(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】滅菌確認装置およびそれを備えた蒸気滅菌装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/07 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
A61L2/07
(21)【出願番号】P 2020169414
(22)【出願日】2020-10-06
【審査請求日】2023-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110685
【氏名又は名称】小山 方宜
(72)【発明者】
【氏名】谷口 昌志
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-123775(JP,A)
【文献】特表2000-506029(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/04、2/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
滅菌槽に対する減圧手段、復圧手段、給蒸手段および排気手段と、
前記滅菌槽内の温度および/または圧力を検出する運転用センサと、
前記運転用センサの検出値に基づき前記各手段を制御して前記滅菌槽内の被滅菌物を蒸気で滅菌する運転制御手段と、
前記滅菌槽の内外を連通する検査開口と、を備える蒸気滅菌装置に適用され、
前記運転用センサとは独立して前記検査開口に設けられ、前記蒸気滅菌装置の滅菌運転中、前記滅菌槽内の温度および/または圧力を検出する判定用センサと、
報知手段と、
前記運転制御手段とは独立し、前記判定用センサの検出値に基づき、
前記蒸気滅菌装置が滅菌工程を経たか否かについての判定条件の成否を判定し、その判定結果を前記報知手段により報知させる判定制御手段と
、を備え、
前記判定制御手段は、前記判定条件を満足すれば前記報知手段により滅菌済である旨報知させ、その後、前記滅菌槽のドアが開放されるか、前記滅菌槽内から被滅菌物またはそれを載せたカートが取り出されると、前記報知手段による報知を、未滅菌であり得る旨の報知に切り替える
ことを特徴とする滅菌確認装置。
【請求項2】
前記蒸気滅菌装置には、前記運転用センサとして、第一温度センサおよび/または第一圧力センサが設けられ
ており、
前記検査開口に、前記判定用センサとして、第二温度センサおよび/または第二圧力センサが設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の滅菌確認装置。
【請求項3】
前記報知手段は、視覚および/または聴覚への報知手段とされ、
前記判定制御手段は、前記判定用センサの検出値を監視して、この検出値が判定値以上となる状態が判定時間以上になると、前記報知手段により、滅菌済である旨報知させる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の滅菌確認装置。
【請求項4】
前記判定値は、前記蒸気滅菌装置による滅菌条件
である滅菌温度または滅菌圧力と同一か、
滅菌温度よりも2~3℃低い温度またはその飽和蒸気圧力で設定される
ことを特徴とする
請求項3に記載の滅菌確認装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の滅菌確認装置を備えた
ことを特徴とする蒸気滅菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滅菌槽内で所期の環境が実現したか否かを確認する滅菌確認装置と、それを備えた蒸気滅菌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば下記特許文献1に開示されるように、蒸気滅菌装置が知られている。蒸気滅菌装置では、滅菌槽内に被滅菌物を収容して、滅菌槽のドアを閉めた状態で、滅菌槽内の被滅菌物が蒸気で滅菌される。滅菌後には、滅菌槽のドアを開けて、滅菌槽外に被滅菌物が取り出され、使用場所へ払い出しされる。被滅菌物が滅菌されたか否かは、被滅菌物と共に滅菌槽内に収容された滅菌インジケータなどで知ることができる。
【0003】
しかしながら、滅菌作業に不慣れな場合や、滅菌を開始する人と滅菌後に被滅菌物を取り出す人とが異なる場合、未滅菌のまま被滅菌物が払い出されるおそれが残る。そのため、滅菌済であるか否か(言い換えれば滅菌槽内の被滅菌物が滅菌工程を経たものであるか否か)について、さらに明確な報知が望まれる。また、そのような報知機能を、既設の蒸気滅菌装置にも後付けできれば好適である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、滅菌槽内で所期の環境が実現したか否かを確認する滅菌確認装置と、それを備えた蒸気滅菌装置を提供することにある。また、被滅菌物が滅菌工程を経たものであるか否かを判定し報知することで、被滅菌物が未滅菌のまま払い出されるのを防止することを課題とする。さらに、好ましくは、既設の蒸気滅菌装置にも容易に後付けできる滅菌確認装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、滅菌槽に対する減圧手段、復圧手段、給蒸手段および排気手段と、前記滅菌槽内の温度および/または圧力を検出する運転用センサと、前記運転用センサの検出値に基づき前記各手段を制御して前記滅菌槽内の被滅菌物を蒸気で滅菌する運転制御手段と、前記滅菌槽の内外を連通する検査開口と、を備える蒸気滅菌装置に適用され、前記運転用センサとは独立して前記検査開口に設けられ、前記蒸気滅菌装置の滅菌運転中、前記滅菌槽内の温度および/または圧力を検出する判定用センサと、報知手段と、前記運転制御手段とは独立し、前記判定用センサの検出値に基づき、前記蒸気滅菌装置が滅菌工程を経たか否かについての判定条件の成否を判定し、その判定結果を前記報知手段により報知させる判定制御手段と、を備え、前記判定制御手段は、前記判定条件を満足すれば前記報知手段により滅菌済である旨報知させ、その後、前記滅菌槽のドアが開放されるか、前記滅菌槽内から被滅菌物またはそれを載せたカートが取り出されると、前記報知手段による報知を、未滅菌であり得る旨の報知に切り替えることを特徴とする滅菌確認装置である。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、判定用センサの検出値に基づき、滅菌工程を経たか否かについての判定条件の成否を判定し、その判定結果を報知手段により報知可能である。滅菌槽内の温度および/または圧力が所定の判定条件を満たしたか否かの判定とその報知により、滅菌槽内が所期の環境に至ったか否かを容易に知ることができる。滅菌条件と関連づけて条件設定しておくことで、滅菌槽内の被滅菌物が滅菌工程を経たものであるか否かを知ることができる。これにより、滅菌槽内の被滅菌物が未滅菌のまま払い出されるのを防止することができる。また、運転用センサとは別に判定用センサも設けることで、既設の蒸気滅菌装置にも容易に後付けできる他、滅菌に対する保障を確実に図ることができる。
請求項1に記載の発明によれば、滅菌槽のドアが開放されるか、滅菌槽内から被滅菌物またはそれを載せたカートが取り出されると、未滅菌であり得る旨(被滅菌物が滅菌工程を経たものとは限らない旨)の報知に切り替える。これにより、作業者に注意を喚起して、被滅菌物が未滅菌のまま払い出されるのを防止することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記蒸気滅菌装置には、前記運転用センサとして、第一温度センサおよび/または第一圧力センサが設けられており、前記検査開口に、前記判定用センサとして、第二温度センサおよび/または第二圧力センサが設けられることを特徴とする請求項1に記載の滅菌確認装置である。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、蒸気滅菌装置には、運転用センサとして、第一温度センサおよび/または第一圧力センサが設けられるが、これとは別に、判定用センサとして、第二温度センサおよび/または第二圧力センサが設けられる。そして、この判定用センサ(第二温度センサおよび/または第二圧力センサ)は、蒸気滅菌装置の検査開口を利用して、容易に設置することができる。これにより、既設の蒸気滅菌装置にも一層容易に後付けできる他、滅菌に対する保障を確実に図ることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記報知手段は、視覚および/または聴覚への報知手段とされ、前記判定制御手段は、前記判定用センサの検出値を監視して、この検出値が判定値以上となる状態が判定時間以上になると、前記報知手段により、滅菌済である旨報知させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の滅菌確認装置である。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、判定用センサの検出値を監視して、この検出値が判定値以上となる状態が判定時間以上になると、前記判定条件を満たしたとして、滅菌済である旨(被滅菌物が滅菌工程を経たものである旨)、報知手段により報知させる。滅菌槽内の温度および/または圧力だけでなく、経過時間も考慮して、滅菌済であるか否かについて、より信頼性の高い判定が可能となる。また、報知手段により、作業者の視覚および/または聴覚に訴えて、確実な報知を図ることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記判定値は、前記蒸気滅菌装置による滅菌条件である滅菌温度または滅菌圧力と同一か、滅菌温度よりも2~3℃低い温度またはその飽和蒸気圧力で設定されることを特徴とする請求項3に記載の滅菌確認装置である。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、蒸気滅菌装置による被滅菌物の滅菌条件と同一かそれよりも所定だけ低い値を判定値としつつ、滅菌工程が実行されたか否かを判定し報知することができる。
【0016】
さらに、請求項5に記載の発明は、請求項1~4のいずれか1項に記載の滅菌確認装置を備えたことを特徴とする蒸気滅菌装置である。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、蒸気滅菌装置が滅菌確認装置を備えることで、前記各請求項に記載の作用効果を奏する蒸気滅菌装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、滅菌槽内で所期の環境が実現したか否かを確認する滅菌確認装置と、それを備えた蒸気滅菌装置を実現することができる。また、被滅菌物が滅菌工程を経たものであるか否かを判定し報知することで、被滅菌物が未滅菌のまま払い出されるのを防止することができる。さらに、既設の蒸気滅菌装置にも容易に後付けできる滅菌確認装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施例の滅菌確認装置を備える蒸気滅菌装置の一例を示す概略正面図である。
【
図2】
図1の蒸気滅菌装置を示す概略構成図であり、一部を断面にして示している。
【
図3】
図1の蒸気滅菌装置の運転方法の一例を示す図であり、滅菌槽内の圧力Pと経過時間tとの関係を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1および
図2は、本発明の一実施例の滅菌確認装置1を備える蒸気滅菌装置2の一例を示す概略図であり、
図1は正面図、
図2は一部を断面にして示す構成図である。
【0021】
以下、まずは、蒸気滅菌装置2について概略を説明し、その後、滅菌確認装置1について具体的に説明する。
【0022】
本実施例の蒸気滅菌装置2は、被滅菌物が収容される滅菌槽3と、この滅菌槽3内の気体を外部へ吸引排出して滅菌槽3内を減圧する減圧手段4と、減圧された滅菌槽3内へ外気を導入して滅菌槽3内を復圧する復圧手段5と、滅菌槽3内へ蒸気を供給する給蒸手段6と、滅菌槽3内から蒸気の凝縮水を排出するドレン排出手段7と、大気圧との差圧により滅菌槽3内の気体を外部へ排出する排気手段8と、前記各手段4~8を制御する運転制御手段(図示省略)とを備える。
【0023】
被滅菌物は、特に問わないが、典型的には医療器具である。被滅菌物は、所望により、滅菌バッグ、不織布または滅菌コンテナなどに収容されている。被滅菌物は、滅菌槽3内の棚に載せられるか、カートに載せられてカートごと滅菌槽3に出し入れされる。滅菌槽3内での被滅菌物の滅菌時、好ましくは、各種の滅菌インジケータも滅菌槽3内に収容される。被滅菌物が滅菌されたか否かは、正確には滅菌インジケータで把握されるが、滅菌確認装置1を設けておくことで、被滅菌物が滅菌工程を経たか否かを容易に把握可能となる。
【0024】
滅菌槽3は、内部空間の減圧および加圧に耐える中空容器であり、典型的には略矩形の箱状に形成される。滅菌槽3は、ドア9で開閉可能とされる。ドア9は、滅菌槽3の正面に設けられるが、滅菌槽3の正面および背面の双方に設けられてもよい。ドア9を閉じることで、滅菌槽3の開口部を気密に閉じることができる。なお、ドア9は、手動で開閉されてもよいが、本実施例ではドア開閉機構(図示省略)により、自動で開閉される。
【0025】
滅菌槽3内を外側から温めるために、本実施例では、滅菌槽3の外壁に蒸気ジャケット10が設けられる。具体的には、蒸気滅菌装置2は、内缶11と外缶12とを備え、内缶11にて滅菌槽3が構成され、内缶11と外缶12との隙間が蒸気ジャケット10とされる。蒸気ジャケット10には、ジャケット給蒸路(図示省略)を介して蒸気が供給され、その蒸気の凝縮水は、ジャケットドレン排出路(図示省略)を介して外部へ排出される。
【0026】
減圧手段4は、真空排気路13を介して、滅菌槽3内の気体を外部へ吸引排出する。滅菌槽3内からの真空排気路13には、真空弁14、水封式の真空ポンプ15および逆止弁16が順に設けられる。真空弁14を開放すると共に真空ポンプ15を作動させることで、滅菌槽3内の気体を外部へ吸引排出して、滅菌槽3内を減圧することができる。
【0027】
復圧手段5は、減圧下の滅菌槽3内に、給気路17を介して外気を導入する。滅菌槽3内への給気路17には、エアフィルタ18、給気弁19および逆止弁20が順に設けられる。滅菌槽3内が減圧された状態で給気弁19を開放すると、差圧により外気を滅菌槽3内へ導入して、滅菌槽3内を復圧することができる。
【0028】
給蒸手段6は、給蒸路21を介して、滅菌槽3内へ蒸気を供給する。滅菌槽3内への給蒸路21には、給蒸弁22が設けられる。給蒸弁22を開放することで、蒸気供給源(図示省略)からの蒸気(本実施例では飽和蒸気)を滅菌槽3内へ供給することができる。給蒸弁22の開閉または開度を調整して、滅菌槽3内への蒸気供給の有無または量を変更することができる。
【0029】
ドレン排出手段7は、ドレン排出路23を介して、滅菌槽3内から蒸気の凝縮水を排出する。滅菌槽3内からのドレン排出路23には、スチームトラップ24および逆止弁25が順に設けられる。給蒸手段6により滅菌槽3内へ蒸気を供給中、蒸気の凝縮水はドレン排出手段7により滅菌槽3外へ排出される。
【0030】
排気手段8は、加圧下の滅菌槽3内から、排気路26を介して気体を導出する。滅菌槽3内からの排気路26には、排気弁27および逆止弁28が順に設けられる。滅菌槽3内が加圧された状態で排気弁27を開放すると、差圧により滅菌槽3内の流体を外部へ導出して、滅菌槽3内の圧力を下げることができる。
【0031】
滅菌槽3には、滅菌槽3内の温度および/または圧力を検出する運転用センサSXが設けられる。本実施例では、運転用センサSXとして、滅菌槽3内の温度を検出する第一温度センサ29と、滅菌槽3内の圧力を検出する第一圧力センサ30とが設けられる。第一温度センサ29は、滅菌に関する各種の規格に沿って、所定の位置に設けられる。図示例では、第一温度センサ29は、ドレン排出路23の内、滅菌槽3からの出口部に設けられる。一方、第一圧力センサ30の設置位置は、特に問わないが、たとえば図示例のように、滅菌槽3の上方側部に設けられる。
【0032】
運転制御手段は、運転用センサSXの検出値に基づき前記各手段4~8を制御して、滅菌槽3内の被滅菌物を蒸気で滅菌する。すなわち、運転制御手段は、第一温度センサ29および第一圧力センサ30の各検出値や経過時間などに基づき、前記各手段4~8(図示例では厳密には4,5,6,8)を制御する運転制御器(図示省略)である。具体的には、真空弁14、真空ポンプ15、給気弁19、給蒸弁22、排気弁27の他、第一温度センサ29および第一圧力センサ30などは、運転制御器に接続される。そして、運転制御器は、後述するように、所定の手順(プログラム)に従い、滅菌槽3内の被滅菌物の滅菌を図る。
【0033】
蒸気滅菌装置2は、さらに操作パネル31を備え、この操作パネル31も運転制御器に接続される。この操作パネル31により、各種設定や表示などの入出力を行うことができる。本実施例では、操作パネル31は、タッチパネル32の他、運転スイッチ33や操作ボタン34~37を備え、それぞれ運転制御器に接続されている。
【0034】
タッチパネル32は、周知のとおり、液晶ディスプレイのような表示装置の画面上に、タッチパッドのような入力装置を組み込んで構成される。そして、表示装置にて各種表示を行うと共に、画面上の表示ボタンが押されるとそれを検知し、適宜画面表示を変えながら、各種の設定または操作を可能とする。タッチパネル32は、運転条件の設定器としても機能する。なお、操作ボタン34~37の一部または全部を、タッチパネル32上に設けてもよい。
【0035】
運転スイッチ33の他、操作ボタンとして本実施例では、ドア開放ボタン34、ドア閉鎖ボタン35、スタートボタン36、ストップボタン37を備える。運転スイッチ(電源スイッチ)33が入れられると、蒸気滅菌装置2が起動する。ドア開放ボタン34が操作されると、運転制御器がドア9を開放する一方、ドア閉鎖ボタン35が操作されると、運転制御器がドア9を閉鎖する。スタートボタン36が操作されると、運転制御器が運転を開始し、ストップボタン37が操作されると、運転制御器が運転を停止する。
【0036】
図示例の蒸気滅菌装置2は、さらにプリンタ38および工程表示ランプ39を備え、これらも運転制御器に接続される。プリンタ38は、蒸気滅菌装置2の運転に伴い、記録紙を出力可能である。この記録紙には、たとえば、運転中の滅菌槽3内の温度や圧力のグラフ(および/または数値)が出力される。一方、工程表示ランプ39は、蒸気滅菌装置2の状態(たとえば、待機中、運転中、運転完了、異常発生など)を表示する。場合により、蒸気滅菌装置2の運転中、どの工程を実行中なのかを表示するようにしてもよい。
【0037】
ところで、
図2に示すように、本実施例の蒸気滅菌装置2の滅菌槽3には、滅菌槽3の内外を連通する検査開口40が開閉可能に設けられている。たとえば、滅菌槽3の側壁に、蒸気ジャケット10を貫通して、パイプ状の検査開口40が、予め(蒸気滅菌装置2の製造時から)設けられている。検査開口40は、通常、一端部が滅菌槽3内に開口され、他端部が滅菌槽3外においてキャップ(図示省略)にて閉塞されている。検査開口40として、バリデーションに用いるための開口(バリデーションノズル)を用いることができる。後述するように、蒸気滅菌装置2に滅菌確認装置1を後付けする場合、検査開口40のキャップを外して、検査開口40に判定用センサSY(第二温度センサ41および/または第二圧力センサ42)を設けることができる。
図2では、検査開口40に判定用センサSY(41,42)を設けた状態を示している。
【0038】
次に、本実施例の蒸気滅菌装置2の運転方法の具体例について説明する。
図3は、本実施例の蒸気滅菌装置2の運転方法の一例を示す図であり、滅菌槽3内の圧力Pと経過時間tとの関係を示している。なお、
図3において、圧力P0は大気圧を示している。また、以下の各工程は運転制御器により実行されるが、その実行のための滅菌槽3内の温度や圧力の検出は、第一温度センサ29や第一圧力センサ30により行われる。
【0039】
蒸気滅菌装置2は、典型的には、予熱工程S1を実行した後、前処理工程S2、滅菌工程S3、排気工程S4および乾燥工程S5を順次に実行する。以下、各工程について説明する。なお、前処理工程S2の開始までには、滅菌槽3内に被滅菌物が収容され、滅菌槽3のドア9は気密に閉じられる。
【0040】
予熱工程S1では、滅菌槽3内を加熱する。具体的には、蒸気ジャケット10内に蒸気を供給し、蒸気ジャケット10内を所定圧力(言い換えれば所定温度)に維持することで、滅菌槽3内を加熱する。予熱工程S1の開始から所定時間経過後、前処理工程S2を開始するが、予熱工程S1の内容は、少なくとも滅菌工程S3の終了まで、継続して実施される。
【0041】
前処理工程S2では、滅菌槽3内の空気を排除する。具体的には、減圧手段4により滅菌槽3内を減圧するが、その際、給蒸手段6による給蒸を伴ってもよい。また、減圧手段4により滅菌槽3内を一旦減圧後、給蒸手段6による給蒸と減圧手段4による減圧とを繰り返してもよいし、給蒸手段6による給蒸で大気圧を超える圧力まで滅菌槽3内を加圧する場合には、給蒸手段6による給蒸と排気手段8による排気とを伴ってもよい。
【0042】
図3の例では、減圧手段4による減圧操作a1と、給蒸手段6による大気圧付近までの給蒸操作b1と、減圧手段4による減圧操作a2と、給蒸手段6による大気圧を超える所定までの給蒸操作b2と、排気手段8による排気操作c1とを含んで、前処理工程S2が実行される。
【0043】
いずれにしても、前処理工程S2では、最終的には、給蒸手段6による給蒸操作b3で、滅菌槽3内を滅菌温度T1および/または滅菌圧力P1まで加圧する。そして、第一温度センサ29の検出温度が滅菌温度T1になるか、および/または、第一圧力センサ30の検出圧力が滅菌圧力P1になると、次工程へ移行する。
【0044】
滅菌工程S3では、滅菌槽3内の被滅菌物を蒸気で滅菌する。具体的には、第一温度センサ29の検出温度が滅菌温度T1(典型的には121℃または135℃)を維持するように、および/または、第一圧力センサ30の検出圧力が滅菌圧力P1(滅菌温度T1相当の飽和蒸気圧力)を維持するように、給蒸手段6を制御する。そして、滅菌温度T1以上の状態が滅菌時間以上になるまで、および/または、滅菌圧力P1以上の状態が滅菌時間以上になるまで、滅菌槽3内の被滅菌物を滅菌する。あるいは、滅菌温度T1以上で且つ滅菌圧力P1以上の状態が滅菌時間以上になるまで、滅菌槽3内の被滅菌物を滅菌する。その後、給蒸手段6による給蒸を停止して、次工程へ移行する。
【0045】
排気工程S4では、加圧下の滅菌槽3内から蒸気を排出して、滅菌槽3内の圧力を大気圧P0付近まで下げる。具体的には、排気弁27を開放して、滅菌槽3外へ蒸気を導出する。排気弁27の開放から設定排気時間経過するか、滅菌槽3内の圧力が設定排気圧力(大気圧P0またはそれよりも若干高い圧力)まで下がると、排気弁27を閉鎖して、次工程へ移行する。
【0046】
乾燥工程S5では、滅菌槽3内の被滅菌物を乾燥させる。典型的には、減圧手段4により滅菌槽3内を減圧して保持することで、被滅菌物を真空乾燥させる。あるいは、図示例のように、減圧手段4による減圧操作a3と、復圧手段5による復圧操作d1とを繰り返して、被滅菌物を真空乾燥させてもよい。いずれにしても、最終的には、滅菌槽3内を大気圧まで復圧して、一連の滅菌運転を終了する。
【0047】
次に、本実施例の滅菌確認装置1について、具体的に説明する。滅菌確認装置1は、上述した蒸気滅菌装置2に設けられる。滅菌確認装置1は、既設(つまり現場に設置済)の蒸気滅菌装置2に後付けで付加することもできるし、滅菌確認装置1付きの蒸気滅菌装置2として、最初(つまり蒸気滅菌装置2の製造時)から蒸気滅菌装置2に備えられてもよい。
【0048】
本実施例の滅菌確認装置1は、判定用センサSYと、作業者への報知手段43と、判定制御手段(判定制御器44)とを備える。滅菌確認装置1は、蒸気滅菌装置2とは独立した構成(制御やセンサその他の構成が別箇のもの)とされるのが好ましい。
【0049】
判定用センサSYは、滅菌槽3内の温度および/または圧力を検出する。本実施例では、判定用センサSYとして、滅菌槽3内の温度を検出する第二温度センサ41と、滅菌槽3内の圧力を検出する第二圧力センサ42とが設けられる。前述したとおり、判定用センサSY(41,42)は、運転用センサSX(29,30)とは別個に設けられるのがよい。
【0050】
判定用センサSYは、設置箇所を特に問わないが、既設の蒸気滅菌装置2が前述した検査開口40を備える場合には、その検査開口40を用いて設置されるのが好ましい。図示例では、滅菌槽3の側壁(あるいはその他の箇所)に検査開口40が予め設けられているので、その検査開口40に、判定用センサSYとして、第二温度センサ41と第二圧力センサ42とが設けられる。判定用センサSYは、温度または圧力の検出部を検査開口40へ挿入された状態で設けられる。検査開口40に判定用センサSYが設けられた状態で、検査開口40の開口部(滅菌槽3外側の開口部)は気密に閉じられる。
【0051】
報知手段43は、作業者の視覚および/または聴覚などへの報知手段である。すなわち、報知手段43は、表示および/または音などで、作業者に報知する。たとえば、ディスプレイのような表示装置への表示、ランプの点灯や点滅による表示、ブザーの作動などの内、いずれか一以上を用いて報知する。本実施例では、報知手段43として、液晶ディスプレイからなる表示パネル45を備え、この表示パネル45への表示により報知する。
【0052】
表示パネル45は、蒸気滅菌装置2の目立つ位置に設けられる。
図1では、蒸気滅菌装置2の正面上部に設けられている。具体的には、蒸気滅菌装置2の周囲にはパネルPLが設けられるが、上部のパネルPL(滅菌槽3のドア9の上部)に、表示パネル45が設けられる。
【0053】
滅菌確認装置1は、表示パネル45の表示により、滅菌済であるか否か、つまり滅菌槽3内の被滅菌物が滅菌工程S3を経たものであるか否かを報知する。もちろん、前述したとおり、被滅菌物が実際に滅菌されたか否かを厳密に知るには、滅菌インジケータなどを用いることになるが、表示パネル45の表示により、滅菌工程S3を実施済であるか(滅菌工程S3を通過したか)否かについて報知することで、滅菌槽3内の被滅菌物が滅菌されたか否かの目安を提供することができる。
【0054】
本実施例では、表示パネル45は、「未滅菌」と「滅菌済」との間で、表示を切り替える。この際、表示パネル45がカラー表示可能な場合、「未滅菌」と「滅菌済」とで、文字および/または背景の色を変更してもよい。たとえば、「未滅菌」の場合には、背景色を赤色とする一方、「滅菌済」の場合には、背景色を黄色とする。
【0055】
判定制御手段(判定制御器44)は、判定用センサSYや報知手段43などに接続されており、判定用センサSYの検出値に基づき所定の判定を行い、その判定結果を報知手段43により報知させる。
【0056】
本実施例では、判定制御手段は、時間を計時するタイマ46を備え、第二温度センサ41および第二圧力センサ42の各検出値や経過時間などに基づき、表示パネル45の表示を変更する判定制御器44である。つまり、表示パネル45やタイマ46の他、第二温度センサ41および第二圧力センサ42などは、判定制御器44に接続される。そして、判定制御器44は、以下に述べるように、所定の手順(プログラム)に従い、所定の判定を行い、その結果を表示パネル45により報知する。
【0057】
具体的には、判定制御器44は、判定用センサSY(41,42)の検出値に基づき、判定条件の成否(判定条件を満足したか否か)を判定し、その判定結果を表示パネル45により報知させる。その際、滅菌槽3内の温度および/または圧力だけでなく、経過時間を考慮して判定するのが好ましい。たとえば、蒸気滅菌装置2が前述した一連の工程による滅菌運転中、判定制御器44は、判定用センサSYの検出値を監視して、この検出値が判定値以上となる状態が判定時間以上になるか否かにより、滅菌済であるか否かを判定する。この際、所望により、判定用センサSYの検出値が判定値以上の状態を、連続して判定時間以上継続するか否かにより、滅菌済であるか否かを判定するようにしてもよい。
【0058】
本実施例の滅菌確認装置1は、さらに、判定条件を入力する設定器を備える。この設定器も、判定制御器44に接続される。本実施例では、設定器として、タッチパネル47が用いられる。滅菌確認装置1のタッチパネル47も、蒸気滅菌装置2のタッチパネル32と同様に、液晶ディスプレイのような表示装置の画面上に、タッチパッドのような入力装置を組み込んで構成される。そして、表示装置にて各種表示を行うと共に、画面上の表示ボタンが押されるとそれを検知し、適宜画面表示を変えながら、各種の設定または操作を可能とする。蒸気滅菌装置2の滅菌条件の変更に伴い、滅菌確認装置1の判定条件も同様に変更するのがよい。
【0059】
本実施例の滅菌確認装置1は、所望により、さらに、ドア開放等の検知手段(図示省略)を備える。この検知手段も、判定制御器44に接続される。検知手段は、滅菌槽3のドア9が開放されると、それを検知する手段である。あるいは、滅菌槽3内から被滅菌物またはそれを載せたカートが取り出されると、それを検知する手段であってもよい。検知手段として、光電センサ、リミットスイッチ、磁気センサ、重量センサなどを用いることができる。そして、たとえば、滅菌槽3の開口部にドア9があるか否か、滅菌槽3内にカートがあるか否か、滅菌槽3の開口部をカートが通過したか否か、または滅菌槽3内の棚から被滅菌物が取り出されたか否かを、検知手段により検知する。
【0060】
以下、本実施例の滅菌確認装置1の使用例について説明する。
【0061】
蒸気滅菌装置2の運転開始に先立ち、蒸気滅菌装置2には滅菌条件が設定される。滅菌条件とは、典型的には、滅菌工程S3における滅菌温度T1と滅菌時間である。また、滅菌温度T1に代えてまたは加えて、滅菌条件として、滅菌工程S3における滅菌圧力P1を含めてもよい。但し、滅菌条件として、滅菌温度T1が設定されることで、その滅菌温度T1相当の飽和蒸気圧力として、滅菌圧力P1が自動設定される構成としてもよい。
【0062】
滅菌条件の設定は、本実施例では、蒸気滅菌装置2のタッチパネル32を用いてなされる。蒸気滅菌装置2は、このようにして設定された滅菌条件に応じて、滅菌運転を実行することになる。つまり、滅菌工程S3において、滅菌槽3内を滅菌条件に応じた環境(滅菌温度T1および/または滅菌圧力P1)とし、滅菌時間保持することで、被滅菌物を滅菌する。
【0063】
蒸気滅菌装置2への滅菌条件の設定に応じて、滅菌確認装置1でも判定条件が設定(登録)される。具体的には、滅菌確認装置1のタッチパネル47を用いて、判定条件が設定される。判定条件は、通常、滅菌条件と同一かそれよりも小さな値で設定される。具体的には、次のとおりである。
【0064】
滅菌運転中、判定用センサSYの検出値を監視して、この検出値が判定値以上となる状態が判定時間以上になると、報知手段43により滅菌済である旨報知する場合、判定値は、滅菌条件である滅菌温度T1(または滅菌圧力P1)と同一かそれよりも低い値で設定される。たとえば、滅菌条件として滅菌温度135℃を設定する場合、滅菌確認装置1の判定値として、135℃か、それよりもたとえば2~3℃低い温度(たとえば132℃)が設定される。温度に代えてまたは加えて、圧力を設定する場合も同様に、判定値は、滅菌条件である滅菌圧力P1(滅菌温度T1相当の飽和蒸気圧力)と同一か、それよりも少し低い圧力(たとえば滅菌温度T1よりも2~3℃低い温度相当の飽和蒸気圧力)で設定される。また、滅菌確認装置1の判定時間は、滅菌時間と同一か、それよりも少し短い時間で設定される。
【0065】
なお、ここでは、滅菌確認装置1の判定値として、滅菌条件である滅菌温度T1(滅菌圧力P1)と同一かそれよりも低い値で設定する例について説明したが、場合により、滅菌条件である滅菌温度T1(滅菌圧力P1)よりも若干高い値に設定することも可能である。すなわち、滅菌条件として、たとえば135℃を設定されても、運転制御器による滅菌運転では、滅菌工程S3において135℃よりも所定温度高い温度(たとえば136℃)を目標に制御する場合があり、そのような場合には、判定値として、滅菌条件T1(または滅菌圧力P1)よりも若干高い値(たとえば135.1℃)を設定することは可能である。もちろん、制御目標温度(上記の例では136℃)を超えて、判定値を設定することはできない。
【0066】
蒸気滅菌装置2の運転開始前、滅菌槽3のドア9は開かれ、滅菌槽3に対し被滅菌物が収容される。この状態では、表示パネル45には「未滅菌」の表示がなされている。滅菌槽3のドア9を閉めて、滅菌運転を開始するが、滅菌確認装置1は、第二温度センサ41および第二圧力センサ42の各検出値を常時監視する。
【0067】
典型的には、滅菌確認装置1に設定された判定条件は、蒸気滅菌装置2が滅菌工程S3を実行することで、はじめて達成するように設定されている。そして、(a)第二温度センサ41の検出温度が(滅菌温度T1と同一かやや低い温度で設定された)判定温度以上の状態が(滅菌時間と同一かやや短い時間で設定された)判定時間以上になるか、および/または、(b)第二圧力センサ42の検出圧力が(滅菌圧力P1と同一かやや低い圧力で設定された)判定圧力以上の状態が(滅菌時間と同一かやや短い時間で設定された)判定時間以上になると、滅菌済(つまり滅菌槽3内の被滅菌物が滅菌工程S3を経た)と判定して、その判定結果を報知手段43により報知させる。ここでは、表示パネル45の表示を「滅菌済」に切り替える。この切替えは、滅菌工程S3の終了時点か、それより若干手前で実行されることになる。このように、本実施例では、判定条件とは、滅菌工程S3を経たか否かについての判定条件となる。
【0068】
(蒸気滅菌装置2の)滅菌条件について、滅菌温度T1と滅菌圧力P1との内、滅菌温度T1が設定される場合には、(滅菌確認装置1の)判定条件としても温度が設定され、滅菌圧力P1が設定される場合には、判定条件としても圧力が設定されるのが好ましい。また、滅菌温度T1と滅菌圧力P1との双方が設定される場合には、判定条件としても温度と圧力とが設定されるのが好ましい。
【0069】
その後、蒸気滅菌装置2は、一連の工程を終えれば、滅菌槽3内を大気圧まで復圧して、滅菌運転を終了する。滅菌運転が終了しても、表示パネル45には「滅菌済」とあるので、滅菌槽3内の被滅菌物に対し滅菌運転がなされたことが把握される。それを確認して、作業者は、滅菌槽3のドア9を開放し、滅菌槽3内から被滅菌物を取り出し、使用箇所への払い出しが行われる。
【0070】
滅菌槽3のドア9が開放されるか、滅菌槽3内から被滅菌物またはそれを載せたカートが取り出されると、前述した検知手段によりそれを検知して、判定制御器44は、表示パネル45の表示を「未滅菌」に切り替える。つまり、表示パネル45の表示をリセットする。以後、再び滅菌槽3に被滅菌物が収容され、滅菌槽3のドア9が閉められた状態で、滅菌運転がなされ、(a)第二温度センサ41の検出温度が判定温度以上の状態が判定時間以上になるか、および/または、(b)第二圧力センサ42の検出圧力が判定圧力以上の状態が判定時間以上になるなど、所定の判定条件を満足すれば、表示パネル45の表示を「滅菌済」に切り替えて、滅菌槽3内の被滅菌物が滅菌工程を経た旨、報知することになる。その後、滅菌槽3のドア9が開けられるか、滅菌槽3内から被滅菌物またはカートが取り出されるなどすると、表示パネル45の表示を「未滅菌」に切り替えて、被滅菌物が未滅菌であり得る旨の報知に切り替える。
【0071】
ところで、本実施例では、報知手段43として表示パネル45を用い、その表示の切替えにより、滅菌済であるか否かを報知したが、前述したとおり、その他の表示や音などを用いてもよい。また、表示パネル45で表示する場合でも、表示パネル45にどのような色や文字で表示するかは、適宜に変更可能である。その他、表示パネル45の設置を省略して、場合により、タッチパネル47を表示パネル45として用いてもよい。つまり、タッチパネル47を、報知手段43としても利用可能である。
【0072】
本実施例の滅菌確認装置1およびそれを備えた蒸気滅菌装置2によれば、判定用センサSYの検出値に基づき、所定の判定条件の成否を判定し、その判定結果を報知手段43により報知可能である。滅菌槽3内の温度および/または圧力が判定条件を満たしたか否かの判定とその報知により、作業者は、滅菌槽3内が所期の環境に至ったか否かを容易に知ることができる。滅菌条件と関連づけて条件設定(典型的には、滅菌温度T1および/または滅菌圧力P1、滅菌時間に関して、これらと同一かそれより所定だけ小さな値を設定)することで、滅菌槽3内の被滅菌物が滅菌工程S3を経たものであるか否かの目安とできる。これにより、滅菌槽3内の被滅菌物が未滅菌のまま払い出されるのを防止することができる。
【0073】
また、蒸気滅菌装置2の制御やセンサとは独立に、滅菌確認装置1を設置することになるので、既設の蒸気滅菌装置2にも容易に後付けすることができる。しかも、既設の蒸気滅菌装置2が検査開口40を備える場合、その検査開口40を利用して、容易に判定用センサSYを設置することができる。このようにして、医療機器であっても、改造なく(あるいは改造を抑えて)、安全に設置することができる。また、運転用センサSXとは別に判定用センサSYも設けることで、滅菌に対する保障を確実に図ることができる。
【0074】
本発明の滅菌確認装置1およびそれを備えた蒸気滅菌装置2は、前記実施例の構成に限らず適宜変更可能である。特に、滅菌槽3に対する減圧手段4、復圧手段5、給蒸手段6および排気手段8と、滅菌槽3内の温度および/または圧力を検出する運転用センサSXと、運転用センサSXの検出値に基づき前記各手段4,5,6,8を制御して滅菌槽3内の被滅菌物を蒸気で滅菌する運転制御手段と、を備える蒸気滅菌装置2に適用され、(a)滅菌槽3内の温度および/または圧力を検出する判定用センサSYと、(b)報知手段43と、(c)判定用センサSYの検出値に基づき、滅菌工程を経たか否かについての判定条件の成否を判定し、その判定結果を報知手段43により報知させる判定制御手段44と、を備えるのであれば、その他の構成は適宜に変更可能である。
【0075】
たとえば、前記実施例では、給蒸手段6は、外部からの蒸気を滅菌槽3内へ供給したが、場合により、滅菌槽3内に貯留した水をヒータで加熱して、滅菌槽3内で蒸気を発生させてもよい。蒸気ジャケット10についても同様に、外部からの蒸気を蒸気ジャケット10内へ供給してもよいし、蒸気ジャケット10内に貯留した水をヒータで加熱して、蒸気ジャケット10内で蒸気を発生させてもよい。
【0076】
また、蒸気ジャケット10は、文字通りのジャケット構造に限らず、たとえばコイル状の伝熱管を滅菌槽3の壁面に設けて、その伝熱管に蒸気を供給するなどしてもよい。
【0077】
さらに、前記実施例では、蒸気滅菌装置2は、滅菌槽3の正面がドア9で開閉可能な片ドア式とされたが、場合により、滅菌槽3の前後がドア9で開閉可能な両ドア式とされてもよい。その場合、たとえば、前方のドア9が搬入用ドアとされ、後方のドア9が搬出用ドアとされる。搬入用ドア9を開けて滅菌槽3内に被滅菌物を収容した後、そのドア9を閉めて滅菌運転を実行後、搬出用ドア9を開けて滅菌槽3内から被滅菌物が取り出される。この場合、報知手段43としての表示パネル45は、前後両方に設けてもよいし、搬出側にのみ設けてもよい。また、ドア開放等の検知手段は、前後両方に設けるのが好ましいが、場合によりいずれか一方でもよい。たとえば、蒸気滅菌装置2の構成上、滅菌運転終了後には搬出用ドアの開放しか許容しない場合には、検知手段を搬出側にのみ設けてもよい。両ドアが閉じられた状態で滅菌運転が実行され、判定制御手段44が判定条件を満たしたと判定すると、報知手段43により報知し、その後、ドア9が開けられると、未滅菌であり得る旨報知する。
【符号の説明】
【0078】
1 滅菌確認装置
2 蒸気滅菌装置
3 滅菌槽
4 減圧手段
5 復圧手段
6 給蒸手段
7 ドレン排出手段
8 排気手段
9 ドア
10 蒸気ジャケット
11 内缶
12 外缶
13 真空排気路
14 真空弁
15 真空ポンプ
16 逆止弁
17 給気路
18 エアフィルタ
19 給気弁
20 逆止弁
21 給蒸路
22 給蒸弁
23 ドレン排出路
24 スチームトラップ
25 逆止弁
26 排気路
27 排気弁
28 逆止弁
29 第一温度センサ
30 第一圧力センサ
31 操作パネル
32 タッチパネル
33 運転スイッチ
34 ドア開放ボタン
35 ドア閉鎖ボタン
36 スタートボタン
37 ストップボタン
38 プリンタ
39 工程表示ランプ
40 検査開口
41 第二温度センサ
42 第二圧力センサ
43 報知手段
44 判定制御器
45 表示パネル
46 タイマ
47 タッチパネル
SX 運転用センサ
SY 判定用センサ