(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】フィルタ装置
(51)【国際特許分類】
H03H 9/64 20060101AFI20241114BHJP
H03H 9/17 20060101ALI20241114BHJP
H03H 9/54 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H03H9/64 Z
H03H9/17 F
H03H9/54 Z
(21)【出願番号】P 2022559451
(86)(22)【出願日】2021-11-01
(86)【国際出願番号】 JP2021040267
(87)【国際公開番号】W WO2022092315
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-05-02
(31)【優先権主張番号】P 2020183776
(32)【優先日】2020-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】近藤 清磨
(72)【発明者】
【氏名】田中 聡
(72)【発明者】
【氏名】山本 靖久
【審査官】石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/040922(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/056377(WO,A1)
【文献】特開2001-223554(JP,A)
【文献】特開2003-347889(JP,A)
【文献】特開2001-223559(JP,A)
【文献】国際公開第2018/211864(WO,A1)
【文献】特開2019-205065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 9/145-9/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1入力端子と、第1出力端子と、前記第1入力端子及び前記第1出力端子を接続し、複数の第1直列腕共振子が配置された第1直列腕と、第1並列腕共振子がそれぞれ配置され、前記第1直列腕に接続された複数の第1並列腕とを含み、所定周波数帯の通過帯域を有する第1フィルタと、
第2入力端子と、第2出力端子と、前記第2入力端子及び前記第2出力端子を接続し、複数の第2直列腕共振子が配置された第2直列腕と、第2並列腕共振子がそれぞれ配置され、前記第2直列腕に接続された複数の第2並列腕とを含み、前記所定周波数帯の通過帯域を有する第2フィルタと、
前記第1フィルタ及び前記第2フィルタが形成された基板と、
前記第1入力端子からN(N:自然数)番目に近い第1並列腕に配置された第1並列腕共振子と、前記第2入力端子からN番目に近い第2並列腕に配置された第2並列腕共振子とが電気的に接続される接続点と、
前記
接続点と接地端子との間に接続されたインダクタと、
を備える、フィルタ装置。
【請求項2】
第1入力端子と、第1出力端子と、前記第1入力端子及び前記第1出力端子を接続し、複数の第1直列腕共振子が配置された第1直列腕と、第1並列腕共振子がそれぞれ配置され、前記第1直列腕に接続された複数の第1並列腕とを含み、所定周波数帯の通過帯域を有する第1フィルタと、
第2入力端子と、第2出力端子と、前記第2入力端子及び前記第2出力端子を接続し、複数の第2直列腕共振子が配置された第2直列腕と、第2並列腕共振子がそれぞれ配置され、前記第2直列腕に接続された複数の第2並列腕とを含み、前記所定周波数帯の通過帯域を有する第2フィルタと、
前記第1フィルタ及び前記第2フィルタが形成された基板と、
前記複数の第1並列腕及び前記複数の第2並列腕のうちの少なくとも1つの並列腕に含まれる並列腕共振子と接地端子との間に接続されたインダクタと、
前記第1直列腕共振子、前記第1並列腕共振子、前記第2直列腕共振子及び前記第2並列腕共振子のいずれの結合係数よりも大きい結合係数を有する複数の共振子を含み、前記第1出力端子と前記第2出力端子との間の出力差が入力され、入力された出力差を不平衡信号に変換する出力変換器とを、
備える、フィルタ装置。
【請求項3】
前記出力変換器は、前記基板に形成されている、
請求項
2に記載のフィルタ装置。
【請求項4】
前記出力変換器は、隣接して直列に接続された複数の共振子を含む、
請求項
2又は3に記載のフィルタ装置。
【請求項5】
前記出力変換器は、前記複数の共振子の少なくともいずれかに並列に接続されるインダクタをさらに含む、
請求項
2から4のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項6】
前記第1直列腕共振子、前記第1並列腕共振子、前記第2直列腕共振子及び前記第2並列腕共振子は、SAW(Surface Acoustic Wave)共振子及びBAW(Bulk Acoustic Wave)共振子の少なくともいずれかである、
請求項
1から5のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項7】
不平衡信号が入力され、入力された不平衡信号を平衡信号に変換して、変換した平衡信号を前記第1入力端子及び前記第2入力端子に入力する入力変換器を、さらに備える、
請求項
1から6のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項8】
前記第1フィルタ及び前記第2フィルタは、前記基板を平面視した場合に互いに対称である、
請求項
1から7のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項9】
第1送信入力端子と、第1アンテナ端子と、前記第1送信入力端子及び前記第1アンテナ端子を接続し、複数の第1直列腕共振子が配置された第1直列腕と、第1並列腕共振子がそれぞれ配置され、前記第1直列腕に接続された複数の第1並列腕とを含み、第1周波数帯の通過帯域を有する第1送信フィルタと、
第2送信入力端子と、第2アンテナ端子と、前記第2送信入力端子及び前記第2アンテナ端子を接続し、複数の第2直列腕共振子が配置された第2直列腕と、第2並列腕共振子がそれぞれ配置され、前記第2直列腕に接続された複数の第2並列腕とを含み、前記第1周波数帯の通過帯域を有する第2送信フィルタと、
前記複数の第1並列腕及び前記複数の第2並列腕のうちの少なくとも1つの並列腕に含まれる並列腕共振子と接地端子との間に接続されたインダクタと、
第1受信出力端子と、前記第1アンテナ端子及び前記第1受信出力端子を接続し、少なくとも1つの第1縦結合共振子が配置された第3直列腕と、前記第3直列腕に配置された第3直列腕共振子、及び、前記第3直列腕と接地との間に接続された第3並列腕共振子の少なくとも一方とを含み、第2周波数帯の通過帯域を有する第1受信フィルタと、
第2受信出力端子と、前記第2アンテナ端子及び前記第2受信出力端子を接続し、少なくとも1つの第2縦結合共振子が配置された第4直列腕と、前記第4直列腕に配置された第4直列腕共振子、及び、前記第4直列腕と接地との間に接続された第4並列腕共振子の少なくとも一方とを含み、前記第2周波数帯の通過帯域を有する第2受信フィルタと、
を備える、フィルタ装置。
【請求項10】
第1送信入力端子と、第1出力端子と、前記第1送信入力端子及び前記第1出力端子を接続し、複数の第1直列腕共振子が配置された第1直列腕と、第1並列腕共振子がそれぞれ配置され、前記第1直列腕に接続された複数の第1並列腕とを含み、第1周波数帯の通過帯域を有する第1送信フィルタと、
第2送信入力端子と、第2出力端子と、前記第2送信入力端子及び前記第2出力端子を接続し、複数の第2直列腕共振子が配置された第2直列腕と、第2並列腕共振子がそれぞれ配置され、前記第2直列腕に接続された複数の第2並列腕とを含み、前記第1周波数帯の通過帯域を有する第2送信フィルタと、
前記複数の第1並列腕及び前記複数の第2並列腕のうちの少なくとも1つの並列腕に含まれる並列腕共振子と接地端子との間に接続されたインダクタと、
前記第1出力端子、前記第2出力端子、及びアンテナ端子を接続し、前記第1出力端子と前記第2出力端子との間の出力差が入力され、入力された出力差を不平衡信号に変換して前記アンテナ端子に出力する出力変換器と、
受信出力端子と、前記アンテナ端子及び前記受信出力端子を接続し、少なくとも1つの縦結合共振子が配置された第3直列腕と、前記第3直列腕に配置された第3直列腕共振子、及び、前記第3直列腕と接地との間に接続された第3並列腕共振子の少なくとも一方とを含み、第2周波数帯の通過帯域を有する受信フィルタと、
を備える、フィルタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話などの無線通信機には、特定の信号をフィルタリングするための装置が用いられている。例えば、特許文献1には、圧電基板上に複数のSAW共振子を直列に接続したラダー型フィルタを二つ配設するとともに、各ラダー型フィルタの並列腕に接続された並列腕共振子をグランドに接続させ、2つのラダー型フィルタの出力差を取り出すように成し、耐電力性を高めた弾性表面波装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線通信機において信号の電力を増幅する電力増幅器では、近年、出力電力を増加させるために差動構成が用いられることがある。このような無線通信機において、電力増幅器から出力される高出力の差動信号をフィルタリングするために、特許文献1に記載の弾性表面波装置を用いることが考えられる。しかしながら、一般的に、ラダー型フィルタでは、通過帯域を広帯域化すると、信号の損失が大きくなる。特許文献1に記載の弾性表面波装置では、共振子のみでラダー型回路が形成されており、通過帯域を広帯域化すると信号の損失が大きくなり、通過帯域を十分に広くすることができなかった。
【0005】
そこで、本発明は、耐電力性を高めつつ、通過帯域を広帯域化することを可能とするフィルタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るフィルタ装置は、第1入力端子と、第1出力端子と、第1入力端子及び第1出力端子を接続し、複数の第1直列腕共振子が配置された第1直列腕と、第1並列腕共振子がそれぞれ配置され、第1直列腕に接続された複数の第1並列腕とを含み、所定周波数帯の通過帯域を有する第1フィルタと、第2入力端子と、第2出力端子と、第2入力端子及び第2出力端子を接続し、複数の第2直列腕共振子が配置された第2直列腕と、第2並列腕共振子がそれぞれ配置され、第2直列腕に接続された複数の第2並列腕とを含み、所定周波数帯の通過帯域を有する第2フィルタと、第1フィルタ及び第2フィルタが形成された基板と、複数の第1並列腕及び複数の第2並列腕のうちの少なくとも1つの並列腕に含まれる並列腕共振子と接地端子との間に接続されたインダクタと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、耐電力性を高めつつ、通過帯域を広帯域化することを可能とするフィルタ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態に係るフィルタ装置の概略構成の一例を示す図である。
【
図2】同実施形態に係るフィルタ部の回路構成の一例を示す図である。
【
図3A】ラダー型フィルタの通過特性の一例を示す図である。
【
図3B】
図3Aの通過帯域よりも広帯域化された通過帯域を有するラダー型フィルタの通過特性を示す図である。
【
図3C】並列腕共振子にインダクタが接続されたときのラダー型フィルタの通過特性を示す図である。
【
図4】同実施形態に係る入力変換器及び出力変換器の回路構成の一例を示す図である。
【
図5】同実施形態に係るフィルタ装置が備えるフィルタ部、入力変換器及び出力変換器のレイアウトの一例を示す図である。
【
図6】同実施形態に係るフィルタ部の第1層の概略図である。
【
図7】同実施形態に係るフィルタ部の第2層の概略図である。
【
図8】同実施形態に係るフィルタ部の第3層の概略図である。
【
図9】第2実施形態に係るフィルタ装置の回路構成を示す図である。
【
図10】第3実施形態に係るフィルタ部の回路構成を示す図である。
【
図11】第4実施形態に係る出力変換器の回路構成を示す図である。
【
図12】第5実施形態に係る出力変換器の回路構成を示す図である。
【
図13】第6実施形態に係るフィルタ装置のレイアウトを示す図である。
【
図14】第7実施形態に係るフィルタ部について、基板を平面視した図である。
【
図15】第
8実施形態に係るフィルタ装置の回路構成の一例を示す図である。
【
図16】第
9実施形態に係るフィルタ装置の回路構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の機能を有する。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、本開示の一実施形態に係るフィルタ装置1の概略構成の一例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係るフィルタ装置1は、フィルタ部10、入力変換器20及び出力変換器30を備える。フィルタ部10は、入力側に入力変換器20が接続され、出力側に出力変換器30が接続される。
【0011】
入力変換器20は、不平衡信号が入力されると、入力された不平衡信号を平衡信号に変換できる。本実施形態では、入力変換器20は、変換した平衡信号をフィルタ部10に入力する。
【0012】
フィルタ部10は、2つのラダー型フィルタを含み、所定周波数帯の通過帯域を有する。本実施形態では、フィルタ部10は、入力変換器20から入力された平衡信号について、所定周波数帯の信号を通過させて出力変換器30に入力できる。
【0013】
出力変換器30は、フィルタ部10から平衡信号が入力されると、入力された平衡信号を不平衡信号に変換し、変換した不平衡信号を出力できる。
【0014】
図2は、本開示の一実施形態に係るフィルタ部10の回路構成の一例を示す図である。
図2に示すように、本実施形態に係るフィルタ部10は、第1フィルタ12及び第2フィルタ14を備える。第1フィルタ12及び第2フィルタ14は、いずれもラダー型フィルタである。
【0015】
第1フィルタ12は、主として、第1入力端子120と、第1出力端子122と、第1直列腕124と、3つの第1並列腕131,132,133とを含み、所定周波数帯の通過帯域を有する。
【0016】
第1直列腕124は、第1入力端子120及び第1出力端子122を接続している。また、第1直列腕124には、第1入力端子120に近い方から順に、4つの第1直列腕共振子S11,S12,S13,S14が配置されている。
【0017】
3つの第1並列腕131,132,133には、第1並列腕共振子P11,P12,P13がそれぞれ配置されている。また、3つの第1並列腕131,132,133は、第1直列腕124にそれぞれ接続されている。具体的には、第1並列腕131の一端は、第1直列腕共振子S11と第1直列腕共振子S12との間の第1直列腕124に接続されている。また、第1並列腕132の一端は、第1直列腕共振子S12と第1直列腕共振子S13との間の第1直列腕124に接続されている。さらに、第1並列腕133の一端は、第1直列腕共振子S13と第1直列腕共振子S14との間の第1直列腕124に接続されている。そして、第1並列腕132と第1並列腕133は、接続点135で接続されている。
【0018】
また、第1直列腕共振子S11,S12,S13,S14及び第1並列腕共振子P11,P12,P13の素子は特に限定されないが、例えば、弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)共振子、圧電薄膜共振子、又はバルク弾性波(BAW:Bulk Acoustic Wave)共振子などであってもよい。以下で説明する各種の共振子(例えば、第2フィルタ14に含まれる各種の共振子など)においても同様である。
【0019】
第2フィルタ14は、主として、第2入力端子140と、第2出力端子142と、第2直列腕144と、3つの第2並列腕151,152,153とを含み、所定周波数帯の通過帯域を有する。ここで、第2フィルタ14が有する通過帯域は、第1フィルタ12が有する通過帯域と実質的に同一の周波数帯の通過帯域である。
【0020】
第2フィルタ14は、第1フィルタ12と実質的に同一のラダー型フィルタの構成を含んでよい。例えば、第1フィルタ12及び第2フィルタ14は、同一の数の直列腕共振子及び同一の数の並列腕を備えてよい。また、第1フィルタ12及び第2フィルタ14において、対応する並列腕が接続される直列腕の位置も同一であってよいし、対応する共振子の特性(例えば、共振周波数及び反共振周波数など)が同一であってもよい。
【0021】
第2直列腕144は、第2入力端子140及び第2出力端子142を接続している。また、第2直列腕144には、第2入力端子140に近い方から順に、4つの第2直列腕共振子S21,S22,S23,S24が配置されている。
【0022】
3つの第2並列腕151,152,153には、第2並列腕共振子P21,P22,P23がそれぞれ配置されている。また、3つの第2並列腕151,152,153は、第2直列腕144にそれぞれ接続されている。具体的には、第2並列腕151の一端は、第2直列腕共振子S21と第2直列腕共振子S22との間の第2直列腕144に接続されている。また、第2並列腕152の一端は、第2直列腕共振子S22と第2直列腕共振子S23との間の第2直列腕144に接続されている。さらに、第2並列腕153の一端は、第2直列腕共振子S23と第2直列腕共振子S24との間の第2直列腕144に接続されている。
【0023】
また、上述した第1フィルタ12の接続点135は、第2並列腕152に電気的に接続されている。また、第2並列腕152及び第2並列腕153は、接続点156で接続されている。さらに、接続点156は、接地端子162に接続されている。
【0024】
また、第1並列腕131に配置されている第1並列腕共振子P11と、第2並列腕151に配置されている第2並列腕共振子P21は、接続点155で電気的に接続されている。ここで、平衡信号が第1フィルタ12及び第2フィルタ14に入力された際に、第1並列腕共振子P11の第1直列腕124側の電位と、第2並列腕共振子P21の第2直列腕144側の電位とが、同電位となっていてよい。
【0025】
なお、本実施形態では、第1直列腕124及び第2直列腕144には、4つの直列腕共振子がそれぞれ配置されている例を説明するが、第1直列腕124及び第2直列腕144のそれぞれに配置される直列腕共振子の数は3つ以下であってもよいし、5つ以上であってもよい。
【0026】
また、本実施形態では、第1直列腕124及び第2直列腕144には、3つの並列腕が接続される例を説明するが、第1直列腕124及び第2直列腕144のそれぞれに接続される並列腕の数は2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。また、本実施形態では、第1並列腕131,132,133及び第2並列腕151,152,153には、1つの並列腕共振子がそれぞれ配置されている例を説明するが、これに限らず、それぞれの並列腕には複数の並列腕共振子が配置されてもよい。
【0027】
また、本実施形態では、インダクタ165が、第1並列腕共振子P11及び第2並列腕共振子P21に直列に接続されている。具体的には、インダクタ165は、一端が接続点155に電気的に接続されており、他端が接地端子161に電気的に接続されている。
【0028】
なお、本実施形態では、インダクタ165は、第1入力端子120から最も近い第1並列腕共振子P11及び第2入力端子140から最も近い第2並列腕共振子P21に接続されている。これに限らず、インダクタは、平衡信号が第1フィルタ12及び第2フィルタ14に入力された際に、互いに実質的に同電位となる直列腕の位置に接続された第1並列腕共振子及び第2並列腕共振子に接続されてよい。例えば、インダクタは、第1入力端子120からN(N:自然数)番目に近い第1並列腕に配置された第1並列腕共振子と、第2入力端子140からN番目に近い第2並列腕に配置された第2並列腕共振子とに接続されてよい。
【0029】
本実施形態では、フィルタ部10は、2つのラダー型フィルタを備え、入力される平衡信号は、これらのフィルタに入力される。このとき、信号が2つのフィルタに分配されるため、フィルタ装置1の耐電力性が約2倍程度に高められる。したがって、フィルタ装置1は、例えば、差動構成の電力増幅器から出力される高出力の差動信号をフィルタリングするために用いることができる。
【0030】
また、フィルタ装置1は、複数の第1並列腕及び複数の第2並列腕のうちの少なくとも1つの並列腕に含まれる並列腕共振子と接地端子との間に接続されたインダクタを備える。このため、共振子のみでフィルタ部が構成される場合よりも耐電力性を高めつつ、フィルタ装置1における通過帯域をより広帯域化することが可能となる。
【0031】
図3A~
図3Cを参照して、本実施形態に係るフィルタ装置1の耐電力性を高めつつ、通過帯域を広帯域化できることを説明する。
図3Aは、ラダー型フィルタの通過特性の一例を示す図である。また、
図3Bは、
図3Aの通過帯域よりも広帯域化された通過帯域を有するラダー型フィルタの通過特性を示す図である。さらに、
図3Cは、並列腕共振子にインダクタが接続されたときのラダー型フィルタの通過特性を示す図である。
【0032】
図3Aには、ラダー型フィルタにおける通過特性400を破線で示し、並列腕共振子の成分402及び直列腕共振子の成分404を実線で示している。通常、ラダー型フィルタにおいて、直列腕共振子の反共振周波数と並列腕共振子の共振周波数との差分を大きくすることにより、通過帯域が広帯域化される。このとき、直列腕共振子の反共振周波数あるいは並列腕共振子の共振周波数から離れた周波数帯では、損失が大きくなる。
【0033】
図3Bには、
図3Aの通過帯域と比べて広帯域化された通過帯域を有する通過特性401を破線で示し、並列腕共振子の成分403及び直列腕共振子の成分405を実線で示している。
図3Bに示すように、通過帯域の中央付近では、通過特性が劣化していることがわかる。
【0034】
本実施形態のように、並列腕共振子にインダクタが接続されていると、共振子のみでフィルタ部が構成された場合に比べて、インダクタの誘導性成分により並列腕共振子の成分412が向上する。このため、
図3Cに示すように、通過特性410の中央付近における損失が低減され、入力された平衡信号の劣化を抑制しつつ通過させることができる。この結果、フィルタ装置1の耐電力性を高めつつ、通過帯域をより広帯域化することが可能となる。
【0035】
図4は、本実施形態に係る入力変換器20及び出力変換器30の回路構成の一例を示す図である。
図4では、フィルタ部10の構成は簡略化して示されており、フィルタ部10の第1入力端子120、第1出力端子122、第2入力端子140及び第2出力端子142が示されている。
【0036】
本実施形態に係る入力変換器20は、主として、入力端子200、接地端子202及び4つの共振子212,222,230,232を含む。入力変換器20は、不平衡信号が入力される。本実施形態では、入力端子200と接地端子202との間には、不平衡信号が入力される。また、入力変換器20は、入力された不平衡信号を平衡信号に変換して、変換した平衡信号を第1入力端子120及び第2入力端子140に入力する。
【0037】
共振子212は、入力端子200及び第1フィルタ12の第1入力端子120を接続する経路210に配置されている。また、共振子222は、接地端子202及び第2フィルタ14の第2入力端子140を接続する経路220に配置されている。また、共振子230の一端は、入力端子200と共振子212との間の経路210に接続され、共振子230の他端は、共振子222と第2入力端子140との間の経路220に接続されている。さらに、共振子232の一端は、共振子212と第1入力端子120との間の経路210に接続され、共振子232の他端は、接地端子202と共振子222との間の経路220に接続されている。
【0038】
本実施形態に係る出力変換器30は、主として、出力端子300、接地端子302及び4つの共振子312,322,330,332を含む。出力変換器30には、平衡信号が入力される。本実施形態では、出力変換器30には、フィルタ部10が備える第1出力端子122と第2出力端子142との間の出力差が平衡信号として入力される。また、出力変換器30は、入力された第1出力端子122と第2出力端子142との出力を合成して、平衡信号を不平衡信号に変換する。また、出力端子300及び接地端子302から変換された不平衡信号が出力される。
【0039】
共振子312は、出力端子300とフィルタ部10の第1出力端子122と接続する経路310に配置されている。また、共振子322は、接地端子302とフィルタ部10の第2出力端子142とを接続する経路320に配置されている。また、共振子330の一端は、共振子312と出力端子300との間の経路310に接続され、共振子330の他端は、第2出力端子142と共振子322との間の経路320に接続されている。さらに、共振子332の一端は、第1出力端子122と共振子312との間の経路310に接続され、共振子332の他端は、共振子322と接地端子302との間の経路320に接続されている。
【0040】
本実施形態では、フィルタ装置1は、複数の共振子を用いて構成された出力変換器30を備える。このため、フィルタ装置1は、第1フィルタ12及び第2フィルタ14から出力された平衡信号を不平衡信号に変換できるとともに、高調波成分が発生することを抑制できる。
【0041】
また、出力変換器30が備える共振子312,322,330,332の結合係数は、第1直列腕共振子S11,S12,S13,S14、第1並列腕共振子P11,P12,P13、第2直列腕共振子S21,S22,S23,S24,及び第2並列腕共振子P21,P22,P23のいずれの結合係数よりも大きくてよい。これにより、出力変換器30の帯域をより広くすることができ、出力変換器30において合成される信号の損失が低減される。
【0042】
なお、本実施形態では、入力変換器20及び出力変換器30は、各種の共振子を用いて構成される例を説明するが、入力変換器20及び出力変換器30は、共振子の代わりに、インダクタあるいはキャパシタなどを用いて構成されてもよい。
【0043】
図5は、本実施形態に係るフィルタ装置1が備えるフィルタ部10、入力変換器20及び出力変換器30のレイアウトの一例を示す図である。本実施形態では、フィルタ部10、入力変換器20及び出力変換器30は、それぞれ各種の圧電材料で形成された基板と、基板に形成された各種の共振子及び各種の配線などにより構成されている。また、
図5は、それぞれの基板を平面視した図となっている。
図5では、フィルタ部10を構成する各種の共振子がSAW共振子である例について図示されている。
【0044】
また、フィルタ部10及び入力変換器20は、3本の配線バー219,229,239により電気的に接続されている。さらに、フィルタ部10及び出力変換器30は、3本の配線バー319,329,339により電気的に接続されている。
【0045】
フィルタ部10は、基板11及び基板11に形成された各種の共振子及び各種の配線などを備えている。また、
図5に示す破線A-A’より上側のフィルタ部10は、主として第1フィルタを構成し、破線A-A’より下側のフィルタ部10は、主として第2フィルタを構成している。さらに、本実施形態では、第1フィルタ及び第2フィルタは、基板11を平面視した場合に互いに対称である。具体的には、第1フィルタ及び第2フィルタは、破線A-A’で線対称となっている。
【0046】
また、第1フィルタ及び第2フィルタについて、対応するそれぞれの構成の各種設計値(例えば、配線の長さ、電極の膜厚、各種の共振子の位置関係など)は、実質的に同一であってよい。これにより、第1フィルタの周波数特性と第2フィルタの周波数特性とが、より同一となる。この結果、第1フィルタ及び第2フィルタの出力がより同等(同振幅、同位相)になり、出力変換器30により合成される際に信号の損失が低減されたり、減衰特性が向上したりするようになる。
【0047】
なお、第1フィルタ及び第2フィルタは、基板を平面視した場合に互いに非対称であってもよい。例えば、第1フィルタに入力された信号と第2フィルタに入力された信号とで、バランスが崩れている場合がある。この場合には、第1フィルタ及び第2フィルタを互いに非対称とすることにより、信号のバランスを補正することが可能である。例えば、第1フィルタ又は第2フィルタを形成している配線の長さを調整したり、複数の共振子の位置関係を調整したりしてもよい。これにより、出力変換器30により効率よく第1フィルタ及び第2フィルタの出力を合成することが可能となり、信号の損失を低減できる。
【0048】
破線A-A’より上側の基板11には、例えば、第1フィルタを構成する第1入力端子120、第1出力端子122、第1直列腕共振子S11,S12,S13,S14及び第1並列腕共振子P11,P12,P13などが形成されている。
【0049】
第1入力端子120は、配線125を通じて、第1直列腕共振子S11に電気的に接続されている。また、第1直列腕共振子S11は、配線126を通じて、第1直列腕共振子S12及び第1並列腕共振子P11に電気的に接続されている。また、第1直列腕共振子S12は、配線127を通じて、第1直列腕共振子S13及び第1並列腕共振子P12に電気的に接続されている。また、第1直列腕共振子S13は、配線128を通じて、第1直列腕共振子S14及び第1並列腕共振子P13に電気的に接続されている。さらに、第1直列腕共振子S14は、配線129を通じて、第1出力端子122に電気的に接続されている。
【0050】
破線A-A’より下側の基板11には、例えば、第2フィルタを構成する第2入力端子140、第2出力端子142、第2直列腕共振子S21,S22,S23,S24及び第2並列腕共振子P21,P22,P23などが形成されている。
【0051】
第2入力端子140は、配線145を通じて、第2直列腕共振子S21に電気的に接続されている。また、第2直列腕共振子S21は、配線146を通じて、第2直列腕共振子S22及び第2並列腕共振子P21に電気的に接続されている。また、第2直列腕共振子S22は、配線147を通じて、第2直列腕共振子S23及び第2並列腕共振子P22に電気的に接続されている。また、第2直列腕共振子S23は、配線148を通じて、第2直列腕共振子S24及び第2並列腕共振子P23に電気的に接続されている。さらに、第2直列腕共振子S24は、配線149を通じて、第2出力端子142に電気的に接続されている。
【0052】
また、基板11の破線A-A’には、電極167及び電極168が形成されている。電極167は、配線158を通じて、第1並列腕共振子P11及び第2並列腕共振子P21に電気的に接続されている。さらに、電極168は、配線159を通じて、第1並列腕共振子P12,P13及び第2並列腕共振子P22,P23に電気的に接続されている。
【0053】
本実施形態では、第1フィルタ及び第2フィルタには、平衡信号が入力されて、主に通過帯域の信号が出力変換器30に入力され、第1フィルタ及び第2フィルタのそれぞれから入力された信号が合成される。このとき、第1フィルタ及び第2フィルタのそれぞれの経路が短い(例えば、配線の長さが短い)ほど、それぞれの信号のバランスが維持されて、信号が合成される際の損失が低減されるため好ましい。また、損失が低減されることで、損失による発熱が抑制され、結果としてフィルタ装置1の耐電力性がより高められる。
【0054】
入力変換器20は、基板21及び基板21に形成された各種の共振子及び各種の配線などを備えている。例えば、基板21には、入力端子200、接地端子202及び共振子212,222,230,232などが形成されている。
【0055】
入力端子200は、配線214を通じて、共振子212,230に電気的に接続されている。また、共振子212は、配線216を通じて、共振子232及び電極218に電気的に接続されている。電極218は、配線バー219を通じて、基板11の第1入力端子120に電気的に接続されている。
【0056】
また、接地端子202は、配線224を通じて、共振子222,232に電気的に接続されている。共振子222は、配線226を通じて、共振子230及び電極228に電気的に接続されている。破線で囲われた領域234では、配線224及び配線226は、紙面の裏表方向に重ねて形成されている。また、電極228は、配線バー229を通じて、基板11の第2入力端子140に電気的に接続されている。さらに、電極238は、配線バー239を通じて、基板11の電極167に電気的に接続されている。
【0057】
出力変換器30は、基板31及び基板31に形成された各種の共振子及び各種の配線などを備えている。例えば、基板31には、出力端子300、接地端子302及び共振子312,322,330,332などが形成されている。
【0058】
出力端子300は、配線314を通じて、共振子312,330に電気的に接続されている。また、共振子312は、配線316を通じて、共振子332及び電極318に電気的に接続されている。電極318は、配線バー319を通じて、基板11の第1出力端子122に電気的に接続されている。
【0059】
また、接地端子302は、配線324を通じて、共振子322,332に電気的に接続されている。共振子322は、配線326を通じて、共振子330及び電極328に電気的に接続されている。破線で囲われた領域334では、配線324及び配線326は、紙面の裏表方向に重ねて形成されている。また、電極328は、配線バー329を通じて、基板11の第2出力端子142に電気的に接続されている。さらに、電極338は、配線バー339を通じて、基板11の電極168に電気的に接続されている。
【0060】
本実施形態では、フィルタ部10は、積層構造を有しており、
図5に示す基板11は、積層構造にバンプを通じて接続されてよい。
図6から
図8を参照して、フィルタ部10の積層構造について説明する。
図6はフィルタ部10の第1層の概略図であり、
図7はフィルタ部10の第2層の概略図であり、
図8はフィルタ部10の第3層の概略図である。
【0061】
図5に示す基板11の電極167は、バンプ(図示しない。)を通じて、
図6に示す第1層の電極173に電気的に接続されている。また、電極173は、
図7に示す電極183を通じて、
図8に示す電極193に電気的に接続されている。ここで、電極193は、接地されている。本実施形態では、フィルタ部10が備える各種の接地された並列腕共振子は、いずれも電極193により接地されている。
【0062】
また、
図5に示す基板11の電極168は、バンプ(図示しない。)を通じて、
図6に示す第1層の電極174に電気的に接続されている。また、電極174は、
図7に示す電極184を通じて、
図8に示す電極193に電気的に接続されている。このとき、
図7に示す電極184は、
図2に示したインダクタ165を主に構成している。
【0063】
本実施形態に係るフィルタ装置1は、第1入力端子120と、第1出力端子122と、第1入力端子120及び第1出力端子122を接続し、複数の第1直列腕共振子S11,S12,S13,S14が配置された第1直列腕124と、第1並列腕共振子P11,P12,P13,P14がそれぞれ配置され、第1直列腕124に接続された複数の第1並列腕131,132,133とを含み、所定周波数帯の通過帯域を有する第1フィルタ12と、第2入力端子140と、第2出力端子142と、第2入力端子140及び第2出力端子142を接続し、複数の第2直列腕共振子S21,S22,S23,S24が配置された第2直列腕144と、第2並列腕共振子P21,P22,P23がそれぞれ配置され、第2直列腕144に接続された複数の第2並列腕151,152,153とを含み、所定周波数帯の通過帯域を有する第2フィルタ14と、第1フィルタ12及び第2フィルタ14が形成された基板11と、複数の第1並列腕131,132,133及び複数の第2並列腕151,152,153のうちの少なくとも1つの並列腕に含まれる並列腕共振子P11,P21と接地端子161との間に接続されたインダクタ165と、を備える。
【0064】
この態様によれば、フィルタ装置1は、2つのフィルタを備えるため、入力された信号は2つのフィルタに分配される。この結果、1つのフィルタに信号が入力される場合に比べて、フィルタの負荷が小さくなり、耐電力性が高められる。また、
図3A~
図3Cを参照して説明したように、通過帯域をより広帯域化することも可能となる。
【0065】
また、第1入力端子120からN番目に近い第1並列腕に配置された第1並列腕共振子と、第2入力端子140からN番目に近い第2並列腕に配置された第2並列腕共振子とが接続点で電気的に接続されており、インダクタ165は、接続点に電気的に接続されてよい。
【0066】
この態様によれば、第1フィルタ12及び第2フィルタ14の周波数特性をより同質とすることが可能となり、信号の損失を低減することができる。この結果、より耐電力性を高めることができる。
【0067】
また、第1直列腕共振子S11,S12,S13,S14、第1並列腕共振子P11,P12,P13、第2直列腕共振子S21,S22,S23,S24及び第2並列腕共振子P21,P22,P23は、SAW共振子及びBAW共振子の少なくともいずれかであってよい。
【0068】
この態様によれば、簡便な構成でフィルタ装置1を実現することが可能となる。
【0069】
また、フィルタ装置1は、第1出力端子122と第2出力端子142との間の出力差が入力され、入力された出力差を不平衡信号に変換する出力変換器30を、さらに備えてよい。
【0070】
この態様によれば、第1フィルタ12及び第2フィルタ14から入力された平衡信号を不平衡信号に変換して、変換した不平衡信号を出力することが可能となる。
【0071】
また、フィルタ装置1は、不平衡信号が入力され、入力された不平衡信号を平衡信号に変換して、変換した平衡信号を第1入力端子120及び第2入力端子140に入力する入力変換器20を、さらに備えてよい。
【0072】
この態様によれば、第1フィルタ12及び第2フィルタ14には、平衡信号が入力される。このとき、それぞれのフィルタに不平衡信号が入力される場合と比べて、入力される信号が小さくなるため、それぞれのフィルタにかかる負荷が小さくなる。この結果、フィルタ装置1の耐電力性がより高められる。
【0073】
[第2実施形態]
第2実施形態では、主に第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と実質的に同一の内容を適宜省略して説明する。なお、第2実施形態では、第1実施形態で説明した各種の構成が適用され得る。
【0074】
図9は、第2実施形態に係るフィルタ装置2の回路構成を示す図である。第2実施形態に係るフィルタ装置2では、出力変換器32において、第1出力端子122に接続された経路310が、出力端子ではなく、接地端子304に接続されている。また、出力変換器32において、第2出力端子142に接続された経路320が、接地端子ではなく、出力端子306に接続されている。
【0075】
本実施形態では、上側の経路210,310及び下側の経路220,320のいずれの経路も接地端子と、入力あるいは出力端子とに接続される。これにより、上側の経路210,310及び下側の経路220,320の信号のバランスが補正される。この結果、信号の損失が低減され、フィルタ装置2の耐電力性がより高められる。
【0076】
[第3実施形態]
第3実施形態では、フィルタ部の他の形態について説明し、上記実施形態と実質的に同一の内容を適宜省略して説明する。なお、第3実施形態では、上記実施形態で説明した各種の構成が適用され得る。
【0077】
図10は、第3実施形態に係るフィルタ部18の回路構成を示す図である。第3実施形態に係る第1フィルタ13では、第1入力端子120に最も近い第1並列腕131は、第2フィルタ15の並列腕に接続されておらず、接地端子163に接続されている。
【0078】
また、第3実施形態に係る第2フィルタ15において、第2入力端子140に最も近い第2並列腕151は、第1フィルタ13の並列腕に接続されておらず、インダクタ165を通じて、接地端子161に接続されている。
【0079】
本実施形態に係るフィルタ装置2においても、耐電力性を高めつつ、通過帯域を広帯域化することが可能である。
【0080】
[第4実施形態]
第4実施形態では、出力変換器の他の形態について説明し、上記実施形態と実質的に同一の内容を適宜省略して説明する。なお、第4実施形態では、上記実施形態で説明した各種の構成が適用され得る。
【0081】
図11は、第4実施形態に係る出力変換器34の回路構成を示す図である。
図11では、フィルタ部10簡略化して、第1出力端子122及び第2出力端子142のみを図示している。本実施形態に係る出力変換器34は、隣接して直列に接続された複数の共振子を含む。例えば、第1出力端子122と出力端子340とを接続する経路350には、隣接して直列に接続された2つの共振子352,353が配置されている。また、第2出力端子142と接地端子342とを接続する経路360には、隣接して直列に接続された2つの共振子362,363が配置されている。
【0082】
また、第1出力端子122と共振子352との間の経路350及び共振子363と接地端子342との間の経路360を接続する経路には、隣接して直列に接続された2つの共振子346,347が配置されている。さらに、共振子353と出力端子340との間の経路350及び第2出力端子142と共振子362との間の経路360を接続する経路には、隣接して直列に接続された2つの共振子344,345が配置されている。
【0083】
本実施形態のように、出力変換器34が隣接して直列に接続された複数の共振子を含むことにより、出力変換器34の帯域をより広くすることができ、出力変換器34において合成される信号の損失が低減される。
【0084】
[第5実施形態]
第5実施形態では、出力変換器の他の形態について説明し、上記実施形態と実質的に同一の内容を適宜省略して説明する。なお、第5実施形態では、上記実施形態で説明した各種の構成が適用され得る。
【0085】
図12は、第5実施形態に係る出力変換器37の回路構成を示す図である。
図12では、フィルタ部10簡略化して、第1出力端子122及び第2出力端子142のみを図示している。第5実施形態では、出力変換器37は、複数の共振子の少なくともいずれかに並列に接続されるインダクタをさらに含む。具体的には、出力変換器37が備える4つの共振子には、インダクタがそれぞれ並列に接続されている。
【0086】
例えば、出力端子370とフィルタ部10の第1出力端子122とを接続する経路380に配置された共振子382には、インダクタ383が並列に接続されている。また、接地端子372とフィルタ部10の第2出力端子142とを接続する経路390に配置された共振子392には、インダクタ393が並列に接続されている。また、第1出力端子122と共振子382との間の経路380及び共振子392と接地端子372との間の経路390に接続された共振子376には、インダクタ377が並列に接続されている。さらに、共振子382と出力端子370との間の経路380及び第2出力端子142と共振子392との間の経路390に接続された共振子374には、インダクタ375が並列に接続されている。
【0087】
本実施形態のように、出力変換器37が複数の共振子の少なくともいずれかに並列に接続されるインダクタをさらに含むことにより、出力変換器37の帯域をより広くすることができ、出力変換器37において合成される信号の損失が低減される。
【0088】
[第6実施形態]
第6実施形態では、フィルタ装置のレイアウトに関する他の形態について説明し、上記実施形態と実質的に同一の内容を適宜省略して説明する。なお、第6実施形態では、上記実施形態で説明した各種の構成が適用され得る。
【0089】
図13は、第6実施形態に係るフィルタ装置のレイアウトを示す図である。第6実施形態では、
図5を参照して説明した第1実施形態とは異なり、入力変換器、フィルタ部及び出力変換器が1つの基板19に形成されている。
【0090】
第6実施形態では、
図5に示した基板21の電極218,228,238が省略され、フィルタ部10の第1入力端子120及び第2入力端子140が、入力変換器及びフィルタ部により共通に用いられる。例えば、第1入力端子120は、配線217を通じて、共振子212,232に電気的に接続されている。また、第2入力端子140は、配線227を通じて、共振子222,230に電気的に接続されている。
【0091】
また、第6実施形態では、
図5に示した基板31の電極318,328,338が省略され、フィルタ部10の第1出力端子122及び第2出力端子142が、フィルタ部及び出力変換器により共通に用いられる。例えば、第1出力端子122は、配線317を通じて、共振子312,332に電気的に接続されている。また、第2出力端子142は、配線327を通じて、共振子322,330に電気的に接続されている。
【0092】
本実施形態のように、入力変換器、フィルタ部及び出力変換器を1つの基板に形成することにより、フィルタ装置をより小型化することが可能となる。なお、本実施形態では、入力変換器、フィルタ部及び出力変換器が1つの基板に形成される例を説明したが、入力変換器あるいは出力変換器のいずれかが、別の基板に形成されていてもよい。
【0093】
[第7実施形態]
第7実施形態では、フィルタ部が備える共振子がBAW共振子である場合のレイアウトについて説明する。なお、第7実施形態では、上記実施形態で説明した各種の構成が適用され得る。
【0094】
図14は、第7実施形態に係るフィルタ部50について、基板51を平面視した図である。
図14に示すように、第7実施形態に係るフィルタ部50は、圧電材料で形成された基板51と基板51に形成された各種のBAW共振子及び各種の配線などを備える。また、
図14に示す破線B-B’より右側のフィルタ部50は、主として第1フィルタを構成し、破線B-B’より左側のフィルタ部50は、主として第2フィルタを構成している。
さらに、第1フィルタ及び第2フィルタは、破線B-B’で線対称となっている。
【0095】
本実施形態に係る第1フィルタは、第1入力端子520と、第1出力端子522と、4つの第1直列腕共振子S11,S12,S13,S14と、3つの第1並列腕共振子P11,P12,P13を備える。これらの端子及び共振子は、
図2に示した第1フィルタ12と実質的に同一の回路構成を実現するように、配線により接続されている。
【0096】
また、本実施形態に係る第2フィルタは、第2入力端子540と、第2出力端子542と、4つの第2直列腕共振子S21,S22,S23,S24と、3つの第2並列腕共振子P21,P22,P23を備える。これらの端子及び共振子は、
図2に示した第2フィルタ14と実質的に同一の回路構成を実現するように、配線により接続されている。
【0097】
また、基板51には、電極567及び電極568が形成されている。これらの電極は、
図5に示した電極167及び電極168にそれぞれ対応している。すなわち、電極567は、インダクタに電気的に接続されており、電極
568は、接地端子に電気的に接続されている。
【0098】
[第8実施形態]
第8実施形態では、フィルタ装置が、電力増幅器から出力される送信信号をフィルタすることに加えて、フィルタ装置に外部より入力される受信信号をフィルタする場合について説明する。
【0099】
図15は、第8実施形態に係るフィルタ装置のフィルタ部10A及びフィルタ部150の回路構成を示す図である。
【0100】
フィルタ部10Aは、第1実施形態で説明したフィルタ部10の構成において、第1出力端子122がアンテナ端子ANT1(第1アンテナ端子)に置き換えられ、第2出力端子142がアンテナ端子ANT2(第2アンテナ端子)に置き換えられた構成である。フィルタ部10Aに入力された差動信号は、アンテナ端子ANT1,ANT2からそれぞれ出力され、アンテナ端子ANT1,ANT2の後段に設けられる回路によって最終的に合成され、外部へと出力される。フィルタ部10Aでは、第1フィルタ12が第1送信フィルタとして機能し、第2フィルタ14が第2送信フィルタとして機能する。また、フィルタ部10Aでは、第1入力端子120が第1送信入力端子として機能し、第2入力端子140が第2送信入力端子として機能する。
【0101】
フィルタ部150は、第1受信フィルタ1501及び第2受信フィルタ1502を有する。第1受信フィルタ1501は、アンテナ端子ANT1に接続され、アンテナ端子ANT1からの受信信号をフィルタして第1受信出力端子15010から出力する。第2受信フィルタ1502は、アンテナ端子ANT2に接続され、アンテナ端子ANT2からの受信信号をフィルタして第2受信出力端子15020から出力する。
【0102】
フィルタ部150に入力される信号は、アンテナ(不図示)に入力された信号が差動信号に変換された信号である。差動信号のうち、一方の信号がアンテナ端子ANT1を通じて第1受信フィルタ1501に入力され、他方の信号がアンテナ端子ANT2を通じて第2受信フィルタ1502に入力される。
【0103】
第1受信フィルタ1501は、主として、第1受信出力端子15010と、第3直列腕15011と、2つの第3並列腕15012,15013とを含む。第1受信フィルタ1501は、第1フィルタ12が有する所定周波数帯(第1周波数帯)の通過帯域とは異なる所定周波数帯(第2周波数帯)の通過帯域を有する。
【0104】
第3直列腕15011は、アンテナ端子ANT1及び第1受信出力端子15010を接続している。また、第3直列腕15011には、アンテナ端子ANT1に近い方から順に、第3直列腕共振子S31,第1縦結合共振子S32,第3直列腕共振子S33が配置されている。
【0105】
2つの第3並列腕15012,15013には、第3並列腕共振子P31,P32がそれぞれ配置されている。また、2つの第3並列腕15012,15013は、第3直列腕15011にそれぞれ接続されている。具体的には、第3並列腕15012の一端は、第3直列腕共振子S31と第1縦結合共振子S32との間の第3直列腕15011に接続され、他端は接地端子15014に接続されている。また、第3並列腕15013の一端は、第3直列腕共振子S33と第1受信出力端子15010の間の第3直列腕15011に接続され、他端は接地端子15015に接続されている。
【0106】
第3直列腕共振子S31,S33及び第3並列腕共振子P31,P32の素子は特に限定されないが、例えば、弾性表面波共振子、圧電薄膜共振子、又はバルク弾性波共振子などであってもよい。また、第1縦結合共振子S32は、例えば、弾性表面波共振子である。以下で説明する各種の共振子(例えば、第2受信フィルタ1502に含まれる各種の共振子など)においても同様である。
【0107】
第2受信フィルタ1502は、主として、第2受信出力端子15020と、第4直列腕15021と、2つの第4並列腕15022,15023とを含む。第2受信フィルタ1502は、第2フィルタ14が有する所定周波数帯(第1周波数帯)の通過帯域とは異なる所定周波数帯(第2周波数帯)の通過帯域を有する。なお、第2受信フィルタ1502の通過帯域は、第1受信フィルタ1501の通過帯域と実質的に同一の周波数帯の通過帯域である。
【0108】
第2受信フィルタ1502は、第1受信フィルタ1501と同様の構成を含む。第2受信フィルタ1502の第4直列腕15021は、アンテナ端子ANT2及び第2受信出力端子15020を接続している。第4直列腕15021には、第3直列腕15011と同様に、第4直列腕共振子S41,第2縦結合共振子S42,第4直列腕共振子S43が配置されている。また、第4並列腕共振子P41を有する第4並列腕15022及び第4並列腕共振子P42を有する第4並列腕15023が、第3並列腕15012,15013と同様に、第4直列腕15021と接地端子15024,15025との間に設けられる。
【0109】
なお、本実施形態では、第3直列腕15011及び第4直列腕15021には、2つの直列腕共振子及び1つの縦結合共振子がそれぞれ配置されている例を説明するが、第3直列腕15011及び第4直列腕15021のそれぞれに配置される直列腕共振子の数は3つ以下であってもよいし、5つ以上であってもよく、縦結合共振子の数も2つ以上であってもよい。また、本実施形態では、第3並列腕15012,15013及び第4並列腕15022,15023には、1つの並列腕共振子がそれぞれ配置されている例を説明するが、これに限らず、それぞれの並列腕には複数の並列腕共振子が配置されてもよい。さらに言えば、受信フィルタ1501及び1502にはそれぞれ、縦結合共振子のほかに、直列腕共振子、又は、並列腕共振子のいずれか一方が含まれていればよい。言い換えれば、第3直列腕15011及び第4直列腕15021に縦結合共振子及び1以上の直列腕共振子が配置され、かつ、並列腕が配置されていなくてもよい。また、第3直列腕15011及び第4直列腕15021に縦結合共振子のみが配置され、1つの並列腕のみがあってもよい。
【0110】
第1受信フィルタ1501及び第2受信フィルタ1502は、同一の数の直列腕共振子及び同一の数の並列腕を備えてよい。また、第1受信フィルタ1501及び第2受信フィルタ1502において、対応する並列腕が接続される直列腕の位置も同一であってよいし、対応する共振子の特性(例えば、共振周波数及び反共振周波数など)が同一であってもよい。
【0111】
また、第1フィルタ12及び第2フィルタ14が1つの基板に形成され、第1受信フィルタ1501及び第2受信フィルタ1502が他の1つの基板に形成されてもよい。また、第1フィルタ12、第2フィルタ14、第1受信フィルタ1501及び第2受信フィルタ1502が1つの基板に形成されてもよい。
【0112】
第8実施形態に係るフィルタ装置では、例えば、差動構成の電力増幅器から出力される高出力の差動信号を第1フィルタ12及び第2フィルタ14に分配してフィルタリングして出力するため、送信信号に対するフィルタ装置の耐電力性が約2倍程度に高められる。さらに、第8実施形態に係るフィルタ装置では、差動構成のアンテナ端子ANT1,ANT2から入力される受信信号は、第1受信フィルタ1501及び第2受信フィルタ1502に分配してフィルタリングされる。フィルタリングされた信号は第1受信出力端子15010及び第2受信出力端子15020のそれぞれから出力されるため、受信信号に対するフィルタ装置の耐電力性が約2倍程度に高められる。
【0113】
[第9実施形態]
第9実施形態では、第8実施形態と同様に、フィルタ装置が、送信信号をフィルタすることに加えて、受信信号をフィルタする場合について説明する。
【0114】
図16は、第9実施形態に係るフィルタ装置のフィルタ部10、出力変換器30及びフィルタ部160の回路構成を示す図である。第9実施形態に係るフィルタ装置は、フィルタ部10が第1出力端子122及び第2出力端子142のそれぞれを通じて出力変換器30に接続されている点で第8実施形態に係るフィルタ装置と異なる。出力変換器30は、出力端子300に接続される整合回路MN1を通じて、アンテナ端子ANT3に接続される。フィルタ部10に入力された差動信号は、出力変換器30によって合成され、アンテナ端子ANT3から出力される。なお、フィルタ装置では、アンテナ端子ANT3と接地との間にチョークインダクタID1が設けられる。
【0115】
フィルタ部160は、受信フィルタ1601を有する。受信フィルタ1601は、整合回路MN2を通じてアンテナ端子ANT3に接続され、アンテナ端子ANT3からの受信信号をフィルタして受信出力端子16010から出力する。
【0116】
受信フィルタ1601は、主として、受信出力端子16010と、第3直列腕16011と、2つの第3並列腕16012,16013とを含む。受信フィルタ1601は、第1フィルタ12及び第2フィルタ14が有する所定周波数帯(第1周波数帯)の通過帯域とは異なる所定周波数帯(第2周波数帯)の通過帯域を有する。
【0117】
第3直列腕16011は、アンテナ端子ANT3及び受信出力端子16010を接続している。また、第3直列腕16011には、アンテナ端子ANT3に近い方から順に、第3直列腕共振子S51,縦結合共振子S52,第3直列腕共振子S53が配置されている。2つの第3並列腕16012,16013には、第3並列腕共振子P51,P52がそれぞれ配置されている。また、2つの第3並列腕16012,16013は、第3直列腕16011にそれぞれ接続されている。具体的には、第3並列腕16012の一端は、第3直列腕共振子S51と縦結合共振子S52との間の第3直列腕16011に接続され、他端は接地端子16014に接続されている。また、第3並列腕16013の一端は、第3直列腕共振子S53と受信出力端子16010の間の第3直列腕16011に接続され、他端は接地端子16015に接続されている。
【0118】
第3直列腕共振子S51,S53及び第3並列腕共振子P51,P52の素子は特に限定されないが、例えば、弾性表面波共振子、圧電薄膜共振子、又はバルク弾性波共振子などであってもよい。また、縦結合共振子S52は、例えば、弾性表面波共振子である。
【0119】
なお、本実施形態では、第3直列腕16011には、2つの直列腕共振子及び1つの縦結合共振子がそれぞれ配置されている例を説明するが、第3直列腕16011に配置される直列腕共振子の数は3つ以下であってもよいし、5つ以上であってもよく、縦結合共振子の数も2つ以上であってもよい。また、本実施形態では、第3並列腕16012,16013には、1つの並列腕共振子がそれぞれ配置されている例を説明するが、これに限らず、それぞれの並列腕には複数の並列腕共振子が配置されてもよい。さらに言えば、受信フィルタ1601には縦結合共振子S52のほかに、第3直列腕共振子、又は、第3並列腕共振子が含まれていればよい。言い換えれば、第3直列腕16011に縦結合共振子S52及び1以上の第3直列腕共振子が配置され、かつ、第3並列腕が配置されていなくてもよい。また、第3直列腕16011に縦結合共振子S52のみが配置され、第3並列腕16012または16013のいずれか1つのみがあってもよい。
【0120】
受信フィルタ1601は、同一の数の直列腕共振子及び同一の数の並列腕を備えてよい。また、受信フィルタ1601において、対応する並列腕が接続される直列腕の位置も同一であってよいし、対応する共振子の特性(例えば、共振周波数及び反共振周波数など)が同一であってもよい。
【0121】
また、第1フィルタ12及び第2フィルタ14が1つの基板に形成され、受信フィルタ1601が他の1つの基板に形成されてもよい。また、第1フィルタ12、第2フィルタ14、及び受信フィルタ1601が1つの基板に形成されてもよい。
【0122】
第9実施形態に係るフィルタ装置では、高出力の差動信号を第1フィルタ12及び第2フィルタ14に分配してフィルタリングし、出力変換器30にて合成して出力するため、送信信号に対するフィルタ装置の耐電力性が約2倍程度に高められる。第8実施形態に係るフィルタ装置のように、受信信号に対するフィルタ装置の耐電力性を高める必要がない場合は、より小型な第9実施形態に係るフィルタ装置によって、耐電力性を保ちつつ信号の送受信が可能となる。
【0123】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0124】
1,2…フィルタ装置,10,10A,18,50,150…フィルタ部,11,19,51…基板,12,13…第1フィルタ,14,15…第2フィルタ,120,520…第1入力端子,122,522…第1出力端子,124…第1直列腕,131,132,133…第1並列腕,135…接続点,140,540…第2入力端子,142,542…第2出力端子,144…第2直列腕,151,152,153…第2並列腕,155…接続点,161,162,163…接地端子,165…インダクタ,20…入力変換器,21…基板,212,222,230,232,312…共振子,30,32,34,37…出力変換器,31…基板,322,330,332,344,345,346,347,352,353,362,363,374,376,382,392…共振子,375,377,383,393…インダクタ,1501…第1受信フィルタ,1502…第2受信フィルタ,1601…受信フィルタ