は、キシロースを結晶化することに用いられ、キシロース結晶貯蔵タンク63は、キシロース結晶を貯蔵することに用いられ、溶解タンク64は、キシロース結晶を溶解し液体として貯蔵することに用いられ、水素化反応釜65は、キシロース液に水素化還元反応を行ってキシリトールEを生成することに用いられ、第2イオン交換装置66は、キシリトールE液体中のアニオンとカチオンを除去することに用いられ、真空結晶化ユニット67は、イオン交換装置で処理された液体材料を結晶化してキシリトール結晶Eを得ることに用いられる。
【0023】
具体的には、前記褐変反応ユニット7は、濃縮タンク71、褐変反応釜72、及び褐変フィルタ73を含む。濃縮タンク71は、ラフィネートDを所定の濃度となるまで濃縮して貯蔵することに用いられ、褐変反応釜72は、ラフィネートDを褐変反応させてカラメル色素Fを製造することに用いられ、褐変フィルタ73は、カラメル色素F中の固体不純物をろ過することに用いられる。
【0024】
本発明はまた、前記キシロース母液を用いたキシリトール・カラメル色素併産システムを採用しており、
配管を介して原料タンク1内のキシロース母液A原料をフィルタ2に送り、一次ろ過による不純物処理を行った後、ナノろ過膜装置3に送って脱色処理を行うステップ1と、
ナノろ過処理を受けた液体材料を第1イオン交換装置4に送って脱塩処理を行い、イオン交換液を得るステップ2と、
イオン交換液をクロマトグラフィー分離装置5に送ってクロマトグラフィー分離処理を行った後、キシロース成分の含有量が高い抽出液Cとキシロース成分の含有量が低いラフィネートDを得て、抽出液Cを精製水素化ユニット6に送って処理して、純度が99%を超えるキシリトールE結晶を得て、ラフィネートDを褐変反応ユニット7で処理して、カラメル色素Fを製造するステップ3と、を含む、キシロース母液を用いたキシリトール・カラメル色素併産方法を開示する。
【0025】
具体的には、ステップ1では、ナノろ過脱色処理において、ナノろ過膜装置3は、運転温度40~48℃、運転圧力25bar~35barであり、収率は90%~98%である。
【0026】
具体的には、ステップ2では、イオン交換脱塩処理において、導電率は50us/cm未満に制御され、収率は90%~98%である。
【0027】
具体的には、ステップ3では、キシロースを水で溶解し、屈折を50%~60%、pHを5.00~7.00に制御して、0.01質量%~0.02質量%のニッケル触媒を添加し、反応温度を130℃~140℃、蒸気圧を0.4MPa以上、水素化反応の圧力を7.0MPa~9.5MPa、水素化反応時間を60分間~120分間に制御する。ラフィネートDを屈折75%~85%となるまで濃縮し、pHを7.00~9.00に調整して、6質量%~12質量%の複合アミノ化合物(尿素と炭酸アンモニウムを1:2~2:1の配合比で配合したもの)を触媒として加え、褐変反応の温度を120℃~140℃、褐変反応の時間を60分間~240分間に制御する。
【0028】
ステップ3では、前記精製水素化ユニット6による処理とは、抽出液Cを蒸発濃縮させて結晶化タンク62に入れ、結晶化により得られたキシロースを水で再溶解し、キシロース溶解液を水素化反応釜65に送って水素化反応させ、キシリトール溶液を得て、反応終了後、沈降させて触媒を除去し、沈降後の上澄み液を第2イオン交換装置66で脱塩処理し、脱塩後の液体材料を真空結晶化ユニット67で真空蒸発濃縮してから真空沸騰結晶化を行い、キシリトールE結晶を析出させ、最後に遠心分離してベークし、キシリトールE結晶を得ることである。
【0029】
ステップ3では、前記褐変反応ユニット7による処理とは、得られたラフィネートDに対して濃縮、褐変反応及びろ過処理を行って、赤色指数が7を超え、610nmでの吸光度が0.07を超えるカラメル色素F液体を得ることである。
【0030】
以下、特定実施例によって本発明のキシロース母液を用いたキシリトール・カラメル色素併産システム、及び方法をさらに説明する。
【0031】
(実施例1)
本発明のキシロース母液を用いたキシリトール・カラメル色素併産システム、及び方法の第1実施例では、以下のステップ1~ステップ5を含む。
ステップ1:配管を介して原料タンク1中の屈折60wt%のキシロース母液A原料をフィルタ2に送り、一次ろ過による不純物除去処理を行った後、運転温度45℃、運転圧力30barのナノろ過膜装置3に送って脱色処理を行う。
【0032】
ステップ2:ナノろ過処理後の材料を第1イオン交換装置4に送って脱塩処理を行い、導電率を50us/cm未満に制御する。
【0033】
ステップ3:第1イオン交換装置4で処理したイオン交換液をクロマトグラフィー分離装置5に送ってクロマトグラフィー分離処理を行った後、得られたキシロースの含有量が高い抽出液Cを精製、結晶化、水素化に供して、純度が99%を超えるキシリトールEを得る。クロマトグラフィー分離処理により得られたキシロースの含有量が低いラフィネートDを褐変反応に供給する。脱色脱塩プロセスでは、収率は95%であり、最終的なキシロース結晶収率は48%である。
【0034】
ステップ4:得られたクロマトグラフィー分離抽出液Cを蒸発濃縮してから結晶化タンク62に入れ、結晶化により得られたキシロースを水で再溶解し、屈折を60%、pHを5.00に制御して、0.015質量%のニッケル触媒を加え、反応温度を135℃、蒸気圧を0.4MPa以上に制御して、水素化反応釜65に送って水素化反応させ、水素化反応の圧力を8MPa、反応時間を90分間に制御する。水素化反応終了後、沈降させて触媒を除去し、水素化液を第2イオン交換装置66で脱塩し、脱塩後の液体材料を真空結晶化ユニット67で処理し、キシリトールE結晶を析出させ、最後に遠心分離してベークし、純度99%のキシリトールE結晶を得る。
【0035】
ステップ5:得られたラフィネートDを屈折80%となるまで濃縮し、pHを9.00に調整して、9質量%の複合アミノ化合物(尿素と炭酸アンモニウムを1:2の配合比で配合したもの)を触媒として添加し、褐変反応温度を120℃に制御し、240分間褐変反応させて、色度20000EBC、赤色指数7.1、610nmでの吸光度0.078のカラメル色素F液体を得る。
【0036】
ラフィネートD中の還元糖の利用率は70%(ドライベース)に達する。
【0037】
利用率=褐変反応還元糖消費量÷ラフィネート母液還元糖全量。
【0038】
ラフィネートで製造されたカラメル色素は販売価格が3000元/トンであり、ラフィネートの価値が顕著に向上する。
【0039】
<比較例1>
キシロース母液をキシリトールの製造に直接用い、具体的なステップとしては、配管を介して、原料タンク1中の屈折60wt%のキシロース母液原料をフィルタ2に送り、一次ろ過による不純物除去処理を行った後、0.5%の活性炭を入れた脱色タンクで脱色処理を行い、その後、プレート&フレームによる加圧ろ過を行い、ろ液を第1イオン交換ユニット4に送って脱塩処理し、脱色脱塩の収率は85%である。次に、クロマトグラフィー分離、蒸発濃縮、結晶遠心分離を経て、最終的なキシロース結晶収率は45%(ドライベース)である。水素化すると、キシリトールが得られる。大量のラフィネートは効果的に利用されておらず、混合シロップとして処理され、混合シロップの販売価格が1500元/トンで、ラフィネートの価値が向上されていない。
【0040】
前記のように、ナノろ過脱色、イオン交換脱塩処理を経ると、キシロース結晶収率は45%から48%に向上する。ラフィネートの高価値化利用により、販売価格1500元/トンのラフィネートが3000元/トンのカラメル色素に変わり、キシロース母液の価値が大幅に向上する。
【0041】
以上は本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の主旨及び原則を逸脱することなく行われるすべての修正、同等置換及び改良などは、本発明の特許範囲に含まれるものとする。
図1
図2