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特許7587836ザブトン籠収容ユニット及び該ザブトン籠収容ユニットを用いた貝排出装置
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  • 特許-ザブトン籠収容ユニット及び該ザブトン籠収容ユニットを用いた貝排出装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】ザブトン籠収容ユニット及び該ザブトン籠収容ユニットを用いた貝排出装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 61/54 20170101AFI20241114BHJP
【FI】
A01K61/54
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021100806
(22)【出願日】2021-06-17
(65)【公開番号】P2023000150
(43)【公開日】2023-01-04
【審査請求日】2024-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】300021002
【氏名又は名称】株式会社森機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000316
【氏名又は名称】弁理士法人ピー・エス・ディ
(72)【発明者】
【氏名】森 光典
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-212936(JP,A)
【文献】特開2012-029643(JP,A)
【文献】特開2020-115825(JP,A)
【文献】特開2017-139987(JP,A)
【文献】特開2017-085904(JP,A)
【文献】特開2020-110088(JP,A)
【文献】特開平02-249434(JP,A)
【文献】特開2021-078386(JP,A)
【文献】米国特許第04377987(US,A)
【文献】実開昭55-149367(JP,U)
【文献】実開平04-071453(JP,U)
【文献】特開2022-163886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 61/00-63/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のザブトン籠から貝を排出させるための貝排出装置に用いられるザブトン籠収容ユニットであって、
前記複数のザブトン籠の各々は、略四角形の底面網と略三角形の4面からなる側面網とを有する略四角錐の形状を有し、四角錐の頂点と前記底面網の角部とを結ぶ4つの稜線の少なくとも1つに沿って前記角部の直近の位置に貝出入口が設けられており、
前記ザブトン籠収容ユニットは、
貝が入った状態の前記複数のザブトン籠を前記底面網が起立した状態で互いの網面が対向するように並べて収容することができる長さ及び幅を有し、
前記貝出入口の直近の前記角部に交わる前記底面網の2辺を支持する2つの傾斜底面と、
前記2つの傾斜底面の間において、前記角部が収まるように設けられた貝排出口と
を備える
ザブトン籠収容ユニット。
【請求項2】
前記底面網が起立した状態を保持するように幅方向に渡された少なくとも1つの仕切り部材をさらに備える、請求項1に記載のザブトン籠収容ユニット。
【請求項3】
前記底面網が前記ザブトン籠収容ユニットの長さ方向に移動することを抑制するように前記2つの傾斜底面の各々に設けられた少なくとも1つの滑り止め部材をさらに備える、請求項1又は請求項2に記載のザブトン籠収容ユニット。
【請求項4】
複数のザブトン籠から貝を排出させるための貝排出装置であって、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の1つ又は複数のザブトン籠収容ユニットと、
モータと、
前記1つ又は複数のザブトン籠収容ユニットと前記モータとを連結し、前記2つの傾斜底面の各々が交互に上下するように前記1つ又は複数のザブトン籠収容ユニットを振動させる振動機構と
を備える貝排出装置。
【請求項5】
前記1つ又は複数のザブトン籠収容ユニットは、長さ方向両端部の各々において前記2つの傾斜底面間に渡された側壁と、前記側壁の各々に設けられた支持軸とを有し、
前記貝排出装置は、前記支持軸を回転可能に支持する支持部を備え、
前記振動機構は、前記モータの回転運動を前記2つの傾斜底面の各々を交互に上下させる運動に変換することによって、前記1つ又は複数のザブトン籠収容ユニットを前記支持軸の周りに振動させるように構成された、
請求項4に記載の貝排出装置。
【請求項6】
前記支持軸は、前記1つ又は複数のザブトン籠収容ユニットの前記貝排出口に対応する位置の近傍に設けられた、
請求項5に記載の貝排出装置。
【請求項7】
前記1つ又は複数のザブトン籠収容ユニットは、長さ方向両端部の各々において前記2つの傾斜底面間に渡された側壁と、前記側壁に取り付けられ、貫通孔が形成された1つ又は複数のユニット固定部材とを有し、
前記振動機構は、前記1つ又は複数のザブトン籠収容ユニットの傾斜底面の外方において前記1つ又は複数のザブトン籠収容ユニットの長さ方向に平行に配置された、前記1つ又は複数のユニット固定部材の前記貫通孔を貫通する2本の棒状体を有し、
前記モータの回転運動を前記2本の棒状体の各々を交互に上下させる運動に変換することによって、前記1つ又は複数のザブトン籠収容ユニットを振動させるように構成された、
請求項4に記載の貝排出装置。
【請求項8】
前記1つ又は複数のザブトン籠収容ユニットの下方に配置された貝搬送部をさらに備える、請求項4から請求項7までのいずれか1項に記載の貝排出装置。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ザブトン籠から貝を排出させるための貝排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ホタテ貝の養殖においては、一般に、養殖工程でザブトン籠が用いられる。ザブトン籠1oは、ホタテ貝の養殖において、20~80枚程度のホタテ貝を入れて海中に吊るし、貝を育てるための容器であり、図1(a)に示されるように、典型的には略正方形の枠に網を張って形成された底面網2と、底面網2の各辺に連続する略三角形の4面の網からなる側面網3とによって構成された、略四角錐形状の籠である。ザブトン籠1oは、底面網2の一辺が40cm程度のものが主流であるが、さらに大きなサイズのものも用いられることがある。ザブトン籠1oは、典型的には、30cm程度の間隔を空けて各々の頂部と底面網2の中央部とをロープ4で互いに連結することによって、縦に10枚~20枚が連結された1セット6として用いられる。例えば籠の交換や洗浄といった作業、貝の販売などのために、ザブトン籠1oから貝を排出させる作業が頻繁に行われる。ザブトン籠1oには、頂点と底面網2の1つの角部2aとを結ぶ稜線3aに貝出入口5oが設けられており、貝の排出はこの貝出入口5oから行われる。
【0003】
現在のところ、ザブトン籠1oから貝を排出させる作業は、手作業で行われることが多い。排出させるときには、通常、貝が入ったザブトン籠1oを、貝出入口5oを下に向けた状態で作業者が両手で持ち、左右に揺動させる。貝が入ったザブトン籠1oの頂部を真下に向けた状態で保持すると、内部の貝が頂部付近に溜まり、その重みで稜線3aが引っ張られて貝出入口5oが閉じるため、貝を効率的に排出させることができない。したがって、貝出入口5が真下に向くようにザブトン籠1oを傾斜させて保持した状態で、左右に揺動させる必要がある。貝が入った状態のザブトン籠1oは、2.5kg~3kg程度であり、これを両手で持ち上げ、傾斜させた状態で10枚~20枚も振るうことは、極めて重労働である。
【0004】
ザブトン籠1oから貝を排出させるための装置として、例えば特許文献1に記載の技術が提案されている。この技術は、左右一対の無端軌道を有する搬送体上に、底面網2を上に向けた状態で複数のザブトン籠1oを載せて搬送し、搬送中のザブトン籠1oに下方から側面網3に対して打撃又は振動を与えることによって、貝出入口5oから貝を排出させるものである。搬送中のザブトン籠1oは、押さえ部によって上から無限軌道に押さえつけられた状態で移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-115825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
最近、貝出入口の位置が変更された新たなザブトン籠を使用する漁業者が一部地域で増えている。これまでのザブトン籠1oが、図1(a)に示されるように稜線3aの概ね中間位置に貝出入口5oを有している(すなわち、貝出入口5oの上下の稜線3aの長さが概ね等しい)のに対して、新たなこのザブトン籠1では、図1(b)に示されるように、貝出入口5が稜線3a上で底面網2の角部2aの直近の位置に設けられている(すなわち、貝出入口5の下側には稜線3aがないか、又は下側の稜線3aの長さが上側の稜線3aより大幅に短い)。このような位置に貝出入口5を設けることによって、貝出入口5の直近の角部2aを下に向けてザブトン籠1に振動を与えることによって、貝排出作業に不慣れな作業者でも容易に貝を排出させることができる。
【0007】
この新たなザブトン籠1は、従来技術の貝排出装置を用いて内部の貝を適切に排出させることが難しい。すなわち、図1(a)に示されるように貝出入口5oが稜線3aの概ね中間位置に設けられた従来のザブトン籠1oから貝を排出するために開発された、例えば特許文献1に提案される従来技術は、ザブトン籠1oを水平又は若干傾斜させた状態で処理する技術である。そのため、従来技術を用いて新たなザブトン籠1を処理したときには、貝出入口5の頂部側の稜線3aが従来のザブトン籠1oより長いため、頂部を下に向けたザブトン籠1の頂部付近に貝が溜まり、貝出入口5から排出されない。
【0008】
また、特許文献1に提案される技術においては、ザブトン籠1には、下方から衝撃が与えられる。下方から衝撃を与えると、貝とザブトン籠1とが同時に上下に振動するため、ザブトン籠1の内部で貝が踊り、排出されにくくなる。この問題に対応するために強力かつ高速で打撃を与えて貝を排出させようとすると、振動、騒音、籠の消耗が早いなどといった問題が生じたり、下からの振動体が貝を直撃し、貝割れや噛み込みが発生したりすることがある。衝撃によって、ザブトン籠1が搬送体から外れることもある。
【0009】
さらに、隣接するザブトン籠1の間は約30cm程度の長さのロープで連結されている。ロープが短いため、複数のザブトン籠1をその貝出入口5が重ならないように搬送体上に平らに並べると、進行方向前方のザブトン籠1が後方のザブトン籠1を引っ張り、貝出入口5が塞がれることになる。そうすると、振動や衝撃を与えてもザブトン籠1から貝が出ないことがあり、結局は手作業で貝を排出する必要がある。
【0010】
したがって、本発明は、複数のザブトン籠から貝を短時間で確実に排出させることができるとともに、ザブトン籠内の貝に悪影響を与えることのない、小型、軽量、安価かつ安全な貝排出装置と、その貝排出装置に用いられるザブトン籠収容ユニットとを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一つの態様において、本発明は、複数のザブトン籠から貝を排出させるための貝排出装置に用いられるザブトン籠収容ユニットを提供する。ザブトン籠収容ユニットに収容される複数のザブトン籠は、その各々が、略四角形の底面網と略三角形の4面からなる側面網とを有する略四角錐の形状を有し、四角錐の頂点と前記底面網の角部とを結ぶ4つの稜線の少なくとも1つに沿って前記角部の直近の位置に貝出入口が設けられているものである。本発明に係るザブトン籠収容ユニットは、貝が入った状態の複数のザブトン籠を底面網が起立した状態で互いの網面が対向するように並べて収容することができる長さ及び幅を有し、ザブトン籠の貝出入口の直近の角部に交わる底面網の2辺を支持する2つの傾斜底面と、2つの傾斜底面の間において、角部が収まるように設けられた貝排出口とを備える。
【0012】
一実施形態において、ザブトン籠収容ユニットは、底面網が起立した状態を保持するように幅方向に渡された少なくとも1つの仕切り部材をさらに備えることが好ましく、底面網がザブトン籠収容ユニットの長さ方向に移動することを抑制するように傾斜底面に設けられた少なくとも1つの滑り止め部材をさらに備えることが好ましい。
【0013】
別の態様において、本発明は、複数のザブトン籠から貝を排出させるための貝排出装置を提供する。貝排出装置は、本発明の一つの態様に係る1つ又は複数のザブトン籠収容ユニットと、モータと、1つ又は複数のザブトン籠収容ユニットを振動させる振動機構とを備える。振動機構は、1つ又は複数のザブトン籠収容ユニットとモータとを連結し、1つ又は複数のザブトン籠収容ユニットの2つの傾斜底面の各々が交互に上下するようにザブトン籠収容ユニットを振動させる。
【0014】
一実施形態において、1つ又は複数のザブトン籠収容ユニットは、長さ方向両端部の各々において2つの傾斜底面間に渡された側壁と、側壁の各々に設けられた支持軸とを有することが好ましい。貝排出装置は、この支持軸を回転可能に支持する支持部を備えており、振動機構は、モータの回転運動を2つの傾斜底面の各々を交互に上下させる運動に変換することによって、1つ又は複数のザブトン籠収容ユニットを支持軸の周りに振動させるように構成されることが好ましい。支持軸は、1つ又は複数のザブトン籠収容ユニットの開口に対応する位置の近傍に設けられることが好ましい。
【0015】
別の実施形態において、1つ又は複数のザブトン籠収容ユニットは、長さ方向両端部の各々において2つの傾斜底面間に渡された側壁と、側壁に取り付けられ、貫通孔が形成された1つ又は複数のユニット固定部材とを有することが好ましい。この実施形態において、振動機構は、1つ又は複数のザブトン籠収容ユニットの傾斜底面の外方において1つ又は複数のザブトン籠収容ユニットの長さ方向に平行に配置された、複数のユニット固定部材の貫通孔を貫通する2本の棒状体を有しており、モータの回転運動を2本の棒状体の各々を交互に上下させる運動に変換することによって、1つ又は複数のザブトン籠収容ユニットを振動させるように構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、一連のザブトン籠を、底面網を起立させた状態で簡単な構造のザブトン籠収容ユニットに並べて収容し、ザブトン籠収容ユニットを振動させることによって、複数のザブトン籠から短時間で確実に貝を排出させることができる。複数のザブトン籠収容ユニットを準備すれば、複数連のザブトン籠から同時に貝を排出させることも可能である。
また、本発明に係る貝排出装置は、ザブトン籠収容ユニットと振動装置とからなる簡単な構成であるため、漁業者は、すでに保有している振動装置にザブトン籠収容ユニットを取り付けるだけで、容易かつ低コストで貝排出装置を導入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ホタテ貝の養殖に用いられるザブトン籠を示し、(a)は、貝出入口が稜線の中間位置にあるザブトン籠が複数連結された状態の斜視図であり、(b)は、貝出入口が角部の直近の位置にある新たなザブトン籠が複数連結された状態の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態によるザブトン籠収容ユニットの構造を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態による、ザブトン籠収容ユニットを備える貝排出装置の構造を概略的に示し、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は、左側面図である。
図4】本発明の別の実施形態による、ザブトン籠収容ユニットを備える貝排出装置の構造を概略的に示し、(a)は上面図、(b)は正面図である。
図5図4に示される貝排出装置のザブトン籠収容ユニット及び振動機構を左側面からみた図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0019】
[ザブトン籠]
以下に詳細に説明されるザブトン籠収容ユニット及び貝排出装置は、主に、図1(b)に示されるザブトン籠1から貝を排出する目的で発明されたものである。図1(b)に示されるザブトン籠1は、貝出入口5が稜線3a上で底面網2の角部2aの直近の位置に設けられている。すなわち、このザブトン籠1においては、稜線3aに沿って設けられた貝出入口5の底面網2に近い方の端部が、底面網2の角部2aの直近に位置する。直近とは、貝出入口5の底面網2に近い方の端部と角部2aとの間に間隔がない場合だけでなく、貝出入口5の底面網2に近い方の端部と角部2aとの間にある程度の間隔がある場合も含む。後者の場合、貝出入口5の下側の稜線3aの長さが上側の稜線3aより短い。ある程度の間隔とは、底面網2を起立させた状態でザブトン籠1を本発明に係る貝排出装置に載せて振動させたときに、ザブトン籠1の内部の貝が当該間隔の部分に引っかかってザブトン籠1の内部に残ることがない程度の間隔である。貝出入口5のザブトン籠1の頂部に近い方の端部の位置は、稜線3aの中間部付近であることが好ましいが、中間部より頂部寄りでもよく、中間部より角部寄りでもよい。このような位置に貝出入口5を設けることによって、貝出入口5の直近の角部2aを下に向けてザブトン籠1に振動を与えることにより、貝排出作業に不慣れな作業者でも容易に貝を排出させることができる。
【0020】
図1(b)に示されるザブトン籠1においては、1つの貝出入口5が1つの稜線3aに設けられているが、これに限定されるものではなく、貝出入口5は、例えば対角の2つの稜線の各々に設けられていてもよく、すべての稜線に設けられていてもよい。貝出入口5の数が多いほど、ザブトン籠1の向きを変える手間を省くことができる。
【0021】
[ザブトン籠収容ユニット]
図2は、本発明の実施形態によるザブトン籠収容ユニット10の構造を示す斜視図である。ザブトン籠収容ユニット10は、貝が入った状態の複数のザブトン籠1を底面網2が起立した状態で互いの網面が対向するように並べて収容することができる長さ及び幅の箱体として形成されている。並べられたときに隣接するザブトン籠1の間隔は、一方のザブトン籠1の貝出入口5を他方のザブトン籠1の底面網2が塞がない程度の間隔であることが好ましい。ザブトン籠収容ユニット10は、対向して配置される2つの傾斜底面11と、長さ方向の両端部に配置された側壁13と、幅方向の両端部に配置された側壁14とを有する。2つの傾斜底面11の上端11bと側壁14との間には、後述される仕切り部材16を固定する面である平坦部15が設けられることが好ましい。傾斜底面11、側壁13、側壁14、及び平坦部15は、耐久性、耐腐食性があり軽量な材料で作製されることが好ましく、例えばアルミニウムやステンレスで作製されることが好ましい。
【0022】
2つの傾斜底面11は、ザブトン籠収容ユニット10の幅方向(すなわち、図2の左右方向)の断面視で逆ハの字形状となるように、互いに間隔を持って配置される。2つの傾斜底面11間の角度は、ザブトン籠1の底面網2の隣接する2辺(例えば、辺2abと辺2ad)によって形成される角度(通常は、90°である)と概ね等しいことが好ましい。2つの傾斜底面11の下端11a間には、貝排出口12が設けられており、この貝排出口12には、後述される図3に示されるように、ザブトン籠1の角部2aが収まる。ザブトン籠1を振動させることによって貝出入口5から排出された貝は、貝排出口12から下方に落下して、例えば貝排出口12の下方に配置されたコンベアなどの貝搬送部によって搬送される。
【0023】
両側の平坦部15間には、仕切り部材16が渡されることが好ましい。仕切り部材16は、底面網2が起立した状態で収容されたザブトン籠1が、起立した状態を保持することができるようにするものである。仕切り部材16は、ザブトン籠収容ユニット10の長さ方向に所定の間隔を空けて複数が設けられることが好ましいが、これに限定されるものではなく、例えば長さ方向の中間部に1つだけ設けられていてもよい。複数の仕切り部材16が設けられる場合には、隣接する仕切り部材16間の間隔は、すべて同じであることが好ましいが、ザブトン籠1が起立した状態を保持することができれば、間隔が同じであることに限定されるものではない。仕切り部材16は、平坦部15に設けられた仕切り部材固定孔15aに両端を、例えばボルト留めすることによって固定することができる。仕切り部材固定孔15aは、ザブトン籠収容ユニット10の長さ方向に複数個設けられており、仕切り部材16は複数の仕切り部材固定孔15aのいずれかを利用することによって、位置を自在に変更することができる。仕切り部材16の材質は、特に限定されるものではなく、金属や樹脂を用いて作製することができる。
【0024】
図2において、仕切り部材16は、両端部が平坦部15の上面に配置されているが、これに限定されるものではなく、例えば、両端部が側壁14の上端上に配置されていてもよい。図2において、仕切り部材16は、断面が四角形の形状を有するが、これに限定されるものではなく、例えば、断面が円形のものであってもよい。図2において、仕切り部材16は、全体が同じ太さの棒状のものとして形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、中間部が上下方向に幅広くなった形状を有するものであってもよい。
【0025】
2つの傾斜底面11の各々には、起立した状態の底面網2が傾斜底面11の上で滑ってザブトン籠収容ユニット10の長さ方向に移動したり傾いたりすることを抑制する目的で、傾斜底面11の幅方向(すなわち、下端11aから上端11bまでの)全体にわたる長さを有する少なくとも1つの滑り止め部材17が設けられることが好ましい。滑り止め部材17は、ザブトン籠収容ユニット10の長さ方向に所定の間隔を空けて複数が設けられることが好ましいが、これに限定されるものではなく、例えば長さ方向の中間部に1つだけ設けられていてもよい。複数の滑り止め部材17が設けられる場合には、隣接する滑り止め部材17間の間隔は、すべて同じとすることができるが、ザブトン籠1の底面網2がザブトン籠収容ユニット10の長さ方向に移動することを抑制できれば、間隔が同じであることに限定されるものではない。滑り止め部材17は、傾斜底面11に設けられた滑り止め部材固定孔11cに、例えばボルト留めすることによって固定することができる。滑り止め部材固定孔11cは、ザブトン籠収容ユニット10の長さ方向に複数列設けられており、滑り止め部材17は複数の滑り止め部材固定孔11cのいずれかを利用することによって、位置を自在に変更することができる。滑り止め部材17の材質は、特に限定されるものではなく、金属や樹脂を用いて作製することができる。
【0026】
図2において、滑り止め部材17は、傾斜底面11の幅と同じ長さを有するが、これに限定されるものではなく、例えば、傾斜底面11の幅方向にわたって複数の部材が一列に並べられることによって形成されてもよい。図2において、滑り止め部材17は、断面が四角形の形状を有するが、これに限定されるものではなく、例えば、断面が円形のものであってもよい。図2において、滑り止め部材17は、全体が同じ太さの棒状のものとして形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば中間部が上下方向に幅広くなった形状を有するものであってもよい。図2において、仕切り部材16と滑り止め部材17とは、ザブトン籠収容ユニット10の長さ方向の同じ位置に配置されているが、これに限定されるものではなく、それぞれ長方向の別の位置に配置することができる。
【0027】
[第1の実施形態による貝排出装置]
図3は、第1の実施形態による貝排出装置30の構造を概略的に示し、図3(a)は上面図、図3(b)は正面図、図3(c)は左側面図である。貝排出装置30は、本発明に係るザブトン籠収容ユニット10と、モータ33と、モータ33の動力によって2つの傾斜底面11の各々が交互に上下するようにザブトン籠収容ユニット10を振動させる振動機構34とを備える。
【0028】
貝排出装置30に用いられるザブトン籠収容ユニット10は、長さ方向の両端部に設けられた側壁13のそれぞれに、支持軸18を有する。ザブトン籠収容ユニット10は、振動機構34の作用で2つの支持軸18を結ぶ直線を回転軸として振動することによって、2つの傾斜底面11の各々が交互に上下し、その結果、ザブトン籠収容ユニット10に収容されたザブトン籠1は、図3(c)の矢印Aに示されるように振動する。支持軸18の位置は、ザブトン籠収容ユニット10を支持軸18の周りに回転させることができれば、特に限定されるものではないが、側壁13においてザブトン籠収容ユニット10の貝排出口12に対応する位置又はその近くに設けられることがより好ましい。この位置に支持軸18を配置することによって、ザブトン籠1の内部で貝をより効果的に貝出入口5の付近に寄せることができるようにザブトン籠1を振動させることができる。また、この位置に支持軸18を配置することによって、ザブトン籠1の左右の振り(図3(c)の矢印Aの方向の振動)のバランスがよく、ザブトン籠収容ユニット10の振動が少なく、モータ33の負荷も最小限で済む。
【0029】
貝排出装置30は、ザブトン籠収容ユニット10を支持するフレーム31を備える。フレーム31は、ザブトン籠収容ユニット10の側壁13の外方に対応する位置に、ザブトン籠収容ユニット10の支持軸18を回転可能に支持する支持部32を有する。フレーム31には、さらに、モータ33が取り付けられる。
【0030】
モータ33とザブトン籠収容ユニット10とは、振動機構34によって連結される。振動機構34は、モータ33の出力軸に取り付けられた回転盤341と、回転盤341の中心から離れた位置に一端が回転可能に取り付けられた連結シャフト342と、一端が連結シャフト342の他端に回転可能に連結され、他端がザブトン籠収容ユニット10の支持軸18に取り付けられた振動シャフト343とを有する。このような構造の振動機構34によって、モータ33の回転運動が、ザブトン籠収容ユニット10の振動に変換される。振動シャフト343の他端は、支持軸18に取り付けられることに限定されるものではなく、例えば、側壁13、傾斜底面11又は側壁14などに取り付けられてもよい。
【0031】
ザブトン籠収容ユニット10の貝排出口12の下方には、貝搬送部35を配置することが好ましい。貝搬送部35は、貝排出口12から下方に落下する貝を受けて一方向に移動させることができるように傾斜板とすることが好ましい。また、貝排出装置30は、この貝搬送部35に落下した貝を流して移動させるための水を貝搬送部35に供給する給水口36を有することが好ましい。
【0032】
貝排出装置30においては、図3(b)及び図3(c)に示されるように、複数のザブトン籠1を、底面網2が起立した状態で互いの底面網2の網面が対向するように、ザブトン籠収容ユニット10に配置する。ザブトン籠1の各々は、貝出入口5の直近の角部2aに交わる底面網2の辺2ab及び辺2adが2つの傾斜底面11の上に配置され、角部2aが貝排出口12に収まるように、配置される。収容された複数のザブトン籠1は、モータ33及び振動機構34の作用によって、図3(c)の矢印Aに示されるように振動し、その結果、角部2aの近くに位置する貝出入口5から貝が排出される。
【0033】
[第2の実施形態による貝排出装置]
図4は、第2の実施形態による貝排出装置60の構造を概略的に示し、図4(a)は上面図、図4(b)は正面図である。また、図5は、貝排出装置60のザブトン籠収容ユニット10及び振動機構63を左側面からみた図である。この振動機構63として、例えば、本出願の出願人が保有する特許第5956666号に係る振出装置と同様の構成を有する機構を用いることができる。
【0034】
貝排出装置60は、ザブトン籠収容ユニット10と、ザブトン籠収容ユニット10を上に固定して振動させる振動体61と、モータ62と、モータ62の動力によって振動体61を振動させる振動機構34とを備える。なお、図4(b)においては、スプリング635c、635dは、チェーン634a、634bの左側に示されているが、図5においては、振動機構63の構造を解りやすく示すために、スプリング635c、635dがチェーン634a、634bの奥側に重なるように示されている。また、図5においては、手前側のスプリング635aと奥側のスプリング645bとが重なって示されている。
【0035】
振動体61は、互いに平行に配置された一対のパイプ611(611a、611b)と連結部材612(612a、612b、612c)とを有し、一対のパイプ611a、611bの両端部及び中央部を連結部材612で連結して一体としたものである。一対のパイプ611は、この上に固定されるザブトン籠収容ユニット10を振動させるための部材である。その長さは、少なくとも1台のザブトン籠収容ユニット10を固定することができる程度の長さであればよいが、複数台のザブトン籠収容ユニット10を並べて固定することができる程度の長さであることがより好ましい。幅は、ザブトン籠収容ユニット10の幅に対応する程度であることが好ましく、より具体的には、ザブトン籠収容ユニット10の貝排出口12の幅より広く、両方の側壁14間の距離より短い幅であることが好ましい。一対のパイプ611は、特に限定されるものではないが、軽量化及び耐久性の観点から、例えば塩化ビニルパイプなどの樹脂パイプであることが好ましい。一対のパイプ611は、断面円形のパイプに限定されるものではなく、断面が多角形の棒状体でもよい。
【0036】
振動体61の下部には、スプリング635(635a、635b、635c、635d)が取り付けられている。具体的には、スプリング635a及び635bは、それぞれ連結部材612a及び612bの下部に取り付けられ、スプリング635c及び635dは、それぞれパイプ611a及び611bの長手方向中央の下部、すなわち、後述する第3及び第5の連結部の近くに取り付けられている。これにより、振動体61は、パイプ611a及び611bのそれぞれが上下方向に振動できるように支持される。スプリング635のそれぞれの下端は、例えば、図1において破線で例示されるような、ある程度の高さを有するフレームなどの固定物に取り付けられ、これによって、振動体61を、例えば作業者の腰の高さほどの位置に配置することができる。
【0037】
モータ62は、振動体61を振動させるための動力となる回転力を発生させる。モータ62から発生した回転力は、モータ62に連結された振動機構63に伝達される。図5において詳細に示されるように、振動機構63は、円板状の回転盤631及び連結シャフト632を含むクランク機構と、振動シャフト633と、チェーン634a及び634bとを含む。モータ62の回転力は、モータ62の出力軸に取り付けられた回転盤631を回転させ、これにより、回転盤631に連結された連結シャフト632が往復運動する。連結シャフト632は、その一端が振動シャフト633と回転可能に連結している。連結シャフト632の往復運動は振動シャフト633に伝達され、これにより、振動シャフト633は、軸633pの周りに揺動する。
【0038】
振動シャフト633には、連結シャフト632との連結部と軸633pとの間にチェーン634aが連結されており、さらに、その位置とは軸633pを挟んで反対側の位置にチェーン634bが連結されている。したがって、チェーン634aとチェーン634bとは、軸633pを支点として揺動する振動シャフト633に、交互に引っ張られることになる。
【0039】
ここで、振動シャフト633が揺動するときの、連結シャフト632、振動シャフト633、及びチェーン634の動作及び状態を説明する。図5において、振動シャフト633は軸633pを支点として揺動するが、初めに、振動シャフト633の右側が上がっている(すなわち、左側が下がっている)状態を考える。このとき、チェーン634aは弛緩している。振動シャフト633の右側が下がるに連れて、チェーン634aは引き伸ばされ、ある時点において完全に緊張する。この瞬間に、チェーン634aはその全体が振動シャフト633に急激に引っ張られるため、その引張力が衝撃を伴って、チェーン634aの上端に伝達する。その後も振動シャフト633の右側が下がるように運動し続けている間、チェーン634aは振動シャフト633に引っ張られる。やがて、振動シャフト633の右側が上がる(すなわち、左側が下がる)ように運動の向きを転じると、チェーン634aは弛緩する。次いで、同様に、振動シャフト633の左側が下がるに連れて、弛緩しているチェーン634bが引き伸ばされて緊張し、引張力が衝撃を伴ってチェーン634bの上端に伝達する。やがて、振動シャフト633が再び運動の向きを転じると、チェーン634bは弛緩する。以上の動作が繰り返されるため、チェーン634aとチェーン634bとには、振動シャフト633からの引張力が衝撃を伴って交互に繰り返し伝達することになる。
【0040】
なお、チェーン634a及びチェーン634bは、これに限定されるものではなく、押圧力を伝達せずに引張力を伝達する構成であれば同様の効果が得られるため、別の実施形態においては、例えばロープ又はワイヤーで構成するようにしてもよい。
【0041】
チェーン634aの上端は、振動体61を構成するパイプ611aに連結されている。そのため、チェーン634aに伝達した引張力は、パイプ611aに伝達し、振動体61を振動させる。また、チェーン634bの上端は、振動体61を構成するパイプ611bに連結されている。そのため、チェーン634bに伝達した引張力は、パイプ611bに伝達され、振動体61を振動させる。上述したように、チェーン634aとチェーン634bには、衝撃を伴った引張力が交互に伝達するため、スプリング635によって支持されている振動体61は、パイプ611aとパイプ611bとに交互に衝撃を伴った引張力を受けて複雑に振動する。
【0042】
このとき、パイプ611a及び611bのそれぞれは、チェーン634a、634bから下向きの引張力を受けることになるが、パイプ611a及び611bのそれぞれとチェーン634a及び634bとの連結部の近くにはスプリング635c、635dがそれぞれ配置されており、これらがパイプ611a及び611bを下向きの引張力に抗するように支持し、パイプ611a及び611bの中央部が下向きに湾曲することを効果的に防止する。このため、スプリング635c、635dを用いない場合と比べて、パイプ611を強固なものにする必要がないため、振動体61を軽量化することができ、さらには、モータ62が発生する動力も、軽量な振動体61に見合った比較的小さなものとすることができる。
【0043】
振動体61の上には、ザブトン籠収容ユニット10が固定される。ザブトン籠収容ユニット10は、ユニット固定部材65を介して振動体61のパイプ611a及び611bに固定することができる。図4及び図5においては、ユニット固定部材65は、ザブトン籠収容ユニット10の2つの側壁13のそれぞれに2つずつ取り付けられている。それぞれの側壁13において、2つのユニット固定部材65は、貝排出口12の両側に配置される。
【0044】
ユニット固定部材65は、例えば図5に示される構成のものとすることができ、略四角形状のゴム板651を有する。ゴム板651は、概ね中央部に貫通孔652を有し、この貫通孔652に振動体61のパイプ611a及び611bを通すことができる。図5において、パイプ611a及び611bは、貫通孔652より小径であるように描かれているが、これは構造を分かりやすく示すためであり、実際の装置においては、ザブトン籠収容ユニット10がパイプ611a及び611bにしっかりと固定されるように、パイプ611a及び611bの外径と貫通孔652の内径とはほぼ等しいことが好ましい。
【0045】
ザブトン籠収容ユニット10は、容易に振動体61に着脱できることが好ましく、そのために、貫通孔652をゴム板651の下辺から連続する逆U字型の開口として設け、パイプ611a及び611bをゴム板651の下辺の開口部分から貫通孔652内に収めることができるようにすることが好ましい。ザブトン籠収容ユニット10を振動体61に固定するときには、ザブトン籠収容ユニット10を振動体61の上方から、貫通孔652にパイプ611a及び611bが収まるように載置し、その後、パイプ611a及び611bを囲むように、U字型の開口を閉じるための開口閉じ板653をゴム板651に固定する。このようにして、2本のパイプ611a及び611bは、ザブトン籠収容ユニット10の傾斜底面11の外方において、ザブトン籠収容ユニット10の長さ方向に平行に配置された状態になる。
【0046】
2つの側壁13のそれぞれに配置されるユニット固定部材の数は、2つに限定されるものではない。ユニット固定部材は、例えば、パイプ611a及び611bをそれぞれ通すための2つの貫通孔が設けられた1つの板状体であってもよい。あるいは、2つの側壁13のそれぞれにおいて、パイプ611a及び611bのそれぞれに対応するユニット固定部材を、例えば2枚ずつ使用することによって、パイプ611a及び611bのそれぞれをよりしっかりと貫通孔に保持できるようにしてもよい。あるいは、パイプ611a及び611bを通す貫通孔を有する1つのユニット固定部材を、例えばザブトン籠収容ユニット10の底部に設け、このユニット固定部材を介してザブトン籠収容ユニット10を振動体61に固定してもよい。
【0047】
ザブトン籠収容ユニット10が振動体61に固定されることによって、振動体61の振動がザブトン籠収容ユニット10に伝達する。そのため、ザブトン籠収容ユニット10は、図5の矢印Aに示される方向に複雑に振動し、収容されたザブトン籠1の貝出入口5から効果的に貝が排出される。ザブトン籠収容ユニット10が複雑に振動する詳細は、以下のとおりである。すなわち、パイプ611a及び611bの上昇及び下降が交互に繰り返されることによって、ザブトン籠収容ユニット10は、2つの傾斜底面11の各々が交互に上下するように揺動する。パイプ611a及び611bは連結部材612によって連結されており、さらにスプリング635によって支持されているため、その動きは一定周期の単調な繰り返し運動ではなく、重心が常に移動するような不規則な運動となる。すなわち、振動体61とそれに固定されたザブトン籠収容ユニット10は、その全体が揺動を伴って振動する。さらに、前述したように、動力を振動体61に伝達する振動機構63には、固定された長さのロッド状ではなく、チェーン、ロープ、ワイヤー等の屈伸可能な部材を用いているため、単調な押し引きの運動ではなく、運動の不同により打撃力を誘発し大きな衝撃振動を発生させる。その結果、ザブトン籠収容ユニット10の貝は、あらゆる方向の揺れを受けて、貝出入口5から素早く排出される。なお、本実施形態においては、パイプ611a及び611bが連結部材612によって連結されているため、振動体61は揺動を伴って振動するが、別の実施形態として、例えば、それぞれ動力を受ける振動体の複数の部分を、連結しないか又は伸縮性のある部材で緩く連結すれば、振動体の複数の部分は別々に振動するようになり、このようにしても本発明の目的は達成することができる。
【0048】
図4に示される実施形態においては、振動体61には、1つのザブトン籠収容ユニット10が固定されているが、別の実施形態においては、振動体61の上に、図4の左右方向に並置するように複数のザブトン籠収容ユニット10を固定することもできる。また、図4に示される実施形態においては、振動機構63のスプリング635の下端がフレームに取り付けられているが、別の実施形態においては、フレームの代わりにコンベア装置を用いて、スプリング635のそれぞれの下端をコンベア装置の縁部に取り付け、ザブトン籠収容ユニット10の貝排出口12の下方に移動するコンベア面(貝搬送部)が位置するようにすれば、ザブトン籠1から排出され下方に落下した貝を、コンベアで所定の位置まで自動的に搬送することができる。
【符号の説明】
【0049】
1o 従来のザブトン籠
2 底面網
2a、2b、2c、2d 角部
3 側面網
3a 貝出入口が設けられた稜線
5o 貝出入口
1 新たなザブトン籠
5 貝出入口
4 ロープ
6 複数のザブトン籠のセット
10 ザブトン籠収容ユニット
11 傾斜底面
11a 下端
11b 上端
11c 滑り止め部材固定孔
12 貝排出口
13 側壁(長さ方向端部側壁)
14 側壁(幅方向端部側壁)
15 平坦部
15a 仕切り部材固定孔
16 仕切り部材
17 滑り止め部材
18 支持軸
30 貝排出装置
31 フレーム
32 支持部
33 モータ
34 振動機構
341 回転盤
342 連結シャフト
343 振動シャフト
35 貝搬送部
36 給水口
60 貝排出装置
61 振動体
611(611a、611b) パイプ
612(612a、612b、612c) 連結部材
62 モータ
63 振動機構
631 回転盤
632 連結シャフト
633 振動シャフト
633p 軸
634(634a、634b) チェーン
635(635a、635b、635c、635d) スプリング
65 ユニット固定部材
651 ゴム板
652 貫通孔
653 開口閉じ板


図1
図2
図3
図4
図5