(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】容器整列搬送機構
(51)【国際特許分類】
B65G 47/14 20060101AFI20241114BHJP
B65G 47/24 20060101ALI20241114BHJP
B65G 47/90 20060101ALI20241114BHJP
B07C 5/342 20060101ALN20241114BHJP
【FI】
B65G47/14 Q
B65G47/24 L
B65G47/90 B
B07C5/342
(21)【出願番号】P 2021050984
(22)【出願日】2021-03-25
【審査請求日】2024-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】390029090
【氏名又は名称】靜甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117190
【氏名又は名称】前野 房枝
(72)【発明者】
【氏名】藤田 悟司
(72)【発明者】
【氏名】鍋田 豊
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-298334(JP,A)
【文献】特開2007-84313(JP,A)
【文献】特開平10-328626(JP,A)
【文献】特開2012-162351(JP,A)
【文献】特開平3-42417(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2001-0050955(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/14
B65G 47/24
B65G 47/90
B07C 5/342
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向の一端に口部が形成された充填容器の口部の向きを一定に揃えた状態で後工程へ搬送する容器整列搬送機構であって、
搬送方向上流側の第1搬送部と搬送方向下流側の第2搬送部とが180°転回搬送部を介して並設されたコンベヤ状の搬送経路を備え、前記軸方向が搬送方向に対して直交するように横転させた状態で供給される充填容器を搬送する搬送手段と、
第1搬送部および/または第2搬送部を搬送される充填容器の前記口部の向きを検出する検出手段と、
前記搬送手段の第1搬送部と第2搬送部との間で充填容器を移載可能な少なくとも1基の整列手段と、
前記検出手段の検出結果に基づき、各搬送部を搬送される充填容器のうち、後工程へ搬送する充填容器の口部の向きとして予め設定された方向と異なる方向へ口部を向けた充填容器を、他方の搬送部上へ移載させるように前記整列手段の駆動を制御する制御手段とを備えることを特徴とする容器整列搬送機構。
【請求項2】
軸方向の一端に口部が形成された充填容器の口部の向きを一定に揃えた状態で後工程の搬出手段へ搬出する容器整列搬送機構であって、
搬送方向上流側の第1搬送部と下流側の第2搬送部とが180°転回搬送部を介して並設されたコンベヤ状の搬送経路を備え、前記軸方向が搬送方向に対して直交するように横転させた状態で供給される充填容器を搬送する搬送手段と、
前記第1搬送部および第2搬送部を搬送される充填容器の前記口部の向きを検出する検出手段と、
前記搬送手段の第1搬送部および第2搬送部と前記搬出手段との間で充填容器を移載可能な少なくとも1基の整列手段と、
前記検出手段の検出結果に基づき、第1搬送部から前記搬出手段へ移載させる充填容器の口部の向きとして予め設定された方向へ口部を向けた充填容器のみを前記第1搬送部から前記搬出手段へ移載させ、他の充填容器は前記第2搬送部から前記搬出手段へ移載させるように前記整列手段の駆動を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする容器整列搬送機構。
【請求項3】
前記搬出手段は、並設された前記搬送手段の第1搬送部と第2搬送部との間に、前記整列手段の駆動により前記第1搬送部と第2搬送部から移載される前記充填容器の供給部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の容器整列搬送機構。
【請求項4】
前記整列手段は、充填容器を把持して所定の移動先へ運び、開放可能な多軸ロボットであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の容器整列搬送機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器を目的とする工程の作業位置へ搬送する際に、前記容器の向きを一定に揃えて搬送する容器整列搬送機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、包装充填の分野においては、軸方向の一端に口部、他端に底部が形成された充填容器を所定の姿勢に揃えた状態で搬送経路上に整列させ、目的とする工程の作業位置へ搬送する容器整列搬送機構が利用されている。このような容器整列搬送機構においては、近年、6軸のパラレルリンクロボットのような多軸のロボットを充填容器の搬送経路に設け、このロボットを用いて充填容器を一つずつ、該充填容器の口部の向きを揃えた状態で下流側に配設されたコンベヤ上に移載し、次工程へ向けて搬送するように構成されたものがある。
【0003】
たとえば、特許文献1には、第1の搬送経路を構成するコンベヤ上に無作為に載置された充填容器を該ロボットのアームで一つずつピックアップし、その口部が搬送方向に対して直角である方向の一方側あるいは他方側のいずれかのみを向く姿勢に揃え、第1の搬送経路に並列させて設けられた第2の搬送経路上へ移載し、整列させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した容器整列搬送機構の場合、ロボットが把持した充填容器の口部の方向を一定に揃えるためには、搬送される全部の充填容器について、保持し、下流側の所定位置において開放して搬送に供するという動作のほか、充填容器の口部が所定の方向に無い場合には多軸のアームを旋回させて充填容器の口部を所定の方向へ揃えるという動作を短時間に行う必要がある。このような容器整列搬送機構の処理は、ロボットが充填容器をピックアップする際の充填容器の姿勢とロボットの能力に頼るものであり、ロボットが把持する充填容器の姿勢次第では処理が不可能となって、後続の作業工程への充填容器の整列搬送に障害が発生することも危惧された。
【0006】
本発明は、前記した問題点を解決するためになされたもので、簡便な機構で充填容器の整列効率を向上させることができ、後続の作業工程への充填容器の整列搬送を安定したものとすることができる容器整列搬送機構を提供することを目的とし、特には、ロボットの多軸のアームを旋回させる、全部の充填容器を移載するなどの、充填容器の口部を所定の方向へ揃える動作を削減し、充填容器を整列する処理能力を向上させることができる容器整列搬送機構を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するため、本発明の別の容器整列搬送機構は、軸方向の一端に口部が形成された充填容器の口部の向きを一定に揃えた状態でさらに下流側の後工程へ搬送する容器整列搬送機構であって、搬送方向上流側の第1搬送部と搬送方向下流側の第2搬送部とが180°転回搬送部を介して並設されたコンベヤ状の搬送経路を備え、前記軸方向が搬送方向に対して直交するように横転させた状態で供給される充填容器を搬送する搬送手段と、第1搬送部および/または第2搬送部を搬送される充填容器の前記口部の向きを検出する検出手段と、前記搬送手段の第1搬送部と第2搬送部との間で充填容器を移載可能な少なくとも1基の整列手段と、前記検出手段の検出結果に基づき、各搬送部を搬送される充填容器のうち、後工程へ搬送する充填容器の口部の向きとして予め設定された方向と異なる方向へ口部を向けた充填容器を、他方の搬送部上へ移載させるように前記整列手段の駆動を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の容器整列搬送機構によれば、搬送手段の第1搬送部の搬送方向と第2搬送部の搬送方向が180°転回搬送部を介することにより逆方向になると同時に、軸方向を搬送方向に対して直交するように横転させた充填容器の口部の向きも逆転させることができる。
【0009】
検出手段の検出結果により、各搬送部を搬送されているときに、後工程へ搬出される充填容器の口部の向きとして予め設定された方向へ口部を向けていることが確認された充填容器はそのまま通過させ、異なれば、前記整列手段によって他方の搬送部上へ移載させることで、最終的に、搬送経路の最下流側から後工程へ充填容器が搬出される際には、充填容器の口部の向きを一定に揃えることが可能となる。
【0010】
本発明によれば、整列手段による第1搬送部と第2搬送部間の充填容器の移載は、全充填容器に対して行なわれることはなく、検出手段により、移載を判断した充填容器についてのみ行えば足り、しかも、従来のように、充填容器自体を180°転回させて口部を所定の方向へ揃える動作は不要となるので、移載のための所要時間や処理時間を削減することができる。
【0011】
さらには、検出手段を第1搬送部および第2搬送部の双方に備えることにより、整列手段が第1搬送部と第2搬送部との間を往復する移動動作において、充填容器を伴わずに行う、空移動を防止することができ、整列作業の効率を向上させることができる。
【0012】
また、本発明の容器整列搬送機構は、軸方向の一端に口部が形成された充填容器の口部の向きを一定に揃えた状態で後工程の搬出手段へ搬出する容器整列搬送機構であって、搬送方向上流側の第1搬送部と下流側の第2搬送部とが180°転回搬送部を介して並設されたコンベヤ状の搬送経路を備え、前記軸方向が搬送方向に対して直交するように横転させた状態で供給される充填容器を搬送する搬送手段と、前記第1搬送部および第2搬送部を搬送される充填容器の前記口部の向きを検出する検出手段と、前記搬送手段の第1搬送部および第2搬送部と前記搬出手段との間で充填容器を移載可能な少なくとも1基の整列手段と、前記検出手段の検出結果に基づき、第1搬送部から前記搬出手段へ移載させる充填容器の口部の向きとして予め設定された方向へ口部を向けた充填容器のみを前記第1搬送部から前記搬出手段へ移載させ、他の充填容器は前記第2搬送部から前記搬出手段へ移載させるように前記整列手段の駆動を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の容器整列搬送機構によれば、検出手段の検出結果により、第1搬送部を搬送されているときに口部を所定の方向へ向けていることが確認された充填容器を、前記整列手段によって前記搬出手段へ移載し、口部を所定の方向と逆方向へ向けていた他の充填容器は、第1搬送部はそのまま通過させる。これらの第1搬送部を通過した充填容器は、前記180°転回搬送部を通過することにより、前述のとおり、口部を逆方向、すなわち、前記予め設定された方向と同じ、所定の方向へ向けることとなるので、第2搬送部を搬送されている間に、前記整列手段によって前記搬出手段へ移載する。このように前記整列手段の駆動を制御すれば、搬出手段へ移載される充填容器の口部の向きを一定に揃えることができる。
【0014】
本発明によれば、整列手段による各搬送部から搬出手段への移載は、全充填容器に対して行なわれることになるが、その際に、従来のように充填容器自体を180°転回させて口部を所定の方向へ揃える動作は不要となるので、移載のための所要時間や処理時間を削減することができる。
【0015】
また、前記搬出手段は、並設された前記搬送手段の第1搬送部と第2搬送部との間に、前記整列手段の駆動により前記第1搬送部と第2搬送部から移載される前記充填容器の供給部が設けられていることを特徴とする。
【0016】
この場合、前記搬出手段は別のコンベヤ状の搬送手段とし、前記供給部はその搬送手段の搬送経路上であってもよいし、コンテナなどの回収函であってもよい。このように搬出手段の供給部を、並設された前記搬送手段の第1搬送部と第2搬送部との間に設けることにより、充填容器を移載する整列手段の移動量を小さくすることができるので、移載のための所要時間や処理時間をさらに削減することができる。
【0017】
またさらに、前述の本発明において、前記整列手段は、充填容器を把持して所定の移動先へ運び、開放可能な多軸ロボットであることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、ロボットの多軸のアームを旋回させるなどの、充填容器の口部を所定の方向へ揃える動作を削減し、充填容器を整列する処理能力を向上させることができ、後続の作業工程への充填容器の整列搬送に障害が発生することも確実に回避することができる。
【発明の効果】
【0019】
このように、本発明の容器整列搬送機構によれば、最小限の簡便な機構で、後続の作業工程への充填容器の整列搬送を安定したものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の容器整列搬送機構の第1実施形態の全体構成を示す平面図
【
図2】
図1の容器整列搬送機構の180°転回搬送部の変更例説明図
【
図3】
図1の容器整列搬送機構の180°転回搬送部の他の変更例説明図
【
図4】
図1の容器整列搬送機構の180°転回搬送部と整列手段の変更例説明図
【
図5】本発明の容器整列搬送機構の第2実施形態の全体構成を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の第1実施形態に係る容器整列搬送機構1の平面図である。本実施形態の容器整列搬送機構1は、充填容器Bの口部の向きを一定に揃えた状態で後工程へ搬出するようにその充填容器Bを搬送する搬送手段10と、搬送される充填容器Bの前記口部の向きを検出する検出手段20と、該搬送手段10の搬送経路11の下流に設けられた後工程へ搬送する充填容器Bの口部の向きを一定に揃える1基の整列手段30と、検出手段20の検出結果に基づいて整列手段30の駆動を制御する制御手段(不図示)とを備えている。
【0022】
ここで、本機構1において口部を揃えて整列される充填容器Bは、軸方向の一端に口部が形成されたボトル形状の充填容器Bであり、本実施形態の容器整列搬送機構1においては、容器供給装置(
図1中には、ホッパーを示す)40から、前記軸方向が本機構1の搬送手段10における搬送方向に対して直交するように横転させた状態で、かつ、一定の間隔で搬送手段10の搬送経路11の上流部に供給されるように構成されている。
【0023】
充填容器Bを搬送する搬送手段10は、床面より高い位置のプラットホーム(不図示)上に略水平の搬送経路11を構成するようにして配設された無端状のコンベヤ12からなり、その搬送経路11には、充填容器Bが供給される上流部から、その充填容器Bを後工程へ搬出する下流部までの間に、上流側から順に第1搬送部14、180°転回搬送部15、第2搬送部16が設けられている。本実施形態において、第1搬送部14と第2搬送部16は直線状の搬送経路11とされ、180°転回搬送部15を介して水平方向に並設されている。
【0024】
180°転回搬送部15は、第1搬送部14と第2搬送部16における充填容器Bの搬送方向を180°転回させるための構成部分であり、本実施形態においては、半円状に水平面でカーブを描くコンベヤラインユニットを用いて構成されている。なお、コンベヤ12自体は多数のローラからなるローラコンベヤ、ベルトコンベヤ、チェーンコンベヤなどを適宜採用することができ、そのコンベアの駆動手段(不図示)は搬送スピード等が調整可能な公知の駆動手段とする。また、その搬送は、間欠搬送であっても、連続搬送であってもよい。
【0025】
そして、本実施形態においては、第1搬送部14を搬送される充填容器Bの前記口部の向き等を検出する第1検出手段21と、第2搬送部16を搬送される充填容器Bの前記口部の向き等を検出する第2検出手段22が、それぞれ搬送経路11を構成する側壁(不図示)に設けられている。本実施形態では、検出手段20として、カメラでとらえた映像を画像処理することで、充填容器Bの向きや位置などを検出する画像センサを使用する。
【0026】
また、搬送手段10の第1搬送部14と第2搬送部16との間で充填容器Bを移載する整列手段30として、本実施形態においては、公知の6軸のロボット31が1基、配設されている。
【0027】
このロボット31は、第1検出手段21と第2検出手段22に接続された制御手段の制御により駆動する。具体的には、第1検出手段21の検出結果に基づいて、第1搬送部14を搬送される充填容器Bのうち、後工程へ搬出される充填容器Bの口部の向きとして予め設定された方向と異なる方向へ口部を向けた充填容器Bを把持し、第2搬送部16の搬送部上へ移載させ、第2検出手段22の検出結果に基づいて、第2搬送部16を搬送される充填容器Bのうち、後工程へ搬出される充填容器Bの口部の向きとして予め設定された方向と異なる方向へ口部を向けた充填容器Bを把持し、第1搬送部14の搬送部上へ移載させるように駆動することとなる。
【0028】
次に、本実施形態の容器整列搬送機構1の作用について説明する。まず、該機構1の制御手段には、後工程へ搬出される充填容器Bの口部の向きを予め設定しておく。本実施形態の場合、充填容器Bは、口部を搬送方向に向かって右側へ向けた状態で後工程へ搬出されるように設定する。
【0029】
この状態で、該機構1の搬送手段10、第1検出手段21、第2検出手段22、整列手段30を駆動させるとともに、搬送手段10の上流部に充填容器Bを供給する容器供給装置40も駆動させる。
【0030】
容器供給装置40から搬送経路11上へ一定の間隔で供給される充填容器Bは、
図1に示すように、その軸方向を搬送方向に対して直交するように横転させた状態で第1搬送部14に搬送される。このとき、第1検出手段21は、充填容器Bの画像と充填容器Bの搬送位置の情報(検出のタイミングを含む)を検出する。
【0031】
前記制御手段は、その第1検出手段21の検出結果に基づき、後工程へ搬出される充填容器Bの口部の向きとして予め設定された搬送方向右側ではなく、搬送方向左側へ口部を向けていると判断された充填容器Bを把持し、180°展開搬送部15を経ずに直接、第2搬送部16の搬送経路11上の空間領域に、軸方向を搬送方向に対して直交するように横転させ、口部を予め設定された方向へ向けた状態で移載する。
【0032】
このとき、第1搬送部14と第2搬送部16は、前記180°転回搬送部15を介することにより、充填容器Bの搬送方向が180°転回しているので、第1搬送部14から第2搬送部16へ直接移載される充填容器Bはそれ自体を回転させる必要が無く、そのままの姿勢で単に載置場所を移動することとなる。
【0033】
具体的には、
図1中、第1搬送経路11を搬送される充填容器B1は、第1検出手段21により検出された結果、その口部を搬送方向右側へ向けて搬送されている為、移載の必要なしと判断される。よって、そのまま、搬送経路11上を搬送されて第2搬送部16を通過し、後工程へ搬出されていく。
【0034】
続く、充填容器B2は、第1検出手段21により検出された結果、その口部を、予め設定された搬送方向に向かって右側とは逆となる、左側へ向けて搬送されている為、移載の必要有りと判断される。整列手段30は、この充填容器B2を把持し、第2搬送部16の搬送経路11上の空間領域に、軸方向を搬送方向に対して直交するように横転させ、口部を搬送方向右側へ向けた状態で移載する。
【0035】
仮に、第1検出手段21の検出結果に従う移載が間に合わず、
図1中の充填容器B3のように、その口部を搬送方向左側へ向けて搬送されて第1搬送部14を通過してしまった場合や、制御として、移載の対象となる充填容器Bのうち、約半数の充填容器Bのみを第1搬送部14の通過中に移載させることとする場合には、第2搬送部16に至り、第2検出手段22により、その口部を、予め設定された搬送方向に向かって右側とは逆となる、左側へ向けて搬送されていることが判断され、移載の必要有りと判断される。整列手段30は、第2搬送部16を通過しているこのような充填容器B4を把持し、第1搬送部14の搬送経路11上の空間領域に、軸方向を搬送方向に対して直交するように横転させ、口部を搬送方向右側へ向けた状態で移載する。この移載された充填容器B4は、次に第2搬送部16に至り、第2検出手段22により検出される際には、その口部を搬送方向右側へ向けて搬送されている為、移載の必要なしと判断される。よって、そのまま、第2搬送部16を通過し、後工程へ搬出されていく。
【0036】
なお、充填容器Bを移載するための前記空間領域は、第1検出手段21及び第2検出手段22が検出する第1搬送部14上及び第2搬送部16上の充填容器Bの位置情報に基づき、その移載場所となる空間領域を選出すればよい。
【0037】
本実施形態の容器整列搬送機構1の場合、充填容器Bの口部の向きが、予め設定した向きとは異なる向きで第1搬送部14を搬送される確率は約50%となる。つまり、第1搬送部14に於いては搬送される充填容器Bのうち、約半数の充填容器Bのみを移載対象とすればよい。仮に、前述の様に、第1搬送部14における検出結果に従う移載を、移載対象となる充填容器Bのうちの約半数の充填容器Bとする制御を行う場合は、第1搬送部14において約25%、第2搬送部16において残りの約25%の充填容器Bのみを移載対象とすればよい。その結果、最終的には、搬送方向へ向かって右側に口部が位置するようにすべての充填容器Bを整列させて搬送することが可能となる。
【0038】
また、本実施形態においては、第1検出手段21と第2検出手段22の2つを用いた整列手段30の制御を行うこととしたが、整列手段30の能力や充填容器Bの搬送スピード等により、第1検出手段21のみを設け、充填容器Bの口部の向きと、搬送経路11上の空間領域を制御手段で判断し、整列手段30の駆動を制御するようにしてもよい。
【0039】
なお、180°転回搬送部15は、前述のような、半円状に水平面でカーブを描くコンベヤラインユニットに限ることなく、例えば、
図2に示すような、鉛直軸を回転軸とする180°スプロケット17に搬送経路11を構成するコンベヤ12を巻回させた構成であってもよい。さらには、
図3に示すように、鉛直軸を回転軸とする90°スプロケット17を2基、上下流側に設けて搬送経路11を構成するコンベヤ12を引き回し、第1搬送部14と第2搬送部16とにおける充填容器Bの搬送方向を180°転回させるような、多部材からなる構成であってもよい。
【0040】
またさらには、第1搬送部14と第2搬送部16は充填容器Bの搬送方向を180°逆方向とするが、
図4に示すように、各搬送部14,16を隣接させて設けて間欠搬送させるとともに、整列手段30として、第1搬送部14と第2搬送部16間で充填容器Bを押し遣り、移動させるように構成された複数台のプッシャー装置を用い、制御手段は、検出手段20の検出結果に基づき、間欠搬送される搬送手段10の空間領域と移載させる充填容器Bとが直線状にそろったタイミングで、いずれかのプッシャー装置32のプッシャーアーム33を延伸させるように制御するような構成であってもよい。
【0041】
そして、本実施形態においては、整列手段30は1基のみを配設したが、複数基を設け、制御手段により各整列手段30の駆動を制御し、充填容器Bを第1搬送部14と第2搬送部16との間で移載させる構成としてもよい。
【0042】
図5は、本発明の第2実施形態に係る容器整列搬送機構1の平面図である。本実施形態の容器整列搬送機構1は、軸方向の一端に口部が形成された充填容器Bの口部の向きを一定に揃えた状態で後工程の搬出手段50へ移載する容器整列搬送機構1である。そして、搬送方向上流側の第1搬送部14と下流側の第2搬送部16とが180°転回搬送部15を介して並設されたコンベヤ12状の搬送経路11を備え、軸方向が搬送方向に対して直交するように横転させた状態で供給される充填容器Bを搬送する搬送手段10と、第1搬送部14および第2搬送部16を搬送される充填容器Bの前記口部の向きを検出する検出手段20と、搬送手段10の第1搬送部14および第2搬送部16と前記搬出手段50との間で充填容器Bを移載可能な少なくとも1基の整列手段30と、検出手段20の検出結果に基づき、第1搬送部14から搬出手段50へ移載させる充填容器Bの口部の向きとして予め設定された方向へ口部を向けた充填容器Bのみを第1搬送部14から前記搬出手段50へ移載させ、他の充填容器Bは第2搬送部16から前記搬出手段50へ移載させるように整列手段30の駆動を制御する制御手段とを備えている。
【0043】
以下、本実施形態の容器整列搬送機構1と前述の第1実施形態との相違点を説明する。本実施形態の容器整列搬送機構1は、制御手段には、第1搬送部14と第2搬送部16の各搬送部から搬出手段50へ移載させる充填容器Bの口部の向きを予め設定しておき、第1搬送部14または第2搬送部16を通過中に、各搬送部14,16に設定された方向へ口部を向けている充填容器Bを検出し、その充填容器Bを、整列手段30を用いて搬出手段50へ移載させる制御を行う。
【0044】
充填容器Bを搬送する搬送手段10は、床面より高い位置のプラットホーム(不図示)上に略水平の搬送経路11を構成するようにしてオーバル型に配設された無端状のコンベヤ12から構成し、その搬送経路11には、容器供給装置40等から充填容器Bが供給される上流部からその充填容器Bを後工程へ搬出する下流部までの間に上流側から順に、第1搬送部14、180°転回搬送部15、第2搬送部16を設ける。
【0045】
また、オーバル型の充填容器Bの搬送経路11とは別に、前記各搬送部14,16をそれぞれに設定された所定の方向へ口部を向けた状態の充填容器Bを移載させ、後工程へ搬送するための搬出手段50が設けられており、本実施形態においては、並設された前記搬送手段10の第1搬送部14と第2搬送部16との間に、充填容器Bを移載させる供給部51が設けられている。
【0046】
また、第1搬送部14を搬送される充填容器Bの前記口部の向き等を検出する第1検出手段21と、第2搬送部16を搬送される充填容器Bの前記口部の向き等を検出する第2検出手段22が、それぞれ搬送経路11を構成する側壁に設けられている。
【0047】
そして、前記搬送手段10の第1搬送部14と第2搬送部16との間で充填容器Bを移載する整列手段30として、本実施形態においては、公知の6軸のロボット31が1基、配設されており、第1検出手段21と第2検出手段22に接続された制御手段の制御により駆動するように構成されている。
【0048】
具体的には、第1検出手段21の検出結果に基づいて、第1搬送部14を搬送される充填容器Bのうち、第1搬送部14から搬出手段50へ移載される充填容器Bの口部の向きとして予め設定された方向へ口部を向けた充填容器Bを把持し、搬出手段50の供給部51へ移載させ、第2検出手段22の検出結果に基づいて、第2搬送部16を搬送される充填容器Bのうち、第1搬送部14から搬出手段50へ移載される充填容器Bの口部の向きとして予め設定された方向へ口部を向けた充填容器Bを把持し、搬出手段50の供給部51へ移載させるように駆動することとなる。
【0049】
次に、本実施形態の容器整列搬送機構1の作用について説明する。まず、該機構1の制御手段には、第1搬送部14、第2搬送部16のそれぞれから搬出手段50へ移載する充填容器Bの口部の向きを予め設定しておく。本実施形態の場合、第1搬送部14から移載される充填容器Bは、口部を搬送方向に向かって左側へ向けた充填容器Bとし、第2搬送部16から移載される充填容器Bは、口部を搬送方向に向かって右側へ向けた充填容器Bとして設定する。
【0050】
この状態で、該機構1の搬送手段10、第1検出手段21、第2検出手段22、整列手段30を駆動させるとともに、搬送手段10の上流部に充填容器Bを供給する容器供給装置40や搬出手段50をも駆動させる。
【0051】
容器供給装置40からオーバル状の搬送経路11へ一定の間隔で供給される充填容器Bは、
図5に示すように、軸方向を搬送方向に対して直交するように横転させた状態で第1搬送部14へ搬送される。このとき、第1検出手段21は、充填容器Bの画像と充填容器Bの搬送位置の情報(検出のタイミングを含む)を検出する。
【0052】
制御手段は、整列手段30を制御し、その第1検出手段21の検出結果に基づき、口部を搬送方向に向かって右側へ向けた充填容器Bを把持し、第1搬送部14と第2搬送部16との間の空間、すなわち、オーバルの搬送経路11の内方に設けられた搬出手段50の供給部51に移載する。
【0053】
さらに具体的には、
図5中、第1搬送経路11を搬送される充填容器B1は、第1検出手段21により検出された結果、その口部を搬送方向右側へ向けて搬送されている為、そのまま、第1搬送部14を通過し、第2搬送部16へ搬送される。
【0054】
続く、充填容器B2は、第1検出手段21により検出された結果、その口部を左側へ向けて搬送されている為、移載の必要有りと判断される。整列手段30は、この充填容器B2を把持し、搬出手段50の供給部51となる搬送経路11上に、軸方向を搬送方向に対して直交するように横転させ、口部を搬送方向左側へ向けた状態で移載する。
【0055】
仮に、第1検出手段21の検出結果に従う移載が間に合わず、
図5中の充填容器B3のように、その口部を搬送方向左側へ向けて搬送されて第1搬送部14を通過してしまった場合には、オーバル状の搬送経路11を再び第1搬送部14まで搬送されるので、特に支障はない。
【0056】
第1搬送部14において、搬出手段50へ移載されなかった充填容器Bは、180°転回搬送部15を介し、第2搬送部16へ至る。このとき、第2検出手段22は、充填容器Bの画像と充填容器Bの搬送位置の情報(検出のタイミングを含む)を検出する。
【0057】
第2検出手段22により、その口部を右側へ向けて搬送されていることが判断され、移載の必要有りと判断されると、制御手段は、整列手段30を制御し、その第2検出手段22の検出結果に基づき、口部を搬送方向に向かって右側へ向けた充填容器Bを把持し、第1搬送部14と第2搬送部16との間の空間、すなわち、オーバルの搬送経路11の内方に設けられた搬出手段50の供給部51に移載する。
【0058】
このとき、第1搬送部14と第2搬送部16は、180°転回搬送部15を介することにより、充填容器Bの搬送方向が180°転回しているので、第1搬送部14と第2搬送部16へ移載される充填容器Bはそれ自体を回転させる必要が無く、そのままの姿勢で単に載置場所を移動することとなる。
【0059】
本実施形態の容器整列搬送機構1の場合、整列手段30による各搬送部14,16から搬出手段50への移載は、全ての充填容器Bに対して行なわれることになるが、その際に、従来のように充填容器B自体を180°転回させて口部を所定の方向へ揃える動作は不要となるので、搬出手段50へ向けた移載のための所要時間や処理時間を削減し、安定して搬送することができる。
【0060】
また、搬出手段50の供給部51を、並設された前記搬送手段10の第1搬送部14と第2搬送部16との間に設けることにより、整列手段30の移動量を小さくすることができるので、移載のための所要時間や処理時間をさらに削減することができる。
【0061】
なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様、前記180°転回搬送部15は、前述のような、180°に水平面でカーブを描くコンベヤ12ラインユニットに限らない。
【0062】
そして、本実施形態においても、整列手段30は1基のみを配設したが、複数基を設け、制御手段により各整列手段30の駆動を制御し、充填容器Bを第1搬送部14と第2搬送部16から搬出手段50へ移載させる構成としてもよい。
【0063】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、さらに種々変形実施できる。たとえば、搬出手段50としては、必ずしも、該搬出手段が搬送を伴う手段でなくとも、コンテナなどの回収函であってもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 容器整列搬送機構
10 搬送手段
11 搬送経路
12 コンベヤ
14 第1搬送部
15 180°転回搬送部
16 第2搬送部
17 スプロケット
20 検出手段
21 第1検出手段
22 第2検出手段
30 整列手段
31 ロボット
32 プッシャー装置
33 プッシャーアーム
40 容器供給装置(ホッパー)
50 搬出手段
51 供給部
B 充填容器