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特許7587716デバイスのパフォーマンスを向上させるための処理
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】デバイスのパフォーマンスを向上させるための処理
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/318 20060101AFI20241113BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20241113BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
H01L21/318 C
H01L21/316 S
H01L21/316 X
H01L21/31 E
H01L21/31 C
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023553212
(86)(22)【出願日】2022-03-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 US2022018427
(87)【国際公開番号】W WO2022187299
(87)【国際公開日】2022-09-09
【審査請求日】2023-11-02
(31)【優先権主張番号】17/192,213
(32)【優先日】2021-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ハング, スティーブン シー.エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ドン, リン
(72)【発明者】
【氏名】コロンボー, ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】スウェンバーグ, ヨハネス エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ワーン, リンリン
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-529789(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0287199(US,A1)
【文献】特表2009-536459(JP,A)
【文献】特表2009-506537(JP,A)
【文献】特開2008-060412(JP,A)
【文献】特表2007-504652(JP,A)
【文献】特表2004-511101(JP,A)
【文献】特開平11-150357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/318
H01L 21/316
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体構造を形成する方法であって、
水素(H )がケイ素表面と反応して水素-ケイ素(H-Si)結合を有する滑らかな表面を形成するように、基板の表面を500℃~600℃の範囲の温度で、水素(H )雰囲気中でアニーリングすることと、
次いで、処理システム内で、真空を破ることなく前記滑らかな表面の直上に高誘電率誘電体層を堆積させることであって、前記高誘電率誘電体層は、堆積時に空孔及び欠陥を有する、高誘電率誘電体層を堆積させることと、
前記滑らかな表面を熱酸化して、前記高誘電率誘電体層との界面で前記基板の前記ケイ素表面に酸化物含有界面層を形成するために、酸素(O )、亜酸化窒素(N O)、及び水素(H )雰囲気中で、400℃~900℃の範囲の温度で前記高誘電率誘電体層を介して再酸化処理を実行することと、
前記高誘電率誘電体層に窒素原子を挿入して、プラズマ窒化された高誘電率誘電体層を形成するために、プラズマ窒化処理を実行することと、
前記プラズマ窒化された高誘電率誘電体層内の化学結合を不動態化し、前記基板の前記ケイ素表面の水素-ケイ素(H-Si)結合を切断するために、窒化後アニーリング処理を実行することと
を含み、
前記高誘電率誘電体層の堆積、前記再酸化処理の実行、前記プラズマ窒化処理の実行、および前記窒化後アニーリング処理の実行は、真空を破ることなく前記処理システムで実行される、方法。
【請求項2】
前記プラズマ窒化処理が、窒素(N)とアンモニア(NH)の混合物を含むプラズマに前記高誘電率誘電体層を曝すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記窒化後アニーリング処理が、窒素(N)及びアルゴン(Ar)雰囲気中で700℃~850℃の範囲の温度で前記高誘電率誘電体層をスパイクアニーリングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記プラズマ窒化処理の前に、前記高誘電率誘電体層を硬化及び緻密化するために、堆積後アニーリング処理を実行することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記堆積後アニーリング処理が、窒素(N)及びアルゴン(Ar)雰囲気中で500℃~800℃の範囲の温度で前記高誘電率誘電体層をアニーリングすることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記高誘電率誘電体層が酸化ハフニウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
半導体構造を形成する方法であって、
滑らかな表面を形成するために、基板の表面を500℃~600℃の範囲の温度で、水素(H )雰囲気中でアニーリングすることと、
前記滑らかな表面上に高誘電率誘電体層を形成することと、
前記基板を熱酸化するために、再酸化処理を実行することと、
前記高誘電率誘電体層に窒素原子を挿入して、プラズマ窒化された高誘電率誘電体層を形成するために、プラズマ窒化処理を実行することと、
前記プラズマ窒化された高誘電率誘電体層内の化学結合を不動態化するために、窒化後アニーリング処理を実行することと
を含む、方法。
【請求項8】
前記半導体構造を形成することが、真空を破ることなく処理システム内で実行される、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記基板の前記表面をアニーリングすることが、記基板をスパイクアニーリングすることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記高誘電率誘電体層が酸化ハフニウムを含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記プラズマ窒化処理が、窒素(N)とアンモニア(NH)の混合物を含むプラズマに前記高誘電率誘電体層を曝すことを含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記滑らかな表面上に前記高誘電率誘電体層を形成することの前に、前記滑らかな表面を前洗浄することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記基板の前記表面をアニーリングすることの前に、前記基板の前記表面を前洗浄することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記窒化後アニーリング処理が、窒素(N)及びアルゴン(Ar)雰囲気中で700℃~850℃の範囲の温度で前記高誘電率誘電体層をスパイクアニーリングすることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項15】
前記プラズマ窒化処理の前に、前記高誘電率誘電体層を硬化及び緻密化するために堆積後アニーリング処理を実行することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項16】
前記堆積後アニーリング処理が、窒素(N)及びアルゴン(Ar)雰囲気中で500℃~800℃の範囲の温度で前記高誘電率誘電体層をアニーリングすることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
第1の処理チャンバと、
第2の処理チャンバと、
第3の処理チャンバと、
第4の処理チャンバと、
第5の処理チャンバと、
システムコントローラと、を含む処理システムであって、
前記システムコントローラが、
前記第1の処理チャンバ内で、滑らかな表面を形成するために、基板の表面を500℃~600℃の範囲の温度で、水素(H )雰囲気中でアニーリングし
前記第2の処理チャンバ内の前記基板の前記表面上に高誘電率誘電体層を堆積させ、
前記第3の処理チャンバ内で前記堆積された高誘電率誘電体層を窒素プラズマに曝して、プラズマ窒化された高誘電率誘電体層を形成し、
前記第4の処理チャンバ内で前記基板の前記表面を熱酸化するために再酸化処理を実行し、そして
前記第5の処理チャンバ内で前記プラズマ窒化れた高誘電率誘電体層をアニーリングするよう構成され
前記基板が、前記処理システム内の真空環境を破壊することなく、前記第1、第2、第3、第4、及び第5の処理チャンバの間で移送される、処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、概して、半導体デバイス、システム、プロセス、装置、及び製造に関する。より詳細には、実施形態は、ゲート構造におけるデバイス性能を向上させるための処理に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)は、高いデバイス性能と低消費電力を達成するためにサイズが縮小されているため、従来の二酸化ケイ素(SiO)ゲート誘電体の厚さは物理的限界まで減少した。その結果、さらなるスケーリングを達成するには、二酸化ケイ素のゲート誘電体を高誘電率誘電体材料に置き換えることが避けられなった。様々な高誘電率誘電体材料の中で、酸化ハフニウム(HfO)は、ケイ素基板上での高い誘電率と優れた熱安定性により、45nm MOSFETテクノロジーノード以来適用されてきた。しかしながら、32nm MOSFETテクノロジーノード以降の等価酸化膜厚(EOT)をさらにスケーリングするために、高誘電率誘電体材料層の厚さを単純に減少させると、高誘電率誘電体材料層を通る漏れ電流が増加するため問題が発生する。
【0003】
[0003]したがって、所望の構造的特性及び電気的特性を確保するために制御できる化学構造を有する薄い(例えば、1nm未満のEOT)高誘電率誘電体材料層を形成するために使用できるシステム及び方法が必要である。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本開示の1つ又は複数の実施形態は、半導体デバイスを形成する方法に関する。1つ又は複数の実施形態では、本方法は、基板の表面をアニーリングして滑らかな表面を形成することと、滑らかな表面を前洗浄して、前洗浄された表面を形成することと、前洗浄された表面上に高誘電率誘電体層を堆積させることと、基板を熱酸化するために再酸化処理を実行することと、高誘電率誘電体層に窒素原子を挿入して、プラズマ窒化された高誘電率誘電体層を形成するために、プラズマ窒化処理を実行することと、プラズマ窒化された高誘電率誘電体層内の化学結合を不動態化するために窒化後のアニールプロセスを実行することと、を含む。
【0005】
[0005]本開示の1つ又は複数の実施形態は、半導体デバイスを形成する方法に関する。1つ又は複数の実施形態では、本方法は、基板の表面をアニーリングして滑らかな表面を形成することと、基板の表面上に高誘電率誘電体層を形成することと、基板の表面を熱酸化するために再酸化処理を実行することと、高誘電率κ誘電体層に窒素原子を挿入して、プラズマ窒化された高誘電率誘電体層を形成するためにプラズマ窒化プロセスを実行することと、プラズマ窒化された高誘電率誘電体層内の化学結合を不動態化するために窒化後アニーリング処理を実行することと、を含む。
【0006】
[0006]本開示の他の実施形態は、処理システムに関する。1つ又は複数の実施形態では、処理システムは、第1の処理チャンバと、第2の処理チャンバと、第3の処理チャンバと、第4の処理チャンバと、第5の処理チャンバと、システムコントローラとを含み、システムコントローラは、第1の処理チャンバ内で、滑らかな表面を形成するために基板の表面をアニーリングし、第2の処理チャンバ内の基板の表面上に高誘電率誘電体層を堆積させ、第3の処理チャンバ内でプラズマ窒化された高誘電率誘電体層を形成するために、堆積された高誘電率誘電体層を窒素プラズマに曝し、第4の処理チャンバ内で基板の表面を熱酸化するために再酸化処理を実行し、そして第5の処理チャンバ内でプラズマ窒化処理された高誘電率誘電体層をアニーリングするように構成されており、基板は、処理システム内の真空環境を破壊することなく、第1、第2、第3、第4、及び第5の処理チャンバの間で移送される。
【0007】
[0007]本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約した本開示のより詳細な説明を、実施形態を参照することによって行うことができ、そのいくつかを添付の図面に示す。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、その範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】[0008]1つ又は複数の実施形態による例示的なマルチチャンバ処理システムの概略上面図である。
図2】[0009]1つ又は複数の実施形態による半導体構造を形成する方法の処理フロー図である。
図3A-3B】[0010]1つ又は複数の実施形態による半導体構造の概略図である。
図4】[0011]1つ又は複数の実施形態による半導体構造を形成する方法の処理フロー図を示す。
図5A-5F】[0012]1つ又は複数の実施形態による例示的な基板の概略断面図を示す。
図6】[0013]1つ又は複数の実施形態による半導体構造を形成する方法の処理フロー図である。
図7A-7B】[0014]図7のA及びBは、1つ又は複数の実施形態による半導体構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0015]理解が容易になるよう、可能な場合には、複数の図に共通する同一の要素を指し示すために同一の符号を使用した。一実施形態の構成要素及び特徴は、さらなる記述がなくとも、他の実施形態に有益に組み込まれ得ると想定されている。
【0010】
[0016]本開示のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示は、以下の説明に記載される構成又はプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施又は実行することができる。本開示は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施又は実行することができる。
【0011】
[0017]ゲート構造の寸法が小さくなるにつれて、改善をもたらす新しい材料構造が模索されている。高誘電率誘電体材料を使用すると、酸化ケイ素などの材料を使用する従来のゲート構造よりもゲート構造の誘電率が増加する。しかしながら、酸化ケイ素と同様に、ゲート構造の厚さが減少すると、リーク電流が増加する。例えば、実効酸化膜厚が減少すると、ゲートリークが増加する。したがって、ゲートリークと実効酸化膜厚との間の反比例の関係は、トランジスタ及び製造されるデバイスの性能に制限を形成する可能性がある。
【0012】
[0018]高誘電率誘電体材料は、同様の厚さの酸化ケイ素よりも大きなチャネル移動度を提供する可能性がある。業界では、ゲートリークを増加させずに、より薄い実効酸化膜厚を追求し続けているため、既知の高誘電率材料の誘電率(「κ値」とも呼ばれる)を最大化する取り組みは、形態学的特性により限界に達しつつある。従来の技術は、κ値の上限を設定する可能性がある高誘電率材料の自然な特性を克服するのに苦労しているが、これにより、κ値の上限が設定される可能性があり、その後、新しい膜を組み込む際のデバイスの改造が行われる可能性があ
【0013】
[0019]本明細書に記載される実施形態は、高誘電率誘電体材料の特性を改善するためのシステム及び方法を提供する。特定の形態又は粒子構造を示す高誘電率誘電体材料を生成することにより、より高い誘電率とそれに伴うデバイス性能の向上が可能になる可能性がある。例示的なデバイスにおける粒子形成を制御するために、特定の粒子成長を誘導できる活性化された基板表面を提供するために処理が実行され、さらには、形成後の膜を安定させるため、誘電率が高くなる可能性がある。
【0014】
[0020]本明細書に記載される実施形態は、膜堆積前に基板、例えばケイ素の表面を滑らかにする水素アニーリング処理を提供する。その後の高温アニーリング処理中に、水素とケイ素の結合が切断され、水素が不動態化される。これは、最終デバイスの形成を通じて水素とケイ素の結合が維持される標準的な水素不動態化処理とは異なる。
【0015】
[0021]この明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、「基板」という用語は、プロセスが作用する表面又は表面の一部を指す。文脈が明らかに他のことを示さない限り、基板への言及はまた、基板の一部のみを指すことができることも当業者によって理解されるであろう。さらに、基板上への堆積への言及は、剥き出しの基板と、その上に堆積又は形成された1つ又は複数の膜若しくはフィーチャを有する基板の両方を意味することができる。。
【0016】
[0022]ここで使用される「基板」は、製造処理中に膜処理が実行される基板上に形成された任意の基板又は材料表面を指す。例えば、その上で処理が実行可能である基板表面は、用途に応じて、ケイ素、酸化ケイ素、歪みシリコン、シリコン・オン・インシュレータ(silicon on insulator:SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、アモルファスシリコン、ドープされたケイ素、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイアなどの材料、並びに金属、金属窒化物、金属合金、及びその他の導電性材料といった他の任意の材料を含む。基板は、半導体ウエハを含むが、これらに限定されない。基板を、前処理プロセスに曝して、基板表面を研磨、エッチング、還元、酸化、ヒドロキシル化、アニーリング及び/又はベークすることができる。基板自体の表面上で直接膜処理することに加えて、本開示では、開示される膜処理ステップのいずれも、以下により詳細に開示されるように、基板上に形成された下層上で実行され得、また、「基板表面」という用語は、文脈が示すような下層を含むことを意図している。それゆえ、例えば、膜/層又は部分的な膜/層が基板表面上に堆積された場合、新たに堆積された膜/層の露出面が基板表面になる。
【0017】
[0023]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される「前駆体」、「反応物」、「反応性ガス」などの用語は、基板表面と反応できる任意のガス種を指すために互換的に使用される。
【0018】
[0024]図1は、本開示のいくつかの例によるマルチチャンバ処理システム100の一例の概略上面図である。処理システム100は、概して、ファクトリインターフェース102、ロードロックチャンバ104、106、それぞれの移送ロボット112、114を備えた移送チャンバ108、110と、保持チャンバ116、118と、処理チャンバ120、122、124、126、128、130とを含む。本明細書で詳しく説明するように、処理システム100内のウエハは、処理システム100の外部の周囲環境にウエハを曝すことなく、様々なチャンバ内で処理され、また、様々なチャンバ間で移送されることができる(例えば、工場内に存在する可能性のある大気周囲環境)。例えば、ウエハは、処理システム100内のウエハに対して実行される様々な処理の間に、低圧又は真空環境を破壊することなく、低圧(例えば、約300Torr以下)、又は真空環境において、様々なチャンバ内で処理され、様々なチャンバ間で移送することができる。したがって、処理システム100は、ウエハの一部の処理のための統合ソリューションを提供することができる。
【0019】
[0025]本明細書で提供される教示に従って適切に修正され得る処理システムの例は、カリフォルニア州サンタクララにあるApplied Materials,Inc.から市販されているEndura(登録商標)、Producer(登録商標)又はCentura(登録商標)統合処理システム、又は他の適切な処理システムを含む。他の処理システム(他の製造業者によるものを含む)が、本明細書に記載される態様から利益を得るように適合され得ることが考えられる。
【0020】
[0026]図1に示される例では、ファクトリインターフェース102は、ウエハの移送を容易にするためにドッキングステーション140及びファクトリインターフェースロボット142を含む。ドッキングステーション140は、1つ又は複数の前方開口型統一ポッド(FOUP)144を受け入れるように構成されている。いくつかの例では、各ファクトリインターフェースロボット142は、概して、ファクトリインターフェース102からロードロックチャンバ104、106にウエハを移送するように構成された各ファクトリインターフェースロボット142の一端に配置されたブレード148を含む。
【0021】
[0027]ロードロックチャンバ104、106は、ファクトリインターフェース102に結合されたそれぞれのポート150、152と、移送チャンバ108に結合されたそれぞれのポート154、156とを有する。移送チャンバ108はさらに、保持チャンバ116、118に結合されたそれぞれのポート158、160と、処理チャンバ120、122に結合されたそれぞれのポート162、164とを有する。同様に、移送チャンバ110は、保持チャンバ116、118に結合されたそれぞれのポート166、168と、処理チャンバ124、126、128、130に結合されたそれぞれのポート170、172、174、176とを有する。ポート154、156、158、160、162、164、166、168、170、172、174、176は、例えば、移送ロボット112、114によってウエハを通過させ、各チャンバ間にガスが通過するのを防止するために各チャンバ間にシールを提供するためのスリットバルブを備えたスリットバルブ開口部であることができる。一般に、どのポートもウエハを移送するために開いている。それ以外の場合、ポートは閉じられる。
【0022】
[0028]ロードロックチャンバ104、106、移送チャンバ108、110、保持チャンバ116、118、及び処理チャンバ120、122、124、126、128、130は、ガス及び圧力制御システム(特に図示せず)に流体的に接続することができる。ガス及び圧力制御システムは、1つ又は複数のガスポンプ(例えば、ターボポンプ、クライオポンプ、粗引きポンプ)、ガス源、様々なバルブ、及び様々なチャンバに流体的に結合された導管を含むことができる。動作中、ファクトリインターフェースロボット142は、ウエハをFOUP144からポート150又は152を介してロードロックチャンバ104又は106に移送する。次に、ガス及び圧力制御システムがロードロックチャンバ104又は106をポンプダウンする。ガス及び圧力制御システムはさらに、移送チャンバ108、110及び保持チャンバ116、118を内部の低圧又は真空環境(不活性ガスを含む場合がある)に維持する。したがって、ロードロックチャンバ104又は106のポンプダウンは、例えばファクトリインターフェース102の大気環境と移送チャンバ108の低圧又は真空環境との間でウエハを通過させることを容易にする。
【0023】
[0029]ロードロックチャンバ104又は106内のウエハがポンプダウンされている状態で、移送ロボット112は、ウエハをロードロックチャンバ104又は106からポート154又は156を介して移送チャンバ108に移送する。次に、移送ロボット112は、処理用のそれぞれのポート162、164を介して処理チャンバ120、122のいずれかに、またさらなる移送の待機するために保持するためにそれぞれのポート158、160を介して保持チャンバ116、118にウエハを移送することができる。同様に、移送ロボット114は、ポート166又は168を介して保持チャンバ116又は118内のウエハにアクセスすることができ、処理のためにそれぞれのポート170、172、174、176を介して処理チャンバ124、126、128、130のいずれかに、及びさらなる移送の待機するために保持するためにそれぞれのポート166、168を介して保持チャンバ116、118にウエハを移送することができる。様々なチャンバ内及びチャンバ間でのウエハの移送及び保持は、ガス及び圧力制御システムによって提供される低圧又は真空環境で行うことができる。
【0024】
[0030]処理チャンバ120、122、124、126、128、130は、ウエハを処理するための任意の適切なチャンバとすることができる。いくつかの実施形態では、処理チャンバ120はアニーリング処理を実行することができ、処理チャンバ122は洗浄処理を実行することができ、処理チャンバ124、126、128、130は、エピタキシャル成長処理を実行することができる。いくつかの例では、処理チャンバ122は洗浄処理を実行することができ、処理チャンバ120はエッチング処理を実行することができ、処理チャンバ124、126、128、130は、それぞれのエピタキシャル成長処理を実行することができる。処理チャンバ122は、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materialsから入手可能なSiCoNi(商標)プレクリーンチャンバであってもよい。処理チャンバ120は、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materialsから入手可能なSelectra(商標)エッチングチャンバであってもよい。
【0025】
[0031]システムコントローラ190は、処理システム100又はその構成要素を制御するために処理システム100に結合される。例えば、システムコントローラ190は、処理システム100のチャンバ104、106、108、116、118、110、120、122、124、126、128、130の直接制御を使用して、又はチャンバ104、106、108、116、118、110、120、122、124、126、128、130に関連付けられたコントローラを制御することによって、処理システム100の動作を制御することができる。動作中、システムコントローラ190は、処理システム100の性能を調整するために、それぞれのチャンバからのデータ収集及びフィードバックを可能にする。
【0026】
[0032]システムコントローラ190は、一般に、中央処理装置(CPU)192、メモリ194、及びサポート回路196を含む。CPU192は、産業環境で使用できる任意の形式の汎用プロセッサの1つであり得る。メモリ194、又は非一時的なコンピュータ可読媒体は、CPU192によってアクセス可能であり、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、あるいはローカル又はリモートのその他の形式のデジタルストレージなどの、1つ又は複数のメモリであってよい。サポート回路196はCPU192に結合されており、キャッシュ、クロック回路、入出力サブシステム、電源などを含むことができる。本明細書に開示される様々な方法は、一般に、CPU192の制御下で、例えばソフトウェアルーチンとしてメモリ194(又は特定のプロセスチャンバのメモリ)内に格納されたCPU192によってコンピュータ命令コードを実行することによって実装され得る。コンピュータ命令コードがCPU192によって実行されると、CPU192は、各チャンバを制御して、各種方式に応じた処理を実行する。
【0027】
[0033]他の処理システムは他の構成にすることもできる。例えば、より多くの、又はより少ない処理チャンバを移送装置に結合することができる。図示の例では、移送装置は、移送チャンバ108、110、及び保持チャンバ116、118を含む。他の例では、より多くの、若しくはより少ない移送チャンバ(例えば、1つの移送チャンバ)及び/又はより多くの、若しくはより少ない保持チャンバ(例えば、保持チャンバなし)が、処理システム内の移送装置として実装され得る。
【0028】
[0034]図2は、本開示の1つ又は複数の実施形態による半導体構造300を形成する方法200の処理フロー図である。図3A及び図3Bは、方法200の様々な状態に対応する半導体構造300の一部の断面図である。図3A及び図3Bは、半導体構造300の部分的な概略図のみを示しており、半導体構造300は、任意の数のトランジスタセクション及び図に示すような態様を有する追加の材料を含むことができることは理解すされるべきである。また、図2に示す方法ステップは順番に説明されているが、省略及び/又は追加された、及び/又は別の望ましい順序で再配置された、1つ又は複数の方法工程を含むその他の処理シーケンスが本明細書で提供される開示の実施形態の範囲内に含まれることも留意されたい。
【0029】
[0035]方法200は、操作205のアニーリング処理で始まる。アニーリング処理は、500℃~700℃の範囲の温度で水素(H)雰囲気中で基板をスパイクアニーリングすることを含んでもよい。アニーリング205は、例えば、カリフォルニア州サンタクララにあるApplied Materials,Inc.から入手可能なRADOX(商標)チャンバなどの急速熱処理チャンバ内で実行されるスパイク熱アニーリングプロセスを含むことができる。RTPチャンバは、図1に示される処理チャンバ120、122、124、126、128、及び130のいずれであってもよい。理論に縛られる意図はないが、水素(H)雰囲気中で基板302の表面をスパイクアニーリングすることにより、膜堆積前に基板表面302が滑らかになり、チャネル移動度が向上すると考えられる。1つ又は複数の実施形態では、アニーリング205は、不動態化アニーリング処理とは異なる目的を果たす。1つ又は複数の実施形態では、基板表面302を滑らかにするために、水素(H)の雰囲気中でアニーリングすることで、水素(H)が基板表面、例えば、ケイ素(Si)と反応する。1つ又は複数の実施形態では、その後の高温アニーリング工程で、水素-ケイ素(H-Si)の結合が切断され、膜堆積後に水素が意図的に不動態化される。標準的な不動態化処理では、その一方で、水素-ケイ素(H-Si結合)は、処理の最後でも維持される。
【0030】
[0036]いくつかの実施形態では、アニーリング205後、基板302の表面を前洗浄するための操作210の前洗浄処理が実行される。前洗浄処理は、オゾン(O)による前洗浄、又はNHOH(水酸化アンモニウム)、H(過酸化水素)、及びHO(水)を含むStandard Clean 1(SC1)溶液などの溶液を使用する湿式プロセス、あるいは、ドライエッチング処理、例えば、基板302の表面がN、NF、及びNHプラズマ副生成物に曝されるSiConi(商標)遠隔プラズマ支援ドライエッチング処理による基板302の表面の酸化を含むことができる。
特定の実施形態では、水素(H)アニーリング後、前洗浄処理210は、基板302の表面を前洗浄するためのオゾン(O)前洗浄又はSC1湿式処理を含む。前洗浄処理は、図1に示す処理チャンバ122又は120などの前洗浄チャンバ内で実行することができる。
【0031】
[0037]図2には示されていないが、いくつかの実施形態では、前洗浄処理210は、アニーリング205の前に行うことができる。
【0032】
[0038]操作220では、図3Aに示すように、界面形成処理が実行されて、基板302の前洗浄された表面上に界面層304が形成される。界面形成処理には、亜酸化窒素(NO)ガスを利用する増強型現場蒸気発生(eISSG)処理などの適切な熱酸化処理を含むことができる。操作220で形成される界面層304は、酸化ケイ素の1つ又は複数の単層に相当する、約3Åと約10Åの間、例えば約5Åの厚さを有する、薄いアモルファス酸化ケイ素(SiO)層、である。いくつかの実施形態では、界面層304は、H及びOガスを利用するインシトゥ(その場)蒸気発生(ISSG)処理か、又はNH及びOガスを利用する急速熱酸化(RTO)処理によって形成することができる。界面層304は、その上に堆積される高誘電率誘電体材料層の核生成層として機能し、基板302と高誘電率誘電体材料層との間の界面の品質(例えば、界面準位密度、蓄積容量、周波数分散、漏れ電流など)を改善することができる。界面形成処理は、図1に示される処理チャンバ120、122、124、126、128、又は130などの処理チャンバ内で実行され得る。
【0033】
[0039]いくつかの実施形態では、操作220のインターフェース形成処理は省略され、界面層304は、基板302上に高誘電率誘電体材料層を堆積させる前には形成されない。その場合、界面層304は、基板302上に堆積された高誘電率誘電体材料層を通して基板302を熱酸化する、後述する操作250又操作290における熱酸化処理によって形成される。操作250又は操作290における熱酸化処理によって形成された界面層304は、信頼性の高いデバイス特性(界面準位密度、蓄積容量、周波数分散、漏れ電流など)を保証するため、且つ、高誘電率誘電体材料層から基板302への原子の拡散を低減するために、十分に厚くてもよく、約0.3nmと約1nmの間、例えば約0.5nmの厚さを有する。
【0034】
[0040]操作230では、堆積処理は、半導体構造300(すなわち、図3Bに示すように、界面層304が操作220で形成される場合は界面層304、界面層304が操作220で形成されない場合は基板302)の露出表面上に高誘電率誘電体層306を堆積させるために実行される。高誘電率誘電体層306は、二酸化ハフニウム(HfO)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化イッテルビウム(Y)、又は酸化アルミニウム(Al)などの高誘電率誘電体材料から形成され得る。堆積処理は、金属含有前駆体と酸素含有前駆体が半導体構造300の露出表面に交互に供給される原子層堆積(ALD)処理を含むことができる。いくつかの実施形態では、金属含有前駆体は、酸素含有前駆体を供給する前にパージされる。金属は、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)などの遷移金属、ランタン(La)、イッテルビウム(Yb)、イットリウム(Y)などの希土類金属、ストロンチウム(Sr)などのアルカリ土類金属、又はアルミニウム(Al)などの他の金属であってよい。酸化剤としては、金属と反応する可能性のある任意の酸素含有前駆体を使用することができる。例えば、酸素含有前駆体は、水、二原子酸素、オゾン、ヒドロキシル含有前駆体又はアルコール、窒素及び酸素含有前駆体、局所的若しくは遠隔的に強化された酸素を含むプラズマ強化酸素、又は基板302上に金属の酸化物の層を生成するために金属に組み込まれ得る酸素を含む任意の他の材料であってもよいし、あるいはそれらを含んでもよい。一例では、金属含有前駆体は四塩化ハフニウム(HfCl)であり、酸化剤は水(HO)であり、二酸化ハフニウム(HfO)層を形成する。ALD処理は、約200℃と約400℃の間の温度、例えば約270℃で実行することができる。ALD処理によって堆積された高誘電率誘電体層306は、アモルファスであり、約10Åと約30Åの間の厚さを有し得る。堆積処理は、図1に示される処理チャンバ120、122、124、126、128、又は130などの処理チャンバ内で実行され得る。
【0035】
[0041]操作240では、任意選択のアニーリング処理は、堆積されたままの高誘電率誘電体層306を硬化させ、緻密化するために実行される。堆積されたままのアモルファス高誘電率誘電体層306の結晶化が起こる可能性がある。堆積後のアニーリング処理は、カリフォルニア州サンタクララにあるApplied Materials,Inc.から入手可能なRADOX(商標)チャンバなどの急速熱処理(RTP)チャンバ内で実行される窒素(N)及びアルゴン(Ar)雰囲気などの不活性雰囲気での熱アニーリング処理を含み得る。RTPチャンバは、図1に示される処理チャンバ120、122、124、126、128、及び130のいずれであってもよい。堆積後のアニーリング処理は、界面層304及び高誘電率誘電体層306を熱硬化及び緻密化することができる。
【0036】
[0042]堆積後アニーリング処理は、約500℃と約800℃の間の温度、約0.01Torrと10Torrの間の圧力で、約1秒と約60秒の間実行することができる。
【0037】
[0043]操作250では、操作240における堆積後アニーリング処理の代わりに、任意選択の再酸化処理が実行されて基板302を熱酸化する。再酸化処理は、カリフォルニア州サンタクララにあるApplied Materials,Inc.から入手可能なRADOX(商標)チャンバなどの急速熱処理(RTP)チャンバ内で実行される酸素(O)、亜酸化窒素(NO)、及びH雰囲気などの不活性雰囲気での熱アニーリング処理を含み得る。RTPチャンバは、図1に示される処理チャンバ120、122、124、126、128、及び130のいずれであってもよい。操作250における再酸化処理は、界面層304が操作220で約3Åと約10Åの間の厚さに形成される場合、高誘電率誘電体層306を通して下層を熱酸化し、したがって界面層304を厚くすることができ、操作220において界面層304が形成されない場合、基板302内に高誘電率誘電体層306との界面近くに界面層304を形成する。
【0038】
[0044]再酸化処理は、約400℃と約900℃の間の温度、約0.01Torrと10Torrの間の圧力で、約1秒と約30秒の間実行することができる。
【0039】
[0045]操作260では、プラズマ窒化処理は、高誘電率誘電体層306内の空孔及び欠陥に窒素原子を挿入するために実行される。プラズマ窒化処理は、カリフォルニア州サンタクララにあるApplied Materials,Inc.から入手可能なCENTURA(登録商標)DPNチャンバなどのDPNチャンバ内で実行される減結合プラズマ窒化(DPN)処理であってもよい。DPNチャンバは、図1に示される処理チャンバ120、122、124、126、128、及び130のいずれであってもよい。プラズマ窒化処理は、高誘電率誘電体層306を窒素プラズマに曝し、窒素ラジカルまたは窒素原子が高κ誘電体層306の厚さ全体にわたって高誘電率誘電体層306内に組み込むことを可能にし得る。プラズマ窒化処理中に、窒素原子が酸素(O)と準安定結合を形成する可能性がある。プラズマ処理で使用され得るガスには、窒素(N)、アンモニア(NH)、又はそれらの混合物などの窒素含有ガスが含まれる。一例では、窒素ガスは、約3%~約8%の窒素(N)と混合されたアンモニア(NH)である。プラズマ窒化処理は、堆積されたままの高誘電率誘電体層306内の空孔および欠陥への窒素の取り込みの結果として、高誘電率誘電体層306の厚さを変化させない可能性がある。
【0040】
[0046]窒化処理は、約0℃と約500℃の間の温度で、約10秒と約300秒の間実行することができる。
【0041】
[0047]操作270では、任意選択の熱窒化処理が実行されて、プラズマ窒化された高誘電率誘電体層306内の空孔と欠陥に窒素原子がさらに挿入される。熱窒化処理は、カリフォルニア州サンタクララにあるApplied Materials,Inc.から入手可能なRADOX(商標)チャンバなどの急速熱処理(RTP)チャンバ内で実行される、アンモニア(NH3)雰囲気中での熱アニーリング処理を含むことができる。RTPチャンバは、図1に示される処理チャンバ120、122、124、126、128、及び130のいずれであってもよい。
【0042】
[0048]熱窒化処理は、約700℃と約900℃の間の温度、約10Torrと740Torrの間の圧力で、約10秒と約300秒の間実行することができる。
【0043】
[0049]操作280では、窒化後アニーリング処理を実行して、プラズマ窒化された高誘電率誘電体層306内の残りの化学結合を不動態化する。窒化後アニーリング処理は、カリフォルニア州サンタクララにあるApplied Materials,Inc.から入手可能なRADOX(商標)チャンバなどの急速熱処理(RTP)チャンバ内で実行される窒素(N)及びアルゴン(Ar)雰囲気中でのスパイク熱アニーリング処理を含み得る。RTPチャンバは、図1に示される処理チャンバ120、122、124、126、128、及び130のいずれであってもよい。窒化後アニーリング処理は、操作240のプラズマ窒化プロセスで形成された準安定窒素結合を不動態化し、アモルファス高誘電率誘電体層306の結晶化が起こる可能性がある。
【0044】
[0050]熱スパイクアニーリング処理は、約700℃と約850℃の間の温度、約10Torrと740Torrの間の圧力で、約1秒と約30秒の間実行することができる。
【0045】
[0051]操作290では、操作280における窒化後アニーリング処理の代替として、窒化後アニーリング及び再酸化処理が実行されて、操作280のように、高誘電率誘電体層306内の残りの化学結合が不動態化され、同時に操作250のように基板302が熱酸化される。操作290における窒化後アニーリング及び再酸化処理は、操作250における再酸化処理と同じである。したがって、操作290における窒化後アニーリング及び再酸化処理の詳細はここでは省略される。
【0046】
[0052]本明細書に記載の実施形態では、高品質の薄い高誘電率誘電体材料層を形成するシステム及び方法が提供される。このような高誘電率誘電体材料層の特性は、十分に制御することができる。例えば、操作260及び270における窒化処理は、窒素の導入量が多い場合よりも高い高誘電率値を達成し、窒素の導入量が少ない場合よりも優れた構造安定化を達成するために、高誘電率誘電体層306内に約3原子%と約20原子%の間の窒素を導入するように制御され得る。操作240、270、280、及び290におけるアニーリング処理はまた、高誘電率誘電体層306を通る漏れ電流を低減するために、高誘電率誘電体層306内に約20Åより大きいサイズを有する粒子を提供するように制御されてもよい。
【0047】
[0053]図4は、本開示の1つ又は複数の実施形態による半導体構造500を形成する方法400の処理フロー図である。1つ又は複数の実施形態では、方法400の操作は、前述したように、マルチチャンバ処理システム100に組み込まれた1つ又は複数のチャンバ内で実行され得る。
【0048】
[0054]方法400は、記載された方法操作の開始前に、フロントエンド処理、堆積、エッチング、研磨、洗浄、又は説明された操作の前に実行されるその他の操作を含む1つ又は複数の操作を含むことができる。本方法は、図に示されているように、本技術による方法に具体的に関連付けられる場合も関連付けられない場合もある、多数の任意選択の操作を含むことができる。例えば、操作の多くは構造形成処理のより広い範囲を提供するために説明されているが、技術にとって重要ではなく、以下でさらに説明するように代替方法によって実行することもできる。方法400は、図5A図5Fに概略的に示される操作を説明し、その図は、方法400の操作と併せて説明される。図5A図5Fは部分的な概略図のみを示しており、基板は任意の数のトランジスタセクション及び図に示されるような態様を有する追加の材料を含むことができることを理解されたい。
【0049】
[0055]方法2400は、半導体構造を特定の製造作業に合わせて開発するための任意選択の操作を含んでもよい。いくつかの実施形態では、方法400は基本構造上で実行され得るが、いくつかの実施形態では、方法は、他の材料の形成に続いて実行され得る。図5Aに示すように、半導体構造は、特定の処理が完了した後のデバイス500を表すことができる。例えば、基板505は平面材料であっても、又は構造化されたデバイスであってよく、ポスト、トレンチ、若しくは他の構造として構成されるか、又はそれらを画定する、1つ又は複数の材料を含み得る材料も同様に本技術に包含されることが理解されるであろう。基板505は、ケイ素、又はケイ素の酸化物、窒化物、炭化物などのケイ素含有材料、並びに構造内に組み込まれ得るその他の材料を含む任意の数の材料を含むことができる。
【0050】
[0056]1つ又は複数の材料層は、実施形態において、平坦化された材料又は構造化された材料であり得る構造を生成するために、基板505の一部又は全体の上に形成されてもよいし、基板内に少なくとも部分的に形成されてもよい。非限定的な例として、基板505はケイ素であるか又はケイ素を含んでよく、あるいは酸化ケイ素などの追加材料上に形成された表面量のケイ素を含んでよく、これはケイ素露出表面を残す酸化ケイ素の還元された部分であり得る。基板505は、図5Aに示すように自然酸化物510を含むことができる。いくつかの実施形態では、基板505の表面の露出した材料をエッチング、平坦化、又はその他の方法で処理して、断続的なパターンを生成することができる。単一の例として示されているが、装置500は、図示の対象物と同様又は異なる任意の数の追加セクションを含むことができる、より大きな処理統合の小さなセクションを含むことができることを理解されたい。基板505は、半導体処理チャンバの処理領域に収容又は配置することができ、方法400は、高誘電率誘電体材料などの半導体材料を基板上に生成するために実行することができる。
【0051】
[0057]方法400は、操作405のアニーリング処理で開始することができる。アニーリング処理は、500℃~700℃の範囲の温度で水素(H)雰囲気中で基板をスパイクアニーリングすることを含んでもよい。アニーリング405は、例えば、カリフォルニア州サンタクララにあるApplied Materials,Inc.から入手可能なRADOX(商標)チャンバなどの急速熱処理チャンバ内で実行されるスパイク熱アニーリングプロセスを含むことができる。RTPチャンバは、図1に示される処理チャンバ120、122、124、126、128、及び130のいずれであってもよい。理論に縛られる意図はないが、水素(H)雰囲気中で基板505の表面をスパイクアニーリングすることにより、膜堆積前に基板表面505が滑らかになり、チャネル移動度が向上すると考えられる。1つ又は複数の実施形態では、アニーリング405は、不動態化アニーリング処理とは異なる目的を果たす。1つ又は複数の実施形態では、基板表面505を滑らかにするために、水素(H)の雰囲気中でアニーリングすることで、水素(H)が基板表面、例えば、ケイ素(Si)と反応する。1つ又は複数の実施形態では、その後の高温アニーリング工程で、水素-ケイ素(H-Si)結合が切断され、膜の堆積後に水素が意図的に不動態化される。標準的な不動態化処理では、その一方で、水素-ケイ素(H-Si結合)は、処理の最後でも維持される。
【0052】
[0058]いくつかの実施形態では、アニーリング405の後、方法400は、操作410において基板505から自然酸化物510(図5Aのような)を除去することを含んでもよい。自然酸化物410を除去することは、フッ素含有前駆体及び水素含有前駆体を流すことであるか、又は流すことを含んでもよい。フッ素含有前駆体は、三フッ化窒素及び他の任意のフッ素含有前駆体であるか、又はそれらを含んでもよい。水素含有前駆体は、アミン基[-NH]、又は他の窒素含有基若しくは水素含有基によって特徴付けられ得る。例えば、水素含有前駆体は、非限定的な一例としては、アンモニアなどの窒素及び水素含有前駆体であるか、又は窒素及び水素含有前駆体を含むことができる。流すことは、フッ素含有前駆体及び水素含有前駆体を遠隔プラズマ領域に流すことを含むことができる。遠隔プラズマ領域は、基板処理領域に流体的に結合され得る。プラズマを形成してプラズマ流出物を生成することができる。フッ素含有前駆体の流量及び水素含有前駆体の流量は、1:2未満の水素対フッ素の原子流量比によって特徴付けられ得る。自然酸化物410は、基板の表面上に固体の副生成物を形成する一方で、プラズマ流出物を基板処理領域に流すことによって除去される。特定の理論に囚われることなく、流れは基板表面上にフッ素の層を残す可能性があり、これにより操作415での界面形成が促進され、フッ素終端は信頼性を高めるのに役立つ。固体副生成物は、基板の温度を固体副生成物の昇華温度よりも高くすることによって昇華される。昇華後、基板505には自然酸化物が存在しないか、又は実質的に存在しない。除去することは、自然酸化物を最大20Å又は約20Åの深さまで除去することであるか、又はそれを含んでもよい。
【0053】
[0059]方法400は、操作410においてSiConi(商標)エッチングを含むことができ、これは、H、NF、及び/又はNHプラズマ副生成物への、図5Aの基板505などの基板の同時露光を伴う遠隔プラズマ支援ドライエッチング処理とすることができる。操作410における自然酸化物の除去は、基板表面が大気又は酸素含有環境に露されないインシトゥ(その場)ドライ化学処理によって行うことができる。操作410における自然酸化物の除去は、方法400のいくつかの実施形態では、第1の処理チャンバ内で実行され得る。方法400は、操作420のように、高誘電率誘電体材料を形成する前に、基板を第1の処理チャンバから第2の処理チャンバに移送する工程を含んでもよい。方法400は、基板表面を大気または空気に曝すことなく、1つ又は複数の処理チャンバ内で動作を実行することを含むことができる。方法400は、操作410での除去中にシステム100内を真空に維持することを含んでもよい。統合された真空を維持すると、表面の汚染を有利に減らすことができる。移送は、単一のプラットフォーム上の1つ又のチャンバ間で行われてもよいし、複数のプラットフォーム上のチャンバ間で行われてもよい。しかしながら、単一のプラットフォームを利用することにより、基板が酸素及び/又は湿気の環境に曝されることをより確実に回避できる可能性がある。
【0054】
[0060]1つ又は複数の実施形態では、方法400は、操作415において、亜酸化窒素を供給することと、酸化物含有界面を形成するために基板表面を熱アニーリングすることとを含むことができる。図5Bのように基板505に供給される亜酸化窒素515は、図5Cのように酸化物含有界面520を形成するために、自然酸化物のない表面を有する基板505のどの程度が酸化されるかを制御するのに役立ち得る。操作415は、インシトゥ(その場)蒸気発生(ISSG)処理など、それによって水素及び/又は酸素を利用する従来の熱技術と比較して、酸化がより低い速度で起こる蒸気を使用する熱ベースの反応を含むことができる。窒素は酸素のキャリアとして機能する可能性があり、界面又は基板の一部にはならない可能性がある。形成された酸化物含有界面は、高品質且つ高度に秩序化されたものであり、これは欠陥がないか、実質的に欠陥のない結晶学的構造を意味する。これにより、後続の動作において窒素がチャネル領域に接近するのを防止し、漏れを防止することができる界面520を提供することができる。得られる酸化物含有界面は、二酸化ケイ素を含み得る。形成された酸化物含有界面520は、最大5Å又は約5Åの厚さを有し得る。方法400は、操作410において、その後の操作においてより薄い酸化物含有界面520によって置き換えられ得る、より厚い自然酸化物の除去を含み得る。
【0055】
[0061]方法400は、前処理前駆体を基板に供給することを含むことができる。前処理前駆体は、窒素含有前駆体若しくは酸素含有前駆体であるか、又はそれを含んでもよい。前駆体は基板と接触し、基板の露出表面上に反応性配位子を形成又は導入することができ、これは図5Dに配位子520として示されている。従来の技術とは異なり、本技術は、後続の操作で高誘電率誘電体材料の規則的な成長を生成するように構成された前処理を利用することができる。
【0056】
[0062]例えば、いくつかの実施形態では、基板はケイ素の露出表面であるか、又はケイ素の露出表面を含んでもよい。基板505は、それ自体がケイ素であるか、又はケイ素表面を呈するように還元若しくは改質された他のケイ素含有材料であってもよい。基板505が酸化ケイ素を含むことができる1つの非限定的な例として、最初の前処理は、例えば水素含有前駆体などを用いて、構造の表面から酸素を除去すること含んでもよい。その後、ケイ素の薄い表面層が露出する場合がある。特定の理論に囚われることなく、いくつかの実施形態では、ケイ素は、酸化ケイ素と比較して、窒素含有前駆体を受け取るための改善された基本特性を提供することができる。これにより、特定の高誘電率誘電体材料の優れた形成が可能になる可能性がある。
【0057】
[0063]前処理前駆体は、任意の窒素含有又は酸素含有前駆体であるか、又はそれを含んでもよい。酸素含有前駆体は、基板505の表面に組み込まれ得るヒドロキシル基[-OH]によって特徴付けられ得る。窒素含有前駆体は、アミン基[-NH]又は他の窒素含有基によって特徴付けられ得る。例えば、窒素含有前駆体は、非限定的な一例としてアンモニアなどの窒素及び水素含有前駆体、又は窒素と酸素を含む前駆体、又は窒素を含む他の前駆体であるか、あるいはそれらを含んでよい。
【0058】
[0064]いくつかの実施形態における表面終端は、ヒドロキシル基又はアミン基終端表面であるか、又はそれらを含んでもよい。次に、方法400は、操作420において、基板の上に高誘電率誘電体材料を形成することを含むことができる。本技術は、高誘電率材料の任意の形成又は堆積を包含することができるが、いくつかの実施形態では、形成操作420は、原子層堆積又は他の原子層堆積チャンバであるか、又はそれを含んでもよい。形成は、基板表面を前処理した直後に実行してもよいし、前処理と同じチャンバで実行することも、システム100などの同じシステムに組み込まれた追加のチャンバなど追加のチャンバで実行することもできる。いくつかの実施形態では、基板が前処理チャンバから堆積又は形成チャンバに移送される間、真空条件を維持することができ、これにより、基板が空気に曝されることが制限することができる。
【0059】
[0065]高誘電率誘電体材料を形成するために原子層堆積処理が実行される場合、金属含有前駆体が基板に供給されて、前処理された表面と反応する可能性がある。例えば、遷移金属含有前駆体、卑金属含有前駆体、又はランタニド金属含有前駆体は、前処理により基板上に露出した反応性配位子と相互作用するために、処理チャンバに供給することができる。酸素含有前駆体は、その後、金属含有前駆体のパージなどの第2の操作で供給されてもよい。これにより、図5Eに示されるような層530aのような酸化物層が原子層堆積によって生成され得る。非限定的な一例では、酸化ハフニウム膜を生成するために、ハフニウム含有前駆体が第1の操作で供給され、酸化剤が第2の操作で供給され得る。追加の金属含有前駆体は、ジルコニウム含有材料を製造するためのジルコニウム含有前駆体、並びに追加の金属酸化物構造を製造するための他の任意の数の金属含有前駆を含み得る。ハフニウム含有前駆体の場合、及び同様の代替金属の場合、前駆体は、ハロゲン含有前駆体、酸素含有前駆体、水素含有前駆体、又はハフニウムが組み込まれた炭素含有前駆体であるか、又はそれを含むことができる。
【0060】
[0066]酸化剤としては、金属と反応する可能性のある任意の酸素含有前駆体を使用することができる。例えば、酸素含有前駆体は、基板上に金属酸化物材料層を生成するために、酸素含有前駆体は、水、二原子酸素、オゾン、ヒドロキシル含有前駆体又はアルコール、窒素及び酸素含有前駆体、局所的又は遠隔的に強化された酸素を含むプラズマ強化酸素、又はハフニウムなどの金属に組み込まれる可能性のある酸素を含むその他の材料であるか、あるいはそれを含み得る。再度、上記の金属含有材料のいずれも本技術の実施形態で使用することができ、これらに限定されないが、ハフニウム、ジルコニウム、シリコン、ランタン、アルミニウム、チタン、ストロンチウム、又は例えばケイ酸ハフニウムなどのこれらの材料の組み合わせを含み得る群化された金属のいずれかを含むことができる。
【0061】
[0067]本技術の実施形態による前処理が実行されると、金属含有材料の構造を規則的に形成又は堆積させて、より均一な粒子構造を生成することができる。これは、ケイ素などのより構造化された表面材料上に前処理前駆体の反応性配位子を形成することによって生成され得る。さらに、特定の条件で前処理曝露を実行することにより、さらなる改善がもたらされる可能性がある。
【0062】
[0068]前処理は、前駆体及び/又は基板の表面を活性化するように構成された温度で実行することができる。例えば、窒素及び水素含有前駆体が前処理前駆体として使用され得る状況では、前駆体を供給している間、基板は約300℃以上の温度に維持することができる。同様に、酸素含有前駆体による前処理もまた、基板温度を約300℃以上に維持しながら実行することができる。あらゆる前処理操作について、基板はまた、約400℃以上、約500℃以上、約600℃以上、約700℃以上、約800℃以上、又はそれを超えるの温度に維持することができる。前処理の温度が約500℃以下に低下すると、効果が低下する可能性がある。同様に、温度が約700℃以上に上昇すると、核形成が改善されず、過剰な前駆体が表面に取り込まれ、デバイスの移動度が低下する可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、前処理中に温度を約500℃と約700℃の間に維持することができる。
【0063】
[0069]同様に、暴露時間は窒素含有前駆体の取り込み量に影響を与える可能性があり、したがって、製造されたデバイスの可動性損失を制限するために、前駆体への曝露は約3分未満であってよく、いくつかの実施形態では、暴露時間は、約2.5分以下、約2分以下、約1.5分以下、約1分以下、約45秒以下、約30秒以下、約15秒以下であるか、又はそれを下回ってよい。適切な量のアミン基が組み込まれたら、形成を実行することができる。原子層形成を含む形成は任意の温度で実行できるが、いくつかの実施形態では、操作が同じチャンバで実行されるか、異なるチャンバで実行されるかに関係なく、原子層堆積は、前処理が行われる温度以下の温度又はほぼ温度で実行することができる。例えば、原子層堆積は、前処理温度と比較して第2の温度で実行されてもよく、実施形態では、形成温度は約500℃未満であってもよく、約450℃以下、約400℃以下、約350℃以下、約300℃以下、約250℃以下、又はそれを下回る温度であってもよい。
【0064】
[0070]高誘電率材料の層が、形成又は堆積された後、1つ又は複数の後処理を実行することができる。いくつかの実施形態では、材料を後処理するために、基板を堆積チャンバから別のチャンバ又は一連のチャンバに移送することができる。上で説明したのと同様に、移送は、複数のチャンバを有する単一の処理システム上で行うことができ、したがって、真空状態を維持しながら、これらのチャンバのいずれかからの、又はチャンバ間の移送を実行することができる。次いで、方法400は、1つ又は複数の追加の後処理操作を含むことができる。後処理操作には、同じクラスタツール上の複数のチャンバを含む、1つ又は複数のチャンバで実行される1つ又は複数の操作が含まれ得る。後処理操作には、酸化、窒化430、及び/又は熱アニーリング425を含み得る。
【0065】
[0071]上述したように、前処理操作は、過剰な前駆体が基板に取り込まれるのを制限しながら、前述の均一な成長をもたらすのに十分な末端部分を提供するために実行することができる。例えば、組み込まれた窒素界面により、製造されたトランジスタの移動度が低下したり、キャリアが構造内を移動できる速度が低下したりする可能性がある。上で説明した前処理は、高誘電率膜のスケーリングをさらに改善する可能性があるが、制御されない場合、前処理は実際にデバイスの移動度を低下させる可能性がある。しかしながら、いくつかの実施形態では、1つの後処理は、前処理操作で使用され得る第1の酸素含有前駆体に対して、形成された高誘電率材料を第2の酸素含有前駆体で酸化することを含み得る。
【0066】
[0072]例えば、形成後に膜をさらに酸化するために上述の酸素含有前駆体のいずれかを利用する酸化操作を実行することができる。高誘電率膜の堆積又は形成により、多孔質膜、又は構造中に空孔を含む膜が生成することができる。酸化操作を行うことで、酸素種は、層530bによって示されるように膜に浸透して空孔を充填するだけでなく、上述の前工程で形成されなかった場合には任意の層520などの高誘電率材料の界面に酸化物材料を生成する可能性がある。これにより、アミン末端基による下層の界面を改善することができ、これにより、デバイスのモバイル性能を向上させることができる。下層の酸化物層の過剰な増加を制限するために、酸化操作は、限られた時間内で実行することができ、前述の時間範囲のいずれか内で実行することができる。
【0067】
[0073]後処理動作430は、使用される場合には、処理前窒素含有前駆体に対して第2の窒素含有前駆体と基板を接触させることをさらに含んでもよい。第2の窒素含有前駆体は、上述の任意の窒素含有前駆体を含むことができ、窒素ガス、並びに他の箇所で言及される任意の窒素含有前駆体を含むことができる。第2の窒素含有前駆体は、窒素ラジカルまたは窒素原子が高誘電率構造内に組み込むことを可能にする、プラズマ活性化又は強化された窒素含有前駆体、熱的に活性化された窒素、又は他の窒素前駆体を含むことができ、これにより、膜を安定化させたり、平衡状態に向けて安定させたりすることができる。酸化操作とは異なり、窒化は酸化ケイ素などの下層の厚さを増加させず、また、生成される膜のk値をわずかに増加させる可能性がある。
【0068】
[0074]構造的及び電気的特性を維持するために、窒素の取り込みを制御して膜への取り込みを制限することができる。いくつかの実施形態では、後処理窒化により、高誘電率膜の表面領域に約20原子%未満の窒素が組み込むことができ、約15原子%以下の窒素、約10原子%以下の窒素、約8原子%以下の窒素、約6原子%以下の窒素、約4原子%以下の窒素、約2原子%以下の窒素、又はそれを下回る窒素を組み込み得る。いくつかの実施形態では、約3原子%と約7原子%の間の取り込みは、より多くの窒素の取り込みよりも高いk値を維持することができ、より低い窒素の取り込みよりも膜をより良く安定化させることができる。表面領域とは、材料の露出表面を意味するが、窒素の取り込みは膜内の任意の距離まで広がり、一貫しているか、材料全体に減少勾配を形成する可能性がある。
【0069】
[0075]後処理の酸化又は窒化は、前述の任意の温度で実行することができるが、いくつかの実施形態では、後処理の酸化及び/又は窒化は、約500℃以下の温度範囲で実行することができ、実行される操作に応じて、約400℃以下、約300℃以下、約200℃以下、約100℃以下、又はそれを下回る温度範囲で実行されてもよい。
【0070】
[0076]後処理のアニーリング425、435は、上述した後処理操作のいずれかを含む、任意の操作の後に実行することができる。後処理のアニーリングは、前の操作が実行された任意のチャンバ内で実行することができるか、又は、例えば高速熱アニーリング処理を実行するように構成されたチャンバなどの異なるチャンバへの移動を伴うこともある。この場合も、チャンバは他のチャンバと同じプラットフォーム上に組み込むことができ、真空状態を維持しながらチャンバ間の移動を可能にすることができる。後処理のアニーリングにより、膜の結合をさらに位置合わせし、膜をさらに安定化させることができる。実施形態では、後処理のアニーリングは、第1の温度に対して第3の温度で実行されてもよく、第3の温度は、第1の温度超、又はその付近であってもよい。例えば、後処理のアニーリングは約400℃以上の温度で実行することができ、実施形態では、約500℃以上、約600℃以上、約700℃以上、約800℃以上、約900℃以上、又はそれを超える温度で実行することができる。
【0071】
[0077]本技術の実施形態に従って前処理及び/又は後処理を実行することによって、改善された高誘電率材料を製造することができる。高誘電率材料の層は、最大数ナノメートル又は約数ナノメートルを含む任意の厚さに製造することができる。しかしながら、本技術によって生成される好ましい粒子構造により、ゲート漏れ性能を損なうことなく、より薄い実効酸化膜厚を生成することができる。本技術に従って製造された高誘電率材料は、約10以上のk値によって特徴付けることができ、約15以上、約20以上、約21以上、約22以上、約23以上、約24以上、約25以上の、又はそれを超えるk値によって特徴付けることができる。
【0072】
[0078]上で述べたように、本技術は従来の技術と比較して誘電率をさらに改善することを可能にする。さらに、生成された粒子構造により、膜に関連するゲート漏れ電流は、同様の厚さの酸化シリコン膜のゲートリーク電流の約10分の1以下である可能性があり、同様の厚さの酸化ケイ素膜のゲート漏れ電流の約100分の1以下、同様の厚さの酸化ケイ素膜の約1000分の1以下、同様の厚さの酸化シリコン膜の約1/5,000以下、同様の厚さの酸化ケイ素膜の約1/10,000以下、同様の厚さの酸化ケイ素膜の約1/20,000以下、同様の厚さの酸化ケイ素膜の約1/50,000以下、同様の厚さの酸化ケイ素膜の約1/100,000以下であるか、又はそれを下回ってよい。本技術の実施形態に従って膜を製造することによって、有益な形態を有する形成膜を製造することができ、これにより、従来の技術と比較して膜の電気特性を向上させることができる。
【0073】
[0079]図6は、本開示の1つ又は複数の実施形態による半導体構造700を形成する方法600の処理フロー図である。図7A及び図Bは、方法600の様々な状態に対応する半導体構造700の一部の断面図である。図7A及び図7Bは、半導体構造700の部分的な概略図のみを示しており、半導体構造700は、任意の数のトランジスタセクション及び図に示すような態様を有する追加の材料を含むことができることは理解すされるべきである。また、図6に示す方法ステップは順番に説明されているが、省略及び/又は追加された、及び/又は別の望ましい順序で再配置された、1つ又は複数の方法工程を含むその他の処理シーケンスが本明細書で提供される開示の実施形態の範囲内に含まれることも留意されたい。
【0074】
[0080]方法600は、操作605のアニーリング処理で始まる。アニーリング処理は、500℃~700℃の範囲の温度で水素(H)雰囲気中で基板をスパイクアニーリングすることを含んでもよい。アニーリング605は、例えば、カリフォルニア州サンタクララにあるApplied Materials,Inc.から入手可能なRADOX(商標)チャンバなどの急速熱処理チャンバ内で実行されるスパイク熱アニーリングプロセスを含むことができる。RTPチャンバは、図1に示される処理チャンバ120、122、124、126、128、及び130のいずれであってもよい。理論に縛られる意図はないが、水素(H)雰囲気中で基板702の表面をスパイクアニーリングすることにより、膜堆積前に基板表面702が滑らかになり、チャネル移動度が向上すると考えられる。1つ又は複数の実施形態では、アニーリング605は、不動態化アニーリング処理とは異なる目的を果たす。1つ又は複数の実施形態では、基板表面702を滑らかにするために、水素(H)の雰囲気中でアニーリングすることで、水素(H)が基板表面、例えば、ケイ素(Si)と反応する。1つ又は複数の実施形態では、その後の高温アニーリング工程で、水素-ケイ素(H-Si)結合が切断され、膜の堆積後に水素が意図的に不動態化される。標準的な不動態化処理では、その一方で、水素-ケイ素(H-Si結合)は、処理の最後でも維持される。
【0075】
[0081]いくつかの実施形態では、アニーリング605後、基板702の表面を前洗浄するための操作610の前洗浄処理が実行される。前洗浄処理は、オゾン(O)処理、又はNHOH(水酸化アンモニウム)、H(過酸化水素)、及びHO(水)を含むStandard Clean 1(SC1)溶液などの溶液を使用する湿式処理、又は、乾式エッチング処理、例えば、基板702の表面がN、NF、及びNH3処理副産物に曝されるSiConi(商標)遠隔プラズマ支援乾式エッチング処理を使用して基板702の表面を酸化させることができる。前洗浄処理は、図1に示す処理チャンバ122又は120などの前洗浄チャンバ内で実行することができる。
【0076】
[0082]図6には示されていないが、いくつかの実施形態では、前洗浄処理610は、アニーリング605の前に行うことができる。
【0077】
[0083]操作620では、半導体構造700の露出表面上に高誘電率誘電体層704を堆積させるために堆積処理が実行される。高誘電率誘電体層704は、二酸化ハフニウム(HfO)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化イッテルビウム(Y)、又は酸化アルミニウム(Al)などの高誘電率誘電体材料から形成され得る。堆積処理は、金属含有前駆体と酸素含有前駆体が半導体構造700の露出表面に交互に供給される原子層堆積(ALD)処理を含むことができる。いくつかの実施形態では、金属含有前駆体は、酸素含有前駆体を供給する前にパージされる。金属は、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)などの遷移金属、ランタン(La)、イッテルビウム(Yb)、イットリウム(Y)などの希土類金属、ストロンチウム(Sr)などのアルカリ土類金属、又はアルミニウム(Al)などの他の金属であってよい。酸化剤としては、金属と反応する可能性のある任意の酸素含有前駆体を使用することができる。例えば、酸素含有前駆体は、水、二原子酸素、オゾン、ヒドロキシル含有前駆体又はアルコール、窒素及び酸素含有前駆体、局所的若しくは遠隔的に強化された酸素を含むプラズマ強化酸素、又は基板702上に金属の酸化物の層を生成するために金属に組み込まれ得る酸素を含む任意の他の材料であってもよいし、あるいはそれらを含んでもよい。一例では、金属含有前駆体は四塩化ハフニウム(HfCl)であり、酸化剤は水(HO)であり、二酸化ハフニウム(HfO)層を形成する。ALD処理は、約200℃と約400℃の間の温度、例えば約270℃で実行することができる。ALD処理によって堆積された高誘電率誘電体層704は、アモルファスであり、約10Åと約30Åの間の厚さを有し得る。堆積処理は、図1に示される処理チャンバ120、122、124、126、128、又は130などの処理チャンバ内で実行され得る。
【0078】
[0084]操作630では、基板702を熱酸化するために再酸化処理が実行される。再酸化処理は、カリフォルニア州サンタクララにあるApplied Materials,Inc.から入手可能なRADOX(商標)チャンバなどの急速熱処理(RTP)チャンバ内で実行される酸素(O)、亜酸化窒素(NO)、及びH雰囲気などの不活性雰囲気での熱アニーリング処理を含み得る。RTPチャンバは、図1に示される処理チャンバ120、122、124、126、128、及び130のいずれであってもよい。操作630における再酸化処理は、高誘電率誘電体層704を通して下層を熱酸化し、基板702上の高誘電率誘電体層704との界面近くに界面層706を形成することができる。
【0079】
[0085]再酸化処理は、約400℃と約900℃の間の温度、約0.01Torrと10Torrの間の圧力で、約1秒と約30秒の間実行することができる。
【0080】
[0086]操作640では、プラズマ窒化処理は、高誘電率誘電体層704内の空孔及び欠陥に窒素原子を挿入するために実行される。プラズマ窒化処理は、カリフォルニア州サンタクララにあるApplied Materials,Inc.から入手可能なCENTURA(登録商標)DPNチャンバなどのDPNチャンバ内で実行される減結合プラズマ窒化(DPN)処理であってもよい。DPNチャンバは、図1に示される処理チャンバ120、122、124、126、128、及び130のいずれであってもよい。プラズマ窒化処理は、高誘電率誘電体層704を窒素プラズマに曝し、窒素ラジカルまたは窒素原子が高κ誘電体層704の厚さ全体にわたって高誘電率誘電体層704内に組み込むことを可能にし得る。プラズマ窒化処理中に、窒素原子が酸素(O)と準安定結合を形成する可能性がある。プラズマ処理で使用され得るガスには、窒素(N)、アンモニア(NH)、又はそれらの混合物などの窒素含有ガスが含まれる。一例では、窒素ガスは、約3%~約8%の窒素(N)と混合されたアンモニア(NH)である。プラズマ窒化処理は、堆積されたままの高誘電率誘電体層704内の空孔および欠陥への窒素の取り込みの結果として、高誘電率誘電体層704の厚さを変化させない可能性がある。
【0081】
[0087]窒化処理は、約0℃と約500℃の間の温度で、約10秒と約300秒の間実行することができる。
【0082】
[0088]操作650では、任意選択の熱窒化処理が実行されて、プラズマ窒化された高誘電率誘電体層704内の空孔と欠陥に窒素原子がさらに挿入される。熱窒化処理は、カリフォルニア州サンタクララにあるApplied Materials,Inc.から入手可能なRADOX(商標)チャンバなどの急速熱処理(RTP)チャンバ内で実行される、アンモニア(NH)雰囲気中での熱アニーリング処理を含むことができる。RTPチャンバは、図1に示される処理チャンバ120、122、124、126、128、及び130のいずれであってもよい。
【0083】
[0089]熱窒化処理は、約700℃と約900℃の間の温度、約10Torrと740Torrの間の圧力で、約10秒と約300秒の間実行することができる。
【0084】
[0090]操作660では、窒化後アニーリング処理を実行して、プラズマ窒化された高誘電率誘電体層704内の残りの化学結合を不動態化する。窒化後アニーリング処理は、カリフォルニア州サンタクララにあるApplied Materials,Inc.から入手可能なRADOX(商標)チャンバなどの急速熱処理(RTP)チャンバ内で実行される窒素(N)及びアルゴン(Ar)雰囲気中でのスパイク熱アニーリング処理を含み得る。RTPチャンバは、図1に示される処理チャンバ120、122、124、126、128、及び130のいずれであってもよい。窒化後アニーリング処理は、操作640のプラズマ窒化プロセスで形成された準安定窒素結合を不動態化し、アモルファス高誘電率誘電体層704の結晶化が起こる可能性がある。
【0085】
[0091]熱スパイクアニーリング処理は、約700℃と約850℃の間の温度、約10Torrと740Torrの間の圧力で、約1秒と約30秒の間実行することができる。
【0086】
[0092]本明細書に記載の実施形態では、高品質の薄い高誘電率誘電体材料層を形成するシステム及び方法が提供される。このような高誘電率誘電体材料層の特性は、十分に制御することができる。例えば、操作640における窒化処理は、窒素の導入量が多い場合よりも高い高誘電率値を達成し、窒素の導入量が少ない場合よりも優れた構造安定化を達成するために、高誘電率誘電体層704内に約3原子%と約20原子%の間の窒素を導入するように制御され得る。操作及び660におけるアニーリング処理はまた、高誘電率誘電体層704を通る漏れ電流を低減するために、約20Åより大きいサイズを有する高誘電率誘電体層704内に粒子を提供するように制御されてもよい。
【0087】
[0093]この細書全体での「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ又は複数の実施形態」又は「実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、材料、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、この明細書全体の様々な場所での「1つ又は複数の実施形態において」、「特定の実施形態において」、「一実施形態において」又は「実施形態において」などの句の出現は、必ずしも本開示の同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、1つ又は複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0088】
[0094]本明細書の開示は、特定の実施形態を参照して説明されてきたが、当業者は、記載された実施形態が本開示の原理及び適用の単なる例示であることを理解するであろう。本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本開示の方法及び装置に様々な修正並びに変形を加えることができることは、当業者には明らかであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びそれらの同等物の範囲内にある修正並びに変形を含むことができる。
図1
図2
図3A-3B】
図4
図5A-5F】
図6
図7A-7B】