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特許7587848光伝送システム、光受信機、光デバイス、並びに光信号の合成方法及び受信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】光伝送システム、光受信機、光デバイス、並びに光信号の合成方法及び受信方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/61 20130101AFI20241114BHJP
【FI】
H04B10/61
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021560570
(86)(22)【出願日】2020-04-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-02
(86)【国際出願番号】 IB2020053417
(87)【国際公開番号】W WO2020208581
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-04-05
(31)【優先権主張番号】62/831,255
(32)【優先日】2019-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521443195
【氏名又は名称】ビフロスト コミュニケーションズ エイピーエス
【氏名又は名称原語表記】BIFROST COMMUNICATIONS APS
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100225543
【弁理士】
【氏名又は名称】上原 真
(72)【発明者】
【氏名】ボー ペテルセン
(72)【発明者】
【氏名】ジェスペル ジェンセン
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-051133(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105005150(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105005151(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光コンバイナであって、
第1入力光信号および第2入力光信号を合成して合成光信号を作り、かつ、該合成光信号を、直交偏光を有する第1合成光信号および第2合成光信号に分割する、自由空間ビーム合成および偏光分割プリズムを備え、
前記プリズムは、
前記第1入力光信号を受信する第1光入力部と、
前記第2入力光信号を受信する第2光入力部であり、該第2光入力部は、前記第1光入力部に対して平行であるか、又は少なくとも前記第1光入力部に対して平行な平面内にある、該第2光入力部と、
前記第1光信号および前記第2光信号を合成して合成光信号を作るコンバイナと、
前記合成光信号を、直交偏光を有する第1合成光信号および第2合成光信号に分割するスプリッタであり、該スプリッタは、前記第1入力部および前記第2入力部の平面内に、または前記第1入力部および前記第2入力部に対して平行な平面内に実質的にあり、また、前記第1合成光信号および前記第2合成光信号を、前記第1入力および前記第2入力部の平面に対して実質的に垂直に出力する、該スプリッタと、
を含む、光コンバイナ。
【請求項2】
前記プリズムは、
前記第1光信号および前記第2光信号を合成して合成ビームを作る合成面に向けて、前記第1光信号および前記第2光信号のうち一方を反射し、
前記合成ビームを2つの直交偏光ビームに偏光分割し、
前記偏光ビームのうち一方を平面内で90度に反射し、また、
どちらの直交偏光ビームも平面外で90度に反射して、各直交偏光ビームを前記プリズムから実質的に平行な光出力を介して出力する、請求項1に記載の光コンバイナ。
【請求項3】
前記プリズムは、
前記第1光信号および前記第2光信号のうち一方を反射するように配置された反射面Aと、
前記第1光信号および前記第2光信号のうち前記反射面Aから来た一方を、前記第1光信号および前記第2光信号のうち前記反射面Aから反射されなかった他方と合成して合成ビームを作るように配置された合成面Bと、
前記合成ビームを2つの直交偏光ビームに分割する偏光分割面Cと、
前記偏光ビームのうち一方を平面内で90度に反射するように配置された反射面Dと、
どちらの直交偏光ビームも平面外で90度に反射して、各直交偏光ビームを前記プリズムから実質的に平行な光出力を介して出力するように配置された少なくとも1つの反射面Eと、
を含む、請求項1に記載の光コンバイナ。
【請求項4】
光受信機であって、
光信号を受信する光入力部と、
局部発振器光を局部発振器周波数で提供する少なくとも1つの局部発振器と、
前記光信号を前記局部発振器光と合成し、かつ、合成光信号を、直交偏光を有する第1合成光信号および第2合成光信号に分割する、自由空間ビーム合成および偏光分割プリズムと、
前記第1合成光信号および前記第2合成光信号を、第1電気信号および第2電気信号に変換する2つの光電変換器と、
前記第1電気信号および前記第2電気信号を受信出力電気信号を供給する電気処理ユニットと、
を備え、
前記局部発振器光は、第1光入力部を介して、前記局部発振器光が前記プリズムによって直交偏光間で分割される向きで、前記プリズムに入射し、
前記光信号は、前記第1光入力部に対して平行でありかつ少なくとも前記第1入力部に対して平行な平面内にある第2光入力部を介して、前記プリズムに入射し、
前記局部発振器光および前記光信号は前記プリズムによって合成および分割されて、第1合成光信号および第2合成光信号を作り、
前記第1合成光信号および前記第2合成光信号は、前記第1入力部および第2入力部と実質的に同じ平面内にあり、かつ、前記プリズムから前記第1光入力部および前記第2光入力部の平面に対して垂直に出力され、
前記光電変換器および前記電気処理ユニットは、前記第1光入力部および前記第2光入力部の平面に対して平行な平面内にある、受信機。
【請求項5】
前記少なくとも1つの局部発振器を含む光サブアセンブリと、
前記光電変換器および前記電気処理ユニットを含む電気サブアセンブリと、
をさらに備え、
前記光サブアセンブリは、前記電気サブアセンブリに対して90度の角度で配置される、請求項4に記載の受信機。
【請求項6】
前記光信号は、前記光信号を介して情報を送信する光送信機から受信される、請求項4に記載の受信機。
【請求項7】
光信号を合成および分割する方法であって、
第1光信号および第2光信号を合成し、かつ、合成光信号を、直交偏光を有する第1合成光信号および第2合成光信号に分割する、自由空間ビーム合成および偏光分割プリズムを提供するステップと、
前記第1光信号を、第1光入力部を介して前記プリズムに導入するステップと、
前記第2光信号を、前記第1光入力部に対して平行でありかつ少なくとも前記第1光入力部に対して平行な平面内にある第2光入力部を介して、前記プリズムに提供するステップと、
前記プリズムを介して、前記第1光信号および前記第2光信号を合成して、前記第1入力部および前記第2入力部と実質的に同じ平面内にある合成光信号を作るステップと、
前記プリズムを介して、前記合成光信号を、直交偏光を有し前記第1入力部および前記第2入力部と実質的に同じ平面内にある第1合成光信号および第2合成光信号に分割するステップと、
前記プリズムから、前記第1合成光信号および前記第2合成光信号を、前記第1光入力部および前記第2光入力部の平面に対して垂直に出力するステップと、
を含む、方法。
【請求項8】
前記導入するステップは、前記プリズムによる偏光分割の後に前記第1合成光信号と前記第2合成光信号との間でほぼ50/50にパワーを分割する偏光で、前記第1光信号を第1入力に導入するステップを含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記合成信号を作るステップは、前記第1光信号および前記第2光信号を合成して合成ビームを作る合成面に向けて、前記プリズムを介して、前記第1光信号および前記第2光信号のうち一方を反射するステップを含み、また
前記出力するステップは、
前記第1合成光信号および前記第2合成光信号のうち一方を平面内で90度に反射するステップと、
前記第1合成光信号および前記第2合成光信号を平面外で90度に反射して、前記第1合成光信号および前記第2合成光信号を、前記プリズムから実質的に平行な光出力経路を介して出力するステップと、
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記合成信号を作るステップ、前記分割するステップ、および前記出力するステップは、
反射面Aを介して、前記第1光信号および前記第2光信号のうち一方を反射するステップと、
合成面Bを介して、前記第1光信号および前記第2光信号のうち反射面Aから来た前記一方を、前記第1光信号および前記第2光信号のうち前記反射面Aから反射されなかった他方と合成して合成ビームを作るステップと、
偏光分割面Cを介して、前記合成ビームを、2つの直交偏光した第1合成光信号および第2合成光信号に分割するステップと、
反射面Dを介して、前記第1合成光信号および前記第2合成光信号のうち一方を、平面内で90度に反射するステップと、
少なくとも1つの反射面Eを介して、前記第1合成光信号および前記第2合成光信号をどちらも平面外で90度に反射して、前記第1合成光信号および前記第2合成光信号を前記プリズムから実質的に平行な光出力経路を介して出力するステップと、
を含む、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、平成31年4月9日に出願された米国仮特許出願第62/831,255号の利益および優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
<連邦政府による支援を受けた研究または開発に関する声明>
該当なし
【0003】
<コンパクトディスクに添付された配列表、表、またはコンピュータプログラムリストの参照>
該当なし
【技術分野】
【0004】
本発明は、一般的に、性能が向上した光システムに関する。より具体的には、本発明は、光伝送システム、光受信機、光デバイス、並びに小型の光デバイスを使用して光信号の準コヒーレント検出及びコヒーレント検出を可能にする方法に関する。
【背景技術】
【0005】
通信技術が絶えず進歩し、消費者がますます多くの帯域幅を必要とするサービスを飽くことなく欲しがるので、通信サービスプロバイダは、既存の機器よりも物理的スペースをあまり占有せず、より高性能でより高い帯域幅の機器を、通信機器会社が提供するよう要求し続けている。
【0006】
あらゆる兆候は、顧客にサービスを届ける機器がより高性能でより小さい接地面積になることに対する要求が、すぐには消えないことを示しており、したがって、より高性能で、より小さい接地面積で、より低コストである光通信システム及び光デバイスに対するニーズが絶えず残っている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、準コヒーレント及びコヒーレントな光受信機や光システム用の小型アセンブリに関係する通信システム、受信機、装置、および方法を提供することによって、上述のニーズおよび問題に対処する。当該小型アセンブリは、光サブアセンブリ及び電気サブアセンブリ等である。
【0008】
本発明の光システムは光受信機を含み、光受信機は、
光信号を受信する光信号入力部と、
1つ以上の局部発振器から局部発振器光を受信する局部発振器入力部と、
局部発振器光および光信号を、実質的に平行な入力経路で受信し、2つの直交偏光ビームを、実質的に平行であり入力経路の平面に実質的に垂直である出力経路で出力する自由空間ビーム合成及び偏光分割プリズムであって、どちらのビームも局部発振器光の少なくとも一部を含み、ビームのうち少なくとも1つは光信号を含む、プリズムと、
プリズムの出力経路からの直交偏光ビームのうち異なる1つを受信するように各光電変換器が配置される2つ以上の光電変換器と、
を含む。
【0009】
様々な実施形態において、ビームコリメータ及びレンズを用いて、局部発振器光をコリメートし、平行ビームをプリズムに提供し得る。また、直交偏光ビーム用にレンズを提供して、それぞれの光電変換器に直交偏光ビームを集束させ得る。
【0010】
一般的に、プリズムは、局部発振器光と光信号を合成する合成面に向けて、入力経路の1つを反射するように設計され得る。次いで、合成ビームは、合成ビームを2つの直交偏光ビームに分割/分離する偏光分割面に当たる。偏光ビームの1つは、平面内で90度に反射され得る。次いで、どちらの直交偏光ビームも、平面外で90度に反射され、各直交偏光ビームを、実質的に平行な光出力経路に出力する。
【0011】
上述のように光学構成要素の位置合わせをすると、局部発振器光および光学信号を、ある平面内である方向から光学処理し、信号を、実質的に平行な平面内である方向に電気処理することにより、本発明のデバイスのフォームファクタを非常に小さくすることが可能になる。様々な実施形態において、一般的に、光学処理および電気処理は、同じ方向に、しかし異なる平面内で進行する。
【0012】
したがって、本開示は、コストと性能が改善されたシステム及び受信機に対する絶え間ないニーズに対処する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】例示的な光システムの実施形態を示す。
図2】例示的な光システムの実施形態を示す。
図3】例示的な光回線終端装置/再生装置の実施形態を示す。
図4】例示的な光受信機の実施形態を示す。
図5図5A~5Cは、例示的な光受信機の実施形態を示す。
図6図5A~5C等に示される例示的な自由空間プリズムの実施形態の断面図を示す。
【発明の詳細な説明】
【0014】
添付の図面は、本発明の様々な態様の例示的な説明のために含まれ、本発明を限定する目的で含まれているのではない。
【0015】
図面及び発明の詳細な説明において、同じ又は類似の参照番号は、同じ又は類似の要素を識別し得る。特定の図面の実施形態に関して説明される実装形態、構成等は、明示的に述べられない限り、さもなければ不可能でない限り、他の図面における他の実施形態に関して実装され得ることが理解されるであろう。
【0016】
本発明の光システム10は、一方向又は双方向システムの様々な既知の構成で用いることができる。その構成は、ポイント・ツー・ポイント構成、ポイント・ツー・マルチポイント構成、又はマルチポイント・ツー・マルチポイント構成であってもよい。これらの構成では、ノードが、線形、リング、メッシュ、及びその他のネットワークトポロジで展開され、ローカル管理システム及び/又はネットワーク管理システムを介して管理される。一般に、システム10は、自由空間ファイバ及び/又は光ファイバを使用して展開され得るが、応用の多くは、光ベースのファイバシステムを含み得ることが理解されよう。例えば、特許文献1を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】国際出願PCTIB2018000360号(国際公開公報2018172847)
【0018】
さらに、一般的に、光システム10は1つ以上の波長チャネルをサポートし得る。当該波長チャネルは、チャネルグリッド内で光スペクトルの様々な範囲にわたって展開され得る。例えば、単一チャネルシステムは、1310nmおよび/または1550nmの付近の波長チャネルで動作し得る。一方で、例えば、高密度波長分割多重化(DWDM)システムは、システム10の設計と用途に応じて、名目上1490~1625nm(Sバンド、Cバンド、Lバンド)の範囲の光スペクトルを、50GHz、100GHz等の固定帯域幅または可変帯域幅を有する数十の波長チャネルに分割することができる。例えば、システムは、ITUグリッド(https://www.itu.int/itu-t/recommendations/rec.aspx?rec=11482)に基づく波長チャネルで定義され得る。光信号は、波長チャネルの1つに属する波長で、システム10を通じて送信され得る。チャネルグリッドは、チャネルエッジを共有する隣接チャネルと接続し得るが、一方で、システム10は、チャネルエッジ付近にガードバンドを提供し得る。ガードバンドとは、光信号が送信されるべきでないチャネルエッジに隣接する波長範囲であり、隣接チャネル内の信号間の干渉量を減らすために使用される。
【0019】
図1および図2は、ノード間のポイント・ツー・マルチポイントリンク(1)及びポイント・ツー・ポイントリンク(2)における光システム10の例示的実施形態を図示する。リンクは、スタンドアロンの光通信リンクであってもよいし、受動光ネットワーク(PON)または前段落で説明したネットワークの一部であってもよい。前段落で説明したネットワークは、受動光スイッチ(OS)及び能動光スイッチ、光分岐挿入装置(OADM)、光増幅器(OA)等を含み得る。
【0020】
図1では、例示的な光システム10の実施形態が、光線端末装置又は再生装置(OLT)12を含み得る。OLT12は、1つ以上の光ファイバ14を介して、1つ以上の光ネットワークユニット(ONU)16と、一方向又は双方向に光通信を行い得る。OLT12及びONU16は、1つ以上の入力/出力線18に接続されてもよく、入力/出力線18は、ネットワークの実装形態に応じて、光学的および/または電気的であってもよい。
【0021】
図2は、2つのOLT12の間のポイント・ツー・ポイントリンクを含む例示的な光システム10の実施形態を示す。図1および図2の実施形態は、ネットワーク構成に応じて、光増幅器20を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0022】
図1および図2の実施形態は、ネットワークのメトロ層およびアクセス層を含むネットワーク内の様々な層で展開され得る。フロントホール、バックホール及びアグリゲーションを含むアクセスネットワークにおいて、システム10は、PONとして動作することができ、または、ノード間で増幅を行うライン増幅器20及びその他の能動機器を、ノード若しくはノード間に含むことができる。
【0023】
図3は、例示的なOLT12及びONU16ノードの実施形態を示し、当該実施形態は、光コンバイナ/スプリッタ22を含み得る。2つ以上の送信機又は受信機(OTRx)24がシステム10で使用される場合、光コンバイナ/スプリッタ22は、光信号を合成し及び/又は分割することができる。
【0024】
光システムが単一波長システム及び/又は波長分割多重システムとして展開されるかどうかに応じて、光コンバイナ/スプリッタ22は、受動カプラ、固有波長のマルチプレクサ及びデマルチプレクサを含み得る。例えば、光システム10を、時分割多重(TDM)システム、波長分割多重(WDM)システム、または、時間及び波長分割多重(TWDM)システムとして展開し得る。これらのシステムにおいて、OLT12と通信する各ONU16は、本明細書でさらに説明する波長と同じ又は異なる波長を使用し得る。システムのノードが1つのチャネルのみを送信及び/又は受信しており、ノードを接続するファイバ又は自由空間リンク14上に1つのチャネルのみが存在している場合、そのとき、光コンバイナ/スプリッタ22はノードで使用され得ることが理解されよう。
【0025】
送信機又は受信機(OTRx)24は、システム構成に応じて、送信機若しくは受信機のみ、別個の送信機及び受信機、またはトランシーバを含むことができる。様々な実施形態において、コストを削減するために統合トランシーバを用いるほうが、費用対効果が高いかもしれないが、他の実施形態では、別個の送信機及び受信機を用いたり、単に一方向通信を提供するほうがより望ましいかもしれない。
【0026】
一般的に、OTRx24の光送信機は、線幅が狭い又は広いレーザ等の、1つ以上の固定又は可変波長の光源を含む。1つ以上の情報ストリームにおける情報は、光、すなわち光キャリアに付与され得る。光源を直接変調し、外部変調器を使用して光を変調し、および/または、情報を搬送する電気キャリアをアップコンバートして1つ以上の波長/周波数で情報を搬送する光信号を生成する光源によって、光キャリアは放射される。
【0027】
情報は、振幅変調(AM)、周波数変調(FM)、位相変調(PM)等、またはそれらの組合せを含む1つ以上の変調技法を使用して付与され得る。さらに、情報は、2つ以上の変調レベル、例えば、「0」状態および「1」状態、RZ、NRZ等に対応する様々な変調形式を用いるアナログ又はデジタル形式で付与され得る。送信されるシンボルあたりの情報のビットをより多くし、または同等のバイナリ信号帯域幅よりも小さい帯域幅を有する成分を使用することを可能にするために、デュオバイナリ及びその他のより高次のコンステレーション等の高性能/高次/多値変調形式を使用し得る。例えば、4つの振幅レベルを用いるシステムは、シンボルあたり2ビット符号化でき、4つの周波数レベルを用いるシステムは、シンボルあたり2ビット符号化でき、4つの振幅および4つの周波数レベルを独立して用いるシステムは、シンボル当たり4ビット符号化でき、デュオバイナリ又はその他のより高次のパーシャルレスポンスシステムは、縮小された周波数スペクトルを使用して、シンボルあたり1つ以上のビットを符号化することができる。また、振幅および周波数とは別に、情報は、パルス幅の変動又はパルス位置の変動等と同様に、キャリアの位相やキャリアの偏光で符号化され得る。
【0028】
前方誤り訂正(FEC)等の付加的な信号処理は、光信号として送信する前の情報の状態で実行され得ることがさらに理解されるであろう。様々な実施形態において、誤り訂正および/または試験機を使用してフィードバックを提供し、システム10の様々な送信機及び受信機を制御し得る。
【0029】
様々な実施形態において、信号は、周波数チャープレーザ、直接変調レーザ(DML)、外部変調レーザ(EML)、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)等の1つ以上の同時AM装置および/または同時FM装置によって符号化され得る。DML及びVCSELは、どちらも広い線幅を有し、一般的に低コストである。様々な実施形態において、当技術分野で知られているように、多種多様なレーザで外部変調器を使用することにより、信号変調のために純粋なAMを使用し得る。
【0030】
AM信号及び/又はFM信号がどのように生成されるかにかかわらず、周波数変調は、異なる状態を異なる周波数に変換することを担い、一方で、振幅変調は、振幅が異なる状態を分離することを担い、それによって、好都合には、従来のシステムが含まない、異なる状態のさらなる情報を供給する。
【0031】
異なる周波数、すなわち異なる状態は、FMシフトとも呼ばれる周波数分離によって分離される。従って、FMシフトは、周波数変調(FM)信号の2つの状態間の周波数分離として定義される。例として、FMシフトは、合成されたAM-FM信号、すなわち光信号の「0」状態と「1」状態との間の差異である。
【0032】
図4は、光受信機30の例示的実施形態を示す。光受信機30は、光送信機と分離しているOTRx24で用いられ、又はトランシーバの一部として用いられ得る。光システム10の他の光受信機は、図4に示す実施形態と異なっていてもよいことが理解されるであろう。
【0033】
一般的に、光受信機30は、様々な線幅のレーザ等の固定又は可変局部発振器(LO)光源32を1つ以上含むことができ、1つ以上の局部発振器周波数でLO光を提供する。局部発振器周波数は、光信号の周波数、すなわちLO周波数オフセットからずれ得る。光局部発振器レーザ(LO)は、周波数オフセット、すなわち周波数差(dF)だけ信号中心周波数(Fc)からずれている光周波数(Flo)で、光を放出する。
【0034】
コンバイナ/スプリッタ34は、入力光信号をLO光と合成し、少なくとも2つの合成光信号、例えば、COS1及びCOS2を、対応する数のフォトダイオード等の光電(OE)変換器36に出力する。例えば、2x2PMカプラを使用し、又は、別個のコンバイナ及びスプリッタを使用し得る。OEコンバータ36は、LO周波数オフセットの周波数、例えばES1及びES2で、対応する電気信号を出力する。受信機内においてさらに信号処理をするため、及び/又はシステム10の内外においてさらに送信するために、対応する電気信号は、出力線18上の情報を電気信号として整流及び出力し得る電気処理ユニット38に供給され得る。
【0035】
図5A~5Cは、本発明の様々な光受信機30の実施形態の異なる斜視図を示す。受信機30は、自律動作するスタンドアロンのデバイスでもよく、別の光アセンブリと関連して動作するサブアセンブリでもよい。受信機30は、光信号の光学処理を行う光アセンブリ40と、光信号を電気信号に変換して電気信号を処理する電気アセンブリ50と、を含む。受信機30が占める物理的空間を減らすために、光サブアセンブリ40を、電気サブアセンブリ50に対して90度の角度で包装することが望ましい場合がある。
【0036】
光アセンブリ40は、1つ以上の局部発振器(LO)レーザ32、熱電冷却器(TEC)42、サーミスタ44、および監視フォトダイオード46を含むことができ、これらは、LOレーザ32からの波長およびパワー出力を制御するために提供される。複数のLOレーザ32、冷却器42、サーミスタ44およびフォトダイオード46を用いてもよいが、一方で、様々な用途において、これらの構成要素によって消費される空間を最小化するために、1つのみ使用するほうが望ましい場合がある。
【0037】
LOレーザ32の出力は、ビーム整形レンズを介して、ビームコリメータ48に供給され得る。ビーム整形レンズは、LOレーザ32の保護を助ける光アイソレータを含み得る。コリメートされビームコリメータ48から出力されたLO光は、第1光入力経路34i1で光コンバイナ34の入力部に供給され、受信された光信号は、第2光経路34i2で光コンバイナ34に供給される。第2光経路34i2は、第1光経路34i1に平行であり、実質的に同じ又は平行な平面内にある。
【0038】
図5A~5Cに例示されている様々な実施形態において、光コンバイナ/スプリッタ34は、自由空間ビーム合成及び偏光分割プリズムである。プリズム34が、同じ又は平行な平面内にある実質的に平行な第1入力経路および第2入力経路を介して、局部発振器光および光信号を受信できるように、光アセンブリは構成される。
【0039】
一般的に、当業者であれば、「実質的に」、「ほぼ」等の記述が、「正確に」、「同一に」等を含むと意図することを理解するであろう。例えば、角度が正確に90度でなく、光線が正確に平行または同一平面上になく、LO光が50/50に分割されず又は45度に向けられていないの場合等でも、本発明は、意図したとおりに動作し得て又は本発明の範囲内である。本発明がそのように逸脱して実施されたときにもはや機能しない場合、逸脱を含む実施形態は、本発明の範囲外である可能性がある。そのため、本明細書に記載される構成要素の相対的な位置合わせを達成するように、光サブアセンブリ40および電気サブアセンブリ50を組み立てることが望ましく、これにより、光損失および電気損失を減少させ、性能を改善し得ることを、当業者はさらに理解するであろう。
【0040】
図6は、入射光とプリズム34との面内相互作用を示す。一般的に、プリズム34は、少なくとも2つの入力経路34i1及び34i2で設計され得る。第1入力経路34i1に入射した光は、反射面Aに当たり、合成プリズム面Bに向かって反射される。第1経路34i1の光は、面Bで反射され、面Bを通過する第2入力経路34i2からの光と合成される。次に、合成光は、偏光分割面Cに当たり、ある偏光の光が面Cを通過する。偏光が直交状態である光は、面Cで反射され、次いで面Dで反射され、他の偏光線と同じ方向に進行する。どちらの偏光光線も、平面外で他方の反射から実質的に90度に反射されて、プリズムから出力される。様々な実施形態において、出力集束レンズは、プリズム34の出力経路と、電気アセンブリ50の光電変換器36と、の間に提供されてもよい。集束レンズは、別個の構成要素であってもよく、またはプリズム34の出力面上に組み込まれてもよい。
【0041】
図5および図6の実施形態において、送信機から受信された光信号は、第2経路34i2を介してプリズム34に入射し又は導入され、局部発振器光は、第1経路34i1を介してプリズム34に入射し又は導入されるものとして示される。光信号を第2入力経路34i2に導入するほうが望ましいかもしれないが、一方で、数を減らせばプリズム34を通ることによる損失が低減する場合、他の構成を採用し得ることが理解されるであろう。
【0042】
様々な実施形態において、プリズムに入力される局部発振器光は、プリズム34の偏光ビーム分割面の主軸に対してほぼ45度の角度に沿って向けられ、LO光が2つの偏光状態の間でほぼ50/50に分割することを可能にし得る。LO光はプリズム34で光信号と合成され、合成されたLO光信号は2つの直交偏光ビームに分割される。直交偏光ビームは、実質的に平行かつ入力経路に実質的に垂直である出力経路を介して出力される。直交偏光ビームは、入力経路の1つと同じ又は平行な平面内にあり得る。
【0043】
LO光を直線偏光する必要がないことを、当業者は理解するであろう。例えば、円形偏光又は楕円偏光のLO光を用いてもよい。同様に、どちらの偏光状態でも、プリズム34にLO光が供給される場合、入力部におけるLO光の位置合わせは既に行われている。
【0044】
局部発振器の偏光は制御できるが、一方で、一般的に光信号の偏光は知られておらず、動作中に制御することはできない。したがって、光信号のパワーは、プリズム34に入力される光信号の偏光に応じて、2つの偏光経路の間、すなわちアームの間に適宜分配されることになる。それゆえ、2つの光電変換器36の出力は、同じように変化するであろう。信号の偏光が一方のアームに沿って完全に位置合わせされる場合、そのアームに関連する光電変換器36の出力は、局部発振器周波数と光信号周波数の間のオフセット周波数dF付近で高くなり、他方のアームの出力はdF付近でゼロになる。信号が2つのアーム間に均等に分配される場合、光電変換器36の出力はdF付近で等しくなる。2つの偏光出力を合成することで、システム全体の入力信号の偏光についての依存性が低減した。
【0045】
様々な実施形態において、第1合成光信号および第2合成光信号を第1電気信号および第2電気信号に変換するために、光電変換器36を、APDやフリップチップ等を含むフォトダイオード(PD)として実装し得る。様々な実施形態において、PD36及び電気処理ユニット38は、関連する動作帯域幅を有する。関連する動作帯域幅は、入力光信号の帯域幅とほぼ等しく又はそれよりも大きくなるように整合され得る。例えば、様々な単一チャネル又はWDMシステム10において、PD36の帯域幅および電気処理ユニット38は、光信号帯域幅の1.5~2倍に設定され得る。
【0046】
図5A図5Cにさらに示されるように、電気処理ユニット38は、包絡線検波器54に入ってクロックデータリカバリ回路56に進む前に、PD36からの電気信号を増幅するトランスインピーダンス増幅器(TIA)52を含み得る。また、電気アセンブリ50は、TEC42及びプロセッサ60の動作を制御するTEC制御部58(例えば、マイクロ制御部)と、関連メモリと、通信インターフェース等と、を含み得る。これらの装置は、当技術分野において既知である通りに、アセンブリ50のいくつかの又は全ての機能を監視および制御し、モジュール及び/又はシステム10の他の構成要素と通信する。様々な電気構成要素は、プリント回路基板または他の基板62に取り付けられ及び基板62を介して接続されてもよいし、基板62から分離して接続されてもよい。
【0047】
上述のように光学構成要素の位置合わせ及びプリズム面の合成をすると、ある平面内にある局部発振器光および光信号を、ある方向から光処理し、光処理平面に垂直な平面内にある信号を、ある方向に電気処理することによって、本発明のデバイスのフォームファクタを非常に小さくすることが可能になる。様々な実施形態において、光処理および電気処理は、物理的に同じ方向に進行する。受信機30は、トランシーバを提供するために発信器アセンブリと共にボード上に実装されてもよく、またはラインカード上に独立して実装されてもよい。
【0048】
図5A~5Cの実施形態は、ボード上にあるCDR56を示すが、一方で、信号がその位置で受信され及び再構成される場合、CDR56は別のボード上に実装されてもよいことが理解されるであろう。
【0049】
前述の開示は、本発明の例、例示、および説明を提供するが、網羅的であること、または実装形態を開示された厳密な形態に限定することを意図するものではない。修正および変形は、上記の開示に照らして可能であり、または実装形態の実施によって獲得され得る。本発明のこれらの及び他の変形および修正は、可能であり及び企図されており、前述の明細書および以下の特許請求の範囲は、そのような修正および変形を網羅することを意図している。
【0050】
本明細書において、構成要素という用語は、ハードウェア、ファームウェア、及び/又はハードウェアとソフトウェアの組合せとして広く解釈する意図で使用される。本明細書で説明されるシステム及び/又は方法が、ハードウェア、ファームウェア、又はハードウェアとソフトウェアの組合せの異なる形態で実装され得ることは、明らかであろう。これらのシステム及び/又は方法を実施するために使用される実際の特殊な制御ハードウェア又はソフトウェアコードは、実装を制限しない。したがって、システム及び/又は方法の動作及び挙動は、特定のソフトウェアコードを参照することなく本明細書で説明され、ソフトウェア及びハードウェアは、本明細書の記載に基づいてシステム及び/又は方法を実装するように設計され得ることが理解される。
【0051】
システムの様々な要素は、様々なレベルのフォトニック的、電気的、および機械的な統合を用い得る。システム10の1つ以上の棚又はラックに収容されている1つ以上のモジュール又はラインカードにおいて、複数の機能を統合し得る。
【0052】
ハードウェアプロセッサモジュールは、例えば、汎用のプロセッサ及びCPUから、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)にまで及び得る。ソフトウェアモジュール(ハードウェア上で実行)は、C、C++、Java(登録商標)、Javascript(登録商標)、Rust、Go、Scala、Ruby、Visual Basic(登録商標)、FORTRAN、Haskell、Erlang、並びに/又はその他のオブジェクト指向プログラミング言語、手続き型プログラミング言語、若しくはその他のプログラミング言語および開発ツールを含む、様々なソフトウェア言語(例えば、コンピュータコード)で表現され得る。コンピュータコードには、マイクロコード又はマイクロ命令と、コンパイラによって生成されるような機械命令と、ウェブサービスを生成するために使用されるコードと、インタプリタを使用してコンピュータによって実行され、制御信号、暗号化コードおよび圧縮コードを用いる高レベル命令を包含するファイルと、が含まれ得る。
【0053】
いくつかの実装形態は、閾値に関連して本明細書で説明される。本明細書において、閾値を満たすことは、閾値より大きい、閾値より多い、閾値より高い、閾値以上、閾値より小さい、閾値より少ない、閾値より低い、閾値以下、閾値に等しい値等を指し得る。
【0054】
特定のユーザインタフェースが、本明細書で説明され及び/又は図に示されている。ユーザインタフェースは、グラフィカルユーザインタフェース、非グラフィカルユーザインタフェース、テキストベースのユーザインタフェース等を含み得る。ユーザインタフェースは、表示用の情報を提供し得る。いくつかの実装形態では、表示用のユーザインタフェースを提供するデバイスの入力構成要素を介して入力部を提供すること等によって、ユーザが情報をやり取りし得る。いくつかの実装形態では、ユーザインタフェースが、デバイス及び/又はユーザによって構成可能であり得る(例えば、ユーザは、ユーザインタフェースのサイズ、ユーザインタフェースを介して提供される情報、ユーザインタフェースを介して提供される情報の位置等を変更し得る)。さらに、または代替的に、ユーザインタフェースは、標準構成、ユーザインタフェースが表示されるデバイスのタイプに基づく特定の構成、並びに/又はユーザインタフェースが表示されるデバイスに関連する機能及び/若しくは仕様に基づく構成の組に、予め構成され得る。
【0055】
構成の特定の組み合わせが、特許請求の範囲に記載され及び/又は明細書に開示されているが、これらの組み合わせは、とり得る実装形態の開示を限定するように意図していない。実際、これらの構成の多くは、特許請求の範囲に具体的に記載されておらず及び/又は本明細書に開示されていない方法で組み合わせることができる。以下に列挙する各従属請求項は、1つの請求項のみに直接依存することができるが、とり得る実装形態の開示は、請求項の組における他のすべての請求項と組み合わせた各従属請求項を含む。
【0056】
本明細書で使用される要素、動作または命令は、そのように明示的に説明されない限り、重要または本質的であると解釈されるべきではない。また、本明細書において、冠詞「a」及び「an」は、1つ以上の項目を含むことを意図し、「1つ以上」と交換可能に使用され得る。さらに、本明細書において、「組」という用語は、1つ以上の項目を含むことを意図し、「1つ以上」と交換可能に使用され得る。1つの項目のみを意図している場合、「1つ」という用語又は類似の言語が使用される。また、本明細書において、「有する(has、have、having)」等の用語は、オープンエンドの用語を意図する。さらに、「基づく(based on)」という句は、明示的に述べられていない限り、「少なくとも部分的に基づく」と意図する。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6