(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】縫製エラー管理装置、縫製エラー管理システム及び縫製エラー管理プログラム
(51)【国際特許分類】
D05B 19/04 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
D05B19/04
(21)【出願番号】P 2021053013
(22)【出願日】2021-03-26
【審査請求日】2024-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】上平 裕太
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-102560(JP,A)
【文献】特開2001-087580(JP,A)
【文献】特開平05-293266(JP,A)
【文献】特開平06-142382(JP,A)
【文献】特開平08-224389(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D05B 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の縫い目から形成される縫製模様の縫製におけるエラーが発生した時点で縫製されている縫い目の形成位置を表す座標と、前記縫製模様の形状を示す画像とに基づいて、前記縫製模様上のエラーの発生位置が描画されたエラー画像を取得するエラー画像取得手段と、
前記縫製模様の縫製において発生しうる複数のエラーのうちで、実際に発生したエラーの種類を取得するエラー種類取得手段と、
前記エラー画像取得手段が取得した前記エラー画像
と前記エラー種類取得手段が取得した前記エラーの種類とを表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備える縫製エラー管理装置。
【請求項2】
前記エラー画像取得手段は、
前記縫製模様の縫製におけるエラーが発生した時点で縫製されている縫い目の前記座標を取得する第1取得手段と、
前記第1取得手段が取得した前記座標と、前記縫製模様の形状を示す画像とに基づいて、前記エラー画像を生成する画像生成手段と、
を含む請求項1に記載の縫製エラー管理装置。
【請求項3】
前記エラー画像取得手段は、
前記縫製模様の縫製において発生した複数のエラーについて、前記縫製模様の形状を示す画像上に、全てのエラーの発生位置が描画された総エラー画像を取得し、
前記表示制御手段は、
前記エラー画像取得手段が取得した前記総エラー画像を前記表示手段に表示させる
請求項1または請求項2に記載の縫製エラー管理装置。
【請求項4】
前記エラー画像取得手段は、
前記総エラー画像と、
前記縫製模様の縫製において発生した複数のエラーについて、各エラーに対応する単一エラー画像であって、前記縫製模様の形状を示す画像上に、各エラーの発生位置が描画された前記単一エラー画像と、を取得し、
前記表示制御手段は、オペレータの切替指示情報に基づいて、前記総エラー画像と前記単一エラー画像とを切り替えて前記表示手段に表示させる
請求項3に記載の縫製エラー管理装置。
【請求項5】
前記縫製エラー管理装置は、前記縫製模様の縫製において発生しうる複数のエラーの種類にそれぞれ対応付けられ、各エラーの解消のためにオペレータが行うべき複数の対応策のうちで、実際に発生したエラーの種類に対応付けられた前記対応策を取得する対応策取得手段を更に備え、
前記表示制御手段は、前記対応策取得手段が取得した前記対応策を前記表示手段に表示させる
請求項1から
4のいずれかに記載の縫製エラー管理装置。
【請求項6】
多数の縫い目から形成される縫製模様の各縫い目の形成位置を表す座標に従って前記縫製模様を縫製するミシンと、
画像を表示する表示手段を有する外部装置であって、前記ミシンと通信する前記外部装置と、
を備えた縫製エラー管理システムであって、
前記ミシンは、
前記縫製模様の縫製におけるエラーが発生した時点で縫製されている縫い目の形成位置を表す座標を取得する第1取得手段と、
前記縫製模様の形状を示す画像と、前記第1取得手段が取得した前記座標とに基づいて、前記縫製模様上のエラーの発生位置が描画されるエラー画像を生成する画像生成手段と、
を備え、
前記外部装置は、
前記縫製模様の縫製において発生しうる複数のエラーのうちで、実際に発生したエラーの種類を取得するエラー種類取得手段と、
前記ミシンとの通信により、前記画像生成手段が生成した前記エラー画像を取得する第2取得手段と、
前記第2取得手段が取得した前記エラー画像
と前記エラー種類取得手段が取得した前記エラーの種類とを表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする縫製エラー管理システム。
【請求項7】
前記第1取得手段は、
前記縫製模様の縫製のために設定される縫製速度と、
前記縫製模様の縫製開始からエラーが発生するまでの間に縫製された縫い目の数を表す縫製済み針数と、を取得し、
前記ミシンは、
前記第1取得手段が取得した前記縫製速度に基づいて、エラー範囲を決定するエラー範
囲決定手段と、
前記第1取得手段が取得した前記縫製済みの針数と、前記エラー範囲とに基づいて、前記縫製済みの針数を基準とするエラー範囲針数を決定するエラー範囲針数決定手段と、
を更に備え、
前記第1取得手段は、前記エラー範囲針数決定手段が決定したエラー範囲針数に含まれる各針数に対応する縫い目の形成位置を表す座標を取得し
前記画像生成手段は、前記縫製模様の形状を示す画像と、前記第1取得手段が取得した前記座標とに基づいて、前記エラー範囲針数に相当する座標範囲を、前記縫製模様上のエラーの発生位置とする前記エラー画像を生成する
請求項
6に記載の縫製エラー管理システム。
【請求項8】
前記エラー範囲決定手段は、前記エラー範囲に、エラーの種類によって異なる補正係数をかけ合わせることにより、前記エラー範囲を補正する
請求項
7に記載の縫製エラー管理システム。
【請求項9】
前記第2取得手段は、
前記縫製模様の縫製において発生した複数のエラーについて、前記縫製模様の形状を示す画像上に、全てのエラーの発生位置が描画された総エラー画像を取得し、
前記表示制御手段は、
前記第2取得手段が取得した前記総エラー画像を前記表示手段に表示させる
請求項
6から
8のいずれかに記載の縫製エラー管理システム。
【請求項10】
前記第2取得手段は、
前記総エラー画像と、
前記縫製模様の縫製において発生した複数のエラーについて、各エラーに対応する単一エラー画像であって、前記縫製模様の形状を示す画像上に、各エラーの発生位置が描画された前記単一エラー画像と、を取得し、
前記表示制御手段は、オペレータの切替指示情報に基づいて、前記総エラー画像と前記単一エラー画像とを切り替えて前記表示手段に表示させる
請求項
9に記載の縫製エラー管理システム。
【請求項11】
前記縫製エラー管理システムは、前記縫製模様の縫製において発生しうる複数のエラーの種類にそれぞれ対応付けられ、各エラーの解消のためにオペレータが行うべき複数の対応策のうちで、実際に発生したエラーの種類に対応付けられた前記対応策を取得する対応策取得手段を更に備え、
前記表示制御手段は、前記対応策取得手段が取得した前記対応策を前記表示手段に表示させる
請求項
6から
10のいずれかに記載の縫製エラー管理システム。
【請求項12】
前記表示制御手段は、前記縫製模様の縫製完了後に、前記エラー画像を前記表示手段に表示させる
請求項1から
5のいずれかに記載の縫製エラー管理装置。
【請求項13】
前記表示制御手段は、前記縫製模様の縫製におけるエラー発生に伴う縫製停止時に、前記エラー画像を前記表示手段に表示させ、縫製再開後も前記エラー画像の表示状態を保持する
請求項1から
5のいずれかに記載の縫製エラー管理装置。
【請求項14】
多数の縫い目から形成される縫製模様の縫製において発生したエラーに関係するエラー情報を表示手段に表示させる縫製エラー管理装置を制御するコンピュータに、
前記縫製模様の縫製におけるエラーが発生した時点で縫製されている縫い目の形成位置を表す座標と、前記縫製模様の形状を示す画像とに基づいて、前記縫製模様上にエラーの発生位置が描画されたエラー画像を取得するエラー画像取得手段と、
前記縫製模様の縫製において発生しうる複数のエラーのうちで、実際に発生したエラーの種類を取得するエラー種類取得手段と、
前記エラー画像取得手段が取得した前記エラー画像
と前記エラー種類取得手段が取得した前記エラーの種類とを前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
を実行させる縫製エラー管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刺繍ミシン等のミシンにおいて発生する上糸切れ等のエラーについて、エラー情報を表示する縫製エラー管理装置、縫製エラー管理システム及び縫製エラー管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ミシンの情報管理装置が、種々提案されている。そのミシンの情報管理装置は、ミシンのエラー情報を含む履歴情報を記憶し、記憶された履歴情報を表示装置に表示させる。例えば、特許文献1に開示されるミシン管理装置は、刺繍ミシンからミシンの動作状況を読み込む。ミシン管理装置は、その動作状況を履歴情報として累積的に記憶する記憶手段と、履歴情報を表示する表示手段とを備える。その履歴情報には、糸切れ等のエラーの発生を示す情報と、そのエラーが発生した時の縫製済み針数とを対応付けた、エラー情報が含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるミシン管理装置では、オペレータは表示されたエラー情報を注視することで、エラーが発生した時の縫製済み針数を容易に確認することができる。しかしながら、刺繍模様のように膨大な数の縫い目によって形成される縫製模様の縫製において、オペレータがエラー発生時の縫製済み針数を確認していたとしても、現実に縫製された縫製模様の膨大な数の縫い目の中から、エラー発生時の縫製済み針数に対応する縫い目を発見することは容易ではない。そのため、従来のエラー発生時の縫製済み針数の表示では、縫い目の数が多い縫製模様によっては、オペレータが縫製模様中でのエラーの発生位置を特定するために、比較的長い時間を要する問題がある。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、縫製される縫製模様の形状を示す画像の中で、オペレータがエラーの発生位置を容易に確認することができる縫製エラー管理装置、縫製エラー管理システム及び縫製エラー管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、請求項1記載の縫製エラー管理装置は、多数の縫い目から形成される縫製模様の縫製におけるエラーが発生した時点で縫製されている縫い目の形成位置を表す座標と、前記縫製模様の形状を示す画像とに基づいて、前記縫製模様上のエラーの発生位置が描画されたエラー画像を取得するエラー画像取得手段と、前記エラー画像取得手段が取得した前記エラー画像を表示手段に表示させる表示制御手段とを備える。
【0007】
この目的を達成するために、請求項2記載の縫製エラー管理装置において、前記エラー画像取得手段は、前記縫製模様の縫製におけるエラーが発生した時点で縫製されている縫い目の前記座標を取得する第1取得手段と、前記第1取得手段が取得した前記座標と前記縫製模様の形状を示す画像とに基づいて、前記エラー画像を生成する画像生成手段とを含む。
【0008】
この目的を達成するために、請求項3記載の縫製エラー管理装置において、前記エラー画像取得手段は、前記縫製模様の縫製において発生した複数のエラーについて、前記縫製模様の形状を示す画像上に、全てのエラーの発生位置が描画された総エラー画像を取得し、前記表示制御手段は、前記エラー画像取得手段が取得した前記総エラー画像を前記表示手段に表示させる。
【0009】
この目的を達成するために、請求項4記載の縫製エラー管理装置において、前記エラー画像取得手段は、前記総エラー画像と、前記縫製模様の縫製において発生した複数のエラーについて、各エラーに対応する単一エラー画像であって、前記縫製模様の形状を示す画像上に、各エラーの発生位置が描画された前記単一エラー画像とを取得し、前記表示制御手段は、オペレータの切替指示情報に基づいて、前記総エラー画像と前記単一エラー画像とを切り替えて前記表示手段に表示させる。
【0010】
この目的を達成するために、請求項5記載の前記縫製エラー管理装置は、前記縫製模様の縫製において発生しうる複数のエラーのうちで、実際に発生したエラーの種類を取得するエラー種類取得手段を備え、前記表示制御手段は、前記エラー種類取得手段が取得した前記エラーの種類を前記表示手段に表示させる。
【0011】
この目的を達成するために、請求項6記載の縫製エラー管理装置は、前記縫製模様の縫製において発生しうる複数のエラーの種類にそれぞれ対応付けられ、各エラーの解消のためにオペレータが行うべき複数の対応策のうちで、実際に発生したエラーの種類に対応付けられた前記対応策を取得する対応策取得手段を更に備え、前記表示制御手段は、前記対応策取得手段が取得した前記対応策を前記表示手段に表示させる。
【0012】
この目的を達成するために、請求項7記載の縫製エラー管理システムは、多数の縫い目から形成される縫製模様の各縫い目の形成位置を表す座標に従って前記縫製模様を縫製するミシンと、画像を表示する表示手段を有する外部装置であって、前記ミシンと通信する前記外部装置とを備えた縫製エラー管理システムであって、前記ミシンは、前記縫製模様の縫製におけるエラーが発生した時点で縫製されている縫い目の形成位置を表す座標を取得する第1取得手段と、前記縫製模様の形状を示す画像と前記第1取得手段が取得した前記座標とに基づいて、前記縫製模様上のエラーの発生位置が描画されるエラー画像を生成する画像生成手段とを備え、前記外部装置は、前記ミシンとの通信により、前記画像生成手段が生成した前記エラー画像を取得する第2取得手段と、前記第2取得手段が取得した前記エラー画像を前記表示手段に表示させる表示制御手段とを備える。
【0013】
この目的を達成するために、請求項8記載の縫製エラー管理システムにおいて、前記第1取得手段は、前記縫製模様の縫製のために設定される縫製速度と、前記縫製模様の縫製開始からエラーが発生するまでの間に縫製された縫い目の数を表す縫製済み針数とを取得し、前記ミシンは、前記第1取得手段が取得した前記縫製速度に基づいて、エラー範囲を決定するエラー範囲決定手段と、前記第1取得手段が取得した前記縫製済みの針数と、前記エラー範囲とに基づいて、前記縫製済みの針数を基準とするエラー範囲針数を決定するエラー範囲針数決定手段とを更に備え、前記第1取得手段は、前記エラー範囲針数決定手段が決定したエラー範囲針数に含まれる各針数に対応する縫い目の形成位置を表す座標を取得し、前記画像生成手段は、前記縫製模様の形状を示す画像と、前記第1取得手段が取得した前記座標とに基づいて、前記エラー範囲針数に相当する座標範囲を、前記縫製模様上のエラーの発生位置とする前記エラー画像を生成する。
【0014】
この目的を達成するために、請求項9記載の縫製エラー管理システムにおいて、前記エラー範囲決定手段は、前記エラー範囲に、エラーの種類によって異なる補正係数をかけ合わせることにより、前記エラー範囲を補正する。
【0015】
この目的を達成するために、請求項10記載の縫製エラー管理システムにおいて、前記第2取得手段は、前記縫製模様の縫製において発生した複数のエラーについて、前記縫製模様の形状を示す画像上に、全てのエラーの発生位置が描画された総エラー画像を取得し、前記表示制御手段は、前記第2取得手段が取得した前記総エラー画像を前記表示手段に表示させる。
【0016】
この目的を達成するために、請求項11記載の縫製エラー管理システムにおいて、前記第2取得手段は、前記総エラー画像と、前記縫製模様の縫製において発生した複数のエラーについて、各エラーに対応する単一エラー画像であって、前記縫製模様の形状を示す画像上に、各エラーの発生位置が描画された前記単一エラー画像とを取得し、前記表示制御手段は、オペレータの切替指示情報に基づいて、前記総エラー画像と前記単一エラー画像とを切り替えて前記表示手段に表示させる。
【0017】
この目的を達成するために、請求項12記載の前記縫製エラー管理システムは、前記縫製模様の縫製において発生しうる複数のエラーのうちで、実際に発生したエラーの種類を取得するエラー種類取得手段を備え、前記表示制御手段は、前記エラー種類取得手段が取得した前記エラーの種類を前記表示手段に表示させる。
【0018】
この目的を達成するために、請求項13記載の縫製エラー管理システムは、前記縫製模様の縫製において発生しうる複数のエラーの種類にそれぞれ対応付けられ、各エラーの解消のためにオペレータが行うべき複数の対応策のうちで、実際に発生したエラーの種類に対応付けられた前記対応策を取得する対応策取得手段を更に備え、前記表示制御手段は、前記対応策取得手段が取得した前記対応策を前記表示手段に表示させる。
【0019】
この目的を達成するために、請求項14記載の縫製エラー管理装置において、前記表示制御手段は、前記縫製模様の縫製完了後に、前記エラー画像を前記表示手段に表示させる。
【0020】
この目的を達成するために、請求項15記載の縫製エラー管理装置において、前記表示制御手段は、前記縫製模様の縫製におけるエラー発生に伴う縫製停止時に、前記エラー画像を前記表示手段に表示させ、縫製再開後も前記エラー画像の表示状態を保持する。
【0021】
この目的を達成するために、請求項16記載の縫製エラー管理プログラムは、多数の縫い目から形成される縫製模様の縫製において発生したエラーに関係するエラー情報を表示手段に表示させる縫製エラー管理装置を制御するコンピュータに、前記縫製模様の縫製におけるエラーが発生した時点で縫製されている縫い目の形成位置を表す座標と、前記縫製模様の形状を示す画像とに基づいて、前記縫製模様上にエラーの発生位置が描画されたエラー画像を取得するエラー画像取得手段と、前記エラー画像取得手段が取得した前記エラー画像を前記表示手段に表示させる表示制御手段とを実行させる。
【発明の効果】
【0022】
請求項1記載の縫製エラー管理装置によれば、縫製において発生したエラーの発生位置が、縫製模様の形状を示す画像上に表示される。したがって、オペレータは、縫製模様の形状を示す画像上でエラーの発生位置を容易に確認することができる。
【0023】
請求項2記載の縫製エラー管理装置によれば、第1取得手段が、エラーが発生した時点で縫製されている縫い目の形成位置を示す座標を取得し、画像生成手段が、その座標と縫製模様の形状を示す画像とに基づいてエラー画像を生成する。したがって、縫製模様の形状を示す画像上でエラーの発生位置が正確に示されたエラー画像を生成することができる。
【0024】
請求項3記載の縫製エラー管理装置によれば、エラー画像取得手段は、縫製において発生した複数のエラーについて、縫製模様の形状を示す画像上に全てのエラーの発生位置が描画された総エラー画像を取得する。したがって、オペレータは縫製において発生した複数のエラーの発生位置を同時に確認できる。この同時に確認できることにより、複数のエラー間の関連性、または、各エラーによる模様形成への影響範囲の大小を確認できる。
【0025】
請求項4記載の縫製エラー管理装置によれば、総エラー画像と、単一エラー画像とが、オペレータの切替指示情報に基づいて切り替えられて表示される。したがって、オペレータは、全てのエラーを同時に確認し、その中で気になるエラーについては個別に詳細なエラーの発生位置を確認するために、エラー画像を容易に切り替えることができる。
【0026】
請求項5記載の縫製エラー管理装置によれば、エラーの種類も表示される。したがって、オペレータは、エラーの発生位置に加えて、エラーの種類も同時に容易に確認できる。そのため、オペレータは、エラーの原因を究明してエラーの対応策を講じることができる。
【0027】
請求項6記載の縫製エラー管理装置によれば、エラーの対応策も表示される。したがって、オペレータは、発生したエラーを解消するための具体的な対応策を容易に決定することができ、エラー解消を容易に行うことができる。
【0028】
請求項7記載の縫製エラー管理システムによれば、ミシンと外部装置とが通信することにより、オペレータが、ミシンと離れた場所にいる場合でも、近くの外部装置によりエラー画像を受信し、エラーの発生位置を迅速に確認することができる。
【0029】
エラー範囲の大きさは、縫製速度の影響を受ける。請求項8記載の縫製エラー管理システムによれば、縫製速度に基づいてエラー範囲が決定され、そのエラー範囲と縫製済み針数とに基づいてエラー範囲針数が決定される。そのエラー範囲針数に相当する座標範囲をエラーの発生位置とするエラー画像が生成される。したがって、縫製速度の影響を反映したエラーの発生位置を示すエラー画像を正確に生成することができる。
【0030】
請求項9記載の縫製エラー管理システムによれば、エラー範囲が、エラーの種類によって異なる補正係数により、補正される。したがって、エラーの種類に応じて適した座標範囲をエラーの発生位置として決定することができ、オペレータはエラーの種類に応じてエラーの影響を受けた範囲を正確に認識することができる。
【0031】
請求項10記載の縫製エラー管理システムによれば、第2取得手段は、縫製において発生した複数のエラーについて、縫製模様の形状を示す画像上に全てのエラーの発生位置が描画された総エラー画像を取得する。したがって、オペレータは縫製において発生した複数のエラーの発生位置を同時に確認できる。この同時に確認できることにより、オペレータは、複数のエラー間の関連性、または、各エラーによる模様形成への影響範囲の大小を確認できる。
【0032】
請求項11記載の縫製エラー管理システムによれば、総エラー画像と、単一エラー画像とが、オペレータの切替指示情報に基づいて切り替えられて表示される。したがって、オペレータは、全てのエラーを同時に確認し、その中で気になるエラーについては個別に詳細なエラーの発生位置を確認するために、エラー画像を容易に切り替えることができる。
【0033】
請求項12記載の縫製エラー管理システムによれば、エラーの種類も表示される。したがって、オペレータは、エラーの発生位置に加えて、エラーの種類も同時に容易に確認できる。そのため、オペレータは、エラーの原因を究明してエラーの対応策を講じることができる。
【0034】
請求項13記載の縫製エラー管理システムによれば、エラーの対応策も表示される。したがって、オペレータは、発生したエラーを解消するための具体的な対応策を容易に決定することができ、エラー解消を容易に行うことができる。
【0035】
請求項14記載の縫製エラー管理装置によれば、縫製中に発生した複数のエラーに関して、全てのエラーの発生位置が縫製完了後に表示される。したがって、オペレータは、縫製完了後に、表示手段に表示されたエラーの発生位置を確認したうえで、実際に縫製された被縫製物をミシンから取り外して見ることにより、被縫製物上でエラーの発生位置を容易に見つけることができ、そのエラーの発生位置の状態を容易に確認できる。
【0036】
請求項15記載の縫製エラー管理装置によれば、縫製において発生したエラーの発生位置が逐次表示され、そのエラーの発生位置の表示状態が保持される。したがって、オペレータは、縫製において発生したエラーの発生位置を、エラー発生直後に即座に確認することができる。
【0037】
請求項16記載の縫製エラー管理プログラムによれば、縫製において発生したエラーの発生位置が、縫製模様の形状を示す画像上に表示される。したがって、オペレータは、エラーの発生位置を容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】ミシン1、及び携帯端末3を備える第1実施形態である縫製エラー管理システム100の斜視図である。
【
図3】縫製エラー管理システム100の電気的構成を示すブロック図である。
【
図4】テーブル記憶部72に記憶されるエラー範囲テーブル400を示す説明図である。
【
図5】テーブル記憶部72に記憶される補正係数テーブル500を示す説明図である。
【
図6】テーブル記憶部121に記憶される対応策テーブル600を示す説明図である。
【
図7】ミシン1が実行するメイン処理のフローチャートである。
【
図8】ミシン1が実行するエラー処理のフローチャートである。
【
図9】携帯端末3が実行する表示処理のフローチャートである。
【
図10】総エラー画像151及び総エラー表152の表示画面例である総エラー表示画面150を示す説明図である。
【
図11】1番目のエラーに関する単一エラー画像161及び単一エラー表162の表示画面例である単一エラー表示画面160を示す説明図である。
【
図12】2番目のエラーに関する単一エラー画像171及び単一エラー表172の表示画面例である単一エラー表示画面170を示す説明図である。
【
図13】3番目のエラーに関する単一エラー画像181及び単一エラー表182の表示画面例である単一エラー表示画面180を示す説明図である。
【
図14】4番目のエラーに関する単一エラー画像191及び単一エラー表192の表示画面例である単一エラー表示画面190を示す説明図である。
【
図15】第2実施形態においてミシン1が実行するメイン処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。尚、これらの図面は本発明の技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成等は、単なる説明例である。
【0040】
(第1実施形態)
図1及び
図2を参照し、第1実施形態である縫製エラー管理システム100について説明する。
図1に示すように、縫製エラー管理システム100は、ミシン1及び携帯端末3を主に備える。ミシン1及び携帯端末3は、
図3に示すネットワーク9にそれぞれ接続される。以下、説明で使用する方向は、
図1に記載の方向に準ずるものとする。
【0041】
<ミシン1の基本的構成>
ミシン1は、縫製模様として刺繍模様を縫製する機能を備える。
図1に示すように、ミシン1は、ベッド部11、脚柱部12、及びアーム部13を備える。ベッド部11は、ミシン1の土台となっており、左右方向に延びる。脚柱部12は、ベッド部11の右端部から上方へ延びる。アーム部13は、ベッド部11に対向して脚柱部12の上端から左方へ延びる。アーム部13の左端部は頭部14である。
【0042】
周知の刺繍装置2が、ベッド部11に着脱可能に装着される。刺繍装置2がミシン1に装着されると、刺繍装置2とミシン1とは電気的に接続される。刺繍装置2とミシン1とが電気的に接続された場合、刺繍装置2は、刺繍枠53に保持された縫製対象物5を搬送可能である。刺繍装置2は、本体部51及びキャリッジ52を備える。
【0043】
ディスプレイ15が、脚柱部12の前面に設けられる。ディスプレイ15は、液晶ディスプレイである。ディスプレイ15は、コマンド、イラスト、設定値、及びメッセージ等の様々な項目を含む画像を表示する。タッチパネル22が、ディスプレイ15の前面側に設けられ、押圧された位置を検知可能に構成される。オペレータが、指又は専用のタッチペンを用いてタッチパネル22の押圧操作を行うと、タッチパネル22は、押圧された位置を検知する。タッチパネル22は、検知された押圧位置に基づき、ディスプレイ15に表示された画像中で選択された項目を認識する。
【0044】
アーム部13は、開閉可能なカバー16を上部に備える。
図1は、カバー16が開いた状態を示す。カバー16の下方、つまりアーム部13内の中央部に、糸駒20が収容される。糸駒20に巻回された上糸(図示略)は、糸駒20から、頭部14に設けられた糸掛部(図示略)を経由して、針棒29に装着された縫針28に供給される。アーム部13の前面下部には、スタート/ストップスイッチを含む複数の操作スイッチ21が設けられる。
【0045】
頭部14内には、押え機構(図示略)、及び針棒上下動機構(図示略)等が設けられる。押え機構は、押えモータを駆動源として、押え棒27を駆動させる。針棒上下動機構は、主軸(図示略)の回転に伴って針棒29を上下方向に駆動させる。針棒上下動機構は、主軸モータ88によって駆動される。針棒29及び押え棒27は、頭部14の下端部から下方に延びる。針棒29の下端には、縫針28が着脱可能である。押え棒27の下端には、押え足26が着脱可能である。押え足26は、縫製対象物5を搬送可能に上側から押圧可能である。
【0046】
<縫製模様200の説明>
図2に示す縫製模様200を例として、縫製情報について説明する。なお、
図2における紙面左右方向及び上下方向は、座標系のX方向及びY方向にそれぞれ対応する。
【0047】
図2に示す縫製模様200は、アルファベットの大文字の「A」を表す模様である。縫製情報は、縫製模様200を縫製するための縫い目を形成するための情報である。縫製情報は、絶対総針数、糸色、絶対糸色別針数、及び縫い目の座標を含む。絶対総針数は、縫製模様を縫製するための縫い目の形成順序番号を示す針数について、縫製模様を完成するために必要な針数の総量を表す。糸色は、縫製に使用する糸の色を表し、各針数に対してRGBの3値を用いて設定される。絶対糸色別針数は、糸色ごとに分けられた針数の総量を表す。縫い目の座標は、縫い目の形成位置、すなわち縫針28が縫製対象物5に刺さる針目の位置を示し、各針数に対して設定される。また、縫い目の座標は、座標系を基準として表され、縫製模様200を包含する最小矩形201の中心点202が座標系の原点と一致するように、規定される。例えば、針数1~15の15個の針目が赤色、針数16~30の15個の針目が青色、及び針数31~45の15個の針目が黒色の糸で縫製される縫製模様の場合、絶対総針数は45個の針目となる。この例の場合において、針数17の針目の糸色は青色で、縫い目の座標は(130,140)となる。絶対糸色針数は、赤色、青色、及び黒色ともに15個の針目となる。縫製中に糸色を変更する動作は、特開2018-130272号公報等に記載されるように、よく知られた動作である。例えば、次の色の糸に変更するタイミングで、CPU60により主軸モータ88が自動的に停止される。その停止の間に、オペレータが、次の色の糸に掛け替えたうえで、操作スイッチ21のうちのスタート/ストップスイッチを押下することにより、次の色の糸で縫製が再開される。
【0048】
<携帯端末3の基本的構成>
図1に示すように、携帯端末3は、周知の多機能携帯電話機(所謂、スマートフォン)である。携帯端末3は、上面に、操作スイッチ31,タッチパネル32,及びディスプレイ33を備える。操作スイッチ31は、携帯端末3に各種指示を入力する際に利用される。ディスプレイ33は、液晶ディスプレイである。ディスプレイ33は、コマンド、イラスト、設定値、及びメッセージ等の様々な項目を含む画像を表示する。タッチパネル32は、ディスプレイ33の前面側に設けられ、押圧された位置を検知可能である。オペレータが、指又は専用のタッチペンを用いてタッチパネル32の押圧操作を行うと、タッチパネル32は、押圧された位置を検知する。タッチパネル32は、検知された押圧位置に基づき、画像中で選択された項目を認識する。
【0049】
携帯端末3は、インターネット等の公知の通信網を介して、図示しないサーバから、任意のアプリケーションプログラムをインストールすることができる。本実施形態では、携帯端末3は、ミシン1から任意の情報を取得してディスプレイ33に表示させるアプリケーションプログラム、例えば、
図9にフローチャートで示される表示処理のプログラムをインストールすることができる。また、アプリケーションプログラムをインストールする時に、付属の情報もインストールされる。本実施形態では、携帯端末3は、ミシン1で発生する可能性のあるエラーに関する対応策テーブル600(
図6参照)を、付属の情報としてインストールする。
【0050】
<ミシン1の電気的構成>
図3を参照して、ミシン1の電気的構成について説明する。ミシン1は、CPU60,ROM61,RAM62,フラッシュROM63,及び通信I/F64を、コンピュータからなる制御部として備える。CPU60,ROM61,RAM62,フラッシュROM63,及び通信I/F64は、相互に電気的に接続される。ROM62は、ブートプログラム及びBIOS等を記憶し、プログラム記憶部70、アドレス情報記憶部71、及びテーブル記憶部72を備える。アドレス情報記憶部71は、ミシンの個体ごとに異なる識別番号であるアドレスを記憶する。テーブル記憶部72は、後述されるエラー範囲テーブル400(
図4参照)及び補正係数テーブル500(
図5参照)等を記憶する。RAM62は、縫製情報記憶部73、縫製速度記憶部74、エラー情報記憶部75、縫製模様画像記憶部76、エラー画像記憶部77、及び縫製状況記憶部86を備える。フラッシュROM63は、CPU60が各種処理を実行するためのプログラムを記憶し、縫製模様情報記憶部78及び初期縫製速度記憶部79を備える。縫製模様情報記憶部78は、複数の縫製模様について、縫製模様画像を生成するために必要な縫製情報を記憶する。縫製情報記憶部73は、オペレータが選択した縫製模様について、縫製模様情報記憶部78から読み出された縫製情報を記憶する。縫製状況記憶部86は、ミシン1が現在縫製している縫い目の針数、ミシン1が現在縫製している縫い目の針数に対応する縫い目の座標、及びミシン1が現在縫製している縫い目に使用される糸色を記憶する。通信I/F64は、ミシン1をネットワーク9に接続するためのインターフェースである。
【0051】
他にも操作スイッチ21、タッチパネル22、ディスプレイ15、上糸切れ検出センサ80、糸がらみ検出部81、及び下糸切れ検出センサ85が、ミシン制御部に電気的に接続される。主軸モータ88の駆動を制御する主軸モータ制御部87も、ミシン制御部に電気的に接続される。上糸切れ検出センサ80、糸がらみ検出部81、及び下糸切れ検出センサ85は、上糸切れ、糸がらみ、及び下糸切れの縫製エラーをそれぞれ検出する。
【0052】
[縫製エラーを検出する詳細な構成]
本実施形態では、縫製エラーを検出するために、上糸切れ検出センサ80、糸がらみ検出部81、及び下糸切れ検出センサ85が、ミシン1に装備される。
【0053】
上糸切れ検出センサ80は、特開2005-261467号公報などに記載される公知の構成を有する。具体的には、上糸切れ検出センサ80は、上糸の張力を調整する糸調子機構内に配置される光学センサ等のセンサから構成され、上糸の張力に応じて変位するシャッタの動きを検出する。上糸切れ検出センサ80は、上糸の張力がない状態を検出した時に、上糸切れ検出信号をCPU60に送信する。
【0054】
糸がらみ検出部81は、特開平4-161191号公報などに記載されるように、縫製中に主軸モータ88が過負荷によりロックすることに関連して、糸がらみの発生を検出する構成を有する。具体的には、糸がらみ検出部81は、比較部82、縫製速度検出部83、及び規定値記憶部84を備える。縫製速度検出部83は、主軸モータ88の回転速度を縫製速度として検出する。規定値記憶部84は、主軸モータ88が過負荷状態となる場合の縫製速度に対応する規定値を予め記憶する。比較部82は、検出された縫製速度と規定値とを比較し、検出された縫製速度が規定値より低い速度になったと判断した時に、糸がらみ検出信号をCPU60に送信する。
【0055】
下糸切れ検出センサ85は、特開平4-156888号公報などに記載される公知の構成を有する。具体的には、下糸切れ検出センサ85は、釜内の下糸ボビンから繰り出される下糸の張力に応じて変位する被検出片の動きを検出する磁気センサ等のセンサから構成される。下糸切れ検出センサ85は、下糸に張力が付与されずに被検出片が変位しない状態を検出した時に、下糸切れ検出信号をCPU60に送信する。
【0056】
[エラー範囲テーブル400]
図4に示されるエラー範囲テーブル400は、テーブル記憶部72に記憶される。エラー範囲テーブル400は、縫製速度と、エラー範囲とを対応付けるテーブルである。縫製速度は、1分間あたりで縫製される縫い目の数、すなわち針目の数を表した値で、単位spmで示される。エラー範囲は、エラー時針数を基準に前後何針目までが、エラーの影響を受けるかを示す範囲である。エラー時針数は、エラーが発生した時点に、ミシン1が縫製している縫い目の針数を表す。本実施形態では、エラーが発生した時点は、上糸切れ検出センサ80、糸がらみ検出部81、及び下糸切れ検出センサ85からCPU60が検出信号を受信した時点を指す。例えば、縫製速度が600spmで設定され、エラーが発生したとすると、エラー範囲テーブル400に基づいて、エラー範囲はエラー時針数を基準に前後10個の針目の範囲と決定される。
【0057】
[補正係数テーブル500]
図5に示される補正係数テーブル500は、テーブル記憶部72に記憶される。補正係数テーブル500は、エラー種類と、補正係数とを対応付けるテーブルである。エラー種類は、エラーが発生した原因を表し、本実施形態では上糸切れ、糸がらみ、及び下糸切れ等を示す。エラー範囲は、エラー種類によって、変化する。例えば、エラー種類が糸がらみの場合、主軸モータ88がロックされるため、上糸切れに比べ、エラー範囲が狭くなる。また、下糸切れの場合、下糸の残量切れが一般的に発生しやすい。したがって、糸がない状態で縫製し続けても縫製模様には影響がないため、下糸切れの場合は、エラー範囲が1つの縫い目の形成位置で示される。補正係数は、エラー種類によって異なるように設定される数値で、エラー範囲の補正に使用される。
【0058】
<携帯端末3の電気的構成>
次に、
図3を参照して、携帯端末3の電気的構成について説明する。携帯端末3は、CPU111,ROM110,RAM112,フラッシュROM113,及び通信I/F114を、コンピュータからなる端末制御部として備える。CPU111は、携帯端末3の制御を司る。CPU111、ROM110,RAM112,フラッシュROM113,及び通信I/F114は、相互に電気的に接続される。ROM110は、ブートプログラム及びBIOS等を記憶する。RAM112は、縫製情報記憶部122、エラー情報記憶部123、エラー画像記憶部124、及びエラーテーブル記憶部125を備える。フラッシュROM113は、アドレス情報記憶部126、プログラム記憶部120、及びテーブル記憶部121を備える。フラッシュROM113内のアドレス情報記憶部126は、ミシン1のアドレスを記憶する。プログラム記憶部120及びテーブル記憶部121は、インストールされた表示処理のプログラム及び対応策テーブル600(
図6参照)をそれぞれ記憶する。対応策テーブル600(
図6参照)については、後述する。通信I/F114は、携帯端末3をネットワーク9に接続するためのインターフェースである。
【0059】
端末制御部は、操作スイッチ31,タッチパネル32,及びディスプレイ33と電気的に接続される。ディスプレイ33は、例えば、画像情報に基づき画像を表示するなど、表示手段として使用される。
【0060】
[対応策テーブル600]
図6に示される対応策テーブル600は、先述したように、表示処理のプログラムとともに携帯端末3にインストールされ、テーブル記憶部121に記憶される。対応策テーブル600は、エラー種類と、対応策とを対応付けるテーブルである。対応策とは、各エラー種類に対し、オペレータがエラー解消のために取るべき対応策を示す。
【0061】
<第1実施形態の縫製エラー管理システム100の動作>
図7乃至
図9に示されるフローチャートを参照し、縫製エラー管理システム100の一連の動作について説明する。
【0062】
[ミシン1のメイン処理]
図7に示されるフローチャートにしたがって、ミシン1が実行するメイン処理の動作について説明する。メイン処理は、オペレータがミシン1の操作スイッチ21のうちの電源スイッチを押下することにより、CPU60がプログラム記憶部70に記憶されるプログラムを実行することで、開始される。
図7にS10~S38で示される一連の処理の各処理は、ミシン1のCPU60により実行される処理である。
【0063】
オペレータはタッチパネル22を操作し、ディスプレイ15に表示された縫製模様の中から、所望の縫製模様を選択する。CPU60は選択された縫製模様に関する縫製情報を、フラッシュROM63の縫製模様情報記憶部78から読み出す(S10)。縫製情報は、絶対総針数、縫い目の座標、糸色、及び絶対糸色別針数を含む。CPU60は、縫製模様情報記憶部78から読み出された縫製情報を、RAM62の縫製情報記憶部73に記憶する(S12)。
【0064】
CPU60は、RAM62の縫製速度記憶部74に記憶される縫製速度の値を、フラッシュROM63の初期縫製速度記憶部79に記憶される初期縫製速度の値で初期化する(S14)。初期縫製速度とは、ミシン1が起動したときに自動的に設定される初期状態の縫製速度である。オペレータは初期縫製速度を設定変更することができ、次回以降の初期縫製速度は変更した初期縫製速度の値で初期化される。
【0065】
オペレータは、ミシン1の縫製速度を初期縫製速度から変更して、縫製を実行できる。CPU60は、縫製速度を設定するか否かを判断する(S16)。オペレータが縫製速度を設定しない場合(S16:NO)、縫製速度は初期縫製速度のまま、CPU60は処理をS20へ進める。オペレータが縫製速度を設定する場合(S16:YES)、CPU60は、設定された新しい縫製速度で、RAM62の縫製速度記憶部74を更新する(S18)。
【0066】
オペレータがミシン1の操作スイッチ21のうちのスタート/ストップスイッチを押下すると、CPU60はS12で記憶された縫製情報、及びS18で更新された縫製速度等の情報に基づいて、縫製を開始させる(S20)。
【0067】
CPU60は、RAM62のエラー情報記憶部75を初期化する(S22)。
【0068】
縫製が開始されると、CPU60は縫製状況進行処理を実行する(S24)。縫製状況進行処理は、ミシン1が縫製を1針目分実行する度に実行される制御処理であり、RAM62の縫製状況記憶部86に記憶されるミシン1が現在縫製している縫い目の針数、ミシン1が現在縫製している縫い目の座標、及びミシン1が現在縫製している縫い目に使用される糸色を更新する処理を含む。
【0069】
CPU60は、更新されたミシン1が現在縫製している縫い目の針数と、RAM62の縫製情報記憶部73に記憶される縫製情報のうち絶対総針数とを比較し、縫製が完了したか否かを判断する(S26)。ミシン1が現在縫製している縫い目の針数と、絶対総針数とが一致する場合、縫製が完了されたと判断し(S26:YES)、CPU60は処理をS34へ進める。ミシン1が現在縫製している縫い目の針数と、絶対総針数とが一致しない場合、まだ縫製は続いていると判断し(S26:NO)、CPU60は処理をS28へ進める。
【0070】
縫製が続いている場合、CPU60は、縫製模様の縫製中に上糸切れ、糸がらみ、及び下糸切れといったエラーが発生したか否かを判断する(S28)。CPU60が、エラーが発生したことを知らせる検出信号を受け取り、エラーが発生したと判断すると(S28:YES)、CPU60は、処理をS29へ進める。CPU60が、検出信号を受信せず、エラーが発生したと判断しなかった場合(S28:NO)、処理をS24へ戻し、縫製状況進行処理(S24)を再び実行する。
【0071】
エラーが発生した場合、CPU60は、縫製停止処理を実行する(S29)。CPU60は、縫製を停止するために主軸モータ制御部87へ主軸モータ88を停止する信号を送信する。
【0072】
CPU60は、エラー情報を生成する(S30)。エラー情報は、エラー番号、エラー種類、エラー時針数、及びエラー時座標を含む。エラー番号は、今回発生したエラーが縫製開始から何番目に発生したエラーかを示す数値で、エラーが発生するごとに1ずつ増加していく値である。エラー種類は、上糸切れといったエラーの原因を示し、CPU60が受け取った検出信号に従って決定される。エラー時座標は、今回のエラーが発生した時点で、ミシン1が縫製している縫い目の針数に対応する縫い目の座標を示し、縫製状況記憶部86に記憶されるミシン1が現在縫製している縫い目の針数、及びミシン1が現在縫製している縫い目の針数に対応する縫い目の座標に基づいて決定される。
【0073】
CPU60は、S30で生成したエラー情報をRAM62のエラー情報記憶部75に記憶する(S31)。CPU60は、エラー情報を記憶した後、処理をS32へ進める。
【0074】
CPU60は、スタート/ストップスイッチが押下されたか否かを判断する(S32)。操作スイッチ21のうちのスタート/ストップスイッチが押下されたと判断されると(S32:YES)、CPU60は、処理をS33へ進める。スタート/ストップスイッチが押下されたと判断されない場合(S32:NO)、CPU60は、S32の処理を繰り返し実行する。
【0075】
オペレータにより、操作スイッチ21のうちのスタート/ストップスイッチが押下されると、CPU60は、縫製再開処理を実行する(S33)。CPU60は、縫製を再開するために主軸モータ制御部87へ主軸モータ88を起動する信号を送信する。CPU60は、主軸モータ88を起動する信号を送信した後、処理をS24に戻し、縫製状況進行処理を再び実行する。
【0076】
縫製が完了されると、CPU60は、エラー処理を実行する(S34)。エラー処理については、後述する。エラー処理が実行されると、縫製中に発生した全エラーについての単一エラー画像及び総エラー画像が生成され、RAM62のエラー画像記憶部77に記憶される。
【0077】
CPU60は、ミシン1の電源スイッチが押下されたか否かを判断する(S35)。ミシン1の電源は、オペレータによって操作スイッチ21のうちの電源スイッチが押下されると、正常に切られる。ミシン1の電源スイッチが押下されたと判断された場合(S35:YES)、CPU60は、ミシン1のメイン処理を終了する。ミシン1の電源スイッチが押下されず、電源がまだ供給されている場合(S35:NO)、CPU60は処理をS36へ進める。
【0078】
CPU60は、携帯端末3からの通信でミシン1へ問い合わせがあったか否かを判断する(S36)。問い合わせがあったか否かの判断については、携帯端末3からネットワーク9を介してミシン1の通信I/F64に、情報を要求する信号が送信された場合が、問い合わせがあった場合と判断され、また、情報を要求する信号が送信されなかった場合が、問い合わせがなかった場合と判断される。問い合わせがなかった場合(S36:NO)、CPU60は処理をS35へ戻し、電源が切られるまで、S35の判断を繰り返す。問い合わせがあった場合(S36:YES)、CPU60は処理をS38へ進める。
【0079】
ミシン1のCPU60は、問い合わせを行った携帯端末3へ、縫製中に発生した全てのエラーについての単一エラー画像、総エラー画像、エラー情報、及び縫製情報を、ネットワーク9を介して送信する。送信される情報として、単一エラー画像及び総エラー画像はRAM62のエラー画像記憶部77から読み出され、エラー情報はエラー情報記憶部75から読み出され、縫製情報は縫製情報記憶部73から読み出される。送信処理を行った後は、CPU60は処理をS35へ戻し、電源が切られるまで、S35、S36、S38の処理を繰り返す。携帯端末3から問い合わせが複数回あれば、ミシン1は、問い合わせと同じ回数分、単一エラー画像、総エラー画像、エラー情報、及び縫製情報を携帯端末3に送信することとなる。
【0080】
[ミシン1のエラー処理]
図8を参照し、エラー処理について説明する。
図8にS50~S82で示される一連の処理の各処理は、ミシン1のCPU60により実行される処理である。
【0081】
エラー処理が開始されると、縫製中に最後に発生したエラーについてのエラー番号であって、エラー情報記憶部75に記憶されたエラー番号の数値より1つ多い数だけ、CPU60は縫製模様画像を生成する(S50)。縫製模様画像は、縫製する模様の形状を示す画像であり、縫製する模様の出来上がりの状態を、プレビューとして表す画像である。縫製模様画像は、縫製情報記憶部73に記憶された縫製情報に基づいて生成される。生成された縫製模様画像は、縫製模様画像記憶部76に記憶される。
【0082】
CPU60は、変数ERNumの値を「1」に設定する(S52)。変数ERNumは、後述する処理において、CPU60が現在処理しているエラーが何番目に発生したエラーであるかを把握するための値である。変数ERNumは、各エラーのエラー番号と対応し、例えば、変数ERNumの値が「2」の場合、2番目に発生したエラーについて、CPU60が現在処理をしていることを示す。
【0083】
CPU60は、変数ERNumの値が、縫製中に最後に発生したエラーのエラー番号より大きいか否かを判断する(S54)。変数ERNumの値が、最後に発生したエラーのエラー番号以下の場合(S54:NO)、つまり、発生した全てのエラーについて、まだS56~S82の処理が完了していない場合、CPU60は処理をS56に進める。変数ERNumの値が、最後に発生したエラーのエラー番号より大きい場合(S54:YES)、つまり、発生した全てのエラーについて、S56~S82の処理が完了した場合、CPU60はエラー処理を終了する。
【0084】
CPU60は、縫製速度記憶部74から、記憶される縫製速度を読み出す(S56)。
【0085】
CPU60は、ERNum番目に発生したエラー、つまり現在処理中のエラーについて、エラー情報記憶部75からエラー時針数を読み出す(S58)。
【0086】
CPU60は、ERNum番目に発生したエラーについて、エラー情報記憶部75からエラー種類を読み出す(S59)。
【0087】
CPU60は、S59で読み出されたエラー種類が、上糸切れであるか否かを判断する(S60)。エラー種類が上糸切れであった場合(S60:YES)、CPU60は処理をS62へ進める。エラー種類が上糸切れではなかった場合(S60:NO)、CPU60は処理をS64へ進める。
【0088】
エラー種類が上糸切れであった場合(S60:YES)、テーブル記憶部72に記憶される補正係数テーブル500に基づいて、CPU60は、補正係数を「1.0」に設定する(S62)。
【0089】
CPU60は、S59で読み出されたエラー種類が、糸がらみであるか否かを判断する(S64)。エラー種類が糸がらみであった場合(S64:YES)、CPU60は処理をS66へ進める。エラー種類が糸がらみではなかった場合(S64:NO)、CPU60は処理をS68へ進める。
【0090】
エラー種類が糸がらみであった場合(S64:YES)、テーブル記憶部72に記憶される補正係数テーブル500に基づいて、CPU60は、補正係数を「0.7」に設定する(S66)。
【0091】
今回はエラーの種類が上糸切れ及び糸がらみのいずれでもなく、下糸切れである場合、テーブル記憶部72に記憶される補正係数テーブル500に基づいて、CPU60は、補正係数を「0.0」に設定する(S68)。
【0092】
CPU60は、S56で読み出された縫製速度に基づいて、テーブル記憶部72に記憶されるエラー範囲テーブル400からエラー範囲を読み出す(S70)。例えば、縫製速度が400spmの場合、読み出されるエラー範囲は、エラー時針数を基準に前後7針目の範囲となる。
【0093】
CPU60は、S60~S68で設定された補正係数に基づいて、エラー範囲を補正する(S72)。補正は、エラー範囲に補正係数をかけ合わせ、小数点以下は四捨五入することにより行われる。S74~S80において記載されるエラー範囲は、補正後のエラー範囲を示す。
【0094】
CPU60は、ERNum番目に発生したエラーについて、エラー範囲針数を算出する(S74)。エラー範囲針数は、エラー範囲における最初の針数から最後の針数までの針数を表し、エラー時針数とエラー範囲とに基づいて算出される。例えば、エラーが発生した時点にミシン1が縫製している縫い目が縫製開始から100針目の縫い目である場合、エラー時針数は針数「100」であり、エラー範囲がエラー時針数を基準に前後10針目の範囲である場合、エラー範囲針数は針数「90~110」を表す。
【0095】
CPU60は、ERNum番目に発生したエラーについて、S74で算出されたエラー範囲針数をエラー情報に追加する(S75)。エラー情報は、エラー情報記憶部75に記憶される。
【0096】
CPU60は、ERNum番目に発生したエラーについて、エラー範囲針数に対応する縫い目の座標を決定する(S76)。エラー範囲針数に対応する縫い目の座標は、縫製情報記憶部73に記憶された縫製情報のうち、絶対総針数と縫い目の座標とから決定される。以下、決定された縫い目の座標を、エラー範囲座標と記載する。
【0097】
CPU60は、ERNum番目に発生したエラーについて、単一エラー画像を生成する(S78)。単一エラー画像とは、縫製中に発生したエラーの各々について、縫製模様画像上に、エラーの発生位置が描画された画像である。例えば、1番目に発生したエラーについて、単一エラー画像を生成する場合、縫製模様画像記憶部76に記憶される縫製模様画像のうちの1つの縫製模様画像を読み出し、エラー範囲座標に基づいて、1番目のエラーの発生位置を、読み出した縫製模様画像上に描画することで、1番目の単一エラー画像が生成される。
【0098】
CPU60は、ERNum番目に発生したエラーについて、総エラー画像を新たに生成するか、または、1つ前に発生したエラーについて生成された総エラー画像にERNum番目に発生したエラーの発生位置を上書きする(S80)。総エラー画像とは、縫製中に発生したエラーの全てについて、縫製模様画像上に、エラーの発生位置が描画された画像である。1番目のエラーの場合、縫製模様画像記憶部76に記憶される縫製模様画像のうちの1つの縫製模様画像を読み出し、エラー範囲座標に基づいて、1番目のエラーの発生位置を、読み出された縫製模様画像上に描画することで、総エラー画像が生成される。2番目のエラーの場合、1番目のエラーの際に生成された総エラー画像に、2番目のエラーの発生位置を重ねて描画することで、総エラー画像が更新される。以降、最後に発生したエラーまで同様の更新処理が行われ、縫製完了時の総エラー画像は完成される。
【0099】
CPU60は、変数ERNumの値を1増やす(S82)。その後、CPU60は処理をS54に戻す。
【0100】
[携帯端末3の表示処理]
図9を参照し、表示処理について説明する。
図9にS100~S126で示される一連の処理の各処理は、携帯端末3のCPU111により実行される処理である。
【0101】
携帯端末3で、表示処理が開始されると、CPU111は、ミシンのアドレスが登録済みか否かを判断する(S100)。この判断は、携帯端末3のフラッシュROM113内のアドレス情報記憶部126に、ミシンのアドレスがあるか否かで実行される。アドレスが登録済みであった場合(S100:YES)、CPU111は処理をS104へ進める。アドレスが未登録であった場合(S100:NO)、CPU111は処理をS102へ進める。
【0102】
CPU111は、ミシンのアドレスを登録する(S102)。例えば、ミシン1のアドレスを登録する場合、オペレータが携帯端末3のタッチパネル32を操作し、手入力でミシン1のアドレスを打ち込むことで、ミシン1のアドレスがアドレス情報記憶部126に記憶され、登録される。この登録されたアドレスは、ミシン1のアドレス情報記憶部71に記憶されるアドレスと同じアドレスである。ここで登録されたアドレスのミシン1が、携帯端末3と通信を行うミシン1となる。
【0103】
CPU111は、アドレスが登録されたミシン1へ、エラー画像等のエラーに関する情報を受け取るための問い合わせを行う(S104)。問い合わせは、携帯端末3のCPU111から、ミシン1のCPU60へ、ネットワーク9を介して、問い合わせ信号を送信することで、実行される。
【0104】
CPU111は、問い合わせによりミシン1から送信された情報が受信されたか否かを判断する(S106)。ミシン1から送信された情報は、縫製中に発生した全てのエラーについての単一エラー画像、総エラー画像、エラー情報、及び縫製情報である。情報が受信された場合(S106:YES)、CPU111は処理をS108へ進める。情報が受信されない場合(S106:NO)、CPU111は処理をS104へ戻し、再度問い合わせが行われる。ミシン1から情報が受信されるまで、CPU111はS104~106の処理を繰り返す。
【0105】
情報が受信された場合(S106:YES)、CPU111は、アドレスが登録されたミシン1から送信された情報、すなわち、縫製中に発生した全てのエラーについての単一エラー画像、総エラー画像、エラー情報、及び縫製情報をRAM112の各記憶部にそれぞれ記憶する(S108)。単一エラー画像及び総エラー画像は、エラー画像記憶部124に記憶される。エラー情報は、エラー情報記憶部123に記憶される。縫製情報は、縫製情報記憶部122に記憶される。
【0106】
CPU111は、縫製中に発生したエラーの各々について、テーブル記憶部121に記憶される対応策テーブル600から、エラー対応策を読み出す(S110)。エラー情報記憶部123に記憶されるエラー情報のうち、エラー種類に基づいて、各エラー種類に対応するエラー対応策が、対応策テーブル600から読み出される。1つのエラー種類についてエラー対応策が複数ある場合は、複数のエラー対応策の全てが読み出される。
【0107】
CPU111は、総エラー表を生成する(S112)。総エラー表は、縫製中に発生した全てのエラーについて、エラー番号、エラー範囲針数、エラー種類、及びエラー対応策をまとめた表である。総エラー表は、エラー情報記憶部123に記憶されるエラー情報のうち、エラー番号と、エラー範囲針数と、エラー種類と、S110で読み出したエラー対応策とに基づいて、生成される。生成された総エラー表は、エラーテーブル記憶部125に記憶される。
【0108】
CPU111は、縫製中に発生したエラーの各々について、単一エラー表を生成する(S114)。単一エラー表は、総エラー表に対し、オペレータが選択したエラーのエラー番号、エラー範囲針数、エラー種類、及びエラー対応策を強調した状態で描画される表である。生成された単一エラー表は、エラーテーブル記憶部125に記憶される。
【0109】
CPU111は、総エラー画像及び総エラー表をディスプレイ33に表示する(S116)。
図10を参照して、ディスプレイ33に表示される総エラー表示画面150について説明する。総エラー表示画面150は、総エラー画像151及び総エラー表152を表示する画面で構成される。総エラー画像151は、縫製模様画像SPの上に、縫製中に発生した4つのエラーに対応する4つのエラーの発生位置EP1~EP4が、黒色領域で描画されることで、形成される。縫製模様画像SPは、花柄の縫製模様を示す画像である。縫製模様画像SPの外形線で囲まれる領域は、実際の縫製模様において縫い目が形成される領域である。総エラー画像151上に示される丸で囲まれた1~4の番号は、総エラー表152のNo1~4にそれぞれ対応する。総エラー表152は、縫製中に発生した4つのエラーについて、1行毎に各エラーのエラー番号、エラー種類、エラー範囲針数、及びエラー対応策で構成される。
図10に示される総エラー表152において、Noがエラー番号に対応する。
図10に示されるエラー範囲針数は、絶対総針数との対比の形式で、「エラー範囲針数/絶対総針数」と表される。
【0110】
CPU111は、総エラー表示画面150において、任意のエラーが選択されたか否かを判断する(S118)。任意のエラーの選択は、オペレータがタッチパネル32を操作し、総エラー表示画面150に表示される総エラー画像151上の任意のエラーの発生位置をタップする、または総エラー表152上の任意のエラーの行をタップすることで、実行される。任意のエラーが選択された場合(S118:YES)、CPU111は処理をS122へ進める。任意のエラーが選択されていない場合(S118:NO)、CPU111は処理をS120へ進める。
【0111】
任意のエラーが選択されていない場合、CPU111は、アプリケーションが終了されたか否かを判断する(S120)。周知の携帯端末3では、アプリケーションの起動中に、オペレータが所定の動作を行うことで、強制的にアプリケーションを終了することができる。アプリケーションが終了された場合(S120:YES)、CPU111は表示処理を終了する。アプリケーションが終了されていない場合(S120:NO)、CPU111は処理をS116へ戻し、総エラー表示画面150をディスプレイ33に表示する。
【0112】
任意のエラーが選択された場合、CPU111は、選択された任意のエラーの単一エラー画像と、そのエラーに対応する単一エラー表を表示する(S122)。
図11を参照して、1番目のエラーが選択された場合、ディスプレイ33に表示される単一エラー表示画面160について説明する。単一エラー表示画面160は、単一エラー画像161、単一エラー表162、及び戻るボタン163を表示する画面で構成される。単一エラー画像161は、選択された1番目のエラーについて、縫製模様画像SP上に、エラーの発生位置EP1が黒色領域で描画されることで、形成される。単一エラー表162は、縫製中に発生した4つのエラーについて、1行毎に各エラーのエラー番号、エラー種類、エラー範囲針数、及びエラー対応策で構成され、選択された1番目のエラーの行AP1が黒色の太線で囲われることで、強調した状態で表示される。
図12~14に示される2~4番目のエラーの各エラーが選択された場合に、単一エラー画像171~191と単一エラー表171~192とをそれぞれ含む単一エラー表示画面170~190の各画面の表示も、同様にして行われる。
【0113】
単一エラー表示画面160が表示されると、CPU111は、総エラー表示画面150に戻るか否かを判断する(S124)。総エラー表示画面150に戻るには、オペレータが戻るボタン163をタップする。戻るボタン163がタップされた場合(S124:YES)、CPU111は処理をS116に戻し、再び総エラー表示画面150が表示される。戻るボタン163がタップされない場合(S124:NO)、CPU111は処理をS126へ進める。
【0114】
S120と同様に、CPU111は、アプリケーションが終了されたか否かを判断する(S126)。アプリケーションが終了されていない場合(S124:NO)、CPU111は処理をS122へ戻し、再び選択された単一エラー表示画面160を表示する。アプリケーションが終了された場合(S126:YES)、CPU111は表示処理を終了する。
【0115】
<第1実施形態の効果>
第1実施形態では、ミシン1が、S80、S78の処理において総エラー画像及び単一エラー画像を生成し、携帯端末3が、ミシン1から通信により受信した総エラー画像及び単一エラー画像をディスプレイ33に表示する構成である。この構成により、携帯端末3は、エラー画像を生成するための情報処理を行う必要がないことから、エラー画像を迅速に表示する処理を実行することができる。
【0116】
第1実施形態では、縫製中に発生した複数のエラーに関して、全てのエラーの発生位置が縫製完了後に表示される。したがって、オペレータは、縫製完了後に、ディスプレイ33に表示されたエラーの発生位置を確認したうえで、実際に縫製された縫製対象物5をミシン1から取り外して見ることにより、実際の縫製対象物5上でエラーの発生位置を容易に見つけることができる。また、複数のエラーの発生関連状況等を容易に確認できる。
【0117】
第1実施形態では、
図10に示される総エラー表示画面150は、エラーの発生位置が描画された総エラー画像151と、エラー種類及び対応策等を説明する総エラー表152とを表示する。したがって、総エラー表示画面150において、オペレータは、総エラー画像151から、各エラーの発生位置を容易に確認できるとともに、総エラー表152から、各エラーを解消する対応策まで、その場で把握することができる。また、第1実施形態では、
図11等に示される単一エラー表示画面160は、特定のエラーの発生位置が描画された単一エラー画像161と、特定のエラーについてエラー種類及び対応策等を説明する単一エラー表162とを表示する。したがって、単一エラー表示画面160において、オペレータは、単一エラー画像161から、特定のエラーの発生位置を容易に確認できるとともに、単一エラー表162から、特定のエラーを解消する具体的な対応策まで、その場で把握することができる。また、オペレータは、エラーに関する得られた情報を、別の縫製模様データを作成する際に、参考情報として利用することができる。
【0118】
第1実施形態では、CPU60が、S28の処理において、エラーが発生したか否かを、エラーの発生を知らせる検出信号を受信したか否かで判断する。したがって、主軸モータ88が停止した時点でエラーの発生を判断する構成に比べ、CPU60は、検出信号の受信により、実際にエラーが発生してから即座にエラーの発生を認識することができる。この即座の認識により、CPU60が、S70~S74の処理により、検出信号を受信した時点にミシン1が縫製している縫い目の針数を基準として、エラーの影響を受けるエラー範囲針数を正確に決定することができる。
【0119】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、ミシン1のメイン処理において第1実施形態と相違する。第2実施形態において、第1実施形態のミシン1及び携帯端末3と同じ構成部分には、第1実施形態と同じ符号を使用し、その同じ構成部分の説明を省略する。
【0120】
<第2実施形態の縫製エラー管理システム100の動作>
図15を参照して、第2実施形態の縫製エラー管理システム100の動作について説明する。S110~S124の処理に関しては、第1実施形態のS10~24に対応し、同様の処理を行うため、説明を省略する。S110~S124の処理により、縫製の初期設定が実行され、縫製処理が開始される。
【0121】
S124で縫製状況が更新されると、CPU60は、ミシン1が現在縫製している縫い目の更新された針数が、RAM62の縫製情報記憶部73に記憶される縫製情報のうち絶対総針数と一致したか否かを判断することで、縫製が完了したか否かを判断する(S126)。ミシン1が現在縫製している縫い目の針数と、絶対総針数とが一致する場合、CPU60は、縫製が完了されたと判断し(S126:YES)、処理をS136へ進め、電源スイッチが押下されるまで、S136の判断を繰り返し実行する。ミシン1が現在縫製している縫い目の針数と、絶対総針数とが一致しない場合、CPU60は、まだ縫製は続いていると判断し(S126:NO)、処理をS128へ進める。
【0122】
S128~S131の処理については、第1実施形態のS28~S31の処理に対応し、同様の処理を行うため、説明を省略する。S128~S131の処理により、縫製が停止され、発生したエラーに関するエラー情報がエラー情報記憶部75に記憶される。
【0123】
発生したエラーが記憶されると、CPU60は、エラー処理を実行する(S132)。エラー処理は、第1実施形態と同様に実行される。エラー処理が実行されると、縫製中に発生した全エラーについての単一エラー画像及び総エラー画像が生成され、RAM62のエラー画像記憶部77に記憶される。
【0124】
CPU60は、携帯端末3からミシン1へ問い合わせがあったか否かを判断する(S134)。問い合わせがあったか否かの判断は、携帯端末3から、ネットワーク9を介してミシン1の通信I/F64に、情報を要求する信号が送信されたか否かで実行される。問い合わせがなかった場合(S134:NO)、CPU60は処理をS135へ進める。問い合わせがあった場合(S134:YES)、CPU60は処理をS138へ進める。
【0125】
携帯端末3からミシン1へ問い合わせがあった場合、ミシン1のCPU60は、問い合わせを行った携帯端末3へ、縫製中に発生した全てのエラーについての単一エラー画像、総エラー画像、エラー情報、及び縫製情報を、ネットワーク9を介して送信する(S138)。単一エラー画像及び総エラー画像はRAM62のエラー画像記憶部77に記憶され、エラー情報はエラー情報記憶部75に記憶され、縫製情報は縫製情報記憶部73に記憶される。送信処理を行った後は、CPU60は処理をS135へ進める。
【0126】
CPU60は、スタート/ストップスイッチが押下されたか否かを判断する(S135)。操作スイッチ21のうちのスタート/ストップスイッチが押下されたと判断されると(S135:YES)、CPU60は、処理をS137へ進める。スタート/ストップスイッチが押下されたと判断されない場合(S32:NO)、CPU60は、処理をS134へ戻す。
【0127】
オペレータにより、操作スイッチ21のうちのスタート/ストップスイッチが押下されると、CPU60は、縫製再開処理を実行する(S137)。CPU60は、縫製を再開するために主軸モータ制御部87へ主軸モータ88を起動する信号を送信する。CPU60は、主軸モータ88を起動する信号を送信した後、処理をS124に戻し、縫製状況進行処理を再び実行する。
【0128】
縫製が完了した場合、CPU60は、ミシン1の電源が切られたか否かを判断する(S136)。ミシン1の電源は、オペレータによって操作スイッチ21のうちの電源スイッチが押下されると、正常に切られる。ミシン1の電源が切られたと判断された場合(S136:YES)、ミシン1のメイン処理は終了される。ミシン1の電源がまだ供給されている場合(S136:NO)、CPU60は電源が切られるまで、S136の処理を繰り返す。
【0129】
<第2実施形態の効果>
第2実施形態では、ミシン1が、
図15に示されるメイン処理におけるS132の処理により、縫製中に発生したエラーに関係して総エラー画像及び単一エラー画像を生成し、携帯端末3が、縫製中に、ミシン1から通信により総エラー画像及び単一エラー画像を受信することが可能な構成である。この構成により、オペレータは、縫製中に発生したエラーの発生位置を、縫製中であってもエラー発生直後に即座に確認することができる。
【0130】
(本発明と実施形態との構成の対応関係)
ミシン1及び携帯端末3は、本発明のミシン及び外部装置の一例である。縫製エラー管理システム100、または携帯端末3は、本発明の縫製エラー管理装置の一例である。縫製エラー管理システム100は、本発明の縫製エラー管理システムの一例である。
図10~14に示される縫製模様画像SPが、本発明の縫製模様の形状を表す画像の一例である。
図10~14に示されるエラーの発生位置EP1~EP4が、本発明のエラーの発生位置の一例である。
図10に示される総エラー画像151、及び
図11に示される単一エラー画像161等が、本発明のエラー画像の一例である。
図9に示される表示処理におけるS108の処理が、本発明のエラー画像取得手段の一例である。
図1及び
図3に示されるディスプレイ33が、本発明の表示手段の一例である。
図9に示される表示処理におけるS116、S122の処理が、本発明の表示制御手段の一例である。
図7に示されるS30及び
図15に示されるS130の処理が、本発明の第1取得手段の一例である。
図8に示されるS78、S80の組み合わせが、本発明の画像生成手段の一例である。
図10に示される総エラー画像151が、本発明の総エラー画像の一例である。
図11~14等に示される単一エラー画像161が、本発明の単一エラー画像の一例である。
図9に示されるS108の処理が、本発明のエラー種類取得手段の一例である。
図9に示されるS110の処理が、本発明の対応策取得手段の一例である。
図9に示されるS108の処理が、本発明の第2取得手段の一例である。
図8に示されるS70、S72の処理が、本発明のエラー範囲決定手段の一例である。
図8に示されるS74の処理が、本発明のエラー範囲針数決定手段の一例である。
図9にフローチャートで示される表示処理のプログラムが、本発明の縫製エラー管理プログラムの一例である。
図9に示される表示処理におけるS108の処理が、本発明の縫製エラー管理プログラムのエラー画像取得手段の一例である。
図9に示される表示処理におけるS116、S122の処理が、本発明の縫製エラー管理プログラムの表示制御手段の一例である。
【0131】
(変形例)
本発明の実施形態について以上説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において当業者であれば種々の変形を加えることができる。
【0132】
(1)本実施形態では、ミシン1が、S80、S78の処理において総エラー画像及び単一エラー画像を生成し、携帯端末3が、ミシン1から通信により受信した総エラー画像及び単一エラー画像をディスプレイ33に表示する構成であるが、この構成に限定されない。例えば、ミシン1が、S80、S78の処理において生成した総エラー画像及び単一エラー画像を、ミシン1のディスプレイ15に表示する構成であっても良い。この変形例では、ミシン1単体が、本発明の縫製エラー管理装置の一例である。または、携帯端末3が、ミシン1から必要な情報を通信により受信して総エラー画像及び単一エラー画像を生成する構成であっても良い。すなわち、携帯端末3が、本実施形態のエラー処理を実行する構成であっても良い。
【0133】
(2)本実施形態では、縫製エラー管理装置は、ミシン1及び携帯端末3を備える縫製エラー管理システム100として構成されるが、この構成に限定されない。例えば、ミシン1単体、もしくは携帯端末3単体で、縫製エラー管理装置が構成されても良い。
【0134】
(3)本実施形態では、外部装置は、携帯端末3として構成されるが、この構成に限定されない。例えば、外部装置は、デスクトップPC、ノートPC、及びネットワーク9に接続されるテレビ等であっても良く、少なくともエラー画像を取得してエラー画像の表示を制御する機能を有する装置であれば良い。外部装置が、PCで構成される変形例の場合、そのPCが、縫製模様の縫製情報などを編集する機能を有すれば、糸がらみのエラー対応策として、オペレータは、PCの制御により、糸密度が小さくなるように縫製情報を修正することができる。
【0135】
(4)本実施形態では、縫製模様画像が、縫製する模様の形状を示す画像であり、縫製する模様の出来上がりの状態を、プレビューとして表す画像として構成されるが、この構成に限定されない。例えば、縫製途中であって、縫製する模様の未完成な状態の形状を示す画像でも良い。また、縫製模様画像が、縫製する模様のうちで、エラーの発生位置の周辺における模様の一部分の形状を拡大して示す画像であっても良い。
【0136】
(5)本実施形態では、縫い目の座標は、平面上の直交座標系で示される構成であるが、この構成に限定されない。例えば、縫い目の座標が、極座標系の円座標で示される構成であっても良い。
【0137】
(6)本実施形態では、エラー種類が上糸切れ、糸がらみ、及び下糸切れに限定される構成であるが、この構成に限定されない。例えば、針折れまたは布地のしわ等、その他の様々なエラー種類も、エラー種類にしても良い。エラー種類が増える場合、追加するエラー種類に対応する補正係数及び対応策が、補正係数テーブル500及び対応策テーブル600に追加される。
【0138】
(7)本実施形態では、上糸切れの補正係数が「1.0」、糸がらみの補正係数が「0.7」、及び下糸切れの補正係数が「0.0」と設定される構成であるが、この構成に限定されない。例えば、補正係数がオペレータにより縫製状況に応じて設定される構成でも良い。また、補正係数を使用せず、エラーの種類に応じた所定の計算式等により、補正を行う構成でも良い。また、エラー範囲を補正しない状態で使用する構成でも良い。
【0139】
(8)本実施形態では、エラー範囲を、縫製速度に基づいて、エラー範囲テーブル400から読み出される構成であるが、この構成に限定されない。例えば、エラー範囲が、縫製速度を変数とする所定の計算式から、算出されても良い。
【0140】
(9)本実施形態では、縫製情報、エラー情報、及びエラー画像が、ミシン1及び携帯端末3の各記憶部に記憶される構成であるが、この構成に限定されない。例えば、縫製情報、エラー情報、及びエラー画像が、外部のUSBケーブルで接続された外部記憶装置、マイクロSDカード(登録商標)、及びサーバ等に記憶される構成であっても良い。その場合、ミシン1または携帯端末3は、USBケーブル等を接続できる構成を有する。
【0141】
(10)本実施形態では、CPU60が、エラーが発生したか否かを、エラーの発生を知らせる検出信号を受信したか否かで判断する構成であるが、この構成に限定されない。例えば、CPU60が検出信号を受信した時に、CPU60が主軸モータ制御部87に、主軸モータ88を停止する信号を送信する場合、CPU60が、主軸モータ88が完全に停止したことを表す信号を、主軸モータ制御部87から受信した時に、エラーが発生したと判断しても良い。この変形例の場合、主軸モータ88が完全に停止した時にミシン1が縫製していた縫い目の形成順序番号である針数が、エラー時針数となる。
図4に示されるエラー範囲テーブル400は、主軸モータ88が停止した時の針数より前に形成された針目の数を、エラー範囲として設定する構成となる。したがって、オペレータは、縫製が停止した針目の位置から遡ってエラーの発生位置の状態を確認すればよく、縫製対象物5における実際のエラーの発生位置を確認しやすい。
【0142】
(11)本実施形態では、携帯端末3がエラー画像等のエラーに関する情報をミシン1から受信するために、携帯端末3からミシン1に問い合わせを行う構成であるが、この構成に限定されない。例えば、縫製が完了した時点で、ミシン1から携帯端末3へ問い合わせを行う構成であっても良い。また、ミシン1は、携帯端末3からの問い合わせの有無にかかわらず、携帯端末3へエラーに関する情報を送信する構成であっても良い。
【0143】
(12)第1実施形態では、縫製完了後に問い合わせがあったか否かが判断される構成であるが、この構成に限定されない。例えば、縫製中に携帯端末3からミシン1に事前に問い合わせがあった場合、ミシン1が、その問い合わせ通信情報を記憶しておき、縫製完了後に、記憶された通信情報を基にして、ミシン1から携帯端末3へ問い合わせを行う構成であっても良い。また、ミシン1は、携帯端末3からの問い合わせの有無にかかわらず、縫製が完了した時点で、携帯端末3へエラーに関する情報を送信する構成であっても良い。
【0144】
(13)本実施形態では、ミシン1の電源が切られるまで問い合わせの判断が繰り返される構成であるが、この構成に限定されない。例えば、ミシン1の電源が切られた後も、問い合わせだけは実行されるようにミシン制御部への電力供給が継続されており、ミシン1が携帯端末3と通信を行う構成であっても良い。
【0145】
(14)本実施形態では、総エラー画像及び単一エラー画像を描画するために使用される縫製模様画像が、エラー画像の生成前に事前に生成される構成であるが、この構成に限定されない。例えば、エラー画像が生成される直前、または、そのエラー画像の生成と同時に、縫製模様画像が生成される構成であっても良い。
【0146】
(15)本実施形態では、単一エラー画像が生成されてから、総エラー画像が生成される構成であるが、この構成に限定されない。例えば、総エラー画像が生成されてから、単一エラー画像が生成される構成であっても良い。また、総エラー画像については、各エラーの発生ごとに総エラー画像が上書きされるS80の処理が実行されずに、最後のエラーが発生した時点で、全てのエラーについて、総エラー画像がまとめて生成されても良い。
【0147】
(16)本実施形態では、ミシンのアドレスが登録済みの場合、ミシンのアドレスを登録する処理は行われない構成であるが、この構成に限定されない。例えば、ミシンのアドレスが登録済みであっても、ミシンのアドレスを登録する処理が実行され、複数台のミシンのアドレスが登録されても良い。この変形例の場合、携帯端末3が、どのミシンに問い合わせを行うかを選択する処理を実行する構成となる。
【0148】
(17)本実施形態では、携帯端末3がミシンのアドレスを登録する構成であるが、この構成に限定されない。例えば、ミシンが携帯端末のIPアドレス等の固有番号を登録する構成であっても良い。
【0149】
(18)本実施形態では、総エラー表152は、エラー番号、エラー種類、エラー時針数、及びエラー対応策を項目として表示する構成であるが、この構成に限定されない。例えば、総エラー表152が、エラーに関連するミシン機構等を追加で表示しても良い。総エラー表152が、エラー時針数等が削除された状態でエラーに関する情報を表示する構成であっても良い。また、オペレータが表示したい項目をカスタマイズできる構成であっても良い。
【0150】
(19)本実施形態では、総エラー表示画面150が単一エラー表示画面160よりも先に表示される構成であるが、この構成に限定されない。例えば、表示メニューが表示されて、総エラー表示画面及び複数の単一エラー表示画面から、オペレータが表示したい画面を選択する構成であっても良い。
【0151】
(20)本実施形態では、総エラー表示画面150において、総エラー画像151と総エラー表152とが同じ画面で表示される構成であるが、この構成に限定されない。例えば、総エラー画像と総エラー表とが、別ウィンドウで表示され、オペレータの操作で切り替えられる構成であっても良い。この切り替えられる構成は、単一エラー表示画面160においても、同様に採用されても良い。
【符号の説明】
【0152】
1 ミシン
3 携帯端末
33 携帯端末3のディスプレイ
60 ミシン1のCPU
80 上糸切れ検出センサ
81 糸がらみ検出部
85 下糸切れ検出センサ
100 縫製エラー管理システム
111 携帯端末3のCPU
150 総エラー表示画面
151 総エラー画像
152 総エラー表
160 単一エラー表示画面
161 単一エラー画像
162 単一エラー表
SP 縫製模様画像
EP1 1番目のエラーの発生位置
EP2 2番目のエラーの発生位置
EP3 3番目のエラーの発生位置
EP4 4番目のエラーの発生位置
AP1 選択された1番目のエラーの行
AP2 選択された2番目のエラーの行
AP3 選択された3番目のエラーの行
AP4 選択された4番目のエラーの行