(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】装柱バンド
(51)【国際特許分類】
H02G 7/00 20060101AFI20241114BHJP
F16B 2/08 20060101ALI20241114BHJP
F16B 7/04 20060101ALI20241114BHJP
G09F 7/18 20060101ALI20241114BHJP
H02G 1/02 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H02G7/00
F16B2/08 F
F16B2/08 K
F16B7/04 301U
G09F7/18 T
H02G1/02
(21)【出願番号】P 2020193720
(22)【出願日】2020-11-20
【審査請求日】2023-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】神野 健太
(72)【発明者】
【氏名】谷口 育久
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-041153(JP,U)
【文献】特開昭61-083776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 7/00-7/22
H02G 1/02
F16B 2/08
F16B 7/04
G09F 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状構造物に巻付可能となるように構成され、柱状構造物への巻付方向における途中位置を開放することで一対の開放端部が形成されるバンド本体部と、
前記バンド本体部の一対の開放端部のそれぞれに設けられる一対の締付受部と、
前記一対の締付受部を操作する
ことによって前記バンド本体部に前記柱状構造物に対する締付力を生じさせる締付部材とを備え、
前記一対の締付受部と前記締付部材のうちの一方が、楔形状をなす楔部を構成し、
前記一対の締付受部と前記締付部材のうちの他方が、前記楔部に係合する楔係合部を構成し、
前記締付部材は、前記楔部と前記楔係合部とを係合させることによって、前記一対の締付受部を相対変位させるとともに前記相対変位させた状態を維持し、前記バンド
本体部に締付力を生じさせる、
装柱バンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電柱等の柱状構造物に装柱物を取り付けるための装柱バンドに関する。
【背景技術】
【0002】
上記の装柱バンドは、柱状構造物に巻き付けた状態で固定することによって、装柱物を取り付けるためのベースとして用いるものであり、例えば、特許文献1の
図3に図示されているような、電柱を介在させた状態で対面配置される一対の円弧部(電柱を中心とする円周の1/2周分の円弧部)と、一対の円弧部の両端部同士を締結するネジとナットとを備えた装柱バンドが知られている。
【0003】
かかる装柱バンドを用いて装柱物であるクロージャ取付金物を電柱に取り付けるには、電柱の一方側と他方側とに円弧部を一つずつ配置し、且つ装柱物であるクロージャ取付金物を各円弧部の一方の端部の間に配置した状態で、各円弧部の端部とクロージャ取付金物とに挿通したネジをナットに螺合させている。
【0004】
ネジがナットに締め込まれるに伴い、一対の円弧部が協働して電柱を締め付けつつクロージャ取付金物を挟持し、これにより、電柱にクロージャ取付金物が取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来の装柱バンドは、一対の円弧部の端部同士をネジとナットで締結する構造となっているが、一対の円弧部の端部の位置を合わせながらネジをナットに締め込む作業が困難であることが装柱作業を複雑なものにしているという問題が起きている。
【0007】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、装柱作業の簡素化を図ることができる装柱バンドの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の装柱バンドは、
柱状構造物に巻付可能となるように構成され、柱状構造物への巻付方向における途中位置を開放することで一対の開放端部が形成されるバンド本体部と、
前記バンド本体部の一対の開放端部のそれぞれに設けられる一対の締付受部と、
前記一対の締付受部を操作する締付部材とを備え、
前記一対の締付受部と前記締付部材のうちの一方が、楔形状をなす楔部を構成し、
前記一対の締付受部と前記締付部材のうちの他方が、前記楔部に係合する楔係合部を構成し、
前記締付部材は、前記楔部と前記楔係合部とを係合させることによって、前記一対の締付受部を相対変位させるとともに前記相対変位させた状態を維持し、前記バンド部材に締付力を生じさせる。
【0009】
上記構成の装柱バンドによれば、バンド部材を柱状構造物に巻き付ける際、従来の装柱バンドのようなねじ締め作業ではなく、楔部と楔係合部とを係合させるという簡単な操作によって状構造物を締め付けるための締付力をバンド部材に生じさせることができるため、簡単な作業で装柱バンドを柱状構造物に固定することができるようになる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明の装柱バンドは、装柱作業の簡素化を図ることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の第一実施形態に係る装柱バンドの斜視図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係る装柱バンドの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係る装柱バンドのバンド部材の斜視図である。
【
図4】
図4において、(a)はバンド部材の平面図であり、(b)はバンド部材の正面図である。
【
図5】
図5は、同実施形態に係る装柱バンドのバンド部材を上方から見た図である。
【
図6】
図6は、同実施形態に係る装柱バンドの挿込部材の斜視図である。
【
図7】
図7は、同実施形態に係る装柱バンドの挿込部材の正面図である。
【
図8】
図8は、同実施形態に係る装柱バンドの挿込部材の側面図である。
【
図9】
図9は、同実施形態に係る装柱バンドの使用状態での横断面のうち、締付部材3の近傍領域を拡大した図である。
【
図10】
図10は、同実施形態に係る装柱バンドの使用状態の説明図であって、(a)はバンド部材を柱状構造物に巻き付けた直後の状態の説明図であり、(b)はバンド部材が柱状構造物を締め付けている状態の説明図である。
【
図11】
図11は、本発明の第二実施形態に係る装柱バンドのバンド部材の平面図である。
【
図12】
図12は、同実施形態に係る装柱バンドの使用状態での平面拡大図である。
【
図13】
図13は、同実施形態に係る装柱バンドの使用状態での横断面のうち、締付部材3の近傍領域を拡大した図である。
【
図14】
図14は、本発明の第三実施形態に係る装柱バンドの斜視図である。
【
図15】
図15は、同実施形態に係る装柱バンドの分解斜視図である。
【
図16】
図16は、同実施形態に係る装柱バンドのバンド部材の平面図である。
【
図17】
図17は、同実施形態に係る装柱バンドの挿込部材の斜視図である。
【
図18】
図18は、同実施形態に係る装柱バンドの挿込部材の正面図である。
【
図19】
図19は、同実施形態に係る装柱バンドの挿込部材の背面図である。
【
図20】
図20は、同実施形態に係る装柱バンドの横断面図である。
【
図21】
図21は、同実施形態に係る装柱バンドの使用状態での平面図のうち、壁部近傍の領域を拡大した図である。
【
図22】
図22は、同実施形態に係る装柱バンドの使用状態の説明図であって、(a)はバンド部材を柱状構造物に巻き付けた直後の状態の説明図であり、(b)はバンド部材が柱状構造物を締め付けている状態の説明図である。
【
図23】
図23は、本発明の第四実施形態に係る装柱バンドの斜視図である。
【
図24】
図24は、同実施形態に係る装柱バンドの分解斜視図である。
【
図25】
図25は、同実施形態に係る装柱バンドの締付部材の横断面の拡大図である。
【
図26】
図26は、同実施形態に係る装柱バンドを正面から見た拡大図である。
【
図27】
図27は、同実施形態に係る装柱バンドの締付受部の断面拡大図である。
【
図28】
図28は、同実施形態に係る装柱バンドの締付部材の横断面図である。
【
図29】
図29において、(a)及び(b)は、同実施形態に係る装柱バンドの締付部材のテーパー孔と締付部材のサイズ関係の説明図である。
【
図30】
図30において(a)及び(b)は、同実施形態に係る装柱バンドの使用状態の説明図である。
【
図31】
図31は、本発明の第五実施形態に係る装柱バンドの分解斜視図である。
【
図32】
図32において、(a)は締付部材を上方から見た状態の拡大図であり、(b)は締付部材を正面から見た状態の拡大図である。
【
図33】
図33は、同実施形態に係る装柱バンドの締付部材の横断面図である。
【
図34】
図34は、同実施形態に係る装柱バンドの締付部材の背面図である。
【
図35】
図35において(a)及び(b)は、同実施形態に係る装柱バンドの締付部材のテーパー孔と締付部材のサイズ関係の説明図である。
【
図36】
図36において(a)及び(b)は、同実施形態に係る装柱バンドの使用状態の説明図である。
【
図37】
図37は、本発明の第六実施形態に係る装柱バンドの分解斜視図である。
【
図38】
図38において、(a)は締付部材を上方から見た状態の拡大図であり、(b)は締付部材を正面から見た状態の拡大図である。
【
図39】
図39は、同実施形態に係る装柱バンドの締付部材の横断面図である。
【
図40】
図40は、同実施形態に係る装柱バンドの締付部材の背面図である。
【
図41】
図41において(a)及び(b)は、同実施形態に係る装柱バンドの締付部材のテーパー孔と締付部材のサイズ関係の説明図である。
【
図42】
図42において(a)及び(b)は、同実施形態に係る装柱バンドの使用状態の説明図である。
【
図43】
図43は、本発明の第七実施形態に係る装柱バンドの平面図である。
【
図44】
図44は、同実施形態に係る装柱バンドの分解斜視図である。
【
図45】
図45は、同実施形態の装柱バンドの締付部材の分解斜視図である。
【
図46】
図46において、(a)は締付部材の平面図であり、(b)はXXIV-XXIV線での断面図である。
【
図47】
図47において、(a)は保持構造を側面から見た図であり、(b)はXXV線での断面拡大図である。
【
図48】
図48は、同実施形態に係る装柱バンドの使用状態の説明図である。
【
図49】
図49は、装柱物の一例を説明するための図であり、(a)は斜視図、(b)は先端面側から真っ直ぐに見た図である。
【
図50】
図50は、装柱物の別の一例を説明するための図であり、(a)は斜視図、(b)はA-A断面線での断面図である。
【
図51】
図51は、装柱物のさらに別の一例を説明するための図であり、(a)は斜視図、(b)はB-B断面線での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の第一実施形態にかかる装柱バンドについて、添付図面を参照しつつ説明する。
【0013】
装柱バンドは、装柱に使用する器具である。なお、本実施形態における装柱とは、電柱等の柱状構造物に装柱物を取り付ける行為を指し、装柱物には、配電用の資材や設備の他、通信機器、標識等の物品の他、電柱のカバーや、鉢、プランター等の柱状構造物を装飾するような物品も含まれる。
【0014】
本実施形態の装柱バンドは、
図1に示すように、柱状構造物Pの周囲を取り囲むようにして配置されるバンド部材2と、バンド部材2に柱状構造物Pに対する締付力を生じさせるための締付部材3と、バンド部材2に装柱物Oを取り付ける装柱物用取付部4と、を備えている。
【0015】
なお、装柱バンド1は、楔形状をなす楔部と該楔部に係合する楔係合部とを有し、この楔部と楔係合部とを係合させることによってバンド部材2に締付力を生じさせるように構成されている。そして、本実施形態では、締付部材3が楔部を有し、バンド部材2が楔係合部を有するように構成されている。
【0016】
また、以下の説明において、柱状構造物Pの軸線が延びる方向を軸線方向、該軸線方向を中心とする周方向は周方向、前記軸線方向に直交する方向(すなわち、柱状構造物Pの径方向に対応する方向)は径方向と称する。また、径方向において外側に向かう方向を径外方向、径方向において内側に向かう方向を径内方向と称する。
【0017】
バンド部材2は、
図3に示すように、締付部材3により互いに連結された状態(締付部材3により互いに拘束された状態)と、締付部材3による連結が解除された状態(締付部材3による拘束が解除された状態)とに切替可能な一対の開閉連結部(端部)2Sを有する。
【0018】
本実施形態のバンド部材2は、前記周方向に沿って湾曲した形状となるように構成されるバンド本体部20と、前記一対のバンド本体部20のそれぞれに設けられており、且つ締付部材3により互いに連結された状態と、締付部材3による連結が解除された状態とに切替可能な一対の締付受部21と、を有している。また、バンド部材2の開閉連結部2Sは、締付受部21によって構成されている。
【0019】
バンド本体部20は、分割可能となるように構成されており、互いに連結可能な複数の分割体200を有する。なお、本実施形態のバンド本体部20は、2つの分割体200を有するように構成されているが、3つ以上の分割体200を有するように構成されていてもよい。また、バンド本体部20全体が単一の部材により構成されていてもよい。
【0020】
分割体200は、円弧状に湾曲している。また、本実施形態の分割体200は、他の分割体200に連結される連結部2000と、締付受部21が設けられている被連設部2001と、を有する。
【0021】
各分割体200は、互いの連結部2000が直接的又は間接的に連結可能となるように構成されていればよいが、本実施形態では互いの連結部2000が直接的に連結可能となるように構成されている。
【0022】
より具体的に説明すると、一方の分割体200の連結部2000には、連結部2000自身の厚み方向で貫通する連結孔2000aが形成されている。なお、一方の分割体200の連結部2000には、複数の連結孔2000aが前記周方向で間隔を空けて並べて形成されている。
【0023】
他方の分割体200の連結部2000には、前記連結孔2000aに引掛可能な連結用引掛部2000bが形成されている。
【0024】
締付受部21は、被連設部2001から延出する延出部210と、延出部210(延出部210の先端)から前記径外方向側に延出するように形成されている壁部211と、を有する。
【0025】
本実施形態の延出部210は、分割体200と一体的に形成されている。また、本実施形態の延出部210は、分割体200と同様に円弧状に湾曲している。
【0026】
本実施形態の延出部210は、前記径方向において互いにずれた位置に配置される内側延出部2100と、外側延出部2101と、を有する。なお、本実施形態の内側延出部2100と外側延出部2101とは、前記径方向外方に向かって凸状に湾曲した円弧状であり、互いの曲率が同一又は略同一となっている(
図4(a)参照)。
る。
【0027】
内側延出部2100は細長い板状に形成されている。本実施形態の被連設部2001には、内側延出部2100が複数設けられている。そして、複数の内側延出部2100は、前記軸線方向において互いの間に間隔をあけて並んでいる。
【0028】
外側延出部2101も細長い板状に形成されている。また、被連設部2001には、外側延出部2101も複数設けられている。そして、複数の外側延出部2101は、前記軸線方向において互いの間に間隔をあけて並んでいる。
【0029】
なお、複数の内側延出部2100と複数の外側延出部2101とは、前記径方向において延出部210を外側から見たときに、前記軸線方向に沿って交互に並んでいる(
図4(b)参照)。
【0030】
また、一方の分割体200に設けられている各内側延出部2100と、他方の分割体200に設けられている各内側延出部2100とは、前記軸線方向における形成位置がずれており、バンド部材2が後述する巻付状態であるときに、一方の分割体200に設けられている各内側延出部2100と、他方の分割体200に設けられている各内側延出部2100とが前記軸線方向に沿って交互に並ぶようになっている。
【0031】
一方の分割体200に設けられている各外側延出部2101と、他方の分割体200に設けられている各外側延出部2101もまた、前記軸線方向における形成位置がずれており、バンド部材2が後述する巻付状態であるときに、一方の分割体200に設けられている各外側延出部2101と、他方の分割体200に設けられている各外側延出部2101とが前記軸線方向に沿って交互に並ぶようになっている。
【0032】
本実施形態の壁部211は、外側延出部2101(外側延出部2101の先端)から前記径方向外方に向かって延出する側壁部2110と、側壁部2110の先端から前記周方向において外側延出部2101の先端から基端に向かう方向と同方向に向けて延出する返し部2111と、を有する。
【0033】
なお、側壁部2110は、複数の外側延出部2101のそれぞれに対して一つずつ形成されており、返し部2111は、複数の側壁部2110のそれぞれに対して一つずつ形成されている。そのため、本実施形態の各締付受部21は、櫛歯状に形成されている。
【0034】
ここで、
図5に示すように、本実施形態のバンド部材2は、各分割体200の連結部2000同士を連結した状態で、一方の側壁部2110の内側延出部2100及び外側延出部2101の先端から他方の側壁部2110の内側延出部2100及び外側延出部2101の先端までの部分を柱状構造物の周囲に周回させた巻付状態になると、各延出部210の内側延出部2100同士が噛み合い、且つ各延出部210の外側延出部2101同士も噛み合った状態になり、各延出部210の内側延出部2100と各延出部210の外側延出部2101との間には、締付部材3の後述する補助圧入部31を圧入可能な内側圧入領域S1が形成される。
【0035】
また、バンド部材2が前記巻付状態になると、各壁部211の側壁部2110が前記周方向において互いに対向配置され、これにより、各壁部211の側壁部2110の間には締付部材3の後述する楔部を圧入可能な外側圧入領域S2が形成される。このように、本実施形態のバンド部材2では、締付受部21により楔係合部が構成されており、バンド部材2が巻付状態になると、楔係合部は、バンド本体部20よりも前記径外方向側に配置されるようになっている。
【0036】
なお、バンド部材2が前記巻付状態になると、各壁部211の返し部2111は、前記周方向において互いの先端部を向かい合わせにした状態で配置される。
【0037】
締付部材3は、
図6に示すように、外側圧入領域S2(
図5参照)に抜差可能な楔部30と、前記楔部30との間に間隔をあけて対向し、且つ内側圧入領域S1(
図5参照)に抜差可能な補助圧入部31と、楔部30が外側圧入領域S2に挿し込まれた状態において、外側圧入領域S2に楔部30を挿し込む方向で締付受部21に当接する掛止部32と(
図8参照)を有する。
【0038】
なお、以下の締付部材3の説明においては、楔部30が外側圧入領域S2に挿し込まれ、且つ補助圧入部31が内側圧入領域S1に挿し込まれている状態において、一方の壁部211の側壁部2110と他方の壁部211の側壁部2110とが並ぶ方向における楔部30の寸法及び補助圧入部31の寸法を横幅、前記軸線方向における楔部30の寸法及び補助圧入部31の寸法を高さ、各側壁部2110が並ぶ方向と前記軸線方向とに直交する方向における楔部30及び補助圧入部31の寸法を厚みと称する。
【0039】
楔部30は、
図7に示すように、外側圧入領域S2から引き抜く方向(
図7の上方向に対応する方向)における一端側(
図7における上側)に位置し、且つ横幅が外側圧入領域S2の間隔(楔部30が外側圧入領域S2に挿し込まれる前の状態での側壁部2110同士の間の間隔)よりも大きくなるように形成されている広幅部300と、外側圧入領域S2への挿し込み方向(
図7の下方向に対応する方向)に向かって前記広幅部300から延出し、且つ先端側(
図7の下端側)に向かうにつれて横幅が徐々に小さくなる狭幅部301と、を有する。
【0040】
広幅部300は、楔部30を外側圧入領域S2に抜き差しする方向における全長に亘って横幅が一定となるように形成されている。また、広幅部300は、側壁部2110同士の間に圧入されるようになっている。
【0041】
狭幅部301は、先端の横幅が外側圧入領域S2の間隔(楔部30が挿し込まれる前の状態における側壁部2110同士の間の間隔)よりも小さくなるように形成されている。
【0042】
なお、本実施形態の狭幅部301では、横幅方向における側面が平面となっているが、例えば、狭幅部301は、基端の横幅よりも先端の横幅の方が小さくなっていれば、横幅方向における側面が曲面になっていてもよい。
【0043】
補助圧入部31は、
図8に示すように、内側圧入領域S1に挿し込まれた状態において、内側延出部2100を外側延出部2101から離れる方向(すなわち、前記径外方向に対応する方向)に向けて押操作するように構成されている。
【0044】
本実施形態の補助圧入部31は、内側圧入領域S1からの引き抜き方向(
図8の上方向に対応する方向)における一端側(
図8における上端側)に位置し、且つ厚みが前記径方向における内側圧入領域S1の寸法(補助圧入部31が内側圧入領域S1に挿し込まれる前の状態における内側延出部2100と外側延出部2101との間の間隔)よりも大きくなるように形成されている太厚部310と、内側圧入領域S1への挿し込み方向(
図8の下方向に対応する方向)に向かって前記太厚部310から延出し、且つ内側圧入領域S1への挿し込み方向における先端側(
図8の下端側)に向かうにつれて厚みが徐々に小さくなる細厚部311と、を有する。
【0045】
太厚部310の厚みは、前記抜差方向における全長に亘って一定である。また、太厚部310は、内側延出部2100と外側延出部2101との間に圧入されるようになっている。
【0046】
ここで、楔部30には、外側圧入領域S2に圧入されている状態で、外側延出部2101に対向する内向面302と、返し部2111に接する外向面(内向面302とは反対側の一面)303と、が含まれており、補助圧入部31には、内側圧入領域S1に圧入されている状態で、内側延出部2100に対向する内向面312と、外側延出部2101に対向する外向面(内向面312とは反対側の一面)313と、が含まれている。
【0047】
楔部30の内向面302と補助圧入部31の外向面313とは、互いの間に間隔をあけた状態で対向している。そして、楔部30の内向面302と補助圧入部31の外向面313の間の空間は、各延出部210の外側延出部2101が互いに噛み合わされた状態で挿し込まれる挿込溝33となっている。
【0048】
本実施形態の外側延出部2101は、上述のように、前記周方向に沿って湾曲し且つ円弧状に形成されているため、挿込溝33も、
図9に示すように、平面視における形状が前記周方向に沿って湾曲し且つ円弧状となるように形成されている。
【0049】
そのため、挿込溝33を画定する楔部30の内向面302と補助圧入部31の外向面313も、平面視における形状が前記周方向に沿って湾曲し且つ円弧状となるように形成されている。
【0050】
掛止部32は、
図8に示すように、楔部30と補助圧入部31とを接続する中間掛止部320と、楔部30及び補助圧入部31よりも外側に張り出した外縁掛止部321と、を有する。
【0051】
楔部30が外側圧入領域S2に挿し込まれ、補助圧入部31が内側圧入領域S1に挿し込まれた状態になると、中間掛止部320は、外側延出部2101に掛止され、外縁掛止部321は、側壁部2110、返し部2111、内側延出部2100に対して掛止された状態になる。
【0052】
装柱物用取付部4は、
図4(a)に示すように、側壁部2110の両面のうち、返し部2111が延出する方向とは反対側に向いている一面から突出する突起40を有する。また、本実施形態では、複数の側壁部2110のそれぞれに対して突起40が突設されている。
【0053】
装柱物には、
図2に示すように、締付部材3によってバンド部材2に柱状構造物への締付力を生じさせる操作(本実施形態では、外側圧入領域S2に楔部30を圧入する操作)に伴い、装柱物用取付部4によってバンド部材2に固定される被固定部O1が設けられている。本実施形態の被固定部O1は、側壁部2110の前記一面に対向配置される一対の対向板部O10であって、突起40を挿込可能な固定孔O100が形成されている一対の対向板部O10によって構成されている。
【0054】
本実施形態の装柱バンド1の構成は以上の通りである。続いて、本実施形態の装柱バンド1の使用方法を説明する。
【0055】
本実施形態の装柱バンド1を使用して装柱する作業では、バンド部材2を柱状構造物Pに巻き付ける巻付作業と、締付部材3を使って柱状構造物Pへの締付力をバンド部材2に生じさせる締付作業と、装柱物Oを装柱物用取付部4に取り付ける取付作業とが行われる。なお、本実施形態においては、締付作業が完了するとともに取付作業も完了する。
【0056】
巻付作業では、分割体200同士を連結してバンド本体部20を組み立て、バンド部材2を前記巻付状態にする。このようにすると、バンド部材2における一方の壁部211の側壁部2110と他方の壁部211の側壁部2110との間の部分が柱状構造物Pの周囲に周回し、内側圧入領域S1と外側圧入領域S2とが形成される(
図10(a)参照)。また、バンド部材2は、一対の締付受部21が互いに噛み合うと巻付状態が維持されるため、これにより、柱状構造物Pに仮止めされる。
【0057】
締付作業は、一対の対向板部O10が側壁部2110の前記一面に対向配置された状態で行われる。締付作業では、楔部30を外側圧入領域S2に圧入し、補助圧入部31を内側圧入領域S1に圧入する。
【0058】
楔部30が外側圧入領域S2に圧入されると、広幅部300によって一対の側壁部2110が互いに離間する方向に押操作される。また、一対の側壁部2110が互いに離間するに伴って、各延出部210と被連設部2001とが引き操作され、これにより、バンド部材2に柱状構造物Pへの締付力が生じる(
図10(b)参照)。
【0059】
さらに、一対の側壁部2110が互いに離間する方向に動くと、側壁部2110の前記一面が対向板部O10に接近することによって突起40が固定孔O100に挿し込まれる(
図2参照)。これにより、装柱物Oがバンド部材2に固定されるため、締付作業中に取付作業も完了する。
【0060】
また、補助圧入部31が内側圧入領域S1に圧入されると、外向面313が外側延出部2101を前記径内方向側から受け止めつつ、内向面312が内側延出部2100を前記径外方向側から前記径内方向に向けて押操作するため、補助圧入部31が外側延出部2101と内側延出部2100とに挟み込まれた状態になる。これにより、補助圧入部31が内側延出部2100と外側延出部2101とに対して抜け止めされる結果、締付部材3が一対の締付受部21から脱落し難くなる。
【0061】
さらに、補助圧入部31の外向面313が外側延出部2101を前記径内方向側から受け止めた状態にもなるため、外側延出部2101の前記径内方向への動きが規制されることによって、バンド部材2の緩み、すなわち、柱状構造物Pに対するバンド部材2の締付力の低下が抑制される。
【0062】
続いて、本発明の第二実施形態にかかる装柱バンドについて、添付図面を参照しつつ説明する。
【0063】
本実施形態の装柱バンドも、装柱に使用する器具である。なお、本実施形態においても装柱とは、電柱等の柱状構造物に装柱物を取り付ける行為を指し、装柱物には、配電用の資材や設備の他、通信機器、標識等の物品の他、電柱のカバーや、鉢、プランター等の柱状構造物を装飾するような物品も含まれる。
【0064】
また、本実施形態に係る装柱バンド1は、第一実施形態に係る装柱バンド1に対して、内側延出部2100と外側延出部2101の形状(
図11、
図12参照)と、締付部材3の挿込溝33の形状(
図13参照)が異なっており、他の構成は第一実施形態に係る装柱バンド1と同じである。
【0065】
本実施形態に係る装柱バンド1では、
図11、
図12に示すように、内側延出部2100と、外側延出部2101が平板状に形成されており、これに伴い、
図13に示すように、外側延出部2101を挿通する挿込溝33も平面視において直線状なるように形成されている。
【0066】
本実施形態に係る装柱バンド1の使用方法は、第一実施形態に係る装柱バンド1の使用方法と同じである。
【0067】
続いて、本発明の第三実施形態にかかる装柱バンドについて、添付図面を参照しつつ説明する。
【0068】
本実施形態の装柱バンドも、装柱に使用する器具である。なお、本実施形態においても装柱とは、電柱等の柱状構造物に装柱物を取り付ける行為を指し、装柱物には、配電用の資材や設備の他、通信機器、標識等の物品の他、電柱のカバーや、鉢、プランター等の柱状構造物を装飾するような物品も含まれる。
【0069】
本実施形態の装柱バンド1は、
図14に示すように、柱状構造物Pの周囲を取り囲むようにして配置されるバンド部材2と、バンド部材2に柱状構造物Pに対する締付力を生じさせるための締付部材3と、を備えている。
【0070】
なお、本実施形態においても、柱状構造物Pの軸線が延びる方向を軸線方向、該軸線方向を中心とする周方向は周方向、前記軸線方向と前記周方向とに直交する方向(すなわち、柱状構造物Pの径方向に対応する方向)は径方向と称する。また、径方向において外側に向かう方向を径外方向、径方向において内側に向かう方向を径内方向と称する。
【0071】
なお、本実施形態の装柱バンド1も、第一実施形態、及び第二実施形態に係る装柱バンド1と同様に、楔形状をなす楔部と該楔部に係合する楔係合部とを有し、この楔部と楔係合部とを係合させることによってバンド部材2に締付力を生じさせるように構成されたものである。そして、本実施形態の装柱バンド1は、締付部材3が楔部を有し、バンド部材2が楔係合部を有するように構成されている。
【0072】
バンド部材2は、
図16に示すように、締付部材3により互いに連結された状態(締付部材3により互いに拘束された状態)と、締付部材3による連結が解除された状態(締付部材3による拘束が解除された状態)とに切替可能な一対の開閉連結部(端部)2Sを有する。
【0073】
本実施形態のバンド部材2は、前記周方向に沿って湾曲した形状となるように構成されるバンド本体部20と、前記一対のバンド本体部20のそれぞれに設けられており、且つ締付部材3により互いに連結された状態と、締付部材3による連結が解除された状態とに切替可能な一対の締付受部21と、を有している。また、バンド部材2の開閉連結部2Sは、締付受部21によって構成されている。
【0074】
バンド本体部20は、分割可能であり、互いに連結可能な複数の分割体200を有する。なお、本実施形態のバンド本体部20は、2つの分割体200を有するように構成されているが、3つ以上の分割体200を有するように構成されていてもよい。また、バンド本体部20全体が単一の部材により構成されていてもよい。
【0075】
分割体200は、円弧状に湾曲している。また、本実施形態の分割体200は、他の分割体200に連結される連結部2000と、締付受部21が設けられている被連設部2001と、を有する。
【0076】
各分割体200は、互いの連結部2000が直接的又は間接的に連結可能となるように構成されるが、本実施形態では互いの連結部2000が間接的に連結可能となるように構成されている。
【0077】
より具体的に説明すると、
図14に示すように、各分割体200の連結部2000は、フック状に形成されており、装柱物Oに掛止可能となっている。なお、本実施形態の装柱物Oは、各分割体200の連結部2000が掛止可能な掛止孔O10とが形成された被固定部O1を有する。被固定部O1は、バンド部材2に固定される部分であるともいえる。
【0078】
一対の締付受部21のそれぞれは、
図16に示すように、被連設部2001から延出する延出部210と、延出部210に設けられ、且つ締付部材3を前記周方向で受けるための壁部211と、を有する。
【0079】
各壁部211は、
図21に示すように、2つの延出部210よりも柱状構造物P側(前記径内方向側)に配置される内壁部2110と、2つの延出部210よりも柱状構造物P側とは反対側(前記径外方向側)に配置される外壁部2111と、を有する。
【0080】
一方の壁部211への延出部210の接合位置Jと、他方の壁部211への延出部210の接合位置Jとは、前記径方向において互いにずれた場所に設定されている。
【0081】
また、各壁部211には、他の壁部211に接合されている延出部210を挿通する挿通孔2112が形成されており、一方の壁部211の挿通孔2112の位置と、他方の壁部211の挿通孔2112の位置も互いにずれた場所に設定されている。なお、挿通孔2112には、分割体200も挿通可能である。
【0082】
一方の壁部211では、接合位置Jから前記径外方向側にずれた位置に挿込孔2112が形成され、他方の壁部211では、接合位置Jから前記径内方向側にずれた位置に挿込孔2112が形成されている。
【0083】
そして、本実施形態のバンド部材2は、各壁部211の挿通孔2112に延出部210を通してバンド部材2を前記巻付状態にすると、一対の壁部211が対向配置され、且つ一方の壁部211への延出部210の接合位置Jと他方の壁部211の挿通孔2112の位置とが前記周方向で並び、且つ一方の壁部211の挿通孔2112の位置と他方の壁部211への延出部210の接合位置Jとが前記周方向で並ぶように構成されている。
【0084】
そのため、一方の壁部211では、接合位置Jよりも前記径内方向側の部分が内壁部2110となり、挿通孔2112よりも前記径外方向側の部分が外壁部2111となっている。また、他方の壁部211では、挿通孔2112よりも前記径内方向側の部分が内壁部2110となり、接合位置Jよりも前記径外方向側の部分が外壁部2111となっている。
【0085】
そして、各壁部211の内壁部2111の間には締付部材3の後述する圧入部30を圧入可能な内側圧入領域S1が形成され、各壁部211の外壁部2110の間には締付部材3の後述する補助圧入部31を圧入可能な外側圧入領域S2が形成される。このように、本実施形態のバンド部材2では、締付受部21により楔係合部が構成されており、バンド部材2が巻付状態になると、楔係合部は、バンド本体部20よりも前記径外方向側に配置されるようになっている。
【0086】
締付部材3は、
図17に示すように、外側圧入領域S1と内側圧入領域S2とに抜差可能な2つの圧入部30、31と、該2つの圧入部30,31に連設され且つ各圧入部30、31が内側圧入領域S1、外側圧入領域S2に挿し込まれた状態で分割体200に対して上方から掛止する掛止部32とを有する。そして、本実施形態の締付部材3では、各圧入部30,31によって楔部が構成されている。
【0087】
なお、本実施形態では、外側圧入領域S2に圧入される圧入部30を外側圧入部30と称し、内側圧入領域S1に圧入される圧入部31を補助圧入部31と称する。また、以下の締付部材3の説明においては、外側圧入部30が外側圧入領域S2に圧入され、補助圧入部31が内側圧入領域S1に圧入されている状態において、各側壁部211が並ぶ方向における寸法を横幅、前記軸線方向における寸法を高さ、前記径方向における寸法を厚みと称する。
【0088】
外側圧入部30は、
図18に示すように、外側圧入領域S2からの引き抜き方向(
図18の上方向に対応する方向)における一端側(
図18の上方側の一端)に位置し、且つ横幅が外側圧入領域S2の間隔(外側圧入部30が外側圧入領域S2に圧入される前の状態における壁部211同士の間の間隔)よりも大きくなるように形成されている広幅部300と、外側圧入領域S2への挿し込み方向(
図18の下方向に対応する方向)に向かって前記広幅部300から延出し、且つ先端側(
図18における下端側)に向かうにつれて横幅が徐々に小さくなる狭幅部301と、を有する。
【0089】
広幅部300は、前記抜差方向における全長に亘って横幅が一定となるように形成されている。
【0090】
そして、狭幅部301は、先端の横幅が外側圧入領域S2の間隔(外側圧入部30が挿し込まれる前の状態における側壁部211同士の間の間隔)よりも小さくなるように形成されている。なお、本実施形態の狭幅部301では、横幅方向における側面が平面となっているが、例えば、狭幅部301は、基端の横幅よりも先端の横幅の方が小さくなっていれば、横幅方向における側面が曲面になっていてもよい。
【0091】
補助圧入部31も、
図19に示すように、内側圧入領域S1からの引き抜き方向(
図19の上方向に対応する方向)における一端側(
図19の下方側の一端)に位置し、且つ横幅が内側圧入領域S2の間隔(補助圧入部31が内側圧入領域S1に圧入される前の状態における壁部211同士の間の間隔)よりも大きくなるように形成されている広幅部310と、外側圧入領域S2への挿し込み方向(
図19の下方向に対応する方向)に向かって前記広幅部310から延出し、且つ先端側(
図19の下端側)に向かうにつれて横幅が徐々に小さくなる狭幅部311と、を有する。
【0092】
広幅部310は、前記抜差方向における全長に亘って横幅が一定となるように形成されている。
【0093】
そして、狭幅部311は、先端の横幅が外側圧入領域S1の間隔(楔部が挿し込まれる前の状態における側壁部211同士の間の間隔)よりも小さくなるように形成されている。なお、本実施形態の狭幅部311では、横幅方向における側面が平面となっているが、例えば、狭幅部311は、基端の横幅よりも先端の横幅の方が小さくなっていれば、横幅方向における側面が曲面になっていてもよい。
【0094】
ここで、外側圧入部30と補助圧入部31とは、互いの間に間隔をあけた状態で対向している。これにより、外側圧入部30と補助圧入部31との間には、被連設部2001が挿し込まれる挿込溝33が形成されている。
【0095】
本実施形態の被連設部2001は、上述のように、前記周方向に沿って湾曲し且つ円弧状に形成されているため、挿込溝33も、前記周方向に沿って湾曲し且つ円弧状となるように形成されている(
図20参照)。
【0096】
掛止部32は、各挿込部30の上端部同士をつなぐように形成されている。
【0097】
本実施形態の装柱バンド1の構成は以上の通りである。続いて、本実施形態の装柱バンド1の使用方法を説明する。
【0098】
本実施形態の装柱バンド1を使用して装柱する作業では、バンド部材2を柱状構造物Pに巻き付ける巻付作業と、締付部材3を使って柱状構造物Pへの締付力をバンド部材2に生じさせる締付作業と、装柱物を装柱物用取付部に取り付ける取付作業とが行われる。なお、本実施形態においては、締付作業が完了するとともに取付作業も完了する。
【0099】
巻付作業では、分割体200同士を連結してバンド本体部20を組み立て、バンド部材2を前記巻付状態にする。本実施形態では、装柱物を介して各分割体200の連結部2000が互いに連結されることによって、分割体200同士が連結される。
【0100】
そして、一対の締付受部21を組み合わせる。より具体的に説明すると、一方の壁部211の挿通孔2110に他方の被連設部2001が挿通され、他方の壁部211の挿通孔2110に一方の被連設部2001が挿通された状態にする。このようにすると、バンド部材2が柱状構造物Pの周囲に沿って配置されるとともに、一対の壁部211の間に外側圧入領域S2と、内側圧入領域S1とが形成される(
図22(a)参照)。
【0101】
締付作業では、外側圧入部30を外側圧入領域S2に圧入し、補助圧入部31を内側圧入領域S1に圧入する。このようにすると、外側圧入部30と補助圧入部31とによって、一対の壁部211が互いに離間する方向に向けて押操作されるため、一対の壁部211が互いに離間する方向に動く(
図22(b)参照)。これに伴い、各延出部210とともにバンド本体部20の被連設部2001が引き操作されるため、バンド部材2に柱状構造物Pへの締付力が生じる。
【0102】
なお、外側圧入部30は、狭幅部301が先端側に向かうにつれて横幅が徐々に小さくなるように形成されているため、外側圧入領域S2内に入り易くなっており、補助圧入部31もまた、細厚部311が先端側に向かうにつれて厚みが徐々に小さくなるように形成されているため、内側圧入領域S1内に入り易くなっている。
【0103】
なお、本実施形態の締付部材3は、外側圧入部30の側面、補助圧入部31の側面、掛止部32の側面のそれぞれが平面となっているため、外側圧入部30の側面によって外壁部2111が押操作され、補助圧入部31の側面によって内壁部2110が押操作されるとともに、外壁部2111と内壁部2110の間の部分が掛止部32の側面によって押し操作される。
【0104】
取付作業では、装柱物Oをバンド部材2に取り付ける作業と、装柱物Oをバンド部材2に固定する作業(脱落を防止した状態にする作業)とが行われるが、本実施形態では、巻付作業時にバンド部材2に装柱物Oが取り付けられ、締付作業時にバンド部材2の開閉連結部2Sが締付部材3によって拘束されると装柱物Oがバンド部材2から完全に外れなくなる(すなわち、装柱物Oがバンド部材2に固定された状態になる)ため、締付作業が完了するとともに取付作業も完了する。
【0105】
続いて、本発明の第四実施形態にかかる装柱バンドについて、添付図面を参照しつつ説明する。
【0106】
本実施形態の装柱バンドは、装柱に使用する器具である。なお、本実施形態において装柱とは、電柱等の柱状構造物に装柱物を取り付ける行為を指し、装柱物には、配電用の資材や設備の他、通信機器、標識等の物品の他、電柱のカバーや、鉢、プランター等の柱状構造物を装飾するような物品も含まれる。
【0107】
図23、及び
図24に示すように、本実施形態の装柱バンド1は、柱状構造物に巻付可能であるバンド部材2と、柱状構造物Pに巻き付けた状態のバンド部材2に柱状構造物Pへの締付力を生じさせるための締付部材3と、バンド部材2に装柱物Oを取り付ける装柱物用取付部4と、を備えている。
【0108】
なお、本実施形態の装柱バンド1も、楔形状をなす楔部と該楔部に係合する楔係合部とを有し、この楔部と楔係合部とを係合させることによってバンド部材2に締付力を生じさせるように構成されている。そして、本実施形態の装柱バンド1は、バンド部材2が楔部を有し、締付部材3が楔係合部を有するように構成されている。
【0109】
また、以下の説明において、柱状構造物Pの軸線が延びる方向を軸線方向、該軸線方向を中心とする周方向は周方向、前記軸線方向と前記周方向とに直交する方向(すなわち、柱状構造物Pの径方向に対応する方向)は径方向と称する。また、前記径方向において外側に向かう方向を径外方向、前記径方向において内側に向かう方向を径内方向と称する。
【0110】
バンド部材2は、締付部材3により互いに連結された状態(締付部材3により互いに拘束された状態)と、締付部材3による連結が解除された状態(締付部材3による拘束が解除された状態)とに切替可能な一対の開閉連結部(端部)2Sを有する。
【0111】
本実施形態のバンド部材2は、
図24に示すように、前記周方向に沿って湾曲した形状となるバンド本体部20と、前記一対のバンド本体部20のそれぞれに設けられており、且つ締付部材3により互いに連結された状態と、締付部材3による連結が解除された状態とに切替可能な一対の締付受部21と、締付部材3の動きを案内するための案内部22と、を有する。また、バンド部材2では、開閉連結部2Sが締付受部21で構成されている。そして、本実施形態のバンド部材2では、締付受部21により楔部が構成されており、バンド部材2が後述する巻付状態になると、楔部は、バンド本体部20よりも前記径外方向側に配置されるようになっている。
【0112】
バンド本体部20は、分割可能となるように構成されており、互いに連結可能な複数の分割体200を有する。なお、本実施形態のバンド本体部20は、2つの分割体200を有するように構成されているが、3つ以上の分割体200を有するように構成されていてもよい。また、バンド本体部20全体が単一の部材により構成されていてもよい。
【0113】
分割体200は、円弧状に湾曲している。また、本実施形態の分割体200は、他の分割体200に連結される連結部2000と、締付受部21が連設される被連設部2001と、を有する。本実施形態に係る分割体200は、帯板状の部材を湾曲させて形成されており、長手方向における一端部が連結部2000、他端部が被連設部2001となっている。
【0114】
本実施形態の各分割体200は、互いの連結部2000が直接的又は間接的に連結可能となるように構成されるが、本実施形態では互いの連結部2000が直接的に連結可能となるように構成されている。
【0115】
より具体的に説明すると、一方の分割体200の連結部2000には、連結部2000の厚み方向で貫通する連結孔2000aが形成されている。なお、一方の分割体200の連結部2000には、複数の連結孔2000aが前記周方向で間隔を空けて並べて形成されている。
【0116】
他方の分割体200の連結部2000には、前記連結孔2000aに引掛可能な連結用引掛部2000bが形成されている。
【0117】
各締付受部21は、被連設部2001から前記径外方向に延出している。そのため、締付受部21は、バンド本体部200から柱状構造物の径外方向に向かって延出する延出部となっている。
【0118】
各締付受部21は、
図25に示すように、隣り合う締付受部21に向けて配置される対向面210と、締付部材3から押し操作される被操作面211と、を有する。
【0119】
対向面210は、平坦な面である。また、各締付受部21の対向面210は、バンド部材2で柱状構造物を締め付ける際に互いの間に間隔をあけた状態で対向配置され、各締付受部21に操作部材3の後述する操作カバー部30が被せられていない連結準備状態から、各締付受部21に操作部材3の後述する操作カバー部30が被せられた連結状態に切り替わる際に、互いの間の間隔も狭まるようになっている。なお、各締付受部21の対向面210は、連結準備状態から連結状態に切り替わっても非接触の状態を保つように構成されていることが好ましい。
【0120】
図26に示すように、被操作面211の先端の縁部2110と、基端の縁部2111とは、前記径方向で先端を正面から見たときの形状が円弧状となるように形成されている。そして、被操作面211は、先端の縁部2110から基端の縁部2111に向かうにつれて放射状に広がるように形成されている。そのため、締付受部21の外径は、先端側よりも基端側の方が大きくなっている。
【0121】
そして、一対の締付受部21は、それぞれの対向面210が互いに当接した場合、協働して円錐台状になるように構成されている。
【0122】
なお、被操作面211は、先端の縁部2110と基端の縁部2111とが並ぶ方向に対しては直線状に形成されているが、例えば、先端の縁部2110と基端の縁部2111とが並ぶ方向に対して湾曲するように形成したり、先端の縁部2110と基端の縁部2111との間の途中位置で傾斜角が変わるように形成したりしてもよい。
【0123】
このように、締付受部21は、先端から基端にかけての外径の増加率を線形(一定)ではなく、非線形となるように構成されていてもよい。また、締付受部21は、例えば、締付受部21の先端部のみの外径の増加率が非線形となるように構成されていてもよく、この場合は、バンド部材2を巻付状態にしたときに一対の締付受部21の間の間隔が広がっていても、締付受部21の先端部には操作カバー部30が干渉し難くなるため、一対の締付受部21をテーパー孔3000内に挿入し易くなるとともに、締付受部21の先端部よりも基端側の部分においては、被操作面211とテーパー孔3000とを面接触させて一対の締付受部21を押し操作することができるようになる。
【0124】
なお、テーパー孔3000の開口縁部に面取り加工を施すことによっても、同様の効果が得られる。
【0125】
案内部22は、
図25に示すように、一対の締付受部21のうちの一方の締付受部21の先端に連設されている台部220と、台部220から締付受部21の軸線が延びる方向に沿って延出する軸部221であって、外周面にねじ山が形成されている軸部221とを有する。
【0126】
ここで、本実施形態のバンド部材2は、各締付受部21の対向面210の相対位置の面方向(対向面210の面方向)での位置ずれを防止する位置ずれ防止構造23をさらに有している。
【0127】
位置ずれ防止構造23は、一方の締付受部21に形成されるガイド用凹部230と、他方の締付受部21に形成され、且つ一対の締付受部21が互いの対向面210を当接させている状態でガイド用凹部230内に挿入されるガイド用突部231と、を有する。
【0128】
ガイド用凹部230は、
図27に示すように、一方の締付受部21の対向面210に形成された凹部により構成されており、開口端から底部に向かうにつれて内径が徐々に小さくなるように形成されている。ガイド用突部231は、他方の締付受部21の対向面210に形成された突起により構成されており、基端から先端に向かうにつれて外径が徐々に小さくなるように形成されている。
【0129】
ガイド用突部231の先端の外幅Wp1は、ガイド用凹部230の底部の内幅(内径)Wo1よりも大きく且つガイド用凹部230の開口の内幅Wo2よりも小さくなっている。そのため、一対の締付受部21の対向面210を向かい合わせにしたときに対向面210同士の配置位置が面方向で位置ずれしていたとしても、ガイド用突部231がガイド用凹部230内に入ると、ガイド用突部231がガイド用凹部230の内周面に案内されて所定位置に配置されるに伴い、対向面210同士の位置ずれも正されるようになっている。
【0130】
なお、ガイド用突部231は、先端の外幅Wp1がガイド用凹部230の底部の内幅(内径)Wo1よりも大きいほど、ガイド用凹部230に挿し込まれた際に、底部よりも手前側(開口側)で先端の外周全周がガイド用凹部230の内周全周に対して接触するようになるため、このようにすると、ガイド用突部231が所定位置に配置された状態になった後にガイド用突部231の先端とガイド用凹部230の底部との間に形成される隙間の分だけガイド用突部231をガイド用凹部230に圧入できるようになる。そのため、ガイド用突部231が所定位置に配置された状態になってもバンド部材2の締付力が不足している場合に、ガイド用突部231をガイド用凹部230に圧入して各締付受部21同士をより接近させてバンド部材2の締付力を強めることができるようになる。
【0131】
そして、ガイド用突部231の基端の外幅Wp2がガイド用凹部230の開口の内幅Wo2よりも小さくなるように形成されていれば、ガイド用突部231が所定位置に配置される前にガイド用突部231の基端側がガイド用凹部230の内周面に干渉してしまうことを防止することもできる。
【0132】
また、ガイド用突部231の外幅の減少率(基端から先端に向かうにつれて外幅が徐々に小さくなる割合)が、ガイド用凹部230の内幅の減少率(開口から底部に向かうにつれて内幅が徐々に小さくなる割合)よりも小さくなるように設定されていれば、ガイド用突部231がガイド用凹部230の広さに対して細身になるため、ガイド用突部231をガイド用凹部230の底部側まで十分に挿し込み易くなり、ガイド用突部231がガイド用凹部230から抜けにくくなる
【0133】
さらに、本実施形態では、ガイド用突部231の長さLpが、ガイド用凹部230の深さDと同一又は略同一となっている。なお、ガイド用突部231の長さLpは、ガイド用凹部230の深さDpよりも短くてもよいし、ガイド用凹部230の深さDpよりも長くてもよいが、ガイド用突部231の先端を全周に亘ってガイド用凹部230の内周面に当接支えることができる長さであればよい。
【0134】
締付部材3は、
図28に示すように、互いの間に間隔をあけた状態で対向配置されている一対の締付受部21に被せる操作カバー部30と、前記案内部22の長手方向に沿って案内される被案内部31と、を有する。
【0135】
操作カバー部30には、一対の締付受部21が挿し込まれる挿込孔300が形成されている。そして、挿込孔300は、開口端(操作カバー部30の外面で開口する開口端)から奥側に向かうにつれて内径が徐々に小さくなるテーパー孔3000と、テーパー孔3000に連通する連通孔3001であって、全長に亘って内径が一定である連通孔3001とで構成されている。
【0136】
図29(a)に示すように、テーパー孔3000の開口端の内径Da1は、一対の締付受部21が前記連結準備状態であるときの各締付受部21の被操作面211の先端の縁部2111を通る仮想円の直径Db1よりも大きくなっていればよい。
【0137】
そして、
図29(b)に示すように、テーパー孔3000の奥側の端(以下、奥端と称する)の内径Da2は、テーパー孔3000の開口端の内径よりも小さく、且つ軸部221の外径よりも大きくなっていればよいが、本実施形態においてテーパー孔3000の奥端の内径Da2は、一対の締付受部21が前記連結状態であるときの各被操作面211の基端の縁部2111よりも先端の縁部2110側の位置において各締付受部21の被操作面211を通る仮想円の直径Db2に合わせて設定されている。なお、台部220の外径は、前記仮想円の直径Db2よりも小さくなっている。
【0138】
また、テーパー孔3000は、深さDsが締付受部21の長さLs以下であり(
図30(a)参照)、テーパー角が締付受部21の被操作面211のテーパー角以上であることが好ましい。本実施形態では、テーパー孔3000のテーパー角は、締付受部21のテーパー角と同一又は略同一に設定されている。
【0139】
テーパー孔3000のテーパー角が被操作面211のテーパー角以上であれば、テーパー孔3000の内周面の傾きが被操作面211の傾きよりも緩やかになるため、被操作面211がテーパー孔3000の奥側でテーパー孔3000の内周面に当接し易くなる。また、テーパー孔3000の深さDsが締付受部21の長さLs以下であるため、被操作面211は、テーパー孔3000の内周面の奥側により一層当接し易くなる。このように、締付部材3では、テーパー孔によって楔係合部が構成されている。
【0140】
図28に示すように、被案内部31には、軸部221を螺合可能なねじ孔310が形成されている。ねじ孔310は、連通孔3001に連通している。また、連通孔3001は、テーパー孔3000に対して同心であり、また、内径がテーパー孔3000の奥端の内径と同一若しくは略同一となるように形成されている。
【0141】
本実施形態の締付部材3は、装柱物用取付部4を兼ねている。例えば、本実施形態のように、装柱物が腕金である場合は、締付部材3を腕金の内部に固定すればよい。
【0142】
本実施形態の装柱バンド1の構成は以上の通りである。続いて、本実施形態の装柱バンド1の使用方法を説明する。
【0143】
本実施形態の装柱バンド1を使用して装柱する作業では、バンド部材2を柱状構造物に巻き付ける巻付作業と、締付部材3を使って柱状構造物への締付力をバンド部材2に生じさせる締付作業と、装柱物を装柱物用取付部4に取り付ける取付作業とが行われる。なお、本実施形態においては、締付作業が完了するとともに取付作業も完了するようになっている。
【0144】
巻付作業では、分割体200同士を連結してバンド本体部20を組み立て、このバンド本体部20全体を柱状構造物の外周面に沿わせて配置する。これにより、バンド本体部20の内側に柱状構造物が配置された状態になる。このとき、各締付受部21は、前記周方向において互いの間に間隔を空けて対向した状態になる(
図30(a)参照)。
【0145】
締付作業では、軸部221を先端部側からテーパー孔3000、連通孔3001に順に挿通し、ねじ孔310に螺合させる。そして、軸部221に対して被案内部31を締め込み続けると、各締付受部21の被操作面211がテーパー孔3000の内面に接触する。
【0146】
そして、軸部221に被案内部31をさらに締め込み続けると、各締付受部21がテーパー孔3000の内周面に押されて互いに接近する方向に動くとともに、各分割体200の被連設部2001が互いに接近する方向に引き寄せられ、これにより、バンド部材2に柱状構造物への締付力が生じる。また、軸部221とねじ孔310とが互いに螺合するため、締付部材3がバンド部材2に対して抜止された状態にもなる(
図30(b)参照)。
【0147】
また、一対の締付受部21を連結準備状態にした際に、向かい合わせにした対向面210の相対位置が面方向(対向面210の面方向)でずれていたとしても、一対の締付受部21が互いに接近する方向に動く際に、ガイド用突部231がガイド用凹部230に入り、ガイド用突部231の内周面によってガイド用突部231が所定位置にガイドされると、ガイド用突部231とともに前記他方の締付受部21が前記一方の締付受部21に対して位置ずれなく向かい合わせになる位置まで動くため、各締付受部21の対向面210の位置ずれが解消されるようになっている。
【0148】
さらに、本実施形態では、締付部材3が装柱物Oに対して一体的に取り付けられているため、締付作業が完了するとともに取付作業も完了した状態になる。
【0149】
続いて、本発明の第五実施形態にかかる装柱バンドについて、添付図面を参照しつつ説明する。
【0150】
本実施形態の装柱バンドも、装柱に使用する器具である。なお、本実施形態においても装柱とは、電柱等の柱状構造物に装柱物を取り付ける行為を指し、装柱物には、配電用の資材や設備の他、通信機器、標識等の物品の他、電柱のカバーや、鉢、プランター等の柱状構造物を装飾するような物品も含まれる。
【0151】
図31に示すように、本実施形態の装柱バンド1は、柱状構造物Pに巻付可能であるバンド部材2と、柱状構造物Pに巻き付けた状態のバンド部材2に柱状構造物Pへの締付力を生じさせるための締付部材3と、バンド部材2に装柱物Oを取り付ける装柱物用取付部4と、を備えている。
【0152】
なお、装柱バンド1も、楔形状をなす楔部と該楔部に係合する楔係合部とを有し、この楔部と楔係合部とを係合させることによってバンド部材2に締付力を生じさせるように構成されている。そして、本実施形態の装柱バンド1は、バンド部材2が楔部を有し、締付部材3が楔係合部を有するように構成されている。
【0153】
また、以下の説明において、柱状構造物Pの軸線が延びる方向を軸線方向、該軸線方向を中心とする周方向は周方向、前記軸線方向と前記周方向とに直交する方向(すなわち、柱状構造物Pの径方向に対応する方向)は径方向と称する。また、前記径方向において外側に向かう方向を径外方向、前記径方向において内側に向かう方向を径内方向と称する。
【0154】
バンド部材2は、締付部材3により互いに連結された状態(締付部材3により互いに拘束された状態)と、締付部材3による連結が解除された状態(締付部材3による拘束が解除された状態)とに切替可能な一対の開閉連結部(端部)2Sを有する。
【0155】
本実施形態のバンド部材2は、前記周方向に沿って湾曲した形状となるバンド本体部20と、前記一対のバンド本体部20のそれぞれに設けられており、且つ締付部材3により互いに連結された状態と、締付部材3による連結が解除された状態とに切替可能な一対の締付受部21と、締付部材3の動きを案内するための案内部22と、を有する。また、バンド部材2では、開閉連結部2Sがバンド本体部20の後述する被連設部2001と締付受部21とで構成されている。
【0156】
バンド本体部20は、分割可能となるように構成されており、互いに連結可能な複数の分割体200を有する。なお、本実施形態のバンド本体部20は、2つの分割体200を有するように構成されているが、3つ以上の分割体200を有するように構成されていてもよい。また、バンド本体部20全体が単一の部材により構成されていてもよい。
【0157】
分割体200は、円弧状に湾曲している。また、本実施形態の分割体200は、他の分割体200に連結される連結部2000と、締付受部21が連設される被連設部2001と、を有する。本実施形態に係る分割体200は、帯板状の部材を湾曲させて形成されており、長手方向における一端部が連結部2000、他端部が被連設部2001となっている。
【0158】
本実施形態の各分割体200は、互いの連結部2000が直接的又は間接的に連結可能となるように構成されるが、本実施形態では互いの連結部2000が直接的に連結可能となるように構成されている。
【0159】
より具体的に説明すると、一方の分割体200の連結部2000には、連結部2000の厚み方向で貫通する連結孔2000aが形成されている。なお、一方の分割体200の連結部2000には、複数の連結孔2000aが前記周方向で間隔を空けて並べて形成されている。
【0160】
他方の分割体200の連結部2000には、前記連結孔2000aに引掛可能な連結用引掛部2000bが形成されている。
【0161】
各締付受部21は、被連設部2001から前記径外方向に延出している。そのため、締付受部21は、バンド本体部200から柱状構造物の径外方向に向かって延出する延出部となっている。
【0162】
各締付受部21は、
図32(a)に示すように、バンド部材2が巻付状態である状態で、被連設部2001の先端から柱状構造物とは反対側に向かって延出するように構成される平板状の基端側平板部210と、基端側平板部210の先端から隣り合う基端側平板部210に向かって延出する先端側平板部211と、を有する。本実施形態の締付受部21は、屈曲した板状となっており、屈曲位置よりも被連設部2001側が基端側平板部210となり、屈曲位置よりも被連設部2001とは反対側が先端側平板部211となっている。
【0163】
基端側平板部210の一方の板面は、隣り合う基端側平板部210に向けて配置される対向面2100であり、他方の板面は、締付部材3から押し操作される被操作面2101となっている。そのため、本実施形態のバンド部材2では、締付受部21により楔部が構成されており、バンド部材2が巻付状態になると、楔部は、バンド本体部20よりも前記径外方向側に配置されるようになっている。
【0164】
各締付受部21の対向面2100は、バンド部材2で柱状構造物を締め付ける際に互いの間に間隔をあけて対向配置され、各締付受部21に操作部材3の後述する操作カバー部30が被せられていない連結準備状態から、各締付受部21に操作部材3の後述する操作カバー部30が被せられた連結状態に切り替わる際に、互いの間の間隔も狭まるようになっている。
【0165】
また、各締付部材21の基端側平板部210は、一対の締付受部21が前記連結準備状態であるとき、基端から先端に向かうにつれて互いに徐々に接近した姿勢となる。
【0166】
各先端側平板部211は、前記径内方向に向けて配置される内面2110と、前記径外方向に向けて配置される外面2111と、を有する。
【0167】
そして、一方の締付受部21の先端側平板部211の外面2111には、案内部22が立設されている。案内部22は、軸状に形成されており、案内部22自身の軸線方向が一方の先端側平板部211の外面2111に対して直交した状態で、一方の先端側平板部211の外面2111に立設されている。また、案内部22の外周面にはねじ山が形成されている。他方の締付受部21の先端側平板部211には、前記周方向において抜差可能な抜差凹部2101cが形成されている(
図32(b)参照)。
【0168】
そして、一対の締付受部21が前記連結準備状態になると、一方の先端側平板部211の外面2111と他方の先端側平板部211の内面2110とが重なり合う。このとき,一方の先端側平板部211は,他方の先端側平板部211よりも前記径内方向側に入り込み,案内部22が抜差凹部2101cに挿入される(挿入可能な状態となる)。
【0169】
なお、抜差凹部2101cの幅は、案内部22の外径よりも僅かに小さくなるように形成されていることが好ましい。このようにすれば、一対の締付受部21を前記連結準備状態にしたときに案内部22が他方の先端側平板部211に噛み合うため、一対の締付受部21の前記連結準備状態が解除されにくくなる。
【0170】
締付部材3は、
図33に示すように、互いの間に間隔をあけた状態で対向配置されている一対の締付受部21に被せる操作カバー部30と、前記操作カバー部30に設けられ、且つ前記案内部22によって、前記案内部22の長手方向に沿って案内される被案内部31と、被案内部31に対して操作カバー部30を相対回転可能となるように保持するカバー保持部32と、を備えている。
【0171】
操作カバー部30は、一対の締付受部21が挿し込まれる挿込孔3000と挿込孔3000に連通する連通孔3001とが形成されているカバー本体部300と、カバー本体部300の外周全周から突出する鍔状の抜止部301と、を有する。
【0172】
本実施形態の挿込孔3000は、
図34に示すように、開口側から見た形状が矩形状となるように形成されている。また、挿込孔3000の内面のうち、一対の締付受部21が前記連結準備状態、若しくは前記連結状態であるときに各基端側平板部210が並ぶ方向において対向する一対の面は、開口端側から奥側に向かうにつれて互いの間隔が徐々に狭まるように形成された傾斜面3000aとなっており、前記軸線方向で対向する一対の面は、互いに平行な平行面3000bとなっている。また、平行面3000b同士の間の間隔は、締付受部21の幅(前記軸線方向に対応する方向での幅)と同一又は略同一に設定されている。
【0173】
図35(a)に示すように、挿込孔3000の開口端(開口端の位置での傾斜面3000a同士の間隔)の内幅Da1は、一対の締付受部21が前記連結準備状態であるときの一方の被操作面2101の先基端側と他方の被操作面2101の先端側との距離Db1よりも大きくなっていればよく、本実施形態では、一方の被操作面2101の基端側と他方の被操作面2101の基端側との距離と同一又は略同一に設定されている。
【0174】
そして、
図35(b)に示すように、挿込孔3000の奥側の端(以下、奥端と称する)の内幅(奥端の位置での傾斜面3000a同士の間隔)Da2は、挿込孔3000の開口端の内幅Da1よりも小さく、且つ軸部221の外径よりも大きくなっていればよいが、本実施形態において挿込孔3000の奥端の内幅Da1は、一対の締付受部21が前記連結状態であるときの一方の被操作面2101の先端側と他方の被操作面2101の先端側との距離Db2と同一又は略同一に設定されている。
【0175】
また、挿込孔3000の深さDsは、締付受部21の長さ(被連設部2001からの延出量)以下となり、挿込孔3000のテーパー角は、締付受部21(被操作面211)のテーパー角以下となっていることが好ましい。このようにすれば、挿込孔3000の奥側まで締付受部21を十分に差し込み易くなる。このようにすることで、本実施形態の締付部材3では、操作カバー部30の挿込孔3000により楔係合部が構成されるようになっている。
【0176】
連通孔3001の内径は、案内部22の外径よりも大きく設定されていればよい。
【0177】
被案内部31には、
図33に示すように、案内部22を螺合可能なねじ孔310が形成されており、該ねじ孔310は連通孔3001に連通している。
【0178】
カバー保持部32には、操作カバー部30を回転可能に収容する収容空間320が形成されている。収容空間320には、カバー本体部300が収容される第一空間3200と、抜止部301が収容される第二空間3201とが含まれており、第二空間3201の内径が第一空間3200の内径よりも大きくなっている。
【0179】
第一空間3200はカバー本体部300の外形に合わせて円形状に形成された穴によって構成されており、第一空間3200の内径は、操作カバー部30の外径よりも大きく且つ抜止部301の外径よりも小さくなっている。
【0180】
第二空間3200は、抜止部301が回転した際に、第二空間3200の内面(カバー保持部32の内面のうち第二空間3200を形成している部分)と抜止部301とが干渉しないように形成されていれば、形状は特に問わない。
【0181】
本実施形態の締付部材3は、装柱物用取付部4を兼ねている。例えば、本実施形態のように、装柱物が腕金である場合は、締付部材3を腕金の内部に固定すればよい。
【0182】
本実施形態の装柱バンド1の構成は以上の通りである。続いて、本実施形態の装柱バンド1の使用方法を説明する。
【0183】
本実施形態の装柱バンド1を使用して装柱する作業では、バンド部材2を柱状構造物に巻き付ける巻付作業と、締付部材3を使って柱状構造物への締付力をバンド部材2に生じさせる締付作業と、装柱物を装柱物用取付部4に取り付ける取付作業とが行われる。なお、本実施形態においては、締付作業が完了するとともに取付作業も完了するようになっている。
【0184】
巻付作業では、分割体200同士を連結してバンド本体部20を組み立て、このバンド本体部20全体を柱状構造物の外周面に沿わせて配置する。これにより、バンド本体部20の内側に柱状構造物が配置された状態になる。このとき、各締付受部21は、前記周方向において互いに接近する方向への動き代が形成された状態で対向配置される。
【0185】
そして、抜差凹部2101cに案内部22を挿し込むと、各締付受部21の互いに離れる方向への動きが抑制された状態になる(
図36(a)参照)。
【0186】
そして、締付作業では、案内部22を先端部側からテーパー孔、連通孔3001に順に挿通する。
【0187】
このとき、挿込孔3000に一対の締付受部21が挿し込まれると、各締付受部21の端面(前記軸線方向での端面)が平行面3000bのそれぞれに当接するため、締付受部21に対する操作カバー部30の回転が規制される。これにより、締付部材3のうちの被案内部31とカバー保持部32とが操作カバー部30に対して回転可能な状態になる。
【0188】
そして、締付部材3に固定されている装柱物Oとともに被案内部31(及びカバー保持部32)を回転させると、被案内部31が案内部22に螺合する。
【0189】
そして、被案内部31に対する締め込み操作を続けると、各締付受部21が挿込孔3000の傾斜面3000aに押されて互いに接近する方向に動くとともに、各分割体200の被連設部2001が互いに接近する方向に引き寄せられ、これにより、バンド部材2に柱状構造物への締付力が生じる。また、案内部22とねじ孔310とが互いに螺合するため、締付部材3がバンド部材2に対して抜止された状態にもなる(
図36(b)参照)。
【0190】
さらに、本実施形態では、締付部材3に対して装柱物が一体的に取り付けられているため、締付作業が完了するとともに取付作業も完了するようになっている。
【0191】
続いて、本発明の第六実施形態にかかる装柱バンド1について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0192】
本実施形態の装柱バンドも、装柱に使用する器具である。なお、本実施形態においても装柱とは、電柱等の柱状構造物に装柱物を取り付ける行為を指し、装柱物には、配電用の資材や設備の他、通信機器、標識等の物品の他、電柱のカバーや、鉢、プランター等の柱状構造物を装飾するような物品も含まれる。
【0193】
図37に示すように、本実施形態の装柱バンド1は、柱状構造物に巻付可能であるバンド部材2と、柱状構造物Pに巻き付けた状態のバンド部材2に柱状構造物Pへの締付力を生じさせるための締付部材3と、バンド部材2に装柱物Oを取り付ける装柱物用取付部4と、を備えている。
【0194】
なお、装柱バンド1も、楔形状をなす楔部と該楔部に係合する楔係合部とを有し、この楔部と楔係合部とを係合させることによってバンド部材2に締付力を生じさせるように構成されている。そして、本実施形態の装柱バンド1は、バンド部材2が楔部を有し、締付部材3が楔係合部を有するように構成されている。
【0195】
また、以下の説明において、柱状構造物の軸線が延びる方向を軸線方向、該軸線方向を中心とする周方向は周方向、前記軸線方向と前記周方向とに直交する方向(すなわち、柱状構造物の径方向に対応する方向)は径方向と称する。また、径方向において外側に向かう方向を径外方向、径方向において内側に向かう方向を径内方向と称する。
【0196】
バンド部材2は、締付部材3により互いに連結された状態(締付部材3により互いに拘束された状態)と、締付部材3による連結が解除された状態(締付部材3による拘束が解除された状態)とに切替可能な一対の開閉連結部(端部)2Sを有する。
【0197】
本実施形態のバンド部材2は、前記周方向に沿って湾曲した形状となるバンド本体部20と、前記一対のバンド本体部20のそれぞれに設けられており、且つ締付部材3により互いに連結された状態と、締付部材3による連結が解除された状態とに切替可能な一対の締付受部21と、締付部材3の動きを案内するための案内部22と、を有する。また、バンド部材2では、開閉連結部2Sがバンド本体部20の後述する被連設部2001と締付受部21とで構成されている。
【0198】
バンド本体部20は、分割可能となるように構成されており、互いに連結可能な複数の分割体200を有する。なお、本実施形態のバンド本体部20は、2つの分割体200を有するように構成されているが、3つ以上の分割体200を有するように構成されていてもよい。また、バンド本体部20全体が単一の部材により構成されていてもよい。
【0199】
分割体200は、円弧状に湾曲している。また、本実施形態の分割体200は、他の分割体200に連結される連結部2000と、締付受部21が連設される被連設部2001と、を有する。本実施形態に係る分割体200は、帯板状の部材を湾曲させて形成されており、長手方向における一端部が連結部2000、他端部が被連設部2001となっている。
【0200】
本実施形態の各分割体200は、互いの連結部2000が直接的又は間接的に連結可能となるように構成されるが、本実施形態では互いの連結部2000が直接的に連結可能となるように構成されている。
【0201】
より具体的に説明すると、一方の分割体200の連結部2000には、連結部2000の厚み方向で貫通する連結孔2000aが形成されている。なお、一方の分割体200の連結部2000には、複数の連結孔2000aが前記周方向で間隔を空けて並べて形成されている。
【0202】
他方の分割体200の連結部2000には、前記連結孔2000aに引掛可能な連結用引掛部2000bが形成されている。
【0203】
各締付受部21は、被連設部2001から前記径外方向に延出している。そのため、締付受部21は、バンド本体部200から柱状構造物の径外方向に向かって延出する延出部となっている。
【0204】
各締付受部21は、
図38(a)に示すように、被連設部2001の先端から前記径外方向に向かって延出する平板状の基端側平板部210と、基端側平板部210の先端から隣り合う基端側平板部210に向かって延出する先端側平板部211と、を有する。本実施形態の締付受部21は、屈曲した板状となっており、屈曲位置よりも被連設部2001側が基端側平板部210となり、屈曲位置よりも被連設部2001とは反対側が先端側平板部211となっている。
【0205】
基端側平板部210の一方の板面は、隣り合う基端側平板部210に向けて配置される2100であり、他方の板面は、締付部材3から押し操作される被操作面2101となっている。このように、本実施形態のバンド部材2では、締付受部21により楔部が構成されており、バンド部材2が巻付状態になると、楔部は、バンド本体部20よりも前記径外方向側に配置されるようになっている。
【0206】
各締付受部21の対向面2100は、バンド部材2で柱状構造物を締め付ける際に互いの間に間隔をあけて対向配置され、各締付受部21に操作部材3の後述する操作カバー部30が被せられていない連結準備状態から、各締付受部21に操作部材3の後述する操作カバー部30が被せられた連結状態に切り替わる際に、互いの間の間隔も狭まるようになっている。
【0207】
また、各締付部材21の基端側平板部210は、一対の締付受部21が前記連結準備状態であるときに、基端から先端に向かうにつれて徐々に接近した姿勢となる。
【0208】
各先端側平板部211は、前記径内方向に向けて配置される内面2110と、前記径外方向に向けて配置される外面2111と、を有する。
【0209】
そして、一方の締付受部21の先端側平板部211の外面2111には、案内部22が立設されている。案内部22は、軸状に形成されており、案内部22自身の軸線方向が一方の先端側平板部211の外面2111に対して直交した状態で、一方の先端側平板部211の外面2111に立設されている。また、案内部22の外周面にはねじ山が形成されている。他方の締付受部21の先端側平板部211には、前記周方向において抜差可能な抜差凹部2101cが形成されている(
図38(b)参照)。
【0210】
そして、一対の締付受部21が前記連結準備状態になると、一方の先端側平板部211の外面2111と他方の先端側平板部211の内面2110とが重なり合う。このとき,一方の先端側平板部211は,他方の先端側平板部211よりも前記径内方向側に入り込み、案内部22が抜差凹部2101cに挿入される(挿入可能な状態となる)。
【0211】
さらに、一方の締付受部21の先端側平板部211の外面2111には、案内部22が立設されており、他方の締付受部21の先端側平板部211には、前記周方向において抜差可能な抜差凹部2101cが形成されている。
【0212】
なお、抜差凹部2101cの幅は、案内部22の外径よりも僅かに小さくなるように形成されていることが好ましい。このようにすれば、一対の締付受部21を前記連結準備状態にしたときに案内部22が他方の先端側平板部211に噛み合うため、一対の締付受部21の前記連結準備状態が解除されにくくなる。
【0213】
案内部22は、
図38(a)に示すように、軸状に形成されており、案内部22自身の軸線方向が一方の先端側平板部211の外面2111に対して直交した状態で、一方の先端側平板部211の外面2111に立設されている。また、案内部22の外周面にはねじ山が形成されている。
【0214】
締付部材3は、
図39に示すように、互いの間に間隔をあけた状態で対向配置されている一対の締付受部21に被せる操作カバー部30と、前記操作カバー部30に設けられ、且つ前記案内部22によって、前記案内部22の長手方向に沿って案内される被案内部31と、を有する。
【0215】
操作カバー部30には、一対の締付受部21が挿し込まれる挿込孔3000と、挿込孔3000に連通する連通孔3001とからなる挿込孔300が規制されている。
【0216】
挿込孔3000は、
図40に示すように、開口の正面視形状が矩形状となるように形成されている。また、挿込孔3000の内面のうち、一対の締付部材21が前記連結準備状態、若しくは前記連結状態であるときに各基端側平板部210が並ぶ方向において対向する一対の面は、開口端側から奥側に向かうにつれて互いの間隔が徐々に狭まるように形成された傾斜面3000aとなっており、前記軸線方向で対向する一対の面は、互いに平行な平行面3000bとなっている。また、平行面3000b同士の間の間隔は、締付受部21の前記軸線方向での幅と同一又は略同一に設定されている。
【0217】
図41(a)に示すように、挿込孔3000の開口端の内幅Da1は、一対の締付受部21が前記連結準備状態であるときの一方の被操作面2101の先基端側と他方の被操作面2101の先端側との距離Db1よりも大きくなっていればよく、本実施形態では、一方の被操作面2101の基端側と他方の被操作面2101の基端側との距離と同一又は略同一となっている。
【0218】
そして、
図41(b)に示すように、挿込孔3000の奥側の端(以下、奥端と称する)の内幅Da2は、挿込孔3000の開口端の内径よりも小さく、且つ軸部221の外径よりも大きくなっていればよいが、本実施形態において挿込孔3000の奥端の内幅Da1は、一対の締付受部21が前記連結状態であるときの一方の被操作面2101の先端側と他方の被操作面2101の先端側との距離Db2と同一又は略同一となっている。
【0219】
また、挿込孔3000の深さDsは、締付受部21の長さ(被連設部2001からの延出量)Ls以下となり、挿込孔3000のテーパー角(傾斜面3000aの傾斜角)は、締付受部21(被操作面211)のテーパー角以下となっていることが好ましい。このようにすれば、挿込孔3000の奥側まで締付受部21を到達させ易くなる。このように、本実施形態の締付部材3では、操作カバー部30の挿込孔3000によって楔係合部が構成されている。
【0220】
連通孔3001の内径は、案内部22の外径よりも大きく設定されていればよい。
【0221】
被案内部31には、
図39に示すように、案内部22を螺合可能なねじ孔310が形成されている。
【0222】
本実施形態では、操作カバー部30と、被案内部31とが別体で構成されており、一対の締付受部21に操作カバー部30を被せた後に、案内部22に被案内部31のねじ孔310を螺合させるようになっている。
【0223】
また、被案内部31は、装柱物に固定されており、本実施形態では、装柱物としての腕金の内部に固定されている。そのため、本実施形態では、被案内部31が装柱物用取付部4を兼ねている。
【0224】
本実施形態の装柱バンド1の構成は以上の通りである。続いて、本実施形態の装柱バンド1の使用方法を説明する。
【0225】
本実施形態の装柱バンド1を使用して装柱する作業では、バンド部材2を柱状構造物に巻き付ける巻付作業と、締付部材3を使って柱状構造物への締付力をバンド部材2に生じさせる締付作業と、装柱物を装柱物用取付部4に取り付ける取付作業とが行われる。なお、本実施形態においては、締付作業が完了するとともに取付作業も完了するようになっている。
【0226】
巻付作業では、分割体200同士を連結してバンド本体部20を組み立て、このバンド本体部20で柱状構造物を取り囲む。これにより、バンド本体部20の内側に柱状構造物が配置された状態になる。
【0227】
そして、一対の締付部材21を組み合わせて一方の先端側平板部211に設けられている案内部22を他方の先端側平板部211に形成されている抜差凹部2101cに挿し込み、固定部22と他方の先端側平板部211とがかみ合うと、バンド部材2が柱状構造物に巻き付けられ、且つ一対の締付部材21が組合された状態でバンド部材2が柱状構造物に仮止めされる(
図42(a)参照)。
【0228】
締付作業では、一対の締付受部21に操作カバー部30を被せる。具体的には、案内部22を連通孔3001に通し、続いて、一対の締付受部21が挿込孔3000に入る位置まで操作カバー部30を移動させる。
【0229】
また、挿込孔3000に一対の締付受部21が挿し込まれると、各締付受部21の端面(前記軸線方向での端面)が平行面3000bのそれぞれに当接するため、操作カバー部30は、締付受部21に対する回転が規制された状態になる。
【0230】
そして、この状態でねじ孔310を案内部22に螺合させ、装柱物Oとともに被案内部31を回転させると、被案内部31が操作カバー部30を押しながら案内部22の基端側に動く。このようにすると、各締付受部21が挿込孔3000の傾斜面3000aに押されて互いに接近する方向に動くとともに、各分割体200の被連設部2001が互いに接近する方向に引き寄せられるため、バンド部材2に柱状構造物への締付力が生じる。また、案内部22とねじ孔310とが互いに螺合するため、締付部材3がバンド部材2に対して抜止された状態にもなる(
図42(b)参照)。
【0231】
また、本実施形態では、締付部材3に対して装柱物Oが一体的に取り付けられているため、締付作業が完了するとともに取付作業も完了するようになっている。
【0232】
続いて、本発明の第七実施形態にかかる装柱バンド1について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0233】
本実施形態の装柱バンドも、装柱に使用する器具である。なお、本実施形態においても装柱とは、電柱等の柱状構造物に装柱物を取り付ける行為を指し、装柱物には、配電用の資材や設備の他、通信機器、標識等の物品の他、電柱のカバーや、鉢、プランター等の柱状構造物を装飾するような物品も含まれる。
【0234】
図43に示すように、本実施形態の装柱バンド1は、柱状構造物Pに巻付可能であるバンド部材2と、柱状構造物Pに巻き付けた状態のバンド部材2に柱状構造物Pへの締付力を生じさせるための締付部材3と、バンド部材2に装柱物Oを取り付ける装柱物用取付部4と、を備えている。
【0235】
なお、装柱バンド1も、楔形状をなす楔部と該楔部に係合する楔係合部とを有し、この楔部と楔係合部とを係合させることによってバンド部材2に締付力を生じさせるように構成されている。そして、本実施形態の装柱バンド1は、バンド部材2が楔部を有し、締付部材3が楔係合部を有するように構成されている。
【0236】
また、以下の説明において、柱状構造物の軸線が延びる方向を軸線方向、該軸線方向を中心とする周方向は周方向、前記軸線方向と前記周方向とに直交する方向(すなわち、柱状構造物の径方向に対応する方向)は径方向と称する。また、前記径方向において外側に向かう方向を径外方向、前記径方向において内側に向かう方向を径内方向と称する。
【0237】
バンド部材2は、
図44に示すように、締付部材3により互いに連結された状態(締付部材3により互いに拘束された状態)と、締付部材3による連結が解除された状態(締付部材3による拘束が解除された状態)とに切替可能な一対の開閉連結部(端部)2Sを有する。
【0238】
本実施形態のバンド部材2は、前記周方向に沿って湾曲した形状となるバンド本体部20と、前記一対のバンド本体部20のそれぞれに設けられており、且つ締付部材3により互いに連結された状態と、締付部材3による連結が解除された状態とに切替可能な一対の締付受部21と、を有する。また、バンド部材2では、開閉連結部2Sが締付受部21で構成されている。
【0239】
バンド本体部20は、分割可能となるように構成されており、互いに連結可能な複数の分割体200を有する。なお、本実施形態のバンド本体部20は、2つの分割体200を有するように構成されているが、3つ以上の分割体200を有するように構成されていてもよい。また、バンド本体部20全体が単一の部材により構成されていてもよい。
【0240】
分割体200は、円弧状に湾曲している。また、本実施形態の分割体200は、他の分割体200に連結される連結部2000と、締付受部21が連設される被連設部2001と、を有する。本実施形態に係る分割体200は、帯板状の部材を湾曲させて形成されており、長手方向における一端部が連結部2000、他端部が被連設部2001となっている。
【0241】
本実施形態の各分割体200は、互いの連結部2000が直接的又は間接的に連結可能となるように構成されるが、本実施形態では互いの連結部2000が直接的に連結可能となるように構成されている。
【0242】
より具体的に説明すると、一方の分割体200の連結部2000には、連結部2000の厚み方向で貫通する連結孔2000aが形成されている。なお、一方の分割体200の連結部2000には、複数の連結孔2000aが前記周方向で間隔を空けて並べて形成されている。
【0243】
他方の分割体200の連結部2000には、前記連結孔2000aに引掛可能な連結用引掛部2000bが形成されている。
【0244】
各締付受部21は、被連設部2001から前記径外方向に延出している。そのため、締付受部21は、バンド本体部200から柱状構造物の径外方向に向かって延出する延出部となっている。
【0245】
各締付受部21は、被連設部2001の先端から前記径外方向に向かって延出する平板状の基端側平板部210と、基端側平板部210の先端から隣り合う基端側平板部210に向かって延出する先端側平板部211と、を有する。本実施形態の締付受部21は、屈曲した板状となっており、屈曲位置よりも被連設部2001側が基端側平板部210となり、屈曲位置よりも被連設部2001とは反対側が先端側平板部211となっている。
【0246】
各締付受部21は、被連設部2001の先端から前記径方向において、被連設部2001よりも外側に向かって延出する平板状の平板部210を有する。
【0247】
平板部210の一方の板面は、隣り合う平板部210に向けて配置される対向面2100であり、他方の板面は、締付部材3から押し操作される被操作面2101となっている。このように、本実施形態のバンド部材2では、締付受部21により楔部が構成されており、バンド部材2が巻付状態になると、楔部は、バンド本体部20よりも前記径外方向側に配置されるようになっている。
【0248】
各締付受部21の対向面2100は、バンド部材2で柱状構造物を締め付ける際に互いの間に間隔をあけて対向配置され、各締付受部21に操作部材3の後述する操作カバー部30が被せられていない連結準備状態から、各締付受部21に操作部材3の後述する操作カバー部30が被せられた連結状態に切り替わる際に、互いの間の間隔も狭まるようになっている。
【0249】
また、各締付部材21の平板部210は、一対の締付受部21が前記連結準備状態であるときに、基端から先端に向かうにつれて徐々に接近した姿勢となる。
【0250】
締付部材3は、前記連結準備状態の一対の締付受部21に被せる操作カバー部30と、操作カバー部30をバンド部材2に固定する固定構造31と、操作カバー部30を締付受部21に被せた状態を維持するための保持部32と、を有している。
【0251】
操作カバー部30には、
図45に示すように、一対の締付受部21を挿込可能な挿込領域300が形成されている。
【0252】
本実施形態の操作カバー部30は、各締付受部21の被操作面2101を接近させる方向に押操作する一対の押操作面301を有しており、該一対の押操作面301の間が挿込領域300となっている。
【0253】
ここで、固定構造31は、バンド本体部20(被連設部2001)と柱状構造物との間に挿し込まれるベース部310と、ベース部310に対して操作カバー部30を回転可能に連結する回転連結部311と、を有する。また、回転連結部311は、操作カバー部30の回転中心となる回転軸3110を有しており、この回転軸3110は、一対の締付受部21の上に横たわった状態で配置される。
【0254】
そのため、操作カバー部30は、回転軸3110を中心とする周方向の一方側(
図48における時計回り方向)への回転に伴い、一対の締付受部21に対して上方から被さった状態に切り替わり、回転軸3110を中心とする周方向の他方側(
図48における反時計回り方向)への回転に伴い、一対の締付受部21から上方に離れた状態に切り替わるように構成されている。
【0255】
以下、
図46(a)、
図46(b)を参照しつつ押操作面301の説明を行うが、一対の押操作面301が並ぶ方向(
図46(a)、
図46(b)の左右に対応する方向)を並び方向、前記径方向のうち前記並び方向に直交する方向(
図46(a)の上下に対応する方向)を内外方向、並び方向と内外方向とに直交する方向を上下方向(
図46(b)の上下に対応する方向)と称する。
【0256】
各押操作面301は、
図46(a)に示すように、一対の締付受部21に被せられている操作カバー部30を上方から見た状態において内外方向における内側の一端から他端に向かうにつれて前記並び方向での間隔が徐々に狭まるように形成されている。
【0257】
また、押操作面301の前記上下方向における下端301aは、前記並び方向において締付受部21よりも外側に位置するように形成され、押操作面301の前記上下方向における上端301bは、前記並び方向において締付受部21よりも内側に位置するように形成されている。
【0258】
さらに、各押操作面301は、
図46(b)に示すように、一対の締付受部21に被せられている操作カバー部30を内外方向における外側から見た状態で、下端301aから上端301bに向かうにつれて前記並び方向での間隔が徐々に狭まるように形成されている。このようにして、本実施形態の締付部材3では、操作カバー部30の挿込領域3000によって楔係合部を構成している。
【0259】
保持構造32は、
図45に示すように、操作カバー部30の下端に設けられたカバー側掛止部320と、ベース部310に取り付けられたベース側掛止部321であって、一対の締付受部21に操作カバー部30を被せた状態において、カバー側掛止部320に掛止した状態と、カバー側掛止部320に対する掛止を解除した状態とに切替可能なベース側掛止部321と、を有する。
【0260】
カバー側掛止部320は、前記径方向において各傾斜面3000aよりも外側に位置する一対の突出片部3200を有しており、各突出片部3200には、掛止孔(貫通孔)3201が形成されている。
【0261】
ベース側掛止部321は、ベース部310の前面(柱状構造物側に向けて配置される面とは反対側の面)に固定されている固定部3210と、固定部3210から互いに相反する方向に向かって延出する一対のアーム部3211と、アーム部3211の先端部から隣り合うアーム部3211とは反対側に向かって突出するように形成された掛止突部3212であって、掛止孔3201に掛止可能な掛止突部3212とを有しており、一対の締付受部21に操作カバー部30を被せた状態にすると、掛止突部3212を掛止孔3201に掛止した状態と、掛止孔3201に対する掛止を解除した状態とに切り替え可能となる。
【0262】
なお、一対のアーム部3211は、弾性変形可能な構成とすることで、互いの先端部が接離するように撓ませることができるようになっていることが好ましい。このようにすれば、各アーム部3211の先端部に形成されている掛止突部3212の動きも許容されるため、掛止突部3212を掛止孔3201に掛止した状態と、掛止孔3201に対する掛止を解除した状態とに切り替え易くなる。
【0263】
本実施形態の締付部材3は、装柱物用取付部4を兼ねている。例えば、本実施形態のように、装柱物Oが腕金である場合は、締め付け部材3を腕金の内部に固定すればよい。
【0264】
本実施形態の装柱バンド1の構成は以上の通りである。続いて、本実施形態の装柱バンド1の使用方法を説明する。
【0265】
本実施形態の装柱バンド1を使用して装柱する作業では、バンド部材2を柱状構造物に巻き付ける巻付作業と、締付部材3を使って柱状構造物への締付力をバンド部材2に生じさせる締付作業と、装柱物Oを装柱物用取付部4に取り付ける取付作業とが行われる。なお、本実施形態においては、締付作業が完了するとともに取付作業も完了するようになっている。
【0266】
巻付作業では、分割体200同士を連結してバンド本体部20を組み立て、このバンド本体部20で柱状構造物を取り囲む。これにより、バンド本体部20の内側に柱状構造物
【0267】
締付作業では、一対の締付部材21を接近させた状態のまま、柱状構造物とバンド本体部20(具体的には、被連設部2001)との間にベース部310を配置した状態で、操作カバー部30を回転させることによって一対の締付受部21に被せる(
図47参照)。
【0268】
これに伴い、各締付部材21の被操作面211への押操作面301の当接位置が下端301a側から上端301b側に移るにつれて、押操作面301によって各締付部材21が互いに接近する方向に案内される。これに伴い、各バンド本体部20の被連設部2001同士が互いに接近する方向に引き寄せられ、バンド部材2に柱状構造物への締付力が生じる。
【0269】
さらに、掛止突部3212が掛止孔3201に掛止された状態になると、操作カバー部30の回転が規制されるため、操作カバー部30を一対の締付受部21に被せた状態、すなわち、バンド部材2に柱状構造物への締付力を生じさせている状態が解除されてしまうことが防止される。
【0270】
また、本実施形態では、締付部材3に対して装柱物Oが一体的に取り付けられているため、締付作業が完了するとともに取付作業も完了するようになっている。
【0271】
以上のように、第一実施形態から第七実施形態に係る装柱バンド1によれば、締付受部21と締付部材3のうちの一方が楔形状をなす楔部を有し、締付受部21と締付部材3のうちの他方が楔部に係合する楔係合部を有し、楔部と楔係合部との係合によってバンド部材2に締付力を生じさせるように構成されているため、バンド部材2を柱状構造物Pに巻き付ける際、従来の装柱バンドのようなねじ締め作業ではなく、楔部と楔係合部とを係合させるという簡単な操作によって状構造物を締め付けるための締付力をバンド部材2に生じさせることができる。
【0272】
従って、簡単な作業で装柱バンド1を柱状構造物Pに固定できるという優れた効果を奏し得る。
【0273】
また、上記第一実施形態の装柱バンド1によれば、締付部材3の内側挿込部31が内側挿込領域S2に挿し込まれた際、バンド部材2が径外方向に押し広げられるため、バンド部材2により強い締付力が生じるようになっており、締付部材3もバンド部材2から抜けにくくなる。
【0274】
かかる効果は、上記第二実施形態の装柱バンド1も同様に発揮できる。また、上記第七実施形態の装柱バンド1においても、ベース部310が締付受部21と柱状構造物との間に挿し込まれる構造となっているため、同様の効果を発揮できる。
【0275】
また、上記第一実施形態の装柱バンド1では、バンド部材2を巻付状態にした際に、楔係合部を構成する締付受部21がバンド本体部20よりも径方向外側に配置されるため、設置作業を行い易くすることができる。
【0276】
かかる効果は、上記第二実施形態の装柱バンド1も同様に発揮できる。
【0277】
また、上記第三実施形態の装柱バンド1においては、バンド部材2を巻付状態にした際に、楔部を構成する締付受部21がバンド本体部20よりも径方向外側に配置されるため、同様に、設置作業を行い易くすることができる。なお、かかる効果は、上記第四実施形態の装柱バンド1、上記第五実施形態の装柱バンド1、上記第六実施形態の装柱バンド1、上記第七実施形態の装柱バンド1においても同様に発揮できる。
【0278】
また、上記第一実施形態の装柱バンド1では、バンド部材2を巻付状態にした際に、一対の締付受部21を互いに係合させることができるため、バンド部材2を柱状構造物に仮止めすることができるようになっている。
【0279】
かかる効果は、上記第二実施形態の装柱バンド1、第三実施形態の装柱バンド1も同様に発揮できる。また、上記第七実施形態の装柱バンド1においても、ベース部350が締付受部21と柱状構造物との間に挿し込まれる構造となっているため、同様の効果を発揮できる。
【0280】
なお、本発明に係る装柱バンドは、上記第一実施形態から第七実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0281】
上記第一実施形態から第七実施形態において、バンド本体部20は、複数の部材に分割可能となるように構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、バンド本体部20は、周方向において開閉可能となるように構成されていれば、単一の部材で構成されていてもよいし、複数の部材を分離不能に連結したもので構成されていてもよい。
【0282】
上記第一実施形態、第二実施形態、第四実施形態、第五実施形態、第六実施形態、第七実施形態では、分割体200同士を直接的に連結していたが、この構成に限定されない。例えば、第三実施形態のように、分割体200同士を間接的に連結するようにしてもよい。
【0283】
また、第三実施形態においては、分割体200同士が間接的に連結されるように構成されていたが、他の実施形態のように、分割体200同士を直接的に連結してもよい。また、第三実施形態においては、分割体200の連結端部2001を装柱物に掛止していたが、バンド本体部20が分割体200同士を連結する連結具を有し、この連結具に分割体200の連結端部2001を掛止するようにしてもよい。
【0284】
上記第一実施形態乃至上記第七実施形態において、特に言及しなかったが、装柱物Oが腕金のような長尺物である場合、装柱物Oは、風圧を軽減するための風圧軽減構造を備えていてもよい。
【0285】
以下の説明において、長手方向とは、装柱物Oの長手方向であり、上下方向とは前記軸線方向に対応する方向であり、横方向とは前記長手方向と前記軸線方向とに直交する方向である。
【0286】
風圧軽減構造O2は、例えば、
図49(a)、
図49(b)に示すように、前記横方向における装柱物Oの側面O11に設けられている風除部O20であって、先細りに形成されている風除部O20を有するように構成されていてもよい。
【0287】
図49(a)、
図49(b)に示す風除部O20は、装柱物Oの側面O11側に向けて配置される基端から先端に向かうにつれて高さ(前記上下方向の寸法)が徐々に小さくなるように形成されているため、前記上下方向と前記横方向とに交差する方向に傾斜する斜面O200を含むように構成されている。
【0288】
このようにすれば、風除部O20の斜面O200によって装柱物Oの側面O11に吹き付けた風を真っ直ぐに受けずに受け流し易くすることができるため、装柱物Oにかかる風圧を軽減できるようになる。
【0289】
なお、
図49(a)、
図49(b)に示す風圧軽減構造O2は、一対の風除部O20、すなわち、装柱物Oの一方の側面O11に設けられている風除部O20と、装柱物Oの他方の側面O11に設けられている風除部O20とを有するように構成されているが、風除部O20は、少なくとも何れか一方の側面O11に形成されていればよい。また、
図49(a)、
図49(b)に図示している装柱物Oは柱状であり且つ中実になっているが、装柱物Oは中空であってもよい。
【0290】
別の態様として、風圧軽減構造O2は、装柱物Oに対して前記横方向に風を流通させるように形成した流通領域によって構成されていてもよい。
【0291】
例えば、
図50(a)、
図50(b)に示す風圧軽減構造O2では、装柱物Oに対して前記横方向において貫通するように形成された通風孔O21によって流通領域が構成されている。また、通風孔O21は、前記横方向における中央側に向かうにつれて内径が徐々に小さくなるように形成されているが、通風孔の内径は前記横方向における全長に亘って一定であってもよい。
【0292】
さらに、流通領域は、
図51(a)、
図51(b)に示すように、切り欠きO22により形成されていてもよい。
【0293】
図51(a)、
図51(b)に示す装柱物Oは、平板状であり板面を前記上下方向に向けて配置される第一平板部O120と、平板状であり且つ板面を前記横方向に向けた状態で第一平板部O12の板面に設けられている複数の第二平板部O121であって、前記長手方向で間隔を空けて並ぶ複数の第二平板部O121とを有するように構成されており、第二平板部O121同士の間が切り欠きO22となっている。そのため、
図51(a)、
図51(b)に示す装柱物Oでは、複数の切り欠きO2が前記長手方向で間隔を空けて並ぶように形成されている。
【0294】
なお、
図51(a)、
図51(b)に示す第二平板部O121は、第一平板部O120の下面から垂下するように形成されているが、第一平板部O120の上面に立設されていてもよい。
【符号の説明】
【0295】
1…装柱バンド、2…バンド部材、3…締付部材、21…締付受部