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特許7587783殺虫剤として使用するための光増感剤及びキレート剤の組み合わせ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】殺虫剤として使用するための光増感剤及びキレート剤の組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   A01N 43/90 20060101AFI20241114BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20241114BHJP
   A01M 1/20 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
A01N43/90 105
A01P7/04
A01M1/20 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021547494
(86)(22)【出願日】2020-02-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-28
(86)【国際出願番号】 CA2020050198
(87)【国際公開番号】W WO2020163965
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2023-02-14
(31)【優先権主張番号】62/806,110
(32)【優先日】2019-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】524347836
【氏名又は名称】ニュートリエン・エージー・ソリューションズ・(カナダ)・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・フェファー
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・リュウ
(72)【発明者】
【氏名】イナ・テシュラー
(72)【発明者】
【氏名】リサ・スティール
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-138201(JP,A)
【文献】特表2005-507383(JP,A)
【文献】特開2014-193849(JP,A)
【文献】特表2010-502595(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0062785(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 43/
A01P 7/
A01M 1/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
虫を防除するのに使用するための組成物であって、
光の存在下で活性酸素種を発生させる、ポルフィリン、還元されたポルフィリン、及び
その混合物からなる群から選択される光増感剤である窒素含有大環状化合物;
アミノポリカルボン酸化合物又は農業に許容可能なその塩であるキレート剤;並びに
担体流体を含む、組成物。
【請求項2】
前記還元されたポルフィリンが、クロリン、バクテリオクロリン、イソバクテリオクロリン、コリン、コルフィン、及びその混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記窒素含有大環状化合物が、クロロフィリン、プロトポリフィリンIX(PP IX)、又はメソ-テトラ-(4-スルホナトフェニル)ポルフィリン(TPPS)である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記窒素含有大環状化合物が、金属を含まないか又はMg(II)、Zn(II)、Pd(II)、Sn(IV)、Al(III)、Pt(II)、Si(IV)、Ge(IV)、Ga(III)及びIn(III)、Cu(II)、Co(II)、Fe(II)、Mn(II)、Co(III)、Fe(III)、Fe(IV)及びMn(III)からなる群から選択される金属でメタル化されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記アミノポリカルボン酸化合物が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)又は農業に許容可能なその塩、エチレンジアミン-N,N'-二コハク酸(EDDS)又は農業に許容可能なその塩、イミノ二コハク酸(IDS)又は農業に許容可能なその塩、ニトリロ三酢酸(NTA)又は農業に許容可能なその塩、L-グルタミン酸N,N-二酢酸(GLDA)又は農業に許容可能なその塩、メチルグリシン二酢酸(MGDA)又は農業に許容可能なその塩、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)又は農業に許容可能なその塩、エチレンジアミン-N,N'-ジグルタル酸(EDDG)又は農業に許容可能なその塩、エチレンジアミン-N,N'-ジマロン酸(EDDM)又は農業に許容可能なその塩、3-ヒドロキシ-2,2-イミノ二コハク酸(HIDS)又は農業に許容可能なその塩、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)又は農業に許容可能なその塩、ポリアスパラギン酸又は農業に許容可能なその塩、並びにその混合物からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記窒素含有大環状化合物がMgクロロフィリンであり、且つ前記キレート剤がNa2EDTA である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
その組み合わせ物が界面活性剤をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記界面活性剤が、エトキシル化アルコール、高分子界面活性剤、脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、エトキシル化アルキルアルコール、モノグリセリド、アルキルモノグリセリド及びその混合物からなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、鉱油、植物油、及びその混合物からなる群から選択される油をさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記植物油が、やし油、キャノーラ油、ダイズ油、なたね油、ひまわり油、サフラワー油、 落花生油、綿実油、パーム油、米ぬか油、及びその混合物からなる群から選択される植物 油を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記油が、パラフィン油、分岐パラフィン油、ナフテン油、芳香族油、及びその混合物からなる群から選択される鉱油を含む、請求項9又は10に記載の組成物。
【請求項12】
前記油がポリ-α-オレフィン(PAO)を含む、請求項9から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記窒素含有大環状化合物及び前記油が、質量で約50:1から約1:5000の間の相対的比 率で存在する、請求項9から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記窒素含有大環状化合物が、約5μMから約10mMの間の濃度で与えられる、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記キレート剤が約5μMから約5000μMの間の濃度で与えられる、請求項1から14の いずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記担体流体が水又はオイル・イン・ウォーターエマルションを含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記害虫が、アブラムシ、コナカイガラムシ、又は半翅目昆虫である、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記窒素含有大環状化合物と前記キレート剤が、質量で1:1から1:10の相対的比率で存在する、請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
植物の害虫を防除するための方法であって、 光の存在下で活性酸素種を発生させる、ポルフィリン、還元されたポルフィリン及びその混合物からなる群から選択される光増感剤である窒素含有大環状化合物、並びに アミノポリカルボン酸化合物又は農業に許容可能なその塩であるキレート剤を含む組み合わせ物を前記植物に及び/又は前記害虫に施用する工程、を含む方法。
【請求項20】
請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物を、植物及び/又は害虫に施用する工程を含む、植物の害虫を防除する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2019年2月15日に出願された米国特許仮出願第62/806,110号の優先権を主張し、その内容は参照によってあらゆる目的のためにその全体を本明細書に援用する。
【0002】
技術分野は、一般に殺虫剤組成物、及び害虫から植物を保護する方法に関する。より詳細には、技術分野は、植物を保護する殺虫剤として使用するための光増感剤化合物及びキレート剤を含む組成物、並びにそのような組成物を施用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの種類の殺虫剤は害虫を防除するために使用される。しかしながら、通常の殺虫剤は、典型的には、ヒトに対する毒性、限られた有効性、昆虫が耐性を得る可能性、高いコスト又は環境に害を引き起こす可能性等の幾つかの不都合を有する。例えば、破壊的な害虫から植物を保護するために植物に施用された場合、公知の殺虫剤の幾つかは高い植物毒性を有し得る。したがって、これらの欠点の少なくとも幾つかを改善することができる、新しい殺虫剤の必要性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Hazen, J.L. Weed Technology 14: 773-784頁(2000)
【文献】S. R. Colby, "Calculating synergistic and antagonistic responses of herbicide combinations", Weeds 15, 20-22頁(1967)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様において、植物の害虫を防除するための方法が提供される。その方法は、光の存在下で活性酸素種を発生させる、ポルフィリン、還元されたポリフィリン(還元ポルフィリン)及びその混合物からなる群から選択される光増感剤である窒素含有大環状化合物;並びにアミノポリカルボン酸化合物又は農業に許容可能なその塩であるキレート剤を含む組み合わせ物を植物に及び/又は害虫に施用する工程と;害虫の存在下で光に植物を曝露して、その窒素含有大環状化合物を活性化し、活性酸素種を発生させる工程とを含む。
【0006】
別の態様において、植物の害虫を防除するための組成物が提供される。組成物は、光の存在下で活性酸素種を発生させる、ポルフィリン、還元されたポルフィリン、及びその混合物からなる群から選択される光増感剤である窒素含有大環状化合物;アミノポリカルボン酸化合物又は農業に許容可能なその塩であるキレート剤;並びに担体流体を含み、植物及び/又は害虫に組成物を施用し、植物を光に曝露させると、窒素含有大環状化合物が活性酸素種を発生させる。
【0007】
なお別の態様において、植物の害虫を防除するための組み合わせ物の使用が提供される。その組み合わせ物は、光の存在下で活性酸素種を発生させる、ポルフィリン、還元されたポルフィリン、及びその混合物からなる群から選択される光増感剤である窒素含有大環状化合物;並びにアミノポリカルボン酸化合物又は農業に許容可能なその塩であるキレート剤を含む。
【0008】
幾つかの実施態様において、組み合わせ物は植物に施用される。
【0009】
幾つかの実施態様において、キレート剤及び窒素含有大環状化合物が、害虫の死亡率を増加させるのに相乗効果的な量(相乗効果のある量)で与えられる。
【0010】
幾つかの実施態様において、還元されたポルフィリンは、クロリン、バクテリオクロリン、イソバクテリオクロリン、コリン、コルフィン及びその混合物からなる群から選択される。
【0011】
例えば、窒素含有大環状化合物はクロロフィリン等のクロリンであってもよい。
【0012】
別の実施態様において、窒素含有大環状化合物は、プロトポルフィリン(例えば、プロトポルフィリンIX(PP IX))、又はメソ-テトラ-(4-スルホナトフェニル)ポルフィリン(TPPS)等のポルフィリンであってもよい。
【0013】
幾つかの実施態様において、窒素含有大環状化合物は、窒素含有大環状化合物と金属の錯体生成によって形成されたメタル化窒素含有大環状化合物を含み、金属は、光曝露に応答して、メタル化した窒素含有化合物が活性酸素種を発生させるように選択される。幾つかのシナリオにおいて、金属は、Mg、Zn、Pd、Al、Pt、Sn、Si、Ga、In、Cu、Co、Fe、Ni、Mn、及びその混合物からなる群から選択される。幾つかのシナリオにおいて、金属は、Mg(II)、Zn(II)、Pd(II)、Sn(IV)、Al(III)、Pt(II)、Si(IV)、Ge(IV)、Ga(III)及びIn(III)、Cu(II)、Co(II)、Fe(II)、Mn(II)、Co(III)、Fe(III)、Fe(IV)及びMn(III)からなる群から選択される。
【0014】
幾つかの実施態様において、窒素含有大環状化合物は、光曝露に応答して、金属を含まない窒素含有化合物が活性酸素種を発生させるように選択される、金属を含まない窒素含有大環状化合物を含む。
【0015】
幾つかの実施態様において、窒素含有大環状化合物は抽出された天然の化合物である。他の実施態様において、窒素含有大環状化合物は合成化合物である。
【0016】
幾つかの実施態様において、アミノポリカルボン酸化合物は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)又は農業に許容可能なその塩、エチレンジアミン-N,N'-二コハク酸(EDDS)又は農業に許容可能なその塩、イミノ二コハク酸(IDS)又は農業に許容可能なその塩、ニトリロ三酢酸(NTA)又は農業に許容可能なその塩、L-グルタミン酸N、N-二酢酸(GLDA)又は農業に許容可能なその塩、メチルグリシン二酢酸(MGDA)又は農業に許容可能なその塩、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)又は農業に許容可能なその塩、エチレンジアミン-N,N'-ジグルタル酸(EDDG)又は農業に許容可能なその塩、エチレンジアミン-N,N'-ジマロン酸(EDDM)又は農業に許容可能なその塩、3-ヒドロキシ-2,2-イミノ二コハク酸(HIDS)又は農業に許容可能なその塩、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)又は農業に許容可能なその塩、及びその混合物からなる群から選択される。キレート剤は、メタル化されていても、いなくてもよい。
【0017】
幾つかの実施態様において、キレート剤は非高分子キレート剤である。例えば、キレート剤はNa2EDTAを含むことができる。
【0018】
幾つかの実施態様において、キレート剤は高分子キレート剤である。例えば、キレート剤はポリアスパラギン酸塩を含むことができる。
【0019】
幾つかの実施態様において、組み合わせ物は界面活性剤を更に含む。界面活性剤は、エトキシル化アルコール、高分子界面活性剤、脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、エトキシル化アルキルアルコール、モノグリセリド、アルキルモノグリセリド及びその混合物からなる群から選択することができる。幾つかのシナリオにおいて、界面活性剤は、式:
【0020】
【化1】
【0021】
[式中、R1 = H、CH2 = CH-CH2又はCOCH3であり; R2 = H、CH2 = CH-CH2又はCOCH3であり; f ≧ 1である。]
のポリエチレングリコールを含む。
【0022】
幾つかの実施態様において、組み合わせ物は、鉱油、植物油及びその混合物からなる群から選択される油を更に含む。幾つかのシナリオにおいて、油は、やし油、キャノーラ油、ダイズ油、なたね油、ひまわり油、サフラワー油、落花生油、綿実油、パーム油、米ぬか油及びその混合物からなる群から選択される植物油を含むことができる。幾つかのシナリオにおいて、油は、パラフィン油、分岐パラフィン油、ナフテン油、芳香族油及びその混合物からなる群から選択される鉱油を含む。幾つかのシナリオにおいて、油はポリ-α-オレフィン(PAO)を含む。
【0023】
幾つかの実施態様において、窒素含有大環状化合物及び油は、質量で約50:1から約1:5000の間の相対的比率で施用される。幾つかの実施態様において、窒素含有大環状化合物は、約5μMから約10 mMの間の濃度で与えられる。幾つかの実施態様において、窒素含有大環状化合物及びキレート剤は、質量で約50:1から約1:1000の間の相対的比率で施用される。幾つかの実施態様において、窒素含有大環状化合物及びキレート剤は、質量で約20:1から約1:500の間の相対的比率で施用される。幾つかの実施態様において、窒素含有大環状化合物及びキレート剤は、質量で約10:1から約1:100の間の相対的比率で施用される。幾つかの実施態様において、窒素含有大環状化合物及びキレート剤は、質量で約10:1から約1:50の間の相対的比率で施用される。幾つかの実施態様において、キレート剤は約5μMから約5000μMの間の濃度で与えられる。
【0024】
幾つかの実施態様において、窒素含有大環状化合物及びキレート剤は、植物に同時に施用される。他の実施態様において、窒素含有大環状化合物及びキレート剤は、植物に順次施用される。
【0025】
幾つかの実施態様において、植物に組み合わせ物を施用する工程は、植物に組み合わせ物の成分を含む組成物を施用する工程を含む。言いかえれば、窒素含有大環状化合物及びキレート剤は、単一組成の一部であってもよい。
【0026】
幾つかの実施態様において、植物を光に曝露させる工程は、植物を天然の日光に曝露させる工程を含む。他の実施態様において、植物を光に曝露させる工程は、植物を人工光に曝露させる工程を含む。
【0027】
幾つかの実施態様において、組み合わせ物は、土壌潅注、ピペッティング、潅漑、噴霧、霧吹き、散布、注入、及び浸漬の少なくとも1つによって植物に施用される。噴霧は、葉への噴霧、及び植物の底部への噴霧の少なくとも1つを含むことができる。
【0028】
幾つかの実施態様において、害虫は、成虫、幼虫、及び若虫からなる群から選択される。幾つかの実施態様において、害虫は、半翅目(アブラムシ、コナジラミ、カイガラムシ、コナカイガラムシ、カメムシの群)、鞘翅目(甲虫の群)、鱗翅目(チョウ、ガの群)、双翅目(ハエ、蚊の群)、アザミウマ目(アザミウマの群)、直翅目(バッタ、イナゴの群)、膜翅目(スズメバチ、アリの群)、及びダニ有害生物(ハダニ)の目から選択される。幾つかの実施態様において、害虫はアブラムシ、コナカイガラムシ又は半翅目である。
【0029】
幾つかの実施態様において、植物に組み合わせ物を施用する工程は、害虫による植物への外寄生(infestation)の前に遂行される。
【0030】
幾つかの実施態様において、植物に組み合わせを施用する工程は、害虫による植物への外寄生のとき、又は外寄生の後に遂行される。
【0031】
幾つかの実施態様において、植物は非木本作物植物、木本植物、観賞植物、又は芝草である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
ある種のポルフィリン、クロリン及びその類似物等の幾つかの窒素含有大環状化合物は、感光性を有することで知られている。これらの化合物を低用量で、植物への植物毒性はほとんど又は全くなく、ヒトに対する毒性がないが、昆虫に対する毒性を発生させるために使用することができる。
【0033】
したがって、光力学的に活性な窒素含有大環状化合物の昆虫への施用は、ほとんどの昆虫の個体数の生存率を非常に低減することができる。アミノポリカルボン酸系キレート剤(例えば、EDTA)と組み合わせて光増感剤化合物を施用することによって、個々に使用されるそれぞれと比較して、昆虫の個体数への全体的な影響を増加させることができる。これによって、昆虫の個体数を防除するのに必要な光増感剤の量の低下を可能にすることができ、施用される殺虫剤の量を限定しつつ昆虫から植物を保護するのに極めて有用であり得る。
【0034】
実施態様において、光増感剤化合物は、クロリン化合物等のポルフィリン又は還元されたポルフィリン化合物であり、キレート剤と組み合わせられる。例示のポルフィリン化合物はプロトポルフィリンIXであり、例示のクロリン化合物はクロリンe6であり、例示のキレート剤はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)又は農業に許容可能なその塩である。光増感剤化合物、キレート剤及び他の添加剤に関するより詳細は、本記載において提供される。
【0035】
<定義>
他に明示がない限り、本明細書において使用される以下の用語及び語句は、以下の意味を有するように意図される。
【0036】
商品名が本明細書において使用される場合、それは、商品名の製品及び商品名の製品の活性成分を独立して含むように意図される。
【0037】
「農業に許容可能な塩」という用語は、本明細書において使用される場合、殺虫活性(すなわち、害虫によって引き起こされるストレスを含む1種又は複数の生物的ストレスに対して活性である)を示す塩を指す。用語は、また、植物、水又は土壌中で、殺虫活性を示す化合物又は塩に変換する又は変換することができる塩を指す。「農業に許容可能な塩」は、農業に許容可能な陽イオン又は農業に許容可能な陰イオンであってもよい。農業に許容可能な陽イオンの非限定的な例は、アルカリ又はアルカリ土類金属に由来する陽イオン並びにアンモニア及びアミンに由来する陽イオンに由来する陽イオンを含むことができる。例えば、農業に許容可能な陽イオンは、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、アルキルアンモニウム及びアンモニウム陽イオンを含むことができる。農業に許容可能な陰イオンの非限定的な例は、ハロゲン化物、リン酸、アルキル硫酸及びカルボン酸の陰イオンを含むことができる。例えば、農業に許容可能な陰イオンは、塩化物、臭化物、メチル硫酸、エチル硫酸、酢酸、乳酸、ジメチルリン酸又はポリアルコキシ化リン酸の陰イオンを含むことができる。
【0038】
量に関して使用される「約」という修飾語は、明示された値を含み、文脈によって規定される意味を有する。例えば、「約」という修飾語は、量の測定と関連した誤差の程度を含むことができる。
【0039】
「生長培地」という用語は、本明細書において使用される場合、植物を生長させて栽培するのに適している任意の土壌(任意の組成の)又は土壌なしの(例えば水栽培の)培地を指す。生長培地は、更に植物を生長させて栽培するのに適している任意の自然発生の及び/又は合成の物質を含むことができる。「生長培地の任意の表面」又は「生長培地の表面」という語句は、本明細書において使用される場合、自然の及び/又はシミュレートされた光及び/又は天候に直接に晒される表面を指す。
【0040】
「施用する」という用語は、本明細書において使用される場合、本記載の少なくとも1種の化合物(例えば本記載の少なくとも1種の化合物を含む、組み合わせ物、組成物、溶液、エマルション(乳剤))と、当業界で公知の任意の手段(例えば、注入、根元浴、土壌潅注、点滴潅漑等)によって生長培地の表面を接触させること、又は、生長培地の表面の下にある領域を本記載の少なくとも1種の化合物(例えば土壌注入によって)若しくはその任意の組み合わせ物と接触させること、又は植物を本記載の少なくとも1種の化合物と直接に接触させること(例えば、噴霧)を指す。
【0041】
「作物植物」という用語は、本明細書において使用される場合、食料及び/又はエネルギーの源として育てられ、世話され、1年以下のサイクルで収穫される非木本植物を指す。作物植物の非限定的な例は、サトウキビ、コムギ、オオムギ、イネ、コーン(トウモロコシ)、ジャガイモ、サトウダイコン、オオムギ、サツマイモ、キャッサバ、ダイズ、トマト、及び豆果(豆及びエンドウ)を含む。作物植物は、単子葉植物であっても双子葉植物であってもよい。
【0042】
「木本植物」という用語は、本明細書において使用される場合、単一の茎又は幹を有し、地面からある距離で外側枝を有する木質の多年性植物(例えば、樹木)を指す。木本植物は落葉樹、常緑樹(例えば毬果植物)又は潅木であってもよい。木本植物の非限定的な例は、カエデの木、柑橘類の木、リンゴの木、西洋ナシの木、オークの木、トネリコの木、松の木、及びエゾマツの木を含む。
【0043】
「芝草」という用語は、本明細書において使用される場合、地表植被をもたらす栽培芝、例えば一貫した高さを維持するように周期的に切ったり刈ったりする芝生又は芝地を指す。芝はイネ科(ポアケアエ(Poaceae))に属し、イネ科は6種類の亜科に細分され、その内の3種類として、一般的な芝草である寒地型芝草のウシノケグサ(フェストゥコイデアエ(Festucoideae))亜科;暖地型芝草のキビ(パニコイデアエ(Panicoideae))亜科及びスズメガヤ(エラグロストイデアエ(Eragrostoideae))亜科が挙げられる。通常、均一な土壌被覆を形成し、芝刈りや人の往来に耐えるという基準を満たす限られた数の品種が芝草として広く使用されている。一般に、芝草は、生長点を切断せずに芝刈りを容易にする平坦な冠を有している。本文脈において、「芝草」という用語は、同一種の異なる栽培品種の組み合わせである混合種、又は異なる種及び/若しくは栽培品種の組み合わせである混合種を含む1種又は複数の芝種が栽培されて、比較的均一な土壌被覆が形成されている領域を含む。
【0044】
芝草の非限定的な例は以下を含む:ブルーグラス (例えば、ケンタッキーブルーグラス)、ベントグラス (例えば、ハイコヌカグサ)、コヌカグサ、ウシノケグサ (例えば、オオウシノケグサ)、ライグラス (例えば、一年生ライグラス)、ウィートグラス (例えば、カモジグサ)、ビーチグラス、チャヒキ (例えば、アリゾナチャヒキ)、ガマ (例えば、ハマガマ (sand cattail))、アルカリ草 (プッキネッリア・ディスタンス (Puccinellia distans))、クシガヤ (crested dog's-tail) (キュノスルス・クリスタトゥス (Cynosurus cristatus))、ギョウギシバ (キュノドン属種 (Cynodon spp.)、例えばキュノドン・ダクチュロン (Cynodon dactylon))、ハイブリッドギョウギシバ (例えば、ティフドワーフギョウギシバ (tifdwarf bermudagrass))、ノシバ (例えば、ゾイシア・ジャポニカ (Zoysia japonica))、セントオーガスチングラス (例えば、ビターブルー・セントオーガスチングラス)、ムカデシバ (エレモクロア・オピウロイデス (Eremochloa ophiuroides))、カーペットグラス (アクソノプス・フィッシフォリウス (Axonopus fissifolius))、バヒアグラス (パスパルム・ノタトゥム (Paspalum notatum))、キクユグラス (Kikuyugrass) (ペンニセトゥム・クラデスティヌム (Pennisetum clandestinum))、バッファローグラス (ブクロエ・ダクチュロイドス (Buchloe dactyloids))、サワスズメノヒエ (パスパルム・ワギナトゥム (Paspalum vaginatum))、ブルーグラマ (ボウテロウア・グラキリス (Bouteloua gracilis))、ブラックグラマ (ボウテロウア・エリオポダ (Bouteloua eriopoda))、サイドオーツグラマ (Sideoats Grama)、(ボウテロウア・クルティペンデュラ (Bouteloua curtipendula))、ネズミノオ属種 (例えば、アルカリネズミノオ)、サンドドロップシード (Sand Dropseed) (スポロボルス・クリュプタンドルス (Sporobolus cryptandrus))、プレーリー・ドロップシード (Prairie Dropseed) (スポロボルス・ヘテロレピス (Sporobolus heterolepis))、ホルデウム属種 (例えば、カリフォルニアオオムギ)、オオムギ、マキバオオムギ (Meadow Barley)、アロペクルス属種 (例えば、クリーピング・フォックステイル (Creeping Foxtai) 及びオオスズメノテッポウ)、スティパ属種 (例えば、ハリトイト (Needle & Thread))、エリュモス (Elymus) 属種(例えば、ブルーエゾムギ)、ヒゲクリノイガ (ケンクルス・キリアリス (Cenchrus ciliaris))、コバンソウ (ブリザ・マクシマ (Briza maxima))、アブラススキ (Big Bluestem) (アンドロポゴン・ゲラルディイ (Andropogon gerardii))、ヒメアブラススキ (Little Bluestem) (スキザキュルイム・スコパリウム (Schizachyruim scoparium)、サンドアブラススキ (Sand Bluestem) (アンドロポゴン・ハリイ (Andropogon hallii))、ミネハリイ (ムレンベルギア・リゲンス (Muhlenbergia rigens))、東部ガマグラス (トリプサクム・ダクチュロイデス (Tripsacum dactyloides))、ガレッタ (Galleta) (ヒラリア・ヤメシイ (Hilaria jamesii))、ヒロハノコメススキ (デスカンプシア・カエスピトサ (Deschampsia caespitosa))、マコモシバ (Indian Rice Grass) (オリュゾプシス・ヒュメノイデス (Oryzopsis hymenoides))、インディアングラス (ソルガストルム・ヌタンス (Sorghastrum nutans))、サンドラブグラス (Sand Lovegrass) (エラグロスティス・トリコデス (Eragrostis trichodes));シナダレスズメガヤ (エラグロスティス・クルブラ (Eragrostis curvula))、カリフォルニアコメガヤ (California Melic) (メリカ・カリフォルニカ (Melica californica))、プレーリージューングラス (Prairie Junegrass) (コエレリア・ピュラミダタ (Koeleria pyramidata))、プレーリーサンドリード (Prairie Sandreed) (カラモウィルファ・ロンギフォリア (Calamovilfa longifolia))、コヌカグサ (アグロスティス・アルバ (Agrostis alba))、クサヨシ (パラリス・アルンディナケア (Phalaris arundinacea))、スラウグラス (Sloughgrass) (スパルティナ・ペクティナタ (Spartina pectinata))、グリーンスプラングルトップ (Green Sprangletop) (レプトクロア・デュビア (Leptochloa dubia))、ボトルブッシュスクイレルテイル (Bottlebush Squirreltail) (シタニオン・ヒュストリクス (Sitanion hystrix))、パニクムスイッチグラス (ビルガツム)、及びパープルスリーアウン (Purple Threeawn) (アリスティダ・プルプレア (Aristida purpurea))。
【0045】
<光増感剤化合物>
上に論じたように、光増感剤化合物は、植物に存在し得る害虫の光力学的抑制を可能にする(すなわち光力学的な処置を介して害虫を殺す)ために使用することができる。光増感剤化合物は活性酸素種(ROS)を発生させることにより光に反応する。光増感剤化合物はまたROS発生剤と称することもできる。
【0046】
発生されるROSのタイプに応じて、光増感剤は、2つのクラス、すなわちI型光増感剤、II型光増感剤に分類することができる。一方で、I型光増感剤は、酸素の存在下で好適な波長で励起されると、基質からの電子引抜き又は移動によって短寿命のフリーラジカルを形成する。他方、II型光増感剤は、「一重項酸素」として知られ、本明細書において「反応性一重項酸素種」とも称せられる高い活性酸素状態を形成する。一重項酸素種は、一般に、比較的長寿命であり、大きい作用半径を有することができる。
【0047】
光増感剤化合物がメタル化されてもメタル化されていなくてもよいことは理解されるものとする。メタル化される場合、金属と錯体を形成する様々な窒素含有大環状化合物の場合と同様に、金属は、光曝露に応答してI型又はII型の光増感剤のいずれかを発生させるように選択することができる。例えば、クロリン光増感剤化合物が銅を用いてメタル化される場合、生成するROSは一般にI型光増感剤である。同じクロリン光増感剤化合物がマグネシウムを用いてメタル化される場合、生成するROSは一般にII型光増感剤である。I型及びII型光増感剤の両方を植物に存在し得る害虫の光力学的抑制を可能にするために使用することができる。幾つかのシナリオにおいて、光増感剤化合物はI型光増感剤である。他のシナリオにおいて、光増感剤化合物はII型光増感剤である。
【0048】
「一重項酸素光増感剤」という用語が、本明細書において使用される場合、光によって励起されると反応性一重項酸素種を生成する化合物を指すことが理解されるものとする。言いかえれば、「一重項酸素光増感剤」という用語は、上記に定義するII型プロセスがI型プロセスと比較して支配的である光増感剤を指す。
【0049】
幾つかの実施態様において、光増感剤化合物は、一緒に連結した4個の窒素含有複素環式環を含むことができる感光性の窒素含有大環状化合物である。幾つかの実施態様において、窒素含有複素環式環は、ピロール及びピロリンからなる群から選択され、メチン基(すなわち、= CH-基)によって一緒に連結してテトラピロールを形成する。窒素含有大環状化合物は、例えばポルフィリン化合物(メチン基によって一緒に連結した4個のピロール基)、クロリン化合物(メチン基によって一緒に連結した3個のピロール基及び1個のピロリン基)、バクテリオクロリン化合物若しくはイソバクテリオクロリン化合物(メチン基によって一緒に連結した2個のピロール基及び2個のピロリン基)、又はポルフィリノイド(テキサフリン若しくはサブポルフィリン等の)、又は複素環式芳香環コア若しくは部分的芳香環コア(すなわち、環の全周では芳香族でない環コア)を有するその官能基等価物、又はなおまた、多重ピロール化合物(ホウ素-ジピロメテン等の)を含むことができる。また、「窒素含有大環状化合物」という用語は本明細書において列挙される化合物の1つであってもよく、又は、本明細書において列挙される化合物の組み合わせ物であってもよいことが理解されるものとする。したがって、窒素含有大環状化合物は、ポルフィリン、還元されたポルフィリン又はその混合物を含むことができる。そのような窒素含有大環状化合物はまた、「多重ピロール大環状化合物」(例えば、テトラピロール大環状化合物)とも称することができる。
【0050】
「還元されたポルフィリン」という用語が、本明細書において使用される場合、クロリン、バクテリオクロリン、イソバクテリオクロリン並びにコリン及びコルフィン等の他の種類の還元されたポルフィリンからなる群を指すことが理解されるものとする。
【0051】
窒素含有大環状化合物が、非金属大員環(例えば、クロリンe6、プロトポルフィリンIX若しくはテトラフェニルポルフィリン)又は金属大環状錯体(例えば、Mgポルフィリン、Mgクロロフィリン、Cuクロロフィリン、FeプロトポルフィリンIX等)であってもよいことが理解されるものとする。窒素含有大環状化合物は、抽出された天然の化合物、又は合成化合物であってもよい。
【0052】
ポルフィリン又は還元されたポルフィリン化合物がメタル化されている実施態様において、メタル化した窒素含有大環状化合物がI型光増感剤、又は反応性一重項酸素種を発生させるII型光増感剤となるように金属を選ぶことができる。例えば、クロリン及びポルフィリンの場合、一般にII型光増感剤の形成によって反応性一重項酸素種の生成を可能にする金属の非限定的な例は、Mg、Zn、Pd、Sn、Al、Pt、Si、Ge、Ga及びInである。同様にクロリン及び/又はポルフィリンと錯体形成された場合、I型光増感剤を形成すると知られている金属の非限定的な例はCu、Co、Fe、Ni及びMnである。
【0053】
金属種が酸化の程度なしで挙げられる場合、金属種の適切な酸化状態がすべて、当業者によって理解されるのと同じように考えられることが理解されるものとする。他の実施態様において、金属種は、Mg(II)、Zn(II)、Pd(II)、Sn(IV)、Al(III)、Pt(II)、Si(IV)、Ge(IV)、Ga(III)、及びIn(III)からなる群から選択することができる。なお他の実施態様において、金属種は、Cu(II)、Co(II)、Fe(II)、及びMn(II)からなる群から選択することができる。なお他の実施態様において、金属種は、Co(III)、Fe(III)、Fe(IV)、及びMn(III)からなる群から選択することができる。
【0054】
また、I型光増感剤の形成に導く金属に対してII型光増感剤の形成ヘ導くことができる特定の金属は、それが結合する窒素含有大環状化合物の型に応じて様々であってもよいことが理解されるものとする。また、非メタル化窒素含有大環状化合物がI型光増感剤又はII型光増感剤であってもよいことが理解されるものとする。例えば、クロリンe6及びプロトポルフィリンIXは両方ともII型光増感剤である。
【0055】
本記載の方法及び組成物において使用される窒素含有大環状化合物が、また、ヒトに対するそれらの毒性に基づいて、又は環境へのそれらの影響に基づいて選択することができることが理解されるものとする。例えば、ポルフィリン及び還元されたポルフィリンは、フタロシアニン等の他の型の窒素含有大環状化合物と比較した場合、ヒトに対して毒性が低く、更にまた環境での生物分解性が高い傾向がある。
【0056】
以下の式は、本明細書において記載の方法及び組成物において使用することができる、窒素含有大環状化合物の幾つかの非限定的な例を説明する:
【0057】
【化2】
【化3】
【0058】
Zn-TPP及びMgクロロフィリン等の様々な窒素含有大環状化合物は、Organic Herb Inc.社、Sigma Aldrich社又はFrontier Scientific社等の化学薬品供給業者から入手することができる。幾つかのシナリオにおいて、窒素含有大環状化合物は100%純粋ではなく、有機酸及びカロテン等の他の成分を含んでもよい。他のシナリオにおいて、窒素含有大環状化合物は高レベルの純度を有することができる。
【0059】
<キレート剤>
光増感剤化合物は、キレート剤(キレート剤は透過処置剤と称することもできる)と組み合わせて植物に及び/又は昆虫に施用することができる。「キレート剤」という用語が、本明細書において使用される場合、一般に1つ又は幾つかの金属又はイオンと幾つかのキレート結合を形成し得る化合物を指すことは理解されるものとする。
【0060】
幾つかの実施態様において、キレート剤は、1種又は複数のアミノポリカルボン酸キレート剤、又は農業に許容可能なその塩を含むことができる。アミノポリカルボン酸キレート剤の非限定的な例は以下を含む:エチレンジアミン四酢酸 (EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸 (DTPA)、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸 (HEDTA)、及びエチレンジアミンジスクシナート (EDDS)、シクロヘキサンジアミン四酢酸 (CDTA)、N-(2-ヒドロキシ-エチル)エチレンジアミン三酢酸 (EDTA-OH) グリコールエーテルジアミン四酢酸 (GEDTA)、アラニン二酢酸 (ADA)、アルコイルエチレンジアミン三酢酸 (例えば、ラウロイルエチレンジアミン三酢酸(LED3A))、アスパラギン酸二酢酸 (ASDA)、アスパラギン酸モノ酢酸、ジアミノシクロヘキサン四酢酸 (CDTA)、1,2-ジアミノプロパン四酢酸(DPTA-OH)、1,3-ジアミノ-2-プロパノール四酢酸 (DTPA)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸 (DTPMP)、ジグリコール酸、ジピコリン酸 (DPA)、エタノールアミン二酢酸、エタノールジグリシン (EDG)、エチレンジアミンジグルタル酸 (EDDG)、エチレンジアミンジ(ヒドロキシフェニル酢酸) (EDDHA)、エチレンジアミンジプロピオン酸 (EDDP)、エチレンジアミンジスクシナート (EDDS)、エチレンジアミンモノコハク酸 (EDMS)、エチレンジアミン四酢酸 (EDTA)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸 (EDTP)、L-グルタミン酸N,N-二酢酸 (GLDA)、ニトリロ三酢酸 (NTA)、3-ヒドロキシ-2,2-イミノ二コハク酸 (HIDS)、メチルグリシン二酢酸 (MGDA)、エチレンジアミン-N,N'-ジマロン酸 (EDDM)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸 (HEIDA)、イミノ二コハク酸 (IDS)、β-アラニン二酢酸 (β-ADA)、エチレングリコールアミノエチルエステル四酢酸 (EGTA)、ポリアミノ二コハク酸、N-ビス[2-(1,2-ジカルボキシエトキシル)エチル]グリシン (BCA6)、N-ビス[2-(1,2-ジカルボキシエトキシル)エチル]アスパラギン酸 (BCA5)、N-ビス[2-(1,2-ジカルボキシエトキシル)エチル]メチルグリシン (MCBA5)、N-トリス[(1,2-ジカルボキシエトキシ)エチル]アミン (TCA6)、N-ビス[2-(カルボキシメトキシ)エチル]グリシン (BCA3)、N-ビス[2-(メチルカルボキシメトキシ)エチル]グリシン (MCBA3)、N-メチルイミノ二酢酸 (MIDA)、イミノ二酢酸 (IDA)、N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸 (ADA)、ヒドロキシメチル-イミノ二酢酸、2-(2-カルボキシエチルアミノ)コハク酸 (CEAA)、2-(2-カルボキシメチルアミノ)コハク酸 (CMAA)、ジエチレントリアミン-N,N"-二コハク酸、トリエチレンテトラミン-N,N'"-二コハク酸、1,6-ヘキサメチレンジアミン-N,N'-二コハク酸、テトラエチレンペンタミン-N,N""-二コハク酸、2-ヒドロキシプロピレン-1,3-ジアミン-N,N'-二コハク酸、1,2-プロピレンジアミン-N,N'-二コハク酸、1,3-プロピレンジアミン-N,N'-二コハク酸、cis-シクロヘキサンジアミン-N,N'-二コハク酸、trans-シクロヘキサンジアミン-N,N'-二コハク酸、エチレンビス(オキシエチレンニトリロ)-N,N'-二コハク酸、グルコヘプタン酸、システイン酸-N,N-二酢酸、システイン酸-N-モノ酢酸、アラニン-N-モノ酢酸、N-(3-ヒドロキシスクシニル)アスパラギン酸、N-[2-(3-ヒドロキシスクシニル)]-L-セリン、アスパラギン酸-N,N-二酢酸、アスパラギン酸-N-モノ酢酸、及び農業に許容可能なその塩 (例えば、ナトリウム塩、カルシウム塩及び/又はカリウム塩)。
【0061】
幾つかの実施態様において、アミノポリカルボン酸キレート剤は生物分解性であり得る。本明細書において使用される場合、「生物分解性」という用語は、天然又は非天然の微生物、日光、空気又は高温を含む環境条件への曝露によって分解し得る物質を指す。「生物分解性」という用語の使用が、生物分解性のなんらかの特別の程度、生物分解性の機序、又は特定の生物分解半減期を意味しないことは理解される。
【0062】
生物分解性のアミノポリカルボン酸キレート剤の非限定的な例は以下を含むことができる:グルタミン酸二酢酸 (GLDA)、メチルグリシン二酢酸 (MGDA)、β-アラニン二酢酸 (β-ADA)、エチレンジアミン二コハク酸、S,S-エチレンジアミン二コハク酸 (EDDS)、イミノ二コハク酸 (IDS)、ヒドロキシイミノ二コハク酸 (HIDS)、ポリアミノ二コハク酸、N-ビス[2-(1,2-ジカルボキシエトキシル)エチル]グリシン (BCA6)、N-ビス[2-(1,2-ジカルボキシエトキシル)エチル]アスパラギン酸 (BCA5)、N-ビス[2-(1,2-ジカルボキシエトキシル)エチル]メチルグリシン (MCBA5)、N-トリス[(1,2-ジカルボキシエトキシ)エチル]アミン (TCA6)、N-ビス[2-(カルボキシメトキシ)エチル]グリシン (BCA3)、N-ビス[2-(メチルカルボキシメトキシ)エチル]グリシン (MCBA3)、N-メチルイミノ二酢酸 (MIDA)、イミノ二酢酸 (IDA)、N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸 (ADA)、ヒドロキシメチル-イミノ二酢酸、2-(2-カルボキシエチルアミノ)コハク酸 (CEAA)、2-(2-カルボキシメチルアミノ)コハク酸 (CMAA)、ジエチレントリアミン-N,N"-二コハク酸、トリエチレンテトラミン-N,N'"-二コハク酸、1,6-ヘキサメチレンジアミン-N,N'-二コハク酸、テトラエチレンペンタミン-N,N""-二コハク酸、2-ヒドロキシプロピレン-1,3-ジアミン-N,N'-二コハク酸、1,2-プロピレンジアミン-N,N'-二コハク酸、1,3-プロピレンジアミン-N,N'-二コハク酸、cis-シクロヘキサンジアミン-N,N'-二コハク酸、trans-シクロヘキサンジアミン-N,N'-二コハク酸、エチレンビス(オキシエチレンニトリロ)-N,N'-二コハク酸、グルコヘプタン酸,システイン酸-N,N-二酢酸,システイン酸-N-モノ酢酸、アラニン-N-モノ酢酸、N-(3-ヒドロキシスクシニル)アスパラギン酸、N-[2-(3-ヒドロキシスクシニル)]-L-セリン、アスパラギン酸-N,N-二酢酸、アスパラギン酸-N-モノ酢酸、その任意の塩、その任意の誘導体、又はその任意の組み合わせ。
【0063】
幾つかの実施態様において、アミノポリカルボン酸キレート剤は1から5の間のアミノ基及び2から8の間のカルボン酸基を含む。幾つかの実施態様において、アミノポリカルボン酸キレート剤は1から5の間のアミノ基、1から4の間のアミノ基、1から3の間のアミノ基、1から2の間のアミノ基、1個のアミノ基又は2個のアミノ基を含む。幾つかの実施態様において、アミノポリカルボン酸キレート剤は、2から8の間のカルボン酸基、又は2から7の間のカルボン酸基、又は2から6の間のカルボン酸基、又は2から5の間のカルボン酸基、又は2から4の間のカルボン酸基、又は2から3の間のカルボン酸基、又は2個のカルボン酸基、又は3個のカルボン酸基を含む。
【0064】
幾つかの実施態様において、アミノポリカルボン酸キレート剤は高分子である。他の実施態様において、アミノポリカルボン酸キレート剤は非高分子である。
【0065】
非高分子アミノポリカルボン酸キレート剤の非限定的な例は、上に挙げたアミノポリカルボン酸を含む。市販の非高分子アミノポリカルボン酸キレート剤の非限定的な例は、IDSの四ナトリウム塩であるBaypure(登録商標)CX100である。市販の高分子アミノポリカルボン酸キレート剤の非限定的な例は、ポリアスパラギン酸ナトリウム塩であるBaypure(登録商標)DS等のポリアスパラギン酸塩である。
【0066】
1種又は複数のキレート剤が、遊離酸として、農業に許容可能な塩として、又はその組み合わせとして提供することができることが理解されよう。幾つかの実施態様において、1種又は複数のキレート剤のそれぞれは遊離酸として施用される。他の実施態様において、キレート剤は塩として施用することができる。例示の農業に許容可能な塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩及びその組み合わせを含む。なお他の実施態様において、2つ以上のキレート剤が存在する場合、キレート剤の少なくとも1つは遊離酸として施用することができ、キレート剤の少なくとも1つは塩として施用することができる。
【0067】
<添加剤及びアジュバント>
幾つかの実施態様において、光増感剤化合物及びキレート剤は、1種又は複数の農業に適切なアジュバントと組み合わせて植物に及び/又は昆虫に施用することができる。1種又は複数の農業的に適切なアジュバントのそれぞれは、1種又は複数の活性化因子アジュバント (例えば、1種又は複数の界面活性剤; 例えば、1種又は複数のオイルアジュバント、例えば、1種又は複数の浸透剤)及び1種又は複数のユーティリティアジュバント (例えば、1種若しくは複数の湿潤剤若しくは展着剤; 1種若しくは複数の保湿剤; 1種若しくは複数の乳化剤; 1種若しくは複数のドリフト制御剤; 1種若しくは複数の増粘剤; 1種若しくは複数の沈着剤; 1種若しくは複数の水質調節剤; 1種若しくは複数の緩衝剤; 1種若しくは複数の抗発泡剤; 1種若しくは複数のUV遮断剤; 1種若しくは複数の抗酸化剤; 1種若しくは複数の肥料、栄養素及び/若しくは微量養素; 並びに/又は1種若しくは複数の除草安全化剤)からなる群から独立して選択することができる。例示のアジュバントはHazen, J.L. Weed Technology 14: 773-784頁(2000)において与えられ、これはその全体を参照によって本明細書に援用する。
【0068】
幾つかの実施態様において、光増感剤化合物及びキレート剤は、油と組み合わせて植物に及び/又は昆虫に施用することができる。油は、鉱油 (例えば、パラフィン油)、植物油、精油、及びその混合物からなる群から選択することができる。幾つかのシナリオにおいて、光増感剤化合物を油と組み合わせると、植物及び/又は昆虫に接したときの光増感剤化合物の溶解度を改善することができる。油は、水等の担体流体の存在下又は不在下で光増感剤化合物と共に、又は別々に添加することができる。
【0069】
植物油の非限定的な例は、中位鎖トリグリセリド (MCT)、又はナッツから抽出される油を含む油を含む。植物油の他の非限定的な例は、やし油、キャノーラ油、ダイズ油、なたね油、ひまわり油、サフラワー油、落花生油、綿実油、パーム油、米ぬか油又はその混合物を含む。鉱油の非限定的な例は、パラフィン油、分岐パラフィン油、ナフテン油、芳香族油又はその混合物を含む。
【0070】
パラフィン油の非限定的な例は、様々な等級のポリ-α-オレフィン (PAO) を含む。例えば、パラフィン油は、HT60(商標)、HT100(商標)、High Flash Jet、LSRD(商標)及びN65DW(商標)を含むことができる。パラフィン油は、約12~約50又は約16~35の範囲の炭素原子数を有するパラフィンを含むことができる。幾つかのシナリオにおいて、パラフィンは平均23の炭素原子数を有することができる。幾つかの実施態様において、オイルは少なくとも80質量%、又は少なくとも90質量%、又は少なくとも99質量%のパラフィン含有率を有することができる。
【0071】
光増感剤化合物及び油は、順次又は同時に添加することができる。同時に添加された場合、窒素含有大環状化合物及び油は、同一組成物の一部として又は、2つの別々の組成物の一部として添加することができる。幾つかの実施態様において、窒素含有大環状化合物及び油はオイル・イン・ウォーターエマルション中で組み合わせることができる。すなわち、その組み合わせは油及び水と組み合わされた窒素含有大環状化合物を含むことができ、それによりその組み合わせはオイル・イン・ウォーターエマルションとして配合される。オイル・イン・ウォーターエマルションはまた、界面活性剤、1種又は複数のアジュバント又はその組み合わせ等の他の添加剤を含むことができる。
【0072】
本明細書において使用される場合、「オイル・イン・ウォーターエマルション」という用語は、油 (例えば、パラフィン油) 及び水の1つが、他方 (例えば、水) 中に小滴として分散した混合物を指す。言いかえれば、「オイル・イン・ウォーターエマルション」という用語は、本明細書において使用される場合、油の小滴が連続的な水相中に分散したエマルション、及び水の小滴が連続的な油相中に分散したエマルションを包含する。幾つかの実施態様において、オイル・イン・ウォーターエマルションは、パラフィン油、水、及び他の任意の成分及びパラフィン油を合わせる工程、並びにエマルションが得られるまで剪断を加える工程を含む方法によって調製される。他の実施態様において、オイル・イン・ウォーターエマルションは、撹拌槽中でパラフィン油、水、及び他の任意の成分を合わせる工程、並びに噴霧ガンのノズルに通して噴霧する工程を含む方法によって調製される。
【0073】
幾つかの実施態様において、光増感剤化合物は担体流体を含む組成物の一部である。適切な担体流体は、担体流体中で組成物の成分の安定な溶液、懸濁液及び/又はエマルションを得ることを可能にすることができる。幾つかの実施態様において、担体流体は水である。他の実施態様において、担体流体は、水及び他の溶媒、又は水中で混和しないか、若しくは部分的にのみ可溶の油の混合物である。
【0074】
幾つかの実施態様において、光増感剤化合物、キレート剤及び油の組み合わせは害虫の死亡率を増加させるために使用することができる。組み合わせ物は、植物又は昆虫への送達のためにオイル・イン・ウォーターエマルションの分散体中に光増感剤化合物が維持されるように界面活性剤が存在し選択されるオイル・イン・ウォーターエマルションであってよい。
【0075】
組み合わせ物は界面活性剤(乳化剤とも称される)を含むことができる。界面活性剤は、エトキシル化アルコール、ポリマーの界面活性剤、脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、エトキシル化アルキルアルコール、モノグリセリド、アルキルモノグリセリド、両親媒性配糖体及びその混合物からなる群から選択することができる。例えば、脂肪酸エステルはソルビタン脂肪酸エステルであってもよい。界面活性剤は、サポニン等の植物由来の配糖体を含むことができる。界面活性剤は、植物群葉の被覆を助ける、又は昆虫に施用されるアジュバントとして存在することができる。界面活性剤は、許容できるポリソルベート型界面活性剤(例えば、Tween 80)、非イオン性界面活性剤ブレンド(例えば、Altox(商標)3273)、又は別の適切な界面活性剤であってもよい。
【0076】
幾つかの実施態様において、ポリ(エチレングリコール)は、式R1-O-(CH2CH2O)f-R2[式中、各R1及びR2はそれぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、CO(アルキル)又はCO(置換アルキル)であり;fは1~100から選択される整数であり;ここで、置換アルキル基は独立して、1個又は複数のF、Cl、Br、I、ヒドロキシル、アルケニル、CN及びN3で置換されている。]のポリ(エチレングリコール)を含むことができる。
【0077】
<光増感剤化合物を含む組成物>
光増感剤化合物及び他の試剤(例えば、キレート剤、油、界面活性剤等)は、別々に又は同一組成物の一部として一緒に植物及び/又は昆虫に与えることができることもまた理解されるに違いない。幾つかの実施態様において、組成物の成分は担体流体なしで濃縮形で包装することができ、担体流体(例えば水)は、次に組成物を植物及び/又は昆虫に施用することができる作業者が直接添加して組成物を形成することができる。
【0078】
成分が単一組成物の一部として用意される場合、組成物は、成分のある濃度及び相対的な比率を有するように用意することができる。例えば、組成物は、約100ナノモルから約50ミリモルの間、約5マイクロモルから約10ミリモルの間、約1マイクロモルから約1000マイクロモルの間、又は約5マイクロモルから約200マイクロモルの間の光増感剤化合物; 約10マイクロモルから約150マイクロモルの間の窒素含有大環状化合物;約25マイクロモルから約100マイクロモルの間の光増感剤化合物、又は約50マイクロモルから約75マイクロモルの間の光増感剤化合物を有することができる。
【0079】
例えば、これらに限定されないが、組成物はまた、約2マイクロモルから約10,000マイクロモルの間のキレート剤、約5マイクロモルから約5,000マイクロモルの間のキレート剤、約10マイクロモルから約1,000マイクロモルの間のキレート剤、約25マイクロモルから約500マイクロモルの間のキレート剤、又は約50マイクロモルから約100マイクロモルの間のキレート剤を含むことができる。
【0080】
例えば、これらに限定されないが、組成物中の窒素含有大環状化合物とキレート剤の相対的な質量比率は、約50:1から約1:1000の間、約20:1から約1:500の間、約10:1から約1:100の間、又は約1:1から約1:10の間であってもよい。
【0081】
例えば、以下に限定されないが、光増感剤化合物及び油は、約50:1から約1:1000の間、約20:1から約1:500の間、約10:1から約1:100の間、又は約1:1から約1:10の間の相対的な質量比率で施用することができる。
【0082】
光増感剤化合物を含む組成物は、様々な方法で植物及び/又は昆虫に施用することができる。例えば、光増感剤化合物、キレート剤、並びに水又は水-油エマルション等の送達流体を含む組成物を調製することができる。組成物は、噴霧、霧吹き、散布、注入、浸漬又は他の適切な方法によって植物及び/又は昆虫に施用することができる。殺虫剤組成物は、植物の群葉、根元、及び/又は茎に施用することができる。他の添加剤も、殺虫剤組成物中に含ませるができ、他の施用方法も遂行することができる。
【0083】
組成物が施用される植物は、自然な日光に晒される戸外で又は屋内で(例えば、温室)、又は人工光に晒される屋内の場所にあってもよい。光増感剤化合物がROSを発生させ、害虫の死亡率を増加させることができるように、入射光に曝露される。
【0084】
幾つかのシナリオにおいて、光増感剤化合物及びキレート剤の組み合わせ(例えば、光増感剤化合物及びキレート剤を含む組成物)は、害虫による外寄生(infestation)の前に予防策として植物に直接に施用することができる。そのような場合、害虫は、植物に外寄生したらすぐに、例えば植物に配置された組み合わせ物との直接の接触によって、又は植物の一部を摂取し、それにより組み合わせ物を摂取することによって組み合わせ物に接触することができる。他のシナリオにおいて、組み合わせ物は、植物の害虫による外寄生があったとき、又は外寄生の後に施用することができる。そのような場合、組み合わせ物は害虫及び植物の両方に施用される。
【0085】
なお他のシナリオにおいて、組み合わせ物は害虫が植物に外寄生するより前に、(すなわち、害虫が別の場所にいる間に)害虫に施用することができる。そのようなシナリオにおいて、害虫は、組み合わせ物に接した後に植物に接することができる。
【0086】
「植物及び/又は害虫への(光増感剤化合物及びキレート剤の)組み合わせ物の施用」という表現の使用によって、害虫による植物の外寄生の前に植物に単独で、害虫による植物の外寄生で若しくは外寄生の後の植物及び害虫に、害虫による植物の外寄生の前に昆虫に単独で(例えば害虫が植物にまだいない間に)、又は害虫による植物の外寄生の前に昆虫に単独で、且つ植物に単独で組み合わせを施用することができることを意味することが理解される。
【0087】
幾つかの実施態様において、組み合わせ物は種子又は苗を処置するために使用することができる。幾つかのシナリオにおいて、種子又は苗の処置は発芽及び生長を刺激することができ、及び/又は非生物的ストレスに対する植物の抵抗力を上げることができる。幾つかの実施態様において、種子又は苗は、生長培地へ植えられる前に光増感剤化合物を用いて処置することができる。幾つかの実施態様において、生長培地へ植えられた後、種子又は苗は光増感剤化合物を用いて処置することができる。
【0088】
組み合わせ物は、種子に直接表面被覆することができ、苗根又は苗葉(苗への葉面施用)に施用することができる。幾つかの実施態様において、光増感剤化合物を含む溶液又はエマルションは、種子又は苗へ直接に噴霧することができる。幾つかの実施態様において、種子又は苗は光増感剤化合物を含む溶液又はエマルションに浸漬することができる。幾つかの実施態様において、苗の根は光増感剤化合物を含む溶液又はエマルションに浸漬することができる。幾つかの実施態様において、種子は容器に入れることができ、光増感剤化合物を含む溶液を容器へ導入することができる。次いで、容器は、溶液が種子と接触するように適正な時間(例えば約1分から数分の間)振盪することができる。次いで、振盪された種子は、植えられる前に乾燥(例えば風乾)することができる。
【0089】
組み合わせ物は、施用の様々な仕方を使用して種子又は苗に対して1回又は2回以上施用することができる。例えば、種子は生長培地へ植えられた後に処置することができる。別の例において、種子及び/又は苗は、植えられる前に、及び植えられた後に、処置することができる(例えば、畝間処置及び/又は葉面施用)。なお別の例において、種子は植えられる前に 及び/又は植えられた後に処置することができ、続いてできる苗を更に処置することができる(例えば、根処置及び/又は葉処置)。
【0090】
<殺虫剤活性>
幾つかの実施態様において、本記載の化合物及び組み合わせは、害虫から植物を保護するために使用することができる。「害虫」又は「有害生物」という用語が、本明細書において使用される場合、植物に障害をもたらすことが知られている、又はその可能性を有する成虫及び/又はそれらの幼虫若しくは若虫を指すことが理解されるものとする。幾つかの実施態様において、本記載の化合物及び組み合わせ物は、害虫に光誘導性の死を誘発することができる。
【0091】
幾つかの実施態様において、害虫は、半翅目(アブラムシ、コナジラミ、カイガラムシ、コナカイガラムシ、カメムシの群)、鞘翅目(甲虫の群)、鱗翅目(チョウ、ガの群)、双翅目(ハエの群)、アザミウマ目(アザミウマの群)、直翅目(バッタ、イナゴの群)、膜翅目(スズメバチ、アリの群)、ゴキブリ目(ゴキブリ及びシロアリの群)、及びダニ有害生物(ハダニ)の目から選択される。
【0092】
害虫の非限定的な例は以下を含む:ヨトウムシ (例えば、イチモジヨトウ (スポドプテラ・エクシグア (Spodoptera exigua)))、根切虫、ルーパー、(例えば、イラクサキンウワバ (トリコプルシア・ニ(Trichoplusia ni)))、及びヤガ科のハスモンヨトウ (heliothines)、(例えば、ツマジロクサヨトウ (スポドプテラ・フギペルダ (Spodoptera fugiperda J. E. Smith)))、シロイチモジヨトウ (スポドプテラ・エクシグア (Spodoptera exigua Hubner))、タマナヤガ (アグロティス・イプシロン (Agrotis ipsilon Hufnagel))、オオタバコガ (ヘリオティス・ウィレスケンス (Heliothis virescens Fabricius))等の鱗翅目の幼虫;メイガ科の穿孔虫、繭を作る昆虫、ウェブワーム、オオタバコガの幼虫、モンシロチョウの幼虫、葉を食い荒らす幼虫 (例えば、アワノメイガ (オストリニア・ヌビラリス (Ostrinia nubilalis Hubner))、ネーブルオレンジワーム (アミュエロイス・トランシテッラ (Amyelois transitella Walker))、ウスギンツトガ (クランブス・カリギノセッルス (Crambus caliginosellus Clemens))、クロオビクロノメイガ (ヘルペトグランマ・リカルシサリス (Herpetogramma licarsisalis Walker))等のソッドウェブワーム (メイガ科:ツトガ亜科)、ハマキムシ、ハマキガ科における芽を食害する害虫、種子を食害する害虫、及び、果実を食害する害虫 (例えば、コドリンガ (キュディア・ポモネッラ (Cydia pomonella Linnaeus))、ホソバヒメハマキ (エンドピザ・ウィテアナ (Endopiza viteana Clemens))、ナシヒメシンクイ (グラポリタ・モレスタ (Grapholita molesta Busck))、並びに、多くの他の経済的に重要な鱗翅目 (例えば、コナガ (プルテッラ・キシロステッラ (Plutella xylostella Linnaeus))、ワタアカミムシガ (ペクティノポラ・ゴッシピエッラ (Pectinophora gossypiella Saunders))、マイマイガ (リュマントリア・ディスパル (Lymantria dispar Linnaeus)); ヒゲナガゾウムシ、マメゾウムシ及びゾウムシ科 (例えば、ワタミゾウムシ (アントノムス・グランディス (Anthonomus grandis Boheman))、イネミズゾウムシ (リッソロプトリス・オリュゾピルス (Lissorhoptrus oryzophilus Kuschel))、オサゾウムシ (シトピルス・グラナリウス (Sitophilus granarius Linnaeus))、ココクゾウムシ (シトピルス・オリュザエ (Sitophilus oryzae Linnaeus)))、アニュアルブルーグラスウィービル (リストロノトゥス・マクリコッリス (Listronotus maculicollis Dietz))、ブルーグラスビルバグ (スペノポルス・パルウルス (Sphenophorus parvulus Gyllenhal))、ハンティングビルバグ (スペノポルス・ウェナトゥス (Sphenophorus venatus vestitus))、デンバービルバグ (スペノポルス・キカトリストリアトス (Sphenophorus cicatristriatus Fahraeus)))のゾウムシを含む鞘翅目の食葉性幼虫及び成虫、ハムシ科のノミハムシ、ウリハムシ、ネクイムシ、ハムシ、コロラドハムシ (レプティノタルサ・デケムリネアタ (Leptinotarsa decemlineata))及びハモグリムシ、ウェスタンコーンルートワーム (ディアブロティカ・ウィルギフェラ・ウィルギフェラ (Diabrotica virgifera virgifera LeConte)));コガネムシ科 (例えば、マメコガネ (ポピッリア・ジャポニカ(Popillia japonica Newman))、オリエンタルビートル (アノマラ・オリエンタリス (Anomala orientalis Waterhouse))、ノーザンマスクドチェーファー (キュクロケパラ・ボレアリス (Cyclocephala borealis Arrow))、サウザンマスクドチェーファー (キュクロケパラ・インマキュラテ (Cyclocephala immaculata Olivier))、ブラックターフグラスアテニウス (アタエニウス・スプレトゥルス (Ataenius spretulus Haldeman))、グリーンジューンビートル (コティニス・ニティダ (Cotinis nitida Linnaeus))、アジアンガーデンビートル (マラデラ・カスタネア (Maladera castanea Arrow))、メイ/ジューンビートル (Phyllophaga spp.)及びヨーロピアンコガネムシ (European chafer) (リゾトログス・マヤリス (Rhizotrogus majalis Razoumowsky)))のコガネムシ及び他の甲虫;カツオブシムシ科のヒメマルカツオブシ;コメツキムシ科のハリガネムシ;キクイムシ科のキクイムシ;ゴミムシダマシ科のコクヌストモドキ;バッタ、イナゴ及びコオロギ (例えば、クルマバッタ (例えば、メラノプルス・サングイニペス (Melanoplus sanguinipes Fabricius、M.differentialis Thomas))、アメリカバッタ (例えば、スキストケルカ・アメリカナ (Schistocerca americana Drury))、サバクバッタ (スキストケルカ・グレガリア (Schistocerca gregaria Forskal))、トノサマバッタ (ロクスタ・ミグラトリア (Locusta migratoria Linnaeus))、ブッシュローカスト (bush locust) (Zonocerus spp.)を含む直翅目の成虫及び幼体;ハモグリムシ、ユスリカ、ミバエ (Tephritidae)、キモグリバエ (例えば、オスキネッラ・フリット (Oscinella frit Linnaeus)、ウジバエを含む双翅目の成虫及び幼虫;メクラカメムシ科のメクラカメムシ、オオヨコバイ科のリーフホッパー (例えば、Empoasca spp.)等の半翅目及び同翅目の成虫及び若虫;ハゴロモ上科及びウンカ科のウンカ (例えば、コーンウンカ (ペレグリヌス・マイディス (Peregrinus maidis)));ツノゼミ科のツノゼミ;ナガカメムシ科のコバネナガカメムシ (例えば、ヘアリーチンチバグ (ブリッスス・レウコプテルス・ヒルトゥス (Blissus leucopterus hirtus Montandon))及びサウザンチンチバグ (ブリッスス・インスラリス (Blissus insularis Barber)))及び他のマツヘリカメムシ;アワフキムシ科のアワフキ虫;ヘリカメムシ科のヘリカメムシ;ホシカメムシ科のアカホシカメムシ及びホシカメムシ;コナカイガラムシ科のコナカイガラムシ (例えばプラニコックス・キトリ (Planicoccus citri Risso))、セミ科のセミ;キジラミ科のキジラミ (例えばミカンキジラミ (Citrus psyllid) ディアポリナ・キトリ (Diaphorina citri))、コナジラミ科のコナジラミ (シルバーリーフコナジラミ (ベミシア・アルゲンティフォリイ (Bemisia argentifolii)));アブラムシ科のアブラムシ、例えばワタメロンアブラムシ (アピス・ゴッシュピイ)、エンドウヒゲナガアブラムシ (アキュルティシフォン・ピスム (Acyrthisiphon pisum Harris))、ササゲアブラムシ (アピス・クラッキウォラ (Aphis craccivora Koch))、クロマメアブラムシ (アピス・ファバエ (Aphis fabae Scopoli))、メロンアブラムシ又はワタアブラムシ (アピス・ゴッシュピイ (Aphis gossypii Glover))、リンゴアブラムシ (アピス・ポミ (Aphis pomi De Geer))、ユキヤナギアブラムシ (アピス・スピラエアコラ (Aphis spiraecola Patch))、ジャガイモヒゲナガアブラムシ (アウラコルトゥム・ソラニ (Aulacorthum solani Kaltenbach))、イチゴケナガアブラムシ (カエトシフォン・フラガエフォリイ (Chaetosiphon fragaefolii Cockerell))、ロシアコムギアブラムシ (ディウラフィス・ノクシア (Diuraphis noxia Kurdjumov/Mordvilko))、バラリンゴアブラムシ (デュサフィス・プランタギニア (Dysaphis plantaginea Paaserini))、リンゴワタムシ (エリオソマ・ラニゲルム (Eriosoma lanigerum Hausmann))、モモコフキアブラムシ (ヒュアロプテルス・プルニ (Hyalopterus pruni Geoffroy))、ニセダイコンアブラムシ (リパフィス・エリュシミ (Lipaphis erysimi Kaltenbach))、コクモツアブラムシ (メトポロフィウム・ディルロドゥム (Metopolophium dirrhodum Walker))、ジャガイモヒゲナガアブラムシ (マクロシプム・エウフォルビアエ (Macrosipum euphorbiae Thomas))、モモアカアブラムシ (ミュズス・ペルシカエ (Myzus persicae Sulzer))、レタスアブラムシ (ナソノウィア・リビスニグリ (Nasonovia ribisnigri Mosley))、コブアブラムシ (root aphids and gall aphids)、トウモロコシアブラムシ(ロパロシフム・マイディス (Rhopalosiphum maidis Fitch))、ムギクビレアブラムシ(ロパロシフム・パディ (Rhopalosiphum padi Linnaeus))、ムギミドリアブラムシ(スキザフィス・グラミヌム (Schizaphis graminum Rondani))、ムギヒゲナガアブラムシ(シトビオン・アウェナエ (Sitobion avenae Fabricius))、マダラアルファルファアブラムシ(テリオアフィス・マクラタ (Therioaphis maculata Buckton))、コミカンアブラムシ (トクサプテラ・アウランティイ (Toxoptera aurantii Boyer de Fonscolombe))、ミカンクロアブラムシ (トクサプテラ・キトリキダ (Toxoptera citricida Kirkaldy))及びモモアカアブラムシ (ミュズス・ペルシカエ);ネアブラムシ科のネアブラムシ;コナカイガラムシ科のコナカイガラムシ;カイガラムシ科、マルカイガラムシ科及びワタフキカイガラムシ科のカイガラムシ;グンバイムシ科のグンバイムシ;カメムシ科のカメムシ;タマネギアザミウマ (トリプス・タバキ (Thrips tabaci Lindeman))、ハナアザミウマ (Frankliniella spp.)、及び他の食葉性アザミウマを含むアザミウマ目の成虫及び幼体。農学的有害生物は、またハダニ科のダニ等の無脊椎節足動物:ナミハダニ (例えばテトラニュクス・ウルティカエTetranychus urticae Koch)、ミカン科からのヒメハダニ (例えば、カンキツヒメハダニ (ブレウィパルプス・レヴィシ (Brevipalpus lewisi McGregor)));フシダニ科のサビダニ及びフシダニ並びに他の食葉性ダニを含む。経済的に重要な農業の有害線虫は、(例えばネコブセンチュウ属のネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウ属のネグサレセンチュウ、及びユミハリセンチュウ属のユミハリセンチュウ並びに線虫綱、条虫綱、吸虫綱の成員、及び円虫目、カイチュウ目、ギョウチュウ目、桿線虫目、旋尾線虫目及びエノプルス目の鉤頭虫類を含む。
【0093】
光増感剤及びキレート剤の組み合わせは、害虫による植物の外寄生で、外寄生の前又は外寄生の後に植物に施用することができる。
【0094】
幾つかの実施態様において、本記載の組み合わせ物は、昆虫に組み合わせ物を施用することにより(すなわち、植物に組み合わせを施用することをしないで)、殺虫剤として使用することができる。したがって、本記載はまた、昆虫の個体数を防除するための方法を提供する。その方法は、光の存在下で活性酸素種を発生させる、ポルフィリン、還元されたポルフィリン、及びその混合物からなる群から選択される光増感剤である窒素含有大環状化合物;並びにアミノポリカルボン酸化合物又はその塩であるキレート剤を含む組み合わせ物を昆虫に施用する工程と;昆虫を光に曝露して窒素含有大環状化合物を活性化し、活性酸素種を発生させる工程とを含む。
【0095】
昆虫に組み合わせ物を施用する工程が、害虫に間接的に組み合わせ物を施用する工程(例えば、昆虫に供給される食料源に組み合わせを施用することによって)、及び/又は害虫に直接組み合わせを施用する工程(例えば、昆虫への組み合わせの噴霧による等の、直接に昆虫を組み合わせと接触させることによって)を含むことができることが理解されるものとする。
【0096】
<植物の種類>
本記載の光増感剤化合物及び組成物は様々な種類の植物のために使用することができる。植物は非木本作物植物、木本植物、観賞植物、又は芝草であってよい。植物は、作物植物、果実植物、野菜植物、豆果植物、穀物植物、飼料植物、油種子植物、草地植物、園芸植物、温室植物、家庭植物、花植物、芝生植物、芝草、実の成る木等の樹木、ブドウの木、及び植物への有害生物外寄生によって影響を受け得る他の植物からなる群から選択することができる。本記載の化合物のうちの幾つかは、光のある状態又はない状態で、様々な有害な植物の有害生物に対してある程度の毒性を示すことができる。
【0097】
幾つかの実施態様において、植物は、サトウキビ、コムギ、オオムギ、イネ、コーン(トウモロコシ)、ジャガイモ、サトウダイコン、サツマイモ、キャッサバ、ダイズ、トマト及び豆果(豆及びエンドウ)からなる群から選択される作物植物である。
【0098】
他の実施態様において、植物は、落葉樹及び常緑樹からなる群から選択される樹木である。樹木の例は、これらに限定されないが、カエデの木、柑橘類の木、リンゴの木及び西洋ナシの木等の果樹、オークの木、トネリコの木、松の木、及びエゾマツの木を含む。
【0099】
なお他の実施態様において、植物は潅木である。
【0100】
なお他の実施態様において、植物は果物又はナッツの植物である。そのような植物の非限定的な例はアセロラ (バルバドスチェリー)、アテモヤ、ゴレンシ (スターフルーツ)、ランブータン、アーモンド、アプリコット、サクランボ、ネクタリン、ピーチ、ピスタチオ、リンゴ、アボカド、バナナ、料理バナナ、イチジク、ブドウ、マンゴー、オリーブ、パパイア、西洋ナシ、パイナップル、プラム、イチゴ、グレープフルーツ、レモン、ライム、オレンジ (例えば、ネーブル及びバレンシア)、タンジェロ、タンジェリン、ミカン及びベリー及び小果実植物群からの植物を含む。
【0101】
他の実施態様において、植物は野菜植物である。そのような植物の非限定的な例は以下を含む:アスパラガス、豆、ビート、ブロッコリ、中国ブロッコリ、ブロッコリ・レイブ(raab)、芽キャベツ、キャベツ、カリフラワー、白菜 (例えば、チンゲンサイ及びmapa)、体菜キャベツ (芥菜 (gai choy))、カバロ(cavalo)ブロッコリ、コラード、ケール、コールラビ、ミズナ、カラシナ、からしほうれん草、アブラナ、セロリ、ハヤトウリ、中国冬瓜、シトロンメロン、キュウリ、ガーキン、ヒョウタン、cucuzza、ヘチマ、中国オクラ、ツルレイシ、にがうり、ゴーヤ、中国キュウリ、マスクメロン (true cantaloupe)、カンタロープ、カサバメロン、クレンショウメロン、ゴールデンパーショウメロン (golden pershaw melon)、ハニーデューメロン、ハニーゴール (honey gall)、マンゴーメロン、ペルシャメロン、パンプキン、ペポカボチャ、冬カボチャ、スイカ、サトイモ(タロイモ)、ナス、ショウガ、チョウセンニンジン、ハーブ及びスパイス(例えば、巻き葉バジル、西洋ヤマハッカ、コリアンダー、メキシコオリガノ、ミント)、日本ハツカダイコン(大根)、レタス、オクラ、コショウ、ジャガイモ、ハツカダイコン、サツマイモ、チョロギ芋 (日本アーティチョーク)、コーン及びトマト。
【0102】
他の実施態様において、植物は、バラ等の花成植物、花を咲かせる潅木又は観賞植物である。そのような植物の非限定的な例は以下を含む:バラ及び他の花成潅木、観葉植物及び花壇用植物;リンゴ、チェリー、モモ及び西洋ナシの木等の実の成る木、実の成らない木、緑陰樹、装飾的な木、及び潅木 (例えば、針葉樹、落葉樹及び常緑広葉樹及び木本観賞植物) を含む花成植物及び葉物。
【0103】
幾つかの実施態様において、植物は室内植物である。そのような植物の非限定的な例は、キク、ディーフェンバッキア、センネンボク、シダ、クチナシ、ゼラニウム、ベンケイソウ、シュロ、フィロデンドロン、及びシェフレラを含む。
【0104】
幾つかの実施態様において、植物は温室で栽培される植物である。そのような植物の非限定的な例は次のものを含む:カッコウアザミ、トウダイグサ、ディーフェンバッキア、ハナミズキ、センネンボク、シダ、クワ、西洋ヒイラギ、トルコギキョウ、モクレン、ラン、シュロ、ツクバネアサガオ、ポインセチア、シェフレラ、ヒマワリ、アグラオネマ (aglaonema)、アスター、ツツジ、ベゴニア、ブロワリア (browallia)、ツバキ、カーネーション、ケイトウ (celosia)、キク、コリウス、コスモス、サルスベリ、シロタエギク、イースターリリー、フクシャ、クチナシ、センボンヤリ、ムギワラギク、ハイビスカス群葉、アジサイ、ホウセンカ、ベンケイソウ、キンセンカ、ニューギニア・インパチエンス、ハナタバコ、フィロデンドロン、スベリヒユ、リーガーベゴニア、キンギョソウ、及びヒャクニチソウ。
【0105】
<組み合わせ物の相乗効果>
幾つかのシナリオにおいて、組み合わせ物は害虫を殺すことに対して相乗的な応答を示すことができる。「相乗作用」又は「相乗的な」という用語が、本明細書において使用される場合、それらの組み合わせた効果がそれらの個々の効果の合計より高いような、組み合わせ(又は組成物)の2つ以上の成分の相互作用を指すことが理解されるものとする。これは、本記述の文脈においては、窒素含有大環状化合物、油、及びキレート剤の2つ以上の作用を含んでもよい。幾つかのシナリオにおいて、窒素含有大環状化合物及び油は、相乗的に有効な量で存在することができる。幾つかのシナリオにおいて、窒素含有大環状化合物及びキレート剤は、相乗的に有効な量で存在することができる。幾つかのシナリオにおいて、油及びキレート剤は、相乗的に有効な量で存在することができる。幾つかのシナリオにおいて、窒素含有大環状化合物、油及びキレート剤は、相乗的に有効な量で存在することができる。
【0106】
幾つかのシナリオにおいて、S. R. Colby, "Calculating synergistic and antagonistic responses of herbicide combinations", Weeds 15, 20-22頁 (1967)に述べられている手法は、相乗作用を評価するために使用することができる。予期された有効性、Eは、次のように表現されてもよい:E = X+Y(100-X)/100、ここで、Xは、組み合わせ物の第1の成分の未処置の対照の%で表現された有効性であり、Yは、組み合わせ物の第2の成分の未処置の対照の%で表現された有効性である。2つの成分は、観察された有効性が予期された有効性より高い場合に、相乗的に有効な量で存在するという。
【実施例
【0107】
(実施例1)
昆虫 (カンキツ類コナカイガラムシ (Citrus Mealybug))から植物 (コリウス植物) を保護するために光増感剤化合物及びキレート剤を含む製剤の有効性を評価するために実験を行った。
【0108】
温室中、24±4℃及び16時間/8時間の明/暗光周期の下で栽培したコリウス植物 (ソレノステモン・スクテッラリオデス (Solenostemon Scutellarioides L.Codd))上にカンキツ類コナカイガラムシ (プラノコックス・キトリ (Planococcus citri Risso))のコロニーを維持した。温室使用のための土壌ミックス (Sunshine LC1、Sun Gro Horticulture Canada Ltd.社) を含む5ガロンのプラスチック鉢中でコリウス植物を栽培した。必要に応じて植物に給水し、週に2度20-20-20の水溶性肥料を用いて施肥した。最初は宿主植物を殺虫剤処置に晒さなかった。
【0109】
成熟した健康な植物からコリウス苗条 (高さ4~6 cm、6~7葉) の小さな冠を切除し、水を充填した50 mlのプラスチックバイアルにさした。バイアルは、昆虫が溺れるのを防止するために小開口部を有するリードを用いて覆った。宿主植物の切り枝及び昆虫を含むバイアルを500 mlの透明プラスチック容器に入れ、透明なリードを用いて覆った。
【0110】
外寄生したコリウス植物から均質な匍匐齢(instars-crawlers)のコナカイガラムシを、濾紙で内張りしたペトリ皿へ先端を湿らせた軟質の細い画筆を使用して注意深く集めた。各コリウス苗条の上葉に合計20のコナカイガラムシを放した。LEDライト250μmol m-2 s-1(PAR - 光合成有効放射)を装備した金属ラックに、導入した昆虫を含む容器を置き、14時間照射し、無作為に配置した。ラックは24~25℃で植物栽培室に置いた。
【0111】
様々な施用方法を用いて、3種のバイオアッセイ:1) ペトリ皿中での直接噴霧施用への昆虫の曝露;及び2) 植物上での直接噴霧への昆虫の曝露、を行った。
【0112】
100 mlの携帯型プラスチック噴霧ボトルを使用し、コリウス苗条にくまなく行き渡らせて、処置をすべて細かい噴霧として施用した。各処置を4回繰り返した。対照として水処置を使用した。
【0113】
10倍の拡大鏡を使用して、昆虫を検査した。画筆を用いる機械的刺激の後に動きを検出しなかった場合、コナカイガラムシは死滅していると考えられた。昆虫の生死の数を記録した。処置後96時間(HAT-処置後の時間)以内で昆虫の死亡率を評価した。
【0114】
各処置のカンキツ類コナカイガラムシ死亡率のパーセントを計算し、Fisherの保護付き最小有意差(LSD)平均分離検定(P≦0.05)を使用してデータを全対多重比較手順と組み合わせた一元配置分散分析(One-way ANOVA)にかけた。
【0115】
植物毒性の徴候について、処置したコリウス苗条を調査した。植物毒性の評価は、0から5の評価尺度を基準にし、0 = 植物毒性の徴候はない、5 = 落葉を引き起こす重い障害である。
【0116】
ペトリ皿中での直接噴霧へのコナカイガラムシの曝露
濾紙で内張りしたプラスチック容器へコナカイガラムシを移し、噴霧し、直ちに1時間光に曝露した。その時点で、給餌のために清浄なコリウス苗条に注意深く昆虫を移し、更に13時間の光に曝露した。処置4の昆虫は、4時間(晴天、気温26℃)日光に曝露した。以下の表1Aに結果をまとめる。
【0117】
【表1】
【0118】
昆虫の死亡率は、処置3における人工光曝露の下、24HATで60%、及び96HATで78.8%、並びに処置4における4時間日光曝露の下でそれぞれ68.7%及び75%に達し、対照における8.8%及び20%の昆虫死亡率と比較される。
【0119】
植物上での直接噴霧へのコナカイガラムシの曝露
コナカイガラムシをコリウス苗条に導入した。2時間後、光増感剤を用いて苗条を噴霧し、14時間明所に配置した。以下の表1Bに結果を要約する。
【0120】
【表2】
【0121】
コナカイガラムシに外寄生させた植物に、水中0.2%のMgChln、及び0.1%のNa2EDTA + 0.05%の界面活性剤を含有するMgChln製剤を用いて噴霧した場合、24HAT及び96HATで著しい昆虫の死亡率を記録した。
【0122】
植物毒性評価:処置したコリウス苗条は、植物毒性の見て明らかな徴候を示さなかった。試験製剤のどれも、植物葉の植物毒性を引き起こさなかった。
【0123】
(実施例2)
害虫、ジャガイモアブラムシ(マクロシフム・エウフォルビアエ(Macrosiphum euphorbiae))の防除のために光増感剤及びキレート化剤の有効性を評価する実験を行った。
【0124】
温室使用のための土壌ミックス (Sunshine LC1, Sun Gro Horticulture Canada Ltd.社) を含む1ガロンのプラスチック鉢中で栽培したトウガラシ (カプシクム・アンヌウム (Capsicum annuum L.)) 植物上で維持したコロニーからジャガイモアブラムシ (マクロシフム・エウフォルビアエ) を得た。必要に応じて植物に給水し、週に2度20-20-20の水溶性肥料を用いて施肥した。宿主植物は殺虫剤処置に晒さなかった。
【0125】
アブラムシ若虫を外寄生させたトウガラシ(pepper)葉を集め、水を充填した50 mlバイアルに各葉を入れた。バイアルは昆虫が溺れるのを防止するために小開口部を有するリードで覆った。昆虫に外寄生させた宿主植物の葉を含むバイアルを、500 mlの透明プラスチック容器に入れ、透明なリードで覆った。
【0126】
葉の上面及び下面に処置溶液を用いて、感染した葉に注意深く噴霧し、アブラムシ及び処置溶液の接触を確実にした。全ての処置は、携帯型プラスチック噴霧ボトルを使用して、細かい噴霧として適用した。各処置を4回繰り返した。水処置を対照として使用した。
【0127】
LEDライト250μmol m-2 s-1(PAR -光合成有効放射)を装備した金属ラックに、処置した昆虫を含む容器の一部を14時間の照射のために配置し、別の部分は暗所条件にしておいた。LEDライトへの曝露又は暗所の14時間後に、規則的な14時間/10時間(光/夜間)の光周期にて昆虫を保った。昆虫を含む容器は無作為化様式で配置した。実験のラックを24~25℃で植物栽培室に置いた。
【0128】
各葉上のアブラムシの生存数(繰り返し/容器)を処置を施す前、並びに処置後24時間及び48時間に数えた。昆虫は10倍の拡大鏡を使用して検査した。画筆を用いる機械的刺激の後に動きを検出しなかった場合、アブラムシは、死んでいると考えられた。下記の表2A(光曝露)及び表2B(光曝露はない)に結果をまとめる。
【0129】
死亡率のパーセント割合はアブラムシの生死の数を使用することにより計算した。実験の間に試料中の昆虫の数が増加した(アブラムシの雌が若虫を産んだ)場合は、死亡率のパーセント割合を0と評価した。
【0130】
【表3】
【0131】
【表4】
【0132】
表2Aは、MgChlnをNa2EDTAと組み合わせた場合、単独で使用したMgChln及びNa2EDTAと比較して相乗効果があることを示している。表2A及び2B中のデータは、光増感剤活性が、LEDライトへの曝露によって影響を受けること、及び、光曝露条件の下、殊に光増感剤をNa2EDTAと組み合わせた場合、アブラムシに対する有効性が向上することを実証している。
【0133】
(実施例3)
害虫、シルバーリーフコナジラミ(ベミシア・アルゲンティフォリイ(Bemesia argentifolii))の防除のために、光増感剤及びキレート化剤の有効性を評価する実験を行った。
【0134】
温室で実験を行った。温室で普通のポインセチア植物 (エウフォルビア・プルケリマ (Euphorbia pulcherrima))上にコナジラミを維持した。宿主植物及び実験植物は、当初殺虫剤処置に晒さなかった。
【0135】
Sunshine #4土壌ミックスを充填した6.5インチのプラスチック鉢にプラグ段階から実験のポインセチア植物を栽培した。毎日植物に潅漑し、可溶性肥料20-20-20 @200ppmを毎週2度施用した。
【0136】
コナジラミに外寄生させた温室に7日間ポインセチア植物を置き、導入した植物上に若虫の一様なコロニーを得た。7日後、外寄生させた温室から植物を取り出し、ディスク法を使用して、コナジラミ若虫の個体数を数えた。
【0137】
2枚の5.47 cm2のディスクを各植物の繰り返し試験体(replicate)から取り、実体鏡の下で昆虫を観察し数えた。植物の中間ないし上層部領域からディスクを取ったが、これはこの領域が産卵及び若虫発育のために昆虫に好まれるからである。実験の開始に際して、コナジラミの個体数は、一様であると考えられた。
【0138】
CO2背負い式噴霧器を用いて60psiで、単一の中実コーンノズル(TG1)を用いて処置を施した。試験する処置で植物をくまなく噴霧し、直ちに8時間直射日光に晒し、その後、温室の設定に戻した。各処置について、個別の植物を5つ繰り返した。屋外日光曝露の8時間後、植物はすべて、注意深く温室へ移し、RCB設計のワイヤーメッシュベンチに置いた。同一の方法論を用いて、第1の施用の7日後に処置の第2の施用を行った。
【0139】
1ディスク当たりのコナジラミ若虫の数を、処置施用(DAA)の1日前、最初の施用(DAA)の6日後、最初の施用の13日後(又は施用2の6日後)、最初の施用1の20日後(又は施用2の13日後)及び施用1の28日後(又は施用2の21日後)に数えた。表3Aに結果をまとめる。
【0140】
【表5】
【0141】
処置後の植物毒性についてポインセチア植物を評価した。植物への植物毒性を0から10に格付けし、ここで、0 = 健康な植物、10 = 6DAA及び13DAAで枯れた植物である。等級は、退緑、壊死、変形、成長阻害等の徴候についての目視観測に基づき、未処置対照の植物と比較した。表3Bに植物毒性試験の結果をまとめる。
【0142】
【表6】
【0143】
(実施例4)
害虫シルバーリーフコナジラミ(ベミシア・アルゲンティフォリイ(Bemesia argentifolii))の防除のための光増感剤及びキレート化剤の有効性を評価する実験を行った。
【0144】
温室で実験を行った。温室で普通のポインセチア植物(エウフォルビア・プルケリマ)栽培品種Prestige Red上にコナジラミを維持した。最初は殺虫剤処置に宿主植物及び実験植物を晒さなかった。
【0145】
Sunshine #4土壌ミックスを充填した6.5インチプラスチック鉢に実験のポインセチア植物を栽培した。毎日植物に潅漑し、可溶性肥料20-20-20 @200ppmを毎週2度施用した。
【0146】
コナジラミに外寄生させた温室に30日間ポインセチア植物を置き、若虫の一様なコロニーを植物上に得た。30日後、外寄生させた植物を外寄生させた温室から動かし、処置前の2日間の順応期間の間、温室の外に置いた。ディスク法を使用して、処置1日前にコナジラミ若虫個体数を数えた。
【0147】
2枚の5.47 cm2のディスクを各繰り返し試験体から取り、実体鏡の下で昆虫を観察し、数えた。植物の中間から上層部領域へと無作為に集めた葉からディスクを取ったが、これはこの領域が産卵及び若虫発育のために昆虫に好まれるからである。実験の開始に際して、コナジラミの個体数は、一様であると考えられた。
【0148】
40psiで、単一の中実コーンノズル(TVXK-3)を有するCO2背負い式噴霧器を用いて7日間の間隔で2回処置を施した。試験の処置で植物をくまなく噴霧し、直ちに2日間直射日光に曝露し、その後、温室の設定に戻した。各処置について、6つ個別の植物の繰り返し試験体を使用した。屋外日光曝露の2日後、植物はすべて、注意深く別々の温室へ動かし、完全無作為化法でワイヤーメッシュベンチに置いた。同一の方法論を用いて、第1の施用の7日後に処置の第2の施用を行った。
【0149】
第2の葉面施用(6DAT2、13DAT2)の6及び13日後に1ディスク当たりのコナジラミ若虫を数えた。植物は、葉の噴霧それぞれの6日後に植物毒性について評価した。
【0150】
【表7】
【0151】
光増感剤又はキレート化剤単独と比較して、光増感剤 (Ce6、TPPS、PPIX) とキレート化剤 (EDTA又はBaypure DS) の組み合わせは、昆虫のより大きな抑制を示した。
【0152】
(実施例5)
明暗条件で害虫防除のための光増感剤-キレート化剤組み合わせの有効性を評価する実験を行った。
【0153】
Benzon Research社(USA)から小さなチャバネゴキブリコロニー (ブラッテッラ・ゲルマニカ (Blattella germanica)) を購入した。ゴキブリの両性混合若虫をモデル昆虫として使用した。
【0154】
実験は実験室、明暗条件中25℃の昆虫飼育場で行った。光条件:12時間/12時間の明暗光周期。明期間の間に、Spectrum Physio Spec Indoor LEDライト250μmol m-2 s-1に昆虫を晒した。暗条件:完全な暗所に昆虫を保った。処置の前に1%のスクロース溶液を昆虫に与え、取り扱い前に数分間冷蔵庫内で麻酔をかけた。
【0155】
這い上がる表面を与えるために、内部を研削し、直径9 cmの濾紙で内張りした各半パイントの透明ガラスジャーに、10の均質なゴキブリ若虫(3~4齢)を注意深く移した。昆虫が容易に這い上がるように外側を研削した10 mlのガラスバイアルに入れ、ジャー内に置いた1%のスクロース溶液の処置剤をゴキブリに与えた。新鮮な処置溶液を3日毎に置き換えた。ガラスジャーはメッシュを用いて覆った。昆虫は処置剤には継続的にアクセス可能であったが、他の食料源又は水にはアクセスできなかった。1処置当たり4度の繰り返しを含む完全無作為化法を使用した。
【0156】
処置した昆虫を特定条件に14日間保ち、処置に曝露した7日及び14日後に死亡率カウントを行った。機械的刺激の後に動きを検出しなかった場合、昆虫は、死んでいると考えられた。
【0157】
【表8】
【0158】
本明細書において上に引用された刊行物、特許及び特許文献はすべて、あたかも参照によって個々に組み込まれるかのように参照によって本明細書において組み込まれる。本明細書において記載の化合物、組成物、方法及び使用は、様々な実施形態及び技法を参照して記載されている。しかしながら、添付された特許請求の範囲の趣旨及び範囲内にとどまりつつ多くの変形及び修飾を行うことができることを当業者は理解している。