(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】土壌通気浸透排水システム及び土壌通気浸透排水施工方法
(51)【国際特許分類】
A01G 7/00 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
A01G7/00 602B
A01G7/00 602A
(21)【出願番号】P 2021090362
(22)【出願日】2021-05-28
【審査請求日】2024-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2020094730
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524098008
【氏名又は名称】一般財団法人杜の財団
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【氏名又は名称】福士 智恵子
(72)【発明者】
【氏名】矢野 智徳
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-312423(JP,A)
【文献】特開2006-288354(JP,A)
【文献】特開2009-062758(JP,A)
【文献】特開平10-140577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00
E01D 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤改良に用いられる土壌通気浸透排水システムを適用する対象領域において、前記対象領域の土壌の所定領域
に少なくとも一つ形成された立穴、及び/又は
前記対象領域に亘って形成された長尺溝と、該立穴及び/又は
前記長尺溝に
配置された空気や水の通排気性が確保されたシガラミ構造
を有する中空部材と、が配置され、
前記シガラミ構造
を有する中空部材は、
長さや幅の異なる直線状又は曲線状の少なくとも一つ以上の
材が不規則に配置され、前記材間に形成された不定形の間隙を備えて形成された不定形の壁面を有することを特徴とする土壌通気浸透排水システム。
【請求項2】
前記中空部材は所定領域に形成された
縦方向の溝に配置され、前記中空部材の
外壁には間隙が形成され、前記間隙は、前記間隙を構成する
材と前記間隙の面積比率を、間隙を構成する
材の総面積≦間隙の総面積で構成さ
れたことを特徴とする
請求項1に記載の土壌通気浸透排水システム。
【請求項3】
前記中空部材は所定領域に形成された横方向の長尺溝に配置され、前記中空部材の
外壁には間隙が形成され、前記間隙は、前記間隙を構成する
材と前記間隙の面積比率を、間隙を構成する
材の総面積≦間隙の総面積
で構成されたことを特徴とする
請求項1に記載の土壌通気浸透排水システム。
【請求項4】
前記立穴に配置された中空部材と、
前記長尺溝に配置された中空部材とが連結され、前記長尺溝に配置された中空部材は、土壌通気浸透排水システムを適用する対象領域の長尺溝の土壌中に一定の領域に亘って配置され、前記中空部材
の外壁は、
長さや幅の異なる直線状又は曲線状の少なくとも一つ以上の部材
が不規則に配置され、前記部材間に形成された不定形の間隙
を備えて形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の土壌通気浸透排水システム。
【請求項5】
前記立穴に配置された中空部材と、長尺溝に配置された中空部材との連結は、立穴に配置された中空部材の中央から外れた位置で、長尺溝に配置された中空部材の先端が、立穴に配置された中空部材に対して、下方に向けて連結されていることを特徴とする
請求項4記載の土壌通気浸透排水システム。
【請求項6】
前記立穴に配置された中空部材と、長尺溝に配置された中空部材との連結は、前記立穴に配置された中空部材の一つに対して、長尺溝に配置された二つの中空部材が連結され、前記長尺溝に配置された二つの中空部材は、前記立穴に配置された中空部材の外面と高さ位置において、接続位置が異なっていることを特徴とする
請求項4又は5記載の土壌通気浸透排水システム。
【請求項7】
前記立穴及び/又は
前記長尺溝に配置される中空部材の上面には、中空部材を覆うグレーチング蓋が配設され、該グレーチング蓋は、複数種以上の間隙を
有する不定形の柵状の枠から構成されていることを特徴とする
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の土壌通気浸透排水システム。
【請求項8】
前記グレーチング蓋は、前記
柵状の枠に切れ目が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の土壌通気浸透排水システム。
【請求項9】
前記土壌通気浸透排水システムを適用する対象領域の立穴及び/又は長尺溝に、配置された前記中空部材の周囲には、乾留により得られる炭化物を含む充填材を配置することを特徴とする
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の土壌通気浸透排水システム。
【請求項10】
前記充填材の周囲に通気性及び通水性を確保しつつ泥の侵入を防止
した泥こし機能
を有する泥侵入防止材を配置してなることを特徴とする
請求項9に記載の土壌通気浸透排水システム。
【請求項11】
前記中空部材を配置した下部、上部、周囲の一部に支持部材としての捨てコンクリート、石組み、砕石、砂利を含む石質系と、杭、植栽、木組み支柱を含む木質系の有機素材と、その他金属系のピンや杭のうち、少なくとも一つ以上を配置し、前記中空部材の支持機能をシガラミ構造として多様化したことを特徴とする
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の土壌通気浸透排水システム。
【請求項12】
地盤改良に用いられる土壌通気浸透排水施工方法であって、
土壌通気浸透排水システムを適用する対象領域の所定位置に少なくとも一つの立穴を形成する立穴形成工程と、
前記立穴形成工程で形成した立穴の土壌中に、通排気性が確保され
不定形の外壁からなる平面状又は立体状のシガラミ構造
を有して形成された中空部材を配置する中空部材配置工程と、
前記中空部材配置工程で配置した中空部材の周囲に乾留により得られる炭化物を含む充填材を配置する充填材配置工程と、
前記充填材配置工程の後で、充填材の周囲に通気性及び通水性を確保しつつ泥の侵入を防止する泥侵入防止材を配置する泥侵入防止材配置工程と、
前記立穴形成工程で形成した立穴を埋め戻し、その後整地する、埋め戻し整地工程と、
最後に、土壌通気浸透排水システムを適用する対象領域に、少なくとも植物、グランドカバーを配置できるように土壌を形成する土壌形成工程と、
を備えた土壌通気浸透排水施工方法。
【請求項13】
地盤改良に用いられる土壌通気浸透排水施工方法であって、
土壌通気浸透排水システムを適用する対象領域の所定位置に所定数の立穴を形成し、この立穴から所定方向に延びる長尺溝を形成する立穴及び長尺溝形成工程と、
前記立穴及び長尺溝形成工程で形成した立穴及び長尺溝に、
通排気性が確保され不定形の外壁からなる平面状又は立体状のシガラミ構造を有して形成された中空部材を配置し、前記立穴と
前記長尺溝に配設された中空部材を連結した中空部材配置・連結工程と、
前記中空部材中の周囲に乾留により得られる炭化物を含む充填材を配置する充填材配置工程と、
前記充填材配置工程の後で、充填材の周囲に通気性及び通水性を確保しつつ泥の侵入を防止した泥侵入防止材を配置する泥侵入防止材配置工程と、
前記立穴及び
前記長尺溝を、通気浸透性を確保しつつ埋め戻し、整地する、埋め戻し整地工程と、
土壌通気浸透排水システムを適用する対象領域に整地し、少なくとも植物を含むグランドカバーを配置できるように通気浸透性を確保しつつ土壌を形成する土壌形成工程と、
を備えた土壌通気浸透排水施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌通気浸透排水システム及び土壌通気浸透排水施工方法に係り、土壌内の空気の流れ及び水の流れを向上させ、システム対象領域(又はシステム対象流域)における空気の流れ及び水の流れの下流域から上流域に至る流域全体の機能を改善し、浸透桝及び暗渠排水管並びに開渠排水路等の用途を持たせると共に、植物の繁茂環境を改善し、大地における土壌環境全般にわたる雨水浸透機能の再生及び地形崩壊防止を図った土壌通気浸透排水システム及び土壌通気浸透排水施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、雨水等による水害の軽減・地球温暖化の防止、植物の繁茂に適した土壌に改良するために、水の浸透性や保水性等の水に対する改善と、植物の栄養としての肥料の改善が重要とされてきた。
【0003】
水に関する改善技術としては、土壌中に暗渠排水管、浸透枡、素掘りの開渠排水路を配置し、土壌中の水分を調整する技術や、植物の繁茂に適した肥料の散布や養分に富んだ土壌の入れ替え等の土壌改良施工技術が知られている。
浸透性を利用した開渠排水路、暗渠排水管や浸透枡による土壌水分の調整技術は、土壌中に配置した多孔管の周囲に砕石・砂等の透水性の充填材を配置し、暗渠排水管や浸透枡の周囲土壌中の水分を、透水性の充填材から多孔管又は浸透性の開渠排水路内に集水し排水する技術である。
【0004】
しかしながら、従来技術では、植物の繁茂に適した土壌に関して、水、肥料に関する改善がなされてきたが、土壌中の空気の流れについて問題にすることがなかった。一般に、植物は水がなくてもすぐに枯れることはなく、土壌中の腐敗による有機ガスが多量にこもった状態の時に、根が直接有機ガスを吸収し傷むこともある。しかし、水が混在すると、水に有機ガスが溶け、この水を植物の根が吸うと、瞬く間に葉がしおれ枯死することがある。
【0005】
一方、従来の浸透性の開渠排水路、暗渠排水管、浸透桝による土壌排水技術では、ほとんど土壌からの排水を目的とするものであり、一定期間経過すると浸透性の開渠排水路、暗渠排水管や浸透枡の外周に充填される砕石・砂等の透水性の充填材の間隙に泥や腐食した植物有機物等がたまり、暗渠排水管や浸透枡の周囲土壌や、充填材及び暗渠排水等の通路が目詰まりし、透水性が低下するという問題が発生することになる。
【0006】
また、浸透性の開渠排水路、暗渠排水管、浸透桝と、透水性を有する充填材の重みにより、暗渠排水管や浸透桝等を配置している周囲土壌を圧密し、土壌の通気性・透水性が低下するという問題も発生する。土壌の通気性、透水性の低下は、土壌中の空気、水のよどみによる有機物の腐敗、この腐敗による有害ガスの発生により、植物の繁茂環境が悪化する。
【0007】
植物の繁茂環境が悪化すると、土壌中に植物の根がなくなり、土壌の通気性、浸透性が一層悪化するという悪循環が生じ、土壌は乾燥し圧密になり、逆に部分的に空気や水が停滞し、益々植物の繁茂に適さない土壌になってしまう。
【0008】
このため、本発明者は、特許文献1に示される土壌通気排水システムを発明し、提案した。
この技術によれば、地下土壌中に配置され、外周に通気性及び通水性を確保する通路が形成された中空部材の周囲に乾留により得られる炭化物を含む充填材を配置することで、施工エリア内の周辺土壌内の空気を円滑に抜き(即ち通気させ)、土壌内のヘドロや有機ガスを抜き、植物の繁茂を促進し、土壌中に植物の根が広がることを促進し、一層土壌の通気性、通水性を向上させるという好循環を形成することを提案した。
【0009】
また、特許文献1の技術によれば、炭化物は長期間にわたり水、空気の浄化力を保持するため、長期間その機能が維持される土壌通気排水システムとすることが期待でき、中空部材中に回収される水、空気が浄化された状態で回収されるため、後処理が簡単になる。さらに、充填材の間隙への泥の侵入による通路の目詰まりを防止し、長期間の使用に耐える土壌通気排水システムとすることができる。その上、中空部材を外周に大径の孔と小径の孔を多数形成した多孔管とする構成により、大径の孔から空気を中空部材内に流入させ、小径の孔から水を流入させ排水、排気することにより、土壌の通気性、通水性の向上を期待できるものであった。
【0010】
そして、中空部材を地下土壌中に縦方向に向くよう配置する構成により、浸透桝等の用途、中空部材を土壌中に横方向に向くように配置する構成により、暗渠排水管の用途に使用することができる優れたシステムであった。
【文献】特開2006-288354号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1の技術は、前述したように、極めて優れた土壌通気排水システムであるが、大地における土壌環境全般にわたる雨水浸透機能の再生及び地形崩壊防止できる、より改善された土壌通気排水システムが望まれていた。
そこで、本発明者は、鋭意研究し、これまでの集水するパイプと、集水した水を回収するマス(桝)の容積との比率を基にしたシステムは、これまでの既存材料の比率に準じた構造体を考慮して行われていた点に着目し、より効率よく、永続的なシステムについて研究し、本発明をなすに至った。
【0012】
すなわち、これまでの土壌排水システム及び施工において、表層地面の水の動きは停滞するか浸食されるかが問題であった点に注目し、よって、停滞は捌かせばよいし、浸食はその浸食力を弱める処置か、そこをカバーすればよしとされてきた。
しかしながら、本発明者は、自然界の循環機能は、一定の空気と水の流れに伴う通気・通水、保水・保気の循環機能であるという知見に基づいて、これら循環機能は、等圧機能-等加速度運動に他ならないことを見出した。そして、この状態(本明細書では、以下「安息状態」という)が保たれた時、循環型の土壌通気浸透排水システムと施工が解決される知見を得て、特に表層地面の表層5cm足らず(実際は地形にもよるが、5cm~20cm程度)の小さな地層の循環機能が日常的に保たれることによって、動植物の生息するエリア全体の土壌層に循環機能が連鎖的に作用することにより現場実証法的に解決されてきた経験則から、上記各課題を解決する上で表層5cm(実際は地形にもよるが、5cm~20cm程度)の気水脈改善の日常化が不可欠であることを確認した。
【0013】
そこで、川中に杭を打ち横木を噛ますことで水流の向きを変え、水の圧力を抑制する構造であるシガラミ構造に着目し、大地における土壌環境全般にわたる雨水浸透機能の再生及び地形崩壊防止を達成するために、川中でなく、所定領域の土壌においてもシガラミ構造を利用し、水及び空気について、直線的な排水・排気等の観点を見直し、渦流による多様性に富んだ不定形で、流線形、波紋形、らせん状構造取り入れた土壌通気浸透排水システムを発明するに至ったものである。
【0014】
本発明者は所定領域内における土壌内の空気の流れ及び水の流れについて、下流域から上流域の流域全体の機能を改善し、浸透桝或いは暗渠排水管及び開渠排水等の用途を持たせると共に、従来の直線的な水や空気の流れによる改善は、流れの運動が段々と圧力を増す加速度的であることに着目した。
【0015】
本発明の目的は、水流や空気流を等速で対応できるシステムを構築し、植物の繁茂環境を改善でき、大地における土壌環境全般にわたる雨水浸透機能の再生及び地形崩壊防止が図れ、長期間その機能を維持することのできる土壌通気浸透排水システム及び土壌通気浸透排水施工方法を提供することにある。
【0016】
なお、本明細書において、等加速度運動(motion of uniform acceleration)とは,加速度が一定の運動で,一定の大きさと方向をもつ力を受けているときの運動を意味し、地表表面では,重力(gravity)は近似的に均一で一定と考えられるため,地表近くの物体の運動は等加速度運動を意味する。一般に、等加速度運動では,物体の初速度がゼロ度又は加速度の方向と初速度の方向との成す角度が0度又は180度の場合は,物体は一直線上を移動する直線運動となる。一方,初速度の方向と加速度の方向の成す角度が0度又は,180度以外の場合は,移動の軌跡が放物線を描くことになる。また自然界の動きに直線はなく、らせん形、あるいはらせん状の渦巻きの形をとる。らせん形は混沌から秩序を発生させる流体エネルギーの本来の姿である。
更に本明細書において、「土壌浸透気水脈」とは、空気と水が一対を成して動く動線、構造体、脈絡を意味し、「渦流」とは直線的な加速度での土壌浸透気水脈ではない状態を意味する。
また本明細書において、「やたら構造」とは、空気と水の渦流モーメントに沿った構造で、流線形、波紋状、らせん形等の合成された構造を指し、構造を構成する各材料の太さ等も不均等なのにバランスが崩れることがなく、一見適当に見える組み込み方でも、計算されたうえでの無秩序を表現しているものをいう。
更にまた、本明細書で「孔」と表現するのは、円孔に限らず、シガラミ構造によって生み出される孔類似の間隙を含むものをいう。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記課題は、本発明の土壌通気浸透排水システムによれば、地盤改良に用いられる土壌通気浸透排水システムを適用する対象領域において、前記対象領域の土壌の所定領域に少なくとも一つ形成された立穴、及び/又は前記対象領域に亘って形成された長尺溝と、該立穴及び/又は前記長尺溝に配置された空気や水の通排気性が確保されたシガラミ構造を有する中空部材と、が配置され、前記シガラミ構造を有する中空部材は、長さや幅の異なる直線状又は曲線状の少なくとも一つ以上の材が不規則に配置され、前記材間に形成された不定形の間隙を備えて形成された不定形の壁面を有すること、により解決される。
【0018】
このように対象領域の土壌に、対象領域の土壌の所定領域に少なくとも一つ形成された立穴、及び/又は前記対象領域に亘って形成された長尺溝と、該立穴及び/又は前記長尺溝に配置された空気や水の通排気性が確保されたシガラミ構造を有する中空部材と、が配置され、前記シガラミ構造を有する中空部材は、長さや幅の異なる直線状又は曲線状の少なくとも一つ以上の材が不規則に配置され、前記材間に形成された不定形の間隙を備えて形成された不定形の壁面を有するので、シガラミ構造からなる中空部材そのものが、規則性を重んじるこれまでとは異なり、自然界の不規則な環境に整合した状態で、土壌における通気浸透排水が可能となり、大地における土壌環境全般にわたる雨水浸透機能の再生及び地形崩壊防止できる。
【0019】
また前記中空部材は所定領域に形成された縦方向の溝に配置され、前記中空部材の外壁には間隙が形成され、前記間隙は、前記間隙を構成する材と前記間隙の面積比率を、間隙を構成する材の総面積≦間隙の総面積で構成されたので、定型構造物とは異なり、水や空気の土壌浸透気水脈に際して、自然状態に即して邪魔にならず、流通浸透排水を円滑に土壌浸透気水脈として渦流で流通できるようにすることが可能である。
【0020】
また前記中空部材は所定領域に形成された横方向の長尺溝に配置され、前記中空部材の外壁には間隙が形成され、前記間隙は、前記間隙を構成する材と前記間隙の面積比率を、間隙を構成する材の総面積≦間隙の総面積で構成されると好適である。
【0021】
このように、間隙を構成する材と間隙の面積比率を、間隙を構成する材の総面積≦間隙の総面積としているので、水や空気が流通する孔や間隙(開口面)の面積の方が大きく形成されることになり、水や空気が渦流として、円滑に通過できるとともに、間隙を構成する材の総面積≦間隙の総面積としているので、間隙を通して水、空気が通気浸透排水することができ、間隙を構成する材に阻止される土砂や小石による目詰まりが少なく、メンテナンスが容易である。
【0022】
このとき、前記立穴に配置された中空部材と、前記長尺溝に配置された中空部材とが連結され、前記長尺溝に配置された中空部材は、土壌通気浸透排水システムを適用する対象領域の長尺溝の土壌中に一定の領域に亘って配置され、前記中空部材の外壁は、長さや幅の異なる直線状又は曲線状の少なくとも一つ以上の部材が不規則に配置され、前記部材間に形成された不定形の間隙を備えて形成されていると好適である。
【0023】
また、前記立穴に配置された中空部材と、長尺溝に配置された中空部材との連結は、立穴に配置された中空部材の中央から外れた位置で、長尺溝に配置された中空部材の先端が、立穴に配置された中空部材に対して、下方に向けて連結されていると好適である。
【0024】
さらに、前記立穴に配置された中空部材と、長尺溝に配置された中空部材との連結は、前記立穴に配置された中空部材の一つに対して、長尺溝に配置された二つの中空部材が連結され、前記長尺溝に配置された二つの中空部材は、前記立穴に配置された中空部材の外面と高さ位置において、接続位置が異なっているように構成すると良い。
【0025】
前記立穴及び/又は前記長尺溝に配置される中空部材の上面には、中空部材を覆うグレーチング蓋が配設され、該グレーチング蓋は、複数種以上の間隙を有する不定形の柵状の枠から構成されていると好適である。なお、グレーチング蓋の下で、グレーチング枠との立体的な構造で、井桁構造とすると好適であり、風圧を調整することができる。
【0026】
また前記グレーチング蓋は、前記柵状の枠に切れ目が形成されていると好適である。このように切れ目が形成されていると、枠に水、空気、土砂等の圧力が所定以上加わったときに、切れ目があるために、枠が変形し、所定以上の圧力を逃がすことが可能となり、グレーチング蓋の破壊を防止すると共に、水、空気、土砂等の圧力を円滑に回避することが可能となる。
以上のように、グレーチング蓋を用いると、グレーチング蓋による表面排水を行い、中空部材への風を通りやすい性質を利用して、風の荷重(風圧)を緩和することが可能となる。そして、グレーチング蓋の下で、グレーチング枠との立体的な構造で、風圧を調整するために、前記柵状の構造を応用することができる。
【0027】
このとき、前記土壌通気浸透排水システムを適用する対象領域の立穴及び/又は長尺溝に、配置された前記中空部材の周囲には、乾留により得られる炭化物を含む充填材を配置すると好適である。
このように、乾留により得られる炭化物の持つ水、空気の浄化力及び土壌環境の親和性により通気・通水性を有する充填材周囲の土壌の植物繁茂環境を改善し、植物の繁茂を促進し、土壌中に植物の根が広がることにより一層土壌の通気性、通水性を向上させることができる。
【0028】
また、乾留により得られる炭化物は、長期間にわたり水、空気の浄化力を保持するため、長期間その機能が維持される土壌通気排水システムとすることができる。さらに、中空部材中に回収される水、空気が浄化された状態で回収されるため、後処理が簡単になる。
このように、中空部材を縦方向又は横方向に向くように配置すると、開渠排水路、浸透枡或いは暗渠排水などとして活用することができる。
【0029】
そして、前記充填材の周囲に通気性及び通水性を確保しつつ泥の侵入を防止した泥こし機能を備えた泥侵入防止材を配置すると好適である。
このように泥侵入防止材を用いると、充填材の間隙への泥の侵入による充填材及び中空部材への目詰まりを防止し、長期間の使用に耐える土壌通気排水システムとすることができる。本発明では、中空部材を構成する材の総面積に対して、水や空気が流通する開口面の面積の方が大きく形成されているので、中空部材自体の目詰まりは少ないものの、中空部材と配置位置の土壌との間で、通気性及び通水性を阻害することを予防することができる。そして、その場における土圧・水圧・空気圧に応じた耐圧機能としてそれぞれの材が、相対的耐圧機能を備えることになる。
【0030】
また前記中空部材を配置した下部、上部、周囲の一部に支持部材としての捨てコンクリート、石組み、砕石、砂利を含む石質系と、杭、植栽、木組み支柱を含む木質系の有機素材と、その他金属系のピンや杭のうち、少なくとも一つ以上を配置し、前記中空部材の支持機能をシガラミ構造として多様化したように構成すると好適である。
これは、中空部材の支持度合いが強すぎると、このシステムや施工における間隙を動く空気と水の動きが低下し、このシステム及び施工法の機能が低下することになる。よってこの調整の加減として、この中空部材にかかる土圧及びその周辺の間隙にかかる間隙圧及び、対象領域内土壌、地形にかかる地形圧といった実態を考慮したシステムを構成することができる。
【0031】
前記課題は、本発明の土壌通気浸透排水施工方法によれば、地盤改良に用いられる土壌通気浸透排水施工方法であって、土壌通気浸透排水システムを適用する対象領域の所定位置に少なくとも一つの立穴を形成する立穴形成工程と、前記立穴形成工程で形成した立穴の土壌中に、通排気性が確保され不定形の外壁からなる平面状又は立体状のシガラミ構造を有して形成された中空部材を配置する中空部材配置工程と、前記中空部材配置工程で配置した中空部材の周囲に乾留により得られる炭化物を含む充填材を配置する充填材配置工程と、前記充填材配置工程の後で、充填材の周囲に通気性及び通水性を確保しつつ泥の侵入を防止する泥侵入防止材を配置する泥侵入防止材配置工程と、前記立穴形成工程で形成した立穴を埋め戻し、その後整地する、埋め戻し整地工程と、最後に、土壌通気浸透排水システムを適用する対象領域に、少なくとも植物、グランドカバーを配置できるように土壌を形成する土壌形成工程と、を備えたことにより解決される。
【0032】
前記課題は、本発明の土壌通気浸透排水施工方法によれば、地盤改良に用いられる土壌通気浸透排水施工方法であって、土壌通気浸透排水システムを適用する対象領域の所定位置に所定数の立穴を形成し、この立穴から所定方向に延びる長尺溝を形成する立穴及び長尺溝形成工程と、前記立穴及び長尺溝形成工程で形成した立穴及び長尺溝に、通排気性が確保され不定形の外壁からなる平面状又は立体状のシガラミ構造を有して形成された中空部材を配置し、前記立穴と前記長尺溝に配設された中空部材を連結した中空部材配置・連結工程と、前記中空部材中の周囲に乾留により得られる炭化物を含む充填材を配置する充填材配置工程と、前記充填材配置工程の後で、充填材の周囲に通気性及び通水性を確保しつつ泥の侵入を防止した泥侵入防止材を配置する泥侵入防止材配置工程と、前記立穴及び前記長尺溝を、通気浸透性を確保しつつ埋め戻し、整地する、埋め戻し整地工程と、土壌通気浸透排水システムを適用する対象領域に整地し、少なくとも植物を含むグランドカバーを配置できるように通気浸透性を確保しつつ土壌を形成する土壌形成工程と、を備えたことにより解決される。
【0033】
このように、本発明の土壌通気浸透排水施工方法によれば、シガラミ構造を有効に利用し、大地における土壌環境全般にわたる雨水浸透機能の再生及び地形崩壊防止が図れ、長期間その機能が維持することのできる土壌通気浸透排水システムを構築することが可能となる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の土壌通気浸透排水システムは、シガラミ構造を有する中空部材が、長さや幅の異なる直線状又は曲線状の少なくとも一つ以上の材を不規則に配置され、前記材間に形成された不定形の間隙を備えて形成された不定形の外壁からなる平面状又は立体状の中空部材を用いているので、中空部材そのものが規則性を重んじるものとは異なり、自然界の不規則な環境に整合した状態で、土壌における通気浸透排水が可能となり、大地における土壌環境全般にわたる雨水浸透機能の再生及び地形崩壊防止できる。
【0035】
そして、本発明の中空部材の周囲に用いられる各材自身及びその間隙内に、相対的に一定の空気と水が保たれる循環型保水・保気機能効果を生み出すことが可能となり、大地環境の機能再生の一つの要素が達成可能となる。
【0036】
また中空部材をシガラミ構造としているので、定型構造物とは異なり、水や空気の流通浸透排水に際して、自然状態に即して邪魔にならず、流通浸透排水を円滑にできるようにすることが可能である。特に、中空部材を構成する材の総面積に対して、水や空気が通過する開口面の面積、つまり空間の方が同等以上として形成されているので、水や空気の通過が円滑にできるとともに、土砂や小石による目詰まりが少なく、メンテナンスが容易である。そしてシガラミ構造となっているので、空気或いは水の量が所定量の時に、空気と水が渦流を成して円滑に抜け易い構造とすることが可能となる。このように、大地環境の機能再生の他の要素が達成可能となる。
【0037】
また中空部材の外周には、空隙が多数形成されて、この空隙を通して水、空気が通気浸透排水することができ、間隙を構成する材と前記間隙の面積比率を、間隙を構成する材の総面積≦間隙の総面積としているので、材の面積に阻止される土砂や小石や枝葉による目詰まりが少なく、メンテナンスが容易である。
そして立穴に配置された中空部材と長尺溝に配置された中空部材が連結され、土壌通気浸透排水システムを適用する対象領域の土壌中に一定の領域に亘って配置されることにより、土壌通気浸透排水システムを適用する対象領域における雨水等に対して、通気浸透排水性が確保された不定形の外壁を備えた中空部材により、十分な土壌通気浸透排水が確保できる。
【0038】
そして、シガラミ構造
を有する中空部材の外壁が、各々不定形形状となっているので、人工的な構造と異なり、土壌通気浸透排水に関する自然の作用に適合するようにできる。このシガラミ構造は、往復運動と回転運動
によって生まれる渦流らせんのヤタラ運動としてさらに特定できる。
本明細書で、「ヤタラ構造」は、規律・秩序・節度がなく、むちゃくちゃな状態の構造でありながら、全体として、自然界と馴染む構造を指すものをいう。
また、
複数種以上の間隙を有する不定形の柵状の枠から構成されているグレーチング蓋を用いると、グレーチング蓋による表面排水を行い、中空部材への風の通りやすい性質を利用して、風圧を調整し緩和する、つまり水脈ライン上の風の流れを促すことが可能となる。
さらに、グレーチング蓋は、前記柵状の枠に切れ目が形成されているようにすると、枠に加わる圧力が大きい場合には、グレーチング蓋が変形して風圧を調整できる。また、グレーチング枠を図79(出願時)の「やたら編みの立体構造」で示すように、立体的な構造とすることができる。
【0039】
また、中空部材の周囲に乾留により得られる炭化物を含む充填材を配置しているので、乾留により得られる炭化物の持つ水、空気の浄化力及び土壌環境の親和性により通気・通水性を有する充填材周囲の土壌の植物繁茂環境を改善し、植物の繁茂を促進し、土壌中に植物の根が広がることにより土中の水脈機能が相対的に活性化する。そして、乾留により得られる炭化物は長期間にわたり水、空気の浄化力を保持するため、長期間その機能が維持される土壌通気浸透排水システムとすることができる。さらに、中空部材中に回収される水、空気が浄化された状態で回収されるため、後処理が簡単になると同時に自然の生態系機能も相対的に活性化することになる。
【0040】
そして、泥侵入防止材を用いると、充填材の間隙への泥の侵入による充填材及び中空部材への目詰まりを防止し、長期間の使用に耐える土壌通気浸透排水システムとすることができる。本発明では、中空部材を構成する材の総面積に対して、水や空気が流通する開口面の面積の方が大きく形成されているので、中空部材自体の目詰まりは少ないものの、中空部材と配置位置の土壌との間で、通気性及び通水性を阻害することを予防することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本発明に係る実施形態の一部分を説明する模式的断面である。
【
図2】(a)、(b)は本発明に係る実施形態の一部分を説明する一例を説明する模式図であり、(a)は横から見た断面、(b)は上から見た断面面である。
【
図3】
図1のWの部分を説明する概略拡大図である。
【
図4】(a)~(f)は、中空部材の一例を説明する模式的な断面等を示す図である。
【
図5】(a)、(b)は、長尺溝に配置される中空部材の一例を示す説明図である。
【
図6】立穴に配置される中空部材の概略を示し、(a)は単体、(b)は立穴及び長尺溝に配置される中空部材の連結を説明する概略斜視図である。
【
図7】土壌通気浸透排水施工方法の立穴及び長尺溝を示す図である。
【
図8】立穴及び長尺溝に敷砂などを敷き、中空部材を配置するときの説明図である。
【
図9】立穴及び長尺溝に中空部材を配置し、グレーチング蓋を配置するときの説明図である。
【
図10】中空部材を長尺溝に配置して固定するときの状態の説明図である。
【
図11】充填材配置工程の後に、泥侵入防止材を配置し、グレーチング蓋を配置した状態を示す説明図である。
【
図15】中空部材を長尺溝の点穴から地表に出した状態の模式図的な説明図で、(a)は蓋体を装着する前、(b)は蓋体を装着した後の説明図である。
【
図16】土壌通気浸透排水システムの部分断面を説明するイメージ図である。
【
図17】立穴に単体で中空部材を配置した状態の概略断面を示す説明図である。
【
図20】土壌通気浸透排水システムを適用した一例を示す説明図である。
【
図21】土壌通気浸透排水システムを適用した一例の概略断面で、
図20のI―I断面の説明図である。
【
図23】
図17~
図19で示す土壌通気浸透排水システムを適用した他の例を示す説明図である。
【
図29】(a)~(f)は水脈埋戻し例の説明図である。
【
図30】(a)~(f)は樹木周りの点穴とその施工の説明図である。
【
図31】(a)~(c)は空気視点から見た人口林の手入れ説明図である。
【
図32】(a)~(g)はグランドカバーと炭、炭・チップの巻き方の説明図である。
【
図33】(a)~(f)は自然の沢に関する施工例の説明図である。
【
図34】(a)~(c)はわだちの水切りの説明図である。
【
図35】(a)~(c)は直線斜面の作業道における抵抗柵の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1及び
図2は土壌通気浸透排水システムの実施形態の一部分を説明する模式的断面、
図3は
図1のWの位置を説明する概略拡大図、
図4(a)~(f)は中空部材、グレーチング蓋等
の一例を説明する模式的な断面等を示す図、
図5(a)、(b)は、長尺溝に配置される中空部材の一例を示す説明図、
図6は立穴に配置される中空部材の概略図で、(a)は単体、(b)は長尺溝に配置される中空部材との連結を説明する概略斜視図、
図7は土壌通気浸透排水施工方法の立穴形成工程及び長尺溝形成工程を示す図、
図8は立穴及び長尺溝に炭などを敷き、中空部材を配置するときの説明図、
図9は立穴及び長尺溝に中空部材を配置し、グレーチング蓋を配置するときの説明図、
図10は中空部材を長尺溝に配置して固定するときの状態の説明図、
図11は充填材配置工程の後に、泥侵入防止材を配置し、グレーチング蓋を配置した状態を示す説明図、
図12は泥侵入防止材配置工程の説明図、
図13は埋戻し工程の説明図、
図14は土壌形成工程の説明図、
図15は中空部材を長尺溝の点穴から地表に出した状態の模式図的な説明図で、(a)は蓋体を装着する前、(b)は蓋体を装着した後の説明図、
図16は土壌通気浸透排水システムの部分断面を説明するイメージ図、
図17は立穴に単体で中空部材を配置した状態の概略断面を示す説明図、
図18は
図17の埋戻し工程の説明図、
図19は
図17の土壌形成工程の説明図、
図20は土壌通気浸透排水システムを適用した一例を示す説明図、
図21は土壌通気浸透排水システムを適用した一例の概略断面で、
図20のI―I断面の説明図を示す説明図、
図22及び
図23は
図17~
図19で示す土壌通気浸透排水システムを適用した一例を示す説明図である。また、
図24乃至
図37は本発明を補足する図であり、
図24は点穴の作り方を示す説明図、
図25は三つグワの動かし方の説明図、
図26は水脈溝の掘り方の説明図、
図27は水脈への枝の入れ方の説明図、
図28は水流の制御の一例を示す説明図、
図29の(a)~(f)は水脈埋戻し例の説明図、
図30の(a)~(f)は樹木周りの点穴とその施工の説明図、
図31の(a)~(c)は空気視点から見た人口林の手入れ説明図、
図32の(a)~(g)はグランドカバーと炭、炭・チップの巻き方の説明図、
図33の(a)~(f)は自然の沢に関する施工例の説明図、
図34の(a)~(c)はわだちの水切りの説明図、
図35の(a)~(c)は直線斜面の作業道における抵抗柵の説明図である。
【0043】
以下実施態様における部材等は、部材を構成する材料のもつ形、質、重さのそれぞれのオリジナル性質にあいまった多様性を考慮することによって、より相乗的目詰まり解消機能等を生み出せるように構成できる。つまり、多様性(例えば3種以上)をセットで用いることにより、それぞれ単体で配置される以上の相乗的効果機能が生み出されるものである。
【0044】
シガラミ構造の説明(ここでの定義)として、●不定形構造の中でも、いわゆる宇宙エネルギーの一つとも言える渦流エネルギーによって、空気と水の流れの圧力により回転運動と往復運動が合成された結果生み出される構造、●波紋状、らせん状の空気と水の流体エネルギーの上下・左右の立体的蛇行運動によって生み出された構造。よって、材のある程度の構造上の条件を特定できる。
【0045】
(三様)材の三種:(1)形、(2)質、(3)重さ
三種三様の組み合わせは、多様性を基準に、実証法的に実用化していく。対象領域の自然状態である水量含めた集水量及び人の土地利用含めたその場の土圧等を考慮してこのシステムの規模特定を実用化する。
対象領域(場)の三種:(1)地形、質、重さ(土圧)※人為条件である人の土地利用も含む。
【0046】
本発明におけるシガラミ構造とは、不定形構造の中でも、いわゆる宇宙エネルギーの一つとも言える渦流エネルギーによって、空気と水の流れの圧力により回転運動と往復運動が合成された結果生み出される構造。または、波紋状、らせん状の空気と水の流体エネルギーの上下・左右の立体的蛇行運動によって生み出された構造である。
よって、材のある程度の構造上の条件を特定できる。
シガラミ構造を生み出すために、単一ではなく多様性が必要であるが、それは三種三様を基準にした組み合わせによっておおよそ多様性を実現できる。まず、材を形と質と重さの三種から、それぞれに対して、三様を組み合わせる。形の三様は例えば大・中・小、重さの三様は軽~重のうち三種類など。
その三種三様の組み合わせは、多様性を基準に、実証法的に実用化していく。
対象領域の自然状態である水量含めた集水量及び人為条件である人の土地利用も含めたその場の土圧等を考慮して対象領域(場)の地形、質、重さ(土圧)の三種に注目しながら、このシステムの規模特定を実用化する。
【0047】
一般に、土地造成や大型の人工構造物の建設等により土壌の通水性と通気性が減少し、植物の繁茂環境が悪化した敷地や、公園、緑地等の現在植物繁茂環境が良好な敷地において、本発明に係る土壌通気浸透排水システムが、土壌の保水及び保気性の向上、通気性及び通水性の改善、維持を目的として適用されるものである。そして、地下水を涵養することにより、水害の軽減・地球温暖化の防止などといった働きを果たすことが可能であり、雨水を資源として有効活用することができる。
【0048】
図1は、本発明の土壌通気浸透排水システムSを適用する対象領域に、縦方向の立穴
(縦穴)Hに配設された中空部材10と、この中空部材10と長尺溝M(横方向)に配設された長尺の中空部材Pとが連結された状態を示すものである。
地盤改良に用いられる土壌通気浸透排水システムSを適用する対象領域(例えば
図20)において、土壌Dの所定位置と所定間隔で、立穴
(縦穴)Hを掘削する。立穴
(縦穴)Hの径、深さ、間隔、地形は、土壌Dの通水性、通気性、耐圧、保水・保気、泥こしの各機能状態による悪化の程度等の土壌環境に応じて選択される。
【0049】
このとき、立穴
(縦穴)Hに連続して、長尺の中空部材P(
図5(a)(b)参照)を配置する長尺溝(通路)Mを掘削する(
図7参照)。この長尺溝(通路)Mは、所謂やたら掘りにより、底面は平らにさらうのではなく、左右交互にクサビ状の凹凸が形成されるように
する。そして溝は緩やかな蛇行曲線の溝となるように掘ると好適であるが、ある程度の幅で掘削されていれば、この幅において、長尺の中空部材Pを直線状でなく配置できるので、直線状の溝であってもよい。
長尺の中空部材P
の外壁は、空気や水の通排気性が確保されたシガラミ構造
を有し、本例ではコルゲート管のような部材で、周囲面は縦、横、斜めの直線又は曲線の少なくとも一つ以上
の材で構成される不定形の
壁面を有して構成され、フレキシブルなものとなっている。
【0050】
図1の例では、立穴
(縦穴)に配置される中空部材10と長尺の中空部材Pを接続しているが、中空部材10に水が相対的等速―水量、水圧、土圧に応じたその場の流速(等速)で、円滑に流れるように長尺の中空部材Pも相対的に考慮した勾配を付けて、長尺溝Mを掘削する。このとき、逆流しないように、長尺溝Mの深さを決定するが、
図21で示すように、排水できる層に厚みが出来るように立穴
(縦穴)に配置される中空部材10内の水面より高い位置に、長尺の中空部材Pの底が位置するように行う。
【0051】
なお本例において長尺の中空部材Pは、外周面が不特定面で構成されたコルゲート管のような長尺部材(パイプ状)を用いている。長尺部材(パイプ状)の径は80~100mmのもので、より機能的に言うならば、らせん曲線の組合せによるメッシュ構造で、施設時に曲げることができるように構成されている。
【0052】
本例における中空部材10と中空部材Pの接続は、
図2(b)で示すように、中空部材10の中心から外れた位置で対向するように連結されると、中空部材Pからの流れが、中空部材10内で渦様の流れとなり円滑に流通する。また、中空部材10と中空部材Pの上下方向の接続位置は、
図2(a)で示すように、高い位置側の中空部材Pを中空部材10の高い位置で連結し、低い位置側の中空部材Pを中空部材10の低い位置で連結している。
【0053】
図3は
図1のWの位置を説明する概略拡大図であり、地ならしとグランドカバーの部分を示す断面図である。表層5cm~20cmを掘削した土の上(いちばん表面)に「チップと炭」(粗腐葉土、炭)の層G1及びG2をグランドカバーGとした例である。このグランドカバーGの下側には、土が、ほぐれて堆積している層G3となっている。
【0054】
また
図1で示すように、立穴
(縦穴)Hの底部には泥浸入防止のため透水性の軽量な砂等の敷砂20や砂利、砕石、植物枝葉を設置する。
敷砂20が設置された立穴Hの底部に、充填材60を配置する。そして敷砂20は泥浸入防止のため、透水性の軽量の砂等から構成され、そして敷砂20の次に充填材60を配置する。この充填材60は炭、軽石、砂等を混ぜたものを用いる。
そして、充填材60の上部に、泥浸入防止材70を配置する。この泥浸入防止材70は、伐採した樹木の枝や粗朶(そだ)などで構成され
、さらに複数の捨てコンクリート30を配置する。
この捨てコンクリート30が固化する前に、外周に通水性、通気性を確保された中空部材10を、その下端が捨てコンクリート30やその他支持部材で適宜の固化により固定されるように設置する。中空部材10を構成する径は、立穴Hの径より小さく、好ましくは約半分または3分の2程度の範囲(相対選択とする)とすると好適である。なお、符号80は埋戻し土壌、符号90は芝生等の植栽である。
【0055】
中空部材10(中空部材P)の材質としては、コンクリート、樹脂、金属製等どのようなものでも良いが、好ましくは有機材料、例えば木等の天然素材が最も好ましく、中空部材10の重量により周囲土壌を圧密しない軽量で耐圧性の材料が望ましい。
そして、中空部材10(中空部材P)は、例えば
図4の(a)~(f)で示すように、通排気性が確保され不定形の面からな
る枠体12を複数接合して構成されており、シガラミ構造として形成されている。
【0056】
本実施形態のシガラミ構造は、
上述の不定形の柵状の枠材12
を有して形成されている。不定形の柵状の枠材12は、
図4の(a)~(f)では平面で描かれているが、立体的に配置されて、
不定形の外壁として構成することができる。また井桁構造によれば、グレーチング蓋の下で、井桁構造を応用し、グレーチング枠との立体的な構造とすることが可能である。
なお、符号13は枠材12で形成される開口面である。また枠材12には、所定位置に切れ目14が形成され、枠材12に加わる圧力が大きい場合には
変形して、円滑に流れるようになっている。
【0057】
そして、本例では、中空部材10(中空部材P)を構成する材(枠材)12の総面積に対して、水や空気が流通する開口面(枠材12間の開口部:間隙)13の面積の方が同等以上で形成されている。つまり、間隙13を構成する柵状の枠体(枠材)12と間隙13による面積比率を、間隙13を構成する材の総面積≦間隙の総面積とし、間隙13から、水と空気が土壌浸透気水脈として等加速度運動で、渦流となって流通する。
【0058】
そして、中空部材10(中空部材P)の底部と、立穴H及び中空部材10との環状空間に通気性、通水性の高い充填材60を充填する。通気性、通水性の高い充填材60としては、乾留により得られた炭化物を主材料とし、それに軽石、砂、又は砕いた炭化物等を混ぜたものとし、充填材60を含めた構築に関する全体重量を軽量にし、その重量により土壌を圧密するのを防止する。乾留により得られる炭化物としては、木炭、竹炭等である。乾留により得られる炭化物は、様々な大きさの細孔が存在し、ポーラスな構造であるため、その表面積が非常に大きく水、空気の浄化能力が非常に大きい。さらに、圧密状態における通気、通水、保気、保水機能が非常に高い。
【0059】
そのため、周囲土壌中から有機ガス等を含む空気や、有害な物質が溶け込んだ水が充填材60中に流入しても、炭化物が有機ガス、有害物質を吸収し浄化する機能を持ち、充填材60中に有機ガスや有害物質が滞留するのを防止し、通気性、透水性を中期期間長期間維持できる。乾留により得られる炭化物の細孔中の空気や水が程よく循環すると、有機ガス、有害物質を分解するバクテリアが自然発生し、その効果かがより一層発揮される。なお、これらのバクテリアを予め付着させておくと、その効果が相乗的に期待できる。なお、上記充填材以外に、その場における土壌そのものが、団粒構造を保つ範囲において使用されることも有効である。
【0060】
浸透雨水が中空部材10(中空部材P)の周辺に浸透してきた場合、雨水の動きの前に土壌内から空気が押し出されてくる。この空気が、雨水の水圧で押し出されてきた時、円滑に中空部材10の中及びその周辺に移動してくれないと、その後から押し出されてくる雨水が、空気の抵抗を受けて集水が弱くなることになる。よって、開口面が大なり小なりの複数の間隙(孔)などで、確保されていることで様々な水圧に伴う空気圧を抜くことが可能となる。
【0061】
図1で示すように、
立穴(縦穴)に配置される中空部材10には、通水性、通気性が確保されたフレキシブルな長尺の中空部材(パイプ状)Pが連結され、この長尺の中空部材Pは土壌Dに形成された通路(長尺溝M)に配置される。長尺の中空部材Pは周囲の土壌Dの圧力に耐えるもの(圧力でつぶれないもの)であれば、網目の円筒体ではなく、空気と水の渦流モーメントに沿った構造で、流線形、波紋状、らせん形等の合成された構造で形成されている。
つまり、定型的な規則だった構成ではなく、特定なものと定めず、手当たり次第な様子の構造、いわゆる、やたら構造で形成することができる。これにより長尺の中空部材P自体が目詰まりすることがなく、通気性及び通水性に優れているものとなる。
【0062】
上述の実施態様では、中空部材10として、シガラミ構造のものを説明したが、通気性及び通水性、即ち通気浸透排水性が確保された不定形の外壁で構成された中空部材10、例えば外形部を形成する外面を備え、外面は、長さや幅の異なる材であって、縦、横、斜めの直線状又は曲線状の少なくとも一つ以上の材で不規則に組み込まれた不定形の組込み材10aを用いて、この組込み材10aの間で形成された間隙13とで構成するようにすることができる。このとき、間隙13を構成する材(組込み材10a)と間隙13の面積比率を、間隙13を構成する材(組込み材10a)の総面積≦間隙13の総面積で構成すると好適である。
【0063】
立穴に配置される不定形の立体構造物である中空部材10の上面は、解放面となっており、この上面の解放面を覆うようにグレーチング蓋40が配設されている。
グレーチング蓋40は、前述の中空部材10(中空部材P)の材質と同様で、その形状は
図4(a)~(f)で示すように、中空部材10の空気と水の渦流に沿った構造で、流線形、波紋状、らせん形等の合成された構造、上記したシガラミ構造や、いわゆるやたら構造で構成されている。グレーチング蓋40の材質は鉄(亜鉛メッキ)、ステンレス、アルミニウム、FRP製、木材等の天然素材などが用いられる。
【0064】
つまり、グレーチング蓋40の平面視形状は、
図4(a)~(f)で示すような、長さ等が異なる不定形から
なる材を組み合わせたもの、長さ等が異
なる材を組み合わせたもの、長さ等が異なる外周辺から
なる材を組み合わせ楕円形・二等辺三角形・不等辺三角形となるようにしたもので、中空部材10の上面の解放面の形状に合わせて形成したもの等、多面体の構造となるように構成されている。
なお、
材の角部15は、流線形状にして、水、空気、その他の流通を阻害する流動物が、引っかからないような形状をしている。
さらに、図示はしないが、長さ等が異なる外周辺からなる
各枠の材を組み合わせたもので中空部材10の上面の形状に合わせて不等辺五角形となるようにしたものも用いることができる。
【0065】
一般に、「雨水浸透枡」は、地表の雨水を効率的に土中へ浸透させるため、枡の底は砂利など水が土に浸透しやすい状態とし、地表に降り注いだ雨水を枡の中で一時的に貯蓄させ、徐々に地中へと浸透させてゆく。雨水浸透枡の設置により不飽和の地層や帯水層まで雨水が到達することが可能となり、十分な水量が供給されることによって湧水泉を復活させることに繋がる。更に、一度土の中にしみ込んだ雨水はゆっくりと時間をかけて河川へと到達するため、大量の水が一気に流入するために起こる都市型水害を緩和する効果がある。つまり、自然の天然水脈における、浸透分散機能にならう設備が構成されることが重要である。ここでは、間接的な対応として、流域機能の再生・改善を図るため、土壌の団粒化として、土壌層の均等化、植物根層の再生安定化、土壌層の通気・通水機能として土壌層の保水・保気機能の再生、土壌層の耐圧機能の再生、気象機能の再生を図ることが重要である。
【0066】
そこで、本発明に係る中空部材10を雨水浸透枡(住宅地などに降った雨水を地面へと浸透させることのできる設備)として、利用し、浸透の速度を緩やかにすることができるため、設備一つ一つが巨大である必要はない。多くの場所で少量ずつ浸透させて処理できるよう広範囲に分散させて設置することにより、その効果をよく発揮する。このため、雨水浸透枡は個別住宅での使用に適した、設置・管理が容易で小型かつ安価なものとなっている。
【0067】
中空部材10の上面をグレーチング蓋40で覆うが、立穴及び長尺の溝上部は、基本的に埋戻さず、やむおえない場合は、ふさいだ機能を他の場で代替できるようにして、抜く必要がある。なお相対的には均等分配を行う。さらに、土壌通気浸透排水システムを適用する対象領域に整地、植物等を配置できるように充填材60などを配置する。この場合も、上述と同様に基本的に埋戻さないで土壌80を形成する。また、上記通気性、通水性の高い充填材60としては、主材料としての乾留により得られた炭化物、天然素材などに軽石、砂等を混ぜたものとし、全体重量を軽量に、その重量により土壌を圧密するのを防止し、それぞれの目地、相互通気・通水機能を確保する。乾留により得られる炭化物としては、木炭、竹炭等であり、少なくとも2種以上の材料で、上述のやたら構造としたものであることが好ましい。
【0068】
中空部材10の周囲に配置される充填材60は、通気性及び通水性を確保しつつ、泥の浸入を防止する泥浸入防止材70を配置する。泥浸入防止材70としては、伐採した樹木の枝や粗朶を配置してもよい。泥浸入防止材70の選択は、周囲土壌中に含まれる泥成分の量等に応じて適宜選択する。充填材60の周囲に泥浸入防止材70を配置することにより、充填材60の間隙に泥が浸入しないので、充填材60、中空部材10の開口部の目詰まりが防止、上述のようなやたら構造を構成することで確保できる。
要するに、充填材60を充填した中空部材10と立穴Hについて、埋戻しをしないで、これらの環状空間の上部に薄い土壌層を形成し、芝等を植生して生きた植物の根で表土を濾過する構造とすることができる。
【0069】
乾留により得られる炭化物は、土壌に対する環境親和性に優れているので、長期間の使用により炭化物が粉炭状態になっても周囲土壌の植物繁茂環境を向上させる。周囲土壌に植物が繁茂することにより、植物の根が土壌中に張り巡らされ、土壌の通気性、通水性をより向上させる。このとき、水脈ライン上における上記の構造は、目詰まりを起こしやすいため、ある間隔で天穴構造をもって地上部に空気圧を抜くように構成されている。上述のように、中空部材10と溝Mとの間隙に通気性、通水性の高い充填材60を充填している。
【0070】
上記中空部材10について説明しているが、長尺の中空部材(パイプ状)についても、同様に施工することができる。これは、中空部材Pを長尺溝Mに沿って横方向に配置すると、暗渠排水などとして活用することができる。このとき、所定間隔で中空部材10と長尺の中空部材Pとを接合するなどができ、長尺の中空部材Pと接合する場合には、所定位置に長尺の中空部材Pより大きめの中空部材10が所定間隔・位置で配置されるので、ある程度多めの雨水にも対応することが可能となり、ゲリラ豪雨などのように、短時間で大量の雨水にも対応可能に、構成することもできる。
【0071】
本例において、立穴に配置された中空部材10の概略のサイズは、
図6(a)で示すように、上端側の径が250mm~300mmで、下端側(底面側)の径が100mm~150mmの尻すぼみ形状となっており、深さ(高さ)は250mm~350mmのものとなっている。つまり、上端側の径:深さ(高さ):下端側(底面側)の径=3:3:2となるように構成されている。また、中空部材10の上端の枠や中空部材10の周囲に部分も、部分的に井桁、やたら、しがらみなどの構造とすると好適である。
【0072】
立穴に配置された中空部材10と、長尺溝に配置された中空部材Pとの連結は、立穴に配置された中空部材10の網目のうち、中空部材10の中央から外れた位置をカット(切断)して連結穴15を形成する。本例では中空部材の下端側(底面側)より少し高い位置で中空部材10の中央から外れた位置と、高さ方向の中央位置で中空部材10の幅方向の径の中央から外れた位置に、二か所連結穴15を形成する。
この連結穴15に、長尺溝に配置された中空部材Pを差し込むことによって行う。このとき、長尺溝に配置された長尺の中空部材Pの端部が、立穴に配置された中空部材10に対して、下方に向けて連結する。
これにより、長尺溝に配置された長尺の中空部材Pからの水、空気の流れが、立穴に配置された中空部材10に入るときに、渦状の流れとなって、円滑に流通するようになる。
【0073】
次に、土地盤改良に用いられる土壌通気浸透排水施工方法について、図に基づいて説明する。なお、
図7乃至
図21は、各工程を示している。
図7は土壌通気浸透排水施工方法の立穴形成工程及び長尺溝形成工程を示す図であり、立穴形成工程及び長尺溝形成工程を、連結できるように形成した例を示している。対象領域の所定位置に少なくとも一つの立穴Hを形成する立穴形成工程を行う。この時、同時に或いは別途、対象領域の所定領域に長尺溝を形成する長尺溝形成工程を行う。
長尺溝M(通路)は所定の幅の溝で掘削することができるが、この場合には長尺溝Mの幅で、長尺の中空部材Pを、直線状ではなく、ある程度蛇行したように配置することができる。
そして、中空部材Pは
図10で示すように、固定部材17(例えば、長尺のピン等で構成された留め具)により、中空部材Pの端側で、長尺溝Mの底の土壌に突き刺し、固定できるように構成している。中空部材Pは三次元的に曲がりを入れて、固定部材17は、中空部材Pの幅方向(径方向)の両端に千鳥状に打つ。このとき固定部材17は、中空部材Pの中を流れる空気、水等を阻害しないように、図で示すように斜めに取り付け、固定する。なお、固定部材17は、中空部材Pの所定間隔毎に、中空部材Pの左右交互で固定している。また本例では、固定部材17として、長尺のピンを用いているが、中空部材10(中空部材P)の材質などを用いることもできる。また中空部材Pの周囲には、相対的耐圧機能を果たすために、枝等によるシガラミ構造を配置している。
本例は、立穴Hから所定方向に延びる長尺溝M(通路)を同時に連結して形成した例であるが、立穴形成工程及び長尺溝形成工程は別々に形成し、それぞれ単独で形成することができる。
【0074】
図8及び
図9は中空部材10及び中空部材Pの配置工程を示し、
図8は立穴及び長尺溝に炭などを敷き、中空部材10及び中空部材Pを土壌中に配置する工程(この時の固定の仕方も、植物の根がそれぞれの場の土壌に張力を効かせながら食い付くように、土中に侵入するような固定を工夫するとよい。)、
図9は立穴及び長尺溝に中空部材10、Pを配置し、グレーチング蓋40を配置するときの説明図、
図10は中空部材を長尺溝に配置して固定するときの状態の説明図である。
【0075】
図11は、充填材配置工程の後に、泥侵入防止材を配置し、グレーチング蓋を配置した状態を示す説明図である。つまり、立穴及び長尺溝に中空部材10、Pを配置し、グレーチング蓋40を配置し、泥侵入防止材を配置し、グレーチング蓋を配置した状態である。
図12は、泥侵入防止材配置工程の説明図であり、上記
図11の処理の後で、炭化物を含む充填材60を配置する充填材配置工程を行う。この状態を示すものである。
泥侵入防止材の配置は、流線形に柵(シガラ)む構造とし、水や空気の流下方向と枝刺しの向きが、対向するようになって配置させる。これにより、泥こしが行われる。
【0076】
図13は埋戻し工程の説明図である。この図で示すように、埋め戻し工程も、渦流方向に沿って、流線形、回転形、波紋状、らせん状に力を加えながら、整地し、埋め戻し施工を行う工程である。
【0077】
図14は土壌形成工程の説明図である。
図13で示す状態から、
図14で示すように、表層の形成をおこなうものである。表層5cmの土を形成するものである。
【0078】
図15は中空部材を長尺溝の点穴から地表に出した状態の模式図的な説明図で、(a)は蓋体を装着する前、(b)は蓋体を装着した後の説明図である。この図では、点穴からしがらみ構造をした中空部材(パイプ状のもの)Pを地上に露出させ、この中空部材Pの上面をやたら構造のかご状の蓋体で覆った
ものである。
【0079】
図16は土壌通気浸透排水システムの部分断面を説明するイメージ図である。中空部材Pの周囲には、植栽又はグランドカバーのシガラミ構造となっており、これら大枝、中枝等の耐圧機能としてのシガラミ構造は、材料間のシガラミだけでなく、地盤(大地)にシガラム状態が不可欠である。
【0080】
図17は立穴に単体で中空部材10を配置した状態の概略断面を示す説明図である。
図1と同様部材、配置については同一符号を付して、その説明を省略するが、中空部材Pが連結されていない点等、
図1とは異なるものである。
図18は
図17の埋戻し工程の説明図である。表層5cmの土があり、水脈機能が欠かせない。また、中空部材10は安息機能の安定確保のため耐圧機能を有している。
図19は
図18の土壌形成工程の説明図である。
【0081】
図20は土壌通気浸透排水システムを適用した一例を示す説明図であり、上記の説明で示した各構成要素を所定エリアに形成したイメージの概略説明である。
【0082】
図21は土壌通気浸透排水システムを適用した一例の概略断面で、
図20のI―I断面の説明図である。
【0083】
【0084】
図23は
図17~
図19で示す土壌通気浸透排水システムを適用した他の例を示す説明図であり、建物の近傍の地面に形成した状態をしめすものである。
【0085】
以下、参考までに、本発明についてさらに述べる。
健全な大地があること、それを元に「すべての生き物たち」が健全さを取り戻すこと。それが、あらゆる産業の復興に必要なのであり、今ほど「大地の再生」が求められている時代はない。
健全な空気と水の流れを取り戻すことから始まるのであり、生き物たち――とくに植物たちと足並みを合わせ、その力を最大限に生かしていくことが大切。
【0086】
ここでは、次に示すように
●空気視点を取り戻す、という観点から、
1)大地の疲弊、そのサインと解決法、2)その場にあるものを使う、3)やりすぎない、脈は直線や直角を嫌う、4)小さな水切りが与える変化、5)火を燃やす、6)炭の効用と枝葉のフィルター、7)メンテナンスと風の草刈り
●地上部の空気通し改善、という観点から、
1)風の流れを作る、そのために草を刈る
2)風の草刈り1(草を味方にする高刈り・撫で刈り)
3)風の草刈り2(風の抜け道をつくりブロック・カマボコ状に)
4)風の草刈り3(エンジンカッターの使い方)
5)つる植物、ススキ
6)低潅木の風の剪定
7)樹木の伐採法
8)伐採枝、物の置き方
●水切りと水脈の観点から
1)表層の水切り改善
2)コルゲート管と有機資材
3)埋め戻し・地ならし
4)グランドカバー・水まきと風まき
5)点穴
6)水脈メンテナンス
7)抵抗柵(杭の打ち方)
8)水路・沢の管理
9)人工水路の管理
10)U字溝の処理
2-7 ブロワーと水やり(a)ブロワー清掃、b)水やり)
2-8 重機の使用法
について、説明する。
【0087】
空気視点を取り戻す
大地の疲弊、そのサインと解決法
近代土木のコンクリートやアスファルトによって地中の空気の動きが止められ、水はけが悪くなり土壌が腐敗して植物が育ちにくくなりました。便利さを優先するあまり、空気や水の流れを保ちながら生物環境を豊かにし、浄化機能を持っていた池や湿地や土や石積みの水路などが、埋め立てや暗渠化、コンクリート三面張り水路となり、消えていきました。
その結果、雨の日は地面に雨水が浸透せず「水たまり」ができるようになりました。水たまりができるのは地面が詰まっているサインです。底には泥だまりができ、乾けばホコリを立てる。泥だまりが厚い堆積を繰り返せば、ヘドロ化して有機ガスを発生させる。そのドブのような臭いは人だけが不快なのではなく、周囲の植物を弱らせます。ヤブ化は大地と植物の疲弊のサインなのです。
【0088】
植物が弱れば根っこが細根を出せず、植物自体が地面の空気通しをする力がますます弱まります。この負のスパイラルに陥っている場所が、現代は都会から田舎までかなりの面積を覆っていのです。
当然ながら地下水は涵養(かんよう)されず、大雨のときのオーバーフロー水(それは泥アクを大量に含む)だけが川や湖に流れ込む、ということになります。地球温暖化の原因は、CO2の増加やヒートアイランド現象だけではありません。この現代土木構造物による遮断と泥アクによる「地中の空気や水の流れの詰まり」も大きいのです。また洪水の頻発もその原因は異常豪雨だけでなく、流域全体の浸透機能の弱まりに起因しているのです。
【0089】
水たまりができるのは地面の空気穴が泥の膜によって塞がれているからです。移植ゴテで表層5cmを引っ掻いて水たまりの水を排水溝に誘導してやればよいのです。水は移動するだけでなく縦方向にも浸透します。すると裸地にも草が生えてきます。地中にタネがあるのに発芽しないのは、土の中の空気が動かないからです。泥アクが消えると明るくなり、空気感が変わります。草が生え、苔の色がよくなります。その溝には炭と枝葉を入れ、周囲には粗腐葉土やチップのグランドカバーで仕上げるのが「大地の再生」のやり方です。
【0090】
既にコンクリート構造物に変わった場所は、現代的なアレンジを施して同じ機能を回復させます。コンクリートが悪いのではない、現代土木に空気視点がなく、その構造が閉鎖的に使われることが悪いのです(新たなコンクリート構造物を開発する必要があります)。
現代の里山には有機資材が溢れており、風通しの手入れをするだけでその材料が簡単に入手できます。屋敷周りの植物の剪定だけでもかなり枝葉が出るものです。剪定によって風通しをよくする(水脈の上の風通しはとくに重要)わけですが、同時に「大地の再生」の水脈整備に使われる有機資材が簡単に手に入るのです。また、スギ・ヒノキの荒廃人工林が蔓延しているため、とくに崩壊地などでは長丸太が入手しやすく、杭や土留め柵として良い素材となります。
【0091】
便利な暮らしと現代土木によって浸透水が奪われ、雨水の多くは暗渠やU字溝に集められ、直接川へ流れるようになりました。浸透水がなければ河川や湖水の湧き水も激減し、水は浄化されず、淀んで石にも泥アクがつくようになります。放置された農地や山林もまた水脈を詰まらせて、グライ化(※1)した土から有害なガスを放出させています。「大地の再生」でこれを改善・克服すれば植物の根が大地を耕し始め、再生作業に味方してくれるようになります。また姿も穏やかな成長となり、植物たちは互いに棲み分けを始めてコンパクトになり自然に風通しが蘇よみがえるのです。
【0092】
私たちが現在目にしているほとんどの植物空間は、実は疲弊した植物たちの断末魔の姿なのです。かといって根元からばっさり切って見栄えを優先するような作業をすると、風通しや陽当たりが激変し、植物たちは大慌てでまた強根を出し、ササやツル植物に覆われるという繰り返しになってしまいます。たとえばブヨやヤブ蚊が多いのは大地が詰まっている証拠で、詰まっているからササ類が苦しくて根を伸ばし、それで暴れてヤブになっているのです。
部分的に刈ることで穏やかな風みちを作り、等速に流れるような、浸透しやすい溝を掘ってつないでやる。風や水が走り過ぎるなら緩衝帯を作る。そうすることで大地は守られ、詰まっていた土中の空気が動き出し、微生物の活動が活性化し、農林水産業の核になるベースが豊かに再生していきます。それだけではなく、建物も風化しにくくなり、人の健康も守られます。逆に水と空気の流れが悪くなる・滞ると植物がダメージを受け、ひいては土砂崩壊など災害を誘発します。
【0093】
「大地の再生」を通して、流域に安全で生産性の高い環境を速やかに実現していくこと、これが子供たちの未来に残す私たちの大きな責務です。
※1:グライ化……地中に酸素がなくなり還元状態になることで主に青灰色に粘土化し、メタン、硫化水素などに起因する腐敗臭(ドブ臭)のあるガスを出す土
【0094】
その場にあるものを使う
現在の土木工事はスクラップ・アンド・ビルドを繰り返してきました。災害現場でさえ、崩れた土砂や流木を大移動し、そこに前と同じような土木構造物を、いっそう強固に(ということはまた空気を詰まらせる形で)作ろうとします。災害が起きるのは大地が詰まりや疲弊を解消するために動いたと見るべきで、解放後の形はいわば大地の新たな答えであり造形なのです。ならばその地形を生かして土木工事を再構成するべきで、とくに初期の仮復旧は災害で出た石・土・丸太・枝など現地素材を最大限に活用したいものです。
庭の再生などもできるだけあるものを用いて風合いを出していく。そのようなやり方が現代では(そして今後も)むしろ主流になるのであり、運搬処理費用が軽減され、施主のみならず地域にも喜ばれます。
【0095】
やりすぎない、脈は直線や直角を嫌う
途方にくれるような耕作放棄地を再生したいとき、全部のヤブを徹底して刈り払う必要はなく、何本か風道を開けることから始めます。そして風が程よく流れるように、田畑の中の雑草は腰の高さで刈る。石垣の下部はきれいに刈り払って、水路があればその上を風が流れるようにする。風がどういうふうに通り抜けるか全体を考え、作業は常にひかえ目に深追いしないようにする。今日はどのぐらいのエネルギーをかけれるか、その作業量を考えながら、全体のバランスを崩さないようにムラなくつなぐ。1カ所に時間をかけすぎない。
【0096】
これまで里山整備のボランティアの人たちは、徹底的に刈り払うことを部分的に繰り返してきました。しかし、風が通り過ぎるとかえって再生する植物たちはまた暴れ始めるのです。イタチごっこになっていつまで経っても終わりません。むしろ省力的に数本の風みちを空けてやるほうがはるかに合理的なのです。これに水脈整備を加えることで、地中の空気が動き、植物が細根を出し穏やかにコンパクトに姿を変える。つまり、自ら空間を作るようになり、植物が逆に応援してくれるようになるのです。
【0097】
風や水の流れをデザインするときは直線や直角を避け、蛇行や流線型を目指すようにします。すると風や水は自然に渦流を作りながら動きます。渦ができるとホコリや泥アクが溜まりにくくなり土の団粒化が起きます。団粒化が起きるとホコリが立たず空気が通りやすくなります。本来は「木の根と石が抵抗を作り、流れをやさしくする」のですが、直線的な人工構造物がそのリズムを壊すことで詰まりが生じるのです。だから現代の構造物の周囲はメンテナンスが必要になるのです。
【0098】
小さな水切りが与える変化
斜面の変換点には土圧がかかります。また透水性のない構造物で遮断されている場所も同じです。だからその接点に空気抜きとしての水脈溝(通気浸透水脈)を掘ることが効果的です。その溝には伐採枝などを噛み合うように入れると溝が崩れず微生物や菌類の住処にもなります。また補助として有孔管(ポリプロピレン製の「ゴルゲート管」)を入れるとさらに効果的です。溝の曲がりや合流点などにはやや大きめな三角錐の穴(点穴)を点在させると、縦方向にも空気が動き、地下浸透もしやすくなります。
点穴の作り方において、点穴を水脈溝に作るときは溝よりやや大きく、深く作る。水と空気のつくるシガラミ構造の木組みを行い、穴の中に炭を入れ竹や枝を柵(しがらみ)構造に組みながら放射状に置く、いわゆる柵みであって、ただの放射状に形成するものではない。
そして、その上に刈り草や木の葉を巻くように収め、または枝葉を柵に組みながらかぶせる。そして、周囲を軽く埋め戻して完成させる。なお、コルゲート管を立てるときは竹杭などで支えを作るようにする。
【0099】
小さな水切りが毛細血管ならこの水脈溝は動脈といえます。そしてその脈は沢や河川へ、そして海へとつながっていきます。小さな水切りから始めたこれらの変化は、周囲の山や尾根筋の風や水をも動かす力を持っています。風や水は手をつなぐように一体だからです。満たしたホースの先端を解放すれば、100m先の水も瞬時に動く、と考えれば解りやすいでしょう。
小さな水切りの溝は、水がないときも大気圧に押された空気がそこを通路として常に動いています。それらが地中の空気に、地上の風に影響を与え続けます。風が変わると植物たちが変化するのがわかります。空間が爽やかに、明るくなるのです。そして鳥や虫たちが祝福するかのように集まり、嬉しそうに飛び回るのです。
【0100】
炭の効用と枝葉のフィルター
地中に空気を通すには、構造物による遮断をなくすことはもちろんですが、地中に有機物があることが重要です。すなわち最も有用なのは生きた植物の細根ですが、もしそこが植物の生えていない裸地であるなら、枝葉などの有機物を漉き込み、表面に木質チップや粗腐葉土などの有機物をグランドカバーとしてかぶせることが有効です。しかしそれらは分解の過程で有機ガスを出し、とくに地中での分解は有機ガスをこもらせるので、ガスを吸着・分解・放散させるために「炭」を抱き合わせます。
【0101】
炭の材料はどんな樹木でもよく、もちろん竹でもかまいません。炭を作る場合は木・竹の種類や伐る時期も問いません。生木や青竹も枯れた竹も使うことができます。また、専門の窯で焼いたような高級な炭の必要はなく、焚き火でできるような熾炭でも十分使えます。
炭は多孔質構造なので糸状菌やバクテリアなどの有用微生物が棲みついて繁殖し、土中の有機物の分解を促して土の団粒化を進め、保水性や浸透性を向上させます。さらに炭自身に豊富なミネラルを含むため、土壌改良効果があります。
ただし炭の微細な穴は泥で詰まりやすい。そのために伐採した植物の枝葉を泥漉こしとして用います。つまり炭と枝葉はお互いに「有機ガスの吸着」「炭の泥漉し」という持ちつ持たれつの関係を作るのです。
【0102】
メンテナンスと風の草刈り
地中の枝葉が分解し、炭の泥漉し作用も弱まった頃には、地表に植物が繁茂し始め、地中に張り巡らされた植物の根が空気通しをしてくれるようになります。その頃には構築した水脈溝や点穴は泥で詰まっていることもあるので、定期的にメンテナンスしてその構造を維持していくことも重要です。そして、草が生え出せば「風の草刈り・選定」での管理が必要になります。
草刈りは何のためにするのか?敷地を見栄え良く整理するためではありません。地表の風を「風の草刈り」でコントロールするためです。敷地全体を均一に程よく風が通るように、草刈りによって風みちの空間づくりをしていくのです。
とくに水脈の上は風の開口部として常に開かれている必要があります。水脈と風の流れが連動することで、周囲の地中全体の空気が動き、有機ガスが抜け、植物が元気になって細根を出すようになります。すると植物たちの成長が落ち着き、樹木がしっかりと育つようになると、木の根が浸透水脈や抵抗柵の役割をするようになり、自然の雨風の手入も手伝って、その後の管理はずっと楽になっていくのです。
【0103】
地上部の空気通し改善
風の流れを作る、そのために草を刈る
風が通らないと有機ガスが停滞し、植物が弱る。風通しがよくなると植物も穏やかになり枝もコンパクトになる。徒長した花芽は思い切って刈ったほうがあとに出る脇芽にきれいな花が咲く。
【0104】
風の草刈り1(草を味方にする高刈り・撫で刈り)
草が風で揺れる場所・曲がる場所で刈る。いわゆる「高刈り・撫なで刈り」をする。再生するとき分岐がたくさん出て、地中には細根が発達する。再生も遅くなるので地際で刈るより作業量はずっと少なくなる。
道具は、のこガマやナイロンコードの刈払機でちぎるように刈る(鋭利な切り口よりも再生スピードが遅くなり、そのぶん栄養が脇芽や3番手に向かいやすい)。
【0105】
風の草刈り2(風の抜け道をつくりブロック・カマボコ状に)
高刈り・撫なで刈りするだけでなく、全体がブロック状に別れるように風の抜け道をいくつか作る(そこだけは地際から刈る)。そして側面はカマボコ状に整えると風が滑らかに均等に流れ、草の中に風が入りやすい。
樹木の根元周りと畝溝、農道・作業道だけは低く(足のくるぶしくらいの高さ)刈る。草丈に触れるような垂れた下枝があれば剪定して風通しをよくしておく。
【0106】
水切りと水脈
表層の水切り改善
基本は水たまりに溝を切って水を流してやること。そして水みちの詰まりの改善である。土が軟らかい所を狙ってやや蛇行させ、「走らない」「淀まない」等速のリズムを保つこと。走れば地形を壊して泥アクを出し、淀めば泥アクが堆積して地下の詰まりを導き有機ガスを発生させる。アクは縦方向にも消えていくので、分散・等速の水流を作ることで浸透が促される。溝の深さは5cm程度でよい。石混じりで草が生えているような地面の場合はやや大きな水切りになるので、三つグワ、唐グワ等での作業になる。その際ただ平滑なU字溝的な溝を掘るのではなく、V字に左右交互に掘ることで、浸透しやすく渦ができる流れを作ることができる。水脈の上の地上部は草刈りでほどよい風通しを確保する。泥アクが消えると木道なども滑らなくなる。また爽やかな緑が回復していく(たとえばゼニゴケがスギゴケに変化)。
【0107】
コルゲート管と有機資材
水脈溝の掘り方等の説明をすると、コルゲート管を入れる水脈の場合は重機のブレーカーで掘削した後、剣スコップで溝(深さ20~30cmほど)を仕上げていくが、その際も平滑なU字溝的な溝を掘るのではなく、V字に左右交互に掘る。
水脈にコルゲート管を入れる場合は溝の中でやや蛇行させて配置する。人工的な流路は直線や直角になりがちだが、適度な凹凸や曲がりを入れてやることで空気や水は渦流で動き、浄化や浸透機能が高まる。「管をくねくねと曲げてやろう」と頭で作るのではなく、コルゲート管の動きにあわせ自然にできる曲線で収める。これにより、部分と全体が相対的に流線形状となる。
コルゲート管は型枠用のセパレーターや竹串などを利用して一定間隔で地面に固定するが、流路を邪魔しないように管の中心を避け、そして千鳥に打って固定する。
その上に枝や割竹などの有機資材を入れていくが、ただ投げ入れるのではなく、編み込むように・噛み合うように入れていき(これを「しがらみ」という)、上からよく踏み込んでおく。大枝・中枝・小枝をバランスよく入れていく。あるところに大枝が集中したり、小枝ばかりにならないように。その比率は自然の木の幹枝のつき方に準じる。
【0108】
このしがらみ構造で構築すると水脈の機能――構造の強固さ、水脈としてのガイド、渦のでき方、微生物の増加――などが全然ちがってくるので、細心の注意を払う。
そして炭と落ち葉や葉付き枝をかける。葉っぱを置くだけで「しがらみの空間・コルゲート管の孔・炭」それぞれに対してかなりの泥漉し効果があるが、入れ過ぎても詰まってしまう。自然の樹木に付いている枝と葉っぱの比率で全体が収まると詰まらない。
【0109】
埋め戻し・地ならし
水脈はただ埋めるのではなく溝の中央部で水と空気のつながりを保ちたいので繊細な感覚が要求される。三つグワを使う場合、溝に向かって掻き下ろすのではなく、逆に上げ気味にして先に石を落としていく(叩き上げることで細かい土は落ちず、石だけが転がり落ちる)。石は枝と土斜面の間に入り込み、土圧を支える(三つグワで押し込んでやる)。そのすき間にまた小さな石が載って最後に土がかぶさる、という階層構造ができると、泥漉し効果できてコルゲート管も詰まりにくい。
【0110】
グランドカバー・水まきと風まき
水脈周りの地面に仕上げのグランドカバーとして炭や粗腐葉土(チップ)をまく。箕(み)による資材のまき方には風のように散らばって広がりをもつ「風まき」と、水が落ちるようにドドッとまく「水まき」がある。グランドカバーには前者を、水脈への投下・埋め戻しのときなどは後者を使い分ける。
【0111】
点穴
図24は点穴の作り方を示す説明図である。水脈の変化点には「点穴」と呼ぶ深さ30~40cmほどの穴を掘る(深さは土相の状態によって異なる)。これは縦方向に空気や水を通す役目をし、また雨のときには泥だまりになる。水脈には数メートルおきに点穴を作る。ずっと直線が続く場合も数メートルおきに点穴を作る。上段左の図は断面であり、上段真ん中はタコつぼ型である。※必ずしも×ではなく、土相の状態によってはこの形もあり得る(固い場合など)。
上段右の図はコルゲート管を立てたときで、このときは、竹杭で支えを行う。
下段は上から見た図であり、水脈溝に作るときは溝よりはやや大きく深く作る。そして、水脈及び気流が、斜めに下り、斜めに上るように作る。
下段の真ん中に示すように、水と空気の作る柵(しがら)み構造の木組みで、(1)穴の中に炭を入れ、竹や枝を放射状に置く(2)刈り草や木の葉を巻くように収める(3)周囲を軽く埋め戻す。
放射状に溝を形成して土留めと水・空気流のガイドとする。水脈幅よりやや大きく直径を取って逆円錐状に掘って炭を入れ、しがらみ構造となるように放射状に枝や竹を入れて土留めと水・空気流のガイドとする。効果を高めるために短く切ったコルゲート管を立てることもある。
横かき カマボコ型地形で流線形状にする。
溝を掘ったあとで、掘り起こした土は、地ならししてカマボコ状にし、流線形になるように構成する。
大きな石や土の中からの植物有機材(根・枝・草等が水に流されるように)から先に落ちるので詰まりにくい。
傾斜地の果樹園などでは作業道の山側に水脈を作り、谷側に点穴を穿うがつのも効果的である。また元気のない樹木の根周りに小さな点穴を作るのもよい。炭を入れた点穴はマツ枯れ・ナラ枯れに効果が高い。
【0112】
水脈のメンテナンス
時が経って埋まってしまった水脈は、三つグワを使って掘り起こしメンテをする。
図25は三つグワの動かし方などを説明するものであり、斜面では下から上に、溝に足を入れて掘る。溝をただ真っ直ぐ掘削するのではなく、土から教えられる柔らかいところを掘っていく(多少ジグザグになっていい)。掘削して枝が出て来たら、今度は三つグワの先で押し付けて安定させる。ただ掘ればいいのではない。掘削、開き、押し……という複雑な作業を同時にこなすのだ。これはイノシシがやっている作業と同じである。
風まき 高目に両手で横振り・縦振り等の振動を加えて空気に乗せていく
水まき 仮目に振りながら水に習ったように流しまく。空気まきより多目の量となる
土は圧縮すると詰まって空気を通さなくなる
粗腐葉土・チップ 炭が上△ 粗腐葉土・チップ〇
炭がない場合は縦に空気が通るように整地する
炭は泥で詰まるので粗腐葉土・チップをセ・・・トに使うと泥漉(こ)しになる(時として混ぜて使用)
【0113】
抵抗柵(杭の打ち方)
雨水が斜面を一気に流れるような場所には障害物「抵抗柵」をつくり、流速を弱め水を分散・停滞させ、浸透を促す。抵抗柵は自然の川の蛇行に習い、流れに直角に置くのではなくやや斜めに傾ける。
周囲に丸太や枝、竹などがあれば、外部から資材を持ち込む必要はなく、それらを工夫して使っていく。それらを杭で止めれば流れを誘導する抵抗柵ができる。その際、2本の杭は同じ側に打たず互い違いに打つ。そのほうが植物の根と同じように、どの方向にも働く。そして強く打ちすぎない。ちょうどいい硬さの加減で止めておく。植物の根も地中にガチガチに入っていくことはなく必ず隙間がある。大地に対して締めすぎない、わずかなゆるみがあってよい。
横棒の隙間には草と石をおいて間をふさぎ、杭には番線でしばる。そして杭の出すぎた部分をノコで切る。雨風が通って安定する自然さで作り終える。「雨降って地固まる」……最後は降った雨が整地する。
【0114】
人工水路の管理
すでにコンクリートで固められてしまった三面張りの水路などは、中の土砂や落ち葉をすべてさらい上げることはせず、落ち葉や腐葉土の適当な堆積を残して。クワで蛇行した筋みちをつけてやる。さらに両脇に枝葉の有機物を追加して、石で重みをかぶせて動かないように止める。つまりコンクリート水路の中に新たな自然水路を「入れ子」のように作る。
水路の外側はコンクリートと地面の境界を少し掘ってやり、所々に点穴を作ってやる。この溝にも雨のときは水が流れるので、できるなら下流側のどこかでコンクリートの壁の天端を欠いて水路に落ちるようにしてやるとよい。その際、「天端」に尖った部分を作らないようにする。空気や水が滑らかに通るような曲線を描くように、自然がやったような作業の風合いを出すのが大事。
【0115】
U字溝の処理
コンクリートのU字溝は撤去して石積み水路にするか通気・通水できる新たな構造物に変える。できなければ取り急ぎ底面に1~1.5mのピッチで、ブレーカーで穴を開けるとよい。水を地中に浸透させ、地中の空気を抜くという効果がある。常に通水がある場合は水分過多にならないように小さめに開ける。ふだん流れのないU字溝には炭をまき、竹の枝葉などを敷いて石の重しを置くと泥漉しと浸透の効果が高まる。
【0116】
ブロワー清掃
物の配置や片付けを終えた後、ブロワー清掃することで片付けたすべての空間に風が行き渡っているか、確認することができる。空間を最終的に仕上げる重要な仕事でもある。三つグワ、ケンスコ、レーキ(表層整形)、さらに熊手、竹ぼうき、手ぼうき(表層均し)、そして最終的にブロワー清掃。すべて深さに応じたエネルギーを水と風に習った作業として使う道具であり、それぞれの道具の手応えを常に感じ取ることが大切。ブロワーはうまく使えば手仕事の3倍のスピードで仕事ができ、しかもずっときれいになる。
現場では泥が層になって溜まっているようなところを見つけてホコリを飛ばしていく。汚れだまりの「点」が広がって「線」になっている(なるような)ところを見つける。全部やる必要はなく、サッと時間をかけないで次元を同じにしてやる。それだけで現場の作業は円滑に進み、場も痛まない。
【0117】
水やり
水やりもブロワーと同じで、均等に水が分かれ地面に浸透していかねばならないし、ダメならそこに不具合を発見できる。水まきは風と水を土の中に通す作業で、「息のできる水まき」と「息をつまらせる水まき」がある。水まきは、植物の治療の最重要な処方である。
枕木などの構造物の上もただ漫然とかけるのではなく、テンションをかけて谷に泥を落とすイメージで水をまく。谷には空気が通っているから落ちた泥を団粒化してくれる。
弱っている木には柔らかくかける(泥水が出ないように)
どこまで自分の距離で水かけできるか範囲を常に把握する。
縁石のキワなどは空気が通るように、片手にドライバーを持って地面に突き刺し、すき間をあけながらまく。
散水ノズルは均等に散布されるものがよいが、慣れれば直接ホースに親指を当てて調整しながらまくこともできる。
【0118】
図26は水脈溝の掘り方の説明図である。
コルゲート管と有機資材
コルゲート管を入れる水脈の場合は重機のブレーカーで掘削した後、剣スコップで溝(深さ20~30cmほど)を仕上げていくが、その際も平滑なU字溝的な溝を掘るのではなく、V字状に左右交互に掘る。
水脈溝の掘り方:
水脈溝は、
図26の×のように立壁、底面など直線的では不可で、△のように部分的に流線形でない状態で掘った場合にも、十分な掘り方ではない。〇のように、部分と全体が相対的に流線形状となる。コマやいのししの渦流掘削となるように掘る。
水脈溝を掘ったらまず炭が入る。次にコルゲート管を入れていくが、ただ直線に引き伸ばして入れるのではなく溝の中でやや蛇行させて配置する。人工的な流路は直線や直角になりがちだが、適度な凹凸や曲がりを入れてやることで空気や水や渦流で動き、浄化や浸透機能が高まる。「管をくねくねと曲げてやろう」と頭で作るのではなく、コルゲート管の動きにあわせ自然にできる曲線で収める。
コルゲート管は型枠用のセパレーターや竹串などを利用して一定間隔で地面に固定するが、流路を邪魔しないように管の中心を避け、そして千鳥に打つ。
【0119】
図27は水脈への枝の入れ方の説明図であり、コルゲート管の有無に関係なく、枝等は、単に配置するだけでなく、編み込むように・噛み合うように入れていき(これを「しがらみ」という)、上からよく踏み込んでおく(図の×ではなく、部分的に△、好ましくは〇)。大枝、中枝、小枝をバランスよく入れていく。あるところに大枝が集中したり、小枝ばかりにならないように。その比率は自然の木の幹枝のつき方に準じる。
このしがらみ構造で構築すると水脈の機能―構造の強固さ、水脈としてのガイド、渦のでき方、微生物の増加など―が全然ちがってくるので、細心の注意を払う。
水脈への枝の入れ方を、更に説明すると、コルゲート管のない場合も、ある場合も同じように枝を入れる。
図27で示すように、枝を交互に絡ませて「しがらみ」を作り、上から足で踏む。上に飛び出た枝は切って挿入する。
そして炭と落ち葉や葉付き枝をかける。葉っぱを置くだけで「しがらみの空間・コルゲート管の孔・炭」それぞれに対してかなりの泥漉し効果があるが、入れすぎても詰まってしまう。自然の樹木に付いている枝と葉っぱの比率で全体が収まると詰まらない。
【0120】
図28は水流の制御の一例を示す説明図であり、細い杭と、太めの杭(角材や小丸太でもよい)を利用する。つまり、先ず、番線を横木の下に水流を通す。次にシノでねじって締め上げる。そして、余分な杭頭と番線をカットする。これにより、水の流れを制御し、地面のすきまを調整し、水の勢い、流量を調整できるようにする。
【0121】
図29の(a)~(f)は水脈埋戻し例の説明図である。
水脈埋め戻し:雨と風が渦流の力で土・石・枝葉を動かすことができるように、埋め戻し・整地を行う。(a)は施工前の状態であり、(b)のように、溝に直接埋め戻すと先に土が落ちて詰まるので、不可である(足踏み転圧も同時に不可)。
そして、施工中は、(c)で示すように、横かきで往復運動の整地を行う。これにより、先に大きな石や枝が落ちる。次に、(d)で示すように、途中クワの背で側面を叩き締める(水締めの加減で)。さらに、(e)で示すように、施工後は、(上から順)カマボコ型流線形になっているので、上がる空気(軽い空気)と下がる空気(重たい空気)の循環ができ、(f)の断面図で示すように、結果的に水脈が詰まりにくい階層構図になる。
【0122】
図30の(a)~(f)は樹木周りの点穴とその施工の説明図である。
(a)の断面図で示すように、ゆるみをつけ、ひとにぎりの炭と粗枝、作業ひとつ1~2分で行う。(b)の断面図で示すように、樹木周りには、図の時計周り順に、表流水、長の表層から浸透した泥水でできた硬盤層を抜く、新たな発根が始まる。樹木の傍にある縁石の近くにはU字溝があり、このU字溝は捨てコンの上方に、図(e)で示すようなオーガー堀削工法(ハンドオーガーを用いて掘削する)によって形成される。
そして、断面図(c)で示すように、20~30cmの溝が掘られ、この中に枝葉(10~12cm)、土、
炭(炭ひとにぎり)などが投入
される。この溝は、途中の硬盤層を破って形成される。
【0123】
図31の(a)~(c)は空気視点から見た人口林の手入れ説明図である。
空気視点から見た人工林の手入れ:スギ・ヒノキ人工林における「切り捨て間伐採」の一般的な処置を「大地の再生」から検証する。
図31(a)は×である。間伐の遅れたスギ・ヒノキ人工林は下層植林がほとんどなく、その流亡する。土止めのために(そして見栄えもよいので)、切り捨て間伐材は
図31(a)のように、等高線に沿ったベタ置きが(森林組合などの施業でも)慣例化している。等高線に平行に置かれた刈り捨て間伐材
である。
図31(b)は×である。この施業(等高線に沿ったベタ置き)のために枝払い・玉切り・移動・設置…といった無駄な労力が使われ、そのわりに下層植生が回復しない(上からの締め付け、表層にも地下にも空気が通りにくい)。
図31(c)は〇である。切り捨て間伐材はランダムに斜め置き(重ね置き)することで空気や水が動く。枝払い・玉切りは最小限でよい(作業や
歩行のじゃまにならない程度)。その結果、下層植生の回復が早まり表土が守られる。植裁木も細根を出して安定する。
【0124】
図32の(a)~(g)はグランドカバーと炭、炭・チップの巻き方の説明図である。
グランドカバーと炭:
図32(a)は、土は圧縮すると詰まって空気を通さなくなる
ことの説明である。
図32(b)のように、粗腐葉土・チップで、炭がない場合は縦に空気が通るようにラフに整地する。
図32(c)のように、炭は自身に小さな穴を持っているので圧縮し締め付けられても空気を通すので、
図32(d)のように、粗腐葉土・チップに対して、炭が上の場合は△であり、
図32(e)のように、粗腐葉土・チップに対して、炭が下の場合は〇である。炭は泥で詰まるので粗腐葉土・チップなど有機物をセットに使うと泥漉(こ)しになる(状況に応じて炭と粗腐葉土・チップは混ぜて使ってもよい)。
炭やチップのまき方:
図32(f)は風まき
の説明図であり、空気にのせるイメージで、やや高い位置から両手で横振り・縦振りの動きで空気に乗せて振りまく。
図32(g)は水まき
の説明図であり、地面に流すイメージで、やや低い位置から縦に振りながら水が流れ落ちるようにまく(風まきより多めの量になる)。
【0125】
図33(a)~(f)は自然の沢に関する施工例の説明図である。
自然の沢(その1)
図33(a)は施工前の状態を示し、直線の強い流れ、土砂やレキで浅くなった川床である。
図33(b)は施工後
の状態を示し、泥アクや土砂を浚渫しながらS字蛇行の流れを作る。
自然の沢(その2)
図33(c)は施工前
の状態を示し、
図33(d)は施工後
の状態を示す。流木、落ち葉などを取り去り、石を移動して水脈の流れを等速化する。
図33(e)及び
図33(f)は断面図であり、施工前は川床に泥アクが溜まる。施工後は川面を風が流れるように草を刈ることで、流れを等速化すると泥アクが消え、清流が戻ってくる。
【0126】
図34(a)~(c)は、わだちの水切りの説明図である。
わだちの水切りの
図34(a)は施工前で、図示の順(
図34(a)~(c))に、草部、土石と一部コンクリート、わだち、雨水の流れ、草部、フェンス、コンクリート舗装のくぼみである。
図34(b)は、
順にフェンス、えぐる感じで削る、削った土で穴埋めである。
図34(c)は施工後で、上から順に、枝と炭、枯れ葉をかぶせる、状態を示している。
【0127】
図35(a)~(c)は直線斜面の作業道における抵抗柵の説明図である。
図35(a)は施工前であり、
図の左から順に、傾斜、成長不良(ヤブ化、)。
なお図35(a)の右側に断面簡略説明図を示している。
図35(b)は施工中であり、初期の雨水の動きを示している。
図35(c)は施工後であり、ヤブ化が収まり木々が成長し始める。
なお図34(c)の右側に断面簡略説明図を示している。
図35(d)は全ネジ+ボルトで、ツーバイ材(ツーバイフォー(2×4)材断面サイズ=38×89mm)の取り付け状態を示している。
図35(e)は
図35(d)の施工断面図であり、炭と小枝・枯草との関係を示している。
【符号の説明】
【0128】
10 中空部材
10a 組込み部材
11 不定形の部材
12 柵状の枠体(枠材)
13 開口面(間隙)
14 切れ目
15 角部
16 連結穴
17 固定部材(長尺のピン)
20 敷砂
30 捨てコンクリート
40 グレーチング蓋
50 埋戻し土壌
60 充填材
70 泥浸入防止材
80 埋戻し土壌
90 芝生等の植栽
S 土壌通気浸透排水システム
H 立穴
P 長尺の中空部材(パイプ状)
M 長尺溝(通路)
D 土壌