(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】画像記録装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20241114BHJP
H04N 1/21 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H04N1/00 567R
H04N1/00 350
H04N1/21
(21)【出願番号】P 2020202156
(22)【出願日】2020-12-04
【審査請求日】2023-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 綾子
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-306303(JP,A)
【文献】特開2005-181876(JP,A)
【文献】特開平05-019560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被読取媒体を読取り可能な読取装置と、
前記読取装置により読取った読取データを記憶する記憶部と、
被記録媒体を載置可能なトレイと、
前記トレイから供給される前記被記録媒体を搬送する搬送機構と、
前記搬送機構による搬送経路に設けられた記録部であって、前記記憶部に記憶された前記読取データに対応した画像を前記被記録媒体に対して記録する記録部と、
前記被記録媒体を表裏が逆向きとなるように反転する反転機構と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記トレイから第1被記録媒体が供給される場合は、前記読取装置により読取った前記読取データを前記記憶部に記憶させた後、前記記録部により前記第1被記録媒体の一方面に対し前記記憶部に記憶した前記読取データに対応する画像の記録を行い、前記反転機構により前記第1被記録媒体を反転し、前記記録部により前記第1被記録媒体の他方面に対し前記記憶部に記憶した前記読取データに対応する画像の記録を行う、第1両面記録処理を実行し、
前記トレイから第2被記録媒体が供給される場合は、前記読取装置により読取った前記読取データを前記記憶部に記憶させた後、前記記録部により前記第2被記録媒体の一方面に対し前記記憶部に記憶した前記読取データに対応する画像の記録を行い、前記一方面に記録がなされた当該第2被記録媒体を排出し、前記一方面に記録がなされた第2被記録媒体が前記トレイに配置されたと判断した際には、第2被記録媒体の他方面に対し前記記憶部に記憶した前記読取データに対応する画像の記録を前記記録部により行い、前記他方面に記録がなされた当該第2被記録媒体を排出する、第2両面記録処理を実行する、
ことを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記読取装置は、
前記被読取媒体の一方面及び他方面の両面を読み取り可能であり、
前記制御部は、
前記トレイから前記第1被記録媒体が供給された場合は、前記第1両面記録処理において、前記読取装置により前記被読取媒体に対し前記一方面及び前記他方面の読取りを実行し対応する一方面読取データ及び他方面読取データを前記記憶部に記憶させた後、前記記録部により前記第1被記録媒体の一方面に対し前記記憶した前記一方面読取データに対応する画像の記録を行い、前記反転機構による反転の後、前記記録部により前記第1被記録媒体の他方面に対し前記記憶した前記他方面読取データに対応する画像の記録を行い、
前記トレイから前記第2被記録媒体が供給された場合は、前記第2両面記録処理において、前記読取装置により前記被読取媒体に対し前記一方面及び前記他方面の読取りを実行し対応する一方面読取データ及び他方面読取データを前記記憶部に記憶させた後、前記記録部により前記第2被記録媒体の一方面に対し前記記憶した前記一方面読取データに対応する画像の記録を行い、前記一方面に前記一方面読取データに対応する画像が記録された前記第2被記録媒体が前記トレイに配置されたと判断した際には、当該第2被記録媒体の他方面に対し前記記憶した前記他方面読取データに対応する画像の記録を行い、前記他方面に前記他方面読取データに対応する画像が記録された当該第2被記録媒体を排出する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記画像記録装置の操作に係わる所定の表示を行う表示装置をさらに備え、
前記制御部は、前記第2両面記録処理の際、
前記一方面に記録がなされて排出された前記第2被記録媒体を前記トレイにセットするよう促すメッセージを前記表示装置に表示させる第1メッセージ表示処理を実行する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記画像記録装置の操作に係わる所定の表示を行う表示装置と、
画像記録の開始を指示する開始ボタンを有する操作部と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記第2両面記録処理の際、
前記操作部の前記開始ボタンが操作された場合、当該第2両面記録処理を実行するか否かを確認するメッセージを前記表示装置に表示させる第2メッセージ表示処理を実行する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記画像記録装置の操作に係わる所定の表示を行う表示装置をさらに備え、
前記表示装置は、
前記第1両面記録処理を選択する第1ボタンと、
前記第2両面記録処理を選択する第2ボタンと、
を有する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記第2ボタンには、
前記第2両面記録処理を表す表記がなされ、
前記第1ボタンには、
前記第2両面記録処理を表す表記がなされない
ことを特徴とする請求項5記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記画像記録装置の操作に係わる所定の表示を行う表示装置をさらに備え、
前記表示装置は、
記録対象として前記第1被記録媒体を指定する第3ボタンと、
記録対象として前記第2被記録媒体を指定する第4ボタンと、
を有し、
前記第4ボタンには、
第2両面記録処理を表す表記がなされ、
前記第3ボタンには、
第2両面記録処理を表す表記がなされない
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像記録装置。
【請求項8】
前記画像記録装置の操作に係わる所定の表示を行う表示装置をさらに備え、
前記表示装置は、
前記第1両面記録処理を選択する第1ボタンと、
前記第2両面記録処理を選択する第2ボタンと、
記録対象として前記第1被記録媒体を指定する第3ボタンと、
記録対象として前記第2被記録媒体を指定する第4ボタンと、
を有し、
前記制御部は、
前記第1ボタンが操作された場合には前記第4ボタンを操作不能とし、前記第2ボタンが操作された場合には前記第3ボタンを操作不能とする第1操作不能化処理を実行する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像記録装置。
【請求項9】
前記画像記録装置の操作に係わる所定の表示を行う表示装置をさらに備え、
前記表示装置は、
前記第1両面記録処理を選択する第1ボタンと、
前記第2両面記録処理を選択する第2ボタンと、
記録対象として前記第1被記録媒体を指定する第3ボタンと、
記録対象として前記第2被記録媒体を指定する第4ボタンと、
を有し、
前記制御部は、
前記第3ボタンが操作された場合には前記第2ボタンを操作不能とし、前記第4ボタンが操作された場合には前記第1ボタンを操作不能とする第2操作不能化処理を実行する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像記録装置。
【請求項10】
前記画像記録装置の操作に係わる所定の表示を行う表示装置をさらに備え、
前記表示装置は、
前記第1両面記録処理を選択する第1ボタンと、
前記第2両面記録処理を選択する第2ボタンと、
記録対象として前記第1被記録媒体を指定する第3ボタンと、
記録対象として前記第2被記録媒体を指定する第4ボタンと、
を有し、
前記制御部は、
前記第1ボタンが選択されている場合に、前記第4ボタンを選択した場合は、前記第1ボタンの選択が自動解除され、前記第2ボタンが自動選択され、
前記第2ボタンが選択されている場合に、前記第3ボタンを選択した場合は、前記第2ボタンの選択が自動解除され、前記第1ボタンが自動選択される、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像記録装置。
【請求項11】
前記画像記録装置の操作に係わる所定の表示を行う表示装置をさらに備え、
前記表示装置は、
記録対象として前記第1被記録媒体を指定する第3ボタンと、
記録対象として前記第2被記録媒体を指定する第4ボタンと、を有し、
両面記録を選択をする第5ボタンと、
前記制御部は、
前記第3ボタンと前記第5ボタンとが選択されている場合に前記第1両面記録処理を実行し、
前記第4ボタンと前記第5ボタンとが選択されている場合に前記第2両面記録処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像記録装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記第2両面記録処理において、
複数ページの前記被読取媒体が供給された場合、前記読取装置による前記被読取媒体のページごとの読取データを順次前記記憶部に蓄積させ、蓄積した前記読取データのデータ容量が所定のしきい値を超えたか否かを判定し、
前記データ容量が前記しきい値を超えたと判定された場合は、前記読取装置による前
記被読取媒体の読み取り動作を中断し、中断前に前記記憶部に蓄積済みの前記読取データを用いて前記一方面及び前記他方面に対し対応する前記画像の記録を行った後、当該蓄積済の前記読取データを前記記憶部から消去し、
前記読取データの消去後、中断していた前記読取装置による前記被読取媒体の読み取り動作を再開し、再開後に前記記憶部に蓄積された前記読取データを用いて前記一方面及び前記他方面に対し対応する前記画像の記録を行う、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像記録装置。
【請求項13】
前記データ容量が前記しきい値を超え前記読み取り動作を中断したとき、最後に前記読取データを蓄積した前記被読取媒体のページが奇数番目のページであった場合には、中断前に前記記憶部に蓄積済みの前記読取データのうち当該最後に蓄積したページの読取データを除く読取データを用いて前記一方面及び前記他方面に対し対応する前記画像の記録を行った後、当該画像の記録に用いられた前記読取データを前記記憶部から消去し、
前記読取データの消去後、中断していた前記読取装置による前記被読取媒体の読み取り動作を再開し、前記最後に蓄積したページの前記読取データと前記再開後に前記記憶部に蓄積された前記読取データとを用いて、前記一方面及び前記他方面に対し対応する前記画像の記録を行う、
ことを特徴とする請求項12記載の画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取媒体の読み取り結果に対応する画像を被記録媒体に記録する画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載のように、読取装置により検知された被読取媒体のサイズに対して最適なトレイを選択し、そのトレイから搬送された被記録媒体に対し画像を記録する自動用紙選択機能(APS)が知られている(例えば、特許文献1参照)。これにより、読取装置で読取った被読取媒体のサイズと同じサイズの被記録媒体に画像を形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、1枚の被記録媒体の表面及び裏面の両方に画像記録を行いたい場合、表面に対し画像を記録した後、被記録媒体の表裏を反転させて改めて裏面に画像を記録する必要がある。しかしながら、読取装置による被読取媒体への読み取り結果を被記録媒体の両面に記録したい場合に、被記録媒体のサイズによっては上記の反転を行うことができず、両面への画像記録ができない場合がある。このような場合、ユーザは、被読取媒体を読取装置にセットして被記録媒体の片面に対し画像記録を行った後、その片面に記録がなされた被記録媒体をトレイに配置し、被読取媒体を再度読取装置にセットして被記録媒体のもう片面に対し画像記録を行う必要がある。すなわち、ユーザは、片面印刷後の被記録媒体をトレイに配置するとともに、被読取媒体の読取装置へのセットを2回行わなければならず、手間が煩雑である。上記従来技術は、このような点までは配慮されていない。
【0005】
本発明の目的は、両面への画像記録ができないサイズの被記録媒体の両面に対し読取装置による読み取り結果に応じた画像を形成する場合に、ユーザの手間を少なくして利便性を向上できる画像記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、被読取媒体を読取り可能な読取装置と、前記読取装置により読取った読取データを記憶する記憶部と、被記録媒体を載置可能なトレイと、前記トレイから供給される前記被記録媒体を搬送する搬送機構と、前記搬送機構による搬送経路に設けられた記録部であって、前記記憶部に記憶された前記読取データに対応した画像を前記被記録媒体に対して記録する記録部と、前記被記録媒体を表裏が逆向きとなるように反転する反転機構と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記トレイから第1被記録媒体が供給される場合は、前記読取装置により読取った前記読取データを前記記憶部に記憶させた後、前記記録部により前記第1被記録媒体の一方面に対し前記記憶部に記憶した前記読取データに対応する画像の記録を行い、前記反転機構により前記第1被記録媒体を反転し、前記記録部により前記第1被記録媒体の他方面に対し前記記憶部に記憶した前記読取データに対応する画像の記録を行う、第1両面記録処理を実行し、前記トレイから第2被記録媒体が供給される場合は、前記読取装置により読取った前記読取データを前記記憶部に記憶させた後、前記記録部により前記第2被記録媒体の一方面に対し前記記憶部に記憶した前記読取データに対応する画像の記録を行い、前記一方面に記録がなされた当該第2被記録媒体を排出し、前記一方面に記録がなされた第2被記録媒体が前記トレイに配置されたと判断した際には、第2被記録媒体の他方面に対し前記記憶部に記憶した前記読取データに対応する画像の記録を前記記録部により行い、前記他方面に記録がなされた当該第2被記録媒体を排出する、第2両面記録処理を実行する。
【0007】
本願発明の画像記録装置では、制御部が、トレイから供給される被記録媒体がどのようなサイズであるか、具体的には、反転機構による反転が可能な第1被記録媒体であるか反転が不可能な第2被記録媒体であるかに応じて、互いに異なる内容の処理を実行する。被記録媒体が第1被記録媒体である場合は第1両面記録処理が実行され、被記録媒体が第2被記録媒体である場合は第2両面記録処理が実行される。
【0008】
第1両面記録処理では、第1被記録媒体の一方面例えば表面に対し、記憶部に記憶した被読取媒体の読取データに対応する画像の記録を行った後、第1被記録媒体を反転し、第1被記録媒体の他方面例えば裏面に対し、上記記憶した前記読取データに対応する画像の記録を行う。すなわち、反転可能な第1被記録媒体が用いられる場合は、ユーザは、従来通り、被読取媒体を読取装置にセットするだけで、特別な手間が生じることなく一方面及び他方面の両面に対し画像記録を行うことができる。
【0009】
第2両面記録処理では、第2被記録媒体の一方面例えば表面に対し、上記記憶した読取データに対応する画像の記録を行った後、その一方面に記録がなされた第2被記録媒体を排出する。その後、一方面に記録がなされた第2被記録媒体がトレイに配置されたと判断した際には、その第2被記録媒体の他方面例えば裏面に対し上記記憶した読取データに対応する画像の記録を行い、その記録がなされた第2被記録媒体、言い換えれば一方面に加え他方面にも記録がなされた第2被記録媒体を排出する。すなわち、反転不可能な第2被記録媒体が用いられる場合であっても、ユーザが一方面に記録がなされた第2被記録媒体をトレイへと供給しさえすれば、一方面及び他方面の両面に対し画像記録を行うことができる。従来手法のように被読取媒体の読取装置へのセットを2回行う必要はなく、1回のセットのみで足りる。
【0010】
以上のように、本願発明によれば、反転不可能で両面への画像記録ができないサイズの第2被記録媒体の両面に対し、読取装置により読み取った読取データに応じた画像を形成する場合において、ユーザによる手間を低減して利便性を向上することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、両面への画像記録ができないサイズの被記録媒体の両面に対し読取装置による読み取り結果に応じた画像を形成する場合に、ユーザの手間を少なくして利便性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態による画像記録装置の全体構成を表す模式図である。
【
図2】画像記録装置の制御系を表すブロック図である。
【
図3】片面及び両面でのスキャンと印刷のそれぞれにおける用紙サイズの適用可否を説明する図である。
【
図4】比較例において、先に特殊適用サイズを設定した後に両面コピーについての設定操作画面を表示する場合の表示処理の一例を説明する図である。
【
図5】比較例において、先に両面印刷での両面コピーを設定した後に用紙サイズを設定する場合の表示処理の一例を説明する図である。
【
図6】比較例において、特殊適用サイズの両面コピーを行うためのユーザによる所定の手動操作を介した作業フローの一例を説明する図である。
【
図7】実施形態において、特殊適用サイズの両面コピーを行うためのユーザによる所定の手動操作を介した作業フローの一例を説明する図である。
【
図8】実施形態において、先に特殊適用サイズを設定した後に両面コピーについての設定操作画面を表示する場合の表示処理の一例を説明する図である。
【
図9】実施形態において、先に両面印刷での両面コピーについて設定した後に用紙サイズを設定する場合の表示処理の一例を説明する図である。
【
図10】ユーザ自身による手動操作が必要であることを告知する告知画面の一例を表す図である。
【
図11】ユーザに対し記録用紙を裏面再セットする作業が必要である旨とその作業内容を報知する報知画面の一例を表す図である。
【
図12】スタック印刷とソート印刷について説明する図である。
【
図13】CPUが実行する制御手順の一例を表すフローチャートである。
【
図14】スキャン中にメモリフルとなった場合にCPUが実行する制御手順の一例を表すフローチャートである。
【
図15】特殊設定ボタンの標準表示の場合において、先に通常適用サイズを設定した後に両面コピーについての設定操作画面を表示する場合の表示処理の一例を説明する図である。
【
図16】特殊設定ボタンの標準表示の場合において、先に特殊適用サイズを設定した後に両面コピーについての設定操作画面を表示する場合の表示処理の一例を説明する図である。
【
図17】特殊設定ボタンの標準表示の場合において、先に両面印刷での両面コピーを設定した後に通常適用サイズを設定する場合の表示処理の一例を説明する図である。
【
図18】特殊設定ボタンの標準表示の場合において、先に手動再セットでの両面コピーを設定した後に特殊適用サイズを設定する場合の表示処理の一例を説明する図である。
【
図19】両面コピーの誤設定を自動修正する場合において、先に両面印刷での両面コピーを設定した後に特殊適用サイズを設定する場合の自動修正の一例を説明する図である。
【
図20】両面コピーの誤設定を自動修正する場合において、先に手動再セットでの両面コピーを設定した後に通常適用サイズを設定する場合の自動修正の一例を説明する図である。
【
図21】手作業で片面ずつスキャンする場合において、片面印刷及び両面印刷のそれぞれにおける用紙サイズの適用可否を説明する図である。
【
図22】印刷された記録用紙が排出される際の4つの重なりパターンを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<画像記録装置の全体構成>
本発明の一実施形態による画像記録装置1の全体構成を
図1に示す。
図1において、画像記録装置1は、装置本体2を備えており、この装置本体2に、供給ユニット3と、搬送ユニット4と、画像形成ユニット5と、排出ユニット8と、反転ユニット9と、原稿スキャンユニット10と、が備えられている。なお、画像形成ユニット5が記録部の一例である。画像記録装置1は
図1に記載の図において、左方向が前側であり、右方向が後ろ側、上方向が上側、下方向が下側、手前方向が右側、奥方向が左側である。
【0014】
<供給ユニット>
供給ユニット3は、装置本体2の下部に着脱可能に装着される給紙トレイ30と、給紙ローラ32と、を備えている。給紙トレイ30内には、画像形成の対象となる記録用紙Sが収容可能となっている。この給紙トレイ30を装置本体2の内部から図中の右側へ引き出して装置本体2の外部に露出させることで、当該給紙トレイ30の内部に記録用紙Sを複数枚積層して載置することができる。その後、図中の左側へ押し込むことで、給紙トレイ30を装置本体2の内部にセットできる。なお、給紙トレイ30がトレイの一例である。
【0015】
給紙ローラ32は、給紙トレイ30内の後側で記録用紙Sの上面に接触するよう設けられている。給紙ローラ32は、給紙トレイ30の最上部に位置する記録用紙Sを1枚ずつ取り出し、順搬送経路L1に供給する。
【0016】
なお、特に図示しないが、装置本体2には異なる用紙サイズに対応した複数の供給ユニット3が設けられており、それぞれの給紙トレイ30には対応する用紙サイズの記録用紙Sが載置される。用紙サイズは、給紙トレイ30に用紙サイズを検出するセンサが設けられ検知されている場合や、ユーザが自身で給紙トレイ30に対応した用紙サイズを登録する場合がある。そして後述するように、コピー対象としてセットされた原稿用紙Pの用紙サイズと選択された倍率により用紙サイズの記録用紙Sを保持した供給ユニット3が自動的に選択されて給紙動作が行われる。なお、原稿用紙Pが被読取媒体の一例である。
【0017】
また、給紙トレイ30は図示しない手差しトレイであってもよい。手差しトレイは、外部から容易に記録用紙Sを載置できるよう、画像記録装置1の例えば後ろ側に配置され、載置面が画像記録装置1の外部にはみ出すよう設置される。手差しトレイに載置された記録用紙Sは図示しない給紙ローラによって手差しトレイの最上部に位置する記録用紙Sを1枚ずつ取り出し、順搬送経路L1に記録用紙Sを供給する。
【0018】
<搬送ユニット>
搬送ユニット4は、供給ユニット3から供給された記録用紙Sを画像形成ユニット5及び排紙ユニット8まで搬送する。搬送ユニット4は、図示しないモータによって駆動される搬送ローラ33aと、従動ローラ33bと、レジストローラ34と、EXITローラ37と、排紙ローラ81と、ハクシャローラ82と、を備えている。給紙ローラ32から順搬送経路L1に供給された記録用紙Sは、搬送ローラ33aと従動ローラ33bとで挟持され、順搬送経路L1に沿ってレジストローラ34へ向けて搬送される。レジストローラ34は、記録用紙Sの姿勢を矯正した後、記録用紙Sを画像形成ユニット5へと搬送する。レジストローラ34及びEXITローラ37は、画像形成ユニット5の記録動作に合わせて記録用紙Sを搬送することにより、記録用紙Sに画像が形成される。記録が行われた記録用紙SはEXITローラ37によって搬送され、次に、排紙ローラ83とハクシャローラ82とに搬送され排出ユニット8に排紙される。なお、搬送ユニット4が搬送機構の一例である。また、排紙ローラ83とハクシャローラ82とは、反転ユニット9に記録用紙Sを供給するために、排紙方向とは逆の回転を行う場合がある。詳細は後述する。
【0019】
<画像形成ユニット>
画像形成ユニット5は、搬送ユニット4から搬送されてきた記録用紙Sに対し、周知の電子写真方式、若しくはインクジェット方式、若しくは熱転写方式、等によって画像を形成して印刷を行う。画像形成が完了した記録用紙Sは、EXITローラ37にて順搬送経路L1に沿って排出ローラ81へ向けて搬送される。
【0020】
<排出ユニット>
排出ユニット8は、画像が形成され搬送ユニット4によって搬送された記録用紙Sが排出される場所である。排出ユニット8は、排出口83と、排出トレイ84とを備えている。
【0021】
<反転ユニット>
反転ユニット9は、後述の両面印刷を行う場合に作動するユニットであり、画像が形成され画像形成ユニット5から排出された記録用紙Sを、その表面と裏面を反転させた状態で順搬送経路L1へ再度供給するための機構である。反転ユニット9は、図示しないモータによって駆動されるフラッパ91と、逆搬送ローラ92と、を備えている。フラッパ91は、順搬送経路L1上でEXITローラ37から排紙ローラ81までの間に位置している。両面印刷を行う場合には、フラッパ91が前側に位置する状態で、片面に画像が形成された記録用紙Sの後端がフラッパ91を通過する位置まで搬送した後、排紙ローラ81の順方向(排紙方向)での搬送を停止させる。その後フラッパ91を後側に位置するよう移動させ、排紙ローラ81を逆方向に回転させる。このとき記録用紙Sはフラッパにより搬送経路が切り換えられているため、順搬送経路L1ではなく別途の逆搬送経路L2へ誘導される。
【0022】
逆搬送経路L2では、記録用紙Sは、各所に設けられた複数組の逆搬送ローラ92で挟持されつつ搬送されることで、上記給紙トレイ30の下方を通過して再び搬送ユニット4の搬送ローラ33aと従動ローラ33bとで挟持され、順搬送経路L1に合流する。この反転ユニット9により、一方側の表面に画像が形成された記録用紙Sがその他方側の裏面を画像形成ユニット5に向けるよう反転させて搬送できる。なお、反転ユニット9が反転機構の一例であり、記録用紙Sの表面が一方面の一例であり、記録用紙Sの裏面が他方面の一例である。
【0023】
<原稿スキャンユニット>
原稿スキャンユニット10は、装置本体2の上方に設けられたフラットベッド11と、このフラットベッド11の上方に回動可能に設けられた原稿自動搬送装置12と、を備えている。フラットベッド11は、その上表面に水平に広く張り渡されるよう設けられたガラス板11aと、このガラス板11aのすぐ下でガイドレール11bに沿って前後方向に移動可能な第1イメージセンサ210とを備えている。第1イメージセンサ210は、図中の左右方向におけるガラス板11aの全体に渡って延伸した画像読取りセンサであり、図示しないモータと送りネジなどの駆動によって図中の前後方向におけるガラス板11aの全体に渡って移動する。これにより第1イメージセンサ210は、ガラス板11aの上表面に載置された図示しない原稿用紙Pの下面全体における表記画像を光学的に読み取る(以下、スキャンするという)ことができる。
【0024】
原稿自動搬送装置12(以下、ADF12という)は、原稿載置台12aと、原稿供給ローラ12bと、第2イメージセンサ220と、原稿搬送ローラ12cと、原稿排出台12dと、を一体化して備えている。そのADF12の全体は、図中の前側に位置するヒンジ13を中心に回動することで、フラットベッド11に対する開閉動作が可能となっている。
【0025】
原稿供給ローラ12bは、原稿載置台12aに積層して載置された複数毎の原稿用紙Pの下部または上部のいずれかからから積層順に1枚ずつ取り出し、原稿搬送経路L3に沿って第2イメージセンサ220、原稿搬送ローラ12cへ向けて搬送する。
【0026】
第2イメージセンサ220は、図中の左右方向における原稿搬送経路L3の全体に渡って延伸した画像読取りセンサであり、原稿供給ローラ12bから搬送されて当該第2イメージセンサ220を通過する原稿用紙Pの一方側の表面全体における表記画像を光学的にスキャンすることができる。
【0027】
原稿搬送ローラ12cは、2つ1組となって図示しないモータによって駆動され、原稿用紙Pに原稿搬送経路L3に沿った搬送力を付与するローラである。原稿供給ローラ12bから搬送されてきた原稿用紙Pは、2つの原稿搬送ローラ12cで挟持されつつその搬送方向を前側から後側へ折り返し、原稿排出台12dへ搬送される。このとき、フラットベッド11の第1イメージセンサ210は、その位置を固定したままガラス板11aを挟んで原稿搬送経路L3上に搬送される原稿用紙Pの他方側の裏面全体における表記画像を光学的にスキャンすることができる。なお、原稿スキャンユニット10が読取装置の一例であり、原稿スキャンユニット10が読み取った画像データが読取データの一例である。
【0028】
<制御系>
前述のモータの回転及び停止を含む画像記録装置1各部の動作は、特定用途向け集積回路であるASIC(application specific integrated circuit)20により制御される。ASIC20を含む画像記録装置1の制御系を表すブロック図を
図2に示す。
図2に示すように、ASIC20には、CPU100が含まれる。ASIC20には、ROM110と、RAM120と、所望の表示を行うと共にユーザが操作可能なタッチパネル130と、画像形成ユニット5と、回転駆動回路150と、ネットワーク制御部170と、第1イメージセンサ210と、第2イメージセンサ220がそれぞれ接続されている。なお、CPU100は制御部の一例であり、タッチパネル130は表示装置の一例である。
【0029】
ROM110には、後述の
図13、
図14にそれぞれ示す各フローチャートを実行するための制御プログラムを含む、画像記録装置1が動作するのに必要な各種制御プログラムが記憶されている。CPU100は、ROM110から読み出したプログラムに従って各部の制御を行うとともに、後述する
図13、
図14にそれぞれ示す各フローチャートを実行する。また、RAM120の記憶領域の一部には、第1イメージセンサ210及び第2イメージセンサ220で原稿用紙Pをスキャンした結果の画像データを記憶するスキャン画像データ記憶領域120aが設定されている。なお、画像データが読取データの一例であり、スキャン画像データ記憶領域120aが記憶部の一例である。
【0030】
また、CPU100は、ASIC20を介して画像形成ユニット5へ印刷指示信号を出力することで、当該画像形成ユニット5による記録用紙Sへの画像形成を指示する。またCPU100は、ASIC20を介して前述のモータの回転を制御する回転駆動回路150へ駆動制御信号を出力することで、モータの回転を制御する。さらにCPU100は、ASIC20を介してネットワーク制御部170を制御することで、無線又は有線によるネットワーク通信を介し、外部端末300と情報の送受信を行う。
【0031】
第1イメージセンサ210及び第2イメージセンサ220のそれぞれは、出射光Laを発光する発光部211a,221aと、発光部211a,221aから発光された出射光Laの反射光Lbを受光可能な受光部211b221b,と、を有する、反射型のセンサである。
【0032】
<コピー機能と適用する用紙サイズについて>
上記構成にある画像記録装置1で利用できる機能の1つとしてコピー機能がある。このコピー機能では、原稿スキャンユニット10でスキャンした原稿用紙Pの画像を記録用紙Sに印刷することで複製印刷としてのコピーを行う。ここで本実施形態におけるコピー機能は、説明が理解しやすいよう記録用紙Sの用紙サイズは原稿用紙Pと同じ用紙サイズのものを使用する。つまり、拡大/縮小機能を利用せずに等倍にて印刷する場合について説明する。しかしながら、拡大/縮小機能を利用した場合であっても本発明が活用できることは言うまでもない。
【0033】
また上記画像記録装置1では、コピー機能の利用において、通常の「片面→片面」コピー以外にも両面コピーを行うことが可能である。この両面コピーのバリエーションとしては、「片面→両面」コピーと、「両面→両面」コピーと、「両面→片面」コピーとがある。「片面→両面」コピーは、複数の原稿用紙Pそれぞれの片面からスキャンした画像データを記録用紙Sの両面に印刷する。「両面→両面」コピーは、原稿用紙Pの両面それぞれからスキャンした画像データを記録用紙Sの両面に印刷する。「両面→片面」コピーは、原稿用紙Pの両面それぞれからスキャンした画像データを複数の記録用紙Sの片面に印刷する。
【0034】
このうち、原稿用紙Pの片面だけをスキャンする場合は、フラットベッド11を利用してユーザが1枚ずつ手差しで行うか、ADF12での自動搬送させることによって、第1イメージセンサ210にスキャンさせればよい。また、原稿用紙Pの両面をそれぞれスキャンする場合には、上記の片面スキャンを表面と裏面で2回繰り返すことでも可能であるが、ADF12での自動搬送によって第1イメージセンサ210と第2イメージセンサ220の両方で同時にスキャンさせることでユーザの手間を軽減できる。
【0035】
また、記録用紙Sの片面だけに印刷する場合は、順搬送経路L1に記録用紙Sを一度だけ通過させて画像形成ユニット5に印刷させればよい。また、記録用紙Sの両面に印刷する場合には、最初に記録用紙Sを順搬送経路L1に通過させて画像形成ユニット5に表面を印刷させる。その後に、反転ユニット9によって記録用紙Sを逆搬送経路Lに通過させることで表面と裏面を反転させ、その上で順搬送経路L1に再度通過させて画像形成ユニット5に裏面を印刷させればよい。つまり、自動的に記録用紙Sの両面を印刷させるためには反転ユニット9を利用する必要がある。
【0036】
しかしながら、例えば逆搬送ローラ92の設置間隔などといった機械的な構造の都合上、上記の反転ユニット9に適用できる記録用紙Sの用紙サイズが限定される場合があり、すなわち両面印刷ができない用紙サイズが存在する場合がある。また、原稿スキャンユニット10のADF12においても、機械的な構造の都合から適用できる原稿用紙Pの用紙サイズが限定される場合があり、すなわち両面同時スキャンができない用紙サイズが存在する場合がある。そして反転ユニット9で適用可能な下限の用紙サイズと、ADF12で適用可能な下限の用紙サイズとが異なる場合がある。本実施形態では、ADF12を使った場合に特化して記載する。
【0037】
本実施形態の例として、当該画像記録装置1自体では、大きいサイズから降順にA3、B4、A4、B5、A5、A6、2L判、はがき、L判、名刺の10種類の用紙サイズが適用可能(後述の
図4等参照)であるとする。これに対して、
図3に示すようにADF12と両面印刷のそれぞれで適用できない用紙サイズが存在する場合がある。図示する例では、フラットベッド11での片面スキャンは全ての用紙サイズが適用可能であるのに対し、ADF12での両面スキャンは2L判より小さいはがき、L判、名刺の用紙サイズが適用できない。また、片面印刷では全ての用紙サイズが適用可能であるのに対し、反転ユニット9を利用する両面印刷ではA5より小さいA6、2L判、はがき、L判、名刺の用紙サイズが適用できない。このように、一般的な画像記録装置1では、反転ユニット9よりもADF12の方で適用可能な下限の用紙サイズが小さい場合が多くある。
【0038】
このような場合で、片面スキャン、両面スキャン、片面印刷、及び両面印刷の全てに適用可能なA3、B4、A4、B5、A5の用紙サイズの分類を以下において通常適用サイズとする。また、両面印刷だけができないA6、2L判の用紙サイズの分類を以下において特殊適用サイズとする。また、両面スキャンと両面印刷ができないはがき、L判、名刺の用紙サイズの分類を以下において非適用サイズとする。なお、通常適用サイズの記録用紙Sが第1被記録媒体の一例であり、特殊適用サイズの記録用紙Sが第2被記録媒体の一例である。
【0039】
<比較例の場合における設定操作画面の表示処理と両面コピー作業>
以上に説明したようにコピー機能と適用する用紙サイズの関係から、タッチパネル130における設定操作画面での表示処理と操作には制約が生じる。例えば
図4(a)は、タッチパネル130において所定の初期画面からコピー機能を選択した際に表示されるコピー機能についての設定操作画面130Aを示している。この
図4(a)において、各種の設定項目が任意の順序で設定可能に表示されているうち、ユーザが所望する用紙サイズの原稿用紙Pで両面コピーを行うためには「両面コピー」と「用紙サイズ」の2つの項目をそれぞれ個別に設定することが必要となる。この
図4(a)~
図4(d)に示す比較例では、先に用紙サイズをA6で設定して、その後に両面コピーについての設定操作画面130Cを表示する場合の表示処理を示している。
【0040】
まず
図4(a)において、太枠線で示すように用紙サイズの項目ボタンを選択操作した場合には、次に
図4(b)に示す用紙サイズの設定操作画面130Bが表示される。なお、この用紙サイズの設定操作画面130Bにおいて通常適用サイズにある各用紙サイズの設定ボタンが第3ボタンの一例であり、特殊適用サイズにある各用紙サイズの設定ボタンが第4ボタンの一例である。この実施形態の例のA3~名刺の10種類の用紙サイズの中からA6の用紙サイズの設定ボタンを選択操作し、さらに「戻る」ボタンを押下操作すると元のコピー機能の設定操作画面130Aに戻る。そして次に
図4(c)に示すように両面コピーの項目ボタンを選択操作した場合には、次に
図4(d)に示す両面コピーの設定操作画面130Cが表示される。この両面コピーの設定操作画面130Cでは、両面コピーの機能をオフしてデフォルトの「片面→片面」コピーを設定する設定ボタンと、「片面→両面」コピーを設定する設定ボタンと、「両面→両面」コピーを設定する設定ボタンと、「両面→片面」コピーを設定する設定ボタンが表示される。なお、これら「片面→両面」コピーと「両面→両面」コピーの各設定ボタンが第1ボタンの一例である。
【0041】
しかしながらこの比較例では、上記
図3に示したコピー機能と適用する用紙サイズの関係にそのまま対応して、特殊適用サイズのA6に対しては反転ユニット9を利用した両面印刷をシステム上許容しないものとしている。このため、特殊適用サイズのA6を先に設定した状態で両面コピーの設定操作画面130Cを表示した場合には、
図4(d)に示すように両面印刷が必要な「片面→両面」コピーと「両面→両面」コピーの2つの設定ボタンがそれぞれ網掛け表示となって選択操作が不可能なグレイアウトの状態となる。すなわち、特殊適用サイズのA6を先に設定した状態では、残りの「片面→片面」コピー又は「両面→片面」コピーのいずれかの選択しかできなくなる。なお、特に図示しないが、先に非適用サイズを設定していた場合には、両面スキャンが必要な「両面→片面」コピーの設定ボタンもグレイアウトして、「片面→片面」コピーだけが選択可能となる。
【0042】
また、同様に特殊適用サイズに対して両面印刷をシステム上許容しない比較例において、先に両面コピーについて設定し、その後に用紙サイズをA6で設定する場合の表示処理は
図5(a)~
図5(d)に示すようになる。すなわち、
図5(a)に示すように最初にコピー機能の設定操作画面130Aで両面コピーの項目ボタンを選択操作して、
図5(b)に示す両面コピーの設定操作画面130Cを表示させた場合には、このときはまだ用紙サイズが未設定であることから全てのコピー設定ボタンが選択可能に表示される。そして、「両面→両面」コピーの設定ボタンを選択操作し、次に
図5(c)に示すコピー機能の設定操作画面130Aに戻り用紙サイズの項目ボタンを選択操作した場合には、
図5(d)に示す用紙サイズの設定操作画面130Bが表示される。ここでは、両面印刷が可能な通常適用サイズであるA3~A5までの各設定ボタンが選択操作可能な状態で表示され、その他の両面印刷ができないとされる特殊適用サイズと非適用サイズのA6~名刺までの各設定ボタンがグレイアウト状態で表示される。
【0043】
しかし以上のような比較例の画像記録装置1であっても、例えば
図6に示すようなユーザによる所定の手動操作を介した作業フローを実行することで、特殊適用サイズと非適用サイズに対する「両面→両面」コピーを行わせることが実際には可能である。具体的には、最初に特殊適用サイズ又は非適用サイズの原稿用紙Pに対して表面をスキャンさせるようADF12の原稿載置台12aにセットし(ST1)、上記のコピー設定操作画面130Aでその用紙サイズの設定操作と「片面→片面」コピーの設定操作(ST2、ST3)を行った上で、特に図示しないスタートボタンを押下操作しコピー動作を開始させる(ST4)。なお、スタートボタンが開始ボタンの一例であり、このスタートボタンを表示し押下操作を受け付けるタッチパネル130もしくは特に図示しないハードウェアスイッチが操作部の一例である。この場合、画像記録装置1は、ADF12によって全ての原稿用紙Pの表面だけを自動スキャン(ST5)した後、原稿用紙Pと同じ枚数の記録用紙Sにその表面だけのスキャン画像を印刷する(ST6)。すなわち、表面だけの「片面→片面」コピーを行う。なお特に図示しないが、この画像記録装置1における「片面→片面」コピーでは、原稿用紙Pの表面のスキャンと記録用紙Sの表面の印刷を1枚ごとに繰り返し行ってもよい。
【0044】
そして、全ての原稿用紙Pに対する表面の「片面→片面」コピーが終了した後、そのコピーにより排出トレイ84に排出されている全ての記録用紙Sを次に裏面で片面印刷されるようユーザが手作業で対応する用紙サイズの給紙トレイ30に再セットする(ST7)。次にユーザは、ADF12の原稿排出台12dに排出されている全ての原稿用紙Pに対して今度は裏面をスキャンさせるようADF12の原稿載置台12aにセットし(ST8)、スタートボタンを押下操作する(ST9)。これにより、画像記録装置1は、ADF12によって全ての原稿用紙Pの裏面を自動スキャン(ST10)した後、原稿用紙Pと同じ枚数の記録用紙Sにその裏面のスキャン画像を印刷する(ST11)。すなわち、今度は裏面に対しての「片面→片面」コピーを再度行う。以上の作業フローにより、特殊適用サイズと非適用サイズに対しても「両面→両面」コピーを行わせることができる。
【0045】
しかしながら、この比較例における「両面→両面」コピーの作業フローでは、ユーザが行うべき手作業が多く手間が煩雑となる。特に、当該画像記録装置1が備えるADF12には両面同時スキャン機能が備えられており、上述したように特殊適用サイズに対してはその両面同時スキャン機能が適用可能でありながら原稿用紙PのADF12へのセットを2回行わなければならず、手間が煩雑である。特に、ADF12に対する原稿用紙Pの再セットにおいては、原稿用紙Pを表面から裏面に逆転させつつ搬送方向も合わせる必要があり、これをユーザに手作業で行わせる場合にはコピーミスを発生させる大きな要因となる。
【0046】
<本実施形態の場合における両面コピー作業と設定操作画面の表示処理>
上記の比較例に対し、本実施形態では、反転ユニット9の使用に代えてユーザによる全原稿用紙Pの裏面再セットの手動操作を前提として、特殊適用サイズの原稿用紙Pに対する両面印刷をシステム上許容する。これにより、特殊適用サイズに対してはADF12の両面同時スキャン機能を利用した「両面→両面」コピーの選択操作が可能となる。
【0047】
具体的には、上記
図6に対応する
図7の作業フローに示すように、最初に特殊適用サイズの原稿用紙PをADF12の原稿載置台12aにセットし(ST1)、コピー設定の各操作画面で用紙サイズの設定操作と「両面→両面」コピーの設定操作を行い(ST2′、ST3′)、スタートボタンを押下操作する(ST4)。これにより、画像記録装置1は、ADF12によって全ての原稿用紙Pの両面を同時に自動スキャン(ST5)した後、原稿用紙Pと同じ枚数の記録用紙Sにその表面に対応するスキャン画像だけを印刷する(ST6)。なお特に図示しないが、原稿用紙Pの両面同時スキャンと記録用紙Sの表面だけの片面印刷を1枚ごとに繰り返し行ってもよい。
【0048】
そして、全ての原稿用紙Pに対する両面同時スキャン(ST5)と記録用紙Sに対する表面だけの片面印刷(ST6)が終了した後、排出トレイ84に排出されている全ての記録用紙Sを次に裏面で片面印刷されるようユーザが手作業で対応する用紙サイズの給紙トレイ30に再セットする(ST7)。次にユーザは、そのままスタートボタンもしくは後述するOKボタンを押下操作(ST9)するだけで、画像記録装置1が上記両面同時スキャン(ST5)で既にスキャン済みの裏面のスキャン画像をその数と同じ枚数の記録用紙Sに印刷し(ST11)、「両面→両面」コピーが完了する。
【0049】
以上のような本実施形態での作業フローによれば、比較例の場合に行っていたユーザによる全原稿用紙Pの裏面再セットの手作業(ST8)が不要となり、すなわちユーザは原稿用紙Pに対して最初のADF12への表面セット(ST1)を1回行うだけでよく作業負担を軽減できる。このため、上述したような原稿用紙Pの裏面再セット(ST8)でのユーザの作業ミスによる両面コピーのコピーミスが回避できる。
【0050】
また、本実施形態のように特殊適用サイズの原稿用紙Pに対する両面印刷をシステム上で許容する場合には、タッチパネル130における設定操作画面130A~130Cでの表示処理においても
図8、
図9に示すように表示できる。例えば上記
図4に対応する
図8は、本実施形態の場合で先に用紙サイズをA6で設定し、その後に両面コピーについての設定操作画面130Cを表示する場合の表示処理を示している。この
図8において、
図8(a)~
図8(c)は上記の
図4(a)~
図4(c)と同じ選択操作を行っているものの、両面コピーの設定操作画面130Cを示す
図8(d)では、「片面→両面」コピーと「両面→両面」コピーを含めた全ての設定ボタンが選択操作可能な状態で表示される。つまり、この時点では先に特殊適用サイズのA6を設定した状態であるにもかかわらず、両面印刷を必要とするコピー機能まで選択可能となる。ただし、両面印刷を必要とする両面コピー機能を利用するにはユーザ自身による手動操作が必要であることをあらかじめ告知する目的で、「片面→両面」コピーと「両面→両面」コピーの各設定ボタンにはそれぞれ図示するように「(手動)」の表示を追加する。なお、この「(手動)」の表示が第2両面記録処理を表す表記の一例であり、この「(手動)」の表示が追加された「片面→両面」コピーと「両面→両面」コピーの各設定ボタンが第2ボタンの一例である。
【0051】
また、上記
図5に対応する
図9は、本実施形態の場合で先に両面コピーについて設定し、その後に用紙サイズをA6で設定する場合の表示処理を示している。この
図9において、
図9(a)~
図9(c)は上記の
図5(a)~
図5(c)と同じ選択操作を行っているものの、用紙サイズの設定操作画面130Bを示す
図9(d)では、通常適用サイズに加えて特殊適用サイズまでの各設定ボタンが選択操作可能な状態で表示され、その他の非適用サイズの各設定ボタンがグレイアウト状態で表示される。ただし、特殊適用サイズで両面コピー機能を利用するにはユーザ自身による手動操作が必要であることをあらかじめ告知する目的で、特殊適用サイズの各設定ボタンにはそれぞれ図示するように「(手動両面)」の表示を追加する。なお、このときの「片面→両面」コピーと「両面→両面」コピーの各設定ボタンが第5ボタンの一例である。
【0052】
また本実施形態では、上記のように特殊適用サイズでの両面コピー機能を利用する設定状態でユーザが1回目のスタートボタンを押下操作した直後においても、あらためてユーザ自身による手動操作が必要であることを告知する目的で、
図10に示すような告知画面130Dをタッチパネル130に表示する。そして、この告知画面130D中の「OK」ボタンが押下操作された際には、ユーザからの確認が取れたものとみなしてコピー作業を開始する。
【0053】
また本実施形態では、全原稿用紙Pの表面コピーが終了した時点で、ユーザに対し記録用紙Sを裏面再セットする作業が必要である旨とその作業内容を報知する目的で、
図11に示すような報知画面130Eをタッチパネル130に表示する。そして、この報知画面130E中の「OK」ボタンが押下操作された際には、ユーザによる記録用紙Sの裏面再セットが完了したものとみなしてコピー作業を再開する。
【0054】
<スタック印刷とソート印刷への影響>
また本実施形態では、上記
図8(a)などの設定操作画面130Aで示しているように、スタック印刷とソート印刷のどちらの形態で印刷出力するかの選択設定が可能となっている。例えば
図12(a)に示すように、1枚目の表面ページの画像が「A」であって裏面ページの画像が「A′」(図示省略)であるように、それぞれの表面ページの画像と裏面ページの画像が全て異なる5枚の原稿用紙Pを3部コピーすることを印刷条件とする。この場合に、
図12(b)に示すように同じ1枚の原稿用紙Pについて両面コピーした3枚の記録用紙Sをそれぞれまとめて5組出力するのがスタック印刷であり、
図12(c)に示すように5枚の原稿用紙Pそれぞれを両面コピーした5枚の記録用紙Sを1組にまとめて3部コピーするのがソート印刷となる。
【0055】
ここで、上述したように原稿用紙Pからスキャンした画像データはRAM120におけるスキャン画像データ記憶領域120aに順次蓄積するよう記憶されるが、原稿用紙Pの枚数が多い場合には有限であるスキャン画像データ記憶領域120aの記憶容量が不足する場合がある。これに対してスタック印刷では、その容量不足が判明した時点で画像スキャンを一旦中断してそれまでに記憶した画像データだけでスタック印刷し、その後にスキャン画像データ記憶領域120aをクリアしてから画像スキャンとスタック印刷を再開すればよい。なお、このような画像スキャンの中断はページ単位で行う必要があり、途中までのスタック印刷は原稿用紙Pの枚数単位で行う必要がある。しかし、ソート印刷の場合には、全ての原稿用紙Pそれぞれの両面の画像データを全てスキャンして記憶した状態でなければソート印刷を行うことができない。このため、画像スキャン中に上記のようなスキャン画像データ記憶領域120aの記憶容量の不足が発生した場合には、ソート印刷自体を行うことができなくなる。本実施形態では、以上のようなスタック印刷とソート印刷に対する影響も踏まえた両面コピーの処理を実行する。
【0056】
<制御手順>
上記の手法を実現するための手法の一例として、CPU100が実行する制御手順を、
図13、
図14のフローチャートを用いて説明する。この制御手順は、コピー機能の各種設定が完了しユーザがスタートボタンを押下操作した際に実行が開始される。
【0057】
まずS5で、両面コピー機能として両面印刷を必要とする「片面→両面」コピーもしくは「両面→両面」コピーのいずれかが選択設定されているか否かが判定される。「片面→両面」コピーもしくは「両面→両面」コピーの両面コピー機能が選択設定されていなければNO判定され、S200に移行する。S200では、通常の自動片面コピー処理、つまり「片面→片面」コピーを行う。なお、ここでは両面印刷を必要としない「両面→片面」コピーの場合も含めて処理してもよい。そして、このフローを終了する。
【0058】
一方、S5において「片面→両面」コピーもしくは「両面→両面」コピーの両面コピー機能が選択設定されていればYES判定され、S10に移行する。S10では、用紙サイズに特殊適用サイズが選択設定されているか否かが判定される。特殊適用サイズが選択設定されていなければNO判定され、S15へ移行する。S15では、用紙サイズに通常適用サイズが選択設定されているか否かが判定される。通常適用サイズが選択設定されていればYES判定され、S300へ移行する。S300では、通常適用サイズに対する通常の自動両面コピー処理を行う。そして、このフローを終了する。なお、S300の手順が第1両面記録処理の一例である。
【0059】
一方、S15において通常適用サイズが選択設定されていなければNO判定され、S20へ移行する。S20では、選択設定されている用紙サイズでは両面コピー機能を利用できない旨を提示する特に図示しないエラー画面をタッチパネル130に表示し、このフローを終了する。
【0060】
一方、S10において特殊適用サイズが選択設定されていればYES判定され、S25へ移行する。S25では、ユーザ自身による手動操作が必要であることを告知する上記
図10に示した告知画面130Dをタッチパネル130に表示する。なお、このS25が第2メッセージ表示処理の一例である。
【0061】
その後S30では、告知画面130D内のOKボタンが押下操作されるまでループ待機し、OKボタンが押下操作された際にはS35へ移行する。
【0062】
S35では、ADF12を作動させて全ての原稿用紙Pを順次搬送し、第1イメージスキャナと第2イメージスキャナにより各原稿用紙Pの表面と裏面を同時にスキャン(「片面→両面」の場合は表面のみをスキャン)して画像データをRAM120のスキャン画像データ記憶領域120aに表面→裏面→表面→・・・の順で順次蓄積して記憶する。なお、この自動スキャンの最中にそれまでスキャンした画像データのデータ容量が所定のしきい値を超えてスキャン画像データ記憶領域120aの記憶容量が不足すると判定された場合には、このS35の手順での自動スキャンを中断して次のS40へ移行する。
【0063】
S40では、上記S35の自動スキャンがその途中でスキャン画像データ記憶領域120aの記憶容量の不足により中断したか、言い換えるとメモリフルによって中断したか否かが判定される。自動スキャンがメモリフルによって中断していればYES判定され、後述するS65へ移行する。
【0064】
一方、S40において、上記S35の自動スキャンがメモリフルによって中断していなければNO判定され、S45へ移行する。
【0065】
S45では、上記S35の自動スキャンで順次記憶したうちの全ての奇数番目の画像データ、つまり表面ページに相当する画像データに基づいて記録用紙Sに表面ページの片面印刷を行う。
【0066】
その後S50では、ユーザに対し記録用紙Sを裏面再セットする作業が必要である旨とその作業内容を報知する上記
図11に示した報知画面130Eをタッチパネル130に表示する。なお、S50が第1メッセージ表示処理の一例である。
【0067】
その後S55では、報知画面130E内のOKボタンが押下操作されるまでループ待機し、OKボタンが押下操作された際には記録用紙Sが給紙トレイ30に配置されたと判断してS60へ移行する。
【0068】
S60では、上記S35の自動スキャンで順次記憶したうちの全ての偶数番目の画像データ、つまり裏面ページに相当する画像データに基づいて記録用紙Sに裏面ページの片面印刷を行う。そして、このフローを終了する。
【0069】
また上記S40でのYES判定により移行したS65では、スタック印刷とソート印刷のいずれが選択設定されているかが判定される。ソート印刷が選択設定されていれば、S70へ移行する。S70では、メモリフルとなって全ての原稿用紙Pの全ての面の画像データをスキャンできなかったためにソート印刷を行えない旨を提示する特に図示しないエラー画面をタッチパネル130に表示し、このフローを終了する。
【0070】
一方、S65においてスタック印刷が選択設定されていれば、S75へ移行する。S75では、ユーザに対しスタック印刷を複数回分割してもよいか確認する旨とその応答としてのYESボタン及びNOボタンを表示する特に図示しない確認画面をタッチパネル130に表示する。
【0071】
その後S80では、上記の確認画面でYESボタンとNOボタンのいずれが押下操作されたかが判定される。NOボタンが押下操作されていれば、ユーザからスタック印刷の複数階分割が拒否されたものとしてこのフローを終了する。
【0072】
一方、S80においてYESボタンが押下操作されていれば、S85へ移行する。S85では、上記S35で中断した自動スキャンによってスキャン画像データ記憶領域120aに記憶されている画像データのページ数が偶数であるか、言い換えると原稿用紙Pの枚数単位で画像スキャンが中断されたか否かが判定される。記憶されている画像データのページ数が偶数であればYES判定され、S90へ移行する。S90では、その時点でスキャン画像データ記憶領域120aに記憶されている全ての奇数番目の画像データ、つまり表面ページに相当する画像データに基づいて記録用紙Sに表面ページの片面印刷を行う。そしてS100へ移行する。
【0073】
一方、S85において記憶されている画像データのページ数が奇数であればNO判定され、S95へ移行する。S95では、最後にスキャンされた奇数番目のページの画像データ以外の全ての奇数番目の画像データに基づいて記録用紙Sに表面ページの片面印刷を行う。そしてS100へ移行する。
【0074】
S100では、ユーザに対し記録用紙Sを裏面再セットする作業が必要である旨とその作業内容を報知する上記
図11に示した報知画面130Eをタッチパネル130に表示する。なお、S100が第1メッセージ表示処理の一例である。
【0075】
その後S105では、報知画面130E内のOKボタンが押下操作されるまでループ待機し、OKボタンが押下操作された際には記録用紙Sが給紙トレイ30に配置されたと判断してS110へ移行する。
【0076】
S110では、その時点でスキャン画像データ記憶領域120aに記憶されている全ての偶数番目の画像データ、つまり裏面ページに相当する画像データに基づいて記録用紙Sに裏面ページの片面印刷を行う。
【0077】
次にS115では、スキャン画像データ記憶領域120aに記憶されている全ての画像データを消去する。ただし、上記ステップS85でNO判定されていた場合には、その後のS95で印刷されなかった最後の奇数ページの画像データだけは消去せずに残しておく。
【0078】
次にS120では、中断していたADF12での両面自動スキャンを再開し、残りの原稿用紙Pの両面をスキャンした画像データをスキャン画像データ記憶領域120aに順次蓄積して記憶する。ここで、上記S115で消去しなかった画像データがあればそのまま生かし、それ以外で対応するページでスキャンする。そして、上記S40の戻り同様の手順を繰り返す。なお、上記のS25~S120の手順が第2両面記録処理の一例である。
【0079】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態においては、CPU100が、給紙トレイ30から供給される記録用紙Sがどのような用紙サイズであるか、具体的には、反転ユニット9による反転が可能な通常適用サイズの記録用紙Sであるか反転が不可能な特殊適用サイズの記録用紙Sであるかに応じて、互いに異なる内容の処理を実行する。記録用紙Sの用紙サイズが通常適用サイズである場合はS300の手順が実行され、記録用紙Sの用紙サイズが特殊適用サイズである場合はS25~S120の手順が実行される。
【0080】
S300の手順では、通常適用サイズの記録用紙Sの表面に対し、スキャン画像データ記憶領域120aに記憶した原稿用紙Pのスキャン結果に対応する画像データの記録を行った後、通常適用サイズの記録用紙Sを反転し、その裏面に対し、上記記憶したスキャン結果に対応する画像データの記録を行う。すなわち、反転可能な通常適用サイズの記録用紙Sが用いられる場合は、ユーザは、従来通り、原稿用紙PをADF12にセットするだけで、特別な手間が生じることなく表面及び裏面の両面に対し画像記録を行うことができる。
【0081】
S25~S120の手順では、特殊適用サイズの記録用紙Sの表面に対し、上記記憶したスキャン結果に対応する画像データの記録を行った後、その表面に記録がなされた特殊適用サイズの記録用紙Sを排出する。その後、ユーザの手作業により給紙トレイ30に裏面再セットされて表面に記録がなされた特殊適用サイズの記録用紙Sが給紙トレイ30から供給されると、その記録用紙Sの裏面に対し上記記憶したスキャン結果に対応する画像データの記録を行い、その記録がなされた特殊適用サイズの記録用紙S、言い換えれば表面に加え裏面にも記録がなされた記録用紙Sを排出する。すなわち、反転不可能な特殊適用サイズの記録用紙Sが用いられる場合であっても、ユーザが表面に記録がなされた特殊適用サイズの記録用紙Sを給紙トレイ30へと供給しさえすれば、表面及び裏面の両面に対し画像記録を行うことができる。従来手法のように原稿用紙PのADF12へのセットを2回行う必要はなく、1回のセットのみで足りる。
【0082】
以上のように、本実施形態によれば、反転不可能で両面への画像記録ができないサイズの特殊適用サイズの記録用紙Sの両面に対し、ADF12によるスキャン結果に応じた画像を形成する場合において、ユーザによる手間を低減して利便性を向上することができる。
【0083】
また、本実施形態では特に、原稿用紙Pの両面それぞれに対しADF12がスキャンを行うことができ、記録用紙Sの表面及び裏面それぞれに、上記両面それぞれのスキャン結果に対応した画像データを形成することができる。すなわちS300の手順では、原稿用紙Pの表面をスキャンした表面画像データに対応する画像を通常適用サイズの記録用紙Sの表面に対し記録して反転した後、原稿用紙Pの裏面をスキャンした裏面画像データに対応する画像を通常適用サイズの記録用紙Sの裏面に対し記録することができる。
【0084】
S25~S120の手順では、原稿用紙Pの表面をスキャンした表面画像データに対応する画像を特殊適用サイズの記録用紙Sの裏面に対し記録して排出する。その後、ユーザの手作業により給紙トレイ30に裏面再セットされてその特殊適用サイズの記録用紙Sが給紙トレイ30から供給されると、原稿用紙Pの裏面をスキャンした裏面画像データに対応する画像をその特殊適用サイズの記録用紙Sの裏面に記録する。これにより、特殊適用サイズの記録用紙Sを用いる場合、ユーザが記録用紙Sを給紙トレイ30へと供給しさえすれば、原稿用紙Pの表面及び裏面をスキャンした画像データに対応する画像を特殊適用サイズの記録用紙Sの表面及び裏面にそれぞれ記録することができる。
【0085】
また、本実施形態では特に、特殊適用サイズの記録用紙Sが給紙トレイ30から供給されてS25~S120の手順が行われるとき、S50の手順が実行される。すなわち、タッチパネル130において、表面に記録がなされ排出された特殊適用サイズの記録用紙Sを給紙トレイ30にセットするよう促すメッセージが上記
図11の報知画面130Eで表示される。これにより、ユーザは、排出された特殊適用サイズの記録用紙Sを忘れずに給紙トレイ30にセットすることで、特殊適用サイズの記録用紙Sの裏面にも画像を記録することができる。
【0086】
また、本実施形態では特に、特殊適用サイズの記録用紙Sが給紙トレイ30から供給されてS25~S120の手順が行われる際、タッチパネル130もしくは特に図示しないハードウェアスイッチのスタートボタンが操作された場合にS25の手順が実行される。すなわち、タッチパネル130において、当該S25~S120の手順を実行するか否かを確認するメッセージが上記
図10の告知画面130Dで表示される。これにより、ユーザは、排出された特殊適用サイズの記録用紙Sを給紙トレイ30にセットする必要のあるS25~S120の手順がこれから実行されることを認識することができる。
【0087】
また、本実施形態では特に、タッチパネル130に「片面→両面」コピー及び「両面→両面」コピーの各設定ボタンと、「片面→両面(手動)」コピーと「両面→両面(手動)」コピーの各設定ボタンとが表示される。これにより、画像記録装置1が、通常適用サイズの記録用紙SによるS300の両面コピー処理を実行する機能と、特殊適用サイズの記録用紙SによるS25~S120の手順を実行する機能とを併せ持つとき、いずれの処理についてもボタン操作によって当該処理を選択可能となる。
【0088】
また、本実施形態では特に、「片面→両面」コピー及び「両面→両面」コピーの各設定ボタンと、「片面→両面(手動)」コピーと「両面→両面(手動)」コピーの各設定ボタンのうち、「片面→両面(手動)」コピーと「両面→両面(手動)」コピーの各設定ボタンにのみ「(手動)」の表記がなされる。これにより、「片面→両面(手動)」コピーと「両面→両面(手動)」コピーの各設定ボタンを操作した場合には、S300の手順とは異なる、排出された特殊適用サイズの記録用紙Sを給紙トレイ30にセットする必要のあるS25~S120の手順が実行されることをユーザに認識させることができる。
【0089】
また、本実施形態では特に、記録対象として通常適用サイズの記録用紙S及び特殊適用サイズの記録用紙Sをそれぞれ指定するA3~A5の各設定ボタン及びA6~2L判の各設定ボタンのうち、A6~2L判の各設定ボタンにのみ「(手動両面)」の表記がなされる。これにより、A6~2L判の各設定ボタンを操作し特殊適用サイズの記録用紙Sを記録対象として指定した場合には、S300の手順とは異なる、排出された特殊適用サイズの記録用紙Sを給紙トレイ30にセットする必要のあるS25~S120の手順が実行されることをユーザに認識させることができる。
【0090】
また、本実施形態では特に、通常適用サイズの記録用紙Sの設定ボタンと、「片面→両面」コピー及び「両面→両面」コピーの各設定ボタンとが選択設定されている場合には、ユーザによる手動再セットを必要としないS300の手順を実行する。また、特殊適用サイズの記録用紙Sの設定ボタンと「片面→両面」コピー及び「両面→両面」コピーの各設定ボタンとが選択設定されている場合には、ユーザによる手動再セットを必要とするS25~S120の手順を実行する。このように「片面→両面」コピー及び「両面→両面」コピーの各設定ボタンを共通させて用紙サイズの選択設定だけでS300の印刷手順とS25~S120の印刷手順を切り換えて実行できることから、コピー機能の設定操作において表示する設定項目の数を削減でき、ユーザにとっての操作性を向上できる。
【0091】
また、本実施形態では特に、前述したように、ADF12による原稿用紙Pのスキャン結果は、スキャン画像データ記憶領域120aに記憶される。S25~S120の手順では、先に表面に記録がなされた後に排出された特殊適用サイズの記録用紙Sをユーザが給紙トレイ30へ投入することで、特殊適用サイズの記録用紙Sの裏面に対し上記記憶されたスキャン結果に基づく画像が形成される。
【0092】
ADF12が原稿用紙Pの複数ページに対しスキャンを順次行う場合、画像データが順次蓄積されていくが、その蓄積によりスキャン画像データ記憶領域120a内の空き容量が逼迫してしまう可能性がある。本実施形態においては、これに対応し、CPU100により、蓄積した画像データのデータ容量が所定のしきい値を超えたか否かがS40の手順で判定される。データ容量がしきい値を超えたと判定された場合はADF12によるスキャン動作が中断され、中断前に蓄積済みの画像データを用いることで特殊適用サイズの記録用紙Sの表面及び裏面に対して、対応する画像の記録が行われる。これにより、中断前にスキャンした画像データを無駄にすることなく、画像の記録を行うことができる。
【0093】
画像の記録後は、上記蓄積済の画像データはスキャン画像データ記憶領域120aから消去される。これにより、スキャン結果を再びスキャン画像データ記憶領域120aに記憶可能となるので、中断していた原稿用紙Pのスキャン動作が再開される。再開後は、前述と同様、スキャン画像データ記憶領域120aに蓄積された画像データを用いて特殊適用サイズの記録用紙Sの表面及び裏面に対し、対応する画像の記録が行われる。
【0094】
以上の結果、本実施形態によれば、S25~S120の手順の開始後に複数ページの原稿用紙Pのスキャンの途中でスキャン画像データ記憶領域120a内の容量が逼迫した場合でも、スキャンの中断→画像を記録→スキャンの再開→画像を記録の流れにより、全ページに対応する画像を円滑に記録することができる。
【0095】
また、本実施形態では特に、前述のようにスキャン画像データ記憶領域120a内の容量逼迫でスキャンを中断する際、中断前の最後のスキャンページが奇数番目のページであった場合は、中断前の画像データでそのまま特殊適用サイズの記録用紙Sの両面に画像を記録すると、特殊適用サイズの記録用紙Sの最終ページの片面には画像が記録されず無駄になる。本実施形態においてはこれに対応し、このような場合には、中断前にスキャン画像データ記憶領域120aに最後に蓄積したページの画像データは画像の記録には使用されず、それ以外のページの画像データを用いて特殊適用サイズの記録用紙Sの表面及び裏面に画像の記録が行われる。これにより、中断前の処理において特殊適用サイズの記録用紙Sの最終ページの表面及び裏面の両方に画像が記録されるので、前述のような無駄が生じるのを回避することができる。
【0096】
ADF12によるスキャン動作の再開後は、前述の最後に蓄積したページの画像データと再開後にスキャン画像データ記憶領域120aに蓄積された画像データとを併せて用い、特殊適用サイズの記録用紙Sの表面及び裏面に対し画像の記録が行われる。これにより、中断前の処理において対応する画像を記録しなかった最後の蓄積ページの画像データに対応する画像を、スキャン動作の再開後における処理において特殊適用サイズの記録用紙Sに対し記録することができる。
【0097】
以上の結果、本実施形態によれば、前述のようにスキャンの中断→画像を記録→スキャンの再開→画像を記録、の流れで処理が行われる際、画像が記録されないページが生じる無駄を回避しつつ、全ページに対応する画像を円滑に記録することができる。
【0098】
<変形例>
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、以下のような変形例も技術的範囲に含まれる。
【0099】
(1)特殊適用サイズに対応した設定ボタンをデフォルトで必ず表示する場合
上記実施形態では、各設定操作画面130A~130Cにおける設定ボタンの表示で、特殊適用サイズの場合の手動再セットに対応する「(手動)」や「(手動両面)」の追加表示の有無をその時点での各種設定状態に応じて切り替えていた。これに対し本変形例では、特殊適用サイズの場合の手動再セットに対応する設定ボタンをデフォルトで必ず表示し、そのグレイアウトの切り換えによってユーザの選択設定を制限する。
【0100】
例えば、上記
図4、
図8に対応する
図15、
図16では、先に用紙サイズを選択設定し、その後に両面コピーについての設定操作画面130Cを表示する場合の表示処理を示している。また、上記
図5、
図9に対応する
図17、
図18では、先に両面コピーについて設定し、その後に用紙サイズについての設定操作画面130Bを表示する場合の表示処理を示している。そして、
図15~
図18のいずれの場合でも、用紙サイズの設定操作画面130B(
図15(b)、
図16(b)、
図17(d)、
図18(d))では、特殊適用サイズであるA6と2L判のそれぞれの設定ボタンで必ず「A6(手動両面)」、「2L判(手動両面)」と表示する。また、
図15~
図18のいずれの場合でも、両面コピーの設定操作画面130C(
図15(d)、
図16(d)、
図17(b)、
図18(b))では、通常適用サイズに対応した「片面→両面」コピーと「両面→両面」コピーの各設定ボタンと、特殊適用サイズの場合の手動再セットに対応した「片面→両面(手動)」コピーと「両面→両面(手動)」コピーの各設定ボタンを全て同時に表示する。
【0101】
そして、先に通常適用サイズであるA4を選択設定した場合の
図15(d)では、その通常適用サイズに対応した「片面→両面」コピーと「両面→両面」コピーの各設定ボタンが選択操作可能な状態で表示され、「片面→両面(手動)」コピーと「両面→両面(手動)」コピーの各設定ボタンは操作不能なグレイアウト状態で表示される。また、先に特殊適用サイズであるA6を選択設定した場合の
図16(d)では、その特殊適用サイズに対応した「片面→両面(手動)」コピーと「両面→両面(手動)」コピーの各設定ボタンが選択操作可能な状態で表示され、「片面→両面」コピーと「両面→両面」コピーの各設定ボタンはグレイアウト状態で表示される。なお、これら
図15、
図16に示す表示処理が第2操作不能化処理の一例である。
【0102】
また、先に手動再セットが不要な「両面→両面」コピーを選択設定した場合の
図17(d)では、その「両面→両面」コピーが可能、つまり両面印刷が可能なA3~A5の通常適用サイズの各設定ボタンが選択操作可能な状態で表示され、A6~名刺の特殊適用サイズ及び非適用サイズの各設定ボタンは操作不能なグレイアウト状態で表示される。これは、同じ手動再セットが不要な「片面→両面」コピーを先に選択設定した場合でも同様である。また、先に手動再セットが必要な「両面→両面(手動)」コピーを選択設定した場合の
図18(d)では、その「両面→両面(手動)」コピーが可能な「A6(手動両面)」、「2L判(手動両面)」の各設定ボタンが選択可能な状態で表示され、その他の通常適用サイズ及び非適用サイズの各設定ボタンは操作不能なグレイアウト状態で表示される。これは、同じ手動再セットが必要な「片面→両面(手動)」コピーを先に選択設定した場合でも同様である。なお、これら
図17、
図18に示す表示処理が第1操作不能化処理の一例である。
【0103】
以上説明したように、本変形例においては、CPU100が上記
図17、
図18に示した表示処理を実行することで、「片面→両面」コピーと「両面→両面」コピーの各設定ボタンの操作時には「A6(手動両面)」、「2L判(手動両面)」の各設定ボタンが操作不能となる。これにより、「片面→両面」コピーと「両面→両面」コピーの各設定ボタンの操作に基づき通常適用サイズの記録用紙SによるS300の手順が実行されることに対応し、「A6(手動両面)」、「2L判(手動両面)」の各設定ボタンの操作により記録対象として特殊適用サイズの記録用紙Sを指定できないようにすることができる。また、「片面→両面(手動)」コピーと「両面→両面(手動)」コピーの各設定ボタンの操作時には通常適用サイズの各設定ボタンが操作不能となる。これにより、「片面→両面(手動)」コピーと「両面→両面(手動)」コピーの各設定ボタンの操作に基づき特殊適用サイズの記録用紙SによるS25~S120の手順が実行されることに対応し、「片面→両面」コピーと「両面→両面」コピーの各設定ボタンの操作により記録対象として通常適用サイズの記録用紙Sを指定できないようにすることができる。言い換えれば、「片面→両面」コピーと「両面→両面」コピーの各設定ボタンを操作した場合には通常適用サイズの各設定ボタンのみが操作でき、「片面→両面(手動)」コピーと「両面→両面(手動)」コピーの各設定ボタンを操作した場合には特殊適用サイズの各設定ボタンのみが操作できるような、排他的な制御を実現することができる。
【0104】
また、本変形例では特に、CPU100が上記
図15、
図16に示した表示処理を実行することで、通常適用サイズの各設定ボタンの操作時には「片面→両面(手動)」コピーと「両面→両面(手動)」コピーの各設定ボタンが操作不能となる。これにより、通常適用サイズの各設定ボタンの操作により記録対象として通常適用サイズの記録用紙Sが指定されることに対応し、「片面→両面(手動)」コピーと「両面→両面(手動)」コピーの各設定ボタンの操作に基づき特殊適用サイズの記録用紙SによるS25~S120の手順が実行されないようにすることができる。また、特殊適用サイズの各設定ボタンの操作時には「片面→両面」コピーと「両面→両面」コピーの各設定ボタンが操作不能となる。これにより、特殊適用サイズの各設定ボタンの操作により記録対象として特殊適用サイズの記録用紙Sが指定されることに対応し、「片面→両面」コピーと「両面→両面」コピーの各設定ボタンの操作に基づき通常適用サイズの記録用紙SによるS300の手順が実行されないようにすることができる。言い換えれば、通常適用サイズの各設定ボタンを操作した場合には「片面→両面」コピーと「両面→両面」コピーのみが操作でき、特殊適用サイズの各設定ボタンを操作した場合には「片面→両面(手動)」コピーと「両面→両面(手動)」コピーの各設定ボタンのみが操作できるような、排他的な制御を実現することができる。
【0105】
(2)両面コピーの誤設定を自動修正する場合
上記第1変形例では、両面コピーの選択操作画面において、両面印刷を必要とする「片面→両面」コピーと「両面→両面」コピーについて、通常適用サイズに対応する「片面→両面」コピーと「両面→両面」コピーの各設定ボタンと、特殊適用サイズに対応する「片面→両面(手動)」コピーと「両面→両面(手動)」コピーの各設定ボタンの両方を必ず表示していた。一方、用紙サイズの選択操作画面においてはできるだけグレイアウトの表示数を少なくして選択肢を多くしたい場合がある。すなわち、先に両面コピーの選択設定を行った状態でも通常適用サイズと特殊適用サイズの全ての設定ボタンを操作可能に表示し、非適用サイズの各設定ボタンだけグレイアウト表示する場合がある。
【0106】
しかし以上の組み合わせで表示処理を行った場合には、両面コピーの選択操作画面において「片面→両面(手動)」コピーと「両面→両面(手動)」コピーの各設定ボタンにおける「(手動)」の表示の意味をユーザが理解しないまま誤った選択設定をしてしまう場合がある。つまり、先に通常適用サイズに対応する「片面→両面」コピーと「両面→両面」コピーの各設定ボタンを選択設定していながら、後に特殊適用サイズの各設定ボタンを選択操作してしまう場合がある。または、先に特殊適用サイズに対応する「片面→両面(手動)」コピーと「両面→両面(手動)」コピーの各設定ボタンを選択設定していながら、後に通常適用サイズの各設定ボタンを選択操作してしまう場合がある。
【0107】
これに対し本変形例では、ユーザによる用紙サイズの選択設定を優先して、両面コピーでの誤った選択設定を自動修正する。例えば上記
図17に対応する
図19に示すように、先に通常適用サイズに対応する「両面→両面」コピーの設定ボタンを選択設定していながら、後に特殊適用サイズのA6の設定ボタンを選択操作してしまった場合には、通常適用サイズに対応した「両面→両面」コピーの設定を自動的に解除し、その代わりに特殊適用サイズに対応した「両面→両面(手動)」コピーに自動的に設定する。または、上記
図18に対応する
図20に示すように、先に特殊適用サイズに対応する「両面→両面(手動)」コピーの設定ボタンを選択設定していながら、後に通常適用サイズのA4の設定ボタンを選択操作してしまった場合には、特殊適用サイズに対応した「両面→両面(手動)」コピーの設定を自動的に解除し、その代わりに通常適用サイズに対応した「両面→両面」コピーに自動的に設定する。
【0108】
以上説明したように、本変形例においては、CPU100が上記
図19、
図20に示した設定の自動修正を実行する。これにより、ユーザが両面コピーの選択操作画面における「(手動)」の表示の意味を理解しないまま誤った設定ボタンの選択設定をしてしまった場合でも、その後のユーザによる用紙サイズの選択設定を優先して適切な両面コピーの設定に自動修正できる。
【0109】
また、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、以下のような変形例も技術的範囲に含まれる。
【0110】
本変形例では、
図3に記載の非適用サイズに至っても「片面→両面(手動)」「両面→両面(手動)」コピーを適用する場合について記載する。本変形例で説明するのはADF12がない画像記録装置1についてであるが、ADF12がある画像記録装置1に採用してもよい。つまり本変形例は上記実施形態に併用させることが可能である。ADF12がない画像記録装置1、もしくは上記実施形態にて「両面→両面(手動)」コピーを行う場合は、フラットベッド11にてまず表面と裏面を読取り、その後両面印刷を実行する。「片面→両面(手動)」コピーも同様である。この時には、
図21に記載のように、非適用サイズが特殊適用サイズとなる。つまり
図3に記載の両面スキャン可否の制約が外れ、片面印刷さえできれば特殊適用サイズとみなすことができることとなる。
【0111】
ここで具体例を上げ説明する。例えば2L判の用紙サイズの原稿用紙Pの画像を2L判の用紙サイズの記録用紙Sに両面印刷する場合を考える。この時、両面印刷ができない特殊適用サイズであるため「片面→片面」コピーを繰り返し実施する必要があった。具体的には、2L判10枚の原稿用紙Pを「両面→両面」コピーしたい場合、20回の「片面→片面」コピーを実行する必要がある。つまりユーザは、原稿用紙P10枚の表面と裏面を20回セットしなおし、排出された記録用紙Sの裏面を10回再セットする必要がある。これは非常に煩雑であり、手間がかかる。
【0112】
この手間を解決する方法として考えられるのが以下の方法である。ユーザは、原稿用紙P10枚の表面を10回コピーし、表面だけが印刷され排紙された10枚の記録用紙Sの束を作る、そして、排出された10枚の記録用紙Sの束を給紙トレイ30に再度セットし、再度原稿用紙P10枚の裏面を10回コピーする。これで記録用紙Sの再セットは10回から1回に短縮される。しかしながらこの方法では別の問題が発生する。この問題に関する説明を、
図22(a)、
図22(b)、
図22(c)、
図22(d)、の4つの重なりパターンにて説明する。
【0113】
図22(a)に示す図は、フェイスアップで記録用紙Sが排出され、後続の用紙が上に積み重なる場合の図である。この時ユーザは、排出された10枚の記録用紙Sの表裏を反転させ、排出方向を給紙方向に合わせて再度給紙トレイ30に乗せればよい。
【0114】
図22(b)に示す図は、フェイスダウンで記録用紙Sが排出され、後続の用紙が下に積み重なる場合の図である。この時ユーザは、排出された10枚の記録用紙Sの表裏を反転させず、排出方向を給紙方向に合わせて再度給紙トレイ30に乗せればよい。
【0115】
図22(c)に示す図は、フェイスアップで記録用紙Sが排出され、後続の用紙が下に積み重なる場合の図である。この時ユーザは、10枚の記録用紙Sの表裏を反転させるだけでは順番通りの両面記録ができない。なぜなら10枚の記録用紙Sの表裏を反転させた場合に最も上に配置されているのは10枚目の紙だからである。この場合の正しい印刷方法としては、10枚目の原稿用紙Pから逆順で印刷を実行するか、もしくは10枚の記録用紙Sを並べなおし、裏面の一番上に1枚目の裏が配置されるようにする必要がある。また、すべての排出方向を給紙方向に合わせて給紙トレイ30に乗せる必要もある。
【0116】
図22(d)に示す図は、フェイスダウンで記録用紙Sが排出され、後続の用紙が上に積み重なる場合の図である。この時ユーザは、10枚の記録用紙Sの表裏を反転させる必要はないが、そのままのでは順番通りの両面記録ができなくなる。
図22(c)と同様、も上に配置されているのは10枚目の紙だからである。この場合においても
図22(c)と同様の対応が必要である。
【0117】
以上、
図22(a)、
図22(b)、
図22(c)、
図22(d)、の4つの重なりパターンについて説明した。ユーザはこれら4つのパターンのいずれで記録用紙Sが排出されているかを考えなければ、正確な両面コピーを実施することができない。また、これら4つのパターンのうちのいくつかは表裏反転が必要なだけでなく、並べ替えが必要な場合もある。ユーザがこれらすべて考慮して再度セットするのは非常に手間がかかる他、混乱を招く要因となる。
【0118】
本変形例では、上記問題を解決することができる。画像記録装置1はあらかじめ決められた固有の重なりパターンを有している。その固有パターンに応じて、「両面→両面」コピーで排出される印刷順を入れ替える。そして
図11に示す図に記載されているように、その入れ替え結果に応じた用紙のセット方法をアナウンスする。これによりユーザは対象の画像記録装置1にてあらかじめ決められた固有の重なりパターンを意識することなく、フラットベッド11による「両面→両面」コピーを実施することができる。また、用紙の入れ替えを必要とする
図22(c)、
図22(d)のような画像記録装置1であっても、ASIC20またはCPU100が、表面を印刷する再にフラットベッド11で読取った順とは逆順で印刷を実行することにより、
図22(a)、
図22(b)のいずれかに合わせることができるため、不要な入れ替えをする必要がなくなる。
【0119】
また、本変形例で説明した、画像記録装置1にてあらかじめ決められた固有の重なりパターンにおける記録順序の入れ替えは、
図7に再のST6にて「両面→両面(手動)」「片面→両面(手動)」を行った場合にも適用されることは言うまでもない。
【0120】
また、
図13、
図14に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0121】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0122】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0123】
1 画像記録装置
4 搬送ユニット(搬送機構の一例)
5 画像形成ユニット(記録部の一例)
9 反転ユニット(反転機構の一例)
12 原稿自動搬送装置、ADF(読取装置の一例)
30 給紙トレイ(トレイの一例)
100 CPU(制御部の一例)
120a スキャン画像データ記憶領域(記憶部の一例)
130 タッチパネル(表示装置の一例)
S 記録用紙(第1被記録媒体、第2被記録媒体の一例)
P 原稿用紙(被読取媒体の一例)