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特許7587780情報処理装置、情報処理方法、および、コンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、および、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20241114BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20241114BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G08G1/09 V
G08G1/16 A
H04Q9/00 301B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020122842
(22)【出願日】2020-07-17
(65)【公開番号】P2022019169
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人東海国立大学機構
(73)【特許権者】
【識別番号】516264082
【氏名又は名称】株式会社ティアフォー
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】弁理士法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河口 信夫
(72)【発明者】
【氏名】武田 一哉
(72)【発明者】
【氏名】竹内 栄二朗
(72)【発明者】
【氏名】石黒 祥生
(72)【発明者】
【氏名】丁 明
(72)【発明者】
【氏名】カルバヨ セグラ アレックサンダー
(72)【発明者】
【氏名】二宮 芳樹
(72)【発明者】
【氏名】大谷 健登
【審査官】▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-021200(JP,A)
【文献】特開2019-168893(JP,A)
【文献】特開2020-021453(JP,A)
【文献】特開2020-005123(JP,A)
【文献】特開2021-026696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
H03J 9/00 - 9/06
H04Q 9/00 - 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の監視者により監視される複数の自律移動体に対する遠隔補助のための情報処理装置であって、
各前記自律移動体に対する前記遠隔補助の実行予定を示す補助予定情報を取得する補助予定情報取得部と、
前記補助予定情報により特定される複数の前記遠隔補助の実行予定の時間が、特定の時間において互いに重複する場合に、実行予定の時間が互いに重複する各前記遠隔補助の対象である前記自律移動体の中から選択された少なくとも1つの前記自律移動体の移動動作を調整することにより、前記特定の時間における選択された前記自律移動体に対する前記遠隔補助を不要とする調整処理を行う調整処理部と、
前記調整処理後の前記遠隔補助の実行予定に従い、遠隔補助装置に前記遠隔補助の実行を指示する補助実行指示部と、
予め設定された規則に則り、前記移動動作の調整の対象となる前記自律移動体を選択する選択部と、
各前記自律移動体の少なくとも速度を含む状態を示す車両情報を取得する車両情報取得部と、
を備え
前記移動動作の調整は、選択された前記自律移動体を減速または加速させることを含み、
前記規則は、前記移動動作の調整に伴う速度変化が比較的少ない前記自律移動体を優先的に選択するという規則を含む、情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、さらに、
各前記自律移動体の予定運行時刻からの遅れを示す遅延情報を取得する遅延情報取得部を備え、
前記移動動作の調整は、選択された前記自律移動体を減速または経路変更させることを含み、
前記規則は、前記遅延情報により特定される前記遅れが比較的少ない前記自律移動体を優先的に選択するという規則を含む、情報処理装置。
【請求項3】
同一の監視者により監視される複数の自律移動体に対する遠隔補助のための情報処理方法であって、
各前記自律移動体に対する前記遠隔補助の実行予定を示す補助予定情報を取得する工程と、
前記補助予定情報により特定される複数の前記遠隔補助の実行予定の時間が、特定の時間において互いに重複する場合に、実行予定の時間が互いに重複する各前記遠隔補助の対象である前記自律移動体の中から選択された少なくとも1つの前記自律移動体の移動動作を調整することにより、前記特定の時間における選択された前記自律移動体に対する前記遠隔補助を不要とする調整処理を行う工程と、
前記調整処理後の前記遠隔補助の実行予定に従い、遠隔補助装置に前記遠隔補助の実行を指示する工程と、
予め設定された規則に則り、前記移動動作の調整の対象となる前記自律移動体を選択する工程と、
各前記自律移動体の少なくとも速度を含む状態を示す車両情報を取得する工程と、
を備え
前記移動動作の調整は、選択された前記自律移動体を減速または加速させることを含み、
前記規則は、前記移動動作の調整に伴う速度変化が比較的少ない前記自律移動体を優先的に選択するという規則を含む、情報処理方法。
【請求項4】
同一の監視者により監視される複数の自律移動体に対する遠隔補助のためのコンピュータプログラムであって、
コンピュータに、
各前記自律移動体に対する前記遠隔補助の実行予定を示す補助予定情報を取得する処理と、
前記補助予定情報により特定される複数の前記遠隔補助の実行予定の時間が、特定の時間において互いに重複する場合に、実行予定の時間が互いに重複する各前記遠隔補助の対象である前記自律移動体の中から選択された少なくとも1つの前記自律移動体の移動動作を調整することにより、前記特定の時間における選択された前記自律移動体に対する前記遠隔補助を不要とする調整処理と
前記調整処理後の前記遠隔補助の実行予定に従い、遠隔補助装置に前記遠隔補助の実行を指示する処理と、
予め設定された規則に則り、前記移動動作の調整の対象となる前記自律移動体を選択する処理と、
各前記自律移動体の少なくとも速度を含む状態を示す車両情報を取得する処理と、
を実行させ
前記移動動作の調整は、選択された前記自律移動体を減速または加速させることを含み、
前記規則は、前記移動動作の調整に伴う速度変化が比較的少ない前記自律移動体を優先的に選択するという規則を含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、複数の自律移動体に対する遠隔補助のための情報処理装置、情報処理方法、および、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人による運転操作を必要とせずに自律的に走行する自律走行車両(「自動運転車両」とも呼ばれる。)が開発されている。自律走行車両は、例えば、管理者から発せられた指令に基づき走行予定経路を設定し、自律走行車両が備える各種センサから出力される信号や、外部との通信により取得された情報等に基づき、自律走行車両自身や周辺物体(他の車両、歩行者、信号機、街路樹、車線等)の状態(位置、向き、速度、形状、色彩等)を検知・認識し、周辺物体との衝突を回避しつつ、設定された走行予定経路に沿って自律的に走行する。
【0003】
また、自律走行車両の円滑でより安全な走行を実現するために、遠隔監視・補助センタにおいて自律走行車両を遠隔監視し、必要により、自律走行車両に対する遠隔補助を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。自律走行車両に対する遠隔補助の態様としては、例えば、自律走行車両自身や自律走行車両の周辺物体の状態の検知・認識の補助や、自律走行車両の遠隔操縦が挙げられる。より具体的には、例えば、周辺物体として歩行者が検知されたものの、該歩行者が道路を横断するか否かの判断が困難である場合に、自律走行車両に代わって管理者が該判断を行う態様や、非常に多くの歩行者がいる通りを通過する場合や地図情報と異なった道路を走行する場合に、自律走行車両に代わって管理者が自律走行車両を遠隔操縦する態様等が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-140755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、自律走行車両が自律的に走行している際に、遠隔補助が必要となる頻度はそれほど高くないことが多い。特に、自律走行車両の自律走行性能が高ければ、遠隔補助が必要となる頻度は低くなる。そのため、効率性の観点から、各監視者が複数の自律走行車両を対象とした遠隔監視・補助を行うことが望ましい。しかしながら、特定の時間に複数の自律走行車両についての遠隔補助が集中した場合、遠隔補助を行う監視者の負担が大きくなる、という課題がある。
【0006】
なお、このような課題は、自律走行車両の遠隔監視に限らず、例えば自律走行ロボットのように、自律的に走行する車両以外の移動体の遠隔監視にも共通の課題である。
【0007】
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0009】
(1)本明細書に開示される情報処理装置は、複数の自律移動体に対する遠隔補助のための情報処理装置であって、補助予定情報取得部と、調整処理部と、補助実行指示部とを備える。補助予定情報取得部は、各前記自律移動体に対する前記遠隔補助の実行予定を示す補助予定情報を取得する。調整処理部は、前記補助予定情報により特定される複数の前記遠隔補助の実行予定の時間が、特定の時間において互いに重複する場合に、実行予定の時間が互いに重複する各前記遠隔補助の対象である前記自律移動体の中から選択された少なくとも1つの前記自律移動体の移動動作を調整することにより、前記特定の時間における選択された前記自律移動体に対する前記遠隔補助を不要とする調整処理を行う。補助実行指示部は、前記調整処理後の前記遠隔補助の実行予定に従い、遠隔補助装置に前記遠隔補助の実行を指示する。
【0010】
このように、本情報処理装置によれば、複数の遠隔補助の実行予定の時間が特定の時間において互いに重複する場合に、選択された少なくとも1つの自律移動体の移動動作を調整することにより、上記特定の時間における選択された自律移動体に対する遠隔補助を不要とする調整処理が実行される。そのため、本情報処理装置によれば、特定の時間に複数の遠隔補助が集中することを抑制することができ、その結果、1人の監視者が複数の自律移動体の遠隔補助を行う際の監視者の負担を軽減することができる。
【0011】
(2)上記情報処理装置において、さらに、予め設定された規則に則り、前記移動動作の調整の対象となる前記自律移動体を選択する選択部を備える構成としてもよい。本情報処理装置によれば、予め設定された規則に則り、適切な自律移動体を移動動作の調整の対象として選択することができる。従って、本情報処理装置によれば、特定の時間に複数の遠隔補助が集中することを抑制することによって1人の監視者が複数の自律移動体の遠隔補助を行う際の監視者の負担を軽減しつつ、各自律移動体の自律走行への影響を小さくすることができる。
【0012】
(3)上記情報処理装置において、さらに、各前記自律移動体の少なくとも速度を含む状態を示す車両情報を取得する車両情報取得部を備え、前記移動動作の調整は、選択された前記自律移動体を減速または加速させることを含み、前記規則は、前記移動動作の調整に伴う速度変化が比較的少ない前記自律移動体を優先的に選択するという規則を含む構成としてもよい。本情報処理装置によれば、上記移動動作の調整に伴い自律移動体の速度変化が過大となることを抑制することができる。従って、本情報処理装置によれば、特定の時間に複数の遠隔補助が集中することを抑制することによって1人の監視者が複数の自律移動体の遠隔補助を行う際の監視者の負担を軽減しつつ、各自律移動体の自律走行への影響を効果的に小さくすることができる。
【0013】
(4)上記情報処理装置において、さらに、各前記自律移動体の予定運行時刻からの遅れを示す遅延情報を取得する遅延情報取得部を備え、前記移動動作の調整は、選択された前記自律移動体を減速または経路変更させることを含み、前記規則は、前記遅延情報により特定される前記遅れが比較的少ない前記自律移動体を優先的に選択するという規則を含む構成としてもよい。本情報処理装置によれば、上記移動動作の調整に伴い自律移動体の予定運行時刻からの遅れが過大となることを抑制することができる。従って、本情報処理装置によれば、特定の時間に複数の遠隔補助が集中することを抑制することによって1人の監視者が複数の自律移動体の遠隔補助を行う際の監視者の負担を軽減しつつ、各自律移動体の自律走行への影響を効果的に小さくすることができる。
【0014】
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、情報処理装置、情報処理方法、それらの方法を実現するコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態における遠隔監視・補助システム10の構成を概略的に示す説明図
図2】遠隔監視・補助管理サーバ20の構成を概略的に示す説明図
図3】本実施形態の遠隔監視・補助管理サーバ20により実行される遠隔監視・補助管理処理を示すフローチャート
図4】本実施形態の遠隔監視・補助管理サーバ20により実行される遠隔監視・補助管理処理の概要を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0016】
A.実施形態:
A-1.遠隔監視・補助システム10の構成:
図1は、本実施形態における遠隔監視・補助システム10の構成を概略的に示す説明図である。遠隔監視・補助システム10は、例えば遠隔監視・補助センタにおいて複数の自律走行車両60を遠隔監視し、必要により、自律走行車両60に対する遠隔補助を行うためのシステムである。
【0017】
遠隔監視・補助システム10による遠隔監視・補助の対象である自律走行車両60は、人による運転操作を必要とせずに自律的に走行する車両である。自律走行車両60は、自家用車両であってもよいし、タクシー、バス、トラック等の業務用車両であってもよい。自律走行車両60は、特許請求の範囲における自律移動体の一例である。
【0018】
自律走行車両60は、センサ66と、通信部64と、駆動部68と、自律走行制御部62とを備える。センサ66は、例えば、カメラ、ミリ波レーダ、LIDAR、超音波センサ、GPS、車速センサ、加速度センサ等を含み、自律走行車両60自身や周辺物体(他の車両、歩行者、信号機、街路樹、車線等)の状態(位置、向き、速度、形状、色彩等)を検知する。通信部64は、所定の通信方式で他の装置(例えば、遠隔監視・補助システム10を構成する後述の遠隔監視・補助管理サーバ20や遠隔監視・補助装置30)と通信を行う通信インターフェースである。駆動部68は、例えば、エンジン、モータ、ステアリング、ブレーキ等を含み、自律走行車両60の走行動作(加速、操舵、制動等)を行う。自律走行制御部62は、例えばCPUやメモリを備えるコンピュータにより構成され、自律走行車両60の自律的な走行を制御する。例えば、自律走行制御部62は、管理者(例えば、遠隔監視・補助システム10の管理者)から発せられた指令に基づき走行予定経路を設定し、センサ66から出力される各種信号や、通信部64を介した外部との通信により取得された情報(例えば、高精度3次元地図や、他の自律走行車両60により検知された周辺物体の情報)等に基づき、自律走行車両60自身や周辺物体の状態を検知・認識し、駆動部68による走行動作を制御することにより、周辺物体との衝突を回避しつつ、設定された走行予定経路に沿って自律走行車両60を自律的に走行させる。
【0019】
しかしながら、自律走行車両60の自律走行中に、センサ66の検出精度の問題や走行環境の問題等に起因して、自律走行車両60が自律走行車両60自身や周辺物体の状態を確実に検知・認識できない場合がある。例えば、周辺物体として歩行者が検知されたものの、該歩行者が道路を横断するか否かを判断できない場合や、周辺物体が検知されたものの、該周辺物体は自律走行車両60の走行に支障の無い物体(例えば、明らかに軽い飛来物)である場合、周辺に非常に多くの歩行者がいる通りを通過する場合、トンネル内を走行する場合、豪雨や濃霧の中を走行する場合、地図情報と異なった道路を走行する場合等である。そのような場合には、自律走行車両60による円滑な自律走行が困難となったり、周辺物体と衝突する可能性が高まったりするおそれがある。そのような場合に備えて、遠隔監視・補助システム10は、自律走行車両60を遠隔監視しており、自発的に、あるいは、自律走行車両60からの求めに応じて、自律走行車両60に対する遠隔補助を行う(すなわち、自律走行車両60の制御に介入する)。遠隔監視・補助システム10による自律走行車両60に対する遠隔補助の態様としては、例えば、自律走行車両60自身や自律走行車両60の周辺物体の状態の検知・認識の補助や、自律走行車両60の遠隔操縦が挙げられる。これにより、自律走行車両60の円滑で、快適で、より安全な走行が実現される。
【0020】
図1に示すように、遠隔監視・補助システム10は、遠隔監視・補助管理サーバ20と、複数の遠隔監視・補助装置30と、ルータ等のネットワーク通信装置40とを備える。図1には、3つの遠隔監視・補助装置30が示されているが、遠隔監視・補助システム10に含まれる遠隔監視・補助装置30の個数は、2個以下であってもよいし、4個以上であってもよい。遠隔監視・補助システム10を構成する各装置は、LAN等の内部ネットワーク82を介して互いに通信可能に接続されている。また、遠隔監視・補助管理サーバ20および複数の遠隔監視・補助装置30は、ネットワーク通信装置40およびインターネット等の外部ネットワーク84を介して、各自律走行車両60と通信可能に接続されている。
【0021】
遠隔監視・補助装置30は、監視者MOによる自律走行車両60の遠隔監視・補助に利用される端末装置であり、例えばPCにより構成される。遠隔監視・補助装置30は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置32を備える。監視者MOは、例えば、遠隔監視・補助装置30の表示装置32に表示される画像(例えば、各自律走行車両60の状態や走行予定経路、各自律走行車両60の周辺物体の状態等を示す画像)を参照して自律走行車両60に対する遠隔監視・補助を行う。遠隔監視・補助装置30は、自律走行車両60に対する遠隔監視・補助を実行するためのユーザインターフェース(例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、操縦桿等)を備えている。本実施形態では、各監視者MO(各遠隔監視・補助装置30)は、複数の(例えば、10台の)自律走行車両60に対する遠隔監視・補助を同時に行っている。一の監視者MO(遠隔監視・補助装置30)による遠隔監視・補助の対象である複数の自律走行車両60は、他の監視者MO(遠隔監視・補助装置30)による遠隔監視・補助の対象である複数の自律走行車両60と同一であってもよいし、両者が一部重なっていてもよいし、両者が重複することなく異なっていてもよい。遠隔監視・補助装置30は、特許請求の範囲における遠隔補助装置の一例である。
【0022】
遠隔監視・補助管理サーバ20は、各監視者MOによる遠隔監視・補助装置30を用いた遠隔監視・補助を管理するためのサーバ装置である。図2は、遠隔監視・補助管理サーバ20の構成を概略的に示す説明図である。遠隔監視・補助管理サーバ20は、制御部210と、記憶部220と、表示部230と、操作入力部240と、インターフェース部250とを備える。これらの各部は、バス290を介して互いに通信可能に接続されている。なお、遠隔監視・補助管理サーバ20は、特許請求の範囲における情報処理装置の一例である。
【0023】
遠隔監視・補助管理サーバ20の表示部230は、例えば液晶ディスプレイ等により構成され、各種の画像や情報を表示する。また、操作入力部240は、例えばキーボードやマウス、ボタン、マイク等により構成され、管理者の操作や指示を受け付ける。なお、表示部230がタッチパネルを備えることにより、操作入力部240として機能するとしてもよい。また、インターフェース部250は、例えばLANインターフェースやUSBインターフェース等により構成され、有線または無線により他の装置との通信を行う。
【0024】
遠隔監視・補助管理サーバ20の記憶部220は、例えばROMやRAM、ハードディスクドライブ(HDD)等により構成され、各種のプログラムやデータを記憶したり、各種のプログラムを実行する際の作業領域やデータの一時的な記憶領域として利用されたりする。例えば、記憶部220には、後述する遠隔監視・補助管理処理を実行するためのコンピュータプログラムである遠隔監視・補助管理プログラムCPが格納されている。遠隔監視・補助管理プログラムCPは、例えば、CD-ROMやDVD-ROM、USBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体(不図示)に格納された状態で提供され、遠隔監視・補助管理サーバ20にインストールすることにより記憶部220に格納される。
【0025】
また、遠隔監視・補助管理サーバ20の記憶部220には、地図情報221が格納されている。地図情報221は、例えば高精度な3次元地図情報であり、道路の位置および形状の情報に加えて、信号機、道路標識、街路樹、ガードレール、建物等の位置および形状の情報を含んでいる。
【0026】
遠隔監視・補助管理サーバ20の制御部210は、例えばCPU等により構成され、記憶部220から読み出したコンピュータプログラムを実行することにより、遠隔監視・補助管理サーバ20の動作を制御する。例えば、制御部210は、記憶部220から遠隔監視・補助管理プログラムCPを読み出して実行することにより、後述の遠隔監視・補助管理処理を実行する遠隔監視・補助管理部211として機能する。遠隔監視・補助管理部211は、機能モジュールとして、車両情報取得部212と、補助予定情報取得部213と、遅延情報取得部214と、調整処理部215と、選択部216と、補助実行指示部217とを含む。これら各部の機能については、後述の遠隔監視・補助管理処理の説明に合わせて説明する。
【0027】
A-2.遠隔監視・補助管理処理:
図3は、本実施形態の遠隔監視・補助管理サーバ20により実行される遠隔監視・補助管理処理を示すフローチャートである。また、図4は、本実施形態の遠隔監視・補助管理サーバ20により実行される遠隔監視・補助管理処理の概要を示す説明図である。
【0028】
本実施形態の遠隔監視・補助管理処理は、各監視者MOによる遠隔監視・補助装置30を用いた自律走行車両60の遠隔監視・補助を管理する処理であり、例えば、複数の自律走行車両60に対する遠隔補助の実行予定を調整する処理を含む。遠隔監視・補助管理処理は、管理者が、遠隔監視・補助管理サーバ20の操作入力部240を操作して開始指示を入力したことに応じて開始される。なお、本実施形態では、遠隔監視・補助装置30(監視者MO)毎に、遠隔監視・補助管理処理が実行される。以下では、1つの遠隔監視・補助装置30について実行される遠隔監視・補助管理処理について説明する。
【0029】
上述したように、各自律走行車両60は、管理者から発せられた指令に基づき走行予定経路を設定し、センサ66等を用いて自律走行車両60自身や周辺物体の状態を検知・認識し、周辺物体との衝突を回避しつつ、設定された走行予定経路に沿って自律的に走行している。その際、各自律走行車両60の自律走行制御部62は、自らの現在位置および走行予定経路や周辺物体の状態等に基づき、現在または将来に遠隔監視・補助装置30による遠隔補助が必要であるか否かを監視し、遠隔補助が必要である場合には、遠隔補助に関する情報(必要となる遠隔補助の内容や遠隔補助が必要となる時間を示す情報)を遠隔監視・補助管理サーバ20に送信する処理を行っている。
【0030】
はじめに、遠隔監視・補助管理サーバ20の車両情報取得部212(図2)が、遠隔監視・補助装置30による監視の対象である複数の(例えば、10台の)自律走行車両60のそれぞれの状態を示す車両情報Ivを取得する(S100)。本実施形態では、車両情報Ivにより示される自律走行車両60の状態は、自律走行車両60の現在位置と走行予定経路と速度とを含む。車両情報取得部212は、各自律走行車両60のセンサ66等により検出された自律走行車両60の状態を示す車両情報Ivを、各自律走行車両60から直接的に取得してもよい。また、車両情報Ivが自律走行車両60以外の他の装置(例えば、遠隔監視・補助装置30)の記憶部に格納されている場合には、車両情報取得部212は、該格納された車両情報Ivを取得してもよい。
【0031】
また、遠隔監視・補助管理サーバ20の遅延情報取得部214(図2)が、各自律走行車両60の予定運行時刻からの遅れを示す遅延情報Idを取得する(S110)。自律走行車両60の予定運行時刻からの遅れとしては、例えば、自律走行車両60が所定の時刻表に従って運行する業務用車両(バス等)である場合には、該時刻表に定められた各停留所の到着時刻(または出発時刻)からの遅れを用いることができ、自律走行車両60が目標到着時刻までに目的地に到着するように運行する業務用車両(トラックや配送車等)である場合には、該目標到着時刻からの予想到着時刻の遅れを用いることができる。遅延情報取得部214は、各自律走行車両60の自律走行制御部62が有する予定運行時刻からの遅れを示す遅延情報Idを、各自律走行車両60から直接的に取得してもよい。また、遅延情報Idが自律走行車両60以外の他の装置(例えば、遠隔監視・補助装置30)の記憶部に格納されている場合には、遅延情報取得部214は、該格納された遅延情報Idを取得してもよい。なお、車両情報Ivの取得処理(S100)と遅延情報Idの取得処理(S110)との実行順序は任意に設定可能であり、また、2つの処理が同時に実行されてもよい。
【0032】
次に、遠隔監視・補助管理サーバ20の補助予定情報取得部213(図2)が、各自律走行車両60に対する遠隔補助の実行予定を示す補助予定情報Iaを取得する(S120)。補助予定情報Iaにより示される遠隔補助の実行予定は、遠隔補助の内容や時間(補助開始時刻および補助終了時刻)を含む。なお、本実施形態において、遠隔補助の実行予定の時間は、遠隔監視・補助装置30による実際の遠隔補助に要する時間に加えて、遠隔補助の対象の自律走行車両60の状況を監視者MOが確認・把握するための時間も含まれる。補助予定情報取得部213は、各自律走行車両60の自律走行制御部62から上述した遠隔補助に関する情報(必要とされる遠隔補助の内容や遠隔補助が必要となる時間を示す情報)を取得し、上述した監視者MOによる確認・把握のための時間を考慮して、各自律走行車両60に対する遠隔補助の実行予定(内容および時間)を示す補助予定情報Iaを生成・取得する。また、補助予定情報取得部213は、S100において取得された車両情報Ivにより特定される各自律走行車両60の現在位置と走行予定経路と速度と、記憶部220に格納された地図情報221とを参照して、各自律走行車両60に対して必要となる遠隔補助を予測し、予測された該遠隔補助の実行予定を示す補助予定情報Iaを生成・取得してもよい。
【0033】
図4には、遠隔監視・補助の対象である3台の自律走行車両60(60a,60b,60c)のそれぞれに対する遠隔補助の実行予定が概念的に示されている。図4の左側には、後述する調整処理前における、各自律走行車両60に対する遠隔補助の必要性の時間的推移と、それに基づき設定された遠隔補助の実行予定の時間ATとが概念的に示されている。図4に示す例では、各自律走行車両60について1つの遠隔補助の実行が予定されているが、各遠隔補助の実行予定の時間ATが互いに重複している。より詳細には、特定の時間t1において、自律走行車両60aに対する遠隔補助の実行予定の時間ATの一部と、自律走行車両60bに対する遠隔補助の実行予定の時間ATの一部とが重なっている。また、特定の時間t2において、3つの自律走行車両60a,60b,60cのそれぞれに対する遠隔補助の実行予定の時間ATの一部が互いに重なっている。
【0034】
遠隔監視・補助管理サーバ20の調整処理部215(図2)は、補助予定情報Iaにより特定される複数の遠隔補助の実行予定の時間ATが重複しているか否かを判定する(S130)。複数の遠隔補助の実行予定の時間ATが重複していると判定された場合(S130:YES)、遠隔監視・補助管理サーバ20の選択部216が、予め設定された規則に則り、実行予定の時間ATが重複している遠隔補助の対象である自律走行車両60の中から、移動動作の調整対象となる少なくとも1つの自律走行車両60を選択する(S140)。自律走行車両60の移動動作の調整としては、例えば、自律走行車両60の減速(停止を含む)、加速、経路変更等が挙げられる。
【0035】
そして、遠隔監視・補助管理サーバ20の調整処理部215は、S140において選択された自律走行車両60の移動動作を調整することにより、複数の遠隔補助の実行予定の時間ATが重複している特定の時間t1,t2における選択された自律走行車両60に対する遠隔補助を不要とするための調整処理を行う(S150)。図4の右側には、調整処理後の各自律走行車両60に対する遠隔補助の必要性の時間的推移と、それに基づき設定される遠隔補助の実行予定の時間ATとが概念的に示されている。上述したように、図4に示す例では、3台の自律走行車両60のそれぞれに対する遠隔補助の実行予定の時間ATが互いに重複している。そのため、3台の自律走行車両60の中から、2台の自律走行車両60(60b、60c)が移動動作の調整対象として選択されている。そして、その内の1台の自律走行車両60bを減速させることにより、該自律走行車両60bに対する遠隔補助の実行予定の時間ATを遅らせて、特定の時間t1,t2における該自律走行車両60bに対する遠隔補助を不要としている。また、他の1台の自律走行車両60cについて、経路変更前において遠隔補助が必要とされていた地点を通過しない経路を走行するように経路変更を行わせ、特定の時間t1,t2を含む当面の時間における該自律走行車両60cに対する遠隔補助を不要としている。その結果、特定の時間t1,t2において必要となる遠隔補助は、自律走行車両60aに対する遠隔補助のみとなる。なお、図4の例には無いが、自律走行車両60の移動動作の調整として加速が行われると、該自律走行車両60に対する遠隔補助の実行予定の時間ATが早まることとなる。
【0036】
なお、自律走行車両60の移動動作の調整は、遠隔監視・補助管理サーバ20の調整処理部215が自律走行車両60の自律走行制御部62に調整指示を送信し、自律走行制御部62が該指示に従い駆動部68を制御することによって実現することができる。
【0037】
上述した移動動作の調整対象となる自律走行車両60の選択(S140)のための規則は、例えば、移動動作の調整に伴う速度変化が比較的少ない自律走行車両60を優先的に選択するという規則を含んでいてもよい。例えば、自律走行車両60の移動動作の調整として減速を行う場合には、車両情報Ivにより特定される速度が比較的遅い自律走行車両60が優先的に選択され、反対に、自律走行車両60の移動動作の調整として加速を行う場合には、車両情報Ivにより特定される速度が比較的速い自律走行車両60が優先的に選択されるとしてもよい。また、該規則は、例えば、遅延情報Idにより特定される予定運行時刻からの遅れが比較的少ない自律走行車両60を優先的に選択するという規則を含んでいてもよい。例えば、自律走行車両60の移動動作の調整として減速または経路変更を行う場合には、それに伴い目的地への到着時刻が遅くなるため、予定運行時刻からの遅れが比較的少ない自律走行車両60が優先的に選択されるとしてもよい。
【0038】
調整処理(S150)の後、遠隔監視・補助管理サーバ20の補助実行指示部217(図2)は、調整処理後の各遠隔補助の実行予定に従い、遠隔監視・補助装置30に遠隔補助の実行を指示する(S160)。これを受けて、遠隔監視・補助装置30は、実行指示の対象である自律走行車両60から遠隔補助に必要な情報(例えば、センサ66により検知された情報)を取得し、該情報を参照して該自律走行車両60に対する遠隔補助(周辺物体の状態の検知・認識の補助や自律走行車両60の遠隔操縦等)を行う。図4に示す例では、図4の右側に示す各遠隔補助の実行予定に従い、自律走行車両60aに対する遠隔補助と、自律走行車両60bに対する遠隔補助とが、1つずつ順番に実行される。なお、S130において複数の遠隔補助の実行予定の時間ATについて重複が無いと判定された場合(S130:NO)には、自律走行車両60の選択(S140)および調整処理(S150)が実行される必要がないため、両処理はスキップされ、各遠隔補助の実行予定に従った遠隔補助の実行指示(S160)が同様になされる。
【0039】
その後、遠隔監視・補助管理サーバ20の遠隔監視・補助管理部211(図2)は、遠隔監視・補助管理処理の終了指示がなされたか否かを判定する(S170)。S170において、遠隔監視・補助管理処理の終了指示がなされなかったと判定された場合には(S170:NO)、上述したS100以降の処理が繰り返し実行される。一方、S170において、遠隔監視・補助管理処理の終了指示がなされたと判定された場合(S170:YES)、遠隔監視・補助管理サーバ20の遠隔監視・補助管理部211は、遠隔監視・補助管理処理を終了する。
【0040】
A-3.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の遠隔監視・補助管理サーバ20は、複数の自律走行車両60に対する遠隔補助のための情報処理装置である。遠隔監視・補助管理サーバ20は、補助予定情報取得部213と、調整処理部215と、補助実行指示部217とを備える。補助予定情報取得部213は、各自律走行車両60に対する遠隔補助の実行予定を示す補助予定情報Iaを取得する。調整処理部215は、補助予定情報Iaにより特定される複数の遠隔補助の実行予定の時間ATが、特定の時間において互いに重複する場合に、実行予定の時間が互いに重複する各遠隔補助の対象である自律走行車両60の中から選択された少なくとも1つの自律走行車両60の移動動作を調整することにより、上記特定の時間における選択された自律走行車両60に対する遠隔補助を不要とする調整処理を行う。補助実行指示部217は、調整処理後の遠隔補助の実行予定に従い、遠隔監視・補助装置30に遠隔補助の実行を指示する。
【0041】
このように、本実施形態の遠隔監視・補助管理サーバ20によれば、複数の遠隔補助の実行予定の時間ATが特定の時間において互いに重複する場合に、選択された少なくとも1つの自律走行車両60の移動動作を調整することにより、上記特定の時間における選択された自律走行車両60に対する遠隔補助を不要とする調整処理が実行される。そのため、本実施形態の遠隔監視・補助管理サーバ20によれば、特定の時間に複数の遠隔補助が集中することを抑制することができ、その結果、1人の監視者MOが複数の自律走行車両60の遠隔補助を行う際の監視者MOの負担を軽減することができる。
【0042】
また、本実施形態の遠隔監視・補助管理サーバ20は、さらに、予め設定された規則に則り、移動動作の調整の対象となる自律走行車両60を選択する選択部216を備える。そのため、本実施形態の遠隔監視・補助管理サーバ20によれば、予め設定された規則に則り、適切な自律走行車両60を移動動作の調整の対象として選択することができる。従って、本実施形態の遠隔監視・補助管理サーバ20によれば、特定の時間に複数の遠隔補助が集中することを抑制することによって1人の監視者MOが複数の自律走行車両60の遠隔補助を行う際の監視者MOの負担を軽減しつつ、各自律走行車両60の自律走行への影響を小さくすることができる。
【0043】
また、本実施形態の遠隔監視・補助管理サーバ20は、さらに、各自律走行車両60の少なくとも速度を含む状態を示す車両情報Ivを取得する車両情報取得部212を備える。また、上記移動動作の調整は、選択された自律走行車両60を減速または加速させることを含む。また、上記規則は、上記移動動作の調整に伴う速度変化が比較的少ない自律走行車両60を優先的に選択するという規則を含む。そのため、本実施形態の遠隔監視・補助管理サーバ20によれば、上記移動動作の調整に伴い自律走行車両60の速度変化が過大となることを抑制することができる。従って、本実施形態の遠隔監視・補助管理サーバ20によれば、特定の時間に複数の遠隔補助が集中することを抑制することによって1人の監視者MOが複数の自律走行車両60の遠隔補助を行う際の監視者MOの負担を軽減しつつ、各自律走行車両60の自律走行への影響を効果的に小さくすることができる。
【0044】
また、本実施形態の遠隔監視・補助管理サーバ20は、さらに、各自律走行車両60の予定運行時刻からの遅れを示す遅延情報Idを取得する遅延情報取得部214を備える。また、上記移動動作の調整は、選択された自律走行車両60を減速または経路変更させることを含む。また、上記規則は、遅延情報Idにより特定される上記遅れが比較的少ない自律走行車両60を優先的に選択するという規則を含む。そのため、本実施形態の遠隔監視・補助管理サーバ20によれば、上記移動動作の調整に伴い自律走行車両60の予定運行時刻からの遅れが過大となることを抑制することができる。従って、本実施形態の遠隔監視・補助管理サーバ20によれば、特定の時間に複数の遠隔補助が集中することを抑制することによって1人の監視者MOが複数の自律走行車両60の遠隔補助を行う際の監視者MOの負担を軽減しつつ、各自律走行車両60の自律走行への影響を効果的に小さくすることができる。
【0045】
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0046】
上記実施形態における遠隔監視・補助システム10の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、遠隔監視・補助管理サーバ20と各遠隔監視・補助装置30とが内部ネットワーク82を介して通信可能に接続されているが、遠隔監視・補助管理サーバ20と各遠隔監視・補助装置30とがインターネット等の外部ネットワークを介して通信可能に接続されていてもよい。また、遠隔監視・補助管理サーバ20が、遠隔監視・補助装置としての機能を有し、監視者MOが遠隔監視・補助管理サーバ20を用いて自律走行車両60の遠隔監視・補助を行ってもよい。
【0047】
上記各実施形態において、ハードウェアによって実現されている構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、反対に、ソフトウェアによって実現されている構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
【0048】
上記実施形態における遠隔監視・補助管理処理の内容は、あくまで一例であり、種々変更可能である。例えば、上記実施形態では、各自律走行車両60の状態を示す車両情報Ivが、自律走行車両60の現在位置と走行予定経路と速度とを示す情報を含んでいるが、車両情報Ivは、少なくとも自律走行車両60の位置を示す情報を含んでいればよく、自律走行車両60の現在位置と走行予定経路との少なくとも一方を示す情報を含んでいなくてもよいし、自律走行車両60の他の状態を示す情報を含んでいてもよい。
【0049】
上記実施形態では、車両情報Ivの取得処理(S100)および遅延情報Idの取得処理(S110)が実行されるが、それらの情報が例えば移動動作の調整の対象となる自律走行車両60の選択に用いられない場合には、上記各処理は実行される必要はない。
【0050】
上記実施形態における移動動作の調整の対象となる自律走行車両60の選択方法は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、遠隔監視・補助の対象である複数の自律走行車両60のそれぞれに予め順位が付され、該順位に従い移動動作の調整の対象となる自律走行車両60が選択されてもよい。また、予め規則が設定されず、移動動作の調整の対象となる自律走行車両60がランダムに選択されてもよい。
【0051】
上記実施形態では、同一の時間に1つのみの遠隔補助が実行されるように調整処理(図3のS150)が実行されるが、調整処理の態様はこれに限られない。すなわち、調整処理によって同一の時間に実行される遠隔補助の数を減らすことができれば、必ずしも調整処理後において同一の時間に実行される遠隔補助の数が1つである必要はない。例えば、図4に示す例のように、調整処理前において同一の時間に3つの遠隔補助が重複して実行されることとなっていた場合、1つの遠隔補助の時間をずらしたり実行不要としたりする調整処理が行われてもよい。このようにしても、同一の時間に実行される遠隔補助の数を2つに減らすことができ、監視者MOの負担を軽減することができる。
【0052】
また、上記実施形態では、複数の自律走行車両60の遠隔補助を例に用いて説明しているが、本明細書に開示される技術は、例えば自律走行ロボットのように、自律的に走行する車両以外の移動体の遠隔補助にも同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
10:遠隔監視・補助システム 20:遠隔監視・補助管理サーバ 30:遠隔監視・補助装置 32:表示装置 40:ネットワーク通信装置 60:自律走行車両 62:自律走行制御部 64:通信部 66:センサ 68:駆動部 82:内部ネットワーク 84:外部ネットワーク 210:制御部 211:遠隔監視・補助管理部 212:車両情報取得部 213:補助予定情報取得部 214:遅延情報取得部 215:調整処理部 216:選択部 217:補助実行指示部 220:記憶部 221:地図情報 230:表示部 240:操作入力部 250:インターフェース部 290:バス CP:遠隔監視・補助管理プログラム MO:監視者
図1
図2
図3
図4