IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フルタ電機株式会社の特許一覧

特許7587805生海苔の通りをスムースにする生海苔異物分離装置
<>
  • 特許-生海苔の通りをスムースにする生海苔異物分離装置 図1
  • 特許-生海苔の通りをスムースにする生海苔異物分離装置 図2
  • 特許-生海苔の通りをスムースにする生海苔異物分離装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】生海苔の通りをスムースにする生海苔異物分離装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 17/60 20160101AFI20241114BHJP
【FI】
A23L17/60 103C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020110356
(22)【出願日】2020-06-26
(65)【公開番号】P2022007406
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】391008294
【氏名又は名称】フルタ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 一宣
(72)【発明者】
【氏名】古田 成広
(72)【発明者】
【氏名】鰐部 幸政
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-192351(JP,A)
【文献】特開2000-232868(JP,A)
【文献】特開平08-112081(JP,A)
【文献】特開平02-084155(JP,A)
【文献】特開昭60-164458(JP,A)
【文献】特開2007-116963(JP,A)
【文献】特開2008-220282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 17/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生海苔混合液槽内外に、
選別インペラ又は吸込みポンプの負荷量検知センサ、及び/又はクリアランスの負荷量検知センサ、及び/又は生海苔混合液の塩分量を検知する塩分濃度センサ、
を配備し、
前記何れかのセンサの信号で、塩分調整海水、海水、擬似海水、又は人工海水の何れかを、前記生海苔混合液槽に供給可能とし、
前記負荷量より得た算出値が、設定値を超えたときに、前記塩分調整海水、前記海水、前記擬似海水、又は前記人工海水の何れかを、前記生海苔混合液槽に供給する構成とした、生海苔の通りをスムースにする生海苔異物分離装置。
【請求項2】
生海苔混合液槽内外に、
クリアランスの負荷量(選別インペラの負荷量)、及び/又は吸込みポンプの吸込量(生海苔の通過量)検知センサ、及び/又はクリアランスの詰りを検知する圧力センサ、及び/又は生海苔混合液の塩分量を検知する塩分濃度センサと、
を配備し、
前記何れかのセンサの信号で、塩分調整海水、海水、擬似海水、又は人工海水の何れかを、前記生海苔混合液槽に供給可能とし
前記負荷量、又は前記吸込み量、或いは前記通過量より得た算出値が、設定値を超えたときに、前記塩分調整海水、前記海水、前記擬似海水、又は前記人工海水の何れかを、前記生海苔混合液槽に供給する構成とした、生海苔の通りをスムースにする生海苔異物分離装置。
【請求項3】
生海苔混合液槽内外に、
選別インペラ又は吸込みポンプの負荷量検知センサ、及び/又はクリアランスの負荷量検知センサ、及び/又は生海苔混合液の塩分量を検知する塩分濃度センサ、
を配備し、
前記何れかのセンサの信号で、塩分調整海水、海水、擬似海水、又は人工海水の何れかを、前記生海苔混合液槽に供給可能とし、
前記選別インペラ又は前記吸込みポンプの負荷量検知センサ、前記クリアランスの負荷量検知センサ、又は前記生海苔混合液の塩分濃度センサのうち複数、又は全てを配備する構成とした、生海苔の通りをスムースにする生海苔異物分離装置。
【請求項4】
前記クリアランスの負荷量検知センサは、前記クリアランスを通過する前記生海苔の通過し易さの数値を検知するセンサとする構成とした請求項1に記載の生海苔の通りをスムースにする生海苔異物分離装置。
【請求項5】
前記吸込みポンプの負荷量検知センサは、モータの回転数、又はモータに流れる電流値を検知するセンサの何れかとする構成とした請求項1又は4に記載の生海苔の通りをスムースにする生海苔異物分離装置。
【請求項6】
前記それぞれのセンサが検知した負荷量、又は塩分濃度値を、制御部に入力し、この制御部の設定数値、又は設定塩分濃度値と、比較検討し、前記各機器に司令を発する構成とした請求項1から5のいずれか一項に記載の生海苔の通りをスムースにする生海苔異物分離装置。
【請求項7】
前記生海苔混合液の塩分量から塩分濃度を検知する塩分濃度センサにより、前記選別インペラ及び/又は前記吸込みポンプの回転数、及び/又は、前記クリアランスを通過する生海苔の通過し易さの数値を制御する構成とした請求項1から6のいずれか一項に記載の生海苔の通りをスムースにする生海苔異物分離装置。
【請求項8】
生海苔混合液槽内外に、
選別インペラ又は吸込みポンプの負荷量検知センサ、及び/又はクリアランスの負荷量検知センサ、
を配備し、
前記何れかのセンサの信号で、塩分調整海水、海水、擬似海水、又は人工海水の何れかを、前記生海苔混合液槽に供給可能とした、生海苔の通りをスムースにする生海苔異物分離装置。
【請求項9】
生海苔混合液槽内外に、
クリアランスの負荷量(選別インペラの負荷量)、及び/又は吸込みポンプの吸込量(生海苔の通過量)検知センサ、及び/又はクリアランスの詰りを検知する圧力センサ、
を配備し、
前記何れかのセンサの信号で、塩分調整海水、海水、擬似海水、又は人工海水の何れかを、前記生海苔混合液槽に供給可能とした、生海苔の通りをスムースにする生海苔異物分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生海苔の通りをスムースにする生海苔異物分離装置に関し、選別生海苔を効率的に、かつ途切れることなく、装置外に送り、生海苔を不足することなく後発の装置に供給可能とし、しかも加工、及び/又は、品質の優れた乾海苔を生成する生海苔の動きを連続的、かつ装置外に向かって生海苔の通りをスムースにする(クリアランスの生海苔の通りをスムースにする)生海苔異物分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生海苔の滑り(クリアランスの生海苔の通過し易さ、ひいては、処理能力の回復)、又は、味・艶等の向上を意図し、塩を生海苔混合液に添加することがしばしば行われる。例えば、特開平5-41965号公報によれば、海苔溶液を海苔調合機に導入する際に、海水供給機から塩分を導入するとの記載がある。しかし、一律に導入する構造では、生海苔の滑りとか、味・艶等の向上に対して配慮がない。従って、例えば、塩分過剰が発生することが考えられる。また、実公平6-31917号公報と特開2002-34522号公報においては、生海苔の処理過程で、海水を、適宜供給することが開示されている。これらの構成では、処理過程において、塊状とか、ブリッジ、又は、隙間の詰り解消が目的であり、目的の相違がある。また、実用新案登録第3223471号公報において、[0005]で、従来の海苔原藻供給システムでは、海水中の塩分濃度の低下に伴って生海苔が硬化してしまうおそれがあったことに鑑み、[0022]で、高塩分海水製造装置で生成した高塩分海水を、ミンチ装置に供給するとの記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-41965号公報
【文献】実公平6-31917号公報
【文献】特開2002-34522号公報
【文献】実用新案登録第3223471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
文献(1)によれば、海水を常時、導入することから、塩分過多の問題が発生し易いと考えられる。また、文献(2)、(3)は、文献(1)と同じ課題を抱えており、かつ塩分導入の有効性に関し、的確な説明が開示されていないと考えられる。そして、クリアランスの生海苔の通り易さ、併せて、選別された生海苔量の適正化に関し、明確な指針が示されていない。
【0005】
尚、文献(4)によれば、高塩分海水製造装置で生成した高塩分海水を、ミンチ装置に供給する構造であり、本発明が意図する生海苔混合液槽の弊害の解消、例えば、生海苔の通りをスムースにする生海苔異物分離装置の提案とは異なる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、従来の課題を解決しつつ、生海苔混合液槽の混合液の滑りを確保し、生海苔の吸込み量(通り易さ)を確保する。加えて、選別された生海苔を、生海苔混合液槽に続く、後発装置に所定量を、確実に、かつスムースに供給できる。
【0007】
その為に、請求項1~請求項8を提案する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明では、
生海苔混合液槽内外に、
選別インペラ又は吸込みポンプの負荷量検知センサ、及び/又はクリアランスの負荷量検知センサ、及び/又は生海苔混合液の塩分量を検知する塩分濃度センサ、
を配備し、
何れかのセンサの信号で、塩分調整海水、海水、擬似海水、又は人工海水の何れかを、生海苔混合液槽に供給可能とし、
負荷量より得た算出値が、設定値を超えたときに、塩分調整海水、海水、擬似海水、又は人工海水の何れかを、生海苔混合液槽に供給する構成とした、生海苔の通りをスムースにする生海苔異物分離装置である。
【0009】
これにより、例えば、従来の課題を解決しつつ、生海苔混合液槽の生海苔混合液の滑りを確保する。従って、クリアランスの生海苔の吸込み量を確保しつつ、選別された生海苔を、生海苔異物分離装置に続く、後発装置に所定量を、確実に、かつスムースに供給できる。そして、また、クリアランスの生海苔の通り易さ、併せて、クリアランスを通る選別された生海苔量の適正化に寄与しつつ、生海苔の通りをスムースにする生海苔異物分離装置における明確な指針が示される特徴がある。
【0010】
請求項2の発明では、
生海苔混合液槽内外に、
クリアランスの負荷量(選別インペラの負荷量)、及び/又は吸込みポンプの吸込量(生海苔の通過量)検知センサ、及び/又はクリアランスの詰りを検知する圧力センサ、及び/又は生海苔混合液の塩分量を検知する塩分濃度センサと、
を配備し、
何れかのセンサの信号で、塩分調整海水、海水、擬似海水、又は人工海水の何れかを、生海苔混合液槽に供給可能とし
負荷量、又は吸込み量、或いは通過量より得た算出値が、設定値を超えたときに、塩分調整海水、海水、擬似海水、又は人工海水の何れかを、生海苔混合液槽に供給する構成とした、生海苔の通りをスムースにする生海苔異物分離装置である。
【0011】
これにより、負荷量・吸込み量・通過量・詰りを検知するセンサを提供できる。
【0012】
請求項3の発明では、
生海苔混合液槽内外に、
選別インペラ又は吸込みポンプの負荷量検知センサ、及び/又はクリアランスの負荷量検知センサ、及び/又は生海苔混合液の塩分量を検知する塩分濃度センサ、
を配備し、
何れかのセンサの信号で、塩分調整海水、海水、擬似海水、又は人工海水の何れかを、生海苔混合液槽に供給可能とし、
選別インペラ又は吸込みポンプの負荷量検知センサ、クリアランスの負荷量検知センサ、又は生海苔混合液の塩分濃度センサのうち複数、又は全てを配備する構成とした生海苔の通りをスムースにする生海苔異物分離装置である。
【0014】
請求項4の発明では、
クリアランスの負荷量検知センサは、クリアランスを通過する生海苔の通過し易さの数値を検知するセンサとする構成とした生海苔の通りをスムースにする生海苔異物分離装置である。
【0015】
請求項1の目的を達成できるクリアランスの負荷量検知センサの提供である。
【0016】
請求項5の発明では、
吸込みポンプの負荷量検知センサは、モータの回転数、又はモータに流れる電流値を検知するセンサの何れかにする構成とした生海苔の通りをスムースにする生海苔異物分離装置である。
【0017】
請求項1又は4の目的を達成できる吸込みポンプの負荷量検知センサの提供である。
【0018】
請求項6の発明では、
それぞれのセンサが検知した負荷量、又は塩分濃度値を、制御部に入力し、この制御部の設定数値、又は設定塩分濃度値と、比較検討し、各機器に司令を発する構成とした生海苔の通りをスムースにする生海苔異物分離装置である。
【0019】
請求項1から5の目的を達成できるそれぞれのセンサが検知した負荷量、又は塩分濃度値を働かせる制御機構を提供できる。
【0020】
請求項7の発明では、
生海苔混合液の塩分量から塩分濃度を検知する塩分濃度センサにより、選別インペラ及び/又は、吸込みポンプの回転数、及び/又は、クリアランスを通過する生海苔の通過し易さの数値を制御する構成とした生海苔の通りをスムースにする生海苔異物分離装置である。
【0021】
請求項1から6の目的を達成できる混合液の濃度を検知する塩分濃度センサを提供できる。
【0022】
請求項8の発明では、
生海苔混合液槽内外に、
選別インペラ又は吸込みポンプの負荷量検知センサ、及び/又はクリアランスの負荷量検知センサ、
を配備し、
何れかのセンサの信号で、塩分調整海水、海水、擬似海水、又は人工海水の何れかを、生海苔混合液槽に供給可能とした生海苔の通りをスムースにする生海苔異物分離装置である。
【0023】
請求項9の発明では、
生海苔混合液槽内外に、
クリアランスの負荷量(選別インペラの負荷量)、及び/又は吸込みポンプの吸込量(生海苔の通過量)検知センサ、及び/又はクリアランスの詰りを検知する圧力センサ、
を配備し、
何れかのセンサの信号で、塩分調整海水、海水、擬似海水、又は人工海水の何れかを、生海苔混合液槽に供給可能とした、生海苔の通りをスムースにする生海苔異物分離装置である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】生海苔異物分離装置の生海苔混合液槽の要部の一部欠截の拡大断面図
図2】選別ケースリングと回転板の細部をさらに拡大し詳細に示した図
図3】各種センサと機器の自動制御を説明するブロック図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施例に関する構成を順に説明するが、好ましい、一例であり、この説明とか図面に限定されず、本発明の考えと、概念が符合するものは、本発明の範疇である。
【0026】
図1図2は、良品生海苔装置の一例を示しており、限定されない。但し、理解を容易にするために、生海苔異物分離装置1を基に説明する。そして、この生海苔の通りをスムースにする生海苔異物分離装置1は、生海苔の流れを確保でき、生海苔の滑りを確保できる調整装置を備えている。
【0027】
生海苔異物分離装置1は、生海苔混合液をプールする開放型の生海苔混合液槽2と、生海苔混合液槽2の内底面300を構成する椀形容器の選別ケーシング3と、選別ケーシング3の内底面300より上方に立設した外周壁301に架承した環状形状の選別ケースリング5と、この選別ケースリング5に開設した開口部500と、この開口部500にクリアランス6を介して設けた回転板7と、この回転板7を開口部500に回転自在に支持する回転軸8と、この回転軸8を回転させるモータ9(駆動源)と、回転軸8を支持する軸受け10と、で構成される。
【0028】
従って、供給管(図示しない)から送られた海苔混合液A(混合液A)は、生海苔混合液槽2に貯留される。そして、回転板7、及びポンプ11(吸込みポンプ11)が働き、生海苔混合液槽2内の混合液Aは、クリアランス6より順次吸い込まれ、配管12を経由して、例えば、タンク、又は、次の装置(図示せず)に、順次、搬送される。
【0029】
そして、配管12に設けた吸込みポンプ11には、吸込み量(吸込みポンプ11の負荷量)を検出する吸込量センサ20が付設されている。また、クリアランス6の近傍には、圧力センサ21が、選別ケーシング3内には塩分濃度センサ22が、それぞれ付設されている。更に、回転板7の近傍等には、クリアランス負荷量(クリアランスの吸込圧)23を検知するセンサが、付設されている。
【0030】
そこで、図3のブロック図に示した制御装置Bを基に、各センサ20~23の働きと、それによる制御を説明すると、本装置は、選別部30と、制御部31とによる仕組みであり、以下の1)~5)の動作が、個別、又は複合的に操作される。
【0031】
1) 生海苔混合液槽2内を旋回する混合液Aの流れの中で、選別生海苔を吸込み中に、塩分濃度を検知する塩分濃度センサ22の入り切りは、制御部31のマイコン31aに入力される。例えば、入力値と濃度基準値とを比較し、その値、即ち、混合液Aの流れの中での塩分濃度が、基準値より低い場合には、制御部31のマイコン31aに入力する。このマイコン31aより塩分調整機32に司令を発し、混合液Aに塩分調整海水、海水、岩塩、又は擬似海水、人工海水(以下、塩分とする)の何れかを供給する。塩分濃度が下がると、経験則から、生海苔の流動化(生海苔の濃度が確保される)、及び/又は、クリアランス6の吸込み量不足となる(クリアランス6の通過が正常でないことになる)。そこで、オペレータ、及び/又は、コントローラ(図示しない)、又は経験則等のあらゆる手段で、例えば、制御部31より塩分調整機32に司令を発し、混合液Aに塩分を供給する。そして、混合液Aが所定の濃度となった場合には供給を停止する(他の実施例も同じ)。
【0032】
2) 生海苔混合液槽2内を旋回する混合液Aの流れで、選別生海苔を吸込み中に、吸込み量が少ないか、クリアランス6の通過が正常でないとき等において、主として、生海苔、及び/又は異物が詰り、この詰りによる圧力を検知する圧力センサ21の検出値を、電流検出器で検知し、負荷量として変換した数値と設定電圧値(電圧値)を演算処理する。また、経験則からの判断で、生海苔の流動化、及び/又は、クリアランス6の吸込み量不足が判断される。この状況を、制御部31のマイコン31aに入力する。このマイコン31aより塩分調整機32に司令を発し、混合液Aに塩分を供給する。そして、生海苔の流動化、及び/又は、クリアランス6の吸込み量が正常になった場合(生海苔の詰りが解消された場合)は、供給を停止する。この停止指令は、制御部31から生海苔異物分離装置1、及び/又は、塩分調整機32に指示される。これにより、塩分調整機32からの塩分供給はなくなる。
【0033】
3) 前述の如く、生海苔混合液槽2内の圧力センサ21から負荷量を検知する。また、経験則から、生海苔の流動化が正常でない、及び/又は、クリアランス6の吸込み量不足が判断される。この状況を、制御部31のマイコン31aに入力する。このマイコン31aより塩分調整機32に司令を発し、混合液Aに塩分を供給する。そして、生海苔の流動化、及び/又は、クリアランス6の吸込み量が正常になった場合(選別生海苔がクリアランス6をスムースに通過できる状況では)、或いは混合液Aが所定の濃度となった場合には供給を停止する。その後は前述の2)に準ずる。また、圧力センサ21が信号を発する状況を、経験則から考えると、次のような状況である。生海苔異物分離装置1(異物除去機)では、吸込みポンプ11や、クリアランス6の吸引圧力が高まる場合で、この時、海苔だけでなく異物を吸込む確率が高くなる。また、生海苔はその時々において状態が異なり、クリアランス6(隙間)の通過し易さが異なる。例えば、通過し難い生海苔がクリアランス6近傍に増えれば、クリアランス6の有効面積が減少することと、併せて、クリアランス6に設けた圧力センサ21の圧力が高くなる。そこで、この圧力センサ21の指令により、生海苔混合液中に、塩分を供給し、生海苔に滑りを付与し、かつ回転板7と選別ケースリング5の隙間を拡大せず、かつ異物の吸込み数を阻止できる。これにより、例えば、異物の除去率の悪化の原因を無くし得る。また、配管12においても、圧力センサ21を付設することで、同様な処置と効果が期待できる。さらに、後述する4)の特徴が確保できる。
【0034】
4) 生海苔混合液槽2外の吸込量センサ20が吸込みポンプ11の負荷量を検知する。また、経験則から、生海苔の流動化が正常でない、及び/又は、クリアランス6の吸込み量不足が判断される。この状況を、制御部31のマイコン31aに入力する。この入力で、塩分調整機32に司令を発し、混合液Aに塩分を供給する。そして、生海苔の流動化、及び/又は、クリアランス6の吸込み量が正常になった場合は(選別生海苔がクリアランス6をスムースに通過できる状況では)、或いは混合液Aが所定の塩分濃度となった場合には供給を停止する。その後は前述の2)に準ずる。また、吸込量センサ20が信号を発する状況は、経験則から考えると、次のような状況である。生海苔異物分離装置1(異物除去機)において、吸込みポンプ11や、クリアランス6の吸引圧力が高まる場合で、この時、海苔だけでなく異物を吸込む確率が高くなる。また、生海苔はその時々において状態が異なり、クリアランス6(隙間)の通過し易さが異なる。例えば、通過し難い生海苔がクリアランス6近傍に増えると、クリアランス6の有効面積が減少し、かつ圧力が高くなることに鑑み、圧力センサ21の指令誤差を無くし、及び/又は、異物の除去率の悪化を無くし、かつ異物の通過を回避できる。即ち、良質な乾海苔の製造に有益である。
【0035】
5) 混合液Aの流れの処理中で、かつ選別生海苔を吸込み中に、クリアランス負荷量23は、選別インペラのインバータを介して、このクリアランス負荷量23(吸込み圧力数値)を、制御部31のマイコン31aに入力する。そして、吸込み数値(吸込み圧力数値)と基準数値とを比較し、その値が基準値より低い際は、クリアランス6の詰り発生が考えられる。そこで、クリアランス負荷量23により制御部31に司令を発し、制御部31のマイコン31aに入力する。このマイコン31aより塩分調整機32に司令を発し、混合液Aに、適量の塩分を供給する。その他の場合には、オペレータによる手動設定で、運転停止の指令を発する。この運転停止指令は、制御部31から生海苔異物分離装置1に指示される。また、クリアランス6に通過し難い生海苔が蓄積されてきたことを、選別インペラ(回転板7)の電流値、吸込みポンプ11の電流数値の変化から読み取り、該当機器を制御し、クリアランス6の詰り解消と、併せて、除去率の向上を図る。一方、クリアランス6に蓄積される確率が高い、例えば、通過し難い生海苔を減少させる。その一例が、回転板7(選別インペラ)の回転数を上げるか、及び/又は、生海苔の滑りを確保するために、塩分調整機32より、混合液Aに塩分を供給する手法である。
【0036】
前述の如く、生海苔異物分離装置1において、供給された生海苔混合液Aからの異物の選別中において、前述の1)~5)の状況が、個別、及び/又は、複合して発生した際には、これらの状況を改善するために、それぞれ処理される。この各処理は、前述の1)~5)に示した方法を、個別、及び/又は、複合して利用する。この処理を介して、生海苔異物分離装置1を常に、正常に動かし、生海苔異物分離装置1の故障回避、又は選別生海苔の効率的な取得と、後続の装置への選別生海苔の提供が図れ、乾海苔製造業者に福音をもたらす。また、生海苔異物分離装置1を有効利用できる。
【0037】
そして、前述した如く、吸込みポンプ11が所定の吸込み量を確保できないのは、滑り不足(塩分不足)と、クリアランス6の詰りであり(回転板7の回転不足)、即ち、それぞれ単独の理由か、又は複合の理由が考えられるので、その処理は、1)、及び/又は、2)による。このように、前述の1)~5)を、適宜、選択的に活用し、速やかに処理する。図3に示す制御は、オペレータによる手動での1)~5)の処理が行われることもあり得る。前述した如く、1)~5)の処理は、経験則による処理、及び/又は、選択も有り得る。
【0038】
即ち、本発明は、塩分調整機32と、塩分濃度センサ22(塩分調整手法)を基として、各センサ20、21、クリアランス負荷量23との組み合わせか、それぞれの単独利用で、クリアランス6の詰り解消、及び/又は異物の吸込み解消と、選別生海苔の処理量の確保と、海苔機器全体のスムースな動きを確保する。これによってクリアランス6の生海苔の通り易さ、併せて、選別された生海苔量の適正化に関し、明確な指針が示される状況となった。
【0039】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、各請求項に示した範囲内での種々の変更が可能である。すなわち、各請求項に示した範囲内で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
1 生海苔異物分離装置
2 生海苔混合液槽
3 選別ケーシング
300 内底面
301 外周壁
5 選別ケースリング
500 開口部
6 クリアランス
7 回転板
8 回転軸
9 モータ
10 軸受け
11 ポンプ(吸込みポンプ)
12 配管
20 吸込量センサ(センサ)
21 圧力センサ(センサ)
22 塩分濃度センサ(センサ)
23 クリアランス負荷量
30 選別部
31 制御部
31a マイコン
32 塩分調整機
A 混合液
B 制御装置
図1
図2
図3