(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理装置及びゲームシステム
(51)【国際特許分類】
A63F 13/795 20140101AFI20241113BHJP
A63F 13/79 20140101ALI20241113BHJP
A63F 13/80 20140101ALI20241113BHJP
【FI】
A63F13/795
A63F13/79
A63F13/80 B
(21)【出願番号】P 2024030536
(22)【出願日】2024-02-29
【審査請求日】2024-02-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1) ・公開日 令和6年1月24日 ・ウェブサイトのアドレス https://www.dbs-cardgame.com/fw/jp/ https://www.dbs-cardgame.com/fw/jp/news/01_22.html <ドラゴンボールスーパーカードゲーム フュージョンワールド デジタルカードゲーム オープンβテスト>
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (2) ・ウェブサイトの掲載日 令和6年2月7日 ・ウェブサイトのアドレス https://www.youtube.com/watch?v=uYtLXVWU5Po&t <ドラゴンボールスーパーカードゲーム フュージョンワールドデジタル版 PV>
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (3) ・ウェブサイトの掲載日 令和6年2月29日 ・ウェブサイトのアドレス https://www.dbs-cardgame.com/fw/jp/ <ドラゴンボールスーパーカードゲーム フュージョンワールド デジタルカードゲーム>
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武田 理志
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 真彦
(72)【発明者】
【氏名】三田 健介
【審査官】鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-043099(JP,A)
【文献】特開2001-321570(JP,A)
【文献】特許第7431936(JP,B1)
【文献】特開2016-063987(JP,A)
【文献】特表2014-519929(JP,A)
【文献】特開2018-089173(JP,A)
【文献】特開2021-007704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/24、13/00-13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤ同士が対戦する対戦ゲームについてプレイヤをマッチングするコンピュータに、
プレイヤが使用する通信端末から当該プレイヤのマッチング要求を受信する第1受信処理と、
受信した前記マッチング要求に基づいて、当該マッチング要求に対応するプレイヤと他のプレイヤをマッチングさせるマッチング処理と、
前記マッチング処理においてマッチングされるプレイヤを制御する制御処理と、
を実行させるプログラムであって、
前記制御処理は、
前記マッチング要求に対応する第1プレイヤに対し、当該第1プレイヤと直近でマッチングされた第2プレイヤが前記マッチング処理においてマッチングされないよう制御
し、
前記第2プレイヤとのマッチング後に前記第1プレイヤに対して前記第2プレイヤとは異なるプレイヤが所定回数マッチングされたことを条件として、前記第1プレイヤと前記第2プレイヤとを再度マッチング可能に制御し、
プレイヤの各々には属性情報が関連付けられており、
前記所定回数は、前記第1プレイヤに関連付けられた前記属性情報と前記第2プレイヤに関連付けられた前記属性情報とに基づいて決定されるプログラム。
【請求項2】
前記属性情報は、前記対戦ゲームのプレイによって変化する数値を含み、
前記所定回数は、前記第1プレイヤに関連付けられた前記属性情報と前記第2プレイヤに関連付けられた前記属性情報との差が大きいほど増大する値に決定される請求項
1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記制御処理は、前記第2プレイヤがマッチングされてから所定時間が経過していることを条件として、前記第1プレイヤと前記第2プレイヤとを再度マッチング可能に制御する請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記対戦ゲームは、各プレイヤについて登録された対戦用のゲーム要素であって、第1種別のゲーム要素と第2種別のゲーム要素とを含むゲーム要素を用いて進行し、
前記マッチング要求は、当該マッチング要求に対応するプレイヤについて登録された前記対戦用のゲーム要素の情報を含み、
前記制御処理は、前記対戦用のゲーム要素の情報として前記第1種別のゲーム要素の情報が前記マッチング要求に含まれることを条件として、当該マッチング要求に基づいて前記マッチング処理を実行するよう制御する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
前記対戦用のゲーム要素は、1つの前記第1種別のゲーム要素と複数の前記第2種別のゲーム要素を含む請求項
4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記制御処理は、異なる前記第1種別のゲーム要素の情報が前記マッチング要求に含まれるプレイヤ同士が優先的にマッチングされるよう制御する請求項
4に記載のプログラム。
【請求項7】
プレイヤ同士が対戦する対戦ゲームについてプレイヤをマッチングするコンピュータに、
プレイヤが使用する通信端末から当該プレイヤのマッチング要求を受信する第1受信処理と、
受信した前記マッチング要求に基づいて、当該マッチング要求に対応するプレイヤと他のプレイヤをマッチングさせるマッチング処理と、
前記マッチング処理においてマッチングされるプレイヤを制御する制御処理と、
を実行させるプログラムであって、
前記対戦ゲームは、各プレイヤについて登録された対戦用のゲーム要素であって、第1種別のゲーム要素と第2種別のゲーム要素とを含むゲーム要素を用いて進行し、
前記マッチング要求は、当該マッチング要求に対応するプレイヤについて登録された前記対戦用のゲーム要素の情報を含み、
前記制御処理は、
前記対戦用のゲーム要素の情報として前記第1種別のゲーム要素の情報が前記マッチング要求に含まれることを条件として、当該マッチング要求に基づいて前記マッチング処理を実行するよう制御し、
前記マッチング要求に対応する第1プレイヤに対し、当該第1プレイヤと直近でマッチングされた第2プレイヤが前記マッチング処理においてマッチングされないよう制御するプログラム。
【請求項8】
前記プログラムは、
前記対戦ゲームに関するサービスについて、プレイヤのサービスログイン要求を受信する第2受信処理と、
前記サービスログイン要求を受信したことに応じて、当該サービスログイン要求に対応するプレイヤをログイン状態として管理する管理処理と、
前記ログイン状態のプレイヤが使用する通信端末に対して、当該プレイヤとは異なる前記ログイン状態の他のプレイヤに関するプレイヤ情報を送信する送信処理と、
を前記コンピュータにさらに実行させ、
前記マッチング要求は、前記プレイヤ情報に含められた前記他のプレイヤのいずれかを対戦相手として特定する特定情報を含み、
前記マッチング処理において、前記特定情報により特定されるプレイヤと前記マッチング要求に対応するプレイヤとがマッチングされ、
前記制御処理は、前記第1プレイヤとマッチング可能な第1種類のプレイヤの情報を含んだ前記プレイヤ情報が、前記第1プレイヤが使用する通信端末に送信されるよう前記送信処理を制御する
請求項1乃至
7のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記制御処理は、前記第1種類のプレイヤの情報と前記第1プレイヤとマッチング不可能な第2種類のプレイヤの情報とを含んだ前記プレイヤ情報が、前記第1プレイヤが使用する通信端末に送信されるよう前記送信処理を制御し、
前記特定情報は、前記第1種類のプレイヤのいずれかを特定する
請求項
8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記プレイヤ情報は、前記第1種類のプレイヤに関する詳細情報を含む一方で、前記第2種類のプレイヤに関する詳細情報を含まない請求項
9に記載のプログラム。
【請求項11】
プレイヤの各々には属性情報が関連付けられており、
前記第1種類のプレイヤは、前記第1プレイヤと類似する前記属性情報が関連付けられたプレイヤである
請求項
8に記載のプログラム。
【請求項12】
前記属性情報は、前記対戦ゲームのプレイによって変化するプレイヤの階級を示す階級情報を含み、
前記第1種類のプレイヤは、前記第1プレイヤと同一または前記第1プレイヤよりも低位の階級を示す前記階級情報が関連付けられたプレイヤである
請求項
11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記属性情報は、前記対戦ゲームのプレイによって変化するプレイヤの階級を示す階級情報を含み、
前記制御処理は、前記第1プレイヤ以上の階級を示す前記階級情報が関連付けられたプレイヤの数に比べて前記第1プレイヤよりも低位の階級を示す前記階級情報が関連付けられたプレイヤの数が多く前記第1種類のプレイヤの情報に含まれるように構成した前記プレイヤ情報が送信されるよう、前記送信処理を制御する
請求項
11に記載のプログラム。
【請求項14】
前記制御処理は、所定の時間間隔で更新した前記プレイヤ情報が送信されるよう、前記送信処理を制御する請求項
8に記載のプログラム。
【請求項15】
プレイヤ同士が対戦する対戦ゲームについてプレイヤをマッチングするコンピュータに、
プレイヤが使用する通信端末から当該プレイヤのマッチング要求を受信する第1受信処理と、
受信した前記マッチング要求に基づいて、当該マッチング要求に対応するプレイヤと他のプレイヤをマッチングさせるマッチング処理と、
前記マッチング処理においてマッチングされるプレイヤを制御する制御処理と、
を実行させるプログラムであって、
前記制御処理は、前記マッチング要求に対応する第1プレイヤに対し、当該第1プレイヤと直近でマッチングされた第2プレイヤが前記マッチング処理においてマッチングされないよう制御し、
前記プログラムは、
前記対戦ゲームに関するサービスについて、プレイヤのサービスログイン要求を受信する第2受信処理と、
前記サービスログイン要求を受信したことに応じて、当該サービスログイン要求に対応するプレイヤをログイン状態として管理する管理処理と、
前記ログイン状態のプレイヤが使用する通信端末に対して、当該プレイヤとは異なる前記ログイン状態の他のプレイヤに関するプレイヤ情報を送信する送信処理と、
を前記コンピュータにさらに実行させ、
前記マッチング要求は、前記プレイヤ情報に含められた前記他のプレイヤのいずれかを対戦相手として特定する特定情報を含み、
前記マッチング処理において、前記特定情報により特定されるプレイヤと前記マッチング要求に対応するプレイヤとがマッチングされ、
前記制御処理は、前記第1プレイヤとマッチング可能な第1種類のプレイヤの情報を含んだ前記プレイヤ情報が、前記第1プレイヤが使用する通信端末に送信されるよう前記送信処理を制御し、
プレイヤの各々には、前記対戦ゲームのプレイによって変化するプレイヤの階級を示す階級情報を含んだ属性情報が関連付けられており、
前記第1種類のプレイヤは、前記第1プレイヤと類似する前記属性情報が関連付けられたプレイヤであり、
前記制御処理は、前記第1プレイヤ以上の階級を示す前記階級情報が関連付けられたプレイヤの数に比べて前記第1プレイヤよりも低位の階級を示す前記階級情報が関連付けられたプレイヤの数が多く前記第1種類のプレイヤの情報に含まれるように構成した前記プレイヤ情報が送信されるよう、前記送信処理を制御するプログラム。
【請求項16】
プレイヤ同士が対戦する対戦ゲームについてプレイヤをマッチングする情報処理装置であって、
プレイヤが使用する通信端末から当該プレイヤのマッチング要求を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記マッチング要求に基づいて、当該マッチング要求に対応するプレイヤと他のプレイヤをマッチングさせるマッチング処理を実行するマッチング手段と、
前記マッチング処理においてマッチングされるプレイヤを制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記マッチング要求に対応する第1プレイヤに対し、当該第1プレイヤと直近でマッチングされた第2プレイヤが前記マッチング処理においてマッチングされないよう制御
し、
前記第2プレイヤとのマッチング後に前記第1プレイヤに対して前記第2プレイヤとは異なるプレイヤが所定回数マッチングされたことを条件として、前記第1プレイヤと前記第2プレイヤとを再度マッチング可能に制御し、
プレイヤの各々には属性情報が関連付けられており、
前記所定回数は、前記第1プレイヤに関連付けられた前記属性情報と前記第2プレイヤに関連付けられた前記属性情報とに基づいて決定される情報処理装置。
【請求項17】
プレイヤが使用する通信端末と、プレイヤ同士が対戦する対戦ゲームについてプレイヤをマッチングする情報処理装置と、を含むゲームシステムであって、
前記通信端末は、
プレイヤのマッチング要求を送信する第1送信手段と、
前記対戦ゲームを実行する実行手段と、
を備え、
前記情報処理装置は、
前記通信端末からプレイヤのマッチング要求を受信する第1受信手段と、
前記第1受信手段が受信した前記マッチング要求に基づいて、当該マッチング要求に対応するプレイヤと他のプレイヤをマッチングさせるマッチング処理を実行するマッチング手段と、
前記マッチング処理においてマッチングされるプレイヤを制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記マッチング要求に対応する第1プレイヤに対し、当該第1プレイヤと直近でマッチングされた第2プレイヤが前記マッチング処理においてマッチングされないよう制御
し、
前記第2プレイヤとのマッチング後に前記第1プレイヤに対して前記第2プレイヤとは異なるプレイヤが所定回数マッチングされたことを条件として、前記第1プレイヤと前記第2プレイヤとを再度マッチング可能に制御し、
プレイヤの各々には属性情報が関連付けられており、
前記所定回数は、前記第1プレイヤに関連付けられた前記属性情報と前記第2プレイヤに関連付けられた前記属性情報とに基づいて決定されるゲームシステム。
【請求項18】
前記情報処理装置は、
前記対戦ゲームに関するサービスについて、プレイヤのサービスログイン要求を前記通信端末から受信する第2受信手段と、
前記第2受信手段が前記サービスログイン要求を受信したことに応じて、当該サービスログイン要求に対応するプレイヤをログイン状態として管理する管理手段と、
前記ログイン状態のプレイヤが使用する前記通信端末に対して、当該プレイヤとは異なる前記ログイン状態の他のプレイヤに関するプレイヤ情報を送信する第2送信手段と、
をさらに備え、
前記第1送信手段は、前記プレイヤ情報に含められた前記他のプレイヤのいずれかを対戦相手として特定する特定情報を含む前記マッチング要求を送信し、
前記マッチング手段は、前記マッチング処理において、前記特定情報により特定されるプレイヤと前記マッチング要求に対応するプレイヤとをマッチングし、
前記制御手段は、前記第1プレイヤとマッチング可能な第1種類のプレイヤの情報を含んだ前記プレイヤ情報が、前記第1プレイヤが使用する通信端末に送信されるよう前記第2送信手段を制御する
請求項17に記載のゲームシステム。
【請求項19】
前記プレイヤ情報は、複数のプレイヤの情報を含み、
前記通信端末は、
前記プレイヤ情報に含まれる複数のプレイヤの情報を表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記表示手段に表示された前記複数のプレイヤのうちから対戦相手の選択を受け付ける選択手段と、
をさらに備え、
前記第1送信手段は、前記選択手段により対戦相手として選択されたプレイヤを特定する前記特定情報を含む前記マッチング要求を送信する
請求項18に記載のゲームシステム。
【請求項20】
前記制御手段は、前記第1種類のプレイヤの情報と前記第1プレイヤとマッチング不可能な第2種類のプレイヤの情報とを含んだ前記プレイヤ情報が、前記第1プレイヤが使用する通信端末に送信されるよう前記第2送信手段を制御し、
前記表示制御手段は、前記第1種類のプレイヤと前記第2種類のプレイヤとを表示態様を異ならせて前記表示手段に表示させ、
前記選択手段は、前記第1種類のプレイヤのうちから対戦相手の選択を受け付ける
請求項19に記載のゲームシステム。
【請求項21】
前記表示制御手段は、前記第2種類のプレイヤを前記第1種類のプレイヤよりも小さいサイズで前記表示手段に表示させる請求項20に記載のゲームシステム。
【請求項22】
前記プレイヤ情報は、前記第1種類のプレイヤに関する詳細情報を含む一方で、前記第2種類のプレイヤに関する詳細情報を含まず、
前記表示制御手段は、前記第1種類のプレイヤを操作入力に応じて詳細情報を前記表示手段に表示させる一方で、前記第2種類のプレイヤを操作入力に応じて詳細情報を前記表示手段に表示させない
請求項20または21に記載のゲームシステム。
【請求項23】
前記制御手段は、所定の時間間隔で更新した前記プレイヤ情報が送信されるよう、前記第2送信手段を制御し、
前記表示制御手段は、更新された前記プレイヤ情報を受信した場合に、前記表示手段の表示内容を当該プレイヤ情報に基づいて変更する
請求項22に記載のゲームシステム。
【請求項24】
前記表示制御手段は、前記第1種類のプレイヤに関する詳細情報を前記表示手段に表示させている期間に更新された前記プレイヤ情報を受信した場合に、前記表示手段の表示内容を変更しない請求項23に記載のゲームシステム。
【請求項25】
前記表示制御手段は、前記マッチング手段によりマッチングしたことを条件として、前記プレイヤ情報に基づく前記複数のプレイヤの表示を終了する
請求項19に記載のゲームシステム。
【請求項26】
前記通信端末は、当該通信端末に関連付けられた地理情報を取得する手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記地理情報に対応する地図画像を背景として、前記プレイヤ情報に基づく前記複数のプレイヤの表示を行う
請求項19に記載のゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理装置及びゲームシステムに関し、特にオンラインで対戦相手をマッチングする電子ゲームに関する。
【背景技術】
【0002】
オンラインでプレイヤ同士をマッチングさせる電子ゲームがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載されるゲームシステムでは、主として同一の地域に属するゲーム装置を利用するプレイヤ同士をマッチングさせるものであるため、プレイヤは同一のプレイヤと繰り返しマッチングすることになる。このようなマッチング方式は、協力プレイを行う電子ゲームである場合には興趣性を増大する方向に作用するものの、対戦プレイを行う電子ゲームである場合には興趣性を増大する方向に作用しない可能性がある。例えば、プレイヤ間にプレイスキルの差や利用するゲーム要素の性能差が存在する場合、一方のプレイヤに有利な内容で対戦ゲームが進行し得るため、同一のプレイヤと繰り返しマッチングすることでプレイヤのゲームに対する関心が低減する虞があった。
【0005】
本発明は、興趣性の高いマッチングを提供するプログラム、情報処理装置及びゲームシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様のプログラムは、プレイヤ同士が対戦する対戦ゲームについてプレイヤをマッチングするコンピュータに、プレイヤが使用する通信端末から当該プレイヤのマッチング要求を受信する第1受信処理と、受信したマッチング要求に基づいて、当該マッチング要求に対応するプレイヤと他のプレイヤをマッチングさせるマッチング処理と、マッチング処理においてマッチングされるプレイヤを制御する制御処理と、を実行させるプログラムであって、制御処理は、マッチング要求に対応する第1プレイヤに対し、当該第1プレイヤと直近でマッチングされた第2プレイヤがマッチング処理においてマッチングされないよう制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、興趣性の高いマッチングを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態及び変形例に係るゲームシステムの構成を例示した図
【
図2】本発明の実施形態及び変形例に係るプレイヤ端末100のハードウェア構成を例示したブロック図
【
図3】本発明の実施形態及び変形例に係るサーバ200のハードウェア構成を例示したブロック図
【
図4】本発明の実施形態1に係るプレイヤ端末100において実行されるクライアント処理を例示したフローチャート
【
図5】本発明の実施形態1に係るサーバ200において実行されるマッチング処理を例示したフローチャート
【
図6】本発明の実施形態2に係るプレイヤ端末100において表示されるマッチング候補のプレイヤを表示する申込画面を例示した図
【
図7】本発明の実施形態2に係る対戦ゲームのベット画面を例示した図
【
図8】本発明の実施形態2に係るベット機能利用時に表示されるゲーム開始画面を例示した図
【
図9】本発明の実施形態3に係るサーバ200において実行される階級決定処理を例示したフローチャート
【
図10】本発明の変形例8に係るマッチング基準を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態1]
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
以下に説明する一実施形態は、ゲームシステムの一例としての、各プレイヤの使用するプレイヤ端末(通信端末またはゲーム装置)と通信接続するサーバが、同時期に接続中の2人のプレイヤをマッチングさせ、双方のプレイヤが参加した対戦ゲームを実現するサービス(対戦サービス)を提供するゲームシステムに、本発明を適用した例を説明する。しかし、本発明は、複数のプレイヤが参加する電子ゲームを進行させることが可能な任意の機器構成で実現されるシステムに適用可能である。また、本明細書において、「プレイヤ」とは、本ゲームシステムにおいてサーバ200が提供する対戦サービスについて、サービスログインして利用するユーザを指すものとして説明する。
【0011】
《ゲームシステムの構成》
図1は、本実施形態に係るゲームシステムの構成を示した図である。図示されるように、ゲームシステムでは、ネットワーク300を介することでサーバ200と複数のプレイヤ端末100とが通信接続可能に構成されている。また本実施形態ではサーバ200は、接続中のプレイヤ端末100の2名のプレイヤを対戦ゲームのプレイヤとしてマッチングし、当該対戦ゲームに係る各種情報の送受信を行うための通信セッションを設け、当該2名のプレイヤが参加した対戦ゲームを実現する対戦サービスを提供する。
【0012】
各プレイヤは、当該プレイヤが使用するプレイヤ端末100において所定のクライアントアプリケーションを起動することで対戦サービスにサービスログインすることができる。クライアントアプリケーションでは、プレイヤは、実行される対戦ゲームについての各種設定や事前準備、プレイヤプロフィールの設定、対戦ゲームのゲームプレイ(対戦、遊戯)等を行うことができる。詳細は後述するが、本実施形態の対戦サービスにおいてゲームプレイが可能となる対戦ゲーム(電子ゲーム)は、所定のゲームフィールドにカード等のゲーム要素を配置しながら進行するトレーディングカードゲーム(TCG)であるものとする。またプレイヤ端末100は、PCやスマートフォンのような通信機能を具備する任意の通信端末とすることができる。
【0013】
〈プレイヤ端末のハードウェア構成〉
続いて、
図2を用いてプレイヤ端末100のハードウェア構成を説明する。
図2は、プレイヤ端末100のハードウェア構成を例示したブロック図である。
【0014】
制御部101は、CPU等のプロセッサであり、プレイヤ端末100が備える各ハードウェアの動作制御を含む各種制御を行う。具体的には制御部101は、例えば記憶装置102に記憶されている必要なプログラムを読み出し、メモリ103に展開して実行することにより該当の制御を行う。
【0015】
記憶装置102は、例えば不揮発性メモリやHDD等の、恒久的な情報記憶が可能な装置である。記憶装置102は、プレイヤ端末100を動作させるためのオペレーティングシステムや各種アプリケーションに係るプログラムに加え、各種制御の実現に必要となるパラメータの情報や、ブラウザに係る表示や通信機能に用いられる各種データを記憶する。メモリ103は、例えば揮発性メモリ等の一時的なデータ記憶に使用される記憶装置である。メモリ103は、各プログラムの展開領域としてだけでなく、各種ハードウェアの動作や各種制御の過程で出力されたデータ等を一時的に記憶する格納領域としても用いられるものであってよい。
【0016】
GPU104は、プレイヤ端末100に係る表示画面の生成に係る、各種の描画処理を実行する描画装置である。GPU104は、対戦ゲームの遊戯実行中のゲーム画面の描画処理も実行する。GPU104は、不図示のGPUメモリを含み、記憶装置102から読み出された各種グラフィックスデータを展開し、所定の演算を行って画面をはじめとする各種の画像を生成する。GPU104により生成された画面や画像は、例えばプレイヤ端末100が具備するディスプレイ110に表示されることで、プレイヤに提示される。ディスプレイ110は、例えば液晶ディスプレイ等の、プレイヤ端末100が備える、あるいはプレイヤ端末100に着脱可能に接続された情報表示を行う装置である。ディスプレイ110は、GPU104により生成された画面を表示する。
【0017】
操作I/F105は、プレイヤ端末100が備える操作入力を受け付けるユーザインタフェースである。操作I/F105は、操作入力がなされたことを検出すると、該操作入力に対応する制御信号を制御部101に出力する。1つの態様において、操作I/F105は、例えばプレイヤ端末100の外装に設けられたボタン等の操作部材や各種センサ等を含む。また本実施形態のプレイヤ端末100が備えるディスプレイ110は、タッチ入力を検出可能に構成され、操作I/F105は、当該ディスプレイ110に設けられた、タッチ入力検出センサを含む。
【0018】
通信I/F106は、プレイヤ端末100が備える外部装置との通信インタフェースである。通信I/F106と外部装置との間の情報通信は、インターネット等の広域通信網(WAN)を介して行われるものであってもよいし、LAN等を介して行われるものであってもよい。通信I/F106が行う情報通信は、無線で行われるものとして説明するが、有線で行われる態様を除外するものではない。
【0019】
スピーカ120は、プレイヤ端末100が備える音声出力インタフェースである。スピーカ120は、クライアントアプリケーションに係る音声を含む各種の音声情報を出力する。
【0020】
〈サーバのハードウェア構成〉
図3は、本実施形態に係るサーバ200のハードウェア構成を示したブロック図である。なお、以下の説明において、プレイヤ端末100と同様の機能を実現するハードウェア構成については、プレイヤ端末100の構成と峻別すべく「サーバ」の接頭文字を付すものとする。
【0021】
サーバ制御部201は、CPU等のプロセッサであり、サーバ200が備える各ハードウェアの動作制御、対戦サービスに係るプレイヤ管理、プレイヤ同士のマッチング機能、実行される対戦ゲームについての情報送受信や情報共有を含む各種機能の実現に係る制御を行う。具体的にはサーバ制御部201は、例えばサーバ記憶装置202に記憶されている必要なプログラムを読み出し、サーバメモリ203に展開して実行することにより該当の制御を行う。
【0022】
サーバ記憶装置202は、例えば不揮発性メモリやHDD等の、恒久的な情報記憶が可能な装置である。サーバ記憶装置202は、サーバ200を動作させるためのオペレーティングシステムやマッチングに係るプログラムに加え、各種制御の実現に必要となるパラメータの情報や、マッチング機能の提供に必要な各種データを記憶する。またサーバ記憶装置202は、ゲームシステムのプレイヤとして登録された各プレイヤの情報を管理するデータベース機能も具備するものとする。サーバメモリ203は、例えば揮発性メモリ等の一時的なデータ記憶に使用される記憶装置である。サーバメモリ203は、各プログラムの展開領域としてだけでなく、各種ハードウェアの動作や各種制御の過程で出力されたデータ等を一時的に記憶する格納領域としても用いられるものであってよい。
【0023】
サーバ通信I/F204は、サーバ200が備える外部装置との通信インタフェースである。サーバ通信I/F204と外部装置との間の情報通信は、インターネット等の広域通信網(WAN)を介して行われるものであってもよいし、LAN等を介して行われるものであってもよい。サーバ通信I/F204が行う情報通信は、有線及び無線のいずれで行われるものであってもよい。
【0024】
《対戦ゲームの概要》
以下、本実施形態のゲームシステムにおいてプレイ体験が提供される対戦ゲームの概要を説明する。
【0025】
〈サービスログイン〉
プレイヤ端末100においてクライアントアプリケーションが実行されると、サービス利用に係るゲームウィンドウが当該プレイヤ端末100のディスプレイ110に表示される。プレイヤは、ゲームウィンドウにおいて例えばプレイヤID及びパスワードを入力することで、サービスログインに係る手続きを行うことができる。当該手続きにより、プレイヤ端末100からサーバ200に対してサービスログイン要求が入力情報と共に送信される。サーバ制御部201はサービスログイン要求を受信すると、例えばプレイヤIDに関連付けて登録されているプレイヤ情報を参照して入力情報の真正性をチェックし、真正性が認められる場合に当該プレイヤをログイン状態として管理する。ログイン状態となったプレイヤは、対戦ゲームのプレイに係りサービスが提供している各種機能を、ゲームウィンドウを介して利用することが可能になる。
【0026】
〈デッキ構築〉
サービスが提供する機能には、デッキ構築機能が含まれる。
【0027】
対戦ゲームは、ゲーム上で定められた所定のフィールドを用いて行われる。各プレイヤは、対戦ゲームにあたり一揃いのゲーム要素群を登録した「デッキ」を構築し、構築したデッキを使用して対戦ゲームをプレイすることができる。
【0028】
デッキの構築のために、プレイヤは、例えば代価を支払うことで利用可能な抽選機能等でゲーム要素を入手する必要がある。即ち、構築するデッキにプレイヤが含めることが可能なゲーム要素は、例えばプレイヤが入手済みのゲーム要素に限られる。またプレイヤが構築可能なデッキは、1つに限られるものではなく、登録されているゲーム要素の少なくとも一部が異なる複数のデッキが構築可能であってよい。
【0029】
プレイヤが入手済みのゲーム要素やプレイヤが構築したデッキの情報は、プレイヤを一意に特定する識別情報(プレイヤID)に関連付けてサーバ記憶装置202に登録されることにより管理される。より詳しくは、サーバ記憶装置202は、各プレイヤに係る各種情報をプレイヤ情報として管理するデータベース(DB)としても機能し、当該DBの1レコードであるプレイヤ情報において、プレイヤIDと、当該プレイヤが入手済みのゲーム要素の情報及び当該プレイヤが構築したデッキの情報とを関連付けて管理する。
【0030】
例えば、プレイヤが入手したゲーム要素は、当該ゲーム要素を一意に特定する要素ID及びその数が、プレイヤ情報に含められることで、プレイヤが当該ゲーム要素をいくつ所有している状態であるかを管理することができる。また例えば、プレイヤが構築したデッキは、当該デッキの識別情報(デッキID)及び当該デッキに含められたゲーム要素の要素IDがプレイヤ情報に含められることで、プレイヤが構築済みのデッキの情報(デッキ情報)として管理される。
【0031】
上述したように本実施形態の対戦サービスでプレイ体験が提供される対戦ゲームはTCGであり、プレイヤに付与され、デッキに登録して使用可能なゲーム要素は(電子ゲーム上で所有することが可能な仮想的な)カードとなる。本実施形態の対戦ゲームでは、プレイヤが使用可能なカードは、対戦ゲームにおける役割が異なるリーダーカードとメンバーカードの2種類に分類され、デッキには1枚のリーダーカードを含めることが条件づけられている。換言すれば、デッキは、1枚のリーダーカードと、(1枚以上)複数枚のメンバーカードとで構築される。カードの各々には、例えば対戦ゲームを有利に進行せしめる度合いに応じたコストが定められており、プレイヤは、デッキの総コストが規定値になるように当該デッキに含めるカード群を登録する必要がある。
【0032】
ここで、リーダーカードとメンバーカードは、対戦ゲームにおいて役割が異なって設けられたカードであり、例えば以下のような違いを有する。
【0033】
リーダーカードは、デッキに含めることが可能なメンバーカードを制限する側面を有し、デッキの方向性(対戦ゲームで勝利するためにとるべき戦略の方針)を定める。即ち、デッキに1つのリーダーカードを含めることで、当該デッキを使用した対戦ゲームがどのようなゲーム展開になるかがある程度定まる。一方、メンバーカードは、基本的にはデッキに含めることが可能な他のカードを制限するものではない。
【0034】
対戦ゲームはターン制で構成され、各プレイヤの行動ターンにおいて、プレイヤが使用するデッキに登録したカードをフィールドに順次配置しながら進行する。リーダーカードは、対戦ゲームの開始時にフィールドに配置され、対戦ゲームの実行中は常にフィールドに配置される。一方、メンバーカードは、山札からランダムにプレイヤの手札に加えられ、各行動ターンにおいてプレイヤの判断によりフィールドに配置される。即ち、リーダーカードとメンバーカードは、フィールドへの配置が強制的であるか任意であるかの点で異なる。
【0035】
ここで、対戦ゲームは、各プレイヤのリーダーカードに対して、対戦ゲームの開始時に規定値のライフ(リーダーカードに対する攻撃行動に耐久可能な回数を示すパラメータ)が設定されるものとする。本実施形態の対戦ゲームでは、プレイヤ間の公平性を担保するため、いずれのリーダーカードであってもライフは固定の8に設定される。対戦ゲームは、いずれか一方のプレイヤに係るリーダーカードのライフが0になる、または、いずれか一方のプレイヤのデッキ(手札、山札及びフィールドのメンバーカード)が0枚になることで終了する。即ち、プレイヤは、対戦相手のリーダーカードのライフを0にするか、対戦相手のデッキを先に0枚にさせることで、対戦相手に勝利することができる。またプレイヤは、自身のリーダーカードのライフが0になるか、対戦相手よりも先にデッキが0枚になることで、対戦相手に敗北することになる。
【0036】
またカードの各々には、対戦ゲームにおいてフィールドに配置されることで発生する効果が設定されているが、メンバーカードには対戦ゲームの進行パラメータに応じて切り替わらない1種類の効果が設定される。対して、リーダーカードは、対戦ゲームの進行パラメータに応じて切り替わる複数種類の効果が設定される点でメンバーカードと異なる。ここで、対戦ゲームの進行パラメータは、例えばリーダーカードのライフであってよく、ライフの半減をもって、より対戦ゲームの進行を有利にせしめる効果が発動可能に設定されるものであってよい。
【0037】
従って、プレイヤによりデッキ構築機能に係る「新規デッキの構築」または「構築済みデッキの編集」のメニューが選択されると、1つのデッキの編集状態となり、ゲームウィンドウにはプレイヤの入手状態として管理されているカードの一覧が表示される。プレイヤは一覧から所望のカードを選択する操作入力を行うことで、編集対象のデッキに登録するカードを選択することができる。具体的にはデッキに登録するものとして選択されたカードに係る識別情報(カードID)が、編集対象のデッキに係るデッキ情報に追加される。編集対象のデッキに係るデッキ情報は、例えばプレイヤ端末100のメモリ103に一時的に保持され、登録するカードが選択される度に更新される。
【0038】
ここで、「新規デッキの構築」のメニューが選択された場合には、新規のデッキ情報が生成されて編集対象のデッキに係るデッキ情報としてメモリ103に保持される。対して、「構築済みデッキの編集」のメニューが選択された場合には、該当のデッキに係るデッキ情報がサーバ200からプレイヤ端末100にダウンロードされ、編集対象のデッキに係るデッキ情報としてメモリ103に保持される。
【0039】
そして、構築完了に係る操作入力がなされたことに応じて、編集対象のデッキに係るデッキ情報はプレイヤ端末100からサーバ200にアップロードされ、プレイヤに係るプレイヤ情報に含められて管理される。このとき、新規デッキである場合には、サーバ200において、新規のデッキIDがプレイヤについて採番され、アップロードされたデッキ情報に当該デッキIDが関連付けられてプレイヤのプレイヤ情報に追加される。また構築済みデッキである場合には、編集対象のデッキに係るデッキ情報には既にデッキIDが関連付けられているため、プレイヤのプレイヤ情報のうちの、アップロードされたデッキ情報と同一のデッキIDを有するデッキ情報が、当該アップロードされたデッキ情報に基づいて更新される。
【0040】
なお、いずれのカードも登録されていないデッキ情報がプレイヤ情報に含まれることにより、DBに係る格納領域が占有されることを回避するべく、編集対象のデッキに係るデッキ情報のアップロードは、構築完了に係る操作入力がなされた時点で1枚以上のカードが登録されていることを条件として行われるものとする。即ち、デッキの構築完了とは、必ずしもデッキが対戦ゲームに使用可能な状態になっていることを条件とするものではなく、例えば一時的に使用検討中の1以上のカードを登録した状態でも、プレイヤは構築完了としてデッキ情報を保存させることもできる。
【0041】
〈マッチング〉
プレイヤは、デッキ構築機能により構築したデッキを用いることで、対戦ゲームのゲームプレイが可能となる。本実施形態の対戦ゲームでは2人のプレイヤが対戦するため、プレイヤは、ゲームプレイの開始にあたり、マッチング要求をプレイヤ端末100からサーバ200に送信させる必要がある。サーバ制御部201は、マッチング要求を受信すると、同時期にマッチング要求を行っているログイン状態のプレイヤのうちから、対戦する2人のプレイヤをマッチングさせる処理を行う。
【0042】
従って、クライアントアプリケーションではゲームプレイ機能が設けられ、当該機能の使用時に対戦ゲームのプレイ開始要求をプレイヤから受け付けるよう構成される。プレイヤは、(その後に)実施される対戦ゲームについて、構築したデッキのうちから1つのデッキを対戦用デッキとして選択することで、プレイ開始要求に係る操作入力を行うことが可能になる。詳細は後述するが、本実施形態のゲームシステムでは、対戦ゲームの興趣性を高めるべく、プレイヤが使用するデッキも考慮して対戦相手のマッチングを行う。故に、プレイ開始要求に係る操作入力がなされると、制御部101は、対戦用デッキの情報を含んだマッチング要求を通信I/F106を介してサーバ200に送信する。
【0043】
マッチング要求は、例えばプレイヤのプレイヤIDと、当該プレイヤが使用する対戦用デッキを示す情報とを含む。対戦用デッキを示す情報は、例えばデッキIDとすることができ、サーバ制御部201は、プレイヤIDとデッキIDとに基づいて該当のプレイヤ情報から対戦用デッキに係るデッキ情報を参照することができ、当該対戦用デッキに登録されているカードを特定することができる。
【0044】
上述したように対戦ゲームがどのようなゲーム展開となるかは、プレイヤが使用する対戦用デッキ、とりわけ、対戦用デッキに含まれる1枚のリーダーカードに応じて変化する。リーダーカードの各々に係る特性は、主として当該リーダーカードにより発動可能となる効果によって定まるが、多様なプレイスタイルを可能ならしめるために、特性間には有利/不利の相性が存在する。このため、不利な相性のデッキを使用する他のプレイヤと連続してマッチングした場合、プレイヤの対戦ゲームに対する関心が低減する虞がある。故に、本実施形態のゲームシステムでは、マッチング要求には対戦用デッキの情報が含められ、サーバ制御部201が行う後述のマッチング処理において参照される。
【0045】
ところで、好適なゲーム展開を実現せしめる対戦用デッキの構築には、各リーダーカードやメンバーカードに設定された効果やコストを考慮する必要があり、時間を要するものである。また興趣性の高い対戦ゲームのプレイ体験を提供し、マッチング要求を行ったプレイヤに対して好適な対戦相手をマッチングさせるためのマッチング処理にも、時間帯等に応じて時間を要することがある。即ち、対戦用デッキの構築が完成していることを条件として対戦ゲームのプレイ開始要求を受け付ける仕様としてしまうと、サービスログインしたプレイヤが対戦ゲームのゲームプレイを開始するまでに要す時間が長期化し得る。
【0046】
このため、本実施形態のゲームシステムでは、少なくともデッキにリーダーカードが登録されていることを条件として、当該デッキを対戦用デッキとしてプレイ開始要求を受け付けるよう構成される。即ち、プレイヤ端末100からサーバ200へのマッチング要求の送信は、対戦用デッキとして選択されたデッキに、少なくとも1枚のリーダーカードが含まれていることを条件として送信される。
【0047】
従って、クライアントアプリケーションに係るゲームウィンドウでは、プレイヤはプレイ開始要求に係る操作入力を行った後も対戦用デッキの内容を表示して確認することができ、さらに当該対戦用デッキを編集可能に構成される。ここで、編集対象となるデッキは対戦用デッキに限られる。また詳細は後述するが、マッチング要求によってサーバ200では、対戦用デッキのリーダーカードの情報に基づいてマッチング処理が実行されるため、プレイ開始要求後は、対戦用デッキのうちのリーダーカード以外、即ちメンバーカードのみが編集可能に制御されるものとする。このような対戦用デッキの編集は、対戦相手のマッチングが完了するまでの期間に限定して可能なよう制御されるものとする。
【0048】
(マッチング処理)
以下、マッチングに係りサーバ200において実行されるマッチング処理の概要を説明する。
【0049】
本実施形態のゲームシステムにおいてプレイ体験が提供される対戦ゲームは2人のプレイヤが対戦するTCGであるため、サーバ制御部201は、1人のプレイヤに係るマッチング要求をプレイヤ端末100から受信するとマッチング処理を実行し、当該1人のプレイヤと対戦する他のプレイヤ(対戦相手)を決定する。マッチング処理は、ログイン状態にあるプレイヤのうちの、同時期にマッチング要求を行ったプレイヤ同士をマッチングさせる処理である。興趣性の高いプレイ体験を提供すべく、本実施形態のマッチング処理では複数種類のマッチング基準を設け、それらに基づいて対戦相手とするプレイヤの抽出を行う。マッチング基準の各々は、対戦相手として抽出するプレイヤの条件を規定しており、サーバ制御部201は、同時期にマッチング要求を受信しているプレイヤのうちから条件に該当するプレイヤを抽出し、そのうちの1人のプレイヤを対戦相手として決定する。複数種類のマッチング基準の各々には優先順位が定められており、サーバ制御部201は、基本的には全てのマッチング基準に係る条件を満たすプレイヤを抽出し、そのうちから1人のプレイヤを対戦相手として決定するが、全て条件を満たすプレイヤが存在しない場合には、優先順位の低いマッチング基準から順に除外してプレイヤの抽出を行う処理をくり返す。
【0050】
本実施形態のマッチング処理の1つ目のマッチング基準は、同一のプレイヤとのマッチング頻度に関する。対戦ゲームの勝敗は、プレイヤの経験やプレイスキル、あるいはプレイヤの保有状態にあるカード等の要素にも影響を受ける。特に、プレイスキルに関しては対戦ゲームのプレイ回数に依存する側面があり、プレイヤ間に明確な差がある場合には、連戦したとしてもプレイスキルの高い方のプレイヤが勝利する結果になりやすい。結果、プレイスキルの低い方のプレイヤが連敗しやすくなり、当該プレイヤの対戦ゲームへの関心が低減し得る。また、連続して同一のプレイヤ同士がマッチングする態様では、例えばログイン状態のプレイヤ数が少ない時間帯にゲームプレイを繰り返すことで、意図的に同一のプレイヤとマッチングすることができ、例えば一方のプレイヤが故意に敗北宣言を繰り返すことで、他方のプレイヤの勝率を不正に操作することもできる。
【0051】
故に、1つ目のマッチング基準では、マッチング要求を行ったプレイヤに対してマッチングさせる対戦相手が、当該プレイヤが直近にプレイした所定回数の対戦ゲームの対戦相手ではないことを条件とする。発明の理解を容易にすべく、本実施形態では同一プレイヤとの連戦を回避するように、所定回数を1回とする態様について説明する。即ち、以下では1つ目のマッチング基準は、マッチング要求を行ったプレイヤに対して直近にマッチングさせたプレイヤでないことを条件として定める。しかしながら、本発明の実施はこれに限られるものではなく、例えば1度マッチングさせたプレイヤとは、他のプレイヤを対戦相手とする対戦ゲームが2以上の所定回数実施されるまでマッチングさせないよう制御するものとしてもよい。
【0052】
本実施形態のマッチング処理の2つ目のマッチング基準は、同一のリーダーカードを含んだデッキを使用するプレイヤとのマッチング頻度に関する。上述したように対戦ゲームのゲーム展開は、デッキに含められたリーダーカードに依存し得る。このため、同一のリーダーカードを含んだデッキと連戦可能にしてしまうと、プレイヤに同様のゲーム展開の対戦ゲームのプレイ体験が連続して提供されることになり、結果、プレイヤがゲームプレイに飽きてしまう可能性がある。特に、不利な相性のリーダーカードを含んだデッキと連戦する場合、プレイヤは挽回が難しいゲーム展開を強いられるため、対戦ゲームへの関心を失ってしまう可能性がある。
【0053】
故に、2つ目のマッチング基準では、マッチング要求を行ったプレイヤに対してマッチングさせる対戦相手、当該プレイヤが直近にプレイした所定回数の対戦ゲームで使用された対戦相手のデッキとはリーダーカードが異なることを条件とする。発明の理解を容易にすべく、本実施形態では同一のリーダーカードを含んだデッキを使用するプレイヤとの連戦を回避するように、所定回数を1回とする態様について説明する。即ち、以下では2つ目のマッチング基準は、マッチング要求を行ったプレイヤが直近に対戦したデッキとはリーダーカードが異なることを条件として定める。しかしながら、本発明の実施はこれに限られるものではなく、例えば1度対戦相手のデッキで使用されたリーダーカードについては、他のリーダーカードのデッキを使用する対戦相手の対戦ゲームが2以上の所定回数実施されるまでマッチングさせないよう制御するものとしてもよい。
【0054】
本実施形態のマッチング処理の3つ目のマッチング基準は、マッチング要求を行ったプレイヤと異なるリーダーカードを含んだデッキを使用するプレイヤであることを条件とする。各プレイヤはリーダーカードに係る特性を考慮してデッキを構築するが、同一のリーダーカードを含んだデッキと対戦する場合には、当該特性を活かすことが難しく、単調なゲーム展開となってしまう可能性がある。故に、3つ目のマッチング基準では、マッチング要求を行ったプレイヤに対してマッチングさせる対戦相手が、当該プレイヤが使用する対戦用デッキとはリーダーカードが異なるデッキを使用することを条件とする。
【0055】
サーバ制御部201は、このような3種類のマッチング基準に基づいて、マッチング要求を行ったプレイヤに対してマッチングさせる他のプレイヤを決定する。マッチング基準の優先順位は、1つ目のマッチング基準、2つ目のマッチング基準、3つ目のマッチング基準の順番で低くなるように設定され、サーバ制御部201は、同時期にマッチング要求を行っているプレイヤの中から対戦相手を決定するために、これらのマッチング基準を適宜組み替えてプレイヤの抽出を行う。
【0056】
例えば、プレイヤAが直近にリーダーカードbを含んだデッキを使用するプレイヤBと対戦し、次の対戦ゲームにリーダーカードaを含んだ対戦用デッキを使用する態様において、サーバ制御部201はプレイヤAによるマッチング要求を受信すると、まず全てのマッチング基準に合致するプレイヤを抽出する。即ち、サーバ制御部201は、プレイヤBとは異なり(1つ目のマッチング基準)、かつ、リーダーカードa及びリーダーカードb以外のリーダーカードを含むデッキを使用する(2つ目及び3つ目のマッチング基準)プレイヤを抽出する。このとき、全てのマッチング基準に合致するプレイヤが存在する(1以上のプレイヤが抽出された)のであれば、サーバ制御部201は当該プレイヤのうちから対戦相手を決定する。一方、全てのマッチング基準に合致するプレイヤが存在しないのであれば、サーバ制御部201は、最下位の優先順位のマッチング基準(この場合は、3つ目のマッチング基準)を除外して再度合致するプレイヤの抽出を行う。具体的には、サーバ制御部201は、プレイヤBとは異なり(1つ目のマッチング基準)、かつ、リーダーカードb以外のリーダーカードを含むデッキを使用する(2つ目のマッチング基準)プレイヤを抽出する。サーバ制御部201は、当該条件でも合致するプレイヤを抽出できない場合には、さらに条件を緩和させて(2つ目のマッチング基準を除外して)再抽出を行う。
【0057】
このようにサーバ制御部201は、好適なプレイ体験を提供するべく予め定められた条件に基づいてプレイヤを抽出しつつ、必要に応じて条件を緩和させながらマッチング要求を行った相手にマッチングさせる対戦相手の決定を行う。なお、1つ目のマッチング基準のみでも該当するプレイヤが存在しない場合には、サーバ制御部201は、例えば同時期にマッチング要求を行っているプレイヤのうちからランダムで1人のプレイヤを対戦相手に決定してもよいし、所定のタイムアウト時間に至るまで検索期間を延長して、マッチング基準に合致するプレイヤを再度検索してもよい。
【0058】
プレイヤのマッチングが完了すると、サーバ制御部201は、マッチングした2名のプレイヤが参加する対戦ゲームに係る各種情報の送受信を行うための通信セッションを設ける。当該通信セッションの情報は、例えばマッチング結果の情報と共に、2名のプレイヤの各々が使用するプレイヤ端末100に送信される。プレイヤ端末100の制御部101は、通信セッションの情報を受信すると、当該通信セッションに接続させるための処理を開始する。
【0059】
〈ゲームプレイ〉
通信セッションに対戦する各プレイヤのプレイヤ端末100が接続することで、マッチングされた2名のプレイヤが参加した対戦ゲームのゲームプレイが開始可能となる。各プレイヤ端末100で実行中のクライアントアプリケーションでは、両プレイヤのプレイヤ端末100が通信セッションに接続すると、対戦ゲームの遊戯に係る処理が開始されてゲーム画面が表示される。
【0060】
ここで、対戦ゲームは、対戦用デッキに1枚のリーダーカードと1以上のメンバーカードが含まれていることを条件として実行されるものであり、対戦ゲームの遊戯に係る処理が開始されると、対戦用デッキは公平性を担保するために編集不可能に制御される。このため、対戦ゲームの遊戯に係る処理の開始前の時点でプレイヤの使用する対戦用デッキに1枚もメンバーカードが含まれていない場合には、少なくとも1枚のメンバーカードの選択に係る操作入力を受け付け、メンバーカードが追加されてデッキ情報が更新されたことをもって対戦ゲームの遊戯に係る処理を実行するよう制御すればよい。
【0061】
各プレイヤ端末100において実行された対戦ゲームの遊戯に係る処理では、プレイヤが対戦ゲームに係り行った操作入力に基づいてゲーム進行用の各種情報が構成され、サーバ200に送信される。サーバ200では、各通信セッションについてゲーム進行用の各種情報を管理し、プレイヤ端末100から受信した情報を通信セッション参加中の他のプレイヤ端末100に送信(共有)する処理がなされる。対戦ゲームの遊戯に係る処理では、サーバ200から対戦相手に係るゲーム進行用の情報を受信すると、当該情報に基づいてゲーム画面の表示制御が行われる。このようにすることでゲームシステムでは、サーバ200を介して遠隔地のプレイヤが対戦するプレイ体験を提供することができる。
【0062】
《クライアント処理》
以下、本実施形態のプレイヤ端末100においてクライアントアプリケーションに係り実行されるクライアント処理について、
図4のフローチャートを用いて具体的な処理を説明する。該フローチャートに対応する処理は、制御部101が、例えば記憶装置102に記憶されている対応する処理プログラムを読み出し、メモリ103に展開して実行することにより実現することができる。なお、本クライアント処理は、例えばプレイヤ端末100においてクライアントアプリケーションが実行され、プレイヤのサービスログインが完了した際に開始されるものとして説明する。また、本クライアント処理に係る説明では、当該処理を実行中のプレイヤ端末100を使用し、サービスログインしたプレイヤを「対象プレイヤ」として言及する。
【0063】
S401で、制御部101は、デッキ構築機能の利用に係る操作入力がなされたか否かを判断する。制御部101は、デッキ構築機能の利用に係る操作入力がなされたと判断した場合は処理をS402に移し、なされていないと判断した場合は処理をS403に移す。
【0064】
S402で、制御部101は、デッキ構築機能に係る処理を実行する。本実施形態ではデッキ構築機能に係る処理の詳細については割愛するが、上述したようにデッキ構築機能を利用することで、対象プレイヤに係るプレイヤ情報にデッキ情報を追加/更新することができる。
【0065】
S403で、制御部101は、対戦ゲームのプレイ開始要求に係る操作入力がなされたか否かを判断する。制御部101は、プレイ開始要求に係る操作入力がなされたと判断した場合は処理をS404に移し、なされていないと判断した場合は処理をS411に移す。
【0066】
S404で、制御部101は、対象プレイヤが対戦ゲームに使用するデッキ(対戦用デッキ)の選択を受け付ける。対戦用デッキの選択は、対象プレイヤに係り構築されているデッキのうちから、いずれかのデッキを選択する操作入力に基づいてなされる。当該選択に先立って、制御部101は、サーバ200からプレイヤに係り登録されているデッキ情報を取得し、対応するデッキを選択可能にディスプレイ110に表示させるものとする。
【0067】
S405で、制御部101は、S404において選択されたデッキにリーダーカードが登録されているか否かを判断する。制御部101は、選択されたデッキにリーダーカードが登録されていると判断した場合は処理をS406に移し、登録されていないと判断した場合は処理をS404に戻す。後者の場合、サーバ制御部201は例えば、リーダーカードが登録されているデッキを選択するよう指示する通知をディスプレイ110に表示させてもよい。
【0068】
S406で、制御部101は、S404において選択されたデッキのデッキIDを対戦用デッキのデッキIDとして含めたマッチング要求を、サーバ200に送信する。当該マッチング要求により、サーバ200においてマッチング処理が実行され、対戦相手のプレイヤ(以下、相手プレイヤとして言及)の決定がなされる。
【0069】
S407で、制御部101は、相手プレイヤがマッチングされたか否かを判断する。本ステップの判断は、サーバ200からマッチング結果の情報を受信したか否かに基づいて行うことができる。制御部101は、相手プレイヤがマッチングされたと判断した場合は処理をS408に移し、マッチングされていないと判断した場合は本ステップの処理をくり返す。
【0070】
S408で、制御部101は、マッチング結果の情報に含まれる接続先の通信セッションの情報に基づいて、通信I/F106を介して当該通信セッションとの通信接続を確立する。
【0071】
S409で、制御部101は、対戦ゲームの遊戯に係る処理を実行する。
【0072】
S410で、制御部101は、S409において開始した対戦ゲームの遊戯に係る処理が完了したか否かを判断する。ここで、対戦ゲームの遊戯に係る処理は、実施された対戦ゲームにおいて終了条件が満たされ、対戦結果が確定したことをもって終了する。制御部101は、対戦ゲームの遊戯に係る処理が完了したと判断した場合は処理をS411に移し、完了していないと判断した場合は本ステップの処理をくり返す。
【0073】
S411で、制御部101は、クライアントアプリケーションの終了に係る操作入力がなされたか否かを判断する。制御部101は、クライアントアプリケーションの終了に係る操作入力がなされたと判断した場合は本クライアント処理を完了し、なされていないと判断した場合は処理をS401に戻す。
【0074】
《マッチング処理》
次に、本実施形態のサーバ200で実行されるマッチング処理について、
図5のフローチャートを用いて具体的な処理を説明する。該フローチャートに対応する処理は、サーバ制御部201が、例えばサーバ記憶装置202に記憶されている対応する処理プログラムを読み出し、サーバメモリ203に展開して実行することにより実現することができる。なお、本マッチング処理は、例えばいずれかのプレイヤ端末100からのマッチング要求を受信した際に開始されるものとして説明する。また、本マッチング処理に係る説明では、マッチング要求を受信したプレイヤを「対象プレイヤ」、同時期にマッチング要求を行っている他のプレイヤを「待機プレイヤ」、対象プレイヤに対してマッチングされるプレイヤを「相手プレイヤ」として言及する。
【0075】
S501で、サーバ制御部201は、相手プレイヤを抽出するための情報(抽出情報)を取得する。本実施形態ではサーバ制御部201は、抽出情報として、対象プレイヤに対して直近にマッチングしたプレイヤ(以下、前回プレイヤとして言及)のプレイヤID、直近の対戦ゲームでの前回プレイヤに係るリーダーカードのカードID、及び対象プレイヤの対戦用デッキのリーダーカードのカードIDを取得する。ここで、前回プレイヤに係る各種の情報は、例えば対象プレイヤのプレイヤ情報に含まれる対戦履歴の情報から取得可能であってよい。
【0076】
S502で、サーバ制御部201は、抽出情報に基づいて、全ての種類のマッチング基準に合致するプレイヤが待機プレイヤ中に存在するか否かを判断する。即ち、サーバ制御部201は、3種類のマッチング基準を抽出条件として設定して、待機プレイヤからの抽出条件に合致したプレイヤの抽出を試行する。サーバ制御部201は、全ての種類のマッチング基準に合致するプレイヤが待機プレイヤ中に存在すると判断した場合は処理をS505に移し、存在しないと判断した場合は処理をS503に移す。
【0077】
S503で、サーバ制御部201は、現在の抽出条件に設定されたマッチング基準のうち、優先順位が最下位のマッチング基準を除外して新たな抽出条件を設定する。
【0078】
S504で、サーバ制御部201は、抽出情報に基づいて、新たな抽出条件に合致するプレイヤが待機プレイヤ中に存在するか否かを判断する。サーバ制御部201は、新たな抽出条件に合致するプレイヤが待機プレイヤ中に存在すると判断した場合は処理をS505に移し、存在しないと判断した場合は処理をS503に戻す。なお、抽出条件としていずれのマッチング基準に係る条件も設定されていない場合には、サーバ制御部201は、全ての待機プレイヤが新たな抽出条件に合致するものとして判断する。
【0079】
S505で、サーバ制御部201は、待機プレイヤから抽出条件に合致するプレイヤを抽出し、このうちの1人のプレイヤを相手プレイヤとして決定する。ここで、相手プレイヤの決定は、例えば抽選処理によって行うものであってよい。サーバ制御部201は、決定した相手プレイヤのプレイヤIDをマッチング結果の情報として対象プレイヤの使用するプレイヤ端末100に返送して、本マッチング処理を完了する。このとき、サーバ制御部201は、相手プレイヤの使用するプレイヤ端末100にも、対象プレイヤにマッチングさせた旨を示すマッチング結果の情報を送信する。
【0080】
以上説明したように、本実施形態の通信端末によれば、プレイヤが容易に対戦ゲームを開始することができる。また、本実施形態の情報処理装置によれば、興趣性の高いマッチングを提供することができる。
【0081】
[変形例1]
上述した実施形態では、1つ目のマッチング基準について、対象プレイヤが直近にプレイした所定回数の対戦ゲームの対戦相手ではないことを条件として定めるものとして説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。例えば、対象プレイヤと相手プレイヤとのプレイスキルの差が小さい場合には、これらのプレイヤが再戦したとしてもゲーム展開が一方的な展開になるような状況は想定しづらい。換言すれば、対象プレイヤと相手プレイヤとのプレイスキルの差が大きい場合には、これらのプレイヤが短期間のうちに再戦したとしてもゲーム展開は同様の展開になり得る一方で、プレイスキルの差が小さいプレイヤ間ではゲーム展開は必ずしも同様の展開にはならない可能性が高い。
【0082】
故に、プレイヤ情報に例えばゲームレベルやプレイ回数、ゲーム戦績に基づく階級等の属性情報が含められて管理される態様では、対象プレイヤを相手プレイヤにマッチングさせることが可能になるまでの所定回数は、これらの対象プレイヤの属性情報と相手プレイヤの属性情報に基づいて増減されるものであってもよい。例えば、プレイヤ間のプレイ回数の差について複数種類の値域を設け、差がいずれの値域に含まれるかによって所定回数を変更することができる。この場合、差が大きい値域ほど所定回数が増大するように決定されればよい。
【0083】
[変形例2]
上述した実施形態及び変形例では、対象プレイヤに1度対戦した相手プレイヤをマッチングさせるには、対象プレイヤがプレイした所定回数の対戦ゲームにおいて当該相手プレイヤとマッチングしていないことを条件とする態様、即ち、同一のプレイヤ同士のマッチングについて対戦ゲームのプレイ回数を条件とする態様を説明した。しかしながら、本発明の実施はこれに限られるものではなく、さらに所定時間が経過していることを条件としてもよい。
【0084】
[変形例3]
上述した実施形態及び変形例では、マッチング要求の送信後もメンバーカードに限り対戦用デッキを編集可能である態様を説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。一態様では、マッチング要求の送信の時点で対戦用デッキが完成している(例えば総コストとコスト上限値との差が閾値に収まっている)ことを条件とし、マッチング要求の送信後には対戦用デッキの編集を不可能に制御するよう構成してもよい。このような態様は、例えば対戦ゲームの戦績に応じてプレイヤを評価して順位付けを行うような、プレイヤ同士の所謂真剣勝負を前提とするゲームモード等において、評価の適正化のために採用されることが想定される。
【0085】
[実施形態2]
上述した実施形態1では、マッチング要求を受信したことに応じて、サーバ制御部201が同時期にマッチング要求を行ったプレイヤのうちから選択した1人のプレイヤを、当該マッチング要求に係るプレイヤにマッチングさせる態様を説明した。即ち、上述した実施形態のゲームシステムでは、プレイヤの意を介することなく、サーバ200において実行されるマッチング処理により対戦ゲームで対戦する規定数のプレイヤが決定されるマッチング方式が採用されるものであった。しかしながら、オンラインの対戦ゲームでのマッチング方式には、サーバ制御部201により強制的に対戦相手が決定される方式だけでない。例えば、一部のプレイヤが対戦申込を受け付けるよう待機状態となり、待機状態ではない他のプレイヤが、待機状態のプレイヤのうちから所望のプレイヤを選択して対戦申込を行うマッチング方式も存在する。当該マッチング方式では、待機状態ではないプレイヤは所望のプレイヤに対して対戦申込を行うことができるため、実施形態1とは異なりプレイヤの意を介したマッチングが実現される。本実施形態では、当該マッチング方式において興趣性の高いマッチングを実現する方式について説明する。
【0086】
《マッチング》
本実施形態のクライアントアプリケーションのゲームプレイ機能では、対戦ゲームのプレイ開始要求を受け付けると、さらに他のプレイヤからの対戦申込を待機するか(以下、申込待機要求として言及)、待機中の他のプレイヤに対して対戦申込を行うか(以下、申込要求として言及)の選択が受け付けられる。いずれの要求が選択された場合にも、クライアントアプリケーションではその後に実施形態1と同様に対戦用デッキの選択が受け付けられ、プレイヤ端末100からサーバ200に対してマッチング要求が送信される。
【0087】
本実施形態のゲームプレイ機能では、マッチング要求の送信は、対象プレイヤが申込待機要求と申込要求のいずれを選択したか否かに応じて送信タイミングが異なる。
【0088】
具体的には、対象プレイヤが申込待機要求を選択した場合には、その後の対戦用デッキの選択がなされると、対象プレイヤのプレイヤID、対戦用デッキのデッキID、及び申込待機要求を含んだマッチング要求がプレイヤ端末100からサーバ200に送信される。サーバ制御部201は、当該マッチング要求を受信すると、対象プレイヤを、対戦申込の待機状態である待機プレイヤに追加して管理する。
【0089】
一方、対象プレイヤが申込要求を選択した場合には、その後の対戦用デッキの選択がなされると、対象プレイヤのプレイヤID、対戦用デッキのデッキID、及び申込要求を含んだ「候補取得要求」がプレイヤ端末100からサーバ200に送信される。サーバ制御部201は、当該候補取得要求を受信すると、さらに対戦申込を行うプレイヤを対象プレイヤに選択させるために、複数の待機プレイヤを含んだマッチング候補の情報をプレイヤ端末100に返送する。マッチング候補の情報を受信すると、対象プレイヤの使用するプレイヤ端末100では、クライアントアプリケーションに係るゲームウィンドウにおいて、対戦申込を受け付け可能な態様でマッチング候補のプレイヤの各々を表示する申込画面が表示される。
【0090】
図6に、申込画面の構成例を示す。
図6の例では申込画面600は、マッチング候補の情報に含まれていた3人の待機プレイヤがマッチング候補601a~cとして配置され、例えばそれぞれの領域に対する操作入力がなされることで対応する待機プレイヤへの対戦申込が受け付け可能に構成されている。即ち、マッチング候補601a~cは、対象プレイヤがマッチング可能なマッチング候補が示されており、対象プレイヤによるいずれかのマッチング候補を選択する操作入力がなされたことに応じて、当該マッチング候補の待機プレイヤのプレイヤIDを含んだマッチング要求がサーバ200に送信される。当該マッチング要求を受信すると、サーバ制御部201は、当該マッチング要求に含まれるプレイヤIDで特定される待機プレイヤと対象プレイヤをマッチングさせる処理を実行する。
【0091】
詳細は後述するが、マッチング候補601は、同時期に対戦申込を待機する待機プレイヤの全てを表示するものではなく、サーバ制御部201により選択された、対象プレイヤからの対戦申込を受け付ける上限数(3)以下の待機プレイヤを表示している。このようにマッチング候補601として表示されるプレイヤ数を制限することで、対象プレイヤがいずれの待機プレイヤと対戦するかを迷うことによるマッチング時間の長期化を回避することができる。
【0092】
一方で、マッチング候補601として表示される待機プレイヤの数を制限することで、対戦ゲームに関心があるプレイヤの数が少ない印象を対象プレイヤに与え得る。このため申込画面600には、図示されるようにマッチング候補601a~cの他に、賑やかし要素として非候補プレイヤ602a~gが配置されている。従って、サーバ制御部201は、プレイヤ端末100に対してマッチング候補の情報を返送する際に、非候補プレイヤ602として表示させるプレイヤの情報も共に送信する。
【0093】
ここで、非候補プレイヤ602として表示されるプレイヤは賑やかし要素であるため、例えばマッチング候補としては選択されなかった待機プレイヤから選択されるものであってもよいし、ログイン状態のプレイヤのうちから所定の規則に基づいて選択されるものであってもよいし、ログアウト状態のプレイヤも含んで全プレイヤのうちから選択されるものであってもよい。
【0094】
マッチング候補601と非候補プレイヤ602とは、申込画面600において、前者が対象プレイヤによる対戦申込が可能な状態で表示される一方で、後者が対象プレイヤによる対戦申込が不可能な状態で表示される点で異なる。またマッチング候補601と非候補プレイヤ602は、図示されるように前者の方が表示サイズが大きく設定されて表示される。またマッチング候補601のうちから、対象プレイヤが対戦申込を行う待機プレイヤを選択する際の参考になるように、マッチング候補の情報には、例えばプレイヤ名や戦績、属性情報等の各待機プレイヤの詳細情報が含められる。故に、マッチング候補601a~cの各々には詳細表示アイコン603a~cが表示され、当該アイコンへの操作入力に応じて対応する待機プレイヤの詳細情報が表示可能に構成される点でも、非候補プレイヤ602と異なっている。即ち、図示されるように非候補プレイヤ602a~gには、詳細表示アイコン603は表示されておらず、対象プレイヤが詳細情報を確認できないよう構成されている。
【0095】
本実施形態のゲームシステムは、種々の地理的位置のプレイヤを対戦可能ならしめるよう構成される。このため、サーバ200は、1台のサーバだけでなく、共働する複数のサーバ群として構成されるものであってよい。このような態様において、対象プレイヤが種々の地域のプレイヤと対戦可能であることを演出するために、申込画面600では背景画像604として地球を模した地図画像が表示されている。ここで、背景画像604の地図画像は、プレイヤ端末100に関連付けられた地理情報(例えば、プレイヤ端末100の地理的位置情報)に基づいて、中心的に示す地図画像中の位置は変更されるものであってもよい。即ち、日本のプレイヤが候補取得要求を行った場合には、背景画像604の地図画像は日本を中心とした態様で表示され、米国のプレイヤが候補取得要求を行った場合には、背景画像604の地図画像は米国を中心とした態様で表示される。
【0096】
なお、本実施形態のゲームシステムでプレイ体験が提供される対戦ゲームがTCGであるため、
図6の例では、申込画面600に配置されるマッチング候補601と非候補プレイヤ602は、いずれもカード型の態様でプレイヤを表示しているが、本発明の実施がこれに限られるものではないことは容易に理解されよう。
【0097】
好適なゲーム展開の対戦ゲームが実施されるよう、サーバ制御部201は、実施形態1と同様に複数種類のマッチング基準に基づいて、待機プレイヤのうちからマッチング候補とするプレイヤを抽出する。マッチング候補とするプレイヤの抽出にあたり、サーバ制御部201は、候補取得要求に含まれる情報に基づいて抽出情報を設定する。本実施形態ではサーバ制御部201は、抽出情報として、対象プレイヤに対して直近にマッチングした前回プレイヤのプレイヤID、直近の対戦ゲームでの前回プレイヤに係るリーダーカードのカードID、及び対象プレイヤの対戦用デッキのリーダーカードのカードIDを取得して設定する。そしてサーバ制御部201は、当該抽出情報と3種類のマッチング基準とに基づいて、上限数(3人)の待機プレイヤを抽出する。当該抽出に係る処理は、実施形態1のマッチング処理におけるS501~S505と同様に行われるものであってよいが、抽出したプレイヤのうちの1人のプレイヤを相手プレイヤとして決定するのではなく、抽出したプレイヤのうちから上限数のプレイヤをマッチング候補として決定し、当該マッチング候補の情報をプレイヤ端末100に対して返送する点で異なる。
【0098】
このとき、上限数のプレイヤ中に、異なる組み合わせのマッチング基準に合致して抽出されたプレイヤが含まれる場合には、マッチング候補の情報において、より多くのマッチング基準に合致したプレイヤを識別する情報を含め、申込画面において判別可能に表示されるように構成してもよい。即ち、例えば全ての種類のマッチング基準に合致するプレイヤが2人であり、上限数のマッチング候補を確保するために残りの1人のプレイヤが2種類のマッチング基準に合致するプレイヤから抽出されたのであれば、前者の2人の方が興趣性の高いゲーム展開となり得るものとして、申込画面600において残りの1人と表示態様が異なって表示される。
【0099】
発明の理解を容易にすべく、本実施形態のゲームシステムでは、マッチング候補に対して対戦申込がなされた場合に、当該マッチング候補と対象プレイヤとがマッチングされるものとして説明するが、本発明の実施はこれに限られるものではない。例えば、対戦申込の待機中に待機プレイヤが通信切断してしまった場合や、対戦申込を受けるか否かを待機プレイヤが選択可能な態様において対戦申込の辞退がなされた場合等を想定して、申込画面600の表示は、マッチングが完了する(マッチング結果の情報を受信する)まで継続され、マッチングが完了したことをもって終了されるよう制御されるものであってもよい。この場合、重複したマッチング要求が送信されないよう、マッチング要求の送信後には申込画面600においてマッチング候補601を選択する操作入力は受け付けられないように制御されればよい。
【0100】
なお、同時期に複数のプレイヤ端末100からマッチング要求を受信し得るため、待機プレイヤは時々刻々と変化する。故に、サーバ制御部201は、マッチング候補の情報を例えば所定の時間間隔で更新して、プレイヤ端末100に対して定期的に送信してもよい。対象プレイヤが使用するプレイヤ端末100では、新たなマッチング候補の情報を受信すると、申込画面600の表示内容が更新される。ここで、マッチング候補の情報の受信時に対象プレイヤがいずれかのマッチング候補に係る詳細情報を表示していた場合には、対象プレイヤが当該マッチング候補との対戦を検討中であると推測されるため、制御部101は、先に受信したマッチング候補の情報を保持し、申込画面600の表示内容を変更しないよう制御してもよい。
【0101】
[変形例4]
上述した実施形態2では、実施形態1と同様に直近に対戦したプレイヤやデッキのリーダーカードに基づくマッチング基準に基づいてマッチング候補とするプレイヤを抽出するものとして説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。例えば、プレイヤ情報にゲームレベルやプレイ回数、ゲーム戦績に基づくプレイヤの階級等の属性情報が含められて管理される態様では、対象プレイヤとの属性情報の類似性に関するマッチング基準をさらに含めてもよい。当該マッチング基準では、対象プレイヤのマッチング候補とするプレイヤの属性情報が、対象プレイヤの属性情報と類似することを条件とする。ここで、属性情報が類似するか否かは、例えばゲームレベルの差、プレイ回数の差、階級の差が所定の閾値を下回るか否かにより判断されるものであってよい。このように構成することで、近しいプレイスキルを有するプレイヤ同士が対戦する機会が増大し、対戦ゲームに対するプレイヤの関心を高めることができる。
【0102】
このような態様において、自発的に対戦申込を行う対象プレイヤにとって好適なゲーム展開となりやすいよう、マッチング候補の情報には、対象プレイヤと同一の階級の待機プレイヤ、または対象プレイヤよりも低位の階級の待機プレイヤが含まれるように構成してもよい。あるいは、マッチング候補の情報には、対象プレイヤよりも高位の階級の待機プレイヤも含まれ得るが、当該高位の階級及び同一の階級の待機プレイヤの数に比べて、対象プレイヤよりも低位の階級の待機プレイヤの方が多くなるよう、マッチング候補の情報を構成してもよい。
【0103】
[実施形態3]
上述した実施形態及び変形例では、主としてログイン状態である全プレイヤを対象としたマッチング処理について説明した。一方で、サービスの利用時期は様々であり、またプレイヤごとに対戦ゲームのプレイスタイル(プレイ頻度やプレイ時間帯)は異なるものであるため、各プレイヤのプレイスキルには当然差が生じ得る。故に、全プレイヤを対象としたマッチング処理を行うゲームモードでは、プレイヤ間のプレイスキルに顕著な差が存在するマッチングがなされた場合に、特にプレイスキルが低い方のプレイヤの対戦ゲームに対する関心を低減させる可能性がある。このため本実施形態の対戦ゲームでは、より興趣性の高いマッチングを実現し、同程度のプレイスキルを有するプレイヤ同士がマッチングされやすいゲームモードとして、階級マッチモードを含む。
【0104】
《階級マッチモード》
階級マッチモードでは、プレイヤには対戦ゲームの戦績に応じて階級ポイントが付与され、その累積付与数に応じてプレイヤの階級が決定される。そして、階級マッチモードにおける対戦ゲームは、基本的には同一の階級に分類されたプレイヤ同士がマッチングされるよう構成される。換言すれば、階級マッチモードでは、プレイヤは階級ごとに分離され、階級内のプレイヤでマッチングするようマッチング処理が制御される。
【0105】
一態様において、階級は、例えばブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ、マスター、ゴッドの順で位が高くなる6種類が設けられる。階級の各々には、当該階級に分類されるための必要な階級ポイント数(ポイント閾値:各階級の最小ポイント数)が定められており、高位の階級ほど必要な階級ポイント数が高く設定されている。即ち、1人のプレイヤの階級は、当該プレイヤの階級ポイントの累積付与数が上回るポイント閾値のうちの最大のポイント閾値を特定し、当該最大のポイント閾値に対応付けられた階級に決定される。例えば、ブロンズのポイント閾値が0、シルバーのポイント閾値が10000、ゴールドのポイント閾値が30000、プラチナのポイント閾値が50000、マスターのポイント閾値が70000、ゴッドのポイント閾値が90000に設定される態様において、階級ポイントの累積付与数が55000であるプレイヤの階級はプラチナとなる。
【0106】
プレイヤが対戦ゲームに勝利すると、サーバ制御部201は、当該プレイヤに対して固定値の階級ポイントの付与を決定し、該当のプレイヤ情報の属性情報を更新する。このとき、サーバ制御部201は、更新後の階級ポイントの累積付与数と各階級の閾値とを比較し、新たに分類される階級を決定する。対して、プレイヤが対戦ゲームに敗北した、または引き分けた場合には、サーバ制御部201は、当該プレイヤに対する階級ポイントの付与を行わず、該当のプレイヤ情報の属性情報も更新しないものとする。
【0107】
従って、階級マッチモードでは、基本的には対戦ゲームの勝利数が多いプレイヤに多くの階級ポイントが付与されるため、その累積付与数も増大し、当該プレイヤが高位の階級に分類されることになる。つまり、階級マッチモードにおける階級は、各プレイヤのプレイスキルを評価したパラメータに相当する。階級マッチモードにおける階級の情報は、プレイヤごとにプレイヤ情報に属性情報として含められて管理されるものであってよく、サーバ制御部201は、階級マッチモードに係るマッチング処理において当該階級の情報を取得して対戦相手の決定を行う。このように構成することで、高いプレイスキルを有するプレイヤは高位の階級に分類されやすくなるため、興趣性を高めつつ、公平性を担保した対戦ゲームのプレイ体験を提供することができる。
【0108】
〈ベット機能〉
ところで、対戦ゲームの勝利によって固定値の階級ポイントが付与される態様では、プレイヤが適正な階級(同様のプレイスキルを有するプレイヤが多く存在する階級)に分類されるまでに、相当数の対戦ゲームを実施して勝利する必要がある。つまり、このような態様では、より高いプレイスキルを有するプレイヤほど、適正な階級に分類されるまでにより多くの勝利数やプレイ回数が必要となる。しかしながら、ゲームプレイを行うことができる時間はプレイヤの環境によって異なるものであるため、一部のプレイヤに対する好適なプレイ体験の提供が担保されない可能性がある。
【0109】
このため、本実施形態の対戦ゲームでは、階級マッチモードにおいて、プレイ回数の多寡に依らず適正な階級にプレイヤが分類されやすくする仕組みとして、ベット機能を設ける。ベット機能は、対戦ゲームにおいてプレイヤが勝利した場合に、追加の報酬としてさらに階級ポイントを得ることが可能にする仕組みである。より詳しくは、ベット機能は、対象プレイヤによるマッチング要求に基づいて実行される対戦ゲームについて、付与状態であるものとして対象プレイヤに関連付けられている階級ポイントの少なくとも一部を対象プレイヤ自身の勝利に賭ける(ベットする)ことで、当該対戦ゲームに勝利した場合に賭けた階級ポイント数(所謂、賭け代/チップ。以下、ベット要素として言及)に応じた階級ポイント(所謂、配当)を、固定値の階級ポイントとは別に付与する機能である。即ち、対象プレイヤは、ベット要素としてベットする階級ポイント数を多くするほど、対戦ゲームに勝利した場合に付与される追加の報酬を多くすることができる。故に、高いプレイスキルを有するプレイヤは、積極的にベット機能を利用することでより早く階級ポイントの累積付与数を増大させることができ、適正な階級に到達しやすくなる。
【0110】
ここで、プレイヤ間の公平性を担保するために、ベット機能を用いたベット要素のベットは、マッチング処理におけるマッチングが行われるまでに限り受け付けられるものとする。また、ベット要素としてベットされた階級ポイントは、対象プレイヤが対戦ゲームに敗北した場合には、当該対象プレイヤの付与状態ではなくなるものとする。即ち、ベット機能を利用した対戦ゲームでは、対象プレイヤに係るベット要素は、対象プレイヤに関連付けされた状態としつつ一時的にサーバ200の預かり状態として管理され、当該対戦ゲームの勝敗に応じてその関連付けの処遇が変化する。
【0111】
より詳しくは、ベット要素は、対戦ゲームに対象プレイヤが勝利した場合には、対象プレイヤとの関連付けは維持したまま再度対象プレイヤの付与状態に戻され、対象プレイヤにはさらに追加の報酬の階級ポイントが付与される。一方、対戦ゲームに対象プレイヤが敗北した場合には、ベット要素は対象プレイヤとの関連付けが解除され、対象プレイヤはベット要素が付与されていない状態(ベット要素を失った状態)となり、追加の報酬の階級ポイントも付与されない。なお、対戦ゲームに対象プレイヤが引き分けた場合には、ベット要素は対象プレイヤとの関連付けは維持したまま再度対象プレイヤの付与状態に戻され、追加の報酬の階級ポイントは付与されない。
【0112】
また追加の報酬の階級ポイントは、高位の階級に分類されるプレイヤ数が増大し過ぎないよう、ベット要素よりも少ない量に設定されるものとする。好適には、ベット要素の量が多いほど、ベット要素の量に対する追加の報酬として付与される階級ポイントの量の割合(配当率)が小さくなるよう設定されるものであってよい。
【0113】
ベット機能を利用した対戦ゲームに係るこれらの階級ポイントの付与または関連付けの処理によって対象プレイヤの累積付与数は変化し得るため、サーバ制御部201は、累積付与数の変動があった場合に、当該対象プレイヤを分類すべき階級を決定する。即ち、ベット機能を利用した対戦ゲームに対象プレイヤが勝利した場合には、より多くの階級ポイントが付与されるため、当該対象プレイヤは現在よりも高位の階級に分類される(昇級する)可能性がある。他方、ベット機能を利用した対戦ゲームに対象プレイヤが敗北した場合には、一部の階級ポイントが失われるため、当該対象プレイヤは現在よりも低位の階級に分類される(降級する)可能性がある。
【0114】
つまり、ベット機能は、対象プレイヤはリスクを負うことになるが、対象プレイヤの適正な階級への到達を容易ならしめ、かつ、刺激的で興趣性の高い対戦ゲームのプレイ体験を提供することができる。
【0115】
本実施形態の対戦ゲームでは、各プレイヤがベット機能を利用してベット可能な階級ポイント数は、プレイヤが任意な値を指定可能とするのではなく、予め定められた量や所定のユニット単位の選択肢のうちから指定可能に構成されるものとして説明する。ベット要素の指定を受け付けるベット画面は、例えば
図7に示されるように、ベットしないことも含んだ選択肢701a~fうちから指定可能に構成されるものとすることができる。
図7の例では、対象プレイヤの累積付与数が現在85000であり、選択状態の選択肢701aに係る5000がベットされた場合に、対戦ゲームに勝利すると勝利時の固定付与ポイント1000と追加報酬の4000が付与されて累積付与数が90000となり、階級がゴッドになること、及び、敗北するとベット要素の5000が失われて累積付与数が80000になることを示している。
【0116】
ここで、ベットする階級ポイントの量として指定可能な選択肢は、ゲームバランスの担保や階級の乱高下を防ぐため、対象プレイヤの分類される階級に応じて変更されるものとして説明する。即ち、
図7の例では、対象プレイヤの階級がマスターであるため選択肢701a~eが示されているが、例えば1つ低位の階級であるプラチナでは、選択肢701aは指定できない、あるいは表示されないよう制御されるものであってよい。また累積付与数が負の値になることを回避するため、ベット要素の指定は、指定しようとしている量の階級ポイントが対象プレイヤに付与されている状態であることを条件として受け付け可能に制御されるものとする。
【0117】
(ベット内容の表示)
ベット機能を利用するプレイヤについてマッチングが完了すると、例えば
図8に示されるような対戦する2人のプレイヤを通知するゲーム開始画面において、対戦ゲームに参加する全てのプレイヤが確認可能な態様でベット要素が表示される。このようなベット要素の表示は、各プレイヤの対戦ゲームに対する意気込み等を表す指標となり得、プレイヤのゲームプレイに対するモチベーションを高め、興趣性を向上させることができる。
【0118】
この他、対戦ゲームについて2名のプレイヤのベット要素の総量の多寡に応じて、ゲーム開始画面や対戦ゲーム中のゲーム画面において、歓声や紙吹雪の追加等によって表示演出を異ならせることで、当該対戦ゲームの興趣性をより高めるよう制御してもよい。
【0119】
本実施形態ではマッチング処理の詳細については割愛するが、このようなベット要素の多寡に応じて興趣性を向上させる効果を利用する観点で、例えば実施形態1のようなマッチング方式において、所謂高額ベットのような、所定量以上の階級ポイントがベット要素に指定されているプレイヤに係るマッチング要求について、同様の条件でベットしているプレイヤをマッチングさせるためのマッチング基準が、マッチング処理において利用されるよう構成することもできる。
【0120】
《階級決定処理》
以下、本実施形態のサーバ200において、階級マッチモードに係り実行される階級決定処理について、
図9のフローチャートを用いて具体的な処理を説明する。該フローチャートに対応する処理は、サーバ制御部201が、例えばサーバ記憶装置202に記憶されている対応する処理プログラムを読み出し、サーバメモリ203に展開して実行することにより実現することができる。なお、本階級決定処理は、例えばいずれかの通信セッションにおいて階級マッチモードに係り実施された対戦ゲームについて、当該対戦ゲームの終了条件が満たされた際に開始されるものとして説明する。また、本階級決定処理に係る説明では、終了条件が満たされた対戦ゲームを「対象ゲーム」として言及する。
【0121】
S901で、サーバ制御部201は、対象ゲームに参加していたプレイヤのうちの、当該対象ゲーム後の新たな階級を未決定の1人のプレイヤを対象プレイヤとして選択する。
【0122】
S902で、サーバ制御部201は、対象プレイヤが対象ゲームに係りベット機能を利用していたか否かを判断する。サーバ制御部201は、対象プレイヤがベット機能を利用していたと判断した場合は処理をS903に移し、利用していなかったと判断した場合は処理をS905に移す。
【0123】
S903で、サーバ制御部201は、対象ゲームにおける対象プレイヤの対戦結果と対用プレイヤに係るベット要素とに基づいて、対象プレイヤに付与する追加報酬の階級ポイントを決定する。サーバ制御部201は、対象プレイヤの対戦結果が勝利である場合には、ベット要素に応じた量の追加報酬を決定して対象プレイヤに付与する。即ち、サーバ制御部201は、対象プレイヤのプレイヤ情報の更新処理を実行し、階級ポイントの累積付与数を追加報酬分だけ加算した値に変更する。またサーバ制御部201は、対象プレイヤの対戦結果が引き分けまたは敗北である場合には、追加報酬を0として決定する。このとき、対象プレイヤの累積付与数に変化はないため、サーバ制御部201は、追加報酬が0であることのみを決定し、対象プレイヤのプレイヤ情報の更新処理は行わなくともよい。
【0124】
S904で、サーバ制御部201は、対象ゲームにおける対象プレイヤの対戦結果に基づいて、対象プレイヤについて預かり状態としていたベット要素の処遇を決定して実行する。サーバ制御部201は、対象プレイヤの対戦結果が勝利または引き分けである場合には、ベット要素の対象プレイヤとの関連付けを維持し、預かり状態から対象プレイヤの付与状態に戻す。このとき、実質的には対象プレイヤの累積付与数に変化はないため、サーバ制御部201は、預かり状態を解除する処理のみを行って、対象プレイヤのプレイヤ情報の更新処理は行わなくともよい。またサーバ制御部201は、対象プレイヤの対戦結果が敗北である場合には、ベット要素の対象プレイヤとの関連付けを解除し、対象プレイヤがベット要素を失った状態とする。即ち、サーバ制御部201は、対象プレイヤのプレイヤ情報の更新処理を実行し、階級ポイントの累積付与数をベット要素分だけ減算した値に変更する。
【0125】
S905で、サーバ制御部201は、対象ゲームにおける対象プレイヤの対戦結果に基づいた通常の報酬の階級ポイントを決定する。サーバ制御部201は、対象プレイヤの対戦結果が勝利である場合には、通常の報酬(固定値の階級ポイント)を対象プレイヤに付与する。即ち、サーバ制御部201は、対象プレイヤのプレイヤ情報の更新処理を実行し、階級ポイントの累積付与数を固定値だけ加算した値に変更する。またサーバ制御部201は、対象プレイヤの対戦結果が引き分けまたは敗北である場合には、通常の報酬を0として決定する。このとき、対象プレイヤの累積付与数に変化はないため、サーバ制御部201は、通常の報酬が0であることのみを決定し、対象プレイヤのプレイヤ情報の更新処理は行わなくともよい。
【0126】
S906で、サーバ制御部201は、現在の対象プレイヤの階級ポイントの累積付与数に基づいて、当該対象プレイヤを新たに分類する階級を決定する。より詳しくは、サーバ制御部201は、対象プレイヤの階級ポイントの累積付与数とポイント閾値とを比較し、新たに分類する階級を決定する。サーバ制御部201は、新たに分類する階級を決定すると、対象プレイヤのプレイヤ情報を更新する。
【0127】
S907で、サーバ制御部201は、対象ゲームに参加していた全てのプレイヤについて当該対象ゲーム後の新たな階級を決定したか否かを判断する。サーバ制御部201は、全てのプレイヤについて新たな階級を決定したと判断した場合は本階級決定処理を完了し、決定していない、即ち、未決定のプレイヤが存在すると判断した場合は処理をS901に戻す。
【0128】
以上説明したように、本実施形態の情報処理装置によれば、プレイ回数に依らずゲームの好適なプレイ体験を提供することができる。即ち、高いプレイスキルを有するプレイヤは、より早く同様のプレイスキルを有するプレイヤと対戦可能な適正階級に昇級しやすくなり、結果、下位の階級におけるプレイスキルに格差のあるマッチングの発生を回避することができる。
【0129】
[変形例5]
上述した実施形態3では、対象プレイヤがベット機能を利用した対戦ゲームにおいて敗北した場合に、階級ポイントが減算されたことに応じて対象プレイヤの階級が降級し得る態様を説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。降級はプレイヤにとって好ましいものでなく、特にシルバーやゴールド等の下位の階級のプレイヤは降級によってゲームプレイのモチベーションを失い得る。このため、階級ポイントの減算に起因する降級は、対象プレイヤの階級が例えばマスター以上等の所定の階級より高位であることを条件として行われるものとしてもよい。即ち、例えばプラチナ以下の階級のプレイヤについては、階級ポイントの減算によって当該階級に係るポイント閾値を下回ったとしても、低位の階級に降級させず、現在の階級を維持するようにしてもよい。
【0130】
また実施形態3では、対象プレイヤがベット機能を利用した対戦ゲームにおいて勝利した場合に、増大した階級ポイントがより高位の階級に係るポイント閾値を上回ったことを条件として即時に昇級する態様を説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。昇級に関しては、ポイント閾値を上回った場合に、該当の階級への昇級できるか否かを判定するための昇級戦への挑戦権を対象プレイヤに与え、当該昇級戦における戦績が昇級条件を満たしたことに応じて昇級させるものとしてもよい。昇級戦は、例えば同階級のプレイヤとの対戦ゲームであってよく、所定回数の対戦ゲームにおいて半数以上を対象プレイヤが勝利した場合に昇級が認められる。ここで、所定回数については階級に応じて変化するものであってよく、上位の階級であるほど所定回数が増え、昇級条件の達成難度も上がるよう調整されるものであってよい。
【0131】
[変形例6]
上述した実施形態3では、予め定められた量や所定のユニット単位の選択肢のうちからベット要素とする階級ポイント数の指定を受け付ける態様について説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。例えば、対象プレイヤの付与状態にある階級ポイントの総数が、当該プレイヤがベット要素として指定可能な最小量に満たない場合、対象プレイヤの付与状態にある全ての階級ポイントをベット要素として指定可能(所謂オールイン)に構成されてもよい。あるいは、プレイヤの興趣性を増大すべく、付与状態にある階級ポイントの総数によらず、オールインの選択肢が指定可能に構成されるものとしてもよい。
【0132】
[変形例7]
上述した実施形態3及び変形例では、階級ポイントをベット要素として指定可能とする態様を説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。例えば、階級ポイント以外に他の種類のゲーム要素がプレイヤに付与される態様、あるいは階級ポイントに代えて他の種類のゲーム要素がプレイヤに付与される態様では、ベット機能において当該他の種類のゲーム要素をベット要素として指定可能に構成してもよい。このような態様において、プレイヤがベット要素として指定可能なゲーム要素の種類は、当該プレイヤの分類されている階級に応じて変更されるものであってもよい。また階級に応じてベット要素として指定可能なゲーム要素の種類が変わる態様では、プレイヤの分類された階級が高位であるほど、対戦ゲームにおいて価値が高く設定されている種類のゲーム要素をベット要素として指定可能とし、例えば勝利により当該ゲーム要素を入手可能に構成することで、対戦ゲームの興趣性を増大させることができる。
【0133】
[変形例8]
上述した実施形態及び変形例では、マッチング要求を行った対象プレイヤに対してマッチングさせる、あるいはマッチング候補として抽出するための複数種類のマッチング基準について種々の態様を説明したが、これらのマッチング基準は組み合わせを変更して用いられるものであってよく、また個々のマッチング基準の優先順位も、対戦ゲームの内容や階級等の他の要素に基づいて適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0134】
このような組み合わせの一態様を
図10に示す。
図10に示される表は、上述した階級マッチモードの対戦ゲームについて、マッチング処理で参照される複数種類のマッチング基準とそれらの優先順位とを例示している。表の各行は、1つのマッチング基準について、当該マッチング基準に係り定められている抽出条件、当該マッチング基準が適用される前提条件、複数種類のマッチング基準における当該マッチング基準の優先順位を示している。図示されるように、上段の行に示されているマッチング基準ほど優先順位が高く、対象プレイヤに係り待機プレイヤを抽出する際に、条件に合致することが担保されやすいマッチング基準となっている。
【0135】
図10の例では、対象プレイヤが直近の10戦で対戦したプレイヤはマッチングさせないことを最優先の条件としつつ、対象プレイヤの階級に係る条件、ベット要素に係る条件、デッキのリーダーカードに係る条件が定められている。
【0136】
対象プレイヤの階級に係る条件では、対象プレイヤが最高位の階級であるゴッドに分類されている場合と、それ以外の階級に分類されている場合とで条件が異なって定められている。より詳しくは、対象プレイヤの階級がゴッドである場合には、対象プレイヤの階級における順位と±50位の待機プレイヤがマッチングされるように低位の優先順位のマッチング基準は定められるが、そのような待機プレイヤが存在しない場合には、±200位の待機プレイヤ、階級がゴッドの待機プレイヤと順に緩和されるよう構成されている。他方、対象プレイヤの階級がゴッド以外である場合には、同階級の待機プレイヤがマッチングされるように低位の優先順位のマッチング基準は定められるが、そのような待機プレイヤが存在しない場合には、±1の階級に分類される待機プレイヤ、±2の階級に分類される待機プレイヤと順に緩和されるよう構成される。
【0137】
またデッキのリーダーカードに係る条件では、対象プレイヤが直近に対戦したプレイヤの使用デッキと同一のリーダーカードでないことや、対象プレイヤの対戦用デッキと同一のリーダーカードでないことのマッチング基準については、対象プレイヤの階級がゴッド以外であることが前提条件として定められている。これは、最高位の階級であるゴッドでは、当該階級のプレイヤ同士で行われる対戦ゲームは非常に戦略が多様で、個々人のプレイスキルも相当でデッキ相性の有利不利等によらない応酬が展開され得ることに依る。
【0138】
またベット要素に係る条件については、対象プレイヤがベットしたベット要素が所定量以上であることが前提条件として定められている。これは、所謂高額ベットしたプレイヤ同士を対戦させることが対戦ゲームの興趣性の増大に繋がることだけでなく、以下のような効果も生む。例えば、高いプレイスキルを有するプレイヤが、サブアカウントを利用して高額ベットを繰り返し、戦績や累積付与数を不正に操作することを目的としたゲームプレイ(所謂、スマーフィング)を行おうとしても、高額ベットが行われやすい高位の階級の待機プレイヤがマッチングされ得るように構成することで、そのような行為を抑止できる。
【0139】
[実施形態のまとめ]
上記実施形態は以下のプログラム、情報処理装置及びゲームシステムを少なくとも開示する。
【0140】
(1) プレイヤ同士が対戦する対戦ゲームについてプレイヤをマッチングするコンピュータに、
プレイヤが使用する通信端末から当該プレイヤのマッチング要求を受信する第1受信処理と、
受信した前記マッチング要求に基づいて、当該マッチング要求に対応するプレイヤと他のプレイヤをマッチングさせるマッチング処理と、
前記マッチング処理においてマッチングされるプレイヤを制御する制御処理と、
を実行させるプログラムであって、
前記制御処理は、前記マッチング要求に対応する第1プレイヤに対し、当該第1プレイヤと直近でマッチングされた第2プレイヤが前記マッチング処理においてマッチングされないよう制御するプログラム。
【0141】
(2) 前記制御処理は、前記第2プレイヤとのマッチング後に前記第1プレイヤに対して前記第2プレイヤとは異なるプレイヤが所定回数マッチングされたことを条件として、前記第1プレイヤと前記第2プレイヤとを再度マッチング可能に制御する(1)に記載のプログラム。
【0142】
(3) プレイヤの各々には属性情報が関連付けられており、
前記所定回数は、前記第1プレイヤに関連付けられた前記属性情報と前記第2プレイヤに関連付けられた前記属性情報とに基づいて決定される、(2)に記載のプログラム。
【0143】
(4) 前記属性情報は、前記対戦ゲームのプレイによって変化する数値を含み、
前記所定回数は、前記第1プレイヤに関連付けられた前記属性情報と前記第2プレイヤに関連付けられた前記属性情報との差が大きいほど増大する値に決定される(3)に記載のプログラム。
【0144】
(5) 前記制御処理は、前記第2プレイヤがマッチングされてから所定時間が経過していることを条件として、前記第1プレイヤと前記第2プレイヤとを再度マッチング可能に制御する(1)乃至(4)のいずれか1つに記載のプログラム。
【0145】
(6) 前記対戦ゲームは、各プレイヤについて登録された対戦用のゲーム要素であって、第1種別のゲーム要素と第2種別のゲーム要素とを含むゲーム要素を用いて進行し、
前記マッチング要求は、当該マッチング要求に対応するプレイヤについて登録された前記対戦用のゲーム要素の情報を含み、
前記制御処理は、前記対戦用のゲーム要素の情報として前記第1種別のゲーム要素の情報が前記マッチング要求に含まれることを条件として、当該マッチング要求に基づいて前記マッチング処理を実行するよう制御する、(1)乃至(5)のいずれか1つに記載のプログラム。
【0146】
(7) 前記対戦用のゲーム要素は、1つの前記第1種別のゲーム要素と複数の前記第2種別のゲーム要素を含む(6)に記載のプログラム。
【0147】
(8) 前記制御処理は、異なる前記第1種別のゲーム要素の情報が前記マッチング要求に含まれるプレイヤ同士が優先的にマッチングされるよう制御する(6)または(7)に記載のプログラム。
【0148】
(9) 前記プログラムは、
前記対戦ゲームに関するサービスについて、プレイヤのサービスログイン要求を受信する第2受信処理と、
前記サービスログイン要求を受信したことに応じて、当該サービスログイン要求に対応するプレイヤをログイン状態として管理する管理処理と、
前記ログイン状態のプレイヤが使用する通信端末に対して、当該プレイヤとは異なる前記ログイン状態の他のプレイヤに関するプレイヤ情報を送信する送信処理と、
を前記コンピュータにさらに実行させ、
前記マッチング要求は、前記プレイヤ情報に含められた前記他のプレイヤのいずれかを対戦相手として特定する特定情報を含み、
前記マッチング処理において、前記特定情報により特定されるプレイヤと前記マッチング要求に対応するプレイヤとがマッチングされ、
前記制御処理は、前記第1プレイヤとマッチング可能な第1種類のプレイヤの情報を含んだ前記プレイヤ情報が、前記第1プレイヤが使用する通信端末に送信されるよう前記送信処理を制御する、(1)乃至(8)のいずれか1つに記載のプログラム。
【0149】
(10) 前記制御処理は、前記第1種類のプレイヤの情報と前記第1プレイヤとマッチング不可能な第2種類のプレイヤの情報とを含んだ前記プレイヤ情報が、前記第1プレイヤが使用する通信端末に送信されるよう前記送信処理を制御し、
前記特定情報は、前記第1種類のプレイヤのいずれかを特定する、(9)に記載のプログラム。
【0150】
(11) 前記プレイヤ情報は、前記第1種類のプレイヤに関する詳細情報を含む一方で、前記第2種類のプレイヤに関する詳細情報を含まない(10)に記載のプログラム。
【0151】
(12) プレイヤの各々には属性情報が関連付けられており、
前記第1種類のプレイヤは、前記第1プレイヤと類似する前記属性情報が関連付けられたプレイヤである、(9)乃至(11)のいずれか1つに記載のプログラム。
【0152】
(13) 前記属性情報は、前記対戦ゲームのプレイによって変化するプレイヤの階級を示す階級情報を含み、
前記第1種類のプレイヤは、前記第1プレイヤと同一または前記第1プレイヤよりも低位の階級を示す前記階級情報が関連付けられたプレイヤである、(12)に記載のプログラム。
【0153】
(14) 前記属性情報は、前記対戦ゲームのプレイによって変化するプレイヤの階級を示す階級情報を含み、
前記制御処理は、前記第1プレイヤ以上の階級を示す前記階級情報が関連付けられたプレイヤの数に比べて前記第1プレイヤよりも低位の階級を示す前記階級情報が関連付けられたプレイヤの数が多く前記第1種類のプレイヤの情報に含まれるように構成した前記プレイヤ情報が送信されるよう、前記送信処理を制御する、(12)に記載のプログラム。
【0154】
(15) 前記制御処理は、所定の時間間隔で更新した前記プレイヤ情報が送信されるよう、前記送信処理を制御する(9)乃至(14)のいずれか1つに記載のプログラム。
【0155】
(16) プレイヤ同士が対戦する対戦ゲームについてプレイヤをマッチングする情報処理装置であって、
プレイヤが使用する通信端末から当該プレイヤのマッチング要求を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記マッチング要求に基づいて、当該マッチング要求に対応するプレイヤと他のプレイヤをマッチングさせるマッチング処理を実行するマッチング手段と、
前記マッチング処理においてマッチングされるプレイヤを制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記マッチング要求に対応する第1プレイヤに対し、当該第1プレイヤと直近でマッチングされた第2プレイヤが前記マッチング処理においてマッチングされないよう制御する情報処理装置。
【0156】
(17) プレイヤが使用する通信端末と、プレイヤ同士が対戦する対戦ゲームについてプレイヤをマッチングする情報処理装置と、を含むゲームシステムであって、
前記通信端末は、
プレイヤのマッチング要求を送信する第1送信手段と、
前記対戦ゲームを実行する実行手段と、
を備え、
前記情報処理装置は、
前記通信端末からプレイヤのマッチング要求を受信する第1受信手段と、
前記第1受信手段が受信した前記マッチング要求に基づいて、当該マッチング要求に対応するプレイヤと他のプレイヤをマッチングさせるマッチング処理を実行するマッチング手段と、
前記マッチング処理においてマッチングされるプレイヤを制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記マッチング要求に対応する第1プレイヤに対し、当該第1プレイヤと直近でマッチングされた第2プレイヤが前記マッチング処理においてマッチングされないよう制御するゲームシステム。
【0157】
(18) 前記情報処理装置は、
前記対戦ゲームに関するサービスについて、プレイヤのサービスログイン要求を前記通信端末から受信する第2受信手段と、
前記第2受信手段が前記サービスログイン要求を受信したことに応じて、当該サービスログイン要求に対応するプレイヤをログイン状態として管理する管理手段と、
前記ログイン状態のプレイヤが使用する前記通信端末に対して、当該プレイヤとは異なる前記ログイン状態の他のプレイヤに関するプレイヤ情報を送信する第2送信手段と、
をさらに備え、
前記第1送信手段は、前記プレイヤ情報に含められた前記他のプレイヤのいずれかを対戦相手として特定する特定情報を含む前記マッチング要求を送信し、
前記マッチング手段は、前記マッチング処理において、前記特定情報により特定されるプレイヤと前記マッチング要求に対応するプレイヤとをマッチングし、
前記制御手段は、前記第1プレイヤとマッチング可能な第1種類のプレイヤの情報を含んだ前記プレイヤ情報が、前記第1プレイヤが使用する通信端末に送信されるよう前記第2送信手段を制御する、(17)に記載のゲームシステム。
【0158】
(19) 前記プレイヤ情報は、複数のプレイヤの情報を含み、
前記通信端末は、
前記プレイヤ情報に含まれる複数のプレイヤの情報を表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記表示手段に表示された前記複数のプレイヤのうちから対戦相手の選択を受け付ける選択手段と、
をさらに備え、
前記第1送信手段は、前記選択手段により対戦相手として選択されたプレイヤを特定する前記特定情報を含む前記マッチング要求を送信する、(18)に記載のゲームシステム。
【0159】
(20) 前記制御手段は、前記第1種類のプレイヤの情報と前記第1プレイヤとマッチング不可能な第2種類のプレイヤの情報とを含んだ前記プレイヤ情報が、前記第1プレイヤが使用する通信端末に送信されるよう前記第2送信手段を制御し、
前記表示制御手段は、前記第1種類のプレイヤと前記第2種類のプレイヤとを表示態様を異ならせて前記表示手段に表示させ、
前記選択手段は、前記第1種類のプレイヤのうちから対戦相手の選択を受け付ける、(19)に記載のゲームシステム。
【0160】
(21) 前記表示制御手段は、前記第2種類のプレイヤを前記第1種類のプレイヤよりも小さいサイズで前記表示手段に表示させる(20)に記載のゲームシステム。
【0161】
(22) 前記プレイヤ情報は、前記第1種類のプレイヤに関する詳細情報を含む一方で、前記第2種類のプレイヤに関する詳細情報を含まず、
前記表示制御手段は、前記第1種類のプレイヤを操作入力に応じて詳細情報を前記表示手段に表示させる一方で、前記第2種類のプレイヤを操作入力に応じて詳細情報を前記表示手段に表示させない、(20)または(21)に記載のゲームシステム。
【0162】
(23) 前記制御手段は、所定の時間間隔で更新した前記プレイヤ情報が送信されるよう、前記第2送信手段を制御し、
前記表示制御手段は、更新された前記プレイヤ情報を受信した場合に、前記表示手段の表示内容を当該プレイヤ情報に基づいて変更する、(22)に記載のゲームシステム。
【0163】
(24) 前記表示制御手段は、前記第1種類のプレイヤに関する詳細情報を前記表示手段に表示させている期間に更新された前記プレイヤ情報を受信した場合に、前記表示手段の表示内容を変更しない(23)に記載のゲームシステム。
【0164】
(25) 前記表示制御手段は、前記マッチング手段によりマッチングしたことを条件として、前記プレイヤ情報に基づく前記複数のプレイヤの表示を終了する、(19)乃至(24)のいずれか1つに記載のゲームシステム。
【0165】
(26) 前記通信端末は、当該通信端末に関連付けられた地理情報を取得する手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記地理情報に対応する地図画像を背景として、前記プレイヤ情報に基づく前記複数のプレイヤの表示を行う、(19)乃至(25)のいずれか1つに記載のゲームシステム。
【0166】
[その他の実施形態]
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0167】
100:プレイヤ端末、101:制御部、102:記憶装置、103:メモリ、104:GPU、105:操作I/F、106:通信I/F、110:ディスプレイ、120:スピーカ、200:サーバ、201:サーバ制御部、202:サーバ記憶装置、203:サーバメモリ、204:サーバ通信I/F、300:ネットワーク
【要約】
【課題】興趣性の高いマッチングを提供する。
【解決手段】プログラムは、プレイヤ同士が対戦する対戦ゲームについてプレイヤをマッチングするコンピュータに、プレイヤが使用する通信端末から当該プレイヤのマッチング要求を受信する第1受信処理と、受信したマッチング要求に基づいて、当該マッチング要求に対応するプレイヤと他のプレイヤをマッチングさせるマッチング処理と、マッチング処理においてマッチングされるプレイヤを制御する制御処理と、を実行させるプログラムであって、制御処理は、マッチング要求に対応する第1プレイヤに対し、当該第1プレイヤと直近でマッチングされた第2プレイヤがマッチング処理においてマッチングされないよう制御する。
【選択図】
図5