(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/04 20060101AFI20241114BHJP
G03B 27/50 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H04N1/04 106A
G03B27/50 A
(21)【出願番号】P 2020219168
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2023-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】謝 添錦
(72)【発明者】
【氏名】岡田 英和
(72)【発明者】
【氏名】前田 隆志
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-069743(JP,A)
【文献】特開2014-036349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04
G06T 1/00
G03B 27/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを収容する収容部と、
画像形成部と、
原稿を載置する原稿台と、
前記原稿台に載置された前記原稿に対するスキャンを行う読取センサと、
制御部と、
を備える画像形成装置であって、
前記原稿台は、
長辺及び短辺のいずれかを前記原稿台の基準位置に合わせて載置可能な第1サイズの原稿と、短辺を前記基準位置に合わせて載置可能でかつ長辺を前記基準位置に合わせて載置不能な第2サイズの原稿とを載置可能であり、
前記制御部は、
前記収容部内に収容された前記シートのサイズ情報を取得するサイズ情報取得処理を実行し、
前記サイズ情報取得処理で取得された前記サイズ情報に対応する前記シートのサイズが前記第1サイズを含む場合には、前記制御部は、
前記読取センサにより原稿サイズ検出のための予備スキャンを行う原稿サイズ検出処理と、
前記原稿サイズ検出処理により検出された前記原稿のサイズに基づき、前記読取センサにより原稿内容の取得のための本スキャンを行う第1読取処理と、
をさらに実行し、
前記サイズ情報取得処理で取得された前記サイズ情報に対応する前記シートのサイズが前記第2サイズのみである場合には、前記制御部は、
前記読取センサによる前記予備スキャンを行うことなく、前記サイズ情報取得処理により取得された前記サイズ情報に対応する前記シートのサイズに基づき、前記読取センサにより前記本スキャンを行う第2読取処理
をさらに実行し、
前記第1読取処理又は前記第2読取処理の後、前記制御部は、
前記本スキャンに基づき生成した画像を前記画像形成部により前記シートに形成する画像形成処理を実行する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記サイズ情報取得処理で取得された前記サイズ情報に対応する前記シートのサイズが前記第1サイズのみである場合には、前記原稿サイズ検出処理において、前記予備スキャンで第1方向の端部を検出し、
かつ、
前記原稿台に載置された前記第1サイズの原稿が前記短辺を前記基準位置に合わせて載置されているか前記長辺を前記基準位置に合わせて載置されているかを判断する、第1判断処理を実行し、
かつ、
前記第1読取処理において、前記第1判断処理での判断結果に応じた範囲において前記本スキャンを行う
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記収容部は複数設けられており、
前記制御部は、さらに、
前記サイズ情報取得処理で取得された前記サイズ情報に対応する前記シートのサイズが前記第1サイズ及び前記第2サイズの両方を含む場合、前記原稿サイズ検出処理において、前記予備スキャンで前記第1方向の端部及び前記第1方向と直交する第2方向の端部を検出し、
かつ、
前記原稿台に載置された原稿のサイズ及び載置の向きを判断する、第2判断処理を実行することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、さらに、
前記サイズ情報取得処理で取得された前記サイズ情報に対応する前記シートのサイズが前記第1サイズのみの場合は、前記読取センサを読取動作をさせない状態で初期位置HPから第1位置まで移動させ、前記サイズ情報取得処理で取得された前記サイズ情報に対応する前記シートのサイズが前記第1サイズ及び前記第2サイズの両方を含む場合は、前記読取センサを前記読取動作をさせない状態で前記初期位置HPから第2位置であって当該初期位置HPからの距離が前記第1位置よりも遠くなる第2位置まで移動させる、センサ移動処理を実行し、
前記第1読取処理では、
前記センサ移動処理により移動した前記第1位置又は前記第2位置から前記読取センサに前記予備スキャンを開始させる
ことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第2位置から開始した前記予備スキャンの結果に基づき前記第2判断処理で前記原稿が前記第1サイズであると判断された場合には、前記第1読取処理において前記読取センサを前記初期位置HPへ移動させながら前記本スキャンを行う
ことを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第2位置から開始した前記予備スキャンの結果に基づき前記第2判断処理で前記原稿が前記第2サイズであると判断された場合には、前記第2読取処理において前記読取センサを前記初期位置HPから離れる方向である第3位置へ移動させ、前記第3位置から前記初期位置HPへ移動させながら前記本スキャンを行う
ことを特徴とする請求項4又は請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記サイズ情報取得処理で取得された前記サイズ情報に対応する前記シートのサイズが前記第1サイズを含む場合における前記原稿サイズ検出処理及び前記第1読取処理、及び、前記サイズ情報取得処理で取得された前記サイズ情報に対応する前記シートのサイズが前記第2サイズのみである場合における前記第2読取処理を、前記本スキャンの読取結果に対する前記画像形成部により形成する画像の拡縮率の設定が等倍の場合に限り行う
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記収容部内に収容された前記シートのサイズを検知し、対応する検知信号を出力する検知部をさらに有し、
前記制御部は、前記サイズ情報取得処理において、
前記検知部からの前記検知信号に基づく前記サイズ情報を取得する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項9】
操作部をさらに有し、
前記制御部は、前記サイズ情報取得処理において、
前記操作部を介し入力された前記シートのサイズに基づく前記サイズ情報を取得する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読み取った原稿内容に対応した画像をシートに形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載のように、本来の原稿読み取りである本スキャンを行う前に、原稿サイズ検知のための原稿読み取りを行う画像読取装置が知られている。この従来技術では、原稿サイズ検知のための読み取りによって取得された複数ラインの画像データを用いて、原稿の副走査方向のサイズが判定され、原稿サイズが確定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の画像読取装置では、原稿サイズ検知のために副走査方向への予備スキャンを一律に行うため、予備スキャンに長い処理時間がかかる場合がある。原稿のサイズの手掛かりとなる別情報に基づいて予備スキャンに関する処理態様を変えることで、原稿の読み取りを完了するための所要時間を短縮することに関しては、特に考慮されていない。
【0005】
本発明の目的は、原稿サイズに関連する情報に基づき予備スキャンに関する処理態様を変化させることで原稿読み取り完了までの所要時間を短縮できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、シートを収容する収容部と、画像形成部と、原稿を載置する原稿台と、前記原稿台に載置された前記原稿に対するスキャンを行う読取センサと、制御部と、を備える画像形成装置であって、前記原稿台は、長辺及び短辺のいずれかを前記原稿台の基準位置に合わせて載置可能な第1サイズの原稿と、短辺を前記基準位置に合わせて載置可能でかつ長辺を前記基準位置に合わせて載置不能な第2サイズの原稿とを載置可能であり、前記制御部は、前記収容部内に収容された前記シートのサイズ情報を取得するサイズ情報取得処理を実行し、前記サイズ情報取得処理で取得された前記サイズ情報に対応する前記シートのサイズが前記第1サイズを含む場合には、前記制御部は、前記読取センサにより原稿サイズ検出のための予備スキャンを行う原稿サイズ検出処理と、前記原稿サイズ検出処理により検出された前記原稿のサイズに基づき、前記読取センサにより原稿内容の取得のための本スキャンを行う第1読取処理と、をさらに実行し、前記サイズ情報取得処理で取得された前記サイズ情報に対応する前記シートのサイズが前記第2サイズのみである場合には、前記制御部は、前記読取センサによる前記予備スキャンを行うことなく、前記サイズ情報取得処理により取得された前記サイズ情報に対応する前記シートのサイズに基づき、前記読取センサにより前記本スキャンを行う第2読取処理をさらに実行し、前記第1読取処理又は前記第2読取処理の後、前記制御部は、前記本スキャンに基づき生成した画像を前記画像形成部により前記シートに形成する画像形成処理を実行することを特徴とする。
【0007】
本願発明の画像形成装置は、収容部と、読取センサと、原稿台と、制御部と、を備える。原稿台には、第1サイズの原稿と第2サイズの原稿とが選択的に載置可能である。第1サイズは、原稿の長辺及び短辺のいずれかを原稿台の基準位置に合わせて載置できるサイズである。第2サイズは、原稿の短辺を原稿台の基準位置に合わせて載置できるが、原稿の長辺を原稿台の基準位置に合わせて載置することはできないサイズである。
制御部によりサイズ情報取得処理が実行されることで、収容部内に収容されたシートのサイズ情報が取得される。取得されたサイズ情報に対応するサイズの内容によって、その後の処理の内容が変化する。
【0008】
サイズ情報に対応するシートのサイズが第1サイズを含む場合、原稿サイズ検出処理と第1読取処理とが行われる。原稿サイズ検出処理では、読取センサにより、原稿サイズ検出のための予備スキャンが行われる。第1読取処理では、原稿サイズ検出処理により検出された原稿のサイズに基づいて読取センサにより原稿内容の取得のための本スキャンが行われる。
サイズ情報に対応するシートのサイズが第2サイズのみである場合、原稿サイズ検出処理は行わずに第2読取処理が行われる。第2読取処理では、サイズ情報取得処理により取得されたサイズ情報に対応するシートのサイズに基づいて読取センサにより原稿内容の取得のための本スキャンが行われる。すなわちこの場合、取得されたサイズ情報から原稿台に載置された原稿のサイズを推定することによって、原稿サイズ検出処理の予備スキャンが省略される。
本願発明によれば、取得されたサイズ情報に基づきその後の予備スキャンに関する処理態様が変化し、サイズ情報に対応するシートのサイズが第2サイズのみである場合には予備スキャンを行わない。これにより、原稿の読み取りを完了するまでの時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、原稿サイズに関連する情報に基づき予備スキャンに関する処理態様を変化させることで原稿読み取り完了までの所要時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態による画像形成装置の全体構成を表す模式図である。
【
図2】原稿スキャンユニットの内部構造を表す側断面図、及び、回動カバーを開いた状態で
図2(a)中の矢視Ibから見た平面図である。
【
図3】画像形成装置の制御系を表す機能ブロック図である。
【
図4】ガラス板上に原稿が載置されるときの、サイズごとの原稿の配置関係を表す図である。
【
図5】A4サイズを表すサイズ情報のみが取得された場合における、イメージセンサの移動挙動を表す説明図である。
【
図6】予備スキャンによりA4サイズ横置きの原稿であるとみなされた場合における、イメージセンサの移動挙動を表す説明図である。
【
図7】予備スキャンによりA4サイズ縦置きの原稿であるとみなされた場合における、イメージセンサの移動挙動を表す説明図である。
【
図8】予備スキャンによりA3サイズ横置きの原稿であるとみなされた場合における、イメージセンサの移動挙動を表す説明図である。
【
図9】A4サイズを表すサイズ情報とA3サイズを表すサイズ情報との両方が取得された場合における、イメージセンサの移動挙動を表す説明図である。
【
図10】予備スキャンによりA4サイズ横置きの原稿であるとみなされた場合における、イメージセンサの移動挙動を表す説明図である。
【
図11】予備スキャンによりA4サイズ縦置きの原稿であるとみなされた場合における、イメージセンサの移動挙動を表す説明図である。
【
図12】予備スキャンによりA3サイズ横置きの原稿であるとみなされた場合における、イメージセンサの移動挙動を表す説明図である。
【
図13】ラインスキャンデータの整列処理について説明する図である。
【
図14】CPU100が実行する制御手順の一例を表すフローチャートである。
【
図15】CPU100が実行する制御手順の一例を表すフローチャートである。
【
図16】CPU100が実行する制御手順の一例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<画像形成装置の全体構成>
本発明の一実施形態による画像形成装置101の全体構成を
図1に示す。
図1において、画像形成装置101は、装置本体102を備えている。装置本体102に、供給ユニット103と、搬送ユニット104と、画像形成ユニット105と、排出ユニット108と、原稿スキャンユニット110と、が備えられている。排出ユニット108のある側が画像形成装置101の前側であり、搬送ユニット104のある側が画像形成装置101の後側である。また供給ユニット103のある側が画像形成装置101の下側であり、原稿スキャンユニット110のある側が画像形成装置101の上側である。
【0012】
<供給ユニット>
供給ユニット103は、装置本体102の下部に着脱可能にそれぞれ装着される複数の給紙トレイ130を備えている。給紙トレイ130内には、画像形成の対象となる記録用紙Sが収容可能となっている。給紙トレイ130が収容部の一例であり、記録用紙Sがシートの一例である。本実施形態では、記録用紙Sとして、A4サイズの用紙、若しくは、A3サイズの用紙を用いることができる。A4サイズが第1サイズの一例であり、A3サイズが第2サイズの一例である。給紙トレイ130としては、A4サイズに対応した種類と、A3サイズに対応した種類と、を含む複数種類が用いられる。各種類の給紙トレイ130が装置本体102の下部に着脱可能である。本実施形態では、装置本体102の下部における給紙トレイ130の装着箇所に、どのサイズの用紙の給紙トレイ130が装着されたかを検知可能なトレイセンサSE(後述の
図3参照)が設けられている。トレイセンサSEは、いずれの種類の給紙トレイ130が装着されたかを検知することで、間接的にいずれのサイズの記録用紙Sが収容されているかを検知する。トレイセンサSEは、検知結果に対応する検知信号を出力する。トレイセンサSEが検知部の一例である。
【0013】
装置本体102の下部には、各給紙トレイ130に対応して、給紙ローラ132がそれぞれ設けられている。給紙ローラ132は、給紙トレイ130内の後側で記録用紙Sの上面に接触するよう設けられる。画像形成装置101の後側においては、給紙ローラ132から搬送ユニット104及び画像形成ユニット105を介して排出ユニット108へ至る搬送経路Lが形成されている。給紙トレイ130内に記録用紙Sが保持されている場合は、給紙ローラ132は、給紙トレイ130内の記録用紙Sを1枚ずつ取り出し、搬送経路Lに沿って搬送ユニット104及び画像形成ユニット105へ向けて搬送する。
【0014】
<搬送ユニット>
搬送ユニット104は、供給ユニット103から供給される記録用紙Sを保持して画像形成ユニット105に搬送する。搬送ユニット104は、図示しないモータによって駆動される搬送ローラ133aと、レジストローラ134と、を備えている。搬送ローラ133aは、記録用紙Sに搬送力を付与するローラである。給紙ローラ132から搬送ローラ133aに向けて搬送されてきた記録用紙Sは、搬送ローラ133aと紙粉取りローラ133bとで挟持され、搬送経路Lに沿ってレジストローラ134へ向けて搬送される。レジストローラ134は、記録用紙Sの姿勢を矯正した後、画像形成ユニット105へと搬送する。
【0015】
<画像形成ユニット>
画像形成ユニット105は、搬送ユニット104から搬送されてきた記録用紙Sに対し、周知の電子写真方式、若しくはインクジェット方式、若しくは熱転写方式、等によって画像を形成して印刷を行う。画像形成ユニット105から搬送ローラ137に向けて搬送されてきた記録用紙Sは、搬送ローラ137で挟持され、搬送経路Lに沿って排出ローラ181へ向けて搬送される。画像形成ユニット105が画像形成部の一例である。
【0016】
<排出ユニット>
排出ユニット108は、画像が形成され画像形成ユニット105から排出された記録用紙Sを、画像形成装置101の外部へ排出する。排出ユニット108は、排出ローラ181と、排出コロ182と、排出口183と、排出トレイ184とを備えている。排出ローラ181は、前述のモータからの動力により回転駆動され、画像形成ユニット105から排出された記録用紙Sを、排出トレイ184に向けて搬送する。
【0017】
<原稿スキャンユニット>
原稿スキャンユニット110は、装置本体102の上方に設けられたフラットベッド111と、このフラットベッド111の上方に回動可能に設けられた回動カバー4と、を備えている。
【0018】
原稿スキャンユニット110の詳細構成を
図2により説明する。
図2に示すように、フラットベッド111には、ヒンジ3と、上記回動カバー4と、開閉検出スイッチ5と、ガラス板7と、イメージセンサ8と、ガイドレール9と、が備えられている。
フラットベッド111は例えば中空の箱体形状の構造物である。フラットベッド111の上面に矩形のガラス板7が水平に広く貼りわたされるよう設けられている。フラットベッド111のガラス板7が原稿台の一例である。
【0019】
ガラス板7の下にはガイドレール9に沿って前後方向に移動可能なイメージセンサ8が設けられている。イメージセンサ8が読取センサの一例である。イメージセンサ8は、例えば図示しないモータの駆動力が送りネジを介して伝達されることで、ガラス板7の前後方向の全体にわたって移動する。イメージセンサ8は、ガラス板7の上面に載置された原稿Pの下面を光学的に読み取ることができる。以下適宜、イメージセンサ8が原稿Pを光学的に読み取ることを単に「スキャンする」又は「原稿をスキャンする」等と称し、イメージセンサ8による原稿Pの光学的な読み取りのことを単に「スキャン」又は「原稿スキャン」等と称する。
【0020】
回動カバー4は、フラットベッド111の上面の前側に配置されたヒンジ3を介して回動可能に設けられている。回動カバー4がヒンジ3を中心に回動することで原稿スキャンユニット110に対する開閉動作が可能となっている。ユーザは回動カバー4を開いた状態で原稿Pをガラス板7上に載置することで、回動カバー4が閉じた状態でイメージセンサ8が原稿Pの下面をスキャンする。
【0021】
開閉検出スイッチ5は、フラットベッド111の上面に設けられ、回動カバー4の開閉状態を検出し、対応する信号をCPU100へ出力する。また、フラットベッド111の上壁の内面側でガラス板7よりも前側には、図中の左右方向に延びる白テープ6が貼り付けられている。イメージセンサ8はこの白テープ6の下方位置まで前側に移動可能となっている。
【0022】
<制御系>
前述のモータの回転及び停止を含む画像形成装置101各部の動作は、特定用途向け集積回路であるASIC(application specific integrated circuit)20により制御される。ASIC20を含む画像形成装置101の制御系を
図3により説明する。
【0023】
図3に示すように、ASIC20には、CPU100が含まれる。CPU100は制御部の一例である。ASIC20には、ROM115と、RAM120と、タッチパネル190と、画像形成ユニット105と、回転駆動回路150と、ネットワーク制御部170と、イメージセンサ8と、トレイセンサSEと、開閉検出スイッチS5と、がそれぞれ接続されている。
【0024】
ROM115には、後述の
図14~
図16等に示すフローチャートを実行するための制御プログラムを含む、画像形成装置101が動作するのに必要な各種制御プログラムが記憶されている。
RAM120には、画像データ記憶領域120aが備えられる。画像データ記憶領域120aには、イメージセンサ8で原稿Pをスキャンした結果のスキャン画像データ、CPU100によって生成された印刷画像データ、等が記憶される。
【0025】
CPU100は、ROM115から読み出したプログラムに従って各部の制御を行うとともに、後述する
図14~
図16等に示すフローチャートを実行する。CPU100は、ASIC20を介して画像形成ユニット105へ印刷指示信号を出力することで、当該画像形成ユニット105による記録用紙Sへの画像形成を指示する。CPU100は、ASIC20を介して前述のモータの回転を制御する回転駆動回路150へ駆動制御信号を出力することで、前述のモータの回転を制御する。CPU100は、ASIC20を介してネットワーク制御部170を制御することで、無線又は有線によるネットワーク通信を介し、外部端末300と情報の送受信を行う。CPU100は、ASIC20を介してトレイセンサSEから入力した検知信号に基づき、装置本体102内に装着されているすべての給紙トレイ130内の記録用紙Sのサイズ情報を取得する。
【0026】
イメージセンサ8は、この例では反射型のセンサである。イメージセンサ8は、出射光Laを発光する発光部211aと、発光部211aから発光された出射光Laの反射光Lbを受光可能な受光部211bと、を有する。
【0027】
タッチパネル190は、適宜の表示を行うと共に、ユーザが所望の操作を行うことができる。タッチパネル190が操作部の一例である。
【0028】
<原稿サイズ>
前述のスキャン実行時にガラス板7に各種サイズの原稿Pがセットされる際の、ガラス板7に対する原稿Pの位置関係を、
図4により説明する。図示のように、この例では、矩形のガラス板7は、長辺が前後方向、短辺が左右方向となるように配置されている。ガラス板7の前後方向及び左右方向の寸法は、A3サイズよりも若干大きくなっている。
【0029】
ユーザが手作業で原稿Pをガラス板7上に載置する際には、ガラス板7の前方右側の角点である載置基準点Tに原稿Pのいずれかの一点の角点を合わせ、当該原稿Pの各辺を前後方向又は左右方向に対して平行とする、いわゆる前詰めかつ右詰めの配置で載置する。載置基準点Tと、ガラス板7の前方左側の点T′とを結ぶ線分TT′を、以下適宜「基準位置」と称する。
【0030】
A3サイズの原稿Pは、長辺420mm、短辺297mmの長さである。A3サイズの原稿Pは、長手方向を前後方向とする姿勢、すなわち短辺を基準位置に合わせる姿勢でガラス板7に対し載置可能である。以下適宜、この姿勢を当該A3サイズの原稿Pの「横置き」と称する。言い換えれば、A3サイズの原稿Pは、原稿Pの長辺を基準位置に合わせる姿勢ではガラス板7に対し載置不能である。本明細書において、この「載置不能」とは、A3サイズの原稿Pの長辺を基準位置に合わせる姿勢でガラス板7に載置した場合には、原稿Pの全体をスキャンできず原稿Pの一部しかスキャンできないという意味であり、原稿Pを物理的に載置できないという意味ではない。
【0031】
A4サイズの原稿Pは、長辺297mm、短辺210mmの長さである。A4サイズの原稿Pは、長手方向を前後方向とする姿勢すなわち短辺を基準位置に合わせる姿勢でガラス板7に対し載置可能である。以下適宜、この姿勢を当該A4サイズの原稿Pの「横置き」と称する。A4サイズの原稿Pは、長手方向を左右方向とする姿勢すなわち長辺を基準位置に合わせる姿勢でもガラス板7に対し載置可能である。以下適宜、この姿勢を当該A4サイズの原稿Pの「縦置き」と称する。
【0032】
本実施形態は、A4サイズの原稿P又はA3サイズの原稿Pがガラス板7に載置される場合を、処理対象とする実施形態である。処理の詳細については後述する。
図4には、長辺210mm、短辺148.5mmであるA5サイズの原稿P、長辺279.4mm、短辺215.9mmであるLetterサイズの原稿Pについても、上記同様の「縦置き」「横置き」の姿勢を併せて図示している。
【0033】
<イメージセンサ>
イメージセンサ8は、ガラス板7の左右方向の全体にわたって延びるライン画像読取りセンサであり、ガラス板7の左右方向に多数のセンサ素子が一列に配列されている。
図4中においては、図示の煩雑を回避するためにイメージセンサ8の図示を省略している。イメージセンサ8は、前後方向における一方側から他方側へ向けてガラス板7の下方で移動することにより、原稿Pの下面全体を光学的にスキャンすることができる。イメージセンサ8が一括してスキャンできる1ライン分の方向、すなわち左右方向が主走査方向である。また、イメージセンサ8が移動する前後方向が副走査方向である。主走査方向が第1方向の一例であり、副走査方向が第2方向の一例である。
【0034】
イメージセンサ8の各センサ素子は、ガラス板7を介して原稿Pの表面領域と上記回動カバー4の下面領域とを区別して認識可能な程度に高い感度を有している。
イメージセンサ8は、副走査方向の任意の位置において、センサ素子どうしの間の受光強度の差に基づき、原稿Pの表面領域と回動カバー4の下面領域との境界の有無を検出可能である。CPU100は、イメージセンサ8の検出結果に基づき、主走査方向における原稿Pのエッジの有無及びエッジがある場合はその位置を検出することができる。主走査方向におけるエッジとは、エッジ前後の段差が主走査方向に生じる、副走査方向に延びるエッジである。以下適宜、このようなイメージセンサ8の検出結果に基づくCPU100のエッジ有無又はエッジ位置の検出を、単に「イメージセンサ8によりエッジ有無又はエッジ位置の検出を行う」のように記載する。イメージセンサ8は、副走査方向における移動中において、1ライン全体での受光強度の変化に基づき、原稿Pの表面領域と回動カバー4の下面領域との境界の有無及び境界があった場合はその境界の位置を検出可能である。言い換えれば、イメージセンサ8は、副走査方向における原稿Pのエッジの有無及びエッジがある場合はそのエッジの位置を検出することができる。副走査方向におけるエッジとは、エッジ前後の段差が副走査方向に生じる、主走査方向に延びるエッジである。
なお、本実施形態ではイメージセンサ8による上記エッジ検出と前述の原稿スキャンとでは、検出時の各種処理が異なる。エッジ検出は、原稿スキャンよりも比較的簡易な処理で実行可能となっている。
【0035】
イメージセンサ8に備えられる多数のセンサ素子どうしの間では、経年劣化などによって個々の受光強度に差が生じることがある。これに対応して、本実施形態では、毎回のスキャン動作前に、光の反射が一様な上記白テープ6の下方位置でイメージセンサ8がスキャン動作を実行し、その際に個々のセンサ素子で検出された受光強度データどうしの間で、シェーディング補正が行われる。CPU100は、開閉検出スイッチ5の検出結果に基づき、閉じていた回動カバー4が開かれて原稿Pが載置されたと推定される際は、回転駆動回路150を介しイメージセンサ8を白テープ6の下方の初期位置HPまで移動させ、シェーディング補正を実行する。
なお、本実施形態では、例えば、イメージセンサ8の副走査方向の移動時において、スキャンを行わずに上記初期位置HPなどの特定位置まで直行する移動速度が最も早く、上記のエッジ検出をしながらの移動速度、原稿Pのスキャンをしながらの移動速度、の順に移動速度が遅くなる。
【0036】
<実施形態の特徴>
原稿スキャンユニット110におけるスキャン処理の全体に係る所要時間は、主に副走査方向におけるイメージセンサ8のスキャン移動距離、すなわち原稿Pの副走査方向における長さ寸法の大きさに強く依存する。このため、このスキャン処理全体の所要時間を短縮するためには、あらかじめイメージセンサ8の読取対象領域、すなわち原稿Pの用紙サイズとその載置姿勢を特定することが好ましい。したがって、通常、原稿Pがガラス板7に載置された後で本スキャンを実行する前に、当該原稿Pの用紙サイズとその載置姿勢を迅速に特定するための予備スキャンが実行される。
【0037】
本実施形態の特徴は、前述のようにトレイセンサSEの検知信号に基づき取得した記録用紙Sのサイズ情報に応じて、CPU100が、予備スキャンに関する処理態様を変化させることにある。以下、その詳細を順を追って説明する。
【0038】
<準備工程>
まず、回動カバー4が閉状態において、回動カバー4の開状態が検出されると、イメージセンサ8を初期位置HPに移動させてシェーディング補正が行われる。その後、給紙トレイ130に収容された記録用紙Sのサイズに応じて、以下の処理が実行される。
【0039】
<A4サイズを表すサイズ情報のみであった場合>
すなわち、装置本体102内に装着されている給紙トレイ130がいずれも、A4サイズの記録用紙Sを収納したトレイであった場合である。この場合、ガラス板7に載置される、読取対象となる原稿Pのサイズもまた、A4サイズであると推定される。そこで本実施形態では、原稿Pが前述した「A4サイズ縦置き」「A4サイズ横置き」のいずれに該当するかを検知するために、CPU100の制御によって以下のような処理が実行される。
【0040】
すなわちまず
図5(a)に示すように、イメージセンサ8は、前述の初期位置HPから、ガラス板7の前端よりやや後側の位置S2まで移動する。位置S2が第1位置の一例である。なおこのときの初期位置HPから位置S2までの移動は、読み取り動作を行わない移動である。以下適宜、このような移動を「直行移動」と称する。
【0041】
その後、
図5(b)に示すように、イメージセンサ8は、位置S2から、位置S2よりもわずかに前側である位置S2′まで移動しつつ、原稿Pに対し読み取りを行う。CPU100は、イメージセンサ8の読み取り結果に基づき、位置S2と位置S2′との間の領域における、主走査方向のエッジ検出を行う。主走査方向のエッジ検出とは、原稿Pの右端及び左端を検出することを示す。以下適宜、このようなイメージセンサ8の移動を「エッジ検出移動」と称する。このエッジ検出が、A4サイズのサイズ情報が取得された場合の予備スキャンの一例に相当している。
【0042】
主走査方向のエッジを検出した結果、検出した2つのエッジの長さがA4サイズの原稿Pの短辺と略同じである場合は、
図6(a)に示すように、ガラス板7に対しA4サイズの原稿Pが横置きにされているとみなすことができる。そこで、イメージセンサ8は、前述の位置S2′から位置S1まで直行移動する。位置S1は、前述の基準位置よりも少し前側の、ガラス板7外となる位置である。位置S1と前述の位置S2との間は、例えば10mm程度離間している。
【0043】
その後、
図6(b)に示すように、イメージセンサ8は、位置S1から、位置S3″まで移動しつつ、原稿Pのスキャンを行う。位置S″は、横置きにしたA4サイズの原稿Pの後端よりも少し後側に相当する位置である。以下適宜、このようなイメージセンサ8の移動を「スキャン移動」と称する。これにより、イメージセンサ8によって、ガラス板7に対し横置きに載置されたA4サイズの原稿Pの内容が読み取られ、CPU100により、その読み取り結果に対応する画像データが生成される。
【0044】
主走査方向のエッジを検出した結果、検出した2つのエッジの長さがA4サイズの原稿Pの長辺と略同じである場合は、
図7(a)に示すように、ガラス板7に対しA4サイズの原稿Pが縦置きにされているとみなすことができる。そこで、イメージセンサ8は、前述同様、位置S2′から位置S1まで直行移動する。
【0045】
その後、
図7(b)に示すように、イメージセンサ8は、位置S1から、位置S3′までスキャン移動する。位置S3′は、縦置きにしたA4サイズの原稿Pの後端よりも少し後側に相当する位置である。これにより、イメージセンサ8によって、ガラス板7に対し縦置きに載置されたA4サイズの原稿Pの内容が読み取られ、CPU100により、その読み取り結果に対応する画像データが生成される。このときの原稿Pの読み取りが本スキャンの一例に相当している。
【0046】
<A3サイズを表すサイズ情報のみであった場合>
すなわち、装置本体102内に装着されている給紙トレイ130がいずれも、A3サイズの記録用紙Sを収納したトレイであった場合である。この場合、ガラス板7に載置される、読取対象となる原稿Pのサイズもまた、A3サイズであると推定される。そこで本実施形態では、原稿Pが前述した「A3サイズ横置き」に該当するとみなして、CPU100の制御によって以下のような処理が実行される。
【0047】
すなわちまず
図8(a)に示すように、イメージセンサ8は、前述の初期位置HPから、前述の位置S1まで移動する。このときの初期位置HPから位置S1までの移動は、読み取り動作を行わない直行移動である。
【0048】
その後、
図8(b)に示すように、イメージセンサ8は、位置S1から、位置S4までスキャン移動する。位置S4は、横置きにしたA3サイズの原稿Pの後端よりも少し後側に相当する位置である。すなわち、A3サイズのサイズ情報が取得された場合は、A4サイズのサイズ情報が取得された場合とは異なり予備スキャンが実行されない。上記スキャン移動により、イメージセンサ8によって、ガラス板7に対し縦置きに載置されたA3サイズの原稿Pの内容が読み取られ、CPU100により、その読み取り結果に対応する画像データが生成される。このときの原稿Pの読み取りもまた本スキャンの一例に相当している。
【0049】
<A3サイズを表すサイズ情報及びA4サイズを表すサイズ情報の両方があった場合>
すなわち、装置本体102内に装着されている給紙トレイ130に、A4サイズの記録用紙Sを収納したトレイと、A3サイズの記録用紙Sを収納したトレイと、の両方が含まれていた場合である。この場合、ガラス板7に載置される、読取対象となる原稿Pのサイズは、A4サイズ又はA3サイズのいずれかであると推定される。そこで本実施形態では、原稿Pが「A4サイズ縦置き」「A4サイズ横置き」「A3サイズ横置き」のいずれに該当するかを検知するために、CPU100の制御によって以下のような処理が実行される。
【0050】
すなわちまず
図9(a)に示すように、イメージセンサ8は、前述の初期位置HPから、ガラス板7の前後方向略中央部の位置S3まで直行移動する。位置S3は、縦置きにしたA4サイズの原稿Pの後端よりも少し前側に相当する位置である。位置S3は、前述の位置S3′よりもやや前側に位置する。位置S3は、初期位置HPからの距離が位置S2よりも遠い。位置S3が第2位置の一例である。
【0051】
その後、
図9(b)に示すように、イメージセンサ8は、位置S3から、位置S3よりもわずかに後側である位置S3′までエッジ検出移動を行い、位置S3と位置S3′との間の領域における、主走査方向及び副走査方向のエッジ検出を行う。このエッジ検出が、A4サイズのサイズ情報及びA3サイズのサイズ情報の両方が取得された場合の予備スキャンの一例に相当している。
【0052】
主走査方向のみエッジが検出され、かつ、主走査方向で検出した2つのエッジの長さがA4サイズの原稿Pの短辺と略同じである場合は、
図10(a)に示すように、ガラス板7に対しA4サイズの原稿Pが横置きにされているとみなすことができる。そこで、イメージセンサ8は、位置S3′から後側へ向けてエッジ検出移動を行い、横置きされたA4サイズの原稿Pの後端部のエッジ検出を行う。
【0053】
横置きされたA4サイズの原稿Pの後端部が検出されたら、イメージセンサ8は、
図10(b)に示すように、その後端部のエッジを検出した位置から、位置S1までスキャン移動しつつ、原稿Pのスキャンを行う。イメージセンサ8によって、ガラス板7に対し横置きに載置されたA4サイズの原稿Pの内容が読み取られ、CPU100により、その読み取り結果に対応する画像データが生成される。このときの原稿Pの読み取りもまた本スキャンの一例に相当している。
【0054】
前述したように、位置S3′は、縦置きにしたA4サイズの原稿Pの後端よりも少し後側に相当する位置である。位置S3は、縦置きにしたA4サイズの原稿Pの後端よりも少し前側に相当する位置である。したがって、主走査方向のエッジが検出され、かつ副走査方向のエッジが検出された場合は、
図11(a)に示すように、ガラス板7に対しA4サイズの原稿Pが縦置きにされているとみなすことができる。そこで、イメージセンサ8は、位置S3′から前側へ向けてエッジ検出移動を行い、縦置きされたA4サイズの原稿Pの後端部のエッジ検出を行う。
【0055】
縦置きされたA4サイズの原稿Pの後端部が検出されたら、イメージセンサ8は、
図11(b)に示すように、その後端部のエッジを検出した位置から、位置S1までスキャン移動しつつ、原稿Pのスキャンを行う。イメージセンサ8によって、ガラス板7に対し縦置きに載置されたA4サイズの原稿Pの内容が読み取られ、CPU100により、その読み取り結果に対応する画像データが生成される。このときの原稿Pの読み取りもまた本スキャンの一例に相当している。
【0056】
主走査方向のみエッジが検出され、かつ、主走査方向で検出した2つのエッジの長さがA3サイズの原稿Pの短辺と略同じである場合は、
図12(a)に示すように、ガラス板7に対しA3サイズの原稿Pが横置きにされているとみなすことができる。そこで、イメージセンサ8は、位置S3′から後側へ向けてエッジ検出移動を行い、横置きされたA3サイズの原稿Pの後端部のエッジ検出を行う。
【0057】
横置きされたA3サイズの原稿Pの後端部が検出されたら、イメージセンサ8は、
図12(b)に示すように、その後端部のエッジを検出した位置から、位置S1までスキャン移動しつつ、原稿Pのスキャンを行う。イメージセンサ8によって、ガラス板7に対し横置きに載置されたA3サイズの原稿Pの内容が読み取られ、CPU100により、その読み取り結果に対応する画像データが生成される。このときの原稿Pの読み取りもまた本スキャンの一例に相当している。
【0058】
<ラインスキャンデータの逆整列処理>
なお、上記の
図10(b)、
図11(b)、及び
図12(b)で実行されるいずれの場合も、イメージセンサ8は読取対象領域に対して後端位置から前端位置へ向かう方向でのスキャン移動となるため、以下のような不都合が生じる。すなわち、
図6(b)、
図7(b)、及び
図8(b)で実行されるような通常のスキャン移動では、例えば
図13(a)に示すように、イメージセンサ8が主走査方向での1ラインスキャンを前側から後側への移動中に繰り返し実行する。そして、取得した各ラインスキャンデータをその取得順に対応したラインデータ整列方向で上記画像データ記憶領域120a中に並べて記憶することで、原稿Pの内容と上下方向、左右方向ともに一致させた正対姿勢の画像データとして記憶することができる。
【0059】
これに対し、
図13(b)に示すようにイメージセンサ8が上記とは逆に後側から前側へスキャン移動した際、仮に、ラインデータ整列方向を変更せずに各ラインスキャンデータを取得順のまま画像データ記憶領域120a中に記憶したとすると、原稿Pの内容と上下方向が反転した内容の画像データとして記憶されることとなる。
【0060】
そこで本実施形態では、
図13(c)に示すように、後側から前側へのスキャン移動で取得した各ラインスキャンデータをその取得順で別途のバッファ領域に一旦記録しておき、その後に取得順と逆順で各ラインスキャンデータを再整列させる逆整列処理を行って本来の記憶領域に記録する。これにより、原稿Pの表記画像と上下方向を一致させた正対姿勢の画像データとして記憶することができる。なお、各ラインスキャンデータの取得時にラインデータ整列方向自体を反転して画像データ領域に記録してもよい。
【0061】
<制御手順>
上記の手法を実現するための手法の一例として、CPU100が実行する制御手順を、
図14~
図16のフローチャートを用いて説明する。このフローは、ガラス板7上に原稿Pが載置されておらず回動カバー4が閉状態となっている状態で実行開始される。
【0062】
図14において、まずS1で、トレイセンサSEから入力した検知信号に基づき、装置本体102内に装着されているすべての給紙トレイ130内の記録用紙Sのサイズ情報が取得される。S1で実行する処理がサイズ情報取得処理の一例である。
S5で、開閉検出スイッチ5の検出結果に基づき回動カバー4が開状態であるか否かが判定される。回動カバー4が閉状態となったらYes判定され、S10へ移行する。
【0063】
S10では、その時点でイメージセンサ8が初期位置HPに位置しているか否かが判定される。イメージセンサ8が初期位置HPに位置していた場合にはYES判定となり、後述のS20へ移行する。イメージセンサ8が初期位置HPに位置していなかった場合にはNO判定となり、S15へ移行する。
S15では、回転駆動回路150を介した制御により、イメージセンサ8が初期位置HPへ直行移動する。
【0064】
S20で、初期位置HPの白テープ6に対しイメージセンサ8によりスキャン動作が実行され、個々のセンサ素子で検出された受光強度データ間でのシェーディング補正が適宜の手法により行われる。
【0065】
その後S22で、S1での取得結果に基づき、取得されたサイズ情報がすべてA4サイズを表す情報であったか否か、が判定される。取得されたサイズ情報にA4サイズ以外のサイズを表す情報、すなわちこの例ではA3サイズを表す情報が含まれていた場合はNo判定となり、後述のS60へ移行する。取得されたサイズ情報にA4サイズのみが含まれていた場合はYes判定となり、S25へ移行する。
S25では、回転駆動回路150を介した制御により、イメージセンサ8が位置S2へ直行移動する(
図5(a)参照)。S25で実行する処理がセンサ移動処理の一例である。
【0066】
S30で、開閉検出スイッチ5の検出結果に基づき回動カバー4が閉じ状態となったか否かが判定される。回動カバー4が閉じ状態となったらYes判定され、S35へ移行する。
S35では、イメージセンサ8を位置S2からS2′までエッジ検出移動させる予備スキャンが実行される(
図5(b)参照)。
S40で、S35でのエッジ検出結果に基づき、主走査方向のエッジの長さがA4サイズの原稿Pの短辺と略同じか否かが判定される。S40で実行する処理が第1判断処理の一例である。主走査方向のエッジがA4サイズの原稿Pの短辺と略同じであればYes判定され、S45でガラス板7上の原稿PはA4サイズ横置き配置であると識別されて、後述のS55へ移行する。主走査方向のエッジの長さがA4サイズの原稿Pの短辺と略同じではない、すなわち、エッジの長さがA4サイズの原稿Pの長辺と略同じであればNo判定され、S50でガラス板7上の原稿PはA4サイズ縦置き配置であると識別されて、S55へ移行する。
【0067】
S55では、回転駆動回路150を介した制御により、イメージセンサ8が位置S1へ直行移動する(
図6(a)及び
図7(a)参照)。その後、
図15のS100へ移行する。
【0068】
S22がNo判定となり移行したS60では、S1での取得結果に基づき、取得されたサイズ情報がすべてA3サイズを表す情報であったか否か、が判定される。取得されたサイズ情報にA3サイズ以外のサイズを表す情報が含まれていた場合、すなわちこの例ではA4サイズを表す情報とA3サイズを表す情報の両方が含まれていた場合、はNo判定となり、後述のS75へ移行する。取得されたサイズ情報にA3サイズのみが含まれていた場合はYes判定となり、S65へ移行する。
【0069】
S65では、回転駆動回路150を介した制御により、イメージセンサ8が位置S1へ直行移動する(
図8(a)参照)。
S70で、開閉検出スイッチ5の検出結果に基づき回動カバー4が閉じ状態となったか否かが判定される。回動カバー4が閉じ状態となったらYes判定され、S72でガラス板7上の原稿PはA3サイズ横置き配置であると識別されて、
図15のS100へ移行する。
【0070】
図15のS100では、この時点で、ガラス板7上の原稿PがA4サイズの横置き配置と識別されているか否かが判定される。S45においてA4サイズ横置き配置と識別されていた場合はYes判定となり、後述のS140へ移行する。A4サイズ横置き配置と識別されていない場合はNo判定となり、S110へ移行する。
【0071】
S110で、ガラス板7上の原稿PがA4サイズの縦置き配置と識別されているか否かが判定される。S72においてA3サイズ横置き配置と識別されていた場合はNo判定となり、後述のS130へ移行する。A4サイズ縦置き配置と識別されていた場合はYes判定となり、S120へ移行する。
【0072】
S120では、イメージセンサ8が、位置S1から後側へ向かって位置S3′へスキャン移動する(上記
図7(b)参照)。S120で実行する処理が第1読取処理の一例である。
【0073】
S100がYes判定されて移行したS140では、イメージセンサ8が、位置S1から後側へ向かって位置S3″へスキャン移動する(上記
図6(b)参照)。S140で実行する処理もまた第1読取処理の一例である。
【0074】
S110がNo判定されて移行したS130では、イメージセンサ8が、位置S1から後側へ向かって位置S4へスキャン移動する(上記
図8(b)参照)。S130で実行する処理が第2読取処理の一例である。
【0075】
S120、S130、S140の後は、S125に移行し、これまでに取得された各ラインスキャンデータが整列されて画像データ記憶領域120a中に記憶される。そして、このフローを終了する。
【0076】
一方、
図14に戻り、S60がNo判定となり移行したS75では、回転駆動回路150を介した制御により、イメージセンサ8が位置S3へ直行移動する(
図9(a)参照)。S75で実行する処理もまたセンサ移動処理の一例である。
【0077】
S80で、開閉検出スイッチ5の検出結果に基づき回動カバー4が閉じ状態となったか否かが判定される。回動カバー4が閉じ状態となったらYes判定され、S85へ移行する。
S85では、イメージセンサ8を位置S3からS3′までエッジ検出移動させる予備スキャンが実行される(
図9(b)参照)。S85及び前述のS35で実行する処理がサイズ検出処理の一例である。その後、
図16のS150へ移行する。
【0078】
図16のS150では、S85でのエッジ検出結果に基づき、主走査方向のエッジの長さがA4サイズの原稿Pの短辺と略同じか否か、が判定される。エッジの長さがA4サイズの原稿Pの短辺と略同じでない、すなわち、エッジの長さがA4サイズの原稿Pの長辺と略同じであればNo判定され、後述のS190へ移行する。エッジの長さがA4サイズの原稿Pの短辺と略同じであればYes判定され、ガラス板7上の原稿PはA4サイズ横置き配置であるとみなされて、S160へ移行する。
【0079】
S160では、イメージセンサ8は位置S3′から後側へ向けてエッジ検出移動を行う(
図10(a)参照)。そのエッジ検出移動の最中に、上記A4サイズ横置き配置の原稿Pの後端エッジが検出されたらS170がYes判定され、S175でイメージセンサ8が移動停止した後、S180へ移行する。S180では、イメージセンサ8は、向きを変えて前側へ向かって位置S1までスキャン移動する(
図10(b)参照)。S180で実行する処理もまた第1読取処理の一例である。
【0080】
S150がNo判定されて移行したS190では、S85でのエッジ検出結果に基づき、ガラス板7上の原稿Pの後端エッジが検出されたか否か、が判定される。S190及び前述のS150で実行する処理が第2判断処理の一例である。後端エッジが検出されていなければNo判定され、ガラス板7上の原稿PはA3サイズ横置き配置であるとみなされて、後述のS230へ移行する。後端エッジが検出されていればYes判定され、ガラス板7上の原稿PはA4サイズ縦置き配置であるとみなされて、S200へ移行する。
【0081】
S200では、イメージセンサ8が位置S3′から向きを変え前側へ向けてエッジ検出移動を行う(
図11(a)参照)。そのエッジ検出移動の最中に、上記A4サイズ縦置き配置の原稿Pの後端エッジが検出されたらS210がYes判定され、S220へ移行する。S220では、イメージセンサ8は、引き続き前側へ向かって位置S1までスキャン移動する(
図11(b)参照)。S220で実行する処理もまた第1読取処理の一例である。
【0082】
S190がNo判定されて移行したS230では、イメージセンサ8は位置S3′から後側へ向けてエッジ検出移動を行う(
図12(a)参照)。そのエッジ検出移動の最中に、上記A3サイズ横置き配置の原稿Pの後端エッジが検出されたらS240がYes判定され、S255でイメージセンサ8が移動停止した後、S260へ移行する。イメージセンサ8が移動停止した位置が第3位置の一例である。S260では、イメージセンサ8は、向きを変えて前側へ向かって位置S1までスキャン移動する(
図12(b)参照)。S260で実行する処理もまた、第2読取処理の一例である。
【0083】
S180,S220,S260の後は、S270に移行し、これまでに取得された各ラインスキャンデータが逆整列されて画像データ記憶領域120a中に記憶される。そして、このフローを終了する。
【0084】
<画像形成処理>
S125又はS270の後、当該S125又はS270において画像データ記憶領域120a中に記憶された前述のラインスキャンデータに基づき生成された画像が、画像形成ユニット105によって記録用紙Sに対して形成される。この処理が画像形成処理の一例である。
【0085】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置101は、給紙トレイ130と、イメージセンサ8と、ガラス板7と、CPU100と、を備える。ガラス板7には、A4サイズの原稿PとA3サイズの原稿Pとが選択的に載置可能である。A4サイズは、原稿Pの長辺及び短辺のいずれかをガラス板7の基準位置に合わせて載置できるサイズである。A3サイズは、原稿Pの短辺をガラス板7の基準位置に合わせて載置できるが、原稿Pの長辺をガラス板7の基準位置に合わせて載置することはできないサイズである。
CPU100によりS1が実行されることで、給紙トレイ130内に収容された記録用紙Sのサイズ情報が取得される。取得されたサイズ情報に対応するサイズの内容によって、その後の処理の内容が変化する。
【0086】
サイズ情報に対応する記録用紙SのサイズがA4サイズを含む場合、S35とS1200又はS140とが行われる。S35では、イメージセンサ8により、原稿サイズ検出のための予備スキャンが行われる。S120又はS140では、S35で検出された原稿Pのサイズに基づいてイメージセンサ8により原稿Pの内容の取得のための本スキャンが行われる。
サイズ情報に対応する記録用紙SのサイズがA3サイズのみである場合、原稿サイズの検出は行わずにS130が行われる。S130では、S1で取得されたサイズ情報に対応する記録用紙Sのサイズに基づいてイメージセンサ8により原稿Pの内容の取得のための本スキャンが行われる。すなわちこの場合、取得されたサイズ情報からガラス板7に載置された原稿Pのサイズを推定することによって、原稿サイズ検出のための予備スキャンが省略される。
本実施形態によれば、取得されたサイズ情報に基づきその後の予備スキャンに関する処理態様が変化し、サイズ情報に対応する記録用紙SのサイズがA3サイズのみである場合には予備スキャンを行わない。これにより、原稿Pの読み取りを完了するまでの時間を短縮することができる。
【0087】
また、本実施形態では特に、サイズ情報に対応する記録用紙SのサイズがA4サイズのみである場合、S35での予備スキャンで主走査方向の端部が検出される。その後のS40において、主走査方向の端部の検出結果に応じ、ガラス板7に載置されたA4サイズの原稿Pが短辺合わせで載置されているか長辺合わせで載置されているかが判断される。判断結果に応じた範囲においてS120又はS140において本スキャンが行われる。
本実施形態によれば、サイズ情報に対応する記録用紙SのサイズがA4サイズのみである場合、予備スキャンにおいて主走査方向の端部のみの検出を行うことで、原稿サイズ検出に要する時間を短縮することができる。
【0088】
また、本実施形態では特に、サイズ情報に対応する記録用紙SのサイズがA4サイズ及びA3サイズの両方を含む場合、S85での予備スキャンで主走査方向及びこれと直交する副走査方向の端部が検出される。その後のS150,S190において、主走査方向及び副走査方向の端部の検出結果に応じ、ガラス板7に載置された原稿Pのサイズ及び載置向きが判断される。判断結果に応じた範囲においてS180,S220,S260での本スキャンが行われる。
本実施形態によれば、サイズ情報に対応する記録用紙SのサイズがA4サイズ及びA3サイズの両方を含む場合であっても、予備スキャンにおいて主走査方向及び副走査方向の端部の検出を行うことで原稿サイズを検知してA4サイズなのかA3サイズなのかを精度よく識別できる。
【0089】
また、本実施形態では特に、S25又はS75において、S1で取得されたサイズ情報に応じて予備スキャンの開始位置を変えることができる。すなわち、サイズ情報に対応したサイズがA4サイズのみの場合は、S25でイメージセンサ8を非読取状態で初期位置HPから位置S2まで移動させた後、当該位置S2から予備スキャンを開始させる。サイズ情報に対応したサイズがA4サイズ及びA3サイズの両方を含む場合は、S75でイメージセンサ8を非読取状態で初期位置HPから位置S3まで移動させる。位置S3は初期位置HPからの距離が位置S2よりも遠い。その後、当該位置S3から予備スキャンを開始させる。
サイズ情報に対応したサイズがA4サイズのみの場合、位置S3よりも近い位置S2から予備スキャンを開始するので、予備スキャン前に非読取状態でイメージセンサ8を移動させる時間を短縮することができる。
【0090】
また、本実施形態では特に、位置S3から開始した予備スキャンの結果に基づいてS150,S190で原稿PがA4サイズであると判断された場合、S180又はS220における本スキャンは、イメージセンサ8を位置S1側、言い換えれば初期位置HP側へと戻しながら行われる。これにより、イメージセンサ8を非読取状態で初期位置HPへ戻した後に本スキャンを行う場合に比べれば、読み取り完了までに要する時間を少しでも短縮することができる。
【0091】
また、本実施形態では特に、位置S3から開始した予備スキャンの結果に基づいてS150,S190で原稿PがA3サイズであると判断された場合、イメージセンサ8を当該A3サイズの原稿Pの後端まで進めた後で、当該後端位置からイメージセンサ8を初期位置HP側へと戻しながら本スキャンが行われる。これにより、イメージセンサ8を非読取状態で初期位置HPへ戻した後に本スキャンを行う場合に比べれば、読み取り完了までに要する時間を少しでも短縮することができる。
【0092】
また、本実施形態では特に、トレイセンサSEが設けられる。トレイセンサSEは、給紙トレイ130内に収容された記録用紙Sのサイズを検知して、対応する検知信号を出力する。CPU100は、S1で、トレイセンサSEから出力された上記検知信号に基づいたサイズ情報が取得される。これにより、実際に給紙トレイ130内に収容されている記録用紙SのサイズをCPU100において取得し、これに対応した処理を行うことができる。
【0093】
<変形例>
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を、順を追って説明する。
【0094】
(1)コピー機能の「等倍」設定時に限定
上記構成の画像形成装置1で利用できる機能の1つとしてコピー機能がある。このコピー機能では、原稿スキャンユニット110で本スキャンを行った原稿Pの画像を画像形成ユニット105により記録用紙Sに印刷することで複製印刷としてのコピーを行う。ユーザがこのコピー機能を使用する場合は、一般に、記録用紙Sの用紙サイズは原稿Pと同じ用紙サイズのものを使用する。つまり、拡大/縮小機能の拡縮率の設定を等倍として印刷する。この点に着目し、
図14のうち
図14のS75,S80,S85、を除く処理と
図15に示す処理、を上記拡縮率の設定が等倍の場合に限り行うようにしてもよい。なお、
図14~
図16に示す全ての処理を上記拡縮率の設定が等倍の場合に限り行うようにしてもよい。
【0095】
本変形例においては、以下の意義がある。すなわち、取得されたサイズ情報からガラス板7に載置された原稿Pのサイズを推定する上記実施形態における手法は、読み取られる原稿Pの大きさと画像形成ユニット105により形成される画像とが等倍である場合にのみ成立する。すなわち、読み取られる原稿Pの大きさから拡大又は縮小した画像が画像形成ユニット105により形成される場合には、サイズ情報と載置された実際の原稿Pのサイズとの間に、必ずしも明確な相関関係が成立しない。
本変形例によれば、上記に対応し、少なくとも、記録用紙SのサイズがA4サイズを含む場合のS35での原稿サイズ検出及びS120,S140での本スキャン、及び、記録用紙SのサイズがA3サイズのみである場合のS130での本スキャンは、拡縮率設定が等倍の場合に限り行われる。本実施形態によれば、取得されたサイズ情報から、ガラス板7に載置された原稿Pのサイズを高精度に推定することができる。
【0096】
(2)ユーザ手動操作に基づきサイズ情報を取得
以上においては、トレイセンサSEからの検知信号に基づきCPU100によってサイズ情報が取得されたが、これに限られない。すなわち、
図14のS1において、ユーザがタッチパネル190を介し手動入力した記録用紙Sのサイズに基づき、対応するサイズ情報をCPU100が取得するようにしてもよい。
【0097】
本変形例によれば、実際に給紙トレイ130内に収容されている記録用紙Sのサイズが検知できない場合でも、ユーザの操作入力によってCPU100が記録用紙Sのサイズを取得し、これに対応した処理を行うことができる。
【0098】
(3)その他
なお、以上の説明において、「垂直」「平行」「平面」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「垂直」「平行」「平面」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に平面」という意味である。
【0099】
また、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0100】
また、
図14、
図15、
図16等に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0101】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0102】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0103】
7 ガラス板(原稿台の一例)
8 イメージセンサ(読取センサの一例)
100 CPU(制御部の一例)
101 画像形成装置
105 画像形成ユニット(画像形成部の一例)
130 給紙トレイ(収容部の一例)
190 タッチパネル(操作部の一例)
P 原稿
S 記録用紙(シートの一例)
S2 位置(第1位置の一例)
S3 位置(第2位置の一例)
SE トレイセンサ(検知部の一例)