(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】レンジフード
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20241114BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20241114BHJP
F24F 11/77 20180101ALI20241114BHJP
F24C 15/20 20060101ALN20241114BHJP
【FI】
F24F7/06 101Z
F24F7/007 C
F24F11/77
F24C15/20 Z
(21)【出願番号】P 2020152979
(22)【出願日】2020-09-11
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【氏名又は名称】根本 恵司
(74)【代理人】
【識別番号】100150773
【氏名又は名称】加治 信貴
(74)【代理人】
【識別番号】100099472
【氏名又は名称】杉山 猛
(72)【発明者】
【氏名】梁取 崇
(72)【発明者】
【氏名】吉本 達郎
(72)【発明者】
【氏名】山田 香穂里
(72)【発明者】
【氏名】大岩 雄志
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-225138(JP,A)
【文献】特開2005-038611(JP,A)
【文献】特開平11-237092(JP,A)
【文献】特開2001-248867(JP,A)
【文献】特開2019-056507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24F 7/007
F24F 11/77
F24C 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フードと、送風機を備え、前記送風機を駆動して運転することで、加熱調理で発生した
油煙を前記フード内に捕集して
屋外に排出するレンジフードにおいて、
前記フードに、加熱調理時間を設定するタイマーと、報知手段と、警告手段を設け、
前記タイマーが設定した加熱調理時間になった時、前記報知手段により報知を行い、
前記タイマーが設定した加熱調理時間内に、人が、前記送風機を停止してレンジフードの運転を停止する操作をした時、前記警告手段により警告するとともに、前記送風機を停止せずに駆動し続けるようにしたことを特徴とするレンジフード。
【請求項2】
フードと、送風機を備え、前記送風機を駆動して運転することで、加熱調理で発生した
油煙を前記フード内に捕集して
屋外に排出するレンジフードにおいて、
前記フードに、加熱調理時間を設定するタイマーと、報知手段と、警告手段を設け、
前記タイマーが設定した加熱調理時間になった時、前記報知手段により報知を行い、
前記タイマーが設定した加熱調理時間内に、人が、前記送風機を停止してレンジフードの運転を停止する操作をした時、前記警告手段により警告するとともに、前記送風機を停止するようにしたことを特徴とするレンジフード。
【請求項3】
請求項1記載のレンジフードにおいて、
前記警告手段が警告を発している最中に、人が、再度前記送風機を停止してレンジフードの運転を停止する操作をした時、前記送風機を停止してレンジフードの運転を停止するようにしたレンジフード。
【請求項4】
請求項1-3いずれかに記載のレンジフードにおいて、
前記警告手段は、音を発するものであるレンジフード。
【請求項5】
請求項1-3いずれかに記載のレンジフードにおいて、
前記警告手段は、照明であり、前記照明が点灯、点滅、照度変更、消灯、色調変更の内の1つの動作により警告を発するようにしたレンジフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器により加熱調理することで発生した油煙等を屋外などに排出するレンジフードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から種々のレンジフードが提案されている。例えば、特許文献1に開示されたように、フードと、送風機とを備え、送風機を駆動して運転することで、加熱調理器により加熱調理することで発生した油煙等をフード内に捕集して屋外などに排出するレンジフードが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、加熱調理器による加熱調理をする際に、加熱調理時間を加熱調理の内容などに応じた時間とすることで、効率よく加熱調理することが行われている。例えば、キッチンタイマーに加熱調理時間を設定し、キッチンタイマーがタイムアップすることで発する音で加熱調理する人が設定した加熱調理時間となったことを知ることができるようにしている。
従来のレンジフードにおいては、加熱調理する人や他の人などが、設定した熱調理時間内(キッチンタイマーがタイムアップする以前)に、誤って送風機を停止する操作をし、レンジフードの運転を停止することがある。これにより、加熱調理中にレンジフードの運転が停止してしまい、加熱調理により発生した油煙等を屋外などに排出できないので、油煙等がレンジフードの周囲に充満してしまうことがある。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、設定の加熱調理時間となったことを、加熱調理する人に報知できるとともに、設定した加熱調理時間内に、人が、誤って送風機を停止してレンジフードの運転を停止する操作をしたことを報知でき、しかも、人が、設定した加熱調理時間内に送風機を停止してレンジフードの運転を停止する操作をしても、加熱調理により発生した油煙等がレンジフードの周囲に充満することがないようにできるレンジフードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1のレンジフードは、フードと、送風機を備え、前記送風機を駆動して運転することで、加熱調理で発生した油煙を前記フード内に捕集して屋外に排出するレンジフードにおいて、前記フードに、加熱調理時間を設定するタイマーと、報知手段と、警告手段を設け、前記タイマーが設定した加熱調理時間になった時、前記報知手段により報知を行い、前記タイマーが設定した加熱調理時間内に、人が、前記送風機を停止してレンジフードの運転を停止する操作をした時、前記警告手段により警告するとともに、前記送風機を停止せずに駆動し続けるようにしたことを特徴とするレンジフードである。
【0007】
本発明の第2のレンジフードは、フードと、送風機を備え、前記送風機を駆動して運転することで、加熱調理で発生した油煙を前記フード内に捕集して屋外に排出するレンジフードにおいて、前記フードに、加熱調理時間を設定するタイマーと、報知手段と、警告手段を設け、前記タイマーが設定した加熱調理時間になった時、前記報知手段により報知を行い、前記タイマーが設定した加熱調理時間内に、人が、前記送風機を停止してレンジフードの運転を停止する操作をした時、前記警告手段により警告するとともに、前記送風機を停止するようにしたことを特徴とするレンジフードである。
【0008】
本発明の第1のレンジフードにおいて、前記警告手段が警告を発している最中に、人が、再度前記送風機を停止してレンジフードの運転を停止する操作をした時、前記送風機を停止してレンジフードの運転を停止するようにしたレンジフードとすることができる。
これにより、レンジフードの運転を停止する操作が意図した操作である場合にレンジフードの運転を停止できる。
【0009】
本発明のレンジフードにおいて、前記警告手段は、音を発するものであるレンジフードとすることができる。
これにより、レンジフードから離れた人でも音により警告に気づくことができる。
【0010】
本発明のレンジフードにおいて、前記警告手段は、照明であり、前記照明が点灯、点滅、照度変更、消灯、色調変更の内の1つの動作により警告を発するようにしたレンジフードとすることができる。
これにより、周囲がうるさくとも人が警告を気づくことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のレンジフードによれば、設定の加熱調理時間となったことを、加熱調理する人に報知できるとともに、設定した加熱調理時間内に、人が、誤って送風機を停止してレンジフードの運転を停止する操作をしたことを報知でき、しかも、人が、設定した加熱調理時間内に送風機を停止してレンジフードの運転を停止する操作をしても、加熱調理により発生した油煙等がレンジフードの周囲に充満することがないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明のレンジフードの実施の形態を示す全体正面図である。
【
図2】本発明のレンジフードの制御部分の実施の形態を示す構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態を
図1、
図2に基づいて説明する。
図1はレンジフードの全体正面図、
図2は制御部分の構成説明図である。
図1に示すように、レンジフード1はフード10と、フード10に設けた送風機11を備えている。送風機11はファン11aと、ファン11aを回転するモータ11bを有し、モータ11bでファン11aを回転して送風機11を駆動することでレンジフードを運転し、加熱調理器2の加熱部20で加熱調理することで発生する油煙等をフード10内に捕集し、図示しない配管などで屋外などに排出する。
フード10には、照明12と、制御部13と、操作部14と、表示部15と、スピーカー16などが設けてある。照明12は、点灯、消灯が加熱調理する人により視認できるように設けてある。
【0014】
制御部13は、所定の加熱調理時間を設定するタイマー30と、記憶部31を有している。
操作部14は、レンジフード運転信号を制御部13に入力するレンジフード運転操作部40と、タイマー制御信号を制御部13に入力するタイマー操作部41を有している。
表示部15はタイマー30に設定した加熱調理時間を表示し、加熱調理する人が視認できるように設けてある。
制御部13は、レンジフード運転操作部40から入力されたレンジフード運転信号に基づいてモータ11b、照明12等を制御する。つまり通常のレンジフード運転制御をする。
制御部13は、更にタイマー操作部41から入力されたタイマー制御信号に基づいてタイマー30を制御するとともに、表示部15に加熱調理時間を表示する。
【0015】
図2に示すように、レンジフード運転操作部40は、強運転ボタン42、中運転ボタン43、弱運転ボタン44、停止ボタン45、照明ボタン46などを有している。強運転ボタン42を操作することで制御部13に強運転信号が入力され、制御部13はモータ11bを高速回転し、送風機11を大風量としてレンジフードを運転する。中運転ボタン43を操作することで制御部13に中運転信号が入力され、制御部13はモータ11bを中速回転し、送風機11を中風量としてレンジフードを運転する。弱運転ボタン44を操作することで制御部13に弱運転信号が入力され、制御部13はモータ11bを低速回転し、送風機11を少風量としてレンジフードを運転する。
停止ボタン45を操作することで制御部13に停止信号が入力され、制御部13はモータ11bを回転停止し、送風機11は停止し、レンジフードの運転を停止する。
照明ボタン46を操作することで制御部13に照明点灯信号が入力され、照明12が点灯する。この状態で照明ボタン46を再度操作すると制御部13に照明消灯信号が入力され、点灯している照明12が消灯する。
【0016】
タイマー操作部41は、テンキーやダイヤルなどの加熱調理時間設定手段47と、タイマー動作開始手段48と、ストップ手段49などを有している。加熱調理時間設定手段47は、加熱調理の内容などにより所定の加熱調理時間を制御部13に入力する。制御部13は、タイマー30が動作開始してからタイムアップするまでの時間を、入力された加熱調理時間に設定するとともに、表示部15に設定された加熱調理時間を表示する。
タイマー動作開始手段48は、制御部13にタイマー動作開始信号を入力する。制御部13はタイマー動作開始信号が入力されることによりタイマー30を動作開始する。
ストップ手段49は、制御部13にタイマー停止信号を入力する。制御部13は、タイマー停止信号が入力されることで、タイマー30をタイムアップする。
【0017】
タイマー30が、動作開始してから設定した加熱調理時間が経過した時、つまり設定した加熱調理時間に到達した時(タイムアップした時)に、制御部13は照明12を動作、またはスピーカー16から音を発して設定した加熱調理時間になったことを報知する。
なお、設定した加熱調理時間に到達する直前に、照明12を動作、またはスピーカー16から音を発するようにしてもよい。つまり、照明12とスピーカー16は、タイマー30に設定した加熱調理時間となったことを報知する報知手段である。
したがって、本発明のレンジフードは、タイマー30に設定した加熱調理時間となったことを、加熱調理する人に報知できる。
【0018】
照明12の動作は、消灯している照明12を点灯する動作、点灯している照明12を点滅する動作、点灯している照明12の照度を変更する動作、点灯している照明12を消灯する動作、点灯している照明12の色調を変更する動作の内の1つの動作である。
スピーカー16が発する音は、アラーム音、音声、カウントダウン、音楽のいずれか一つである。
この照明12の動作または、スピーカー16から発する音のいずれか一つを制御部13の記憶部31に記憶しておき、設定した加熱調理時間になった時に照明12を記憶した動作で動作し、またはスピーカー16から記憶した音を発するようにしてある。
【0019】
加熱調理時間を設定する動作の一例を説明する。
加熱調理する人が、加熱調理時間設定手段47を操作して、加熱調理の内容などに応じた所定の加熱調理時間を制御部13に入力する。制御部13は、タイマー30が動作開始してからタイムアップするまでの時間を、入力された加熱調理時間として設定する。
加熱調理する人が、加熱調理を開始すると同時にタイマー動作開始手段48を操作して制御部13にタイマー動作開始信号を入力する。タイマー30は動作開始し、設定した加熱調理時間となるとタイムアップし、照明12を動作、またはスピーカー16から音を発して、加熱調理開始から設定した加熱調理時間経過したことを報知する。
【0020】
タイマー動作開始信号が入力されてからタイマー30がタイムアップするまでの間であるタイマー30の作動中、つまり設定した加熱調理時間内に、加熱調理する人または他の人などが、誤ってレンジフード運転操作部40の停止ボタン45を停止操作して、制御部13にモータ11bの回転を停止し送風機11を停止する信号、つまり、レンジフードの運転を停止する信号が入力されると、制御部13は次のような制御をする。
送風機11のモータ11bを回転停止せずに送風機11を駆動し続ける。これと同時に、照明12を動作、またはスピーカー16から音を発して警告を発する。つまり、照明12、スピーカー16は、設定した加熱調理時間内に、加熱調理する人または他の人などが、レンジフードを運転停止する操作をしたことを警告する警告手段である。
【0021】
したがって、本発明のレンジフードは、加熱調理する人や他の人などが、設定した加熱調理時間内に、誤ってレンジフードの運転を停止する操作をしたことを報知することができる。しかも、送風機11は停止せずに駆動し続けるので、レンジフードは運転停止することがなく、運転し続けるので、加熱調理により発生した油煙等がレンジフードの周囲に充満することがないようにできる。
警告手段として音を発するもの、例えばスピーカー16を用い、音で警告を発するようにすれば、レンジフードから離れている人でも警告に気づくことができる。音としては、先に述べたように、アラーム音、音声、カウントダウン、音楽などである。
【0022】
警告手段として照明12を用い、照明12の動作で警告を発するようにした場合は、周囲がうるさい場合でも人が警告に気づくことができる。
照明の動作としては先に述べたように、消灯している照明12を点灯する動作、点灯している照明12を点滅する動作、点灯している照明12の照度を変更する動作、点灯している照明12を消灯する動作、点灯している照明12の色調を変更する動作などである。
【0023】
また、警告手段(照明12、スピーカー16)が警告中に、加熱調理する人または他の人などが再度レンジフード運転操作部40の停止ボタン45を停止操作し、制御部13にレンジフードを停止する信号が入力された時には、制御部13は次のような制御をする。
モータ11bの回転を停止してレンジフードの運転を停止する。警告手段は警告を発し続けてもよいし、警告を停止してもよい。
したがって、緊急事態が発生した時などに設定した加熱調理時間内であってもレンジフードを運転停止することができる。つまり、レンジフードを運転停止する操作が誤りではなく、意図した操作であった場合にレンジフードの運転を停止することができる。
【0024】
タイマー30の作動中、つまり設定した加熱調理時間内に、加熱調理する人または他の人などが、誤ってレンジフード運転操作部40の停止ボタン45を停止操作して、制御部13にレンジフードの運転を停止する信号が入力された時の、制御部13の他の制御を説明する。
制御部13は、通常のレンジフードの運転と同様に、送風機11のモータ11bを回転停止し、送風機11を停止してレンジフードの運転を停止する。これと同時に、照明12を動作、またはスピーカー16から音を発して警告を発し、加熱調理時間内に、加熱調理する人または他の人などが、レンジフードを停止する操作をしたことを警告する。
したがって、警告が発せられたことにより、加熱調理する人や他の人などは、設定した加熱調理時間内に、誤ってレンジフードの運転を停止する操作をしたことを知り、直ちにレンジフード運転操作部40の強、中、弱運転ボタン42、43、44のいずれか1つを操作し、送風機11を駆動することで、停止したレンジフードが直ちに運転再開するので、加熱調理により発生した油煙等がレンジフードの周囲に充満することがないようにできる。
【0025】
以上の説明では、照明12又はスピーカー16を報知手段としたが、照明12とスピーカー16とで報知手段とすることができる。
また、照明12又はスピーカー16を警告手段としたが、照明12とスピーカー16とで警告手段とすることができる。
以上の各実施の形態において、設定した加熱調理時間内に、送風機11の風量を変更することができる状態と、できない状態に設定できるようにしてある。できる状態とは、強、中、弱ボタン42、43、44を操作し直すことで、送風機11の風量が変化することである。できない状態とは、強、中、弱ボタン42、43、44を操作し直しても送風機11の風量が変化しないことである。
【符号の説明】
【0026】
1…レンジフード、2…加熱調理器、10…フード、11…送風機、11a…ファン、11b…モータ、12…照明(報知手段、警告手段)、13…制御部、14…操作部、15…表示部、16…スピーカー(報知手段、警告手段)、20…加熱部、30…タイマー、31…記憶部、40…レンジフード運転操作部、41…タイマー操作部、42…強運転ボタン、43…中運転ボタン、44…弱運転ボタン、47…加熱調理時間設定手段、48…タイマー動作開始手段。