IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ランドピアの特許一覧

<>
  • 特許-コンテナ構造物 図1
  • 特許-コンテナ構造物 図2
  • 特許-コンテナ構造物 図3
  • 特許-コンテナ構造物 図4
  • 特許-コンテナ構造物 図5
  • 特許-コンテナ構造物 図6
  • 特許-コンテナ構造物 図7
  • 特許-コンテナ構造物 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】コンテナ構造物
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/348 20060101AFI20241114BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20241114BHJP
   B65D 88/12 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
E04B1/348 H
E04H1/12 A
E04B1/348 P
B65D88/12 U
B65D88/12 V
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021032557
(22)【出願日】2021-03-02
(65)【公開番号】P2022133711
(43)【公開日】2022-09-14
【審査請求日】2023-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】502445121
【氏名又は名称】株式会社ランドピア
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】吉田 篤司
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-037309(JP,A)
【文献】特許第6762548(JP,B1)
【文献】特開2018-109278(JP,A)
【文献】特開平10-115011(JP,A)
【文献】特開2018-168574(JP,A)
【文献】特開平08-144373(JP,A)
【文献】国際公開第2015/143566(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/348
E04H 1/12
B65D 88/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱材、梁材、及び桁材を組んでなる枠体に、天井パネル、床パネル、及び側壁パネルを付設してなる外形直方体状の空間ユニットであって、前記側壁パネルの少なくとも一面に入出口を設けたコンテナからなる、4つの空間ユニットと、
柱材、梁材、及び桁材を組んでなる枠体に、天井パネル、及び床パネルを付設してなる、外形直方体状の2つの通路ユニットと、を備え、
前記空間ユニットの柱材は、角形管材の上下の端面を、貨物コンテナ輸送用のツイストロックで固定可能な長孔を有する添接板で塞いでなり、
前記通路ユニットの柱材は、角形管材の上下の端面を、貨物コンテナ輸送用のツイストロックで固定可能な長孔を有する添接板で塞いでなり、
基礎上に配置した2つの下段の前記空間ユニットで、基礎上に配置した下段の前記通路ユニットを幅方向に挟み、
前記下段の通路ユニットの上に上段の前記通路ユニットを搭載し、
前記下段の2つの空間ユニットの上に、前記入出口を内側に向けた2つの上段の前記空間ユニットをそれぞれ搭載し、
上下及び幅方向に隣接する前記空間ユニット及び前記通路ユニットを、前記添接板を介して相互に連結し、
前記通路ユニットの長さ及び高さが前記空間ユニットと等しく、前記通路ユニットの幅が前記空間ユニットの略半分であり、
前記空間ユニット及び前記通路ユニットの前記添接板が、両面を連通するボルト孔を有し、
前記下段の空間ユニット及び前記下段の通路ユニットの上方の前記添接板の前記ボルト孔と、前記上段の空間ユニット及び前記上段の通路ユニットの下方の前記添接板の前記ボルト孔と、を垂直方向に連通した連結ボルトによって、前記空間ユニット及び前記通路ユニットを上下に連結し、
前記空間ユニット及び前記通路ユニットにおける上部の前記添接板が、前記ボルト孔内にネジ溝を備えることで、前記ボルト孔内に上向きの前記連結ボルトを保持可能であることを特徴とする、
コンテナ構造物。
【請求項2】
両面を連通するボルト孔を有する連結板を更に備え、隣り合う2枚の前記添接板に接面した連結板と、前記添接板の前記ボルト孔及び前記連結板の前記ボルト孔を垂直方向に連通した連結ボルトと、によって、前記空間ユニット及び前記通路ユニットを水平方向に連結したことを特徴とする、請求項に記載のコンテナ構造物。
【請求項3】
前記通路ユニットに外付け可能な階段ユニットを備え、前記階段ユニットの内部に地上と前記上段の通路ユニットを接続する階段を設けたことを特徴とする、請求項1又は2に記載のコンテナ構造物。
【請求項4】
上下の前記空間ユニットを連通する連通空間を有し、前記連通空間内に地上と前記上段の通路ユニットを接続する階段を設けたことを特徴とする、請求項1又は2に記載のコンテナ構造物。
【請求項5】
前記空間ユニットの外寸がISOのコンテナ規格に基づくことを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項に記載のコンテナ構造物。
【請求項6】
前記コンテナ規格が20ftコンテナのコンテナ規格であることを特徴とする、請求項に記載のコンテナ構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンテナ構造物に関し、特に、コンテナ規格に準拠したユニット構成により、施工効率の高いパッケージ施工を可能にした、コンテナ構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
貨物コンテナは、構造が堅牢で、内部に広い空間を確保できるため、工場で加工した複数の貨物コンテナを連結/積層して、倉庫、店舗、住居等の用途のコンテナ建築物として利用することがある(特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004―11304号公報
【文献】特開平10-61226号公報
【文献】実用新案登録第3064969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンテナ構造物を2階建て以上の構造とする場合、上階のコンテナ内へのアクセスのため、コンテナに階段や廊下を外付けする必要がある。
このため、現場にコンテナを搬入して基礎に据え付けるコンテナ設置工と別に、階段や廊下を外付けする設備工が必要となる。
設備工は、段取や安全性の問題から、コンテナ設置工と同時に施工することができず、コンテナ設置工が完了した後に行われる。このため、施工効率が悪く、工期が比較的長期にわたる。
また、コンテナ構造物は敷地の有効利用を目的とする性質上、狭隘な敷地に高い建ぺい率で設置されることが多い。このため、コンテナの設置後には、設備工のための施工スペースが狭くなり、施工の難度が高くなる他、重機の搬入や取り回しも困難となる。
更に、貨物コンテナは規格品であり、外部に取り付きが少ないため、設備の付設が困難である。例えば2階の廊下をコンテナの梁に固定するには、廊下をクレーンで吊り上げた状態で高さを調整しつつ、溶接やボルト留めを行う必要があり、施工の難度が非常に高い。
【0005】
本発明の目的は、以上の課題を解決するためのコンテナ構造物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコンテナ構造物は、柱材、梁材、及び桁材を組んでなる枠体に、天井パネル、床パネル、及び側壁パネルを付設してなる、外形直方体状の空間ユニットであって、側壁パネルの少なくとも一面に入出口を設けたコンテナからなる、4つの空間ユニットと、柱材、梁材、及び桁材を組んでなる枠体に、天井パネル、及び床パネルを付設してなる、外形直方体状の2つの通路ユニットと、を備え、空間ユニットの柱材は、角形管材の上下の端面を、貨物コンテナ輸送用のツイストロックで固定可能な長孔を有する添接板で塞いでなり、通路ユニットの柱材は、角形管材の上下の端面を、貨物コンテナ輸送用のツイストロックで固定可能な長孔を有する添接板で塞いでなり、基礎上に配置した2つの下段の空間ユニットで、基礎上に配置した下段の通路ユニットを幅方向に挟み、下段の通路ユニットの上に上段の通路ユニットを搭載し、下段の2つの空間ユニットの上に、入出口を内側に向けた2つの上段の空間ユニットをそれぞれ搭載し、上下及び幅方向に隣接する空間ユニット及び通路ユニットを、添接板を介して相互に連結し、通路ユニットの長さ及び高さが空間ユニットと等しく、通路ユニットの幅が空間ユニットの略半分であることを特徴とする。
【0007】
本発明のコンテナ構造物は、空間ユニット及び通路ユニットの添接板が、両面を連通するボルト孔を有し、下段の空間ユニット及び下段の通路ユニットの上方の添接板のボルト孔と、上段の空間ユニット及び上段の通路ユニットの下方の添接板と、を垂直方向に連通した連結ボルトによって、空間ユニット及び通路ユニットを上下に連結してもよい。
【0008】
本発明のコンテナ構造物は、両面を連通するボルト孔を有する連結板を更に備え、隣り合う2枚の添接板に接面した連結板と、添接板のボルト孔及び連結板のボルト孔を垂直方向に連通した連結ボルトと、によって、空間ユニット及び通路ユニットを水平方向に連結してもよい。
【0009】
本発明のコンテナ構造物は、空間ユニット及び通路ユニットの上部の添接板が、ボルト孔内にネジ溝を備えることで、ボルト孔内に上向きの連結ボルトを保持可能であってもよい。
【0010】
本発明のコンテナ構造物は、通路ユニットに外付け可能な階段ユニットを備え、階段ユニットの内部に地上と上段の通路ユニットを接続する階段を設けてもよい。
【0011】
本発明のコンテナ構造物は、上下の空間ユニットを連通する連通空間を有し、連通空間内に地上と上段の通路ユニットを接続する階段を設けてもよい。
【0012】
本発明のコンテナ構造物は、空間ユニットの外寸がISOのコンテナ規格に基づいていてもよい。
【0013】
本発明のコンテナ構造物は、空間ユニットコンテナ規格が20ftコンテナのコンテナ規格であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
以上の構成より、本発明のコンテナ構造物は次の効果の少なくともひとつを備える。
<1>予め工場でコンテナ製のユニットを加工し、内部に隔壁、入出口、階段等の設備を付設しておくことで、現場にユニットを設置して相互に連結するだけで施工を完了させることができる。このように、コンテナ設置工のみによって施工が完了し、別途設備工を行う必要がないため、工期が短く、施工コストが安い。
<2>設備工の必要がないため、狭隘な敷地でも効率的かつ安全に施工することができる。
<3>通路ユニットが、ツイストロック固定用の長孔を備え、コンテナと同規格で幅のみが半分であるため、輸送時に2つの通路ユニットを幅方向に並べて連結することで、1つのコンテナの外形を構成することができる。このため、一般のコンテナとツイストロックで連結して積上げることで、大量輸送向けのコンテナ船で輸送することができ、輸送コストが極めて安い。
<4>全体幅が空間ユニットのコンテナの幅の2.5倍となるため、例えば空間ユニットがISOコンテナ(幅約2.4m)の規格であれば全体幅が約6.1mとなり、流通量の多い20ftコンテナの長さ(約6.1m)と略等しくなる。このため、通路ユニットの先に別の20ftコンテナを横付けするなどの拡張設計が可能で、敷地を有効利用することができる。
<5>通路が屋根を備えた通路ユニットの内部を通るため、通路内に雨水が浸入しにくい。このため天候の影響を受けにくく、耐久性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のコンテナ構造物の説明図。
図2】本発明のコンテナ構造物の説明図。
図3】空間ユニットの説明図。
図4】通路ユニットの説明図。
図5】階段ユニットの説明図。
図6】連結構造の説明図。
図7】設計の拡張の説明図。
図8】実施例2の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明のコンテナ構造物について詳細に説明する。
なお、本明細書等において、各構成要素の「幅方向」とは、コンテナ構造物の完成時における、空間ユニット及び通路ユニットの配列方向を意味し、「長さ方向」及び「前後方向」とは、平面状において幅方向と直交する方向を意味する。
【実施例1】
【0017】
[コンテナ構造物]
<1>全体の構成(図1、2)
本発明のコンテナ構造物1は、貨物コンテナの規格を利用して構築する建築物である。ここで、「コンテナ」とは、必ずしも貨物コンテナに限らず、本例のように貨物コンテナの規格サイズに準拠してJIS鋼材を組んでなる鋼構造物(建築用コンテナ)を含む。
本例では、コンテナ構造物1を倉庫に用いる例について説明するが、コンテナ構造物1の用途はこれに限らず、事務所、ガレージ、仮設住宅等に用いてもよい。
コンテナ構造物1は、4つの空間ユニット10と、2つの通路ユニット20と、を少なくとも備え、空間ユニット10及び通路ユニット20を上下に2段積みしてなる。
詳細には、基礎上に設置した2つの下段の空間ユニット10で、下段の通路ユニット20を幅方向両側から挟み、2つの下段の空間ユニット10及び下段の通路ユニット20の上部に、2つの上段の空間ユニット10及び上段の通路ユニット20を搭載する。
本例では更に、空間ユニット10及び通路ユニット20の妻側に、階段ユニット30を外付けする。
各空間ユニット10と各通路ユニット20は、添接板13、23を介して、上下及び幅方向に相互に連結する。
本例では空間ユニット10、通路ユニット20、及び階段ユニット30を、アンカーボルトを埋設したコンクリート基礎(不図示)上に設置し、下部をアンカーボルトとボルト連結することで、基礎に固定する。
【0018】
<2>空間ユニット(図3
空間ユニット10は、内部に空間を有する外形直方体状のユニットである。
空間ユニット10は、柱材11a、梁材11b、及び桁材11cを組んでなる枠体11に、天井パネル12a、床パネル12b、及び側壁パネル12cからなる面材12を付設してなる。
柱材11aの上下の端面を、添接板13で塞ぐ。
側壁パネル12cの少なくとも一面には、入出口12dを設ける。
本例では空間ユニット10の外寸を、ISO規格に基づく20ftコンテナと同一の外寸とし、空間ユニット10の内部を隔壁で長手方向に仕切って複数の空間に区画する。
【0019】
<2.1>入出口
入出口12dは、空間ユニット10の内外を繋ぐ開口部である。
本例では、4つの空間ユニット10において、コンテナ構造物1の内側(すなわち通路ユニット20側)の側壁パネル12cに、シャッターからなる複数の入出口12dを設ける。
ただし入出口12dの構成はこれに限らず、例えば下段の空間ユニット10であれば、入出口12dをコンテナ構造物1の外側や妻側に設けてもよい。また、入出口12dは、シャッターに限らず、引き戸や片開きドア等であってもよい。
【0020】
<2.2>添接板(図5
添接板13は、空間ユニット10と通路ユニット20の水平連結、及び空間ユニット10同士の上下連結のためのベースプレートである。
本例では添接板13として、柱材11aの端面に溶接した鋼板を採用する。
添接板13は、貨物コンテナ輸送用のツイストロックで固定可能な長孔を有する。長孔の向きは、長径が空間ユニット10の長さ方向に沿い、短径が空間ユニット10の幅方向に沿う。
添接板13の縁部は柱材11aより外側に延出し、縁部に両面を上下に連通するボルト孔を設ける。
【0021】
<3>通路ユニット(図4
通路ユニット20は、空間ユニット10への通路を構成する外形直方体状のユニットである。
通路ユニット20は、柱材21a、梁材21b、及び桁材21cを組んでなる枠体21に、天井パネル22aと床パネル22bからなる面材22を付設してなる。
柱材21aの上下の端面を、添接板23で塞ぐ。
なお、通路ユニット20の添接板23は、空間ユニット10の添接板13と同一の構造であるため、説明を割愛する。
本例では、上段の通路ユニット20における妻側の一側に、転落防止用の柵24を設ける。ただし転落防止手段は柵24に限らず、例えば、通路ユニット20の妻側の一側を壁面パネルで塞いだり、壁面パネルに採光可能なガラス窓を設けてもよい。
【0022】
<3.1>通路ユニットの寸法
本発明のコンテナ構造物1は、通路ユニット20の寸法に一つの特徴を有する。
通路ユニット20は、長さ及び高さが空間ユニット10と等しく、幅が空間ユニット10の略半分である。
すなわち本例では、空間ユニット10(20ftコンテナ)の寸法が、長さ:約6.1m、幅:約2.4m、高さ:約2.6mであるのに対し、通路ユニット20の寸法は、長さ:約6.1m、幅:約1.2m、高さ:約2.6mである。
このような構成とすることで、通路ユニット20の輸送時、2つの通路ユニット20を幅方向に並べて連結金具で連結して、1つのコンテナの外形を構成することができるため、コンテナ船に積み上げて輸送することができる。
【0023】
<4>階段ユニット(図5
階段ユニット30は、上段の通路ユニット20への昇降手段である。
階段ユニット30は、少なくとも柱材31a、梁材31b、及び桁材31cを組んでなる枠体31と、各柱材31aの上下を塞いだ添接板33を備える。添接板33は、空間ユニット10の添接板13と同一の構造である。
枠体31の内部には、地上と上段の通路ユニット20を接続する、階段34を設ける。
本例では、空間ユニット10と同じ高さ及び幅の枠体31の上に、空間ユニット10と同じ高さ及び空間ユニット10の幅と通路ユニット20の幅を合わせた幅の枠体31を連結し、上下の枠体31の内部に折り返し型の階段34を配置する。枠体31の上部を天井パネル32aで被覆する。上段の枠体31内に、通路ユニット20と同じ幅の接続路35を付設して、階段34の上部と通路ユニット20の間を接続する。
本例では、上部の枠体31の幅と下部の枠体31の幅の合計を、20ftコンテナの長さと等しく設計する。これによって、通路ユニット20同様、輸送時に2つの枠体31を幅方向に連結することで、1つのコンテナの外形を構成し、コンテナ船で輸送することができる。
なお、階段ユニット30の構造は上記に限らず、少なくとも枠体31の内部に階段34を備えていればよい。
【0024】
<5>連結板(図6
本例では、コンテナ構造物1が、空間ユニット10及び通路ユニット20を、幅方向に連結するための連結板40を備える。
本例では連結板40として、添接板13と同じ厚さの鋼板を採用する。
連結板40は、隣接する空間ユニット10の添接板13と、通路ユニット20の添接板23にまたがる幅を備え、2枚の添接板13、23のボルト孔に対応する位置に、両面を上下に連通するボルト孔を有する。
【0025】
<5.1>連結方法(図6
空間ユニット10の上部の添接板13の上面と、この添接板13に隣接する通路ユニット20の上部の添接板23の上面に、連結板40を架け渡す。
上段の空間ユニット10及び通路ユニット20を、下段の空間ユニット10及び通路ユニット20に搭載する際、連結板40を、上段の添接板13及び23と、下段の添接板13及び23の間に挟む。
上段の添接板13及び23、連結板40、及び下段の添接板13及び23のボルト孔内に連結ボルト50を連通し、ワッシャとナットを締結する。
以上の手順により、上下左右に隣接する空間ユニット10及び通路ユニット20を、確実に連結することができる。なお、この方法は階段ユニット30の連結にも利用することができる。
ただし、空間ユニット10及び通路ユニット20の連結方法は上記に限られず、ツイストロックが上下に突出した接続装置を用いる方法など、他の公知の連結手段で連結してもよい。
【0026】
<6>設計の拡張(図7
本発明のコンテナ構造物1は、4つの空間ユニット10及び2つの通路ユニット20からなる6ユニットを最小単位として、空間ユニット10や通路ユニット20を追加する拡張設計が可能である。
例えば、最小単位のコンテナ構造物1の前方に、上下に積層した2つの空間ユニット10’を横向きに配置し、通路ユニット20の先端を横向きの空間ユニット10’の入出口12dに接続することができる。
本例の場合、コンテナ構造物1の全体幅が空間ユニット10のコンテナの幅の2.5倍の約6.1mとなり、空間ユニット10の長さ(20ftコンテナ:約6.1m)と略等しくなるため、壁面を後退させずに拡張することが可能となる。このため、敷地にデッドスペースが生じにくく、敷地の有効利用が可能となる。
また、最小単位のコンテナ構造物1を長さ方向に2つ並列配置し、通路ユニット20を連続させた構造としてもよい。
更に、2段目の空間ユニット10及び通路ユニット20の上に3段目の空間ユニット10及び通路ユニット20を搭載することで、コンテナ構造物1を3階建て以上の構造としてもよい。
【実施例2】
【0027】
[内階段を有する例]
実施例1では、階段ユニット30を外付けしたが、空間ユニット10内に階段14を設ける構成としてもよい(図8)。
詳細には、上下に連結する2つの空間ユニット10において、下段の空間ユニット10の天井パネル12aと側壁パネル12cを枠体11に対して長手方向に短く設計し、上段の空間ユニット10の床パネル12bと側壁パネル12cを枠体11に対して長手方向に短く設計することで、上下の空間ユニット10を連通する連通空間Sを構成する。
連通空間S内に、地上と上段の通路ユニット20を接続する階段14を設置する。
本例の場合、階段14を空間ユニット10の内部に収納できるため、階段ユニット30を設置できない狭隘な敷地であっても昇降手段を確保することができる。
【実施例3】
【0028】
[添接板のボルト孔をネジ孔とする例]
実施例1では、下段の空間ユニット10及び通路ユニット20上に、上段の空間ユニット10及び通路ユニット20を設置した後、添接板13、23のボルト孔内に連結ボルト50を挿通し、連結ボルト50の先端にナットを螺着してからボルト締結する。
このようなボルト締結作業は、ボルト頭側とナット側、すなわち添接板13、23の上下から同時に作業する必要があるため、作業の難度が高い。
そこで本例では、柱材11a、21aの上下の添接板13、23の内、上部の添接板13、23のボルト孔内にネジ溝を穿設して、ボルト孔をネジ孔とし、下段の空間ユニット10及び通路ユニット20の設置後、予め上部の添接板13、23のボルト孔内に、連結ボルト50を上向きに根元まで螺着しておく。
こうすることで、連結ボルト50を下段の空間ユニット10及び通路ユニット20のボルト孔内に上向きに保持することができるため、上段の空間ユニット10及び通路ユニット20の設置後、添接板13の上方から連結ボルト50の先端にナットを螺着するだけでボルト締結が完了するため、施工が容易となる。
【符号の説明】
【0029】
1 コンテナ構造物
10 空間ユニット
11 枠体
11a 柱材
11b 梁材
11c 桁材
12 面材
12a 天井パネル
12b 床パネル
12c 側壁パネル
12d 入出口
13 添接板
14 階段
20 通路ユニット
21 枠体
21a 柱材
21b 梁材
21c 桁材
22 面材
22a 天井パネル
22b 床パネル
23 添接板
24 柵
30 階段ユニット
31 枠体
31a 柱材
31b 梁材
31c 桁材
32 面材
32a 天井パネル
33 添接板
34 階段
35 接続路
40 連結板
50 連結ボルト
S 連通空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8